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特許7236745野球またはソフトボールにおける投手の球数または球速を表示する表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】野球またはソフトボールにおける投手の球数または球速を表示する表示装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20230303BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
A63B71/06 G
A63B69/00 505G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020107772
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022002606
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2022-02-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社ゼロワンオカダが、下記ウェブサイトで公開した。 ウェブサイトのアドレス: http://01okada.co.jp/ballspeed/ ウェブサイトの掲載日: 令和2年1月6日 ウェブサイトのアドレス: http://01okada.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2020/04/ballspeed-count.pdf ウェブサイトの掲載日: 令和2年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】597159673
【氏名又は名称】株式会社ゼロワンオカダ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 宏規
(72)【発明者】
【氏名】奥村 雅宜
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3227974(JP,U)
【文献】特開昭57-043760(JP,A)
【文献】実開平02-039162(JP,U)
【文献】特開昭59-002775(JP,A)
【文献】特開2002-263233(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0050233(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-69/40
A63B 71/00-71/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野球またはソフトボールにおける投手が投げたボールの球数を表示する表示装置であって、
前記野球またはソフトボールの参加者および/または前記野球またはソフトボールの観覧者の視覚に認識可能に、数字を表示する表示器と、
前記表示器へ表示させる球数を入力する入力器と、
前記表示器と前記入力器とを接続する接続ケーブルとを含み、
前記表示器は、電力の供給を受ける供給部を備え、前記供給された電力により球数を表示する、表示装置。
【請求項2】
野球またはソフトボールにおける投手が投げたボールの球速を表示する表示装置であって、
前記野球またはソフトボールの参加者および/または前記野球またはソフトボールの観覧者の視覚に認識可能に、数字を表示する表示器と、
前記表示器へ表示させる球速を測定する測定器と、
前記表示器と前記測定器とを接続する接続ケーブルとを含み、
前記表示器は、電力の供給を受ける供給部を備え、前記供給された電力により球速を表示し、
前記接続ケーブルを経由して前記表示器から前記測定器へ電力を供給することが可能な、表示装置。
【請求項3】
野球またはソフトボールにおける投手が投げたボールの球数または球速を表示する装置であって、
前記野球またはソフトボールの参加者および/または前記野球またはソフトボールの観覧者の視覚に認識可能に、数字を表示する表示器と、
前記表示器へ表示させる球数を入力する入力器と、
前記表示器へ表示させる球速を測定する測定器と、
前記表示器と、前記入力器および前記測定器のいずれか一方とを選択的に接続する接続ケーブルとを含み、
前記表示器は、電力の供給を受ける供給部を備え、前記供給された電力により球数または球速を表示し、
前記接続ケーブルを経由して前記表示器から前記測定器へ電力を供給することが可能な、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球またはソフトボール(以下においてはソフトボールを含めて野球と記載する)における投手が投げたボール(本発明におけるボールとは野球用品としての軟式球または硬式球等を意味するものであり、野球における判定としてのストライク/ボールのボールを意味するものではない)の球数(投球数と同じ)または球速を表示する表示装置に関し、特に、簡単な装置であるにも関わらず、野球の参加者および/または野球の観覧者の視覚に、投手の球数または球速を認識させることが可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動する測定対象物の最大速度を測定する速度測定装置として、ドップラーセンサを用いたものが知られている。これは、被測定対象物である物体に向けてマイクロ波を照射し、物体による反射波を測定する。物体がマイクロ波の進行方向に対して運動している時は、ドップラー効果によって反射波の周波数が変化するため、これと発射波の周波数を比較することにより、物体の速さを算出することができる。この種のドップラーセンサを用いた速度測定装置は、野球において投手が投げるボールの速度(球速)を測定するのに用いられることが広く知られている。
【0003】
この種の速度測定装置として、特開2011-102718号公報(特許文献1)に開示されるものがある。この特許文献1に開示された速度測定装置は、マイクロ波を送受信するアンテナと、そのアンテナから出力される信号に基づき測定対象物の速度(ピッチャーの投球したボールの速度)を測定するための制御を行う制御部と、それらアンテナならびに制御部を内蔵するケース本体とを備え、前記ケース本体は、本体部分と、その本体部分の先端側に設けられたアンテナ収納部と有し、そのアンテナ収納部の上下方向の長さが、前記本体部分の上下方向の長さよりも長くしたことを特徴とするとともに、前記本体部分の上面に表示部を設け、前記ケース本体の下方に電池ボックスを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-102718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された速度測定装置を用いて野球における投手が投げたボールの球速を測定しても、その測定された球速は速度測定装置のケース本体の本体部分の上面に設けられた表示部(特許文献1における表示パネル14であって液晶ディスプレイ等)に表示されるに過ぎず、測定者以外の野球の参加者および/または野球の観覧者がこの速度測定装置により測定された球速を知ることができない。なお、プロ野球のフランチャイズ球場のセンター後方のバックスクリーンの上方に大型映像装置(一例ではあるが縦8m×横30m)を設けて、その一部に球速表示エリアを設けることにより、測定者以外の野球の参加者および/または野球の観覧者がこの大型映像装置の球速表示エリアを見ることができるので、この速度測定装置により測定された球速を知ることができるが、極めて高額な費用が必要になり、アマチュア野球等(軟式野球・硬式野球を問わず小学生、中学生、高校生等による野球)においては依然として特許文献1に開示された速度測定装置により測定された球速を簡易な装置で知ることができない。
【0006】
ところで、投手の過度な投球数(球数と同じ)による障害(肩・肘の痛み)を予防するために、ひとりの投手が投げることのできる投球数を制限する動きがある。たとえば、日本高校野球連盟は、ひとりのピッチャーが1週間に公式戦で投げられる球数の上限を(たとえば500球までと)決めている。投手の投球数は、この投球数を含めた試合経過および得点を、たとえば味方(自軍)のスコアラーまたはマネージャー等が記録することが高校野球等で行われている。
【0007】
しかしながら、この場合においても、記録者(ここでスコアラーおよびスコアラーから伝達可能な監督やコーチ等の者)以外の野球の参加者および/または野球の観覧者がこの記録された投球数を知ることができない。なお、上述したように、バックスクリーンの上方に大型映像装置の一部に投球数表示エリアを設けることができても、アマチュア野球等においては依然として記録された投球数を簡易な装置で知ることができない点については、球速と同じである。
【0008】
さらに、特許文献1に開示された速度測定装置の内部回路は、ケース本体の下方に設けられた電池ボックスに収められた電池からの電源供給により動作させている。このため、全ての投球について1試合2チーム分の球速を測定するためには、試合の途中で電池の残量がなくなり新しい電池への交換が必要になることが多い。無論、可搬性を犠牲にして、プロ野球のフランチャイズ球場のように据え置き型の速度測定装置を設置して商用電源を(必要に応じて電圧等を変換して)供給することにより電池の残量を気にしなくてもよくなるものの、上述したように可搬性もなくなるし、アマチュア野球等においては球速を簡易な装置で長時間に亘って測定することができないので実情である。
【0009】
このように、従来においては、野球の参加者および/または野球の観覧者の視覚に投手の球数または球速を簡単な装置で認識させることができないという問題点があった。さらに、特許文献1に開示されたような従来の速度測定装置では、試合の途中で電池切れの可能性があるという問題点があった。
本発明は、従来技術の上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、簡単な装置であるにも関わらず、野球またはソフトボールの参加者および/または野球またはソフトボールの観覧者の視覚に投手の球数または球速を認識させることが可能な表示装置を提供することである。さらに、本発明の目的とするところは、簡単な装置であるにも関わらず、電池切れを気にすることなく球速測定することのできる表示装置を提供することである。ここで、簡単な装置における簡単とは、低価格である、小型である、可搬性に優れる、扱いやすい、設置が容易である等々を含む意味である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る表示装置は、以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明のある局面に係る表示装置は、野球またはソフトボールにおける投手が投げたボールの球数を表示する表示装置であって、前記野球またはソフトボールの参加者および/または前記野球またはソフトボールの観覧者の視覚に認識可能に、数字を表示する表示器と、前記表示器へ表示させる球数を入力する入力器と、前記表示器と前記入力器とを接続する接続ケーブルとを含み、前記表示器は、電力の供給を受ける供給部を備え、前記供給された電力により球数を表示することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の別の局面に係る表示装置は、野球またはソフトボールにおける投手が投げたボールの球速を表示する表示装置であって、前記野球またはソフトボールの参加者および/または前記野球またはソフトボールの観覧者の視覚に認識可能に、数字を表示する表示器と、前記表示器へ表示させる球速を測定する測定器と、前記表示器と前記測定器とを接続する接続ケーブルとを含み、前記表示器は、電力の供給を受ける供給部を備え、前記供給された電力により球速を表示し、前記接続ケーブルを経由して前記表示器から前記測定器へ電力を供給することが可能なことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明のさらに別の局面に係る表示装置は、野球またはソフトボールにおける投手が投げたボールの球数または球速を表示する装置であって、前記野球またはソフトボールの参加者および/または前記野球またはソフトボールの観覧者の視覚に認識可能に、数字を表示する表示器と、前記表示器へ表示させる球数を入力する入力器と、前記表示器へ表示させる球速を測定する測定器と、前記表示器と、前記入力器および前記測定器のいずれか一方とを選択的に接続する接続ケーブルとを含み、前記表示器は、電力の供給を受ける供給部を備え、前記供給された電力により球数または球速を表示し、前記接続ケーブルを経由して前記表示器から前記測定器へ電力を供給することが可能なことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る表示装置によると、簡単な装置であるにも関わらず、野球またはソフトボールの参加者および/または野球またはソフトボールの観覧者の視覚に投手の球数または球速を認識させることが可能な表示装置を提供することができる。さらに、本発明に係る表示装置によると、簡単な装置であるにも関わらず、電池切れを気にすることなく球速測定することのできる表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る(A)表示装置(より詳しくは表示装置を構成する表示器100)の全体斜視図、(B)その表示装置が使用される野球場の平面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る表示装置の全体システム構成を示す概略図(その1:基本構成)である。
図3】本発明の実施の形態に係る表示装置の全体システム構成を示す概略図(その2:3台構成)である。
図4】本発明の実施の形態に係る表示装置の全体システム構成を示す概略図(その3:同時表示構成)である。
図5】本発明の実施の形態に係る表示装置の制御ブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る野球またはソフトボール(以下においては詳細なルール等は異なるがソフトボールを含めて野球として記載する)における投手が投げたボールの球数または球速を表示する表示装置(以下において単に表示装置と記載する場合がある)について、図1図5に基づいて詳しく説明する。
まずは、図1を参照して、本発明に係る表示装置を構成する表示器100の一例と、本発明に係る表示装置が設置される野球場における概略的な場所(位置)の一例とについて説明する。
【0016】
図1(A)に示すように、本発明に係る表示装置を構成する表示器100は、文字高さ200mm程度のドット表示器140と、このドット表示器140を内包するたとえばアルミ製の箱体とで構成される。箱体の上面には、吊り下げ用金具110および運搬時等に手で下げ持つための持ち手120が設けられている。また、箱体の底面には、後述する三脚132(図4参照)の取付穴が設けられている。
【0017】
ここで、限定されるものではないが、ドット表示器140は,3桁(百位桁表示部142、十位桁表示部144、一位桁表示部146)で構成され、百位桁表示部142は「0」、「1」の数字が表示されたり表示なし(点灯ドットなし)であって、十位桁表示部144および一位桁表示部146は「0」~「9」のの数字が表示されたり表示なし(点灯ドットなし)である。なお、百位桁表示部142も十位桁表示部144および一位桁表示部146と同様に「0」~「9」の数字が表示されるようにしても構わない。このドット表示器140(百位桁表示部142、十位桁表示部144および一位桁表示部146)に表示される数字は、上述したように文字高さ200mmで、さらにたとえば橙色のドット表示または7セグメント表示がその一例(ここではドット表示)として挙げられる。また、限定されるものではないが、この表示器100は、屋外防滴仕様であって、1平方メートルあたり輝度5000cd(カンデラ)程度、視認距離100m程度、視認角度60度程度であって、アクリル製のカバーを備え、後述するように輝度調整機能(図5に示す輝度調整ボタン148)を備えることが好ましい。
【0018】
このようなドット表示器140を備えた表示器100は、(詳しくは図2を参照して後述するが)本発明に係る表示装置を構成する。この表示器100は、図1(B)に示すように、野球場のバックネット付近、一塁側ベンチ付近、、三塁側ベンチ付近、観客席付近に、野球の参加者および/または野球の観覧者の視覚に認識可能に設置される。たとえば、バックネット付近に投手に向けて設置されたり、観客席付近に観覧者に向けて設置されたりするが、その設置場所もその設置場所におけるドット表示器140の向いている方向(野球の参加者向けの方向、野球の観覧者向けの方向)も本発明においては限定されるものではない。
【0019】
図2を参照して、図1(A)の表示器100を含む本発明に係る表示装置の全体システム構成(その1:基本構成)について説明する。なお、図2においては、一点鎖線の枠で示す領域が本発明の請求項1に係る範囲を示し、二点鎖線の枠で示す領域が本発明の請求項2に係る範囲を示し、実線の枠で示す領域が本発明の請求項3に係る範囲を示す。
図2において一点鎖線の枠に示すように、本発明に係る表示装置の第1の態様(請求項1に対応する態様)は、野球における投手が投げたボールの球数を表示する表示装置であって、野球の参加者および/または野球の観覧者の視覚に認識可能に、数字を表示する表示器100と、表示器100へ表示させる球数を入力する入力器200と、表示器100と入力器200とを接続する接続ケーブル400とを含み、表示器100は、電源ケーブル500を介して電力の供給を受ける供給部(詳しくは図5に示す表示器電力入力部180)を備え、供給された電力により球数を表示するものである。
【0020】
図2において二点鎖線の枠に示すように、本発明に係る表示装置の第2の態様(請求項2に対応する態様)は、野球における投手が投げたボールの球速を表示する表示装置であって、野球の参加者および/または野球の観覧者の視覚に認識可能に、数字を表示する表示器100と、表示器100へ表示させる球速を測定する測定器300と、表示器100と測定器300とを接続する接続ケーブル400とを含み、表示器100は、電源ケーブル500を介して電力の供給を受ける供給部(詳しくは図5に示す表示器電力入力部180および測定器電力入力部170)を備え、供給された電力により球速を表示し、接続ケーブル400を経由して表示器100から測定器300へ電力を供給することが可能なものである。
【0021】
図2において実線の枠に示すように、本発明に係る表示装置の第3の態様(請求項3に対応する態様)は、野球における投手が投げたボールの球数または球速を表示する装置であって、野球の参加者および/または野球の観覧者の視覚に認識可能に、数字を表示する表示器100と、表示器100へ表示させる球数を入力する入力器200と、表示器100へ表示させる球速を測定する測定器300と、表示器100と、入力器200および測定器300のいずれか一方とを選択的に接続する接続ケーブル400とを含み、表示器100は、電源ケーブル500を介して電力の供給を受ける供給部(詳しくは図5に示す表示器電力入力部180および測定器電力入力部170)を備え、供給された電力により球数または球速を表示し、接続ケーブル400を経由して表示器100から測定器300へ電力を供給することが可能なものである。
【0022】
ここで、限定されるものではないが、接続ケーブル400は、いわゆるLANケーブル(イーサネットケーブル)での利用でよく知られている8線全線が接続されている通信用ケーブルであって、データ送受信可能であるとともに電力送受信可能な接続ケーブルである。このようなLANケーブルを採用することにより、50m程度のケーブル長でもデータ送受信および電力送受信が可能となる。このため、表示器100は、データ送受信用および電力送受信用の入出力インターフェイスとして(図5に示すように)RJ45コネクタ(RS-485)が採用される入出力I/F160を備える。接続ケーブル400は、データ送受信および電力送受信が1本の接続ケーブルにより実現できるものであればLANケーブルに限定されるものではない。1本の接続ケーブル400により、表示器100と測定器300(または入力器200)とを接続してデータ送受信および電力送受信できるために設置が極めて容易で取り扱いやすい。
【0023】
また、図2に示すように、本発明に係る表示装置においては、表示器100の作動電圧と測定器300の作動電圧とが異なるために(たとえば表示器100はDC5V、測定器300はDC9V)、2本の電源ケーブル500が表示器100に接続されているが、表示器100の作動電圧と測定器300の作動電圧とが同じであれば1本の電源ケーブル500が表示器100に接続されるように構成することも可能である(この場合であっても別系統で2本の電源ケーブル500が表示器100に接続されるようにしても構わない)。また、表示器100の作動電圧と測定器300の作動電圧とが異なる場合であっても1本の電源ケーブル500が表示器100に接続されるように構成して、表示器100の内部回路で電圧調整等をすることも可能である。また、図2においては入力器200が表示パネル210を備えるように表されているが、この入力器200の表示パネル210への入力器200外からの電力供給は不要であるとする。ただし、表示パネル210への入力器200外からの電力供給が必要であれば、(測定器300と同じように)表示器100から入力器200へ電力を供給することが可能なように構成すればよい。
【0024】
なお、電源ケーブル500は、ACアダプタ(さらにAC100V電源)またはモバイルバッテリーに接続されて、電力が表示器100へ(さらには測定器300へ)供給される。
本発明に係る表示装置のこのような基本構成に替えて、図3に示すような全体システム構成(その2:3台構成)とすることも好ましい。図3(A)は三塁側チームの投手の球数を表示する表示装置であってたとえば三塁側ベンチ付近にその表示器100が設置され入力器200は三塁側ベンチ内のスコアラーまたはマネージャー等が操作可能に設置され、図3(B)は投手が投げたボールの球速を表示する表示装置であってたとえばバックネット付近にその表示器100が設置され測定器300はバックネット付近から投手方向へ向けて球速の測定精度が低下しないように設置され、図3(C)は一塁側チームの投手の球数を表示する表示装置であってたとえば一塁側ベンチ付近にその表示器100が設置され入力器200は一塁側ベンチ内のスコアラーまたはマネージャー等が操作可能に設置される。なお、球数に替えて/切り替えて/加えて、点数を表示することもベンチ内のスコアラーまたはマネージャー等が入力器200を操作することにより可能である。
【0025】
本発明に係る表示装置のこのような基本構成および3台構成に替えて、図4に示すような全体システム構成(その3:同時表示構成)とすることも好ましい。図4(A)は2台の表示器100で投手の球数を表示するシステムであって、図4(B)は2台の表示器100で投手の球速を表示するシステムである。図4(A)においては2台の表示器100どうしが接続ケーブル400により接続されて、球数を2台の表示器100で同時に表示することができる。図4(B)においては2台の表示器100どうしが接続ケーブル400により接続されて、球速を2台の表示器100で同時に表示することができる。この場合において、限定されるものではないが、1台の表示器100がフィールド内閲覧用としてベンチ付近に設置されて球数および球速が表示され、もう1台の表示器100が観客閲覧用として観客席付近に設置されて球数および球速が表示される。同時に球数または球速を表示する表示器100は2台に限定されるものではなく、3台以上を直列にさらに接続ケーブルで接続することにより、簡単に表示器100を増設することができる。
【0026】
ここで、簡単に入力器200および測定器300について説明する。
図2に示すように、入力器200は、投手の球数を入力するための装置であって、1プッシュ毎に球数が1ずつ増える増加ボタン220と、1プッシュ毎に球数が1ずつ減る減少ボタン230と、球数を表示する表示パネル210(入力部200外からの電力供給の要否は問わない)と、電源ボタン240とを備える。上述したように、この入力器200の表示パネル210への入力器200外からの電力供給は不要であるとするが、必要に応じて(測定器300と同じように)表示器100から入力器200へ電力を供給することが可能なように構成することができる。
【0027】
図2に示すように、測定器300は、特許文献1に開示されたようなドップラーセンサを用いた速度測定装置であって、いわゆるスピードガンと呼ばれ、表示パネル310と、ガン形状の持ち手350と、トリガー320とを備える。なお、トリガー320は手動測定用であって、本発明に係る表示装置においては、手動にてこのトリガー320を測定者が投手の投球動作に応じて操作して球速を測定しても構わないし、自動的に球速を測定しても構わない。自動的に球速を測定する方法の一例として、被測定対象物である物体(ここでは投手の投げるボール)に向けてマイクロ波を照射し続け(または一定の時間間隔でマイクロ波の照射を繰り返して)、物体による反射波を測定して反射波の周波数が変化すると投球されたと判断して、ボールの速度(球速)を測定する。
【0028】
入力器200においても測定器300においても、接続ケーブル400を介して、入力器200に入力された球数および測定器300により測定された球速が表示器100へ送信されて表示器100に表示される。なお、1台の表示器100に対しては、入力器200および測定器300のいずれか一方のみが、接続ケーブル400を介して表示器100の入出力I/F160に接続されている。ここで、球数から球速への表示の切り替えは、入出力I/F160に接続されている入力器200の接続ケーブル400を入出力I/F160から抜いて、測定器300の接続ケーブル400を入出力I/F160へ差し込むことにより実現され、球速から球数への表示の切り替えは、入出力I/F160に接続されている測定器300の接続ケーブル400を入出力I/F160から抜いて、入力器200の接続ケーブル400を入出力I/F160へ差し込むことにより実現される。なお、接続ケーブル400の抜き差しにより球速と球数との表示を切り替えるのではなく、入力側に入力器200の接続ケーブル400と測定器300の接続ケーブル400との2口のコネクタを備え、出力側に表示器100の接続ケーブル400の1口のコネクタを備え、出力側の接続ケーブル400と入力側のいずれか一方の接続ケーブル400とを選択的に接続する切替器を設けるようにしても構わない。
【0029】
図5を参照して、本実施の形態に係る表示装置の制御ブロックについて説明する。なお、制御ブロックの実現は様々な方法が実在しており、以下の説明は一例でしかない。
図5に示すように、表示器100は、ドット表示器140と、ドット表示器140の輝度を調整する輝度調整(+/-)ボタン148と、ドット表示器140に表示する内容(数字)を制御するドット表示制御部150とを備える。ドット表示制御部150は、表示器電力入力部180に接続され、表示器100の外部(たとえばモバイルバッテリーやAC100V電源600に接続されたDC5V電源620)から表示器電力入力部(表示器電源差し込み部)180へ供給された電力(たとえばDC5V)により駆動されるとともに、ドット表示器140を表示させて(必要なドットを点灯させて)数字を視認可能に表示する。
【0030】
さらに、表示器100は、(入力器200または測定器300が接続されている)接続ケーブル400が接続されるRJ45コネクタ(RS-485)が採用された入出力I/F160を備える。この入出力I/F160は、たとえば、入力器200または測定器300からデータを受信する入力I/F162と(図4に示したように)さらに別の表示器100へデータを送信するための出力I/F164と、測定器300へ供給する電力のための電力I/F166とを含んで構成される。電力I/F166は、測定器電力入力部(測定器電源差し込み部)170に接続され、表示器100の外部(たとえばモバイルバッテリーやAC100V電源600に接続されたDC9V電源610)から測定器電力入力部170へ供給された電力(たとえばDC9V)が供給されるとともに、入出力I/F160の電力I/F166および接続ケーブル400を介して、測定器300を作動させる。
【0031】
なお、上述した説明は、現実に実装されるRJ45コネクタがこのように構成されていることを意味するものではなく、この入出力I/F160が必要な機能を概念として説明したものに過ぎない。ここで、この入出力I/F160は、入力器200の入出力I/F290と接続ケーブル400により通信可能に接続され、測定器300の入出力I/F390と接続ケーブル400により通信可能に加えて(表示器100から測定器300へ)電力供給可能に接続されている。このため、測定器300には内部電池も必要なく、接続ケーブル400以外に電源ケーブルを接続する必要もない。特に、1本の接続ケーブル400により、表示器100と測定器300(または入力器200)とを接続してデータ送受信および電力送受信できるために設置が極めて容易で取り扱いやすい。
【0032】
以上のようにして、本実施の形態に係る表示装置によると、簡単な装置であるにも関わらず、野球の参加者および/または野球の観覧者の視覚に投手の球数または球速を認識させることが可能な表示装置を提供することができる。さらに、本実施の形態に係る表示装置によると、簡単な装置であるにも関わらず、電池切れを気にすることなく球速測定することのできる表示装置を提供することができる。
【0033】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、野球またはソフトボールにおける投手が投げたボールの球数または球速を表示する表示装置に好ましく、簡単な装置であるにも関わらず、野球またはソフトボールの参加者および/または野球またはソフトボールの観覧者の視覚に投手の球数または球速を認識させることが可能な点で特に好ましい。
【符号の説明】
【0035】
100 表示器
200 入力器
300 測定器
400 接続ケーブル
500 電源ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5