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特許7236982回収可能なステントを送達するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】回収可能なステントを送達するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20230303BHJP
   A61F 2/90 20130101ALI20230303BHJP
【FI】
A61F2/966
A61F2/90
【請求項の数】 26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019204212
(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公開番号】P2020078549
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】16/508,055
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/189,596
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519402546
【氏名又は名称】アイシーエイディー エンドバスキュラー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ICAD ENDOVASCULAR LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ラドスラフ アイ ライチェフ
(72)【発明者】
【氏名】エリック ピー ストッペンハーゲン
(72)【発明者】
【氏名】マーク ディアス
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-539872(JP,A)
【文献】米国特許第6468298(US,B1)
【文献】特表2012-510352(JP,A)
【文献】国際公開第2018/098482(WO,A1)
【文献】特開2018-153665(JP,A)
【文献】特表2005-525170(JP,A)
【文献】特開2016-171949(JP,A)
【文献】特開2011-136180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/966
A61F 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能なステントを送達及び展開するためのステント送達システムであって、
カテーテルと、
前記カテーテル内に配設された遠位端を含む、シャフトと、
近位端及び遠位端を含む拡張可能なステントであって、前記シャフトが、前記拡張可能なステントに直接取り付けられ、前記シャフトが、前記拡張可能なステント内に配設されている、拡張可能なステントと、
前記拡張可能なステント内に配設された複数の支柱であって、各支柱の第1の端部が、前記シャフトに連結され、各支柱の第2の端部が、前記拡張可能なステントに連結されている、複数の支柱と、を備え、
前記拡張可能なステントに対する前記シャフトの長手方向の移動が、前記拡張可能なステントの前記遠位端及び前記拡張可能なステントの前記近位端を互いに向かって引き、前記複数の支柱を半径方向外向きに延在させて、前記拡張可能なステントを拡張させ、
前記複数の支柱が、前記拡張可能なステントの外面に調節可能な外向きの半径方向力を提供し、
前記拡張可能なステントが、近位部分と、中央部分と、遠位部分と、を含み、前記中央部分が、前記シャフトの周りを回転する複数のらせん状ワイヤを含む、ステント送達システム。
【請求項2】
前記シャフトの前記遠位端が、前記拡張可能なステントの前記遠位端に連結されている、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項3】
前記シャフトに加えられる遠位に配向された力が、前記複数の支柱を半径方向外向きに延在させて、前記拡張可能なステントを拡張する、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項4】
前記拡張可能なステントに加えられる近位に配向された力が、前記複数の支柱を半径方向外向きに延在させて、前記拡張可能なステントを拡張形態に拡張する、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項5】
前記支柱が、前記拡張可能なステントの前記遠位端に配設され、拡張形態では、前記支柱が、前記拡張可能なステントの近位端配設される、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項6】
前記複数の支柱が、前記拡張可能なステントに沿って長手方向に配設され、前記複数の支柱が、互いに半径方向に整列し、拡張形態では、前記複数の支柱の半径方向の整列が複数のチャネルを形成する、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項7】
前記複数の支柱が、支柱のサブセットを含み、第1の支柱のサブセットが、前記シャフトの所定の位置に連結され、互いに半径方向に離間配置され、第2の支柱のサブセットが、前記第1の支柱のサブセットに対して遠位の前記シャフトの所定の位置に連結され、互いに半径方向に離間配置され、前記第1の支柱のサブセット及び前記第2の支柱のサブセットが、半径方向に整列される、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項8】
拡張形態の前記拡張可能なステントが、0.00590~0.0090ニュートン/mmの範囲の半径方向力を提供する、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項9】
折り畳み形態では、前記複数の支柱が、遠位方向に配向される、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項10】
拡張形態では、前記複数の支柱が、近位方向に配向される、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項11】
前記シャフトがロック機構を含み、前記ロック機構が、前記拡張可能なステントの前記遠位端に対して前記拡張可能なステントの前記近位端の位置をロックするように構成されている、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項12】
前記拡張可能なステントが、複数の孔を有し、10~35パーセントの範囲の有孔率を有する、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項13】
前記拡張可能なステントが、複数の孔を有し、15~30パーセントの範囲の有孔率を有する、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項14】
前記拡張可能なステントが、カバーを含む、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項15】
拡張可能なステントシステムであって、
遠位端を含むシャフトと、
近位端及び遠位端を含む拡張可能なステントであって、前記シャフトが、前記拡張可能なステントに直接取り付けられ、前記シャフトが、前記拡張可能なステント内に配設されている、拡張可能なステントと、
前記拡張可能なステント内に配設された複数の支柱であって、各支柱の第1の端部が、前記シャフトに連結され、各支柱の第2の端部が、前記拡張可能なステントに連結されている、複数の支柱と、を備え、
前記複数の支柱が、半径方向外向きに延在し、前記拡張可能なステントを拡張形態に拡張させ、
前記複数の支柱の半径方向外向きの移動は、前記拡張可能なステントの外面に、調節可能な外向きの半径方向力を提供するように構成されており、
前記拡張可能なステントが、近位部分と、中央部分と、遠位部分と、を含み、前記中央部分が、前記シャフトの周りを回転する複数のらせん状ワイヤを含む、拡張可能なステントシステム。
【請求項16】
前記拡張可能なステントに対する前記シャフトの長手方向の移動が、前記複数の支柱を半径方向外向きに延在させる、請求項15に記載の拡張可能なステントシステム。
【請求項17】
拡張形態の前記拡張可能なステントが、0.00590~0.0090ニュートン/mmの範囲の半径方向力を提供する、請求項15に記載の拡張可能なステントシステム。
【請求項18】
拡張可能なステントを送達及び展開するためのステント送達システムであって、
カテーテルと、
前記カテーテル内に配設された遠位端を含む、シャフトと、
近位端及び遠位端を含む拡張可能なステントであって、前記シャフトが、前記拡張可能なステントに連結され、前記シャフトが、前記拡張可能なステント内に配設される、拡張可能なステントと、を備え、
前記拡張可能なステントが、複数のフィラメントを含み、前記フィラメントが、編組パターンを形成し、
前記拡張可能なステントに対する前記シャフトの長手方向の移動が、前記拡張可能なステントの遠位端、前記拡張可能なステントの近位端を互いに向かって引き、前記拡張可能なステントを拡張させる、ステント送達システム。
【請求項19】
前記シャフトの前記遠位端が、前記拡張可能なステントの前記遠位端に連結されている、請求項18に記載のステント送達システム。
【請求項20】
前記シャフトに加えられる近位に配向された力が、前記拡張可能なステントを拡張する、請求項18に記載のステント送達システム。
【請求項21】
前記複数のフィラメントが、半荷重編組パターンを形成する、請求項18に記載のステント送達システム。
【請求項22】
前記複数のフィラメントが、全荷重編組パターンを形成する、請求項18に記載のステント送達システム。
【請求項23】
前記複数のフィラメントが、ダイヤモンド編組パターンを形成する、請求項18に記載のステント送達システム。
【請求項24】
前記シャフトが、少なくとも1つの位置において前記拡張可能なステントの前記編組に織り込まれる、請求項18に記載のステント送達システム。
【請求項25】
前記シャフトが、前記拡張可能なステントの全長に沿って前記拡張可能なステントの前記編組に織り込まれる、請求項18に記載のステント送達システム。
【請求項26】
前記拡張可能なステント内に配設された複数の支柱を更に備え、各支柱の第1の端部が、前記シャフトに連結され、各支柱の第2の端部が、前記拡張可能なステントに連結され、前記複数の支柱が、前記拡張可能なステントの外面に調節可能な外向きの半径方向力を提供する、請求項18に記載のステント送達システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年11月13日に出願された発明の名称「SYSTEMS And METHODS FOR DELIVERY RETRIEVABLE STENTS」の米国特許出願第16/189,596号の一部継続出願であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、血管の血管内治療の分野に関する。より具体的には、いくつかの実施形態は、血行力学的に有意な頭蓋内アテローム硬化性疾患(ICAD)の血管内治療に関する。
【発明の概要】
【0003】
大及び中サイズの血管を含む頭蓋内アテローム硬化性疾患(ICAD)は、推定発生率が最大50パーセントで世界的に虚血性脳卒中の主因である。これは、アジア、南米、及び中東において主に優勢であり、ヨーロッパ及び北米ではあまり一般的に遭遇しない。これは、北米での全虚血性脳卒中の8~10パーセント、及びアジアでは30~50パーセントを占めている。ICADによる虚血性脳卒中をもたらす3つの主要機構は、低灌流、分岐アテローム性疾患、及び動脈間塞栓症である。
【0004】
急性及び亜急性の設定におけるICADの現在の血管内療法は、最適以下の現在の技術のために非常に制限され、再閉塞の可能性が高いためにバルーン血管形成術の能力が制限され、永久的なステント埋め込みが必要である。
【0005】
本開示は、現在利用可能な技術に関連する合併症を伴わずに適切な血管新生を達成することを目的とした、血行力学的に有意なICADの血管内治療に対する新規アプローチを提案し、これは、永久的ステントの血管形成術及び移植のための閉塞バルーンの配置を伴う。この方法及び設計は、調節可能な半径方向力を有する回収可能なステントの一時的かつ長期的な展開の両方を可能にする。加えて、本出願は、バルーン血管形成術及びステント化の魅力的な代替として、連続的な流れ及び親血管適合性を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書における書面による開示は、非限定的かつ非網羅的な、例示的実施形態を説明するものである。図面に示される、このような例示的実施形態のうちの特定のものについて、参照するものとする。
【0007】
図1】一実施形態による、折り畳み形態の拡張可能なステントを示す。
図2】拡張形態の図1の拡張可能なステントを示す。
図3図2の拡張可能なステントの断面図を示す。
図4】拡張可能なステントシステムの移動の解剖学的経路の図を示す。
図5】一実施形態による、複数の支柱を含む拡張可能なステントであって、折り畳み又は半折り畳み形態の拡張可能なステントの概略図である。
図6】拡張形態の図5の拡張可能なステントの概略図である。
図7】拡張形態の拡張可能なステントを示し、拡張可能なステントは、近位部分、中央部分、及び遠位部分を備え、それぞれが一実施形態による別個のステント設計を有する。
図8】拡張形態の拡張可能なステントを示し、拡張可能なステントは、一実施形態によるカバーを備える。
図9】一実施形態による、患者の脈管構造内に拡張可能なステントを展開する方法を示す。
図10】一実施形態による、折り畳み形態の拡張可能な編組ステントを示す。
図11】拡張構成にある図10の拡張可能な編組ステントを示す。
図12】一実施形態による折り畳み形態の拡張可能な編組ステントを示す。
図13】拡張及び湾曲形態の図12の拡張可能な編組ステントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
医学療法を伴う無作為化データから誘導されるICADの自然な履歴は、再発性脳卒中率が、重度(>70%)カテゴリーにおいて非常に高いリスクを有する狭窄度に比例することを実証した。これらのデータは、最良の医学療法に対して血管形成術とステント留置とを比較する第1の無作為化臨床試験SAMMPRISを促した(ASA及びPlavixでの二重抗血小板療法、LDL目標</=70mg/dL及びSBP目標<130/80を有するスタチン)。試験の結果は、最良の医学療法(15%)と比較して、Wingspanシステムによる経皮的血管形成術及びステント留置(PTAS)後に、はるかに悪い脳卒中のリスク(23%)を示した。バルーン装着型ステントを伴うVISSITと呼ばれる別の試験は、SAMMPRISと非常に類似した結果を実証した。しかしながら、血管内療法を超える医療の優位性にもかかわらず、両方の試験は、侵襲的医療管理で治療されている間、実質的な数の患者が、依然として脳卒中のリスクが高いことを明白に実証した。ICADにおける医学療法のこの失敗は、上に列挙した異なる病態生理学的機構のそれぞれの慎重な考慮に基づいて、適切な治療を不適切に選択することによって説明することができる。遠位血行力学的妥協に関連する重度の狭窄を有する患者は、再発性虚血性脳卒中のリスクが最も高く、抗血小板及び脂質低下療法から利益を得る可能性が低い。SAMMPRIS試験の医療用アームの事後分析は、梗塞の最も一般的なパターンが境界領域(52.4%)であり、続いて灌流域(23.8%)、及び穿通枝(23%)であったことを示した。境界領域梗塞を有する患者は、より低い比色を有する可能性が高く、より高い再発性脳卒中のリスクを有していた。したがって、現在のデータは、遠位低灌流に関連する重度の頭蓋内狭窄を有する患者が、最良の医学療法にもかかわらず、再発性脳卒中のリスクが最も高く、そのような患者は、血管内血管再生から利益を得ることができるという証拠を提供している。この概念は、中国ステント留置レジストリからの証拠によって支持され、これは、重度の低灌流、短いセグメント病変を有する患者、及び適格イベントの3週間以内に治療された患者における低い術中リスクを実証した。最近完成したWEAVE単一アーム試験において、同様の結果が得られ、これは、Wingspanシステムによる頭蓋内PTASに対する現在のFDA推奨のみに適合する(適格イベントの最小7日後に医学療法及び治療の失敗が証明された)患者を登録した。両方の研究は、局所的なMori型A病変及び脳卒中後の長い治療期間を有する厳密な患者選択を伴い、SAMMPRIS及びVISSITと比較して優れた結果を実証した。しかしながら、これらの制限は、重篤な狭窄を有するICAD患者の一部のみに適用されるとき、PTASの適用性を有意に制限する。したがって、ICADの現在の血管内血管再生は、医学療法に失敗した患者、及びTIA又は脳卒中の7日後のみに限定される。更に、米国市場で承認された唯一のデバイスは、Wingspan/Gatewayバルーンシステムであり、これは複雑な交換プロセスを必要とする旧式の技術である。その設計(自己拡張型、強い血管矯正効果を有する高い半径方向力)を考慮すると、このデバイスはまた、焦点の短いセグメント狭窄(Mori型A)にのみ有用であり、より広範囲のプラーク(Mori型b及びc)及び蛇行性頭蓋内解剖学的構造において十分に機能しない。
【0009】
患者選択が厳しくないことに加えて、失敗したPTASの理由は、技術的因子(血管破裂及びワイヤ穿孔)、及び医学的因子(穿通枝閉塞を伴うプラーク除雪効果及び実質内出血の遅延の両方に起因している。
【0010】
ステント留置後の穿通枝閉塞:冠状動脈及び末梢血管とは異なり、ICADによって影響される頭蓋内血管は、側壁から生じ、重要な皮質下構造を供給する複数の小穿通枝(80~400ミクロン)を有する。バルーンの膨張、続いて永久的ステント留置は、血管壁に対するプラークの「除雪」をもたらし、これは、これらの穿通枝の閉塞及び結果として生じる皮質下脳卒中のリスクに関連する。(表1は、頭蓋内血管と冠動脈血管との間の差異を強調している)。
【0011】
虚血性梗塞の出血性形質転換:梗塞した脳実質は、特に再灌流及び二重抗血小板療法(DAPT)の設定において、出血性形質転換に敏感であり、任意の永久的ステント移植を必要とする。
【0012】
血管破裂。上述のように、蛇行した頭蓋内血管は、外部弾性薄膜及び不十分な組織支持体の欠如により、特に切開しやすい。切開は、再閉塞及び重度の弾性回復の設定において、侵襲的かつ反復的なバルーン血管形成術によって引き起こされ得る。ワイヤ穿孔は、特にWingspanシステムに必要とされる交換プロセスの設定にうおいて、別の重要な要因である。ICAD患者の頸部及び頭蓋内蛇行は、交換プロセス中に、遠位ワイヤ先端変位による血管破裂の結果的リスクを伴う、不可避的なワイヤ不安定性をもたらす。
【0013】
血栓症及び再狭窄の遅延。これらは、最大14%のICADにおける推定症候率を有する任意の永久的ステント埋め込みの一般的な合併症である。
【0014】
【表1】
【0015】
血管形成術単独は、ICADの初期血管内療法として歴史的に考慮されており、永久的ステント移植の代替として最近再出現している。複数の症例シリーズ及び研究は、永久的ステント留置なしの血管形成術単独が、血行力学的妥協を伴う重度のICSの実行可能な選択肢であり得ることを示唆している。しかしながら、弾性回復の予測不可能な程度は一般的な欠点であり、即時的な再閉塞につながり、また、内膜過形成による亜急性再狭窄のリスクも高い。切開及び再閉塞を防止するための引用された方法の1つは、長期の膨張である。しかしながら、頭蓋内脈管構造において、この技法は、長期の血管閉塞に起因して、脳虚血のリスクが高い。
【0016】
現在の技術(Gatewayバルーン)の別の制限は、送達及び展開が、M2/M3セグメント内に通常位置付けられているマイクロワイヤ上で交換する必要があることである。上述のように、この交換プロセスは、多くの場合、この患者集団に見られる近位脈管構造における蛇行性及びアテローム硬化性疾患の設定におけるワイヤの不安定性の可能性が高いことに起因して、頭蓋内血管穿孔の独立したリスクである。
【0017】
更に、大きな血管閉塞(LVO)による急性虚血性脳卒中(AIS)の治療のための血栓除去の実証された利益にもかかわらず、現在入手可能なデバイスは、原位置アテローム血栓ではなく、近位塞栓源の血塊を回収するのに有効である。この制限は、ICADが虚血性脳卒中の主因であるアジア人集団に特に関連する。
【0018】
潜在的なICADによる急性大血管閉塞(LVO)の設定における急性再血管新生の別の重要な制限は、失敗した血栓除去後のレスキューステント留置の必要性であり、17~20%の関連する症候性頭蓋内出血のリスクを伴う。
【0019】
そのようなものとして、急性及び亜急性の設定におけるICADの現在の血管内療法は、最適以下の現在の技術に起因して非常に制限され、再閉塞の可能性が高いためにバルーン血管形成術の能力が制限され、永久的なステント埋め込みが必要である。
【0020】
本明細書の図において全般的に記載され、かつ図示されるような実施形態の構成要素は、多種多様な異なる構成にて、配置及び設計することができる。したがって、それらの図に表されるような、以下の種々の実施形態のより詳細な説明は、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、単に種々の実施形態を代表するものに過ぎない。実施形態の種々の態様が図面に提示されるが、この図面は、特に指示しない限り、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。
【0021】
語句「~に連結する」は、機械的、流体的、及び熱的相互作用を含む、2つ以上の物体間の任意の好適な連結又は他の形態の相互作用を指すのに十分広義である。したがって、2つの構成要素は、それらが互いに直接、接触していない場合でさえも、互いに連結されている場合がある。語句「~に取り付ける」又は「~に直接取り付ける」は、互いに直接接触する、及び/又は任意の好適な種類の締結具(例えば、装着設備又は接着剤)によってしか互いに分離されない、2つ以上の物体の間の相互作用を指す。「流体連通」という語句は、その通常の意味に用いられ、また各要素が互いに流体連通にある場合に、流体(例えば、ガス又は液体)が、一方の要素から他方の要素へと流れることができる配置を意味するのに十分広義である。
【0022】
「近位部」及び「遠位部」という用語は、反対の方向の用語である。例えば、装置又は構成要素の遠位端部は、通常の使用中、施術者から最も遠い構成要素の端部である。近位端部は、その反対の端部、又は通常の使用中、施術者に最も近い端部を指す。
【0023】
本開示は、拡張可能なステントを対象とする。拡張可能なステントは、ハイポチューブから切断されるレーザー切断ステント、及び織布の個々のワイヤを含む編組ステントなどの多数の異なるカテゴリー内に収まることができる。図1は、血行力学的に有意な頭蓋内アテローム硬化性疾患(ICAD)の血管内治療のための、回収可能な拡張可能なステント送達システム100を示す。回収可能な拡張可能なステント送達システム100は、カテーテル200、シャフト300、及び拡張可能なステント400を含む。シャフト300及び拡張可能なステント400は、カテーテル200内に配設されてもよい。カテーテル200は、マイクロカテーテルであってもよく、0.017インチ~0.021インチの範囲の内径を有する。シャフト300及び拡張可能なステント400は、カテーテル200内で摺動可能に前進するように構成され得る。いくつかの実施形態では、カテーテル200及びシャフト300は、使用者がカテーテル200、シャフト300、及びシャフト300に連結された拡張可能なステント400を操作することを可能にし得るハンドル(図示せず)に連結されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、シャフト300は、内部管腔を含み得る。シャフト300の内部管腔は、回収可能な拡張可能なステント送達システム100が、以前に標的位置まで前進したガイドワイヤ(図示せず)の上を前進させることを可能にし得る。シャフト300は、遠位端302を備える。シャフト300の遠位端302は、処置中に血管穿孔を防止するのに役立ち得る丸い先端を有してもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、回収可能な拡張可能なステント400は、シャフト300に連結され得る。例えば、拡張可能なステント400の遠位端402は、シャフト300の遠位端302に連結され得る。拡張可能なステント400の近位端404は、シャフト300を包囲するように構成されたカラー406に連結され得る。カラー406は、シャフト300の上を長手方向に摺動するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、カラー406は、シャフト300に対して特定の場所位置にロックされてもよく、拡張可能なステント400の遠位端402が近位端404に対して移動することを可能にする。遠位端402と拡張可能なステント400の近位端との間の相対移動は、使用者によって操作され得る前述のハンドルによって制御されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400の遠位端402と近位端404との間の相対移動は、拡張可能なステント400を拡張するように構成される。図1は、折り畳み形態の拡張可能なステント400を示し、図2は、拡張形態の拡張可能なステント400を示す。同様に、遠位端402と近位端404との間の相対移動はまた、治療が完了した後に拡張可能なステント400を折り畳むことができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400は、ニチノールなどのメモリ材料から作製されてもよく、拡張可能なステント400は、拡張可能なステント400がカテーテル200によって被覆されたときに、折り畳み形態であってもよい。拡張可能なステント400は、拡張可能なステント400がカテーテル200から脱被覆されたときに拡張することができ、拡張可能なステント400が所定の形状に拡張することを可能にする。脱被覆は、拡張可能なステント400をカテーテル200から前進させることによって、又はカテーテル200を拡張可能なステント400から後退させることによって起こり得る。拡張可能なステント400は、拡張可能なステント400を再被覆することによって、処置が完了した後に折り畳まれてもよい。再被覆は、拡張可能なステント400をカテーテル200内に引き戻すことによって、又はカテーテル200を拡張可能なステント400上で前進させることによって起こり得る。
【0028】
図2は、拡張構成の拡張可能なステント400を有する、回収可能な拡張可能なステント送達システム100を示す。拡張可能なステント400は、複数の異なる設計構成要素を有してもよい。図2の例示した実施形態は、管状の直線形状及び複数の閉鎖セルを有する拡張可能なステント400の中央領域を示す。
【0029】
いくつかの実施形態では、ステントは、先細形状を有してもよい。例えば、ステントは、ステントの近位端からステントの遠位端まで先細になってもよい。別の実施形態では、ステントは、ステントの遠位端から近位端まで先細になってもよい。別の実施形態では、ステントは、ステントの中心から反対方向に先細になってもよい。例えば、ステントは、ステントの中心からステントの遠位端まで先細になってもよく、ステントの中心からステントの近位端まで反対方向に先細になってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、ステントは、複数の開放セルではなく、複数の閉鎖セルを有してもよい。他の実施形態では、ステントのセルは、複数の閉鎖セル及び複数の開放セルを含むハイブリッドセル設計であってもよい。セル設計は、レーザー切断などの多数の方法で製造されてもよい。いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400は、編組設計を有してもよい。およそ30パーセントの有孔率を有する編組(又は代替)設計は、穿通枝血管閉塞を伴わずに適切なプラーク被覆を可能にする。編組技術はまた、頭蓋内脈管構造の典型的な特徴である、親血管へのより高い柔軟性及び適合性を可能にする。
【0031】
いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400の外面は、10~35パーセントの範囲の有孔率を有してもよい。いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400は、15~30パーセントの範囲の有孔率を有してもよい。
【0032】
図2の例示した実施形態では、拡張可能なステント400は、拡張可能なステント400を折り畳み形態から拡張形態へ拡張するのを助けるように構成された複数の支柱410を更に含んでもよい。各支柱410の第1の端部412は、シャフト300に連結されてもよく、各支柱410の第2の端部414は、拡張可能なステント400に連結されてもよい。拡張可能なステント400に対するシャフト300の長手方向の移動は、複数の支柱410の半径方向外向きに延在し、回収可能な拡張可能なステント400を、折り畳み形態から拡張形態へと拡張してもよい。支柱410は、拡張可能なステント400の形状を拡張形態で維持するのを助けるように構成されている。
【0033】
複数の支柱410は、拡張可能なステント400の遠位端402と近位端404との間でシャフト300に沿って長手方向に配設されてもよい。支柱410は、シャフト300に沿って均等に離間配置されてもよく、又は支柱410は、シャフト300に沿って均等に離間配置されなくてもよい。いくつかの実施形態では、支柱410は、シャフト300に沿ってサブセット内に配設されてもよい。例えば、図2は、いくつかのサブセット、近位部分に配設された支柱の第1のサブセット416、中央部分に配設された支柱の第2のサブセット418、及び拡張可能なステント400の遠位部分内に配設された支柱の第3のサブセット420を示す。
【0034】
いくつかの実施形態では、支柱410は、シャフト300の周りに放射状に離間配置されていてもよい。これは図3に示され、図2に示される断面線3-3に沿って取られた、回収可能な拡張可能なステント送達システム100の断面図である。図3は、シャフト300の周りに半径方向に離間配置された複数の支柱410を示す。例示した実施形態では、支柱410は、シャフト300の周りに均等に離間配置されてもよい。他の実施形態では、支柱410は、シャフト300の周りに均等に離間配置されなくてもよい。図3は、6つの支柱410を示す。しかしながら、本開示は、そのように限定されるものではなく、6つより多い又は少ない支柱が存在してもよい。シャフト300の周囲にわずか3つの支柱410が配設され、支柱410の単一のサブセット内のシャフト300の周囲には10もの支柱が配設されていてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、シャフト300に沿って配設された支柱410は、シャフト300に沿って配設された他の支柱410と半径方向に整列されてもよい。例えば、第1のサブセット416、第2のサブセット418、及び第3のサブセット420は、それぞれシャフト300の周囲に配設され、互いに半径方向に整列された複数の支柱410を含み得る。支柱の半径方向の整列は、拡張可能なステント400の遠位端402から近位端404まで延在する複数のチャネル422を形成してもよい。チャネル422は、拡張形態の拡張可能なステント400を通る血液の血流又は潅流を可能にし得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、拡張形態の拡張可能なステント400の長手方向長さは、5mm~30mmの範囲であり得る。
【0037】
図4は、回収可能な拡張可能なステント送達システム100の移動の解剖学的経路の図を示す。カテーテル200は、患者の大腿動脈内に(例えば、セルディンガー法を使用して)挿入され、患者の大動脈10を通って前進してもよく、そこからカテーテル200は、頚動脈20を通って頭蓋内標的位置まで前進され得る。図4は、頭蓋内標的位置を示す。しかしながら、他の脈管構造標的位置は、患者の脈管構造内で標的化される。標的位置は、回収可能な拡張可能なステント送達システム100で治療され得る部分閉塞又は完全閉塞血管であってもよい。カテーテル200が標的位置に到達したら、シャフト300及び拡張可能なステント400をカテーテル200から前進させてもよい。拡張可能なステント400は、拡張されてもよく、ステントは、血管壁上に配設されたプラークと接触することができ、拡張可能なステント400は、拡張可能なステント400の調節可能な半径方向力を介してプラークを圧砕又は破砕してもよい。拡張可能なステント400は、長期間(最大30分)にわたって標的位置に展開(拡張)されてもよく、血管開通性及び遠位順行流動を可能にする。拡張可能なステント400は、1.5mm~7mmの直径を有する血管内に展開されてもよい。
【0038】
ある特定の実施形態では、拡張形態の拡張可能なステント400は、15~30分にわたって血管開存性を維持する能力を有し、一方で拡張可能なステント400の半径方向力は、プラークが反跳するのを防ぎ、拡張可能なステント400の回収後の弾性反跳及び再閉塞のリスクを最小限に抑える。拡張可能なステント400の多孔性は、プラークを均一に覆うバルーンと比較して、穿通枝閉塞及び除雪のリスクを最小限に抑える。
【0039】
いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400は、シャフト300から取り外され、長期治療のために標的領域内に残されてもよい。拡張可能なステント400は、拡張可能なステント400の近位端404に対応し得る分離領域において、機械的分離又は電解、熱機械、又は他の分離機構によって分離されてもよい。
【0040】
拡張可能なステント400は、放射線不透過性であってもよく、又は医療用撮像を使用して、使用者又は医療専門家が回収可能な拡張可能なステント送達システム100を見ることを可能にし得る、複数の放射線不透過性マーカーを含んでもよい。
【0041】
図5及び図6は、拡張可能なステント400の展開及び拡張の概略図である。拡張可能なステント400は、傘のように半径方向に開く。図5は、折り畳み又は半折り畳み形態の拡張可能なステント400を示す。折り畳み又は半折り畳み形態では、支柱410は、角度θ1でシャフト300に対して角度をなしている。いくつかの実施形態では、角度θは、折り畳み形態で0~15度の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、角度θは、半折り畳み形態で0~75度の範囲であり得る。図5は、遠位に配向された支柱410を示す。ステントの再被覆は、複数の支柱が遠位に配向されるときに促進され得る。いくつかの実施形態では、支柱410は、近位に配向されてもよい。
【0042】
使用者は、図6に示すように、拡張可能なステント400を拡張する、複数の支柱410を半径方向外向きに延在させることによって、拡張可能なステント400を拡張形態に拡張することができる。拡張構成では、支柱410は、角度θでシャフト300に対して角度をなしてもよい。いくつかの実施形態では、角度θは、45~90度の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、角度θは、75~90度の範囲であり得る。角度θは、拡張形態で拡張可能なステント400に適用される半径方向力の量を決定する。角度θが90度に近いほど、支柱410が拡張可能なステント400に適用される半径方向力がより大きくなる。これにより、使用者は、シャフト300に対する支柱の角度に対して変化する、拡張可能なステント400の外面に調節可能な半径方向力を加えることが可能になる。例えば、角度が小さいほど半径方向力が小さくなり、最大90度で角度が大きいほど半径方向力が大きくなる。したがって、使用者は、シャフト300の移動及び複数の支柱410の半径方向外向きの移動を制御することによって、患者の血管壁に加えられる半径方向力の量を制御することができる。支柱410は、0.00590~0.0090ニュートン/mmの半径方向力を適用することができる。
【0043】
前述したように、シャフト300の遠位端302は、拡張可能なステント400の遠位端402に連結されてもよい。シャフト300は、シャフト300に対する拡張可能なステント400の近位端404の移動を防止するように構成されたロック機構310を備えてもよい。ロック機構は、シャフト300をカテーテル200に対してロックするハンドルを介して達成され得る。
【0044】
拡張可能なステント400は、拡張可能なステント400の遠位端402を拡張可能なステント400の近位端404に向かって移動させることによって、折り畳み形態から拡張形態に拡張されてもよい。これは、ロック機構310を係合し、拡張可能なステント400の遠位端402の移動を防止することによって達成され得る。同様に、拡張可能なステント400は、拡張可能なステント400の遠位端402を拡張可能なステント400の近位端404から離れるように移動させることによって、拡張形態から折り畳み形態に折り畳まれてもよい。
【0045】
拡張可能なステント400は、シャフト300に近位に配向された力(引っ張り)を加えることによって拡張されてもよい。シャフト300の遠位端302は、拡張可能なステント400の遠位端402に連結され、拡張可能なステント400の遠位端402は、拡張可能なステント400の近位端404に向かって引かれる。近位に配向された力がシャフト300に加えられたとき、拡張可能なステント400の近位端404は、ロック機構310を介して位置にロックされ、近位端404の移動を防止する。逆方向の移動は、拡張可能なステント400を拡張形態から折り畳み形態に折り畳む。
【0046】
図5に示すように、拡張可能なステント400はまた、拡張可能なステント400に遠位に配向された力(押し込み)を適用することによって拡張されてもよい。この形態では、シャフト300の遠位端302と拡張可能なステント400の遠位端402とは、一緒に連結される。拡張可能なステント400は、シャフト300を包囲する外側シャフトに連結されてもよく、使用者は、遠位に配向された力を外側シャフトに加えて、拡張可能なステント400の近位端404を拡張可能なステント400の遠位端402に向かって移動させることができる。
【0047】
図7は、ある特定の点で上述した回収可能な拡張可能なステント送達システム100に類似する、回収可能な拡張可能なステント送達システム100’の実施形態を示す。したがって、同様の特徴は、アポストロフィーが付加された同様の参照番号で指定される。例えば、図7に示す実施形態は、いくつかの点で図1図3及び図5図6のシャフト300に類似し得るシャフト300’を含む。したがって、類似して特定される特徴に関して上述された、関連性のある開示は、以降では繰り返されない場合がある。更に、図1図3及び図5図6に示す回収可能な拡張可能なステント送達システム100及び関連する構成要素の特有の特徴は、図面の参照番号で示されない若しくは識別されない、又はそれ以降に記載される説明において具体的に議論されない場合がある。しかし、このような特徴は、その他の実施形態で示される特徴、及び/又は、このような実施形態に関して記載される特徴と、明白に同じもの、あるいは実質的に同じものとすることができる。したがって、このような特徴の関連する説明は、図7に示す回収可能な拡張可能なステント送達システム100’及び関連する構成要素の特徴にも等しく適用される。図1図3及び図5図6に図示する回収可能な拡張可能なステント送達システム100及び関連する構成要素に対して記載される特徴の任意の好適な組み合わせ、並びにそれらの変更例は、図7の回収可能な拡張可能なステント送達システム100’及び関連する構成要素と共に用いることができ、逆も同様である。この開示のパターンは、後続の図面に示され、かつ以降で説明される、更なる実施形態にも等しく適用されるものであり、アポストロフィーを更に増分することができる。
【0048】
図7は、カテーテル200’と、シャフト300’と、拡張可能なステント400’と、を備える、回収可能な拡張可能なステント送達システム100’を示す。拡張可能なステント400’は、近位部分430’、中央部分440’、及び遠位部分450’を含んでもよい。各部分は、別個の設計構成を有してもよい。例えば、近位部分430’及び遠位部分450’は、複数の閉鎖セルを含む。中央部分440’は、シャフト300’の周りを回転する複数のらせん状ワイヤを含むらせん状部分を含んでもよい。らせん状部分は、拡張可能なステント400’が、過度の血管矯正効果なしに、かつ最小のプラーク又は血管損傷で、血管曲率への一致又は適合を可能にするのを助けるために、拡張可能なステント400’に更なる可撓性を提供することができる。
【0049】
図8は、カテーテル200’’と、シャフト300’’と、拡張可能なステント400’’と、を備える、回収可能な拡張可能なステント送達システム100’’を示す。拡張可能なステント400’’は、多孔性カバー460’’を含んでもよい。カバー460’’は、微細編組メッシュ、電界紡糸PTFE、レーザーカットウレタン、多孔性ニチノール薄膜、又は他の好適な材料であってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、カバー460’’は、血栓形成性を最小限に抑えるのに役立つ親水性表面を有してもよい。いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400’’は、血栓形成性を最小限に抑えるのに役立つ親水性コーティングなどの親水性表面を有してもよい。
【0051】
図9は、患者の脈管構造内に拡張可能なステント400を展開する方法を示す。工程S1000は、カテーテル200を患者の脈管構造に挿入することを説明する。前述したように、カテーテル200は、患者の大腿動脈に挿入されてもよい(例えば、セルディンガー法を使用して)。しかしながら、カテーテル200は、患者の脈管構造の様々な異なる位置に挿入されてもよい。工程S1010は、拡張可能なカテーテル200を標的位置に前進させることを説明する。図4は、患者の大動脈10を通って前進することを示す。そこから、カテーテル200は、頸動脈20を通って頭蓋内標的位置まで前進させられ得る。他の脈管構造標的位置は、これらの開示の範囲内であり、患者の脈管構造内の任意の場所である。
【0052】
工程S1020は、拡張可能なステント400をカテーテル200から非被覆することを説明する。これは、拡張可能なステント400をカテーテル200から外へ前進させることによって、又は拡張可能なステント400からカテーテル200を後退させることによって達成され得る。
【0053】
工程S1030は、拡張可能なステント400を拡張することを説明する。前述したように、拡張可能なステント400は、ニチノールなどのメモリ材料から作製されるため拡張することができ、又は拡張可能なステント400は、拡張可能なステント400の遠位端402を拡張可能なステント400の近位端404に向かって相対的に移動させることによって拡張することができる。この移動は、シャフト300を引き、複数の支柱410を半径方向外向きに延在させて拡張可能なステント400を拡張することによる、傘状の動きによって生じ得る。
【0054】
工程S1040は、患者の標的位置で血管を治療することを説明する。治療は、拡張可能なステント400を拡張し、標的位置におけるプラークを圧砕又は破砕することに依存する。支柱410は、プラークを破砕又は圧砕し、拡張可能なステント400の形状を維持するために、調節可能な半径方向力を提供する。拡張可能なステントによって加えられる半径方向力の量は調節可能であり、使用者によって制御されてもよい。前述したように、シャフト300に対する複数の支柱410の相対角度は、拡張可能なステント400の外面によって加えられる力の量を決定する。角度が小さいほど半径方向力が小さくなり、最大90度で角度が大きいほど半径方向力が大きくなる。血管の治療は、所定の時間(最大30分)にわたって発生してもよく、又は拡張可能なステント400は、シャフト300から分離され、長期間にわたって適所に残され、恐らくは後に回収されてもよい。
【0055】
工程S1050は、治療が行われた後に拡張可能なステント400をその折り畳み形態に折り畳むことを説明する。拡張可能なステント400がその折り畳み形態になると、拡張可能なステント400は、工程S1060に記載されるように再被覆されてもよい。拡張可能なステント400は、拡張可能なステント400をカテーテル200内に後退させることによって、又は拡張可能なステント400の上でカテーテル200を前進させることによって、再被覆されてもよい。
【0056】
工程1070は、血管の治療が完了した後に、患者の脈管構造からカテーテル200を除去することを説明する。
【0057】
図10及び図11は、カテーテル200’’’と、シャフト300’’’と、拡張可能なステント400’’’と、を備える、回収可能な拡張可能なステント送達システム100’’’を示す。シャフト300’’’は、拡張可能なステント400’’’に連結され得る。シャフト300’’’及び拡張可能なステント400’’’は、カテーテル200’’’と共に配設されてもよく、カテーテル200’’’内で摺動可能に前進するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル200’’’及びシャフト300’’’は、使用者がカテーテル200’’’、シャフト300’’’、及びシャフト300に連結された拡張可能なステント400’’’を操作することを可能にし得るハンドル(図示せず)に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、回収可能な拡張可能なステント送達システム100’’’は、外側カテーテル(図示せず)内に配設されてもよく、回収可能な拡張可能なステント送達システム100’’’は、外側カテーテルの長さに沿って摺動可能である。
【0058】
拡張可能なステント400’’’は、拡張可能なステント400’’’の遠位端402’’’から近位端404’’’まで延在する複数のフィラメント408’’’を含んでもよい。フィラメントの数は、各実施形態において異なり得る。例えば、フィラメント408’’’の数は、5フィラメント~40フィラメントの範囲であってもよい。フィラメント408’’’は、ニチノール、ニチノール合金、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金、ポリエステルマルチフィラメント、白金合金、若しくは他の複合材料、又は前述の材料の組み合わせ若しくはブレンドなどの多数の異なる材料から作製されてもよい。拡張可能なステント400’’’の有孔率は、可変であってもよい。例えば、拡張可能なステント400’’’が拡張すると、拡張可能なステント400’’’の有孔率が増加し得る。加えて、フィラメント408’’’の数は、拡張可能なステント400’’’の有孔率に影響を及ぼし得る。例えば、拡張可能なステント400’’’のフィラメント408’’’が多いほど、拡張可能なステント400’’’の有孔率は低くなる。いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400’’’の有孔率は、5パーセント~45パーセントの範囲であり得る。
【0059】
フィラメント408’’’は、編組パターンで編組されてもよく、それによって拡張可能なステント400’’’は、メッシュを形成する。例えば、フィラメント408’’’は、半荷重編組、全荷重編組パターン、ダイヤモンド編組パターンなどで編組されてもよい。半荷重パターンは、第1のフィラメントセット407’’’(例えば、横糸フィラメント)と、第2のフィラメントセット409’’’(縦糸フィラメント)とを含み、第1のフィラメントセット407’’’は、第2のフィラメントのセット409’’’とは反対方向に回転する。第1のフィラメントセット407’’’は、第2のフィラメントセット409’’’と共にオーバー・アンダーパターンで編組される。換言すれば、第1のフィラメントセット407’’’のフィラメントは、フィラメントが拡張可能なステント400’’’の反対側の端部(例えば、遠位端402’’’又は近位端404’’’)に到達するまで、第2のフィラメントセット409’’’の一方のフィラメントの上、第2のフィラメントセット409’’’のもう一方のフィラメントの下、及び第2のフィラメントセット409’’’のもう一方のフィラメントの上を交互に進む。
【0060】
いくつかの実施形態では、編組パターンは、全荷重編組パターンである。したがって、第1のフィラメントセット407’’’は、第2のフィラメントセット409’’’と2オーバー、2アンダーのパターンで編組される。換言すれば、第1のフィラメントセット407’’’のフィラメントは、フィラメントが拡張可能なステント400’’’の反対側の端部(例えば、遠位端402’’’又は近位端404’’’)に到達するまで、第2のフィラメントセット409’’’の2つのフィラメントの上、第2のフィラメントセット409’’’の別の2つのフィラメントの下、及び第2のフィラメントセット409’’’の別の2つのフィラメントの上を交互に進む。
【0061】
いくつかの実施形態では、編組パターンは、ダイヤモンド編組パターンである。したがって、第1のフィラメントセット407’’’の2つの並んだフィラメントは、第2のフィラメントセット409’’’と2オーバー、2アンダーのパターンで編組される。換言すれば、第1のフィラメントセット407’’’の2つのフィラメントは、2つのフィラメントが拡張可能なステント400’’’の反対側の端部(例えば、遠位端402’’’又は近位端404’’’)に到達するまで、第2のフィラメントセット409’’’の2つのフィラメントの上、第2のフィラメントセット409’’’の別の2つのフィラメントの下、及び第2のフィラメントセット409’’’の別の2つのフィラメントの上を交互に進む。
【0062】
いくつかの実施形態では、回収可能な拡張可能なステント400’’’は、シャフト300’’’に連結され得る。例えば、拡張可能なステント400’’’の遠位端402’’’は、シャフト300’’’の遠位端302’’’に連結され得る。拡張可能なステント400’’’の近位端404’’’は、カテーテル200’’’の遠位端に連結され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400’’’の近位端404’’’は、マーカーバンドに取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400’’’の遠位端402’’’と近位端404’’’との間の相対移動は、拡張可能なステント400’’’を拡張するように構成される。拡張可能なステント400’’’の拡張は、使用者によって操作され得るハンドルによって制御されてもよい。シャフト300’’’は、レバー、ノブ、又はボタンを介してハンドルによって制御される。使用者によるハンドル上のレベル、ノブ、又はボタンの操作は、拡張可能なステント400’’’を拡張するシャフト300’’を短縮する(又はシャフト300’’’に近位に配向された力を加える)。拡張可能なステント400’’’の拡張は、血管壁に対する拡張可能なステント400’’’の外向きの半径方向力を増加させ、これは、アテローム硬化症に罹患した狭窄血管におけるプラーク破損をもたらし得る。
【0063】
図10は、第1の直径D1及び第1の長さL1での折り畳み形態の拡張可能なステント400’’’を示し、図11は、第2の直径D2及び第2の長さL2での拡張形態の拡張可能なステント400’’’を示す。第2の直径D2は、第1の直径D1よりも大きく、第2の長さL2は、第1の長L1よりも小さい。したがって、使用者がハンドルを制御してシャフト300’’’の位置を操作し、拡張可能なステント400’’’の遠位端402’’’を近位端404’’’に向かって移動させると、拡張可能なステント400’’’は拡張する。図10は、第1の位置にあるシャフト300’’’を示し、図11は、第2の位置にあるシャフト300’’’を示し、シャフト300’’’の位置の変化は、拡張可能なステント400’’’の直径を変化させる。
【0064】
フィラメント408’’’は、互いに摺動するように構成されており、これにより、拡張可能なステント400’’’が拡張形態及び折り畳み形態で更なる可撓性を有することを可能にする。更なる可撓性により、拡張可能なステント400’’’は、患者の血管、特に頭蓋内脈管構造に適合することを可能にする。
【0065】
遠位端402’’’と近位端404’’’との間の相対移動はまた、処置が完了した後に拡張可能なステント400を折り畳むことができる。拡張されたステント400’’’が達成された後の処置は、最大60分であってもよい。いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400’’’は、処置が完了した後に除去される。他の実施形態では、拡張可能なステント400’’’は、シャフト300’’’から取り外され、患者の脈管構造内の所望の位置に残されてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400’’’は、薬物溶出であってもよい。拡張可能なステント400’’’は、エベロリムス、パクリタキセル、シロムリムス、コロリムス、及び任意の他の関連する化合物、塩、血栓症、管腔損失、及び関連する課題のリスクを潜在的に低減する部分を含んでもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400’’’は、プラチナ、金、銀、又はタンタルなどの放射線不透過性マーカーを含み得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400’’’は、マグネシウム系材料、ポリ乳酸系(PLA)ポリマーなどの生体吸収性材料から作製されてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、回収可能な拡張可能なステント送達システム100’’’は、拡張可能なステント400’’’を折り畳み形態から拡張形態に拡張するのを助けるように構成された複数の支柱(上述の支柱と同様)を更に含む。各支柱の第1の端部は、シャフト300’’’に連結されてもよく、各支柱の第2の端部は、拡張可能なステント400’’’に連結されてもよい。拡張可能なステント400’’’に対するシャフト300の長手方向の移動は、複数の支柱の半径方向外向きに延在し、回収可能な拡張可能なステント400’’’を、折り畳み形態から拡張形態に拡張してもよい。拡張可能なステント400’’’の形状を拡張形態で維持するのを助け、拡張可能なステント400’’’に外向きの半径方向力を提供するように構成されている。
【0069】
図12及び図13は、カテーテル200’’’’と、シャフト300’’’’と、拡張可能なステント400’’’’と、を備える、回収可能な拡張可能なステント送達システム100’’’’を示す。拡張可能なステント400’’’’は、図10及び図11の拡張可能なステント400’’’と類似しているため、重複する特徴は、以下に記載されていない。拡張可能なステント400’’’’は、先に開示された編組パターンなどの編組パターンにある複数のフィラメントを含む。図12は、第1の直径D1’及び第1の長さL1’での折り畳み形態の拡張可能なステント400’’’’を示し、図13は、第2の直径D2’及び第2の長さL2’での拡張形態の拡張可能なステント400’’’’を示す。第2の直径D2は、第1の直径D1よりも大きく、第2の長さL2は、第1の長L1よりも小さい。
【0070】
加えて、拡張可能なステント400’’’’は、図13に示したように、拡張中に親血管曲率まで屈曲し、構成するように構成されている。シャフト300’’’’の遠位端302’’’’は、拡張可能なステント400’’’’の遠位端402’’’’に連結するように構成されている。加えて、シャフト300’’’’は、拡張可能なステント400’’’’に織り込まれてもよい。例えば、図12は、拡張可能なステント400’’’’の外及び中に織り込まれたシャフト300’’’’を示す。したがって、使用者がシャフト300’’’’を引っ張ると、拡張可能なステント400’’’’は、シャフト300’’’’が拡張可能なステント400’’’’内に織り込まれる方向に屈曲する。いくつかの実施形態では、シャフト300’’’’は、1回を超えて織り込まれてもよい。いくつかの実施形態では、シャフト300’’’’は、拡張可能なステント400’’’’の編組から外及び中に2回織り込まれる。いくつかの実施形態では、シャフト300’’’’は、拡張可能なステント400’’’’の編組から外及び中に3回織り込まれる。いくつかの実施形態では、シャフト300’’’’は、拡張可能なステント400’’’’の全長に沿って織り込まれる。シャフト300’’’’が拡張可能なステント400’’’’に織り込まれているほど、拡張可能なステント300’’’’の曲率が大きくなる。
【0071】
いくつかの実施形態では、拡張可能なステント400’’’’の形状は、拡張可能なステント400’’’’が外側カテーテル(図示せず)の外側に展開される量に依存し得る。外側カテーテルの外側に拡張可能なステント400’’’’全体を展開しないことにより、拡張され得る拡張可能なステント400’’’’の量が短縮される。
【0072】
上記の編組された拡張可能なステントは、頭蓋内アテローム硬化性狭窄症を治療するために使用されてもよい。アテローム硬化性狭窄症を治療する方法は、ガイドカテーテルシステムを患者の頸部及び頭蓋内脈管構造に配置することと、マイクロカテーテルを標的血管内に送達することと、を含み得る。編組された拡張可能なステントは、折り畳み形態で狭窄を治療するために、マイクロカテーテルから外に、標的管腔を横切って展開され得る。使用者は、シャフトを操作し、編組された拡張可能なステントを拡張するシステムのハンドルを操作することができる。ステントは、60分まで、又は治療医師の裁量で拡張したままであり得る。編組された拡張可能なステントは、血管壁に外向きの半径方向力を加えて、対象血管を拡張し、狭窄を治療する。次いで、使用者は、ハンドルを通って編組された拡張可能なステントを折り畳むことができる。デバイスが折り畳まれると、マイクロカテーテル内に再被覆することができる。ステントは、分離不可能であってなくてもよく、処置の終了時に完全に回収されてもされなくてもよい。本開示は、頭蓋内アテローム硬化性狭窄症を治療することに限定されるものではなく、異なる解剖学的位置で使用されてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、編組された拡張可能なステントは、薬物溶出ステントであってもよい。いくつかの実施形態では、編組された拡張可能なステントは、生体再吸収性ステント(マグネシウム系材料から作製された生体再吸収性ステント/足場)及び/又はポリ乳酸系ポリマーであってもよい。いくつかの実施形態では、編組された拡張可能なステントは、地金自己拡張型ステント及びそのキメラ組み合わせ又はハイブリッドであってもよく、それにより、処置時間は、血管破裂の可能性を低下させる。
【0074】
いくつかの実施形態では、編組された拡張可能なステントは、コーティング、マーカー、放射線不透過性であるマーキング又は被覆のためのシステムを含んでもよく、コーティング、マーカー、マーキング又は被覆のためのシステムは、本明細書に関連する編組された拡張可能なステントの表面のみの一部分の上に部分的に配設される。いくつかの実施形態では、ヘパリン及び/又は血管拡張薬は、多焦点及び広範なICADを有する患者の長期持続性脳血管拡張を提供するために、ステント展開中に注入され得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、ICADの治療方法は、分離不可能な特殊なステントを用いて、別の処置に次いで行われる。いくつかの実施形態では、編組された拡張可能なステントは、当該ステントが回収された後、血管内に何も残らないが、管腔直径の長期回復が達成される。
【0076】
いくつかの実施形態では、編組された拡張可能なステントは、非外傷性であり、低輪郭、放射線不透過性を有し、取り外し可能であると共に堅牢な幾何学形状を有する。編組された拡張可能なステントは、エベロリムス、パクリタキセル、シロリムス、コロリムス、及び任意の関連する化合物、塩、潜在的に血栓症、管腔損失、及び関連する課題のリスクを低減する部分からなる群から選択される薬物被覆又はコーティングを更に含んでもよく、並びに/又はステント/ステント手段は、マグネシウム系材料及び/若しくはポリ乳酸系(PLA)(ポリマー)のいずれかから作製された、治療としてICADに移植され得る生体再吸収性ステント/足場であり、これは特異的に設計された高い半径方向力デバイスである。
【0077】
本明細書で開示されるいずれの方法も、記載されている方法を実行するための、1つ以上の工程又は行為を含む。それらの方法の工程及び/又は行為を、互いに入れ替えてよい。言い換えれば、実施形態の適切な動作に関して、特定の工程又は行為の順序が必要とされない限り、それら特定の工程及び/又は行為の順序並びに/あるいは行為を、変更してよい。更には、本明細書に記載された方法のサブルーチン又は一部分のみを、本開示の範囲内の別個の方法としてよい。換言すれば、いくつかの方法は、より詳細な方法で記載されている工程の一部分のみを含んでよい。
【0078】
本明細書の全体にわたる、「ある実施形態」又は「その実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、引用される語句又はその変更例は、本明細書の全体にわたって記載されている場合、必ずしも全てが、同じ実施形態に言及するものとは限らない。
【0079】
同様に、本開示の恩恵を受けることにより、当業者は、上記の実施形態の説明において、開示の効率化の目的上、種々の特徴が単一の実施形態、図、又はそれらの記載に集約されている場合がある点を、理解するべきである。しかし、本開示の方法は、いずれの請求項も、その請求項で明示的に記載された特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして、解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、発明の態様は、上記で開示された任意の単一の実施形態の全ての特徴よりも、少ない特徴の組み合わせにある。したがって、この「発明を実施するための形態」に続く請求項は、この「発明を実施するための形態」に明示的に組み込まれるものであり、各請求項は、それ自体が別個の実施形態として独立している。本開示は、独立請求項とそれらの従属請求項の、あらゆる並べ替えを含む。
【0080】
ある特徴又は要素に関する、請求項における「第1の」という用語の記載は、必ずしも、第2の若しくは追加的な、そのような特徴又は要素の存在を示唆するものではない。本開示の根本的な原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に変更を加えることができる点が、当業者に明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13