(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】保管庫
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20230302BHJP
H05K 13/00 20060101ALN20230302BHJP
【FI】
B65G1/00 535
H05K13/00 Z
(21)【出願番号】P 2021546172
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(86)【国際出願番号】 JP2019037123
(87)【国際公開番号】W WO2021053833
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 聖誠
(72)【発明者】
【氏名】田中 克明
(72)【発明者】
【氏名】大木 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】川口 将宜
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-006222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定の対基板作業を行う対基板作業機に用いられる物品が入庫または出庫する第一開口部と、
前記第一開口部と異なる開口部であって、前記第一開口部を介して前記物品の入庫作業または出庫作業が行われているときに当該物品と異なる前記物品の入庫または出庫が可能な第二開口部と、
前記第一開口部または前記第二開口部を介して前記物品が入庫したときに所定の収納部に前記物品を移動させ、前記物品を出庫するときに前記収納部に収納されている前記物品を前記第一開口部または前記第二開口部に移動させる移動部と
、
前記第一開口部を介した作業者による前記物品の入庫作業を許可する許可部と、
を備え
、
前記移動部は、前記許可部によって前記作業者による前記物品の入庫作業が許可されたときに、前記第二開口部を介した当該物品と異なる前記物品の出庫作業を、前記第一開口部を介した前記作業者による入庫作業と並行して行わせる保管庫。
【請求項2】
基板に所定の対基板作業を行う対基板作業機に用いられる物品が入庫または出庫する第一開口部と、
前記第一開口部と異なる開口部であって、前記第一開口部を介して前記物品の入庫作業または出庫作業が行われているときに当該物品と異なる前記物品の入庫または出庫が可能な第二開口部と、
前記第一開口部または前記第二開口部を介して前記物品が入庫したときに所定の収納部に前記物品を移動させ、前記物品を出庫するときに前記収納部に収納されている前記物品を前記第一開口部または前記第二開口部に移動させる移動部と、
を備え
、
前記物品に設けられる識別コードを読み取って前記物品を識別する識別情報を取得する取得装置が前記第一開口部のみに設けられており、
前記第一開口部は、前記物品が入庫可能または出庫可能な入出庫兼用口であり、
前記第二開口部は、前記物品が出庫可能な出庫専用口である保管庫。
【請求項3】
基板に所定の対基板作業を行う対基板作業機に用いられる物品が入庫または出庫する第一開口部と、
前記第一開口部と異なる開口部であって、前記第一開口部を介して前記物品の入庫作業または出庫作業が行われているときに当該物品と異なる前記物品の入庫または出庫が可能な第二開口部と、
前記第一開口部または前記第二開口部を介して前記物品が入庫したときに所定の収納部に前記物品を移動させ、前記物品を出庫するときに前記収納部に収納されている前記物品を前記第一開口部または前記第二開口部に移動させる移動部と
、
前記移動部によって前記収納部から搬出された前記物品を前記第二開口部に向かって滑走させるシュート部と、
を備え
、
前記第二開口部は、前記シュート部を滑走した前記物品が出庫する保管庫。
【請求項4】
前記対基板作業機は、前記基板に部品を装着する部品装着機であり、
前記物品は、前記部品を収容する部品テープが巻回されているリールであり、
前記収納部は、
本体部と、
前記本体部に対して所定の角度で上方に突出するように設けられ前記リールを収納可能な仕切り部と、
を備え、
前記シュート部の傾斜角度と、前記収納部の前記仕切り部の傾斜角度とが一致している請求項
3に記載の保管庫。
【請求項5】
前記第一開口部を介して入庫する複数の前記物品を一時的に収容可能な第一収容部をさらに備える請求項1~請求項
4のいずれか一項に記載の保管庫。
【請求項6】
前記移動部は、前記第一開口部を介した複数の前記物品の入庫作業中に前記収納部に収納されている前記物品の出庫が必要になったときに、前記第二開口部を介して出庫が必要になった前記物品を出庫させる請求項
5に記載の保管庫。
【請求項7】
前記第二開口部を介して出庫する複数の前記物品を一時的に収容可能な第二収容部をさらに備える請求項1~請求項
6のいずれか一項に記載の保管庫。
【請求項8】
前記移動部は、基板製品の生産計画に基づいて前記対基板作業機が必要な複数の前記物品を前記第二収容部に移動させ、前記第二開口部を介して前記第二収容部に収容されている複数の前記物品を出庫させる請求項
7に記載の保管庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、保管庫に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の自動倉庫における手動式荷物取り出し装置は、収納棚に手動取り出し口が設けられている。手動式荷物取り出し装置は、手動取り出し口を介して、スタッカクレーンの走行路と反対側に向けて荷物を取り出す。また、手動取り出し口には、シュートが設けられている。シュートは、収納棚から手動で引出した荷物を斜め下方に滑り案内する。
【0003】
特許文献2に記載の自動倉庫設備は、ピッキング用台車を備えている。ピッキング用台車は、リフターとシュートを備えている。シュートは、リフターに取り付けられており、下先端が搬送用コンベアに向けて設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-127403号公報
【文献】実開昭61-44404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
保管庫が一つの開口部を介して物品の入庫または出庫を行うと、保管庫は、当該物品の入庫または出庫が終了するまで、他の物品の入庫または出庫を行うことができない。そのため、保管庫における物品の入庫作業または出庫作業の作業効率が低下する可能性がある。
【0006】
このような事情に鑑みて、本明細書は、物品の入庫作業または出庫作業の作業効率を向上可能な保管庫を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、第一開口部と、第二開口部と、移動部とを備える保管庫を開示する。前記第一開口部は、基板に所定の対基板作業を行う対基板作業機に用いられる物品が入庫または出庫する。前記第二開口部は、前記第一開口部と異なる開口部であって、前記第一開口部を介して前記物品の入庫作業または出庫作業が行われているときに当該物品と異なる前記物品の入庫または出庫が可能である。前記移動部は、前記第一開口部または前記第二開口部を介して前記物品が入庫したときに所定の収納部に前記物品を移動させ、前記物品を出庫するときに前記収納部に収納されている前記物品を前記第一開口部または前記第二開口部に移動させる。
【発明の効果】
【0008】
上記の保管庫によれば、第一開口部と第二開口部と移動部とを備える。これにより、上記の保管庫は、第一開口部を介した物品の入庫作業または出庫作業と、第二開口部を介した当該物品と異なる物品の入庫作業または出庫作業とを並行して行うことが可能であり、物品の入庫作業または出庫作業の作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】着荷部において物品が収容ケースに収容されている状態の一例を示す平面図である。
【
図4】
図3Cの保管庫の矢印IV方向視の側面図である。
【
図5】保管庫の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
【
図6A】物品の入庫作業における制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6B】物品の出庫作業における制御手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
図1に示すように、本実施形態の保管庫40は、基板生産設備80に設けられている。基板生産設備80は、対基板作業ライン10Lと、着荷部20と、無人搬送車30と、保管庫40とを備えている。着荷部20に到着した物品21は、無人搬送車30によって保管庫40に搬送される。また、保管庫40に保管されている物品21は、無人搬送車30によって対基板作業ライン10Lに搬送される。
【0011】
1-1.対基板作業ライン10L
対基板作業ライン10Lでは、基板90に所定の対基板作業を行う。対基板作業ライン10Lを構成する対基板作業機10の種類および数は、限定されない。
図1に示すように、本実施形態の対基板作業ライン10Lは、印刷機10a、印刷検査機10b、部品装着機10c、リフロー炉10dおよび外観検査機10eの複数(5つ)の対基板作業機10を備えており、基板90は、基板搬送装置によって、この順に搬送される。
【0012】
印刷機10aは、基板90の複数の部品の装着位置に、はんだを印刷する。基板90に印刷されるはんだは、所定の粘性を有し、はんだは、基板90と、基板90に装着される部品とを接合する接合材として機能する。
図2に示すように、はんだ容器21dは、はんだを収容している。はんだ容器21dは、例えば、有底筒状またはチューブ状の密閉可能な容器を用いることができる。
【0013】
印刷検査機10bは、印刷機10aによって印刷されたはんだの印刷状態を検査する。部品装着機10cは、はんだが印刷された基板90に複数の部品を装着する。部品装着機10cは、一つであっても良く、複数であっても良い。部品装着機10cが複数設けられる場合は、複数の部品装着機10cが分担して、基板90に複数の部品を装着することができる。
【0014】
部品装着機10cは、基板90に装着される部品を供給する部品供給装置を備えている。部品供給装置は、例えば、
図2に示すリール21aを備えるフィーダ21b、トレイ21cなどを用いて部品を供給することができる。リール21aは、部品を収容する部品テープ(キャリアテープ)が巻回されている。リール21aは、フィーダ21bに回転可能かつ着脱可能に設けられる。部品テープの先端部が、フィーダ21bに設けられる部品取出し部まで引き出されて、部品が順次供給される。
【0015】
リール21aは、例えば、チップ部品などの比較的小型の部品を供給することができる。トレイ21cには、部品が配列されている。トレイ21cは、例えば、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)などの比較的大型の部品を供給することができる。リフロー炉10dは、部品装着機10cによって複数の部品が装着された基板90を加熱し、はんだを溶融させて、はんだ付けを行う。外観検査機10eは、部品装着機10cによって装着された複数の部品の装着状態などを検査する。
【0016】
このように、対基板作業ライン10Lは、複数(5つ)の対基板作業機10を用いて、基板90を順に搬送し、検査処理を含む生産処理を実行して基板製品を生産することができる。なお、対基板作業ライン10Lは、例えば、機能検査機、バッファ装置、基板供給装置、基板反転装置、シールド装着装置、接着剤塗布装置、紫外線照射装置などの対基板作業機10を必要に応じて備えることもできる。
【0017】
対基板作業ライン10Lを構成する複数(5つ)の対基板作業機10および管理装置19は、有線または無線の通信部によって、互いに通信可能に設けられている。管理装置19は、対基板作業ライン10Lを構成する複数(5つ)の対基板作業機10の制御を行い、対基板作業ライン10Lの動作状況を監視する。管理装置19には、複数(5つ)の対基板作業機10を制御する種々の制御データが記憶されている。管理装置19は、複数(5つ)の対基板作業機10の各々に制御データを送信する。また、複数(5つ)の対基板作業機10の各々は、管理装置19に動作状況および生産状況を送信する。
【0018】
1-2.着荷部20および無人搬送車30
物品21が着荷部20に到着すると、所定の着荷作業が行われる。そして、物品21は、収容ケース23に収容されて無人搬送車30に搭載され、保管庫40に搬送される。物品21は、保管庫40に保管された後、必要に応じて対基板作業ライン10Lに供給される。
【0019】
既述したように、対基板作業ライン10Lは、基板90の複数の部品の装着位置に、はんだを印刷する印刷機10aを備えている。この場合、例えば、はんだを収容しているはんだ容器21dは、物品21に相当する。また、対基板作業ライン10Lは、基板90に部品を装着する部品装着機10cを備えている。この場合、部品を収容する部品テープが巻回されているリール21aは、物品21に相当する。
【0020】
また、リール21aが回転可能かつ着脱可能に設けられるフィーダ21bは、物品21に相当する。さらに、部品が配列されているトレイ21cは、物品21に相当する。また、部品を保持する保持部材は、物品21に相当する。保持部材には、例えば、吸着ノズル、チャックなどが含まれる。さらに、保持部材を収容する保持部材収容装置(例えば、ノズルステーション)は、物品21に相当する。
【0021】
物品21には、識別コード22が設けられる。識別コード22には、物品21を識別する識別情報が記憶される。識別コード22は、例えば、一次元コード、二次元コード、無線タグなどを用いることができる。着荷部20に物品21が到着すると、着荷部20の作業者は、例えば、物品管理装置を用いて、識別情報を発行する。また、作業者は、バーコードリーダなどを用いて、供給元(ベンダ)によって物品21に設けられているバーコードなどを読み取る。そして、作業者は、物品21に関する物品情報が登録されているデータベースから、当該物品21の物品情報を取得することもできる。作業者は、物品管理装置を用いて、識別情報および物品情報のうちの少なくとも識別情報を識別コード22に記憶させる。
【0022】
着荷部20の作業者は、少なくとも識別情報が記憶されている識別コード22を物品21に取り付けて、物品21を収容ケース23に収容する。収容ケース23は、少なくとも一つの物品21を収容することができれば良く、種々の形態をとり得る。また、収容ケース23には、特定コード24が設けられている。特定コード24には、収容ケース23を特定する特定情報が記憶されている。特定コード24は、例えば、一次元コード、二次元コード、無線タグなどを用いることができる。
【0023】
作業者は、物品21を収容ケース23に収容するときに、特定コード24を読み取り装置を用いて読み取り、当該物品21に設けられている識別コード22を読み取り装置を用いて読み取る。これにより、物品21を収容する収容ケース23を特定する特定情報と、当該物品21を識別する識別情報との間の対応関係が生成され、対応関係が管理装置19の記憶部に送信され記憶される。
【0024】
図2は、物品21であるリール21aが収容ケース23に収容された状態の一例を示している。また、同図は、物品21であるフィーダ21bが収容ケース23に収容された状態の一例を示している。さらに、同図は、物品21であるトレイ21cが収容ケース23に収容(積載)された状態の一例を示している。トレイ21cは、包装袋に収納されており、識別コード22は、トレイ21cの包装袋に取り付けられている。また、同図は、物品21であるはんだ容器21dが収容ケース23に収容された状態の一例を示している。なお、同図は、平面図であり、物品21の収容状態の一例を模式的に示している。また、本明細書では、主に、物品21がリール21aの場合を例に説明されているが、他の物品21についても同様に言える。
【0025】
着荷部20の作業者は、物品21が収容された収容ケース23を無人搬送車30に搭載する。無人搬送車30は、作業者による運転操作が不要な自動走行可能な搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)である。無人搬送車30は、自動走行して物品21を搬送可能であれば良く限定されない。対基板作業ライン10L、着荷部20、無人搬送車30および保管庫40は、有線または無線の通信部によって、互いに通信可能に設けられている。無人搬送車30に物品21が搭載されると、管理装置19は、無人搬送車30に搬送指令を送信する。搬送指令には、物品21の搬送先が含まれる。管理装置19は、当該物品21を収納可能な保管庫40を選定して搬送先を決定する。無人搬送車30は、搬送指令を受信すると、搬送先に指定された保管庫40に物品21を搬送する。
【0026】
なお、無人搬送車30は、収容ケース23を用いることなく、物品21を搬送することもできる。また、無人搬送車30を用いることなく、作業者が物品21を搬送することもできる。さらに、上述した作業者が行う作業の少なくとも一部は、搬送装置(例えば、ベルトコンベアなど)、アクチュエータ(例えば、ロボットアームなど)、物品管理装置などを用いて自動化することもできる。
【0027】
1-3.保管庫40
保管庫40は、物品21を保管することができれば良く、種々の形態をとり得る。
図3A~
図3Cに示すように、本実施形態の保管庫40は、例えば、八角柱形状に形成されている。なお、
図3Cでは、保管庫40の上部が開放されており、保管庫40の内部の様子が示されている。また、
図4は、
図3Cに示す矢印IV方向から視た保管庫40の内部の模式図であり、第一開口部41a、第二開口部41bおよび収納ユニット(同図では、第一収納ユニット42t1)などの位置関係が主に示されている。
【0028】
保管庫40は、第一開口部41aと、第二開口部41bと、収納部42と、制御装置40aと、移動装置40bとを備えている。保管庫40は、取得装置45、シュート部46、第一収容部47aおよび第二収容部47bのうちの少なくとも一つをさらに備えることができる。また、
図5に示すように、制御装置40aは、制御ブロックとして捉えると、移動部43を備えている。制御装置40aは、許可部44をさらに備えることができる。さらに、保管庫40は、作業スペース40cと、表示装置40dとを備えることができる。
図3A~
図3C、
図4および
図5に示すように、本実施形態の保管庫40は、上述した部位および装置をすべて備えている。
【0029】
1-3-1.保管庫40の概略構成
図3Aに示すように、保管庫40の正面には、第一開口部41aおよび第二開口部41bが設けられている。第一開口部41aは、基板90に所定の対基板作業を行う対基板作業機10に用いられる物品21が入庫または出庫する。第一開口部41aは、物品21が入庫可能または出庫可能に物品21より大形に形成されている。なお、物品21は、収容ケース23に収容された状態で、第一開口部41aを介して入庫または出庫することもできる。この場合、第一開口部41aは、収容ケース23が入庫可能または出庫可能に収容ケース23より大形に形成される。上述したことは、第二開口部41bについても同様に言える。
【0030】
また、本実施形態では、第一開口部41aのみに取得装置45が設けられている。取得装置45は、物品21に設けられる識別コード22を読み取って物品21を識別する識別情報を取得する。取得装置45は、公知の読み取り装置(例えば、一次元コード、二次元コードを読み取るコードリーダ、無線タグと無線通信を行う無線リーダなど)を用いることができる。
図4に示すように、取得装置45は、第一開口部41aの近傍に設けられる作業スペース40cの上方に設置されている。
【0031】
取得装置45は、第一開口部41aを介して物品21が入庫したときに、物品21に設けられている識別コード22を読み取って、識別情報および物品情報のうちの少なくとも識別情報を取得することができる。なお、取得装置45は、第一開口部41aを介して物品21を収容する収容ケース23が入庫したときに、収容ケース23に設けられている特定コード24を読み取って、特定情報を取得することもできる。この場合、取得装置45は、特定情報と識別情報との間の対応関係に基づいて、収容ケース23に収容されている物品21の識別情報を取得することができる。
【0032】
第二開口部41bは、第一開口部41aと異なる開口部であって、第一開口部41aを介して物品21の入庫作業または出庫作業が行われているときに当該物品21と異なる物品21の入庫または出庫が可能である。
図4に示すように、本実施形態の保管庫40は、第一開口部41aを介した物品21の入庫作業または出庫作業が可能な作業スペース40cと、第二開口部41bを介した物品21の出庫作業が可能なシュート部46とを備えている。これにより、本実施形態の保管庫40では、第二開口部41bは、第一開口部41aを介して物品21の入庫作業または出庫作業が行われているときに当該物品21と異なる物品21の出庫が可能である。
【0033】
シュート部46は、移動部43によって収納部42から搬出された物品21を第二開口部41bに向かって滑走させる。
図4に示すように、シュート部46は、水平面に対して傾斜している。そのため、物品21が上流側の第一位置46aに搬出されると、物品21は、下流側の第二位置46bまでシュート部46を滑走する。第二開口部41bは、シュート部46を滑走した物品21が出庫する。
【0034】
なお、シュート部46の傾斜角度θ1は、少なくとも物品21が滑走可能な角度であれば良く、例えば、物品21の重量、形状、摩擦抵抗などを勘案して設定することができる。また、シュート部46の傾斜角度θ1は、後述する収納部42の仕切り部42bの傾斜角度θ1を勘案して設定することもできる。さらに、シュート部46は、物品21が収容されている収容ケース23を第二開口部41bに向かって滑走させることもできる。
【0035】
このように、本実施形態の保管庫40は、取得装置45が第一開口部41aのみに設けられている。また、第一開口部41aは、物品21が入庫可能または出庫可能な入出庫兼用口であり、第二開口部41bは、物品21が出庫可能な出庫専用口である。そのため、第二開口部41bには、取得装置45が不要であり、第一開口部41aと比べて、第二開口部41bの小型化が容易である。また、第一開口部41aに設けられる作業スペース40cと比べて、第二開口部41bに設けられるシュート部46の小スペース化が容易である。
【0036】
また、本実施形態の保管庫40は、シュート部46を備えている。第二開口部41bは、シュート部46を滑走した物品21が出庫する。シュート部46には、物品21を主体的に移動させる移動機構が不要であり、例えば、シュート部46の代わりにベルトコンベアなどの搬送装置を設ける場合と比べて、小スペース化が容易である。また、上記の搬送装置またはシュート部46を設けない場合、収納部42の間の間隙を通って、後述する移動装置40bが物品21を第二開口部41bまで搬送する必要がある。よって、移動装置40bの制御が複雑化する可能性がある。本実施形態の保管庫40は、シュート部46を備えているので、移動装置40bは、シュート部46の上流側の第一位置46aに物品21を搬出すれば良く、移動装置40bの制御を簡素化することができる。
【0037】
収納部42は、物品21を収納可能であれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、物品21がリール21aの場合、
図3Cおよび
図4に示すように、収納部42は、本体部42aと、仕切り部42bとを備えると良い。本体部42aは、鉛直方向(Z軸方向)視においてコ字形状に形成されている。仕切り部42bは、本体部42aに対して所定の角度で上方に突出するように設けられており、リール21aを収納することができる。仕切り部42bの角度は、リール21aの脱落を抑制可能に設定される。
【0038】
また、本実施形態の仕切り部42bは、複数対(
図4では、15対30個)設けられており、複数(15個)のリール21aを収容することができる。複数対(15対)の仕切り部42bの各々は、移動装置40bと干渉しないように、2つの仕切り部42bが離間して設けられている。なお、
図3Cおよび
図4では、図示の便宜上、一部の部材に符号番号が付されており、すべての部材に符号番号が付されていない。
【0039】
図3Bおよび
図3Cに示すように、本実施形態の収納部42は、鉛直方向(Z軸方向)視において円状に配置されている。また、本実施形態の収納部42は、第一収納ユニット42t1および第二収納ユニット42t2を備えており、第一収納ユニット42t1および第二収納ユニット42t2の各々は、鉛直方向(Z軸方向)に沿って複数設けられている。第一収納ユニット42t1は、第二収納ユニット42t2と比べて幅広に形成されており、第二収納ユニット42t2が収納可能なリール21aと比べて大型のリール21aを収納することができる。
【0040】
図3Cおよび
図4に示すように、第一収納ユニット42t1は、連結部42jによって鉛直方向(Z軸方向)に沿って連結されている。また、第二収納ユニット42t2は、連結部42jによって鉛直方向(Z軸方向)に沿って連結されている。さらに、隣接する第一収納ユニット42t1同士は、連結部42jによって連結され、隣接する第二収納ユニット42t2同士は、連結部42jによって連結されている。また、隣接する第一収納ユニット42t1と第二収納ユニット42t2は、連結部42jによって連結されている。
【0041】
なお、収納ユニットの種類、数および配置は、適宜変更することができる。また、収納ユニットは、収納する物品21に合わせて形状およびサイズ(幅、奥行き、および、高さ)を設定することができ、収納部42は、リール21a以外の物品21を収納することもできる。さらに、収納部42は、物品21を収容している収容ケース23を収納することもできる。また、物品21または収容ケース23は、適合するいずれの収納ユニットに収納しても良く、基板生産設備80が複数の保管庫40を備える場合、適合する収納ユニットを備える保管庫40であれば、いずれの保管庫40に保管しても良い。
【0042】
制御装置40aは、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。制御装置40aは、移動装置40b、取得装置45および表示装置40dと通信可能に設けられており、これらを制御することができる。また、制御装置40aは、物品21に関する物品情報を記憶することができ、当該物品情報を管理装置19に通知することもできる。例えば、物品21がリール21aの場合、物品情報は、リール21aに収容されている部品の部品種、部品数(残数)、リール径、型式および供給元(ベンダ)、使用期限などを含むことができる。
【0043】
移動装置40bは、第一開口部41aまたは第二開口部41bを介して物品21が入庫したときに所定の収納部42に物品21を移動し、物品21を出庫するときに収納部42に収納されている物品21を第一開口部41aまたは第二開口部41bに移動する。本実施形態の移動装置40bは、第一開口部41aを介して物品21が入庫したときに、第一開口部41aに設けられる作業スペース40cから所定の収納部42に物品21を移動する。移動装置40bは、物品21を出庫するときに、収納部42に収納されている物品21を第二開口部41bに設けられるシュート部46に移動する。なお、移動装置40bは、物品21を出庫するときに、収納部42に収納されている物品21を第一開口部41aに設けられる作業スペース40cに移動することもできる。
【0044】
図3Bに示すように、本実施形態の移動装置40bは、鉛直方向(Z軸方向)視において、収納ユニット(第一収納ユニット42t1および第二収納ユニット42t2)より内側に設けられている。移動装置40bは、物品21を移動することができれば良く、種々の形態をとり得る。移動装置40bは、例えば、ロボットアーム(多関節ロボット)、昇降スライド機構などを用いることができる。例えば、物品21がリール21aの場合、
図3Cに示すように、移動装置40bは、昇降部40b1と把持部40b2を備えると良い。
【0045】
昇降部40b1は、鉛直方向(Z軸方向)に沿った軸線回りに回転することができ、鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降することができる。把持部40b2は、
図4に示す作業スペース40cの傾斜角度θ1と同じ角度で、前進または後退することができる。また、把持部40b2は、収納部42の仕切り部42bの傾斜角度θ1と同じ角度で、前進または後退することができる。さらに、把持部40b2は、シュート部46の傾斜角度θ1と同じ角度で、前進または後退することができる。
【0046】
このように、本実施形態の保管庫40は、第一開口部41aに設けられる作業スペース40cの傾斜角度θ1と、収納部42の仕切り部42bの傾斜角度θ1とが一致している。よって、本実施形態の保管庫40は、作業スペース40cからリール21aを取り出すときの入庫時取り出し作業と、取り出したリール21aを収納部42に収納するときの入庫時収納作業とを、移動装置40bの昇降動作、回転動作、前進動作および後退動作によって行うことができる。
【0047】
また、本実施形態の保管庫40は、シュート部46の傾斜角度θ1と、収納部42の仕切り部42bの傾斜角度θ1とが一致している。よって、本実施形態の保管庫40は、収納ユニットからリール21aを取り出すときの出庫時取り出し作業と、取り出したリール21aをシュート部46に送出するときの出庫時送出作業とを、移動装置40bの昇降動作、回転動作、前進動作および後退動作によって行うことができる。
【0048】
図3Aに示すように、保管庫40は、表示装置40dを備えている。表示装置40dは、公知の表示装置を用いることができ、各種データを作業者が視認可能に表示する。表示装置40dは、例えば、収納部42に収納されている物品21に関する物品情報などを作業者の操作に応じて表示する。なお、本実施形態の表示装置40dは、タッチパネルによって構成されており、表示装置40dは、作業者による種々の操作を受け付ける入力装置としても機能する。
【0049】
例えば、作業者は、タッチパネル(入力装置として機能する表示装置40d)を用いて、保管庫40から出庫させる所望の物品21を指定することができる。この場合、制御装置40aは、移動装置40bを用いて、第一開口部41aに設けられる作業スペース40cまたは第二開口部41bに設けられるシュート部46に指定された物品21を移動して出庫する。
【0050】
また、制御装置40aは、収納部42における物品21の位置情報、入出庫情報および保管情報を記憶することができる。位置情報は、物品21の収納場所を示す。入出庫情報は、物品21の入庫日時および出庫日時を示す。保管情報には、例えば、収納部42の雰囲気温度、収納部42の湿度などの情報が含まれる。制御装置40aは、物品21の収納時に物品21の位置情報および入庫日時を記憶する。制御装置40aは、物品21の保管中に保管情報を記憶する。制御装置40aは、物品21の出庫時に物品21の出庫日時を記憶する。
【0051】
1-3-2.物品21の入出庫の制御例
図5に示すように、制御装置40aは、制御ブロックとして捉えると、移動部43および許可部44を備えている。また、制御装置40aは、
図6Aおよび
図6Bに示すフローチャートに従って、制御プログラムを実行する。
図6Aは、物品21の入庫作業における制御手順の一例を示し、
図6Bは、物品21の出庫作業における制御手順の一例を示している。
【0052】
移動部43は、第一開口部41aまたは第二開口部41bを介して物品21が入庫したときに所定の収納部42に物品21を移動させ、物品21を出庫するときに収納部42に収納されている物品21を第一開口部41aまたは第二開口部41bに移動させる。本実施形態の移動部43は、第一開口部41aを介して物品21が入庫したときに所定の収納部42に物品21を移動させ、物品21を出庫するときに収納部42に収納されている物品21を第二開口部41bに移動させる。移動部43は、既述した移動装置40bを駆動制御して、物品21を移動させることができる。
【0053】
許可部44は、第一開口部41aを介した作業者による物品21の入庫作業を許可する。保管庫40が許可部44を備える形態では、移動部43は、許可部44によって作業者による物品21の入庫作業が許可されたときに、第二開口部41bを介した当該物品21と異なる物品21の出庫作業を、第一開口部41aを介した作業者による入庫作業と並行して行わせる。
【0054】
具体的には、許可部44は、例えば、移動装置40bが作業スペース40cにおいて作業中または作業予定のときに、第一開口部41aを介した作業者による物品21の入庫作業を禁止する。逆に、許可部44は、移動装置40bが作業スペース40cにおいて作業を行っておらず作業予定がないときに、第一開口部41aを介した作業者による物品21の入庫作業を許可する。
【0055】
第一開口部41aと作業スペース40cとの間には、
図5に示す第一前扉41a1が設けられている。許可部44によって第一開口部41aを介した作業者による物品21の入庫作業が禁止されると、第一前扉41a1は閉鎖され、作業者と移動装置40bとの間の干渉が抑制される。また、第二開口部41bとシュート部46との間には、
図5に示す第二前扉41b1が設けられている。第二前扉41b1は、第二開口部41bにおいて物品21が出庫可能になると、開動作が可能になる。
【0056】
作業者は、タッチパネル(入力装置として機能する表示装置40d)を用いて、保管庫40から出庫させる所望の物品21を指定する。本実施形態では、作業者は、物品21であるリール21aを指定する。また、作業者は、タッチパネルを用いて、第一前扉41a1の開動作を指示する。制御装置40aは、許可部44によって作業者による物品21の入庫作業が許可されたときに、第一前扉41a1の開動作を行う(
図6Aに示すステップS11)。
【0057】
作業者は、第一開口部41aを介して、作業スペース40cの所定位置に物品21を入庫する(ステップS12)。作業者は、物品21の入庫作業が終了すると、タッチパネルを用いて、第一前扉41a1の閉動作を指示する。これにより、制御装置40aは、第一前扉41a1の閉動作を行う(ステップS13)。作業者が第一前扉41a1の開動作を指示してから第一前扉41a1の閉動作を指示するまでの作業は、第一開口部41aを介した作業者による物品21の入庫作業に相当する(ステップS11~ステップS13)。
【0058】
上述した物品21の入庫作業が行われるときに、移動部43は、第二開口部41bを介した当該物品21と異なる物品21の出庫作業を、第一開口部41aを介した作業者による入庫作業と並行して行わせる(
図6Bに示すステップS21~ステップS25)。まず、移動部43は、出庫する物品21が収納されている収納部42に把持部40b2を移動させる(ステップS21)。具体的には、昇降部40b1は、把持部40b2が前進したときに把持部40b2が所望の収納場所(一対の仕切り部42b)に収納されているリール21aに到達するように、必要に応じて回転して鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降する。
【0059】
次に、把持部40b2は、前進して当該収納場所(一対の仕切り部42b)に収納されているリール21aを把持して、リール21aを把持した状態で後退する(ステップS22)。上述した出庫時取り出し作業の後に、移動部43は、把持部40b2をシュート部46に移動させる(ステップS23)。具体的には、昇降部40b1は、把持部40b2が前進したときに把持部40b2によって把持されているリール21aがシュート部46の第一位置46aに到達するように、必要に応じて回転して鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降する。
【0060】
次に、把持部40b2は、前進してリール21aをシュート部46の第一位置46aに移動して、リール21aの把持を解除し後退する(ステップS24)。上述した出庫時送出作業によって、物品21であるリール21aは、シュート部46を滑走して第二開口部41bに到達する。第二開口部41bにおいて物品21が出庫可能になると、制御装置40aは、タッチパネルを用いて、物品21が出庫可能であることを案内し、第二前扉41b1の開動作を可能にする(ステップS25)。
【0061】
第二開口部41bにおいて物品21が出庫可能になり、第一前扉41a1の閉動作が終了する(ステップS13およびステップS25に示す処理が終了する)と、移動部43は、把持部40b2を作業スペース40cに移動させる(ステップS14)。具体的には、昇降部40b1は、把持部40b2が前進したときに把持部40b2が作業スペース40cに入庫したリール21aに到達するように、鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降させる。次に、把持部40b2は、前進してリール21aを把持して、リール21aを把持した状態で後退する(ステップS15)。
【0062】
上述した入庫時取り出し作業の後に、移動部43は、物品21を収納する収納部42に把持部40b2を移動させる(ステップS16)。具体的には、昇降部40b1は、把持部40b2が前進したときに把持部40b2が所定の収納場所(第一収納ユニット42t1または第二収納ユニット42t2の一対の仕切り部42b)に到達するように、必要に応じて回転して鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降する。次に、把持部40b2は、前進してリール21aを当該収納場所(一対の仕切り部42b)に挿入して、リール21aの把持を解除し後退する(ステップS17)。上述した入庫時収納作業によって、物品21であるリール21aは、収納部42に収納される。
【0063】
このように、本実施形態では、移動部43は、許可部44によって作業者による物品21の入庫作業が許可されたときに、第二開口部41bを介した当該物品21と異なる物品21の出庫作業を、第一開口部41aを介した作業者による入庫作業と並行して行わせる。よって、保管庫40は、例えば、第一開口部41aを介した作業者による入庫作業が終了してから、当該物品21と異なる物品21の出庫作業を行う場合と比べて、物品21の入庫作業および出庫作業に要する所要時間を短縮することができる。
【0064】
図4に示すように、本実施形態の保管庫40は、第一開口部41aを介して入庫する複数の物品21を一時的に収容可能な第一収容部47aを備えている。第一収容部47aは、複数の物品21を一時的に収容可能であれば良く、種々の形態をとり得る。
図7は、第一収容部47aの一例を示している。第一収容部47aは、収納部42と同様に、本体部47a1と、本体部47a1に対して所定の角度で上方に突出するように設けられリール21aを収容可能な仕切り部47a2とを備えている。
【0065】
本実施形態の仕切り部47a2は、複数対(
図7では、15対30個)設けられており、複数(15個)のリール21aを収容することができる。複数対(15対)の仕切り部47a2の各々は、移動装置40bと干渉しないように、2つの仕切り部47a2が離間して設けられている。なお、
図7では、図示の便宜上、一部の部材に符号番号が付されており、すべての部材に符号番号が付されていない。また、第一収容部47aの仕切り部47a2の傾斜角度θ1と、収納部42の仕切り部42bの傾斜角度θ1とが一致していると良い。これにより、保管庫40は、シュート部46の傾斜角度θ1と、収納部42の仕切り部42bの傾斜角度θ1とが一致している場合と同様の効果を得ることができる。
【0066】
保管庫40が第一収容部47aを備える形態では、移動部43は、第一開口部41aを介した複数の物品21の入庫作業中に収納部42に収納されている物品21の出庫が必要になったときに、第二開口部41bを介して出庫が必要になった物品21を出庫させることができる。具体的には、移動部43は、第一開口部41aを介して入庫する複数の物品21を一時的に第一収容部47aに収容させ、例えば、保管庫40のアイドリング時間などを使って第一収容部47aに収容されている物品21を収納部42に収納させることができる。
【0067】
また、第一開口部41aを介した複数の物品21の入庫作業中に収納部42に収納されている物品21の出庫が必要になると、移動部43は、第二開口部41bを介して出庫が必要になった物品21を出庫させる。このとき、移動部43は、既述した場合と同様にして、第一開口部41aを介した作業者による物品21の入庫作業と、第二開口部41bを介した物品21の出庫作業とを並行して行わせることができる。
【0068】
さらに、移動部43は、第一開口部41aを介した複数の物品21の入庫作業中に収納部42に収納されている物品21の出庫が必要になったときに、第一開口部41aを介した物品21の入庫作業に対して、出庫が必要になった物品21の出庫作業を優先して行わせることもできる。例えば、移動部43は、第一開口部41aを介して一つの物品21の入庫作業が行われる間に、第二開口部41bを介して複数の物品21の出庫作業を行わせることができる。また、移動部43は、収納部42に収納されている物品21の出庫が必要になったときに、物品21の入庫作業を中止して、第一開口部41aおよび第二開口部41bの両方、若しくは一方を使用して物品21の出庫作業を行わせることもできる。上述したいずれの場合においても、移動部43は、既述した移動装置40bを駆動制御して、物品21を移動させることができる。
【0069】
また、
図4に示すように、本実施形態の保管庫40は、第二開口部41bを介して出庫する複数の物品21を一時的に収容可能な第二収容部47bを備えている。第二収容部47bは、複数の物品21を一時的に収容可能であれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、第二収容部47bは、トレイを用いることができる。トレイは、第二開口部41bに移動された物品21を順に積載することができる。
【0070】
保管庫40が第二収容部47bを備える形態では、移動部43は、基板製品の生産計画に基づいて対基板作業機10が必要な複数の物品21を第二収容部47bに移動させ、第二開口部41bを介して第二収容部47bに収容されている複数の物品21を出庫させることができる。基板製品の生産計画は、例えば、管理装置19に記憶されている。管理装置19は、基板製品の生産計画に基づいて、保管庫40に対して出庫する物品21(対基板作業機10が必要な複数の物品21)を指示する。移動部43は、既述した移動装置40bを駆動制御して、指示された物品21を移動させる。これにより、保管庫40は、生産計画において必要な複数の物品21を纏めて出庫することができる。
【0071】
1-4.その他
上述した実施形態では、主に、物品21がリール21aの場合を例に説明されている。しかしながら、物品21は、例えば、既述したフィーダ21b、トレイ21c、はんだ容器21d、保持部材、保持部材収容装置などであっても良い。保管庫40は、物品21に適合する収納ユニットを備えることができ、物品21に適合する移動装置を備えることができる。また、保管庫40の移動装置は、物品21が収容されている収容ケース23を、収容ケース23ごと収納ユニットに収納することもできる。
【0072】
保管庫40は、第一開口部41aを介して物品21の出庫作業が行われているときに、第二開口部41bを介して当該物品21と異なる物品21を出庫することもできる。具体的には、第一開口部41aを介して出庫するリール21aを把持部40b2が作業スペース40cに搬出すると、作業スペース40cと移動装置40bとの間に設けられる後扉が閉鎖される。そして、制御装置40aは、第一前扉41a1の開動作を行い、作業者は、第一開口部41aを介したリール21aの出庫作業が可能になる。
【0073】
把持部40b2は、第一開口部41aを介して出庫するリール21aを作業スペース40cに搬出すると、第二開口部41bを介して出庫するリール21aを取得するために収納部42に移動する。そして、把持部40b2は、第二開口部41bを介して出庫するリール21aを収納部42から取得し、シュート部46の第一位置46aに搬出する。搬出されたリール21aは、シュート部46を滑走して第二開口部41bに到達する。
【0074】
このように、保管庫40は、第一開口部41aを介した作業者による物品21の出庫作業と、第二開口部41bを介した当該物品21と異なる物品21の出庫作業とを並行して行わせることもできる。この場合、許可部44は、第一開口部41aを介した作業者による物品21の出庫作業を許可する。移動部43は、許可部44によって作業者による物品21の出庫作業が許可されたときに、第二開口部41bを介した当該物品21と異なる物品21の出庫作業を、第一開口部41aを介した作業者による出庫作業と並行して行わせる。
【0075】
また、保管庫40は、第一開口部41aを介して物品21の入庫作業または出庫作業が行われているときに、第二開口部41bを介して当該物品21と異なる物品21を入庫することもできる。この場合、保管庫40は、シュート部46の代わりに、第二シュート部を備えることができる。第二シュート部は、第二開口部41bを介して入庫した物品21を所定位置に向かって滑走させる。所定位置は、第二シュート部を滑走した物品21を把持部40b2が把持可能な位置に設定することができる。なお、第二シュート部を滑走した物品21の位置決めが困難な場合、保管庫40は、当該物品21を所定位置に位置決めする位置決め装置を備えると良い。また、保管庫40は、第二シュート部の代わりに、第二開口部41bを介して入庫した物品21を所定位置に搬送する搬送装置を備えることもできる。
【0076】
さらに、第二開口部41bを介して物品21を入庫する場合、第二開口部41bに取得装置45を設ける必要がある。例えば、設置スペースの都合などによって第二開口部41bに取得装置45を設けることが困難な場合、識別コード22は、例えば、無線タグなどを用いると良い。無線タグと無線通信を行う無線リーダ(取得装置45)は、第二開口部41bから離間した位置に設けることもできる。
【0077】
2.実施形態の効果の一例
保管庫40によれば、第一開口部41aと第二開口部41bと移動部43とを備える。これにより、保管庫40は、第一開口部41aを介した物品21の入庫作業または出庫作業と、第二開口部41bを介した当該物品21と異なる物品21の入庫作業または出庫作業とを並行して行うことが可能であり、物品21の入庫作業または出庫作業の作業効率が向上する。
【符号の説明】
【0078】
10:対基板作業機、10c:部品装着機、21:物品、
21a:リール、22:識別コード、40:保管庫、
41a:第一開口部、41b:第二開口部、42:収納部、
42a:本体部、42b:仕切り部、43:移動部、44:許可部、
45:取得装置、46:シュート部、47a:第一収容部、
47b:第二収容部、90:基板、θ1:傾斜角度。