(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】端末装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20230303BHJP
【FI】
G06Q40/08
(21)【出願番号】P 2019079374
(22)【出願日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】真田 勉
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-505602(JP,A)
【文献】特表2010-503262(JP,A)
【文献】特開2015-133593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度センサーと、ユーザの入力操作を受け付ける入力操作部と、を備える端末装置であって、
前記加速度センサーにより検出された加速度に基づいて前記ユーザの移動を検出する移動検出部と、
前記ユーザの移動中での前記入力操作である乍ら操作を検出する乍ら操作検出部と、
前記乍ら操作を検出した場合に、前記ユーザが移動中に当該端末装置を操作した旨、又は前記ユーザが移動中に当該端末装置の表示部を視認した旨を示す、乍ら操作情報を、保険管理装置に送信する乍ら操作情報送信部と、
前記ユーザの移動が検出された際に、前記入力操作部の操作をロックする状態とし、ロックを解除する旨の前記入力操作であるロック解除操作以外の前記入力操作を規制するロック部と、を備え
、
前記乍ら操作検出部は、前記入力操作部で前記ロック解除操作を受け付けた場合に、前記乍ら操作を検出する
ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の端末装置において、
前記ロック部は、前記表示部の表示を所定のロック画面に変更する
ことを特徴とする端末装置。
【請求項3】
請求項
1または請求項
2に記載の端末装置において、
音声出力部に対する音声の出力を制御する音声制御部を備え、
前記音声制御部は、前記ロック部により前記入力操作部の操作をロックする状態とされ
ている場合でも、音声の出力を許可する
ことを特徴とする端末装置。
【請求項4】
請求項
1から請求項
3のいずれか1項に記載の端末装置において、
現在位置を検出する位置検出部を備え、
前記乍ら操作検出部は、前記現在位置が予め設定された開放エリアのエリア外である場合に、前記乍ら操作を検出する
ことを特徴とする端末装置。
【請求項5】
コンピューターにより情報を処理する情報処理方法であって、
前記コンピューターは、加速度センサーと、ユーザの入力操作を受け付ける入力操作部と、移動検出部と、乍ら操作検出部と、乍ら操作情報送信部と、
ロック部と、を備え、
前記移動検出部が、前記加速度センサーにより検出された加速度に基づいて前記ユーザの移動を検出するステップと、
前記乍ら操作検出部が、前記ユーザの移動中での前記入力操作である乍ら操作を検出するステップと、
前記乍ら操作情報送信部が、前記乍ら操作を検出した場合に、前記ユーザが移動中に前記コンピューターを操作した旨、又は前記ユーザが移動中に当該コンピューターに設けられた表示部を視認した旨を示
す乍ら操作情報を、保険管理装置に送信するステップと、
前記ロック部が、前記ユーザの移動が検出された際に、前記入力操作部の操作をロックする状態とし、ロックを解除する旨の前記入力操作であるロック解除操作以外の前記入力操作を規制するロックステップと、
を実施
し、
前記乍ら操作情報送信部が前記乍ら操作情報を前記保険管理装置に送信するステップでは、前記入力操作部で前記ロック解除操作を受け付けた場合に、前記乍ら操作を検出する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
コンピューターにより読み取り実行可能な情報処理プログラムであって、
前記コンピューターを請求項
1から請求項
4のいずれか1項に記載の端末装置として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動中の端末装置の乍ら操作に係る保険を管理する保険管理装置、端末装置、保険管理方法、情報処理方法、保険管理プログラム、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン等の携帯型の端末装置を用いた保険サービスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の保険サービスでは、携帯型の端末装置を所持したユーザが、遊園地、スポーツクラブ、高速道路、高級ブティック等、不慮の事故の発生率が高い特定の区域に立ち入る場合、当該区域に設けられたゲート装置で端末装置の個人情報を読み取らせる。ゲート装置で読み取られた個人情報は、保険提示サーバに送信され、不慮の事故による損害を補償する保険の種別及び保険料を決定して、その種別及び保険料を端末装置に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、スマートフォン等の携帯型端末装置の普及に伴い、歩きながら端末装置を操作したり、動画等のコンテンツを視聴したりする行動(いわゆる、「歩きスマホ」、「乍らスマホ」)が社会問題化している。
上記特許文献1のような保険サービスは、特定の区域内での不慮の事故に対する保険、つまり場所に基づいた保険であり、歩きスマホ等のユーザの行動に対する保険ではない。例えば、路上を歩行している際に歩きスマホをして事故を引き起こした場合、特許文献1に記載の保険でカバーすることができない。
また、歩きスマホによって発生した事故による損害を補償する保険として、個人賠償責任保険等も知られている。しかしながら、個人賠償責任保険は、一般に、月額で一定の保険料を支払う必要があるので、歩きスマホをしていないにも関わらず料金が発生する。よって、通常は歩きスマホをしないが、念のため、保険に加入しておきたい、と考えるユーザによっては保険料が割高になりうる。一方、日常的に歩きスマホをする人にとっては、一定額で、事故の際の損害の補償を受けることができ、歩きスマホに対する抑止力として働かない、との課題がある。
【0005】
本発明は、ユーザの乍ら操作による事故に対する保険サービスを適切に提供でき、かつ、ユーザの乍ら操作を抑制可能な保険管理装置、端末装置、保険管理方法、情報処理方法、保険管理プログラム、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の保険管理装置は、ユーザが移動中に端末装置を操作した旨、又は前記ユーザが移動中に前記端末装置の表示部を視認した旨を示す、乍ら操作情報を受信する乍ら操作情報受信部と、前記ユーザの乍ら操作中に発生した事故による損害を補償する保険サービスの保険料を記録した保険管理情報を更新する保険更新部と、を備え、前記保険更新部は、前記乍ら操作情報を受信した際に、前記保険料を増額することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の保険管理装置では、乍ら操作情報受信部により端末装置から乍ら操作情報を受信すると、保険更新部は、保険管理情報の保険料を増額させる。これにより、ユーザは、乍ら操作中によって引き起こした事故により損害が発生したとき、保険会社から保険金を受け取ることができる。また、個人賠償責任保険と異なり、ユーザが乍ら操作を行った場合にのみ、保険料が増額するので、乍ら操作を日常的に行わないユーザに対しては保険料が少額となり、ユーザの負担を軽減できる。一方、乍ら操作を頻繁に行うユーザに対しては、保険料が高額となり、ユーザの乍ら操作に対する抑止力となる。これにより、社会問題化している歩きスマホ等の乍ら操作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一実施形態の保険システムの概略構成を示す模式図。
【
図2】第一実施形態の端末装置の概略構成を示すブロック図。
【
図3】第一実施形態のサーバ装置の概略構成を示すブロック図。
【
図4】第一実施形態の保険サービス提供方法における、端末装置による情報処理方法を示すフローチャート。
【
図6】第一実施形態の保険サービス提供方法における、サーバ装置による保険管理方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る一実施形態の保険システムについて説明する。
図1は、本実施形態の保険システム1の概略構成を示す模式図である。
保険システム1は、
図1に示すように、ユーザが操作する端末装置10と、保険会社等により管理されるサーバ装置20と、を備えている。
この保険システム1は、端末装置10を所持するユーザが、移動中に端末装置10を操作したり、端末装置10の表示部12(
図2参照)を閲覧したりする乍ら操作を行い、何らかの事故に遭った場合に、事故による損害を補償する保険サービスを提供するシステムである。特に、本実施形態では、ユーザが歩行中に端末装置10の操作や表示部12の閲覧を行う、いわゆる歩きスマホに対する保険サービスを提供する保険システム1について説明する。なお、歩きスマホは、歩行中にユーザがスマートフォンを操作する行為を指すが、ユーザが操作する端末装置10の対象としてはスマートフォンの他、タブレット端末や携帯電話やノートパソコン等の携帯型端末が含まれるものとする。また、歩行中とは、ユーザが自分の足で移動する行為を指し、歩行だけでなく、ランニング等の行為も含まれるものとする。
【0010】
[端末装置10の構成]
端末装置10は、ユーザが操作する携帯型のコンピューターであり、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等を例示することができる。
図2は、本実施形態の端末装置10の概略構成を示すブロック図である。
端末装置10は、一般的なコンピューターの基本構成を備えており、端末通信部11と、表示部12と、加速度センサー13と、測位センサー14と、音声出力部15と、入力操作部16と、端末メモリ17と、端末プロセッサ18と、等を含んで構成されている。
【0011】
端末通信部11は、インターネットに接続され、インターネットを介してサーバ装置20等のネットワーク上のその他の装置と通信する。この端末通信部11による通信方式は特に限定されず、携帯電話会社が提供する回線を用いたインターネット通信(モバイルデータ通信)や、Wi-Fi(登録商標)等の無線LANを用いたインターネット通信等を例示できる。
【0012】
表示部12は、端末プロセッサ18の制御に基づいて画像を表示させるディスプレイである。
加速度センサー13は、端末装置10に係る3軸方向の加速度を計測する。
測位センサー14は、例えばGPS装置等であり、端末装置10の現在位置(例えば経緯度)を計測する。
音声出力部15は、例えばスピーカーや、イヤホンジャックに接続されるイヤホン等であり、端末プロセッサ18の制御に基づいて音声を出力する。
【0013】
入力操作部16は、例えば、タッチパネルや操作ボタン等であり、ユーザによって操作されることで、入力操作に応じた操作情報を端末プロセッサ18に出力する。より具体的には、入力操作部16は、ユーザが表示部12を視認しながら操作を行う操作手段、つまり、歩きスマホの行為対象とされる入力操作が行われる操作手段である。
【0014】
端末メモリ17は、例えばメモリ等により構成された情報記録装置であり、各種情報や、各種情報処理プログラム等が読み取り実行可能に記録されている。
この端末メモリ17には、各種情報としてユーザ情報が記録されている。ユーザ情報は、端末装置10を操作するユーザの情報であり、例えば、ユーザ名、保険システム1を利用するためのアカウント名、性別、年齢などの情報が記録されている。また、ユーザ情報には、ユーザの居所、ユーザの職場等、ユーザが頻繁に滞在する場所が記録されている。これらのユーザが頻繁に滞在する場所は、ユーザの歩きスマホを許容する開放エリアに相当する。
【0015】
端末プロセッサ18は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路、RAM(Random Access Memory)等の記録回路により構成される。端末プロセッサ18は、端末メモリ17に記録されている情報処理プログラム等の各種プログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
そして、端末プロセッサ18は、端末メモリ17に記録された情報処理プログラムを読み取り実行することで、
図2に示すように、移動検出部181、位置検出部182、ロック部183、表示制御部184、音声制御部185、乍ら操作検出部186、乍ら操作情報送信部187等として機能する。
【0016】
移動検出部181は、加速度センサー13により計測される3軸方向の加速度に基づいて端末装置10を所持したユーザが歩行中であるか否かを検出する。移動検出部181は、端末装置10に加わる各方向の加速度や移動速度から、ユーザが歩行中(ランニングを含む)であるか、自動車や列車等に乗車しているかを判定することができる。
【0017】
位置検出部182は、端末装置10の現在位置を検出する。現在位置の検出方法は、測位センサー14による測位結果を用いてもよく、端末通信部11が通信可能な無線LANのアクセスポイントから位置情報を得てもよい。
【0018】
ロック部183は、移動検出部181により、ユーザが歩行中であると検出された場合に、端末装置10をロック状態にして、ユーザの入力操作を規制する。具体的には、ロック部183は、表示制御部184による表示部12へのコンテンツの表示処理を中断させ、代わりに、所定のロック画面を表示部12に表示させる。
このロック画面は、ユーザのロック解除の入力操作のみを許容し、その他の入力操作を拒絶する画面である。
なお、ロック部183は、ロック状態でも、音声制御部185による音声の出力処理は許容する。つまり、ロック部183によりロック画面が表示されている間でも、音声制御部185は、音声出力部15から音声を出力する制御を行うことができる。また、ロック部183により規制されるユーザの入力操作は、タッチパネルや操作ボタン等、ユーザが表示部12を視認しながら行う入力操作のみである。よって、例えば、操作ボタンを付属するイヤホンがイヤホンジャックに接続されている場合は、当該イヤホンの操作ボタンによって、表示部12を視認せずに入力操作が可能であり、ロック部183による入力操作の規制対象とならない。
【0019】
表示制御部184は、表示部12に表示させる画像の制御を行う。また、ロック部183によって、端末装置10がロック状態となった場合、表示制御部184は、表示部12への画像表示を中断し、ロック部183により指定される所定のロック画面を表示部12に表示させる。
【0020】
乍ら操作検出部186は、移動検出部181により、ユーザが歩行中であることが検出され、かつ、ロック画面に対して、ユーザがロックを解除する旨の操作が実施された場合に、歩きスマホ(乍ら操作)が開始されたことを検出する。
また、乍ら操作検出部186は、歩きスマホが実施された時間を計測する。
【0021】
乍ら操作情報送信部187は、乍ら操作が検出された場合に、乍ら操作が行われた旨を示す乍ら操作情報をサーバ装置20に送信する。この乍ら操作情報には、歩きスマホが実施された時間が含まれる。
なお、端末プロセッサ18のより詳細な動作に関しては後述する。
【0022】
[サーバ装置20の構成]
図3は、サーバ装置20の概略構成を示すブロック図である。
サーバ装置20は、本実施形態の保険管理装置であり、歩きスマホに対する保険を管理する保険会社により管理されるコンピューターである。このサーバ装置20は、
図3に示すように、サーバ側通信部21、サーバ側メモリ22、サーバ側プロセッサ23等の、コンピューターを構成する各部を備えている。
サーバ側通信部21は、インターネットに接続され、インターネットを介して端末装置10等のネットワーク上のその他の装置と通信する。
【0023】
サーバ側メモリ22は、サーバ装置20を制御するための各種情報や各種プログラムを記録する。
このサーバ側メモリ22には、複数の保険管理情報が記録される保険管理データベース(保険管理DB221)が設けられている。
この保険管理情報は、ユーザID、ユーザ個人情報、支払額情報、及び支払管理情報等が記録されている。
ユーザIDは、ユーザを識別するための識別情報である。
ユーザ個人情報は、ユーザに関する個人情報であり、例えば、ユーザの氏名、性別、年齢、居所等の情報が記録される。
支払額情報は、歩きスマホに対する保険サービスの保険料が記録されている。
支払管理情報は、保険料の支払方法について記載されている。支払方法としては、例えば、携帯電話キャリア決済、クレジットカード決済、銀行引き落とし等を例示できる。
【0024】
また、サーバ側メモリ22は、ユーザが実施した歩きスマホの履歴を記録した乍ら操作履歴情報を記録する履歴データベース(履歴DB222)を備える。履歴DB222に記録される乍ら操作履歴情報は、ユーザ毎に設けられている。
この乍ら操作履歴情報には、ユーザIDと、ユーザが歩きスマホを実施した日時、歩きスマホを実施した時間が記録される。
【0025】
サーバ側プロセッサ23は、CPU等の演算回路、RAM等の記録回路により構成される。サーバ側プロセッサ23は、サーバ側メモリ22に記録されている保険管理プログラム等の各種プログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
そして、サーバ側プロセッサ23は、保険管理プログラムを読み込み実行することで、
図3に示すように、乍ら操作情報受信部231、統計処理部232、及び保険更新部233、課金処理部234等として機能する。
【0026】
乍ら操作情報受信部231は、端末装置10から送信される乍ら操作情報を受信し、履歴DB222に記録する。
統計処理部232は、履歴DB222に記録された乍ら操作履歴情報を統計処理する。例えば、統計処理部232は、各ユーザの所定期間での歩きスマホの総時間を算出する。
保険更新部233は、歩きスマホの総時間に基づいて、保険料を設定し、保険管理情報の支払額情報の保険料を更新する。つまり、ユーザが歩きスマホをした場合には、その時間に応じて保険料が増額される。
課金処理部234は、支払管理情報に記録された支払方法に基づいて、保険料を請求する請求情報を各種決済機関に送信し、ユーザに保険料の決済を促す。例えば、支払管理情報に携帯電話キャリア決済が記録されている場合は携帯電話会社に、クレジットカード決済が記録されている場合はクレジットカード会社に、銀行引き落としが記録されている場合は、銀行や郵便局等の金融機関に請求情報を送信する。
なお、サーバ側プロセッサ23のより詳細な動作に関しては後述する。
【0027】
[保険システム1の保険サービス提供方法]
次に、端末装置10による情報処理方法、及びサーバ装置20による保険管理方法を含む、保険システム1の保険サービス提供方法について説明する。
図4は、本実施形態の保険サービス提供方法における、端末装置10による情報処理方法を示すフローチャートである。
本実施形態では、端末装置10を所持したユーザが、保険システム1を利用するための情報処理プログラムを端末装置10にインストールし、サーバ装置20にユーザ登録を行うことで、保険システム1を利用することが可能となる。
そして、当該情報処理プログラムがインストールされた端末装置10では、移動検出部181が、加速度センサー13から出力されるセンサー値を監視し、端末装置10を所持するユーザの移動状態を検出する(ステップS1)。また、移動検出部181は、検出した移動状態が、歩行中であるか否かを判定する(ステップS2)。なお、加速度センサー13からのセンサー値を用いた移動状態の検出は、公知の技術を利用できる。
【0028】
ステップS2で、Noと判定される場合、つまり、移動状態が歩行中ではないと判定される場合は、ステップS1に戻り、移動状態の検出を継続する。
ステップS2でYesと判定される場合、つまり、端末装置10を所持したユーザが歩行中であると判定した場合、位置検出部182は、端末装置10の現在位置を検出する(ステップS3)。
具体的には、位置検出部182は、測位センサー14により検出される経緯度に基づいて端末装置10の現在位置を検出する。なお、位置検出部182による位置検出方法としては、測位センサー14のセンサー値を用いた位置検出に限らない。例えば、位置検出部182は、端末装置10が無線LANのアクセスポイントから受信する無線信号に基づいて、端末装置10の位置を検出してもよい。すなわち、無線LANのアクセスポイントから出力される無線信号には、無線LANを特定するSSID(Service Set Identifier)が含まれる。位置検出部182は、このSSIDに基づいて、端末装置10の現在位置を検出してもよい。
【0029】
次に、位置検出部182は、検出された位置が、所定の開放エリア内であるか否かを判定する(ステップS4)。開放エリアは、例えば、自宅、職場、友人宅など、歩きスマホを許容するエリアであり端末メモリ17に記録されている。この開放エリアは、予めユーザが登録しておいてもよく、ユーザの移動履歴に基づいて設定されるエリアであってもよい。例えば、端末プロセッサ18は、ユーザの移動履歴を参照し、ユーザが所定時間以上滞在しているエリアを開放エリアに設定してもよい。
また、開放エリア内であるか否かの判定は、位置検出部182により検出可能な範囲により変化する。例えば、測位センサー14により検出される経緯度に基づいてユーザが開放エリア内であるか否かを判定する場合では、測位センサー14により検出される経緯度が、自宅などの拠点(開放エリアの中心)から所定距離範囲内であるか否かで判定する。
無線LANのアクセスポイントからの無線信号に基づいて位置検出を行う場合では、位置検出部182は、アクセスポイントからの無線信号が受信可能なエリアであるか否かで判定する。また、位置検出部182は、無線LANのアクセスポイントと端末装置10との無線通信が確立している場合に、開放エリア内であると判定し、無線通信が切断された場合に、開放エリア外に出たと判定してもよい。
【0030】
ステップS4でYesと判定される場合は、ステップS1に戻る。
一方、ステップS4でNoと判定される場合、つまり、端末装置10が開放エリア外に位置する場合、ロック部183は、端末装置10をロック状態にする(ステップS5)。
具体的には、ロック部183及び表示制御部184は、表示部12に所定のロック画面を表示させ、ロック解除要求の入力待機状態となる。
【0031】
図5は、ロック画面の一例を示す図である。
図5において、ロック画面40は、ロック解除操作部41を有し、それ以外の情報は表示されない。ロック解除操作部41は、ユーザの例えばフリックによる操作が可能な表示部分であり、当該操作が実施されることで、操作信号としてロック解除要求が受け入れられる。
なお、表示制御部184は、ロック部183によりロック状態とされた場合、ロック画面40以外の画面を表示させない。つまり、ロック状態では、表示部12は、スリープ状態として何も表示されていないか、ロック画面40が表示されているかのいずれかとなる。
【0032】
一方、端末装置10は、ロック状態であっても、表示制御部184による表示部12への画像表示以外の各種機能は、ロック解除時と同様に機能する。例えば音声制御部185は、ロック部183により表示部がロック状態とされた場合でも、スピーカーやイヤホン等の音声出力部15から音声を出力することが可能である。
よって、ユーザが開放エリア外で動画を見ている際に歩行を開始すると、端末装置10がロック状態となり、表示部12に表示されていた動画の映像がロック画面40に切り替わる。しかし、動画の音声出力は中断されず、スピーカーやイヤホンから継続して出力され、ユーザは音声を聞くことができる。
【0033】
そして、ロック部183は、ユーザにより、ロック画面40のロック解除操作部41が操作され、入力操作部16を通してロック解除要求が入力されたか否かを判定する(ステップS6)。
ロック解除要求が入力されない場合は、ステップS6でNoと判定され、ロック状態が継続される。なお、移動検出部181によるステップS1の移動状態の検出、及び位置検出部182によるステップS3の現在位置の検出は、ロック状態においても継続して実施されている。そして、端末装置10がロック状態である場合に、ロック部183は、移動検出部181により検出される移動状態が歩行中ではなくなったか、または、位置検出部182により検出される現在位置が開放エリア内に入ったかを判定する(ステップS7)。ステップS7でYesと判定された場合、ロック部183は、ロック状態を解除し(ステップS8)、ステップS1に戻る。ステップS7でNoと判定される場合、ロック状態を維持してロック画面40の表示を継続する。つまり、ステップS6に戻る。
【0034】
一方、ステップS6でYesと判定され、ロック解除要求が入力されると、ロック部183は、ロック状態を解除し、乍ら操作検出部186は、歩きスマホを検出、つまり、歩きスマホが実施されていると判断する(ステップS9)。
また、乍ら操作検出部186は、ロック解除要求が入力されたタイミングからの時間、つまり、歩きスマホが実施されている時間(乍ら操作時間)を計測する(ステップS10)。
【0035】
そして、乍ら操作検出部186は、歩きスマホが終了したか否かを判定する(ステップS11)。
ステップS11では、乍ら操作検出部186は、移動検出部181により検出される移動状態が歩行中ではなくなった、または、位置検出部182により検出される現在位置が開放エリア内に入った場合に、歩きスマホが終了したと判定する。
また、乍ら操作検出部186は、例えば、ユーザが端末装置10の電源ボタンを操作して、端末装置10をスリープ状態とする操作、または、端末装置10の電源をオフにする操作を実施した場合にも、歩きスマホが終了したと判定してよい。
【0036】
ステップS11においてNoと判定された場合、乍ら操作検出部186は、歩きスマホの時間計測を継続する。
一方、ステップS11においてYesと判定された場合、乍ら操作検出部186は、歩きスマホの時間計測を終了する(ステップS12)。
そして、乍ら操作情報送信部187は、ユーザIDと、計測された歩きスマホの時間と、を含む乍ら操作情報をサーバ装置20に送信する(ステップS13)。この乍ら操作情報は、ユーザが歩行中に端末装置10を操作した旨、又はユーザが歩行中に端末装置10の表示部12を視認した旨を示す情報となる。
なお、
図4では、ステップS13の後、端末装置10の処理を終了させているが、実際には、ステップS1に戻り、歩きスマホの検出を再度開始する。
【0037】
次に、乍ら操作情報を受信したサーバ装置20の動作について説明する。
図6は、本実施形態の保険サービス提供方法における、サーバ装置20による保険管理方法を示すフローチャートである。
端末装置10からサーバ装置20に乍ら操作情報が送信されると、乍ら操作情報受信部231は、送信された乍ら操作情報を受信し(ステップS21)、履歴DB222に乍ら操作履歴情報として蓄積する(ステップS22)。
【0038】
そして、統計処理部232は、履歴DB222に蓄積された乍ら操作履歴情報を統計処理する(ステップS23)。本実施形態では、統計処理部232は、ユーザが所定期間で実施した歩きスマホの総時間を算出する。
なお、ステップS23を実施するタイミングは、予め設定されたタイミングであり、例えば、毎月の月末日に実施されてもよく、1週間間隔としてもよい。毎月の月末日にステップS23を実施する場合、統計処理部232は、1か月間の乍ら操作履歴情報に基づいて歩きスマホの総時間を算出し、1週間間隔でステップS23を実施する場合、統計処理部232は、1週間の乍ら操作履歴情報に基づいて歩きスマホの総時間を算出する。また、ステップS23を実施するタイミングは、ユーザ毎に異なるタイミングとしてもよい。
【0039】
そして、保険更新部233は、ステップS23で算出された歩きスマホの総時間に基づいて、保険管理情報の支払額情報に記録される保険料を更新する(ステップS24)。
具体的には、保険更新部233は、歩きスマホの総時間に基づいて、保険料を設定する。保険料は、例えば、基本料と、歩きスマホの程度によって増額される追加料とにより構成され、歩きスマホを全く実施しない場合は基本料のみとなる。なお、基本料を0とし、歩きスマホを実施した分だけが保険料となるように設定されていてもよい。
追加料は、所定時間における歩きスマホの総時間によって決定される。例えば、総時間の時間幅と、追加料又は保険料と、が予め設定され、テーブルデータとしてサーバ側メモリ22に記録されていてもよい。この場合、保険更新部233は、総時間に対応する保険料をテーブルデータから読み取ればよい。
この際、保険料は、総時間が増大するほど、支払額の増加幅を大きくなるように設定されていてもよい。また、保険更新部233は、履歴DB222に記録される過去の乍ら操作情報に基づいて、保険料を決定してもよい。例えば、過去の履歴DB222において、常習的に歩きスマホを行っているユーザに対して、保険更新部233は、時間に応じた保険料の増額幅を大きくしてもよい。
【0040】
以上の後、課金処理部234は、保険管理情報の支払額情報に基づいて、請求情報を生成し、支払管理情報に記録されている支払方法に対応した決済機関に請求情報を送信する(ステップS25)。
【0041】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態のサーバ装置20では、サーバ側プロセッサ23は、サーバ側メモリ22に記録された保険管理プログラムを読み込み実行することで、乍ら操作情報受信部231、統計処理部232、及び保険更新部233として機能する。そして、このサーバ装置20では、乍ら操作情報受信部231が、ユーザが移動中に端末装置10を操作した旨、又はユーザが移動中に端末装置10の表示部12を視認した旨を示す、乍ら操作情報を受信する。保険更新部233は、乍ら操作情報を受信すると、ユーザの乍ら操作中の事故により発生する損害を補償する保険サービスを管理する保険管理情報に記録されている、ユーザの保険料を増額する。
これにより、ユーザは、万一歩きスマホ中に事故が発生した場合、その事故による損害を補償する保険金を、損害保険会社から受け取ることができる。また、個人賠償責任保険と異なり、歩きスマホに特化した保険であり、歩きスマホを実施した分だけ保険料が増額する保険サービスとなるので、普段、歩きスマホをあまり実施しないユーザにとっては、保険料が少額であり、ユーザの金銭的負担を軽減できる。また、普段から日常的に歩きスマホを実施するユーザにとっては、保険料が高額となる。これにより、社会問題化している歩きスマホの抑止力となる。
【0042】
本実施形態では、乍ら操作情報は、歩きスマホの時間を含み、保険更新部233は、歩きスマホの時間に応じて保険料を増額する。
このため、歩きスマホを実施した時間が長いほど、保険料が高額となり、歩きスマホの抑止力をより一層高めることができる。
【0043】
本実施形態の端末装置10は、加速度センサー13と、入力操作部16と、端末プロセッサ18と、を備える。端末プロセッサ18は、端末メモリ17に記録された情報処理プログラムを読み込み実行することで、移動検出部181、乍ら操作検出部186、及び乍ら操作情報送信部187として機能する。そして、この端末装置10では、移動検出部181は、加速度センサー13により検出された加速度に基づいてユーザの移動を検出し、乍ら操作検出部186は、ユーザの歩行中の操作を歩きスマホとして検出する。そして、乍ら操作情報送信部187は、歩きスマホを検出した場合に、乍ら操作情報をサーバ装置20に送信する。これにより、端末装置10により、ユーザの歩きスマホを容易に検出し、これをサーバ装置20に送信して、上記のようなサーバ装置20での保険管理処理を実施することで、歩きスマホ中の事故により発生する損害を補償する保険金を適切に受けることができる。
【0044】
本実施形態の端末装置10の端末プロセッサ18は、ロック部183として機能し、ユーザの歩行が検出された際に、入力操作部16による操作を規制して端末装置10をロック状態とし、ロック解除操作以外の入力操作を規制する。そして、乍ら操作検出部186は、入力操作部16でロック解除操作が入力された場合に、歩きスマホの開始を検出する。
この場合、ユーザが自分の意思でロック解除操作を実施することで歩きスマホが検出されるので、歩きスマホの誤検出、及び、これによる保険料の誤った増額を防止できる。
【0045】
また、本実施形態の端末装置10のロック部183は、表示部12の表示を所定のロック画面40に変更する。
このため、ロック画面40により、ユーザに、歩きスマホに対する注意を促すことができ、歩きスマホの抑止力を高めることができる。また、表示部12がロック画面40に変更されるので、ユーザが、歩行中に動画等のコンテンツを閲覧する行為を防ぐことができる。
【0046】
本実施形態の端末装置10の端末プロセッサ18は、音声出力部15に対する音声の出力を制御する音声制御部185として機能し、音声制御部185は、ロック部183によって端末装置10がロック状態とされている場合でも、例えば、音楽の再生や、動画の音声のみの再生は許容される。
つまり、本実施形態では、ロック状態において、周囲への注意力を著しく低下させる入力操作部16に対する入力操作や表示部12へのコンテンツの表示を規制するが、音楽の再生や、バックグラウンドでのプログラムの実行等、ユーザの注意力の低下があまり伴わない処理については許容される。これにより、ユーザがロック状態において過度に不便さを感じることがなく、歩きスマホによる危険を伴う行為のみを好適に抑制することができる。
【0047】
本実施形態の端末装置10の端末プロセッサ18は、現在位置を検出する位置検出部182として機能し、乍ら操作検出部186は、ユーザが歩行中であり、現在位置が開放エリア外である場合にのみ、歩きスマホとして検出する。
このため、自宅や職場など、ユーザが普段生活している開放エリア内での歩行中は、歩きスマホとして検出されない。よって、ユーザが過度に不便さを感じることがなく、適切にユーザの歩きスマホを抑制できる。
【0048】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
上記第一実施形態では、乍ら操作情報には、歩きスマホの時間(乍ら操作時間)が含まれ、サーバ装置20の保険更新部233は、歩きスマホの時間に応じて、保険料を増額した。これに対して、第二実施形態では、乍ら操作情報に、歩きスマホ中に、ユーザが端末装置10を操作した操作内容が含まれる点で、上記第一実施形態と相違する。
なお、以降の説明にあたり、既に説明した事項については同符号を付し、その説明を省略または簡略化する。第二実施形態の保険システム1は、第一実施形態と同様、端末装置10及びサーバ装置20により構成されており、端末装置10及びサーバ装置20の構成も、第一実施形態と同様である。よって、本実施形態における各構成を示す図は省略する。
【0049】
本実施形態の端末装置10では、ステップS9において、ユーザによりロック解除操作が実施されると、乍ら操作検出部186は、歩きスマホ中に実施されたユーザの入力操作の操作内容を記録する。操作内容としては、例えば、端末装置10で実行されたアプリケーションプログラム名、又は当該アプリケーションプログラムのカテゴリが記録されていてもよく、ユーザの入力操作部16に対する操作履歴(例えば、タップやフリック、文字入力などの操作の履歴)が記録されていてもよい。
そして、ステップS13において、乍ら操作情報送信部187は、操作内容を含む乍ら操作情報を生成して、サーバ装置20に送信する。
【0050】
一方、サーバ装置20では、乍ら操作情報受信部231は、乍ら操作情報を受信すると、履歴DB222に操作内容を蓄積する。そして、統計処理部232は、所定期間の歩きスマホ中の操作内容を統計処理し、保険更新部233は、統計処理された操作内容に基づいて保険料を増額する。
例えば、保険更新部233は、文字入力等の多数の入力操作を行う操作履歴が記録されている場合、その入力操作の操作数や操作に係った時間に応じて保険料を増額する。また、動画を視聴するアプリケーションや、地図及びユーザの現在位置を表示させて目的地までの経路を案内する経路案内アプリケーション等、ユーザが表示部12を注視する時間が長いアプリケーションが実行されていた場合、保険更新部233は、そのアプリケーションの実行時間に応じて保険料を増額する。また、静止画や動画を撮像するカメラアプリケーション等、周囲を撮像するアプリケーションでは、ユーザが表示部12を通して周囲を視認している。この場合、ユーザが周囲を見ずに表示部12に注視する動画アプリケーションや経路案内アプリケーションに比べて、歩きスマホ中の危険度は比較的小さい。よって、保険更新部233は、操作内容として周囲を撮像するアプリケーションが記録されている場合は、動画アプリケーションや経路案内アプリケーション等の他のアプリケーションが記録されている場合に比べて、保険料の増額率を下げてもよい。また、画面に注視しつつ、多数の入力操作が行われるゲームアプリケーション等では、保険更新部233は、さらに保険料の増額率を上げてもよい。つまり、保険更新部233は、単位時間当たりの入力操作数に応じて保険料を増額してもよく、実行されたアプリケーションの種類毎に保険料の増額率を変更してもよく、その双方に基づいて保険料を増額してもよい。
なお、その他の処理については、第一実施形態と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0051】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態のサーバ装置20及び端末装置10では、第一実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、以下の作用効果を奏することができる。つまり、本実施形態では、端末装置10からサーバ装置20に送信される乍ら操作情報に、端末装置10で実施された操作内容が含まれ、保険更新部233は、操作内容に応じて保険料を増額する。
これにより、例えば、歩きスマホ中に実施したアプリケーションや入力操作に応じて保険料を増額することができる。ユーザが端末装置10の操作に過度に集中している場合や、動画等の視聴に集中している場合では、歩きスマホ中に事故が発生する確率が高い。このような行為に対して保険料を増額することで、歩きスマホに対する抑止力をより一層高めることができる。
【0052】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態について説明する。
上記第一実施形態では、乍ら操作情報に歩きスマホの時間が含まれ、第二実施形態では、乍ら操作情報に歩きスマホ中の操作内容が含まれる例を示した。これに対し、第三実施形態では、乍ら操作情報に、歩きスマホ中の移動速度が含まれる点で、上記第一実施形態及び第二実施形態と相違する。
【0053】
本実施形態の端末装置10では、ステップS1において、移動検出部181は、移動状態と、ユーザの移動速度を検出する。これにより、ユーザが歩行中であると判定する際に、さらに、ゆっくり歩いているか、早歩きか、走っているか等を判断することが可能となる。
また、移動検出部181は、上記実施形態と同様に、ステップS9により歩きスマホが検出された後も、ユーザの移動状態を監視し、その移動速度(ゆっくり歩いているか、早歩きか、走っているか等)を判定する。
そして、ステップS13において、乍ら操作情報送信部187は、ユーザの歩行中の移動速度を含む乍ら操作情報を生成して、サーバ装置20に送信する。
【0054】
一方、サーバ装置20の乍ら操作情報受信部231は、乍ら操作情報を受信すると、履歴DB222に歩きスマホ中の移動速度を蓄積する。そして、統計処理部232は、所定期間の歩きスマホの操作内容を統計処理し、保険更新部233は、統計処理された歩きスマホ中のユーザの移動速度に基づいて、保険料を増額する。
例えば、保険更新部233は、ユーザの移動速度帯と、当該移動速度帯で所定時間移動した際の保険料をテーブルデータとして記録しておき、ユーザの移動速度に応じた保険料を設定する。これにより、ユーザがゆっくり歩行している場合に比べて、より危険度が高い、早歩きや走っている場合の歩きスマホに対する保険料を増額することができる。
なお、その他の処理については、第一実施形態と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0055】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態のサーバ装置20及び端末装置10では、第一実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、以下の作用効果を奏することができる。
つまり、本実施形態では、端末装置10からサーバ装置20に送信される乍ら操作情報に、歩きスマホ中のユーザの移動速度が含まれ、保険更新部233は、移動速度に応じて保険料を増額する。
これにより、歩きスマホに対する抑止力をより一層高めることができる。特に、早歩きやランニング中に端末装置10を操作する行為は非常に危険であり、歩きスマホの事故率も高くなる。本実施形態では、このような、事故率の高い歩きスマホの行為に対して、より有効な抑止力となり、歩きスマホを抑制することができる。
【0056】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、以下に示される変形をも含むものである。
【0057】
[変形例1]
上記第一実施形態では、乍ら操作情報に歩きスマホの時間が含まれ、第二実施形態では、乍ら操作情報に操作内容が含まれ、第三実施形態では、乍ら操作情報に移動速度が含まれる例を示した。
これに対して、乍ら操作情報に、位置検出部182により検出される位置情報が含まれてもよい。この場合、保険更新部233は、歩きスマホを行った位置や、その位置が含まれる区域に応じて保険料を増額することができる。例えば、駅や繁華街などでは、歩きスマホにより、線路等への転落や、歩行中の他の人との衝突等の事故の発生率が高くなる。よって、駅や繁華街等、人の多く集まる場所で歩きスマホを実施した際に、保険更新部233は、保険料の増額率を高くする。
また、歩きスマホが実施された場所に加え、歩きスマホを実施した日時を乍ら操作情報に含めてもよい。例えば、駅の通勤時間帯や繁華街で人が多い休日での歩きスマホに対する保険料の増額率を、その他の人の少ない日時や時間帯よりも大きくすることができる。
【0058】
さらには、端末装置10の端末プロセッサ18は、カメラにより撮像される周囲の画像や、マイクにより集音された周囲環境音から、周囲の混雑度を判定する混雑度判定部として機能してもよい。この場合、ユーザが歩きスマホを実施した際に、乍ら操作情報送信部187は、乍ら操作情報として、判定された周囲の混雑度を含ませる。
これにより、サーバ装置20は、歩きスマホが実施された際の周囲の混雑度に応じた保険料の設定が可能となる。
なお、乍ら操作情報としては、上述したような歩きスマホの時間、操作内容、移動速度、場所、日時、及び混雑度の全部又は複数を含んでいてもよい。この場合、保険更新部233は、複数の情報に基づいて、保険料を細かく設定することができる。
【0059】
[変形例2]
上記実施形態では、端末装置10のロック部183は、表示部12にロック画面40を表示させ、乍ら操作検出部186は、ユーザの入力操作によりロック解除操作が実施された場合に歩きスマホ状態を検出した。これに対して、ロック部183によるロック制御が行われなくてもよい。つまり、乍ら操作検出部186は、歩行中であり、開放エリア外であることが検出された際に、例えば、端末装置10に設けられたカメラによりユーザの視線を検出し、ユーザの視線が表示部12に向けられていると判定することで、歩きスマホ状態であるとみなしてもよい。
また、乍ら操作検出部186は、ユーザによる入力操作、又は、表示部12への動画等のコンテンツの再生開始により、歩きスマホ状態であることを検出してもよい。
【0060】
[変形例3]
上記実施形態では、ロック部183は、ロック画面40のロック解除操作部41が操作されることで、ロック状態を解除したが、これに限定されない。例えば、音声入力によりロックを解除する旨が入力されることでロック状態を解除してもよい。また、この場合、ロック画面40にロック解除操作部41が設けられていなくてもよく、ロック画面40が表示部12に表示されず、表示制御部184による表示部12への画像表示自体を規制してもよい。
【0061】
[変形例4]
上記実施形態では、音声制御部185は、ロック状態でも音声出力部15からの音声の出力を許容する例を示したが、音声制御部185がロック状態で音声出力をも規制するようにしてもよい。
また、例えば、位置検出部182により検出される現在位置が、音声による周囲の確認が必要な場所(例えば踏切の周辺等)である場合にのみ、ロック状態における音声の規制を行ってもよい。
【0062】
[変形例5]
上記実施形態では、位置検出部182により端末装置10の現在位置を検出し、現在位置がユーザ毎に設定される開放エリア外である場合にのみ、歩きスマホ状態とみなしたが、端末装置10の位置によらず、歩きスマホ状態とみなしてもよい。この場合、例えば自宅内での歩きスマホによる事故をも保険適用対象としてもよい。
【0063】
[変形例6]
上記第一実施形態において、保険更新部233は、ステップS24において、保険管理情報の更新の度に、追加保険料をリセットして蓄積された履歴DB222に基づいて再計算する例を示した。これに対して、例えば、前回の追加保険料に対して、今回の追加保険料が増加している場合、今回の保険料にさらに所定金額を加算してもよい。この場合、歩きスマホを常習的に行っているユーザにとっては、徐々に保険料が増加するので、歩きスマホに対する抑止力をさらに強められる。保険料を増加させる前記所定金額としては、例えば基本料に対して所定の割合の金額としてもよく、この場合、歩きスマホの時間や操作内容等に応じて、割合を増減させてもよい。また、前回の追加料に対して所定の割合を加算するようにしてもよい。
また、保険更新部233は、前回の追加保険料と、今回の追加保険料とが連続して、所定の金額以下である場合、一定の付加サービスを提供してもよい。例えば、基本料を所定金額分減額したり、他のサービスにおいて利用可能なポイントを付与したりしてもよい。この場合、歩きスマホを実施しないことで、ユーザが特典を受けることができ、歩きスマホに対する抑止力を一層高められる。
【0064】
[変形例7]
上記実施形態では、乍ら操作として、ユーザが歩行中に端末装置10を操作する行為、又は、ユーザが歩行中に端末装置10の表示部12を視認する行為である歩きスマホを例示したが、これに限定されない。
例えば、自動車の運転中に端末装置10を操作又は視認する行為を乍ら操作として検出してもよい。この場合、サーバ装置20は、自動車保険を提供する保険会社により管理され、乍ら操作を実施した場合に、自動車保険の保険料が増額する。また、ユーザが自動車を運転中であるか、単に助手席等に同乗しているのみであるかは、公知の技術により検出することができる。例えば、特開2017-107392号公報には、自動車に搭載される車載カメラによりドライバー及び同乗者の顔画像を撮像して、個人を特定する技術が開示されている。このような公知の技術を用いてドライバーを特定し、乍ら操作情報を送信した端末装置10が、ドライバーが所持する端末装置10であるか否かを判定することで、自動車の運転中の乍ら操作を検出することが可能となる。
また、加速度センサーからのセンサー値に基づいて、端末装置10を所持するユーザが自転車に乗車中であるか否かを判定することもでき、自転車を運転中の乍ら操作を検出することもできる。よって、サーバ装置20は、近年増加している自転車の走行中の乍ら操作による事故に対する保険の管理にも適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1…保険システム、10…端末装置、11…端末通信部、12…表示部、13…加速度センサー、14…測位センサー、15…音声出力部、16…入力操作部、17…端末メモリ、18…端末プロセッサ、20…サーバ装置(保険管理装置)、21…サーバ側通信部、22…サーバ側メモリ、23…サーバ側プロセッサ、40…ロック画面、41…ロック解除操作部、181…移動検出部、182…位置検出部、183…ロック部、184…表示制御部、185…音声制御部、186…乍ら操作検出部、187…乍ら操作情報送信部、231…乍ら操作情報受信部、232…統計処理部、233…保険更新部、234…課金処理部、221…保険管理DB、222…履歴DB。