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特許7237024少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/06 20060101AFI20230303BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
G01C3/06 120P
G01B11/00 B
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019572037
(86)(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018066942
(87)【国際公開番号】W WO2019002199
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】17177871.5
(32)【優先日】2017-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ルンゲンシュミート,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ペッコラ,オイリ
(72)【発明者】
【氏名】シンドラー,パトリク
(72)【発明者】
【氏名】ゼント,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ブルーダー,イングマル
(72)【発明者】
【氏名】ティール,エルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】イルレ,シュテファン
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/005893(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/092454(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/092450(WO,A1)
【文献】特表2016-529473(JP,A)
【文献】特表2016-510397(JP,A)
【文献】特表2016-536594(JP,A)
【文献】特表2014-510909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/06
G01B 11/00
G01S 7/481
H01L 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定範囲(114)内における少なくとも1つの物体(112)の位置を決定するための検出器(110)を調整する方法であって、前記検出器(110)は、光軸がz軸を構成し、前記z軸に平行または逆平行な方向を縦方向とし、前記z軸に沿った座標が縦方向座標である座標系を構成し、前記検出器(110)は、少なくとも2つの縦方向光センサ(116)と、前記物体(112)を画像面内に結像させるための少なくとも1つの転送装置(118)を有し、前記転送装置(118)は焦点面を有し、前記転送装置(118)は前記縦方向光センサ(116)と前記物体(112)との間に配置され、前記縦方向光センサ(116)のそれぞれは、少なくとも1つのセンサ領域(120)を有し、前記縦方向光センサ(116)のそれぞれは、前記物体(112)から前記検出器(110)へ伝搬する少なくとも1つの光ビーム(178)によるそれぞれの前記センサ領域(120)の照射に依存するように、少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するように設計され、前記縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じであるとしたとき、前記センサ領域(120)内の前記光ビーム(178)のビーム断面に依存し、前記検出器(110)は少なくとも1つの評価装置(124)をさらに含み、前記方法は以下のステップ:
(i)前記物体(112)を縦方向に続けて、前記測定範囲(114)内に少なくとも2つの異なる縦方向座標を有する少なくとも2つの異なるキャリブレーション位置(134,136)に移動するステップと;
(ii)前記各キャリブレーション位置(134,136)について、前記第1の縦方向光センサ(126)によって生成された少なくとも1つの第1の縦方向センサ信号と、第2の縦方向光センサ(128)によって生成された少なくとも1つの第2の縦方向センサ信号とを記録するステップと;
(iii)前記各キャリブレーション位置(134,136)について、前記第1および第2の縦方向センサ信号を使用して少なくとも1つのキャリブレーション信号を形成するステップと;
(iv)前記キャリブレーション信号を用いてキャリブレーション関数を生成し、前記キャリブレーション関数は、前記物体(112)の縦方向座標と前記第1および第2の縦方向センサ信号との間の関係を定義しているステップと、
を含み、
前記方法が、前記第1の縦方向光センサ(126)および前記第2の縦方向光センサ(128)の位置決めをするための少なくとも1つの調整ステップをさらに含み、前記の調整ステップは以下のサブステップ:
a)前記測定範囲(114)内の少なくとも1つの最も外側の位置(130)であって、最大の縦方向座標を有する前記最も外側の位置(130)に前記物体(112)を配置するサブステップと;
b)前記第1の縦方向光センサ(126)を、合焦画像面(139)の縦方向座標に配置するサブステップと;
c)前記測定範囲(114)内の少なくとも1つの最も近い位置(132)であって、最小の縦方向座標を有する前記最も近い位置(132)に前記物体(112)を配置するサブステップと;そして
d)前記第2の縦方向光センサ(128)を、前記合焦画像面(139)の縦方向座標に配置するサブステップと、
を含む。
【請求項2】
前記方法が、少なくとも1つの測定ステップを含み、前記物体(112)の縦方向座標は前記キャリブレーション関数を使用して決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記調整ステップは、前記方法ステップ(i)の前に実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、前記第1の縦方向光センサ(126)および前記第2の縦方向光センサ(128)の位置決めをするための少なくとも1つの位置決めステップをさらに含み、前記位置決めステップは、以下のサブステップ:
A)前記物体(112)を、前記測定範囲(114)内の最大の縦方向座標を有する少なくとも1つの前記最も外側の位置(130)に配置し、前記第1の縦方向光センサ(126)を、前記転送装置(118)と前記転送装置(118)の焦点面の間の縦方向位置に配置するサブステップ;そして
B)前記第2の縦方向光センサ(128)を、前記合焦画像面(139)の縦方向座標に配置するサブステップ、
を含む、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップA)が、次のサブステップ:
A1)前記第1の縦方向センサ信号のセンサ閾値を定義するサブステップ;
A2)前記第1の縦方向光センサ(126)を焦点面に向けて移動し、前記第1の縦方向センサ信号を前記センサ閾値と比較するサブステップ;そして
A3)前記第1の縦方向光センサ(126)を、前記第1の縦方向センサ信号が前記センサ閾値と等しい位置に位置決めするサブステップ、
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記位置決めステップは、前記方法ステップ(i)の前に実行される、請求項またはに記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの物体(112)の位置を決定するための検出器(110)であって、前記検出器(110)は、光軸がz軸を構成し、前記z軸に平行または逆平行な方向を縦方向とし、前記z軸に沿った座標が縦方向座標である座標系を構成し、
- 前記物体を画像面内に結像させるための少なくとも1つの転送装置(118)であって、前記転送装置(118)は焦点面を有する、少なくとも1つの転送装置(118)と、
- 少なくとも2つの縦方向光センサ(116)であって、前記縦方向光センサ(116)の各々は、少なくとも1つのセンサ領域(120)を有し、前記物体(112)から前記検出器(110)に伝搬する少なくとも1つの光ビーム(178)による前記センサ領域(120)の照射に依存するように、少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するように設計され、前記縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じであるとして、前記センサ領域(120)における前記光ビーム(178)のビーム断面に依存する、少なくとも2つの前記縦方向光センサ(116)と;
- 少なくとも1つの評価装置(124)であって、前記検出器は(110)は、測定範囲(114)内の少なくとも2つの異なる縦方向座標を有する少なくとも2つの異なるキャリブレーション位置(134,136)に前記物体(112)を続けて移動させるように適合され、前記評価装置(124)は、前記キャリブレーション位置(134,136)の各々に対して、第1の前記縦方向光センサ(126)によって生成された少なくとも1つの第1の縦方向センサ信号と、第2の前記縦方向光センサ(128)によって生成された少なくとも1つの第2の縦方向センサ信号とを記録するように適合され、前記評価装置(124)は、前記キャリブレーション位置(134,136)の各々に対して、前記第1および第2の縦方向センサ信号を使用して少なくとも1つのキャリブレーション信号を形成するように適合され、前記評価装置(124)は、前記キャリブレーション信号を使用して、キャリブレーション関数を生成するように設計され、前記キャリブレーション関数は、前記物体(112)の縦方向座標と前記第1および第2の縦方向センサ信号との間の関係を定義する、少なくとも1つの評価装置と、を含み、
前記検出器(110)は、前記第1の縦方向光センサ(126)および前記第2の縦方向光センサ(128)の位置決めをするための少なくとも1つの調整ステップを実行するように適合され、前記調整ステップは、以下のサブステップ:
a)前記測定範囲(114)内の少なくとも1つの最も外側の位置(130)であって、最大縦方向座標を有する前記最も外側の位置(130)に物体(112)を配置するサブステップと;
b)前記第1の縦方向光センサ(126)を前記合焦画像面(139)の縦方向座標に配置するサブステップと;
c)前記測定範囲(114)内の少なくとも1つの最も近い位置(132)であって、最小の縦方向座標を有する前記最も近い位置(132)に物体(112)を配置するサブステップと;および
d)前記第2の縦方向光センサ(128)を前記合焦画像面(139)の縦方向座標に配置するサブステップと、
を含む、検出器(110)。
【請求項8】
前記評価装置(124)は、少なくとも1つの前記縦方向センサ信号を評価することによって、前記物体(112)の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計される、請求項に記載の検出器(110)。
【請求項9】
前記検出器(110)は、前記第1の縦方向光センサ(126)および前記第2の縦方向光センサ(128)を位置決めするための少なくとも1つの位置決めステップを実行するように適合され、前記位置決めステップは、以下のサブステップ:
A)前記転送装置(118)と前記転送装置(118)の焦点面との間の縦方向位置に前記第1の縦方向光センサ(126)を配置するサブステップと;
B)前記第2の縦方向光センサ(128)を前記合焦画像面(139)の縦方向座標に配置するサブステップと、
を含む、請求項7又は8に記載の検出器(110)。
【請求項10】
前記ステップA)は、以下のサブステップ:
A1)前記第1の縦方向センサ信号のセンサ閾値を定義するサブステップと;
A2)前記第1の縦方向光センサ(126)を焦点面に向かって移動させ、前記第1の縦方向センサ信号をセンサ閾値と比較するサブステップと;そして
A3)前記第1の縦方向センサ信号が前記センサ閾値に等しい位置に前記第1の縦方向光センサ(126)を位置決めするサブステップと、
を含む、請求項に記載の検出器。
【請求項11】
前記少なくとも1つの縦方向光センサ(116)は、少なくとも部分的に透明である、請求項から10のいずれか1項に記載の検出器(110)。
【請求項12】
前記検出器(110)は、少なくとも1つのイメージング装置(166)を備え、前記検出器は、前記縦方向光センサ(116)を通して前記物体(112)を結像するように適合される、請求項11に記載の検出器(110)。
【請求項13】
少なくとも1つの物体(112)の位置を決定するための検出器システム(142)であって、前記検出器システム(142)は、請求項から12のいずれか1項による検出器(110)を含み、前記検出器システム(142)は、少なくとも1つの光ビームを前記検出器(110)に向けるように適合された少なくとも1つのビーコン装置(172)をさらに含み、前記ビーコン装置(172)は、前記物体(112)に接続可能であり、前記物体(112)によって保持可能であり、および前記物体(112)に統合可能であるうちの少なくとも1つである、検出器システム(142)。
【請求項14】
ユーザ(170)とマシン(180)との間で少なくとも1つの情報項目を交換するためのヒューマン-マシンインターフェース(146)であって、前記のヒューマン-マシンインターフェース(146)は、請求項から12のいずれか1項による検出器(110)を含み、前記ヒューマン-マシンインターフェース(146)は、前記検出器(110)により、前記ユーザ(170)の少なくとも1項目の幾何学的情報を生成するように設計され、前記ヒューマン-マシンインターフェース(146)は、前記幾何学的情報に、少なくとも1つの情報項目、特に少なくとも1つの制御コマンドを割り当てるように設計されている、ヒューマン-マシンインターフェース(146)。
【請求項15】
少なくとも1つの娯楽機能を実行するための娯楽装置(148)であって、前記娯楽装置(148)は、請求項14による少なくとも1つのヒューマンマシンインターフェース(146)を含み、前記娯楽装置(148)は、前記ヒューマンマシンインターフェース(146)により少なくとも1つの情報項目をプレーヤが入力できるように設計された、前記娯楽装置(148)は、前記情報項目に従って前記娯楽機能を変えるように設計されている、娯楽装置(148)。
【請求項16】
少なくとも1つの可動物体(112)の位置を追跡するための追跡システム(150)であって、前記追跡システム(150)は、請求項から12のいずれか1項による検出器(110)の少なくとも1つを含み、前記追跡システム(150)は、少なくとも1つの追跡コントローラ(184)をさらに含み、前記追跡コントローラ(184)は、特定の時点における前記物体(112)の一連の位置を追跡するように適合される、追跡システム(150)。
【請求項17】
少なくとも1つの物体(112)を結像するためのカメラ(144)であって、請求項から12のいずれか1項による検出器(110)の少なくとも1つを含む、カメラ(144)。
【請求項18】
請求項から12のいずれか1項による検出器(110)の使用であって使用目的が:交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;安全用途;ヒューマン-マシンインターフェース用途;追跡用途;写真撮影用途;イメージング用途またはカメラ用途;少なくとも1つの空間の地図を生成するための地図製作用途;少なくとも1つの飛行時間測定と組み合わせた使用;測位システム;通信システム;少なくとも1つの転送装置の焦点距離の決定、から成る群から選択される使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定範囲内における少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器を調整する方法と、少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器に関する。本発明は、さらに検出器システム、ユーザとマシンとの間で少なくとも1つの情報項目を交換するためのヒューマンマシンインターフェース、娯楽装置、追跡システムおよびカメラに関する。本発明による装置および方法は、特に、例えば日常生活、ゲーミング、交通技術、製造技術、例えば美術用ドキュメンテーション用または技術目的用のデジタル写真またはビデオ写真などの写真撮影、医療技術または科学の様々な分野において採用され得る。さらに、本発明は、特に、例えば建築、計測学、考古学、芸術、医学、工学または製造の分野で、場景の物体の奥行きプロファイルを生成するためなど、1つまたは複数の物体および/または場景を走査するために使用することができる。ただし、他の適用も可能である。さらに、本発明は、具体的には、少なくとも1つの転送装置の焦点距離を決定するために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
物体の位置を決定するように構成された多数の検出器が従来技術から公知になっている。このような物体の位置を決定するための検出器は、光センサおよび光起電装置に基づくものが公知である。
【0003】
一般的に無機および/または有機のセンサ材料の使用に基づくといえる光センサが、先行技術から公知である。このようなセンサの例は、US2007/0176165A1、US6,995,445B2、DE2501124A1、DE3225372A1、または、多数の他の先行技術文献に開示されている。特にコスト上の理由のために、および、広範囲処理の理由のために、拡大する範囲で例えばUS2007/0176165A1に記載されているように、少なくとも1つの有機センサ材料を含むセンサが使用されるようになってきている。
【0004】
さらに、一般に、他の様々な検出器の概念については、WO2014/097181A1、WO2014/198626A1、WO2014/198629A1、WO2014/198625A1およびWO2015/024871A1が参照され、その全内容が参照により本明細書に含まれる。さらに、本発明の文脈において採用され得る材料および光センサに関して、WO2016/120392A1、WO2016/169871A1、WO2017/012986A1、WO2017/025567および2015年8月10日に出願された欧州特許出願EP15180353.3、2015年9月14日に出願された欧州特許出願EP15185005.4、両方とも2015年11月25日に出願された欧州特許出願EP15196238.8とEP15196239.6、2015年12月3日に出願された欧州特許出願EP1519740744.4を参照することができ、それらの全ての全内容も参照により本明細書に含まれる。
【0005】
さらに、WO2016/005893A1は、少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器を記載している。該検出器は、画像面内に物体を結像させるための、焦点面を有する少なくとも1つの転送装置と;少なくとも1つの縦方向光センサであって、少なくとも1つのセンサ領域を有し、少なくとも部分的に透明であり、物体から検出器に伝播する少なくとも1つの光ビームによるセンサ領域の照射に依存する態様で少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するように設計され、照射の総出力が同じであるとしたとき、縦方向センサ信号がセンサ領域における光ビームのビーム断面に依存する、縦方向光センサと;および、少なくとも1つの評価装置であって、縦方向センサ信号を評価することにより、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置と、を有している。ここで、該少なくとも1つの縦方向光センサは、焦点縦方向光センサを有し、該焦点縦方向光センサは少なくとも実質的に焦点面に配置されている。
【0006】
WO2016/092454A1は:光ビームを検出するように、かつ、少なくとも1つのセンサ信号を生成するように構成された少なくとも1つの光センサであって、少なくとも1つのセンサ領域を有し、センサ信号が照射の総出力に関して光ビームによるセンサ領域の照射に対して非線形依存性を示す、少なくとも1つの光センサと;画像ピクセルのピクセルマトリクスを含むピクセル化センサである少なくとも1つの画像センサであって、該画像ピクセルは、光ビームを検出し、少なくとも1つの画像信号を生成するように適合され、該画像信号は、照射の総出力に関して、光ビームによる画像ピクセルの照射に対して線形依存性を示す、少なくとも1つの画像センサと;および、少なくとも1つの評価装置であって、センサ信号および画像信号を評価するように適合された、少なくとも1つの評価装置と、を含む光検出器を記載している。特に好ましい実施形態では、光センサの照射の総出力に対するセンサ信号の非線形依存性は、線形部分と非線形部分を含む非線形関数によって表現可能であり、評価装置はセンサ信号と画像信号の両方を評価することにより、非線形関数の線形部分および/または非線形部分を決定するように適合されている。ここで、評価装置は、好ましくは、非線形関数の非線形部分を決定するための、センサ信号と画像信号の差を提供するように適合された処理回路を含む。
【0007】
WO2016/092450A1は、少なくとも1つの物体の光学的検出のための検出器を記載している。検出器は:少なくとも1つの入射光ビームに応答して少なくとも2つの異なる焦点距離を有する、少なくとも1つの転送装置と;少なくとも2つの縦方向光センサであって、各縦方向光センサが、少なくとも1つのセンサ領域を有し、光ビームによるセンサ領域の照射に依存する態様で少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するように設計され、該縦方向光センサは照射の総出力が同じであるとしたとき、センサ領域内の光ビームのビーム断面に依存し、各縦方向光センサは2つの異なる縦方向光センサがスペクトル感度に関して異なるように、光ビームに応答してスペクトル感度を示し、各光縦方向センサがそれぞれの縦方向光センサのスペクトル感度に関連して転送装置の焦点に配置された、少なくとも2つの縦方向光センサと;および、少なくとも1つの評価装置であって、該評価装置は、各縦方向光センサの縦方向センサ信号を評価することにより、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目および/または物体の色に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された、少なくとも1つの評価装置と;を有する。これにより、空間内の少なくとも1つの物体の位置および/または色を正確に決定する、簡単で、しかし効率的な検出器が提供される。
【0008】
しかしながら、該縦方向光センサは、特に分解能およびダイナミックレンジの観点から、最適な測定結果が得られるように、光路に配置される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明によって解決される問題は、この種の既知の装置および方法の欠点を少なくとも実質的に回避する、少なくとも1つの物体の位置を決定するための装置、および測定範囲内で少なくとも1つの物体の位置を決定する検出器を調整する方法を、特定することである。特に、提案された装置および方法は、低い技術的努力で、高度な分解能で少なくとも1つの物体の位置を決定することを可能にすることを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この問題は、独立特許クレームの特徴を有する方法、検出器、検出器システム、ヒューマンマシンインターフェース、追跡システム、およびカメラによって解決される。独立した態様または任意の組み合わせで実現され得る好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0011】
以下で使用される場合、「有する」、「備える」、または「含む」という用語、またはそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な形で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入され、この文脈で記載された実体以外には特徴が存在しない状況と、1つまたは複数のさらなる特徴が存在する状況とを指すことができる。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」または「AはBを含む」という表現は、AにはB以外に他の要素が存在しない状況(すなわち、Aは単独でかつ排他的にBからなるという状況)と、実体AにはBに加えて、要素C、要素CおよびD、さらに他の要素など、1つ以上のさらなる要素が存在する状況とを指すことができる。
【0012】
さらに、以下において使用されているように、「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「さらに詳細には」、「具体的には」、「より具体的には」という用語、または、同様の用語は、代替的な可能性を制限することなく、任意の特徴と共に使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は任意の特徴であり、特許請求の範囲を如何なる意味で限定することを意図するものではない。当業者が認識するように、本発明は代替的な特徴を使用することによって実行されてよい。同様に、「本発明の実施形態において」という表現または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替的な実施形態にいかなる制限を課すことなく、また本発明の範囲に関していかなる制限を課すことなく、また、そのようにして導入される特徴を本発明の他の任意の特徴または非任意の特徴を組み合わせることの可能性に関していかなる制限を課すことなく、任意の特徴であることを意図している。
【0013】
本発明の第1の態様では、測定範囲内の少なくとも1つの物体の位置を決定するために検出器を調整する方法が提案される。この方法は、以下のステップを含み、これらのステップは、所定の順序または異なる順序で実行することができる。さらに、方法ステップの2つ以上またはすべてさえも、同時におよび/または時間的に重複して実行することができる。さらに、方法ステップの1つ、2つまたはそれ以上、またはすべてさえも繰り返し実行してよい。この方法は、追加の方法ステップをさらに含むことができる。
【0014】
この方法は、検出器の製造中または製造後、および/または物体の縦方向座標の測定が行われる前に実行され得る。
【0015】
検出器は、少なくとも2つの縦方向光センサと、物体を画像面内に結像させるための少なくとも1つの転送装置とを含む。転送装置は焦点面を有する。転送装置は、縦方向光センサと物体との間に配置される。縦方向光センサのそれぞれは、少なくとも1つのセンサ領域を有する。各縦方向光センサは、物体から検出器へ伝搬する少なくとも1つの光ビームによるそれぞれのセンサ領域の照射に依存するように、少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するように設計される。縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じであるとしたとき、センサ領域内の光ビームのビーム断面に依存する。検出器は、少なくとも1つの評価装置をさらに含む。
【0016】
この方法は、以下のステップを含む:
(i)物体を縦方向に、測定範囲内に少なくとも2つの異なる縦方向座標を有する少なくとも2つの異なるキャリブレーション位置に続けて移動するステップ;
(ii)各キャリブレーション位置について、第1の縦方向光センサによって生成された少なくとも1つの第1の縦方向センサ信号と、第2の縦方向光センサによって生成された少なくとも1つの第2の縦方向センサ信号とを記録するステップ;
(iii)各キャリブレーション位置について、前記第1および第2の縦方向センサ信号を使用して少なくとも1つのキャリブレーション信号を形成するステップ;
(iv)前記キャリブレーション信号を用いてキャリブレーション関数を生成し、該キャリブレーション関数は、物体の縦方向座標と前記第1および第2の縦方向センサ信号との間の関係を定義している、ステップ。
【0017】
本明細書で使用される場合、検出器とは、一般に、1つ以上の照射源による照射に応じて、および/または該検出器の周囲の光学特性に応じて、少なくとも1つの検出器信号および/または少なくとも1つの画像を生成することができる装置を指す。したがって、検出器は、光学測定および結像プロセスのうちの少なくとも1つを実行するように適合された任意の装置であってよい。具体的には、検出器は、少なくとも1つの物体の位置を決定するように適合される。
【0018】
本明細書で使用される場合、位置という用語は、一般に、空間内の物体および/または物体の少なくとも一部の配置および/または方向付けに関する少なくとも1つの情報項目を指す。該少なくとも1つの情報項目は、物体の少なくとも1つの点と少なくとも1つの検出器との間の少なくとも1つの距離を意味することができる。以下でさらに詳細に説明するように、距離は、縦方向座標であってもよく、または物体の点の縦方向座標を決定するのに寄与してもよい。追加的にまたは代替的に、物体および/または物体の少なくとも一部の位置および/または方向付けに関する1つまたは複数の他の情報項目を決定することができる。一例として、物体および/または物体の少なくとも1つの一部の少なくとも1つの横方向座標を決定することができる。したがって、物体の位置は、物体および/または物体の少なくとも一部の縦方向座標を意味し得る。追加的にまたは代替的に、物体の位置は、物体および/または物体の少なくとも一部の横方向座標を意味し得る。追加的にまたは代替的に、物体の位置は、空間における物体の方向付けを示す、物体の少なくとも1つの方向付けの情報を意味し得る。位置は、物体全体に関連することもあれば、物体の一部のみ、例えば、物体の点、エリア、または領域に関連することもある。前記部分は、物体の表面上に配置されていてもよいし、物体内の少なくとも一部に配置されていてもよい。
【0019】
この目的のために、一例として、1つまたは複数の座標系が使用されてよく、そして物体の位置は1つ、2つ、または3つまたは複数の座標を使用することによって決定され得る。一例として、1つまたは複数のデカルト座標系および/または他の種類の座標系が使用され得る。一例として、座標系は、検出器が所定の位置および/または方向付けを有する検出器の座標系であってよい。以下でより詳細に概説されるように、検出器は、検出器の主視方向を構成し得る光軸を有し得る。光軸は、z軸など、座標系における1つの軸を形成し得る。さらに、1つまたは複数の付加的な軸を、好ましくはz軸に対して垂直に設けてよい。
【0020】
このように、一例として、検出器は、光軸がz軸を形成し、付加的に、z軸に対して垂直かつ互いに対して垂直であるx軸とy軸が提供され得る座標系を構成し得る。一例として、検出器および/または検出器の一部は、この座標系の原点など、この座標系における特定の点に置かれてもよい。この座標系において、z軸に平行または逆平行な方向を縦方向と見なすことができ、z軸に沿った座標を縦方向座標と見なすことができる。縦方向に対して垂直な任意の方向を横方向と見なすことができ、x座標および/またはy座標を横方向座標と見なすことができる。
【0021】
あるいは、他の種類の座標系が使用されてもよい。したがって、一例として、光軸がz軸を形成し、z軸からの距離および極角度が追加の座標として使用される極座標系が使用され得る。同じく、z軸に平行または逆平行な方向を縦方向と見なし、またz軸に沿った座標を縦方向座標と見なし得る。z軸に対して垂直な任意の方向を横方向と見なし、また極座標および/または極角度を横方向座標と見なし得る。
【0022】
物体は、一般的に任意の物体であってよい。一実施形態では、物体は剛性物体であり得る。他の実施形態も実現可能であり、例えば、物体が非剛体物体である実施形態、または、その形状を変化させ得る物体など、他の実施形態も実現可能である。物体は検出器によって完全にまたは部分的に検出され得る。物体は、一般的に、生物および非生物から選択される任意の物体であってよい。このように、一例として、少なくとも1つの物体は、1つまたは複数の物品および/または物品の1つまたは複数の部分を含むことができる。追加的にまたは代替的に、物体は、1つまたは複数の生物および/またはその1つまたは複数の部分を含み得、例えばユーザなどの人間および/または動物の1つまたは複数の身体の部分を含むことができる。
【0023】
以下にさらに詳細に概説されるように、本発明は特に、機械の制御、ゲームまたはスポーツのシミュレーションなどの目的で、人の位置および/または動きを追跡するために使用され得る。この実施形態または他の実施形態では、具体的には、物体は:スポーツ用品、好ましくは、ラケット、クラブ、バットから成る群から選択される物品;衣料品;帽子;靴、から成る群から選択されてよい。
【0024】
検出器は、物体を画像面内に結像させるための少なくとも1つの転送装置を含む。本明細書で使用される場合、転送装置は、一般に、少なくとも1つの物体からの光、例えば、1つまたは複数の照射源からの照射、および/または物体の周囲の光学特性に応じたによる少なくとも一つの物体からの光に対して、フォーカス(焦点)効果またはデフォーカス(焦点ぼけ)効果の一方または両方を有する装置、特に光学装置である。光学装置は、レンズ、特にフォーカスレンズおよび/またはデフォーカスレンズ;フォーカスミラー;デフォーカスミラー、から成る群から選択される少なくとも1つの要素を含むことができる。該少なくとも1つの転送装置は、縦方向光センサと物体との間のビーム経路内に完全にまたは部分的に配置されてもよく、物体から検出器へ進行する光ビームが転送装置を通過するように適合されてもよい。本明細書で使用するとき「ビーム経路」という用語は、光ビームが進行または伝搬する経路を指す。
【0025】
さらに、本明細書で使用される場合、画像面とは一般的に平面であり、好ましくは、転送装置および/または縦方向光センサの光軸に対して垂直に位置し、その上に物体が転送装置によって結像される、平面である。したがって、画像面は物体の像を含む。光軸は、z軸に平行および/または検出器の主視方向に平行であってよい。厳密に言うと、この定義は、二次元の物体にのみ該当し、物体距離の次元には拡張されない。三次元の物体に関しては、画像面は、一般的に、転送装置および/または縦方向光センサの光軸に対して垂直な平面であり、物体、特に物体の表面の少なくとも1点が結像される平面である。本明細書で使用される場合、「物体を結像する」とは、物体、特に、少なくとも1つの物体から生じる光、例えば、1つまたは複数の照射源による照射および/または物体の周囲の光学特性に応じた照射に起因する、少なくとも1つの物体の光、を投影すること、フォーカスすることまたはデフォーカスすることの1つまたは複数を指す。
【0026】
転送装置は、焦点面を有する。本明細書で使用される場合、用語「焦点面」とは、光軸に平行に転送装置に入射する光線が転送装置の背後で収束する点を含む平面を指す。本明細書で使用される場合、用語「焦点距離」とは、転送装置から無限遠の距離にある物体が、いわゆる焦点面内でフォーカスされる転送装置の特性を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「合焦画像面」とは、転送装置から有限の距離に置かれた物体の少なくとも一部がフォーカスされ得る平面を指す。この文脈において、レンズまたはレンズの組み合わせのような転送装置の焦点面は、たとえ写真撮影において「焦点面」および「合焦画像面」という用語がしばしば同義語として使用されるとしても、必ずしも合焦画像面と同一である必要はないことは注意すべきである。焦点面は、転送装置の焦点を含む平面であって、好ましくは、転送装置の光軸および/または検出器の光軸に直交する。これに対して、合焦画像面は、少なくとも1つの物体の実際の画像が転送装置によって生成される面である。物体が転送装置から無限の距離に向かって移動する場合、合焦画像面は焦点面に向かって移動する。
【0028】
転送装置は、縦方向光センサと物体との間に配置される。例えば、転送装置は、少なくとも1つの光軸を含むことができる。転送装置は、物体から発した光がまず転送装置によって転送され、続いて縦方向光センサに入射するように配置されてもよい。物体、縦方向光センサ、および転送装置は、転送装置が縦方向光センサと物体との間に位置するように光軸上に配置されてもよい。しかしながら、転送装置と縦方向光センサが異なるビーム経路に配置される実施形態も実現可能である。
【0029】
検出器は、少なくとも2つの縦方向光センサを含む。本明細書で使用される場合、縦方向光センサとは、一般に、物体から検出器に進行する少なくとも1つの光ビームによるセンサ領域の照射に依存するように、少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するように設計された装置である。縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じであるとして、センサ領域内の光ビームのビーム断面に依存する。縦方向光センサの潜在的に可能な構成については、WO2012/110924A1および/またはWO2014/097181A1および/またはWO2016/005893A1を参照することができる。なお、他の実施形態も実現可能である。
【0030】
検出器は、複数の縦方向光センサを含んでよい。検出器は、縦方向光センサのスタックを含んでよい。第1および第2の縦方向光センサは、縦方向光センサのスタックの一部を形成してよい。センサスタックは、縦方向光センサのセンサ領域が検出器の光軸に対して本質的に垂直に方向付けられるように配置された縦方向光センサから構成されてよい。縦方向光センサは、同一であってもよいし、少なくとも2つの異なる種類の光センサを含むように異なっていてもよい。縦方向光センサは、無機光センサおよび有機光センサのうちの少なくとも1つを含むことができる。本明細書で使用される場合、有機光センサとは、一般に、少なくとも1つの有機材料、好ましくは少なくとも1つの有機感光材料を含む光センサを指す。さらに、無機材料と有機材料の両方を含むハイブリッド光センサを使用してもよい。
【0031】
縦方向光センサの潜在的に可能な実施形態については、WO2012/110924A1およびWO2016/005893A1に開示されているような光センサを参照することができる。しかし、好ましくは、以下にさらに詳細に概説するように、本発明による検出器は、WO2012/110924A1およびWO2016/005893A1に開示されているような複数の光センサなどの複数の学センサを、好ましくはセンサスタックとして含んでよい。したがって、一例として、本発明による検出器は、WO2012/110924A1およびWO2016/005893A1に開示されているような光センサのスタックを含んでよい。
【0032】
検出器が、少なくとも2つの縦方向光センサを含んでいる光センサの少なくとも1つのスタックを有している場合、スタックは任意に、例えば1つまたは複数の透明な液浸マトリックスに、例えば、オイル;界面での反射を回避および/または減少させる液体;の1つまたは複数、樹脂、ポリマーなどの一つまたは複数の液浸液に、部分的または完全に浸漬されてよい。液浸マトリクスは、一般に、界面での反射を回避および/または低減するように適合されてもよく、および/またはスタックを、機械的、化学的、または環境的影響などの外部の影響から完全または部分的に保護するように適合されてもよい。従って、スタックの光センサのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの液浸マトリクスに完全にまたは部分的に浸漬されてもよく、および/または少なくとも1つの液浸マトリクスに完全にまたは部分的に埋め込まれてもよい。
【0033】
好ましくは、縦方向光センサは、1つまたは複数の光検出器、好ましくは1つまたは複数の有機光検出器、最も好ましくは1つまたは複数の色素増感有機太陽電池(DSC、色素太陽電池とも称する)、例えば1つまたは複数の固体色素増感有機太陽電池(s-DSC)を含むことができる。したがって、好ましくは、検出器は、縦方向光センサとして機能する1つまたは複数のDSC(例えば1つまたは複数のsDSCなど)と、縦方向光センサとして機能する1つまたは複数のDSC(例えば1つまたは複数のsDSCなど)、好ましくは、縦方向光センサとして機能する複数のDSC(好ましくは複数のsDSCのスタック)から成るスタックを含むことができる。
【0034】
各縦方向光センサは、少なくとも1つのセンサ領域を有している。好ましくは、各縦方向光センサのセンサ領域は、1つの連続したセンサ領域、例えば、装置当たり、1つの連続したセンサエリアまたはセンサ表面によって形成されてよい。したがって、好ましくは、縦方向光センサの各センサ領域は、正確に1つの連続したセンサ領域によって形成され得る。各縦方向光センサは、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも5mm、例えば、5mmから1000cmのセンサエリア、好ましくは7mmから100cmのセンサエリア、より好ましくは1cmのセンサエリアとも呼ばれる感度エリアを有するセンサ領域を有することができる。センサエリアは、好ましくは、正方形の幾何学形状などの矩形の幾何学形状を有する。しかしながら、他の幾何学的形状および/またはセンサエリアも実現可能である。
【0035】
好ましくは、縦方向光センサは、電極および光起電力材料を含む層の層構造を有する薄膜装置であってもよく、その層構造は、好ましくは1mm以下、より好ましくは最大100μm、最大5μm以下、またはさらにそれ以下の厚さを有する。したがって、縦方向光センサのセンサ領域は、好ましくは、物体に面するそれぞれの装置の表面によって形成されるセンサ領域であってもよく、または、それを含んでもよい。
【0036】
縦方向光センサの少なくとも1つは、少なくとも部分的に透明であってよい。したがって、一般に、縦方向光センサは、光ビームが少なくとも部分的に縦方向光センサを通過できるように、少なくとも1つの少なくとも部分的に透明な光センサを含むことができる。本明細書で使用される場合、文言「少なくとも部分的に透明な」とは、縦方向光センサ全体が透明であるか、または縦方向光センサの一部(感度領域など)が透明であるかというオプション、および/または、縦方向光センサまたは縦方向光センサの少なくとも透明な部分が、減衰または非減衰な様式で光ビームを伝えることができるというオプションの両方を指し得る。したがって、一例として、透明な縦方向光センサは、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%または少なくとも70%の透明度を有することができる。感知効果を提供するために、一般に、縦方向光センサは典型的には、光ビームと縦方向光センサとの間にある種の相互作用を提供しなければならず、該相互作用は、典型的には、透明性の損失をもたらす。縦方向光センサの透明度は、光ビームの波長に依存し得、その結果、縦方向光センサの感度、吸収、または透明度のスペクトルプロファイルが得られる。好ましくは、複数および/またはスタックのすべての縦方向光センサは透明である。
【0037】
縦方向光センサは、異なるスペクトル特性を有することができる。したがって、縦方向光センサの一方は、赤色スペクトル領域に強い吸収(吸収ピークなど)を提供することができ、縦方向光センサの他方は、緑色スペクトル領域に強い吸収を提供することができ、さらに他方は、青色スペクトル領域に強い吸収を提供することができる。他の実施形態も実現可能である。本明細書で使用される場合、光という用語は、一般に、可視スペクトル範囲、紫外スペクトル範囲、および赤外スペクトル範囲のうちの1つまたは複数における電磁放射を指す。ここで、可視スペクトル範囲という用語は、一般に、380nmから780nmのスペクトル範囲を指す。赤外スペクトル範囲」という用語は、一般に、780nmから1mmの範囲、好ましくは780nmから3.0マイクロメートルの範囲の電磁放射線を指す。紫外線スペクトル範囲という用語は、一般に、1nmから380nmの範囲、好ましくは100nmから380nmの範囲の電磁放射を指す。さらに、600nmから780nmのスペクトル範囲を赤色スペクトル範囲、490nmから600nmの範囲を緑色スペクトル範囲、380nmから490nmの範囲を青色スペクトル範囲と定義してもよい。
【0038】
縦方向センサ信号、特に第1の縦方向センサ信号および第2の縦方向センサ信号は、好ましくは、電流(光電流など)および電圧(光電圧など)から成る群から選択されてよい。さらに、縦方向センサ信号は、平均化および/またはフィルタリングなどによって生のセンサ信号から処理されたセンサ信号を導出するために、前処理されてもよい。縦方向センサ信号は、追加的または代替的に、光ビームの幅など、光ビームの他の特性に依存してもよい。縦方向センサ信号は、好ましくは、電流および/または電圧などの電気信号である。縦方向センサ信号は、連続的または不連続的な信号でもよい。さらに、縦方向センサ信号は、アナログ信号またはデジタル信号であってよい。さらに、縦方向光センサは、それ自体および/または縦方向光センサの他の構成要素と組み合わせて、フィルタリングおよび/または平均化などによって、処理された縦方向センサ信号を提供するために、縦方向センサ信号を処理または前処理するように適合されてよい。したがって、一例として、特定の周波数範囲の縦方向センサ信号のみを送信するためにバンドパスフィルタを使用することができる。他の種類の前処理も実現可能である。以下、縦方向センサ信号を参照する場合、生の縦方向センサ信号が使用される場合と、前処理された縦方向センサ信号がさらなる評価のために使用される場合との間に違いはない。
【0039】
本明細書で使用される場合、「光ビーム」とは、一般に、おおよそ同じ方向に進行する光の量である。したがって、好ましくは、光ビームは、当業者に知られているようにガウス光ビームを指してよい。しかしながら、非ガウス光ビームなどの、他の光ビームも可能である。以下でさらに詳細に概説されるように、光ビームは、物体により放射および/または反射されてよい。さらに、光ビームは、反射および/または放射されてよい。光ビームは、少なくとも部分的に、検出器の光軸と実質的に平行に伝搬してよい。本明細書で使用される場合、「実質的に平行」とは、光軸から、±20°以下、好ましくは±10°以下、より好ましくは±5°以下しか逸脱しないビーム軸を指す。
【0040】
上記で概説されているように、縦方向センサ信号は、光ビームによる照射の総出力が同じであるとして、縦方向光センサのセンサ領域の光ビームのビーム断面に依存する。本明細書で使用される場合、用語「ビーム断面」とは、一般に、特定位置で光ビームによって生成される光スポットの横方向の広がりを指す。円形の光スポットが生成される場合、半径、直径、またはガウスビームウエスト、またはガウスビームウエストの2倍が、ビーム断面の尺度としての機能することができる。非円形の光スポットが生成される場合、断面は、任意の他の実現可能な方法、例えば非円形の光スポットと同じ面積を有する、等価ビーム断面とも呼ばれる円の断面を決定することにより、決定され得る。
【0041】
したがって、光ビームによる照射の総出力が同じであるとして、第1のビーム直径またはビーム断面を有する光ビームは、第1の縦方向センサ信号を生成することができる一方で、第1のビーム直径またはビーム断面とは異なる第2のビーム直径またはビーム断面を有する光ビームは、第1の縦方向センサ信号とは異なる第2の縦方向センサ信号を生成する。このように、縦方向センサ信号を比較することにより、ビーム断面、具体的にはビーム直径に関する情報または少なくとも1つの情報項目を生成することができる。この効果の詳細については、WO2012/110924A1を参照されたい。
【0042】
以下において、この効果は、一般にFiP効果と呼ばれ、それは、照射の総出力pが同じであるとして、センサ信号iは、光子のフラックス、つまり単位面積当たりの光子の数に依存するためである。
【0043】
この効果は、米国仮出願第61/739,173および第61/749,964にさらに開示されており、光ビームが検出器に向かって進行する物体の縦方向位置を決定するために使用され得る。このように、縦方向光センサのセンサ信号が、センサ領域の光ビームの直径または半径などの幅に依存し、それはまた検出器と物体との間の距離に依存するため、縦方向センサ信号は、物体の縦方向座標を決定するために使用され得る。センサ領域は、好ましくは、ピクセル化されていないセンサ領域であってもよい。したがって、一例として、評価装置は、縦方向座標を決定するために、物体の縦方向座標とセンサ信号との間の所定の関係を使用するように適合され得る。所定の関係は、経験的なキャリブレーション測定を使用することにより、および/またはガウスビーム伝搬特性などの公知のビーム伝搬特性を使用することにより導き出すことができる。さらなる詳細は、WO2012/110924A1および/または米国仮出願第61/739,173および第61/749,964を参照されたい。
【0044】
このFiP効果の詳細については、2012年12月19日に出願されたWO2012/110924A1または米国仮出願第61/739,173、2013年1月8日に出願された米国仮出願第61/749,964、および2013年8月19日に出願された米国仮出願第61/867,169、およびWO2014/097181Aの1つまたは複数を参照されたい。特に、物体から検出器に伝搬する光ビームの1つまたは複数のビーム特性が既知である場合、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目は、少なくとも1つの縦方向センサ信号と物体の縦方向位置との間の既知の関係から導き出すことができる。既知の関係は、アルゴリズムとして、および/または1つもしくは複数のキャリブレーション曲線として、評価装置に保存されていてよい。一例として、特にガウスビームの場合、ビーム直径またはビームウエストと物体の位置の間の関係は、ビームウエストと縦方向座標との間のガウス関係を使用することにより容易に導き出すことができる。
【0045】
縦方向光センサに加えて、検出器は、任意に、本明細書で与えられた定義による縦方向光センサではない1つまたは複数の追加の光センサを含んでよい。したがって、一例として、検出器は、光センサのスタックを含んでもよく、そこでは光センサの少なくとも1つは縦方向光センサであり、光センサの少なくとも別の1つは、例えば横方向光センサなどの異なる種類の光センサ、および/またはCCDチップおよび/もしくはCMOSチップのような有機結像センサおよび/または無機結像センサなどのイメージング装置である。
【0046】
したがって、検出器は、少なくとも1つの横方向光センサをさらに含んでもよく、該横方向光センサは、物体から検出器に進行する少なくとも1つの光ビームの横方向位置を決定するように適合され、該横方向位置は、検出器の光軸に対して垂直な少なくとも1つの次元での位置であり、該横方向光センサは、少なくとも1つの横方向センサ信号を生成するように適合されている。評価装置は、横方向センサ信号を評価することにより、物体の横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計され得る。本明細書で使用される場合、横方向光センサという用語は、一般に、物体から検出器に進行する少なくとも1つの光ビームの横方向位置を決定するように適合されている装置を指す。横方向位置という用語に関しては、上記に示されている定義を参照することができる。したがって、好ましくは、横方向位置は、検出器の光軸に垂直な少なくとも1つの次元における少なくとも1つの座標であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一例として、横方向位置は、横方向光センサの光感センサ表面など、光軸に垂直な平面に光ビームによって生成される光スポットの位置であってもよい。一例として、平面における位置は、デカルト座標および/または極座標で示すことができる。他の実施形態も実現可能である。
【0047】
横方向光センサの潜在的に可能な実施形態については、WO2016/005893A1が参照され、そこに開示されている横方向光センサの実施形態の1つまたは複数は本発明の情況で使用され得る。しかしながら、他の実施形態も実現可能であり、以下でさらに詳細に概説される。
【0048】
少なくとも1つの任意の横方向光センサは、検出器の少なくとも1つの別個の構成要素として具体化され、それは縦方向光センサとは別個の独立した構成要素を形成することができることに留意されたい。しかしながら、追加的にまたは代替的に、該少なくとも1つの横方向光センサはまた、完全にまたは部分的に縦方向光センサと同一に具体化されてもよく、および/または縦方向光センサに対して完全にまたは部分的に統合されてもよい。少なくとも1つの横方向センサ信号は一般的に、横方向位置を示す任意の信号であってよい。一例として、横方向センサ信号は、デジタルおよび/またはアナログ信号であってもよいし、それを含んでいてもよい。一例として、横方向センサ信号は、電圧信号および/または電流信号であってもよいし、それを含んでいてもよい。追加的にまたは代替的に、横方向センサ信号は、デジタルデータであってもよいし、それを含んでいてもよい。横方向センサ信号は、単一の信号値および/または一連の信号値を含んでよい。横方向センサ信号は、2つ以上の個別信号を組み合わせることにより、例えば、2つ以上の信号の平均化、および/または2つ以上の信号の商の形成により導出され得る任意の信号をさらに含んでよい。
【0049】
好ましくは、横方向光センサおよび縦方向光センサの少なくとも一方は透明な光センサである。したがって、少なくとも1つの横方向光センサは、透明な横方向光センサであってもよく、および/または少なくとも1つの透明な横方向光センサを備えてもよい。追加的にまたは代替的に、縦方向光センサは、透明な縦方向光センサであってもよく、および/または少なくとも1つの透明な縦方向光センサを備えてもよい。好ましくは、複数および/またはスタックのすべての縦方向光センサ、または、1つの縦方向光センサを除き、複数および/またはスタックの全ての縦方向光センサは透明である。一例として、縦方向光センサが検出器の光軸に沿って配置されている場合、好ましくは、物体に面していない最後の縦方向光センサを除くすべての縦方向光センサが透明な縦方向光センサであってよい。最後の縦方向光センサ、すなわち、物体に面していない側のスタックの縦方向光センサは透明な縦方向光センサであってよく、または、不透明な縦方向光センサであってよい。例示的な実施形態については、WO2016/005893A1を参照されたい。
【0050】
光ビームは、透明な光センサを通過してから、横方向光センサと縦方向光センサのもう一方に入射してよい。したがって、物体からの光ビームは、連続的に、横方向光センサと縦方向光センサ、またはその逆で到達し得る。
【0051】
縦方向光センサおよび横方向光センサの例示的な実施形態については、WO2016/005893A1を参照されたい。
【0052】
上記で概説したように、方法ステップ(i)では、物体は、測定範囲内に少なくとも2つの異なる縦方向座標を有する少なくとも2つの異なるキャリブレーション位置まで、連続的に縦方向に移動される。本明細書で使用される場合、文言「縦方向に移動する」とは、物体と検出器との間の異なる縦方向距離を設定および/または調整することを指す。本明細書で使用される場合、用語「2つの異なるキャリブレーション位置」とは、異なる縦方向座標を有する位置を指す。本明細書で使用される場合、用語「測定範囲」とは、距離範囲、特に、物体の縦方向座標の決定が実行されるおよび/または可能である所望の距離範囲を指す。好ましくは、物体は、測定範囲全体を、特に事前に定義または選択されたステップサイズで移動され得る。
【0053】
上記で概説したように、方法ステップ(ii)では、キャリブレーション位置のそれぞれについて、第1の縦方向光センサによって生成された少なくとも1つの第1の縦方向センサ信号と、第2の縦方向光センサによって生成された少なくとも1つの第2の縦方向センサ信号が記録される。本明細書で使用される場合、用語「記録」とは、第1および第2の縦方向センサ信号を受信および/または収集、および/または決定、および/または評価および/または保存することを指す。用語「第1」および「第2」の縦方向センサ信号は名前としてのみ使用され、信号の順序、または、それ以上の信号が存在しないことを指すものではない。評価装置は、第1および第2の縦方向センサ信号を記録するように適合され得る。
【0054】
上記で概説したように、方法ステップ(iii)では、キャリブレーション位置のそれぞれについて、第1および第2の縦方向センサ信号を使用する少なくとも1つのキャリブレーション信号が形成される。評価装置は、キャリブレーション信号を形成するように適合され得る。本明細書で使用される場合、用語「キャリブレーション信号」とは、第1および第2の縦方向センサ信号を使用することによって決定される物体の位置の複合されたセンサ信号を指す。特に、物体の各位置において、第1の縦方向センサ信号および第2の縦方向センサ信号の一方は、第1の縦方向センサ信号および第2の縦方向センサ信号の他方によって除算されてもよい。特に、物体の各位置について、第1の縦方向センサ信号と第2の縦方向センサ信号の商が形成され得る。
【0055】
上記で概説したように、方法ステップ(iv)では、キャリブレーション信号を使用してキャリブレーション関数が生成される。キャリブレーション関数は、物体の縦方向座標と第1および第2の縦方向センサ信号との関係を定義する。特に、キャリブレーション関数は、キャリブレーション信号と物体の縦方向座標との関係を指す。特に好ましくは、関係は、少なくとも1つのキャリブレーション曲線、少なくとも1組のキャリブレーション曲線、少なくとも1つの関数、または上述の可能性の組み合わせを含む。1つまたは複数のキャリブレーション曲線は、例えば値のセットおよびそれの関連する関数値の形式で、例えばデータ記憶装置および/またはテーブルに保存され得る。しかしながら、代替的にまたは追加的に、少なくとも1つのキャリブレーション曲線は、例えばパラメータ化された形式でおよび/または関数方程式として保存され得る。さまざまな可能性が考えられ、組み合わされ得る。
【0056】
上記で概説したように、検出器は少なくとも1つの評価装置を備える。本明細書で使用される場合、用語「評価装置」とは、一般的に、情報項目、特に、物体の位置に関する少なくとも1つの情報項目および/または標的光ビームの減少に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された任意の装置を指す。一例として、評価装置は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)のような1つまたは複数の集積回路、および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/またはデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、および/または1つまたは複数のコンピュータ、好ましくは1つまたは複数のマイクロコンピュータおよび/またはマイクロコントローラなどの1つまたは複数のデータ処理装置であるか、またはこれらを含み得る。追加の構成要素、例えば1つまたは複数の前処理装置、および/または、例えば1つまたは複数のAD変換器および/または1つまたは複数のフィルタのようなセンサ信号の受信および/または前処理のための1つまたは複数の装置などのデータ取得装置、が含まれ得る。本明細書で使用される場合、センサ信号は、一般に、縦方向センサ信号のうちの1つ、および該当する場合は横方向センサ信号を指し得る。さらに、評価装置は、1つまたは複数のデータ記憶装置を含み得る。さらに、上記で概説したとおり、評価装置は、1つまたは複数の無線インターフェースおよび/または1つまたは複数の有線インターフェースなどの1つまたは複数のインターフェースを含み得る。
【0057】
少なくとも1つの評価装置は、少なくとも1つのコンピュータプログラム、例えば情報項目を生成するステップを実行またはサポートする少なくとも1つのコンピュータプログラムを実行するように適合され得る。一例として、センサ信号を入力変数として使用することにより、物体の位置への所定の変換を実行し得る1つまたは複数のアルゴリズムが実装され得る。
【0058】
一例として、評価装置は、情報項目を決定するためのプログラミングとして設計され得る。評価装置は、特に少なくとも1つのコンピュータ、例えば少なくとも1つのマイクロコンピュータを含むことができる。さらに、評価装置は1つまたは複数の揮発性または不揮発性のデータメモリを含むことができる。データ処理装置、特に少なくとも1つのコンピュータの代替としてまたは追加として、評価装置は、情報項目、例えば電子テーブルおよび特に少なくとも1つのルックアップテーブルを決定するように設計された1つまたは複数のさらなる電子構成要素、および/または少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでもよい。
【0059】
本方法は、少なくとも1つの測定ステップを含んでよい。測定ステップにおいて、測定範囲内で物体および/または別の物体の縦方向座標が決定され得る。特に、物体の縦方向座標は、物体のこの位置に対する第1のセンサ信号および第2のセンサ信号を記録すること、および、結合されたセンサ信号、特に商を形成することによって決定され得る。縦方向座標は、キャリブレーション関数を使用して決定され得る。好ましくは、測定ステップは、方法ステップi)からiv)を実行した後に実行され得る。
【0060】
一実施形態において、本方法は、第1の縦方向光センサおよび第2の縦方向光センサの位置決めをするための少なくとも1つの調整ステップをさらに含むことができる。調整ステップは、次のサブステップを含むことができる:
a)測定範囲内の少なくとも1つの最も外側の位置であって、最大の縦方向座標を有する最も外側の位置に物体を配置するサブステップ;
b)第1の縦方向光センサを、合焦画像面の縦方向座標に配置するサブステップ;
c)測定範囲内の少なくとも1つの最も近い位置であって、最小の縦方向座標を有する最も近い位置に物体を配置するサブステップ;そして
d)第2の縦方向光センサを、合焦画像面の縦方向座標に配置するサブステップ。
【0061】
サブステップは、所定の順序または異なる順序で実行され得る。さらに、方法ステップの2つ以上またはすべてさえも、同時におよび/または時間的に重複して実行され得る。さらに、方法ステップの1つ、2つまたはそれ以上、さらにすべてさえも繰り返し実行され得る。この方法は、追加の方法ステップをさらに含むことができる。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「配置する」とは、各構成要素の位置、特に縦方向座標を設定または調整することを指す。調整ステップは、方法ステップ(i)の前に実行されてもよい。用語「最も外側の位置」は、測定範囲の最も離れた縦方向座標、すなわち最大縦方向座標を有する物体の位置を指す。
【0063】
第1の縦方向光センサは、第1の縦方向光センサのセンサ領域における物体の画像が最小化されるように、合焦画像面の縦方向座標に配置されよい。第2の縦方向光センサは、第2の縦方向光センサのセンサ領域における物体の画像が最小化されるように、合焦画像面の縦方向座標に配置されよい。本明細書で使用される場合、文言「物体の画像が最小化される」とは、物体の画像が鮮明および/または合焦されることを指す。特に、錯乱円は最小である。
【0064】
例えば、正のFiP効果の場合、例えばWO2016/120392に記載されているように、第1の縦方向光センサは、第1の縦方向光センサによって生成される第1の縦方向センサ信号が最大化されるように配置されてよい。本明細書中で使用される場合、文言「第1の縦方向センサ信号が最大化される」とは、第1の縦方向センサ信号がこの物体距離および放射出力に対してグローバル最大値を示す、第1の縦方向光センサの位置を指す。第1の縦方向センサ信号は、最も外側の位置にある物体から発した収集光が転送装置によって合焦される焦点面の縦方向座標で最大を示してもよい。例えば、第1の縦方向センサ信号は、まず、第1の縦方向光センサを転送装置までの任意の距離、特に転送装置の物体に対して反対側のサイトに配置し、続いて、第1の縦方向光センサをステップ的にまたは連続的に縦方向に転送装置から遠ざけまたは近づけることにより、最大化され得る。
【0065】
例えば、負のFiP効果の場合、例えばWO2016/120392に記載されているように、第1の縦方向光センサは、第1の縦方向光センサによって生成される第1の縦方向センサ信号が最小化されるように配置されてよい。本明細書中で使用される場合、文言「第1の縦方向センサ信号が最小化される」とは、第1の縦方向センサ信号がこの物体距離および輝度に対してグローバル最小値を示す、第1の縦方向光センサの位置を指す。
【0066】
例えば、正と負の両方のFiP効果を示す縦方向光センサを使用する場合、例えばWO2017/093453A1に記載されているように、第1の縦方向光センサは、第1の縦方向センサ信号が局地的最小値を有するように配置され得る。
【0067】
本明細書で使用するとき、用語「最も近い位置」は、測定範囲の最も近い縦方向座標、すなわち最小縦方向座標を有する物体の位置を指す。最も近い位置は、転送装置、特に縦方向の延長部の設計によって定義され得る。
【0068】
例えば、正のFiP効果の場合、例えばWO2016/120392に記載されているように、第2の縦方向光センサは、第2の縦方向光センサによって生成される第2の縦方向センサ信号が最大化されるように配置されてよい。本明細書で使用される場合、文言「第2の縦方向センサ信号が最大化される」とは、第2の縦方向センサ信号がこの物体距離および輝度に対してグローバル最大値を示す第2の縦方向光センサの位置を指す。第2の縦方向センサ信号は、最も近い位置にある物体から発した収集光が転送装置によって合焦される焦点面の縦方向座標で最大を示してよい。例えば、第2の縦方向センサ信号は、まず、第2の縦方向光センサを第1の縦方向光センサまでの任意の距離、特に第1の縦方向光センサが転送装置と第2の縦方向光センサの間に位置するように、第1の縦方向光センサの転送装置に対して反対側のサイトに配置し、続いて、第2の縦方向光センサをステップ的にまたは連続的に第1の縦方向光センサから遠ざけまたは近づけることにより、最大化され得る。
【0069】
例えば、負のFiP効果の場合、例えばWO2016/120392に記載されているように、第2の縦方向光センサは、第2の縦方向センサ信号が最小化されるように配置され得る。本明細書で使用される場合、文言「第2の縦方向センサ信号が最小化される」とは、第2の縦方向センサ信号がこの物体距離および輝度のグローバル最小値を示す第2の縦方向光センサの位置を指す。
【0070】
例えば、正と負の両方のFiP効果を示す縦方向光センサを使用する場合、WO2017/093453A1に記載されているように、第2の縦方向光センサは、第2の縦方向センサ信号が局地的最小値を有するように配置され得る。
【0071】
第1の縦方向光センサと第2の縦方向光センサの調整された位置は異なっていてもよい。第1の縦方向光センサの調整された位置は、第2の縦方向光センサの調整された位置よりも転送装置により近くなり得る。提案された方法を使用する第1および第2の縦方向光センサの位置の調整は、測定範囲にわたる商の変化を最大化させることを可能にする。これにより、物体の異なる縦方向座標を識別するための最適な解像度が得ることができる。
【0072】
一実施形態では、本方法は、第1の縦方向光センサおよび第2の縦方向光センサを位置決めするための少なくとも1つの位置決めステップをさらに含むことができる。位置決めステップは、以下のサブステップを含むことができる:
A)物体を、測定範囲内の最大の縦方向座標を有する少なくとも1つの最も外側の位置に配置し、第1の縦方向光センサを、転送装置と転送装置の焦点面の間の縦方向位置に配置するサブステップ;そして
B)第2の縦方向光センサを、合焦画像面の縦方向座標に配置するサブステップ。
【0073】
サブステップは、所定の順序または異なる順序で実行され得る。さらに、方法ステップの2つ以上またはすべてさえも、同時におよび/または時間的に重複して実行され得る。さらに、方法ステップの1つ、2つまたはそれ以上、またはすべてさえも繰り返し実行され得る。この方法は、追加の方法ステップをさらに含むことができる。好ましくは、位置決めステップは、方法ステップ(i)の前に実行され得る。
【0074】
ステップA)は、次のサブステップを含み得る:
A1)第1の縦方向センサ信号のセンサ閾値を定義するサブステップ;
A2)第1の縦方向光センサを焦点面に向けて移動し、第1の縦方向センサ信号をセンサ閾値と比較するサブステップ;そして
A3)第1の縦方向光センサを、第1の縦方向センサ信号がセンサ閾値と等しい位置に位置決めするサブステップ。
【0075】
本明細書で使用される場合、文言「転送装置と転送装置の焦点面との間の縦方向位置に配置する」とは、転送装置と焦点面との間、特に転送装置の光軸上の任意の縦方向座標を指す。上記で概説したように、第1の縦方向光センサは、転送装置と正規化された縦方向光センサ電流の交点の間の任意の位置に配置されてもよいが、第1の縦方向光センサは、ノイズ画像の応答と区別できる縦センサ信号を生成するために、転送装置から十分に離れて設置されるのが好ましい。用語「ノイズ画像」とは、測定信号とノイズを区別できない画像を指す。本明細書で使用される場合、文言「センサ閾値を定義する」とは、センサ閾値を事前に決定および/または選択することを指す。センサ閾値は、第1の縦方向センサ信号が距離測定のために使用され得るように、特に測定信号がノイズ画像および/またはベースラインと区別できるように定義され得る。センサ閾値は、縦方向センサ信号の変化の閾値であり得る。特に、センサ閾値は、少なくとも縦方向センサ信号のノイズ値による縦方向センサ信号の変化であると定義されてよい。例えば、第1の縦方向光センサの位置を決定するために、第1の縦方向光センサを転送装置の近く、特にできるだけ転送装置の近くに設置され得、縦方向センサ信号が決定され得る。続いて、転送装置からの第1の縦方向光センサの距離は、例えば、ステップ的に、第1の縦方向光センサを転送装置から離れるように特に光軸に沿って移動させることにより、増加させ得る。縦方向センサ信号は、例えば各ステップごとに、あるいは連続的な移動のときは光軸に総少なくとも2つの決定または規定された点で、決定される。第1の縦方向光センサは、正のFiP効果の場合には縦方向センサ信号が増加する位置に配置され、負のFiP効果の場合には少なくともノイズ値だけ減少する位置に配置されてよい。特に、距離は、センサ信号がノイズ値よりも大幅に増加するまで増加させることができる。しかしながら、好ましくは、センサ信号の変化は、ノイズ値の2倍から1000倍の範囲、より好ましくはノイズ値の5倍から100倍の範囲、最も好ましくはノイズ値の100倍未満であり得る。第1の縦方向光センサは、第1の縦センサ信号がセンサ閾値に等しい位置に位置決めされる。特に、第1の縦方向光センサは、第1の縦方向センサ信号が±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±1%の許容範囲内でセンサ閾値に等しい位置に位置決めされ得る。
【0076】
上記で概説したように、第2の縦方向光センサは、合焦画像面の縦方向座標に配置されてよい。転送装置は焦点距離fを有している。焦点距離と合焦画像面に対応する縦方向座標は異なってよい。特に、焦点距離に対応する縦方向座標は、合焦画像面の縦方向座標よりも転送装置に近くあり得る。
【0077】
次の仮定、すなわち、物体が極小点であり、光学構成が近軸光学によってモデル化でき、つまり、モデルは薄レンズ方程式である数式1に基づいており(ここで、fは転送装置の焦点距離、zは物体から転送装置までの距離、bは物体の光学画像の位置である)、センサエリアが十分に大きく、つまりセンサが光学画像によってフレーム超過されない、という仮定の下で、縦方向光センサ上の光学画像は、錯乱円に対応している。
【0078】
【数1】
【0079】
画像の半径cは数式2で与えられる。
【0080】
【数2】
【0081】
ここで、bは転送装置と縦方向光センサ間の距離、Rは転送装置の半径である。
【0082】
放射パワーは数式3に示す関数Lでモデル化され得る。
【0083】
【数3】
【0084】
ここで、λは光源の特性を特徴付けるパラメータである。
【0085】
センサ上の光学画像の光密度分布E(z)は、以下の数式4によって与えられる。
【0086】
【数4】
【0087】
センサの応答は、光密度分布の空間積分、つまり、数式5。
【0088】
【数5】
【0089】
ここで、Fは非線形センサの応答関数である。
【0090】
正規化されたセンサ応答は、以下の数式6によって定義される。
【0091】
【数6】
【0092】
縦方向の光センサが位置b=fに位置する場合、画像は以下の数式7に縮小する。
【0093】
【数7】
【0094】
そして、正規化されたセンサ応答は以下の数式8になる。
【0095】
【数8】
【0096】
したがって、正規化されたセンサ応答は距離にzに依存しない。縦方向光センサが、b=fに位置する場合、光学画像の面積はセンサに衝突する光子の数に比例する。これにより、光学画像の光子密度は一定である。面積あたりの量子効率も一定である。したがって、センサの光電流は光学画像の面積に比例しなければならない。最終的に、光電流は収集された光子数に比例する。したがって、正規化されたセンサ応答が、転送装置背後の縦方向センサの位置の関数として異なる物体距離に対して決定される場合、曲線の配列が観察される。ここで、すべての曲線は、b=fの交差の範囲また点で、特にf±ε以内の範囲で交差し、ここで、|ε|≦0.2・f、好ましくは|ε|≦0.1・f、より好ましくは|ε|≦0.05・f、最も好ましくは|ε|≦0.01・fである。上記で概説した仮定の下で、すべての曲線はb=fで正確に交差する。
【0097】
この方法は、交差の範囲または点が決定される少なくとも1つのステップを含むことができる。交差の範囲または点は、ステップE)の間および/またはステップE)の前に決定され得る。例えば、正規化されたセンサ応答の曲線の少なくとも1つの配列は、転送装置背後の少なくとも1つの縦方向センサの位置の関数として異なる物体距離に対して決定されてもよく、交差の点または範囲が決定されてもよい。
【0098】
上述したように、第2の縦方向光センサは、合焦画像面に配置することができる。合焦画像面の縦方向座標は、b=fとは異なっていてもよい。特に、第2の縦方向光センサは、合焦画像面、特に焦点面とは異なる位置に配置してよい。特に、転送装置と合焦画像面との間の距離は、転送装置と、転送装置の焦点距離に対応する縦方向座標との間の距離よりも大きくてよい。特に、焦点距離に対応する縦方向座標は、転送装置と合焦画像面との間にあってよい。
【0099】
好ましくは、第1の縦方向光センサは、転送装置と交差の点または範囲との間に配置され得る。例えば、第1の縦方向光センサと第2の縦方向光センサは、交差の点または範囲が第1の縦方向光センサと第2の縦方向光センサとの間に位置するように配置されてよい。しかしながら、交差の点または範囲から第1の縦方向光センサまでの距離と、交差の点または範囲から第2の縦方向光センサまでの距離は異なっていてもよい。
【0100】
驚くべきことに、第1の縦方向光センサと第2の縦方向光センサが、交差の点または範囲が第1の縦方向光センサと第2の縦方向光センサとの間に位置するように、配置される配置は、測定範囲にわたって商の変化を最大化させることができる。これにより、物体の異なる縦方向座標を識別する最適な解像度を可能にする。
【0101】
第2の縦方向光センサは合焦画像面内に配置されてもよい。物体は最も外側の位置に位置されてもよい。
【0102】
検出器は、物体を照射するための少なくとも1つの照射源を含むことができる。照射源は、様々な方法で具体化することができる。したがって、照射源は、例えば、検出器ハウジング内の検出器の一部であってもよい。しかし、代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの照射源が、検出器ハウジングの外側に、例えば別個の光源として、配置されてもよい。照射源は、物体から離れて配置されてもよく、離れたところから物体を照射してもよい。しかしながら、複数の実施形態が実現可能であり、物体は、付加的にまたは代替的に、周囲光によって照射されてもよい。周囲光は、人工光源または自然光源のような追加の光源によって存在することがある。光源は、光ビームホモジナイザおよび/または光パイプホモジナイザをさらに含むことができる。光源は、少なくとも1つの均質光源であってもよく、および/または、少なくとも1つの構造化光源および/またはパターン化光源であってもよく、またはそれらを含んでいてもよい。一例として、構造化光源またはパターン化光源は、1つまたは複数の液晶空間光変調器など、1つまたは複数の空間光変調器(SLM)および/またはDLP(登録商標)技術などを使用するなどの1つまたは複数のマイクロメカニカルミラー装置を使用することによって提供され得る。
【0103】
照射光は、赤外スペクトル領域の波長を有することが好ましい。照射源は、特に以下の照射源を1つまたは複数含むことができる:レーザ、特にレーザダイオード、例えば、電磁スペクトルの赤外部分に出力波長を有するIRレーザダイオード、ただし、原則的には、代替的にまたは追加的に、他の種類のレーザを使用することもできる;発光ダイオード;白熱灯;有機光源、特に有機発光ダイオード。電磁スペクトルの赤外部分は、好ましくは780nmから1mm、好ましくは780nmから3.0μmのスペクトル範囲を指す。代替的にまたは追加的に、他の照射源を使用することもできる。照射源が、例えば多くのレーザで概してそうであるように、ガウスビームプロファイルを有する1つ以上の光ビームを生成するように設計されている場合は特に好ましい。しかし、原則的には他の実施形態も可能である。
【0104】
さらに、少なくとも1つの評価装置は、縦方向光センサから独立した別個の評価装置として形成されてもよいが、好ましくは、縦方向センサ信号を受信するように縦方向光センサに接続されてもよい。あるいは、少なくとも1つの評価装置は、縦方向光センサに完全にまたは部分的に組み込まれてもよい。
【0105】
少なくとも1つの評価装置は、縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目の生成を実行またはサポートする少なくとも1つのコンピュータプログラムなど、少なくとも1つのコンピュータプログラムを実行するように適合されてもよい。一例として、縦方向センサ信号を入力変数として使用することによって、物体の縦方向位置への所定の変換を実行することができる1つまたは複数のアルゴリズムが実装され得る。評価装置は、少なくとも1つのマイクロコントローラまたはプロセッサなどの少なくとも1つのデータ処理装置を含むことができる。したがって、一例として、少なくとも1つの評価装置は、多数のコンピュータコマンドを含むソフトウェアコードが格納された少なくとも1つのデータ処理装置を含むことができる。
【0106】
評価装置は、光センサおよび/または評価装置によって取得された情報などの、情報の表示、視覚化、分析、配信、通信、またはさらなる処理のうちの1つまたは複数に使用され得る少なくとも1つのさらなるデータ処理装置に接続されてもよく、またはそれを含んでもよい。一例として、データ処理装置は、ディスプレイ、プロジェクタ、モニタ、LCD、TFT、スピーカ、マルチチャネルサウンドシステム、LEDパターン、またはさらなる視覚化装置のうちの少なくとも1つに接続されかまたはそれを組み込むことができる。データ処理装置はさらに、電子メール、テキストメッセージ、電話機、Bluetooth(登録商標)、無線、Wi-Fi、赤外線もしくはインターネットのインターフェース、ポートまたは接続の1つまたは複数を使用して暗号化情報または非暗号化情報を送信するすることができる通信装置または通信用のインターフェース、データリンク、タイメックス・データリンク、コネクタまたはポートのうちの少なくとも1つに接続されるか、またはそれを組み込んでもよい。さらに、プロセッサ、グラフィックプロセッサ、CPU、オープンマルチメディアアプリケーションプラットフォーム(OMAPTM)、集積回路、Apple社製AシリーズまたはSamsung社製S3C2シリーズの製品などのシステム・オン・チップ、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサ、ROM、RAM、EEPROMまたはフラッシュメモリなどの1つもしくは複数のメモリブロック、オシレータまたは位相ロックループなどのタイミングソース、カウンタタイマ、リアルタイムタイマ、またはパワーオンリセットジェネレータ、電圧レギュレータ、電力管理回路、またはDMAコントローラの少なくとも1つに接続され、またはそれを組み込んでもよい。個々のユニットはさらに、AMBAバスなどのバスによって接続されてもよく、および/または、1つまたは複数の送信機および/または受信機を含んでもよい。
【0107】
評価装置および/またはデータ処理装置は、直列もしくは並列のインターフェースまたはポート、USB、Centronics Port、FireWire(登録商標)、HDMI(登録商標)、Ethernet(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、RFID、無線、データリンク、Wi-Fi、USART、またはSPIの1つまたは複数などのさらなる外部インターフェースまたはポート、あるいは、ADCもしくはDACの1つまたは複数などのアナログインターフェースまたはポート、あるいは、CameraLinkなどRGBインターフェースを使用する2Dカメラ装置などさらなる装置への標準化されたインターフェースもしくはポートによって接続されるかまたはそれらを有してよい。評価装置および/またはデータ処理装置は、インタープロセッサインターフェースまたはポート、FPGA-FPGAインターフェースの1つまたは複数、または直列もしくは並列のインターフェースまたはポートによってさらに接続されてもよい。評価装置およびデータ処理装置は、光ディスクドライブ、CD-RWドライブ、DVD+RWドライブ、フラッシュドライブ、メモリカード、ディスクドライブ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートディスクもしくはソリッドステートハードディスクの1つまたは複数にさらに接続されてもよい。
【0108】
評価装置および/またはデータ処理装置は、電話コネクタ、RCAコネクタ、VGAコネクタ、雌雄同型コネクタ、USBコネクタ、HDMI(登録商標)コネクタ、8P8Cコネクタ、BCNコネクタ、IEC60320 C14コネクタ、光ファイバコネクタ、D-sub小型コネクタ、RFコネクタ、同軸コネクタ、SCARTコネクタ、XLRコネクタの1つまたは複数など1つまたは複数のさらなる外部のコネクタによって接続されるか、またはそれらを有してもよく、および/またはこれらのコネクタの1つまたは複数に適する少なくとも1つのソケットを組み込んでもよい。
【0109】
本発明の別の態様では、少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器が開示される。検出器は、上述した、または以下にさらに詳細に記載するような1つまたは複数の実施形態による方法を実施するように適合され得る。検出器および検出器の構成要素の実施形態および定義に関しては、上に開示された、または以下にさらに詳細に開示される方法の定義および実施形態が参照される。
【0110】
検出器は、
- 物体を合焦画像面内に結像させるための少なくとも1つの転送装置であって、該転送装置は焦点面を有する、少なくとも1つの転送装置、
- 少なくとも2つの縦方向光センサであって、該縦方向光センサの各々は、少なくとも1つのセンサ領域を有し、物体から検出器に伝搬する少なくとも1つの光ビームによるセンサ領域の照射に依存するように、少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するように設計され、該縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じであるとして、センサ領域における光ビームのビーム断面に依存する、少なくとも2つの縦方向光センサ;
- 少なくとも1つの評価装置であって、検出器は、測定範囲内の少なくとも2つの異なる縦方向座標を有する少なくとも2つの異なるキャリブレーション位置に続けて物体を移動させるように適合され、該評価装置は、キャリブレーション位置の各々に対して、第1の縦方向光センサによって生成された少なくとも1つの第1の縦方向センサ信号と、第2の縦方向光センサによって生成された少なくとも1つの第2の縦方向センサ信号とを記録するように適合され、該評価装置は、キャリブレーション位置の各々に対して、前記第1および第2の縦方向センサ信号を使用して少なくとも1つのキャリブレーション信号を形成するように適合され、該評価装置は、キャリブレーション信号を使用して、キャリブレーション関数を生成するように設計され、該キャリブレーション関数は、物体の縦方向座標と第1および第2の縦方向センサ信号との間の関係を定義する、少なくとも1つの評価装置、とを含む。
【0111】
検出器は、縦方向光センサを移動させるように適合された少なくとも1つの設定装置を含むことができる。縦方向光センサおよび/または転送装置のような検出器構成要素は、移動可能に配置されてよい。例えば、検出器は、光センサおよび/または転送装置がその上に配置され、光センサおよび/または転送装置がそれによって移動され得る少なくとも1つの取付装置を含むことができる。取付装置は、少なくとも1つの光マウントおよび/または少なくとも1つのキネマティックマウント、少なくとも1つのレールマウンティングシステム、少なくとも1つのスライダ、少なくとも1つのレールおよび/または少なくとも1つのレールシステム、少なくとも1つの光学テーブルなどの少なくとも1つの機械的または光学機械的マウントのうちの1つまたは複数を含むことができる。評価装置は、取付装置を制御するように構成されてよい。具体的には、評価装置は、検出器構成要素を移動させるためにスライダの移動を制御するように構成され得る。評価装置と設定装置とは、1つまたは複数のコネクタで接続されていてよい。評価装置は、検出器構成要素をレール上に位置決めするための位置情報および/または位置指令を生成するように構成されてよい。評価装置は、例えばユーザによる手動の移動のために、位置情報および/または位置指令を表示するように構成されてよい。検出器は、光センサおよび/または転送装置の手動移動のために構成されてよい。検出器は、縦方向光センサを同時に移動させるように構成されてよい。検出器は、続いて縦方向光センサを移動させるように構成されてよい。
【0112】
検出器は、少なくとも1つの物体位置決め装置を含むことができる。物体位置決め装置は、少なくとも1つのマウントおよび/またはホルダを使用するなどして、物体を取り付けるように適合されてよい。物体は、移動可能に配置されてよい。例えば、物体は、物体位置決め装置によって移動され得る。物体位置決め装置は、少なくとも1つのスライダと少なくとも1つのレールおよび/または少なくとも1つのレールシステムとを含む少なくとも1つのレール取付システムを含むことができる。取付装置のレールと物体位置決め装置のレールは同一であってもよい。例えば、物体および縦方向光センサは、同じレール上を移動することができる。あるいは、異なるレールを使用してもよい。評価装置は、物体位置決め装置を制御するように構成されてよい。具体的には、評価装置は、物体を移動させるスライダの動きを制御するように構成されてもよい。評価装置および物体位置決め装置は、1つまたは複数のコネクタによって接続されてもよい。評価装置は、物体をレール上で位置決めするための位置情報および/または位置指令を生成するように構成されてよい。評価装置は、例えばユーザによる手動の移動のために、位置情報および/または位置指令を表示するように構成されてよい。検出器は、例えば、物体位置決め装置を移動させることによって、物体を手動で移動させるように構成されてもよい。
【0113】
検出器は、物体および/または縦方向光センサの少なくとも1つを同時に移動させるように構成されてもよい。検出器は、物体を続けて移動させ、および縦方向光センサの少なくとも1つを移動させるように構成されてよい。評価装置は、物体および/または縦方向光センサを自動的に移動させるように構成されてよい。例えば、評価装置は、物体および/または縦方向光センサの位置決めのための位置情報および/または位置指令を生成するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含むことができる。評価装置は、少なくとも1つのテーブルおよび/またはルックアップテーブルを含む少なくとも1つの記憶装置を含むことができ、そこでは測定範囲内の少なくとも2つの異なる縦方向座標を有する少なくとも2つのキャリブレーション位置が記憶されている。
【0114】
評価装置は、少なくとも1つの縦方向センサ信号を評価することによって、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されてよい。本明細書で使用される場合、用語「縦方向位置に関する情報項目」とは、物体の少なくとも1つの点と少なくとも1つの検出器との間の少なくとも1つの距離を指す。位置は、物体全体に関連していてもよいし、物体の一部のみ、例えば物体の点、エリアまたは領域に関連していてもよい。前記部分は、物体の表面上に配置されてもよいし、少なくとも部分的に物体内に配置されてもよい。
【0115】
検出器は、第1の縦方向光センサおよび第2の縦方向光センサの位置決めをするための少なくとも1つの調整ステップを実行するように適合されてよい。好ましくは、調整ステップは、方法ステップ(i)の前に実行されてもよい。調整ステップは、以下のサブステップを含むことができる:
a)測定範囲内の少なくとも1つの最も外側の位置であって、最大の縦方向座標を有する最も外側の位置に物体を配置するサブステップ;
b)第1の縦方向光センサを合焦画像面の縦方向座標に配置するサブステップ;
c)測定範囲内の少なくとも1つの最も近い位置であって、最小の縦方向座標を有する最も近い位置に物体を配置するサブステップ;および
d)第2の縦方向光センサを合焦画像面の縦方向座標に配置するサブステップ。
【0116】
評価装置は、測定範囲内の最も外側の位置を決定するように、および/または該決定された位置に物体を配置するための少なくとも1つの情報および/または指令を生成するように構成されてよい。評価装置は、物体を決定された位置に配置するために、生成された情報および/または指令を物体位置決め装置に提供し、および/または生成された情報および/または指令をユーザによる手動移動のために表示するように構成されてよい。具体的には、物体が決定された最も外側の位置に配置された後、評価装置は、合焦画像面を決定し、および/または決定された位置に第1の縦方向光センサを配置するための少なくとも1つの情報および/または指令を生成するように構成されてよい。評価装置は、決定された位置に第1の縦方向光センサを配置するために、生成された情報および/または指令を設定装置に提供し、および/または生成された情報および/または指令をユーザによる手動移動のために表示するように構成されてよい。評価装置は、測定範囲内の最も近い位置を決定し、および/または、決定された位置に物体を配置するために、物体位置決め装置に対する少なくとも1つの情報および/または指令を生成するように構成されてよい。評価装置は、決定された位置に物体を配置するために、生成された情報および/または指令を物体位置決め装置に提供し、および/または生成された情報および/または指令をユーザによる手動移動のために表示するように構成されてよい。具体的には、物体が決定された最も近い位置に配置された後、評価装置は、合焦画像面を決定し、および/または決定された位置に第2の縦方向光センサを配置するための少なくとも1つの情報および/または指令を生成するように構成されてよい。評価装置は、決定された位置に第2の縦方向光センサを配置するために、生成された情報および/または指令を設定装置に提供し、および/または生成された情報および/または指令をユーザによる手動移動のために表示するように構成されてよい。
【0117】
検出器は、第1の縦方向光センサおよび第2の縦方向光センサの位置決めをするための少なくとも1つの位置決めステップを実行するように適合されてよい。位置決めステップは、好ましくは、方法ステップ(i)の前に実行され得る。位置決めステップは、以下のサブステップを含むことができる:
A)転送装置と転送装置の焦点面との間の縦方向位置に第1の縦方向光センサを配置するサブステップ;
B)第2の縦方向光センサを合焦画像面の縦方向座標に配置するサブステップ。
【0118】
評価装置は、転送装置および転送装置の焦点面の縦方向位置を決定するように構成されてよい。評価装置は、転送装置の縦方向位置と転送装置の焦点面の縦方向位置の間の縦方向位置を決定するように構成されてよい。評価装置は、決定された縦方向位置に第1の縦方向光センサを配置するための少なくとも1つの情報および/または指令を生成するように構成されてよい。評価装置は、決定された縦方向位置に第1の縦方向光センサを配置するために、生成された情報および/または指令を設定装置に提供し、および/または生成された情報および/または指令をユーザによる手動移動のために表示するように構成されてよい。評価装置は、合焦画像面の縦方向位置を決定し、および/または決定された縦方向位置に第2の縦方向光センサを配置するための少なくとも1つの情報および/または指令を生成するように構成されてよい。評価装置は、決定された縦方向位置に第2の縦方向光センサを配置するために、生成された情報および/または指令を設定装置に提供し、および/または生成された情報および/または指令をユーザによる手動移動のために表示するように構成されてよい。
【0119】
ステップA)は、以下のサブステップを含むことができる。
A1)第1の縦方向センサ信号のセンサ閾値を定義するサブステップ;
A2)第1の縦方向光センサを焦点面に向かって移動させ、第1の縦方向センサ信号をセンサ閾値と比較するサブステップ;および
A3)第1の縦方向センサ信号がセンサ閾値に等しい位置に第1の縦方向光センサを位置決めするサブステップ。
【0120】
評価装置は、第1の縦方向光センサのセンサ閾値を定義するように構成されてよい。評価装置は、少なくとも1つのセンサ閾値が記憶され得る少なくとも1つのテーブルおよび/またはルックアップテーブルを含む少なくとも1つの記憶装置を含むことができる。評価装置は、例えば、第1の縦方向センサ信号が距離測定のために使用され得るように、特に、測定信号がノイズ画像および/またはベースラインから識別可能であるように、センサ閾値を選択するように適合され得る。評価装置は、第1の縦方向センサ信号をセンサ閾値と比較するように構成されてよい。評価装置は、第1の縦方向センサ信号がセンサ閾値に等しい位置に第1の縦方向光センサを位置決めするための少なくとも1つの情報および/または指令を生成するように構成されてよい。評価装置は、決定された位置に第1の縦方向光センサを配置するために、設定装置に生成された情報および/または指令を提供し、および/またはユーザによる手動移動のために生成された情報および/または指令を表示するように構成されてよい。
【0121】
上記で概説したように、少なくとも1つの縦方向光センサは、少なくとも部分的に透明であり得る。検出器は、少なくとも1つのイメージング装置を備えてもよい。検出器は、縦方向光センサを通して物体を結像するように適合されてよい。検出器は、少なくとも1つのイメージング装置をさらに含んでよく、該イメージング装置は、物体から検出器へと進む光ビームが該イメージング装置に衝突する前に縦方向光センサを通過するように適合されてよい。
【0122】
本明細書で使用されるとき、「イメージング装置」は一般的に、1次元、2次元または3次元の物体または物体の一部の画像を生成することができる装置として理解される。特に、イメージング装置は、完全にまたは部分的にカメラとして使用され得る。たとえば、イメージング装置は:RGBカメラ、すなわち3つの別々の接続で赤、緑、青として指定された3原色を送るように設計されたカメラ;IRカメラ、すなわち、赤外線スペクトル範囲の光ビームの一部を記録するように設計されたカメラ;から成る群から選択されたカメラであり得るが、原則として、代替的にまたは追加的に、他の種類のカメラも使用できる。イメージング装置の他の実施形態も可能である。
【0123】
イメージング装置は、物体の複数の部分領域を連続的におよび/または同時に画像化するように設計され得る。例として、物体の部分領域は、例えばイメージング装置の解像限界によって定められ、そこから電磁放射線が放出される物体の1次元、2次元または3次元領域であってもよい。
【0124】
これに関連して、イメージングとは、物体の各部分領域から放出する電磁放射が、例えば検出器の少なくとも1つの任意の転送装置を介して、イメージング装置に供給されることを意味すると理解されるべきである。
【0125】
特に、イメージング装置は、例えば、特に少なくとも1つの列走査および/または行走査を使用する走査法により、複数の部分領域を連続して順次結像するように設計され得る。しかしながら、他の実施形態も可能であり、例えば複数の部分領域が同時に画像化される実施形態も可能である。イメージング装置は、物体の部分領域の画像化中に、部分領域に関連付けられた信号、好ましくは電子信号を生成するように設計されている。信号はアナログ信号および/またはデジタル信号であってもよい。例として、電子信号は各部分領域と関連付けられ得る。したがって、電子信号は同時に生成されるか、または時間的にずらして生成され得る。例として、列走査または行走査の間に、サンプルの部分領域に対応する電子信号のシーケンスが生成され得、それらは例えば線状につなげられる。さらに、イメージング装置は、1つまたは複数の信号処理装置、例えば1つまたは複数のフィルタおよび/または電子信号を処理および/または前処理するためのアナログデジタル変換器を含み得る。
【0126】
イメージング装置は、カメラチップ、例えばCCDチップおよび/またはCMOSチップを含んでいてよい。好ましくは、イメージング装置は、無機イメージング装置を含んでいてよい。イメージング装置は、ピクセルのマトリックスを含んでいてよい。本明細書で使用される場合、ピクセルとは、一般的に、イメージング装置の感光性要素を指す。本明細書で使用される場合、「マトリックス」とは、一般的に、空間における複数のピクセルの配置を指し、それは線形的配置であってもよくまたはエリア的配置であってもよい。したがって、一般的に、マトリックスは、好ましくは、一次元マトリックス;二次元マトリックスの群から選択することができる。最も好ましくは、マトリックスは、行および列の様式に配置されたピクセルを有する矩形マトリックスである。イメージング装置は、CMOSチップおよびCCDチップから成る群から選択されるチップを含んでいてよい。さらに、イメージング装置は、色を分解するように適合されてもよい。少なくとも1つのイメージング装置は、少なくとも1つのフルカラーCCDチップおよび/または少なくとも1つのフルカラーCMOSチップであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。好ましい実施形態では、イメージング装置は、RGBカメラおよび/またはIRカメラであってよい。
【0127】
光センサ、光学システム、評価装置、通信装置、データ処理装置、インターフェース、システム・オン・チップ、ディスプレイ装置、もしくはさらなる電子装置の1つまたは複数を組み込むような、本発明による検出器、評価装置またはデータ処理装置のうちの1つまたは複数を組み込んだ単一の装置などの装置の可能な実施形態は、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、タブレットPC、テレビジョン、ゲームコンソールまたはさらなる娯楽装置である。さらなる実施形態では、3Dカメラ機能を提供することができ、該3Dカメラ機能は、装置のハウジングまたは外観に顕著な違いがなく従来の2Dデジタルカメラで利用可能な装置に統合することができ、ユーザにとっての顕著な違いは、3D情報を取得および/または処理する機能のみであってよい。
【0128】
具体的には、検出器および/またはその一部、例えば評価装置および/またはデータ処理装置を組み込んだ実施形態は、ディスプレイ装置、データ処理装置、光センサ、任意でセンサ光学系、および評価装置を3Dカメラ機能向けに組み込んだ携帯電話機が挙げられる。本発明による検出器は具体的には娯楽装置および/または携帯電話機のような通信装置への一体化に適し得る。
【0129】
本発明のさらなる一実施形態は、検出器またはその一部、例えば評価装置および/またはデータ処理装置の、自動車での使用、自律運転での使用もしくはダイムラー社のIntelligent Driveシステムなどの自動車安全システムのための装置への組み込みが挙げられ、一例として、1つもしくは複数の光センサ、任意で1つもしくは複数の光学システム、評価装置、任意に通信装置、任意にデータ処理装置、任意に1つもしくは複数のインターフェース、任意にシステム・オン・チップ、任意に1つもしくは複数のディスプレイ、または任意にさらなる電子装置の1つまたは複数を組み込む装置を車両、乗用車、トラック、列車、自転車、航空機、船舶、自動二輪車の一部とすることができる。自動車への用途では、装置を自動車設計に一体化するには、光センサ、任意の光学系、もしくは装置を、外部または内部からの最低限の視認性を有する状態で一体化する必要が生じ得る。検出器またはその一部、例えば評価装置および/またはデータ処理装置は特に、自動車設計へのそのような一体化に特に適し得る。本発明による装置は、従来の3D検知技術と比較して、生成されるデータの量を減らす可能性のため、自動車用途での統合に特に適している可能性がある。
【0130】
上記で概説されているように、少なくとも1つの照射源は、少なくとも1つの物体を照射光で照射するように適合されている。例えば、少なくとも1つの物体は、縦方向光センサを通過する光で照射されてもよい。追加的にまたは代替的に、縦方向光センサを透過しない照射光によるなど、他の方法で少なくとも1つの物体を照射するように適合されていてもよい。したがって、少なくとも1つの照射源は、少なくとも1つの物体を軸外の様式で照射するために、検出器のビーム経路の外側に設置されてよい。
【0131】
照射光は、一般に、縦方向光センサを介した照射が生じる場合および/または異なるタイプの照射が使用される場合、照射光が少なくとも1つの物体を照射する前に、任意で少なくとも1つの反射を暗に示し得る。したがって、一般に、検出器は、少なくとも1つの反射要素をさらに含んでいてもよく、該反射要素は物体を照射する前に照射光を反射するように適合されている。少なくとも1つの反射要素の使用は、一般的に、幾つかの利点を伴う。したがって、一般に、少なくとも1つの反射要素を使用することにより、照射光ビームなどの照射光の方向付けの調整は、該少なくとも1つの反射要素を調整することにより実施することができる。さらに、少なくとも1つの反射要素は、以下でさらに詳細に概説されるように、反射特性が波長に依存し得る波長選択的反射要素であってよい。したがって、一般的に、波長選択的反射要素は、赤外スペクトル領域で反射特性を示す一方、可視スペクトル領域などの他のスペクトル領域では反射特性がないか、または赤外スペクトル領域と比較して著しく低い反射特性を示す、少なくとも1つの赤外線反射要素であってもよく、またはそれを含んでもよい。したがって、一般的に、少なくとも1つの照射源は、少なくとも1つの物体を赤外線照射光で照射するための少なくとも1つの赤外線照射源を含んでいてもよく、少なくとも1つの反射要素は、いわゆる「ホット」ミラーなどの、赤外スペクトル領域で反射特性を示す少なくとも1つの反射要素を含んでいてもよい。
【0132】
少なくとも1つの物体を照射光で照射する場合、少なくとも1つの縦方向光センサを介してであっても、および/または異なる様式であっても、少なくとも1つの照射光は、方向的および/もしくは空間的に固定されていてもよく、ならびに/または方向的および/もしくは空間的に調整可能もしくは移動可能であってもよい。したがって、一例として、反射要素は、少なくとも2つの異なる位置に調整されるように適合された少なくとも1つの可動性反射要素であってもよく、またはそれを含んでいてもよく、照射光は、該少なくとも2つの異なる位置で異なる方向に反射される。したがって、可動性ミラーの少なくとも1つの縦方向移動、および/または少なくとも1つの可動性ミラーの少なくとも1つの回転運動が実現可能であり得る。
【0133】
したがって、一例として、少なくとも1つの可動性反射要素は、方向付けが、少なくとも1つの第1の方向付け、および少なくとも1つの第1の方向付けとは異なる少なくとも1つの第2の方向付けに、調整され得る反射要素であってよい。調整は、ステップ的な様式で生じてもよく、または連続的な様式で生じてもよい。
【0134】
少なくとも1つの反射要素が、少なくとも1つの可動性反射要素を含む場合、可動性反射要素は、単一の可動性反射要素であってもよく、または複数の可動性反射要素であってもよく、もしくはそれらを含んでいてもよい。したがって、少なくとも1つの反射要素は、複数の可動性ミラー、好ましくは複数のマイクロミラーなど、複数の可動性反射要素を含んでいてよい。したがって、一例として、少なくとも1つの可動性反射要素は、複数のマイクロミラー、具体的には、ピエゾ技術に基づくマイクロミラーなどのマイクロミラーの領域を含んでいてもよい。一例として、ビーマー(beamer)または他のタイプのプロジェクタに使用可能なマイクロミラーなど、投影技術に使用されるマイクロミラーが使用され得る。一例として、テキサスインスツルメンツ社から入手可能な光処理技術などのデジタル光処理(DLP(商標登録))技術が使用され得る。より具体的には、少なくとも1つのDLP(商標登録)チップが使用され得る。より一般的には、反射空間光変調器が使用されてもよく、および/または少なくとも1つの可動性反射要素は、少なくとも1つの反射空間光変調器を含んでいてもよい。
【0135】
複数の可動性反射要素を使用することにより、照射光は、複数の照射光ビームに分割され得、その位置/方向付けは、好ましくは、複数の可動性反射要素により個々に制御され得る。それにより、一例として、照射光ビームの種々のパターンの投影ならびに/または照射光ビームの点および/もしくはパターンの調整が実現可能である。複数の可動性反射要素が使用される場合、例えば異なる制御周波数での個々の制御など、可動性反射要素の個々の制御が起こってもよい。それにより、複数の照射光ビームおよび/または異なる周波数の照射光ビームのパターンによる、少なくとも1つの物体の照射が、実現可能である。結果的に、照射は、変調された方法で、例えば可動性反射要素を異なる変調周波数で周期的に制御することなどにより行われてよい。次いで、照射は、検出器信号の1つまたは複数を復調したり、および/または周波数分析を行ったりなど、そこに含まれている1つまたは複数のFiPセンサによってなど、検出器により分解され得る。
【0136】
複数の、特に可動性反射要素の配列、具体的にはミラーの配列、および/または反射空間光変調器、およびより具体的にはDLP(登録商標)配列を使用することにより、検出器の完全なまたは部分的な測定空間をカバーするなどのために、一般的なパターンおよび/または特殊なパターンを検出器の観察野に投影するなどのために、照射光パターンの投影を実施することができる。
【0137】
さらに、複数の可動性反射要素、より具体的には、ミラーの配列などの可動性反射要素の配列、反射空間光変調器、および/またはDLP(登録商標)配列を使用することにより、複数の可動性反射要素は、照射光の点および/またはパターンを空間に投影するために使用されてもよく、具体的には、例えばカメラの画像など検出器の観察野に、具体的には、四肢、玩具、または他の物体、またはそれらの一部を追跡するためなど、空間中にある1つまたは複数の特定の物体を追跡するために、使用されてよい。
【0138】
1つまたは複数のDLP(登録商標)チップ等の、可動性反射要素のパターンおよび/または配列が使用される場合、パターンそれ自体は、一般的なパターンであってもよく、またはRGBカメラ画像に応じたパターン等の、検出器専用のパターンであってもよい。
【0139】
少なくとも1つの反射要素が、少なくとも1つの可動性反射要素であるか、またはそれを含む場合、少なくとも1つの可動性反射要素は、空間の少なくとも1つの走査領域を通して照射光を走査するように適合されていてよい。繰り返すが、走査プロセスは、連続的な様式で行われてもよく、またはステップ的な様式で行われてもよい。したがって、一例として、少なくとも1つの可動性反射要素は、少なくとも1つの可動性ミラー、例えばその位置および/または方向付けを調整することができる、ガルボスキャナまたは任意の他のタイプの可動性ミラーなどを含んでいてもよい。
【0140】
少なくとも1つの可動性反射要素が使用される場合、少なくとも1つの可動性反射要素の調整は、手動様式および/または自動的様式で行われてもよい。したがって、一例として、少なくとも1つの検出器は、少なくとも1つの可動性ミラーの位置を調整するように適合されている少なくとも1つのアクチュエータを含んでいてもよい。一例として、少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1つの調整ネジ、および/または少なくとも1つのピエゾアクチュエータ等の少なくとも1つの他のタイプのアクチュエータであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。
【0141】
少なくとも1つの任意の可動反射要素は、一例として、可動性反射要素のマトリックスを含んでいてよい。したがって、一例として、テキサスインスツルメンツ社によるいわゆるDLP(登録商標)技術を使用することなどにより、可動性マイクロミラーの配列を含む、マイクロメカニカルミラーデバイスを使用してもよい。1つまたは複数の可動性反射要素を使用することにより、1つまたは複数のパターンおよび/または縞模様が生成および/または投影され得る。
【0142】
上記で概説されているように、照射源は、一般的におよび具体的に、可視スペクトル範囲、赤外スペクトル範囲、および紫外スペクトル範囲の1つまたは複数の照射光を放射するように適合され得る。特に、照射光は、赤外スペクトル範囲の照射光であってよい。したがって、上記で概説されているように、反射要素は、赤外スペクトル範囲の光を反射するように適合されていてもよく、そこでは可視スペクトル範囲の光が透過する。異なるスペクトル範囲の反射特性の他の組み合わせが実現可能である。具体的には、少なくとも1つの反射要素は、可動性赤外線ミラー、特に可動性「ホット」ミラーなどの、赤外スペクトル範囲の反射特性を有する少なくとも1つの可動性反射要素を含んでいてよい。
【0143】
少なくとも1つの反射要素は、一般的に、照射光を完全にまたは部分的に空間に反射または方向転換するように適合されている任意の要素であってもよい。当業者であれば認識するように、種々のタイプの反射要素が、一般的に知られており、ここで使用することができる。具体的には、反射要素は:ミラー;半透過性ミラー;赤外スペクトル範囲の光など、特定のスペクトル領域のみを反射するミラーまたは半透過性ミラー;プリズム;二色性ミラー;ビームスプリッターキューブ、から成る群から選択することができる。記載されている要素および/または他のタイプの反射要素の組み合わせが実現可能である。具体的には、以下でさらに詳細に概説されるように、少なくとも1つの反射要素は、ビームスプリット特性を示すことができ、したがって、少なくとも1つの反射要素は、固定された反射要素であろうとまたは可動性の反射要素であろうと、検出器内に存在し得る少なくとも1つのビーム分割装置と完全にまたは部分的に同一であってもよい。
【0144】
少なくとも1つの反射要素の使用、具体的には少なくとも1つの可動性反射要素の使用、より具体的には、赤外スペクトル範囲で反射特性を有する少なくとも1つの可動性反射要素の使用は、上記で部分的に概説されているように、多くの利点を提供する。したがって、一例として、例えばゲーム分野で市販されている現行の距離センサは、一般的に、分析しようとする空間に点パターンを投影することがある。点パターンは、少なくとも1つのカメラを使用することにより監視することができ、適切な測定アルゴリズムを適用することができる。このプロセスには、著しいの量の演算能力が必要である。対照的に、本発明による検出器は、検出プロセスを単純化する簡単な方法を提供する。例えば赤外照射光などの照射光、より具体的には単一の赤外線ビームは、可動性赤外線ミラーなどの可動性反射要素を使用することにより、分析すべき空間を通って移動させることができる。この構成では、従来の検出器と比較して、必要な計算リソースを著しく削減することができる。
【0145】
したがって、走査プロセスを適用され得る。可動性ミラーは、例えば、線パターン、四角パターン、または他のパターンの読み取りを可能にする。したがって、検出器、具体的には1つまたは複数の縦方向光センサを含み、より具体的には1つまたは複数の有機太陽電池および/またはDSCおよび/またはsDSCを含む検出器は、距離情報等の直接的で迅速な縦方向情報を提供することができる。可動性ミラー等の可動性反射要素は、一般的に、物体の位置に応じて、少なくとも1つの可動性反射要素の少なくとも1つの位置を調整することにより、少なくとも1つの物体を追跡するように適合され得る。それにより、検出器は、特定の物体、例えば人間、顔、四肢、または他の可動性物体、または可動性物体の組み合わせなどを追跡および/または分析するように適合され得る。
【0146】
少なくとも1つの物体は、少なくとも1つの光ビームを放射し、および/または少なくとも1つの光ビームを検出器に向けて伝達するように適合され得る、ターゲット装置とも呼ばれる少なくとも1つのビーコン装置を含んでいてもよく、またはそれと組み合わされていてもよい。該少なくとも1つのビーコン装置の潜在的可能な実施形態は、例えば、WO2012/110924A1を参照することができる。他の実施形態も実現可能である。したがって、一般的に、少なくとも1つのビーコン装置は、照射光などの光を反射するように適合されている少なくとも1つの受動ビーコン装置であってもよく、またはそれを含んでいてもよく、および/または光を放射するように適合されている少なくとも1つの能動装置であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。したがって、一般的に、1つまたは複数の能動的放射ターゲット装置および/または反射ターゲット装置を、特に可動性反射装置と組み合わせて使用することができる。この構成では、一例として、可動性赤外線ビームを、照射光および/または照射光の一部として使用してもよく、検出器は、空間のパターンおよび/または特定領域を測定するように適合されていてもよく、および/または特定の物体を追跡するように適合されていてもよい。
【0147】
検出器は、少なくとも1つのカメラ、より具体的にはRGBカメラ等のフルカラーカメラなどの、少なくとも1つのイメージング装置をさらに含んでいてよい。この構成では、可動赤外光ビームなどの可動赤外照明光は、移動および/または変化する物体など、特に重要であると考えられるRGB画像の領域を分析するために使用され得る。この特徴は、単純な画像分析アルゴリズムにより実現され得る。それにより、顔、四肢、または他の可動性物体を迅速におよび簡単に追跡することが実現可能であり得る。
【0148】
ゲームの情況で、下記で詳細に概説されるように、例えばゲームコンソールおよび/または拡張現実用途の情況で、本発明による検出器、特に少なくとも1つの可動反射要素を有する本発明による検出器は、さらなる利点を提供する。現行の画像センサはこのように一般に、空間における物体の距離を分析することができない。結果的に、これらのタイプのセンサは、一般的に、拡張現実情報の解釈が限定される。したがって、市販の画像センサおよび検出器は、一般的に、奥行き情報の分析ができない。これらセンサまたは検出器は、2D位置を検出することが可能である。しかしながら、手、足、または他の身体部分などの物体の奥行き情報が利用できないため、拡張現実は、一般的に、2D画像のみの影響を受ける。対照的に、本発明の情況では、空間における物体の追跡、特に、マシン制御、ゲーム、または拡張現実の情況で実現可能である。さらに、上記で概説されているように、本発明は、標準的な計算リソースまたは一般的に少ない計算リソースを使用することにより実施することができる。
【0149】
検出器は、少なくとも1つのビーム分割装置をさらに含んでいてもよく、ビーム分割装置は、縦方向光センサを通過する前の照射源により放射された照射光を、縦方向光センサを通過した後の物体から検出器に進行する光ビームから分離するように適合されてよい。本明細書で使用される場合、ビーム分割装置とは、照射装置により放射された光を2つ以上の光ビームに分割し、光ビームを光軸の方向に、特に光軸の方向と平行に偏向するように適合された装置である。ビーム分割装置は:半透過性ミラー;赤外スペクトル範囲の光等の特定のスペクトル領域のみを反射するミラーまたは半透過性ミラー;プリズム;二色性ミラー;ビームスプリッターキューブ、からなる群から選択することができる。
【0150】
上記で概説されているように、少なくとも1つの任意のビーム分割装置は、少なくとも1つの任意の反射成要素と完全にまたは部分的に同一であってもよい。したがって、上記で概説されているように、ビーム分割装置は、少なくとも2つの異なる位置に調整されるように適合された少なくとも1つの可動性反射要素であってもよく、またはそれを含んでいてもよく、少なくとも2つの異なる位置では、照射光は異なる方向に反射される。具体的には、該少なくとも1つのビーム分割装置は、少なくとも1つの赤外線反射要素、より具体的には、少なくとも1つの可動性赤外線反射要素であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。
【0151】
その場合、縦方向光センサを通過した後に物体から検出器に進行する少なくとも1つの光ビームの位置および/または方向付けは、少なくとも1つの反射要素を通過したとき、特に少なくとも1つの可動性反射要素を通過したときでも、少なくとも実質的に不変に保たれ得る。したがって、具体的には、少なくとも1つの可動性反射要素は、該可動性反射要素が移動するとき、照射光の位置および/または方向付けが、可動性反射要素の移動により変更される一方、光ビームの位置および/または方向付けは、可動性反射要素の移動とは少なくとも実質的に独立して維持されるように適合されてよい。
【0152】
縦方向センサ信号は、さらに、光ビームの変調周波数に依存してもよい。特に、WO2012/110924A1に開示されているように、FiP効果は、光ビームの適切な変調に依存してもよく、またはそれにより強調されてよい。特に縦方向光センサが前述のFiP効果をもたらす場合、縦方向光センサのセンサ信号は、光ビームの変調周波数に依存し得る。一例として、FiP効果は、0.1Hzから10kHzの変調周波数で使用することができる。
【0153】
照射源は、照射光の少なくとも1つの光学的特性を周期的に変調するように適合されていてよい。したがって、照射源は、変調された様式で光ビームを放射するように適合されていてもよく、および/または照射光の少なくとも1つの光学的特性を周期的に変調するように適合され得るさらなる変調装置が使用されてもよい。追加的にまたは代替的に、検出器は、照射光の少なくとも1つの光学的特性を周期的に変調するための少なくとも1つの変調装置を含んでいてもよい。例えば、該少なくとも1つの光学的特性は、照射光の振幅および位相からなる群から選択することができる。変調装置は、一例として、空間光変調器、好ましくはマイクロミラー装置、およびより好ましくはDLP(登録商標)装置を含んでいてよい。他の変調装置が使用されてもよい。変調は、FiP効果を増強および/または可能化のため、および/または特定の変調周波数で放射する1つまたは複数の照射源を識別するためなど、1つまたは複数の異なる目的に使用され得る。後者の目的では、変調周波数が異なる2つ以上の異なる変調光ビームを識別するために使用されてもよい。さらなる詳細は、WO2014/198626A1を参照することができる。
【0154】
照射源は、異なる光学的特性を有する少なくとも2つの光ビームを送り出すように適合され得る。例えば、該少なくとも2つの光ビームは、異なるスペクトル特性を有してよい。例えば、光ビームのスペクトル特性は、光ビームの一部の色および/または偏光であってよい。好ましくは、該少なくとも2つの光ビームは、異なる変調周波数で変調され得る。
【0155】
縦方向センサ信号は、さらに、光ビームの変調周波数に依存してもよい。評価装置は、好ましくは、異なる変調周波数で縦方向センサ信号を復調することにより、周波数解析を実施するように適合されてよい。照射源により送り出される光ビームの変調、および評価装置による縦方向センサ信号の復調は、同じ組の変調周波数で行われることが好ましい。この目的のため、評価装置は、例えば1つもしくは複数の周波数混合装置などの1つもしくは複数の復調装置、例えば1つもしくは複数のローパスフィルタなどの1つもしくは複数の周波数フィルタ、または1つもしくは複数のロックイン増幅器、および/またはフーリエ解析器を含んでいてよい。評価装置は、好ましくは、所定のおよび/または調整可能な周波数範囲にわたって、離散フーリエ解析または連続フーリエ解析を実施するように適合されていてよい。
【0156】
評価装置は、1つまたは複数の電子部品、例えば1つまたは複数のバンドパスフィルタおよび/または1つまたは複数のローパスフィルタなどの、例えば1つまたは複数の周波数混合装置および/または1つまたは複数のフィルタなどを含んでもよい。したがって、一例として、評価装置は、周波数分析を実施するための少なくとも1つのロックイン増幅器または好ましくは一組のロックイン増幅器を含んでいてよい。したがって、一例として、一組の変調周波数が提供される場合、評価装置は、該組の変調周波数の各変調周波数用の個別のロックイン増幅器を含んでいてもよく、または変調周波数の2つ以上の周波数分析を、例えば連続的にまたは同時に実施するように適合された1つまたは複数のロックイン増幅器を含んでいてよい。このタイプのロックイン増幅器は、当技術分野で一般的に知られている。
【0157】
評価装置は、光ビームによるセンサ領域の照射の幾何学的形状と、検出器に対する物体の相対的位置との間の少なくとも1つの所定の関係性から、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されもよい。光ビームによるセンサ領域の照射の幾何学的形状と、検出器に対する物体の相対的位置との間の所定の関係性は、照射の既知の出力を考慮に入れることができる。既知の関係性は、アルゴリズムとして、および/または1つもしくは複数のキャリブレーション曲線として、評価装置に保存されていてもよい。一例として、特にガウスビームの場合、ビーム直径またはビームウエストと物体の位置との関係性は、ビームウエストと縦方向座標との間のガウス関係性を使用することにより容易に導き出すことができる。光ビームによるセンサ領域の照射の幾何学的形状と、検出器に対する物体の相対的位置との間の所定の関係性は、照射が変調される変調周波数を考慮に入れることができる。
【0158】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器システムが開示される。検出器システムは、上記に開示された、または以下でさらに詳細に開示される実施形態の1つまたは複数で開示されているような、本発明による少なくとも1つの検出器を含む。検出器システムは、少なくとも1つの光ビームを検出器に向けるように適合された少なくとも1つのビーコン装置をさらに含む。ビーコン装置は、物体に接続可能であり、物体によって保持可能であり、および物体に統合可能であるうちの少なくとも1つである。
【0159】
本発明のさらなる態様では、ユーザとマシンとの間で少なくとも1つの情報項目を交換するためのヒューマン-マシンインターフェースが開示される。ヒューマン-マシンインターフェースは、上記に開示された、または以下でさらに詳細に開示される実施形態の1つまたは複数で開示されているような、本発明による少なくとも1つの検出器を含む。ヒューマン-マシンインターフェースは、検出器により、ユーザの少なくとも1項目の幾何学的情報を生成するように設計されている。ヒューマン-マシンインターフェースは、幾何学的情報に、少なくとも1つの情報項目、特に少なくとも1つの制御コマンドを割り当てるように設計されている。
【0160】
本明細書で使用される場合、用語「ヒューマン-マシンインターフェース」とは、一般的に、ユーザとマシン、例えば少なくとも1つのデータ処理装置を有するマシンとの間で、少なくとも1つの情報項目、特に、少なくとも1つの電子情報項目を交換するように適合される任意の装置または装置の組み合わせを指す。情報項目の生成は、ユーザの体の姿勢および/または動きによってなされ得る。情報の交換は、一方向の様式および/または双方向の様式で実行されてよい。特に、ヒューマン-マシンインターフェースは、ユーザが、1つまたは複数のコマンドを機械可読様式でマシンに提供することを可能にするように適合され得る。
【0161】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの娯楽機能を実行するための娯楽装置が開示される。娯楽装置は、上記に開示された、または以下でさらに詳細に開示される実施形態の1つまたは複数で開示されているような、本発明による少なくとも1つのヒューマン-マシンインターフェースを含む。娯楽装置は、少なくとも1つの情報項目が、プレーヤ、つまり、娯楽目的で娯楽装置を使用するユーザにより、ヒューマン-マシンインターフェースを介して、入力可能なように設計されており、娯楽装置は、その情報に従って娯楽機能を変化させるように設計されている。
【0162】
本明細書で使用される場合、「娯楽装置」は、以下では1人または複数のプレーヤとも呼ばれる1人または複数のユーザのレジャーおよび/または娯楽の目的を果たすことができる装置である。一例として、娯楽装置は、ゲーム、好ましくはコンピュータゲームの目的を果たすことができる。追加的にまたは代替的に、娯楽装置は、他の目的、例えば、一般的に、運動、スポーツ、理学療法、または動作追跡などに使用することもできる。したがって、娯楽装置は、コンピュータ、コンピュータネットワーク、またはコンピュータシステムに実装されていてもよく、または1つもしくは複数のゲームソフトウェアプログラムを実行するコンピュータ、コンピュータネットワーク、またはコンピュータシステムを含んでいてもよい。
【0163】
娯楽装置は、上記で開示された実施形態の1つもしくは複数および/または以下で開示される実施形態の1つもしくは複数によるような、本発明による少なくとも1つのヒューマン-マシンインターフェースを含む。娯楽装置は、プレーヤにより少なくとも1つの情報項目がヒューマン-マシンインターフェースを介して入力可能なように設計されている。該少なくとも1つの情報項目は、娯楽装置のコントローラおよび/もしくはコンピュータに送信され、ならびに/または、娯楽装置のコントローラおよび/もしくはコンピュータにより使用されてもよい。
【0164】
該少なくとも1つの情報項目は、好ましくは、ゲームのコースに影響を与えるように適合された少なくとも1つのコマンドを含んでもよい。したがって、一例として、該少なくとも1つの情報項目は、プレーヤの少なくとも1つの方向付けおよび/またはプレーヤの1つもしくは複数の身体部分の方向付けに関する少なくとも1つの情報項目を含んでよく、それにより、プレーヤは、ゲームに必要な特定位置および/または方向付けおよび/または動作をシミュレートすることが可能になる。一例として、以下の動きの1つまたは複数をシミュレートし、娯楽装置のコントローラおよび/またはコンピュータに伝達することができる:ダンス;ランニング;ジャンプ;ラケットのスイング;バットのスイング;クラブのスイング;玩具銃を標的に向けることなど、ある物体を別の物体に向けること。
【0165】
部分または全体としての娯楽装置、好ましくは娯楽装置のコントローラおよび/またはコンピュータは、情報に従って娯楽機能を変化させるように設計されている。したがって、上記で概説されているように、ゲームのコースは、少なくとも1つの情報項目に従って影響を受ける可能性がある。したがって、娯楽装置は、1つまたは複数のコントローラを含んでよく、該コントローラは、少なくとも1つの検出器の評価装置とは別々であってもよく、および/または少なくとも1つの評価装置と完全にまたは部分的に同一であってもよく、または少なくとも1つの評価装置を含んでさえいてもよい。好ましくは、該少なくとも1つのコントローラは、1つまたは複数のデータ処理装置、例えば1つまたは複数のコンピュータおよび/またはマイクロコントローラなどを含んでもよい。
【0166】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの可動物体の位置を追跡するための追跡システムが開示される。追跡システムは、上述のまたは下記でさらに詳述される実施形態の1つまたは複数に開示されているように、本発明による少なくとも1つの検出器を含む。追跡システムは、少なくとも1つの追跡コントローラをさらに含み、該追跡コントローラは特定の時点における物体の一連の位置を追跡するように適合されている。例えば、物体の一連の位置は、データまたはデータ対のグループを記録することにより追跡され得、データまたはデータ対の各グループは、少なくとも1つの位置情報および少なくとも1つの時間情報を含む。追跡コントローラは、一連の位置から物体の動きを決定するように適合されてもよい。
【0167】
本明細書で使用される場合、「追跡システム」は、少なくとも1つの物体および/または物体の少なくとも1つの部分の一連の過去の位置に関する情報を収集するように適合される装置である。加えて、追跡システムは、少なくとも1つの物体または物体の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの予測される将来の位置および/または方向付けに関する情報を提供するように適合され得る。追跡システムは、少なくとも1つの追跡コントローラを有していてもよく、該追跡コントローラは、電子装置として、好ましくは少なくとも1つのデータ処理装置として、より好ましくは少なくとも1つのコンピュータまたはマイクロコントローラとして、完全にまたは部分的に具現化されてもよい。この場合も、少なくとも1つの追跡コントローラは、完全にまたは部分的に少なくとも1つの評価装置を含んでよく、および/または少なくとも1つの評価装置の一部であってもよく、および/または少なくとも1つの評価装置と完全にまたは部分的に同一であってもよい。
【0168】
追跡システムは、追跡システム自体、および/または1つもしくは複数の個別の装置の1つまたは複数の作動を開始させるように適合されてもよい。後者の目的の場合、追跡システム、好ましくは追跡コントローラは、少なくとも1つの作動を開始させるための1つまたは複数の無線および/または有線のインターフェース、および/または他のタイプのコントロール接続を有していてもよい。好ましくは、該少なくとも1つの追跡コントローラは、物体の少なくとも1つの実際の位置によって、少なくとも1つの作動を開始させるように適合され得る。一例として、作動は、以下のものからなる群から選択することができる:物体の将来位置の予測;少なくとも1つの装置を物体に向けること;少なくとも1つの装置を検出器に向けること;物体を照射すること;検出器を照射すること。
【0169】
追跡システムの用途例として、追跡システムは、第1の物体および/または第2の物体が移動し得る場合であっても、少なくとも1つの第1の物体を、少なくとも1つの第2の物体に連続的に向けるために使用され得る。潜在的に可能な例は、この場合も、ロボット工学などの産業用途、および/または製造ラインもしくは組立ラインでの製造中など、物品が移動している場合でも物品に対し継続的に作業するためなどに見出すことができる。追加的にまたは代替的に、追跡システムは、たとえ物体が移動している場合であっても、照射源を継続的に物体に向けることにより物体を連続的に照射するためなど、照射目的に使用することができる。さらなる用途が、通信システム、例えば移動している物体に送信器を向けることにより、移動している物体の情報を連続的に送信するためなどに見出すことができる。
【0170】
追跡システムは、具体的には、局地または全地球測位システムの一部であってもよい。追加的にまたは代替的に、追跡システムは、可視光通信システムの一部であってもよい。他の使用も実現可能である。
【0171】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの物体を画像化するためのカメラが開示される。カメラは、上述のまたは下記でさらに詳述される実施形態の1つまたは複数に開示されているような、本発明による少なくとも1つの検出器を含む。
【0172】
したがって、具体的には、本出願は、写真撮影の分野に応用することができる。したがって、検出器は、写真装置、特にデジタルカメラの一部であってもよい。具体的には、検出器は、3D写真撮影、特にデジタル3D写真撮影に使用することができる。したがって、検出器は、デジタル3Dカメラを形成してもよく、またはデジタル3Dカメラの一部であってもよい。本明細書で使用される場合、用語「写真撮影」とは、一般的に、少なくとも1つの物体の画像情報を取得するための技術を指す。さらに本明細書で使用される場合、「カメラ」は、一般的に、写真撮影を実施するように適合された装置である。さらに本明細書で使用される場合、用語「デジタル写真撮影」とは、一般的に、照射の強度および/または色を示す電気信号、好ましくはデジタル電気信号を生成するように適合されている複数の感光性要素を使用することにより、少なくとも1つの物体の画像情報を取得するための技術を指す。さらに、本明細書で使用される場合、用語「3D写真撮影」とは、一般的に、3つの空間次元において、少なくとも1つの物体の画像情報を取得するための技術を指す。したがって、3Dカメラは、3D写真撮影を実行するように適合された装置である。カメラは、一般的に、単一の3D画像などの単一の画像を取得するように適合されてもよく、または一連の画像などの複数の画像を取得するように適合されてもよい。したがって、また、カメラは、例えばデジタルビデオシーケンスを取得するためなどの、ビデオ用途に適合したビデオカメラであってもよい。
【0173】
したがって、一般的に、本発明は、さらに、少なくとも1つの物体を結像するためのカメラ、具体的にはデジタルカメラ、より具体的には3Dカメラまたはデジタル3Dカメラを指す。上記で概説されているように、「画像化」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、少なくとも1つの物体の画像情報を取得することを指す。カメラは、本発明による少なくとも1つの検出器を含む。カメラは、上記で概説されているように、単一の画像を取得するように、または画像シーケンスのような複数の画像を取得するように、好ましくはデジタルビデオシーケンスを取得するように適合されよい。したがって、一例として、カメラは、ビデオカメラであってもよく、またはビデオカメラを含んでいてもよい。後者の場合、カメラは、好ましくは、画像シーケンスを保存するためのデータメモリを含む。
【0174】
本発明内に使用される場合、表現「位置」とは、一般的に、物体の1つまたは複数の点の絶対位置および方向付けの1つまたは複数に関する少なくとも1つの情報項目を指す。したがって、具体的には、位置は、デカルト座標系のような、検出器の座標系で決定されることができる。しかしながら、追加的にまたは代替的に、極座標系および/または球座標系などの他のタイプの座標系が使用されてもよい。
【0175】
本発明のさらなる態様では、以下からなる群から選択される使用目的のための、本発明による検出器の使用が開示される:交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;安全用途;ヒューマン-マシンインターフェース用途;追跡用途;写真撮影用途;イメージング用途またはカメラ用途;少なくとも1つの空間の地図を生成するための地図製作用途;少なくとも1つの飛行時間測定と組み合わせた使用;測位システム;通信システム;少なくとも1つの転送装置の焦点距離の決定。したがって、一般に、本発明による検出器は、さまざまな使用分野に適用することができる。実施形態およびさらなる使用については、WO2016/005893A1を参照されたい。
【0176】
特に、検出器は、少なくとも1つの転送装置の焦点距離の決定のために使用され得る。第1のステップでは、少なくとも1つの転送装置から第1の距離に配置された少なくとも1つの照射源によって少なくとも1つの光ビームを生成することができる。照射源は、小さな照射源、特に点光源であり得る。光ビームは、少なくとも1つの転送装置に向けられてもよく、少なくとも1つの転送装置に入射してもよい。第2のステップでは、少なくとも1つの縦方向光センサの縦方向センサ信号が決定され、正規化されたセンサ応答が決定され得る。縦方向センサ信号は、その最大値に正規化されてもよい。第2のステップは、転送装置から照射源の異なる位置で繰り返されてもよい。転送装置の背面の縦方向センサの位置の関数としての照射源の異なる距離に対する正規化されたセンサ応答の曲線の配列のすべての曲線は、b=fの範囲または交差点で交差し、ここでfは転送装置の焦点距離である。転送装置の焦点距離は交差点に対応するため、焦点距離は交差点を決定することにより決定され得る。
【0177】
上記の知見を要約すると、本発明では以下の実施形態が好ましい。
【0178】
実施形態1:測定範囲内における少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器を調整する方法であって、前記検出器は、少なくとも2つの縦方向光センサと、前記物体を画像面内に結像させるための少なくとも1つの転送装置を有し、前記転送装置は焦点面を有し、前記転送装置は前記縦方向光センサと前記物体との間に配置され、前記縦方向光センサのそれぞれは、少なくとも1つのセンサ領域を有し、前記縦方向光センサのそれぞれは、前記物体から前記検出器へ伝搬する少なくとも1つの光ビームによるそれぞれの前記センサ領域の照射に依存するように、少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するように設計され、前記縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じであるとしたとき、前記センサ領域内の前記光ビームのビーム断面に依存し、前記方法は以下のステップ:
(i)前記物体を縦方向に続けて、前記測定範囲内に少なくとも2つの異なる縦方向座標を有する少なくとも2つの異なるキャリブレーション位置に移動するステップと;
(ii)前記各キャリブレーション位置について、第1の縦方向光センサによって生成された少なくとも1つの第1の縦方向センサ信号と、第2の縦方向光センサによって生成された少なくとも1つの第2の縦方向センサ信号とを記録するステップと;
(iii)前記各キャリブレーション位置について、前記第1および第2の縦方向センサ信号を使用して少なくとも1つのキャリブレーション信号を形成するステップと;
(iv)前記キャリブレーション信号を用いてキャリブレーション関数を生成し、前記キャリブレーション関数は、前記物体の縦方向座標と前記第1および第2の縦方向センサ信号との間の関係を定義している、ステップと、
を含む。
【0179】
実施形態2:前記方法が、少なくとも1つの測定ステップを含み、前記物体の縦方向座標は前記キャリブレーション関数を使用して決定される、実施形態1に記載の方法。
【0180】
実施形態3:前記方法が、前記第1の縦方向光センサおよび前記第2の縦方向光センサの位置決めをするための少なくとも1つの調整ステップをさらに含み、前記調整ステップは以下のサブステップ:
a)前記測定範囲内の少なくとも1つの最も外側の位置に前記物体を配置するサブステップであって、前記最も外側の位置は最大の縦方向座標を有する、サブステップと;
b)前記第1の縦方向光センサを、合焦画像面の縦方向座標に配置するサブステップと;
c)前記物体を前記測定範囲内の少なくとも1つの最も近い位置に配置するサブステップであって、前記最も近い位置は最小の縦方向座標を有する、サブステップと;そして
d)前記第2の縦方向光センサを、前記合焦画像面の縦方向座標に配置するサブステップと、
を含む、実施形態1または2に記載の方法。
【0181】
実施形態4:前記調整ステップは、前記方法ステップ(i)の前に実行される、実施形態3に記載の方法。
【0182】
実施形態5:前記方法が、前記第1の縦方向光センサおよび前記第2の縦方向光センサの位置決めをするための少なくとも1つの位置決めステップをさらに含み、前記位置決めステップは、以下のサブステップ:
A)前記物体を、前記測定範囲内の最大の縦方向座標を有する少なくとも1つの前記最も外側の位置に配置し、前記第1の縦方向光センサを、前記転送装置と前記転送装置の焦点面の間の縦方向位置に配置するサブステップと;そして
B)前記第2の縦方向光センサを、前記合焦画像面の縦方向座標に配置するサブステップと、
を含む、実施形態1から4のいずれか1つの実施形態に記載の方法。
【0183】
実施形態6:前記ステップA)が、以下のサブステップ:
A1)前記第1の縦方向センサ信号のセンサ閾値を定義するサブステップと;
A2)前記第1の縦方向光センサを前記焦点面に向けて移動し、前記第1の縦方向センサ信号を前記センサ閾値と比較するサブステップと;そして
A3)前記第1の縦方向光センサを、前記第1の縦方向センサ信号が前記センサ閾値と等しい位置に位置決めするサブステップと、
を含む、実施形態5に記載の方法。
【0184】
実施形態7:前記位置決めステップは、前記方法ステップ(i)の前に実行される、実施形態5または6に記載の方法。
【0185】
実施形態8:少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器であって、
- 前記物体を画像面内に結像させるための少なくとも1つの転送装置であって、前記転送装置は焦点面を有する、少なくとも1つの転送装置と、
- 少なくとも2つの縦方向光センサであって、前記縦方向光センサの各々は、少なくとも1つのセンサ領域を有し、前記物体から前記検出器に伝搬する少なくとも1つの光ビームによる前記センサ領域の照射に依存するように、少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するように設計され、前記縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じであるとして、前記センサ領域における前記光ビームのビーム断面に依存する、少なくとも2つの縦方向光センサと;
- 少なくとも1つの評価装置であって、前記検出器は、測定範囲内の少なくとも2つの異なる縦方向座標を有する少なくとも2つの異なるキャリブレーション位置に前記物体を続けて移動させるように適合され、前記評価装置は、前記キャリブレーション位置の各々に対して、前記第1の縦方向光センサによって生成された少なくとも1つの第1の縦方向センサ信号と、前記第2の縦方向光センサによって生成された少なくとも1つの第2の縦方向センサ信号とを記録するように適合され、前記キャリブレーション位置の各々に対して、前記第1および第2の縦方向センサ信号を使用して少なくとも1つのキャリブレーション信号を形成するように適合され、前記キャリブレーション信号を使用して、キャリブレーション関数を生成するように設計され、前記キャリブレーション関数は、前記物体の縦方向座標と前記第1および第2の縦方向センサ信号との間の関係を定義する、少なくとも1つの評価装置と、
を含む、検出器。
【0186】
実施形態9:前記評価装置は、前記少なくとも1つの縦方向センサ信号を評価することによって、前記物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計される、実施形態8に記載の検出器。
【0187】
実施形態10:前記検出器は、前記第1の縦方向光センサおよび前記第2の縦方向光センサの位置決めをするための少なくとも1つの調整ステップを実行するように適合され、前記調整ステップは、以下のサブステップ:
a)前記測定範囲内の少なくとも1つの最も外側の位置であって、最大の縦方向座標を有する最も外側の位置に前記物体を配置するサブステップと;
b)前記第1の縦方向光センサを、合焦画像面の縦方向座標に配置するサブステップと;
c)前記測定範囲内の少なくとも1つの最も近い位置であって、最小の縦方向座標を有する最も近い位置に前記物体を配置するサブステップと;そして
d)前記第2の縦方向光センサを、前記合焦画像面の縦方向座標に配置するサブステップと、
を含む、検出器に関する実施形態1から9のいずれか1つに記載の検出器。
【0188】
実施形態11:前記検出器は、前記第1の縦方向光センサおよび前記第2の縦方向光センサを位置決めするための少なくとも1つの位置決めステップを実行するように適合され、前記位置決めステップは、以下のサブステップ:
A)前記転送装置と前記転送装置の焦点面との間の縦方向位置に前記第1の縦方向光センサを配置するサブステップと;
B)前記第2の縦方向光センサを前記合焦画像面の縦方向座標に配置するサブステップと、
を含む、検出器に関する実施形態1から10のいずれか1つに記載の検出器。
【0189】
実施形態12:前記ステップA)は、以下のサブステップ:
A1)前記第1の縦方向センサ信号のセンサ閾値を定義するサブステップと;
A2)前記第1の縦方向光センサを焦点面に向けて移動させ、前記第1の縦方向センサ信号を前記センサ閾値と比較するサブステップと;そして
A3)前記第1の縦方向センサ信号が前記センサ閾値に等しい位置に前記第1の縦方向光センサを位置決めするサブステップと、
を含む、実施形態11に記載の検出器。
【0190】
実施形態13:前記少なくとも1つの縦方向光センサは、少なくとも部分的に透明である、検出器に関する実施形態1から10のいずれか1つに記載の検出器。
【0191】
実施形態14:前記検出器は、少なくとも1つのイメージング装置を備え、前記検出器は、前記縦方向光センサを通して前記物体を結像するように適合される、実施形態1から13のいずれか1つに記載の検出器。
【0192】
実施形態15:前記検出器は、前記縦方向光センサのスタックを含む、検出器に関する実施形態1から14のいずれか1つに記載の検出器。
【0193】
実施形態16:前記第1および第2の縦方向光センサは、前記縦方向光センサのスタックの一部を形成する、実施形態15に記載の検出器。
【0194】
実施形態17:前記少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器システムであって、前記検出器システムは、検出器に関する実施形態1から16のいずれか1つによる検出器を含み、前記検出器システムは、少なくとも1つの光ビームを前記検出器に向けるように適合された少なくとも1つのビーコン装置をさらに含み、前記ビーコン装置は、前記物体に接続可能であり、前記物体によって保持可能であり、および前記物体に統合可能であるうちの少なくとも1つである、検出器システム。
【0195】
実施形態18:ユーザとマシンとの間で少なくとも1つの情報項目を交換するためのヒューマン-マシンインターフェースであって、前記ヒューマン-マシンインターフェースは、検出器に関する実施形態1から17のいずれか1つによる検出器を含み、前記ヒューマン-マシンインターフェースは、前記検出器により、ユーザの少なくとも1項目の幾何学的情報を生成するように設計されており、前記ヒューマン-マシンインターフェースは、前記幾何学的情報に、少なくとも1つの情報項目、特に少なくとも1つの制御コマンドを割り当てるように設計されている、ヒューマン-マシンインターフェース。
【0196】
実施形態19:少なくとも1つの娯楽機能を実行するための娯楽装置であって、前記娯楽装置は、実施形態18による前記少なくとも1つのヒューマンマシンインターフェースを含み、前記娯楽装置は、少なくとも1つの情報項目が、プレーヤにより、前記ヒューマン-マシンインターフェースを介して、入力可能なように設計されている、娯楽装置。
【0197】
実施形態20:少なくとも1つの可動物体の位置を追跡するための追跡システムであって、前記追跡システムは、検出器に関する実施形態1から19のいずれか1つによる検出器の少なくとも1つを含み、前記追跡システムは、少なくとも1つの追跡コントローラをさらに含み、前記追跡コントローラは、特定の時点における前記物体の一連の位置を追跡するように適合される、追跡システム。
【0198】
実施形態21:少なくとも1つの物体を画像化するためのカメラであって、検出器に関する実施形態1から20のいずれか1つによる検出器の少なくとも1つを含む、カメラ。
【0199】
実施形態22:検出器に関する実施形態1から21のいずれか1つによる検出器の使用であって、使用目的が:交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;安全用途;ヒューマン-マシンインターフェース用途;追跡用途;写真用途;イメージング用途またはカメラ用途;少なくとも1つの空間の地図を生成するための地図製作用途;少なくとも1つの飛行時間測定と組み合わせた使用;測位システム;通信システム;少なくとも1つの転送装置の焦点距離の決定、から成る群から選択される、検出器の使用。
【図面の簡単な説明】
【0200】
本発明のさらなる任意の詳細および特徴は、従属請求項と併せて続く好ましい例示的な実施形態の説明から明らかである。これに関連して、特定の特徴は、独立して単独で実装することも、または合理的な組み合わせで実装することもできる。本発明は例示的な実施形態に限定されない。例示的な実施形態は、図面に概略的に示されている。個々の図における同一の参照番号は、同一の要素または同一の機能を有する要素、またはそれらの機能に関して互いに対応する要素を指す。
図1図1A-Cは、本発明による方法の例示的実施形態を示す図である。
図2図2Aは第1の縦方向光センサと転送装置間の距離の関数としての正規化された光電流を示す図、図2Bは第2の縦方向光センサと転送装置間の距離の関数としての正規化された光電流を示す図である。
図3図3A図3Bは、物体距離の関数としての第1の縦方向センサ信号および第2の縦方向センサ信号の商を示す図である。
図4図4Aから図4Cは、本発明による方法のさらなる例示的な実施形態を示す図である。
図5図5A図5Bは、物体距離の関数としての第1および第2の縦方向センサ信号、ならびに物体距離の関数としての第1の縦方向センサ信号および第2の縦方向センサ信号の商を示す図である。
図6図6は、検出器、検出器システム、ヒューマンマシンインターフェース、追跡システムおよびカメラの例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0201】
図1Aから図1Cには、本発明による測定範囲114内の少なくとも1つの物体112の位置を決定するための検出器110を調整する方法の例示的な実施形態が示されている。検出器110は、少なくとも2つの縦方向光センサ116と、物体112を画像面内に結像させるための少なくとも1つの転送装置118とを含む。転送装置118は焦点面を有する。転送装置118は、縦方向光センサ116と物体112との間に配置される。転送装置118は、レンズ、特にフォーカスレンズおよび/またはデフォーカスレンズ;フォーカスミラー;デフォーカスミラー、から成る群から選択される少なくとも1つの要素を含むことができる。
【0202】
各縦方向光センサ116が、少なくとも1つのセンサ領域120を有する。各縦方向光センサ116は、物体112から検出器110に伝搬する少なくとも1つの光ビームによるそれぞれのセンサ領域120の照射に依存するように、少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するように設計される。縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じであるとしたとき、センサ領域120内の光ビームのビーム断面に依存する。縦方向光センサの潜在的に可能な構成については、WO2012/110924A1および/またはWO2014/097181A1および/またはWO2016/005893A1を参照することができる。さらに、他の実施形態も実現可能である。縦方向光センサ116は、スタック状に構成されてもよい。
【0203】
縦方向光センサ116の少なくとも1つは、少なくとも部分的に透明であってよい。したがって、一般に、縦方向光センサ116は、光ビームが少なくとも部分的に縦方向光センサ116を通過できるように、少なくとも1つの少なくとも部分的に透明な光センサを含むことができる。したがって、一例として、透明な縦方向光センサは、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%または少なくとも70%の透明度を有することができる。感知効果を提供するために、一般に、縦方向光センサは典型的には、光ビームと縦方向光センサとの間にある種の相互作用を提供しなければならず、該相互作用は、典型的には、透明性の損失をもたらす。縦方向光センサの透明度は、光ビームの波長に依存し得、その結果、縦方向光センサの感度、吸収、または透明度のスペクトルプロファイルが得られる。好ましくは、複数の縦方向光センサのすべておよび/またはスタックは透明である。
【0204】
転送装置118は、少なくとも1つの光軸122を含むことができる。転送装置118は、物体112から発した光が、まず、転送装置118によって転送され、続いて縦方向光センサ116に入射するように配置されてもよい。物体112、縦方向光センサ116および転送装置118は、転送装置118が縦方向光センサ116と物体112との間に位置するように光軸122上に配置されてもよい。しかしながら、転送装置118と縦方向光センサ116が異なるビーム経路に配置される実施形態も実現可能である。
【0205】
検出器110は、少なくとも1つの評価装置124をさらに含む。
【0206】
図1AからCに示す実施形態において、方法は、少なくとも1つの第1の縦方向光センサ126および少なくとも1つの第2の縦方向光センサ128を位置決めするための少なくとも1つの調整ステップを含む。調整ステップは、次のサブステップを含むことができる。
a)測定範囲114内の少なくとも1つの最も外側の位置130あって、最大縦方向座標を有する最も外側の位置130に物体112を配置するサブステップ;
b)第1の縦方向光センサ126を、合焦画像面139の縦方向座標に配置するサブステップ;
c)測定範囲114内の少なくとも1つの最も近い位置132であって、最小の縦方向座標を有する最も近い位置132に物体112を配置するサブステップ;そして
d)第2の縦方向光センサ128を、合焦画像面139の縦方向座標に配置するサブステップ。
【0207】
特に、ステップb)において、第1の縦方向光センサ126は、第1の縦方向光センサ126によって生成される少なくとも1つの第1の縦方向センサ信号が最大化されるように配置されてもよい。特に、ステップd)では、第2の縦方向光センサ128は、第2の縦方向光センサ128によって生成された少なくとも1つの第2の縦方向センサ信号が、正のFiP効果の場合に最大化され、または負のFiP効果の場合に最小化されるように配置されてもよい。
【0208】
サブステップa)とb)を図1Aに示す。サブステップc)およびd)を図1Bに示す。サブステップは、所定の順序または異なる順序で実行され得る。さらに、方法ステップの2つ以上またはすべてさえも、同時におよび/または時間的に重複して実行され得る。さらに、方法ステップの1つ、2つまたはそれ以上、さらにすべてさえも繰り返し実行され得る。この方法は、追加の方法ステップをさらに含むことができる。好ましくは、調整ステップは、方法ステップ(i)の前に実行され得る。
【0209】
第1の縦方向センサ信号は、最も外側の位置130にある物体112から発した収集光が転送装置118によって合焦される焦点面の縦方向座標で、この物体距離および輝度に対してグローバル最大値を示すことができる。例えば、第1の縦方向センサ信号は、まず、第1の縦方向光センサ126を、転送装置118までの任意の距離、特に物体112に対して転送装置118の反対側のサイトに配置し、続いて、第1の縦方向光センサ126を、ステップ的にまたは連続的に縦方向に転送装置118から遠ざけまたは近づけることにより、最大化され得る。
【0210】
最も近い位置132は、転送装置、特に縦方向の延長部の設計によって定義され得る。第2の縦方向センサ信号は、最も近い位置132にある物体112から発した収集光が転送装置118によって合焦される焦点面の縦方向座標で、この物体距離および放射出力に対して最大値を示してもよい。例えば、第2の縦方向センサ信号は、まず、第2の縦方向光センサ128を第1の縦方向光センサ126までの任意の距離、特に第1の縦方向光センサ126が転送装置118と第2の縦方向光センサ128の間に位置するように、第1の縦方向光センサ126の転送装置118に対して反対側のサイトに配置し、続いて、第2の縦方向光センサ128をステップ的にまたは連続的に第1の縦方向光センサ126から遠ざけまたは近づけることにより、最大化され得る。
【0211】
第1の縦方向光センサ126と第2の縦方向光センサ128の調整された位置は異なっていてもよい。第1の縦方向光センサ126の調整された位置は、第2の縦方向光センサ128の調整された位置よりも転送装置118に近くなり得る。提案された方法を使用した第1の縦方向光センサ126と第2の縦方向光センサ128の位置の調整は、測定範囲にわたる商の変化を最大化させることを可能にする。これにより、物体112の異なる縦方向座標を識別するための最適な解像度が得ることができる。
【0212】
図1Cに示されるように、本方法は、以下のステップ:
(i)物体112を縦方向に続けて、測定範囲114内の少なくとも2つの異なる縦方向座標を有する少なくとも2つの異なるキャリブレーション位置134,136に移動するステップと;
(ii)各キャリブレーション位置134,136について、第1の縦方向光センサ126によって生成された少なくとも1つの第1の縦方向センサ信号と、第2の縦方向光センサ128によって生成された少なくとも1つの第2の縦方向センサ信号とを記録するステップと;
(iii)各キャリブレーション位置134,136について、第1および第2の縦方向センサ信号を使用して少なくとも1つのキャリブレーション信号を形成するステップと;
(iv)キャリブレーション信号を用いてキャリブレーション関数を生成し、該キャリブレーション関数は、物体112の縦方向座標と第1および第2の縦方向センサ信号との間の関係を定義しているステップ、
を含む。
【0213】
上記で概説したように、方法ステップ(i)では、その後、物体112は、測定範囲114内の少なくとも2つの異なる縦方向座標を有する少なくとも2つの異なるキャリブレーション位置134,136に、連続的に縦方向に移動される。好ましくは、物体112は、測定範囲114全体を、特に事前に定義または選択されたステップサイズで移動され得る。評価装置124は、第1および第2の縦方向センサ信号を記録するように適合され得る。上記で概説したように、方法ステップ(iii)では、キャリブレーション位置134,136のそれぞれについて、第1および第2の縦方向センサ信号を使用する少なくとも1つのキャリブレーション信号が形成される。評価装置124は、キャリブレーション信号を形成するように適合され得る。特に、物体112の各位置において、第1の縦方向センサ信号および第2の縦方向センサ信号の一方は、第1の縦方向センサ信号および第2の縦方向センサ信号の他方によって除算されてもよい。特に、物体112の各位置について、第1の縦方向センサ信号と第2の縦方向センサ信号の商が形成され得る。上記で概説したように、方法ステップ(iv)では、キャリブレーション信号を使用してキャリブレーション関数が生成される。キャリブレーション関数は、物体112の縦方向座標と第1および第2の縦方向センサ信号との間の関係を定義する。特に、キャリブレーション関数は、キャリブレーション信号と物体112の縦方向座標との間の関係を指す。特に好ましくは、関係は、少なくとも1つのキャリブレーション曲線、少なくとも1組のキャリブレーション曲線、少なくとも1つの関数、または上述の可能性の組み合わせを含む。1つまたは複数のキャリブレーション曲線は、例えば値のセットおよびそれの関連する関数値の形式で、例えばデータ記憶装置および/またはテーブルに保存され得る。しかしながら、代替的にまたは追加的に、少なくとも1つのキャリブレーション曲線は、例えば、パラメータ化された形式でおよび/または関数方程式として保存され得る。さまざまな可能性が考えられ、組み合わされ得る。
【0214】
この方法は、ここには示されていない少なくとも1つの測定ステップをさらに含むことができる。測定ステップにおいて、測定範囲内で物体112および/または別の物体の縦方向座標が決定され得る。特に、物体112の縦方向座標は、物体112のこの位置について第1のセンサ信号および第2のセンサ信号を記録すること、および、結合されたセンサ信号、特に商を形成することによって決定され得る。縦座標は、キャリブレーション関数を使用して決定され得る。好ましくは、測定ステップは、方法ステップi)からiv)を実行した後に実行され得る。
【0215】
図2Aおよび2Bに実験結果を示す。物体112としては、変調周波数475Hzを有する530nmLEDが使用された。転送装置118として、無限遠に焦点を合わせたf 1/1.2の50mmのNikkorカメラレンズを使用した。第1および第2の縦方向光センサとしてsDSCが使用された。転送装置118からの物体112からの距離は、0.393mから1.593mの間で0.2mステップで変化させた。各物体距離について、第1の縦方向光センサ126および第2の縦方向光センサ128を500μmのステップサイズで移動させることにより、縦方向信号曲線を記録した。図2Aは、第1の縦方向光センサ126と転送装置118との間の距離zsensor,1の関数として、正規化された光電流Inorm,1の曲線の配列を示す。曲線は、その最大値に正規化される。図2Aに示される矢印は、曲線の配列のそれぞれの縦方向センサ曲線の転送装置118からの物体112からの距離を示す。図2Bは、第2の縦方向光センサ128と転送装置118との間の距離zsensor,2の関数として、正規化された光電流Inorm,2の曲線の配列を示す。曲線はその最大値に正規化される。図2Bに示される矢印は、曲線の配列のそれぞれの縦方向センサ曲線の転送装置118からの物体112からの距離を示す。
【0216】
図3Aおよび3Bは、第1の縦方向センサ信号Iおよび第2の縦方向センサ信号Iの商を、mm単位の物体距離zobjの関数として決定した実験結果を示す。図3Aは0から2000mmまでの物体距離の範囲を示し、図3Bはズームされた細部を示す。実際の測定点は、サブmm解像度の可能性を示した。変調周波数375Hzを有する530nmLEDが使用された。転送装置118として、無限遠に焦点を合わせたf 1/1.2の50mmのNikkorカメラレンズを使用した。第1および第2の縦方向光センサとしてsDSCが使用された。第1の縦方向光センサ126は、転送装置118から38mmの距離に配置され、第2の縦方向光センサ128は、転送装置118から43mmの距離に配置された。500mmと1500mmの物体距離の商は、正確な距離決定のために使用することができる。この範囲内で商は~1から~14まで変化する。
【0217】
図4Aから4Cは、本発明による方法のさらなる例示的な実施形態を示す。この実施形態では、本方法は、第1の縦方向光センサ126および第2の縦方向光センサ128を位置決めするための少なくとも1つの位置決めステップをさらに含むことができる。位置決めステップは、以下のサブステップ:
A)物体112を、測定範囲114内の最大の縦方向座標を有する少なくとも1つの最も外側の位置130に配置し、第1の縦方向光センサ126を、転送装置118と転送装置118の焦点面の間の縦方向位置に配置するサブステップと;
A1)第1の縦方向センサ信号のセンサ閾値を定義するサブステップと;
A2)第1の縦方向光センサ126を焦点面に向けて移動し、第1の縦方向センサ信号をセンサ閾値と比較するサブステップと;
A3)第1の縦方向光センサ126を、第1の縦方向センサ信号がセンサ閾値と等しい位置138に位置決めするサブステップと;および
B)第2の縦方向光センサ128を、合焦画像面139の縦方向座標に配置するサブステップと、
を含むことができる。
【0218】
サブステップは、所定の順序または異なる順序で実行され得る。さらに、方法ステップの2つ以上またはすべてさえも、同時におよび/または時間的に重複して実行され得る。さらに、方法ステップの1つ、2つまたはそれ以上、またはすべてさえも繰り返し実行され得る。この方法は、追加の方法ステップをさらに含むことができる。好ましくは、位置決めステップは、方法ステップ(i)の前に実行され得る。
【0219】
サブステップA)からA2)が図4Aに示されている。好ましくは、第1の縦方向光センサ126は、転送装置118と、第1の縦方向光センサの正規化された信号はすべて交差する点または範囲との間に配置されることができる。交点または範囲に関しては、WO2016/005893A1を参照されたい。第1の縦方向光センサ126は、転送装置118と正規化された縦方向光センサ電流の交点の間の任意の位置に配置されてもよいが、第1の縦方向光センサ126は、ノイズ画像の応答と区別できる縦方向センサ信号を生成するために、転送装置118から十分に離れて設置されるのが好ましい。センサ閾値は、第1の縦方向センサ信号が距離測定のために使用され得るように、特に測定信号がノイズ画像および/またはベースラインと区別できるように定義され得る。第1の縦方向光センサ126は、第1の縦方向センサ信号がセンサ閾値に等しい位置138に位置決めされる。しかしながら、好ましくは、センサ信号の変化は、ノイズ値の2倍から1000倍の範囲、より好ましくはノイズ値の5倍から100倍の範囲、最も好ましくはノイズ値の100倍未満であり得る。特に、第1の縦方向光センサは、第1の縦方向センサ信号が±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±1%の許容範囲内でセンサ閾値に等しい位置138に位置決めされ得る。第1の縦方向光センサ126の移動は、矢印140によって示されている。
【0220】
サブステップA3)およびB)は、図4Bに示されている。特に、第2の縦方向センサ128は、合焦面像面139に配置することができる。物体112は、依然として最も外側の位置に配置されてもよい。合焦面像面139の縦方向座標は、fにおける焦点面に対応する縦方向座標とは異なっていてもよい。特に、第2の縦方向光センサ128は、合焦面像面、特に焦点面とは異なる位置に配置してよい。特に、転送装置118と合焦面像面139との間の距離は、転送装置118と、転送装置118の焦点距離fに対応する縦方向座標との間の距離よりも大きくてよい。特に、焦点距離fに対応する縦方向座標は、転送装置118と合焦面像面139との間にあってもよい。好ましくは、第1の縦方向光センサ126は、転送装置118と、fに一致するかまたは非常に近い交差の点または範囲との間に配置され得る。例えば、第1の縦方向光センサ126と第2の縦方向光センサ128は、交差の点または範囲が第1の縦方向光センサ126と第2の縦方向光センサ128との間に位置するように配置されてよい。しかしながら、交差の点または範囲から第1の縦方向光センサ126までの距離と、交差の点または範囲から第2の縦方向光センサ128までの距離とが異なっていてもよい。
【0221】
さらに、図4Aから4Cに示される実施形態では、本方法は、図4Cに示される以下のステップを含む。
【0222】
(i)物体112を縦方向に続けて、測定範囲114内の少なくとも2つの異なる縦方向座標を有する少なくとも2つの異なるキャリブレーション位置134,136に移動するステップ;
(ii)各キャリブレーション位置134,136について、第1の縦方向光センサ126によって生成された少なくとも1つの第1の縦方向センサ信号と、第2の縦方向光センサ128によって生成された少なくとも1つの第2の縦方向センサ信号とを記録するステップ;
(iii)各キャリブレーション位置134,136について、第1および第2の縦方向センサ信号を使用して少なくとも1つのキャリブレーション信号を形成するステップ;
(iv)キャリブレーション信号を用いてキャリブレーション関数を生成し、該キャリブレーション関数は、物体112の縦方向座標と第1および第2の縦方向センサ信号との間の関係を定義しているステップ。
【0223】
図5Aおよび5Bは、さらなる実験結果を示す。変調周波数475Hzを有する530nmLEDが使用された。転送装置118として、無限遠に焦点を合わせたf 1/1.2の50mmのNikkorカメラレンズを使用した。第1および第2の縦方向光センサとしてsDSCが使用された。第1の縦方向光センサ126は転送装置118から33.2mmの距離に配置され、第2の縦方向光センサ128は転送装置118から38.2mmの距離に配置された。被写体距離は0.01mのステップサイズで変化させた。図5Aでは、第1の縦方向センサ信号の曲線142および第2の縦方向センサ信号の曲線144の、アンペアで測定された光電流Iが、cm単位の物体距離zobjの関数として示されている。図5Bには、第1の縦方向センサ信号Iおよび第2の縦方向センサ信号Iの決定された商がcm単位の物体距離zobjの関数として示されている。0.2mから1.80mの間では、商は~0.5から~2.5の間で変化する。商は測定範囲内で水平になったり傾きが変化したりすることはない。商の単調な増加が観察される。これにより、広い測定範囲内での物体距離の測定が可能である。
【0224】
図6は、少なくとも1つの検出器110を含む検出器システム142の例示的実施形態を示す。本明細書では、検出器110は、特に、デジタルビデオクリップなどの画像および/または画像シーケンスを取得するために作成され得る3Dイメージングのため、カメラ144として採用され得る。さらに、図6は、少なくとも1つの検出器110および/または少なくとも1つの検出器システム142を含むヒューマンマシンインターフェース146の例示的実施形態と、ヒューマンマシンインターフェース146を含む娯楽装置148の例示的実施形態とを示す。図6は、検出器110および/または検出器システム142を含む、少なくとも1つの物体112の位置を追跡するように適合された追跡システム150の実施形態をさらに示す。
【0225】
検出器110および検出器システム142に関して、本出願の完全な開示を参照することができる。基本的に、検出器110のすべての潜在的に可能な実施形態は、図6に示される実施形態で具現化され得る。評価装置124は、少なくとも2つの縦方向光センサ116のそれぞれに、特に、信号リード152によって接続されてもよい。例えば、信号リード152が提供されてもよく、および/または1つまたは複数のインターフェースが提供されてもよく、該インターフェースは無線インターフェースおよび/または有線インターフェースであってもい。さらに、信号リード152は、センサ信号を生成するため、および/またはセンサ信号を修正するための、1つまたは複数のドライバおよび/または1つまたは複数の測定装置を含んでもよい。
【0226】
上述のように、検出器110は、少なくとも2つの縦方向光センサ116を含んでもよく、特に1つまたは複数の横方向光センサ154との組み合わせを含んでもよい。一例として、1つまたは複数の少なくとも部分的に透明な横方向光センサ154は、縦方向光センサ116のスタックの物体112に面した側面に配置されてもよい。代替的にまたは追加的に、1つまたは複数の横方向光センサ154は、縦方向光センサ116のスタックの物体112とは反対側に面した側面に配置されてもよい。この場合、横方向光センサ154の最後は、透明でなくてよい。したがって、z座標に加えて物体のx座標および/またはy座標を決定することが望ましい場合には、少なくとも1つの縦方向光センサ116に加えて、少なくとも1つの横方向センサ信号を提供することができる少なくとも1つの横方向光センサ154を採用することが有利であり得る。横方向光センサの潜在的に可能な実施形態については、WO2014/097181A1を参照することができる。少なくとも1つの任意の横方向光センサ154は、特に信号リード152によって評価装置124にさらに接続することができる。
【0227】
さらに、少なくとも1つの転送装置118を設けてもよい。検出器110は、一例として、構成要素116,154の1つまたは複数を収容することができる少なくとも1つのハウジング156をさらに含むことができる。
【0228】
さらに、評価装置124は、全体的にまたは部分的に、光センサ116,154および/または検出器110の他の構成要素に一体化されてもよい。評価装置124は、ハウジング156および/または別個のハウジングに封入されてもよい。評価装置124は、センサ信号を評価するために、1つまたは複数の電子装置および/または1つまたは複数のソフトウェアコンポーネントを含むことができ、それらは、縦方向評価ユニット158(「z」で示される)および横方向評価ユニット160(「xy」で示される)として記号的に示される。これらの評価ユニット158,160によって導出された結果を組み合わせることによって、位置情報162、好ましくは三次元位置情報が生成され得る(「x、y、z」で示される)。座標系の例を参照番号164で示す。
【0229】
さらに、検出器110および/または検出器システム142は、様々な方法で構成され得るイメージング装置166を含むことができる。したがって、図6に示されるように、イメージング装置166は、例えば、検出器ハウジング156内の検出器110の一部であってもよい。本明細書では、イメージング装置信号は、1つまたは複数の信号リード152によって評価装置124に送信されてもよい。あるいは、イメージング装置166は、検出器ハウジング156の外側に別個に配置されてもよい。イメージング装置166は、完全にまたは部分的に透明または不透明であってもよい。イメージング装置166は、有機イメージング装置であっても無機イメージング装置であってもよく、またはそれらを含んでもよい。好ましくは、イメージング装置166は、ピクセルの少なくとも1つのマトリックスを含んでもよく、そこではピクセルのマトリックスは、特に:CCDチップおよび/またはCMOSチップなどの無機半導体センサ装置;有機半導体センサ装置、から成る群から選択されてもよい。
【0230】
図6に示される例示的な実施形態では、一例として、検出される物体112は、スポーツ用品として設計されてもよく、および/または制御要素168を形成してもよく、その位置および/または方向付けは、ユーザ170によって操作されてもよい。したがって、一般に、図6に示される実施形態または検出器システム142、ヒューマンマシンインターフェース146、娯楽装置148、または追跡システム150の任意の他の実施形態において、物体112自体は、指定された装置の一部であってもよく、具体的には、少なくとも1つの制御要素168を含むことができ、具体的には、そこでは少なくとも1つの制御要素168は、1つまたは複数のビーコン装置172を有し、制御要素168の位置および/または方向付けは、好ましくは、ユーザ170によって操作されてもよい。一例として、物体112は、1つまたは複数のバット、ラケット、クラブ、またはスポーツ用品および/または擬似スポーツ用品の他の任意の物品であってもよく、それらを含んでもよい。他のタイプの物体112も可能である。さらに、ユーザ170を、物体112として捉え、その位置が検出されるようにしてもよい。一例として、ユーザ170は、自分の身体に直接または間接的に装着される1つまたは複数のビーコン装置172を携行し得る。
【0231】
検出器110は、1つまたは複数のビーコン装置172の縦方向位置の少なくとも1つの項目、および任意に、その横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目、および/または物体112の縦方向位置に関する少なくとも1つの他の情報項目、および任意に、物体112の横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を決定するように適合されてもよい。特に、検出器110は、物体112の異なる色、より具体的には異なる色を含むビーコン装置172の色など、色を識別するためおよび/または物体112を結像するために適合され得る。
【0232】
縦方向光センサ116は、光軸122に沿って配置されてもよい。具体的には、光軸122は、光センサ116の構成の対称軸および/または回転軸であってもよい。縦方向光センサ116は、ハウジング156内に配置されてもよい。特に、光軸122に関して同心円状に配置され得るハウジング156の開口部174は、好ましくは、検出器110の主視方向176を規定する。物体から発する光ビームは、参照番号178で示される。
【0233】
検出器110は、少なくとも1つの物体112の位置を決定するように適合させることができる。さらに、検出器110、具体的にはカメラ144を含む実施形態は、物体112の少なくとも1つの画像、好ましくは3D画像を取得するように適合させることができる。上記で概説したように、検出器110および/または検出器システム142を使用することによる物体112および/またはその一部の位置の決定は、少なくとも1つの情報項目をマシン180に提供するためのヒューマンマシンインターフェース146を提供するために使用され得る。図6に概略的に示される実施形態では、マシン180は、少なくとも1つのコンピュータおよび/またはデータ処理装置182を含むコンピュータシステムであり得るか、またはそれらを含み得る。他の実施形態も実現可能である。評価装置124は、コンピュータであってもよく、および/またはコンピュータを含んでもよく、および/または完全にまたは部分的に別個の装置として具体化されてもよく、および/またはマシン180、特にコンピュータに完全にまたは部分的に組み込まれてもよい。同じことが追跡システム150の追跡コントローラ184にも当てはまり、該コントローラ184は評価装置124および/またはマシン180の一部を完全にまたは部分的に形成することができる。
【0234】
同様に、上記で概説したように、ヒューマンマシンインターフェース146は、娯楽装置148の一部を形成することができる。したがって、物体112として機能するユーザ170により、および/またはユーザ170が物体112を扱うことにより、および/または制御要素168が物体112として機能することにより、ユーザ170は、少なくとも1つの制御コマンドなど、少なくとも1つの情報項目を、マシン180、特にコンピュータに入力することができ、それによって、コンピュータゲームのコースを制御するなど、娯楽機能を変化させることができる。
【符号の説明】
【0235】
110 検出器
112 物体
114 測定範囲
116 縦方向光センサ
118 転送装置
120 センサ領域
122 光軸
124 評価装置
126 第1の縦方向光センサ
128 第2の縦方向光センサ
130 最も外側の位置
132 最も近い位置
134 キャリブレーション位置
136 位置
138 位置
139 合焦面像面
140 矢印
142 検出器システム
144 カメラ
146 ヒューマンマシンインターフェース
148 娯楽機器
150 追跡システム
152 信号リード
154 横方向光センサ
156 ハウジング
158 縦方向評価ユニット
160 横方向評価ユニット
162 位置情報
164 座標系
166 イメージング装置
168 制御要素
170 ユーザ
172 ビーコン装置
174 開口部
176 主視方向
178 光ビーム
180 マシン
182 データ処理装置
184 追跡コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6