(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】制御された電気化学的表面改質のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
C25D 5/02 20060101AFI20230303BHJP
B01J 23/89 20060101ALI20230303BHJP
B01J 31/22 20060101ALI20230303BHJP
C25B 3/25 20210101ALI20230303BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20230303BHJP
C25B 11/02 20210101ALI20230303BHJP
C25B 11/073 20210101ALI20230303BHJP
G01N 27/30 20060101ALI20230303BHJP
H01M 4/86 20060101ALN20230303BHJP
【FI】
C25D5/02 Z
B01J23/89 M
B01J31/22 M
C25B3/25
C25B9/00 G
C25B11/02
C25B11/073
G01N27/30 F
H01M4/86 M
(21)【出願番号】P 2019530715
(86)(22)【出願日】2017-12-11
(86)【国際出願番号】 NZ2017050160
(87)【国際公開番号】W WO2018106128
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-12-02
(32)【優先日】2016-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519201592
【氏名又は名称】マニュファクチュアリング システムズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホッセイニ,アリ
(72)【発明者】
【氏名】パートリッジ,アシュトン
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-530366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0270053(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 5/00- 7/12
C25B 11/00-11/097
G01N 27/26-27/404
H01M 8/00-8/0297
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極アレイ上の官能性表面に電荷密度を集中させ、前記電極アレイに曝露された導電性溶液中の活性種を電気化学的に改質する方法であって、:
a.前記電極アレイを提供するステップであって:
i.前記電極アレイが支持基板を備え、;
ii.前記電極アレイが前記支持基板の上面から突出する複数の表面構造を備え、前記複数の表面構造が電極層を含み;
iii.前記複数の表面構造の各々が前記電極層上に官能性表面を有し、前記官能性表面が前記複数の表面構造の上部に存在し、前記官能性表面は導電性溶液中の活性種に接触可能に構成され、前記官能性表面が前記電極層を介して電気的に接続されて官能性グループを形成する、
前記電極アレイを提供するステップと;
b.活性種を含み、対極が中に配置される前記導電性溶液に前記複数の表面構造を曝露するステップと;
c.前記電荷密度が前記電極層上の前記官能性表面に集中し、前記官能性表面との接触後に前記活性種が電気化学的に改質されるように、前記電極層上の前記官能性表面と前記対極との間に電流または電圧を発生させるステップと、
を含み、
前記活性種は電気化学的改質の後に前記官能性表面に選択的に付着する種を含み、前記官能性表面の大きさは集中する電荷密度によって可変であり、
前記官能性表面は、電荷密度が集中していない前記電極表面の別の表面と比較して付着が促進される領域である、
方法。
【請求項2】
前記官能性表面が、前記複数の表面構造のそれぞれの頂点に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記官能性表面が、前記複数の表面構造の頂点近傍に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の表面構造が、頂点までテーパーが付けられる、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の表面構造が、前記支持基板の最上面に対して平行な面に沿って実質的に三角形の断面を有する、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の表面構造の各々の前記頂点の幅が1nm~50ミクロンの間であり、前記支持基板に接続する場所での前記複数の表面構造の各々の幅が20nm~5000μmの間であり、前記複数の表面構造の各々の前記頂点における幅は、前記支持基板に接続する場所での前記複数の表面構造の幅よりも狭い、請求項2または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の表面構造の前記頂点が、前記頂点間で互いに50nm~1000μmだけ分離している、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記支持基板上の前記複数の表面構造の高さは、5nm~5mmの間である、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記表面構造は、前記支持基板上に均一に配列される、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記表面構造が、角錐型、円錐型、または隆起である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記対極の構造が、平坦、角錐型、円錐型、または隆起である、請求項1~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記官能性表面が、前記電極層と前記対極との間の前記電流または電圧による電気化学的改質によって活性化される触媒材料から形成される、請求項1~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記触媒材料がPt、Au、Niである、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記導電性溶液中の前記活性種が触媒を含み、前記触媒が、前記官能性表面との接触後の電気化学的改質によって活性化して、活性触媒が得られる、請求項1~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒が金属材料および有機金属材料から選択される、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記金属材料が、Pt、Au、およびNiの1つ以上から選択され、
前記有機金属材料が、遷移金属を有するフェロセン、ポルフィリン、またはフェナントロリン、イミダゾール、トリスピリジルアミン、ならびにトリアゾールの1つ以上から選択され、
前記遷移金属が、Ru、Fe、Mn、Mg、Cu、Ir、Co、Pt、Pd、Au、Agの1つ以上から選択される、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記活性種は、金属イオンから選択される荷電粒子である、請求項1~
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記金属イオンは、イオン形態の白金、金、パラジウム、鉄、イリジウム、銀、銅、合金、または遷移金属を含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記金属イオンは、Ni
2+、Cu
2+、Cu
+、Ag
+、Pt
2+,Pd
2+、Fe
2+、Ir
2+またはSc、Ti、Vn、Cr、Mn、Co、Zn、Auの遷移金属イオンからなる群から選択される、請求項
17または請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記電極アレイが、前記官能性表面と、前記電極アレイの別の表面の少なくとも一部とを覆う結合層を含み、前記電極層と前記対極との間に電流を発生させる前記ステップによって、前記電極アレイ上の別の位置と比較して、前記官能性表面から前記結合層が選択的に除去される、請求項1~
19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項
20に記載の方法であって、
第1の結合層の選択的除去が行われた前記官能性表面上にさらなる結合層を選択的に堆積させるステップをさらに含む、方法。
【請求項22】
前記電極アレイが結合層を含み、前記選択的堆積の結果として、前記結合層が、前記電極アレイ上の非官能性表面におけるよりも高い密度で前記複数の表面構造上のそれぞれの前記官能性表面上に存在するか;または前記複数の表面構造上のそれぞれの前記官能性表面上のある位置よりも高い密度で前記電極アレイの非官能性表面上に存在するかのいずれかである、請求項
20または請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
前記結合層が自己組織化単層(SAM)を含む、請求項
20~
22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記SAMは、以下から選択される、請求項
23に記載の方法。
a.C6~C24またはそれらの組合せの炭素鎖を含む長鎖分子;
b.C5~C1またはそれらの組合せの炭素鎖を含む短鎖分子;
c.C6~C24の炭素鎖を含む長鎖分子およびC5~C1の短鎖分子を含む混合SAM。
【請求項25】
a.前記長鎖SAMはまたアジド、アミン、カルボキシレート、アルデヒド、ケトン、エステルまたはカルボン酸からなる群から選択される分子を含み、
b.前記短鎖SAMはまたアルカン、アジド、アミン、ヒドロキシル、カルボキシレート、またはカルボン酸からなる群から選択される分子を含む、
請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記SAMはC5~C1の炭素鎖を含む短鎖分子を含み、前記表面構造の前記上部は、
a.SAMを含まないか;
b.前記SAMが電極層と対極との間に電流を発生させることによって除去されるように構成され、
また、前記SAMはC6~C24の炭素鎖を含む長鎖分子を含み、前記表面構造の前記上部は、
a.SAMを含まないか;
b.前記SAMが電極層と対極との間に電流を発生させることによって除去されるように構成される、請求項
23~
25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記電極アレイが、前記表面構造の前記頂点における触媒と、前記表面構造の間の共触媒とを含み、前記共触媒が、金属のいずれか1つ以上の酸化物から選択される、請求項1~
26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記表面構造が前記支持基板と一体である、請求項1~
27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記電極アレイが、前記表面構造の間に、架橋ポリマー、フォトレジスト、自己組織化単層(SAM)、エポキシ系ネガ型フォトレジスト、およびSU-8からなる群から選択される不動態化層を含む、請求項1~
28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記対極が、不活性導電性材料、金属、Pt、金、炭素、黒鉛、グラフェン、炭素繊維、カーボンナノチューブ、バッキーボール、導電性ポリマーPPy(ポリピロール)、PA(ポリアセチレン)からなる群から選択される材料から形成される、請求項1~
29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記対極が、(a)前記表面構造に対して固定された向きにある、(b)前記電極アレイに付着される、(c)前記電極アレイの前記複数の表面構造それぞれとの間の距離の差が最小限となる向きに保持される、または(d)前記電極アレイの上面の上方にある、請求項1~
30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記対極と前記電極層との間で発生した電位差が-2V~+2Vの間である、
好ましくは、前記電位差が-200mV~-1Vの間である、および/または
前記電極層と前記対極との間に発生する前記電流が、活性化電位と不活性化電位との間のパルスとなる、
請求項1~
31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
電極アレイであって:
a.支持基板と;
b.前記支持基板の上面から突出する複数の表面構造であって、電極層を含む前記複数の表面構造と;
c.前記複数の表面構造の各々が前記電極層上に官能性表面を有し、前記複数の表面構造の上部に前記官能性表面が存在し、導電性溶液中の活性種と接触可能に構成される官能性表面と;
d.結合層であって:
i.前記電極アレイ上の非官能性表面におけるよりも高い密度で前記官能性表面上に存在するか;
ii.前記表面構造上の前記官能性表面上のある位置よりも高い密度で前記電極アレイの非官能性表面上に存在するか、
のいずれかである結合層と、
を含み、前記官能性表面が、前記表面構造の頂点またはその近傍に存在し、
前記活性種は電気化学的改質の後に機能的表面に選択的に付着する種を含み、前記官能性表面の大きさは集中された電荷密度によって可変であり、
前記官能性表面は、電荷密度が集中していない前記電極表面の別の表面と比較して付着が促進される領域である、
電極アレイ。
【請求項34】
前記表面構造が、頂点間で互いに50nm~1000μmだけ分離している、または
前記表面構造が、頂点間で互いに5nm~1000μmだけ分離しており、この分離が均一である、
請求項
33に記載の電極アレイ。
【請求項35】
前記結合層が自己組織化単層(SAM)を含む、請求項
33または請求項
34に記載の電極アレイ。
【請求項36】
前記結合層は、荷電粒子を含み、
好ましくは、前記荷電粒子は金属イオンであり、
好ましくは、前記金属イオンは、イオン化した白金、金、パラジウム、鉄、イリジウム、銀、銅、合金、または遷移金属を含む、
請求項
33~請求項
35のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【請求項37】
前記官能性表面が、前記支持基板上の不動態化層によって、別の表面構造上の別の官能性表面から分離される、請求項
33~
36のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【請求項38】
前記表面構造またはその上部分が、円錐型、角錐型、もしくは隆
起であり、
任意選択で、前記表面構造が前記支持基板と一体である、
請求項3
3~3
7のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極表面上の活性種の位置または改質を制御するための集中した電荷密度(電圧および/または電流)の使用に関する。特に、排他的なものではないが、本発明は、電気化学的な検知、触媒作用、堆積、または改質を可能にする表面構造の先端における化学種の付着または除去に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の用途において、電極上の活性種(たとえば検知物質または触媒)の局在化は重要である。たとえば、センサー、燃料電池の触媒作用、ならびに水素および酸素の製造または貯蔵。
【0003】
近年、ナノ材料およびナノテクノロジーには、そのマクロスケールの同等物とは異なるナノ寸法における興味深い性質のために大きな関心が寄せられている。これらの材料によって示される特異な電子挙動は、先進材料およびデバイス小型化における新しい技術のために利用することができ、これによって医療診断、環境分析、食品産業、および生化学的研究における多数の用途が開けている。
【0004】
高い感度および精度を有するセンサーを製造するためには、表面上に活性種を共有結合的に静電気的または超分子的のいずれかで堆積し、次にその表面を標的検体に曝露することが望ましいことが多い。検知目的の場合、その活性種の定性的または定量的変化が検出される。活性種としては、有機種(たとえばDNA、抗体、バイオマーカー、アプタマー)または無機種(たとえば有機金属、金属、無機塩)が挙げられる。しかし、表面上の活性種の堆積を実現する能力は、機械的製造方法を用いる場合に限定されることが多い。そのため、堆積を実現するために多数の技術が開発されている。
【0005】
堆積を実現するために使用される技術の1つは、末端反応性官能基を含む自己組織化単層(SAM)を用いることである。一般的な反応性官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、エチニル基、またはアジド基が挙げられる。SAMは表面上に集合し、それ自体がベース基板上に堆積されうる。SAMは、典型的には、ベース基板(たとえばSi、ガラス、またはポリマー)上に堆積された導電性表面上に集合される。
【0006】
SAMは、SAM成分を含む液体に基板/電極表面を接触させることによって、または気相成長によって、またはラングミュア・ブロジェット法によって液体形態での取り付けまたは堆積が行われる。これらの方法では、希釈剤を液体に加えることによって隣接する官能基の間の平均距離が調節可能となる。さらに、導電性表面は、電気化学的に誘発されるSAMの付着および官能化の選択肢を提供するための電極として機能することができる。
【0007】
SAM官能化電極上に活性種を堆積するために使用される反応は、化学的付着または電気化学的付着のいずれかによるものであってよい。化学的固定は典型的には、SAMの反応性官能基(たとえば、EDC/NHSを用いたCOOHの活性化)または活性種(たとえばまたはCu(I)触媒によるアジドアルキン付加環化)のいずれかの化学的活性化によって実現される。しかし、化学的活性化は、固定の位置を制御することができず、その代わりにSAM表面全体に及ぶ。そのため活性種の付着位置や密度を選択することができない。
【0008】
別の電気化学的方法では、官能基を表面に結合させ、それらの官能基が溶液中の標的検体と相互作用し、検出可能な応答を媒介することが望ましい。活性種による電極表面の官能化は、溶液中の活性種上の官能基と、電極表面上の化学的に適合する受容基との間の化学反応によって実現できる。しかし、現在まで、電極上の官能基の結合位置の正確な空間的制御を高精度で行うことはできていない。
【0009】
金属、有機金属錯体、または他のイオン種の制御された堆積は、触媒作用、フォトニック材料、マイクロチップリアクター、およびバイオセンサーなどの分野において重要である。金属堆積のために種々の方法が現在では使用されている。しかし、現行方法は付着位置の選択性が不足している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって本発明の目的の1つは、従来技術の欠点の少なくとも1つを克服するまたは改善する、電荷密度(電圧または電流)の電気化学的な表面改質、堆積、検知、または触媒作用を集中させる装置および方法を提供することである。本発明のさらなる目的または別の目的は、少なくとも有用な選択を公共に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様では、本発明は、電極アレイ上の官能性表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させる方法であって:
a.電極アレイであって:
i.支持基板と;
ii.支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
iii.電極層上の官能性表面であって、少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、導電性溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と、
を含む電極アレイを提供するステップと;
b.対極が中に配置される導電性溶液に表面構造を曝露するステップと;
c.電荷密度が電極層上の官能性表面に集中するように、電極層上の官能性表面と対極との間に電流または電圧を発生させるステップと、
を含む方法を提供する。
【0012】
好ましくは、官能性表面は、表面構造の頂点またはその付近に存在する。
【0013】
好ましくは、官能性表面は、表面構造の頂点またはその付近に存在し、表面構造は、頂点に向けてテーパーが付けられる、および/または支持基板の最上面に対して平行な面に沿って実質的に三角形の断面を有する。
【0014】
好ましくは、官能性表面は、表面構造の頂点またはその付近に存在し、それぞれの表面構造の頂点の幅は、約1nm~約5000ミクロンの間、約1nm~約500ミクロンの間、約1nm~約50ミクロンの間である。
【0015】
好ましくは、官能性表面は、表面構造の頂点またはその付近に存在し、それぞれの表面構造の頂点の幅は約1nm~約50ミクロンの間であり、支持基板に接合する場所での表面構造の幅は約20nm~約5000μmの間であり、表面構造の頂点における幅は、支持基板に接合する場所での表面構造の幅よりも狭い。
【0016】
好ましくは、官能性表面は、表面構造の頂点またはその付近に存在し、表面構造の頂点は、頂点間で約50nm~約1000μmだけ互いに分離している。
【0017】
好ましくは、表面構造は、角錐型、円錐型、隆起、またはそれらの組合せである。
【0018】
好ましくは、対極構造は、平坦、角錐型、円錐型、または隆起である。
【0019】
好ましくは、対極の形状は、表面構造の形状を反映している。
【0020】
好ましくは、対極は表面構造に対して平行である。
【0021】
好ましくは、活性種は、官能性表面と接触した後に電気化学的に改質される。
【0022】
好ましくは、活性種は、官能性表面と接触した後に電気化学的に改質され、平坦電極との比較における電気化学的改質熱力学的効率および速度論的効率は、対応する平坦電極よりも改善される。
【0023】
好ましくは、官能性表面は、電気化学的活性化が可能な触媒を含む。
【0024】
好ましくは、官能性表面は触媒を含み、この触媒は、電流または電圧の印加によって活性化されて活性触媒が得られ、平坦面上の同じ材料と比較して触媒回転率が改善される。
【0025】
好ましくは、触媒は金属材料および有機金属材料から選択される。
【0026】
好ましくは、金属材料はPt、Au、およびNiから選択される。
【0027】
好ましくは、有機金属材料は、遷移金属を有するフェロセンおよびポルフィリン、またはフェナントロリン、ポルフィリンイミダゾール、トリスピリジルアミン、ならびにトリアゾールから選択される(フェロセンは既に遷移金属を含み、ポルフィリンは場合により遷移金属を含むことができる)。
【0028】
好ましくは、遷移金属は、Ru、Fe、Mn、Mg、Cu、Ir、Co、Pt、Pd、Au、Ag、Mgから選択される。
【0029】
好ましくは、電極アレイは結合層を含み、この結合層は、電極アレイ上の非官能性表面よりも顕著に高い密度で官能性表面上に存在するか、表面構造上の官能性表面の一部よりも顕著に高い密度で電極アレイの非官能性表面上に存在するかのいずれかである。
【0030】
好ましくは、結合層は自己組織化単層(SAM)を含む。
【0031】
好ましくは、アレイは、表面構造の頂点における触媒と、表面構造の間の谷の中の共触媒とを含み、触媒は前述のように選択され、共触媒は、金属(たとえばルテニウム、ニッケル、アルミニウム、カルシウム、セリウム、ガリウム、ハフニウム、鉄、ランタン、マグネシウム、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、または亜鉛)のいずれか1つ以上の酸化物から選択される。
【0032】
好ましくは、本方法によって、平坦電極と比較して触媒作用の速度の増加も実現される(速度論的効率-すなわち触媒作用が起こる速度であり、主として、反応物および生成物が触媒表面まで拡散し、触媒表面から拡散する速度に関連する)。
【0033】
好ましくは、本方法によって、金属および有機金属の両方の電気触媒の場合にレドックス触媒反応の推進に必要な力の減少も実現される(熱力学的効率-すなわち電気触媒反応を推進するのに必要なエネルギー)。
【0034】
好ましくは、本方法によって、平坦面を有する電極と比較して速度論的効率および熱力学的効率の両方の増加が実現される。
【0035】
別の一態様では、本発明は、電極アレイ上の官能性表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させ、そのアレイに曝露した導電性溶液中の活性種を電気化学的に改質させる方法であって:
a)電極アレイであって:
i)支持基板と;
ii)支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
iii)電極層上の官能性表面であって、少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、導電性溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と、
を含む電極アレイを提供するステップと;
b)活性種を含み対極を中に含む溶液に表面構造を曝露するステップと;
c)電荷密度が官能性表面に集中し、官能性表面との接触後に活性種が電気化学的に改質されるように、電極層と対極との間に電流または電圧を発生させるステップと、
を含む方法を提供する。
【0036】
本発明は、電極アレイ上の官能性表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させる方法であって:
a.電極アレイであって:
i.支持基板と;
ii.3次元構造を形成するために支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
iii.電極層上の官能性表面であって、少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、導電性溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と、
を含む電極アレイを提供するステップと;
b.活性種を含み、中に配置された対極を含む溶液に表面構造を曝露するステップと;
c.電荷密度が官能性表面に集中し、官能性表面との接触後に活性種が電気化学的に改質されるように、電極層と対極との間に電流または電圧を発生させるステップと、
を含み;
官能性表面と支持材料の上面とが同じ材料から形成され、使用中、電気化学的活性は、官能性表面に集中し、支持基板の上面とは違いが生じる、方法も提供する。
【0037】
本発明は、電極アレイ上の官能性表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させる方法であって:
a.電極アレイであって:
i.支持基板と;
ii.3次元構造を形成するために支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
iii.電極層上の官能性表面であって、少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、導電性溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と、
を含む電極アレイを提供するステップと;
b.活性種を含み、中に配置された対極を含む溶液に表面構造を曝露するステップと;
c.電荷密度が官能性表面に集中し、官能性表面との接触後に活性種が電気化学的に改質されるように、電極層と対極との間に電流または電圧を発生させるステップと、
を含み;
官能性表面と支持材料の上面とが同じ材料から形成され、使用中、電気化学的活性は、官能性表面に集中し、支持基板の上面とは違いが生じる、方法も提供する。
【0038】
好ましくは、官能性表面は、表面構造の頂点またはその付近に存在する。
【0039】
第1の態様の第1の実施形態では、活性種は触媒を含み、この触媒は、官能性表面との接触後に電気化学的改質によって活性化されて活性触媒が得られる。
【0040】
好ましくは、官能性表面は、電極層と対極との間の電流または電圧による電気化学的改質により活性化される触媒材料から形成される。
【0041】
好ましくは、触媒は、活性触媒を形成するための還元または酸化が可能である。
【0042】
好ましくは、触媒はレドックス活性種を含む。
【0043】
好ましくは、触媒は、銅、遷移金属、有機金属錯体、遷移金属を含む有機金属錯体、酸化または還元されることが可能な有機材料を含む。
【0044】
好ましくは、触媒の電気化学的活性化は、官能性表面における触媒の酸化または還元を含む。
【0045】
好ましくは、触媒は2つ以上の酸化状態を含む。
【0046】
好ましくは、触媒は、少なくとも1つの酸化状態において不活性であり、少なくとも1つの別の酸化状態において別の導電性溶液(すなわち活性種を含む導電性溶液とは異なる)または同じ導電性溶液中の溶質反応物と結合層との間の反応を触媒する。
【0047】
好ましくは、触媒の電気化学的活性化は、活性化が電極層上の別の表面位置において起こるよりも、官能性表面において実質的に速い速度で起こる。
【0048】
一実施形態では、本方法は、溶液中の活性種を電気化学的に活性化させて活性触媒を得るステップをさらに含む。
【0049】
好ましくは、活性触媒は、別の導電性溶液(すなわち活性種を含む導電性溶液とは異なる)または同じ導電性溶液中の溶質反応物と結合層との反応を触媒し、本方法は、官能性表面上の結合層に溶質反応物を付着させるステップをさらに含む。
【0050】
好ましくは、活性触媒は、溶質反応物と結合層との反応を触媒することで、官能性表面上に付着した生成物が得られる。
【0051】
好ましくは、活性種は銅(II)を含み、電気化学的に活性化された触媒は銅(I)を含む。
【0052】
好ましくは、官能化された表面への溶質反応物の付着の開始は、レドックス過程によって行われ、たとえばテトラジンおよびキノンを含むことができる。
【0053】
好ましくは、溶質反応物と結合層との間の反応は、銅(I)触媒によるアジドアルキン付加環化反応である。
【0054】
好ましくは、溶液は、アルカリ金属塩化物イオンおよび銅2+イオンを有する緩衝溶液を含む。
【0055】
好ましくは、溶質反応物は、活性触媒の存在下で結合層上の官能基と反応する官能基を有する化合物を含む。
【0056】
好ましくは、溶質反応物は、アルキン、タトラジン(tatrazine)、キノン、アジド、アルケン、カルボン酸、エステル、ケトン、アルデヒド、アルコール、およびアミンからなる群から選択されるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、アルキンはアセチレンを含む。
【0057】
好ましくは、溶質反応物は、溶質反応物と結合層との反応の後の官能性表面への付着に適合した検出部分をさらに含む。
【0058】
好ましくは、検出部分は、タンパク質検出、電気化学的検出、光学的検出、比色検出、ケミルミネッセンス検出、蛍光検出、生物発光、化学蛍光、またはラジオグラフィー検出を用いた検出が可能である。
【0059】
好ましくは、検出部分を有する溶質反応物は、フルオロフォア、エチニル官能化フルオロフォア、タンパク質、有機触媒、有機金属触媒、抗体、核酸、DNA、RNA、小分子、または官能基、たとえばカルボン酸、アミン、アルコール、エステル、ケトン、およびアルデヒドからなる群から選択されるものを含む。
【0060】
好ましくは、結合層は自己組織化単層を含む。好ましくは、SAMは官能基で官能化される。好ましくは、官能基は、アジド、カルボン酸、アミン、アルコール、エステル、ケトン、シアノ、およびアルデヒドからなる群から選択される。
【0061】
好ましくは、活性種は、結合層に付着可能な溶質反応物を含む。
【0062】
好ましくは、結合層は:
・官能性表面;
・表面構造;
・不動態化層;または
・支持基板
の少なくとも1つの上に存在する。
【0063】
好ましくは、第1の態様の第1の実施形態の方法は:
・官能性表面;
・表面構造;
・不動態化層;または
・支持基板
の少なくとも1つの上にSAMを堆積するステップをさらに含む。
【0064】
好ましくは、第1の実施形態の方法は、電極アレイ上にSAMを堆積するステップを含まない。
【0065】
好ましくは、SAMを堆積するステップは、官能性表面と接触させた後に活性種を電気化学的に活性化させて活性触媒を得る前に行われる。
【0066】
好ましくは、SAMを堆積するステップは、官能性表面上の結合層に溶質反応物を付着させる前に行われる。
【0067】
特定の一実施形態では、結合層は、アジド、テトラジン、キノン、カルボン酸、アミン、アルコール、エステル、ケトン、シアノ、およびアルデヒドからなる群から選択される。
【0068】
好ましくは、官能性表面上の結合層は、電極層と対極との間に電流が流れる間は実質的に安定である。
【0069】
好ましくはSAMはC6~C16の炭素鎖を含み、より好ましくはSAMはC11~C16の炭素鎖を含む。好ましくは炭素鎖は、C6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16のいずれか1つ以上であってよい。
【0070】
好ましくは、SAMは、C6~C16、より好ましくはC11~C16の炭素鎖の混合物を含むことができる。
【0071】
好ましくは、炭素鎖は、アルカン、アルケン、アルキン、または芳香族構造、およびそれらの混合物である。
【0072】
好ましくは、付着生成物は:
a.官能基、たとえば、カルボン酸、アミン、アルコール、アルデヒド、ビオチン、アビジン、アジド、およびエチニルからなる群から選択されるもの;
b.溶液中の標的検体に結合するように適合した結合剤、たとえば、抗原、抗体、抗体フラグメント、一本鎖可変フラグメント、ビオチン化タンパク質、ペプチド、核酸、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、ポリヒスチジンもしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼを含有する組み換えにより発現したタンパク質、アテチレニックキノン(atetylenic quinone)、アジド、テトラジン、大型もしくは小型アミン含有分子、スルフヒドリル含有分子もしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を発現するタンパク質、金属および金属塩(鉛、リン酸鉛、クロム、白金、パラジウム、イリジウム、銅など)、ssDNA、ssRNA、miRNA、mRNA、アプタマー、ならびにスペーサー分子を有するおよび有さない小分子からなる群から選択されるもの;
c.溶液中の反応を触媒する触媒種、たとえば銅、遷移金属、有機金属錯体、遷移金属を含む有機金属錯体、または酸化もしくは還元されることが可能な有機材料からなる群から選択される触媒;ならびに
d.検出部分、たとえば、フルオロフォア、エチニル官能化フルオロフォア、タンパク質、抗体、核酸、DNA、RNA、小分子、または官能基、たとえばカルボン酸、アミン、アルコール、エステル、ケトン、およびアルデヒドからなる群から選択されるもの、からなる群から選択されるもの、
からなる群のいずれか1つ以上から選択される。
【0073】
好ましくは、付着生成物は、トリアゾール、アミド、キノン、およびエステル、またはそれらの混合物からなる群から選択される。当業者に知られるような代替物を使用することもできる。
【0074】
第1の態様の第2の実施形態では、電極アレイは、官能性表面と、アレイの別の表面の少なくとも一部とを覆う結合層を含み、電極層と対極との間の電流を発生させるステップによって、電極アレイ上の別の位置と比較して、官能性表面から結合層が選択的に除去される。
【0075】
好ましくは、第1の態様の方法は、電極アレイ上の別の位置と比較して、官能性表面から結合層の少なくとも一部を選択的に除去するステップをさらに含む。
【0076】
好ましくは、第1の態様の方法は、第1の結合層の選択的除去が行われた官能性表面上にさらなる結合層を選択的に堆積するステップをさらに含む。
【0077】
好ましくは、電極アレイは、表面構造の下部の上に存在するが表面構造の上部には存在しない結合層を含み、本方法は、官能性表面上にさらなる結合層を選択的に堆積するステップをさらに含む。
【0078】
好ましくは、活性種は、電荷キャリア種またはイオン種、たとえば緩衝剤、塩種、およびNaClからなる群から選択されるものの中で溶媒和される。
【0079】
好ましくは、結合層は自己組織化単層(SAM)を含む。
【0080】
好ましくは、第1の態様で規定される電極アレイは自己組織化単層(SAM)をさらに含む。
【0081】
好ましくは、SAMは電極層の上面上に存在する。
【0082】
好ましくは、SAMは支持基板の上面上に存在する。
【0083】
好ましくは、表面構造またはその一部が突出して、露出した官能性表面をその上に有するように、SAMは表面構造の周囲に存在する。
【0084】
好ましくは、SAMは、アルカン、アルケン、アルキン、または芳香族であってよいC6~C24の炭素鎖を含む長鎖分子を含む。好ましくは、C6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24、またはこれらの混合物。
【0085】
好ましくは、SAMは、C10以下の炭素鎖を含む短鎖分子を含む。好ましくは、C1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10またはこれらの混合物。
【0086】
好ましくは、SAMは、アルカン、アルケン、アルキン、または芳香族であってよい、長鎖(前述のようなC10~C24)および短鎖(前述のようなC1~C10)の分子を含む混合SAMである。
【0087】
好ましくは、混合SAMは、C6~C24(前述の通り)の炭素鎖を含む長鎖分子と、C5~C1(前述の通り)の短鎖分子とを含む。
【0088】
好ましくは、長鎖SAMは、アジド、アミン、カルボキシレート、アルデヒド、ケトン、エステル、もしくはカルボン酸、またはそれらの混合物からなる群から選択される分子を含む。このような分子は、SAMの主鎖中に存在する。
【0089】
好ましくは、短鎖SAMは、アルカン、アジド、アミン、ヒドロキシル、カルボキシレート、もしくはカルボン酸、またはそれらの混合物からなる群から選択される分子を含む。このような分子は、SAMの主鎖中に存在する。
【0090】
特定の一実施形態では、SAMは、C6を超えるカルボン酸分子を含む長鎖分子と、ヒドロキシル分子を含む短鎖分子との混合物を含む。上記実施形態では、SAM長鎖分子は、好ましくはC6~C24分子から選択される。
【0091】
好ましくは、SAMは、電極アレイ上に存在するが、前述の規定の表面構造の上部には存在しない。
【0092】
好ましくは、SAMは、C5以下の炭素鎖を含む短鎖分子を含み、表面構造の上部は、a.SAMが存在しないか、b.電極層と対極との間に電流を発生させることによって除去されるようにSAMが適合しているかのいずれかである。
【0093】
好ましくは、SAMは、C6~C24の炭素鎖を有する長鎖SAMを含み、表面構造の上部は、a.SAMが存在しないか、b.電極層と対極との間に電流を発生させることによって除去されるように適合したSAMを含むかのいずれかである。
【0094】
特定の一実施形態では、電極アレイは、表面構造の上部および下部の上にSAM結合層を含み、活性種が官能性表面に接触すると、電荷密度(電圧または電流)が集中する表面構造の上部からSAM結合層が選択的に除去される。この実施形態では、この方法は、官能性表面における電極層の現在露出した部分の上にさらなる結合層を選択的に堆積するステップをさらに含む。
【0095】
好ましくは、SAMは、末端メチルを有するアルカンチオール、アジド、チオール、アルデヒド、シアノ、ジアゾニウム、アミン、アルコール、シラン、ホスホン酸、およびカルボン酸からなる群から選択される。
【0096】
特定の実施形態では、SAMは以下のものを含む:
R-(芳香族)n-SH、アルカン、アルケン、アルキン、または芳香族。主鎖(アミドエステルなど)が加えられる
R-(CH2)n-SH、R-(CH2)n-NH2、または
R-(CH2)n-Si(OR’)3
ここで、R=アルキル、カルボン酸、アミン、アルデヒド、アルコール、アジド、キノン、またはテトラジンであり;
R’=Me、MeOH、Cl、(ハライド)、Et、EtOHであり;
n=1~50である。
【0097】
好ましくは、SAMは、溶質反応物と反応する官能基を含む。好ましくは、この官能基は末端官能基である。
【0098】
好ましくは、第1の態様の方法は、アレイの別の位置と比較して、官能性表面上での結合層の選択的な堆積をさらに含む。
【0099】
好ましくは、さらなる結合層は、SAM-COOH、SAM-C-NH2、SAM-N3からなる群から選択される官能基を含み、ここでSAMは自己組織化単層を含む。
【0100】
好ましくは、さらなる結合層を堆積するステップは、官能性表面上の結合層への活性種のカップリングを含む。好ましくは、このカップリングは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド/N-ヒドロキシスクシンイミド(EDC/NHS)カップリング反応を含む。
【0101】
好ましくは、結合層は、抗原、抗体、抗体フラグメント、一本鎖可変フラグメント、ビオチン化タンパク質、ペプチド、核酸、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、ポリヒスチジンもしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼを含有する組み換えにより発現したタンパク質、アテチレニックキノン(atetylenic quinone)、アジド、テトラジン、大型もしくは小型アミン含有分子、スルフヒドリル含有分子もしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を発現するタンパク質、金属および金属塩(鉛、リン酸鉛、クロム、白金、パラジウム、イリジウム、銅など)からなる群から選択される結合剤をさらに含む。
【0102】
好ましくは、活性種は、電気化学的な還元または酸化のための電位を有する要素を含む。好ましくは、活性種は、前述のような結合剤、または結合層に結合可能な官能基を含む。好ましくは、官能基は、COOH、NH2、アジド、エチニル、生物活性ビオチン、アビジン、シアノ、アルデヒド、エステル、ケトン、キノン、およびテトラジンからなる群から選択される。
【0103】
好ましくは、結合剤は、溶液中の標的検体に結合可能である。好ましくは、結合剤は、核酸、ssDNA、ssRNA、miRNA、mRNA、アプタマー、抗体、スペーサー分子を有するおよび有さない小分子からなる群から選択される。
【0104】
好ましくは、第1の態様のステップa)で提供される電極アレイは、支持基板上に堆積され表面構造の上部を覆う不動態化層を含む。
【0105】
好ましくは、電荷密度(電圧または電流)を集中させるために電流または電圧を印加するステップによって、表面構造の上部上の官能性表面上の不動態化層が除去される。
【0106】
好ましくは、不動態化層は、対極と電極表面との間に還元電位または酸化電位を印加することによって除去される。好ましくは、この電位は、銀/塩化銀参照電極を基準として-2V~+2Vの間、好ましくは-200mV~-1Vの間、好ましくは-400mVである。
【0107】
好ましくは、不動態化層は、電極表面に結合するための官能基を含む。一実施形態では、不動態化層は、本明細書に記載され規定される結合層を含む。一実施形態では、不動態化層はSAMを含む。好ましくは、SAMは、硫黄原子によって電極表面に結合する。好ましくは、電極表面は金である。好ましくは、SAMは、官能基、たとえばアルキル鎖をさらに含み、好ましくは官能基上のアミンにカップリングしたカルボン酸をさらに含む。
【0108】
好ましくは、不動態化層はフォトレジストまたはタンパク質である。
【0109】
好ましくは、電極アレイは、表面構造の間に不動態化層を含む。好ましくは、不動態化層は、架橋ポリマー、フォトレジスト、自己組織化単層(SAM)、エポキシ系ネガ型フォトレジスト、およびSU-8からなる群から選択される。
【0110】
第1の態様の第3の実施形態では、活性種は荷電粒子を含み、その荷電粒子は、電気化学的改質の後に官能性表面に付着する。
【0111】
好ましくは、荷電粒子は金属イオンを含む。好ましくは、金属イオンは、イオン形態の白金、金、パラジウム、鉄、イリジウム、銀、銅、合金、または遷移金属を含む。
【0112】
好ましくは、イオン形態は酸化型の金属イオンである。
【0113】
好ましくは、イオン形態は、CrX+、Cu2+、Cu+、Ag+、Pt2+、Pd2+、Fe2+、Ir2+、およびRu、Sc、Ti、Vn、Cr、Mn、Co、Zn、Au、Tg、Yt、Mbなどの遷移金属イオンからなる群から選択される。
【0114】
好ましくは、荷電粒子は、生物学的センサー用の結合剤を含む。好ましくは、結合剤は、抗原、アプタマー、抗体、抗体フラグメント、一本鎖可変フラグメント、ビオチン化タンパク質、ペプチド、核酸(DNA、RNA、miRNA)、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、ポリヒスチジンもしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼを含有する組み換えにより発現したタンパク質、大型もしくは小型アミン含有分子、スルフヒドリル含有分子もしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を発現するタンパク質、金属および金属塩(鉛、リン酸鉛、クロム、白金、パラジウム、イリジウム、銅など)からなる群から選択される。
【0115】
好ましくは、官能性表面上に付着した荷電粒子の密度は、電極層の別の露出面上に付着した荷電粒子の密度よりも高い。
【0116】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の官能性表面は、電極層の上面上に存在する。
【0117】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の官能性表面は、支持基板または不動態化層から突出する表面構造上の電極層の上面上に存在する。
【0118】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の官能性表面は、表面構造の上部の上に存在する。
【0119】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の官能性表面は、非平面状である。
【0120】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の表面構造は、不動態化層の及ぶ範囲によって規定される官能性表面を含む。
【0121】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の官能性表面は、不動態化層または支持基板によって、別の表面構造上の別の官能性表面から分離される。
【0122】
好ましくは、ある電極層上の第1の態様のいずれかの実施形態の官能性表面は、同じ電極層上の少なくとも1つのさらなる官能性表面に電気的に接続される。好ましくは、少なくとも1つのさらなる官能性表面への電気的接続は不動態化層の下に存在する。
【0123】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の電極アレイは、それぞれが電極層上に官能性表面を有する複数の表面構造を含む。
【0124】
好ましくは、複数の官能性表面は、電気的に接続されて官能性グループを形成する。一実施形態では、アレイは、2つ以上の官能性グループを含み、そのそれぞれの官能性グループは別のグループと電気的に隔離される。
【0125】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の官能性表面は保護コーティングを含む。
【0126】
好ましくは、保護コーティングは、SAM、フォトレジスト、またはタンパク質を含む。
【0127】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の官能性表面の範囲は、電荷密度(電圧または電流)が電極層の平坦面上で測定される電荷密度(電圧または電流)よりも高くなることによって画定される。
【0128】
好ましくは、電荷密度(電圧または電流)は、平坦面と比較すると官能性表面上で少なくとも2、3、4、5、10、20、50、100、または1000倍となる。
【0129】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の表面構造は、不動態化層を通過して突出する。
【0130】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の表面構造は、表面構造の最上部に頂点を含む。
【0131】
好ましくは、頂点は、ある輪郭面を有する上部分と、別の輪郭面を有する少なくとも1つの下部分とを有する表面構造上に存在する。いくつかの実施形態では、表面構造またはその上部分は、ドーム型、円錐型、角錐型、乳頭状、隆起、または多面体形状である。
【0132】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の表面構造は、凸形の上面を有する上部分を含む。
【0133】
好ましくは、上部分の表面は、頂点までテーパーが付けられる、または頂点まで丸みを帯びている。
【0134】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の表面構造は、支持基板の最上面と直交する面に沿って、三角形、凸形、半円形、または乳頭状の断面を有する。
【0135】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の表面構造は、支持基板の最上面と平行の面に沿って、実質的に三角形、実質的に円形、または実質的に正方形の断面を有する。
【0136】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の表面構造の断面積は、支持基板の最上面と直交する軸に沿って減少する。
【0137】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の表面構造は、支持基板上に均一に配列される。好ましくは、表面構造は支持基板上に不規則に配列される。
【0138】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の表面構造は、少なくとも1つの対称軸を有する。
【0139】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の表面構造は、約5nm~約2000μmだけ互いに均一に離れている。より好ましくは、約15nm~約1500μm、約35nm~約1000μm、約55nm~約750μm、約100nm~約1000μm、約250nm~約1500μm、約5nm~約1500μm、約5nm~約1000μm、約5nm~約750μm、約15nm~約2000μm、約35nm~約2000μm、約55nm~約2000μmである。
【0140】
好ましくは、支持基板に接続する場所での第1の態様のいずれかの実施形態の表面構造の幅は、約20nm~約5000μmの間である。より好ましくは、約40nm~約4000μm、約55nm~約3000μm、約75nm~約2500μm、約100nm~約4000μm、約250nm~約3500μm、約20nm~約3500μm、約2nm~約4000μm、約20nm~約2500μm、約20nm~約4000μm、約20nm~約3000μm、約20nm~約2000μmである。
【0141】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態のそれぞれの表面構造の頂点は、それぞれの表面構造の上部の最上部に位置する。
【0142】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の表面構造の上部は、先端部または点を含むか、または凸形、乳頭状、テーパー付き、円錐型、半球、または多面体である。
【0143】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の表面構造は、支持基板の最上面に対してほぼ平行の軸に沿って延在する頂点を有する隆起を含む。
【0144】
好ましくは、それぞれの表面構造の頂点の幅は、約1nm~約5000ミクロンの間、より好ましくは約10nm~約10ミクロンの間、または約20nm~約2ミクロンの間、または約30nm~約1ミクロンの間である。それぞれの表面構造の頂点の幅は、それが支持基板に接続する場所よりも狭い。
【0145】
好ましくは、隆起は、支持基板の最上面と直交する面に沿って、凸形、乳頭状、テーパー付き、三角形、または多角形の断面を有する。
【0146】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の支持基板は、ポリマー、ケイ素またはガラスを含む。
【0147】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の支持基板は、単一層または複数の層を含む。
【0148】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の支持基板は、非導電性の、ポリマー、ガラスシリカ(Glass silica)である。
【0149】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の支持基板は導電性である。好ましくは、その導電性材料は、ドープされたSi、金属、導電性ポリマーである。好ましくは、金属はNi、Cu、Alである。
【0150】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の少なくとも1つの表面構造は、支持基板と一体となっている。
【0151】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の支持基板は、約50μm~5mmの間の厚さを有する。好ましくは、支持基板は、約1mm~2mm、約85μm~約2mm、約85μm~約1mm、約1mm~約4mm、約1mm~約3mm、約85μm~約2mmの間の厚さを有する。
【0152】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の電極層は、支持基板の上面上に堆積される。
【0153】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の電極層は、表面構造の上面上に堆積される。
【0154】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の電極層は、表面構造および支持基板の上に堆積される。
【0155】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の電極層は、実質的に一定の厚さの層を含む。
【0156】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の電極層の厚さは、約1nm~5μmの間、より好ましくは約20nm~500nmの間、または約50nm~100nmの間、約50nm~500nmの間、約50nm~300nmの間、約1nm~約3μmの間、約3nm~約5μmの間、約2nm~約4μmの間である。
【0157】
好ましくは、2つ以上の表面構造の上面上の第1の態様のいずれかの実施形態の電極層は、アレイ内で電気的に接続される。
【0158】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の電極層は、金属、炭質材料、カーボンナノチューブ、グラフェン、金、銀、白金、合金、導電性インク、充填されたポリマー、二酸化チタン、フッ化物ドープ酸化スズ(fluoride doped tinoxide)(FTO)、インジウムスズ酸化物(indium tinoxide)(ITO)、またはドープされたシリコンからなる群から選択される。
【0159】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の電極アレイは、支持基板と表面構造の下部との上に不動態化層を含む。好ましくは、不動態化層は表面構造の上部には存在しない。
【0160】
好ましくは、官能性表面が不動態化層の上方に露出するように、第1の態様のいずれかの実施形態の支持構造は、不動態化層を通過して突出する。
【0161】
好ましくは、不動態化層が官能性表面を含む表面構造の上部には存在しないように、第1の態様のいずれかの実施形態の不動態化層は、支持基板と表面構造の下部との上に堆積される。
【0162】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の官能性表面の範囲は、不動態化層が官能性表面には存在しないように、支持基板と表面構造の下部との上に不動態化層を堆積することによって画定される。
【0163】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の不動態化層は非導電層を含む。
【0164】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の不動態化層は、架橋ポリマー、フォトレジスト、または自己組織化単層(SAM)を含む。好ましくは、架橋ポリマーは、SU-8などのエポキシ系ネガ型フォトレジストである。
【0165】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の溶液は電解質を含む。好ましくは、媒体は水であるが、アルコール、エーテル、アセトン、およびDMSOなどの有機溶媒であってもよい。好ましくは、電解質は、NaClなどの非緩衝塩溶液、または酸および塩基の溶液H2SO4、HNO3、NaOHを含む、生物学で使用される標準的な緩衝剤を含む。
【0166】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の溶液は、淡水、海水、血液、尿、ミルク、または唾液からなる群から選択される。
【0167】
一実施形態では、第1の態様のいずれかの実施形態の溶液は参照電極をさらに含む。
【0168】
好ましくは、溶液は、アルカリ金属塩化物イオンおよび銅2+イオンを有する緩衝溶液を含む。
【0169】
活性種を含む溶液中に存在する対極は、第1の態様の方法のいずれかの実施形態のその溶液中に電極アレイが配置される場合、好ましくは不活性導電性材料を含む。好ましくは、対極は、金属、Pt、金、ニッケル、銅、鉄、炭素、黒鉛、グラフェン、炭素繊維、カーボンナノチューブ、バッキーボール、導電性ポリマーのPPy、PA、ポリセチレン(Polycetylene)、ステンレス鋼からなる群から選択される材料から形成される。対極は、固体層、または適切な支持体、たとえばポリマーガラス(polymer glass)、金属の上に堆積された導電層でできていてよい。
【0170】
好ましくは、対極は、裸の金属(Au、Pt、ステンレス鋼、および/または銅など)、またはAuもしくはPtがめっきされた基板(金属、ポリマーおよび/またはガラスなど)である。
【0171】
好ましくは、対極は、3D作用電極上の電荷密度(電圧または電流)の配置を促進できるように構成された3D表面特徴を有する。たとえば、対極は、作用電極の先端部を反映する一連の先端部を含むことができる。
【0172】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の対極は、表面構造に対して一定の方向にある。
【0173】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の対極は、電極アレイと電気化学的に関連している。
【0174】
好ましくは、対極は、アレイのそれぞれの表面構造の間の距離の差が最小限となる方向に維持される。好ましくは、対極の方向はアレイの上面の上方となる。たとえば、第1の態様に言及されるような活性種と対極との両方を含む溶液は、当業者には明らかなように、単にその溶液中に存在する対極を有する。したがって、別の形態の第1の態様は以下のように解釈される。
【0175】
本発明は、電極アレイ上の官能性表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させる方法であって:
a)電極アレイであって:
i)支持基板と;
ii)支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
iii)電極層上の官能性表面であって、少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、導電性溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と、
を含む電極アレイを提供するステップと;
b)活性種を含み対極を含む溶液に表面構造を曝露するステップと;
c)電荷密度が官能性表面に集中し、官能性表面との接触後に活性種が電気化学的に改質されるように、電極層と対極との間に電流または電圧を発生させるステップと、
を含む方法を提供する。
【0176】
好ましくは、電極アレイは、上記溶液に接触する参照電極をさらに含む。
【0177】
好ましくは、参照電極は、Ag/AgCl、NHE(標準水素電極)、カロメル、Pt、Au、ステンレス鋼から形成された電極を含む。
【0178】
好ましくは、電極層において測定される電極層と対極との間で発生する第1の態様のいずれかの実施形態の電流は、酸化電流または還元電流である。
【0179】
好ましくは、対極と電極層との間で発生する電位差は、銀/塩化銀参照電極を基準として約-2V~+2Vの間、約-200mV~-1Vの間、または約-400mV、0~-1mVの間である。
【0180】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の電流は、活性化電位と不活性化電位との間のパルスとなる。
【0181】
好ましくは、活性化電位は、約0mV~-2Vの間、より好ましくは約-400mV~-600mVの間の還元電位を含む。好ましくは、不活性化電位は、約0mV~2Vの間、より好ましくは約200mV~500mVの間の酸化電位を含む。別の一実施形態では、不活性化電位は、開路または「オフ」の状態である。
【0182】
好ましくは、第1の態様のいずれかの実施形態の活性種の電気化学的改質によって、検出可能な応答が誘発される。好ましくは、検出可能な応答は、電流、電圧、キャパシタンス、抵抗、コンダクタンス、インピーダンス、磁束、または電界の変化を含む。
【0183】
好ましくは、検出可能な応答は、測定電極において測定される。好ましくは、測定電極は、電流、インピーダンス、電圧、キャパシタンス、抵抗、コンダクタンス、磁束、または電界の1つ以上の変化を測定する測定手段に接続される。
【0184】
使用中、アレイは、1つ以上の官能性表面または官能基に電気的に接続された測定電極を含む。好ましくは、測定電極は、電流、インピーダンス、電圧、キャパシタンス、抵抗、コンダクタンス、磁束、または電界の1つ以上の変化を測定する測定手段に接続される。適切な測定手段は当業者には知られるであろうが、たとえば、測定機器は、Ivium Compactstat、Pineポテンショスタット、またはPalmsens MultiEmStatを含む。いくつかの実施形態では、測定電極は、保護コーティングまたは不活性層を用いて官能性表面の保護または脱保護を行うために使用される。
【0185】
第2の態様では、本発明は、電極アレイであって:
a)支持基板と;
b)支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
c)電極層上の官能性表面であって、少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、導電性溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と;
d)結合層であって:
i)電極アレイ上の非官能性表面におけるよりも顕著に高い密度で官能性表面上に存在するか;
ii)表面構造上の官能性表面上のある位置よりも顕著に高い密度で電極アレイの非官能性表面上に存在するか、
のいずれかである結合層と、
を含み、官能性表面が、表面構造の頂点またはその付近に存在する、電極アレイを提供する。
【0186】
好ましくは、官能性表面は、電極層と電極層に接触する溶液中の対極との間で電流が発生する場合に、電極層の平坦面上で同等の条件下で測定される電荷密度(電圧または電流)に対して電荷密度(電圧または電流)が少なくとも2倍となることによって画定される電極層の部分を含む。
【0187】
好ましくは、結合層は、第1の態様において規定される自己組織化単層(SAM)、または荷電粒子を含む。
【0188】
好ましくは、第2の態様の電極アレイの特徴は、第1の態様で規定される電極アレイに関して記載されるものと同じである。
【0189】
好ましくは、非官能性表面は電極層の平坦面を含む。
【0190】
好ましくは、非官能性表面は、その上の電荷密度(電圧または電流)が官能性表面上の電荷密度(電圧または電流)の最大2分の1となる表面を含む。
【0191】
すべてのその新規な態様において考慮されるべき本発明のさらなる態様は、本発明の実際的な応用の少なくとも1つの例を提供する以下の説明を読めば、当業者には明らかとなるであろう。
【0192】
これより本発明の実施形態が、単なる例として、添付の図面を参照しながら記載される。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【
図1】三角形の断面を有する表面構造を通過する場合の電流密度のコンピューターモデルを示している。構造の頂点におけるより暗い色は、より高い電流密度の分布を示している。同じ図がカラー(A)およびモノクロ(B)で示されている。
【
図2】半円形の断面を有する表面構造を通過する場合の電流密度のコンピューターモデルを示している。構造の頂点におけるより暗い色は、より高い電流密度の分布を示している。同じ図がカラー(A)およびモノクロ(B)で示されている。
【
図3】平坦な検知面と先端部上の検知面のアレイとの場合に観察される電荷密度(電圧または電流)範囲の間の比較を示している。
【
図4】三角形の断面を有する本発明による電極アレイの断面図を示している。
【
図5】活性種が触媒を含む本発明の一実施形態を示しており、官能性表面との接触後の電気化学的改質によって触媒が活性化されて活性触媒が得られる。
【
図6】エチニルフルオロフォア(A)を用いたCu(I)触媒によるアジドアルキン付加環化反応を示している。
【
図7A】電位が印加されていないアレイのネガ蛍光画像を示している。
【
図7B】銅触媒を活性化させるために還元電位が印加されたアレイのネガ蛍光画像を示している。
【
図8】(A)角錐型表面構造および(B)平坦面の場合の電極層に付着したSAMの脱着プロファイルを示している。
【
図9-10】表面構造のグループの頂点におけるPtの堆積を示すSEM画像を示している。
【
図11】ぎっしり詰まった構成において約<100nmの粒度を示す典型的な「平坦」面のAFM分析を示している。
【
図12】粒子のトポグラフィーおよび相対的高さを示す
図11に関連するグラフを示している。
【
図13】ポリマー中の約100nmの先端部のアレイのSEM画像を示している。
【
図14-16】粒子間の距離および粒子の位置を制御するために3D表面を使用するAu電極およびPt電極による水素生成および酸素還元の両方の場合の典型的な平坦電極対ナノ構造電極の活性の比較を示している。
【
図17】表1の純ニッケル構造の表面のSEMを示している。
【
図18】フェロセン表面被覆率に対する電気化学的「クリック」反応のパルス周波数の変換の影響を示している(三角形は高い周波数、円は中間の周波数、正方形は低い周波数)。
【
図19】異なる周波数における頂点の表面官能化の程度の制御を図で示している。
【
図20】角錐型電極上に固定されたフェロセンのサイクリックボルタンメトリーを示している。
【
図21】平坦電極上に固定されたフェロセンのサイクリックボルタンメトリーを示している。
【
図22】SAMで被覆された角錐部分(実線)および平坦部分(破線)の上にフェロセンが存在しない場合のアスコルビン酸の酸化を示している。
【
図23】角錐部分(実線)および平坦部分(破線)の上に固定されたフェロセンによるアスコルビン酸(1mM)の酸化を示している。
【
図24】角錐部分(実線)および平坦部分(破線)の上に固定されたフェロセンによるアスコルビン酸(100mM)の酸化を示している。
【発明を実施するための形態】
【0194】
定義
「付着」または「結合」は、共有結合、静電結合、またはなんらかの方法で化学種が支持体に結合するいくつかの別の結合形態を意味する。付着は、直接であってもよいし、別の化学種を介してもよい。
【0195】
「テーパーが付けられる」は、より幅広の表面構造からより狭い表面構造への移動を意味する。
【0196】
「平滑」は、表面の角度の変化率に実質的な変化がないことを意味する。
【0197】
「堆積される」は、表面上に形成されることを意味し、形成、層形成、または生成の任意の形態を意味することができる。一実施形態では、堆積は、スパッタリング、eビーム、または熱蒸着によって実現される。好ましくは、堆積される層は、それが上に堆積される層に対してある程度の付着性を有する。この付着性は、共有結合、静電力であってよいし、またはファンデルワールス力を含むことができる。
【0198】
電極層に関する「実質的に一定の厚さ」は、電極層が、支持基板または結合層のその及ぶ範囲にわたって実質的に変化しないことを意味する。センサーの機能に対して実質的に影響を与えない層の厚さの意図せぬばらつきは、実質的に一定の厚さという用語に含まれることが意図される。
【0199】
「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」などは、文脈が明確に別のことを必要とするのでなければ、排他的または網羅的な意味とは反対の包括的な意味、すなわち「含むが、限定されるものではない」の意味で解釈すべきである。
【0200】
本明細書において言及される「表面構造」および「官能性表面」という用語は、1つまたは複数の構造/表面を意味することが意図される。
【0201】
表面構造の「幅」は、支持基板の上面と実質的に平行な面に沿って断面が取られる場合の表面構造の断面領域を横断する最大距離で測定される。幅が言及される場合、平行な面が得られる表面構造上の点も(たとえば支持基板と表面構造との間の継ぎ目において)記載される。
【0202】
「触媒」は、化学反応の速度を増加させる化学種を意味する。
【0203】
活性種に関する「電気化学的に改質される」は、活性種の還元または酸化、すなわち電子の獲得または損失が行われることを意味する。
【0204】
「溶質反応物」は、触媒活性種によって触媒される反応に関与する溶液中に見られる反応物を意味する。溶質反応物は、好ましくは別の導電性溶液中に存在し(すなわち活性種を含む導電性溶液とは異なる)、または同じ溶液中に存在して、活性種と反応するとセンサーによって検出される標的分子と結合/反応する役割を果たすことができる(以下の「付着生成物」を意味する)。
【0205】
「結合層」は、電極アレイの表面に付着した分子の層を含む。結合層は、架橋ポリマー、フォトレジスト、または自己組織化単層(SAM)から形成されてよい。好ましくは、架橋ポリマーは、SU-8などのエポキシ系ネガ型フォトレジストである。結合層は、当業者に周知の手段によって、たとえばスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ワイピング、または塗装によって電極アレイの表面上に堆積することができる。別の実施形態では、好ましくは本明細書に方法による、結合層の前駆体(すなわち活性種)の電気化学的改質によって、結合層を電極アレイの表面に付着させる。
【0206】
「付着生成物」は、溶質反応物と結合層との間の反応の生成物であり、触媒が上記反応を触媒する。言い換えると、結合が起こることで形成されるのは、結合/リンガー(linger)である。
【0207】
「検出部分」は、結合層への付着(直接または別の官能基を介して)が可能であって、当業者に周知の検出技術を用いて検出可能である成分を含む。たとえばこのような技術は、タンパク質検出、比色検出、電気化学的な、ケミルミネッセンス検出、蛍光検出、生物発光、化学蛍光、またはラジオグラフィー検出からなる群から選択される。検出部分が使用される場合、それらは当業者に周知の標準的方法によって検出することができ、たとえば蛍光測定、光学的測定、または比色測定を行うことができる。
【0208】
電流または電圧に関する「集中する」は、電荷密度(電圧または電流)が、表面上の別の位置よりも表面上の集中位置において強いことを意味する。表面上の電荷密度(電圧または電流)は、当業者に周知の方法により測定することができる。しかし、一実施形態では、電荷密度(電圧または電流)は、モデリングによって測定され、次に表面上でのフルオロフォアの付着、または白金の堆積が誘導される。
【0209】
「対極」は、電極層から溶液への電流の流れを促進するあらゆる導電性要素であってよい。一実施形態では、対極は、溶液中に維持されるワイヤまたは他の形態の電極構造を含む。好ましくは、対極は、金属、Pt、金、ニッケル、銅、鉄、炭素、黒鉛、グラフェン、炭素繊維、カーボンナノチューブ、バッキーボール、導電性ポリマーのPPy、PA、ポリセチレン(Polycetylene)、ステンレス鋼からなる群から選択される材料から形成される。対極は、固体層、または適切な支持体、たとえばポリマーガラス(polymer glass)、金属の上に堆積された導電性でできていてよい。対極は、裸の金属(Au、Pt、ステンレス鋼、銅)またはAuもしくはPtがめっきされた基板(金属、ポリマー、またはガラス)であってもよく、3D作用電極上の電荷密度(電圧または電流)の配置を促進するような方法で構成される3D表面特徴を有することができる。たとえば、これは作用電極の先端部を反映する一連の先端部であってよい。
【0210】
「活性化」または「活性化する」は、活性種が不活性形態から反応性形態に変換されることを意味する。したがって、「電気化学的な活性化」は、電極に電流を印加することによって活性種を酸化または還元することによって活性種を反応性形態に変換することを意味する。
【0211】
「活性化電位」は、カップリング/付着/改質反応の開始に必要な電圧(+2V~-2Vの間の典型的な範囲内の酸化または還元電圧)を意味する。典型的には、クリックの還元活性化電位は-500mV~-100mVである。
【0212】
「不活性化電位」は、カップリング/付着/改質反応を停止させるのに必要な電圧を意味する。
【0213】
「活性種」は、電気化学的改質を引き起こすための電位を有する溶液中に存在する要素を意味する。一実施形態では、活性種は、触媒または触媒前駆体である。別の一実施形態では、活性種は、結合層の成分である。別の一実施形態では、活性種は、官能性表面に付着可能な荷電粒子である。別の一実施形態では、活性種は、溶液中の標的検体を検出可能な結合剤である。
【0214】
「酸化」は、電子の損失を伴う化学反応を意味する。したがって、「酸化的」は、化学反応において電子の損失が促進されることを意味する。
【0215】
「還元」は電子の獲得を伴う化学反応を意味する。したがって、「還元的」は、化学反応において電子の獲得が促進されることを意味する。
【0216】
「パルス状」または「パルス」は、活性化電位から不活性化電位まで電圧または電流を変調させること意味する。パルスは、規則的または断続的であってよい。
【0217】
「自己組織化単層(SAM)」は、官能基を末端に有するテール基に結合したヘッド基を含む分子集合体を意味する。
【0218】
官能性表面からの要素の除去に関する「選択的除去」は、電流が集中していないアレイ上の別の表面よりも除去が強化されることを意味する。たとえば、別の表面と比較して、SAMの除去がより速い速度で起こる、またはより高濃度の要素が除去される。この表現は、除去が完全であることや、別の表面上でより少ない程度で除去が起こらないことを意味するものではない。
【0219】
官能性表面上の要素の堆積に関する「選択的堆積」は、電流が集中していないアレイ上の別の表面よりも堆積が強化されることを意味する。たとえば、別の表面と比較して、SAMの堆積がより速い速度で起こる、またはより高い濃度もしくは密度の要素が堆積される。この表現は、別の表面上で堆積がより少ない程度で起こる可能性を排除するものではない。
【0220】
「官能性」は、ある機能を有する表面に付着可能なあらゆる特徴を意味する。たとえば、結合層、結合剤、活性種、検出部分、荷電粒子、および付着生成物はすべて官能性である。
【0221】
「溶媒和」(溶媒和される)は、溶液中の溶質種の安定化につながる溶質と溶媒との相互作用である。
【0222】
説明
表面の改質および官能化を含む用途は、官能基、結合層、またはイオン性物質の配置の選択肢の不足が問題となる。現在までの選択肢の不足は、センサーおよび触媒アレイの感度および選択性が制限されていることを意味している。本発明者らは、電解質溶液に曝露した電極アレイに電流または電圧が通されると、表面構造の最上部に向けて電荷密度(電圧または電流)を集中させることができることを見出した。本発明者らは、それぞれの表面構造の頂点またはその付近での結合層、結合剤、活性種、または別の官能性の堆積または除去によって選択的に官能化可能な官能性表面を有する電極アレイを開発するためにこの概念を進展させた。
【0223】
図1および2は、平坦なベース上の表面構造から溶液中に流れる電流のコンピューターモデル(COMSOL)を示している。これは、電荷密度(電圧または電流)が構造の頂点またはその付近で最大となることを示している。このモデリングは、構造のアスペクト比(鋭さ)および形状が電荷密度(電圧または電流)の分布に影響を与えることも示唆している。本発明者らは、電荷密度(電圧または電流)が集中する官能性表面と接触させることによって、溶液中の活性種を電気化学的に改質することで、官能基、結合層、イオン性物質、または他の官能性の表面上の正確な配置および堆積が可能となりうることを見出した。本発明者らは、表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させる同じ効果を用いて、官能基、結合層、イオン性物質、または他の官能性を表面から選択的に除去できることも示した。表面特徴の頂点の点が鋭いほど、正確な堆積が行われる(先端において電荷密度がより集中するからであり、望ましいのであれば、より丸みを帯びた選択肢を用いることもできる)。
【0224】
本発明は、触媒作用および検知の3次元性の利用を対象とする。特徴/結果としては以下のものが挙げられる:
・速度論的向上、すなわち、触媒作用の速度および捕捉剤の結合速度の大幅な増加。この速度論的効果は、本明細書における結果を観察すれば、当分野の者には明らかである(実施例6および8ならびに以下の表を参照されたい)。
・熱力学的向上、すなわち、金属および有機金属の両方の電気触媒でレドックス触媒反応を推進するために必要なエネルギーの大幅な減少。実現される向上は、実施例6および8、ならびに以下の表に示される順序である。
【0225】
【0226】
【0227】
本発明は、以下の非限定的な概念の1つ以上に基づいている:
1.構造の頂点(先端部または線)に局在化した電圧または電流のいずれかの密度分布を用いて表面上のあらかじめ規定された位置でレドックスプロセスを用いる選択的官能化。
・先端が鋭いほど、官能化が集中する。
・周波数が高いほど、官能化が集中する(たとえば実施例7参照)。
例としては:
・レドックス媒介反応を用いた選択的付着
・選択的金属堆積
・自己組織化単層の選択的脱着(マトリックスタンパク質の非特異的結合に適用されうる)
が挙げられる。
2.熱力学的エネルギーコストの低下および速度論的回転率の増加による電気触媒プロセスの向上。
【0228】
本発明は、バイオセンサー、電気化学的検知、光学的検知、電気触媒作用、または材料の選択的堆積の分野において特定の用途を有する。さらなる用途としては、ディスプレイ、標識、活性表面、および表面上に官能性の付与を必要とする別の用途を挙げることもできる。
【0229】
図3は、Ag/AgCl参照電極を基準として、リン酸緩衝液中のフェロシアン化物(0.1mol)に対する平坦(A)およびとがった先端部(B)の両方の電極の別々(AおよびB)および重ね合わせた(C)サイクリックボルタンモグラムを示している。示されるサイクリックボルタンメトリートレースは、電極の相対面積を考慮しており、平坦電極に対して7μmの先端部のアレイで得られた信号、したがって信号対雑音は、大幅な増加を示している。挿入
図Aは約2μAcm
2の応答範囲を示している。対照的に、挿入
図Bは、同じ表面積の場合に16000μAcm
2においてほぼ8000倍の応答範囲を示している。平坦電極の場合に見られる平面拡散ではなく先端部に向かう球面拡散のため、微小電極においてこの効果が得られる。
【0230】
表面構造の上部の選択的官能化によって、形成される電極アレイは、同じ電極表面上に付与される官能性の多様性が得られる。たとえば、位置的に異なる官能基を有する電極表面は、表面構造の頂点またはその付近に官能性A、および電極表面の残りの部分(すなわち表面構造の官能性表面の間の表面上)に結合する異なる官能性Bを電気化学的に堆積することによって形成することができる。
【0231】
本発明は:
・デジタル検知(光学的検知用の高解像度ピクシレーション);
・電極アレイの高表面積の結果としての得られた検体の検出;
・検知用途の高アスペクト比導電性ポリマーフォレスト/グラス(conducting polymer forest/grass)の大量生産;および
・触媒作用
・光起電力技術
などの多数の用途を有する。
【0232】
したがって、本発明は、電極アレイ上の官能性表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させる方法であって:
a.電極アレイであって:
i.支持基板と;
ii.支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
iii.電極層上の官能性表面であって、少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と、
を含む電極アレイを提供するステップと;
b.対極が中に配置される活性種を含む導電性溶液に表面構造を曝露するステップと;
c.電荷密度が電極層上の官能性表面に集中するように、電極層上の官能性表面と対極との間に電流または電圧を発生させるステップと、
を含む方法を提供する。
【0233】
好ましくは、官能性表面は、アレイの表面構造の頂点またはその付近に存在する。
【0234】
より好ましい形態の1つでは、官能性表面は、表面構造の頂点またはその付近に存在し、頂点は、頂点に向けてテーパーが付けられる、および/または支持基板の最上面に対して平行な面に沿って実質的に三角形の断面を有する。
【0235】
官能性表面が、表面構造の頂点またはその付近に存在し、それぞれの表面構造の頂点の幅が約1nm~約5000ミクロンの間であることも好ましい。使用のさらなる選択肢は、本明細書に記載されるが、当業者には明らかであろう。
【0236】
官能性表面が、表面構造の頂点またはその付近に存在し、支持基板に接合する場所での表面構造の幅は約20nm~約5000μmであり(使用のさらなる選択肢は、本明細書に記載されるが、当業者には明らかであろう)、表面構造の頂点における幅が、支持基板に接合する場所での表面構造の幅よりも狭いことも好ましい。
【0237】
官能性表面が、表面構造の頂点またはその付近に存在し、表面構造の頂点が、頂点間で互いに約50nm~約1000μmだけ分離していることも好ましい(使用のさらなる選択肢は、本明細書に記載されるが、当業者には明らかであろう)。
【0238】
表面構造は、本明細書に記載のようにあらゆる形態であってよいが、角錐型、円錐型、隆起、またはそれらの組合せであることが好ましく、対極構造も平坦、角錐型、円錐型、または隆起であることも好ましい。
【0239】
好ましい形態の1つでは、対極の形状は表面構造の形状を反映しており、より好ましい形態の1つでは、対極は表面構造に対して平行である。
【0240】
官能性表面は、好ましくは電気化学的な活性化が可能な触媒を含む。
【0241】
好ましい形態の1つでは、官能性表面は、電極層と対極との間の電流または電圧による電気化学的改質によって活性化される触媒材料(たとえばPt、Au、Ni)から形成される。
【0242】
官能性表面が触媒(官能性表面が触媒材料から形成される場合を含む)を含む場合、触媒が、電流または電圧の印加により活性化されて活性触媒が得られ、平坦面上の同じ材料と比較して触媒回転率(熱力学的および速度論的)が改善されることが好ましい。
【0243】
触媒は好ましくは金属材料および有機金属材料から選択され、金属材料は好ましくはPt、Au、およびNiの1つ以上から選択され、有機金属材料は、遷移金属を有するフェロセン、およびポルフィリン、またはフェナントロリン、ポルフィリン、イミダゾール、トリスピリジルアミン、およびトリアゾールの1つ以上から選択される。好ましくは遷移金属は、Ru、Fe、Mn、Mg、Cu、Ir、Co、Pt、Pd、Au、Ag、Mgのいずれか1つ以上から選択される(フェロセンは既に遷移金属を含み、ポルフィリンは場合により遷移金属を含むことができる)。
【0244】
官能性表面との接触後に活性種が電気化学的に改質されることも好ましい。好ましくは、官能性表面との接触後に活性種が電気化学的に改質され、電気化学的改質の熱力学的効率および速度論的効率が、対応する平坦電極と比較して改善される。
【0245】
本発明の電極アレイは、電極アレイ上の非官能性表面におけるよりも顕著に高い密度で官能性表面上に存在するか、表面構造上の官能性表面上のある位置よりも顕著に高い密度で電極アレイの非官能性表面上に存在するかのいずれかである結合層を含むことも好ましい。
【0246】
結合層は好ましくは、本明細書にさらに詳細に記載されるような自己組織化単層(SAM)を含む。
【0247】
別の好ましい選択肢の1つでは、アレイは、表面構造の頂点における触媒と、表面構造の間の谷における共触媒とを含み、触媒は前述のように選択され、共触媒は、金属(たとえばルテニウム、ニッケル、アルミニウム、カルシウム、セリウム、ガリウム、ハフニウム、鉄、ランタン、マグネシウム、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、または亜鉛)のいずれか1つ以上の酸化物から選択される。
【0248】
本方法は、平坦電極と比較して触媒作用の速度の増加も実現される(速度論的効率-すなわち触媒作用が起こる速度であり、反応物および生成物が触媒表面まで拡散し、触媒表面から拡散する速度に主として関連する)。本方法は、金属および有機金属の両方の電気触媒の場合にレドックス触媒反応の推進に必要な力の減少も実現される(熱力学的効率-すなわち電気触媒反応を推進するのに必要なエネルギー)。
【0249】
好ましくは、本方法によって、平坦面を有する電極と比較して速度論的効率および熱力学的効率の両方の増加が実現される。
【0250】
別の一態様では、本発明は、電極アレイ上の官能性表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させる方法であって:
a)電極アレイであって:
i)支持基板と;
ii)支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
iii)電極層上の官能性表面であって、少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と、
を含む電極アレイを提供するステップと;
b)活性種と中に配置された対極との両方を含む溶液に表面構造を曝露するステップと;
c)電荷密度が官能性表面に集中し、官能性表面との接触後に活性種が電気化学的に改質されるように、電極層と対極との間に電流または電圧を発生させるステップと、
を含む方法を提供する。
【0251】
好ましくは、官能性表面は、表面構造の頂点またはその付近に存在する。非常に高い倍率で見た場合に、頂点を有する表面構造は実質的に平坦となりうることを当業者は理解されよう。したがって、本明細書に示される形状および測定は、厳密な幾何学的説明ではなく、表面構造全体の構造に言及することを意図している。
【0252】
この態様では、電荷密度(電圧または電流)は、官能性表面と呼ばれる表面構造の上部上に集中する。本発明者らは、この効果は、適切に成形された表面構造を用いる場合に、溶液に接触する表面構造の上部の選択的官能化または脱官能化に利用することができることを示した。
【0253】
第1の実施形態では、活性種は触媒を含み、この触媒は、官能性表面との接触後に電気化学的改質によって活性化されて、活性触媒が得られる。
図4は、電極アレイ400が支持基板410、表面構造415、および電極層420を含む本発明の一実施形態を示している。電極層の上には結合層430が重ねられ、その上には末端官能基440が付着している。別の一実施形態では、官能性表面は、電極層と対極との間の電流または電圧による電気化学的改質によって活性化される触媒材料(たとえばPt、Au、Ni)から形成される。
【0254】
活性種(図示せず)と、数個の溶質反応物粒子510と、対極520とを含む電解質溶液500中に浸漬された
図4の電極アレイが
図5A中に示されている。電極層420と対極との間に電流が発生すると(
図5B参照)、溶液中の触媒である活性種が活性化して、表面構造の頂点またはその付近における活性領域で、溶質反応物と結合層上の官能基Rとの反応を触媒する。溶質反応物は、活性種と同じ導電性溶液中または異なる導電性溶液中のいずれかに存在することができる。活性領域は、電極層上の官能性表面と対極の位置調整との間の相互作用によって得られる。これは、前述のように(
図1および2参照)、官能性表面の最上部に電荷密度が集中するために可能となる。
図5Cは、表面構造の頂点またはその付近に局在化した官能基を有する選択的に官能化された表面構造を示している。
【0255】
当業者には明らかなように、本発明の記述が、活性種と対極との両方を含む溶液に言及している場合、これは対極が中に配置された溶液を意味する。
【0256】
触媒は、帯電した表面における酸化または還元によって活性化されるあらゆる適切案触媒であってよい。特定の実施形態では、触媒は、銅、CrX+、Ag+、Pt2+、Pd2+、Fe2+、Ir2+、Ni2+、Rd、Co、Mn、Ruなどの遷移金属などの帯電した金属種を含む。
【0257】
このような触媒は、典型的には2つ以上の酸化状態が生じ、1つの状態では溶質反応物と結合層との反応の触媒作用において活性となり、少なくとも1つの別の酸化状態では不活性となる。触媒は、(表面構造の上部上の)電荷が集中する(電圧または電流)領域で、アレイ上の別の表面、たとえば支持基板上、表面構造の下部上の電極層、または下部上もしくは表面構造の間の結合層上よりも優先的に活性化される。したがって、触媒の電気化学的活性化は、電極層上の別の位置で活性化が起こるよりも実質的に速い速度で、官能性表面において起こる。
【0258】
上記の効果によって、第1の態様の方法は、溶液中の活性種を電気化学的に活性化させて活性触媒を得るステップをさらに含むように拡張することができる。
【0259】
溶質反応物を官能性表面上の結合層に付着させるさらなるステップは、触媒が活性化した後に行うことができる。
【0260】
一実施形態では、電極表面と対極との間に発生した電流によって、官能性表面に接触するCu(II)が活性化(還元)されてCu(I)になる。Cu(I)は、
図6中に示されるアジドアルキン付加環化反応を触媒する。
図6は、付加環化の後に表面に付着するエチニルフルオロフォア検出部分(A)も示している。実施例2は、Cu(I)触媒によるアジドアルキン付加環化反応の実際の詳細を示している。
図7Aは、電位が印加されていないアレイのネガ蛍光画像を示しており、
図7Bは、銅を活性化するために還元電位が印加されたアレイのネガ蛍光画像を示している。暗色の斑点は、フルオロフォアの蛍光である。ネガ画像は、蛍光の領域をより明確に表すために使用され、モノクロでの明確な表示が可能となる。付着したフルオロフォアは、
図7B中の表面構造の上部に見ることができるが、
図7A(対照)には実質的に存在しない。
【0261】
好ましくは、活性触媒が、溶質反応物と結合層との反応を触媒することで、官能性表面に付着生成物が得られる。Cu活性種は、本明細書において議論される金属および有機金属の活性種などの、帯電した表面におけるレドックス型反応によって活性化可能なあらゆる別の適切な触媒であってよい。
【0262】
好ましくは、活性種は銅(II)を含み、電気化学的活性触媒は銅(I)を含む。
【0263】
好ましくは、溶質反応物と結合層との間の反応は、銅(I)触媒によるアジドアルキン付加環化反応である。
【0264】
好ましくは、溶液は、アルカリ金属塩化物イオンおよび銅2+イオンを有する緩衝溶液を含む。
【0265】
好ましくは、溶質反応物は、表面および官能基にカップリング可能な反応基を有する化合物を含む(たとえば、検知、触媒作用、光学、さらなる結合のため)。
【0266】
好ましくは、溶質反応物は、アルキン、アルケン、カルボン酸、エステル、ケトン、アルデヒド、アルコール、およびアミンからなる群から選択されるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、アルキンはアセチレンを含む。
【0267】
好ましくは、溶質反応物は、溶質反応物と結合層との反応後に官能性表面に付着するように適合した検出部分を含む。
【0268】
好ましくは、検出部分は、タンパク質検出、電気化学的検出、アンペロメトリー、電流、電圧、キャパシタンス、比色検出、ケミルミネッセンス検出、蛍光検出、生物発光、化学蛍光、またはラジオグラフィー検出を用いた検出が可能である。
【0269】
好ましくは、検出部分を有する溶質反応物はエチニル官能化フルオロフォアを含む。
【0270】
好ましくは、溶質反応物が結合する結合層は自己組織化単層(SAM)を含む。
【0271】
SAMは、所望の官能性が付与されるように官能基で官能化することができる。
【0272】
好ましくは、活性種は、結合層に付着可能な溶質反応物を含む。
【0273】
好ましくは、結合層は:
・官能性表面;
・表面構造;
・不動態化層;または
・支持基板
の少なくとも1つの上に存在する。
【0274】
好ましくは、本発明の第1の実施形態の方法は:
・官能性表面;
・表面構造;
・不動態化層;または
・支持基板
の少なくとも1つの上にSAMを堆積するステップをさらに含む。
【0275】
好ましくは、SAMを堆積するステップは、官能性表面と接触した後に活性種を電気化学的に活性化して活性触媒を得る前に行われる。
【0276】
好ましくは、SAMを堆積するステップは、溶質反応物を官能性表面上の結合層に付着させる前に行われる。
【0277】
特定の一実施形態では、結合層は、アジド、カルボン酸、アミン、アルコール、エステル、ケトン、シアノ、およびアルデヒドからなる群から選択される。
【0278】
好ましくは、官能性表面上の結合層は、電極層と対極との間に電流が流れる間に実質的に安定である。安定な結合層を維持するために、SAMは好ましくは、C6~C16(C6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16)の炭素鎖を含む。より良い安定性のためには、SAMは好ましくは、C11~C16(C11、12、13、14、15、または16)の炭素鎖を含む。炭素鎖は、アルカン、アルケン、アルキン、および芳香族構造であってよい。いずれかの構造の上記(C6~C16、好ましくはC11~C16)の炭素鎖の混合物を使用することもできる。
【0279】
好ましくは、付着生成物は:
a.官能基、たとえば、カルボン酸、アミン、アルコール、アルデヒド、ビオチン、アビジン、アジド、およびエチニルからなる群から選択されるもの;
b.溶液中の標的検体に結合するように適合した結合剤、たとえば、抗原、抗体、抗体フラグメント、一本鎖可変フラグメント、ビオチン化タンパク質、ペプチド、核酸、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、ポリヒスチジンもしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼを含有する組み換えにより発現したタンパク質、アテチレニックキノン(atetylenic quinone)、アジド、テトラジン、大型もしくは小型アミン含有分子、スルフヒドリル含有分子もしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を発現するタンパク質、金属および金属塩(鉛、リン酸鉛、クロム、白金、パラジウム、イリジウム、銅など)、ssDNA、ssRNA、miRNA、mRNA、アプタマー、ならびにスペーサー分子を有するおよび有さない小分子からなる群から選択されるもの;
c.溶液中の反応を触媒する触媒種、たとえば銅、遷移金属、有機金属錯体、遷移金属を含む有機金属錯体、または酸化もしくは還元されることが可能な有機材料からなる群から選択される触媒;ならびに
d.検出部分、たとえば、フルオロフォア、エチニル官能化フルオロフォア、タンパク質、抗体、核酸、DNA、RNA、小分子、または官能基、たとえばカルボン酸、アミン、アルコール、エステル、ケトン、およびアルデヒドからなる群から選択されるもの、からなる群から選択されるもの、
からなる群から選択される。
【0280】
好ましくは、付着生成物は、トリアゾール、アミド、キノン、およびエステル、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0281】
好ましくは、付着生成物は、トリアゾール、アミド、キノン、およびエステル、またはPt、Ir、Au、Ag、Fe、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0282】
手作業の手段または従来技術に記載の別の手段を用いたSAMなどの結合層の除去が非常に困難であることは、当業者には理解されよう。後の官能化または反応のための露出面に規則的なパターンのアレイを製造するために、表面上の特定の位置からSAMを選択的に除去することはさらに困難である。大電流(たとえば約2Vを超える)が表面に印加されると、溶液の電気分解が起こって、電極層において酸素または水素が発生しうる。これは望ましくなく、測定および表面で生じる反応に影響しうる。別の問題は、表面からの電極層の望ましくないストリッピングである。この場合、電極層(多くの場合、金または別の貴金属金属)は溶液中に失われうる。したがって、好ましくは、印加される電流は、2V未満、より好ましくは1V未満、0~1Vの間(0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9)である。
【0283】
本発明者らは、表面構造の上部上の官能性表面への電荷密度(電圧または電流)の集中を利用して、好ましくは水の電気分解や電極層の除去を引き起こさずに、結合層を官能性表面に選択的に付着させたり除去したりすることができることを示した。
【0284】
したがって、一実施形態では、本発明の電極アレイは、官能性表面と、アレイの少なくとも一部の別の表面とを覆う結合層(好ましくはSAM)を含み、電極層と対極との間に電流を発生させるステップによって、電極アレイ上の別の位置と比較して、官能性表面から結合層が選択的に除去される。本発明者らは、実施例3において表面構造の上部からのSAMの選択的除去(脱着)を示している。
【0285】
好ましくは、本発明の方法は、電極アレイ上の別の位置と比較して、官能性表面から結合層の少なくとも一部を選択的に除去するステップをさらに含む。
【0286】
好ましくは、本発明の方法は、第1の結合層の選択的除去が行われた官能性表面上にさらなる結合層を選択的に堆積するステップをさらに含む。
【0287】
実施例5は、電極アレイ上に第1の結合層(SAM)を堆積し、次にアレイの表面構造の頂点またはその付近の官能性表面から結合層を選択的除去し、続いて頂点またはその付近に異なる結合層(SAM)を堆積する例を示している。
【0288】
表面構造の上部からの結合層の除去によって、官能基を含む結合層を、表面構造の頂点またはその付近に選択的に付着させることが可能となる。これは、たとえば標的検体用の溶液の試験のためのバイオセンサーとして使用するため、結合剤および/または検出部分を付着させるために使用することができる。
【0289】
官能性表面における結合層の除去は、たとえば緩衝剤、塩種、およびNaClからなる群から選択される電荷キャリア種またはイオン種の中で活性種が溶媒和される場合に、溶液中の活性種の電気化学的改質によって可能となる。活性種は好ましくは電子供与体として機能し、結合層、たとえばSAM上の硫黄に電子を供与し、それによってSAMが遊離する。結合層は、荷電した活性種による還元または酸化が起こりやすい多数の異なる分子または原子、たとえばS、O、またはNを含み得る。活性種の電気化学的改質の効果は、官能性表面に結合する結合層上の官能基(たとえばSAMのS原子)の酸化または還元である。
【0290】
好ましくは、活性種の電気化学的改質は、部分的または完全のいずれかの酸化または還元を含む。
【0291】
特定の一実施形態では、電極アレイは、表面構造の下部上に存在するが表面構造の上部には存在しない結合層を含み、本方法は、官能性表面上にさらなる結合層を選択的に堆積するステップをさらに含む。
【0292】
この実施形態では、上部から結合層を除去してあらかじめ作製された電極アレイは、官能性表面において、すなわち表面構造の上部上で選択的に官能化される。
【0293】
好ましくは、第1の態様において規定される電極アレイは自己組織化単層(SAM)をさらに含む。
【0294】
好ましくは、SAMは、電極層の上面上に存在する。
【0295】
好ましくは、SAMは、支持基板の上面上に存在する。
【0296】
好ましくは、表面構造またはその一部が突出してその上に露出した官能性表面を有するように、SAMは表面構造の周囲に存在する。
【0297】
好ましくは、SAMは、アルカン、アルケン、アルキン、または芳香族構造の中にC6~C24(C6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23または24)の炭素鎖を含む長鎖分子、またはそれらの混合物を含む。この実施形態では、SAMの安定性は、より短い炭素鎖よりも増加する。そしてこの場合、SAMの不安定化および除去のためにより強い電流が必要となる。
【0298】
好ましくは、SAMは、C5~C1(C1 2 3 4 5)の炭素鎖を含む短鎖分子を含む。この実施形態では、SAMは安定性がより低く、したがってより弱い電流を必要とする。したがって除去がより容易であり、このことは、SAMの迅速な除去が必要な用途に好ましくなりうる。
【0299】
好ましくは、SAMは、長鎖分子および短鎖分子を含む混合SAMである。
【0300】
好ましくは、混合SAMは、C6~C24の炭素鎖を含む長鎖分子、およびC5~C1の短鎖分子を含む(これらすべては前述している)。
【0301】
好ましくは、長鎖SAMは、アジド、アミン、カルボキシレート、またはカルボン酸からなる群から選択される分子を含む。
【0302】
好ましくは、短鎖SAMは、アルカン、アジド、アミン、ヒドロキシル、カルボキシレート、またはカルボン酸からなる群から選択される分子を含む。
【0303】
特定の一実施形態では、SAMは、C6~C24のカルボン酸分子を含む長鎖分子(前述の規定の通り)およびヒドロキシル分子を含む短鎖分子(前述の規定の通り)の混合物を含む。上記実施形態では、SAM長鎖分子は、C6、C8、C10、C12、C14、C16、C18、またはC20の分子から選択される。
【0304】
好ましくは、SAMは、電極アレイ上に存在するが、前述の規定のように表面構造の上部には存在しない。
【0305】
好ましくは、SAMは、C6以上(上記規定のようにC24まで)の炭素鎖を含む長鎖分子、またはC5以下(上記規定のようにC1まで)の短鎖分子を含み、表面構造の上部は、a.SAMを含まないか、b.電極層と対極との間に電流を発生させることによって除去されるように適合したSAMを含むかのいずれかである。
【0306】
好ましくは、SAMはC6~C24の間の炭素鎖を有する長鎖分子を含み、表面構造の上部は、a.SAMを含まないか、b.電極層と対極との間に電流を発生させることによって除去されるように適合したSAMを含むかのいずれかである。
【0307】
実施例5に例示される特定の一実施形態では、電極アレイは、表面構造の上部および下部の上にSAM結合層を含み、活性種を官能性表面と接触させることによって、電荷密度(電圧または電流)が集中する表面構造の上部からSAM結合層が選択的に除去される。この実施形態では、本方法は、官能性表面における電極層の新しい露出部分の上にさらなる結合層を選択的に堆積するステップをさらに含む。
【0308】
好ましくは、SAMは、末端メチルを有するアルカンチオール、アジド、チオール、アルデヒド、シアノ、ジアゾニウム、アミン、アルコール、シラン、ホスホン酸、およびカルボン酸からなる群から選択される。
【0309】
特定の実施形態では、SAMは:
R-(CH2)n-SH、R-(CH2)n-NH2、または
R-(CH2)n-Si(OR’)3を含み、
式中、R=アルキル、アジド、キノン、またはテトラジンであり;
R’=Me、Cl、Etであり;
n=1~50である。
【0310】
本発明の方法は、アレイ上の別の位置と比較して、官能性表面上にさらなる結合層の選択的堆積を含むことができる。このステップは、官能性表面から結合層(たとえばSAM)の選択的除去が既に行われたアレイ上で行うことができる。
【0311】
好ましくは、さらなる結合層は、SAM-COOH、SAM-C-NH2、SAM-N3からなる群から選択される官能基を含み、このSAMは自己組織化単層を含む。
【0312】
好ましくは、さらなる結合層を堆積するステップは、活性種を官能性表面上の結合層とカップリングさせるステップを含む。好ましくは、このカップリングは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド/N-ヒドロキシスクシンイミド(EDC/NHS)カップリング反応を含む。
【0313】
好ましくは、結合層は結合剤をさらに含む。結合剤は好ましくは、溶液中の標的検体に結合可能である。たとえば、結合剤は、抗原、抗体、抗体フラグメント、一本鎖可変フラグメント、ビオチン化タンパク質、ペプチド、核酸、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、ポリヒスチジンもしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼを含有する組み換えにより発現したタンパク質、アテチレニックキノン(atetylenic quinone)、アジド、テトラジン、大型もしくは小型アミン含有分子、スルフヒドリル含有分子もしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を発現するタンパク質、金属および金属塩(鉛、リン酸鉛、クロム、白金、パラジウム、イリジウム、銅など)、ssDNA、ssRNA、miRNA、mRNA、アプタマー、ならびにスペーサー分子を有するおよび有さない小分子からなる群から選択される。
【0314】
好ましくは、活性種は、電気化学的な還元または酸化のための電位を有する要素を含む。好ましくは、活性種は、前述のような結合剤、または結合層への付着が可能な官能基を含む。好ましくは、官能基は、アビジン、シアノ、アルデヒド、エステル、ケトン、COOH、NH2、アジド、エチニル、生物活性ビオチン、キノン、およびテトラジン、またはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0315】
本発明者らは、官能性表面上への電荷密度(電流または電圧)の集中を利用して、電気化学的改質の後の官能性表面に粒子を付着させることができることも見出した。
【0316】
したがって、本発明のさらなる一実施形態では、活性種は、ある化学種を含み、その化学種は、電気化学的改質の後の官能性表面に付着する。
【0317】
好ましくは、活性種は、金属イオンから好ましくは選択される荷電粒子である。好ましくは、金属イオンは、イオン形態の白金、金、パラジウム、鉄、イリジウム、銀、銅、合金、または遷移金属を含む。
【0318】
好ましくは、イオン形態は酸化型の金属イオンである。
【0319】
好ましくは、イオン形態は、Ni2+、CrX+、Cu2+、Cu+、Ag+、Pt2+,Pd2+、Fe2+、Ir2+またはSc、Ti、Vn、Cr、Mn、Co、Zn、Au、Tg、Yt、Mbなどの別の遷移金属イオンからなる群から選択される。
【0320】
別の一実施形態では、荷電粒子は、生物学的センサー用の結合剤であってよい。好ましくは、結合剤は、抗原、抗体、抗体フラグメント、一本鎖可変フラグメント、ビオチン化タンパク質、ペプチド、核酸、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、ポリヒスチジンもしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼを含有する組み換えにより発現したタンパク質、大型もしくは小型アミン含有分子、スルフヒドリル含有分子もしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を発現するタンパク質、金属および金属塩(鉛、リン酸鉛、クロム、白金、パラジウム、イリジウム、銅など)からなる群から選択される。
【0321】
上記結合剤は官能性表面に直接付着する必要はなく、リンカー分子を介して間接的に付着することができ、これは官能性表面への引力または結合のために必要な電荷を提供するリンカー分子であってよいことを当業者は理解されよう。リンカー分子は、結合剤に付着して官能性表面上で導電性ポリマーを形成するモノマーであってよい。たとえば、ピロールを含む溶液に酸化電位を印加すると、ピロールが表面に付着し、結合剤を表面に付着させる効果が得られる。別のリンカーとしては、エーテル、エステル、アミドなどの主鎖中に種々の官能基を有する、アルカン、ポリエチレングリコール、ポリアセチレン鎖を挙げることができる。
【0322】
実施例4には、表面構造の上部に電荷密度(電圧または電流)を集中させることによって、その表面構造上に白金である粒子を選択的に堆積させる実験が記載されている。
図9および10は、角錐型表面構造の上部(頂点またはその付近)に選択的に付着した白金粒子を有する走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真を示している。
【0323】
好ましくは、荷電粒子は金属イオンまたは導電性ポリマー(PPY、PA、PA)を含む。
【0324】
好ましくは、金属イオンは、イオン形態の白金、金、パラジウム、鉄、イリジウム、銀を含む。
【0325】
好ましくは、イオン形態は酸化型の金属イオンである。
【0326】
好ましくは、イオン形態は、遷移金属、たとえばNi2+、Cu2+、Pt2+、Pd2+、Fe2+、Ir2+、Sc、Ti、Vn、Cr、Mn、Co、Zn、Au、Tg、Yt、Mbからなる群から選択される。
【0327】
好ましくは、官能性表面上に付着する荷電粒子の密度は、電極層の別の露出面上に付着する荷電粒子の密度よりも高い。
【0328】
表面構造の上部を選択的に被覆する能力を使用することで、荷電粒子の使用を最小限にして、アレイの作製中のコストを減少させることができる。
【0329】
官能性表面は、電荷密度(電圧または電流)が集中する電極層上に見られる領域である。官能性表面に接触すると、活性種は、酸化(電子の損失)または還元(電子の獲得)が起こり、電気化学的に改質される。
【0330】
官能性表面の表面積は、表面構造の形状、および発生する電流の強度などの多数の要因により変化する。表面構造が鋭い上部を含む(たとえば
図1中に示されるような三角形の断面を有する)場合、電荷密度(電圧または電流)は頂点に近い領域でより高くなる。丸みを帯びた上部(たとえば
図2)を有する表面構造の場合は、電荷密度(電圧または電流)はより分散し、したがって官能性表面は、頂点からより遠くまで延在する。頂点に鋭い上面を有する表面構造は、電荷密度の集中に関して有利となり、丸みを帯びた頂点は、製造がより容易であり、したがってより安価となる利点を有する。したがって設定の選択は、使用者の要求に左右される。
【0331】
アレイ上の支持基板の上面から突出し(3次元構造を形成する)表面構造の高さは、約1nm~約5cmの間であることが好ましい。より好ましくは5nm、25nm、50nm、100nm、125nm、150nm、200nm、250nm、300nm、400nm、1μmである。
【0332】
より好ましくは、約5nm~約5mmの間、約1ミクロン~約50ミクロンの間、約100nm~約1μmの間、または約25nm~約400nmの間である。
【0333】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の官能性表面は、電極層の上面上に存在する。
【0334】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の官能性表面は、支持基板または不動態化層から突出する表面構造上の電極層の上面上に存在する。
【0335】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の官能性表面は、表面構造の上部上に存在する。
【0336】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の官能性表面は、非平面状である。
【0337】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の表面構造は、不動態化層の範囲によって画定される官能性表面を含む。
【0338】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の官能性表面は、不動態化層または支持基板によって、別の表面構造上の別の官能性表面から分離している。
【0339】
好ましくは、ある電極層上の本発明のいずれかの実施形態の官能性表面は、同じ電極層上の少なくとも1つのさらなる官能性表面に電気的に接続される。好ましくは、少なくとも1つのさらなる官能性表面への電気的接続は、不動態化層の下に存在する。
【0340】
電極アレイが、表面構造の間に不動態化層を含み、この不動態化層が、架橋ポリマー、フォトレジスト、自己組織化単層(SAM)、エポキシ系ネガ型フォトレジスト、およびSU-8からなる群から選択されることが好ましい。
【0341】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の電極アレイは、電極層上に官能性表面をそれぞれ有する複数の表面構造を含む。
【0342】
好ましくは、複数の官能性表面は、電極層を介して電気的に接続されて、官能性グループが形成される。一実施形態では、アレイは2つ以上の官能性グループを含み、それぞれの官能性グループは別のグループからは電気的に隔離される。
【0343】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の官能性表面は、保護コーティングを含む。好ましくは、保護コーティングは、SAM(前述の規定の通り)またはタンパク質(オボアルブミンまたは特異的活性を有さない別のブロッキングタンパク質など)を含む。
【0344】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の官能性表面の範囲は、電荷密度(電圧または電流)が、電極層の平坦面上で測定される電荷密度(電圧または電流)よりも高くなることによって規定される。好ましくは、電荷密度(電圧または電流)は、平坦面と比較して官能性表面上で少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、または1000倍である。
【0345】
支持基板は、電極アレイの土台を形成し、表面構造およびアレイの他のあらゆる構成要素を支持する。好ましくは、支持基板は、導電性または非導電性の表面、ポリマー、シリコン、金属、またはガラスを含む。ポリマーが使用される場合、これは典型的には非晶質であるが、半結晶性ポリマーであってもよい。好ましくは、押出成形可能なポリマーが使用される。適切な形態のポリマーは、当業者には周知であるが、たとえばポリカーボネートおよびPMMAが挙げられる。これは可撓性または剛性であってよく、好ましくは平面状である。当業者には周知のように、基板材料の厚さは、主として、適切な取り扱いを保証するのに必要な厚さによって決定される。したがって、好ましくは、基板材料は、約50ミクロン~約5mmの間の厚さ、または約500ミクロン~約2mmの間の厚さ、または約50ミクロン~約100ミクロンの間の厚さである。
【0346】
一実施形態では、支持基板は導電性材料である。別の一実施形態では、支持基板は非導電性材料である。支持基板が非導電性材料である場合、これは絶縁性材料として機能することもできる。本発明における使用に適切な可撓性材料の例としては、熱可塑性ポリウレタン、ゴム、シリコーンゴム、および可撓性エポキシが挙げられる。本発明における使用に適切な剛性支持基板の例としては、ガラス、PMMA、PC、PS、セラミック、樹脂、複合材料、充填されたポリマー、および剛性エポキシが挙げられる。以下により詳細に議論されるように、支持基板は、金、銀、ニッケル等の金属から形成することもできる。
【0347】
表面構造は、それらが支持基板と接触する場所で互いに接続されてもよいし、またはこれらは、支持基板の実質的に平坦な上面がそれぞれの表面構造の底面の間に存在するように互いに離れて位置することもできる。
【0348】
一実施形態では、表面構造は支持基板と一体となる。これは、表面構造が、支持基板と同じ材料から形成され、支持基板から突出していることを意味する。この実施形態では、支持基板の上面は、規則的または不規則な構成で配列された表面構造のアレイを含むことができる。この実施形態では、電極層は、表面構造の上部(および露出する場所の支持基板)の上に形成することができる。表面構造と一体となった支持基板は、周知の方法、たとえば熱エンボス加工、CFT処理、射出成形、スタンピング、電鋳、またはリソグラフィー技術によって形成することができる。
【0349】
別の一実施形態では、表面構造は、支持基板とは異なる材料から形成され、支持基板上に堆積させるか、または支持基盤に付着させる。この実施形態では、表面構造は電極層と一体となっていてよい。これは、表面構造が電極層の一部であり、電極層と同じ材料から形成されることを意味する。
【0350】
あるいは、表面構造の上に電極層を堆積したり、別の方法で形成したりすることができ、上記表面構造は、支持基板と一体となるように上に堆積されるか、または別の方法で支持基板上に形成される。異なる材料から形成された表面構造を有する支持基板は、周知の方法、たとえば熱エンボス加工、CFT処理、フォトレジストのレーザー加工、スタンピング、またはリソグラフィー技術によって形成することができる。
【0351】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の支持基板は、単一層または複数の層を含む。
【0352】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の支持基板は、非導電性(ポリマー、ガラス、Si、およびTiO2)または(導電性ポリマー、金属、金属表面(Ni、Al、Ag)、ドープされたSi、ステンレス鋼)である。
【0353】
表面構造によって、構造の上部への電荷密度の集中を可能にするチャネルが効果的に提供される。表面構造は、支持基板から外側に突出し、表面が平坦な場合よりも大きな角度で官能性表面からの拡散が可能となる、あらゆる適切な形状であってよい。官能性表面に対するこの「球面拡散」効果は、平坦面または「ウェル」もしくは「チャネル」において可能なよりも速い速度で、溶液中の活性種の荷電表面への拡散および荷電表面からの拡散が可能となることである。
【0354】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の表面構造は、不動態化層を貫通して突出する。
【0355】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の表面構造は、表面構造の最上部に頂点を含む。
【0356】
好ましくは、頂点は、ある輪郭面を有する上部分と、異なる輪郭面を有する少なくとも1つの下部分とを有する表面構造上に存在する。いくつかの実施形態では、表面構造またはその上部分は、ドーム型、円錐型、角錐型、乳頭状、隆起、または多面体形状である。
【0357】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の表面構造は、凸形の上面を有する上部分を含む。
【0358】
好ましくは、上部分の表面は、頂点までテーパーが付けられる、または頂点まで丸みを帯びている。
【0359】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の表面構造は、支持基板の最上面と直交する面に沿って三角形、凸形、半円形、または乳頭状の断面を有する。
【0360】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の表面構造は、支持基板の最上面と平行な面に沿って実質的に三角形、実質的に円形、または実質的に正方形の断面を有する。
【0361】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の表面構造の断面積は、支持基板の最上面と直交する軸に沿って減少する。
【0362】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の表面構造は、支持基板上に均一に配置される。好ましくは、表面構造は支持基板上に不規則に配置される。
【0363】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の表面構造は少なくとも1つの対称軸を有する。
【0364】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の表面構造は、約5nm~約2000μmだけ互いに均一に離れている。より好ましくは、約15nm~約1500μm、約35nm~約1000μm、約55nm~約750μm、約100nm~約1000μm、約250nm~約1500μm、約5nm~約1500μm、約5nm~約1000μm、約5nm~約750μm、約15nm~約2000μm、約35nm~約2000μm、約55nm~約2000μmである。
【0365】
好ましくは、支持基板に接続する場所での本発明のいずれかの実施形態の表面構造の幅は、約20nm~約5000μmの間である。より好ましくは、約40nm~約4000μm、約55nm~約3000μm、約75nm~約2500μm、約100nm~約4000μm、約250nm~約3500μm、約20nm~約3500μm、約2nm~約4000μm、約20nm~約2500μm、約20nm~約4000μm、約20nm~約3000μm、約20nm~約2000μmである。
【0366】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態のそれぞれの表面構造の頂点は、それぞれの表面構造の上部の最上部に位置する。
【0367】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態のそれぞれの表面構造の上部は、先端部もしくは点を含む、または凸形、乳頭状、テーパーが付けられている、円錐型、半球、もしくは多面体である。
【0368】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の表面構造は、支持基板の最上面に対してほぼ平行な軸に沿って延在する頂点を有する隆起を含む。
【0369】
好ましくは、それぞれの表面構造の頂点の幅は、本明細書における前述の規定の通りであり、好ましくは約1nm~約5000ミクロンの間、より好ましくは約10nm~約10ミクロンの間、または約20nm~約2ミクロン、または約30nm~約1ミクロンである。それぞれの表面構造の頂点の幅は、それが支持基板に接合する場所よりも狭く、たとえば約1nmの幅の頂点の場合、それが支持基板に接続する場所の幅は約20nmを超えうる。
【0370】
好ましくは、隆起は、支持基板の最上面と直交する面に沿って凸形、乳頭状、テーパー付き、三角形、または多角形の断面を有する。
【0371】
好ましくは、表面構造は、頂点間で約5nm~約1000μmだけ互いに離れている。
図13および17(頂点間が約250nm分離していることが示されている)、ならびに実施例1(頂点間の間隔が70μmである)から明らかなように、表面構造の間の頂点間距離は、好ましくは実質的に均一であるが、希望するならこれは変動してもよい。より予測可能な挙動および結果が得られるので、均一が好ましい。当業者には非常に明らかなように、種々の範囲および選択肢は、この選択肢の範囲内となり、使用者が選択することができる。約50nm~約1000μm、約100nm~約1000μm、約250nm~約1000μm、約5nm~約750μm、約5nm~約500μm、約5nm~約100μm。
【0372】
明らかなように、支持基板の上面から突出する表面構造によって、アレイ上に3次元(3D)構造が形成される。
【0373】
したがって別の一実施形態では、本発明は、電極アレイ上の官能性表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させる方法であって:
a)電極アレイであって、
i)支持基板と;
ii)支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
iii)電極層上の官能性表面であって、少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面とを含み;
iv)表面構造が、頂点間で約5nm~約1000μmだけ互いに分離しており、この分離は、好ましいが任意選択で、実質的に均一である、
電極アレイを提供するステップと;
b)活性種を含み、対極を中に有する溶液に表面構造を曝露するステップと;
c)電荷密度が官能性表面に集中し、官能性表面との接触後に活性種が電気化学的に改質されるように、電極層と対極との間に電流または電圧を発生させるステップと、
を含む方法であると理解することができる。
【0374】
好ましくは、表面構造は、頂点間で約50nm~約1000μm、約100nm~約1000μm、約250nm~約1000μm、約5nm~約750μm、約5nm~約500μm、約5nm~約100μmだけ互いに分離している。
【0375】
電極層は、あらゆる適切な導電性材料を含む。好ましくは、電極層は、導電性金属、炭素、ガラス状炭素、炭質材料、グラフェン、カーボンナノチューブ、導電性インク、充填されたポリマー、導電性ポリマー、金、銀、ニッケル、白金、フッ化物ドープ酸化スズ(fluoride doped tinoxide)(FTO)、インジウムスズ酸化物(indium tinoxide)(ITO)、ドープされたシリコン、二酸化チタン、または層状構造からなる群から選択される導電性材料を含む。好ましくは、導電性金属は、金、銀、ニッケル、または白金を含む。好ましくは、層状構造は、金を有するチタン、金を有するクロム、または導電性ポリマーを有する金を含む。
【0376】
好ましくは、電極層は、スパッタリング技術、好ましくはマグネトロンスパッタリング、蒸発、塗装、スプレーコーティング、またはスピンコーティングからなる群から選択される技術によって表面構造上に堆積される。
【0377】
好ましくは、電極層は、表面構造と、場合により支持基板とを覆う実質的に一定の厚さの層を含む。
【0378】
電極層は、本明細書に記載の結合層および/または結合剤を付着させることによって官能化させることができる。好ましくは、結合剤は、抗原、抗体、抗体フラグメント、一本鎖可変フラグメント、ビオチン化タンパク質、ペプチド、核酸、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、ポリヒスチジンもしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼを含有する組み換えにより発現したタンパク質、アテチレニックキノン(atetylenic quinone)、アジド、テトラジン、大型もしくは小型アミン含有分子、スルフヒドリル含有分子もしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を発現するタンパク質、金属および金属塩(鉛、リン酸鉛、クロム、白金、パラジウム、イリジウム、銅など)からなる群から選択される。
【0379】
電極層は、表面構造と、場合によりそれらの構造の間の支持基板との上に堆積される。この実施形態では、露出しているあらゆる平坦な支持基板表面も電極層で覆われ、電極層の境界の影響を受ける。好ましくは、電極層は、実質的に一定の厚さの層を含む。電極層が表面構造の上面上に堆積される場合、電極層の上面のトポロジーは、好ましくは、下にある表面構造と、場合により支持基板とのトポロジーに対応する。
【0380】
表面トポロジーの対応は、電極層420が支持基板410上に堆積される
図4中に見ることができる。
【0381】
電極層の厚さはあらゆる適切な厚さであってよいが、好ましくは約5nm~5μmの間の厚さ、より好ましくは5nm~10μmの間、15nm~50nmの間、20~500nmの間、または50~100nmの間の厚さである。本発明者らは、約5nm未満の層の使用は、電荷の導電性に関連する問題のため、あまり望ましくないことを見出した。さらに、厚さが500nmを超える層は、典型的には金である電極層の作製に使用される材料のコストのため、経済的な欠点が生じる。
【0382】
好ましくは、電極層は、電極層を測定電極に電気的に接続するように適合した1つ以上の端子接続手段を含む。好ましくは、端子接続手段は、スロットコネクターなどのコネクターに連結するように適合される。好ましくは、端子接続手段は、支持基板の表面の上方に突出する表面構造を有する支持領域の領域を含む。
【0383】
特定の一実施形態では、電極層は5μm未満の厚さである。
【0384】
本発明者らは、複数の官能性表面がすべて電気的に接続されて官能性グループが形成されると、より多くの信号応答を検出できることを見出した。さらに、本発明者らは、官能性表面の表面積を最小限にすると、各表面の感度が高まることを見出した。これは、表面積が減少すると、表面の信号対雑音比が増加することを意味する。電気的雑音はあらゆる回路中に存在し、非常に小さな電流においてより明らかになる。したがって、雑音を最小限にし、信号対雑音比を最大化することが重要である。
【0385】
したがって、一実施形態では、本発明の電極アレイは、ある電極層上の官能性表面であって、同じ電極層上の少なくとも1つのさらなる官能性表面に電気的に接続された官能性表面を含む。好ましくは、少なくとも1つのさらなる官能性表面への電気的接続は不動態化層の下に存在する。
【0386】
好ましくは、アレイは、電極層上に官能性表面をそれぞれ有する複数の表面構造を含む。
【0387】
好ましくは複数の官能性表面は、電極層を介して電気的に接続されて、官能性グループが形成される。一実施形態では、アレイは、2つ以上の官能性グループを含み、それぞれの官能性グループは、別のグループとは電気的に隔離される。
【0388】
好ましくは、電極アレイは、支持基板と表面構造の下部との上に不動態化層を含む。好ましくは、不動態化層は、表面構造の上部には存在しない。不動態化層は、溶液の成分の非特異的結合を最小限にするため、または防止するために存在する。これは溶液が電極表面と接触する場合に生じる電気的雑音を最小限にする機能も果たす。
【0389】
好ましくは、本発明のステップa)において提供される電極アレイは、支持基板上に堆積され表面構造の上部を覆う不動態化層を含む。
【0390】
好ましくは、電荷密度(電圧または電流)を集中させるために電流を印加するステップによって、表面構造の上部上の官能性表面上の不動態化層が除去される。
【0391】
好ましくは、不動態化層は、電極表面に付着するための官能基を含む。一実施形態では、不動態化層は、本明細書に記載され規定される結合層を含む。一実施形態では、不動態化層はSAMを含む。好ましくは、SAMは硫黄原子によって電極表面に付着する。好ましくは、電極表面は金である。好ましくは、SAMは官能基、たとえばアルキル鎖をさらに含み、好ましくは官能基上のアミンにカップリングしたカルボン酸をさらに含む。
【0392】
別の一実施形態では、不動態化層は、架橋ポリマーまたはフォトレジストを含む。好ましくは、架橋ポリマーは、SU-8、AZ40XT、AZ4620、OSTE Polymer、SPR 3612、LOL2000などのエポキシ系ネガ型フォトレジストである。
【0393】
好ましくは、不動態化層は、対極と電極表面との間に電流を発生させることによって除去される。好ましくは、電流の電位は、銀/塩化銀参照電極を基準として-2V~+2Vの間、好ましくは-200mV~-1Vの間、好ましくは-400mV、好ましくは0~-1mVの間である。
【0394】
SAMの塗布方法は、当業者には周知であろう。一実施形態では、SAMは、SAMをエタノール中に溶解させ、次にそのSAM/エタノール混合物をセンサー表面にある時間、たとえば10分~1時間塗布することによって塗布される。次に、過剰分は洗い落とされる。次にSAMは、Ag/AgClを基準として-400mVの還元電位を印加することによって検知面から除去することができる。保護コーティングがアビジンまたはBSAまたはさらには抗体捕捉剤などのタンパク質である場合、これは測定前に除去されない場合があるが、これが電気測定を妨害することはない。
【0395】
一実施形態では、保護コーティングは、結合剤を塗布する前に検知面に塗布される。好ましくは、保護コーティングは、アルカンチオール(HS(CH2)XCH3、ここでX=0~16である)から形成されるSAMであり、エタノール溶液から堆積される。好ましくは、電気活性種(たとえばTMB)の最終測定の前に、保護コーティングの除去が行われる。
【0396】
別の一実施形態では、結合剤および試料成分の電極層に対する非特異的結合を最小限にするため、または防止するために、保護コーティングが結合層として塗布される。この実施形態では、導電性検知アッセイ前に検知面の脱保護を可能にするために、電荷密度を集中させるための先端部の官能性が利用される。
【0397】
好ましくは、保護コーティングは、銀/塩化銀参照電極を基準として-200mV~-1Vの間、好ましくは-400mVの還元電位を印加することによって除去される。-400mVの印加によってH2O2も生成されるが、これはリガンド触媒(たとえばHRP)の再生に好ましい。
【0398】
SAM官能化電極上に活性種を固定するために使用される反応は、化学的または電気化学的のいずれかの結合を介するものであってよい。化学的固定は、典型的には、SAM(たとえば、EDC/NHSを用いたCOOHの活性化)または活性種(たとえばまたはCu(I)触媒によるアジドアルキン付加環化)のいずれかの反応性官能基の化学的活性化によって実現される。化学的活性化は、堆積の位置を画定することができず、SAM表面を均一に被覆する。したがって、活性種の付着位置の選択性は存在しない。
【0399】
SAMは、周知の官能基で官能化することができる。好ましくはSAMは、アジド、アミン、カルボキシレート、アルデヒド、ケトン、エステル、またはカルボン酸からなる群から選択される官能基で官能化される。
【0400】
官能化したSAMと同じ最終的な効果を実現するために、これとは別に結合層に付着した官能基を、溶質反応物に付着させることが可能なことを当業者は理解されよう。特定の一実施形態では、アジド官能基が、SAM結合層上に存在することができ、または溶質反応物に付着することができる。
【0401】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の溶液は電解質を含む。好ましくは媒体は水であるが、アルコール、エーテル、アセトン、およびDMSO等の有機溶媒であってもよい。好ましくは、電解質は、NaClなどの非緩衝塩溶液、または酸および塩基の溶液H2SO4、HNO3、NaOHを含む、生物学で使用される標準的な緩衝剤を含む。
【0402】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の溶液は、淡水、海水、血液、尿、ミルク、または唾液からなる群から選択される。
【0403】
一実施形態では、本発明のいずれかの実施形態の溶液は、参照電極をさらに含む。
【0404】
好ましくは、溶液は、アルカリ金属塩化物イオンおよび銅2+イオンを有する緩衝溶液を含む。
【0405】
好ましくは、電極アレイは、アレイシステムの一部を構成する。アレイシステムは、試料が官能性表面に接触して、活性種の電気化学的改質が起こるようにすることを可能にする、適切な配線、電極、および溶液を含む。アレイシステムは、好ましくは、官能性表面上に試料を維持するための容器を含む。アレイシステムは、好ましくは、電気化学的改質中に試料に接触するように構成された参照電極および対極もさらに含む。好ましくは参照電極および/または対極は、固定されて、官能性表面から一定距離にある。適切なシステムおよび構成は当業者には周知であろう。
【0406】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の対極は、実質的に不活性の導電性材料を含む。この場合、不活性という用語は、電極層から対極まで電流が発生して電流が流れた後に、対極の質量および状態が実質的に変化しないことを意味する。したがって、「不活性の」対極は、溶液の成分に対して実質的に非反応性である。好ましくは、対極は、金属、Pt、金、ニッケル、銅、鉄、炭素、黒鉛、グラフェン、炭素繊維、カーボンナノチューブ、バッキーボール、導電性ポリマーのPPy、PA、ポリセチレン(Polycetylene)、ステンレス鋼からなる群から選択される材料から形成される。対極は、固体層、または適切な支持体、たとえばポリマーガラス(polymer glass)、金属の上に堆積された導電層でできていてよい。対極は、固体層、または適切な支持体、たとえばポリマーガラス(polymer glass)、金属の上に堆積された導電層でできていてよい。好ましくは、対極は、裸の金属(Au、Pt、ステンレス鋼、および/または銅など)、またはAuもしくはPtがめっきされた基板(金属、ポリマー、および/またはガラスなど)である。好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の対極は、表面構造に対して一定の方向にある。
【0407】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の対極は、電極アレイに付着される。
【0408】
好ましくは、対極は、アレイのそれぞれの表面構造の間の距離の差が最小限となる方向に維持される。好ましくは、対極の方向はアレイの上面の上方となる。これらの実施形態では、対極からそれぞれの表面構造の頂点までの距離は実質的に等距離である。これによって、対極の配置によって生じる検出雑音が最小限となる。
【0409】
したがって、対極は、(a)表面構造に対して一定の方向にあること、(b)電極アレイに付着されること、(c)アレイのそれぞれの表面構造の距離の差が最小限となる方向に維持されること、または(d)アレイの上面の上方にあることが好ましい。
【0410】
一実施形態では、溶液は参照電極をさらに含む。参照電極は、たとえば堆積プロセス中、電流が流れるときの電圧の測定および制御を支援する。参照電極の性質および位置調整は当業者には周知であろう。
【0411】
好ましくは、電極アレイは、溶液に接触する参照電極をさらに含む。好ましくは、参照電極は、Ag/AgClから形成された電極を含む。別の選択としては、標準水素電極(SHE)、規定水素電極(NHE)、可逆水素電極(RHE)、動的水素電極(DHE)、標準カロメル電極(SCE)、銅-硫酸銅(II)電極(CSE)、水銀-硫酸第一水銀電極、Pt、ステンレス鋼、Auが挙げられる。
【0412】
好ましくは、電極層で測定される場合に、電極層と対極との間に発生する電流は酸化電流または還元電流である。これによって、それぞれの表面構造の官能性表面に接触した後の活性種の電気化学的改質が促進される。
【0413】
好ましくは、電流は、対極と電極表面との間で還元電位または酸化電位を含む。好ましくは、電位は、銀/塩化銀参照電極を基準として約-2V~+2Vの間、約-200mV~-1Vの間、または約-400mVである。
【0414】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の電流は、活性化電位と不活性化電位との間のパルスとなる。このパルスによって、官能性表面で生じる反応を局在化させることができる。パルスによって、それぞれの表面構造の頂点からの活性種の拡散も最小限となる。パルスの周波数、およびそのデューティーサイクルによって、機能性表面上の局在化の範囲が画定される。規則的なオン/オフサイクルによって、活性種が不活性化し、したがって、活性化した活性種の官能性表面からアレイの別の位置への拡散が最小限になる。
【0415】
電流が印加される前は、検知物質は不活性のままであり、溶液中に存在する活性種は検知物質に結合することができない。活性化電位が印加されると、官能性表面の電荷密度(電圧または電流)が増加し、それによって、活性種が活性化して官能性表面まで拡散する。
【0416】
したがって、本発明のいずれかの実施形態の電流は、活性化電位と不活性化電位との間のパルスとなる。好ましくは、付着がクリック化学による場合、活性化電位は、約-100mV~-2Vの間、より好ましくは約-400mV~-600mVの間、好ましくは0~-1mVの間の還元電位を含む。好ましくは、不活性化電位は、約100mV~2Vの間、より好ましくは約200mV~500mVの間の酸化電位を含む。別の一実施形態では、不活性化電位は、開路「オフ」である。付着がクリック化学によって進行する場合、アレイ上の官能性表面は、触媒材料(たとえばPt、Au、Ni)から形成されることが好ましく、これは、電極層と対極との間の電流または電圧による電気化学的改質によって活性化される。活性化した官能性表面によって、たとえば、以下にre CUAACと記載されるように、電気化学的Cu2+がCu+に改質される。
【0417】
当業者には周知のように、化学合成において、「クリック」化学は、バイオコンジュゲーションに一般に使用される生体適合性小分子反応の種類の1つであり、選択した基質を特異的な生体分子と結合させることができる。クリック化学は、ある1つの特定の反応ではなく、本来は例に従う生成物を生成する方法を記述するものであり、これによって小さなモジュール単位を結合させることによる物質も生成される。一般に、クリック反応は、通常、生体分子とレポーター分子とを結合させる。クリック化学は生物学的条件に限定されるものではなく:「クリック」反応の概念は、薬理学および種々の生体模倣用途において使用されている。しかし、これらは、生体分子の検出、局在化、および定性において特に有用となっている。この一例は、Cu触媒によるアジドアルキン付加環化反応(CUAAC)である。
【0418】
手作業の手段または従来技術に記載の他の手段を用いたSAMなどの結合層の除去は非常に困難であることは、当業者には理解されよう。したがって、印加される電圧は、水の電気分解が回避される、または最小限となるレベルに維持される。さらに、電極層の除去は望ましくなく、そのためこの発生を回避するために電圧は最小限となる。したがって、これら2つの目的を実質的に実現する特定の実施形態では、電圧は±1.5V未満である。好ましくは電圧は±1V未満である。
【0419】
好ましくは、本発明のいずれかの実施形態の活性種の電気化学的改質によって、検出可能な応答が誘発される。好ましくは、検出可能な応答は、電流、電圧、キャパシタンス、抵抗、コンダクタンス、インピーダンス、磁束、または電界の変化を含む。
【0420】
好ましくは、検出可能な応答は、測定電極において測定される。好ましくは、測定電極は、電流、インピーダンス、電圧、キャパシタンス、抵抗、コンダクタンス、磁束、または電界の1つ以上の変化を測定する測定手段に接続される。
【0421】
好ましくは、検出可能な応答は、電流、インピーダンス、電圧、キャパシタンス、インピーダンス、抵抗、またはコンダクタンスの変化を含む電気化学的に検出可能な応答を含む。電極を用いたこのような応答の測定は、当業者には周知であろう。
【0422】
さらなる一態様では、本発明は、電極アレイであって:
a)支持基板と;
b)支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
c)電極層上の官能性表面であって、少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と;
d)結合層であって:
i)電極アレイ上の非官能性表面におけるよりも顕著に高い密度で官能性表面上に存在するか;
ii)表面構造上の官能性表面上のある位置よりも顕著に高い密度で電極アレイの非官能性表面上に存在するか、
のいずれかである結合層と、
を含み、官能性表面が、表面構造の頂点またはその付近に存在する、電極アレイを提供する。
【0423】
さらなる一態様では、本発明は、電極アレイであって:
a)支持基板と;
b)支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
c)電極層上の官能性表面であって、少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と;
d)結合層であって:
i)電極アレイ上の非官能性表面におけるよりも顕著に高い密度で官能性表面上に存在するか;
ii)表面構造上の官能性表面上のある位置よりも顕著に高い密度で電極アレイの非官能性表面上に存在するか、
のいずれかである結合層と;
を含み、
官能性表面が、表面構造の頂点またはその付近に存在し、表面構造が、頂点間で約5nm~約1000μmだけ互いに分離しており、この分離は、好ましいが任意選択で、実質的に均一である。
【0424】
好ましくは、表面構造は、頂点間で約50nm~約1000μm、約100nm~約1000μm、約250nm~約1000μm、約5nm~約750μm、約5nm~約500μm、約5nm~約100μmだけ互いに分離している。
【0425】
この実施形態では、本発明者らは、電極アレイ表面の残りの部分と比較した場合に、表面構造の上部が異なるように官能化されることを特徴とする、表面構造とあらかじめ形成された官能性表面とを有する電極アレイを製造した。アレイは、本明細書に記載の方法、特に実施例2、3、4、または5に記載の方法により作製することができる。結果として得られるアレイは、アレイの残りの部分とは異なる方法で官能化された官能性表面を有し、それによって表面構造の頂点またはその付近における測定、触媒作用、または結合が可能となる。
【0426】
この種類のアレイの官能性表面のサイズは、印加される電流/電圧、溶液中の活性種の濃度、および表面構造の形状などの多数の要因によって変更可能である。しかし、本発明と別のアレイとの間の明確な違いの要因は、電極層と電極層に接触する溶液中の対極との間に電流が発生すると、電荷密度(電圧または電流)が官能性表面上で、電極層の平坦面上で同等の条件下で測定される電荷密度(電圧または電流)の少なくとも2倍となるという特徴である。
【0427】
支持基板、表面構造、結合層、および電極アレイの官能性表面の特徴は、すべて本明細書で前述している。
【0428】
特定の実施形態では、結合層は、前述の規定の自己組織化単層(SAM)、または荷電粒子を含む。
【0429】
前述の非官能性表面は、アレイの使用中に、官能性表面と同様に溶液に曝露する電極層の平坦面を含む。非官能性表面上の電荷密度(電圧または電流)は、官能性表面上の電荷密度(電圧または電流)の2分の1以下になると予想される。
【0430】
存在する場合、以上および以下に引用されるすべての出願、特許、および刊行物の開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0431】
本明細書におけるあらゆる従来技術への言及は、その従来技術が、世界中のいずれかの国での努力分野における共通の一般的知識の一部を形成することを認定したり、なんらかの形態で示唆したりするものではなく、そのように解釈すべきではない。
【0432】
本発明は、広く、本出願の明細書に言及されるまたは示される部品、要素、および特徴、個別にまたは集合的に、2つ以上の上記の部品、要素、または特徴のありとあらゆる組合せにあると言うこともできる。
【0433】
以上の記述において、整数および周知のそれらの同等物を有する成分に言及する場合、それらの整数は、個別に記載されるかのように本明細書に組み込まれる。
【0434】
「含む(comprises)」という単語は、非限定的な意味で使用され、文脈が明確に他のことを要求するのでなければ、「含むこと(including)」または「含む(includes)」と同義である。
【0435】
本明細書に記載の現時点で好ましい実施形態に対する種々の変更および修正が当業者には明らかであろうことに留意すべきである。このような変更および修正は、本発明の意図および範囲から逸脱せずに、それに付随する利点を損なうことなく、行うことができる。したがって、このような変更および修正が本発明の範囲内に含まれるであろうことが意図される。
【実施例】
【0436】
実施例1:モデリング
目的:
表面構造を有する電極層上の電荷密度(電圧または電流)の分布を示すために、COMSOLコンピューター分析を使用すること。
【0437】
結果:
図1および2に示されるように、COMSOLモデリングは、頂点においてより暗い色で示されるように、構造の頂点またはその付近で電荷密度(電圧または電流)プロファイルがより高いことを予測している。
【0438】
結論:
モデリングによって、電荷密度(電圧または電流)は、表面構造の頂点またはその付近に局在化し、先端が鋭いほど局在化の程度が大きくなることが示されている。
【0439】
実験
材料
PBSペレット、K3FeCN6、K4FeCN6、NHS、EDC、Cu(NO3)2、K2PtCl4、5-ヘキシン酸、およびチオールをSigma Aldrichより購入し、入手したままの状態で使用した。周知の方法を用いて、Cu(II)(NO3)2-1,1’,1’’-トリス(1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル-1-酢酸エチルエステル)トリメチルアミン(CU(II)TTMA)を調製した。エチニル官能化フルオロフォアをLumiprobeより購入し、入手したままの状態で使用した。
【0440】
これらの実験で使用した電極は、金被覆ポリカーボネートであった。電極アレイはポリカーボネートから作製し、その中に一連の角錐をエンボス加工した。角錐型構造は、先端間(頂点間)の間隔が70μmであり、底面は50μm×50μmであった。
【0441】
蛍光画像を得るために、Olympus BX51蛍光顕微鏡を使用した。SEM画像を撮影するためにHitachi SEMを使用した。
【0442】
一般的方法
金の上への自己組織化単層(SAM)の形成:
電極をO2プラズマによる反応性イオンエッチング(RIE)を用いて洗浄し(2分)、その直後に、所望のチオール溶液(エタノール中0.1M)中に60分間浸漬した。次に、表面をエタノールで洗浄し、次に脱イオン水で洗浄した。
【0443】
表面構造を有するポリマー電極の製造
シリコンのNaOHエッチングを用いて逆角錐構造を形成し、そのパターンを電気めっきによってニッケルスタンパー上に移した。シリコンウエハ上のリソグラフィーでパターン化されたフォトレジストを溶融させ、次にニッケルスタンパーの電気めっきによって、反転したドームを製造した。
【0444】
標準的な手順を用いて2mmのポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)フィルム上にニッケルスタンパーで熱エンボス加工することによって、ドームおよび角錐のパターンを有するポリマー表面を作製した。
【0445】
NANO 36マグネトロンスパッター(3mTorrのArにおいて300Wで2分間)を用いて、金(30nm)を平坦およびエンボス加工済みの両方のポリマー基板上に堆積した。
【0446】
金の洗浄およびCVによる特性決定
0.5MのHNO3溶液中0~1.650Vの電極のサイクルによって、安定な金の還元波が0.850Vで得られるまで、金電極の洗浄を行った。
【0447】
電気化学的研究
白金を対極として用いる3つの電極設定によって、Pine E-chemバイポテンショスタットステーションを用いることで、電気化学的研究を行った。漏れ防止Ag/AgCl小型参照電極(eDAQ)を用いて、この研究中に生じるすべての電気化学的電位を測定し記録する。円筒形の孔のTeflonコーン(内径4mm)を試料に押し付けることによって、電気化学セルを閉じ込めた。すべての測定は、空気を排除せずに室温で行った。
【0448】
自己組織化単層(SAM)の形成
所望の量のアルカンチオールをエタノール中に溶解させることによって堆積溶液を調製した。全チオール濃度は0.1~1mMの間に維持した。新しく作製した金基板を堆積溶液中に24時間浸漬した。堆積は、チオール単層上のフォトン酸化をなくすために、光の非存在下で行った。次に基板をエタノールおよび脱イオン水で洗浄して過剰の吸着質を除去し、次にN2を用いて乾燥させて残留溶媒を除去した。
【0449】
実施例2:レドックス種の活性化
目的
アジド-アルキン付加環化反応を触媒するレドックスメディエーターとして活性種Cu(I)を使用し、一方、Cu(II)は不活性である。目的は、電極アレイ表面上の表面構造の頂点またはその付近のより高い電荷密度(電圧または電流)分布を用いて、頂点またはその付近でCu2+をCu1+に選択的に還元し、それによってエチニル-フルオロフォアをアジド官能化SAMへの付着を触媒することであった。排他的な先端部へのフルオロフォアの付着を確認するために、蛍光顕微鏡法を使用した。
【0450】
方法
酢酸緩衝液(pH4.4)(10ml)中にCu(II)TTMA(100μM)および10μMのエチニル-フルオロフォアを含む溶液を、アジド末端SAMで被覆された表面構造を有する電極に曝露した。以下のように方形波電位を印加した;不活性Cu2+を維持するために+0.65Vを5秒間、続いて活性化Cu1+触媒を生成する(それによって付加環化反応が開始する)ために-0.150Vを30秒間、続いて触媒を不活性化し反応を停止するために+0.65Vを25秒間。このプロセスを4回繰り返すと、全反応時間は2分となった。表面をエタノールおよび水で洗浄し、窒素を用いて乾燥させて、直ちに蛍光画像を撮影した。
【0451】
結果:
段階的クロノアンペロメトリー後、
図7Aおよび7Bに示されるように、蛍光は表面の頂点にのみ観察される。
図7A中では、電位は印加しなかった。
図7B中では、電位を印加した。
【0452】
結論:
表面構造の頂点またはその付近におけるより高い電荷密度(電圧または電流)分布によって、頂点において選択的にCu触媒が還元されることで活性化され、その場所でアジド-アルキン付加環化反応が生じる。
【0453】
実施例3-先端におけるSAMの除去
目的:
表面構造を有する電極アレイの電荷密度(電圧または電流)分布を用いて、表面構造の頂点から選択的に自己組織化単層を除去できることを示すこと。
【0454】
方法:
アジド末端SAMで被覆された電極をPBS溶液中に浸漬した。還元電位(0秒、2.5秒、5秒、10秒、20秒、40秒、80秒、160秒、320秒、640秒、および900秒の累積時間で-1.1v)を印加することによるクロノアンペロメトリーによって脱着を行い、Fe(CN)6中20mV/秒においてサイクリックボルタンメトリーを使用して脱着速度を監視した。
【0455】
結果:
平坦電極(
図8B)は最大酸化ピークが約20~30分後に見られるのに対し、電極アレイ上の金で被覆された表面構造は、より速い脱着プロファイル(
図8A)を示し、最大酸化ピークは約10秒後に生じる。
【0456】
脱着が3D電極の先端から起こることを確認するため、化学クリックを用いてエチニル-フルオロフォアをSAM層に付着させた。蛍光顕微鏡法によって、SAMが主として底面に存在することが確認された。
【0457】
結論:
3次元表面の特異な電荷密度(電圧または電流)分布によって、平坦面と比較すると、表面構造の先端部からSAMが顕著に速く脱着した。これは、表面構造の頂点またはその付近に電荷密度(電圧または電流)が集中するために起こった。
【0458】
実施例4:先端のPt官能化
目的:
表面構造を有する電極アレイの特異な電荷密度(電圧または電流)分布によって、構造の頂点に金属を選択的に堆積できることを示すこと。
【0459】
方法:
O2プラズマによる反応性イオンエッチング(RIE)(2分)を用いて金電極層を有する表面構造を洗浄し、PBS中の塩化白金(IV)(1mM)溶液中に浸漬した。以下のように方形波電位を用いて、Ptメソ粒子を成長させた;表面上に15秒間、還元電位(-500mV)を印加してPt(II)をPt(0)に還元し、続いて、酸化電位(300mV)を印加してプロセスを停止させた。所望の量の堆積Ptが得られるまで、このサイクルを続けた。
【0460】
結果:
図9および10に示されるように、主として表面構造の頂点またはその付近にPtの堆積が起こった。
【0461】
結論:
表面構造の頂点またはその付近でより高い電荷密度(電圧または電流)分布となるため、Ptは、別の表面よりも高い密度でそこに堆積する。
【0462】
実施例5
目的:
どのようにして電荷密度(電圧または電流)と表面構造を有する電極アレイとの組合せを用いることで、電極の先端または底面を選択的に官能化できるかを示すこと。
【0463】
方法
1.(A)表面構造を有する電極アレイと、(B)表面構造を有さない電極アレイとの電極表面全体に、SAM-Xをコーティングし、ここでXは、電極の底面に最終的に望まれる官能基である。電流を印加すると、SAM-X層が電極表面から除去される。
図8中に示されるサイクリックボルタンモグラムに示されるこの除去プロセスが起こり、連続するサイクルによって、さらに多くのSAM-Xが電極表面から除去される。それぞれのサイクルは、電流の印加時間が表示されたトレースによって示されている。表面構造を有する電極アレイの場合(8A)、SAM-Xの除去は、ちょうど最上部の最大電荷密度(電圧または電流)の領域から開始し、ゆっくり減少していく。約40秒後に見られるように、表面構造を有する電極アレイは、信号強度のさらなる微小変化を示し、これは表面構造の頂点またはその付近の官能性表面からSAM-Xが完全に除去されたことを示している。
図8Bは、平坦面からのSAM-Xの除去で同じ効果を実現するために600秒必要であることを示している。
【0464】
2.所望の除去レベルに到達した後、先端(A)の最上部における電極の新しく裸になった金部分にSAM-Yをコーティングすることができ、ここでYは新しい所望の官能基である。この方法の利点は、電極表面上のSAM-Yが配置される場所を正確に制御でき、したがって結合層/活性種の位置を制御できることである。
【0465】
実施例6-遷移金属を用いたナノスケール触媒作用
粒子のサイズがサブミクロン未満に到達すると、量子効果がますます優勢になる。これは、粒子周囲の溶液中の拡散速度の大幅な増加と、粒子表面との相互作用率との両方の組合せによって生じる。これらの効果は、検知(結果として、応答速度が速くなり、信号対雑音が減少する)および触媒作用(結果として回転率が大幅に増加する)との両方に適用されうる。これらの周知の拡散効果に加えて、本発明者らは、エネルギーコストの減少によって観察されるように、量子効果は触媒機構にも影響を与えることを示している。
【0466】
スパッタコーティングされた「平坦」電極は、実際には平坦ではなく、密集し、さらには重なり合っている、典型的には5~100nmのサイズ範囲内のナノサイズの粒子で構成されている。実際のサイズおよび範囲は、前述のような使用される堆積技術(たとえばeビーム蒸着、熱蒸着、およびマグネトロンスパッタリング)、および当業者には周知であろう使用される条件(たとえば電圧、温度、真空、出力、周波数)によって左右される。
図11は「平坦」金電極のAFM画像、
図12は関連するラインスキャンを示しており、個別のナノ粒子がはっきりと分かる。
【0467】
平坦面がナノメートルサイズの粒子で構成される場合、これは量子効果が観察される表面の触媒活性において主要な役割を果たすことを示すと考えることができるが、本発明者らは、この場合は異なることを見出しており、平坦で重なり合うナノ粒子は平面拡散が生じ、それによって触媒活性に対する量子効果が妨害されることを観察した。この平面拡散の効果は、
図3、特に
図3Aを参照して前述している。しかし、本発明者らは、平坦で密集し/重なり合うナノ粒子からの平面拡散の影響は、隣接ナノ粒子間の3D間隔を制御することによって克服できることも見出した。これは、ナノスケール3D表面を用いて、粒子間の頂点間距離(本明細書で前に議論したように約5nm~約1000μm)および粒子の位置を制御することによって実現できる。
【0468】
これを行うため、粒子は、本明細書で前述した方法を用いて(
図13中に示されるような)表面構造の先端の最上部上に選択的に堆積された別個の粒子のいずれかとして製造される。
【0469】
上記構造は以下の表1に示されるような数種類の金属、金属で被覆されたポリマー、および共触媒から形成した。表1中で使用される構造は以下のように構成された:
(i)標準的なめっき条件を用いたシリコンウエハ上への電気めっきによって、ニッケルナノ構造の原型を作製した。
(ii)標準的なめっき条件を用いたシリコンウエハ上への電気めっきによって、ニッケルナノ構造の原型を作製した。このニッケルの原型に50nmの金をスパッタコーティングした。X線分析を用いたSEMによって、主として先端部上に金が存在し、谷の底面および側壁には金が存在しないことが示された。このことは、金およびニッケルの両方の存在を示すサイクリックボルタンメトリーによって確認された。
(iii)標準的なめっき条件を用いたシリコンウエハ上への電気めっきによって、ニッケルナノ構造の原型を作製した。このニッケルの原型をポリカーボネート基板中にエンボス加工し、これに50nmの金をスパッタコーティングした。実施例4によりPtナノ粒子を堆積した。
【0470】
【0471】
図14~16は、Au電極(先端部上にスパッタリングされた金を有するニッケル、表1参照)およびPt電極(先端部上に電着されたPtを有する金被覆ポリマー、表1参照)による、水素生成および酸素還元の両方の場合の典型的な平坦電極対ナノ構造電極の活性の比較を示している。すべての先端部(表面構造の頂点)の間の間隔は約250nmである。表面構造の高さも約250nmである。先端部(表面構造の頂点)のサイズは約10nmである。これは、
図17中に示されるように、表1の純ニッケル構造のSEMに見ることができる。AuおよびPt粒子の粒子間距離および位置を制御するナノ構造電極を用いる場合の水素生成および酸素還元の両方における効果は、還元プロセスの開始に必要な電圧の大幅な低下、および平坦面に対するナノ構造表面の触媒性能の1桁の増加として見ることができる(
図14~16)。
【0472】
さらに、論文の“Enhancing Hydrogen Evolution Activity in Water Splitting by Tailoring Li+ -Ni(OH)2-Pt Interfaces” Ram Subbaraman et. al.,Science 2011 VOL 334,page 1256-1260に報告されることを再現するために、
図13および17に示されるような構成によって、表面構造の先端部の間の谷に共触媒を充填することができる。この論文は、本発明で必要とされるような表面構造を有さない平坦な白金電極の表面上に水酸化ニッケルが配置される場合での、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)とPtとの組合せの使用を教示している。本発明は、水酸化ニッケル共触媒とPtとの同じ組合せを使用することができるが、この場合、水酸化ニッケルは谷の中に配置され(スピンコーティングまたはニッケルの底面の酸化によって)、Ptは表面構造の頂点の先端部上に配置される(実施例4による教示など)。上記論文に提案されるように、先端部のPtは最終的な水を分離し、水酸化ニッケル共触媒は、最初に水を結合させることによってプロセスを支援する。触媒および共触媒の種々の組合せは、当然ながら、本明細書において既に議論したように本発明による方法および構造を使用することが可能である。たとえば、これらの選択肢は、(i)遷移金属、たとえばNi、Cr、Cu、Ag、Pt、Pd、Fe、およびIrのいずれか1つ以上から選択される触媒と、(ii)金属、たとえばアルミニウム、カルシウム、セリウム、ガリウム、ハフニウム、鉄、ランタン、マグネシウム、ストロンチウム、チタン、ルテニウム、ニッケル、ジルコニウム、または亜鉛のいずれか1つ以上の酸化物から選択される共触媒との使用を含む。Niと、アルミニウム、カルシウム、セリウム、ガリウム、ハフニウム、鉄、ランタン、マグネシウム、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、または亜鉛のいずれか1つ以上の酸化物との組合せ;Crと、アルミニウム、カルシウム、セリウム、ガリウム、ハフニウム、鉄、ランタン、マグネシウム、ストロンチウム、チタン、ルテニウム、ジルコニウム、または亜鉛のいずれか1つ以上の酸化物との組合せ;Cuと、アルミニウム、カルシウム、セリウム、ガリウム、ハフニウム、鉄、ランタン、マグネシウム、ストロンチウム、チタン、ルテニウム、ニッケル、ジルコニウム、または亜鉛のいずれか1つ以上の酸化物との組合せ;Agと、アルミニウム、カルシウム、セリウム、ガリウム、ハフニウム、鉄、ランタン、マグネシウム、ストロンチウム、チタン、ルテニウム、ニッケル、ジルコニウム、または亜鉛のいずれか1つ以上の酸化物との組合せ;Ptと、アルミニウム、カルシウム、セリウム、ガリウム、ハフニウム、鉄、ランタン、マグネシウム、ストロンチウム、チタン、ルテニウム、ニッケル、ジルコニウム、または亜鉛のいずれか1つ以上の酸化物との組合せ;Pdと、アルミニウム、カルシウム、セリウム、ガリウム、ハフニウム、鉄、ランタン、マグネシウム、ストロンチウム、チタン、ルテニウム、ニッケル、ジルコニウム、または亜鉛のいずれか1つ以上の酸化物との組合せ;Feと、アルミニウム、カルシウム、セリウム、ガリウム、ハフニウム、鉄、ランタン、マグネシウム、ストロンチウム、チタン、ルテニウム、ニッケル、ジルコニウム、または亜鉛のいずれか1つ以上の酸化物との組合せ;Irと、アルミニウム、カルシウム、セリウム、ガリウム、ハフニウム、鉄、ランタン、マグネシウム、ストロンチウム、チタン、ルテニウム、ニッケル、ジルコニウム、または亜鉛のいずれか1つ以上の酸化物との組合せがすべて選択肢となる。
【0473】
したがって、驚くべき結論は、3D形状によって、同じ材料(ここでは金属)であっても、先端から底面までの活性に電気化学的な差が生じることである。
【0474】
実施例7:頂点における表面改質に対する周波数の影響
目的:角錐型アレイ電極の頂点上に局在化する表面付着の範囲を制御すること(
図18~19)
【0475】
方法:
フェロセンのSAMへの共有結合の形成を実施例2により行い、エチニルフェロセンを有するセルにストック溶液を加えた。次に、-300mV(Ag/AgCl基準)の活性化電圧と+500mVの非活性化電圧との間で交番する一連の電圧パルスを用いることによって、クロノアンペロメトリーにより電気化学的に反応を活性化させた。3つの異なるパルス周波数を使用し(1.6Hz、10Hz、および160Hz)、それぞれの場合で、デューティーサイクルを20%に維持した(すなわち、非活性化時間は常に活性化時間の4倍の長さであった)。それぞれの10秒のパルスの後に、セルを脱イオン水で洗浄し、過塩素酸の1M水溶液を加えた。フェロセンの表面被覆率を求めるために、300mV/sのスキャン速度で+200mV~+700mV(Ag/AgCl基準)の間でサイクリックボルタンモグラムを行った。次にセルを脱イオン水で洗浄し、エチニルフェロセンとCu(NO3)2およびTTMA溶液との新しいアリコートを加え、フェロセン表面被覆率がさらに変化しなくなるまで電気化学反応を繰り返した。
【0476】
結果:
パルス周波数が増加すると、フェロセン表面被覆率が低下する。この傾向は、高いパルス周波数では、フェロセン付着が頂点により集中することを示唆している。このことは、頂点におけるより高い電流密度と拡散が制御された反応とに起因するCu(II)TTMAからCu(I)TTMAへの局所的な還元と整合性が取れる。
【0477】
パルス周波数が増加すると、頂点で生成したCu(I)TTMA触媒が電極表面まで拡散する時間が短くなり、したがって、拡散が最大となる電極部位で優先的に反応が起こる。この研究で調べた角錐型電極の場合、角錐の頂点のちょうど先端部は、標準的な微小電極で観察されるものと同様の球面状拡散を示すことによって、最大拡散速度を有する。
【0478】
結論:
パルス周波数を使用することで、頂点において高精度で表面改質を実現できる(
図19)。
【0479】
実施例8:頂点に固定した有機金属触媒を用いたナノスケール触媒作用
表面構造を有する電極アレイの電荷密度(電圧または電流)分布を用いて、固定された有機金属触媒の活性を向上可能なことを示すこと。
【0480】
方法:
実施例7により、電気化学的表面改質を用いて、平坦および角錐型の両方の電極上にフェロセンを固定する。平坦および角錐型の両方の上でのフェロセンの表面被覆率が同等となるように実験を行った(
図20、21)。1mM(
図23)および100mM(
図22)のアスコルビン酸ナトリウムの電気化学的変換をPBS中で行った。
【0481】
結果:
フェロセンは、SAM改質金電極中に組み込まれる場合に、アスコルビン酸塩の酸化を促進することが知られている(
図20および21)。アスコルビン酸の酸化は、1つの生成物が得られる2電子2プロトン酸化プロセスであることが知られている。N3-C11SH/C10SHに付着させるフェロセンを用いると、電流が増加し、ピークとなり、そして減少して、拡散が制限されたプロセスであることを示している。
図22は、典型的な平坦電極と角錐構造の電極とのアスコルビン酸酸化に対するフェロセン活性の比較を示している。水素生成および酸素還元と同様に、使用する場合に、酸化プロセルの開始に必要な電圧の低下が、触媒性能の向上とともに観察された。
【0482】
【0483】
結論:
この場合も、驚くべき結論は、3D形状によって、同じ材料(ここでは有機金属)であっても、先端から底面までの活性に電気化学的な差が生じることである。触媒作用は、変換のエネルギーコストの減少、反応が起こる速度によって改善される。
【0484】
不均一電気触媒プロセスの効率は、以下の2つの方法で求められる:
・速度論的効率、すなわち触媒作用が起こる速度であり、反応物および生成物が触媒表面まで拡散し、触媒表面から拡散する速度に主として関連する。
・熱力学的効率、すなわち電気触媒反応を推進するのに必要なエネルギー。
【0485】
3D表面で得られた結果(たとえば実施例8)は、最終的に、表面構造が触媒プロセスにおいて、本発明以前には認識されていなかった重要な役割を果たすことを示している。本方法によって、平坦面を有する電極と比較して、速度論的効率および熱力学的効率の両方の向上が実現されることが分かる。制御された先端部のアレイである本発明の電極センサーアレイとは対照的に、平坦電極は実際には、せいぜい高い場所および低い場所を有する波状である。2つの電極(平坦、および制御された先端部のアレイ)は、材料の構成に関しては同一となりうるが、先端部のアレイの使用(本発明によって教示される)によって、触媒回転数が百万倍になる効果だけでなく、触媒変換を行うために必要なエネルギーも実質的に低くなる。使用者に対する利点は直ぐに明らかとなる。
【0486】
明らかなことは:
1.先端の頂点に配置される触媒成分は、平坦面上の同じ材料と比較して、大幅に向上した触媒回転率を有する。
2.この効果は、金属(Pt、Au、Ni)および有機金属(遷移金属(たとえば、あらゆる適切な酸化状態のFe、Mn、Mg、Cu、Ir、Co、Pt、Pd、Au、Ag、Mg)を有する、フェロセン、およびポルフィリン、フェナントロリン、イミダゾール、トリスピリジルアミン、ならびにトリアゾール)の両方の触媒作用で見られ、後者の触媒は、化学結合によって電極表面に付着したかご状分子の中に維持される。したがって、本方法は、非生物学的触媒作用だけでなく、複雑な生物学的触媒プロセスにも適用可能である。
【0487】
したがって、本発明は、電極アレイ上の官能性表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させる方法であって:
a.電極アレイであって:
i.支持基板と;
ii.3次元構造を形成するために、支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
iii.電極層上の官能性表面であって、少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と、
を含む電極アレイを提供するステップと;
b.活性種を含み溶液中に配置された対極を含む溶液に表面構造を曝露するステップと;
c.電荷密度が官能性表面に集中し、官能性表面との接触後に活性種が電気化学的に改質されるように、電極層と対極との間に電流または電圧を発生させるステップと、
を含み;
使用中、官能性表面と支持材料の上面とが同じ材料から形成されるかどうかとは無関係に、官能性表面における電気化学的活性は、支持基板の上面とは違いが生じる、方法を含むと理解することもできる。
【0488】
明らかなように、官能性表面と支持材料の上面とは同じ材料から形成されることがあり、使用中、電気化学的活性は、官能性表面に集中し、支持基板の上面とは違いが生じることが分かる。
【0489】
官能性表面と支持基板の上面との間の電気化学的活性の違いは、前述のように官能性表面に電荷密度(電流または電圧)を集中させる印加電圧または電流の使用によって誘発される。
【0490】
アレイの種々の構成要素を形成する材料、および種々の機能を実現する方法は、本明細書に前述され、繰り返される(読者には明らかとなるであろう)。
【0491】
前述の電極アレイ上の官能性表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させる方法では、平坦電極を用いる方法と比較して、速度論的効率および熱力学的効率の両方を向上させる結果も得られる。
【0492】
本発明が対象とすると理解できること、およびay以下の潜在的請求項を含む:
1.電極アレイ上の官能性表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させる方法であって:
d.電極アレイであって:
i.支持基板と;
ii.前記支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
iii.前記電極層上の官能性表面であって、前記少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と、
を含む電極アレイを提供するステップと;
e.活性種および対極の両方を含む溶液に前記表面構造を曝露するステップと;
f.電流が前記官能性表面に集中し、前記官能性表面との接触後に前記活性種が電気化学的に改質されるように、前記電極層と前記対極との間に電流(電荷密度(電圧または電流)を発生させるステップと、
を含む方法。
【0493】
2.前記官能性表面が、前記表面構造の頂点またはその付近に存在する、請求項0に記載の方法。
【0494】
3.前記活性種が触媒を含み、前記官能性表面との接触後の電気化学的改質によって前記触媒が活性化して、活性触媒が得られる、請求項0または2に記載の方法。
【0495】
4.前記触媒が、活性触媒を形成するための還元または酸化が可能である、請求項0~3のいずれか一項に記載の方法。
【0496】
5.前記触媒が、銅、遷移金属、有機金属錯体、遷移金属を含む有機金属錯体、または有機材料を含む、請求項0~4のいずれか一項に記載の方法。
【0497】
6.前記触媒の電気化学的活性化が、活性化が前記電極層上の別の表面部分で起こるよりも、前記官能性表面において実質的に速い速度で起こる、請求項0~5のいずれか一項に記載の方法。
【0498】
7.前記方法が:
a.前記溶液中の前記活性種を電気化学的に活性化させて活性触媒を得るステップをさらに含む、請求項0~6のいずれか一項に記載の方法。
【0499】
8.前記活性触媒が、溶質反応物と結合層との反応を触媒し、前記方法が:
a.前記溶質反応物を前記官能性表面上の前記結合層に付着させるステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【0500】
9.前記活性触媒が溶質反応物と結合層との反応を触媒して、前記官能性表面上に付着生成物が得られる、請求項7または8に記載の方法。
【0501】
10.前記溶質反応物と前記結合層との間の前記反応が、銅(I)触媒によるアジドアルキン付加環化反応である、請求項8または9に記載の方法。
【0502】
11.前記活性種が銅(II)を含み、前記電気化学的活性触媒が銅(I)を含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【0503】
12.前記溶質反応物が、前記活性触媒の存在下の場合に前記結合層上の官能基と反応する官能基を有する化合物を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【0504】
13.前記溶質反応物が、前記溶質反応物と前記結合層との反応後の前記官能性表面への付着に適合する検出部分をさらに含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【0505】
14.前記結合層が自己組織化単層を含む、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【0506】
15.前記結合層が:
i.前記官能性表面;
ii.前記表面構造;
iii.不動態化層;または
iv.前記支持基板
の少なくとも1つの上に存在する、請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
【0507】
16.前記方法が:
i.前記官能性表面;
ii.前記表面構造;
iii.不動態化層;または
iv.前記支持基板
の少なくとも1つの上にSAMを堆積するステップをさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【0508】
17.前記SAMを堆積するステップが、
a.前記官能性表面との接触後に前記活性種を電気化学的に活性化させて活性触媒を得るステップの前;または
b.溶質反応物を前記官能性表面上の結合層に付着させるステップの前
のいずれかで行われる、請求項16に記載の方法。
【0509】
18.前記付着生成物が:
a.官能基、たとえば、カルボン酸、アミン、アルコール、アルデヒド、ビオチン、アビジン、アジド、およびエチニルからなる群から選択されるもの;
b.溶液中の標的検体に結合するように適合した結合剤、たとえば、抗原、抗体、抗体フラグメント、一本鎖可変フラグメント、ビオチン化タンパク質、ペプチド、核酸、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、ポリヒスチジンもしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼを含有する組み換えにより発現したタンパク質、アテチレニックキノン(atetylenic quinone)、アジド、テトラジン、大型もしくは小型アミン含有分子、スルフヒドリル含有分子もしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を発現するタンパク質、金属および金属塩(鉛、リン酸鉛、クロム、白金、パラジウム、イリジウム、銅など)、ssDNA、ssRNA、miRNA、mRNA、アプタマー、ならびにスペーサー分子を有するおよび有さない小分子からなる群から選択されるもの;
c.溶液中の反応を触媒する触媒種、たとえば銅、遷移金属、有機金属錯体、遷移金属を含む有機金属錯体、または酸化もしくは還元されることが可能な有機材料からなる群から選択される触媒;ならびに
d.検出部分、たとえば、フルオロフォア、エチニル官能化フルオロフォア、タンパク質、抗体、核酸、DNA、RNA、小分子、または官能基、たとえばカルボン酸、アミン、アルコール、エステル、ケトン、およびアルデヒドからなる群から選択されるもの、からなる群から選択されるもの、
からなる群から選択される、請求項9~17のいずれか一項に記載の方法。
【0510】
19.前記電極アレイが、前記官能性表面と前記アレイの別の表面の少なくとも一部とを覆う結合層を含み、前記電極層と前記対極との間に電流を発生させる前記ステップによって、前記電極アレイ上の別の位置と比較して、前記官能性表面から前記結合層が選択的に除去される、請求項0~18のいずれか一項に記載の方法。
【0511】
20.a.前記電極アレイ上の別の位置と比較して、前記官能性表面から前記結合層の少なくとも一部を選択的に除去するステップをさらに含む、請求項0~19のいずれか一項に記載の方法。
【0512】
21.a.第1の結合層の選択的除去が行われた前記官能性表面上にさらなる結合層を選択的に堆積するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【0513】
22.前記電極アレイが、前記表面構造の下部上に結合層を含むが、前記表面構造の前記上部上には含まず、前記方法が:
a.前記官能性表面上にさらなる結合層を選択的堆積するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【0514】
23.さらなる結合層を堆積する前記ステップが、前記官能性表面上の前記結合層への活性種のカップリングを含む請求項22に記載の方法。
【0515】
24.前記カップリングが、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド/N-ヒドロキシスクシンイミド(EDC/NHS)カップリング反応を含む、請求項23に記載の方法。
【0516】
25.前記活性種が、電荷キャリア種またはイオン種の中で溶媒和される、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【0517】
26.前記結合層が自己組織化単層(SAM)を含む、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【0518】
27.前記SAMが前記電極層の上面上に存在する、請求項26に記載の方法。
【0519】
28.前記SAMが前記支持基板の上面上に存在する、請求項26または27に記載の方法。
【0520】
29.前記SAMが:
a.C6以上の炭素鎖を含む長鎖分子;
b.C5以下の炭素鎖を含む短鎖分子;
c.C6以上の炭素鎖を含む長鎖分子とC5以下の短鎖分子とを含む混合SAM
からなる群から選択される、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【0521】
30.a.長鎖SAMが、アジド、アミン、カルボキシレート、アルデヒド、ケトン、エステル、またはカルボン酸からなる群から選択される分子を含み;
b.短鎖SAMが、アルカン、アジド、アミン、ヒドロキシル、カルボキシレート、またはカルボン酸からなる群から選択される分子を含む、請求項29に記載の方法。
【0522】
31.前記SAMが、C5以下の炭素鎖を含む短鎖分子を含み、前記表面構造の前記上部が、
a.SAMを含まないか;
b.前記SAMが、前記電極層と前記対極との間に発生した電流によって除去されるように適合しているか
のいずれかである、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
【0523】
32.前記SAMが、C1~C50の炭素鎖を有するアルカンチオールを含み、前記表面構造の前記上部が、
a.SAMを含まないか;
b.前記SAMが、前記電極層と前記対極との間に発生した電流によって除去されるように適合しているか
のいずれかである、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
【0524】
33.前記電極アレイが、前記表面構造の上部および下部の上にSAM結合層を含み、前記活性種と前記官能性表面との接触によって、電荷密度(電圧または電流)が集中する前記表面構造の前記上部から前記SAM結合層が選択的に除去される、請求項26~32のいずれか一項に記載の方法。
【0525】
34.a.前記官能性表面における前記電極層の新しい露出部分の上にさらなる結合層を選択的に堆積するステップをさらに含む、請求項26~33のいずれか一項に記載の方法。
【0526】
35.前記結合層が、抗原、抗体、抗体フラグメント、一本鎖可変フラグメント、ビオチン化タンパク質、ペプチド、核酸、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、ポリヒスチジンもしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼを含有する組み換えにより発現したタンパク質、アテチレニックキノン(atetylenic quinone)、アジド、テトラジン、大型もしくは小型アミン含有分子、スルフヒドリル含有分子もしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を発現するタンパク質、金属および金属塩、鉛、リン酸鉛、クロム、白金、パラジウム、イリジウム、ならびに銅からなる群から選択される結合剤をさらに含む、請求項8~33のいずれか一項に記載の方法。
【0527】
36.前記結合剤が、溶液中の標的検体に結合可能である、請求項35に記載の方法。好ましくは前記結合剤は、核酸、ssDNA、ssRNA、miRNA、mRNA、アプタマー、抗体、スペーサー分子を有するおよび有さない小分子からなる群から選択される。
【0528】
37.前記電極アレイが、前記支持基板上に堆積され前記表面構造の前記上部を覆う不動態化層を含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【0529】
38.電荷密度(電圧または電流)を集中させるために電流を印加する前記ステップによって、前記表面構造の前記上部上の前記官能性表面から前記不動態化層が除去される、請求項37に記載の方法。
【0530】
39.前記対極と前記電極表面との間に電流を発生させることによって前記不動態化層が除去される、請求項37または38に記載の方法。
【0531】
40.前記活性種が荷電粒子を含み、前記荷電粒子が、前記電気化学的改質後に前記官能性表面に付着する、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【0532】
41.前記荷電粒子が金属イオンを含む、請求項40に記載の方法。
【0533】
42.前記金属イオンが、イオン形態の白金、金、パラジウム、鉄、イリジウム、銀、銅、合金、または遷移金属を含む、請求項41に記載の方法。
【0534】
43.前記荷電粒子が、生物学的センサー用の結合剤を含む、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【0535】
44.前記結合剤が、抗原、抗体、抗体フラグメント、一本鎖可変フラグメント、ビオチン化タンパク質、ペプチド、核酸、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、ポリヒスチジンもしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼを含有する組み換えにより発現したタンパク質、大型もしくは小型アミン含有分子、スルフヒドリル含有分子もしくはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を発現するタンパク質、金属、金属塩、鉛、リン酸鉛、クロム、白金、パラジウム、イリジウム、および銅からなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【0536】
45.前記官能性表面上に付着する荷電粒子の密度が、前記電極層の別の露出面上に付着する荷電粒子の密度よりも高い、請求項40~44のいずれか一項に記載の方法。
【0537】
46.前記官能性表面が前記電極層の上面上に存在する、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【0538】
47.前記官能性表面が、前記支持基板または不動態化層から突出する表面構造上の電極層の上面上に存在する、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【0539】
48.前記官能性表面が、不動態化層または前記支持基板によって、別の表面構造上の別の官能性表面から分離している、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【0540】
49.ある電極層上の前記官能性表面が、同じ電極層上の少なくとも1つのさらなる官能性表面に電気的に接続される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【0541】
50.電荷密度(電圧または電流)が、前記電極層の平坦面上で測定される電荷密度(電圧または電流)よりも高くなることによって、前記官能性表面の範囲が画定される、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【0542】
51.電荷密度(電圧または電流)が、前記平坦面と比較して前記官能性表面上で少なくとも2倍となる、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【0543】
52.電荷密度(電圧または電流)が、前記平坦面と比較して前記官能性表面上で少なくとも5倍となる、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【0544】
53.前記表面構造が不動態化層を通過して突出する、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【0545】
54.前記表面構造が、前記表面構造の最上部に頂点を含む、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【0546】
55.前記表面構造またはその上部分が:
a.ドーム型;
b.円錐型;
c.角錐型;
d.乳頭状;
e.隆起;
f.凸形;
g.多面体形状;
h.頂点までテーパーが付けられる;
i.頂点まで丸みを帯びている;
j.前記支持基板の最上面と直交する面に沿って三角形の断面を有する;
k.前記支持基板の最上面と直交する面に沿って凸形の断面を有する;
l.前記支持基板の最上面と直交する面に沿って半円形断面;
m.前記支持基板の最上面と直交する面に沿って乳頭状断面を有する、
からなる群から選択される、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【0547】
56.前記表面構造が、前記支持基板の最上面に対して平行な面に沿って実質的に三角形の、実質的に円形、または実質的に正方形の断面を有する、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
【0548】
57.前記支持基板の最上面と直交する軸に沿って前記表面構造の断面積が減少する、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【0549】
58.前記表面構造が前記支持基板と一体である、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【0550】
59.前記電極層が、前記表面構造および場合により前記支持基板の上面上に堆積される、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【0551】
60.2つ以上の表面構造の前記上面上の前記電極層が、前記アレイ内で電気的に接続される、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【0552】
61.前記電極アレイが、前記支持基板と前記表面構造の下部との上に不動態化層を含む、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【0553】
62.前記不動態化層が、前記表面構造の前記上部には存在しない、請求項61に記載の方法。
【0554】
63.不動態化層が前記官能性表面に存在しないように、前記支持基板と前記表面構造の下部との上に前記不動態化層を堆積することによって、前記官能性表面の範囲が画定される、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【0555】
64.前記不動態化層が、架橋ポリマー、フォトレジスト、自己組織化単層(SAM)、エポキシ系ネガ型フォトレジスト、およびSU-8からなる群から選択される、請求項61~63のいずれか一項に記載の方法。
【0556】
65.前記溶液が、電解質、有機溶媒、アルコール、エーテル、アセトン、DMSO、NaCl、H2SO4、HNO3、NaOH、淡水、海水、血液、尿、ミルク、唾液、またはアルカリ金属塩化物イオンと銅2+イオンとを有する緩衝溶液を含む、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【0557】
66.前記対極が、不活性導電性材料、金属、Pt、金、炭素、黒鉛、グラフェン、炭素繊維、カーボンナノチューブ、バッキーボール、導電性ポリマーのPPy、PA、Pアセチレン(PAcetylene)からなる群から選択される、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【0558】
67.前記対極が、前記表面構造に対して一定の方向にある、前記電極アレイに付着される、前記アレイのそれぞれの前記表面構造の間の距離の差が最小限となる方向に維持される、および前記アレイの上面の上方にある、からなる群から選択される、請求項1~66のいずれか一項に記載の方法。
【0559】
68.前記電極層において測定される前記電極層と前記対極との間に発生する前記電流が酸化電流または還元電流である、請求項1~67のいずれか一項に記載の方法。
【0560】
69.前記対極と前記電極層との間で発生する電位差が約-2V~+2Vの間である、請求項68に記載の方法。
【0561】
70.前記電位差が約-200mV~-1Vの間である、請求項69に記載の方法。
【0562】
71.前記電流が活性化電位と不活性化電位との間のパルスである、請求項1~70のいずれか一項に記載の方法。
【0563】
72.前記活性種の前記電気化学的改質によって、検出可能な応答が誘発される、請求項1~71のいずれか一項に記載の方法。
【0564】
73.前記検出可能な応答が、電流、電圧、キャパシタンス、抵抗、コンダクタンス、インピーダンス、磁束、または電界の変化を含む、請求項72に記載の方法。
【0565】
74.電極アレイであって:
a.支持基板と;
b.前記支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
c.前記電極層上の官能性表面であって、前記少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と;
d.結合層であって:
i.前記電極アレイ上の非官能性表面におけるよりも顕著に高い密度で前記官能性表面上に存在するか;
ii.前記表面構造上の前記官能性表面上のある位置よりも顕著に高い密度で前記電極アレイの非官能性表面上に存在するか、
のいずれかである結合層と、
を含み、前記官能性表面が前記表面構造の頂点またはその付近に存在する、電極アレイ。
【0566】
75.電極アレイであって:
a)支持基板と;
b)前記支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
c)前記電極層上の官能性表面であって、前記少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と;
d)結合層であって:
i)前記電極アレイ上の非官能性表面におけるよりも顕著に高い密度で前記官能性表面上に存在するか;
ii)前記表面構造上の前記官能性表面上のある位置よりも顕著に高い密度で前記電極アレイの非官能性表面上に存在するか、
のいずれかである結合層と;
を含み、前記官能性表面が、前記表面構造の頂点またはその付近に存在し、前記表面構造が、頂点間で互いに約5nm~約1000μmだけ分離し、この分離が、好ましくは、しかし任意選択で実質的に均一である、電極アレイ。
【0567】
76.前記表面構造が、頂点間で互いに約50nm~約1000μm、約100nm~約1000μm、約250nm~約1000μm、約5nm~約750μm、約5nm~約500μm、約5nm~約100μmだけ分離している、請求項74に記載の電極アレイ。
【0568】
77.前記電荷密度(電圧または電流)が、前記電極層と、前記電極層に接触する溶液中の対極との間で電流が発生するときに、前記電極層の平坦面上で同等の条件下で測定される電荷密度(電圧または電流)の少なくとも2倍となることによって画定される前記電極層の部分を前記官能性表面が含む、請求項74~76のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0569】
78.前記結合層が、請求項27~33または35のいずれか一項に記載の自己組織化単層(SAM)、または請求項41~44のいずれか一項に記載の荷電粒子を含む、請求項74~77のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0570】
79.前記官能性表面が前記電極層の上面上に存在する、請求項74~78のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0571】
80.前記官能性表面が、前記支持基板または不動態化層から突出する表面構造上の電極層の上面上に存在する、請求項74~79のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0572】
81.前記官能性表面が、不動態化層または支持基板によって、別の表面構造上の別の官能性表面から分離される、請求項74~80のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0573】
82.ある電極層上の前記官能性表面が、同じ電極層上の少なくとも1つのさらなる官能性表面に電気的に接続される、請求項74~81のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0574】
83.前記アレイの使用中に、電荷密度(電圧または電流)が、前記電極層の平坦面上で測定される電荷密度(電圧または電流)よりも高くなることによって、前記官能性表面の範囲が画定される、請求項74~82のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0575】
84.前記表面構造が前記不動態化層を通過して突出する、請求項74~83のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0576】
85.前記表面構造が、前記表面構造の最上部に頂点を含む、請求項74~84のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0577】
86.前記表面構造またはその上部分が:
a.ドーム型;
b.円錐型;
c.角錐型;
d.乳頭状;
e.隆起;
f.凸形;
g.多面体形状;
h.頂点までテーパーが付けられる;
i.頂点まで丸みを帯びている;
j.前記支持基板の最上面と直交する面に沿って三角形の断面を有する;
k.前記支持基板の最上面と直交する面に沿って凸形の断面を有する;
l.前記支持基板の最上面と直交する面に沿って半円形断面;
m.前記支持基板の最上面と直交する面に沿って乳頭状断面を有する、
からなる群から選択される、請求項74~85のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0578】
87.前記表面構造が、前記支持基板の最上面に対して平行な面に沿って実質的に三角形の、実質的に円形、または実質的に正方形の断面を有する、請求項74~86のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0579】
88.前記支持基板の最上面と直交する軸に沿って前記表面構造の断面積が減少する、請求項74~87のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0580】
89.前記表面構造が前記支持基板と一体である、請求項74~88のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0581】
90.前記電極層が、前記表面構造および場合により前記支持基板の上面上に堆積される、請求項74~89のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0582】
91.2つ以上の表面構造の前記上面上の前記電極層が、前記アレイ内で電気的に接続される、請求項74~90のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0583】
92.前記電極アレイが、前記支持基板と前記表面構造の下部との上に不動態化層を含む、請求項74~91のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0584】
93.前記不動態化層が、前記表面構造の前記上部には存在しない、請求項92に記載の電極アレイ。
【0585】
94.不動態化層が前記官能性表面に存在しないように、前記支持基板と前記表面構造の下部との上に前記不動態化層を堆積することによって、前記官能性表面の範囲が画定される、請求項74~93のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0586】
95.前記不動態化層が、架橋ポリマー、フォトレジスト、自己組織化単層(SAM)、エポキシ系ネガ型フォトレジスト、およびSU-8からなる群から選択される、請求項92~94のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0587】
96.前記電極アレイが、不活性導電性材料、金属、Pt、金、炭素、黒鉛、グラフェン、炭素繊維、カーボンナノチューブ、バッキーボール、導電性ポリマーのPPy、PA、Pアセチレン(PAcetylene)からなる群から選択される対極をさらに含む、請求項74~95のいずれか一項に記載の電極アレイ。
【0588】
97.前記対極が、前記表面構造に対して一定の方向にある、前記電極アレイに付着される、前記アレイのそれぞれの前記表面構造の間の距離の差が最小限となる方向に維持される、および前記アレイの上面の上方にある;および/または、前記作用電極の前記先端部を反映する一連の先端部などの、3D作用電極上の電荷密度(電圧または電流)の配置が促進されるように構成される3D表面特徴を含む、請求項96に記載の電極アレイ。
【0589】
98.電極アレイ上の官能性表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させる方法であって:
a)電極アレイであって:
i)支持基板と;
ii)前記支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
iii)前記電極層上の官能性表面であって、前記少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と、
を含む電極アレイを提供するステップと;
b)活性種を含み対極を含む溶液に表面構造を曝露するステップと;
c)電流(電荷密度(電圧または電流))が前記官能性表面に集中し、前記官能性表面との接触後に前記活性種が電気化学的に改質されるように、前記電極層と前記対極との間に電流または電圧を発生させるステップと、
を含む方法。
【0590】
99.電極アレイ上の官能性表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させる方法であって:
a)電極アレイであって:
i)支持基板と;
ii)前記支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
(i)前記電極層上の官能性表面であって、前記少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と、
を含み;
(ii)前記表面構造が、頂点間で互いに約5nm~約1000μmだけ分離し、この分離が、好ましくは、しかし任意選択で実質的に均一である、電極アレイを提供するステップと;
b)活性種を含み対極を含む溶液に前記表面構造を曝露するステップと;
c)電流(電荷密度(電圧または電流))が前記官能性表面に集中し、前記官能性表面との接触後に前記活性種が電気化学的に改質されるように、前記電極層と前記対極との間に電流または電圧を発生させるステップと、
を含む方法。
【0591】
100.前記アレイが、前記表面構造の前記頂点における触媒と、前記表面構造の間の谷の中の共触媒とを含み、前記触媒が、遷移金属(たとえばNi、Cr、Cu、Ag、Pt、Pd、Fe、およびIr)のいずれか1つ以上から選択され、前記共触媒が、金属(たとえばアルミニウム、カルシウム、セリウム、ガリウム、ハフニウム、鉄、ランタン、マグネシウム、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、または亜鉛)のいずれか1つ以上の酸化物から選択される、請求項1~99のいずれか一項に記載の方法またはアレイ。
【0592】
101.電極アレイ上の官能性表面に電荷密度(電圧または電流)を集中させる方法であって:
a.電極アレイであって:
i.支持基板と;
ii.3次元構造を形成するために、前記支持基板の上面から突出する少なくとも1つの表面構造であって、電極層を含む表面構造と;
iii.前記電極層上の官能性表面であって、前記少なくとも1つの表面構造の上部上に存在し、溶液中の活性種の接触に適合している官能性表面と、
を含む電極アレイを提供するステップと;
b.活性種および対極の両方を含む溶液に前記表面構造を曝露するステップと;
c.電流(電荷密度(電圧または電流))が前記官能性表面に集中し、前記官能性表面との接触後に前記活性種が電気化学的に改質されるように、前記電極層と前記対極との間に電流または電圧を発生させるステップと、
を含み;
前記官能性表面と前記支持材料の前記上面とが同じ材料から形成され、使用中、電気化学的活性は、前記官能性表面に集中し、前記支持基板の前記上面とは違いが生じる、方法。