(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】プラズマ処理表面上の組成
(51)【国際特許分類】
C08J 7/04 20200101AFI20230303BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20230303BHJP
B05D 3/04 20060101ALI20230303BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20230303BHJP
C08J 7/00 20060101ALI20230303BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20230303BHJP
C12Q 1/6806 20180101ALI20230303BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20230303BHJP
【FI】
C08J7/04 Z
B05D1/26 Z
B05D3/04 C
B05D7/00 K
C08J7/00 306
C12M1/34 E
C12M1/34 Z
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6876 Z
(21)【出願番号】P 2019517213
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(86)【国際出願番号】 US2017054325
(87)【国際公開番号】W WO2018064491
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2019-04-22
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-01
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500169900
【氏名又は名称】ジェン-プローブ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ナイト, バイロン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】オパルスキー, デイビッド
【合議体】
【審判長】▲吉▼澤 英一
【審判官】磯貝 香苗
【審判官】植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-129548(JP,A)
【文献】特表2010-538108(JP,A)
【文献】特表2012-529887(JP,A)
【文献】特表2015-527140(JP,A)
【文献】特表2015-532688(JP,A)
【文献】特開昭58-213252(JP,A)
【文献】特開昭63-151857(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101411878(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J7/04-7/06
B29C71/04
C08J7/00-70/02
C08J7/12-7/18
C12Q1/00-3/00
C12M1/00-3/10
B05D1/00-7/26
G01N33/543
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理
容器の内部表面上に混合物を形成する方法であって、
前記プラズマ処理容器の前記内部表面上に約15μl~約50μlの溶液を分注することであって、前記溶液が1つまたは複数の酵素を含み、前記1つまたは複数の酵素が、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼのうち少なくとも1つを含む、ことと、
前記プラズマ処理容器の前記内部表面上の前記溶液を乾燥させて、前記溶液から固体組成物を形成することであって、前記固体組成物が、前記プラズマ処理容器の前記内部表面に付着した凍結乾燥ペレットの形態であり、前記固体組成物は、コーティングではなく、かつ、約1mmを超える長さ、幅および高さを有するように、3つの直交する次元において巨視的である、ことと、
再構成液体を、前記プラズマ処理
容器の前記内部表面に付着した
前記固体組成物上に
添加して前記固体組成物を前記再構成液体に溶解して前記混合物を溶液の形態に形成すること
とを含み、
前記再構成液体を分注する前に、前記固体組成物を含有する前記プラズマ処理
容器が約20mmの高さから基板上に落とされるパッケージ性能試験後に、前記固体組成物は、前記プラズマ処理
容器の前記内部表面に実質的に付着したままであるように十分に付着しており、ここで、前記基板はポリウレタン軟質発泡体であり、前記パッケージ性能試験後に、体積で約10%未満の前記固体組成物が前記プラズマ処理
容器の前記内部表面に対して移動する場合、前記固体組成物は前記プラズマ処理
容器の前記内部表面に実質的に付着したままであると見なされる、
方法。
【請求項2】
前記プラズマ処理
容器の前記内部表面が、プラスチックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラスチックが、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリウレタン、デンプン由来プラスチック、および環状オレフィンコポリマーのうちの少なくとも1つを含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記プラスチックが、環状オレフィンコポリマーを含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記プラズマ処理
容器の前記内部表面が、約5°~約50°の接触角を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プラスチックが、ポリオレフィンを含み、前記プラズマ処理
容器の前記内部表面が、約33~約45ダインの表面エネルギーを有する、請求項
3に記載の方法。
【請求項7】
前記プラスチックが、ポリエチレンもしくはポリプロピレンを含み、前記プラズマ処理
容器の前記内部表面が、約35~約55ダインの範囲の表面エネルギーを有する、請求項
3に記載の方法。
【請求項8】
前記固体組成物が、前記プラズマ処理
容器の凹面内にあり、前記凹面が、約90度~約60度の壁角を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記固体組成物が、充填剤
、オリゴヌクレオチド、緩衝剤、塩、ヌクレオシド三リン酸、デオキシヌクレオシド三リン酸、dATP、dGTP、dCTP、dTTP、dUTP、捕捉プローブ、加水分解プローブ、RNase阻害剤、キレート剤、洗剤、ポリメラーゼ、薬学的に活性な薬剤、ならびに核酸合成または増幅アッセイを実施するのに十分な試薬のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記固体組成物が、充填剤を含み、前記充填剤が、スクロース、マンニトール、グリシン、ヒドロキシエチルデンプン、ラフィノース、トレハロースおよび糖類のうちの少なくとも1つを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記プラズマ処理
容器の前記内部表面が、冷陰極放電、中空陰極放電、DC誘導放電、高周波(RF)誘導放電、コロナ放電、グロー放電、または荷電粒子ビームで処理された表面である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記再構成液体を分注する前に、前記固体組成物を含有する前記プラズマ処理
容器が約1000mmの高さからステンレス鋼の基板上に落とされるパッケージ性能試験後に、前記固体組成物は、前記プラズマ処理
容器の前記内部表面に実質的に付着したままでなく、ここで、前記パッケージ性能試験後に、体積で約10%未満の前記固体組成物が前記プラズマ処理
容器の前記内部表面に対して移動する場合、前記固体組成物は前記プラズマ処理
容器の前記内部表面に実質的に付着したままであると見なされる、請求項1~1
1のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年9月30日に出願された仮出願第62/402,446号に対する米国特許法第119条(e)に基づく優先権の利益を主張し、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
固体組成物は、必ずしも表面に強く付着するわけではない。十分な付着力の欠如は、化学的、薬学的、または生化学的反応またはアッセイを実施するための固体医薬組成物または試薬を提供するような分野において、組成物が出荷または取扱い中に転位するか、または緩む可能性があるという問題になり得る。転位した、または緩んだ組成物は、一定量の再構成液体が器具に分注され、組成物の一部または全部がもはや再構成が生じる槽の底部またはその付近に付着しない場合など、再構成を複雑にするか、または阻止する可能性がある。組成物を液体状態に完全に再構成できないことは、アッセイ性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
例えば、化学的もしくは生化学的反応またはアッセイを実施するための充填試薬または試薬を含む組成物は、プラズマ処理表面に付着した固体組成物として提供される。表面のプラズマ処理が、液体溶液を乾燥させることによって形成される固体組成物の表面への付着を改善することができること、およびプラズマ処理が、槽の底部またはその付近の表面などの表面からの固体組成物の転位または緩みを防止するか、またはその頻度を低減することができることがわかっている。特定の理論に束縛されるものではないが、プラズマ処理は、表面の親水性、したがってその湿潤性を高め、試薬と表面との相互作用を強化し得、強化された相互作用は、乾燥プロセス、例えば凍結乾燥後も持続する。
【0004】
本開示は、凍結乾燥ペレットなどの固体組成物のプラスチックなどの表面への付着が、固体組成物が表面と接触する前に表面のプラズマ処理によって強化され得るという洞察に一部基づいている。したがって、本明細書に開示される組成物、方法、およびキットは、出荷および取扱いなどのプロセス中に生じる可能性がある撹拌を乗り切るための改善された能力を有する製品を提供することができる。
【0005】
したがって、プラズマ処理表面に付着した固体組成物を調製する方法が本明細書に開示され、方法は、プラズマ処理表面上で溶液を乾燥させることと、溶液から固体組成物を形成することとを含み、固体組成物は、プラズマ処理表面に付着する。
【0006】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、冷陰極放電、中空陰極放電、DC誘導放電、高周波(RF)誘導放電、コロナ放電、グロー放電、または荷電粒子ビームで処理された表面である。いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、コロナ放電処理表面である。いくつかの実施形態では、方法は、約25ワット/分/m2~約2000ワット/分/m2、約50ワット/分/m2~約1500ワット/分/m2、約100~約1200ワット/分/m2、約200~約1000ワット/分/m2、約100~約600ワット/分/m2、または約200ワット/分/m2~約600ワット/分/m2の範囲のワット密度において、コロナ放電で表面を処理することによって、プラズマ処理表面を調製することを含む。いくつかの実施形態では、表面は、約25ワット/分/m2~約2000ワット/分/m2、約50ワット/分/m2~約1500ワット/分/m2、約100~約1200ワット/分/m2、約200~約1000ワット/分/m2、約100~約600ワット/分/m2、または約200ワット/分/m2~約600ワット/分/m2の範囲のワット密度において、コロナ放電で処理された。いくつかの実施形態では、(i)プラズマ処理表面は、約33~約45ダイン、約35~約42ダイン、もしくは約37~約40ダインの範囲の表面エネルギーを有し、任意に、表面は、ポリオレフィンを含むか、または(ii)プラズマ処理表面は、約35~約55ダイン、約37~約53ダイン、もしくは約40~約50ダインの範囲の表面エネルギーを有し、任意に、表面は、ポリエチレンもしくはポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、同じ組成の未処理表面と比較して表面エネルギーの増加を有し、表面エネルギーの増加は、約3~約20ダイン、約4~約15ダイン、約5~約12ダイン、または約6~約10ダインの範囲である。
【0007】
いくつかの実施形態では、乾燥は、蒸発、脱水、乾燥(desiccating)、凍結乾燥、昇華、および噴霧乾燥のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、乾燥ステップの少なくとも一部の間に凍結される。いくつかの実施形態では、乾燥は、凍結乾燥を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、乾燥ステップの少なくとも一部の間に液体である。いくつかの実施形態では、乾燥は、真空下で生じる。いくつかの実施形態では、乾燥は、約30℃を超える温度で生じる。いくつかの実施形態では、溶液は、乾燥前に、約5μL~約20mL、約200μL~約20mL、約1mL~約20mL、約5mL~約20mL、約5μL~約1mL、約5μL~約500μL、約5μL~約200μL、約5μL~約100μL、約5μL~約50μL、約5μL~約20μL、約5μL~約10μL、約10μL~約200μL、約20μL~約200μL、約50μL~約200μL、または約100μL~約200μLの範囲の体積を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、プラズマ処理槽の内部表面である。いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、プラスチックを含む。いくつかの実施形態では、プラスチックは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリウレタン、デンプン由来プラスチック、または環状オレフィンコポリマーのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、プラスチックは、環状オレフィンコポリマーを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、溶液は、水を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、極性有機溶媒を含む。前記極性有機溶媒が、エタノール、イソプロパノール、DMSO、またはグリセロールのうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。いくつかの実施形態では、溶液は、非極性有機溶媒を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、溶液は、充填剤を含む。いくつかの実施形態では、充填剤は、糖類を含む。いくつかの実施形態では、充填剤は、スクロース、マンニトール、グリシン、ヒドロキシエチルデンプン、ラフィノース、またはトレハロースのうちの少なくとも1つを含むか、あるいは、充填剤は、スクロース、マンニトール、ラフィノース、またはトレハロースから選択される糖類である。
【0011】
いくつかの実施形態では、溶液は、1つ以上の酵素を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の酵素は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の酵素は、熱安定性DNAポリメラーゼを含む。いくつかの実施形態では、熱安定性DNAポリメラーゼは、ホットスタート熱安定性DNAポリメラーゼであるか、または抗体と複合化している。いくつかの実施形態では、1つ以上の酵素は、約0.20U/uL~約0.72U/uLまたは約0.1U/uL~約0.6U/uLの濃度で前記溶液中に存在するDNA依存性ポリメラーゼ、逆転写酵素、または他の酵素を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、溶液は、緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、有機緩衝剤である。
【0013】
いくつかの実施形態では、溶液は、約5mM以下の無機塩濃度を有する。いくつかの実施形態では、溶液は、無機塩を含まない。いくつかの実施形態では、溶液は、塩を含む。
【0014】
いくつかの態様では、溶液は、分子アッセイを実施するのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、増幅オリゴマーおよびプローブから選択される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標識を含む。いくつかの実施形態では、標識は、蛍光、化学発光、親和性、または放射性標識である。
【0015】
いくつかの実施形態では、溶液は、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、1つ以上のデオキシヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、dATP、dGTP、dCTP、ならびにdTTPおよびdUTPのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のヌクレオシド三リン酸のうちの少なくとも1つは、溶液中に約0.1mM~約0.3mMまたは約0.2mM~約0.6mMの範囲の量で存在する。いくつかの実施形態では、溶液は、捕捉プローブおよび加水分解プローブから選択される少なくとも1つのプローブを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、溶液は、RNase阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、RNase阻害剤は、約0.12U/μL~約0.20U/μLの濃度で溶液中に存在する。
【0017】
いくつかの実施形態では、溶液は、キレート剤を含む。いくつかの実施形態では、キレート剤は、EDTA、EDDS、またはMGDAである。いくつかの実施形態では、キレート剤は、約1.5mM~約2.0mMの濃度で溶液中に存在する。
【0018】
いくつかの実施形態では、溶液は、洗剤を含む。いくつかの実施形態では、洗剤は、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、または双性イオン性洗剤である。
【0019】
いくつかの実施形態では、溶液は、単回単位用量の増幅試薬を含有する。いくつかの実施形態では、溶液は、単回単位用量の検出試薬を含有する。いくつかの実施形態では、溶液は、薬学的に活性な薬剤を含有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、乾燥ステップの前に、プラズマ処理表面上に溶液を分注することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、分注ステップの前に、表面をプラズマ処理してプラズマ処理表面を形成することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、乾燥ステップの後に、プラズマ処理表面を含む槽内に固体組成物を密封することを含む。
【0021】
環状オレフィンコポリマー表面の凹面に液体または凍結溶液を含有する環状オレフィンコポリマー表面も提供され、環状オレフィンコポリマー表面は、約35ダイン~約55ダインの表面エネルギーまたは約5°~約50°の接触角を有し、液体または凍結溶液は、糖類を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、水を含む。いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、DMSO、またはグリセロールのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、無極性有機溶媒を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、1つ以上の酵素を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の酵素は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼのうちの少なくとも1つを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、無機塩を含まないか、または約5mM以下の無機塩濃度を有する。いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、塩を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、分子アッセイを実施するのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、溶液は、液体である。いくつかの実施形態では、溶液は、凍結している。
【0027】
プラズマ処理された環状オレフィンコポリマー表面に付着した固体組成物も提供され、固体組成物は、環状オレフィンコポリマー表面の凹面内にあり、凹面は、約90度~約60度の壁角を有し、固体組成物は、約600マイクログラム~約100mgの質量を有し、糖類を含み、固体組成物を含有する環状オレフィンコポリマー表面が最大約480mmの高さからステンレス鋼表面上に落とされるパッケージ性能試験後に、固体組成物は、環状オレフィンコポリマー表面に実質的に付着したままであるように十分に付着している。プラズマ処理表面に付着した固体組成物も提供され、プラズマ処理表面に付着した固体組成物は、本明細書に開示される方法によって産生される。プラズマ処理表面に付着した固体組成物も提供され、固体組成物は、充填剤と、酵素およびオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つとを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、プラスチックを含む。いくつかの実施形態では、プラスチックは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリウレタン、デンプン由来プラスチック、または環状オレフィンコポリマーのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、プラスチックは、環状オレフィンコポリマーを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、充填剤は、糖類、グリシン、またはヒドロキシエチルデンプンを含む。いくつかの実施形態では、糖類は、スクロース、マンニトール、ラフィノース、またはトレハロースのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、プラズマ処理表面を含む槽内にある。
【0030】
いくつかの実施形態では、槽は、約10μL~約60mLの範囲の体積を有する管を含む。いくつかの実施形態では、槽は、複数のウェルを含むマルチウェルプレートである。
【0031】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、約5mg~約20g、約200mg~約20g、約1g~約20g、約5g~約20g、約5mg~約1g、約5mg~約500mg、約5mg~約200mg、約5mg~約100mg、約5mg~約50mg、約5mg~約20mg、約5mg~約10mg、約10mg~約200mg、約20mg~約200mg、約50mg~約200mg、または約100mg~約200mgの範囲の質量を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、1つ以上の酵素を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の酵素は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼのうちの少なくとも1つを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、塩を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、無機塩を含まないか、または約5mM以下の無機塩濃度を有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、分子アッセイを実施するのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、単回単位用量の増幅または検出試薬を含有する。いくつかの実施形態では、固体組成物は、薬学的に活性な薬剤を含有する。
【0035】
再構成液体と本明細書に開示の固体組成物とを含むキットも提供される。混合物を形成する方法もまた提供され、方法は、再構成液体および本明細書に開示される固体組成物を組み合わせることによって、再構成組成物を形成することを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、水、極性有機溶媒、および無極性有機溶媒のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、水を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、少なくとも1つの無機塩を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、核酸を添加することをさらに含み、核酸は、少なくとも1つの核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応を受ける。いくつかの実施形態では、核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応は、核酸合成または増幅を含む。いくつかの態様では、核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応は、プローブを核酸にハイブリダイズして、ハイブリダイズされた複合体を形成することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、プローブのハイブリダイズされた複合体または核溶解を検出することをさらに含む。
【0039】
セクションの見出しは、読者の便宜のために提供されており、本開示を制限するものとして解釈されるべきではない。
特定の実施形態において、例えば、以下が提供される:
(項目1)
プラズマ処理表面に付着した固体組成物を調製する方法であって、前記方法が、前記プラズマ処理表面上で溶液を乾燥することと、前記溶液から固体組成物を形成することとを含み、前記固体組成物が、前記プラズマ処理表面に付着する、方法。
(項目2)
前記プラズマ処理表面が、冷陰極放電、中空陰極放電、DC誘導放電、高周波(RF)誘導放電、コロナ放電、グロー放電、または荷電粒子ビームで処理された表面である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記プラズマ処理表面が、コロナ放電処理表面である、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記方法が、約25ワット/分/m
2
~約2000ワット/分/m
2
、約50ワット/分/m
2
~約1500ワット/分/m
2
、約100~約1200ワット/分/m
2
、約200~約1000ワット/分/m
2
、約100~約600ワット/分/m
2
、または約200ワット/分/m
2
~約600ワット/分/m
2
の範囲のワット密度において、コロナ放電で表面を処理することによって、前記プラズマ処理表面を調製することを含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記表面が、約25ワット/分/m
2
~約2000ワット/分/m
2
、約50ワット/分/m
2
~約1500ワット/分/m
2
、約100~約1200ワット/分/m
2
、約200~約1000ワット/分/m
2
、約100~約600ワット/分/m
2
、または約200ワット/分/m
2
~約600ワット/分/m
2
の範囲のワット密度において、コロナ放電で処理された、項目3に記載の方法。
(項目6)
(i)前記プラズマ処理表面が、約33~約45ダイン、約35~約42ダイン、もしくは約37~約40ダインの範囲の表面エネルギーを有し、任意に、前記表面が、ポリオレフィンを含むか、または(ii)前記プラズマ処理表面が、約35~約55ダイン、約37~約53ダイン、もしくは約40~約50ダインの範囲の表面エネルギーを有し、任意に、前記表面が、ポリエチレンもしくはポリプロピレンを含む、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記プラズマ処理表面が、同じ組成の未処理表面と比較して表面エネルギーの増加を有し、前記表面エネルギーの増加が、約3~約20ダイン、約4~約15ダイン、約5~約12ダイン、または約6~約10ダインの範囲である、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記乾燥が、蒸発、脱水、乾燥(desiccating)、凍結乾燥、昇華、および噴霧乾燥のうちの少なくとも1つを含む、項目1~7のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記溶液が、前記乾燥ステップの少なくとも一部の間に凍結される、項目1~8のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記乾燥が、凍結乾燥を含む、項目1~9のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記溶液が、前記乾燥ステップの少なくとも一部の間に液体である、項目1~10のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
前記乾燥が、真空下で生じる、項目1~11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記乾燥が、約30℃を超える温度で生じる、項目1~12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記溶液が、乾燥前に、約5μL~約20mL、約200μL~約20mL、約1mL~約20mL、約5mL~約20mL、約5μL~約1mL、約5μL~約500μL、約5μL~約200μL、約5μL~約100μL、約5μL~約50μL、約5μL~約20μL、約5μL~約10μL、約10μL~約200μL、約20μL~約200μL、約50μL~約200μL、または約100μL~約200μLの範囲の体積を有する、項目1~13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記プラズマ処理表面が、プラズマ処理槽の内部表面である、項目1~14のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
前記プラズマ処理表面が、プラスチックを含む、項目1~15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記プラスチックが、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリウレタン、デンプン由来プラスチック、または環状オレフィンコポリマーのうちの少なくとも1つを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記プラスチックが、環状オレフィンコポリマーを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記溶液が、水を含む、項目1~18のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記溶液が、極性有機溶媒を含む、項目1~19のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記極性有機溶媒が、エタノール、イソプロパノール、DMSO、またはグリセロールのうちの少なくとも1つを含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記溶液が、非極性有機溶媒を含む、項目1~21のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
前記溶液が、充填剤を含む、項目1~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
前記充填剤が、糖類を含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記充填剤が、スクロース、マンニトール、グリシン、ヒドロキシエチルデンプン、ラフィノース、またはトレハロースのうちの少なくとも1つを含むか、あるいは代替的に、前記充填剤が、スクロース、マンニトール、ラフィノース、またはトレハロースから選択される糖類である、項目23または24に記載の方法。
(項目26)
前記溶液が、1つ以上の酵素を含む、項目1~25のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
前記1つ以上の酵素が、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼのうちの少なくとも1つを含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記1つ以上の酵素が、熱安定性DNAポリメラーゼを含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
熱安定性DNAポリメラーゼが、ホットスタート熱安定性DNAポリメラーゼであるか、または抗体と複合化している、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記1つ以上の酵素が、約0.20U/uL~約0.72U/uLまたは約0.1U/uL~約0.6U/uLの濃度で前記溶液中に存在するDNA依存性ポリメラーゼ、逆転写酵素、または他の酵素を含む、項目26または27に記載の方法。
(項目31)
前記溶液が、緩衝剤を含む、項目1~30のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記緩衝剤が、有機緩衝剤である、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記溶液が、約5mM以下の無機塩濃度を有する、項目1~32のいずれか1項に記載の方法。
(項目34)
前記溶液が、無機塩を含まない、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
前記溶液が、塩を含む、項目1~34のいずれか1項に記載の方法。
(項目36)
前記溶液が、分子アッセイを実施するのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、項目1~35のいずれか1項に記載の方法。
(項目37)
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、増幅オリゴマーおよびプローブから選択される、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記オリゴヌクレオチドが、標識を含む、項目36または37に記載の方法。
(項目39)
前記標識が、蛍光、化学発光、親和性、または放射性標識である、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記溶液が、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む、項目1~39のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
前記溶液が、1つ以上のデオキシヌクレオシド三リン酸を含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記溶液が、dATP、dGTP、dCTP、ならびにdTTPおよびdUTPのうちの少なくとも1つを含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記1つ以上のヌクレオシド三リン酸のうちの少なくとも1つが、前記溶液中に約0.1mM~約0.3mMまたは約0.2mM~約0.6mMの範囲の量で存在する、項目40~42のいずれか1項に記載の方法。
(項目44)
前記溶液が、捕捉プローブおよび加水分解プローブから選択される少なくとも1つのプローブを含む、項目1~43のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
前記溶液が、RNase阻害剤を含む、項目1~44のいずれか1項に記載の方法。
(項目46)
前記RNase阻害剤が、約0.12U/μL~約0.20U/μLの濃度で前記溶液中に存在する、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記溶液が、キレート剤を含む、項目1~46のいずれか1項に記載の方法。
(項目48)
前記キレート剤が、EDTA、EDDS、またはMGDAである、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記キレート剤が、約1.5mM~約2.0mMの濃度で前記溶液中に存在する、項目47または48に記載の方法。
(項目50)
前記溶液が、洗剤を含む、項目1~49のいずれか1項に記載の方法。
(項目51)
前記洗剤が、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、または双性イオン性洗剤である、
項目50に記載の方法。
(項目52)
前記溶液が、単回単位用量の増幅試薬を含有する、項目1~51のいずれか1項に記載の方法。
(項目53)
前記溶液が、単回単位用量の検出試薬を含有する、項目1~52のいずれか1項に記載の方法。
(項目54)
前記溶液が、薬学的に活性な薬剤を含有する、項目1~53のいずれか1項に記載の方法。
(項目55)
前記方法が、前記乾燥ステップの前に、前記プラズマ処理表面上に前記溶液を分注することを含む、項目1~54のいずれか1項に記載の方法。
(項目56)
前記方法が、前記分注ステップの前に、前記プラズマ処理表面を形成するように、表面をプラズマ処理することを含む、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記乾燥ステップの後に、前記プラズマ処理表面を含む槽内に前記固体組成物を密封することをさらに含む、項目1~56のいずれか1項に記載の方法。
(項目58)
環状オレフィンコポリマー表面の凹面に液体または凍結溶液を含有する環状オレフィンコポリマー表面であって、前記環状オレフィンコポリマー表面が、約35ダイン~約55ダインの表面エネルギーまたは約5°~約50°の接触角を有し、前記液体または凍結溶液が、糖類を含む、環状オレフィンコポリマー表面。
(項目59)
前記液体または凍結溶液が、水を含む、項目58に記載の表面。
(項目60)
前記液体または凍結溶液が、極性有機溶媒を含む、項目58または59に記載の表面。
(項目61)
前記極性有機溶媒が、エタノール、イソプロパノール、DMSO、またはグリセロールのうちの少なくとも1つを含む、項目60に記載の表面。
(項目62)
前記液体または凍結溶液が、非極性有機溶媒を含む、項目58~61のいずれか1項に記載の表面。
(項目63)
前記液体または凍結溶液が、1つ以上の酵素を含む、項目58~62のいずれか1項に記載の表面。
(項目64)
前記1つ以上の酵素が、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼのうちの少なくとも1つを含む、項目63に記載の表面。
(項目65)
前記液体または凍結溶液が、緩衝剤を含む、項目58~64のいずれか1項に記載の表面。
(項目66)
前記液体または凍結溶液が、無機塩を含まないか、または約5mM以下の無機塩濃度を有する、項目58~65のいずれか1項に記載の表面。
(項目67)
前記液体または凍結溶液が、塩を含む、項目58~66のいずれか1項に記載の表面。
(項目68)
前記液体または凍結溶液が、分子アッセイを実施するのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、項目58~67のいずれか1項に記載の表面。
(項目69)
前記液体または凍結溶液が、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む、項目58~68のいずれか1項に記載の表面。
(項目70)
前記溶液が、液体である、項目58~69のいずれか1項に記載の表面。
(項目71)
前記溶液が、凍結している、項目58~69のいずれか1項に記載の表面。
(項目72)
プラズマ処理された環状オレフィンコポリマー表面に付着した固体組成物であって、前記固体組成物が、前記環状オレフィンコポリマー表面の凹面内にあり、前記凹面が、約90度~約60度の壁角を有し、前記固体組成物が、約600マイクログラム~約100mgの質量を有し、糖類を含み、前記固体組成物を含有する前記環状オレフィンコポリマー表面が、最大約480mmの高さからステンレス鋼表面上に落とされるパッケージ性能試験後に、前記固体組成物が、前記環状オレフィンコポリマー表面に実質的に付着したままであるように十分に付着している、固体組成物。
(項目73)
プラズマ処理表面に付着した固体組成物であって、前記プラズマ処理表面に付着した前記固体組成物が、項目1~53のいずれか1項に記載の方法によって産生される、固体組成物。
(項目74)
前記固体組成物が、充填剤と、酵素およびオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つとを含む、プラズマ処理表面に付着した固体組成物。
(項目75)
前記プラズマ処理表面が、プラスチックを含む、項目73または74に記載の固体組成物。
(項目76)
前記プラスチックが、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリウレタン、デンプン由来プラスチック、または環状オレフィンコポリマーのうちの少なくとも1つを含む、項目75に記載の固体組成物。
(項目77)
前記プラスチックが、環状オレフィンコポリマーを含む、項目75または76に記載の固体組成物。
(項目78)
前記充填剤が、糖類、グリシン、またはヒドロキシエチルデンプンを含む、項目73~77のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目79)
前記糖類が、スクロース、マンニトール、ラフィノース、またはトレハロースのうちの少なくとも1つを含む、項目72または78に記載の固体組成物。
(項目80)
前記固体組成物が、前記プラズマ処理表面を含む槽内にある、項目72~79のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目81)
前記槽が、約40μL~約60mLの範囲の体積を有する管を含む、項目80に記載の固体組成物。
(項目82)
前記槽が、複数のウェルを含むマルチウェルプレートである、項目80に記載の固体組成物。
(項目83)
前記固体組成物が、約5mg~約20g、約200mg~約20g、約1g~約20g、約5g~約20g、約5mg~約1g、約5mg~約500mg、約5mg~約200mg、約5mg~約100mg、約5mg~約50mg、約5mg~約20mg、約5mg~約10mg、約10mg~約200mg、約20mg~約200mg、約50mg~約200mg、または約100mg~約200mgの範囲の質量を有する、項目72~82のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目84)
前記固体組成物が、1つ以上の酵素を含む、項目72~83のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目85)
前記1つ以上の酵素が、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼのうちの少なくとも1つを含む、項目84に記載の固体組成物。
(項目86)
前記固体組成物が、緩衝剤を含む、項目72~85のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目87)
前記固体組成物が、塩を含む、項目72~86のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目88)
前記固体組成物が、無機塩を含まないか、または約5mM以下の無機塩濃度を有する、項目72~87のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目89)
前記固体組成物が、分子アッセイを実施するのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、項目72~88のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目90)
前記固体組成物が、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む、項目72~89のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目91)
前記固体組成物が、単回単位用量の増幅または検出試薬を含有する、項目72~90のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目92)
前記固形組成物が、薬学的に活性な薬剤を含有する、項目72~91のいずれか1項に記載の固形組成物。
(項目93)
再構成液体と、項目72~92のいずれか1項に記載の固体組成物とを含む、キット。
(項目94)
混合物を形成する方法であって、再構成液体および項目72~92のいずれか1項に記載の固体組成物を組み合わせることによって、再構成組成物を形成することを含む、方法。
(項目95)
前記再構成液体が、水、極性有機溶媒、および非極性有機溶媒のうちの少なくとも1つを含む、項目93または94に記載のキットまたは方法。
(項目96)
前記再構成液体が、水を含む、項目95に記載のキットまたは方法。
(項目97)
前記再構成液体が、少なくとも1つの無機塩を含む、項目93~96のいずれか1項に記載のキットまたは方法。
(項目98)
核酸を添加することをさらに含み、前記核酸が、少なくとも1つの核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応を受ける、項目94~97のいずれか1項に記載の方法。
(項目99)
前記核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応が、核酸合成または増幅を含む、項目98に記載の方法。
(項目100)
前記核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応が、プローブを前記核酸にハイブリダイズして、ハイブリダイズされた複合体を形成することを含む、項目99に記載の方法。
(項目101)
前記方法が、前記プローブのハイブリダイズされた複合体または核溶解を検出することをさらに含む、項目100に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、接触角の測定図であり、θが接触角であり、Hが液滴の高さであり、Rが液滴幅の半分である。
【
図2A】
図2A~2Bは、実施例1に記載される未処理ウェルおよびプラズマ処理ウェルにおける凍結乾燥ペレットの落下試験結果を示す。バーの高さは、付着が破壊される前の落下数を示す。
【
図2B】
図2A~2Bは、実施例1に記載される未処理ウェルおよびプラズマ処理ウェルにおける凍結乾燥ペレットの落下試験結果を示す。バーの高さは、付着が破壊される前の落下数を示す。
【
図3A】
図3A~3Bは、実施例2に記載される未処理ウェルおよびプラズマ処理ウェルにおける凍結乾燥ペレットの落下試験結果を示す。バーの高さは、付着が破壊される前の落下数を示す。A
【
図3B】
図3A~3Bは、実施例2に記載される未処理ウェルおよびプラズマ処理ウェルにおける凍結乾燥ペレットの落下試験結果を示す。バーの高さは、付着が破壊される前の落下数を示す。A
【発明を実施するための形態】
【0041】
定義
本教示を詳細に説明する前に、本開示が特定の組成物またはプロセスステップに限定されず、それらは変化し得ることを理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」が、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の言及を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「充填剤」への言及は、複数の充填剤などを含む。
【0042】
本開示で考察される温度、濃度、時間などの前に黙示的な「約」があり、これによりわずかで非実質的な偏差は、本明細書の教示の範囲内であることが理解されるであろう。一般に、「約」という用語は、組成物の活性または安定性に有意な影響を及ぼさない組成物の成分の量の非実質的な変動を示す。また、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、「含有すること(containing)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含むこと(including)」の使用は、限定することを意図していない。上記の概要および詳細な説明は両方とも、例示的かつ説明的なものにすぎず、教示を限定するものではないことを理解されたい。
【0043】
特に記述がない限り、様々な構成要素を「含むこと」を列挙する本明細書中の実施形態は、列挙された構成要素「からなる」または「から本質的になる」とも企図され、様々な構成要素「からなること」を列挙する本明細書中の実施形態は、列挙された構成要素「を含む」または「から本質的になる」とも企図され、また、様々な構成要素「から本質的になること」を列挙する本明細書中の実施形態は、列挙された構成要素「からなる」または「を含む」とも企図される(この互換性は、請求項におけるこれらの用語の使用には適用されない)。
【0044】
本明細書で使用される場合、表面が撹拌される、例えば振とうされる(例えば、約1~3Hzの周波数で手によって)、または反転されるときに、材料が表面に対して目に見えて移動しない場合、材料は、表面に「付着」していると見なされる。
【0045】
「充填剤」は、乾燥および貯蔵中にタンパク質および他の試薬の堆積のためのマトリクスを提供する。(Carpenter et al(2002)Rational design of stable lyophilized protein formulations.Kluwer Academic/Plenum,New York,pp.109-133)。充填剤は、生成物の「ケーキ」または他の構造を形成するために使用され得、タンパク質または他の試薬が乾燥中に槽から失われることを防止することができ、タンパク質の安定性を高めることができる。
【0046】
キレート剤は、ある特定の酵素の活性に必要とされ得る、Mg2+またはMn2+などの二価イオンを封鎖する薬剤である。
【0047】
「凹面」は、溶液または溶液から形成された固体組成物を保持するのに好適である表面の陥凹、ウェル、凹み、または他の特徴である。
【0048】
「接触角」は、基板の表面と、基板上の液滴の表面に対して三相点で引かれた接線との間の角度である。
図1を参照されたい。接触角θは、式θ=2(逆正接(H/R))に従って計算され得、式中、Hは、液滴の高さであり、Rは、液滴幅の半分である。別段の指示がない限り、液滴は、本明細書で言及される接触角に対して水である。接触角測定は、ASTM International Standard D 5946-04,“Standard Test Method for Corona-Treated Polymer Films Using Water Contact Angle Measurements”(2004)に詳細に論じられている。接触角測定方法および装置の考察については、米国特許第5,268,733号も参照されたい。別段の指示がない限り、接触角測定は、水滴を使用して実施される。本明細書で使用される場合、表面が水と接触したときにその接触角が観察される場合、表面は、ある特定の値またはある特定の範囲の接触角を有すると見なされる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「第1の」、「第2の」などは、要素の順序付けまたは位置付けに関していかなる暗示もなく、構造、組成、または方法の要素に関して使用され、したがって、当業者が文脈から他の理解をしない限り、「第1の」要素は、「第2の」要素の前方、重複、後方、上、下、前、同時、または後であってもよい。
【0050】
「凍結乾燥」、「凍結乾燥した」、および「フリーズドライした」という用語は、乾燥させられる材料が最初に凍結され、次いで氷または凍結溶媒が真空環境での昇華によって除去されるプロセスを指す。「凍結乾燥物」は、凍結乾燥した物質を指す。
【0051】
核酸ハイブリダイゼーションに関する用語「ストリンジェントな」(「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」を含む)は、特定のオリゴヌクレオチドが試験試料中に存在する他の核酸よりも標的核酸とハイブリダイズすることが可能である条件を指す。これらの条件が、GC含量およびオリゴヌクレオチドの長さ、ハイブリダイゼーション温度、ハイブリダイゼーション試薬または溶液の組成、ならびに求められるハイブリダイゼーション特異性の程度を含む要因に応じて変化し得ることが理解されるであろう。適切なハイブリダイゼーション条件は、プローブ、増幅オリゴヌクレオチド、標的捕捉オリゴヌクレオチド、遮断薬、および他のオリゴヌクレオチドに関して当該技術分野において周知であり、配列組成に基づき予測され得るか、または日常的な試験法を使用することによって決定され得る(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989)の§§1.90-1.91、7.37-7.57、9.47-9.51、および11.47-11.57、特に§§9.50-9.51、11.12-11.13、11.45-11.47、および11.55-11.57)。
【0052】
増幅オリゴマーは、鋳型依存的複製を支持することができるプライマーまたはプロモーター-プライマーである。増幅オリゴマー対は、鋳型の対向鎖の鋳型依存的複製を支持するそのようなオリゴマーの対である。多重増幅は、複数の増幅オリゴマー対を同時に用いて実施される増幅である。
【0053】
プローブは、増幅産物にハイブリダイズして、増幅産物の存在または量を明らかにすることができるオリゴヌクレオチドである。そのようなプローブは、多くの場合、蛍光または他の検出可能なシグナルを与える分子を取り込み、その場合、それらは、検出可能に標識されたプローブと称される。
【0054】
プライマー-プローブセットは、鋳型核酸からの増幅産物を生成および検出するように構成されたプライマーおよびプローブの組み合わせである。
【0055】
「再構成時間」は、乾燥配合物を溶液で再水和して、肉眼では粒子または濁りを含まない溶液をもたらすのに必要な時間である。
【0056】
「単回単位用量」または「SUD」は、単一の試料に対してアッセイを実施するために使用される試薬の量を指す。単回単位用量は、溶液であってもよい。一例として、単回単位用量は、単一の槽内の単一の試料の増幅に有用な試薬を含有する乾燥ペレットであってもよい。
【0057】
本明細書で使用される場合、「または」は、包括的に使用され、すなわち、「AまたはBのうちの1つ以下」という表現などにおいて、明らかに反対の指示がない限り、「および/または」と同等である。
【0058】
本明細書で使用される場合、「またはそれらの組み合わせ」、「のうちの少なくとも1つ」、および「のうちの1つ以上」という用語は、その用語の前に列挙された用語の全ての順列および組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、またはそれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCのうちの少なくとも1つ、また順序が特定の文脈において重要である場合、BA、CA、CB、ACB、CBA、BCA、BAC、またはCABも含むよう意図される。この例を続けると、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどの1つ以上の項目または用語の繰り返しを含む組み合わせも含まれる。文脈から他に明らかでない限り、典型的には任意の組み合わせにおける項目または用語の数に制限がないことを当業者は理解するであろう。
【0059】
「パッケージ性能試験」は、固体組成物が付着している(例えば、槽の)表面が、ある特定の高さ(例えば、約480mm)から基板(例えば、ステンレス鋼)上に落とされて、表面への固体組成物の付着の程度を判定する試験を指す。固体組成物は、固体組成物の緩くなる可視部分が全くないか、または体積で約5%もしくは約10%未満が緩くなる(例えば、表面が振とうされたか、または反転されたときに表面に対して移動する)場合、実質的に付着したままであると見なされる。いくつかの実施形態では、パッケージ性能試験で使用される高さは、約20mm~1000mm、例えば、約20mm、約40mm、約60mm、約80mm、約100mm、約120mm、約140mm、約160mm、約180mm、約200mm、約220mm、約240mm、約260mm、約280mm、約300mm、約320mm、約340mm、約360mm、約380mm、約400mm、約420mm、約440mm、約460mm、約480mm、約500mm、約520mm、約540mm、約560mm、約580mm、約600mm、約620mm、約640mm、約660mm、約680mm、約700mm、約720mm、約740mm、約760mm、約780mm、約800mm、約820mm、約840mm、約860mm、約880mm、約900mm、約920mm、約940mm、約960mm、約980mm、もしくは約1000mm、または約20mm~約60mm、約60mm~約100mm、約100mm~約200mm、約200mm~約300mm、約300mm~約400mm、約500mm~約600mm、約600mm~約700mm、約800mm~約900mm、もしくは約900mm~約1000mmの範囲の高さである。いくつかの実施形態では、基板は、軟質発泡体、例えば、ポリウレタンシートなどのポリウレタンである。いくつかの実施形態では、基板は、約18~約20lbs/in2の圧縮抵抗範囲を有するEnsolite(登録商標)AFなどの堅いクッションまたはマット材料である。いくつかの実施形態では、基板は、ステンレス鋼などの硬質表面である。いくつかの実施形態では、基板は、約1cm、2cm、3cm、4cm、または5cmの厚さを有する。
【0060】
「プラズマ」は、正および負の荷電粒子が結合しておらず、容器に封入されていない限り、明確な形状または明確な体積を有しない物質の状態である。プラズマはまた、荷電粒子の非存在下でガス、例えば、空気、O2、N2などである非荷電粒子も含有し得る。プラズマは、コロナ放電の場合のように、ガスに電界を印加することによって産生され得る。プラズマを産生する他の方法は、ガスを加熱すること、電磁放射(例えば、高周波(RF)誘導放電)、および電子ビームなどの荷電粒子ビームを生成することを含む。
【0061】
表面がプラズマに曝露され、曝露によって影響を受けた少なくとも1つの性質、例えば、未処理の対応部分と比較した接触角の減少、表面エネルギーの増加、または固体組成物への付着度の増加などを有する場合、表面は、「プラズマ処理」されている。
【0062】
「糖類」は、炭素に対する酸素の比が約(しかし必ずしも正確にではない)1:1であり、酸素に対する水素の比が約2:1(しかし必ずしも正確にではない)である、炭素と、水素と、酸素とを含有する化合物である。糖類としては、キシリトール(C5H12O5)などの糖アルコール、ならびにグルコース(C6H12O6)およびスクロース(C12H22O11)などの糖が挙げられる。
【0063】
本明細書で使用される場合、「固体組成物」は、非流動性物質を指す。別段の指示がない限り、固体組成物は、一般に1つの寸法が他の寸法と比較して薄い乾燥塗料などのコーティングを意味しない。固体組成物としては、非コーティング残留物を与えるような方法で溶液を乾燥させることから生じる凍結乾燥物、ペレットなどが挙げられる。固体組成物は一般的に、結晶質であるか、または分子レベルで格子構造を有するが、固体組成物はまた、非晶質および準結晶質固体も含む。固体組成物は、20℃および1atmの圧力で固体ではない凍結溶液を含まない。いくつかの実施形態では、固体組成物は、3つの直交する次元において巨視的である(例えば、それらは顕微鏡の助けを借りずに観察可能な、例えば約1mmを超える長さ、幅、および高さを有する)。本明細書の固体組成物は、一般に、約0.5~約2g/cm3の範囲の密度を有し、それらの体積は、それに応じて推定され得る。
【0064】
本明細書で使用される場合、「溶液」は、溶媒とその中に溶解した溶質とを含む組成物であり、液体溶液だけではなく、例えば、溶質が一般に凍結溶媒内で分散したままであるように、溶解した溶質を含有する溶媒を凍結させる結果である凍結溶液も含む(溶媒から著しく異なる固相を沈殿させるか、または別様に形成するのとは対照的に)。
【0065】
例示的な方法、組成物、およびキット
いくつかの実施形態では、溶液がプラズマ処理表面上で乾燥させられ、プラズマ処理表面に付着した固体組成物を形成する、付着固体組成物を調製するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、冷陰極放電、中空陰極放電、DC誘導放電、高周波(RF)誘導放電、コロナ放電、グロー放電、または荷電粒子ビームで処理された表面である。いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、コロナ放電で処理された表面である。
【0066】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面に付着した固体組成物が提供される。いくつかの実施形態では、約90度~約60度の壁角を有する少なくとも1つの凹面を含む環状オレフィンコポリマー表面が提供され、環状オレフィンコポリマー表面は、約600マイクログラム~約100mgの質量を有し、糖類を含む固体組成物を含有し、固体組成物は、環状オレフィンコポリマー表面に付着し、固体組成物は、固体組成物を含有する環状オレフィンコポリマー表面が約480mmの高さからステンレス鋼表面上に落とされるパッケージ性能試験後に、環状オレフィンコポリマー表面に実質的に付着したままである。いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面に付着した固体組成物が提供され、固体組成物は、充填剤と、酵素およびオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つとを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法によって産生されるプラズマ処理表面に付着した固体組成物が提供される。
【0067】
プラズマ処理表面に付着した固体組成物などの、本明細書に開示される固体組成物を含むキットもまた提供され、キットは、任意に再構成液体をさらに含む。
【0068】
混合物を形成する方法もまた提供され、方法は、再構成液体、およびプラズマ処理表面に付着した固体組成物などの、本明細書に開示される固体組成物を組み合わせることによって、再構成組成物を形成することを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、環状オレフィンコポリマー表面の凹面に液体または凍結溶液を含有する環状オレフィンコポリマー表面が提供され、環状オレフィンコポリマーは、プラズマで処理されていない環状オレフィンコポリマーと比較して減少した接触角または増加した表面エネルギーを有する。いくつかの実施形態では、環状オレフィンコポリマー表面の凹面に液体または凍結溶液を含有する環状オレフィンコポリマー表面が提供され、環状オレフィンコポリマーは、約35ダイン~約55ダインの表面エネルギーまたは約約5°~約50°の接触角を有する。
【0070】
以下の段落、発明の概要、図面およびその説明、実施例、特許請求の範囲(それらは本明細書の一部と見なされる)、または本出願の他の部分にかかわらず、本明細書に提供されるある特定の実施形態の詳細は、当業者の理解に従ってそれらが適用され得る、本明細書に開示される方法、組成物、およびキットの全てに関して記載される。
【0071】
表面をプラズマで処理することは、固体組成物が溶液の乾燥中に形成されるときに、表面が固体組成物の分子と有利に相互作用する程度を高めると考えられる。例えば、プラズマ処理は、固体組成物の分子との双極子-双極子、水素結合などの非共有相互作用が可能である、表面の電荷密度または部分的に帯電した原子もしくは基の密度を増加させ得る。したがって、プラズマ処理の継続時間および強度のある範囲、例えば、約25ワット/分/m2~約2000ワット/分/m2、約50ワット/分/m2~約1500ワット/分/m2、約100~約1200ワット/分/m2、約200~約1000ワット/分/m2、約100~約600ワット/分/m2、または約200ワット/分/m2~約600ワット/分/m2の範囲のワット密度でのコロナ放電放電などのプラズマ源での処理が使用され得る。
【0072】
プラズマ処理の程度は、表面エネルギーまたは表面エネルギーの変化の観点からも表現され得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンを含む表面などのプラズマ処理表面は、約33~約45ダイン、約35~約42ダイン、または約37~約40ダインの範囲の表面エネルギーを有する。いくつかの実施形態では、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含む表面などのプラズマ処理表面は、約35~約55ダイン、約37~約53ダイン、または約40~約50ダインの範囲の表面エネルギーを有する。いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、同じ組成の未処理表面と比較して表面エネルギーの増加を有し、表面エネルギーの増加は、約3~約20ダイン、約4~約15ダイン、約5~約12ダイン、または約6~約10ダインの範囲である。
【0073】
プラズマ処理の程度は、接触角または接触角の変化の観点からも表現され得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンを含む表面などのプラズマ処理表面は、約5°~約50°、例えば、約5°~約40°、約5°~約30°、約5°~約10°、約10°~約20°、約10°~約30°、約10°~約40°、約20°~約30°、約30°~約40°、または約40°~約50°の接触角を有する。いくつかの実施形態では、接触角は、約5°~約25°である。いくつかの実施形態では、接触角は、約10°~約25°である。いくつかの実施形態では、接触角は、プラズマ処理前の表面の接触角と比較して減少する。減少量は、いくつかの実施形態では、約30°~約95°、例えば、約40°~約90°、約30°~約40°、約40°~約50°、約50°~約60°、約60°~約70°、約70°~約80°、約80°~約90°、または約90°~約95°の範囲の値である。
【0074】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、プラズマ処理槽、例えば、管、またはマルチウェルプレートもしくはカートリッジの内部表面である。いくつかの実施形態では、表面または槽は、プラスチックを含む。いくつかの実施形態では、プラスチックは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリウレタン、デンプン由来プラスチック、または環状オレフィンコポリマーのうちの少なくとも1つを含む。
【0075】
プラズマ処理のための装置、そのような装置を使用する方法、またはプラズマ処理の一般的な考察は、例えば、WO2002/023960(A1)、US2009/0143718(A1)、US6,106,653、US7,556,845(B2)、US3,870,610、US2013/0017672(A1)、US8,361,565(B2)、およびUS9,005,188(B2)に見られる。表面への凍結乾燥物などの固体組成物の付着との関連で、プラズマ処理は、適用されていないと考えられる。それにもかかわらず、本開示の手引きおよび一般にプラズマ処理に関する利用可能な知識を考慮して、当業者は、本明細書に開示される組成物および方法を十分に実践、作製、および使用することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、乾燥は、凍結乾燥を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、凍結乾燥ペレットなどの凍結乾燥物である。いくつかの実施形態では、乾燥は、蒸発、脱水、乾燥(desiccating)、凍結乾燥、および噴霧乾燥のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、乾燥は、真空下、例えば、約0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、もしくは0.01気圧以下の圧力、または周囲圧力の約0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、もしくは0.01倍以下の圧力下で生じる。いくつかの実施形態では、乾燥は、高温、例えば、周囲温度よりも約1、2、3、4、もしくは5℃高いか、または約30℃よりも高い、例えば、約30℃~110℃、約30℃~40℃、約40℃~50℃、約50℃~60℃、約60℃~70℃、約70℃~80℃、約80℃~90℃、約90℃~100℃、もしくは約100℃~110℃の温度で生じる。いくつかの実施形態では、乾燥は、周囲温度、または約15℃~30℃、約15℃~25℃、約20℃~30℃、約15℃~20℃、約20℃~25℃、もしくは約25℃~30℃の温度で生じる。いくつかの実施形態では、乾燥は、低温、例えば、周囲温度よりも約1、2、3、4、もしくは5℃低いか、または15℃未満、例えば、約10℃~約15℃、約5℃~約10℃、約0℃~約5℃、約-5℃~約0℃、約-10℃~約0℃、約-20℃~約-10℃、約-30℃~約-20℃、約-40℃~約-30℃、約-50℃~約-40℃、約-60℃~約-50℃、約-70℃~約-60℃、約-80℃~約-70℃、約-90℃~約-80℃、もしくは約-100℃~約-90℃の温度で生じる。
【0077】
いくつかの実施形態では、溶液は、乾燥ステップの少なくとも一部の間に凍結される。いくつかの実施形態では、溶液は、乾燥ステップの少なくとも一部の間に液体である。いくつかの実施形態では、溶液は、乾燥ステップの全部または実質的に全部の間に凍結される。いくつかの実施形態では、溶液は、乾燥ステップの全部または実質的に全部の間に液体である。いくつかの実施形態では、溶液は、乾燥ステップの一部の間に液体であり、溶媒の一部が、例えば蒸発中に液体から気体への転位を受け、続いて凍結し、次いで残りの溶媒が、例えば凍結乾燥中に、昇華にあるような固体から気体への転移を受けたときなど、乾燥ステップの少なくとも一部の間に固体である。
【0078】
溶液は、標準的な方法および装置を使用して凍結乾燥し得る。フリーズドライヤは、例えば、GEA Process Engineering,Columbia,MDから入手可能である。契約のフリーズドライサービスは、例えば、Biopharma Technology Ltd.,Winchester,Hampshire,Great BritainおよびBioPharma Solutions Sterile Contract Manufacturing,Baxter Healthcare Corp,Deerfield,ILによって提供される。凍結乾燥のための手引きは、例えば、L.Rey,J.C.May(eds.)(2010)Freeze Drying/Lyophilization of Pharmaceuticals and Biological Products,3rd.ed.Informa Healthcare,NYもしくはMethods in Enzymology,Vol.22,Pages 33-39,Academic Press,New York (1971)、またはFreeze-Drying,E.W.Flosdorf,Rheinhold,New York(1949)から入手可能である。任意に、フリーズドライ中に酸素含量が低減され得る(Phillips et al(2001)Biologics.19:219)。
【0079】
乾燥には、様々な容器が好適である。容器が部分真空下で密封および貯蔵されたとき、容器は、外圧に耐えることが可能でなければならない。容器は、外側から内側への合理的な熱伝達を可能にする材料で作製されるべきである。容器のサイズは、好ましくは、乾燥する溶液が、あふれ出ることを回避するために、全体積の20%以下を占めるようなものである。
【0080】
試料は、別々の槽または多検体槽で乾燥し得る。多検体槽とは、少なくとも2つの検体を、それらが並行して、しかし別々に貯蔵および操作され得るように含むことができる連続した槽を意味する。多検体槽、例えば、マルチウェルプレートまたはカートリッジのための標準フォーマットは、6、24、96、384、または1536の凹面、例えばウェルを有するフォーマットを含む。96ウェルフォーマットの一例における各ウェルの体積は、約300~400マイクロリットルであり、作業体積は、約75~200マイクロリットルである。他のサイズも企図されるが、体積は、一般に、ウェルの数と逆に、典型的には各ウェルにつき1nL~10mLの範囲で変化する。例示的なウェルおよび凹面は、とりわけ平坦な底部、円形の底部、またはV字形の底部を有することができる。加えて、ウェルは、反応ウェルとさらに称される場合もある。反応ウェルという用語は、任意の反応が反応ウェル内で実際に起こることを必要としない。むしろ、この用語は、試薬を含み、その中に反応を有しないか、その中に部分的な反応を有するか、またはその中に完全な反応を有する可能性がある槽またはウェルを指すために使用される。
【0081】
上述のように、マルチウェルプレートは、本明細書のいくつかの実施形態では、凍結乾燥を受けて溶液から固体組成物を形成することができる。凍結乾燥は、ネストデバイス内で生じ得る(同時係属の国際出願第PCT/US2016/045166号を参照されたい)。ネストは、密封された凍結乾燥チャンバの外側から操作可能な機構によって閉鎖され得る通気口を有するプレートのための容器である。マルチウェルプレートを含むネストは、1つ以上の通気口が開放位置にある状態で凍結乾燥チャンバ内に配置される。次いで、チャンバは密封され、凍結乾燥雰囲気が、ネスト内の空間を含むチャンバ全体に印加される。次いで、1つ以上の通気口が閉鎖され、それによりネストを密封する。凍結乾燥チャンバ上のシールは後に解放され、マルチウェルプレートを含むネストが取り外される。次いで、オペレータがその中に位置する凍結乾燥組成物を使用するか、またはさらなる貯蔵もしくは販売のために凍結乾燥検体を含むマルチウェルプレートを再密封する準備が整うまで、ネストは、その中にマルチウェルプレートが位置付けられた状態で再配置および貯蔵され得る。次いで、マルチウェルプレートのウェルは密閉され、周囲空気からの水分の侵入を実質的に阻止することができる。いくつかの実施形態では、密封されたマルチウェルプレートは、乾燥剤を含むパウチに貯蔵される。同様に、別々の槽が凍結乾燥を受けることができ、ネスト内での凍結乾燥を受けることができる。このようにして、密封されたマルチウェルプレートへの少量の水分の侵入が防止され得る。
【0082】
最適な凍結乾燥条件は、製品に依存する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥手順は、例えば、約-30℃~約-10℃の温度での熱処理ステップを含み得る。熱処理ステップは、例えば、30分~6時間の継続時間を有し得る。例えば、熱処理ステップは、約-20℃において約2時間であってもよい。いくつかの実施形態では、凍結乾燥手順は、例えば、約-50℃から約-10℃の温度での一次乾燥ステップを含み得る。一次乾燥ステップは、例えば、約10時間~約75時間の継続時間を有し得る。いくつかの実施形態では、凍結乾燥手順は、例えば、約-10℃~約40℃の温度での二次乾燥ステップを含み得る。一次乾燥ステップは、例えば、約1時間~約24時間の継続時間を有し得る。凍結乾燥中、凍結乾燥チャンバ内の圧力が大気圧より低くなるように、例えば、約10mTorr~約250mTorrの範囲内になるように真空が印加される。
【0083】
他の乾燥方法としては、噴霧乾燥、流動床乾燥、除湿機、乾燥(desiccation)、およびフィルタケーキの乾燥が挙げられる(NP Cheremisinoff(2000)Handbook of Chemical Preocessing Equipment,butterworth Heinemann,Boston,MAを参照されたい)。除湿機は、Bry Air,Inc.,Sunbury,OhioおよびDST Seibu Giken,Wyomissing,PAから入手可能である。ロータリドライヤ、コニカルドライヤ、およびシェルフドライヤが入手可能である(McGill AirPressure LLC,Columbus,Ohio)。一実施形態では、真空ドライヤは、材料を減圧に曝露することによって水分を除去し、蒸発によって失われた熱は、熱源または水浴などのリザーバからの熱によって置き換えられ、槽は、例えば、市販のロータリドライヤにあるような材料を含む。例示的な乾燥剤としては、シリカゲル乾燥剤、アルミノケイ酸塩および合成ゼオライトなどの分子ふるい乾燥剤、ならびにベントナイト乾燥剤が挙げられる。
【0084】
いくつかの実施形態では、反応混合物は、それらが使用のために再構成されるものと同じ槽内で乾燥する。
【0085】
凍結乾燥または別様に固体もしくは乾燥組成物は、例えば、5重量%未満の水、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1.0重量%未満、0.5重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.02重量%未満、0.01重量%未満などでの低い含水量を有する。いくつかの実施形態では、固体組成物は、約5mg~約20g、約200mg~約20g、約1g~約20g、約5g~約20g、約5mg~約1g、約5mg~約500mg、約5mg~約200mg、約5mg~約100mg、約5mg~約50mg、約5mg~約20mg、約5mg~約10mg、約10mg~約200mg、約20mg~約200mg、約50mg~約200mg、または約100mg~約200mgの範囲の質量を有する。
【0086】
凍結乾燥または別様に固体もしくは乾燥組成物は、使用前に貯蔵される。貯蔵期間は、乾燥組成物が周囲空気に曝露される室温で貯蔵される期間を含み得る。そのような期間は、最大3時間、あるいは最大1.0時間、最大1.5時間、最大2.0時間、最大2.5時間、最大3.5時間、最大4.0時間、最大5.0時間、最大6.0時間、最大8.0時間、または90分~180分などの時間のいずれかの範囲であってもよい。そのような貯蔵中の絶対湿度は、空気1立方メートル当たり少なくとも2.3gの水、あるいは空気1立方メートル当たり1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0グラムを超え、最大で貯蔵条件下での約95%の相対湿度に対応する絶対湿度であってもよい。あるいは、相対湿度は、例えば、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%の相対湿度など、約40%~約95%の相対湿度であってもよい。
【0087】
貯蔵はまた、乾燥または固体組成物が密封され、シールの外側の周囲空気との接触を実質的に防止する、より長い期間を含み得る。この貯蔵期間は、長時間、例えば、少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年、または少なくとも2年であってもよい。1ヶ月~2年の期間が例示的である。
【0088】
長期貯蔵または長期もしくは短期安定性研究のための貯蔵温度の範囲としては、例えば、0~2℃、0~4℃、2~4℃、2~6℃、20℃、25℃、30℃、40℃、50℃、60℃、ならびに液体窒素下で-4~-2℃、-6~-2℃、-8~-2℃、-10~-2℃、-20℃、-40℃、-60℃、-80℃などの零下温度が挙げられる。好ましくは、貯蔵は、凝固点よりも上で、約4~8℃の範囲内である。加速分解研究は、例えば、1時間、2時間、4時間、24時間、2日間、4日間、8日間、1ヶ月、3ヶ月、100日間などの期間にわたって、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃で行われ得る。貯蔵あるいは安定性試験のための条件は、凝固点よりも上から凝固点よりも下に変動するように温度が変動する条件であってもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、溶液は、水を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、99.5重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%、または99.9重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、少なくとも10体積%、20体積%、30体積%、40体積%、50体積%、55体積%、60体積%、65体積%、70体積%、75体積%、80体積%、85体積%、90体積%、95体積%、96体積%、97体積%、98体積%、99体積%、99.5体積%、99.6体積%、99.7体積%、99.8体積%、または99.9体積%の水を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、溶液は、極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、99.5重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%、または99.9重量%の極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、少なくとも10体積%、20体積%、30体積%、40体積%、50体積%、55体積%、60体積%、65体積%、70体積%、75体積%、80体積%、85体積%、90体積%、95体積%、96体積%、97体積%、98体積%、99体積%、99.5体積%、99.6体積%、99.7体積%、99.8体積%、または99.9体積%の極性有機溶媒水を含む。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒は、エタノールを含む。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒は、イソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒は、DMSOを含む。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒は、グリセロールを含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、溶液は、非極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、99.5重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%、または99.9重量%の非極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、少なくとも10体積%、20体積%、30体積%、40体積%、50体積%、55体積%、60体積%、65体積%、70体積%、75体積%、80体積%、85体積%、90体積%、95体積%、96体積%、97体積%、98体積%、99体積%、99.5体積%、99.6体積%、99.7体積%、99.8体積%、または99.9体積%の非極性有機溶媒水を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、溶液中の溶質の総量は、約0.01%~約50%(w/v)、約0.05%~約50%(w/v)、約0.1%~約50%(w/v)、約0.2%~約50%(w/v)、約0.5%~約50%(w/v)、約1%~約50%(w/v)、約2%~約50%(w/v)、約5%~約50%(w/v)、約10%~約50%(w/v)、約0.01%~約25%(w/v)、約0.01%~約10%(w/v)、約0.01%~約5%(w/v)、約0.01%~約2%(w/v)、約0.01%~約1%(w/v)、約0.01%~約0.1%(w/v)、約0.1%~約1%(w/v)、約1%~約2%(w/v)、約2%~約5%(w/v)、約5%~約10%(w/v)、約10%~約20%(w/v)、または約20%~約50%(w/v)である。いくつかの実施形態では、溶液中の溶質の総量は、約0.01%~約50%(w/w)、約0.05%~約50%(w/w)、約0.1%~約50%(w/w)、約0.2%~約50%(w/w)、約0.5%~約50%(w/w)、約1%~約50%(w/w)、約2%~約50%(w/w)、約5%~約50%(w/w)、約10%~約50%(w/w)、約0.01%~約25%(w/w)、約0.01%~約10%(w/w)、約0.01%~約5%(w/w)、約0.01%~約2%(w/w)、約0.01%~約1%(w/w)、約0.01%~約0.1%(w/w)、約0.1%~約1%(w/w)、約1%~約2%(w/w)、約2%~約5%(w/w)、約5%~約10%(w/w)、約10%~約20%(w/w)、または約20%~約50%(w/w)である。いくつかの実施形態では、溶液中の溶質の総量は、約0.01%~約50%(v/v)、約0.05%~約50%(v/v)、約0.1%~約50%(v/v)、約0.2%~約50%(v/v)、約0.5%~約50%(v/v)、約1%~約50%(v/v)、約2%~約50%(v/v)、約5%~約50%(v/v)、約10%~約50%(v/v)、約0.01%~約25%(v/v)、約0.01%~約10%(v/v)、約0.01%~約5%(v/v)、約0.01%~約2%(v/v)、約0.01%~約1%(v/v)、約0.01%~約0.1%(v/v)、約0.1%~約1%(v/v)、約1%~約2%(v/v)、約2%~約5%(v/v)、約5%~約10%(v/v)、約10%~約20%(v/v)、または約20%~約50%(v/v)である。
【0093】
溶液の例示的な体積としては、約1uL、約5uL、約10uL、約20uL、約24uL、約50uL、約100uL、約200uL、約300uL、約400uL、約500uL、約600uL、約700uL、約800uL、約900uL、約1,000uL(1mL)、約2mL、約5mL、約10mL、約20mL、約50mLが挙げられる。再構成組成物は、乾燥前の溶液と同じ体積、より低い体積、またはより大きい体積で形成され得る。より低い体積は、バルク試薬に対して約90%、約80%、約60%、約40%、約20%、約10%、または約5%であってもよい。より大きい体積は、バルク試薬の体積の約120%、140%、160%、180%、200%(2倍)、約4倍、約6倍、約8倍、約10倍、約20倍であってもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、溶液は、充填剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、1つ以上の酵素を含む。いくつかの態様では、溶液は、分子アッセイを実施するのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、塩を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、1つ以上のデオキシヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、dATP、dGTP、dCTP、ならびにdTTPおよびdUTPのうちの少なくとも1つを含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、溶液は、無機塩を含まない。いくつかの実施形態では、溶液は、約5mM~0mMの無機塩を含有する。溶液中の無機塩のさらなる例示的な濃度範囲は、約4mM~0mM、約3mM~0mM、約2mM~0mM、約1mM~0mM、または約500μM~0mMである。増幅および検出反応混合物のためのさらなる一般的な無機塩としては、いくつか例を挙げると、ナトリウム、カリウム、マンガン、マグネシウム、および塩化物のうちの1つ以上が挙げられる。
【0096】
いくつかの実施形態では、溶液は、5mM以下の無機塩を含み、無機塩は、1マイクロリットル当たり0.373μg/μL以下、または0.332μg/μL以下、または0.292μg/μL以下の質量で存在し、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.292μg/μL以下、0.146μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.115μg/μL以下、0.057μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、塩化カリウムが、1マイクロリットル当たり0.373μg/μL以下、0.186μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、カリウムが、1マイクロリットル当たり0.196μg/μL以下、0.098μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、または塩化物が、1マイクロリットル当たり0.355μg/μL以下、0.178μg/μL以下、0.089μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在する。
【0097】
いくつかの実施形態では、溶液は、4mM以下の無機塩を含み、無機塩は、1マイクロリットル当たり0.298μg/μL以下、または0.266μg/μL以下、または0.234μg/μL以下の質量で存在し得、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.234μg/μL以下、0.117μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.092μg/μL以下、0.046μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、塩化カリウムが、1マイクロリットル当たり0.298μg/μL以下、0.149μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、カリウムが、1マイクロリットル当たり0.156μg/μL以下、0.078μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、または塩化物が、1マイクロリットル当たり0.284μg/μL以下、0.142μg/μL以下、0.071μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在する。
【0098】
いくつかの実施形態では、溶液は、3mM以下の無機塩を含み、無機塩は、1マイクロリットル当たり0.224μg/μL以下、または0.199μg/μL以下、または0.175μg/μL以下の質量で存在し、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.175μg/μL以下、0.088μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.069μg/μL以下、0.034μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、塩化カリウムが、1マイクロリットル当たり0.224μg/μL以下、0.112μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、カリウムが、1マイクロリットル当たり0.117μg/μL以下、0.059μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、または塩化物が、1マイクロリットル当たり0.213μg/μL以下、0.107μg/μL以下、0.053μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在する。
【0099】
いくつかの実施形態では、溶液は、2mM以下の無機塩を含み、無機塩は、1マイクロリットル当たり0.149μg/μL以下、または0.133μg/μL以下、または0.117μg/μL以下の質量で存在し、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.117μg/μL以下、0.058μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.046μg/μL以下、0.023μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、塩化カリウムが、1マイクロリットル当たり0.149μg/μL以下、0.075μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、カリウムが、1マイクロリットル当たり0.078μg/μL以下、0.039μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、または塩化物が、1マイクロリットル当たり0.142μg/μL以下、0.071μg/μL以下、0.036μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在する。
【0100】
いくつかの実施形態では、溶液は、1mM以下の無機塩を含み、無機塩は、1マイクロリットル当たり0.075μg/μL以下、または0.066μg/μL以下、または0.058μg/μL以下の質量で存在し、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.058μg/μL以下、0.029μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.023μg/μL以下、0.011μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、塩化カリウムが、1マイクロリットル当たり0.075μg/μL以下、0.037μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、カリウムが、1マイクロリットル当たり0.039μg/μL以下、0.020μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、または塩化物が、1マイクロリットル当たり0.071μg/μL以下、0.036μg/μL以下、0.018μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在する。
【0101】
いくつかの実施形態では、溶液は、500μM以下の無機塩を含み、無機塩は、1マイクロリットル当たり0.037μg/μL以下、または0.033μg/μL以下、または0.029μg/μL以下の質量で存在し、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.029μg/μL以下、0.015μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.011μg/μL以下、0.006μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、塩化カリウムが、1マイクロリットル当たり0.037μg/μL以下、0.019μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、カリウムが、1マイクロリットル当たり0.020μg/μL以下、0.010μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、または塩化物が、1マイクロリットル当たり0.036μg/μL以下、0.018μg/μL以下、0.009μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在する。
【0102】
いくつかの実施形態では、溶液は、約5mM~約500μMの無機塩を含み、無機塩が、1マイクロリットル当たり約0.373μg/μL~約0.029μg/μLの質量で存在し、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.292μg/μL~約0.029μg/μLの質量で存在し、ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.115μg/μL~約0.006μg/μLの質量で存在し、塩化カリウムが、1マイクロリットル当たり約0.373μg/μL~約0.019μg/μLの質量で存在し、カリウムが、1マイクロリットル当たり0.196μg/μL~約0.010μg/μLの質量で存在し、塩化物が、1マイクロリットル当たり0.355μg/μL~約0.009μg/μLの質量で存在するか、無機塩が、1マイクロリットル当たり約0.373μg/μL~約0.029μg/μLの質量で存在し、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当たり約0μg/μLの質量で存在し得るか、または無機塩が、1マイクロリットル当たり約0.373μg/μL~約0.029μg/μLの質量で存在し、塩化カリウムが、1マイクロリットル当たり約0μg/μLの質量で存在する。
【0103】
いくつかの実施形態では、1つ以上のヌクレオシド三リン酸のうちの少なくとも1つが、溶液中に約0.1mM~約0.3mMまたは約0.2mM~約0.6mMの範囲の量で存在する。
【0104】
いくつかの実施形態では、溶液は、薬学的に活性な薬剤、例えば、1つ以上の単回単位用量の薬学的に活性な薬剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、薬学的に許容される塩をさらに含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、溶液は、核酸合成または増幅アッセイを実施するのに十分な試薬を含む。「核酸合成または増幅アッセイを実施するのに十分な試薬」とは、ポリメラーゼ、適切な二価陽イオン塩、およびヌクレオチド三リン酸などの、核酸合成を実施するために使用され得る、溶媒および試料または鋳型核酸以外の試薬のセットを意味する。そのような試薬セットは、酵素および他の成分の選択によるPCR、RT-PCR、および転写媒介増幅を含む様々な種類の増幅のためにカスタマイズされ得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、溶液は、捕捉プローブまたは加水分解プローブを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、RNase阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、RNase阻害剤は、約0.12U/μL~約0.20U/μLの濃度で溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、溶液は、キレート剤を含む。いくつかの実施形態では、キレート剤は、1.5mM~2.0mMの濃度で溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、溶液は、洗剤を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、本開示に従った溶液(凍結乾燥前混合物と称される場合もある)は、ポリメラーゼ;増幅および検出反応で使用するためのヌクレオチド;有機緩衝剤、例えば、トリス;ならびにトレハロースもしくはラフィノースまたはそれらの組み合わせなどの充填剤のうちの1つ、2つ、3つ、または全部を含む。溶液はまた、1つ以上の核酸を含んでも含まなくてもよい。溶液は、逆転写酵素と、キレート剤と、RNase阻害剤とをさらに含んでもよい。
【0108】
増幅反応に取り込むためのヌクレオチドは、典型的にはdNTPとして提供される。dNTPに対する例示的な濃度は、0.1~0.3mMのdATP、0.1~0.3mMのdGTP、0.1~0.3mMのdCTP、0.2~0.6mMのdTTP、0.2~0.6mMのdUTP、好ましくは約0.2mMのdATP、約0.2mMのdGTP、約0.2mMのdCTP、および0.4mMのdTTPまたはdUTPである。
【0109】
例示的な溶液は、0.1~0.3mM、より好ましくは0.2mMのdATP、dGTP、およびdCTP、ならびに0.2~0.6mM、より好ましくは0.4mMのdUTPまたはdTTP、および0.3~0.8U/μLのポリメラーゼを有する。いくつかの組成物において、ポリメラーゼは、ホットスタートTaqポリメラーゼである。いくつかの組成物において、ポリメラーゼは、GoTaq(登録商標)MDx Hot Startポリメラーゼである。いくつかの組成物はまた、0.12~0.20U/μLのRNAasin(商標)RNAase阻害剤も含む。いくつかの組成物はまた、任意に1.5~2.0mMのEDTAも含む。そのような組成物はまた、0.16~0.32Mのトレハロースと、1.5~2.0mMのEDTAとを含み、ポリメラーゼは、0.3~0.45U/μLのTaqである。
【0110】
本開示は、リアルタイムPCR反応を含むPCR反応のための試薬を提供する。(Real-time PCR Handbook,Life Technologies(2014)、Kutyavin et al(2000)Nucleic Acids Res.28:655、Afonina et al(2002)Biotechniques.32:940)。リアルタイムPCRにおいて、マグネシウム塩は、典型的には約3~6mmの最終濃度で使用される(Real-time PCR Handbook、上記を参照)。いくつかの実施形態では、本開示は、多重PCR反応のための、つまり複数の標的の増幅および検出のために複数のプライマー対が提供される場合の試薬を提供する。本開示は、PCR反応のためのプライマーおよびプローブを提供する。プライマーおよび/またはプローブは、標的ハイブリダイズ配列を含み、非標的ハイブリダイズ配列、ヌクレオチド類似体、検出可能な部分、および非ヌクレオチドリンカーのうちの1つ以上をさらに含み得る(例えば、WO2010/151566およびWO2013/126793を参照されたい)。いくつかの実施形態では、1つ以上のプライマーまたはプローブがハイブリダイゼーションに好適であるか、またはストリンジェントな条件下で標的核酸、鋳型核酸、もしくは試料核酸にハイブリダイズする。サーモサイクラが入手可能である(Applied Biosystems ProFlex(登録商標)PCR SystemおよびVeriti(商標)Thermal Cycler)。PCR産物を定量化するためのゲルスキャナが入手可能である(Agilent(登録商標)2100 Bioanalyzer(登録商標)、Bio-Rad(登録商標)濃度計)。
【0111】
溶液の形成後、それは、乾燥前にかなりの期間室温で放置され得る。期間は、乾燥ステップが開始される前の最大8時間、あるいは乾燥ステップが開始される前の最大1時間、最大2時間、最大4時間、最大6時間、最大10時間、最大12時間、または最大14時間であってもよい。溶液中に他の試薬、例えばPCR試薬と一緒に相当量の塩を含むと、このインキュベーション期間中に望ましくないハイブリダイゼーション生成物および他の副生成物が生じる可能性がある。そのような望ましくないハイブリダイゼーション生成物および副生成物は、本質的に無機塩のない、例えば、約5mM未満の無機塩を有する溶液を形成することによって低減または排除され得る。
【0112】
溶液中に無機塩が存在すると、溶液の他の成分に応じて、以下の望ましくない特性のうちの1つ以上生じる可能性がある。核酸は、一緒にハイブリダイズし得、ハイブリダイゼーションは、カリウム、ナトリウム、マンガン、マグネシウム、および/または塩化物などの塩からの無機イオンの存在によって刺激される。マンガンおよびマグネシウムのような無機二価陽イオンの存在下でも、ポリメラーゼの加工性などの望ましくない酵素活性が生じる可能性がある。そのような望ましくない活性は、非ホットスタート酵素およびホットスタート酵素で生じ得る。塩の存在下での核酸ハイブリダイゼーションおよび酵素活性の結果として、望ましくない副生成物が形成し始める可能性がある。加えて、無機塩は、吸湿性であり、大気中の水分を固体組成物に引き込み得る。固体組成物の再水和は、貯蔵安定性、酵素安定性を低減し、さらなる疑似の副生成物の形成を可能にし得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、本開示に従った溶液を乾燥させることによって形成される。したがって、本開示に従った固体組成物は、本開示に従った溶液が含有し得る任意の溶質を含有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、固体組成物は、充填剤を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、1つ以上の酵素を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、分子アッセイを実施するのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、塩を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、無機塩を含まない。いくつかの実施形態では、固体組成物は、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、1つ以上のデオキシヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、dATP、dGTP、dCTP、ならびにdTTPおよびdUTPのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、捕捉プローブまたは加水分解プローブを含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、RNase阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、キレート剤を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、洗剤を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、核酸合成または増幅アッセイを実施するのに十分な試薬を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、ポリメラーゼ;増幅および検出反応で使用するためのヌクレオチド;有機緩衝剤、例えば、トリス;ならびにトレハロースもしくはラフィノースまたはそれらの組み合わせなどの充填剤のうちの1つ、2つ、3つ、または全部を含む。溶液はまた、1つ以上の核酸を含んでも含まなくてもよい。溶液は、逆転写酵素と、キレート剤と、RNase阻害剤とをさらに含んでもよい。
【0115】
固体組成物は、単回単位投与量(SUD)、または任意に2つ以上のSUDを提供するための試薬を含有し得る。単回単位用量は、単一以下の試料に増幅および/または検出反応を実施するのに必要な試薬の集合である。単回単位用量は、液体試薬または乾燥ペレットを指すことができる。本明細書で言及されるように、単回単位用量が、単一の試料に対して増幅および/または検出反応を実施するために必要な試薬の全部を含む必要がないことは注目すべきことである。単回単位用量は、増幅および/または検出反応を実施するために必要な試薬を欠いていてもよい。同様に、単回単位用量は、増幅および/または検出反応を実施するのに不十分な量の試薬を含み得る。ほんの一例として、乾燥した単回単位用量ペレットは、増幅反応を実施するための適切な単位のTaqポリメラーゼを含み得るが、マグネシウムを含まなくてもよい。このような例では、マグネシウムは、例えば、再構成液体によって、乾燥した単回単位用量ペレットに添加され得る。また、ほんの一例として、乾燥した単回単位用量は、増幅反応を実施するのに不十分な量のdNTPを含み得る。このような例では、dNTPの残りは、例えば、再構成液体によって、乾燥した単回単位用量ペレットに添加され得る。本開示を把握している当業者は、これらの例が非限定的であるため、様々な組成を有するSUDおよび乾燥ペレットSUDを容易に生成するであろう。本明細書で使用される場合、「単回単位用量を含有する」という語句およびその他の文法形態は、無制限の量を受け入れず、すなわち、単回単位用量を含有する溶液、組成物、または凹面(例えば、ウェル)が2つ以上のSUDを含有しない。
【0116】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、薬学的に活性な薬剤、例えば、1つ以上の単回単位用量の薬学的に活性な薬剤を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、薬学的に許容される塩をさらに含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、5mM以下の無機塩を含む溶液を乾燥させることから作製され、固体組成物の質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.311%以下、0.277%以下、または0.244%以下である。例えば、溶液は、4mM以下の無機塩を含むことができ、固体組成物の質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.249%以下、0.222%以下、または0.195%以下である。溶液は、3mM以下の無機塩を含むことができ、固体組成物の質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.186%以下、0.166%以下、または0.146%以下である。溶液は、2mM以下の無機塩を含むことができ、固体組成物の質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.124%以下、0.111%以下、または0.097%以下である。溶液は、1mM以下の無機塩を含むことができ、固体組成物の質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.062%以下、0.055%以下、または0.049%以下である。溶液は、500μM以下の無機塩を含むことができ、固体組成物の質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.031%以下、0.028%以下、または0.024%以下である。溶液は、5mM~500μMの無機塩を含むことができ、固体組成物の質量に対する無機塩の質量パーセントは、約0.311%~0.024%である。いくつかの実施形態では、固体組成物の質量に対する塩化ナトリウムの質量パーセントは、約0%であるか、または固体組成物の質量に対する塩化カリウムの質量パーセントは、約0%である。上記の固体組成物のうちの1つの乾燥した単回単位用量を含む槽もまた提供される。2つ以上のウェルを含むマルチウェルプレートもまた提供され、ウェルの少なくとも2、3、4、5、6、10、12個、または全部が、上記の固体組成物のうちの1つの乾燥した単回単位用量を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、再構成液体が使用または提供される。例えば、再構成液体は、例えば、プラズマ処理表面上の固体組成物に添加され得る。いくつかの実施形態では、再構成液体は、キットで提供される。
【0119】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、水を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、99.5重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%、または99.9重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、少なくとも10体積%、20体積%、30体積%、40体積%、50体積%、55体積%、60体積%、65体積%、70体積%、75体積%、80体積%、85体積%、90体積%、95体積%、96体積%、97体積%、98体積%、99体積%、99.5体積%、99.6体積%、99.7体積%、99.8体積%、または99.9体積%の水を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、99.5重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%、または99.9重量%の極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、少なくとも10体積%、20体積%、30体積%、40体積%、50体積%、55体積%、60体積%、65体積%、70体積%、75体積%、80体積%、85体積%、90体積%、95体積%、96体積%、97体積%、98体積%、99体積%、99.5体積%、99.6体積%、99.7体積%、99.8体積%、または99.9体積%の極性有機溶媒水を含む。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒は、エタノールを含む。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒は、イソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒は、DMSOを含む。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒は、グリセロールを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、非極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、99.5重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%、または99.9重量%の非極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、少なくとも10体積%、20体積%、30体積%、40体積%、50体積%、55体積%、60体積%、65体積%、70体積%、75体積%、80体積%、85体積%、90体積%、95体積%、96体積%、97体積%、98体積%、99体積%、99.5体積%、99.6体積%、99.7体積%、99.8体積%、または99.9体積%の非極性の極性有機溶媒水を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、充填剤を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は1つ以上の酵素を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、分子アッセイを実施するのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、塩を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、無機塩を含まない。いくつかの実施形態では、再構成液体は、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、1つ以上のデオキシヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、dATP、dGTP、dCTP、ならびにdTTPおよびdUTPのうちの少なくとも1つを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、核酸合成または増幅アッセイを実施するのに十分な試薬を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、捕捉プローブまたは加水分解プローブを含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、RNase阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、キレート剤を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、洗剤を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、有機溶質を含有しないか、または実質的に含まない。いくつかの実施形態では、再構成液体は、約1kDaよりも大きい分子量を有する有機溶質を含有しないか、または実質的に含まない。いくつかの実施形態では、再構成液体は、約10kDaよりも大きい分子量を有する有機溶質を含有しないか、または実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、参照された物質が存在するとしても、それが適切な目的、例えば再構成、検出、増幅などのために生じる組成物の適合性に影響を及ぼさないように十分低いレベルであることを意味する。
【0126】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、水中3.8~4.4mMのMgCl2、および50~80mMのKClを提供する。再構成液体は、いくつかある成分の中でも、0.012~0.020%のメチルパラベン、0.006~0.010%のプロピルパラベン、および/または0.26%の無水エタノールを含有することもできる。
【0127】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体および固体組成物(例えば、薬学的に活性な薬剤を含む固体組成物)が組み合わせされて、例えば、単回単位用量の薬学的に活性な薬剤を含む薬学的に許容される組成物を提供する。
【0128】
再構成時間は、固体組成物の意図する使用に好適な水溶液が固体組成物と接触した後、1秒未満、2秒未満、5秒未満、10秒未満、15秒未満、20秒未満、50秒未満、または60秒(1分)未満であってもよく、接触は、任意に、振とう、タッピングボルテックス、揺動、ピペットチップの出し入れ、または可鍛性バイアルの折り畳みもしくは圧搾のいずれかによって促進される。例示的な再構成時間は、2~10秒である。再構成時間は、再構成液体を用いて、冷蔵庫温度(約4℃)、約23℃の周囲温度溶液、または約37℃の温溶液のいずれかで測定され得る。典型的には、乾燥組成物は、冷蔵庫から取り出されており、再構成液体の添加前には冷たい。これらの手順のいずれに対する環境(部屋)も、典型的には周囲温度または約21℃~25℃、例えば23℃である。物質が再構成されると判定される時点は、例えば、物質が完全に可溶化されていると判定される時点であってもよい。完全な可溶化は、例えば、濁りがないことまたはシュリーレンパターンがないことが完全な可溶化の尺度である場合、目視検査によって判定され得る。あるいは、完全な可溶化は、光散乱を測定する機械などの光学機器によって判定され得る。
【0129】
任意の追加の成分(例えば、溶液中、固体組成物中、または再構成液体中)としては、PCR試薬、界面活性剤、プライマー、プローブ、鋳型、メチルパラベン、およびプロピルパラベンのうちのいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。メチルパラベンの典型的な濃度は、0.01~0.024重量%、例えば約0.016%、あるいは約0.010%、約0.014%、約0.016%、約0.020%、約0.024%、またはこれらの値によって境界が定められた任意の範囲である。プロピルパラベンの典型的な濃度範囲は、0.002~0.016%または0.008%、あるいは約0.002%、約0.004%、約0.006%、約0.008%、約0.010%、約0.012%、約0.014%、約0.016%、またはこれらの値によって境界が定められた任意の範囲である。
【0130】
いくつかの実施形態では、充填剤(例えば、溶液または固体組成物中に存在する)は、糖類を含む。例示的な充填剤は、トレハロースもしくはラフィノースまたはそれらの組み合わせである。使用され得る他の充填剤としては、スクロース、マンニトール、トレハロース+マンニトール、スクロース+マンニトール、スクロース+グリシン、およびヒドロキシエチルスターチが挙げられる。Cleland et al(2001)J.Pharm.Sci.90:310、Meyer et al(2009)Eur.J.Pharm.Sci.38:29、Webb et al(2003)J.Pharm.Sci.92:715、Garzon Rodrigues et al(2004)J.Pharm.Sci.93:684、Qiu et al(2012)Int.J.Pharmaceuticals.437:51)、Van Dijk-Wolthuis et al(1997)Polymer.38:6235 6242を参照されたい。ヒドロキシエチルデンプンは、ヘタスターチ、ヘキサスターチ、ペンタスターチ、およびテトラスターチとして分類される(例えば、ChowのWO2014/099198を参照されたい)。充填剤は、好ましくは、0.16M~0.32M、あるいは0.04~0.12M、0.08~0.16M、0.12~0.20M、0.16~0.24M、0.20~0.28M、0.24~0.32M、0.28~0.36M、0.32~0.40M、または0.08~0.24Mなどの前述の範囲の任意の組み合わせの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、充填剤は、スクロース、マンニトール、グリシン、ヒドロキシエチルデンプン、ラフィノース、またはトレハロースのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、充填剤は、トレハロースを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、1つ以上の酵素(例えば、溶液、固体組成物、または再構成液体中に存在する)は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の酵素は、熱安定性DNAポリメラーゼを含む。いくつかの実施形態では、熱安定性DNAポリメラーゼは、ホットスタート熱安定性DNAポリメラーゼであるか、または抗体と複合化している。いくつかの実施形態では、1つ以上の酵素は、約0.20U/uL~約0.72U/uLまたは約0.1U/uL~約0.6U/uLの濃度で前記溶液中に存在するDNA依存性ポリメラーゼ、逆転写酵素、または他の酵素を含む。
【0132】
DNAポリメラーゼ酵素は、市販されているか、またはユーザによって調製され得る。ポリメラーゼ酵素の一例は、Qiagenから市販されているTaqポリメラーゼ(Germantown,MD、カタログ番号201203)である。Taqポリメラーゼの別の例は、GoTaq(登録商標)G2 Flexi DNAポリメラーゼ(Promega,Madison,WI、カタログ番号M7801)として市販されている。市販されている他のDNAポリメラーゼとしては、Tth DNAポリメラーゼ(例えば、Sigma-Aldrich,St.Louis,MO、カタログ番号11480022001)、およびPhusion(登録商標)High-Fidelity DNAポリメラーゼ(NEB,Ipswich,MA、カタログ番号M0530S)などのキメラDNAポリメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。ホットスタートDNAポリメラーゼ酵素も市販されている。例えば、Taqポリメラーゼは、GoTaq(登録商標)ホットスタートポリメラーゼ(Promega、カタログ番号M5001)として市販されている。GoTaq(登録商標)ホットスタートポリメラーゼは、抗体媒介ホットスタート酵素であり、Taqポリメラーゼは、ポリメラーゼ活性を遮断する抗体に結合している。遮断抗体は、高熱を使用して変性し、したがってPCR反応の初期の加熱ステップ中に、抗体は変性し、ポリメラーゼ活性は回復する。ホットスタート法と共に、様々な抗体、例えば、TAQSTART抗体(Clontech Laboratories,Mountain View,CA、カタログ番号R028A)が使用され得る。同様に、化学的に媒介されたホットスタートポリメラーゼを含む他のホットスタートポリメラーゼ酵素が利用可能である。同等のポリメラーゼおよび抗体は、様々な商業的供給源から入手可能であり、あるいはユーザによって調製され得る。
【0133】
逆転写酵素は、市販されているか、または使用者によって調製され得る。市販の逆転写酵素の例としては、MMLV(マロニーマウス白血病ウイルス)逆転写酵素およびSuperScript(登録商標)III逆転写酵素(例えば、ThermoFisher Scientific,Carlsbad,CA、カタログ番号28025-013および18080-044)、MMLV RT(Sigma-Aldrich、カタログ番号M1302)、AMV逆転写酵素(NEB,Ipswich,MA、カタログ番号M0277S)、ならびにGoScript(商標)逆転写酵素(Promega、カタログ番号A50003)が挙げられるが、これらに限定されない。GoScript逆転写酵素は、逆転写酵素と、定量的PCR増幅のために最適化された第1鎖cDNAの合成のための試薬のセットとを含む。同等の逆転写酵素および試薬は、様々な商業的供給源から入手可能であり、あるいはユーザによって調製され得る。
【0134】
単回単位用量中のDNAポリメラーゼ酵素の例示的濃度は、0.01~1.0U/μLである。例えば、0.32U/μL、または0.4U/μL、または0.72U/μL、または0.32~0.4U/μL、または0.4~0.72U/μL、または0.05~0.3U/μL、または0.8~1.0U/μL。1単位のDNAポリメラーゼは、74℃、30分での酸不溶性物質への10ナノモルのdNTPの取り込みを触媒するのに必要とされる酵素の量として定義される。単回単位用量中の逆転写酵素の例示的な濃度は、0.01U/μL~1.0U/μLである。1単位の逆転写酵素は、37℃、10分での酸沈殿性物質への1nmolのデオキシヌクレオチドの転移を触媒するのに必要とされる酵素の量として定義される。
【0135】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド(複数可)(例えば、溶液、固体組成物、または再構成液体中に存在する)は、1つ以上の増幅オリゴマー(例えば、プライマー、プロモーター-プライマー)、捕捉プローブ、検出プローブTaqmanプローブ、陽性対照鋳型、および陰性対照鋳型である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、標識を含む。いくつかの実施形態では、標識は、蛍光、化学発光、親和性、または放射性標識である。いくつかの実施形態では、標識は、ヌクレオチドでも、リン酸塩でも、炭水化物でも、核酸塩基でもない。
【0136】
いくつかの実施形態では、核酸合成または増幅アッセイを実施するのに十分な試薬(例えば、溶液、固体組成物、または再構成液体中に存在する)は、プライマー、プロモーター-プライマー、またはプライマー対(任意にプロモーター-プライマーを含む)をさらに含む。いくつかの実施形態では、核酸合成または増幅アッセイを実施するのに十分な試薬は、緩衝剤、安定剤、保存剤、または他の補助物質のうちの1つ以上をさらに含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、緩衝剤(例えば、溶液、固体組成物、または再構成液体中に存在する)は、有機緩衝剤である。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、無機緩衝剤である。
【0138】
例示的な有機緩衝剤は、トリスである。本開示の溶液、固体組成物、または再構成液体に取り込まれ得る代替の有機緩衝剤としては、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、CHES、ヒスチジン、ならびにHEPES、MES、MOPS、トリシン、およびグリシンアミドなどのグッド緩衝剤、ならびに緩衝剤の組み合わせが挙げられる。他の有機緩衝剤としては、コハク酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、リン酸塩などが挙げられる。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、約5.5~約7.0または約6.0~約7.5のpH範囲、例えば約6.5のpHで有効である。この範囲内でpHを制御する緩衝剤の例としては、コハク酸塩(コハク酸ナトリウムなど)、グルコン酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩、および他の有機酸緩衝剤が挙げられる。
【0139】
いくつかの実施形態では、キレート剤(例えば、溶液、固体組成物、または再構成液体中に存在する)は、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、EGTA(エチレングリコール四酢酸)、EDDS(エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸)、MGDA(メチルグリシン二酢酸)、またはDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)のうちの1つ以上である。キレート剤の例示的な濃度は、約1mM~2.5mMである。
【0140】
いくつかの実施形態では、洗剤(例えば、溶液、固体組成物、または再構成液体中に存在する)は、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、または双性イオン性洗剤である。洗剤としては、多くの商業ベンダー(例えば、Geno Technology,Inc.,St.Louis,MO)から入手可能なイオン性(陽イオン性または陰イオン性)、非イオン性、および双性イオン性洗剤が挙げられる。例としては、ラウリル硫酸リチウム、アンプロリウム塩酸塩、塩化ベンザルコニウム、コリンp-トルエンスルホナート塩、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホナート、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムp-トルエンスルホナート、luviquat(商標)、メチルベンゼトニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロミド、N,N′,N′-ポリオキシエチレン(10)-N-獣脂-1,3-ジアミノプロパン液体、オキシフェノニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラキス(デシル)アンモニウムブロミド、トリカプリルイルメチルアンモニウムクロリド、アミドスルホベタイン-16、トリドデシルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムブロミドNonidet P-40(登録商標)、Tween-20(登録商標)、Tween-80(登録商標)、Brij-35(登録商標)、Triton X-100(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
RNase阻害剤タンパク質は、1:1の比でRNaseに非共有結合することによって、RNase Aファミリーおよびヒト胎盤RNaseを阻害する天然および組換え50kDaタンパク質を含む(Promega Corp.,Madison,WI)。Botella-Estrada et al(2001)Cancer Gene Ther.8:278、Polakowski et al(1992)EXS.61:428を参照されたい。RNase阻害剤の例示的な濃度は、約0.04U/μL~約0.4U/μLである。1単位は、5ngのリボヌクレアーゼAの活性を50%阻害するのに必要とされるRNasin(登録商標)リボヌクレアーゼ阻害剤の量として定義される。活性は、リボヌクレアーゼAによるシチジン2´,3´-環状一リン酸塩の加水分解の阻害によって測定される。
【0142】
いくつかの実施形態では、乾燥ステップの前に、溶液は、表面上に分注される。いくつかの実施形態では、分注ステップの前に、表面は、プラズマ処理されてプラズマ処理表面を形成する。
【0143】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、プラズマ処理表面の凹面内にある。いくつかの実施形態では、固体組成物は、プラズマ処理表面を含む槽内にある。いくつかの実施形態では、槽は、管を含む。いくつかの実施形態では、槽は、複数のウェルを含むマルチウェルプレートである。いくつかの実施形態では、槽、管、またはウェルの体積は、約40μL~約60mLの範囲である。いくつかの実施形態では、乾燥ステップの後に、固体組成物は、プラズマ処理表面を含む槽内に密封される。
【0144】
上述のように、ある特定の実施形態は、2つ以上のウェルを含むマルチウェルプレートを伴う。いくつかの実施形態では、2つ以上のウェルは、低い水蒸気透過率、熱伝導率、光透過性、低い自家蛍光、またはそれらの組み合わせを含む材料から構築された壁を含む。一態様では、1つ以上のウェルは、円錐形状の壁を含む。いくつかの実施形態では、2つ以上のウェルは、ウェル内に含まれる反応混合物に対してPCR増幅反応を実施するためのPCRサーマルサイクラに適合するように構成された壁を含む。いくつかの実施形態では、2つ以上のウェルは、PCR、TMA、または他の核酸増幅反応を実施するためのデバイスの熱伝導性管受容領域に適合するように構成された壁を含む。いくつかの実施形態では、2つ以上のウェルは、ウェルのチャンバにアクセスするための開口部を含む。いくつかの実施形態では、2つ以上のウェルは各々、関連するウェルの開口部を密封するためのキャップを含む。いくつかの実施形態では、2つ以上のウェルの各々の開口部は、低水蒸気透過率の箔であるキャップで密封される。いくつかの実施形態では、2つ以上のウェルの各々の開口部は、低水蒸気透過率のエラストマー物質であるキャップで密封される。一態様では、マルチウェルプレートは、本明細書に記載される2つ以上のウェルを含み、2つ以上のウェルの各々のチャンバは、ポリメラーゼ酵素と無機塩とを含む乾燥した単回単位用量組成物を含み、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントは、約0.311%~0.024%である。一態様では、マルチウェルプレートは、本明細書に記載される2つ以上のウェルを含み、2つ以上のウェルの各々のチャンバは、逆転写酵素と無機塩とを含む乾燥した単回単位用量組成物を含み、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントは、約0.311%~0.024%である。一態様では、マルチウェルプレートは、本明細書に記載される2つ以上のウェルを含み、2つ以上のウェルの各々のチャンバは、ポリメラーゼ酵素と、逆転写酵素と、無機塩とを含む乾燥した単回単位用量組成物を含み、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントは、約0.311%~0.024%である。
【0145】
本明細書に提供される固体組成物は、上記の再構成液体で再構成され得、次いで1つ以上のさらなるステップで使用され得る。分析される試料は、再構成の前、再構成と同時、または再構成の後のいずれかに固体組成物に添加され得る。いくつかの実施形態では、再構成後の全組成物は、試料と組み合わせるために使用され、ここで、再構成液体/試料の相対体積は、例えば、約9.9/0.1、9.8/0.2、9.5/0.5、9/1、8/2、7/3、6/4、5/5などであってもよい。
【0146】
例えば、いくつかの実施形態では、核酸が添加され、核酸は、少なくとも1つの核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応を受ける。いくつかの実施形態では、核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応は、核酸合成または増幅を含む。いくつかの態様では、核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応は、プローブを核酸にハイブリダイズして、ハイブリダイズされた複合体を形成することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、プローブのハイブリダイズされた複合体または核溶解を検出することをさらに含む。
【0147】
特に明記しない限り、溶液または再構成組成物中の試薬の濃度は、例えば、0.0%(省略された試薬)、0.001%、0.004%、0.008%、0.0012%、0.0016%、0.0020%、0.0030%、0.0040%、0.0050%、0.0060%、0.0080%、0.01%、0.02%、0.04%、0.06%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.8%、1%、2%、3%、4%、5%などであってもよい。上記の濃度の「約」、上記の濃度未満、上記の濃度よりも高い、上記の濃度のうちの任意の2つを伴う範囲にある試薬もまた提供される。
【0148】
プラズマ処理表面上の固体組成物に再構成液体を添加するなどの上述のステップを実施するために、自動試料採取ハンドリング装置が使用され得る。いくつかの実施形態では、試料もしくは鋳型、酵素、または塩などの追加の物質は、再構成と同時に、またはそれに続いて連続的に自動試料採取ハンドリング装置を使用して添加される。反応混合物が組み立てられ得、反応は、自動試料採取ハンドリング装置において実施され得る。いくつかの実施形態では、自動試料採取ハンドリング装置は、同時の複数アッセイ、例えば、PCR反応、転写媒介増幅、および標的捕捉ハイブリダイゼーションを実行することが可能なデバイス、例えば、Hologic(登録商標)Panther機器(Hologic,Inc.,MA)など、ピペッタ、ミキサ、インキュベータ、および洗浄ステーションを有するロボットデバイスである。
【0149】
1つ以上の酵素が存在する場合、無機塩が本質的に存在しないことは、乾燥前のバルク試薬の貯蔵中、密封前の乾燥組成物の短期貯蔵中、および密封後の長期貯蔵中の酵素活性の喪失および副生成物の形成を低減し得る。いくつかの実施形態では、全貯蔵後の酵素活性は、貯蔵開始直前の値の、あるいは最適な条件下で貯蔵された比較試料に対して少なくとも99%、少なくとも98%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、およびこれらの百分率によって境界が定められた範囲である。
【0150】
組成物の安定性は、例えば活性(すなわち、増幅の速度もしくは収率)または副生成物の形成から、乾燥生成物の再構成後に評価され得る。安定性の欠如は、乾燥の前または後のいずれかの貯蔵中の活性の喪失または副生成物の形成に起因し得る。副生成物の活性または形成は、絶対的または相対的な尺度であり得る。相対的であれば、比較のためのベースラインは、乾燥および再構成の前のバルク試薬混合物、または明確に試験用のものとは異なる対照再構成混合物(例えば、Mg2+の塩または別の塩の存在)であり得る。活性は、リアルタイム増幅率、または増幅産物の最終収率、またはヒット率によって評価され得る。副生成物は、ゲル電気泳動、ゲルスキャナ、アガロースゲル、キャピラリー電気泳動などのうちの1つ以上によってアッセイされ得る。
【0151】
再構成された増幅混合物の活性(異なる体積の再構成による任意の差に対して必要な場合は補正される)は、好ましくは、75、80、85、90、もしくは95%以内であるか、または乾燥前のバルク試薬の活性と実験誤差内で区別できない。再構成された増幅混合物内に存在する副生成物(異なる体積の再構成による任意の差に対して必要な場合は補正される)は、好ましくは、乾燥前にバルク試薬中に存在する元の化合物の20、15、10、5、4、3、2、もしくは1重量%未満または平均モルである。副生成物が検出限界未満である場合がある。
【0152】
上記の固体組成物は、キットで提供され得る。そのようなキットは、管などの槽内に乾燥組成物を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、2つ以上のウェルを含むマルチウェルプレートを含む。いくつかのキットは、別々の槽で供給される複数の乾燥組成物を含む。いくつかのキットは、マルチウェルプレートの2つ以上の密封されたウェルメンバー内に複数の乾燥組成物を含む1つ以上のマルチウェルプレートを含む。
【0153】
いくつかのキットはまた、乾燥組成物とは別の槽内に再構成液体を含む。再構成液体は、固体組成物を含む個々の槽にアリコートを分注するためにまとめて提供され得るか、または1つ以上の単位用量の形態で提供され得、各々は、固体組成物を含む単一の槽と組み合わせるためのものである。
【0154】
任意に、固体組成物を含む槽および再構成液体を含む槽は、脆弱材料によって分離され得る。脆弱材料は、アルミニウム箔、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはポリエチレンを含み得る。脆弱材料は、1、2、3、またはそれ以上の層を含むことができ、各層は、同じ組成を有するか、または各層は、PVC層と接触する箔層などの異なる組成を有する。フィルムは、例えば、Dow Chemical Co.,Midland,MIまたはArkema,Inc.,King of Prussia,PAから入手され得る。脆弱材料の穿孔は、再構成液体が固体(例えば、凍結乾燥)組成物と接触することを可能にする。
【0155】
キットは、サーモサイクラまたはインキュベータに適合するように設計され得、これにより酵素反応は、キットの区画内で直接起こって、組成物を異なる反応槽またはそのような槽を保持する容器に移す必要性を回避する。
【0156】
キットは、例えば、ポート、ホース、セプタムを穿刺する注射器によってキット内の槽へのユーザ供給試薬の導入のために適合され得るか(US2014/0121515およびUS2014/0276356を参照されたい)、あるいは核酸鋳型などのユーザ供給試薬は、ユーザ供給容器中で本開示の試薬と混合され得る。キットの区画のうちの1つ以上は、空の状態で供給され、混合チャンバとして使用され得る。
【0157】
部分的な数が、部分的な数が意味する範囲を指すことを理解して、全ての範囲がその範囲の全体的および部分的な数を含む。ほんの一例として、あるタイプのオリゴヌクレオチドについての核酸塩基長範囲は、部分的なヌクレオチド単位を指すことに意味がないため、部分的な数を含まず、温度長範囲は、温度測定が部分的な値であり得るため、部分的な数を含む。さらに、範囲は、その範囲を定義する値を含む。
【実施例】
【0158】
材料および方法
マルチウェルプラスチックカートリッジを、IoN 140プラズマチャンバなどの市販のプラズマ処理装置を使用して、空気またはO2中でコロナ放電を使用してプラズマ処理に供した。プラズマ処理の程度を、接触角測定によって監視した。未処理のマイクロプレートは、典型的には75°~100°の範囲の接触角を有していた。処理されたマイクロプレートは、典型的には11°~22°の範囲の接触角を示した。したがって、プラズマ処理は、接触角を約55°~90°減少させた。カートリッジ内のプラスチックの種類は、環状オレフィンコポリマーであった。
【0159】
トレハロース(約0.15M~約0.40M)を含有する水溶液を、未処理カートリッジウェルおよびプラズマ処理カートリッジウェルに、1ウェル当たり約15~約50μLの体積で分注した。異なる実験では、溶液を、例えば、上に提供されたパラメータと一致する異なるサイクル長を使用して凍結乾燥させた。凍結乾燥させる生成物の溶質濃度または不安定性などの考慮事項がより長いサイクルを支持しない限り、より高いスループットを提供するために、より短いサイクルが一般に好ましい。上述のように、最適な凍結乾燥パラメータは、製品に依存する。凍結乾燥トレハロースの固体組成物(ペレット)を、マイクロプレートおよびカートリッジのウェル中に形成した。
【0160】
未処理カートリッジウェル表面およびプラズマ処理カートリッジウェル表面へのペレットの付着を、以下のように落下試験を実施することによって評価した。
【0161】
試験される各カートリッジを、軟質発泡体上に120mmの高さに保持したそり上に配置した。そりを解放し、発泡体上に落下させた。カートリッジウェルを、ペレットが緩んでいないかどうかに関して調べた。これらのステップを、落下2~4について240、360、および440mmの連続的に増加する高さで繰り返した。軟質発泡体上への440mmの落下に続いて、軟質発泡体を堅いクッションと交換し、120、240、360、および440mmの高さから落下5~8を実施し、ペレットが各落下後に緩んでいないかどうかを観察した。堅いクッション上への440mmの落下に続いて、堅いクッションを硬質表面(コンクリートまたは鋼)と交換し、式h=20mm×(d-8)(式中、dは、落下数である)に従って高さhで落下9~32を実施した。例えば、落下9は、20mmから、落下10は40mmからなどであり、最大で落下32は、480mmからであった。落下33~98は各々、480mmから硬質表面上に実施した。
【0162】
実施例1.短期サイクル凍結乾燥を用いたプラズマ処理
図2A~2Bは、棒グラフを示し、各棒の高さは、未処理カートリッジ(「なし」)または4つのプラズマ処理カートリッジ(「プラズマ1」~「プラズマ4」)の12個のウェルの各々の中でペレットが緩む前に耐えた落下の数を示す。凍結乾燥をより短いサイクルを使用して実施した。
【0163】
ウェルへのペレットの付着は、プラズマ処理ウェルにおいて著しく強かった。未処理ウェルでは、ペレットは、平均9.1回の落下後に緩くなり、一方、プラズマ1、プラズマ2、プラズマ3、およびプラズマ4処理ウェルに関しては、ペレットは、それぞれ平均46.6、62.2、55.7、および59.4回の落下後に緩んだ。
【0164】
空気およびO2中でプラズマ処理したカートリッジを使用して、追加の実験を実施した。これらの実験において、ペレットは、74~88回の平均落下数の後に緩んだ(データは図示せず)。
【0165】
実施例2.長期サイクル凍結乾燥を用いたプラズマ処理
図3A~3Bは、棒グラフを示し、各棒の高さは、未処理カートリッジ(「なし」)、空気中でプラズマ処理した2つのカートリッジ(「プラズマ/空気1」および「プラズマ/空気2」)、ならびにO
2中でプラズマ処理した2つのカートリッジ(「プラズマ/O
21」および「プラズマ/O
22」)の12個のウェルの各々の中でペレットが緩む前に耐えた落下の数を示す。凍結乾燥をより長いサイクルを使用して実施した。
【0166】
ウェルへのペレットの付着は、プラズマ処理ウェルにおいて著しく強かった。未処理ウェルでは、ペレットは、平均12.5回の落下後に緩くなり、一方、プラズマ/空気1、プラズマ/空気2、プラズマ/O21、プラズマ/O22処理ウェルに関しては、ペレットは、それぞれ平均36.9、48.2、38.8、および45.0回の落下後に緩んだ。
【0167】
実施例1にあるようなプラズマ1、プラズマ2、プラズマ3、およびプラズマ4処理に供されたカートリッジを、トレハロース溶液で充填し、より長いサイクルを使用して凍結乾燥させた。ペレットは、35~41回の平均落下数の後に緩んだ(データは図示せず)。
【0168】
実施例3.プラズマ処理カートリッジの貯蔵
カートリッジを実施例1にあるようなプラズマ処理に供した。プラズマ処理後、カートリッジを1日、30日、90日、または100日のいずれかの期間、酸素含有環境中で貯蔵した。貯蔵期間の終わりに、カートリッジ内のウェルを糖類含有PCR反応溶液で充填し、溶液を凍結乾燥させた。プラズマ処理されなかった対照カートリッジもまた糖類溶液で充填し、凍結乾燥させ、1日、30日、90日、および100日の各々にわたって貯蔵した。
【0169】
凍結乾燥後、凍結乾燥物質を含むカートリッジの全てを、出荷および取り扱い条件を模倣するように設計されているパッケージ性能試験に供した。実施した個々の試験は、(i)初期手動取り扱い、ASTM D5276-98規格、スケジュールA、(ii)積み重ね振動、ASTM D4728-06規格、スケジュールD、(iii)ばら荷振動、ASTM D999-08規格、スケジュールF、(iv)集中衝撃、ASTM D6344-04規格、スケジュールJ、および(v)最終手動取り扱い、ASTM D5276-98規格、スケジュールAであった。試験後、凍結乾燥物質を含有する各カートリッジを目視検査し、PCRアッセイで使用した(再構成し、標的核酸と組み合わせ、増幅および検出条件に供した)。貯蔵時間に関係なく、プラズマ処理カートリッジは、カートリッジウェルの底部に付着した均一形状の乾燥組成物を含み、一方で、未処理カートリッジは、破壊および移動した組成物を含んだ。プラズマ処理カートリッジ内の物質に関するPCRアッセイ性能は、いかなる偽陰性もなく強固で均一な標的検出結果を提供したが、未処理カートリッジ内の物質に関するPCRアッセイ性能は一貫性がなく、多くの偽陰性を含んでいた。
【0170】
少なくとも100日間、不活性雰囲気中で貯蔵される(酸素の存在下で貯蔵されるなど)プラズマ処理カートリッジは、出荷および流通後も無傷で完全に活性な凍結乾燥物質を保持するが、未処理カートリッジはそうではない。
【0171】
本開示は、本開示の組成物、試薬、方法、診断法、実験室データなどによって限定されず、本開示は、本明細書に開示される任意の特定の、または好ましい実施形態によって限定されない。
***************************