IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナブテスコ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ドア制御装置 図1
  • 特許-ドア制御装置 図2
  • 特許-ドア制御装置 図3
  • 特許-ドア制御装置 図4
  • 特許-ドア制御装置 図5
  • 特許-ドア制御装置 図6
  • 特許-ドア制御装置 図7
  • 特許-ドア制御装置 図8
  • 特許-ドア制御装置 図9
  • 特許-ドア制御装置 図10
  • 特許-ドア制御装置 図11
  • 特許-ドア制御装置 図12
  • 特許-ドア制御装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】ドア制御装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/28 20060101AFI20230303BHJP
   E05F 7/00 20060101ALI20230303BHJP
   B61D 19/02 20060101ALI20230303BHJP
   B61D 37/00 20060101ALI20230303BHJP
   B61K 13/04 20060101ALI20230303BHJP
   E05F 15/632 20150101ALI20230303BHJP
【FI】
E06B7/28 A
E05F7/00 F
B61D19/02 E
B61D19/02 V
B61D37/00 G
B61K13/04
E05F15/632
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018243658
(22)【出願日】2018-12-26
(65)【公開番号】P2020105749
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】上田 晋司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】秋山 仁
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-535468(JP,A)
【文献】国際公開第2010/100988(WO,A1)
【文献】特開2000-203418(JP,A)
【文献】特開平10-278787(JP,A)
【文献】特開2008-143220(JP,A)
【文献】特開2009-155826(JP,A)
【文献】特開2017-214023(JP,A)
【文献】特開平2-262420(JP,A)
【文献】国際公開第2013/132656(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/28
E05F 7/00
B61D 19/02
B61D 37/00
B61K 13/04
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗降口に設けられたドアの開閉制御を行う開閉制御部と、
前記開閉制御部の状態に関する状態情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記状態情報に基づいて、外部から受信した前記ドアの開閉に関する外部指令を実行可能であるか否かを判断する判断部と、
前記外部指令を実行不可能であるときに前記状態情報に基づいて前記ドアの利用者へ報知するための報知情報を報知部にて報知する報知制御部とを備え
前記報知部は、前記車両の内部に設けられたプロジェクタと、前記車両の窓部を構成し、不透明状態と半透明状態とを選択可能である瞬間調光部材と、を含み、
前記報知制御部は、
前記外部指令を実行不可能であるときに、前記車両の走行中であれば、前記瞬間調光部材を不透明状態に制御し、前記瞬間調光部材に前記報知情報を投影するよう前記プロジェクタを制御し、
前記外部指令を実行不可能であるときに、前記車両の停止中であれば、前記瞬間調光部材を半透明状態に制御し、前記報知情報を反転させて前記瞬間調光部材に投影するよう前記プロジェクタを制御す
ドア制御装置。
【請求項2】
前記報知制御部は、前記状態情報に基づいて前記判断部が前記開閉制御部が故障していると判断したときに、前記外部指令に関係なく、前記ドアの開閉が故障している旨の前記報知情報を報知する
請求項1に記載のドア制御装置。
【請求項3】
前記報知制御部は、前記状態情報に基づいて前記判断部が前記開閉制御部が故障していると判断したときに、他のドアを利用するよう案内する旨の報知情報を報知する
請求項1に記載のドア制御装置。
【請求項4】
前記状態情報は、開閉情報、戸挟み情報、故障情報、及び手動解錠情報の少なくとも一つを含む
請求項1~のいずれか一項に記載のドア制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鉄道車両に搭載される陽射し制御装置が開示されている。この陽射し制御装置は、鉄道車両の窓の内面に取り付けられた液晶パネルを有し、液晶パネルで遮光を行う。このため、液晶パネルは、車両内の陽除けとして機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-280896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の装置は、鉄道車両の窓に設けられているため、窓の近くに位置する人に対して有効な装置である。ただし、上記特許文献1に記載の装置の液晶パネルは、遮光するものであって、情報を提供することはない。そこで、ドアの正確な状態の情報を提供することのできる装置が求められている。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドアの正確な状態の情報を提供することのできるドア制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するドア制御装置は、ドアの開閉制御を行う開閉制御部と、前記開閉制御部の状態に関する状態情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記状態情報に基づいて、外部から受信した前記ドアの開閉に関する外部指令を実行可能であるか否かを判断する判断部と、前記外部指令を実行不可能であるときに前記状態情報に基づいて前記ドアの利用者へ報知するための報知情報を報知部にて報知する報知制御部とを備える。
【0007】
上記構成によれば、ドアの開閉に関する外部指令を実行不可能であるときに外部指令をドアの状態として報知せず、開閉制御部の状態に関する状態情報に基づいて報知情報を報知する。このため、外部指令をドアの状態として報知することがなく、ドアの正確な状態に関する情報をドアの利用者に提供することができる。
【0008】
上記ドア制御装置について、前記報知制御部は、前記外部指令に基づいて前記報知情報を前記報知部にて報知し、前記外部指令を実行不可能であるときに前記状態情報に基づいて前記報知情報を前記報知部にて報知することが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、ドアの状態を確認することなく、外部指令に基づいて報知情報を報知することができるため、状態情報を確認する処理を省略することができる。そして、外部指令を実行不可能であるときに状態情報に基づいて報知情報を報知するため、ドアの正確な状態に関する情報を、処理を抑制しつつドアの利用者に提供することができる。
【0010】
上記ドア制御装置について、前記報知制御部は、前記状態情報により前記開閉制御部が故障しているときに、前記外部指令に関係なく、前記ドアの開閉が故障している旨の前記報知情報を報知することが好ましい。上記構成によれば、外部指令に関係なく、ドアの状態の報知情報を優先して表示することで、ドアの状態に応じた情報を提供することができる。
【0011】
上記ドア制御装置について、前記報知制御部は、前記状態情報により前記開閉制御部が故障しているときに、他のドアを利用するよう案内する旨の報知情報を報知することが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、故障しているドアにおいて他のドアを利用するよう案内する報知情報を報知するため、利用者は報知情報に応じて故障していないドアに移動して乗降車することができる。
【0013】
上記ドア制御装置について、前記状態情報は、開閉情報、戸挟み情報、故障情報、及び手動解錠情報の少なくとも一つを含むことが好ましい。
上記ドア制御装置について、前記報知情報を前記ドア又は前記ドアの周囲に投影する表示部を備えることが好ましい。上記構成によれば、表示部が情報を投影するため、ドア又はドアの周囲に表示装置そのものを設置せずに、ドア又はドアの周囲に報知情報を表示することができる。
【0014】
上記ドア制御装置について、前記ドアは、前記表示部が投影する部分に、光を透過させつつ、前記光の一部を反射させる透過部を備えることが好ましい。
上記構成によれば、投影部が投影する投影面と反対側、すなわち鉄道車両の外側から投影された報知情報を視認することができる。このため、鉄道車両の内側のドア付近にいる利用者だけでなく、鉄道車両の外側のドア付近にいる利用者に情報を提供することができる。
【0015】
上記ドア制御装置について、前記ドア又は前記ドアの周囲に設置され、前記報知情報を表示する表示部を備えることが好ましい。
上記構成によれば、表示部が報知情報を表示するため、ドア又はドアの周囲に報知情報を表示して、利用者に直接提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ドアの正確な状態の情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ドア制御装置の第1の実施形態における鉄道車両の概略断面図。
図2】同実施形態のドア制御装置の概略構成を示すブロック図。
図3】同実施形態のドア制御装置による表示例を示す図。
図4】同実施形態のドア制御装置による表示例を示す図。
図5】同実施形態のドア制御装置による処理を示すシーケンスチャート。
図6】同実施形態のドア制御装置による処理を示すシーケンスチャート。
図7】同実施形態のドア制御装置による表示例を示す図。
図8】同実施形態のドア制御装置による処理を示すシーケンスチャート。
図9】ドア制御装置の第2の実施形態における鉄道車両の概略断面図。
図10】同実施形態のドア制御装置による表示例を示す図。
図11】同実施形態のドア制御装置による処理を示すシーケンスチャート。
図12】ドア制御装置の変形例における鉄道車両の概略断面図。
図13】同変形例のドア制御装置による表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、図1図8を参照して、ドア制御装置の第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、鉄道車両2は、複数のドア3を備えている。各ドア3は、両開き戸であって、乗降口を開閉する。各ドア3は、ドア装置30によって開閉が行われる。ドア装置30は、各ドア3に対してそれぞれ設けられている。
【0019】
図2に示すように、ドア装置30は、ドア3の開閉を行うドア開閉装置31を備えている。ドア開閉装置31は、ドア3の開閉を制御するドア制御装置32と、ドア開閉装置31の制御によってドア3を駆動するドア駆動装置39とを備えている。
【0020】
ドア制御装置32は、ドア駆動装置39を制御することでドア3を開閉する開閉制御部33を備えている。ドア駆動装置39は、例えば空気圧シリンダである。なお、ドア駆動装置39は、空気圧シリンダに限らず、電動モータ等の駆動装置であってもよい。
【0021】
ドア装置30は、ドア3の施錠を手動で解除することが可能な手動解錠装置40を備えている。手動解錠装置40が操作されると、ドア3の施錠が解除され、ドア3を手動で開くことができるようになる。ドア装置30は、ドア3の開閉を利用者が操作する開閉ボタン50を備えている。
【0022】
車両制御盤20は、鉄道車両2の運転台に設置されている。車両制御盤20は、ドア制御装置32にドア3の開閉指令を行う開閉指令部21を備えている。車両制御盤20は、運転士によって操作されると、ドア開指令及びドア閉指令を開閉指令部21からドア制御装置32に出力する。ドア制御装置32は、ドア開指令が入力されると、ドア駆動装置39がドア3を開状態に移動させ、ドア閉指令が入力されると、ドア駆動装置39がドア3を閉状態に移動させる。なお、車両制御盤20からドア制御装置32が受信するドア開指令及びドア閉指令が外部指令に相当する。
【0023】
ドア開閉装置31のドア制御装置32は、車両制御盤20と電気的に接続され、信号を相互通信している。ドア制御装置32は、車両制御盤20からドア開指令が入力されるとドア開駆動を行う。ドア制御装置32は、ドア駆動装置39を開駆動させて、ドア3を開く。ドア制御装置32は、車両制御盤20からドア開指令が入力されるとドア3が開くことを示すドア開信号を出力する。ドア制御装置32は、ドア駆動装置39を開駆動させて、ドア3が故障すると、故障信号を出力する。
【0024】
ドア3を開閉する際に、利用者による開閉ボタン50の操作が必要な鉄道車両では、車両制御盤20が半自動指令を出力する。ドア開閉装置31は、車両制御盤20から半自動指令が入力されると、解錠信号を出力する。ドア開閉装置31は、利用者が開閉ボタン50の開ボタンを操作すると、ドア開駆動を行う。ドア制御装置32は、ドア駆動装置39に開駆動させてドア3を開く。ドア開閉装置31は、ドア3が開くと、ドア3が開いていることを示すドア開信号を出力する。
【0025】
また、ドア開閉装置31は、利用者が開閉ボタン50の閉ボタンを操作すると、ドア閉駆動を行う。ドア制御装置32は、ドア駆動装置39に閉駆動させてドア3を閉じる。ドア開閉装置31は、ドア3が閉まると、ドア開信号の出力を停止する。
【0026】
ドア制御装置32は、開閉制御部33の状態に関する状態情報を取得する取得部としての状態監視部34を備えている。状態情報は、例えば、ドア3の開閉情報、ドア3に物等が挟まれた戸挟み情報、開閉制御部33又はドア駆動装置39の故障情報、及び手動解錠を行った手動解錠情報等である。
【0027】
ドア制御装置32は、状態監視部34が取得した状態情報に基づいて、外部から受信したドア3の開閉に関する外部指令を実行可能であるか否かを判断する判断部としての実行判断部35を備えている。実行判断部35は、外部指令を実行不可能であると判断したとき、外部指令を実行不可能である旨の故障情報を報知制御部36に出力する。
【0028】
ドア制御装置32は、ドア3の状態の情報を報知する報知制御部36を備えている。報知制御部36は、外部からドア3の開閉に関する外部指令を受信する。すなわち、ドア制御装置32は、車両制御盤20から受信した外部指令を開閉制御部33及び報知制御部36にて取得する。
【0029】
報知制御部36は、外部指令に基づいてドア3の利用者へ報知するための報知情報を報知する。すなわち、報知制御部36は、ドア開指令を受信したら、ドア3が開くことを示す報知情報を報知する。報知制御部36は、ドア閉指令を受信したら、ドア3が閉じることを示す報知情報を報知する。
【0030】
また、報知制御部36は、実行判断部35が外部指令を実行不可能であると判断したときに、状態情報に基づいて報知情報を報知する。すなわち、報知制御部36は、ドア3の開閉が故障している旨の報知情報を報知する。なお、報知制御部36は、外部指令に基づいて報知情報を報知した後、外部指令を実行不可能であるときには、状態情報に基づいて報知情報を報知する。なお、ドア制御装置32の演算処理が速く、外部指令に基づいて報知情報を報知する前に、外部指令を実行不可能であると判断されたときには、外部指令に基づいて報知情報を報知せずに、状態情報に基づいて報知情報を報知する。
【0031】
報知制御部36は、実行判断部35が状態情報により開閉制御部33が故障していると判断したときに、外部指令に関係なく、ドア3の開閉が故障している旨の報知情報を報知する。すなわち、報知制御部36は、外部指令を受信したことをトリガとして報知情報を報知するのではなく、状態監視部34が取得した状態情報に基づいて開閉制御部33が故障していると実行判断部35が判断することで、ドア3の開閉が故障している旨の報知情報を報知する。そして、報知制御部36は、状態情報により開閉制御部33が故障しているときに、他のドア3を利用するよう案内する報知情報を報知する。
【0032】
報知制御部36は、報知部としてのプロジェクタ13を使って報知情報を報知する。プロジェクタ13は、報知情報を画像や映像によってドア3に投影する。プロジェクタ13は、各ドア3に対してそれぞれ設けられている。報知制御部36は、状態監視部34が取得した情報からプロジェクタ13に投影すべき報知情報を選択し、選択した報知情報に基づいて予め準備しておいた画像や映像を選択してプロジェクタ13に出力する。なお、報知制御部36は、プロジェクタ13から出力するときに選択した報知情報に基づいて画像や映像を生成してもよい。
【0033】
図1に示すように、プロジェクタ13は、鉄道車両2の天井2Aに設けられている。プロジェクタ13は、投影対象のドア3寄りに設けられている。このため、プロジェクタ13は、至近投影が可能な短焦点プロジェクタが望ましい。
【0034】
図1及び図3に示すように、ドア3は、図3中左側の第1ドア3Aと図3中右側の第2ドア3Bとを備えている。第1ドア3A及び第2ドア3Bのそれぞれ中央部分には、透明な窓部37が設けられている。窓部37は、電圧を印加すると不透明となる瞬間調光部材からなる。瞬間調光部材は、瞬間調光フィルムが貼り付けられた透明部材や、瞬間調光ガラス等である。ドア3の窓部37ではないドア部38の表面は、全体が同じ色で模様のない無地であることが望ましい。プロジェクタ13の投影範囲PRは、窓部37の縦方向に含まれる範囲であって、第1ドア3Aの窓部37及び第2ドア3Bの窓部37と、両窓部37の間のドア部38を含む範囲である。なお、窓部37に設けられる瞬間調光部材は、窓部37の全面であってもよいし、投影範囲PRが少なければ窓部37の一部であってもよい。図1の白矢印は、投影画像を認識することができる認識方向を示している。
【0035】
報知制御部36は、鉄道車両2に乗車している利用者に対する報知情報として車両内表示を表示する。すなわち、ドア3に投影される画像や映像は、鉄道車両2の内側の利用者に向けた表示である。車両内表示としては、ドア3の状態、行先案内表示等がある。
【0036】
例えば、報知制御部36は、ドア3が開くときには、車両内表示の一例として、ドア3が開くことを示す「こちら側のドアが開きます」等の画像(ドア開表示)を表示させる。また、報知制御部36は、ドア3が戸挟みを検知したときには、車両内表示の一例として、戸挟みを示す「ドアに挟まっています」等の画像(戸挟み表示)を表示させる。また、報知制御部36は、車両内表示の一例として、ドア3が閉じていて反対側のドア3が開くときには、「反対側のドア3が開きます」等の画像(案内表示)を表示させる。
【0037】
図3には、報知制御部36による車両内表示の一例として、行先案内表示を示している。ドア3の中央には、プロジェクタ13によって行先案内表示の「急行○○行き次の駅は□□です」の画像が投影されている。
【0038】
図4には、報知制御部36による車両内表示の一例として、他のドア3を利用するよう案内する旨のドア故障表示を示している。ドア3の中央には、プロジェクタ13によってドア故障表示の「ドア故障中他の乗降口をご利用ください」の画像が投影されている。
【0039】
報知制御部36は、状態監視部34がドア閉指令を取得すると、車両内表示を行う。報知制御部36は、ドア3が開くことを示すドア開指令を状態監視部34が取得すると、車両内表示を停止する。報知制御部36は、状態監視部34が状態情報としての故障情報を取得すると、故障表示を行う。
【0040】
なお、車両制御盤20の開閉指令部21からドア開指令が入力された後、所定時間が経過した後にドア開閉装置31が駆動を行う場合には、報知制御部36は所定時間の間、開動作表示を行う。報知制御部36は、状態監視部34が状態情報としてのドア開指令を取得すると、状態監視部34がドア開指令を取得してから所定時間の間、ドア3が開くことを示す開動作表示を表示する。
【0041】
また、ドア3を開閉する際に、利用者による開閉ボタン50の操作が必要な鉄道車両2では、報知制御部36は、状態監視部34が半自動指令を取得すると、開ボタン案内表示を表示する。報知制御部36は、状態監視部34が状態情報としての開ボタン操作情報を取得すると、開ボタン案内表示を停止する。
【0042】
次に、図5及び図6を参照して、報知制御部36による表示処理について説明する。ここでは、ドア3が開いた状態から閉じて、開くまでの動作における表示処理を説明する。
図5に示すように、まず、ドア開閉装置31は、車両制御盤20からドア閉指令が入力されると(ステップS11)、ドア閉駆動を行う(ステップS12)。すなわち、ドア制御装置32の開閉制御部33は、ドア駆動装置39に閉駆動させて、ドア3を閉じる。
【0043】
そして、ドア3が閉じると、状態監視部34は、ドア閉情報を取得する(ステップS13)。
報知制御部36は、状態監視部34が状態情報としてのドア閉情報を取得すると、ドア3に表示する報知情報としての車両内表示をプロジェクタ13に出力する(ステップS14)。そして、プロジェクタ13は、報知制御部36から車両内表示が入力されると、車両内表示を行う(ステップS15)。報知制御部36は、車両内表示として、例えば図3に示した行先案内表示を表示する。鉄道車両2に乗り込んだ利用者は、ドア3に投影された行先案内表示を見ることで乗った鉄道車両2の行先を確認することができる。
【0044】
なお、報知制御部36は、鉄道車両2が走行している間、車両内表示として行先案内表示と広告等とを切り換えたり、区分けして表示したりして、ドア3に表示してもよい。このようにすれば、表示範囲を広く確保することができるため、大きな表示や多くの情報を表示することが可能となる。
【0045】
続いて、ドア開閉装置31は、車両制御盤20からドア開指令が入力されると(ステップS16)、ドア3が開くことを示すドア開情報を状態監視部34が取得する(ステップS17)。報知制御部36は、状態監視部34が状態情報としてのドア開情報を取得すると、ドア3に表示した表示を停止する表示停止をプロジェクタ13に出力する(ステップS18)。そして、プロジェクタ13は、報知制御部36から表示停止が入力されると、車両内表示を停止する(ステップS19)。鉄道車両2に利用者が乗り込む際に、ドア3に投影が行われていると眩しいためドア3が開く前に投影を停止することで利用者への影響がないようにすることができる。
【0046】
また、ドア開閉装置31は、車両制御盤20からドア開指令が入力されると(ステップS16)、ドア開駆動を行う(ステップS20)。すなわち、ドア制御装置32は、ドア駆動装置39に開駆動させて、ドア3を開く。
【0047】
続いて、ドア3が開駆動時に故障したときの報知制御部36による表示処理について説明する。
図6に示すように、ドア制御装置32がドア駆動装置39を開駆動させて(ステップS20)、ドア3が全開まで移動せず、故障すると、状態監視部34が状態情報として故障情報を取得する(ステップS21)。すなわち、実行判断部35は、外部指令を実行不可能であると判断し、報知制御部36に外部指令を実行不可能である旨の故障情報を出力する。報知制御部36は、状態監視部34が状態情報として故障情報を取得すると、報知情報として故障情報を含む故障表示をプロジェクタ13に出力する(ステップS22)。
【0048】
報知制御部36は、故障表示を行う(ステップS23)。報知制御部36は、故障表示として、例えば図4に示した故障表示を表示する。鉄道車両2から降りる利用者は、ドア3に投影された故障表示を見ることで最寄りのドア3から降りられないことを確認して、他のドア3に移動することができる。
【0049】
続いて、図7及び図8を参照して、ドア3を開閉する際に、利用者による開閉ボタンの操作が必要な鉄道車両における表示処理を説明する。
図7に示すように、鉄道車両2では、駅のプラットホーム5に到着した際に、ドア3を解錠しつつ、ドア3の近くに設置された開閉ボタン50が操作されることでドア3の開閉が行われるものがある。このような鉄道車両2においては、降りたい利用者が開閉ボタン50を操作しなければいけないことに気付かないことがある。このため、報知制御部36は、駅のプラットホーム5に到着した際に、開閉ボタン50を操作するように開ボタン案内表示を行う。開ボタン案内表示は、「降りる方は←開ボタンを押してください」の画像がドア3に投影される。
【0050】
図8では、鉄道車両2は、ドア3が閉まっていて、車両内表示が表示されている状態である。報知制御部36は、車両制御盤20から半自動指令が入力されると(ステップS31)、開閉ボタン案内表示をプロジェクタ13に出力する(ステップS32)。プロジェクタ13は、開閉ボタン案内表示を表示する(ステップS33)。
【0051】
このとき、報知制御部36は、例えばドア3が故障したときには、故障情報を含む故障表示をプロジェクタ13に出力する。報知制御部36は、状態監視部34が取得した故障情報を車両制御盤20の半自動指令よりも優先して、故障表示をプロジェクタ13に表示させる。
【0052】
そして、利用者が開ボタンを操作すると、ドア開閉装置31の状態監視部34は、開ボタン操作情報を取得する(ステップS34)。報知制御部36は、状態監視部34が開ボタン操作情報を取得すると、開ボタン案内表示を停止させる表示停止を出力する(ステップS35)。そして、プロジェクタ13は、報知制御部36から表示停止が入力されると、開閉ボタン案内表示を停止する(ステップS36)。また、利用者が開ボタンを操作すると、ドア開閉装置31は、ドア開駆動を行う。すなわち、ドア制御装置32は、ドア駆動装置39に開駆動させて、ドア3を開く。
【0053】
上記の報知制御部36は、ドア開閉装置31の状態監視部34が取得したドア3の状態情報に基づいて、ドア3の状態を表示させる。特に、ドア3が故障中、ドア3が戸挟みを検知等のドア3(ドア開閉装置31)自体の情報を、車両制御盤20を介さずに直接取得している。このため、ドア3(ドア開閉装置31)自体の情報をドア3に即時に表示することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)ドア3の開閉に関する外部指令を実行不可能であるときに外部指令をドア3の状態として報知せず、開閉制御部33の状態に関する状態情報に基づいて報知情報を報知する。このため、外部指令をドア3の状態として報知することがなく、ドア3の正確な状態の情報をドア3の利用者に提供することができる。
【0055】
(2)ドア3の状態を確認することなく、外部指令に基づいて報知情報を報知することができるため、状態情報を確認する処理を省略することができる。そして、外部指令を実行不可能であるときに状態情報に基づいて報知情報を報知するため、ドア3の正確な状態に関する情報を、処理を抑制しつつドア3の利用者に提供することができる。
【0056】
(3)車両制御盤20等の外部指令に関係なく、ドア3の開閉が故障していることを報知するため、ドア3の開閉の故障を利用者に迅速に提供することができる。
(4)故障しているドア3において他のドア3を利用するよう案内する報知情報を報知するため、利用者は報知情報に応じて故障していないドア3に移動して降車することができる。
【0057】
(5)表示部が情報を投影するプロジェクタ13であるため、ドア3に表示装置そのものを設置せずに、ドア3に情報を表示することができる。
(6)行先情報とドア3の状態の情報とを同じ表示装置から提供することができる。
【0058】
(第2の実施形態)
以下、図9図11を参照して、ドア制御装置の第2の実施形態について説明する。この実施形態のドア制御装置は、鉄道車両の外に位置する利用者に対して情報を提供する点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0059】
図9及び図10に示すように、報知制御部36は、鉄道車両2の外であるプラットホーム5上の利用者に対して情報を提供するために、車両外表示を行う。すなわち、プロジェクタ13は、反転された画像や映像をドア3に投影する。鉄道車両2の利用者に向けた車両内表示はプラットホーム5上の利用者は読むことが困難であるため、プラットホーム5上の利用者向けに反転させた画像や映像を車両外表示としてドア3に表示する。図9の白矢印は、投影画像を認識することができる認識方向を示している。
【0060】
プロジェクタ13の投影範囲PRは、第1ドア3Aの窓部37及び第2ドア3Bの窓部37と両窓部37の間のドア部38を含む範囲であるが、プラットホーム5上の利用者に見えるために画像や映像は窓部37にのみ投影している。なお、両窓部37の間のドア部38に車両内表示を投影してもよい。
【0061】
報知制御部36は、車両外表示として反転させた画像や映像を予め記憶していてもよいし、プロジェクタ13に出力するときに記憶していた画像や映像を反転させて出力してもよい。
【0062】
報知制御部36は、鉄道車両2の状況に応じて車両内表示と車両外表示とを切り替える。例えば、車両が走行中には車両内表示のみを行い、車両が停止中には車両内表示及び車両外表示の少なくとも一方を行う。
【0063】
車両制御盤20は、駅に近づくと、駅接近信号をドア制御装置32に出力する。
報知制御部36は、車両制御盤20から駅接近信号が入力されると、ドア3の外側に表示する情報を含む車両外表示をプロジェクタ13に出力する。そして、プロジェクタ13は車両内表示を行う。報知制御部36は、鉄道車両2の内側の利用者向けの表示から鉄道車両2の外側のプラットホーム5上の利用者向けの表示に切り替える。
【0064】
図10では、報知制御部36による車両外表示の一例として行先案内表示を示している。ドア3の各窓部37には、プロジェクタ13によって行先案内表示の「急行○○行き」の画像が投影されている。
【0065】
ドア3は、プロジェクタ13が投影する部分に、光を透過させつつ、光の一部を反射させる透過部としての窓部37を備える。ドア3の窓部37は、電圧の印加によって不透明と半透明とを選択可能である瞬間調光部材からなる。瞬間調光部材は、瞬間調光フィルムが貼り付けられた透明部材や、瞬間調光ガラス等である。窓部37の瞬間調光部材は、車両内表示を行うときには電圧を印加することで不透明となり、車両外表示を行うときには電圧を印加することで半透明となる。窓部37が半透明であるときは、光を透過させつつ、光の一部を反射させるため、窓部37が透過部として機能する。
【0066】
図11に示すように、報知制御部36は、走行中、車両内表示を行う(ステップS15)。報知制御部36は、車両内表示として、例えば図3に示した行先案内表示を表示する。
【0067】
続いて、報知制御部36は、車両制御盤20から駅接近信号が入力されると(ステップS41)、車両外表示をプロジェクタ13に出力する(ステップS42)。すなわち、報知制御部36は、鉄道車両2の内側の利用者向けの表示から鉄道車両2の外側のプラットホーム5上の利用者向けの表示に切り替える。そして、プロジェクタ13は、車両外表示を行う(ステップS43)。
【0068】
続いて、ドア開閉装置31は、車両制御盤20からドア3が開くことを示すドア開指令が入力されると(ステップS16)、ドア3が開くことを示すドア開情報を状態監視部34が取得する(ステップS17)。報知制御部36は、ドア開情報が取得されると、ドア3に表示した表示を停止する表示停止をプロジェクタ13に出力する(ステップS18)。そして、プロジェクタ13は、報知制御部36から表示停止が入力されると、車両外表示を停止する(ステップS19)。鉄道車両2に利用者が乗り込む際に、ドア3に投影が行われていると眩しいためドア3が開く前に投影を停止することで利用者への影響がないようにすることができる。
【0069】
また、ドア開閉装置31は、車両制御盤20からドア開指令が入力されると(ステップS16)、ドア開駆動を行う(ステップS20)。すなわち、ドア制御装置32は、ドア駆動装置39に開駆動させて、ドア3を開く。
【0070】
上記の報知制御部36は、ドア3の窓部37に車両外表示として反転した画像や映像を投影する。このため、鉄道車両2の外側の利用者に対しても情報を提供することができる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の(1)~(7)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(8)プロジェクタ13が投影する投影面と反対側、すなわち鉄道車両2の外側から投影された報知情報を視認することができる。このため、鉄道車両2の内側のドア3付近にいる利用者だけでなく、鉄道車両2の外側のドア3付近にいる利用者に情報を提供することができる。
【0072】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記各実施形態において、ドア3の開閉動作に連動させて、危険度を表示するようにして、戸挟みによる引き摺りの発生を抑制してもよい。また、ドア3の開閉動作に連動させて、開閉予告を表示するようにして、乗降の短縮による電車遅延を抑制してもよい。このように危険度や開閉予告等の表示は、ドア3の開閉動作の情報を、車両制御盤20を介さずに直接取得していることによって可能となっている。よって、ドア3(ドア開閉装置31)自体の情報をドア3に即時に表示することができる。
【0073】
・上記各実施形態では、ドア3の状態をドア3に表示したが、混み具合をドア3に表示してもよい。さらに、同一編成の他車両の込む具合も併せてドア3に表示してもよい。このようにすれば、利用者は、混み具合を表示する場合には、報知制御部36は、乗降口に通過する利用者を検知するセンサやカメラを設置して、乗降口を通過する利用者を検数することで混み具合を算出する。なお、報知制御部36は、鉄道車両2の車体に重量センサを備えて、検出した重量から混む具合を換算してもよい。
【0074】
・上記各実施形態において、鉄道車両2が緊急停車した等の非常時には、避難を誘導する避難誘導表示をドア3に表示してもよい。例えば、避難誘導表示の一例は、「脱出口は←あちらです」や「ここからは出られません」等の画像をプロジェクタ13が投影する。
【0075】
・また、報知制御部36がバッテリを備えて、停電等の時にバッテリの使用可能時間の間、避難誘導表示等の表示を継続してもよい。
・上記各実施形態では、プロジェクタ13を鉄道車両2の天井2Aに設置したが、調単焦点プロジェクタであれば、図12に破線で示すように、プロジェクタ13を鴨居4の下部に設置してもよい。
【0076】
・上記各実施形態では、窓部37を設けたドア3としたが、窓部37のない全面がドア部38であるドア3であってもよい。このような場合には、窓部37に瞬間調光部材を用いる必要がない。
【0077】
・上記各実施形態では、ドア3の状態をドア3に画像や映像を投影したが、ドア3の周囲に画像や映像を投影してもよい。なお、ドア3の状態をドア3及びドア3の周囲の両方に表示してもよい。例えば、図12及び図13に示すように、ドア3の状態をドア3の上方に位置する鴨居4に画像や映像を投影してもよい。このような場合には、鴨居4の表面が無地であることが好ましい。プロジェクタ13は天井2Aに設置している。鴨居4の表面には、車両内表示の一例としてドア故障表示の「ドア故障中他の乗降口をご利用ください」の画像が投影されている。このような構成によれば、プロジェクタ13の投影範囲PRに利用者が入りこむ可能性が低くなり、画像や映像を投影対象に投影することができる。
【0078】
・また、ドア3の状態をドア3の側方に位置する乗降口のドア枠等に画像や映像を投影してもよい。このような場合には、ドア枠等の表面が無地であることが好ましい。
・また、ドア3の状態を鉄道車両2の天井2Aや床に画像や映像を投影してもよい。このような場合には、鉄道車両2の天井2Aや床の表面が無地であることが好ましい。
【0079】
・上記各実施形態では、プロジェクタ13を表示部として採用したが、プロジェクタ13の投影方式は任意に選択可能である。
・上記各実施形態では、表示部としてプロジェクタ13を採用したが、表示部として直接表示するディスプレイを採用してもよい。ディスプレイは、プロジェクタ13から画像等が投影される箇所に直接設置する。
【0080】
・上記各実施形態において、ドア3を両開き戸としたが、片引き戸であってもよい。
・上記各実施形態において、報知制御部36は、ドア3の状態情報のみを表示してもよい。
【符号の説明】
【0081】
2…鉄道車両、2A…天井、3…ドア、3A…第1ドア、3B…第2ドア、4…鴨居、5…プラットホーム、10…表示制御装置、11…取得部、12…表示出力部、13…表示部としてのプロジェクタ、20…車両制御盤、21…開閉指令部、30…ドア装置、31…ドア開閉装置、32…ドア制御装置、33…開閉制御部、34…状態監視部、35…判断部としての実行判断部、36…報知制御部、37…窓部、38…ドア部、39…ドア駆動装置、40…手動解錠装置、50…開閉ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13