IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社KELKの特許一覧

<>
  • 特許-温調装置 図1
  • 特許-温調装置 図2
  • 特許-温調装置 図3
  • 特許-温調装置 図4
  • 特許-温調装置 図5
  • 特許-温調装置 図6
  • 特許-温調装置 図7
  • 特許-温調装置 図8
  • 特許-温調装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】温調装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230303BHJP
   F25B 21/02 20060101ALI20230303BHJP
   F28D 7/04 20060101ALI20230303BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20230303BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20230303BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20230303BHJP
   H10N 10/13 20230101ALI20230303BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
F25B21/02 M
F28D7/04
F28F3/08 301Z
H01L21/02 Z
H01L21/304 648K
H01L21/306 J
H10N10/13
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018214947
(22)【出願日】2018-11-15
(65)【公開番号】P2020087979
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 敦
(72)【発明者】
【氏名】大久保 英明
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-159939(JP,A)
【文献】特開2010-151427(JP,A)
【文献】特開平09-105596(JP,A)
【文献】特開2004-003817(JP,A)
【文献】特開2009-115345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304-21/308
H01L 21/02 -21/033
H10N 10/13
F24H 1/10 - 1/16
F25B 21/02 -21/04
F28D 7/04
F28D 21/00
F28F 3/08 - 3/14
F28F 19/04
F28F 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方を向く第1表面及び下方を向く第1裏面と、前記第1表面の少なくとも一部に設けられた第1流路溝とを有する第1流路板と、
下方を向く第2表面及び上方を向く第2裏面と、前記第2表面の少なくとも一部に設けられた第2流路溝とを有し、前記第1流路板よりも下方に配置される第2流路板と、
前記第1表面から上方に突出する第1支持面及び前記第2表面から下方に突出する第2支持面を有し前記第1流路板の第1裏面前記第2流路板の第2裏面とが対向するように前記第1流路板と前記第2流路板とを連結する連結部材と、
前記第1流路溝に対向し、前記第1支持面に支持される第1伝熱板と、
前記第2流路溝に対向し、前記第2支持面に支持される第2伝熱板と、を備える、
温調装置。
【請求項2】
前記第1表面と前記第1伝熱板との境界をシールする第1シール部材と、
前記第2表面と前記第2伝熱板との境界をシールする第2シール部材と、を備える、
請求項1に記載の温調装置。
【請求項3】
前記第1流路溝は、前記第1表面に設けられ、
前記第2流路溝は、前記第2表面に設けられ、
前記第1シール部材は、前記第1表面において前記第1流路溝の周囲に配置され、
前記第2シール部材は、前記第2表面において前記第2流路溝の周囲に配置され、
前記連結部材は、前記第1シール部材よりも外側において前記第1流路板に連結され、前記第2シール部材よりも外側において前記第2流路板に連結される、
請求項2に記載の温調装置。
【請求項4】
前記連結部材は、前記第1流路溝及び前記第2流路溝のそれぞれを囲むように複数設けられる、
請求項3に記載の温調装置。
【請求項5】
少なくとも一部前記第1流路板前記第2流路板との間に配置され、前記第1流路溝及び前記第2流路溝に供給される流体が流通する供給管を備える、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の温調装置。
【請求項6】
少なくとも一部前記第1流路板前記第2流路板との間に配置され、前記第1流路溝及び前記第2流路溝から排出された流体が流通する排出管を備える、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の温調装置。
【請求項7】
前記第1流路板は、少なくとも一部が前記第1流路板の中心軸に配置される第1流体排出口を有し、
前記第2流路板は、少なくとも一部が前記第2流路板の中心軸に配置される第2流体排出口を有し、
前記排出管の流入口の少なくとも一部は、前記中心軸に配置される、
請求項6に記載の温調装置。
【請求項8】
前記第1流路板は、前記中心軸の放射方向において前記第1流体排出口よりも外側に配置される第1流体供給口を有し、
前記第2流路板は、前記中心軸の放射方向において前記第2流体排出口よりも外側に配置される第2流体供給口を有し、
前記第1流路溝は、前記第1流体供給口と前記第1流体排出口とを結ぶようにスパイラル状に設けられ
前記第2流路溝は、前記第2流体供給口と前記第2流体排出口とを結ぶようにスパイラル状に設けられる、
請求項7に記載の温調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、半導体ウエハを洗浄する洗浄処理、半導体ウエハにフォトレジストを塗布する塗布処理、フォトレジストが塗布された半導体ウエハを露光する露光処理、及び露光後の半導体ウエハをエッチングするエッチング処理のような、複数の処理を経て製造される。半導体ウエハの洗浄処理において、半導体ウエハは、温度調整された液体で洗浄される。特許文献1には、液体を温度調整する流体温調装置の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-186913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温調装置が複数の部材から構成される場合、組立作業が容易であり、複数の部材の相対位置を維持できることが好ましい。
【0005】
本発明の態様は、温調装置が複数の部材から構成される場合、組立作業が容易であり、複数の部材の相対位置を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、表面及び前記表面の少なくとも一部に設けられた流路溝をそれぞれ有する一対の流路板と、前記表面から突出する支持面を有し、一方の前記流路板の裏面と他方の前記流路板の裏面とが対向するように、一対の前記流路板を連結するスペーサ部材と、前記流路溝に対向し、前記支持面に支持される伝熱板と、を備える温調装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、温調装置が複数の部材から構成される場合、組立作業が容易であり、複数の部材の相対位置を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る洗浄システムの一例を示す模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る温調装置の一例を模式的に示す側面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る熱電モジュール板の一部を拡大した断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る温調装置の本体の一例を示す斜視図である。
図5図5は、第1実施形態に係る温調装置の本体の一例を示す平面図である。
図6図6は、第1実施形態に係る温調装置の本体の一例を示す断面図である。
図7図7は、第1実施形態に係るスペーサ部材の作用を説明するための図である。
図8図8は、比較例に係る温調装置の一部を示す模式図である。
図9図9は、第2実施形態に係る温調装置の本体の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。所定面内のX軸と平行な方向をX軸方向とする。所定面内においてX軸と直交するY軸と平行な方向をY軸方向とする。所定面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。X軸及びY軸を含むXY平面は、所定面と平行である。Y軸及びZ軸を含むYZ平面は、XY平面と直交する。X軸及びZ軸を含むXZ平面は、XY平面及びYZ平面のそれぞれと直交する。本実施形態において、XY平面は、水平面と平行である。Z軸方向は、鉛直方向である。+Z方向(+Z側)は、上方向(上側)である。-Z方向(-Z側)は、下方向(下側)である。なお、XY平面は、水平面に対して傾斜してもよい。
【0011】
[第1実施形態]
<洗浄システム>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る洗浄システム1の一例を模式的に示す図である。洗浄システム1は、洗浄用の液体LQを用いて、洗浄対象である基板Wを洗浄する。基板Wは、例えば半導体ウエハを含む。液体LQは、純水でもよいし薬液でもよい。薬液として、アンモニア過水及び塩酸過水の少なくとも一方が例示される。
【0012】
洗浄システム1は、液体LQを貯留する貯留槽2と、貯留槽2から供給された液体LQの温度を調整する温調装置3と、基板Wを保持する基板保持部材4と、温調装置3で温度調整された液体LQを基板Wに供給するノズル5と、貯留槽2と温調装置3とを接続する第1接続管6と、第1接続管6に配置されるポンプ7と、温調装置3とノズル5とを接続する第2接続管8とを備える。
【0013】
貯留槽2は、液体LQを収容する。ポンプ7が駆動することにより、貯留槽2に貯留されている液体LQの少なくとも一部が、第1接続管6を介して温調装置3に供給される。
【0014】
温調装置3は、液体LQの温度を調整する。温調装置3で温度調整された液体LQは、第2接続管8を介してノズル5に供給される。ノズル5は、基板Wに液体LQを供給する。基板Wに液体LQが供給されることにより、基板Wが洗浄される。
【0015】
<温調装置>
図2は、本実施形態に係る温調装置3の一例を模式的に示す側面図である。図2に示すように、温調装置3は、本体10と、耐蝕プレート11Pを介して本体10の上面及び下面のそれぞれに接続される一対の伝熱板11と、一方の伝熱板11及び他方の伝熱板11のそれぞれに接続される熱電モジュール板12と、一方の熱電モジュール板12及び他方の熱電モジュール板12のそれぞれに接続される一対の熱交換板13とを備える。
【0016】
本体10は、液体LQが流通する流路20を有する。流路20は、本体10の上面及び下面のそれぞれに設けられる。流路20は、伝熱板11に対向する。本体10は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)製、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA:perfluoroalkoxy alkane)製、又はポリフッ化ビニリデン(PVDF:polyvinylidene difluoride)である。
【0017】
流路20は、供給管21に接続される。供給管21は、PTFE製又はPFA製である。流路20に供給される液体LQは、供給管21を流通する。供給管21は、第1接続管6を介して貯留槽2に接続される。貯留槽2の液体LQは、供給管21を介して流路20に供給される。
【0018】
流路20は、排出管22に接続される。排出管22は、PTFE製又はPFA製である。流路20を流通した液体LQは、排出管22に排出される。流路20から排出された液体LQは、排出管22を流通する。排出管22は、第2接続管8を介してノズル5に接続される。温調装置3で温度調整された液体LQは、排出管22を介してノズル5に供給される。
【0019】
耐蝕プレート11Pは、例えばアモルファスカーボンを含む。耐蝕プレート11Pは、酸性の液体LQに対する耐蝕性を有する。耐蝕プレート11Pは、熱伝導性を有する。
【0020】
伝熱板11は、耐蝕プレート11Pを介して、流路20を流通する液体LQと熱交換する。伝熱板11は、本体10の上面に対向する一方の伝熱板11と、本体10の下面に対向する他方の伝熱板11とを含む。伝熱板11は、例えばアルミニウム製である。
【0021】
熱電モジュール板12は、吸熱又は発熱して、流路20を流通する液体LQの温度を調整する。熱電モジュール板12は、一方の伝熱板11の上面に接続される一方の熱電モジュール板12と、他方の伝熱板11の下面に接続される他方の熱電モジュール板12とを含む。熱電モジュール板12は、電力の供給により吸熱又は発熱する熱電モジュール30を含む。熱電モジュール30は、ペルチェ効果により、吸熱又は発熱する。
【0022】
熱電モジュール30は、伝熱板11を介して、流路20を流通する液体LQから熱を奪うことができる。熱電モジュール30は、伝熱板11を介して、流路20を流通する液体LQに熱を与えることができる。熱電モジュール30が吸熱又は発熱することにより、流路20を流通する液体LQの温度が調整される。
【0023】
熱交換板13は、熱電モジュール板12と熱交換する。熱交換板13は、一方の熱電モジュール板12の上面に接続される一方の熱交換板13と、他方の熱電モジュール板12の下面に接続される他方の熱交換板13とを含む。熱交換板13は、温調用流体が流通する内部流路(不図示)を有する。温調用流体は、流体温度調整装置(不図示)により温度調整された後、内部流路の入口を介して内部流路に流入する。温調用流体は、内部流路を流通して、熱交換板13から熱を奪ったり、熱交換板13に熱を与えたりする。温調用流体は、内部流路の出口から流出し、流体温度調整装置に戻される。
【0024】
本実施形態において、本体10、伝熱板11、熱電モジュール板12、及び熱交換板13のそれぞれは、実質的に円板状である。以下の説明においては、本体10、伝熱板11、熱電モジュール板12、及び熱交換板13のそれぞれの中心を通り、Z軸と平行な仮想軸を適宜、中心軸AX、と称する。
【0025】
<熱電モジュール>
図3は、本実施形態に係る熱電モジュール板12の一部を拡大した断面図である。図3に示すように、熱電モジュール板12は、複数の熱電モジュール30と、複数の熱電モジュール30を収容するケース31とを有する。ケース31は、絶縁性材料で形成される。
【0026】
熱電モジュール30は、熱電半導体素子32と、第1電極33と、第2電極34とを有する。熱電半導体素子32は、p型熱電半導体素子32Pと、n型熱電半導体素子32Nとを含む。XY平面内において、p型熱電半導体素子32Pとn型熱電半導体素子32Nとは、交互に配置される。第1電極33は、p型熱電半導体素子32P及びn型熱電半導体素子32Nのそれぞれに接続される。第2電極34は、p型熱電半導体素子32P及びn型熱電半導体素子32Nのそれぞれに接続される。第1電極33は、伝熱板11に隣接する。第2電極34は、熱交換板13に隣接する。p型熱電半導体素子32Pの一方の端面及びn型熱電半導体素子32Nの一方の端面のそれぞれは、第1電極33に接続される。p型熱電半導体素子32Pの他方の端面及びn型熱電半導体素子32Nの他方の端面のそれぞれは、第2電極34に接続される。
【0027】
熱電モジュール30は、ペルチェ効果により、吸熱又は発熱する。第1電極33と第2電極34との間に電位差が与えられると、熱電半導体素子32において電荷が移動する。電荷の移動により、熱電半導体素子32において熱が移動する。これにより、熱電モジュール30は、吸熱又は発熱する。例えば、第1電極33が発熱し、第2電極34が吸熱するように、第1電極33と第2電極34との間に電位差が与えられると、流路20を流通する液体LQは加熱される。第1電極33が吸熱し、第2電極34が発熱するように、第1電極33と第2電極34との間に電位差が与えられると、流路20を流通する液体LQは冷却される。
【0028】
<本体>
図4は、本実施形態に係る温調装置3の本体10の一例を示す斜視図である。図5は、本実施形態に係る温調装置3の本体10の一例を示す平面図である。図6は、本実施形態に係る温調装置3の本体10の一例を示す断面図である。
【0029】
図4図5、及び図6に示すように、本体10は、表面40A及び裏面40Bをそれぞれ有する一対の流路板40と、一対の流路板40を連結するスペーサ部材41とを有する。一方の流路板40は、一方の伝熱板11に対向する。他方の流路板40は、他方の伝熱板11に対向する。スペーサ部材41は、一方の流路板40の裏面40Bと他方の流路板40の裏面40Bとが空間SPを介して対向するように、一対の流路板40を連結する。
【0030】
一方の流路板40と他方の流路板40とは同様の構造である。以下、一方の流路板40について主に説明し、他方の流路板40についての説明は簡略又は省略する。
【0031】
流路板40は、表面40Aの少なくとも一部に設けられた流路溝42を有する。流路溝42は、隔壁42Wにより規定される。流路溝42は、一対の隔壁42Wの間に規定される。伝熱板11は、流路溝42に対向する。伝熱板11が流路溝42に対向した状態で、隔壁42Wの端面は、伝熱板11に接触する。流路溝42が伝熱板11で覆われ、隔壁42Wの端面と伝熱板11とが接触することにより、流路20が形成される。
【0032】
流路板40は、流路溝42に液体LQを供給する流体供給口43と、流路溝42の液体LQの少なくとも一部を排出する流体排出口44とを有する。流体排出口44の少なくとも一部は、流路板40の中心軸AXに配置される。流体供給口43は、中心軸AXの放射方向において流体排出口44よりも外側に配置される。流路溝42は、流体供給口43と流体排出口44とを結ぶようにスパイラル状に設けられる。
【0033】
隔壁42Wは、スパイラル状に設けられる。隔壁42Wの一部には、隣接する流路溝42を繋ぐ凹部42Dが設けられる。凹部42Dは、隔壁42Wの端面の一部を切り欠くように形成される。
【0034】
本体10は、流路溝42に供給される液体LQが流通する供給管21と、流路溝42から排出された液体LQが流通する排出管22とを有する。供給管21の少なくとも一部は、一方の流路板40と他方の流路板40との間の空間SPに配置される。排出管22の少なくとも一部は、一方の流路板40と他方の流路板40との間の空間SPに配置される。
【0035】
供給管21は、集合管と、一方の流路板40の流体供給口43及び他方の流路板40の流体供給口43のそれぞれに接続される分岐管とを有する。分岐管の流出口と流体供給口43とが接続される。
【0036】
図6に示すように、排出管22は、一方の流路板40の流体排出口44及び他方の流路板40の流体排出口44のそれぞれに接続される分岐管22Aと、一対の分岐管22Aに接続される集合管22Bとを有する。分岐管22Aの流入口22Cと流体排出口44とが接続される。排出管22(分岐管22A)の流入口22Cの少なくとも一部は、中心軸AXに配置される。
【0037】
スペーサ部材41は、流路板40よりも熱膨張係数が小さい材料で形成される。Z軸方向におけるスペーサ部材41の熱変形量は、流路板40の熱変形量よりも小さい。スペーサ部材41は、金属製である。スペーサ部材41は、例えばステンレス鋼製又はアルミニウム製である。なお、スペーサ部材41は、セラミックス製でもよい。スペーサ部材41は、例えばアルミナ製でもよいし、ジルコニア製でもよい。なお、スペーサ部材41は、カーボン製でもよいし、繊維強化プラスチック製でもよい。スペーサ部材41は、円柱状のボディ41Bと、ボディ41Bから上方及び下方のそれぞれに突出する円柱状の凸部41Cとを有する。ボディ41Bの直径は、凸部41Cの直径よりも大きい。ボディ41Bと凸部41Cとの境界に段部51が形成される。段部51は、XY平面に平行な支持面51Sを含む。
【0038】
ボディ41Bの少なくとも一部は、流路板40の裏面40Bに設けられている凹部45に配置される。凸部41Cは、凹部45に結ばれた孔46に挿入される。孔46は、凹部45の端面と表面40Aとを結ぶ貫通孔である。凹部45の直径は、孔46の直径よりも大きい。凹部45と孔46との境界に段部52が形成される。段部52は、XY平面に平行な接触面52Sを含む。
【0039】
スペーサ部材41に設けられている段部51の形状と、流路板40に設けられている段部52の形状とは実質的に一致する。凸部41Cが孔46に挿入され、ボディ41Bの少なくとも一部が凹部45に配置されることにより、支持面51Sと接触面52Sとが接触する。これにより、Z軸方向における流路板40とスペーサ部材41との相対位置が固定される。また、凸部41Cが孔46に挿入され、ボディ41Bの少なくとも一部が凹部45に配置されることにより、凸部41Cの外面と孔46の内面とが接触し、ボディ41Bの外面と凹部45の内面とが接触する。これにより、XY平面内における流路板40とスペーサ部材41との相対位置が固定される。
【0040】
ボディ41Bから上方に突出する凸部41Cの少なくとも一部は、一方の流路板40の表面40Aから上方に突出する。ボディ41Bから下方に突出する凸部41Cの少なくとも一部は、他方の流路板40の表面40Aから下方に突出する。
【0041】
凸部41Cは、流路板40の表面40Aから突出する支持面41Aを有する。ボディ41Bから上方に突出する凸部41Cの支持面41Aは、一方の流路板40の表面40Aよりも+Z側に配置される。ボディ41Bから下方に突出する凸部41Cの支持面41Aは、他方の流路板40の表面40Aよりも-Z側に配置される。
【0042】
伝熱板11は、スペーサ部材41の支持面41Aに支持される。
【0043】
上述のように、流路溝42は、スパイラル状に設けられる。流路溝42は、流路板40の表面40Aに設けられる。流路溝42は、表面40Aの中央部に形成される。スペーサ部材41は、流路溝42を囲むように複数設けられる。本実施形態において、スペーサ部材41は、流路溝42の周囲に8つ設けられる。
【0044】
本体10は、流路板40の表面40Aと伝熱板11との境界をシールするシール部材47を有する。シール部材47は、例えばOリングを含む。シール部材47は、表面40Aにおいて流路溝42の周囲に配置される。スペーサ部材41は、シール部材47よりも外側において流路板40に連結される。すなわち、スペーサ部材41は、中心軸AXの放射方向において、シール部材47よりも外側に配置される。
【0045】
流路溝42の周囲には、シール部材47が配置されるシール溝48が設けられる。シール部材47は、シール溝48に配置された状態で、流路溝42に対向する伝熱板11と接触する。
【0046】
<組立方法>
次に、本実施形態に係る本体10の組立方法について説明する。スペーサ部材41の凸部41Cが孔46に挿入される。凸部41Cは、支持面41Aが表面40Aから突出するように、孔46に挿入される。凸部41Cが孔46に挿入されることにより、ボディ41Bの少なくとも一部が凹部45に配置される。凸部41Cが孔46に挿入され、ボディ41Bの少なくとも一部が凹部45に挿入されることにより、支持面51Sと接触面52Sとが接触し、凸部41Cの外面と孔46の内面とが接触し、ボディ41Bの外面と凹部45の内面とが接触する。これにより、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向のそれぞれにおいて、流路板40とスペーサ部材41との相対位置が固定される。
【0047】
シール溝48にシール部材47が配置された後、伝熱板11が流路溝42を覆うように配置される。スペーサ部材41の支持面41Aは、流路板40の表面40Aから突出する。したがって、伝熱板11は、スペーサ部材41の支持面41Aに接触する。伝熱板11は、スペーサ部材41に支持される。また、伝熱板11は、シール部材47に接触する。これにより、伝熱板11と流路板40との間に流路20が形成される。
【0048】
<動作>
次に、本実施形態に係る温調装置3の動作について説明する。液体LQが供給管21及び流体供給口43を介して流路溝42(流路20)に供給される。液体LQは、流路溝42にガイドされながら、流体排出口44に向かって流通する。本実施形態において、流路溝42は、スパイラル状である。流体供給口43から流路溝42に供給された液体LQは、図5に示した矢印a、矢印b、矢印c、矢印d、矢印e、矢印f、矢印g、矢印h、及び矢印iのそれぞれで示す方向に流れた後、流体排出口44から排出される。
【0049】
熱電モジュール30に電位差が与えられることにより、温調装置3は、流路溝42を流通する液体LQの温度の調整を開始する。流路溝42を流通する液体LQの温度は、熱電モジュール30の吸熱又は発熱により調整される。
【0050】
シール部材47は、流路溝42の外側において、表面40Aと伝熱板11との境界をシールする。したがって、液体LQが本体10から漏出することが抑制される。
【0051】
流路溝42を流通した液体LQは、流体排出口44を介して排出される。本実施形態において、流体排出口44の少なくとも一部は、流路板40の中心軸AXに配置される。排出管22の流入口22Cの少なくとも一部も、中心軸AXに配置される。すなわち、XY平面内において、流路板40に設けられている流体排出口44の位置と、排出管22に設けられている流入口22Cの位置とは一致する。したがって、流路溝42から排出管22に液体LQが排出されるときの淀みの発生が抑制される。
【0052】
<作用>
次に、本実施形態に係るスペーサ部材41の作用について説明する。図7は、本実施形態に係るスペーサ部材41の作用を説明するための図である。図7に示す例において、一対の伝熱板11及び一対の流路板40は、ボルト60及びナット61により固定される。スペーサ部材41は、ボルト60の軸部の周囲に配置される。
【0053】
一対の流路板40の間にスペーサ部材41の少なくとも一部が配置され、一対の伝熱板11がスペーサ部材41の支持面41Aに支持される。これにより、一対の伝熱板11に荷重が作用した場合、スペーサ部材41が荷重を受ける。上述のように、スペーサ部材41を形成する材料として、ステンレス鋼又はアルミニウムのような金属、アルミナ又はジルコニアのようなセラミックス、カーボン、及び繊維強化プラスチックの少なくとも一つが例示される。流路板40は、PTFE又はPFAのようなフッ素を含む合成樹脂製である。Z軸方向におけるスペーサ部材41の熱変形量は、流路板40の熱変形量よりも小さい。一対の伝熱板11に荷重が作用しても、スペーサ部材41のクリープ変形は抑制される。そのため、シール部材47が配置されるシール溝48の底面と流路板40に対向する伝熱板11の対向面とのZ軸方向の距離Gaは維持される。距離Gaが一定値に維持されることにより、シール部材47のつぶし量が一定量に維持される。したがって、シール部材47のシール性能が維持される。
【0054】
図8は、比較例に係る温調装置3Jの一部を示す模式図である。図8に示す例において、温調装置3Jは、スペーサ部材(41)を有しない。一対の伝熱板11の間に流路板40Jが配置される。流路板40Jは、PTFE又はPFAのようなフッ素を含む合成樹脂製である。一対の伝熱板11及び流路板40Jは、ボルト60及びナット61により固定される。温調装置3Jは、シール部材47が配置されるシール溝48の底面と流路板40Jに対向する伝熱板11の対向面とのZ軸方向の距離Gaを維持するために、ボルト60の頭部と伝熱板11との間に配置される皿ばね62を有する。しかし、図8に示す温調装置3Jにおいては、一対の伝熱板11に荷重が作用した場合、スペーサ部材(41)が無いので、流路板40Jが矢印ZRで示すようにZ軸方向にクリープ変形し、流路板40JのZ軸方向の寸法Gbが変化する可能性が高い。その結果、距離Gaが変動し、シール部材47によるシール性能が維持されない可能性がある。
【0055】
本実施形態によれば、スペーサ部材41が配置されることにより、一対の伝熱板11に荷重が作用しても、距離Gaの変動が抑制される。そのため、シール部材47によるシール性能が維持される。したがって、流路溝42を流通する液体LQが本体10から漏出することが抑制される。
【0056】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、一対の流路板40の間にスペーサ部材41が配置される。Z軸方向におけるスペーサ部材41の熱変形量は、流路板40の熱変形量よりも小さい。したがって、Z軸方向における一方の流路板40と他方の流路板40との相対位置(相対距離)は維持される。また、伝熱板11は、スペーサ部材41の支持面41Aに支持される。したがって、Z軸方向における一方の伝熱板11と他方の伝熱板11との相対位置(相対距離)は維持される。また、スペーサ部材41の凸部41Cを流路板40の孔46に挿入するだけで、一対の流路板40の相対位置が維持された本体10を組み立てることができる。これにより、温調装置3が一対の流路板40及び一対の伝熱板11を含む複数の部材から構成される場合、組立作業が容易であり、複数の部材の相対位置を維持することができる。
【0057】
流路板40の表面40Aと伝熱板11との境界をシールするシール部材47が設けられる。これにより、流路溝42を流通する液体LQが本体10から漏出することが抑制される。
【0058】
流路溝42は、流路板40の表面40Aに設けられる。シール部材47は、表面40Aにおいて流路溝42の周囲に配置される。スペーサ部材41は、シール部材47よりも外側において流路板40に連結される。これにより、流路溝42を流通する液体LQが本体10から漏出することが抑制されるとともに、スペーサ部材41と液体LQとの接触が抑制される。スペーサ部材41と液体LQとの接触が抑制されるので、液体LQの温度に起因するスペーサ部材41の熱変形が抑制される。
【0059】
スペーサ部材41は、流路溝42を囲むように複数設けられる。これにより、Z軸方向における一対の流路板40の相対位置のみならず、XY平面内における一対の流路板40の相対位置が維持される。
【0060】
供給管21の少なくとも一部は、一方の流路板40と他方の流路板40との間の空間SPに配置される。これにより、温調装置3の大型化が抑制される。また、供給管21は、一方の流路板40及び他方の流路板40のそれぞれに液体LQを均等に分配することができる。
【0061】
排出管22の少なくとも一部は、一方の流路板40と他方の流路板40との間の空間SPに配置される。これにより、温調装置3の大型化が抑制される。また、排出管22は、一方の流路板40及び他方の流路板40のそれぞれから排出された液体LQを均等に受容することができる。
【0062】
流路板40の流体排出口44の少なくとも一部は、中心軸AXに配置される。排出管22の流入口22Cの少なくとも一部も、中心軸AXに配置される。すなわち、流体排出口44と流入口22Cの少なくとも一部とは、XY平面内において重複する。これにより、流体排出口44から排出された液体LQは、淀むことなく、流入口22Cから排出管22に流入する。流路溝42から排出管22に液体LQが排出されるときの淀みの発生が抑制されることにより、液体LQの汚染が抑制される。
【0063】
流体供給口43は、中心軸AXの放射方向において流体排出口44よりも外側に配置される。流路溝42は、流体供給口43と流体排出口44とを結ぶようにスパイラル状に設けられる。これにより、温調装置3の大型化を抑制しつつ、液体LQが温度調整される区間である流体供給口43と流体排出口44との距離を長くすることができる。液体LQが温度調整される区間が長くなることにより、液体LQの温度は高精度に調整される。
【0064】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0065】
図9は、本実施形態に係る温調装置3の本体10の一例を示す斜視図である。図9に示すように、本体10は、第1本体10Aと、第1本体10Aに接続される第2本体10Bとを含む。第1本体10A及び第2本体10Bのそれぞれの構造は、上述の実施形態で接召した本体10と同様の構造である。第1本体10A及び第2本体10Bのそれぞれに、上述の実施形態で説明したような、伝熱板11、熱電モジュール板12、及び熱交換板13が接続される。
【0066】
供給管21は、第1本体10Aの流体供給口43及び第2本体10Bの流体供給口43のそれぞれに接続される。供給管21を流通した液体LQは、第1本体10Aの流体供給口43及び第2本体10Bの流体供給口43のそれぞれに分配される。
【0067】
第1本体10Aの流路溝42を流通した液体LQは、流体排出口44を介して排出管22に排出される。第2本体10Bの流路溝42を流通した液体LQは、流体排出口44を介して排出管22に排出される。第1本体10Aの流体排出口44及び第2本体10Bの流体排出口44のそれぞれから排出された液体LQは、排出管22で集合した後、ノズル5に供給される。
【0068】
以上説明したように、温調装置3は、第1本体10A及び第2本体10Bを備えてもよい。これにより、例えば基板Wの洗浄に多量な液体LQが必要な状況においても、温調装置3は、温度調整された多量な液体LQを基板Wに供給することができる。
【0069】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、温調装置3は、液体LQの温度を調整することとした。温調装置3は、気体の温度を調整してもよい。流路溝42に気体が供給されることにより、温調装置3は、熱電半導体素子32を用いて、流路溝42を流通する気体の温度を調整することができる。
【符号の説明】
【0070】
1…洗浄システム、2…貯留槽、3…温調装置、4…基板保持部材、5…ノズル、6…第1接続管、7…ポンプ、8…第2接続管、10…本体、10A…第1本体、10B…第2本体、11…伝熱板、11P…耐蝕プレート、12…熱電モジュール板、13…熱交換板、20…流路、21…供給管、22…排出管、22A…分岐管、22B…集合管、22C…流入口、30…熱電モジュール、31…ケース、32…熱電半導体素子、32P…p型熱電半導体素子、32N…n型熱電半導体素子、33…第1電極、34…第2電極、40…流路板、40A…表面、40B…裏面、41…スペーサ部材、41A…支持面、41B…ボディ、41C…凸部、42…流路溝、42D…凹部、42W…隔壁、43…流体供給口、44…流体排出口、45…凹部、46…孔、47…シール部材、48…シール溝、51…段部、51S…支持面、52…段部、52S…接触面、60…ボルト、61…ナット、AX…中心軸、LQ…液体、SP…空間、W…基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9