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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】表面処理装置
(51)【国際特許分類】
   C25D 21/10 20060101AFI20230303BHJP
   C25D 21/00 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
C25D21/10 301
C25D21/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022550487
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2021032786
(87)【国際公開番号】W WO2022059554
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2020155212
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507264549
【氏名又は名称】株式会社アルメックステクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(72)【発明者】
【氏名】石井 勝己
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-183223(JP,A)
【文献】特開2018-127649(JP,A)
【文献】特開2005-008911(JP,A)
【文献】特開2006-041172(JP,A)
【文献】特開昭63-089700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00-21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液が収容される処理槽と、
前記処理槽内に配置される陽極と、
前記処理液に浸漬されるワークを垂下させて保持し、かつ、前記ワークを陰極に設定する治具と、
前記陽極と前記ワークとの間で前記処理液中に配置される液噴出部材と、
前記液噴出部材を、前記ワークに対して移動させる移動機構と、
を有し、
前記液噴出部材は、前記陽極と前記ワークとの間で前記ワークに向かう延在方向に沿って形成され、かつ、前記延在方向と交差する方向で離間して配置される少なくとも一対の板材を含み、前記液噴出部材の移動により流動する前記処理液を、前記少なくとも一対の板材間で案内して前記ワークに向けて噴出させ
前記移動機構は、前記ワークと平行な往復方向に前記液噴出部材を移動させ、
前記液噴出部材は、
前記往復方向と交差する二面を有する第1ガイド体と、
前記第1ガイド体の前記二面とそれぞれ間隙を介して配置される第2ガイド体及び第3ガイド体と、
を含み、
前記少なくとも一対の板材は、
前記第1ガイド体と前記第2ガイド体とで形成される第1の一対の板材と、
前記第1ガイド体と前記第3ガイド体とで形成される第2の一対の板材と、
を含み、
前記液噴出部材が前記往復方向のうちの往動方向に移動する時に、前記第1ガイド体で堰き止められる処理液を、前記第1の一対の板材間に沿って案内して、前記ワークに向けて噴出させ、
前記液噴出部材が前記往復方向のうちの復動方向に移動する時に、前記第1ガイド体で堰き止められる処理液を、前記第2の一対の板材間に沿って案内して、前記ワークに向けて噴出させる特徴とする表面処理装置。
【請求項2】
請求項において、
前記陽極は、前記ワークの両側に配置される第1陽極及び第2陽極を含み、
前記液噴出部材は、前記第1陽極と前記ワークとの間に配置される第1液噴出部材と、前記第2陽極と前記ワークとの間に配置される第2液噴出部材と、を含み、
前記移動機構は、前記第1液噴出部材を移動する第1移動機構と、前記第2液噴出部材を移動する第2移動機構と、を含むことを特徴とする表面処理装置。
【請求項3】
請求項において、
前記第1移動機構に駆動力を付与する第1駆動源と、前記第2移動機構に駆動力を付与する第2駆動源とをさらに有し、前記第1液噴出部材と前記第2液噴出部材とは非同期で駆動されることを特徴とする表面処理装置。
【請求項4】
請求項またはにおいて、
前記処理槽は、前記ワークを保持した前記治具が前記処理槽の上方から降下されて装着されることで、第1槽と第2槽とに区画されることを特徴とする表面処理装置。
【請求項5】
請求項において、
前記処理槽は、前記往復方向で両端に位置する2つの側壁部の外側に、前記第1槽及び前記第2槽に連通して前記処理液を収容するバッファ槽をそれぞれ含むことを特徴とする表面処理装置。
【請求項6】
請求項において、
前記処理槽は、前記往復方向と平行な方向で連結され、かつ、第1バッファ槽により区画される第1処理槽と第2処理槽とを含み、
前記治具は、第1ワークを保持して前記第1処理槽を前記第1槽と前記第2槽とに区画する第1治具と、第2ワークを保持して前記第2処理槽を前記第1槽と前記第2槽とに区画する第2治具と、を含み、
前記第1バッファ槽は、前記第1処理槽の前記第1槽と、前記第2処理槽の前記第1槽と、前記第1処理槽の前記第2槽と、前記第2処理槽の前記第2槽との間で前記処理液を流通させ、
前記第1処理槽は、前記往復方向の一端に位置する第1側壁部の外側に、前記第1処理槽中の前記第1槽及び前記第2槽の間で前記処理液を流通させる第2バッファ槽を含み、
前記第2処理槽は、前記往復方向の他端に位置する第2側壁部の外側に、前記第2処理槽中の前記第1槽及び前記第2槽の間で前記処理液を流通させる第3バッファ槽を含むことを特徴とする表面処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークにメッキなどの表面処理を施す表面処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板等のワークをメッキする装置では、特許文献1に示すように、メッキ液中に垂下されたワークに向けて、メッキ液中にて縦設されたノズル管の縦方向に沿って配列された複数のノズルよりメッキ液を噴射させている。
【0003】
回路基板や半導体ウエハ等のワークをメッキする装置では、特許文献2及び3に示すように、ノズル管に代えて、処理液を攪拌するパドルを用いている。特許文献2のパドルは攪拌棒であり、特許文献3のパドルは複数の縦長孔が貫通形成された矩形板であり、これらパドルはワークの主面と平行に往復移動される。特許文献1のノズルを特許文献2または3のパドルに設けることは、特許文献4~6に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-046782号公報(図5
【文献】特開2006―041172号公報(図1-5)
【文献】特開2014-185375号公報(図1、3-4、6)
【文献】特開2004-16129号公報(図1-4)
【文献】特開昭56-42976号公報(図1-3)
【文献】特開平10-88397号公報(図1-2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のノズル管はワークの幅方向で間隔をあけて配置され、しかも、各ノズル管には縦方向で間隔をあけてノズルが配置されるので、ワークに均一にメッキ液を吐出することが困難である。一方、特許文献2のパドルはメッキ液を撹拌するだけである。特許文献4~6では、液噴射ポンプで圧送される処理液が、移動するパドルからワークに向けて噴出されるが、ノズルの位置に依存して処理の面内均一性が改善されないことは特許文献1と同様である。しかも、特許文献4~6ではパドルを移動するため駆動源に加え液噴射ポンプも必要となる。
【0006】
本発明は、液噴射ポンプを要することなく、ワークに向けて噴出される処理液の面内不均一性を低減して、ワークの表面処理の面内均一性を高め、しかもスループットを高めることができる表面処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、
処理液が収容される処理槽と、
前記処理槽内に配置される陽極と、
前記処理液に浸漬されるワークを垂下させて保持し、かつ、前記ワークを陰極に設定する治具と、
前記陽極と前記ワークとの間で前記処理液中に配置される液噴出部材と、
前記液噴出部材を、前記ワークに対して移動させる移動機構と、
を有し、
前記液噴出部材は、前記陽極と前記ワークとの間で前記ワークに向かう延在方向に沿って形成され、かつ、前記延在方向と交差する方向で離間して配置される少なくとも一対の板材を含み、前記液噴出部材の移動により流動する前記処理液を、前記少なくとも一対の板材間で案内して前記ワークに向けて噴出させる表面処理装置に関する。
【0008】
本発明の一態様によれば、処理液中に垂下されるワークに対して液噴出部材を移動することで、ノズル管を用いずに、ワークに向けて処理液を噴射することができる。つまり、液噴出部材の移動により処理槽内で流動する処理液を、少なくとも一対の板材間で案内して前記ワークに向けて噴出させる。それにより、処理液がワークと衝突することで、陽極付近にある表面処理成分が豊富なフレッシュな処理液をワークに供給することができ、スループットが向上する。また、移動される液噴出部材の少なくとも一対の板材間により処理液をワークに噴出できるので、ノズル管の複数のノズルから処理液を噴出させるものと比較して、ワーク面内の処理の均一性が向上する。
【0009】
(2)本発明の一態様(1)では、
前記移動機構は、前記ワークと平行な往復方向に前記液噴出部材を移動させ、
前記液噴出部材は、
前記往復方向と交差する二面を有する第1ガイド体と、
前記第1ガイド体の前記二面とそれぞれ間隙を介して配置される第2ガイド体及び第3ガイド体と、
を含み、
前記少なくとも一対の板材は、
前記第1ガイド体と前記第2ガイド体とで形成される第1の一対の板材と、
前記第1ガイド体と前記第3ガイド体とで形成される第2の一対の板材と、を含み、
前記液噴出部材が前記往復方向のうちの往動方向に移動する時に、前記第1ガイド体で堰き止められる処理液を、前記第1の一対の板材間に沿って案内して、前記ワークに向けて噴出させ、
前記液噴出部材が前記往復方向のうちの復動方向に移動する時に、前記第1ガイド体で堰き止められる処理液を、前記第2の一対の板材間に沿って案内して、前記ワークに向けて噴出させる表面処理装置に関する。
【0010】
こうすると、液噴出部材の例えば往動時には第1、第2ガイド体で形成される第1の一対の板材間に沿って案内される処理液がワークに噴出され、液噴出部材の例えば復動時には第1、第3ガイド体で形成される第2の一対の板材間に沿って案内される処理液がワークに噴出される。
【0011】
(3)本発明の一態様(2)では、前記陽極は、前記ワークの両側に配置される第1陽極及び第2陽極を含むことができ、前記液噴出部材は、前記第1陽極と前記ワークとの間に配置される第1液噴出部材と、前記第2陽極と前記ワークとの間に配置される第2液噴出部材と、を含むことができ、前記移動機構は、前記第1液噴出部材を移動する第1移動機構と、前記第2液噴出部材を移動する第2移動機構と、を含むことができる。こうして、ワークの両面を処理することができる。
【0012】
(4)本発明の一態様(3)では、前記第1移動機構に駆動力を付与する第1駆動源と、前記第2移動機構に駆動力を付与する第2駆動源とをさらに有し、前記第1液噴出部材と前記第2液噴出部材とは非同期で駆動されても良い。第1、第2液噴出部材がワークを挟んで正対すると、ワークの同一領域にてその両面に向けて処理液が噴出されることになる。ワークが両面に貫通するスルーホールを有する場合、処理液がスルーホールを通り抜け難くなる。第1、第2液噴出部材の一往復移動中において第1、第2液噴出部材が正対する位置は、第1、第2液噴出部材を同期して移動させるとワークに対して常に同じになるが、第1、第2液噴出部材を非同期で移動させることでワークに対して毎回異ならせることができる。これにより、処理液がスルーホールを通り抜け易くなる。
【0013】
(5)本発明の一態様(3)または(4)では、前記処理槽は、前記ワークを保持した前記治具が前記処理槽の上方から降下されて装着されることで、第1槽と第2槽とに区画されても良い。こうして、第1液噴出部材は第1槽内の処理液を撹拌し、第2液噴出部材は第2槽内の処理液を撹拌することができ、しかも、一方の槽での撹拌が他方の槽に与える悪影響を排除できる。
【0014】
(6)本発明の一態様(5)では、前記処理槽は、前記往復方向で両端に位置する2つの側壁部の外側に、前記第1槽及び前記第2槽に連通して前記処理液を収容するバッファ槽をそれぞれ含むことができる。こうすると、第1液噴出部材及び第2液噴出部材によって処理槽の両端に押し寄せられた処理液をバッファ槽に逃がすことができる。こうして、処理槽の両端にて発生する処理液の反射波の影響を低減できる。また、バッファ槽を介して、第1槽と第2槽との間での処理液の流通を確保することもできる。
【0015】
(7)本発明の一態様(5)では、前記処理槽は、前記往復方向と平行な方向で連結され、かつ、第1バッファ槽により区画される第1処理槽と第2処理槽とを含むことができる。前記治具は、第1ワークを保持して前記第1処理槽を前記第1槽と前記第2槽とに区画する第1治具と、第2ワークを保持して前記第2処理槽を前記第1槽と前記第2槽とに区画する第2治具と、を含むことができる。前記第1バッファ槽は、前記第1処理槽の前記第1槽と、前記第2処理槽の前記第1槽と、前記第1処理槽の前記第2槽と、前記第2処理槽の前記第2槽との間で前記処理液を流通させることができる。前記第1処理槽は、前記往復方向の一端に位置する第1側壁部の外側に、前記第1処理槽中の前記第1槽及び前記第2槽の間で前記処理液を流通させる第2バッファ槽を含むことができる。前記第2処理槽は、前記往復方向の他端に位置する第2側壁部の外側に、前記第2処理槽中の前記第1槽及び前記第2槽の間で前記処理液を流通させる第3バッファ槽を含むことができる。こうして、第1ワーク及び第2ワークを同時に処理することができ、その際に、本発明の一実施形態(6)と同様の作用・効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る表面処理装置の平面図である。
図2】表面処理装置の断面図である。
図3】液噴出部材の構造及び動作を説明するための図である。
図4】治具の正面図である。
図5】治具の背面図である。
図6図6(A)~図6(C)は、それぞれは整流器とクランパーとの関係を示す図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る表面処理装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の開示において、提示された主題の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態や実施例を提供する。もちろんこれらは単なる例であり、限定的であることを意図するものではない。さらに、本開示では、様々な例において参照番号および/または文字を反復している場合がある。このように反復するのは、簡潔明瞭にするためであり、それ自体が様々な実施形態および/または説明されている構成との間に関係があることを必要とするものではない。さらに、第1の要素が第2の要素に「接続されている」または「連結されている」と記述するとき、そのような記述は、第1の要素と第2の要素とが互いに直接的に接続または連結されている実施形態を含むとともに、第1の要素と第2の要素とが、その間に介在する1以上の他の要素を有して互いに間接的に接続または連結されている実施形態も含む。また、第1の要素が第2の要素に対して「移動する」と記述するとき、そのような記述は、第1の要素及び第2の要素の少なくとも一方が他方に対して移動する相対的な移動の実施形態を含む。
【0018】
1.第1実施形態
図1は、本実施形態に係る表面処理装置例えば電解メッキ装置の概略図である。電解メッキ装置1は、ワークWを保持する平板状の治具10と、この治具10が設置される表面処理槽100Aと、を有する。ワークWは、表裏の関係にある第1主面(例えば表面)W及び第2主面(例えば裏面)Wの少なくとも一方を被処理面とし、本実施形態では双方を被処理面としている。
【0019】
1.1.表面処理槽
図1及び図2において、処理液例えばメッキ液2が収容される表面処理槽100Aは、ワークWを垂直状態で保持する治具10を着脱自在に支持する支持部110、120を有する。下部支持部110は、治具10の下端部が挿入されるスリットを有する。上部支持部120も、治具10の側縁部が挿入されるスリットを有する。治具10は、表面処理槽100Aの上部開口から降下されて、支持部110、120により垂直状態で保持される。上部支持部120は、治具10の後述する端子群35A,35B,45A,45Bと接触する端子群(図示せず)を有する。それにより、治具10が上方より降下されて上部支持部120に支持されることで、治具10の端子群35A,35B,45A,45Bを、表面処理槽100Aの外部にある整流器(図示せず)に接続することができる。ここで、支持部110、120と、その支持部110、120に支持される治具10と、治具10に保持されるワークWとにより、表面処理槽100Aが図1及び図2に示すように第1槽101及び第2槽102に区画される。なお、第1槽101及び第2槽102は、必ずしも液密にシールされる必要はない。表面処理槽100Aは、その下部に、図1及び図2に示すように、開口103、104を有する。開口103は第1槽に臨んで形成され、開口104は第2槽102に臨んで形成される。表面処理槽100Aには、例えば上部開口から調整されたメッキ液2が供給され、開口103、104から排出される。排出されたメッキ液2は、フィルター処理、各主成分の補充等により調整された後に表面処理槽100Aに繰り返し供給される。なお、メッキ液2は、開口103、104から供給され、例えばオーバーフローしたメッキ液を排出しても良い。
【0020】
表面処理槽100Aは、図1及び図2に示すように、ワークWの表面W及び裏面Wとそれぞれ対向する陽極部例えば第1陽極ボックス140及び第2陽極ボックス150を有する。第1陽極ボックス140はワークWの表面Wと対向する第1陽極142を保持し、第2陽極ボックス150はワークWの裏面Wと対向する第2陽極152を保持する。電解メッキを実施するために、少なくとも一つの整流器は、第1陽極142及び第2陽極152に接続され、かつ、治具10を介してワークWを陰極に設定する。
【0021】
表面処理槽100Aは、図1及び図2に示すように、ワークWと陽極142,152との間に液噴出部材200(200A及び200B)を有する。液噴出部材200(200A及び200B)は、ワークWの主面W,Wと平行な往復方向に移動される。液噴出部材200(200A及び200B)の詳細については後述する。
【0022】
1.2.ワーク
ワークWは例えば矩形の回路基板であり、電解メッキ装置1により例えば銅メッキされる。ただし、メッキの種類は問わない。回路基板Wは、表面W及び/又は裏面Wにビアホールを有することができ、表面W及び裏面Wに貫通するスルーホールを有することができる。この場合、ビアホール及びスルーホールの内壁もメッキされる。また、ワークWは、表面W及び裏面Wでの各メッキ面積が大きく異なっても良い。
【0023】
1.3.治具
ワークWを保持する治具10を、治具10の正面図である図4と、治具10の背面図である図5を用いて説明する。治具10へのワークWの着脱は、例えば自動機により行うことができる。治具10は、例えば絶縁材から成る平板で形成される治具本体12を有する。治具本体12は、矩形ワークWの面積よりもわずかに大きい面積の矩形の穴14を有する。ワークWは、穴14に配置される。治具10は、矩形の穴14の周囲4辺に沿って、図4に示す電極15A~15D及び図5に示す電極15E~15Hを有する。これら電極15A~15Hは互いに絶縁される。各電極15A~15Hには、複数のクランパー20が保持される。クランパー20は、ワークWをその表裏から挟んでクランプする。クランパー20は、図4及び図5に示すように、ワークWの上縁部をクランプするクランパー21と、ワークWの左側縁部をクランプするクランパー22と、ワークWの下縁部をクランプするクランパー23と、ワークWの右側縁部をクランプするクランパー24とを含むことができる。ここで、クランパー21は、ワークWの表面Wと接触するクランプ片31(図4)と、ワークWの裏面Wと接触するクランプ片41(図5)とを含む。本実施形態では、クランプ片31とクランプ片41とは電気的に絶縁される。同様に、クランパー22は電気的に絶縁されたクランプ片32、42を含み、クランパー23は電気的に絶縁されたクランプ片33、43を含み、クランパー24は電気的に絶縁されたクランプ片34、44を含む。また、クランプ片31は電極15Aと、クランプ片32は電極15Bと、クランプ片33は電極15Cと、クランプ片34は電極15Dと、クランプ片41は電極15Eと、クランプ片42は電極15Hと、クランプ片43は電極15Gと、クランプ片44は電極15Fと、それぞれ導通している。こうして、クランプ片31~34及び41~44は互いに絶縁されることにより、ワークWの表裏で異なり、かつ、表裏の各々4辺から異なる電流を流すことができる。
【0024】
絶縁材の治具本体12には、図4及び図5に示すように、クランパー20と電気的に接続される導電パターン31A,32A1,32A2,33A,31B,33B,34B1,34B2が形成される。治具本体12の表面の左領域では、図4に示すように、複数のクランパー21のうち左領域にあるクランパー21Lのクランプ片31Lは、電極15Aを介して導電パターン31Aと接続される。複数のクランパー22のうち上領域にあるクランパー22Uのクランプ片32Uは、電極15Bを介して導電パターン32A1と接続される。複数のクランパー22のうち下領域にあるクランパー22Lのクランプ片32Lは、電極15Bを介して導電パターン32A2と接続される。複数のクランパー23のうち左領域にあるクランパー23Lのクランプ片33Lは、電極15Cを介して導電パターン33Aと接続される。これらの導電パターン31A,32A1,32A2,33Aは、例えば治具本体12の上部にて幅方向に突出する突出部16Aに形成された端子群35Aと、例えば配線36Aを介して接続される。
【0025】
治具本体12の表面の右領域では、図4に示すように、複数のクランパー21のうち右領域にあるクランパー21Rのクランプ片31Rは、電極15Aを介して導電パターン31Bと接続される。複数のクランパー24のうち上領域にあるクランパー24Uのクランプ片34Uは、電極15Dを介して導電パターン34B2と接続される。複数のクランパー24のうち下領域にあるクランパー24Lのクランプ片34Lは、電極15Dを介して導電パターン34B1と接続される。複数のクランパー23のうち右領域にあるクランパー23Rのクランプ片33Rは、電極15Cを介して導電パターン33Bと接続される。これらの導電パターン31B,33B,34B1,34B2は、例えば治具本体12の上部にて幅方向に突出する突出部16Bに形成された端子群35Bと、例えば配線36Bを介して接続される。こうして、矩形ワークWの表面Wでは、上下左右の最大4分割で独立して電流制御することができる。
【0026】
一方、治具本体12の裏面の右領域では、図5に示すように、複数のクランパー21のうち右領域(表面から見て左領域)にあるクランパー21Rのクランプ片41Rは、導電パターン41Aと電極15Eを介して接続される。複数のクランパー22のうち上領域にあるクランパー22Uのクランプ片42Uは、導電パターン42A1と電極15Hを介して接続される。複数のクランパー22のうち下領域にあるクランパー22Lのクランプ片42Lは、導電パターン42A2と電極15Hを介して接続される。複数のクランパー23のうち右領域(表面から見て左領域)にあるクランパー23Rのクランプ片43Rは、導電パターン43Aと電極15Gを介して接続される。これらの導電パターン41A,42A1,42A2,43Aは、治具本体12の突出部16Aに形成された端子群45Aと、例えば配線37Aを介して接続される。
【0027】
治具本体12の裏面の左領域では、図5に示すように、複数のクランパー21のうち左領域にあるクランパー21Lのクランプ片41Lは、電極15Eを介して導電パターン41Bと接続される。複数のクランパー24のうち上領域にあるクランパー24Uのクランプ片44Uは、電極15Fを介して導電パターン44B1と接続される。複数のクランパー24のうち下領域にあるクランパー24Lのクランプ片44Lは、電極15Fを介して導電パターン44B2と接続される。複数のクランパー23のうち左領域にあるクランパー23のクランプ片43は、電極15Gを介して導電パターン43Bと接続される。これらの導電パターン41B,43B,44B1,44B2は、治具本体12の突出部16Bに形成された端子群45Bと、例えば配線37Bを介して接続される。こうして、矩形ワークWの裏面Wでも、上下左右の最大4分割で独立して電流制御することができる。
【0028】
治具10の表裏面に形成される導電パターン41A,41B,42A1,42A2,43A,43B,44B1,44B2は、絶縁コーティングされることで、メッキが付着することを防止することができる。また、図4に示す電極15A~15D及び図5に示す電極15E~15Hは、ワークWの周縁付近に配置され、ワークWの周縁で発生する電界集中に起因するメッキ厚の異常いわゆるドックボーンを解消するダミー電極として機能させることができる。図4に示す電極15A~15D及び図5に示す電極15E~15Hは、メッキが付着することを防止するためと、電極露出量を調整するために、隣り合う2つのクランパー間の領域にて電極露出部分を可変とする位置調整可能な絶縁体17A~17Dで覆うことができる(本願出願人による特願2019-15827号参照)。
【0029】
なお、クランパーは、治具10の穴14のうちワークWの周囲に形成されるわずかな隙間を覆ってワークWを保持することができるものであっても良い。こうして、治具10及びワークWと、表面処理槽100Aの支持部110、120とにより、表面処理槽100A内をワークWの表裏に位置する第1槽101と第2槽102とに、ほぼ完全に仕切ることができる。
【0030】
1.4.整流器
本実施形態では、少なくともワークWの表面W及び裏面Wに流れる電流を独立して設定するために、図6(A)~図6(C)に示すように、複数の整流器を設けることが好ましい。図6(A)では、2つの整流器300A、300Bが設けられ、整流器300AはワークWの表面Wと接触するクランプ片31~34と電気的に接続され、整流器300BはワークWの裏面Wと接触するクランプ片41~44と電気的に接続される。2つの整流器300A、300Bを独立して制御することで、ワークWの表面W及び裏面Wに流れる電流を独立して設定することができる。こうして、ワークWは、表面W及び裏面Wでの各メッキ面積が大きく異なっても、メッキ面積やメッキ箇所に応じて電流を調整することができる。なお、この場合には、2つの整流器300A、300Bが第1陽極142及び第2陽極152に電気的に接続される接点は、例えば、第1陽極142及び第2陽極152の各中心に配置される。
【0031】
図6(B)では、4つの整流器310A~310Dが設けられ、整流器310AはワークWの表面Wの上領域と接触するクランプ片31,32U,34Uと電気的に接続され、整流器310BはワークWの表面Wの下領域と接触するクランプ片33,32L,34Lと電気的に接続され、整流器310CはワークWの裏面Wの上領域と接触するクランプ片41,42U,44Uと電気的に接続され、整流器310DはワークWの裏面Wの下領域と接触するクランプ片43,42L,44Lと電気的に接続される。こうすると、ワークWの表面W及び裏面Wの各々で、ワークWの上領域及び下領域の2領域、つまり表裏で計4領域に流れる電流を独立して制御することが可能となる。なお、この場合には、4つの整流器310A~310Dが第1陽極142及び第2陽極152に電気的に接続される接点は、第1陽極142の上領域、第1陽極142の下領域、第2陽極152の上領域及び第2陽極152の下領域の計4領域に対応して配置される。
【0032】
図6(C)では、8つの整流器320A~320Hが設けられ、整流器320AはワークWの表面Wの左上領域と接触するクランプ片31L,32Uと電気的に接続され、整流器320BはワークWの表面Wの左下領域と接触するクランプ片32L,33Lと電気的に接続され、整流器320CはワークWの表面Wの右上領域と接触するクランプ片31R,34Uと電気的に接続され、整流器320DはワークWの表面Wの右下領域と接触するクランプ片33R,34Lと電気的に接続され、整流器320EはワークWの裏面Wの左上領域と接触するクランプ片41L,44Uと電気的に接続され、整流器320FはワークWの裏面Wの左下領域と接触するクランプ片43L,44Lと電気的に接続され、整流器320GはワークWの裏面Wの右上領域と接触するクランプ片41R,42Uと電気的に接続され、整流器320HはワークWの裏面Wの右下領域と接触するクランプ片42L,43Rと電気的に接続される。こうすると、ワークWの表面W及び裏面Wの各々で、ワークWの左上領域、左下領域、右上領域及び右下領域の4領域、つまり表裏で計8領域に流れる電流を独立して制御することが可能となる。なお、この場合には、8つの整流器320A~320Hが第1陽極142及び第2陽極152に対して電気的に接続される接点は、第1陽極142の左上領域、左下領域、右上領域及び右下領域と、第2陽極152の左上領域、第1陽極142の上領域、第1陽極142の下領域、第2陽極152の上領域及び第2陽極152の下領域と、の計8領域に対応して配置される。ただし、表裏で計8分割を超えて分割しても良い。
【0033】
1.5.液噴出部材
液噴出部材200は、ワークWの表面Wと第1陽極142との間に配置される第1液噴出部材200Aと、ワークWの裏面Wと第2陽極152との間に配置される第2液噴出部材200Bと、を含むことができる。第1液噴出部材200Aは、第1往復移動機構270(第1移動機構)Aにより、ワークWの表面Wと平行な往復方向に移動される。第2液噴出部材200Bは、第2往復移動機構(第2移動機構)270Bにより、ワークWの裏面Wと平行な往復方向に移動される。第1、第2往復移動機構270A、270Bは、スライダ・クランク機構、偏心カム等の各種の回転運動-往復直線運動変換機構を利用することができ、ここでは詳細な説明は省略する。
【0034】
本実施形態では、ワークWの表面W及び裏面Wに対して各一つの液噴出部材200A、200Bを設けている。液噴出部材200A、200Bは、ワークWの幅よりも長い移動ストロークで往復移動されることが好ましい。こうすると、ワークWの幅方向の端部と重なった位置で液噴出部材200A、200Bが折り返すことがなくなる。よって、液噴出部材200が陰極―陽極間での電界の影となる時間が、ワークWの両端と両端以外の位置とで異なることがなくなる。ワークWの表面W及び裏面Wの各面に対して、複数の液噴出部材を設けても良い。こうすると、各一つの液噴出部材の移動ストロークは短くできる。ただし、陽極142,152に対して液噴出部材200が電界の影となる時間が、ワークWの領域(例えば両端と中央)によって異なる点で不利となる。
【0035】
液噴出部材200(200A及び200B)は、図3に示すように、往復方向と交差例えば直交する二面を有する第1ガイド体210と、第1ガイド体210の例えば両側にて、第1ガイド体210の二面と間隙を介してそれぞれ配置される第2ガイド体220及び第3ガイド体230と、を含む。第1~第3ガイド体210~230のうち隣り合う各2つのガイド体は、陽極142,152とワークWとの間でワークWに向かう延在方向に沿って形成され、かつ、その延在方向と交差する方向で離間して配置される各一対の板材を構成する。図2に示すように、ワークWの少なくとも垂直長さに亘って伸びる高さを有する。第1ガイド体210と第2ガイド体220とで形成される第1の一対の板材間に、第1通路201が形成される。第1ガイド体210と第3ガイド体230とで形成される第2の一対の板材間に、第2通路202が形成される。第1ガイド体210は、第2ガイド体220及び第3ガイド体230よりも例えば長く形成され、その両端部が第2ガイド体220及び第3ガイド体230の対応する端部よりも突出している。また、第1ガイド体210のワークWと対向する端部は例えば先細り形状となっている。第1ガイド体210は、陽極ボックス140、150に近い側の端部が、ワークWと例えば平行に延びる基端部240に固定される。第2ガイド体220及び第3ガイド体230は、基端部240と例えば平行に延びる第4ガイド体250をさらに有することができる。第2ガイド体220から延びる第4ガイド体250と基端部240との間に第3通路203が形成される。第3通路203は、第1通路201と連通され、第1通路201へ処理液を導く。同様に、第3ガイド体230から延びる第4ガイド体250と基端部240との間に第4通路204が形成される。第4通路204は、第2通路202と連通され、第2通路202へ処理液を導く。第1ガイド体210と、第2ガイド体220及び第3ガイド体230とは、平板のスペーサー260により一定の間隔を保って連結される。このスペーサー260は、図2に示すように、高さ方向で間隔をあけて複数設けることができる。
【0036】
第1液噴出部材200Aは、例えばその基端部240が、例えば第1駆動源280Aによって駆動力が付与される第1往復移動機構270Aに連結されることで、図2の往復方向A、Bに移動される。同様に、第2液噴出部材200Bは、例えばその基端部240が、例えば第2駆動源280Bによって駆動力が付与される第2往復移動機構270Bに連結されることで、図2の往復方向A、Bに移動される。液噴出部材200(200A及び200B)が図2の往復方向A、Bのうちの図3の往動方向Aに移動する時に、第1ガイド体210で堰き止められるメッキ液を、第1ガイド体210と第2ガイド体220とで形成される第1の一対の板材間の第1通路201に沿って案内して、ワークWに向けて噴出させる。液噴出部材200Aが往復方向A、Bのうちの復動方向Bに移動する時に、第1ガイド体210で堰き止められるメッキ液を、第1ガイド体210と第3ガイド体230とで形成される第2の一対の板材間の第2通路202に沿って案内して、ワークWに向けて噴出させる。第2液噴出部材200Bも、第1液噴出部材200Aと同様に、往動方向Aに移動する時に第1通路201を介してメッキ液をワークWに向けて噴出させ、復動方向Bに移動する時に第2通路202を介してメッキ液をワークWに向けて噴出させる。なお、第1通路201及び第2通路202の双方を必ずしも設ける必要はない。液噴出部材200(200A及び200B)の往復方向A、Bの移動のいずれの場合でも、少なくとも一対の板材間の共通通路に処理液を案内するように、第3通路203及び第4通路204が、例えば傾斜または湾曲する等の他のガイド体によって形成されてもよい。
【0037】
こうして、処理液2がワークWと衝突することで、ワークWの主面W、W近傍の処理液を攪拌して処理液の滞留を防止し、しかも、陽極ボックス140、150付近にあるメッキ成分が豊富なフレッシュな処理液2をワークWに供給することができる。それにより、メッキ処理が促進される。また、液噴出部材200(200A及び200B)は、図2の縦方向において、スペーサー260を除いて均一に処理液2をワークWに向けて噴出することができる。スペーサー260は薄板状に形成できるので、ワークWの処理の面内均一性を損なうことはない。
【0038】
ここで、第1駆動源280Aと第2駆動源280Bとは非同期で駆動することができる。第1、第2液噴出部材200A、200BがワークWを挟んで正対すると、ワークWの同一領域にてその両面に向けて処理液2が噴出されることになる。ワークWが両面に貫通するスルーホールを有する場合、処理液2がスルーホールを通り抜け難くなる。第1、第2液噴出部材200A、200Bの一往復移動中において第1、第2液噴出部材が正対する位置は、第1、第2液噴出部材を同期して移動させると常に同じになるが、第1、第2液噴出部材を非同期で移動させることで毎回異ならせることができる。それにより、ワークWに形成されるスルーホールの位置に拘わらず、スルーホール内へのメッキを確実に実施することができる。また、第1駆動源280Aと第2駆動源280Bとは、それぞれ速度を異ならせて液噴出部材200A、200Bを移動させても良い。こうすると、ワークWに作用する処理液2の圧力が表裏面WF、WBで異なる。この圧力差を利用して、スルーホールに処理液を通過させ易くすることができる。この場合、第1駆動源280Aと第2駆動源280Bとを同期して駆動しても良いし、第1、第2駆動源280A、280Bを同一駆動源としても良い。
【0039】
また、表面処理槽100Aは、ワークWを保持した治具10が上方から降下されて装着されることで、第1槽101と第2槽102とに区画される。ここで、第1、第2液噴出部材200A、200Bを往復移動させると、第2、第3ガイド体220、230で堰き止められて反発する液流が槽内全体を攪拌する攪拌流となる。この際、第1液噴出部材200Aは第1槽101内の処理液を撹拌し、第2液噴出部材200Bは第2槽102内の処理液を撹拌することができ、しかも、一方の槽での撹拌が他方に与える悪影響を排除できる。
【0040】
また、表面処理槽100Aは、往復方向A、Bで両端に位置する2つの側壁部105、106の外側に、バッファ槽107、108を有することができる。側壁部105に形成された開口105Aは、第1槽101とバッファ槽107とを連通させる。側壁部105に形成された開口105Bは、第2槽102とバッファ槽107とを連通させる。側壁部106に形成された開口106Aは、第1槽101とバッファ槽108とを連通させる。側壁部106に形成された開口106Bは、第2槽102とバッファ槽108とを連通させる。こうすると、液噴出部材200(200A及び200B)によって処理槽100Aの両端の各々に押し寄せられた処理液をバッファ槽107、108に逃がすことができる。こうして、処理槽100Aの両端にて発生する処理液の反射波の影響を低減できる。また、バッファ槽107、108を介して、第1槽101と第2槽102との間での処理液の流通を確保することもできる。
【0041】
2.第2実施形態
図7は、本発明の第2実施形態に係る表面処理装置の平面図である。図7では、処理槽100Bは、往復方向と平行な方向で連結され、かつ、第1バッファ槽109により区画される第1処理槽100B1と第2処理槽100B2とを含むことができる。治具は、第1ワークW1を保持して第1処理槽100B1を第1槽101と第2槽102とに区画する第1治具10Aと、第2ワークW2を保持して第2処理槽100B2を第1槽101と第2槽102とに区画する第2治具10Bと、を含むことができる。その場合、第1バッファ槽109は、第1処理槽100B1の第1槽101と、第2処理槽100B2の第1槽101と、第1処理槽100B1の第2槽102と、第2処理槽100B2の第2槽102とを互いに連通させる第1~第4開口109A1、109A2、109B1、109B2を含むことができる。また、第1処理槽100B1は、往復方向の一端に設けられる第1側壁部105の外側に、第1処理槽100B1中の第1槽101及び第2槽102の間で処理液を流通させる第2バッファ槽107を含むことができる。第2処理槽100B2は、往復方向の他端に設けられる第2側壁部106の外側に、第2処理槽100B2中の第1槽101及び第2槽102の間で処理液を流通させる第3バッファ槽108を含むことができる。こうして、第1ワークW1及び第2ワークW2を同時に処理することができ、図1の処理槽100Aと同様の作用・効果を奏することができる。なお、第1バッファ109槽に代えて、中央壁を設けても良い。この場合、中央壁は、第1処理槽100B1の第1槽101と、第2処理槽100B2の第1槽101と、に連通する第1開口と、第1処理槽100B1の第2槽102と、第2処理槽100B2の第2槽102とを連通させる第2開口とを有することができる。ただし、この場合には、第1槽101と第2槽102とを連通させることはできない。
【0042】
なお、第2実施形態では、第1治具10Aと第2治具10Bとを一体的に構成しても良い。また、2つの第1液噴出部材200Aを同一駆動源で駆動し、他の2つの第2液噴出部材200Bを同一駆動源で駆動しても良い。また、表面処理槽は、広義には第1~第N(Nは2以上の整数)処理槽を連結して構成することができる。N≧3の場合には、往復方向での両端に位置する側壁部と平行して(N-1)個の隔壁が設けられる。
【符号の説明】
【0043】
1…表面処理装置、2…処理液、10、10A、10B…治具、12…本体プレート、13A…下部、13B…第1側部、13C…第2側部、14…矩形開口、16A,16B…突出片、21,41…第1クランパー、22,42…第2クランパー、23,43…第3クランパー、24,44…第4クランパー、31A~34B2、41A~44B2…導電パターン、35A,35B,45A,45B…端子群、36A~37B…配線、100A、100B…表面処理槽、101…第1槽、102…第2槽、103、104…開口、105、106…側壁部、105A、105B、106A、106B…開口、107、108、109…バッファ槽、109A、109B…第1、第2開口、110…下部支持部、120…上部支持部、142…第1陽極、152…第2陽極、200(200A,200B)…液噴出部材、201~204…第1~第4通路、210…第1ガイド体、220…第2ガイド体、230…第3ガイド体、240…基部、250…第4ガイド体、260…スペーサー、270A、270B…移動機構、270A…第1移動機構、270B…第2移動機構、W…ワーク、W…第1主面、W…第2主面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7