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特許7236578活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ、これを用いた印刷物、及び印刷物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ、これを用いた印刷物、及び印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/02 20140101AFI20230302BHJP
   B41M 1/30 20060101ALI20230302BHJP
   C09D 11/38 20140101ALI20230302BHJP
【FI】
C09D11/02
B41M1/30 D
C09D11/38
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022053200
(22)【出願日】2022-03-29
【審査請求日】2022-09-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310000244
【氏名又は名称】DICグラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(72)【発明者】
【氏名】山田 智和
(72)【発明者】
【氏名】井上 真司
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-210975(JP,A)
【文献】特開2019-099748(JP,A)
【文献】国際公開第2015/163184(WO,A1)
【文献】特開2015-174994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
B41M 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)α-アミノアルキルフェノン化合物、及びアシルフォスフィンオキサイド化合物である光重合開始剤(1)と、
(2)ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、及び/又はケトクマリン化合物である光重合開始剤(2)と、
(3)ヒドロキシアセトフェノン化合物、及び/又はベンジルジメチルケタール化合物である光重合開始剤(3)と、
(4)エチレン性二重結合を有する化合物
を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ。

但し、前記アシルフォスフィンオキサイド化合物が、一般式(1)で表される化合物である。
【化1】
一般式(1)中、
及びR 及びR がメチル基、R 及びY が水素、Y がエチル基、Y がフェニル基であるエチルフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィネートである。

又は、一般式(1)において、R 及びR 及びR がメチル基、R は水素原子、Y が炭素原子数2のポリアルコキシメチル基、Y が一般式(2)で表される構造部位で示され、R 及びR 及びR がメチル基でR 及びR が水素である。

又は、一般式(1)において、R 及びR 及びR がメチル基、R が水素原子、Y が一般式(2)で表される構造部位で示され、R ~R が水素原子、Y がエチル基、Y がフェニル基であるエチル(3-ベンゾイル-2,4,6-トリメチルベンゾイル)(フェニル)フォスフィネートである。

又は、一般式(1)において、R 、R 、R はメチル基、R 、Y は水素原子、Y はフェニル基であり、Y2は、一般式(3)で表される基であり、R 10 、R 11 、R 13 がメチル基、R 12 及びY 11 が水素原子、Y 33 がフェニル基、R 14 及びR 15 が炭素原子数2の(ポリ)オキシアルキレン基である。

【化2】

【化3】

一般式(3)中、Y 11 は、一般式(1)中のY と各々独立して同じ基を表し、
一般式(3)中のY 33 は、一般式(1)中のY と各々独立して同じ基を表し、
一般式(3)中のR 14 、R 15 は各々独立して炭素原子数1~6のアルキレン基又は炭素原子数1~6の(ポリ)オキシアルキレン基を表し、
一般式(1)、一般式(2)、及び一般式(3)中のR ~R 13 は、各々独立して水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表す。
【請求項2】
前記α-アミノアルキルフェノン化合物が、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-ピペリジニルフェニル)-1-ブタノン、1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、1-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-モルフォリン-4-イル-プロパン-1-オン、ポリエチレングリコール(200)ジ(β-4[4-(2-ジメチルアミノ-2-ベンジル)ブタノニルフェニル]ピペラジンプロピオネートである請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ。
【請求項3】
前記ベンゾフェノン化合物が、4,4’-ビス-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、4-メチルベンゾフェノンから成る群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ。
【請求項4】
前記エチレン性二重結合を有する化合物が、エチレン性二重結合を2つ以上有する化合物である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ。
【請求項5】
請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを被印刷物に印刷する工程と、活性エネルギー線で印刷された前記インキを硬化する工程とを有することを特徴とする印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、無電極メタルハライドランプなどに対してオゾンカットや赤外線フィルターなどを使用した光源を用いたオゾンが発生しない紫外線照射装置や、発光ダイオード、UV-LEDランプを用いた紫外線照射装置でも優れた硬化性、及び安定性を兼備することを特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキに関する。更には、該インキを用いた印刷物、及び印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線硬化型インキは、無溶剤型であり瞬間的に活性エネルギー線硬化乾燥することから、環境対応、印刷作業性に優れ、且つ高品質の印刷物が得られるとして、平版印刷(湿し水を使用する平版印刷や湿し水を使用しない水無し平版印刷)、凸版印刷、凹版印刷、孔版印刷や、これらの版に付けられたインキをブランケット等の中間転写体に転写した後被印刷体に印刷する転写(オフセット)方式を組み合わせた種々の印刷方式におけるインキとして使用されており、フォーム用印刷物、各種書籍印刷物、カルトン紙等の各種包装用印刷物、各種プラスチック印刷物、シール、ラベル用印刷物、美術印刷物、金属印刷物(美術印刷物、飲料缶印刷物、缶詰等の食品印刷物)などの種々の印刷物に適用されている。特に平版印刷にオフセット方式を組み合わせた活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキは、各種書籍印刷、美術印刷、シール・ラベル印刷、ビジネスフォーム印刷、玩具や紙器等の食品包装向けパッケージ印刷等の分野で広く使用されている。
活性エネルギー線硬化型インキは、従来から使用されている高圧水銀灯やメタルハライドランプといった光源に加えて、オゾンが発生しないオゾンレスメタルハライドランプを使用し230~420nmの紫外線を発生するような光源や、発光ピーク波長が350~420nmの範囲の紫外線を発生する発光ダイオードUV-LED等、様々な種類の光源が近年では使われており、各種光源の波長域に合わせた吸収波長の異なる光重合開始剤を複数組み合わせた発明がなされている(特許文献1~3)。
しかし、あらゆる光源に対して十分な硬化性を得つつ、インキ自体の経時安定性が兼備されているとは決して言えないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2009/008226号公報
【文献】特開2011-94117号公報
【文献】特開2012-214782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従来のメタルハライドランプや高圧水銀灯はもとより、オゾンが発生しないオゾンレスメタルハライドランプや、発光ダイオード、UV-LEDランプでも優れた硬化性、及び安定性を兼備することを特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセッ印刷インキを提供することにある。更には、該インキを用いた印刷物、及び印刷物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、3種類の特定の光重合開始剤と、エチレン性二重結合を有する化合物を併用する事で、優れた硬化性、及び安定性を兼備する活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、
(1)α-アミノアルキルフェノン化合物、及び/又はアシルフォスフィンオキサイド化合物である光重合開始剤(1)と、
(2)ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、及び/又はケトクマリン化合物である光重合開始剤(2)と、
(3)ヒドロキシアセトフェノン化合物、及び/又はベンジルジメチルケタール化合物である光重合開始剤(3)と、
(4)エチレン性二重結合を有する化合物
を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを提供する。
【0007】
また本発明は、前記α-アミノアルキルフェノン化合物が、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-ピペリジニルフェニル)-1-ブタノン、1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、1-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-モルフォリン-4-イル-プロパン-1-オン、ポリエチレングリコール(200)ジ(β-4[4-(2-ジメチルアミノ-2-ベンジル)ブタノニルフェニル]ピペラジンプロピオネートである活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを提供する。
【0008】
また本発明は、前記アシルフォスフィンオキサイド化合物が、一般式(1)で表される化合物である活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを提供する。
【0009】
【化1】
【0010】
一般式(1)中、
は、水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、または一般式(2)で表される構造部位を表し、
は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数1~6の(ポリ)アルコキシアルキル基(アルコキシアルキル基部分は炭素原子数2~12のアルコキシアルキル基)、フェニル基、又は一般式(3)で表される構造部位を表し、
は、フェニル基、又は一般式(2)で表される基を表し、
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】

【0013】
一般式(3)中、Y11は、一般式(1)中のYと各々独立して同じ基を表し、
一般式(3)中のY33は、一般式(1)中のYと各々独立して同じ基を表し、
一般式(3)中のR14、R15は各々独立して炭素原子数1~6のアルキレン基又は炭素原子数1~6の(ポリ)オキシアルキレン基を表し、
一般式(1)、一般式(2)、及び一般式(3)中のR~R13は、各々独立して水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表す。
【0014】
また本発明は、前記ベンゾフェノン化合物が、4,4’-ビス-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、4-メチルベンゾフェノンから成る群から選ばれる少なくとも1種である活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを提供する。
【0015】
また本発明は、前記エチレン性二重結合を有する化合物が、エチレン性二重結合を2つ以上有する化合物である活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを提供する。
【0016】
また本発明は、該活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを被印刷物に印刷する工程と、活性エネルギー線で印刷された前記インキを硬化する工程とを有することを特徴とする印刷物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、従来のメタルハライドランプや高圧水銀灯はもとより、オゾンが発生しないオゾンレスメタルハライドランプや、発光ダイオード、UV-LEDランプでも優れた硬化性、及び安定性を兼備することを特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセッ印刷インキを提供することが出来る。更には、該インキを用いた印刷物、及び印刷物の製造方法を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の、活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキは、
(1)α-アミノアルキルフェノン化合物、及び/又はアシルフォスフィンオキサイド化合物である光重合開始剤(1)と、
(2)ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、及び/又はケトクマリン化合物である光重合開始剤(2)と、
(3)ヒドロキシアセトフェノン化合物、及び/又はベンジルジメチルケタール化合物である光重合開始剤(3)と、
(4)エチレン性二重結合を有する化合物
を含有することで、目的とする本発明の効果を奏するものである。
【0019】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキで使用する光重合開始剤(1)としては、α-アミノアルキルフェノン化合物、及び/又はアシルフォスフィンオキサイド化合物を使用する。
【0020】
前記α-アミノアルキルフェノン化合物としては、2-(ジメチルアミノ)-2-メチル-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-3-フェニル-1-プロパノン、1-ブタノン,2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-2-(フェニルメチル)-,(2S)-、2-(ジメチルアミノ)-2-メチル-3-(4-メチルフェニル)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-プロパノン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ペンタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-エチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-[(4-ブチルフェニル)メチル]-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、1-ブタノン,2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-2-[(4-プロピルフェニル)メチル]-、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-2-フェニル-1-ブタノン、3-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-3-(フェニルメチル)-2-ペンタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-エチル-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-4-フェニル-1-ブタノン、3-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-3-フェニル-2-ブタノン、1-(4-メルカプトフェニル)-2-メチル-2-(4-モルフォリニル)-1-プロパノン、1-[4-(エチルチオ)フェニル]-2-メチル-2-(4-モルフォリニル)-1-プロパノン、ジメチル[4-[2-メチル-2-(4-モルフォリニル)-1-オキソプロピル]フェニル]サルフォニウム、2-メチル-1-[4-[(1-メチルエチル)チオ]フェニル]-2-(4-モルフォリニル)-1-プロパノン、エチルメチル[4-[2-メチル-2-(4-モルフォリニル)-1-オキソプロピル]フェニル]サルフォニウム、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-ピペリジニルフェニル)-1-ブタノン、1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、1-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-モルフォリン-4-イル-プロパン-1-オン、ポリエチレングリコール(200)ジ(β-4[4-(2-ジメチルアミノ-2-ベンジル)ブタノニルフェニル]ピペラジンプロピオネート等が挙げられる。
特に、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-ピペリジニルフェニル)-1-ブタノン、1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、1-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-モルフォリン-4-イル-プロパン-1-オン、ポリエチレングリコール(200)ジ(β-4[4-(2-ジメチルアミノ-2-ベンジル)ブタノニルフェニル]ピペラジンプロピオネートであることが好ましい。
【0021】
前記アシルフォスフィンオキサイド化合物は、一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0022】
【化4】
【0023】
一般式(1)中、
は、水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、又は一般式(2)で表される構造部位を表し、
は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数1~6の(ポリ)アルコキシアルキル基(アルコキシアルキル基部分は炭素原子数2~12のアルコキシアルキル基)、フェニル基、又は一般式(3)で表される構造部位を表し、
は、フェニル基、又は一般式(2)で表される基を表し、
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】
一般式(3)中、Y11は、一般式(1)中のYと各々独立して同じ基を表し、
一般式(3)中のY33は、一般式(1)中のYと各々独立して同じ基を表し、
一般式(3)中のR14、R15は各々独立して炭素原子数1~6のアルキレン基又は炭素原子数1~6の(ポリ)オキシアルキレン基を表し、
一般式(1)、一般式(2)、及び一般式(3)中のR~R13は、各々独立して水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表す。
【0027】
上記炭素原子数1~6のアルキル基は、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基等が挙げられる。
また、上記炭素原子数1~6のアルキレン基は、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基またはヘキシレン基等が挙げられる。
【0028】
特に一般式(1)において、R及びR及びRがメチル基、R及びYが水素、Yがエチル基、Yがフェニル基であるエチルフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィネートが好ましく、市販品としてはTPO-L(#CAS 84434-11-7、SARTOMER社製)を挙げる事ができる。
【0029】
また、一般式(1)において、R及びR及びRがメチル基、Rは水素原子、Yが炭素原子数2のポリアルコキシメチル基、Yが一般式(2)で表される構造部位で示され、R及びR及びRがメチル基でR及びRが水素である事が好ましく、市販品としてはOmnirad 820(IGM Resins B.V.社製)を挙げる事ができる。
【0030】
また、一般式(1)において、R及びR及びRがメチル基、Rが水素原子、Yが一般式(2)で表される構造部位で示され、R~Rが水素原子、Yがエチル基、Yがフェニル基であるエチル(3-ベンゾイル-2,4,6-トリメチルベンゾイル)(フェニル)フォスフィネートが好ましく、市販品としてはSpeedCure XKm(#CAS 1539267-56-5、SARTOMER社製)を挙げる事ができる。
【0031】
また、一般式(1)において、R、R、Rはメチル基、R、Yは水素原子、Yはフェニル基であり、Y2は、一般式(3)で表される基であり、R10、R11、R13がメチル基、R12及びY11が水素原子、Y33がフェニル基、R14及びR15が炭素原子数2の(ポリ)オキシアルキレン基である事が好ましく、市販品としてOmnipol TP(#CAS 1834525-17-5、IGM Resins B.V.社製)を挙げる事ができる。
これらアシルフォスフィンオキサイド化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキで使用する光重合開始剤(2)としては、ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、及び/又はケトクマリン化合物を使用する。
【0033】
前記ベンゾフェノン化合物としては、4,4’-ビス-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の4,4 ’-ジアルキルアミノベンゾフェノン類、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、4-メチルベンゾフェノン等が挙げられる。これらの中では、安全性面から、4,4’-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。これらベンゾフェノン化合物は、単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
前記チオキサントン化合物としては、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-ジイソプロピルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ-9Hチオキサントン-2-イロキシ-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミン塩酸塩などが挙げられ、好ましくは、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン 、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントンが挙げられる。これらチオキサントン化合物は、単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
前記ケトクマリン化合物としては、3-ベンゾイルクマリン、3-(4-メトキシベンゾイル)クマリン、3-ベンゾイル-7-メトキシクマリン、3-(4-メトキシベンゾイル)7-メトキシ-3-クマリン、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンゾイル-7-ジメチルアミノクマリン、3,3’-クマリノケトン、3,3’-ビス(7-ジエチルアミノクマリノ)ケトン等を挙げることができる。これらケトクマリン化合物は、単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキで使用する光重合開始剤(3)としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物等が挙げられる。
【0037】
前記ヒドロキシアセトフェノン化合物としては、例えば、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等が挙げられる。これらヒドロキシアセトフェノン化合物は、単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
また、光重合開始剤(3)としてベンジルジメチルケタール化合物を用いてもよい。当該ベンジルジメチルケタール化合物としては、例えば、2,2-ジメトキシー2-フェニルアセトフェノン(Omnirad651、IGM Resins B.V.社製)が挙げられる。
【0039】
前記α-アミノアルキルフェノン化合物による光重合開始剤の含有量としては、各々のインキ全量の2~10質量%の範囲が好ましい。2質量%以上であれば硬化性を得ることができ、また、10質量%以上であれば、開始剤の析出や硬化物の臭気が顕著になってしまう。また、前記アシルフォスフィンオキサイド化合物による光重合開始剤の含有量としては、各々インキ全量の4~12質量%の範囲が好ましい。4質量%以上であれば硬化性を得ることができ、また、12質量%以上であればアクリレートモノマーに対して飽和溶解し、流動性を損ねてしまう。
前記ベンゾフェノン化合物、前記チオキサントン化合物、ケトクマリン化合物による光重合開始剤の含有量としては、各々インキ全量の2~8質量%の範囲が好ましい。2質量%以上であれば硬化性を得ることができ、また、8質量%以上であればアクリレートモノマーに対して飽和溶解し、流動性を損ねてしまう。
前記ヒドロキシアセトフェノン化合物や前記ベンジルジメチルケタール化合物の光重合開始剤の含有量としては、各々インキ全量の2~8質量%の範囲が好ましい。2質量%以上であれば硬化性を得ることができ、また、8質量%以上であればアクリレートモノマーに対して飽和溶解し、流動性を損ねてしまう。
また、各種化合物の併用に伴う優れた硬化性、優れた流動性を兼備する観点から両者の添加量はこの範囲が好ましい。
【0040】
更に本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキでは、(4)エチレン性二重結合を有する化合物を含有する事を必須とする。
【0041】
前記エチレン性二重結合を有する化合物としては、例えば(メタ)アクリル基含有化合物および添加剤が挙げられる。
(メタ)アクリル基含有化合物である単官能モノマーとしては、例えば、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0042】
2官能以上のモノマーとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート、グリセリン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンポリオールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】
更に、(メタ)アクリル基含有化合物は、重合性オリゴマーでもよい。重合性オリゴマーとしては、アミン変性ポリエーテルアクリレート、アミン変性エポキシアクリレート、アミン変性脂肪族アクリレート、アミン変性ポリエステルアクリレート、アミノ(メタ)アクリレートなどのアミン変性アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオレフィン(メタ)アクリレート、ポリスチレン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
エチレン性二重結合を有する化合物の総量は、インキ組成物全量の10~60質量%の範囲が好ましく、より好ましくは10~40質量%であり、10~25質量%の範囲であれば更に好ましい。 また、各種化合物の併用に伴う優れた硬化性、優れた流動性を兼備する観点から両者の添加量はこの範囲が好ましい。
【0045】
更に本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキでは体質顔料を使用してもよい。前記体質顔料として無機微粒子を用いる事ができる。無機微粒子としては、酸化チタン、グラファイト、亜鉛華等の無機着色顔料;炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、石膏、クレイ(ChinaClay)、シリカ、珪藻土、タルク、カオリン、アルミナホワイト、硫酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、バライト粉、砥の粉等の無機体質顔料; 等の無機顔料や、シリコーン、ガラスビーズなどがあげられる。これら無機微粒子は、インキの流動性調整、ミスチング防止、紙等の印刷基材への浸透防止といった効果に加え、冬季等の低温条件下の印刷時や高速印刷時に発生する紙剥けのトラブルを抑制する効果を付加する事が出来る。
特に基材が紙材である場合これらの中でも、「紙剥け」を抑制できる観点からタルク、炭酸マグネシウム、シリカが好ましく、組成物の流動性を保持できる点で特にタルク、炭酸マグネシウムが好ましい。
【0046】
前記タルク、炭酸マグネシウム、シリカは単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。前記タルクを使用する場合、その含有量はインキ全量の1~6質量%の範囲が好ましく、炭酸マグネシウムを使用する場合、その含有量はインキ全量の1~10質量%の範囲が好ましく、シリカを使用する場合、その含有量はインキ全量の0.1~5質量%である事が好ましい。
【0047】
また、本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキは、該インキの硬化塗膜の硬化性を向上できることから、必要に応じて、さらに光増感剤を添加して、硬化性を向上することもできる。
【0048】
前記光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン化合物、o-トリルチオ尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s-ベンジルイソチウロニウム-p-トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。これら光増感剤の使用量は、硬化性向上の効果が良好なものとなる点から本発明の活性エネルギー線硬化型インキ全量の1~20質量%の範囲であることが好ましい。
【0049】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキは必要に応じ更に、酸化防止剤、重合禁止剤、シリコン系添加剤、ワックス、顔料、染料等を含有しても良い。
【0050】
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0051】
前記シリコン系添加剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体等のアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。これらのシリコン系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0052】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキでは、硬化性を向上させる目的でワックスを添加することができる。前記ワックスとしては、パラフィンワックス、カルナバワックス、みつろう、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、アマイドワックスなどのワックス、ヤシ油脂肪酸や大豆油脂肪酸などの原子炭素数8~18程度の範囲にある脂肪酸等を挙げることができる。
【0053】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキでは、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
【0054】
前記無機顔料としては、例えば、酸化鉄や、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラック等がある。
例えば、ラーベン14、ラーベン450、ラーベン860Ultra、ラーベン1035、ラーベン1040、ラーベン1060Ultra、ラーベン1080Ultra、ラーベン1180、ラーベン1255(以上、ビルラ社製)、リーガル250R、リーガル400R、リーガル330R、リーガル660R、モーグルL(以上、キャボット社製)、MA7、MA8、MA11(以上、三菱化学社製)等を挙げることができ、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0055】
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0056】
イエローインキに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、174、180、185等が挙げられる。
【0057】
また、マゼンタインキに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、146、168、176、184、185、202、209、269等、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0058】
また、シアンインキに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:3、15:4、16、22、60、63、66等が挙げられる。
【0059】
更に染料としては、例えば、モノアゾ・ジスアゾ等のアゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノイミン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン染料、フタロシアニン染料、トリアリルメタン系染料等が挙げられる。これらの染料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0060】
(樹脂)
樹脂としては、公知公用の各種バインダー樹脂を利用することができる。ここで述べるバインダー樹脂とは、適切な顔料親和性と分散性を有し、印刷インキに要求されるレオロジー特性を有する樹脂全般を示しており、例えば非反応性樹脂としては、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、石油樹脂、ロジンエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、セルロース誘導体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアマイド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブタジエン-アクリルニトリル共重合体等を挙げることができ、また分子中に少なくとも1つ以上の重合性基を有するエポキシアクリレート化合物、ウレタンアクリレート化合物、ポリエステルアクリレート化合物等を使用することもでき、これらバインダー樹脂は、単独で使用しても、いずれか1種以上を組合せて使用してもよい。
【0061】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキは、基材に印刷後、活性エネルギー線を照射することで硬化塗膜とすることができる。
【0062】
前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射しても良い。
【0063】
前記紫外線の発生源としては、実用性、及び経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、複写用高圧水銀灯、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、無電極ランプ、カーボンアーク、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、紫外線発光ダイオード(UV-LED)等が挙げられる。
【0064】
特に本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキでは、前記光重合開始剤(1)~(3)及び(4)エチレン性二重結合を有する化合物を適宜併用する事で、従来のメタルハライドランプや高圧水銀灯はもとより、オゾンが発生しないオゾンレスメタルハライドランプや、発光ダイオード、UV-LEDランプでも優れた硬化性、優れた表面硬化性、内部硬化性及び密着性を保持することができる。
【0065】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキで使用する印刷基材としては特に限定は無く、例えばカタログ、ポスター、チラシ、CDジャケット、ダイレクトメール、パンフレット、化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、機器等のパッケージ等の印刷に用いられる上質紙、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙、厚紙等の紙、各種合成紙等に使用できる他、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、ナイロン、ポリ乳酸、ポリカーボネート等のフィルム又はシート、セロファン、アルミニウムフォイル、その他従来から印刷基材として使用されている各種基材に対し使用する事ができる。
また、金属基材、ガラス基材、紙基材、木材基材、繊維質基材等のその他の基材に用いてもよい。
【0066】
本発明で述べる活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキの製造は、従来の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキと同様に、前記エチレン性二重結合を有する化合物、光重合開始剤、その他添加剤等を配合してミキサー等で撹拌混合し、三本ロールミル、ビーズミル等の分散機を用いて練肉することで製造される。
【実施例
【0067】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
【0068】
[DAP-Aワニスの製法]
ジアリルフタレート樹脂(ダイソーダップA、株式会社大阪ソーダ製)固形分33.33質量%とMIRAMER M600 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(MIWON社製)66.67質量%を90℃で充分溶解、攪拌させDAPワニスを作製した。
【0069】
[活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキの製造方法]
表1~表3に記載の配合に従って、実施例1~6及び比較例1~7の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを3本ロールミルにて練肉することによって、活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを得た。尚、表中の空欄は、未配合を意味し、表中の数値は質量%である。
【0070】
作製した前記活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキについて、各々硬化性、安定性について評価した。
【0071】
(評価項目1:硬化性)
王子製紙製OKトップコート+上(坪量57.5kg)に実施例及び比較例のインキ0.13mLについて、簡易展色機(RIテスター、豊栄精工株式会社製)を使用して展色した。この展色物を水冷式UV-LED(中心発光波長385nm±5nmUV-LEDの出力100%)及びベルトコンベアを搭載したUV照射装置(アイグラフィックス株式会社製)を使用し、印刷物をコンベア上に載せ、コンベアスピード100m/分の速度で、LED直下(照射距離9cm)を通過させ、前記の方法で得られた平版オフセット印刷用活性エネルギー線硬化型インキ塗布後の展色物に紫外線(UV)照射しインキ皮膜を硬化乾燥させた。
作製した印刷物ベタ部表面を、紫外線照射直後に爪スクラッチ法にて傷付きの程度を確認し次の3段階にて目視評価した。爪で擦ってインキ硬化皮膜に傷が発生する組成では、印刷物の断裁や製函、輸送といった各工程において、印刷物が損傷し易くなる。
(評価基準)
○:爪スクラッチで傷がまったく発生しないか、微妙な傷が僅かにみられる程度で、硬化性は良好である。
△:爪スクラッチで傷が見られる。
×:爪スクラッチで傷が容易に発生し、硬化性が不十分である。
【0072】
(評価項目2:安定性)
実施例1~6、比較例1~7の各々藍インキを内容量50mLの金属缶に40g入れ、蓋をした後、60℃のオーブンに1か月保管し、1か月後、各インキをテトラヒドロフランに溶解させ金網で濾過し、濾過後金網上に不溶のゲル物が存在するかを目視で確認した。
〇:金網上にゲル物は確認されない。
×:金網上にゲル物が確認された。
【0073】
表1~3に各活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキの各配合、並びに評価結果を示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
表中に記載の原料は、下記の通りである。
FASTOGEN BLUE FA5375: ピグメントブルー15:3(DIC株式会社製)
ネオライト SA300: 炭酸カルシウム(竹原化学工業株式会社製)
ハイフィラー5000PJ: タルク(松村産業株式会社製)
S-381-N1: ポリエチレンワックス(シャムロック社製)
DAP-Aワニス: ジアリルフタレート樹脂ダイソーダップA、株式会社大阪ソーダ製
33.33質量%とMIRAMER M600(MIWON社製)66.67質量%の混合物
Miramer M600: ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(Miwon社製)
SR355NS: ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(アルケマサートマー製)
Miramer M3130: EO3molトリメチロールプロパントリアクリレート(Miwon社製)
Omnirad 379: 2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンゾイル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン(IGM Resins B.V.社製)
Omnipol 907: 2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(IGM Resins B.V.社製)
Omnirad TPOーL: エチルフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィネート (IGM Resins B.V.社製)
SpeedCure XKm: エチル(3-ベンゾイルー2,4,6-トリメチルベンゾイル)(フェニル)フォスフィスネート(#CAS 1539267-56-5,SARTOMER社製)
Omnirad EMK: 4,4’-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(IGM Resins B.V.社製)
Omnirad DETX: 2,4-ジエチル-9H-チオキサンテン-9-オン (IGM Resins B.V.社製)
Omnirad 184: 1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM Resins B.V.社製)
Omnirad 651: 2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(IGM Resins B.V.社製)
Irgacure OXE01:オキシムエステル系光重合剤 1,2-オクタネディオン,1-〔4-(フェニトリオ〕フェニル〕-2,(o-ベンゾイルオキシム)
サンセラーTT-CU: ジメチルジチオカルバミン酸銅(三新化学工業株式会社製)
アデカスタブ7RD: 4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルフリーラジカル(TMPOL)(株式会社ADEKA製)
メトキノン: p-メトキシフェノール(精工化学株式会社製)
【0078】
この結果、本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキは、優れた硬化性、及び安定性を兼備することは明らかである。
【要約】
【課題】本発明の課題は、従来のメタルハライドランプや高圧水銀灯はもとより、オゾンが発生しないオゾンレスメタルハライドランプや発光ダイオード、UV-LEDランプでも優れた硬化性、及び安定性を兼備する活性エネルギー線硬化型オフセットインキを提供する。
【解決手段】(1)α-アミノアルキルフェノン化合物、及び/又はアシルフォスフィンオキサイド化合物である光重合開始剤(1)と、
(2)ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、及び/又はケトクマリン化合物である光重合開始剤(2)と、
(3)ヒドロキシアセトフェノン化合物、及び/又はベンジルジメチルケタール化合物である光重合開始剤(3)と、
(4)エチレン性二重結合を有する化合物を含有する事を特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ。
【選択図】 なし