(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】バルブ装置及びガス消費ユニット
(51)【国際特許分類】
F17C 13/04 20060101AFI20230303BHJP
F17C 11/00 20060101ALI20230303BHJP
F16K 51/00 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
F17C13/04 301D
F17C11/00 C
F16K51/00 B
(21)【出願番号】P 2019094181
(22)【出願日】2019-05-18
【審査請求日】2022-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591038602
【氏名又は名称】株式会社ネリキ
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】松本 和人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勇人
(72)【発明者】
【氏名】竹田 勝
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和幸
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-304499(JP,A)
【文献】国際公開第2017/191768(WO,A1)
【文献】実開昭57-165218(JP,U)
【文献】実開昭60-059945(JP,U)
【文献】特開平06-063329(JP,A)
【文献】実開平07-044971(JP,U)
【文献】特開2016-011739(JP,A)
【文献】特開2006-161956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/04
F17C 11/00
F16K 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が通過する流路と、該流路の中間部分において開閉を切り替える開閉弁と、バルブ装置本体を所定箇所に取付ける取付部とが設けられたバルブ装置であって、
前記取付部
に設けたフィルタ空間における装着部に、フィルタが設けられ、
前記フィルタは、前記
装着部の内径よりひとまわり小径で形成され、
前記フィルタの開口側において外径側の隙間を塞ぐリング状の閉塞リングが設けられ
、
前記閉塞リングは、フィルタ空間を構成する取付部の内面に設けた嵌合溝に嵌合する
バルブ装置。
【請求項2】
前記軸方向に所定間隔を隔てて濾過精度の異なる複数の前記フィルタが設けられるとともに、
複数の前記フィルタ同士の間にリング状の弾性リングが設けられた
請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
流体が通過する流路と、該流路の中間部分において開閉を切り替える開閉弁と、バルブ装置本体を所定箇所に取付ける取付部と、前記開閉弁が開閉方向に進退自在に配置される弁室とが設けられたバルブ装置であって、
前記取付部
に設けたフィルタ空間における装着部に、フィルタが設けられ、
前記フィルタは、前記装着部の内径よりひとまわり小径で形成され、
前記フィルタの開口側において外径側の隙間を塞ぐリング状の閉塞リングが設けられ、
前記閉塞リングは、フィルタ空間を構成する取付部の内面に設けた嵌合溝に嵌合し、
前記軸方向に所定間隔を隔てて濾過精度の異なる複数の前記フィルタが設けられた
バルブ装置。
【請求項4】
複数の前記フィルタ同士の間にリング状の弾性リングが設けられた
請求項3に記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記フィルタは、前記取付部の内径よりひとまわり小径で形成され、
前記フィルタの開口側において外径側の隙間を塞ぐリング状の閉塞リングが設けられた
請求項3又は4に記載のバルブ装置。
【請求項6】
前記導通口に、減圧機構が設けられた
請求項1乃至5のうちいずれかに記載のバルブ装置。
【請求項7】
前記取付部が前記流体を貯蔵する貯蔵容器に取付けられる構成であり、
該取付部から前記軸方向に延びる第1流路と、
前記導通口から前記軸方向に延びる第2流路と、
前記開閉弁が開閉方向に進退自在に配置される弁室とが設けられ、
前記流路が前記第1流路と前記第2流路とで構成され、
前記弁室が前記軸方向に交差する交差方向に前記第1流路と前記第2流路とを連通するとともに、前記開閉弁が前記弁室において前記交差方向に進退して開閉する
請求項1乃至6のうちいずれかに記載のバルブ装置。
【請求項8】
所定圧力より大きな過剰圧力の前記流体を開放する安全弁と、
前記流路の一方の導通口を有する筒状の装置本体を囲繞するとともに、外部と内部とを連通する放出口を有する囲繞部が設けられ、
前記安全弁は、前記囲繞部の内部において、前記装置本体の軸方向に沿って進退するように前記装置本体に外嵌するリング状に構成され、
前記所定圧力以下の付勢力で前記安全弁を閉弁方向に向かって付勢する付勢手段と、
前記軸方向に所定間隔を隔てて、前記装置本体と前記安全弁との間を封止する2つの封止部と、
前記装置本体と前記安全弁との間における2つの前記封止部の間と、前記流路とを連通する分岐流路とが設けられ、
2つの前記封止部のうち閉弁側の前記封止部の有効面積が、開弁側の前記封止部の有効面積より広い
請求項7に記載のバルブ装置。
【請求項9】
前記分岐流路が前記第1流路と連通する
請求項8に記載のバルブ装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のうちいずれかに記載のバルブ装置と、
前記バルブ装置における前記取付部が取付けられ、前記流体としてガスが貯蔵された貯蔵容器と、
前記導通口に接続され、前記ガスを燃焼するガス燃焼部とが設けられた
ガス消費ユニット。
【請求項11】
前記ガスは、水素ガスであり、
前記貯蔵容器は、前記水素ガスを水素吸蔵合金に吸蔵させて貯蔵した
請求項10に記載のガス消費ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、流体の導通を規制できるバルブ装置及びガス消費ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ガスなどの流体を導通させるとともに、開放状態と封止状態と切り替える開閉弁を備えたバルブ装置として、ガス貯蔵容器に取付けられる容器バルブ装置(特許文献1参照)や、配管に接続される配管バルブ装置(特許文献2参照)などがある。
【0003】
このようなバルブ装置は、開閉弁を開閉操作して流体の導通を切り替えるものの、流体とともに異物が導通すると、消費する流体に異物が混入したり、バルブ装置内部で異物が噛み混んで、閉止性が低減するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-223396号公報
【文献】特開2011-177843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、バルブ装置内部への異物の侵入を防止するバルブ装置及びガス消費ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、流体が通過する流路と、該流路の中間部分において開閉を切り替える開閉弁と、バルブ装置本体を所定箇所に取付ける取付部とが設けられたバルブ装置であって、前記取付部に設けたフィルタ空間における装着部に、フィルタが設けられ、前記フィルタは、前記装着部の内径よりひとまわり小径で形成され、前記フィルタの開口側において外径側の隙間を塞ぐリング状の閉塞リングが設けられ、前記閉塞リングは、フィルタ空間を構成する取付部の内面に設けた嵌合溝に嵌合することを特徴とする。
【0007】
上記流体は、気体、液体、あるいはゲル体とすることができる。
上記バルブ装置は、ガス貯蔵容器に取付けて使用するいわゆる容器バルブ装置、あるいは、配管に接続して使用するいわゆる配管バルブ装置などとすることができる。
なお、取付部が導通方向の上流側と下流側の両側に設けられる配管バルブ装置の場合、少なくとも上流側の取付部に設ければよい。
【0008】
この発明により、バルブ装置内部への異物の侵入を防止できる。さらには、フィルタが目詰まりしても容易に取り外して、清掃したり交換したりすることができ、バルブ装置内部への異物の侵入を防止できる。したがって、消費する流体に異物が混入したり、バルブ装置内部で異物が噛み混んで、閉止性が低減することを防止できる。
【0009】
詳述すると、前記取付部にフィルタが設けられることで、装置内部への異物の侵入を防止することができる。
また、前記フィルタは、前記取付部の内径よりひとまわり小径で形成され、前記フィルタの開口側において外径側の隙間を塞ぐリング状の閉塞リングが設けられているため、前記取付部の内径よりひとまわり小径で形成された前記フィルタと前記取付部の内径との間からの異物の侵入を防止しながら、前記取付部にしっかりと前記フィルタを取付けることができる。
【0010】
さらにまた、前記フィルタを前記取付部の内径よりひとまわり小径で形成しているため、前記フィルタを前記取付部に固定する前記閉塞リングを取外すことで、前記取付部からフィルタを容易に取外して、目詰まりしたフィルタを清掃したり交換したりすることができ、バルブ装置内部への異物の侵入を防止できる。
【0011】
この発明の態様として、前記軸方向に所定間隔を隔てて濾過精度の異なる複数の前記フィルタが設けられるとともに、複数の前記フィルタ同士の間にリング状の弾性リングが設けられてもよい。
濾過精度が異なるとは、フィルタの透過する異物の粒径が異なることを指す。
【0012】
この発明により、濾過精度の高いフィルタ単体を使用する場合と比較し、フィルタ毎の負荷を軽減し目詰まりをし難くするとともに、供給側からのバルブ装置内部への異物の侵入を確実に防止することができる。
詳述すると、前記軸方向に所定間隔を隔てて設けられた濾過精度の異なる複数の前記フィルタのうち最初のフィルタを異物が透過しても、次のフィルタによってバルブ装置内部への異物の侵入をより防止することができる。
【0013】
また、軸方向に所定間隔を隔てて配置された複数の前記フィルタ同士の間に設けられたリング状の弾性リングがフィルタ同士の間に空間を形成するため、フィルタを通過した異物は、次のフィルタで濾過されることなく、フィルタ同士の間の空間にとどまることもあり、バルブ装置内部への異物の侵入を確実に防止することができる。
【0014】
またこの発明は、流体が通過する流路と、該流路の中間部分において開閉を切り替える開閉弁と、バルブ装置本体を所定箇所に取付ける取付部と、前記開閉弁が開閉方向に進退自在に配置される弁室とが設けられたバルブ装置であって、前記取付部に設けたフィルタ空間における装着部に、フィルタが設けられ、前記フィルタは、前記装着部の内径よりひとまわり小径で形成され、前記フィルタの開口側において外径側の隙間を塞ぐリング状の閉塞リングが設けられ、前記閉塞リングは、フィルタ空間を構成する取付部の内面に設けた嵌合溝に嵌合し、前記軸方向に所定間隔を隔てて濾過精度の異なる複数の前記フィルタが設けられたことを特徴とする。
【0015】
この発明により、バルブ装置内部への異物の侵入を確実に防止することができる。また、濾過精度の高いフィルタ単体を使用する場合と比較し、フィルタ毎の負荷を軽減し目詰まりをし難くすることができる。
【0016】
詳述すると、前記軸方向に所定間隔を隔てて設けられた濾過精度の異なる複数の前記フィルタのうち最初のフィルタを異物が透過しても、次のフィルタによってバルブ装置内部への異物の侵入をより防止することができる。したがって、濾過精度の高いフィルタ単体を使用する場合と比較し、フィルタ毎の負荷を軽減し目詰まりをし難くするとともに、供給側からのバルブ装置内部への異物の侵入を確実に防止することができる。
【0017】
この発明の態様として、複数の前記フィルタ同士の間にリング状の弾性リングが設けられてもよい。
この発明により、軸方向に所定間隔を隔てて配置された複数の前記フィルタ同士の間に設けられたリング状の弾性リングがフィルタ同士の間に空間を形成するため、フィルタを通過した異物は、次のフィルタで濾過されることなく、フィルタ同士の間の空間にとどまることもあり、バルブ装置内部への異物の侵入を確実に防止することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記フィルタは、前記取付部の内径よりひとまわり小径で形成され、前記フィルタの開口側において外径側の隙間を塞ぐリング状の閉塞リングが設けられてもよい。
この発明により、バルブ装置内部への異物の侵入を防止できるとともに、フィルタを容易に取り外して、清掃したり交換したりすることができる。
【0019】
詳述すると、前記フィルタが前記取付部の内径よりひとまわり小径で形成されているため、取付部から容易に取り外して、清掃したり交換したりすることができる。しかし、前記フィルタと前記取付部との隙間から異物が侵入するおそれがあるが、前記フィルタの開口側において外径側の隙間を塞ぐ閉塞リングが設けられているため、前記フィルタと前記取付部との隙間からの異物の侵入を防止することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記導通口に、減圧機構が設けられてもよい。
この発明により、減圧機能を有するバルブ装置を構成し、流体を減圧して使用することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記取付部は前記流体を貯蔵する貯蔵容器に取付けられる構成であり、該取付部から前記軸方向に延びる第1流路と、前記導通口から前記軸方向に延びる第2流路と、前記開閉弁が開閉方向に進退自在に配置される弁室とが設けられ、前記流路が前記第1流路と前記第2流路とで構成され、前記弁室が前記軸方向に交差する交差方向に前記第1流路と前記第2流路とを連通するとともに、前記開閉弁が前記弁室において前記交差方向に進退して開閉してもよい。
【0022】
この発明により、開閉弁を軸方向と交差する交差方向に進退させて、開閉切り替えできるため、軸方向に沿って開閉弁を進退させて開閉切り替えるバルブ装置に比べて、コンパクトに構成することができる。
【0023】
また、この発明の態様として、所定圧力より大きな過剰圧力の前記流体を開放する安全弁と、前記流路の一方の導通口を有する筒状の装置本体を囲繞するとともに、外部と内部とを連通する放出口を有する囲繞部が設けられ、前記安全弁は、前記囲繞部の内部において、前記装置本体の軸方向に沿って進退するように前記装置本体に外嵌するリング状に構成され、前記所定圧力以下の付勢力で前記安全弁を閉弁方向に向かって付勢する付勢手段と、前記軸方向に所定間隔を隔てて、前記装置本体と前記安全弁との間を封止する2つの封止部と、前記装置本体と前記安全弁との間における2つの前記封止部の間と、前記流路とを連通する分岐流路とが設けられ、2つの前記封止部のうち閉弁側の前記封止部の有効面積が、開弁側の前記封止部の有効面積より広くてもよい。
【0024】
この発明により、貯蔵容器に取付けて流体の導通を規制できるとともに、所定圧力より大きな過剰圧力を開放する安全弁を備えていてもコンパクトに構成することができる。
詳述すると、前記安全弁を前記装置本体の軸方向に沿って進退するように前記装置本体に外嵌するリング状に構成し、前記流路の一方の導通口を有する筒状の装置本体を囲繞するとともに、外部と内部とを連通する放出口を有する囲繞部の内部に設けられた安全弁を付勢手段が所定圧力以下の付勢力で閉弁方向に向かって付勢し、前記軸方向に所定間隔を隔てて、前記装置本体と前記安全弁との間を封止する2つの封止部と、前記装置本体と前記安全弁との間における2つの前記封止部の間と、前記流路とを連通する分岐流路とが設けられ、2つの前記封止部のうち閉弁側の前記封止部の有効面積が、開弁側の前記封止部の有効面積より広いため、前記分岐流路から作用し、その有効面積の差分に応じた差圧力が前記付勢手段の付勢力を越える大きな圧力であると、付勢手段の付勢力に抗して安全弁が開弁方向に移動して開弁し、所定圧力以上の過剰圧力を開放することができる。
【0025】
このようにして、所定圧力以上の過剰圧力を開放できる安全弁を、前記軸方向に沿って進退するように前記装置本体に外嵌するリング状に構成しているため、バルブ装置をコンパクトに構成することができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記分岐流路が前記第1流路と連通してもよい。
この発明により、閉弁状態であっても、貯蔵容器側の過剰圧力を精度良く且つセンシティブに開放することができる。
【0027】
なお、減圧機構は、ユニット化された減圧機構であって、バルブ装置に対して脱着可能に装着されてもよい。このように、ユニット化された減圧機構が脱着可能に導通口に装着されると、流体の使用時には流体を減圧して使用でき、貯蔵容器への流体の充填時には、減圧機構を取り外して導通口より直接充填することで、減圧機構が導通方向規制弁として機能して充填しがたくなるという状況になることを防止できる。
【0028】
またこの発明は、上述のバルブ装置と、前記バルブ装置における取付部が取付けられ、前記流体としてガスが貯蔵された貯蔵容器と、前記導通口に接続され、前記ガスを燃焼するガス燃焼部とが設けられたガス消費ユニットであることを特徴とする。
この発明により、貯蔵容器に貯蔵されたガスの導出量を調整しながら、或いは予め設定された導出量により、ガス燃焼部で燃焼させることができるとともに、過剰圧力が作用した場合、開放することができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記ガスが水素ガスであり、前記貯蔵容器は、前記水素ガスを水素吸蔵合金に吸蔵させて貯蔵してもよい。
この発明により、安全に水素ガスを燃焼させることができる。
【0030】
詳述すると、気体状、あるいは液体状の水素をそのまま貯蔵容器にそのまま貯蔵する場合に比べ、水素吸蔵合金に吸蔵させて貯蔵する場合の圧力は低いため、安全に水素ガスを燃焼させることができる。
【0031】
なお、水素吸蔵合金に吸蔵させて貯蔵された水素ガスを使用すると、水素ガスの吸放出を繰り返すことによって水素吸蔵合金は粉体化するため、上述のフィルタを取付部に設けることで、粉体化した水素吸蔵合金がバルブ装置内に侵入することを防止できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、バルブ装置内部への異物の侵入を防止するバルブ装置及びガス消費ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】バルブ装置を本体機構と減圧機構とを分解した状態の断面図。
【
図6】バルブ装置が取り付けられた水素燃焼ユニットの概略断面図。
【
図7】水素燃焼ユニットにおけるバルブ装置の作動状態を示す概略断面図。
【
図8】水素燃焼ユニットにおけるバルブ装置の作動状態を示す概略断面図。
【
図9】水素燃焼ユニットにおけるバルブ装置の作動状態を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
この発明の一実施形態であるバルブ装置1及びガス消費ユニットの一形態である水素燃焼ユニットXについて、
図1乃至
図9とともに説明する。
なお、
図1はバルブ装置1の断面図を示し、
図2はバルブ装置1を本体機構2と減圧機構3とを分解した状態の断面図を示し、
図3は本体機構2の概略斜視図による説明図を示し、
図4は取付部11の斜視図を示し、
図5は取付部11の分解斜視図を示し、
図6はバルブ装置1が取り付けられた水素燃焼ユニットXの概略断面図を示し、
図7乃至
図9は水素燃焼ユニットXにおけるバルブ装置1の作動状態を示す概略断面図を示している。なお、
図7乃至
図9は水素燃焼ユニットXの一部を拡大して図示している。
【0035】
詳述すると、
図3(a)はリリーフ体41をボディ10から分離した状態の分解斜視図を示し、
図3(b)はリリーフ体41を組付けた状態の斜視図を示している。なお、
図3において本体機構2の構成、特にリリーフ体41の構成を明確にするため、周方向における手前側の一部を透過状態で図示している。また、ボディ10の内部構造及びカバー部30の図示を省略している。
【0036】
取付部11の斜視図を示す
図4、及び取付部11の分解斜視図を示す
図5において、取付部11の構成及び取付部11に装着される各要素の構成を明確にするため、使用状態で下向きに配置される取付部11が上向きとなるように図示するとともに、周方向における手前側の一部を透過状態で図示している。
【0037】
上述したように、
図6は水素燃焼ユニットXの断面図を図示するが、貯蔵容器Yの上方のみを図示している。
図7は水素燃焼ユニットXに組付けられたバルブ装置1において開閉弁22が開弁した状態の概略断面図を示し、
図8はバルブ装置1における減圧機構3が作動した状態の概略断面図を示し、
図9は本体機構2においてリリーフ体41が開弁した状態の概略断面図を示している。
なお、
図1における左右方向を軸方向Lとし、
図1における右側を基端側Lb、左側を先端側Lfとしている。
【0038】
バルブ装置1は、貯蔵容器Y(
図6)に取付けて、貯蔵容器Yに貯蔵された水素ガスの導通を規制できるとともに、所定圧力より大きな過剰圧力を開放する安全弁部40を備えたバルブ装置である。
【0039】
図1に示すように、バルブ装置1は、本体機構2と減圧機構3とを脱着可能に、軸方向Lに接続して構成している。
本体機構2は、軸方向Lに沿って、ボディ10と、開閉操作部20と、カバー部30と、安全弁部40と、フィルタ部50とで構成している。
【0040】
ボディ10は、基端側Lbから先端側Lfに向かって、円筒状の取付部11、取付部11より大径で開閉操作部20が装着される円柱状の中央径大部12、及び取付部11と同径で、減圧機構3が接続される筒状本体部13とで構成している。
【0041】
取付部11は、貯蔵容器Y(
図6)の上部の取付け口Yaに螺合するネジ山111を外周に有するとともに、内部にフィルタ部50を装着することができる、基端側Lbが開放されたフィルタ空間112を有する円筒状である。
【0042】
より詳しくは、フィルタ空間112を構成する取付部11の内面には、
図5に図示するように、基端側Lbにフィルタ部50における固定リング52を嵌合する嵌合溝113と、フィルタ部50の固定リング52及び弾性リング53が装着される、嵌合溝113より小径な装着部114とが形成されている。
【0043】
中央径大部12は、取付部11より2倍程度の径を有する円盤状であり、周方向の一部の外部から、放射方向に延びて中心を超える深さの円柱状の開閉空間121を有している。
開閉空間121は、開閉操作部20が装着されて開閉切り替えするための略円筒状の空間であり、径外側(
図1において下方)から、開閉操作部20の操作体21が配置される第1空間122、開閉操作部20の開閉弁22が配置され、弁室を構成する中央弁室部123、開閉弁22を開弁方向(
図1において下方)に付勢する開閉バネ23が配置される第3空間124で構成されている。
【0044】
第1空間122は、開閉空間121の外部に露出し、操作体21の外周面に設けられたネジ山211と螺合するネジ溝125が設けられ、操作体21の回転操作によって径方向に螺入出できるように構成されている。
【0045】
中央弁室部123は、径方向に延びる開閉空間121の中心付近に設けられ、第1空間122より小径の円筒状空間であり、第3空間124の側に、先細りのテーパ部126が設けられている。
第3空間124は、開閉弁22の延出部222に外嵌する開閉バネ23を配置する、中央弁室部123より小径であり、有底の円筒空間である。
【0046】
筒状本体部13は、中央径大部12から先端側Lfに延びる円筒状であり、内部に先端側Lf側が開放され、後述する減圧機構3の減圧ボディ60の取付け凸部61が挿入される挿入空間131を設けている。挿入空間131は、筒状本体部13における軸方向Lの長さの2/3程度の深さを有する有底の空間である。
【0047】
筒状本体部13の軸方向Lの中央付近と基端側Lbの外周には、断面楕円状のOリング4を装着する装着溝132,133を設けている。
より詳しくは、装着溝132,133は、先端側Lf及び基端側Lbの側面及び径内側の底面とで三面が囲われ、径外側が開放された略コ字状の溝である。
【0048】
なお、筒状本体部13のLの中央付近に設けられた装着溝132は、基端側Lbに設けられた装着溝133より小径である。具体的には、筒状本体部13のLの中央付近に設けられた装着溝132における底面が、基端側Lbに設けられた装着溝133の底面より小径である。そのため、装着溝132に装着されるOリング4aは、装着溝133に装着されるOリング4bより小径となる。
【0049】
また、開閉空間121の内部において、第3空間124における中央弁室部123の側を通り、取付部11のフィルタ空間112から先端側Lfに向かって軸方向Lに延びる第1流路R1を設け、弁室を構成する中央弁室部123と挿入空間131とを軸方向Lに連通する第2流路R2を設けている。
【0050】
さらに、第1流路R1は、第1空間122を超えて筒状本体部13の先端側Lfまで伸びており、第1流路R1の先端側から筒状本体部13の外面に向かって径方向に延び、筒状本体部13の外側と連通する第3流路R3を設けている。
【0051】
なお、第3流路R3の径外側の端部は、軸方向Lに所定間隔を隔てて配置された装着溝132,133の間に位置している。
また、第2流路R2の先端側Lfの端部が連通する挿入空間131は、本体機構2における導通口となる。
【0052】
このように配置された第1流路R1のフィルタ空間112から中央弁室部123までの範囲と、第2流路R2とで、本体機構2におけるフィルタ空間112から挿入空間131まで連通する流路Rを構成している。
【0053】
開閉操作部20は、ボディ10における中央径大部12の開閉空間121に装着され、径方向に進退して開閉切り替えする構成であり、開閉空間121を構成する第1空間122に装着される操作体21、中央弁室部123に装着される開閉弁22及び、第3空間124に配置され、開閉弁22を径外側(
図1において下方)に付勢する開閉バネ23で構成している。
【0054】
操作体21は、第1空間122に装着される円筒形であり、第1空間122の内面に形成したネジ溝125に螺合するネジ山211が外周面に形成され、回転操作する操作工具(図示省略)が挿入できる挿入凹部212が径外側に設けられている。
【0055】
開閉弁22は、開閉空間121を構成する中央弁室部123に装着する円筒状であり、先端側(
図1に上方)に先絞り状の先絞り部221を有し、先絞り部221より延出する延出部222が設けられている。
【0056】
また、開閉弁22には、操作体21の側、より具体的には、第3流路R3より操作体21の側と、先絞り部221の近傍とにOリング4(
図1参照)を設けている。
開閉バネ23は、第3空間124に配置されるとともに、延出部222に外嵌するコイルバネであり、開閉弁22を離間する向き、つまり径外側となる操作体21の側(
図1において下方)に向かって付勢するように構成している。
【0057】
このように構成された開閉操作部20は、操作工具(図示省略)を挿入凹部212に挿入して操作体21を螺入すると、開閉弁22は開閉バネ23の付勢力に抗して開閉バネ23の側に移動する。このように、開閉バネ23の側に移動した開閉弁22が閉弁位置(
図1において上方位置)にある場合、先絞り部221が開閉空間121におけるテーパ部126に位置して、Oリング4によって封止される。
【0058】
逆に、開放操作(逆向きの回転)によって操作体21を螺出すると、開閉バネ23の付勢力によって、開閉弁22は径外側となる操作体21の側に移動し、先絞り部221がテーパ部126から離間し、その間を流体が導通可能になる(開弁位置)。
【0059】
カバー部30は、ボディ10における筒状本体部13と中央径大部12とを覆うものであり、筒状本体部13を覆う先端側カバー部31と、中央径大部12を覆う基端側カバー部32とで形成されている。
【0060】
先端側カバー部31は、筒状本体部13の外周より大径の内面を有する円筒状であり、先端側Lfに褄壁311を設けている。このように、先端側カバー部31と褄壁311と筒状本体部13との間に後述する安全弁部40を配置する空間を形成することができる。なお、先端側カバー部31の外周面には、接続ナット90の内面に設けたネジ溝91に螺合するネジ山312を設けている。
【0061】
基端側カバー部32は、中央径大部12の先端側Lfと径外側を覆う基端側Lbが開放された、先端側カバー部31より大径の円筒状であり、先端側カバー部31と褄壁311と筒状本体部13との間に後述する安全弁部40を配置する空間と外側とを連通する放出口321を周方向に複数設けている。
【0062】
先端側カバー部31と褄壁311と筒状本体部13との間に形成される空間に配置される安全弁部40は、筒状本体部13に外嵌するリング状のリリーフ体41と、先端側カバー部31の褄壁311を反力として、リリーフ体41を基端側Lbに付勢するリリーフバネ42とで構成している。
【0063】
リリーフ体41は、先端側Lf側に配置され、筒状本体部13に外嵌する先端側リング部411と、先端側リング部411よりわずかに径大な基端側リング部412と、基端側リング部412の基端側Lbにおいて径外側に拡がるフランジ413とで構成されたリング状である。
なお、先端側リング部411と、先端側リング部411よりわずかに径大な基端側リング部412との間には、基端側Lbに向かって径外側に傾斜する傾斜面414を有している。
【0064】
このように構成されたリリーフ体41は、筒状本体部13に外嵌した状態で、先端側リング部411の内面に筒状本体部13の装着溝132に装着したOリング4aが当接するとともに、先端側リング部411より径大な基端側リング部412の基端側Lbの内面に装着溝133に装着したOリング4bが当接することで、リリーフ体41と筒状本体部13との間の空間を封止するように構成されている。
【0065】
なお、Oリング4a,4bが当接することによって封止された、リリーフ体41と筒状本体部13との間の空間は、基端側リング部412が先端側リング部411よりわずかに径大であるため、基端側リング部412における空間も広くなる。
【0066】
ボディ10の取付部11に設けたフィルタ空間112に装着され、貯蔵容器Yからの異物の侵入を防止するフィルタ部50は、濾過精度の異なる2枚のフィルタ51(51a,51b)と、フィルタ51の抜け出しを防止する固定リング52と、2枚のフィルタ51の間に配置する弾性リング53とで構成している。
【0067】
フィルタ51は、フィルタ空間112における装着部114の内径よりひとまわり小径で所定の厚みを有する円盤状であり、先端側Lfに配置される第2フィルタ51aより、基端側Lbに配置される第1フィルタ51bは密度が低く、透過孔径が大きなフィルタである。
【0068】
このように構成された2枚のフィルタ51は、装着部114において軸方向Lに所定間隔を隔てて配置されるが、第1フィルタ51bの基端側Lbにおいて、取付部11の嵌合溝113に嵌め込まれる固定リング52は、断面四角形状であり、周方向の一部が開放された平面視C型のリング体であり、適宜の弾性を有している。
【0069】
装着部114において軸方向Lに所定間隔を隔てて配置された2枚のフィルタ51の間に配置される弾性リング53は、断面円形のリング状である弾性リング体であり、装着部114の内面に沿う外径で形成されている。
【0070】
このように各要素が構成されたフィルタ部50は、フィルタ空間112の装着部114において、2枚のフィルタ51の間に弾性リング53を挟み込むようにして配置し、その基端側Lbにおいて、嵌合溝113に固定リング52を嵌合させて、フィルタ空間112に組み付けることができる。
【0071】
本体機構2と組み付けてバルブ装置1を構成する減圧機構3は、軸方向Lに沿って、減圧ボディ60と、キャップ部70と、減圧部80と、接続ナット90とで構成している。なお、減圧機構3において、図示するように、各摺動部分には適宜Oリング4が配置されるが、ここではその説明を省略する。
【0072】
減圧ボディ60は、基端側Lbに筒状本体部13の挿入空間131に挿入される取付け凸部61と、取付け凸部61の先端側Lfで径大なピストン受け部62と、取付け凸部61とピストン受け部62とを軸方向Lに貫通する貫通路63の基端側Lbに挿着される封止リング64とで構成している。
【0073】
取付け凸部61は筒状本体部13の挿入空間131に挿入される円筒状であり、ピストン受け部62は取付け凸部61の先端側Lfに配置され、取付け凸部61より径大な円筒状であり、先端側Lfが開放されている。このように構成された取付け凸部61及びピストン受け部62を軸方向Lに貫通する貫通路63が設けられており、貫通路63の基端側Lbは拡径され、封止リング64が装着されている。
【0074】
貫通路63における基端側Lbの拡径された部分に装着される封止リング64は、基端側Lbにフィルタ65が装着され、軸方向Lに貫通する貫通孔641が内部に設けられ、貫通孔641の先端側Lfの周囲が先端側Lfに突出する封止凸部642を形成している。
【0075】
キャップ部70は、ピストン受け部62の先端側Lfに配置され、有底の円筒状であり、基端側Lbにおいてピストン受け部62に外嵌するように配置される。このように構成されたキャップ部70の先端側Lfには、軸方向Lに貫通する導通口71を設けている。
【0076】
減圧ボディ60とキャップ部70とで囲繞された空間に配置された減圧部80は、基端側Lbに延びる棒状の封止棒状部81と、封止棒状部81の先端側Lfで径方向に拡がる大径円盤部82とで縦断面形状が倒位のT字状に構成されており、軸方向Lに貫通する貫通路83を形成している。
【0077】
封止棒状部81の基端側Lbには、先端側Lfに凹状に凹み、封止凸部642に当接して封止する封止凹部811を設けている。また、減圧ボディ60を反力として減圧部80を先端側Lfに付勢する減圧バネ84を設けている。
【0078】
詳しくは、減圧バネ84の基端側Lbは減圧ボディ60のピストン受け部62に当接し、減圧バネ84は大径円盤部82に当接しており、減圧ボディ60のピストン受け部62を反力として、減圧バネ84は、大径円盤部82を基端側Lbに向かって付勢するように構成している。なお、減圧バネ84の付勢力は、導通する流体の圧力を所定の圧力に減圧する減圧力に応じた付勢力で構成している。
【0079】
接続ナット90は、先端側Lfが、円筒状のキャップ部70に対して、回転自在に外嵌する、基端側Lbが開放された円筒状体であり、先端側カバー部31の外周面に設けたネジ山312に螺合するネジ溝91を内面に設けている。
【0080】
このように各要素が構成された減圧機構3は、基端側Lbに封止リング64を装着した減圧ボディ60の貫通路63に先端側Lfから、封止棒状部81の基端側Lbを挿入する。このとき、ピストン受け部62と大径円盤部82との間に減圧バネ84を配置する。その上で、減圧ボディ60とキャップ部70とを組み付けて一体化するとともに、キャップ部70の先端側Lfから接続ナット90を装着して組み付けることができる。
【0081】
このようにして組み付けられた減圧機構3は、減圧ボディ60の取付け凸部61を、本体機構2におけるボディ10の筒状本体部13の挿入空間131に挿入するとともに、接続ナット90のネジ溝91と先端側カバー部31のネジ山312とを螺合することで組み付けてバルブ装置1を構成することができる。
【0082】
このように構成されたバルブ装置1は、
図6に示すように、減圧機構3の導通口71を有するキャップ部70に水素燃焼部Zを装着するとともに、本体機構2の基端側Lbに貯蔵容器Yを装着して水素燃焼ユニットXを構成する。
【0083】
具体的には、水素燃焼部Zの基端側Lbに設けた取付部Zaを、バルブ装置1を構成する減圧機構3において導通口71を有するキャップ部70に接続し、バルブ装置1を構成する本体機構2の取付部11を取付け口Yaに装着して、貯蔵容器Yにバルブ装置1を取付ける。
【0084】
貯蔵容器Yは、上部に取付け口Yaを設けた貯蔵容器であり、貯蔵する流体として水素ガスを貯蔵している。具体的には、吸蔵合金に水素ガスを吸蔵させた水素吸蔵合金(図示省略)を貯蔵容器Yの内部に配置して、貯蔵容器Yは燃料として使用する水素ガスを貯蔵している。
【0085】
水素燃焼部Zは、導通口71を有するキャップ部70に接続する取付部Zaが基端側Lbに設けられ、水素ガスを放出して燃焼させるバーナー部Zbが先端側Lfに設けられ、取付部Zaとバーナー部Zbとの間に、バーナー部Zbからの気体状の水素ガスの導出量を開閉調整する開閉調整部Zcを設けている。
【0086】
このように構成された水素燃焼ユニットXは、
図7に示すように、開閉操作部20を開放操作して、開閉弁22を開弁位置に移動させると、テーパ部126と先絞り部221との間に隙間が形成され、バルブ装置1は開弁状態となる。このように開弁状態のバルブ装置1は、貯蔵容器Yから導出された気体状の水素ガスが、フィルタ部50が配置されたフィルタ空間112を通り、第1流路R1に導入され、第2流路R2を通り、つまり流路Rを通って挿入空間131まで導通する。
【0087】
挿入空間131から減圧機構3における減圧ボディ60の貫通路63の先端側Lfに装着された封止リング64のフィルタ65及び貫通孔641、及び減圧部80の貫通路83を水素ガスが通り、減圧部80の先端側Lfに水素ガスの圧力が作用し、
図7に図示するように、減圧バネ84の付勢力に抗して減圧部80が基端側Lb移動して、封止凸部642と封止凹部811とが当接して封止状態となる。
【0088】
このように封止状態となることで減圧部80に先端側Lfから作用していた圧力はなくなり、減圧バネ84の付勢力によって、減圧部80は先端側Lfに移動する(
図8参照)。このような減圧部80の軸方向Lの進退を繰り返すとともに、開閉調整部Zcを開放することで、減圧機構3で圧力が減圧された水素ガスは、導通口71を通り、バーナー部Zbで所望の放出量及び圧力で燃料となる水素ガスを放出することができる。このように、バーナー部Zbから所望の放出量及び圧力で放出される水素ガスに着火することで、所望状態で燃焼することができる。
【0089】
なお、上述したように、水素ガスがバルブ装置1を導通する状態において、中央弁室部123より先端側の第1流路R1及び第3流路R3にも水素ガスが導通しており、リリーフ体41と筒状本体部13との間の空間にも、導通する水素ガスの圧力が作用している。
【0090】
このようにリリーフ体41と筒状本体部13との間の空間に導通された水素ガスがOリング4aとOリング4bとの有効面積の差分に応じた圧力として傾斜面414に作用し、差圧力がリリーフバネ42の付勢力を越える過剰圧力となると、リリーフ体41は、リリーフバネ42の付勢力に抗して先端側Lfに移動する(
図9参照)。
【0091】
リリーフ体41が先端側Lfに移動すると、第3流路R3の径外側が開放され、先端側カバー部31と褄壁311と筒状本体部13との間に形成される空間を通り、放出口321から放出して、過剰圧力を開放することができる。
【0092】
なお、リリーフ体41が先端側Lfに移動して過剰圧力を開放すると、リリーフバネ42の付勢力によって、リリーフ体41は基端側Lbに移動して、当初の安全弁部40が封止された状態となる。
【0093】
上述したように、水素ガスが通過する流路Rと、流路Rの中間部分において開閉を切り替える開閉弁22と、ボディ10を所定箇所に取付ける取付部11と、開閉弁22が開閉方向に進退自在に配置される中央弁室部123とが設けられたバルブ装置1であって、取付部11に、フィルタ51a,51bが設けられ、フィルタ51a,51bは、取付部11の内径よりひとまわり小径で形成され、フィルタ51a,51bの開口側において外径側の隙間を塞ぐリング状の固定リング52が設けられているため、バルブ装置1の内部への異物の侵入を防止できる。
【0094】
さらには、フィルタ51a,51bが目詰まりしても容易に取り外して、清掃したり交換したりすることができ、バルブ装置1の内部への異物の侵入を防止できる。したがって、消費する水素ガスに異物が混入したり、バルブ装置1の内部で異物が噛み混んで、閉止性が低減することを防止できる。
【0095】
詳述すると、取付部11にフィルタ51a,51bが設けられることで、バルブ装置1の内部への異物の侵入を防止することができる。
また、フィルタ51a,51bは、取付部11の内径よりひとまわり小径で形成され、フィルタ51a,51bの開口側において外径側の隙間を塞ぐリング状の固定リング52が設けられているため、取付部11の内径よりひとまわり小径で形成されたフィルタ51a,51bと取付部11の内径との間からの異物の侵入を防止しながら、取付部11にしっかりとフィルタ51a,51bを取付けることができる。
【0096】
さらにまた、フィルタ51a,51bを取付部11の内径よりひとまわり小径で形成しているため、フィルタ51a,51bを取付部11に固定する固定リング52を取外すことで、取付部11からフィルタ51a,51bを容易に取外して、目詰まりしたフィルタ51a,51bを清掃したり交換したりすることができ、バルブ装置1の内部への異物の侵入を防止できる。
【0097】
また、軸方向Lに所定間隔を隔てて濾過精度の異なる複数のフィルタ51a,51bが設けられているため、バルブ装置1の内部への異物の侵入を確実に防止することができる。また、濾過精度の高いフィルタ単体を使用する場合と比較し、フィルタ51a,51b毎の負荷を軽減し目詰まりをし難くすることができる。
【0098】
詳述すると、軸方向Lに所定間隔を隔てて設けられた濾過精度の異なる複数のフィルタ51a,51bのうち基端側Lbの第1フィルタ51bを異物が透過しても、先端側Lfの第2フィルタ51aによってバルブ装置1の内部への異物の侵入をより防止することができる。したがって、濾過精度の高いフィルタ単体を使用する場合と比較し、フィルタ51a,51b毎の負荷を軽減し目詰まりをし難くするとともに、貯蔵容器Y側からのバルブ装置1の内部への異物の侵入を確実に防止することができる。
【0099】
また、複数のフィルタ51a,51b同士の間にリング状の弾性リング53が設けられているため、軸方向Lに所定間隔を隔てて配置された複数のフィルタ51a,51b同士の間に設けられたリング状の弾性リング53がフィルタ51a,51bの間に空間を形成するため、フィルタ51a,51bを通過した異物は、先端側Lfの第2フィルタ51aで濾過されることなく、フィルタ51a,51bの間の空間にとどまることもあり、バルブ装置1の内部への異物の侵入を確実に防止することができる。
【0100】
また、挿入空間131に、減圧機構3が設けられているため、減圧機能を有するバルブ装置1を構成し、水素ガスを減圧して使用することができる。
また、減圧機構3はユニット化されており、本体機構2に対して脱着可能に装着されているため、使用時には水素ガスを減圧して使用でき、貯蔵容器Yへの水素ガスの充填時には、減圧機構3を取り外して挿入空間131から直接充填することで、減圧機構3が導通方向規制弁として機能して充填しがたくなるという状況になることを防止できる。
【0101】
また、取付部11は水素ガスを貯蔵する貯蔵容器Yに取付けられる構成であり、取付部11から軸方向Lに延びる第1流路R1と、挿入空間131から軸方向Lに延びる第2流路R2と、開閉弁22が開閉方向(
図1において上下方向)に進退自在に配置される中央弁室部123とが設けられ、流路Rが第1流路R1と第2流路R2とで構成され、中央弁室部123が軸方向Lに直交する径方向に第1流路R1と第2流路R2とを連通するとともに、開閉弁22が中央弁室部123において径方向に進退して開閉切り替えできるため、軸方向Lに沿って開閉弁を進退させて開閉切り替えるバルブ装置に比べて、バルブ装置1をさらにコンパクトに構成することができる。
【0102】
また、所定圧力より大きな過剰圧力の水素ガスを開放するリリーフ体41と、流路Rにおける先端側Lfの挿入空間131を有するボディ10の筒状本体部13を囲繞するとともに、外部と内部とを連通する放出口321を有するカバー部30が設けられ、リリーフ体41は、カバー部30の内部において、軸方向Lに沿って進退するように筒状本体部13に外嵌するリング状に構成され、所定圧力以下の付勢力でリリーフ体41を基端側Lbに向かって付勢するリリーフバネ42と、軸方向Lに所定間隔を隔てて、ボディ10とリリーフ体41との間を封止する2つのOリング4a,4bと、ボディ10とリリーフ体41との間における2つのOリング4a,4bの間と、第1流路R1で構成する流路Rとを連通する第3流路R3とが設けられ、2つのOリング4a,4bのうち基端側LbのOリング4bの有効面積が、先端側LfのOリング4aの有効面積より広いため、貯蔵容器Yに取付けて水素ガスの導通を規制できるとともに、所定圧力より大きな過剰圧力を開放するリリーフ体41を備えていてもコンパクトに構成することができる。
【0103】
詳述すると、リリーフ体41を軸方向Lに沿って進退するようにボディ10に外嵌するリング状に構成し、流路Rにおける先端側Lfの挿入空間131を有する筒状のボディ10の筒状本体部13を囲繞するとともに、外部と内部とを連通する放出口321を有するカバー部30の内部に設けられたリリーフ体41をリリーフバネ42が所定圧力以下の付勢力で基端側Lbに向かって付勢し、軸方向Lに所定間隔を隔てて、ボディ10とリリーフ体41との間を封止する2つのOリング4a,4bと、ボディ10とリリーフ体41との間における2つのOリング4a,4bの間と、第1流路R1で構成する流路Rとを連通する第3流路R3とが設けられ、2つのOリング4a,4bのうち基端側LbのOリング4bの有効面積が、先端側LfのOリング4aの有効面積より広いため、第3流路R3からの圧力が、先端側リング部411と、先端側リング部411よりわずかに径大な基端側リング部412との間に形成された傾斜面414に作用し、その有効面積の差分に応じた差圧力がリリーフバネ42の付勢力を越える大きな圧力であると、リリーフバネ42の付勢力に抗してリリーフ体41が開弁方向に移動して開弁し、所定圧力以上の過剰圧力を開放することができる。
【0104】
このようにして、所定圧力以上の過剰圧力を開放できるリリーフ体41を、軸方向Lに沿って進退するようにボディ10に外嵌するリング状に構成しているため、バルブ装置1をコンパクトに構成することができる。
また、第3流路R3が第1流路R1と連通するため、閉弁状態であっても、貯蔵容器Y側の過剰圧力を精度良く且つセンシティブに開放することができる。
【0105】
また、バルブ装置1と、バルブ装置1における取付部11が取付けられ、水素ガスが貯蔵された貯蔵容器Yと、挿入空間131に接続され、水素ガスを燃焼する水素燃焼部Zとが設けられた水素燃焼ユニットXは、貯蔵容器Yに貯蔵された水素ガスの導出量を調整しながら、或いは予め設定された導出量により水素燃焼部Zで燃焼させることができるとともに、過剰圧力が作用した場合、開放することができる。
【0106】
また、貯蔵容器Yは、水素ガスを水素吸蔵合金に吸蔵させて貯蔵しているため、安全に水素ガスを燃焼させることができる。
詳述すると、気体状、あるいは液体状の水素を貯蔵容器Yにそのまま貯蔵する場合に比べ、水素吸蔵合金に吸蔵させて水素ガスを貯蔵する場合の圧力は低いため、安全に水素ガスを燃焼させることができる。
【0107】
なお、水素吸蔵合金に吸蔵させて貯蔵された水素ガスを使用すると、水素ガスの吸放出を繰り返すことによって水素吸蔵合金は粉体化するが、フィルタ51を取付部11に設けているため、粉体化した水素吸蔵合金がバルブ装置1の内部に侵入することを防止できる。
【0108】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明の流体は水素ガスに対応し、
以下同様に、
流路は流路Rに対応し、
開閉弁は開閉弁22に対応し、
安全弁はリリーフ体41に対応し、
バルブ装置はバルブ装置1に対応し、
導通口は挿入空間131に対応し、
装置本体はボディ10に対応し、
放出口は放出口321に対応し、
囲繞部はカバー部30に対応し、
軸方向は軸方向Lに対応し、
閉弁方向は基端側Lbに対応し、
付勢手段はリリーフバネ42に対応し、
封止部はOリング4a,4bに対応し、
分岐流路は第3流路R3に対応し、
貯蔵容器は貯蔵容器Yに対応し、
取付部は取付部11に対応し、
第1流路は第1流路R1に対応し、
第2流路は第2流路R2に対応し、
弁室は中央弁室部123に対応し、
交差方向は径方向に対応し、
フィルタはフィルタ51(51a,51b)に対応し、
開口側は基端側Lbに対応し、
閉塞リングは固定リング52に対応し、
弾性リングは弾性リング53に対応し、
減圧機構は減圧機構3に対応し、
貯蔵容器は貯蔵容器Yに対応し、
水素燃焼部は水素燃焼部Zに対応し、
ガス消費ユニットは水素燃焼ユニットXに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0109】
例えば、上述の説明では、流体として水素ガスを用いたが、液体やゲル体としてもよい。
【0110】
また、カバー部30をボディ10と一体構成してもよいし、本体機構2と減圧機構3とを一体構成してもよい。
【0111】
また、上述の説明では、筒状本体部13の軸方向Lの中央付近と基端側Lbに、断面楕円状のOリング4を装着する装着溝132,133を設け、装着溝132,133に装着したOリング4が筒状本体部13に外嵌したリリーフ体41の内面に当接することでリリーフ体41と筒状本体部13との間の空間を封止するように構成するとともに、装着溝132に装着されるOリング4aを、装着溝133に装着されるOリング4bより小径に形成し、過剰圧力の差圧力が傾斜面414に作用することによってリリーフ体41が先端側Lfに移動して開弁するように構成したが、
図10に示すように、筒状本体部13の基端側Lbに設けた装着溝133の代わりに、中央径大部12の先端側Lfの径中央側、つまり筒状本体部13と中央径大部12との角部に先端側Lfが開放された、基端側Lbに凹状となる装着溝134を設け、装着溝134に装着されるOリング4cを装着溝132に装着されるOリング4aより大きな径に形成してもよい。この場合、リリーフ体41のフランジ413の基端側Lbの径内側に、基端側Lbに突出し、閉弁位置においてOリング4cに食い込む食い込み凸部44を設けることとなる。
【0112】
また、上述するように、リリーフ体41において、先端側リング部411と、先端側リング部411より径大な基端側リング部412を設けずとも、一様な径でリリーフ体41を構成すればよい。
【0113】
この場合、閉弁位置(
図10において右側の位置)にあるリリーフ体41のフランジ413が先端側LfからOリング4cに当接するとともに、込み凸部44がOリング4cに食い込んでリリーフ体41と筒状本体部13との間の空間を封止することとなるが、Oリング4cがOリング4aより大径であるため、過剰圧力の差圧力がフランジ413の径内側に作用することによってリリーフ体41が先端側Lfに移動して開弁することとなり、上述のバルブ装置1及びバルブ装置1を備えた水素燃焼ユニットXと同様の効果を奏することができる。
【0114】
なお、Oリング4cは
図10において円形断面で図示しているが、込み凸部44が食い込む先端側Lfの面がフラットになる矩形断面のOリングで構成してもよく、この場合も上述のバルブ装置1及びバルブ装置1を備えた水素燃焼ユニットXと同様の効果を奏することができる。
【0115】
また、上述の説明では、水素燃焼部Zと組み付けて水素燃焼ユニットXを構成するバルブ装置1であったが、
図11に示すような容器バルブ装置1aの取付け部11aにフィルタ空間112を設け、フィルタ部50を組み付けて用いてもよい。なお、
図11は一般的な容器バルブ装置の概略図であり、取付け部11aを断面図で示している。また、容器バルブ装置1aについては一般的な構造であるため、その詳細な説明は省略するとともに、図示された構造の容器バルブ装置には限定されず、例えば、ピンインデックスバルブなどであってもよい。
【0116】
このように、取付け部11aにフィルタ空間112を設け、フィルタ部50を組み付けた容器バルブ装置1aは、上述のバルブ装置1においてフィルタ部50を装着したことによる効果と同様の効果を奏することができる。
【0117】
また、特許文献2に開示されるような配管バルブにおいて、少なくとも消費時における導通方向の上流側の取付け部にフィルタ空間112を設け、フィルタ部50を組み付けて用いてもよい。この場合であっても上述のバルブ装置1においてフィルタ部50を装着したことによる効果と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0118】
1…バルブ装置
1a…容器バルブ装置
3…減圧機構
4a,4b…Oリング
10…ボディ
11…取付部
22…開閉弁
30…カバー部
41…リリーフ体
42…リリーフバネ
51(51a,51b)…フィルタ
52…固定リング
53…弾性リング
123…中央弁室部
131…挿入空間
321…放出口
L…軸方向
Lb…基端側
R…流路
R1…第1流路
R2…第2流路
R3…第3流路
X…水素燃焼ユニット
Y…貯蔵容器
Z…水素燃焼部