(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、医療機関検索システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230303BHJP
G06F 16/90 20190101ALI20230303BHJP
G06F 16/00 20190101ALI20230303BHJP
G16H 50/20 20180101ALI20230303BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06F16/90
G06F16/00
G16H50/20
(21)【出願番号】P 2018157070
(22)【出願日】2018-08-24
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100133570
【氏名又は名称】▲徳▼永 民雄
(72)【発明者】
【氏名】横道 寛史
(72)【発明者】
【氏名】島田 裕里
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-099615(JP,A)
【文献】特開2004-288047(JP,A)
【文献】特開2006-301760(JP,A)
【文献】特開2018-028886(JP,A)
【文献】特開2008-146170(JP,A)
【文献】特開2004-157978(JP,A)
【文献】特開2014-063396(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0012790(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 16/90
G06F 16/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の患者それぞれの症状と前記複数の患者それぞれの病歴とを含む患者情報を記憶する患者情報記憶装置から、前記複数の患者それぞれの患者情報を取得
するとともに、検索要求に含まれる対象患者の症状が発生する前に前記対象患者が診察を受けた医療機関における前記対象患者の診療情報を記憶する個人情報記憶装置から、前記対象患者の診療情報を取得する取得部と、
前記複数の患者それぞれの患者情報を記憶する記憶部と、
前記対象患者の診療情報から前記対象患者の病歴を抽出し、前記複数の患者それぞれの患者情報の中から、
前記対象患者の症状
と前記対象患者の病歴とを含む患者情報を抽出し、抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、前記対象患者の症状に対応する疾病を推定する推定部と、
複数の医療機関それぞれを示す識別情報と前記複数の医療機関それぞれにおいて治療実績のある疾病とを含む医療機関情報の中から、前記推定部によって推定された疾病を含む医療機関情報を検索し、前記推定部によって推定された疾病を含む医療機関情報に含まれる識別情報を出力する検索部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の患者それぞれの患者情報は、個人を特定する情報が秘匿化された秘匿化患者情報で
あることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の患者それぞれの患者情報は、前記複数の患者それぞれの投薬歴をさらに含み、
前記個人情報記憶装置は、前記対象患者の症状が発生する前に前記対象患者が購入した薬を示す購入情報をさらに記憶し、
前記取得部は、前記個人情報記憶装置から前記購入情報を取得し、
前記推定部は、前記複数の患者それぞれの患者情報の中から、前記対象患者の症状と前記対象患者の病歴と前記購入情報が示す薬の投薬歴とを含む患者情報を抽出し、抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、前記対象患者の症状に対応する疾病を推定することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数の患者それぞれの患者情報は、症状、病歴、及び投薬歴を含む複数の項目の情報を含み、
前記推定部は、前記対象患者の症状と前記対象患者の病歴と前記購入情報が示す薬の投薬歴とを含む患者情報に含まれる前記複数の項目の情報と、前記対象患者の対応する複数の項目の情報との間の一致度を求め、
前記検索部は、前記推定部によって推定された疾病を含む医療機関情報に含まれる識別情報と前記一致度とを含む、検索結果を出力することを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数の患者それぞれの症状と前記複数の患者それぞれの病歴とを含む患者情報を記憶する患者情報記憶装置と
、個人情報記憶装置と、情報処理装置とを備え、
前記個人情報記憶装置は、検索要求に含まれる対象患者の症状が発生する前に前記対象患者が診察を受けた医療機関における前記対象患者の診療情報を記憶し、
前記情報処理装置は、
前記患者情報記憶装置から前記複数の患者それぞれの患者情報を取得
するとともに、前記個人情報記憶装置から前記対象患者の診療情報を取得する取得部と、
前記複数の患者それぞれの患者情報を記憶する記憶部と、
前記対象患者の診療情報から前記対象患者の病歴を抽出し、前記複数の患者それぞれの患者情報の中から、
前記対象患者の症状
と前記対象患者の病歴とを含む患者情報を抽出し、抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、前記対象患者の症状に対応する疾病を推定する推定部と、
複数の医療機関それぞれを示す識別情報と前記複数の医療機関それぞれにおいて治療実績のある疾病とを含む医療機関情報の中から、前記推定部によって推定された疾病を含む医療機関情報を検索し、前記推定部によって推定された疾病を含む医療機関情報に含まれる識別情報を出力する検索部とを含むことを特徴とする医療機関検索システム。
【請求項6】
複数の患者それぞれの症状と前記複数の患者それぞれの病歴とを含む患者情報を記憶する患者情報記憶装置から、前記複数の患者それぞれの患者情報を取得し、
前記複数の患者それぞれの患者情報を記憶部に格納し、
検索要求に含まれる対象患者の症状が発生する前に前記対象患者が診察を受けた医療機関における前記対象患者の診療情報を記憶する個人情報記憶装置から、前記対象患者の診療情報を取得し、
前記対象患者の診療情報から前記対象患者の病歴を抽出し、
前記複数の患者それぞれの患者情報の中から、
前記対象患者の症状
と前記対象患者の病歴とを含む患者情報を抽出し、
抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、前記対象患者の症状に対応する疾病を推定し、
複数の医療機関それぞれを示す識別情報と前記複数の医療機関それぞれにおいて治療実績のある疾病とを含む医療機関情報の中から、推定された疾病を含む医療機関情報を検索し、
推定された疾病を含む医療機関情報に含まれる識別情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、医療機関検索システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビッグデータ分析に対するニーズがますます高まっている。ビッグデータ分析において、より正確で有用な分析結果を得るためには、可能な限り多くのデータサンプルの収集を行うことが望ましい。
【0003】
政府は、国内の医療分野におけるビッグデータ分析を促進するために、全国の医療機関から電子カルテ等の医療情報を集め、ビッグデータとして活用する制度を創設する計画を持っている。全国の医療機関から集められる医療情報は、ビッグデータ分析によって活用されるだけでなく、患者にとっても、受診する医療機関を選択する際に大きく役立つ情報である。
【0004】
医療情報に関して、全国の医療機関から収集した医療情報を解析する際に、情報漏えいのリスクを低下させる情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。救急医療情報の提供方法、患者のプライバシーの侵害となる電子カルテの閲覧を抑止する電子カルテ管理プログラム、及び適切な薬の投与量を導き出す情報処理装置も知られている(例えば、特許文献2~特許文献4を参照)。インターネット上で病院を検索する検索サイトも存在する(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-28886号公報
【文献】特開2012-212199号公報
【文献】特開2017-111665号公報
【文献】国際公開第2017/146067号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【文献】“病院情報局”、[online]、[平成30年6月25日検索]、インターネット<URL:https://hospia.jp/Home/Toplst?id=0>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
病気になった患者がインターネット上の検索サイトを利用して病院を検索する場合、自分自身で症状を判断し、病院等の情報を扱う団体をインターネット上で検索し、受診する病院及び診療科を自分自身で判断することになる。
【0008】
しかしながら、自分自身で症状を判断する場合、症状に合った適切な病院を検索することは困難である。
【0009】
なお、かかる問題は、患者自身が病院を検索する場合に限らず、患者の家族、医療関係者等が病院を検索する場合においても生ずるものである。
【0010】
1つの側面において、本発明は、患者の症状に基づいて医療機関を検索し、適切な医療機関を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの案では、情報処理装置は、取得部、記憶部、推定部、及び検索部を含む。
【0012】
取得部は、複数の患者それぞれの症状とそれらの患者それぞれの病歴とを含む患者情報を記憶する患者情報記憶装置から、複数の患者それぞれの患者情報を取得し、記憶部は、取得された患者情報を記憶する。推定部は、記憶部が記憶する患者情報の中から、対象患者の症状を含む患者情報を抽出し、抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、対象患者の症状に対応する疾病を推定する。
【0013】
検索部は、複数の医療機関それぞれを示す識別情報とそれらの医療機関それぞれにおいて治療実績のある疾病とを含む医療機関情報の中から、推定部によって推定された疾病を含む医療機関情報を検索する。そして、検索部は、推定部によって推定された疾病を含む医療機関情報に含まれる識別情報を出力する。
【発明の効果】
【0014】
実施形態によれば、患者の症状に基づいて医療機関を検索し、適切な医療機関を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図16A】医療機関検索シーケンスを示す図(その1)である。
【
図16B】医療機関検索シーケンスを示す図(その2)である。
【
図17】情報処理装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。
【0017】
特許文献1の情報処理システムでは、データセンターにおいてクラウド環境が構築され、各病院のカルテ情報が収集される。そして、カルテ情報に含まれる患者の個人情報が秘匿化され、秘匿化されたカルテ情報がデータベースに蓄積される。これにより、蓄積されたカルテ情報を検索する際に、個人を特定する情報を秘匿化したままで、カルテ情報を参照することができる。
【0018】
この情報処理システムでは、患者の個人情報を含む、秘匿化されていないカルテ情報を参照できるのは、情報解析機関のみであり、研究機関、製薬会社等の情報利用機関は、個人情報を含まないカルテ情報の解析結果のみを参照することができる。
【0019】
情報解析機関内においても、秘匿化されていないカルテ情報が伝送される第1通信ネットワークと、解析者がアクセス可能な第2通信ネットワークとを分離することで、解析者による秘匿化されていないカルテ情報へのアクセスが禁止される。この場合、第1通信ネットワーク及び第2通信ネットワークは、秘匿化されたカルテ情報を記憶するストレージ装置の異なるネットワークインタフェースにそれぞれ接続されており、物理的に分離されている。したがって、秘匿化されていないカルテ情報のセキュリティが向上し、解析者を介して患者の個人情報が漏えいするリスクが低下する。
【0020】
一方、病気になった患者がインターネット上の検索サイトを利用して病院を検索する場合、自分自身で症状を判断し、病院等の情報を扱う団体をインターネット上で検索し、受診する病院及び診療科を自分自身で判断することになる。
【0021】
しかしながら、自分自身で症状を判断する場合、症状に合った適切な病院を検索することは困難である。例えば、症状が発熱である場合、患者は原因が風邪であると判断して病院を検索することが多く、他の感染症の可能性を考慮した検索が行われない。
【0022】
図1は、実施形態の情報処理装置(コンピュータ)の機能的構成例を示している。
図1の情報処理装置101は、取得部111、記憶部112、推定部113、及び検索部114を含む。
【0023】
図2は、
図1の情報処理装置101が行う医療機関検索処理の例を示すフローチャートである。まず、取得部111は、複数の患者それぞれの症状とそれらの患者それぞれの病歴とを含む患者情報を記憶する患者情報記憶装置から、複数の患者それぞれの患者情報を取得し(ステップ201)、取得した患者情報を記憶部112に格納する(ステップ202)。
【0024】
次に、推定部113は、記憶部112が記憶する患者情報の中から、対象患者の症状を含む患者情報を抽出し(ステップ203)、抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、対象患者の症状に対応する疾病を推定する(ステップ204)。
【0025】
次に、検索部114は、複数の医療機関それぞれを示す識別情報とそれらの医療機関それぞれにおいて治療実績のある疾病とを含む医療機関情報の中から、推定部113によって推定された疾病を含む医療機関情報を検索する(ステップ205)。そして、検索部114は、推定部113によって推定された疾病を含む医療機関情報に含まれる識別情報を出力する(ステップ206)。
【0026】
図1の情報処理装置101によれば、患者の症状に基づいて医療機関を検索し、適切な医療機関を特定することができる。例えば、医療機関は、病院、診療所、介護老人保健施設等である。
【0027】
図3は、
図1の情報処理装置101を含む医療機関検索システムの構成例を示している。
図3の医療機関検索システムは、医療機関情報DB(database)311、サーバ312、端末313、サーバ314、個人情報DB315、サーバ316、及び端末317を含む。さらに、医療機関検索システムは、診療情報DB318、サーバ319、秘匿化患者情報DB320、統合患者情報DB321、サーバ322、及びサーバ323を含む。
【0028】
医療機関情報DB311は、情報提供機関の記憶装置であり、医療機関情報を記憶する。サーバ312は、情報提供機関の情報処理装置である。情報提供機関は、医療機関情報を提供する団体であり、政府であってもよく、民間団体であってもよい。
【0029】
端末313は、病院の情報処理装置であり、患者の診療情報である電子カルテ331を記憶する。端末313は、例えば、全国に存在する複数の病院それぞれに設けられている。
【0030】
サーバ314は、薬局の情報処理装置であり、薬局において販売された薬について、薬品名、販売日、購入者の情報等を含む販売情報を記憶する。サーバ314は、例えば、全国に存在する複数の薬局それぞれに設けられている。
【0031】
個人情報DB315は、PDS(Personal Data Store)システムの個人情報記憶装置であり、ユーザの個人情報を記憶する。PDSシステムは、ユーザが自分自身のあらゆる個人情報を蓄積して管理し、アクセス権を付与した提供先のサービスで個人情報を活用することを可能にするシステムである。ユーザの個人情報には、いずれかの病院におけるユーザの診療情報、ユーザが購入した薬を示す購入情報等が含まれる。サーバ316は、PDSシステムの情報処理装置である。PDSシステムは、例えば、ユーザ毎に設けられる。
【0032】
端末317は、対象患者であるユーザが使用するスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。
【0033】
診療情報DB318は、情報収集機関の記憶装置であり、各患者の診療情報を記憶する。サーバ319は、情報収集機関の情報処理装置である。情報収集機関は、各病院から診療情報を収集して保管する機関である。診療情報DB318は、例えば、患者毎に設けられる。
【0034】
秘匿化患者情報DB320及び統合患者情報DB321は、情報秘匿化機関の患者情報記憶装置である。秘匿化患者情報DB320は、各患者の秘匿化された患者情報を記憶し、統合患者情報DB321は、複数の患者の秘匿化された患者情報を、統合患者情報として記憶する。統合患者情報は、多数の患者情報を含むビッグデータに対応する。サーバ322は、情報秘匿化機関の情報処理装置である。情報秘匿化機関は、患者の診療情報を秘匿化して保管する機関である。秘匿化患者情報DB320は、例えば、患者毎に設けられる。
【0035】
サーバ323は、情報解析機関の情報処理装置であり、取得部341、記憶部342、推定部343、及び検索部344を含む。情報解析機関は、ユーザの症状に基づいて医療機関検索処理を行い、その症状に適合した病院を特定する機関である。サーバ323は、
図1の情報処理装置101に対応し、取得部341、記憶部342、推定部343、及び検索部344は、取得部111、記憶部112、推定部113、及び検索部114にそれぞれ対応する。
【0036】
サーバ312、サーバ316、及びサーバ322は、通信ネットワークを介してサーバ323と通信し、端末313、サーバ316、及びサーバ322は、通信ネットワークを介してサーバ319と通信する。サーバ314は、通信ネットワークを介してサーバ316と通信し、端末317は、通信ネットワークを介してサーバ323と通信する。
【0037】
図3の医療機関検索システムでは、例えば、以下の手順でユーザの診療情報が収集される。
(P1)ユーザは、病院に通院し、患者として医師の診察を受ける。
(P2)医師は、端末313に診察結果を入力し、端末313は、電子カルテ331を生成する。
(P3)端末313は、電子カルテ331をサーバ319へ送信し、サーバ319は、受信した電子カルテ331を、ユーザの診療情報として診療情報DB318に格納する。これにより、ユーザの診療情報が診療情報DB318にバックアップされる。ユーザが複数の病院で診察を受けた場合、それぞれの病院の端末313から診療情報が収集されて、診療情報DB318に格納される。端末313とサーバ319との間の通信は暗号化される。
(P4)サーバ319は、同期処理を行って、診療情報DB318の診療情報から所定の情報を抽出し、抽出した情報をサーバ316へ送信する。サーバ316は、受信した情報を、ユーザの診療情報として個人情報DB315に格納する。サーバ319とサーバ316との間の通信は暗号化される。
【0038】
サーバ319は、ユーザの電子カルテ331が更新されたタイミングで同期処理を行ってもよく、1か月に一度のように、定期的に同期処理を行ってもよい。医療機関検索システムは、例えば、先願である特願2017-81245号に記載された技術を用いて、ユーザの診療情報を収集することも可能である。
【0039】
サーバ319は、同期処理を行うタイミングで、診療情報DB318の診療情報をサーバ322へ送信する。サーバ322は、受信した診療情報に含まれるユーザの個人情報を秘匿化することで、そのユーザの秘匿化された患者情報を生成し、秘匿化患者情報DB320に格納する。サーバ319とサーバ322との間の通信は暗号化される。サーバ322は、例えば、特許文献1に記載された技術を用いて、秘匿化された患者情報を生成することができる。
【0040】
そして、サーバ322は、複数のユーザの秘匿化された患者情報を、統合患者情報として統合患者情報DB321に格納する。
【0041】
図3の医療機関検索システムでは、例えば、以下の手順でユーザの購入情報が収集される。
(P11)ユーザは、薬局で薬を購入する。購入する薬は、ユーザが受診した病院の医師によって処方される場合もあり、ユーザが自分自身で選択する場合もある。
(P12)薬局の販売員は、サーバ314に薬の販売情報を入力する。
(P13)サーバ314は、同期処理を行って、販売情報から所定の情報を抽出し、抽出した情報をサーバ316へ送信する。サーバ316は、受信した情報を、ユーザの購入情報として個人情報DB315に格納する。サーバ314とサーバ316との間の通信は暗号化される。
【0042】
サーバ314は、ユーザが薬を購入したタイミングで同期処理を行ってもよく、1か月に一度のように、定期的に同期処理を行ってもよい。医療機関検索システムは、例えば、先願である特願2017-199730号に記載された技術を用いて、ユーザの購入情報を収集することも可能である。
【0043】
図3の医療機関検索システムでは、対象患者であるユーザAが病気になり、特定の症状が発生した場合に、例えば、以下の手順で医療機関検索処理が行われる。
(P21)ユーザAは、端末317内で動作する患者アプリケーションプログラムを用いて、情報解析機関が提供する医療機関検索サービスにログインし、検索要求を端末317に入力する。検索要求には、ユーザAの識別情報であるユーザIDと、ユーザAが自覚している症状とが含まれる。
(P22)端末317は、検索要求をサーバ323へ送信し、サーバ323の取得部341は、受信した検索要求からユーザIDを抽出する。
(P23)取得部341は、抽出したユーザIDを含む個人情報要求をサーバ316へ送信する。
(P24)サーバ316は、受信した個人情報要求からユーザIDを抽出し、抽出したユーザIDに対応するユーザAの個人情報を個人情報DB315から取得する。そして、サーバ316は、取得した個人情報をサーバ323へ送信する。ユーザAの個人情報には、今回の症状が発生する前にユーザAが診察を受けた病院における診療情報と、今回の症状が発生する前にユーザAが購入した薬を示す購入情報とが含まれる。サーバ316とサーバ323との間の通信は暗号化される。
(P25)取得部341は、情報秘匿化機関が提供する患者情報提供サービスの認証を受けた後、患者情報要求をサーバ322へ送信する。
(P26)サーバ322は、統合患者情報DB321から統合患者情報を取得し、取得した統合患者情報をサーバ323へ送信する。統合患者情報に含まれる秘匿化された患者情報には、複数の項目の情報が含まれている。それらの項目は、患者の症状、病歴、及び投薬歴を含む。サーバ322とサーバ323との間の通信は暗号化される。
(P27)取得部341は、サーバ316から受信した個人情報及びサーバ322から受信した統合患者情報を、サーバ323内で動作するユーザAの仮想マシン(Virtual Machine,VM)を介して、記憶部342に格納する。
(P28)推定部343は、検索要求及び個人情報を統合患者情報と比較することで、検索要求に含まれる症状を含む患者情報を、統合患者情報から抽出する。そして、推定部343は、抽出した患者情報に含まれる病歴に基づいて、ユーザAの症状に対応する疾病を推定する。
(P29)取得部341は、医療機関情報要求をサーバ312へ送信する。
(P30)サーバ312は、医療機関情報DB311から医療機関情報を取得し、取得した医療機関情報をサーバ323へ送信する。医療機関情報には、複数の医療機関それぞれの識別情報である病院名と、その病院において治療実績のある疾病を示す病名とが含まれている。
(P31)取得部341は、サーバ312から受信した医療機関情報を記憶部342に格納する。
(P32)検索部344は、医療機関情報の中から、推定部343によって推定された疾病を含む医療機関情報を検索し、その医療機関情報に含まれる病院名を検索結果として出力する。
(P33)検索部344は、検索結果を端末317へ送信し、端末317は、受信した検索結果を画面に表示する。
【0044】
図3の医療機関検索システムによれば、ユーザが入力した検索要求に加えて、そのユーザの過去の診療情報及び購入情報と、ビッグデータである統合患者情報とを用いることで、ユーザの疾病を精度良く推定することができる。これにより、推定された疾病から適切な医療機関を自動的に特定して、ユーザに提示することが可能になる。
【0045】
なお、ユーザの代わりに、ユーザの家族又は救急隊員等の医療関係者が、別の端末から医療機関検索サービスにログインして、検索結果を取得することもできる。
【0046】
図4は、個人情報DB315が記憶する診療情報の例を示している。
図4の診療情報は、ID、生年月日、性別、住所、血液型、病歴、投薬歴、及び症状を含む。IDは、診療情報のエントリの識別情報であり、病歴は、診察によって特定された病名を表し、投薬歴は、治療に用いられた薬を表し、症状は、診察によって特定された症状を表す。
【0047】
図5は、個人情報DB315が記憶する購入情報の例を示している。
図5の購入情報は、ID、医療機関、氏名、性別、住所、血液型、日付、及び薬品名を含む。IDは、購入情報のエントリの識別情報であり、医療機関は、薬を処方した病院の病院名を表し、日付は、ユーザが薬を購入した日付を表し、薬品名は、ユーザが購入した薬を表す。ID“1”のA薬は、ユーザが自分自身で選択して購入した市販薬であり、ID“2”のC薬は、B病院の医師によって処方された薬である。
【0048】
図6は、手順(P21)において、ユーが医療機関検索サービスにログインしたときにサーバ323が取得するログイン情報の例を示している。
図6のログイン情報は、ユーザID、パスワード、及びタイムスタンプを含む。ユーザID及びパスワードは、ユーザによって端末317に入力される。
【0049】
図7は、手順(P21)において、ユーザによって入力される検索要求の例を示している。
図7の検索要求は、ユーザID、生年月日、性別、住所、血液型、及び症状を含む。症状は、ユーザが自分自身で判断した症状を表す。
【0050】
図8は、手順(P28)において、検索要求と、個人情報に含まれる診療情報及び購入情報とから生成される、比較対象リストの例を示している。推定部343は、検索要求、診療情報、及び購入情報から所定の項目の情報を抽出して結合することで、比較対象リストを生成し、記憶部342に格納する。
【0051】
図8の比較対象リストは、性別、生年月日、住所、血液型、医療機関、投薬歴、症状、病歴、及び治療中フラグを含む。性別、生年月日、住所、血液型、及び症状は、検索要求から抽出された情報であり、医療機関は、購入情報から抽出された情報であり、病歴は、診療情報から抽出された情報である。治療中フラグは、病歴に対応する疾病が現在治療中であるか否かを示す。
【0052】
投薬歴は、診療情報及び購入情報から抽出された情報である。例えば、
図4の診療情報の投薬歴に記述されたA注射及びC薬は、比較対象リストの投薬歴に記述される。また、
図5の購入情報の薬品名に記述されたA薬及びC薬も、比較対象リストの投薬歴に記述される。
【0053】
推定部343は、比較対象リストの所定の項目を統合患者情報の同じ項目と比較することで、統合患者情報を絞り込み、絞り込み結果を生成する。例えば、推定部343は、以下の手順で統合患者情報を絞り込むことができる。
(P41)推定部343は、統合患者情報から、比較対象リストの症状と同じ症状を含む患者情報を抽出する。
(P42)推定部343は、抽出された患者情報の中から、比較対象リストのいずれかの病歴と同じ病歴を含む患者情報を抽出する。この場合、推定部343は、同じ病歴を多く含む患者情報から順に抽出してもよい。
(P43)推定部343は、抽出された患者情報の中から、比較対象リストのいずれかの投薬歴と同じ投薬歴を含む患者情報を抽出する。この場合、推定部343は、同じ投薬歴を多く含む患者情報から順に抽出してもよい。
(P44)推定部343は、抽出された患者情報の中から、比較対象リストの性別と同じ性別を含む患者情報を抽出する。
(P45)推定部343は、抽出された患者情報の中から、比較対象リストの血液型と同じ血液型を含む患者情報を抽出する。
【0054】
統合患者情報から比較対象リストの症状を含む患者情報を抽出することで、対象患者であるユーザAの症状をキーとして、患者情報を絞り込むことができる。これにより、抽出された患者情報の病歴に基づいてユーザAの疾病を推定することが可能になる。
【0055】
統合患者情報から比較対象リストの病歴を含む患者情報を抽出することで、ユーザAの病歴をキーとして、患者情報を絞り込むことができる。統合患者情報から比較対象リストの投薬歴を含む患者情報を抽出することで、ユーザAの投薬歴をキーとして、患者情報を絞り込むことができる。病歴又は投薬歴をキーとして患者情報を絞り込むことにより、ユーザAと体質が類似する患者の患者情報が抽出されるため、疾病の推定精度が向上する。
【0056】
また、統合患者情報から比較対象リストの性別を含む患者情報を抽出することで、ユーザAの性別をキーとして、患者情報を絞り込むことができる。統合患者情報から比較対象リストの血液型を含む患者情報を抽出することで、ユーザAの血液型をキーとして、患者情報を絞り込むことができる。性別又は血液型をキーとして患者情報を絞り込むことにより、ユーザAとさらに類似した体質を有する患者の患者情報が抽出されるため、疾病の推定精度がさらに向上する。
【0057】
なお、推定部343は、生年月日、住所等の別の項目をキーとして患者情報を絞り込んでもよく、手順(P42)~手順(P45)のうち一部又は全部の処理を省略してもよい。
【0058】
図9は、絞り込み結果の例を示している。
図9の絞り込み結果は、統合患者情報の項目であるID、性別、生年月日、住所、血液型、投薬歴、症状、病歴、及び医療機関を含む。IDは、統合患者情報のエントリの識別情報であり、患者情報毎に割り当てられている。ID以外の項目は、診療情報DB318が記憶する診療情報の項目に対応し、生年月日及び住所は、個人が特定されない情報に変換されている。
【0059】
医療機関は、患者が受診した病院の病院名を表し、症状及び病歴は、診察によって特定された症状及び病名をそれぞれ表し、投薬歴は、治療に用いられた薬を表す。各患者情報の投薬歴、症状、病歴、及び医療機関の各々には、複数のデータが含まれており、投薬歴、症状、病歴、及び医療機関の各データは、互いに関連付けられている。
【0060】
次に、推定部343は、比較対象リスト及び絞り込み結果から、ユーザAの症状に対応する病歴を有する患者の患者リストを生成し、記憶部342に格納する。
【0061】
図10は、患者リストの例を示している。
図10の患者リストは、ID、性別、血液型、一致度、病歴、及び住所を含む。IDは、患者リストのエントリの識別情報であり、性別、血液型、病歴、及び住所は、絞り込み結果に含まれる患者情報から抽出された情報である。病歴は、ユーザAの疾病の推定結果に対応し、絞り込み結果の各患者情報に含まれる病歴のうち、ユーザAの症状と同じ症状に関連付けられた病歴を表す。
【0062】
一致度は、比較対象リストに含まれる複数の項目の情報と、絞り込み結果の各患者情報に含まれる複数の項目の情報とが一致している度合いを示し、次式により求められる。
【0063】
一致度=(M/N)×100 (1)
式(1)のNは、比較対象リストに含まれる項目の個数を表し、Mは、絞り込み結果の各患者情報に含まれる項目のうち、比較対象リストと同じ情報を有する項目の個数を表す。推定部343は、式(1)を用いて各患者情報の一致度を求め、求めた一致度を患者リストに記録する。
【0064】
なお、各患者情報の投薬歴が比較対象リストの投薬歴に記述された薬のいずれかを含んでいる場合、その患者情報の投薬歴は比較対象リストと同じ情報を有すると判定される。また、各患者情報の症状が比較対象リストの症状を含んでいる場合、その患者情報の症状は比較対象リストと同じ情報を有すると判定される。さらに、各患者情報の病歴が比較対象リストの病歴に記述された病名のいずれかを含んでいる場合、その患者情報の病歴は比較対象リストと同じ情報を有すると判定される。
【0065】
例えば、
図8の比較対象リストの場合、N=9であり、
図9のID“1”が示す患者情報の場合、性別、住所、血液型、投薬歴、症状、及び病歴が比較対象リストと同じ情報を有するため、M=6となる。したがって、式(1)より、この患者情報の一致度は66%となる。
図10の患者リストのエントリは、一致度が大きいものから順にソートされている。このうち、ID“1”が示すエントリは、
図9のID“1”が示す患者情報に対応している。
【0066】
手順(P32)において、検索部344は、医療機関情報の中から、患者リストの各病歴を含む医療機関情報を抽出し、抽出した医療機関情報を用いて検索結果を生成する。
【0067】
図11は、
図10のID“1”の病歴として記述された「胃潰瘍」を含む医療機関情報の例を示している。
図11の医療機関情報は、ID、疾病、治療方法、医療機関、診療科、及び治療実績を含む。IDは、医療機関情報のエントリの識別情報であり、疾病は、医療機関において治療実績のある疾病を表す。この例では、疾病は「胃潰瘍」である。治療方法は、その疾病の治療に用いられた方法を表し、医療機関は、病院名を表し、診療科は、治療を行った医師が属する診療科を表し、治療実績は、その医療機関における疾病の治癒率を表す。
【0068】
例えば、検索部344は、患者リストの各病歴と同じ疾病を含む医療機関情報のうち、治癒率が高いものから順に所定数のエントリを抽出し、抽出したエントリを含む検索結果を生成する。
図11の医療機関情報から2個のエントリを抽出する場合、ID“1”及びID“2”のエントリが抽出される。
【0069】
図12は、
図11の患者リストを用いて生成される検索結果の例を示している。
図12の検索結果は、一致度、疾病、治療実績、医療機関、診療科、及び距離を含む。一致度は、患者リストから抽出された情報であり、疾病、治療実績、医療機関、及び診療科は、医療機関情報から抽出された情報である。距離は、ユーザAの住所を用いて検索部344によって計算された、ユーザAの自宅から医療機関までの距離を表す。
【0070】
図12の検索結果が端末317の画面に表示された場合、ユーザAは、例えば、最大の一致度に対応付けられた疾病を、自分の症状に対応する疾病と判断することができる。そして、ユーザAは、その疾病に対応付けられた医療機関及び診療科のうち、治療実績が最も高い医療機関及び診療科を、受診する医療機関及び診療科として選択する。ユーザAは、距離が最も近い医療機関及び診療科を、受診する医療機関及び診療科として選択することもできる。
【0071】
図12の例では、一致度の最大値66%に対応付けられた胃潰瘍が、ユーザAの疾病とみなされ、胃潰瘍に対応付けられたA病院及び梅田病院のうち、治療実績が高く、かつ、距離が近いA病院が、受診する医療機関として選択される。この場合、受診する診療科は消化器内科となる。
【0072】
このように、病名、病院名、及び一致度を対応付けた検索結果を表示することで、ユーザAは、大きな一致度を有する疾病が自分の疾病であると判断して、その疾病の治療に適した病院を受診することが可能になる。
【0073】
図13は、手順(P21)において、端末317が表示するログイン画面の例を示している。
図13のログイン画面は、ユーザID及びパスワードを入力するテキストボックスを含む。
【0074】
図14は、手順(P21)において、端末317が表示する検索画面の例を示している。
図14の検索画面は、症状を指定する複数のチェックボックスと、部位を指定する複数のチェックボックスとを含む。ユーザAは、症状と部位の組み合わせを選択することで、自覚している症状を検索要求として入力することができる。例えば、「痛み」と「腹部」の組み合わせが選択された場合、「腹部痛い」という症状が入力される。
【0075】
【0076】
図15は、情報収集シーケンスの例を示している。まず、ユーザは病院に通院し(ステップ1501)、病院の端末313は、医師によって入力される診察結果から電子カルテ331を生成する(ステップ1502)。
【0077】
次に、端末313は、電子カルテ331を情報収集機関のサーバ319へ送信し(ステップ1511)、サーバ319は、受信した電子カルテ331を、ユーザの診療情報として診療情報DB318に書き込む(ステップ1512)。
【0078】
次に、サーバ319は、診療情報をPDSシステムのサーバ316へ送信する(ステップ1521)。サーバ316は、診療情報を受信し(ステップ1522)、受信した診療情報を、ユーザの診療情報として個人情報DB315に書き込む(ステップ1523)。
【0079】
ユーザは、病院の医師によって薬が処方された場合、又は自分自身の判断で薬を所望する場合、薬局で薬を購入する(ステップ1531)。薬局のサーバ314は、販売員によって入力された販売情報を記録し(ステップ1532)、販売情報をサーバ316へ送信する(ステップ1533)。サーバ316は、販売情報を受信し(ステップ1534)、受信した販売情報を、ユーザの購入情報として個人情報DB315に書き込む(ステップ1535)。
【0080】
図16A及び
図16Bは、医療機関検索シーケンスの例を示している。まず、対象患者であるユーザAは、検索要求を端末317に入力し、端末317は、検索要求を情報解析機関のサーバ323へ送信する(ステップ1611)。
【0081】
サーバ323の取得部341は、受信した検索要求からユーザIDを抽出し、そのユーザIDを含む個人情報要求を、PDSシステムのサーバ316へ送信する(ステップ1612)。
【0082】
サーバ316は、受信した個人情報要求からユーザIDを抽出し、そのユーザIDに対応するユーザAの個人情報を、個人情報DB315から読み出す(ステップ1613)。そして、サーバ316は、読み出した個人情報をサーバ323へ送信する。
【0083】
次に、取得部341は、患者情報要求を情報秘匿化機関のサーバ322へ送信する(ステップ1614)。サーバ322は、統合患者情報DB321から統合患者情報を読み出し、その統合患者情報をサーバ323へ送信する(ステップ1615)。そして、取得部341は、ユーザAのVM1601を介して、個人情報及び統合患者情報を記憶部342に書き込む(ステップ1616)。
【0084】
次に、推定部343は、検索要求及び個人情報から比較対象リストを生成し(ステップ1617)、統合患者情報から、比較対象リストの症状と同じ症状を含む患者情報を抽出する(ステップ1618)。このとき、推定部343は、同じ症状を含む患者情報が統合患者情報に存在するか否かをチェックする(ステップ1619)。推定部343は、同じ症状を含む患者情報が存在する場合(ステップ1619,YES)、その患者情報を抽出し、同じ症状を含む患者情報が存在しない場合(ステップ1619,NO)、抽出処理をスキップする(ステップ1620)。
【0085】
次に、推定部343は、抽出された患者情報又は残された患者情報の中から、比較対象リストのいずれかの病歴と同じ病歴を含む患者情報を抽出する(ステップ1621)。このとき、推定部343は、同じ病歴を含む患者情報が存在するか否かをチェックする(ステップ1622)。推定部343は、同じ病歴を含む患者情報が存在する場合(ステップ1622,YES)、その患者情報を抽出し、同じ病歴を含む患者情報が存在しない場合(ステップ1622,NO)、抽出処理をスキップする(ステップ1623)。
【0086】
次に、推定部343は、抽出された患者情報又は残された患者情報の中から、比較対象リストのいずれかの投薬歴と同じ投薬歴を含む患者情報を抽出する(ステップ1624)。このとき、推定部343は、同じ投薬歴を含む患者情報が存在するか否かをチェックする(ステップ1625)。推定部343は、同じ投薬歴を含む患者情報が存在する場合(ステップ1625,YES)、その患者情報を抽出し、同じ投薬歴を含む患者情報が存在しない場合(ステップ1625,NO)、抽出処理をスキップする(ステップ1626)。
【0087】
次に、推定部343は、抽出された患者情報又は残された患者情報の中から、比較対象リストの性別と同じ性別を含む患者情報を抽出する(ステップ1627)。このとき、推定部343は、同じ性別を含む患者情報が存在するか否かをチェックする(ステップ1628)。推定部343は、同じ性別を含む患者情報が存在する場合(ステップ1628,YES)、その患者情報を抽出し、同じ性別を含む患者情報が存在しない場合(ステップ1628,NO)、抽出処理をスキップする(ステップ1629)。
【0088】
次に、推定部343は、抽出された患者情報又は残された患者情報の中から、比較対象リストの血液型と同じ血液型を含む患者情報を抽出する(ステップ1630)。このとき、推定部343は、同じ血液型を含む患者情報が存在するか否かをチェックする(ステップ1631)。推定部343は、同じ血液型を含む患者情報が存在する場合(ステップ1631,YES)、その患者情報を抽出し、同じ血液型を含む患者情報が存在しない場合(ステップ1631,NO)、抽出処理をスキップする(ステップ1632)。
【0089】
次に、推定部343は、比較対象リストと、ステップ1618~ステップ1632の処理によって絞り込まれた患者情報とから、推定された疾病を含む患者リストを生成する(ステップ1633)。
【0090】
次に、取得部341は、医療機関情報要求を情報提供機関のサーバ312へ送信する(ステップ1634)。サーバ312は、医療機関情報DB311から医療機関情報を読み出し、その医療機関情報をサーバ323へ送信する(ステップ1635)。
【0091】
次に、検索部344は、受診した医療機関情報の中から、推定された疾病を含む医療機関情報を抽出する。このとき、検索部344は、推定された疾病を含む医療機関情報が受信した医療機関情報の中に存在するか否かをチェックする(ステップ1637)。検索部344は、推定された疾病を含む医療機関情報が存在する場合(ステップ1637,YES)、その患者情報を抽出し、推定された疾病を含む医療機関情報が存在しない場合(ステップ1637,NO)、抽出処理をスキップする(ステップ1638)。
【0092】
検索部344は、推定された疾病を含む医療機関情報が抽出された場合、その医療機関情報を含む検索結果を生成し、抽出処理がスキップされた場合、検索要求を満たす医療機関が存在しないことを示す検索結果を生成する。
【0093】
検索部344は、検索結果をユーザAの端末317へ送信し(ステップ1639)、端末317は、検索結果を受信して(ステップ1640)、受信した検索結果を画面に表示する(ステップ1641)。
【0094】
図1の情報処理装置の構成は一例に過ぎず、情報処理装置の用途又は条件に応じて一部の構成要素を省略又は変更してもよい。
【0095】
図3の医療機関検索システムの構成は一例に過ぎず、医療機関検索システムの用途又は条件に応じて一部の構成要素を省略又は変更してもよい。例えば、端末313は、診療所、介護老人保健施設等の他の医療機関に設置されていてもよい。
【0096】
図2のフローチャート及び
図15~
図16Bの動作シーケンスは一例に過ぎず、医療機関検索システムの構成又は条件に応じて一部の処理を省略又は変更してもよい。例えば、
図16A及び
図16Bの医療機関検索シーケンスにおいて、比較対象リストの症状のみをキーとして統合患者情報を絞り込む場合は、ステップ1621~ステップ1632の処理を省略することができる。
【0097】
図4~
図8に示した診療情報、購入情報、ログイン情報、検索要求、及び比較対象リストは一例に過ぎず、医療機関検索システムの用途又は条件に応じて、一部の項目を省略又は変更してもよい。
図9~
図12に示した絞り込み結果、患者リスト、医療機関情報、及び検索結果は一例に過ぎず、これらの情報は、比較対象リストの情報に応じて変化する。
図11及び
図12の治療実績として、治癒率の代わりに、治療した患者の人数を用いてもよい。
【0098】
図13に示したログイン画面と
図14に示した検索画面は一例に過ぎず、医療機関検索システムの用途又は条件に応じて、一部の項目を省略又は変更してもよい。
【0099】
図17は、
図1の情報処理装置101及び
図3のサーバ323として用いられる情報処理装置のハードウェア構成例を示している。
図17の情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)1701、メモリ1702、入力装置1703、出力装置1704、補助記憶装置1705、媒体駆動装置1706、及びネットワーク接続装置1707を含む。これらの構成要素はバス1708により互いに接続されている。
【0100】
メモリ1702は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリであり、処理に用いられるプログラム及びデータを格納する。メモリ1702は、
図1の記憶部112又は
図3の記憶部342として用いることができる。
【0101】
CPU1701(プロセッサ)は、例えば、メモリ1702を利用してプログラムを実行することにより、
図1の取得部111、推定部113、及び検索部114として動作する。CPU1701は、メモリ1702を利用してプログラムを実行することにより、
図3の取得部341、推定部343、及び検索部344としても動作する。
【0102】
入力装置1703は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス等であり、オペレータ又はユーザからの指示又は情報の入力に用いられる。出力装置1704は、例えば、表示装置、プリンタ、スピーカ等であり、オペレータ又はユーザに対する問い合わせ又は処理結果の出力に用いられる。
【0103】
補助記憶装置1705は、例えば、磁気ディスク装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置、テープ装置等である。補助記憶装置1705は、ハードディスクドライブであってもよい。情報処理装置は、補助記憶装置1705にプログラム及びデータを格納しておき、それらをメモリ1702にロードして使用することができる。補助記憶装置1705は、
図1の記憶部112又は
図3の記憶部342として用いることができる。
【0104】
媒体駆動装置1706は、可搬型記録媒体1709を駆動し、その記録内容にアクセスする。可搬型記録媒体1709は、メモリデバイス、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク等である。可搬型記録媒体1709は、DVD(Digital Versatile Disk)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等であってもよい。オペレータ又はユーザは、この可搬型記録媒体1709にプログラム及びデータを格納しておき、それらをメモリ1702にロードして使用することができる。
【0105】
このように、処理に用いられるプログラム及びデータを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、メモリ1702、補助記憶装置1705、又は可搬型記録媒体1709のような、物理的な(非一時的な)記録媒体である。
【0106】
ネットワーク接続装置1707は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続され、通信に伴うデータ変換を行う通信インタフェース回路である。情報処理装置は、プログラム及びデータを外部の装置からネットワーク接続装置1707を介して受信し、それらをメモリ1702にロードして使用することができる。
【0107】
なお、情報処理装置が
図17のすべての構成要素を含む必要はなく、用途又は条件に応じて一部の構成要素を省略することも可能である。例えば、オペレータ又はユーザからの指示又は情報を入力する必要がない場合は、入力装置1703を省略してもよく、オペレータ又はユーザに対する問い合わせ又は処理結果を出力する必要がない場合は、出力装置1704を省略してもよい。可搬型記録媒体1709を利用しない場合は、媒体駆動装置1706を省略してもよい。
【0108】
図3のサーバ312、端末313、サーバ314、サーバ316、端末317、サーバ319、及びサーバ322としては、
図17と同様の情報処理装置を用いることができる。
【0109】
開示の実施形態とその利点について詳しく説明したが、当業者は、特許請求の範囲に明確に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、省略をすることができるであろう。
【0110】
図1乃至
図17を参照しながら説明した実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の患者それぞれの症状と前記複数の患者それぞれの病歴とを含む患者情報を記憶する患者情報記憶装置から、前記複数の患者それぞれの患者情報を取得する取得部と、
前記複数の患者それぞれの患者情報を記憶する記憶部と、
前記複数の患者それぞれの患者情報の中から、対象患者の症状を含む患者情報を抽出し、抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、前記対象患者の症状に対応する疾病を推定する推定部と、
複数の医療機関それぞれを示す識別情報と前記複数の医療機関それぞれにおいて治療実績のある疾病とを含む医療機関情報の中から、前記推定部によって推定された疾病を含む医療機関情報を検索し、前記推定部によって推定された疾病を含む医療機関情報に含まれる識別情報を出力する検索部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
(付記2)
前記複数の患者それぞれの患者情報は、個人を特定する情報が秘匿化された秘匿化患者情報であり、
前記取得部は、前記対象患者の症状が発生する前に前記対象患者が診察を受けた医療機関における前記対象患者の診療情報を記憶する個人情報記憶装置から、前記対象患者の診療情報を取得し、
前記推定部は、前記対象患者の診療情報から前記対象患者の病歴を抽出し、前記複数の患者それぞれの患者情報の中から、前記対象患者の症状と前記対象患者の病歴とを含む患者情報を抽出し、抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、前記対象患者の症状に対応する疾病を推定することを特徴とする付記1記載の情報処理装置。
(付記3)
前記複数の患者それぞれの患者情報は、前記複数の患者それぞれの投薬歴をさらに含み、
前記個人情報記憶装置は、前記対象患者の症状が発生する前に前記対象患者が購入した薬を示す購入情報をさらに記憶し、
前記取得部は、前記個人情報記憶装置から前記購入情報を取得し、
前記推定部は、前記複数の患者それぞれの患者情報の中から、前記対象患者の症状と前記対象患者の病歴と前記購入情報が示す薬の投薬歴とを含む患者情報を抽出し、抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、前記対象患者の症状に対応する疾病を推定することを特徴とする付記2記載の情報処理装置。
(付記4)
前記複数の患者それぞれの患者情報は、症状、病歴、及び投薬歴を含む複数の項目の情報を含み、
前記推定部は、前記対象患者の症状と前記対象患者の病歴と前記購入情報が示す薬の投薬歴とを含む患者情報に含まれる前記複数の項目の情報と、前記対象患者の対応する複数の項目の情報との間の一致度を求め、
前記検索部は、前記推定部によって推定された疾病を含む医療機関情報に含まれる識別情報と前記一致度とを含む、検索結果を出力することを特徴とする付記3記載の情報処理装置。
(付記5)
複数の患者それぞれの症状と前記複数の患者それぞれの病歴とを含む患者情報を記憶する患者情報記憶装置と情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は、
前記患者情報記憶装置から前記複数の患者それぞれの患者情報を取得する取得部と、
前記複数の患者それぞれの患者情報を記憶する記憶部と、
前記複数の患者それぞれの患者情報の中から、対象患者の症状を含む患者情報を抽出し、抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、前記対象患者の症状に対応する疾病を推定する推定部と、
複数の医療機関それぞれを示す識別情報と前記複数の医療機関それぞれにおいて治療実績のある疾病とを含む医療機関情報の中から、前記推定部によって推定された疾病を含む医療機関情報を検索し、前記推定部によって推定された疾病を含む医療機関情報に含まれる識別情報を出力する検索部とを含むことを特徴とする医療機関検索システム。
(付記6)
前記対象患者の症状が発生する前に前記対象患者が診察を受けた医療機関における前記対象患者の診療情報を記憶する個人情報記憶装置をさらに備え、
前記複数の患者それぞれの患者情報は、個人を特定する情報が秘匿化された秘匿化患者情報であり、
前記取得部は、前記個人情報記憶装置から前記対象患者の診療情報を取得し、
前記推定部は、前記対象患者の診療情報から前記対象患者の病歴を抽出し、前記複数の患者それぞれの患者情報の中から、前記対象患者の症状と前記対象患者の病歴とを含む患者情報を抽出し、抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、前記対象患者の症状に対応する疾病を推定することを特徴とする付記5記載の医療機関検索システム。
(付記7)
前記複数の患者それぞれの患者情報は、前記複数の患者それぞれの投薬歴をさらに含み、
前記個人情報記憶装置は、前記対象患者の症状が発生する前に前記対象患者が購入した薬を示す購入情報をさらに記憶し、
前記取得部は、前記個人情報記憶装置から前記購入情報を取得し、
前記推定部は、前記複数の患者それぞれの患者情報の中から、前記対象患者の症状と前記対象患者の病歴と前記購入情報が示す薬の投薬歴とを含む患者情報を抽出し、抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、前記対象患者の症状に対応する疾病を推定することを特徴とする付記6記載の医療機関検索システム。
(付記8)
前記複数の患者それぞれの患者情報は、症状、病歴、及び投薬歴を含む複数の項目の情報を含み、
前記推定部は、前記対象患者の症状と前記対象患者の病歴と前記購入情報が示す薬の投薬歴とを含む患者情報に含まれる前記複数の項目の情報と、前記対象患者の対応する複数の項目の情報との間の一致度を求め、
前記検索部は、前記推定部によって推定された疾病を含む医療機関情報に含まれる識別情報と前記一致度とを含む、検索結果を出力することを特徴とする付記7記載の医療機関検索システム。
(付記9)
複数の患者それぞれの症状と前記複数の患者それぞれの病歴とを含む患者情報を記憶する患者情報記憶装置から、前記複数の患者それぞれの患者情報を取得し、
前記複数の患者それぞれの患者情報を記憶部に格納し、
前記複数の患者それぞれの患者情報の中から、対象患者の症状を含む患者情報を抽出し、
抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、前記対象患者の症状に対応する疾病を推定し、
複数の医療機関それぞれを示す識別情報と前記複数の医療機関それぞれにおいて治療実績のある疾病とを含む医療機関情報の中から、推定された疾病を含む医療機関情報を検索し、
推定された疾病を含む医療機関情報に含まれる識別情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
(付記10)
前記複数の患者それぞれの患者情報は、個人を特定する情報が秘匿化された秘匿化患者情報であり、
前記コンピュータは、前記対象患者の症状が発生する前に前記対象患者が診察を受けた医療機関における前記対象患者の診療情報を記憶する個人情報記憶装置から、前記対象患者の診療情報を取得し、前記対象患者の診療情報から前記対象患者の病歴を抽出し、前記複数の患者それぞれの患者情報の中から、前記対象患者の症状と前記対象患者の病歴とを含む患者情報を抽出し、抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、前記対象患者の症状に対応する疾病を推定することを特徴とする付記9記載のプログラム。
(付記11)
前記複数の患者それぞれの患者情報は、前記複数の患者それぞれの投薬歴をさらに含み、
前記個人情報記憶装置は、前記対象患者の症状が発生する前に前記対象患者が購入した薬を示す購入情報をさらに記憶し、
前記コンピュータは、前記個人情報記憶装置から前記購入情報を取得し、前記複数の患者それぞれの患者情報の中から、前記対象患者の症状と前記対象患者の病歴と前記購入情報が示す薬の投薬歴とを含む患者情報を抽出し、抽出された患者情報に含まれる病歴に基づいて、前記対象患者の症状に対応する疾病を推定することを特徴とする付記10記載のプログラム。
(付記12)
前記複数の患者それぞれの患者情報は、症状、病歴、及び投薬歴を含む複数の項目の情報を含み、
前記コンピュータは、前記対象患者の症状と前記対象患者の病歴と前記購入情報が示す薬の投薬歴とを含む患者情報に含まれる前記複数の項目の情報と、前記対象患者の対応する複数の項目の情報との間の一致度を求め、前記推定された疾病を含む医療機関情報に含まれる識別情報と前記一致度とを含む、検索結果を出力することを特徴とする付記11記載のプログラム。
【符号の説明】
【0111】
101 情報処理装置
111、341 取得部
112、342 記憶部
113、343 推定部
114、344 検索部
311 医療機関情報DB
312、314、316、319、322、323 サーバ
313、317 端末
315 個人情報DB
318 診療情報DB
320 秘匿化患者情報DB
321 統合患者情報DB
331 電子カルテ
1601 VM
1701 CPU
1702 メモリ
1703 入力装置
1704 出力装置
1705 補助記憶装置
1706 媒体駆動装置
1707 ネットワーク接続装置
1708 バス
1709 可搬型記録媒体