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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】ノーズパッド及びアイウエア
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/113 20060101AFI20230303BHJP
【FI】
A61B3/113
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018226571
(22)【出願日】2018-12-03
(65)【公開番号】P2020089430
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】506159699
【氏名又は名称】株式会社ジンズホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】菰田 泰生
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-153887(JP,A)
【文献】特表2006-523127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/12
3/13-3/16
A61B 5/05-5/0538
5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノーズパッドであって、
アイウエアに取り付け可能な取付構造であって、前記アイウエアに取り付けられた際に、前記ノーズパッドを回転自在にする回転機構を構成する孔を有する、前記取付構造と、
前記ノーズパッドの表面に設けられる2つの電極と、
前記ノーズパッドの内部に設けられる、加速度センサ、バッテリ、プロセッサ、アナログデジタル変換器、及び通信デバイスを含む基板であって、前記加速度センサは前記孔から最短距離にある当該基板における位置に設けられる、前記基板と、
を備えるノーズパッド。
【請求項2】
前記基板は、
一の面に、前記加速度センサ、前記バッテリ、前記プロセッサ、前記アナログデジタル変換器、及び前記通信デバイスが設けられ、
他の面に、前記2つの電極が設けられる、請求項1に記載のノーズパッド。
【請求項3】
前記回転機構は、前記孔の方向を1つの回転軸とする機構である、請求項1又は2に記載のノーズパッド。
【請求項4】
前記2つの電極が設けられる表面に、前記バッテリに給電する端子が設けられる、請求項1乃至いずれか一項に記載のノーズパッド。
【請求項5】
フレームと、前記フレームに取り付けられるノーズパッドとを備えるアイウエアであって、
前記ノーズパッドは、
前記フレームに取り付け可能な取付構造であって、前記フレームに取り付けられた際に、前記ノーズパッドを回転自在にする回転機構を構成する孔を有する、前記取付構造と、
前記ノーズパッドの表面に設けられる2つの電極と、
前記ノーズパッドの内部に設けられる、加速度センサ、バッテリ、プロセッサ、アナログデジタル変換器、及び通信デバイスを含む基板であって、前記加速度センサは前記孔から最短距離にある当該基板における位置に設けられる、前記基板と、
を備える、アイウエア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノーズパッド及びアイウエアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイウエアの所定位置に電極を設け、生体信号を取得する技術が知られている。例えば、眉間電極及び鼻電極を有する人体特性検出装置を、アイウエアのブリッジ部分に着脱可能に取り付ける技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/052168号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ブリッジに人体特性検出装置を取り付ける場合、この人体特性検出装置は特別な装置であるため、眼電位を取得していることが他人に認識可能であり、アイウエアを自然に使用しているとは言えなかった。
【0005】
そこで、本発明は、通常のアイウエアに取り付け可能であり、ユーザに自然にアイウエアを使用させながら生体信号を適切に取得、又は処理することを可能にするノーズパッド及びアイウエアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様におけるノーズパッドは、ノーズパッドであって、アイウエアに取り付け可能な取付構造と、前記ノーズパッドの表面に設けられる2つの電極と、前記ノーズパッドの内部に設けられる、バッテリ、プロセッサ、アナログデジタル変換器、及び通信デバイスを含む基板と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通常のアイウエアに取り付け可能であり、ユーザに自然にアイウエアを使用させながら生体信号を適切に取得することがノーズパッド及びアイウエアを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るアイウエアの前方からの一例を示す斜視図である。
図2】実施形態に係るノーズパッドの一例を示す図である。
図3】実施形態に係るノーズパッド144及びクリングス側の取付構造(その1)の一例を示す図である。
図4】実施形態に係るノーズパッド144及びクリングス側の取付構造(その2)の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る給電端子の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0010】
[実施形態]
<アイウエア>
図1は、実施形態に係るアイウエア100の前方からの一例を示す斜視図である。図1に示すように、アイウエア100は、例えばメガネであり、一対のレンズ110と、フレーム120とを備えている。なお、本実施の形態では、レンズ110を一対のものとして説明するが、必ずしも一対である必要がない。また、本実施の形態では、レンズ110をアイウエア100の構成として説明するが、レンズ110自体は、必ずしもアイウエア100に必要な構成ではない。
【0011】
フレーム120は、例えば、フロント140と、フロント140の左右側の両端に回転可能に連結されている一対のテンプル132と、一対のテンプル132の後方側に取り付けられている一対のモダン130とを備えている。また、フレーム120は、一対のレンズ110を保持するとともに、使用者の目および頭部に対してレンズ110およびフロント140を適切な姿勢に保持する。
【0012】
フロント140は、一対のレンズ110を支持する。テンプル132は、モダン130とともに使用者の側頭部を押圧して、この部位を挟持する。また、モダン130は、使用者の耳の上部および後方に接触して、アイウエア100の落下を防止する。なお、モダン130は、必ずしもアイウエア100に必要な構成ではない。
【0013】
以下の説明では、便宜上のために、図1に示すフロント140の長手方向を第2方向の一例である「左右方向」とする。また、アイウエア100が着用される際に、使用者から見た左側(図1の右側)を「左側」とし、使用者から見た右側(図1の左側)を「右側」とする。さらに、フロント140の短手方向を第1方向の一例である「上下方向」とし、フロント140の厚み方向を「前後方向」とする。
【0014】
なお、本実施形態が適用されるアイウエア100は、後述する眉間部(ブリッジ)142を中心として左右対称に形成されている。このため、以下の説明では、左右対称の構成について左右を区別せず、図面の何れかの一方側にある構成にのみ符号を付して説明する。
【0015】
フロント140は、例えば、左右方向に沿って伸びる板状構成であり、使用者の顔面に沿うように前方に突出するように湾曲している。また、フロント140は、中央にある眉間部142と、眉間部142の裏面の左右両側に取り付けられている一対のノーズパッド144と、眉間部142の左右両端に形成されている一対のリム146と、一対のリム146の各端部に形成されている一対のヨロイ(不図示)と、一対のヨロイの裏面に取り付けられている一対の第1丁番部分(不図示)とを有している。
【0016】
眉間部142は、フロント140(アイウエア100)の左部分および右部分を繋ぐ。また、眉間部142は、例えば、湾曲した板状部材であり、樹脂等によって形成されている。
【0017】
ノーズパッド144は、使用者の鼻を両脇から挟むことでフロント140を支持し、このフロント140の使用者の目に対する高さ等を維持する。また、ノーズパッド144は、例えば、樹脂のパッド部および金属の支持部を有するクリングスタイプの一部である。なお、パッド部および支持部の変形によって、フロント140が使用者の鼻および目に対する姿勢(例えば、角膜頂点間距離)を微調整することが可能になる。
【0018】
また、本実施形態に係るノーズパッド144は、支持部とパッド部とを着脱可能にしてあり、または、支持部とフロントとを着脱可能にしてあり、支持部、及び/又は、パッド部に取付構造を有する。また、図2以降で後述するように、パッド部の表面に少なくとも2つの電極を有しており、パッド部内部(完全に樹脂で覆われているか否かは問わない)に生体信号を処理する処理部を有する。
【0019】
リム146は、レンズ110を保持する。また、リム146は、例えば、レンズ110の形状を沿うように形成されているリング状部材であり、樹脂等によって形成されている。
【0020】
ヨロイ(不図示)には、第1丁番部分(不図示)が形成されている。また、ヨロイは、例えば、湾曲した板状部材であり、樹脂等によって形成されている。
【0021】
第1丁番部分は、連結部の一例として機能し、テンプル132側に形成されている板状形状を有する第2丁番部分(不図示)と組み合わせることで、テンプル132をフロント140に対して回転可能に連結している。すなわち、第1丁番部分と第2丁番部分とは、丁番を構成している。
【0022】
テンプル132は、側頭部にフィットするように湾曲しているL字状の部材である。また、テンプル132は、フロント140と挟む角度が最も小さい折畳位置からこのフロント140と挟む角度が最も大きい開き位置までの範囲において回転可能に連結されている。
【0023】
<ノーズパッド>
図2は、実施形態に係るノーズパッドの一例を示す図である。図2(A)は、XZ平面におけるノーズパッド144の断面図を示し、図2(B)は、YZ平面におけるノーズパッド144の表面図を示す。なお、図2に示すノーズパッド144を右側のノーズパッド144とした場合、X方向は、左右方向の左側を示し、Z方向は、上下方向の上方を示し、Y方向は、前後方向の後方を示す。
【0024】
図2(A)に示すように、ノーズパッド144は、鼻の皮膚に接触する面に、少なくとも第1電極152及び第2電極154を有する。限定ではなく例として、2つの電極の中心間の距離は12mm、各電極の直径は3mmである。また、一例として、ノーズパッド144のサイズは、例えば、Z方向に15mm、Y方向に5mmである。
【0025】
第1電極152及び第2電極154は、樹脂170に覆われておらず、鼻の皮膚に直接接触することで、使用者の右眼の眼電位を検出する。このように、眼電位を検出するための電極を、使用者の皮膚に必然的に接触するノーズパッド144の表面に設ける。これにより、使用者の眼の上下に二対の電極を接触させるのに比べて、使用者の皮膚に与える負担を軽減することができる。なお、第1電極152及び第2電極154は、鼻の筋電位や脳波を検出してもよい。
【0026】
実施形態において、左側のノーズパッドにも同様に第3電極、及び第4電極が設けられる場合、例えば、第1電極152及び第3電極を接地電極(グランド)としてもよい。また、接地電極により検知される値は、ほぼゼロである。眼電位の検出目的に応じて、右側の第1電極152の第1電位と、右側の第2電極154の第2電位との差分値を用いたり、平均値を用いたりする。各電極により検知された眼電位信号は、処理デバイス166に出力される。
【0027】
また、図2には、図示していないが、ノーズパッド144は、アイウエア100に取り付け可能な取付構造を有する。例えば、取付構造は、アイウエア100の眉間部142、又は眉間部142に取り付けられた支持部(例えば金属製の棒状部材)に設けられ、ノーズパッド144を取付可能及び取り外し可能であれば、取付構造はいずれの構造であってもよい。また、アイウエア100に取り付け可能な取付構造とは、ノーズパッド144に対して着脱可能な支持部への取付構造や、アイウエア100に対して着脱可能な支持部自体を含む。
【0028】
例えば、後述する図3及び図4に示すように、ノーズパッド144がクリングスタイプの場合、ノーズパッド144の取付構造には、ねじを通すねじ孔があり、クリングス構造のボックス部にノーズパッド144の取付構造部分が挿入される。そして、ボックス部に設けられた2つのねじ孔と、取付構造のねじ孔とを貫通させるようにしてねじが通され、ねじが回されることでノーズパッド144とクリングス構造のボックス部とが固定される。
【0029】
また、別の取付構造として、アイウエア100及び支持部、あるいは、支持部及びノーズパッド144が特定の関係(位置関係)を満たした場合に、各取付構造は、ノーズパッド144が容易に取り外せない構造を含んでもよい。具体例としては、各取付構造は、レールを設けて、任意のモジュールを摺動して各取付構造に取り付ける摺動構造でもよいし、軸を孔に嵌合して取り付ける嵌合構造でもよいし、係止構造でもよいし、ねじ孔を設けて、ねじ止めする構造でもよいし、マジックテープ(登録商標)のような粘着、接着性を用いて取り付ける取付構造であってもよい。上記で説明した取付構造は、ノーズパッド144の一部に設けられるような小型の取付構造である。
【0030】
また、樹脂製フレームのようにノーズパッド一体型のアイウエアがある。このアイウエアの場合、フレームと一体化されたノーズパッドの表面に、ノーズパッド144を粘着させて取り付けることが可能である。
【0031】
ノーズパッド144の内部には、処理部が設けられる。処理部は、加速度センサ162と、バッテリ164と、プロセッサ、アナログデジタル変換器、及び通信デバイスを含む処理デバイス166とを含む基板160を備える。基板160は、各部と導通している電子回路基板である。また、処理部は、微弱な眼電位を増幅する増幅部(不図示)を備えてもよい。
【0032】
加速度センサ162は、例えば3軸加速度センサである。また、加速度センサ162は、検出したセンサ信号を処理デバイス166に出力する。
【0033】
処理デバイス166が増幅部を含む場合、処理デバイス166は、増幅部から増幅された眼電位信号を取得し、処理してもよいし、電極から眼電位信号を取得して処理してもよい。例えば、アナログデジタル変換器は、各電極で検知された眼電位信号をデジタル信号に変換し、増幅部に出力してもよいし、増幅部により増幅された眼電位信号をデジタル信号に変換してもよい。
【0034】
処理デバイス166内のプロセッサは、第1電極152を基準とした第2電極154の電位を示す基準眼電位信号を処理してもよい。このとき、処理デバイス166内のプロセッサは、右眼又は左眼において、各電極から検出された眼電位に基づいて、眼の垂直方向の動きを示す信号を生成するように処理を行ってもよい。
【0035】
処理デバイス166内の通信デバイスは、プロセッサによって処理された各信号を外部装置に送信する。例えば、通信デバイスは、Bluetooth(登録商標)及び無線LAN等の無線通信、又は有線通信によって各信号を外部装置に送信する。
【0036】
外部装置は、通信機能を有する情報処理装置である。例えば、外部装置は、使用者が所持する携帯電話及びスマートフォン等の携帯通信端末やパーソナルコンピュータ等である。外部装置は、処理デバイス166に含まれる通信デバイスから受信した眼電位に関する信号に基づく処理を実行する。例えば、外部装置は、受信した眼電位に関する信号から、瞬目や視線移動を検出する。
【0037】
また、外部装置は、左右のノーズパッドそれぞれから、加速度センサ162の加速度データを取得する場合、2つの加速度データの平均値を用いればよい。
【0038】
バッテリ164は、加速度センサ162、及び処理デバイス166に電力を供給する。バッテリ164は、充電式のバッテリが好適である。
【0039】
図2(B)に示すように、ノーズパッド144の表面は、樹脂170で覆われているが、第1電極152及び第2電極154は皮膚に直接接触するようにするため、樹脂170で覆われていない。
【0040】
また、ノーズパッド144の内部に含まれる基板160の両面に部品が配設される。例えば、基板160の一面に、加速度センサ162と、バッテリ164と、処理デバイス166とを設け、他の面に、2つの電極152、154を設ける。これにより、ノーズパッド144の小型化が可能になる。
【0041】
《回転機構(その1)》
図3は、実施形態に係るノーズパッド144及びクリングス側の取付構造(その1)の一例を示す図である。図3に示す例では、一般的なクリングスタイプの取付構造が示される。図3に示すノーズパッド144は、電極152等とは反対側の面に取付構造180Aを含み、取付構造180Aは、回転機構を構成するねじ孔186Bを有する。
【0042】
クリングス側の取付構造180Bは、支持部182と、支持部182に連結されたボックス部184とを含み、ボックス部184は、ねじ孔186A及び186Cを有する。ここで、ねじ孔について、ねじ孔186A及び186Bの直径は、ねじ188のねじ径188Aよりも大きく、さらにねじ孔186Cの直径よりも大きい。ねじ孔186Cの直径は、ねじ径188Aとほぼ同じである。なお、ねじ188は、ねじ孔186Cで固定される。図3に示すように、A1方向のノーズパッド144の可動は、ねじ軸周りで許容され、A2方向のノーズパッド144の可動は、ねじ孔186A及び186Bの直径がねじ径188Aよりも大きいことによって発生する動き(ガタつき)で許容される。
【0043】
加速度センサ162は、回転機構を構成するねじ孔186Bに隣接する位置に設けられる。図3に示す例では、加速度センサ162は、ノーズパッド144の内部のうち、Z方向の中央部に設けられる。これにより、ねじ孔186Bに隣接する位置(好ましくは、基板160における位置で、ねじ孔186Bから最短距離にある位置)に加速度センサ162が設けられることで、ノーズパッド144の回転による振動の影響を軽減することができる。
【0044】
《回転機構(その2)》
図4は、実施形態に係るノーズパッド144及びクリングス側の取付構造(その2)の一例を示す図である。図4に示す例では、一般的なクリングスタイプの取付構造が示される。図4に示すノーズパッド144は、電極152等とは反対側の面に取付構造190Aを含み、取付構造190Aは、回転機構を構成するねじ孔192Bを有する。
【0045】
クリングス側の取付構造190Bは、支持部182と、支持部182に連結されたボックス部184とを含み、ボックス部184は、ねじ孔192A及び192Cを有する。ここで、ねじ孔について、ねじ孔192A及び192Cの直系は、ねじ188のねじ径188Aとほぼ同じである。ねじ孔192Bの直径は、ねじ径188Aよりも若干大きく、又はほぼ同じである。なお、ねじ188は、少なくともねじ孔192A及び192Cで固定される。図4に示すように、A1方向のノーズパッド144の可動は、ねじ軸周りで許容されるが、その他の方向には回転しない。
【0046】
加速度センサ162は、回転機構を構成するねじ孔192Bに隣接する位置に設けられる。図4に示す例では、加速度センサ162は、ノーズパッド144内部のうち、Z方向の中央部に設けられる。これにより、上下方向の鼻の表面に沿って回転する回転機構(ねじ孔192Bの軸方向)に隣接する位置(好ましくは、基板160における位置で、ねじ孔192Bから最短距離にある位置)に加速度センサ162が設けられることで、ノーズパッド144の回転による振動の影響をさらに軽減することができる。
【0047】
《給電端子》
図5は、実施形態に係る給電端子の位置を示す図である。バッテリ164は、充電式のバッテリであるとする。このとき、バッテリ164に電力を供給するための給電用の端子が必要になるが、図5に示す例では、電極側の表面に、2つの給電端子200が設けられる。これにより、ノーズパッド144がアイウエア100に取り付けられた状態でも、支持部などの位置に関係なく、給電端子を介してバッテリ164の充電を行うことができるようになる。
【0048】
以上、実施形態によれば、通常のアイウエアに取り付け可能であり、ユーザに自然にアイウエアを使用させながら生体信号を適切に取得、又は処理することが可能なノーズパッド及びアイウエアを提供することが可能になる。また、従来技術では、検出装置を取り付けるアイウエアのフレームは専用品であったため、市販の通常のアイウエアに比べてデザインに制約があったが、上記実施形態によれば、フレームデザインに制約を受けず、また、ファッション性を維持しつつ、装着者は気軽に実施形態に係るアイウエアを着用することが可能になる。また、専用品としてのフレームを用意する必要が無いため、ノーズパッドのみを製品として流通させることが可能となり、製造及び流通コストの効率化を図ることが可能になる。
【0049】
また、上述したノーズパッドによれば、ノーズパッド、クリングス、眉間の参照電極などをそれぞれ調整する場合に比べて、調整しなくてはならない部分をノーズパッドの1か所に集めることができる。また、小型化されたノーズパッドに電極やプロセッサなどを組み込み、後付け可能な部品とすることで、既に市販されたアイウエアにも取り付けることが可能になる。また、アイウエアの観点では、見た目にも自然な使用を行うことを可能にしつつ、眼電位信号などの生体信号を適切に取得、又は処理することができる。
【0050】
<変形例>
上述した増幅部は、眼電位信号を演算する処理部を有していれば、増幅する前又は増幅した後の各眼電位信号のサンプリング値に対する、上述した差分値又は平均値を求めるための演算処理を行ってもよい。増幅部により増幅された信号又は処理された信号は、プロセッサに出力される。
【0051】
ここで、上述した眼電位信号に関する処理は、各電極が鼻に適切に接触していることを前提としている。しかし、アイウエア100の装着具合によって、1以上の電極が鼻に非接触又は接触不良となっていることがある。特に、上端部の第1電極152が接地電極となる場合、この第1電極152が非接触又は接触不良となると、適切な眼電位信号が取得できない。そこで、上端部の電極の一部が鼻と非接触又は接触不良であっても、適切に眼電位を取得することが可能なように、左右の電極を結線する。
【0052】
例えば、物理的な構成を用いることにより、上端部の電極の一部が鼻と非接触又は接触不良であっても、適切に眼電位を取得可能にする。例えば、上端部の電極同士を結線(電気的に接続)することで、鼻に接触している側の電極の電位を、両上端部の電極の基準電位として共通で用いることができる構成を採用する。例えば、ブリッジと左右の支持部内に、予め結線用の部材を通しておき、左右のノーズパッド144を支持部に取り付けた際に、各ノーズパッド144の上部の電極が結線されるようにする。結線用の部材は、例えば、金属の電線などである。また、部材は、支持部やフレーム内を通すことで、外部に視認できないようになる。
【0053】
これにより、左右のノーズパッドの1対の電極同士が導通しているため、一方が適切に鼻に接触していれば、それを基準電位として、処理デバイス166のプロセッサ等は、両電極で共通して基準電位を用いることができる。
【0054】
また、左右のノーズパッドの各電極を用いて導通させることで、接触対象の鼻に対して2つの方向から接触を図ることができ、少なくともいずれか一方で適切に鼻に接触させる可能性を高めることができる。
【0055】
また、左右のノーズパッドの参照電位を結線することにより、左右の電位差を取ることができるようになるので、左右の視線移動を取得することも可能になる。なお、左右のノーズパッドの一対の電極が結線されていなくても、左右それぞれの眼電位信号を受信した外部装置によって、視線移動を検出することも可能である。
【0056】
上記実施形態では、ノーズパッド144内に加速度センサ162を設けていたが、加速度センサ162は必ずしも必要な構成ではない。例えば、簡易バージョンとして、バッテリ164と処理デバイス166とを含む基板160をノーズパッド144に設けるようにしてもよい。
【0057】
以上、本発明について各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0058】
100 アイウエア
120 フレーム
142 眉間部
144 ノーズパッド
152 第1電極
154 第2電極
160 基板
162 加速度センサ
164 バッテリ
166 処理デバイス
170 樹脂
180、190 取付構造
182 支持部
184 ボックス部
200 給電端子
図1
図2
図3
図4
図5