(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】射出成形体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20230303BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20230303BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20230303BHJP
B29C 65/70 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C33/12
B29C45/26
B29C65/70
(21)【出願番号】P 2019190674
(22)【出願日】2019-10-18
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤生 勝
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-179246(JP,A)
【文献】特開2008-168576(JP,A)
【文献】特開2009-023249(JP,A)
【文献】特開2011-154825(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0055724(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00 - 33/76
B29C 45/00 - 45/84
B29C 65/00 - 65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
封入部材を収容する収容部が設けられた第1成形部材と、
前記収容部を覆い、かつ、前記第1成形部材と接合される第2成形部材と、
前記第1成形部材と前記第2成形部材とを接合する樹脂接合材と、
を有し、
前記封入部材は、発光素子と、前記発光素子が一端に配置された細長い導光部材と、前記発光素子と前記導光部材とが電気的に接続された配線を有する基板と、を備え、
前記第1成形部材は、前記収容部として、
前記発光素子および前記導光部材の一部が配置される細長い形状の第1収容部と、前記第1収容部より収容部分の幅が広
く、前記導光部材に並んで配置された前記基板および前記導光部材の他の一部が収容される第2収容部と、を備え、かつ、前記第2成形部材と当接する第1当接面が設けられた第1壁部を備え、
前記第2成形部材は、前記第1当接面と当接する第2当接面が設けられた第2壁部を備え、
前記第1壁部は、前記第1収容部と前記第2収容部のそれぞれの周縁部に設けられ、かつ、前記第1当接面から連なって外側に迫り出した迫り出し面を有する迫り出し部を備え、
前記第2壁部は、前記第1壁部に対応して前記第1収容部と前記第2収容部のそれぞれの周縁部に設けられ、
前記樹脂接合材は、前記第2壁部と前記迫り出し面とに接触し、
前記第1当接面および前記第2当接面のうち、前記第2収容部
の前記迫り出し部における
前記第1収容部と反対側の前記第1当接面および前記第2当接面
には、
延出方向にそれぞれ
曲線状に形成された凹凸部を
有することを特徴とする射出成形体。
【請求項2】
(a)収容部を備える第1成形部材を射出成形する工程と、
(b)第2成形部材を射出成形する工程と、
(c)前記第1成形部材の前記収容部に
、発光素子と、前記発光素子が一端に配置された細長い導光部材と、前記発光素子と前記導光部材とが電気的に接続された配線を有する基板と、を備えた封入部材を装着し、該装着後、前記第1成形部材と前記第2成形部材とを組付けて組付け構造体を形成する工程と、
(d)成形金型のキャビティに前記組付け構造体を配置し、前記第1成形部材の一部と、前記第2成形部材の一部と、からなる空間に樹脂接合材を充填する工程と、
を有し、
前記第1成形部材は、前記収容部として、
前記発光素子および前記導光部材の一部が配置される細長い形状の第1収容部と、前記第1収容部より収容部分の幅が広
く、前記導光部材に並んで配置された前記基板および前記導光部材の他の一部が収容される第2収容部と、を備え、かつ、前記第2成形部材と当接する第1当接面が設けられた第1壁部を備え、
前記第2成形部材は、前記第1当接面と当接する第2当接面が設けられた第2壁部を備え、
前記第1壁部は、前記第1収容部と前記第2収容部のそれぞれの周縁部に設けられ、かつ、前記第1当接面から連なって外側に迫り出した迫り出し面を有する迫り出し部を備え、
前記第2壁部は、前記第1壁部に対応して前記第1収容部と前記第2収容部のそれぞれの周縁部に設けられ、
前記第1成形部材の前記一部は、前記迫り出し部であり、かつ、前記第2成形部材の前記一部は、前記第2壁部であり、
前記(d)工程では、前記第2収容部において、
前記第1当接面および前記第2当接面のうち、前記第2収容部の前記迫り出し部における前記第1収容部と反対側で、延出方向にそれぞれ
曲線状に形成された凹凸部を
有する前記第1当接面および前記第2当接面を当接させた状態で前記第2壁部と前記迫り出し面とに接触するように前記樹脂接合材を充填して、前記樹脂接合材により前記第1成形部材と前記第2成形部材とを接合することを特徴とする射出成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアミラー等に取り付けられる射出成形体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のドアミラー等に取り付けられる射出成形体の一例として、それぞれ射出成形されたレンズとハウジングとが接合される射出成形体が知られている。この射出成形体のハウジングとレンズとの接合については、振動を用いた振動溶着等の接合方法やレーザーによる接合方法が用いられている。
【0003】
例えば、ハウジングとレンズの接合については、特許文献1にその接合方法が開示されており、ハウジングに被せたレンズの周縁部を振動溶着によってハウジングに接合する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたハウジングとレンズの接合方法(振動溶着)では、ハウジングとレンズの接合部を振動させる(擦り合わせる)ため、ハウジングとレンズの接合面は、平坦でなければならない。
【0006】
また、射出成形体が、異なる大きさの収容部を有している場合、ハウジングとレンズの接合において、ハウジングとレンズのそれぞれの樹脂の熱収縮率の違いや反りの度合いの違いの影響により、大きさが小さな収容部に比べて大きさが大きな収容部の接合部にかかる応力の方が大きく、接合部での変形も起こり易い。その結果、大きさが大きな収容部における接合部では、ハウジングとレンズの接合強度が弱くなるという課題が発生していた。
【0007】
また、レーザーを用いた接合方法においても、ハウジングとレンズの接合面に凹凸があると、レーザーが乱反射して接合が困難であった。
【0008】
本発明の目的は、第1成形部材と第2成形部材の接合強度が高められた射出成形体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、封入部材を収容する収容部が設けられた第1成形部材と、前記収容部を覆い、かつ、前記第1成形部材と接合される第2成形部材と、前記第1成形部材と前記第2成形部材とを接合する樹脂接合材と、を有し、前記封入部材は、発光素子と、前記発光素子が一端に配置された細長い導光部材と、前記発光素子と前記導光部材とが電気的に接続された配線を有する基板と、を備え、前記第1成形部材は、前記収容部として、前記発光素子および前記導光部材の一部が配置される細長い形状の第1収容部と、前記第1収容部より収容部分の幅が広く、前記導光部材に並んで配置された前記基板および前記導光部材の他の一部が収容される第2収容部と、を備え、かつ、前記第2成形部材と当接する第1当接面が設けられた第1壁部を備え、前記第2成形部材は、前記第1当接面と当接する第2当接面が設けられた第2壁部を備え、前記第1壁部は、前記第1収容部と前記第2収容部のそれぞれの周縁部に設けられ、かつ、前記第1当接面から連なって外側に迫り出した迫り出し面を有する迫り出し部を備え、前記第2壁部は、前記第1壁部に対応して前記第1収容部と前記第2収容部のそれぞれの周縁部に設けられ、前記樹脂接合材は、前記第2壁部と前記迫り出し面とに接触し、前記第1当接面および前記第2当接面のうち、前記第2収容部の前記迫り出し部における前記第1収容部と反対側の前記第1当接面および前記第2当接面には、延出方向にそれぞれ曲線状に形成された凹凸部を有する。
【0012】
本発明の他の態様は、(a)収容部を備える第1成形部材を射出成形する工程と、(b)第2成形部材を射出成形する工程と、(c)前記第1成形部材の前記収容部に、発光素子と、前記発光素子が一端に配置された細長い導光部材と、前記発光素子と前記導光部材とが電気的に接続された配線を有する基板と、を備えた封入部材を装着し、該装着後、前記第1成形部材と前記第2成形部材とを組付けて組付け構造体を形成する工程と、(d)成形金型のキャビティに前記組付け構造体を配置し、前記第1成形部材の一部と、前記第2成形部材の一部と、からなる空間に樹脂接合材を充填する工程と、を有し、前記第1成形部材は、前記収容部として、前記発光素子および前記導光部材の一部が配置される細長い形状の第1収容部と、前記第1収容部より収容部分の幅が広く、前記導光部材に並んで配置された前記基板および前記導光部材の他の一部が収容される第2収容部と、を備え、かつ、前記第2成形部材と当接する第1当接面が設けられた第1壁部を備え、前記第2成形部材は、前記第1当接面と当接する第2当接面が設けられた第2壁部を備え、前記第1壁部は、前記第1収容部と前記第2収容部のそれぞれの周縁部に設けられ、かつ、前記第1当接面から連なって外側に迫り出した迫り出し面を有する迫り出し部を備え、前記第2壁部は、前記第1壁部に対応して前記第1収容部と前記第2収容部のそれぞれの周縁部に設けられ、前記第1成形部材の前記一部は、前記迫り出し部であり、かつ、前記第2成形部材の前記一部は、前記第2壁部であり、前記(d)工程では、前記第2収容部において、前記第1当接面および前記第2当接面のうち、前記第2収容部の前記迫り出し部における前記第1収容部と反対側で、延出方向にそれぞれ曲線状に形成された凹凸部を有する前記第1当接面および前記第2当接面を当接させた状態で前記第2壁部と前記迫り出し面とに接触するように前記樹脂接合材を充填して、前記樹脂接合材により前記第1成形部材と前記第2成形部材とを接合する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、射出成形体における第1成形部材と第2成形部材の接合強度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の射出成形体(ランプ)が取り付けられるミラー装置の構造を示す図であり、(a)は背面図、(b)は正面図である。
【
図2】本発明の射出成形体(ランプ)の構造を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す射出成形体においてレンズを取り除いて内部構造を示す正面図である。
【
図4】
図2に示す射出成形体の第1収容部で切断した構造を示す拡大断面図である。
【
図5】
図2に示す射出成形体の第2収容部で切断した構造を示す拡大断面図である。
【
図6】
図2に示す射出成形体におけるハウジングの構造を示す斜視図である。
【
図7】
図2に示す射出成形体におけるレンズの構造を示す斜視図である。
【
図8】
図2に示す射出成形体の製造において成形金型に樹脂接合材を充填した状態を示す断面図である。
【
図9】本発明の射出成形体の接合部の第1変形例の形状を示す断面図である。
【
図10】本発明の射出成形体の接合部の第2変形例の形状を示す断面図である。
【
図11】本発明の射出成形体の接合部の第3変形例の形状を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
本実施の形態の射出成形体は、自動車などの車体、例えば、ドアまたはフェンダーに取り付けられるミラー装置に組み付けられるものである。
図1(a),(b)に示すミラー装置20は、車体に固定されるステーブラケット27と、ステーブラケット27に対して折りたたみ機構(図示せず)を介して取り付けられたボディ25と、ボディ25に収容されたミラー26と、を備えている。さらに、ミラー装置20は、ボディ25においてミラー26が配置された箇所とは反対の箇所に設けられるランプ1と、ステーブラケット27を覆うステーカバー23,24と、ランプ1の周囲を覆うメインカバー21と、ランプ1の周囲を覆うローカバー22と、を備えている。また、メインカバー21は、ミラー26の周囲を覆っている。
【0017】
ミラー装置20に組み付けられたランプ1は、車両の室内に設けられたスイッチを運転者が操作すると、ランプ1が点滅して方向指示器としての役割を果たす。
【0018】
本実施の形態のランプ1は、例えば、それぞれ互いに異なる樹脂によって射出成形された2つの部材を、樹脂接合材9によって接合した射出成形体である。
【0019】
本実施の形態では、射出成形体の一例として、
図2に示すような、自動車のドアミラー等に取り付けられるランプ1を取り上げて説明する。さらに、ランプ1の構成部材の一例として、ハウジング(第1成形部材)2とレンズ(第2成形部材)3を取り上げてランプ1の構成を説明する。つまり、本実施の形態の射出成形体は、射出成形によって成形されたハウジング2とレンズ3とを樹脂接合材9によって接合して成るランプ1である。
【0020】
そして、ランプ1は、中空構造となっており、この中空部(後述する収容部2a)に封入部材が装着されている。
【0021】
図2はランプ1の斜視図であり、
図3はレンズ3を取り外してランプ1の内部の中空部を示す正面図である。なお、
図2では、自動車の前方側から
図1のミラー装置20を眺めた際のランプ1の外観構造を示している。したがって、
図3における上下方向がハウジング2の幅方向(延在方向P)となっている。
【0022】
ランプ1の構成について説明すると、封入部材を収容する収容部2aが設けられたハウジング(第1成形部材)2と、収容部2aを覆い、かつ、ハウジング2と接合されるレンズ(第2成形部材)3と、ハウジング2とレンズ3とに接触してハウジング2とレンズ3とを接合する樹脂接合材9と、を有している。
【0023】
なお、ハウジング2は、
図6に示すように、収容部2aとして、正面から眺めた形状が細長い形状の第1収容部2bと、第1収容部2bと連なって設けられ、かつ正面から眺めた収容部分の幅が第1収容部2bより広い第2収容部2cと、を備えている。具体的には、
図3に示すように、第1収容部2bの幅の大きさは、Aであり、第2収容部2cの幅の大きさは、Bであり、A<Bの関係である。つまり、ハウジング2は、収容部分の幅が狭く細長い第1収容部2bと、第1収容部2bと連なり、かつ第1収容部2bより収容部分の幅が広い第2収容部2cと、を有している。なお、本発明では収容部分の大きさ(面積)においても第2収容部2cの方が第1収容部2bより大きくなっているが、第1収容部2bの収容部の大きさ(面積)が第2収容部2cの収容部の大きさ(面積)よりも大きく設定することもできる。
【0024】
さらに、ハウジング2は、
図4および
図5に示すように、第1収容部2bおよび第2収容部2cにおいて、レンズ3と当接する第1当接面2jが設けられた壁部(第1壁部)2dを備えている。一方、レンズ3は、第1収容部2bおよび第2収容部2cを覆う部分において、第1当接面2jと当接する第2当接面3eが設けられた壁部(第2壁部)3bを備えている。すなわち、壁部2dは、第1収容部2bと第2収容部2cのそれぞれの周縁部に設けられており、一方、壁部3bは、壁部2dに対応して第1収容部2bと第2収容部2cのそれぞれの周縁部に設けられている。なお、ハウジング2の壁部2dは、第1当接面2jから連なって外側に迫り出した迫り出し面2iを有する迫り出し部2hを備えている。
【0025】
そして、樹脂接合材9は、
図4および
図5に示すように、レンズ3の壁部3bとハウジング2の迫り出し面2iとに接触(付着)しており、これにより、ハウジング2とレンズ3は、樹脂接合材9によって接合されている。
【0026】
また、本実施の形態のランプ1では、ハウジング2の第2収容部2cにおいて、ハウジング2のレンズ3と当接する第1当接面2jは、凹凸面2kを備えており、レンズ3のハウジング2と当接する第2当接面3eは、凹凸面3fを備えている。具体的には、第2収容部2cにおける第1当接面2jと第2当接面3eは、ハウジング2の延在方向P(
図3参照)に沿って互いの面そのものが波打った凹凸状となっている。言い換えると、凹凸面2kおよび凹凸面3fは、第2収容部2cにおける壁部2dおよび壁部3bのそれぞれのハウジング2の延在方向Pに沿った部分に設けられている。そして、樹脂接合材9は、ハウジング2とレンズ3の接合部4において、ハウジング2の第1収容部2bおよび第2収容部2cを含む全周の接合部4に亘って設けられており、これにより、ハウジング2とレンズ3とが接合されている。
【0027】
ここで、ハウジング2の第1収容部2bには、
図3に示すように、封入部材として、発光素子であるLED(Light Emitting Diode) 8やLED8から発せられる光をレンズ3に向けて誘導する導光部材5の一部が収容されている。導光部材5は、合成樹脂、例えば、アクリル樹脂を筒形状に形成した細長い部材である。
【0028】
一方、幅広の第2収容部2cには、導光部材5の他の一部と、LED8と電気的に接続された配線6aを有する基板6と、が収容されている。基板6は、
図5に示すように、固定プレート15に取り付けられるとともに、2本の位置決めピン16によって位置決めされている。また、基板6には、ランプ1の外部と信号の送受信を行う接続用端子であるターミナル7が取り付けられている。また、LED8は、第2収容部2cの端部に収容されたサブ基板6bに搭載され、導光部材5の内部に配置されている。
【0029】
ランプ1においては、LED8に配線6aを介して電圧が印加されると、LED8が点灯する。そして、LED8から発せられた光は、導光部材5内に進入し、導光部材5内で反射する。反射した光は、レンズ3を透過してランプ1の外に到達する。
【0030】
本実施の形態のハウジング2では、その収容部2aのうちの1つである第2収容部2cは、導光部材(インナレンズ)5の他の一部、基板6およびサブ基板6b等が収容されるため、幅広な収容部2aとなっている。一方で、第1収容部2bは、細長い部材である導光部材5の一部を収容する収容部2aとなっている。このように本実施の形態のランプ1は、そのハウジング2を、幅が狭く細長い第1収容部2bと、幅広の第2収容部2cとを組み合わせた形状にすることで、ランプ1の小型化を図ることができる。
【0031】
また、ハウジング2は、光を透過させない不透明な樹脂材料からなり、一方、レンズ3は、光を透過させる透明な樹脂材料からなる。したがって、LED8から発せられる光は、導光部材5によってランプ1の先端側まで導かれ、レンズ3を透過してランプ1の前方側(自動車の前方側)に放出される。また、サブ基板6上にはLED8とは別に他のLED(図示せず)が設けられており、このLEDにより、レンズ3を透過し視認部(視認窓)25aを介してランプ1の後方側(自動車の後方側)に光を放出させている。ただし、ハウジング2は光を透過させない樹脂材料からなるため、レンズ3以外の部分から光は放出されない構造となっている。
【0032】
なお、ハウジング2において、第2収容部2cは第1収容部2bに比べて幅広であるため、収容部分の大きさ(面積)も第1収容部2bに比べて大きい。したがって、樹脂からなるハウジング2およびレンズ3において、それぞれの樹脂の熱収縮率にも違いがあり、さらに、収容部分における反りの度合いにも違いがある。このような状況においては、収容部分の大きさ(面積)が大きな第2収容部2cにおけるハウジング2とレンズ3との接合部4には大きな応力がかかり、接合部4での変形も起こり易い。その結果、大きさ(面積)が大きな第2収容部2cにおける接合部4では、ハウジング2とレンズ3の接合部4の接合強度が弱くなる。
【0033】
そこで、本実施の形態のランプ1では、
図5に示すように、幅広の第2収容部2cにおけるハウジング2とレンズ3との当接部(
図1に示す接合部4)には、それぞれ第1当接面2j、第2当接面3eが設けられており、この第1当接面2jと第2当接面3eとが当接されている。そして、この第1当接面2jが凹凸面2kとなっており、かつ第2当接面3eが第1当接面2jの凹凸形状に対応した凹凸面3fとなっている。言い換えると、ハウジング2とレンズ3の接合部4は、凹状接合部4aおよび凸状接合部4bを含んでいる。すなわち、第2収容部2cにおける第1当接面2jと第2当接面3eは、互いの面そのものが波打った凹凸状になっている。そして、樹脂接合材9は、凹状接合部4aおよび凸状接合部4bに接触している。
【0034】
詳細には、
図6に示すように、ハウジング2の第2収容部2cは、底部2eと底部2eに繋がる壁部2dとを備えている。そして、第2収容部2cにおいて、ハウジング2の延在方向Pに沿って設けられた壁部2dの端部には、複数の凸状部分2fと複数の凹状部分2gとが連続して設けられているとともに、これら複数の凸状部分2fおよび複数の凹状部分2gが曲線で形成されているため、波形の凸状部分2fおよび凹状部分2gとなっている。つまり、ハウジング2の第2収容部2cの壁部2dは、第1当接面2jを有しているとともに、第1当接面2jが波形の凹凸面2kとなっている。
【0035】
なお、ハウジング2は、
図4および
図5に示すように、全周に亘って壁部2dの第1当接面2jから連なって外側に向かって迫り出した迫り出し面2iを備える迫り出し部2hを有している。なお、本発明では全周に迫り出し部2hを設けているが、部分的に迫り出し部2hを設けてもよい。
【0036】
一方、
図7に示すように、レンズ3におけるハウジング2の第2収容部2cを覆う部分は、天壁3aと天壁3aに繋がる壁部3bとを備えている。壁部3bは、天壁3aから繋がるレンズ3の立ち壁である。そして、レンズ3の延在方向Pに沿って設けられた壁部3bは、ハウジング2の壁部2dと当接する形状となっている。すなわち、壁部3bの第2当接面3eには、ハウジング2の壁部2dの第1当接面2jと当接するように、ハウジング2の壁部2dの第1当接面2jと合致する形状が形成されている。具体的には、壁部3bの第2当接面3eには、ハウジング2の壁部2dの第1当接面2jと同様に、複数の凸状部分3cと複数の凹状部分3dとが連続して設けられ、第2当接面3eが凹凸面3fとなっているとともに、これら複数の凸状部分3cおよび複数の凹状部分3dが曲線で形成されているため、第2当接面3eは波形の凸状部分3cおよび凹状部分3d(波形の凹凸面3f)となっている。
【0037】
これにより、
図2に示すように、ハウジング2の壁部2dと、レンズ3の壁部3bとが噛み合った状態となり、
図5に示すように、ハウジング2の第2収容部2cの壁部2dと、レンズ3の壁部3bとが、第1当接面2jと第2当接面3eで当接されている。
【0038】
そして、ハウジング2とレンズ3との接合部4においては、
図4および
図5に示すように、ハウジング2の壁部2dにはハウジング2の全周に亘って迫り出し面2iを備えた迫り出し部2hが設けられているため、ハウジング2の迫り出し部2hの迫り出し面2iとレンズ3の壁部3bとに樹脂接合材9が接触することで、ハウジング2とレンズ3とが接合されている。言い換えると、ハウジング2とレンズ3との接合部4では、ハウジング2の壁部2dとレンズ3の壁部3bとの両方に樹脂接合材9が接触(付着)することにより、ハウジング2とレンズ3とが接合されている。
【0039】
なお、ハウジング2の第2収容部2cの壁部2dの第1当接面2jに設けられた複数の凸状部分2fおよび複数の凹状部分2gである凹凸面2kは、互いに凸部や凹部が曲線で形成され、かつ互いの曲線が繋がって波形を形成している(波形接合部4cを形成している)。そして、複数の凸状部分2fと複数の凹状部分2gのそれぞれの波形を形成する曲線の曲率は、種々異なっていることが好ましい。
【0040】
そして、レンズ3においても同様の形状となっている。すなわち、レンズ3におけるハウジング2の第2収容部2cを覆う部分の壁部3bの第2当接面3eに設けられた複数の凸状部分3cおよび複数の凹状部分3dである凹凸面3fは、ハウジング2の壁部2dの複数の凸状部分2fおよび複数の凹状部分2gに合致した形状である。さらに、レンズ3の壁部3bの複数の凸状部分3cおよび複数の凹状部分3dは、互いに凸部や凹部が曲線で形成されている。そして、これら凸部や凹部の曲線が繋がって波形を形成している(波形接合部4cを形成している)。なお、ハウジング2と同様に、複数の凸状部分3cと複数の凹状部分3dのそれぞれの波形を形成する曲線の曲率は、種々異なっていることが好ましい。
【0041】
次に、本実施の形態のランプ1の製造方法について説明する。
【0042】
まず、射出成形によって
図6に示すハウジング(第1成形部材)2を成形する。ハウジング2は、収容部2aを備えている。さらに、射出成形によって
図7に示すレンズ(第2成形部材)3を成形する。ただし、ハウジング2およびレンズ3は、射出成形以外の樹脂成形によって成形してもよい。
【0043】
ここで、
図6に示すハウジング2は、光を透過させない不透明な樹脂材料からなり、収容部2aとして、細長い形状の第1収容部2bと、第1収容部2bに連なり、かつ収容部分の幅が第1収容部2bより広い第2収容部2cと、を備えている。
【0044】
ハウジング2の第2収容部2cの壁部2dには、その端部の第1当接面2jに、複数の凸状部分2fと複数の凹状部分2gとが連続して設けられて成る凹凸面2kを備えているとともに、これら複数の凸状部分2fおよび複数の凹状部分2gが曲線で形成されており、波形の凸状部分2fおよび凹状部分2gが形成されている。
【0045】
一方、
図7に示すレンズ3は、光を透過させる透明な樹脂材料からなる。レンズ3におけるハウジング2の第2収容部2cを覆う部分の壁部3bには、その端部の第2当接面3eに、複数の凸状部分3cおよび複数の凹状部分3dが連続して設けられて成る凹凸面3fを備えている。これら複数の凸状部分3cおよび複数の凹状部分3dは、ハウジング2の壁部2dの複数の凸状部分2fおよび複数の凹状部分2gに合致した形状であるとともに、レンズ3の壁部3bの複数の凸状部分3cおよび複数の凹状部分3dは、互いに凸部や凹部が曲線で形成されている。さらに、これら凸部や凹部の曲線が繋がって波形を形成している。
【0046】
次に、
図3に示すように、ハウジング2の収容部2aに封入部材を装着する。ここでは、ハウジング2の第1収容部2bに導光部材5の一部を装着し、第2収容部2cに基板6や配線6aおよびサブ基板6bなどを装着する。なお、導光部材5の他の一部は、第2収容部2cにも収容されている。そして、導光部材5や基板6などの封入部材を装着した後、ハウジング2とレンズ3とを組付けて
図8に示す組付け構造体13を形成する。
【0047】
その際、ハウジング2の第2収容部2cにおいて、その壁部2dの第1当接面2jの複数の凸状部分2fおよび複数の凹状部分2gは、レンズ3の壁部3bの第2当接面3eの複数の凸状部分3cおよび複数の凹状部分3dと合致した状態となる。
【0048】
この状態で、
図8に示すように、成形金型12の上金型10のキャビティ10aと下金型11のキャビティ11aとに組付け構造体13を配置する。配置後、ハウジング2の迫り出し部2hの迫り出し面2iと、レンズ3の壁部3bと、成形金型12の上金型10の一部と、からなる空間14に樹脂接合材9を充填する。
【0049】
ここで、樹脂接合材9を充填する際には、
図4および
図5に示すように、壁部3bおよび迫り出し面2iに接触するように樹脂接合材9を充填する。そして、
図8に示すように、樹脂接合材9によってハウジング2とレンズ3とを接合する。これにより、
図4および
図5に示すように、第2収容部2cでのハウジング2とレンズ3においては、凹凸面2kを備えた壁部2dと、凹凸面3fを備えた壁部3bとが接合された構造になる。
【0050】
本実施の形態のランプ1によれば、ハウジング2とレンズ3の接合に関し、収容部分の大きさ(面積)が大きな第2収容部2cにおいて、壁部2dの第1当接面2jが凹凸面2kとなっており、かつ壁部3bの第2当接面3eが凹凸面2kに対応した凹凸面3fとなっていることにより、第1当接面2jと第2当接面3eの接合面積を増やす(接合距離を長くする)ことができる。その結果、第2収容部2cにおけるハウジング2とレンズ3の接合強度を高めることができる。
【0051】
すなわち、ランプ(射出成形体)1において、ハウジング2とレンズ3の接合強度を高くすることができる。特に収容部分の大きさ(面積)が大きな第2収容部2cにおいて、ハウジング2とレンズ3の互いの樹脂の熱収縮率が違っていても、あるいはハウジング2とレンズ3の反りの度合いが違っていても、ハウジング2とレンズ3との接合強度が高められたことで、ハウジング2とレンズ3が剥離することを防止できる。
【0052】
なお、第2収容部2cにおけるハウジング2とレンズ3の接合において、凹凸面2kおよび凹凸面3fの互いを波形に形成することで、波形は曲線からなるため、成形金型12内に樹脂接合材9を充填する際に、樹脂接合材9の流れを滑らかにすることができ、接合時にボイドやヒケが形成されることを防止できる。
【0053】
また、本実施の形態のランプ1では、レンズ3におけるハウジング2の第2収容部2cを覆う部分は、
図2に示すように、天壁3aと天壁3aに繋がる壁部3bとを備えており、壁部3bの第2当接面3eに、
図7に示すように、複数の凸状部分3cおよび複数の凹状部分3dが設けられている。すなわち、レンズ3の第2収容部2cを覆う部分は、天壁3aと繋がる立ち壁である壁部3bを備えており、これによって、レンズ3の強度を高めることができる。
【0054】
次に、本実施の形態の変形例を説明する。
【0055】
図9に示す第1変形例は、ハウジング2の第2収容部2cにおけるハウジング2の第1当接面2jにS字型の凹凸面2kを形成し、レンズ3の第2当接面3eにS字型の凹凸面3fを形成したものである。すなわち、第2収容部2cのハウジング2とレンズ3の当接面に、凹凸面2kと凹凸面3fとからなるS字型の当接面を形成している。
【0056】
これにより、
図2に示すランプ1と同様に、第2収容部2cにおけるハウジング2とレンズ3との接合において、第1当接面2jと第2当接面3eの接合面積を増やす(接合距離を長くする)ことができ、収容部分の大きさ(面積)が大きな第2収容部2cにおけるハウジング2とレンズ3の接合強度を高めることができる。すなわち、ランプ1において、ハウジング2とレンズ3の接合強度を高くすることができる。
【0057】
また、第2収容部2cの第1当接面2jおよび第2当接面3eにS字型の凹凸面2kおよび凹凸面3fを形成することで、S字型は曲線からなるため、
図8に示す成形金型12内に樹脂接合材9を充填する際に、樹脂接合材9の流れを滑らかにすることができ、接合時にボイドやヒケが形成されることを防止できる。
【0058】
図10に示す第2変形例は、ハウジング2の第2収容部2cにおけるハウジング2とレンズ3の第1当接面2jおよび第2当接面3eに、互いに角部を有する凹凸面2kおよび凹凸面3fを形成したものである。
【0059】
また、
図11に示す第3変形例は、ハウジング2の第2収容部2cにおけるハウジング2とレンズ3の第1当接面2jおよび第2当接面3eに、V字型を成す凹凸面2kおよび凹凸面3fを形成したものである。
【0060】
図10に示す互いに角部を有する凹凸面2kおよび凹凸面3fにおいても、また、
図11に示すV字型を成す凹凸面2kおよび凹凸面3fにおいても、
図2に示すランプ1と同様に、第2収容部2cにおけるハウジング2とレンズ3との接合において、第1当接面2jおよび第2当接面3eの接合面積を増やす(接合距離を長くする)ことができる。これにより、収容部分の面積が大きな第2収容部2cにおけるハウジング2とレンズ3の接合強度を高めることができる。すなわち、ランプ1において、ハウジング2とレンズ3の接合強度を高くすることができる。
【0061】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、ハウジング2とレンズ3の第1当接面2jおよび第2当接面3eにおいて、互いの面そのものが凹凸状に波打っている場合を説明した。しかしながら、第2収容部2cの第1当接面2jおよび第2当接面3eにおいては、これらの面の一部分に凹凸部が形成されていてもよい。すなわち、第2収容部2cにおける第1当接面2jおよび第2当接面3eが、これらの面の一部分に凹凸部を含んでいてもよい。例えば、第1当接面2jおよび第2当接面3eのそれぞれに1つまたは複数の凹凸部が形成されていてもよい。これにより、ハウジング2とレンズ3の接合強度を高めることができる。
【0062】
また、上記実施の形態においては、ハウジング2とレンズ3の第1当接面2jおよび第2当接面3eにおいて、波形、S字型、互いに角部を有する凹凸面2kおよび凹凸面3f、およびV字型などの第1当接面2jおよび第2当接面3eが形成されている場合を説明した。しかしながら、ハウジング2とレンズ3の第1当接面2jおよび第2当接面3eの形状は、第1当接面2jおよび第2当接面3eの接合面積を増やす(接合距離を長くする)ことができる形状であれば、上記形状に限定されるものではない。
【0063】
また、上記のような凹凸面2kおよび凹凸面3fが設けられる箇所は、第2収容部2cに限定されるものではなく、他の箇所、例えば、第1収容部2bのハウジング2とレンズ3の当接部(接合部4)などの一部または全周に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 ランプ(射出成形体)
2 ハウジング(第1成形部材)
2a 収容部
2b 第1収容部
2c 第2収容部
2d 壁部(第1壁部)
2e 底部
2f 凸状部分
2g 凹状部分
2h 迫り出し部
2i 迫り出し面
2j 第1当接面
2k 凹凸面
3 レンズ(第2成形部材)
3a 天壁
3b 壁部(第2壁部)
3c 凸状部分
3d 凹状部分
3e 第2当接面
3f 凹凸面
4 接合部
4a 凹状接合部
4b 凸状接合部
4c 波形接合部
5 導光部材(封入部材)
6 基板(封入部材)
6a 配線(封入部材)
6b サブ基板(封入部材)
7 ターミナル(封入部材)
8 LED(封入部材)
9 樹脂接合材
10 上金型
10a キャビティ
11 下金型
11a キャビティ
12 成形金型
13 組付け構造体
14 空間
15 固定プレート
16 位置決めピン
20 ミラー装置
21 メインカバー
22 ローカバー
23,24 ステーカバー
25 ボディ
25a 視認部
26 ミラー
27 ステーブラケット