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特許7237064単一免疫グロブリンインターロイキン-1受容体関連(SIGIRR)変異型及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】単一免疫グロブリンインターロイキン-1受容体関連(SIGIRR)変異型及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6883 20180101AFI20230303BHJP
   C12Q 1/6827 20180101ALI20230303BHJP
   C12Q 1/6837 20180101ALI20230303BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20230303BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230303BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20230303BHJP
   C07K 14/715 20060101ALI20230303BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230303BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230303BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230303BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230303BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20230303BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
C12Q1/6883 Z
C12Q1/6827 Z
C12Q1/6837 Z
C12Q1/6844 Z
C12N15/12 ZNA
C07K14/705
C07K14/715
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
G01N33/68
G01N33/53 M
G01N33/53 D
【請求項の数】 51
(21)【出願番号】P 2020513609
(86)(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 US2018049478
(87)【国際公開番号】W WO2019050899
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】62/554,857
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザガ-ハウレギ、クラウディア ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ホロウィッツ、ジュリー
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-526892(JP,A)
【文献】Pediatrics,2015年,Vol.135, No.6,e1530-e1534
【文献】Cytokine,1999年,Vol.11, No.6,pp.389-399
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-15/90
C12Q 1/00- 3/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Genbank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを有するヒト対象を特定する試験管内の方法であって、
前記方法が、前記対象から得られた試料にて
配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを有し、且つ配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、配列番号9と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む切り詰められたSIGIRRタンパク質;及び/または
配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを有し、且つ配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、配列番号9と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の存在または非存在を検出することを含み、
前記切り詰められたSIGIRRタンパク質及び/または前記切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする前記核酸分子の存在は、前記対象が早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを有することを示す、方法。
【請求項2】
前記切り詰められたSIGIRRタンパク質が、配列番号9に係る186位~209位及び211位~215位に相当する位置のいずれか1つで野生型SIGIRRタンパク質と比べて異なるアミノ酸を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記切り詰められたSIGIRRタンパク質が配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて配列番号11のアミノ酸配列を含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記試料における前記切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする前記核酸分子の存在または非存在が、前記核酸分子において、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを生じるフレームシフト突然変異があるかどうかを判定することによって検出される請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記検出するステップが、SIGIRRタンパク質をコードする前記核酸分子の少なくとも一部を配列決定することを含み、前記配列決定される核酸分子が配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
配列決定される前記核酸分子の前記一部が配列番号9に係る186位に相当する位置をコードするコドンを包含する複数の位置を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記検出するステップが、前記切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする前記核酸分子全体を配列決定することを含む請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記検出するステップが、
切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする前記核酸分子の少なくとも一部を増幅することであって、前記増幅される核酸分子が配列番号9に係る186位に相当する位置にてアミノ酸をコードするコドンを包含する、前記増幅することと;
前記増幅された核酸分子を検出可能な標識で標識することと;
プローブを含む支持体に前記標識された核酸分子を接触させることであって、前記プローブが配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを包含する核酸配列とストリンジェントな条件下特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む、前記接触させることと;
前記検出可能な標識を検出することとを含む請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記試料における前記核酸分子がmRNAであり、前記検出するステップがさらに、前記増幅するステップに先立って前記mRNAをcDNAに逆転写することを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記検出するステップが、
検出可能な標識を含むプローブに切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子を接触させることであって、前記プローブが配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを包含する核酸配列とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む、接触させることと、
前記検出可能な標識を検出することとを含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒト対象が、クローン病を発症するリスクを有すると特定される請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
切り詰められたヒト単一免疫グロブリンインターロイキン-1受容体関連(SIGIRR)タンパク質をコードする核酸配列または前記核酸配列の相補体を含む単離された核酸分子であって、前記切り詰められたSIGIRRタンパク質は、配列番号9と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、且つ配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められている、単離された核酸分子。
【請求項13】
前記切り詰められたSIGIRRタンパク質が配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含む請求項12に記載の単離された核酸分子。
【請求項14】
前記核酸分子がcDNAである請求項12または13に記載の単離された核酸分子。
【請求項15】
前記核酸分子がゲノムDNAであり、且つ配列番号2に係る9962位に相当する位置にてグアニンを含む請求項12または13に記載の単離された核酸分子。
【請求項16】
前記核酸分子が配列番号2を含む請求項15に記載の単離された核酸分子。
【請求項17】
前記核酸分子がmRNAであり、且つ配列番号4に係る557位に相当する位置にてグアニンを含む請求項12または13に記載の単離された核酸分子。
【請求項18】
前記核酸分子がmRNAであり、且つ配列番号4に係る553位~555位及び556位~558位に相当する位置にてそれぞれコドンCUA及びAGCを含む請求項12、13及び17のいずれか1項に記載の単離された核酸分子。
【請求項19】
前記核酸分子が配列番号4を含む請求項17に記載の単離された核酸分子。
【請求項20】
前記切り詰められたSIGIRRタンパク質が、配列番号9に係る186位~209位及び211位~215位に相当する位置のいずれか1つにて野生型SIGIRRタンパク質と比べて異なるアミノ酸を含む請求項12~19のいずれか1項に記載の単離された核酸分子。
【請求項21】
前記切り詰められたSIGIRRタンパク質が、配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて配列番号11のアミノ酸配列を含む請求項12~20のいずれか1項に記載の単離された核酸分子。
【請求項22】
請求項12~21のいずれか1項に記載の単離された核酸分子を含むベクター。
【請求項23】
請求項12~21のいずれか1項に記載の単離された核酸分子を含む宿主細胞。
【請求項24】
請求項22に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項25】
前記核酸配列が前記宿主細胞にて活性があるプロモーターに操作可能に連結されている請求項23または24に記載の宿主細胞。
【請求項26】
切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含むcDNAであって、前記切り詰められたSIGIRRタンパク質は、配列番号9と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、且つ配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められている、cDNA。
【請求項27】
前記切り詰められたSIGIRRタンパク質が配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含む請求項26に記載のcDNA。
【請求項28】
前記切り詰められたSIGIRRタンパク質が、配列番号9に係る186位~209位及び211位~215位に相当する位置のいずれかにて野生型SIGIRRタンパク質と比べて異なるアミノ酸を含む請求項26または27に記載のcDNA。
【請求項29】
前記切り詰められたSIGIRRタンパク質が、配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて配列番号11のアミノ酸配列を含む請求項2628のいずれか1項に記載のcDNA。
【請求項30】
前記cDNAが配列番号6に係る557位に相当する位置にてグアニンを含む請求項2629のいずれか1項に記載のcDNA。
【請求項31】
前記cDNAが、配列番号6に係るそれぞれ553位~555位及び556位~558位に相当する位置にてそれぞれコドンCTA及びAGCを含む請求項2630のいずれか1項に記載のcDNA。
【請求項32】
前記cDNAが配列番号6を含む請求項2631のいずれか1項に記載のcDNA。
【請求項33】
請求項2632のいずれか1項に記載のcDNAを含むベクター。
【請求項34】
請求項2632のいずれか1項に記載のcDNAを含む宿主細胞。
【請求項35】
請求項33に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項36】
前記cDNAが前記宿主細胞にて活性があるプロモーターに操作可能に連結されている請求項34または35に記載の宿主細胞。
【請求項37】
切り詰められたSIGIRRタンパク質を含む単離されたまたは組換えのポリペプチドであって、前記切り詰められたSIGIRRタンパク質は、配列番号9と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、且つ配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められている、単離されたまたは組換えのポリペプチド。
【請求項38】
前記切り詰められたSIGIRRタンパク質が、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含む請求項37に記載の単離されたまたは組換えのポリペプチド。
【請求項39】
前記切り詰められたSIGIRRタンパク質が、配列番号9に係る186位~209位及び211位~215位に相当する位置のいずれか1つにて野生型SIGIRRタンパク質と比べて異なるアミノ酸を含む請求項37または38に記載の単離されたまたは組換えのポリペプチド。
【請求項40】
前記切り詰められたSIGIRRタンパク質が、配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて配列番号11のアミノ酸配列を含む請求項3739のいずれか1項に記載の単離されたまたは組換えのポリペプチド。
【請求項41】
前記ポリペプチドが異種ポリペプチドに融合される請求項3740のいずれか1項に記載の単離されたまたは組換えのポリペプチド。
【請求項42】
前記異種ポリペプチドが、ペプチド精製タグ、蛍光タンパク質、またはペプチド精製タグと蛍光タンパク質の双方を含む請求項41に記載の単離されたまたは組換えのポリペプチド。
【請求項43】
請求項3742のいずれか1項に記載の単離されたまたは組換えのポリペプチドと担体とを含む組成物。
【請求項44】
少なくとも約15のヌクレオチドを含む核酸配列を含むプローブまたはプライマーであって、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを有し、且つ配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、配列番号9と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む切り詰められたヒトSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を有する核酸分子と特異的にハイブリッド形成する、または前記切り詰められたヒトSIGIRRタンパク質をコードする前記核酸配列の相補体と特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む、プローブまたはプライマー。
【請求項45】
前記プローブまたはプライマーが、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを包含する核酸分子の一部と特異的にハイブリッド形成する請求項44に記載のプローブまたはプライマー。
【請求項46】
前記プローブまたはプライマーが、ストリンジェントな条件下で、前記切り詰められたヒトSIGIRRタンパク質をコードする前記核酸配列またはその相補体と特異的にハイブリッド形成する請求項44または45に記載のプローブまたはプライマー。
【請求項47】
前記プローブまたはプライマーが標識を含む請求項4446のいずれか1項に記載のプローブまたはプライマー。
【請求項48】
請求項4446のいずれか1項に記載のプローブが連結された基材を含む支持体。
【請求項49】
前記支持体がマイクロアレイである請求項48に記載の支持体。
【請求項50】
変異特異的なプローブまたはプライマーであって、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、配列番号9と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の核酸配列と相補性である核酸配列を含み、前記変異特異的なプローブまたはプライマーが配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを包含する核酸分子の一部と相補性である核酸配列を含む、変異特異的なプローブまたはプライマー。
【請求項51】
前記変異特異的なプローブまたはプライマーが少なくとも約15のヌクレオチドを含む請求項50に記載の変異特異的なプローブまたはプライマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、全体が参照によって本明細書に組み入れられる2017年9月6日に出願された米国仮特許出願番号62/554,857に対して優先権を主張する。
【0002】
配列表に対する言及
本出願には、56キロバイトのサイズの2018年8月30日に作成された18923800602SEQと名付けられたテキストファイルとして電子提出された配列表が含まれる。配列表は参照によって本明細書に組み入れられる。
【0003】
分野
本開示は一般に遺伝学の分野に関する。さらに詳しくは、本開示は、たとえば、早期発症型炎症性腸疾患(EO-IBD)に関連する単一免疫グロブリンインターロイキン-1受容体関連(SIGIRR)における遺伝子変異及びポリペプチド変異型に関する。
【背景技術】
【0004】
特許、特許出願、受入番号、技術論文及び学術論文を含む種々の参考文献が本明細書全体を通して引用されている。各参考文献はあらゆる目的でその全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
【0005】
炎症性腸疾患(IBD)は、消化管における片利共生微生物叢に対する不適当な免疫応答が発端となり、平均年齢30代で発症する遺伝的に異質性の慢性炎症性疾病である。IBDの重度の単一遺伝子形態は小児年齢(18歳未満)の発症を呈することができ、約50の「メンデル性」遺伝子における稀な高度浸透性変異に起因している。しかしながら、早期発症型炎症性腸疾患(EO-IBD)の遺伝的構造は不十分にしか理解されておらず、患者の大半は遺伝的には診断されていないままである。
【0006】
本開示は、SIGIRRの生物学を理解するのに役立ち、早期発症型炎症性腸疾患の小児の診断及び治療を助けるであろう新規SIGIRRの変異型を提供する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、たとえば、早期発症型炎症性腸疾患のような炎症性腸疾患に関連すると本明細書で実証されているSIGIRR変異型ポリペプチドをコードする核酸分子(すなわち、ゲノムDNA、mRNA及びcDNA)、及びSIGIRR変異型ポリペプチドを提供する。
【0008】
本開示はまた、ヒトSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列または核酸配列の相補体を含む単離された核酸分子も提供し、その際、該タンパク質は配列番号9に係る215位に相当する位置で切り詰められる。
【0009】
本開示はまた、ヒトSIGIRRタンパク質の少なくとも一部をコードする核酸配列または核酸配列の相補体を含むゲノムDNA分子も提供し、その際、該タンパク質は配列番号9に係る215位に相当する位置で切り詰められる。
【0010】
本開示はまた、ヒトSIGIRRタンパク質の少なくとも一部をコードする核酸配列または核酸配列の相補体を含むcDNA分子も提供し、その際、該タンパク質は配列番号9に係る215位に相当する位置で切り詰められる。
【0011】
本開示はまた、ヒトSIGIRRタンパク質の少なくとも一部をコードする核酸配列または核酸配列の相補体を含むmRNA分子も提供し、その際、タンパク質は配列番号9に係る215位に相当する位置で切り詰められる。
【0012】
本開示はまた、本明細書で開示されている単離された核酸分子のいずれかを含むベクターも提供する。
本開示はまた、本明細書で開示されている単離された核酸分子またはベクターのいずれかと担体とを含む組成物も提供する。
【0013】
本開示はまた、本明細書で開示されている単離された核酸分子またはベクターのいずれかを含む宿主細胞も提供する。
本開示はまた、ヒトSIGIRRタンパク質の少なくとも一部を含む単離されたまたは組換えのポリペプチドも提供し、その際、タンパク質は配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められる。
【0014】
本開示はまた、本明細書で開示されている単離されたまたは組換えのポリペプチドのいずれかと担体とを含む組成物も提供する。
本開示はまた、ヒトSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列とハイブリッド形成し、その際、該タンパク質は配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められる、またはヒトSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列の相補体とハイブリッド形成し、その際、該タンパク質は配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められる、少なくとも約5のヌクレオチドを含む核酸配列を含むプローブまたはプライマーも提供する。
【0015】
本開示はまた、本明細書で開示されているプローブのいずれかがハイブリッド形成する基材を含む支持体も提供する。
本開示はまた、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列に対して相補性である核酸配列を含む変異特異的なプローブまたはプライマーも提供し、変異特異的なプローブまたはプライマーは配列番号9に係る186位~209位及び211位~215位に相当する複数の位置をコードする核酸分子の一部に対して相補性である核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたはプライマーは配列番号9に係る186位に相当する位置をコードする核酸分子の一部と特異的にハイブリッド形成し、またはその相補体と特異的にハイブリッド形成する。変異特異的なプローブまたはプライマーは野生型のSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を有する核酸分子とはハイブリッド形成しない。
【0016】
本開示はまた、炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を有する、または炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを有するヒト対象を特定する方法も提供し、その際、方法は、対象から得られる試料にて切り詰められたSIGIRRタンパク質及び/または切り詰められたタンパク質をコードする核酸分子の存在または非存在を検出することを含み、切り詰められたタンパク質及び/または切り詰められたタンパク質をコードする核酸分子の存在は、対象が炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を有する、または炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを有することを示す。
【0017】
本開示はまた、炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を有する、または炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを有するヒト対象を特定する方法も提供し、その際、方法は、対象から得られる試料にて配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められたSIGIRRタンパク質及び/または配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の存在または非存在を検出することを含み、切り詰められたタンパク質及び/または切り詰められたタンパク質をコードする核酸分子の存在は、対象が炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を有する、または炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを有することを示す。
【0018】
本開示はまた、ヒト対象から得られるSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子にて変異を検出することであって、変異は切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする、検出することと、対象が炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患の1以上の症状を有するのであれば、ヒト対象を早期発症型炎症性腸疾患であると診断すること、または対象が炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患の1以上の症状を有さないのであれば、ヒト対象を炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクがあると診断することとを含む、ヒト対象にて炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を診断する方法、または炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを検出する方法も提供する。
【0019】
本開示はまた、ヒト対象から得られるSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子にて変異を検出することであって、変異は配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする、検出することと、対象が炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患の1以上の症状を有するのであれば、ヒト対象を早期発症型炎症性腸疾患であると診断すること、または対象が炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患の1以上の症状を有さないのであれば、ヒト対象を炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクがあると診断することとを含む、ヒト対象にて炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を診断する方法、または炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを検出する方法も提供する。
【0020】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図は幾つかの態様を説明し、記載と一緒に本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1-1】パネルA、B及びCはクローン病の家族において優性分離するSIGIRRでの切り詰め型変異型を示す。
図1-2】同上。
図2-1】未刺激のまたは2mg/mLのLPSで72時間処理した、健常対照、SIGIRR LoF患者及び内部にSIGIRR LoFを持っていない4人のEO IBD患者から生成したLCLから採取した細胞培養上清で実施したMesoscale Discoveryの炎症誘発性サイトカインパネルの結果を示す図である。
図2-2】同上。
図2-3】同上。
図2-4】同上。
図2-5】同上。
図3-1】未刺激のまたは2mg/mLの抗IgM/抗CD40で16時間処理した、健常対照、SIGIRR LoF患者及び内部にSIGIRR LoFを持っていない4人のEO IBD患者から生成したLCLから採取した細胞培養上清で実施したMesoscale Discoveryの炎症誘発性サイトカインパネルの結果を示す図である。
図3-2】同上。
図3-3】同上。
図3-4】同上。
図3-5】同上。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の追加の利点は、後に続く説明にてある程度述べられるであろうし、説明からある程度明らかであろう、または本明細書で開示されている実施形態の実践によって精通することができる。本開示の利点は、添付のクレームで特に指摘される要素及び組み合わせによって実現され、達成される。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の双方は例示及び説明的なもののみであり、請求項に係るような実施形態の制約ではないことが理解されるべきである。
【0023】
説明
本開示の態様に関係する種々の用語が本明細書及びクレームの全体を通して使用されている。そのような用語は、特に指示されない限り、当該技術における普通の意味を与えられるものとする。他の特定的に定義された用語は本明細書で提供されている定義と一致するように解釈されるものとする。
【0024】
明示的に述べられない限り、本明細書に記述されているいかなる方法または態様も、そのステップが特定の順序で実施されることを必要とすると解釈されることを全く意図するものではない。従って、方法クレームがクレームまたは説明にてステップが特定の順序に限定されるべきであると具体的に述べていない場合、順序が推察されることはどんな点でも全く意図されるものではない。このことは、ステップもしくは操作上の流れの配置に関する論理の問題、文法構成もしくは句読点に由来する明白な意味、または本明細書に記載されている態様の数もしくは種類を含む、解釈についての考えられる不明確な基準に対して成り立つ。
【0025】
本明細書で使用されるとき、単数形態「a」、「an」及び「the」は、文脈が明瞭に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
本明細書で使用されるとき、「対象」及び「患者」という用語は相互交換可能に使用される。対象には哺乳類を含む任意の動物が含まれてもよい。哺乳類には限定しないで、家畜(たとえば、ウマ、ウシ、ブタ)、愛玩動物(たとえば、イヌ、ネコ)、実験動物(たとえば、マウス、ラット、ウサギ)及び非ヒト霊長類が挙げられる。一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0026】
本明細書で使用されるとき、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」は任意の長さのヌクレオチドの高分子形態を含むことができ、DNA及び/またはRNAを含んでもよく、一本鎖、二本鎖または多重鎖であることができる。核酸の一本鎖はその相補体も指す。
【0027】
本明細書で使用されるとき、「に相当する」という表現または文法的なその変形は、所与のアミノ酸配列または核酸配列または位置の番号付けの文脈で使用される場合、所与のアミノ酸配列または核酸配列が参照配列(たとえば、本明細書の参照配列は(野生型または完全長の)SIGIRRの核酸分子またはポリペプチドである)と比較される場合の特定された参照配列の番号付けを指す。言い換えれば、所与のポリマーの残基(たとえば、アミノ酸またはヌクレオチド)の数または残基(たとえば、アミノ酸またはヌクレオチド)の位置は、所与のアミノ酸または核酸の配列の範囲内での残基の実際の数的な位置によるのではなく参照配列に関して指定される。たとえば、所与のアミノ酸配列は、ギャップを導入して2つの配列間での残基の一致を最適化することによって参照配列に対してアラインメントを行うことができる。これらの場合、ギャップが存在するが、所与のアミノ酸または核酸の配列における残基の番号付けはそれがアラインメントされている参照配列に関して行われる。
【0028】
たとえば、「配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められたヒトSIGIRRタンパク質」という表現(及び類似の表現)は、SIGIRRタンパク質のアミノ酸配列が配列番号9の配列に対してアラインメントされると、SIGIRRタンパク質は配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰む(たとえば、SIGIRRタンパク質の末端アミノ酸は215位のアミノ酸である)ことを意味する。または、言い換えれば、これらの表現は配列番号9の215位に相同である位置にて切り詰めを有するSIGIRRタンパク質を指す。本明細書では、そのようなタンパク質を「切り詰められたSIGIRRタンパク質」または「変異型SIGIRRタンパク質」または「p.k186fs31変異型」とも呼ぶ。
【0029】
配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められたSIGIRRタンパク質は、所与のSIGIRRタンパク質と配列番号9のアミノ酸配列との間で配列アラインメントを行うことによって容易に同定することができる。同様に、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むSIGIRRタンパク質は、所与のSIGIRRタンパク質と配列番号9のアミノ酸配列との間で配列アラインメントを行うことによって容易に同定することができる。配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰めを同定するために、または配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを同定するために配列アラインメントを行うのに使用することができる種々のコンピューターアルゴリズムが存在する。たとえば、NCBI BLASTアルゴリズム(Altschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.,25,3389-3402)またはCLUSTALWソフトウェア(Sievers,et al.,2014,Methods Mol. Biol.,1079,105-116)を使用することによって配列比較を行ってもよい。しかしながら、配列は手作業でアラインメントすることもできる。
【0030】
SIGIRRにおけるある特定の変異が早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクに関連することが本開示に従って観察されている。一般に、このタンパク質の機能は、特に18歳未満の小児では完全に理解されているわけではない。いかなるSIGIRRの遺伝子またはタンパク質の変異型もヒトにおける早期発症型炎症性腸疾患との既知の関連を有さないと考えられる。さらに、いかなるSIGIRRの遺伝子またはタンパク質の変異型も、特に小児における早期発症型炎症性腸疾患との既知の関連を有さないと考えられる。罹患した家系員にて早期発症型炎症性腸疾患の表現型で分離するSIGIRR遺伝子における稀な変異型が本開示に従って同定された。たとえば、ヒトSIGIRRのmRNAまたはcDNA(たとえば、それぞれ野生型の配列番号3及び配列番号5)の557位におけるアデニンの欠失を生じ、それが配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められる(たとえば、末端アミノ酸は215位に位置する)SIGIRRタンパク質を作り出すフレームシフトを生じる遺伝的変異は、そのような変異を有するヒトは早期発症型炎症性腸疾患を発症する可能性があることを示すことが観察されている。要するに、本明細書に記載されている遺伝的解析は、SIGIRR遺伝子、特にSIGIRR遺伝子における切り詰め変異型または機能喪失変異型が早期発症型炎症性腸疾患を発症することに対する高い易罹患性に関連することを示唆している。従って、早期発症型炎症性腸疾患に関連するSIGIRRの変異を有するヒト対象は、早期発症型炎症性腸疾患が抑制され、その症状が軽減され、及び/または症状の発症が抑えられるように治療されてもよい。従って、本開示は、cDNA及びmRNAを含む単離されたまたは組換えのSIGIRR変異型遺伝子、ならびに単離されたまたは組換えのSIGIRR変異型ポリペプチドを提供する。さらに、本開示は対象にてそのような変異の同定を活用してそのような対象における炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを同定するもしくは階層化する方法、または炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を有すると対象を診断する方法を提供し、それによりリスクがある対象または疾患活動期の対象が治療され得る。
【0031】
2つの野生型SIGIRRタンパク質のアミノ酸配列が配列番号7及び配列番号8に記述されている。配列番号7を有する野生型SIGIRRタンパク質は410アミノ酸長であるのに対して配列番号8を有する野生型SIGIRRタンパク質は504のアミノ酸長である。配列番号7及び配列番号8の双方を参照して、野生型タンパク質の186位~215位は以下示される順で以下のアミノ酸を含む:Lys-Pro-Gln-Leu-Glu-Arg-Arg-Arg-Gly-Tyr-Lys-Leu-Phe-Leu-Asp-Asp-Arg-Asp-Leu-Leu-Pro-Arg-Ala-Glu-Pro-Ser-Ala-Asp-Leu-Leu(配列番号10)。
【0032】
本開示は、炎症性腸疾患または早期発症型炎症性腸疾患に関連するSIGIRR変異型タンパク質をコードする核酸分子を提供する。一部の実施形態では、核酸分子は切り詰められたSIGIRR変異型タンパク質をコードする。たとえば、本開示は、ヒトSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列または核酸配列の相補体を含む単離された核酸分子を提供し、タンパク質は配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められる。
【0033】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含む切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。
【0034】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて配列番号11のアミノ酸配列を含む切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。
【0035】
一部の実施形態では、核酸分子は、配列番号9に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヒトSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列または核酸配列の相補体を含む、またはそれから成る。本明細書では、配列同一性パーセントが参照される場合、高いパーセントの配列同一性が低いものより好ましい。
【0036】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成り、切り詰められたSIGIRRタンパク質は配列番号9のアミノ酸配列、または配列番号9に対して少なくとも90%の配列同一性を有し、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むアミノ酸配列を含む。
【0037】
野生型SIGIRRのゲノムDNAの核酸配列は配列番号1に記述されている。配列番号1を含む野生型SIGIRRのゲノムDNAは11,739のヌクレオチド長である。配列番号1を参照して、野生型SIGIRRのゲノムDNAの9962位はアデニンである。
【0038】
本開示は、変異型SIGIRRタンパク質をコードするゲノムDNA分子を提供する。一部の実施形態では、ゲノムDNA分子は切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする。一部の実施形態では、ゲノムDNA分子は、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、ゲノムDNAは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、ゲノムDNAは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて以下のアミノ酸配列、Ser-Arg-Ser-Trp-Ser-Gly-Val-Gly-Ala-Thr-Ser-Ser-Ser-Trp-Thr-Thr-Ala-Thr-Ser-Cys-Arg-Ala-Leu-Ser-Pro-Pro-Pro-Thr-Ser-Trp(配列番号11)を含むSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、ゲノムDNAは、配列番号9に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、ゲノムDNAは、配列番号9を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、ゲノムDNAは、切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成り、切り詰められたSIGIRRタンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列、または配列番号9に対して少なくとも90%の配列同一性を有し、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むアミノ酸配列を含む。
【0039】
一部の実施形態では、ゲノムDNAは、配列番号2に係る9962位に相当する位置にてグアニンを含む核酸配列を含む、またはそれから成る。それに対して、野生型SIGIRRのゲノムDNAは、配列番号1に係る9962位に相当する位置にてアデニンを含む。変異型SIGIRRのゲノムDNAにおける変異はこのアデニンの欠失によるものであり、それは一ヌクレオチド塩基のフレームシフトを生じ、それによって配列番号2の9962位に相当する位置がグアニンとなる。一部の実施形態では、ゲノムDNAは、配列番号2に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、ゲノムDNAは、配列番号2に係る核酸配列を含む、またはそれから成る。
【0040】
一部の実施形態では、単離された核酸分子はゲノムDNA全体の配列に満たないものを含む。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号2の少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、少なくとも約1000、少なくとも約2000、少なくとも約3000、少なくとも約4000、少なくとも約5000、少なくとも約6000、少なくとも約7000、少なくとも約8000、少なくとも約9000、少なくとも約10000、少なくとも約11000、または少なくとも約11500の連続するヌクレオチドを含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号2の少なくとも約1000~少なくとも約2000の連続するヌクレオチドを含む、またはそれから成る。
【0041】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号2の少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、少なくとも約1000、少なくとも1000、少なくとも約1100、少なくとも約1200、少なくとも約1300、少なくとも約1400、少なくとも約1500、少なくとも約1600、少なくとも約1700、少なくとも約1800、少なくとも約1900、少なくとも約2000、少なくとも約2100、少なくとも約2200、少なくとも約2300、少なくとも約2400、または少なくとも約2500の連続するヌクレオチドを含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、そのような連続するヌクレオチドは連続するヌクレオチドの他の核酸分子と組み合わせて本明細書に記載されているcDNA分子を作り出してもよい。
【0042】
そのような単離された核酸分子を使用して、たとえば、変異型SIGIRRのmRNA及びタンパク質を、または外因性のドナー配列として発現させることができる。集団内での遺伝子配列は、たとえば、SNPのような遺伝子多型に起因して変化し得ることが理解される。本明細書で提供されている例は単に例となる配列であり、他の配列も可能である。
【0043】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、対応する野生型SIGIRRのゲノムDNAに関して配列番号9をコードする1以上の非必須のセグメントを欠失している変異型SIGIRRのミニ遺伝子を含む。一部の実施形態では、欠失した非必須のセグメント(複数可)は1以上のイントロン配列を含む。一部の実施形態では、SIGIRRのミニ遺伝子は配列番号2の一部に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有し、ミニ遺伝子は配列番号2に係る9962位に相当する位置にてグアニンを有する核酸配列を含む。
【0044】
野生型SIGIRRのmRNAの核酸配列は配列番号3に記述されている。配列番号3を含む野生型SIGIRRのmRNAは1230のヌクレオチド長である。配列番号3を参照して野生型SIGIRRのmRNAの557位はアデニンである。
【0045】
本開示はまた、変異型SIGIRRタンパク質をコードするmRNA分子も提供する。一部の実施形態では、mRNAは切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて以下のアミノ酸配列、Ser-Arg-Ser-Trp-Ser-Gly-Val-Gly-Ala-Thr-Ser-Ser-Ser-Trp-Thr-Thr-Ala-Thr-Ser-Cys-Arg-Ala-Leu-Ser-Pro-Pro-Pro-Thr-Ser-Trp(配列番号11)を含むSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号9に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号9を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、mRNAは、切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成り、切り詰められたSIGIRRタンパク質は配列番号9のアミノ酸配列、または配列番号9に対して少なくとも90%の配列同一性を有し、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むアミノ酸配列を含む。
【0046】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号4に係る557位に相当する位置にてグアニンを含む核酸配列を含む、またはそれから成る。それに対して、野生型SIGIRRのmRNAは、配列番号3に係る557位に相当する位置にてアデニンを含む。変異型SIGIRRのmRNAにおける変異はこのアデニンの欠失によるものであり、それは一ヌクレオチド塩基のフレームシフトを生じ、それによって配列番号4の557位に相当する位置がグアニンとなる。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号4に係る553位~555位及び556位~558位に相当する位置にてそれぞれコドンCUA及びAGCを含む核酸配列を含む、またはそれから成る。それに対して、野生型SIGIRRのmRNAは、配列番号3に係る553位~555位及び556位~558位に相当する位置にてそれぞれコドンCUA及びAAGを含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号4に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号4に係る核酸配列を含む、またはそれから成る。
【0047】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、SIGIRRのmRNA配列全体に満たないヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号4の少なくとも約5、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約12、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、または少なくとも約600の連続するヌクレオチドを含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号4の少なくとも約200~少なくとも約500の連続するヌクレオチドを含む、またはそれから成る。この点で、長いmRNA分子が短いものより好ましい。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号4の少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、または少なくとも約500の連続するヌクレオチドを含む、またはそれから成る。この点で、長いmRNA分子が短いものより好ましい。一部の実施形態では、そのようなmRNA分子は、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを含む。一部の実施形態では、そのようなmRNA分子は配列番号4に係る557位に相当する位置にてグアニンを含む。一部の実施形態では、そのようなmRNA分子は配列番号4に係る553位~555位及び556位~558位に相当する位置にてそれぞれコドンCUA及びAGCを含む。
【0048】
野生型SIGIRRのcDNAの核酸配列は配列番号5に記述されている。配列番号5を含む野生型SIGIRRのcDNAは停止コドンを含めて1233ヌクレオチド長である。配列番号5を参照して野生型SIGIRRのcDNAの557位はアデニンである。
【0049】
本開示はまた、変異型SIGIRRタンパク質をコードするcDNA分子も提供する。一部の実施形態では、cDNA分子は切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする。一部の実施形態では、cDNAは配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、cDNAは配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、cDNAは配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて以下のアミノ酸配列、Ser-Arg-Ser-Trp-Ser-Gly-Val-Gly-Ala-Thr-Ser-Ser-Ser-Trp-Thr-Thr-Ala-Thr-Ser-Cys-Arg-Ala-Leu-Ser-Pro-Pro-Pro-Thr-Ser-Trp(配列番号11)を含むSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、cDNAは配列番号9に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、cDNAは配列番号9を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、cDNAは切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含む、またはそれから成り、切り詰められたSIGIRRタンパク質は配列番号9のアミノ酸配列、または配列番号9に対して少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含む。
【0050】
一部の実施形態では、cDNAは配列番号6に係る557位に相当する位置にてグアニンを含む核酸配列を含む、またはそれから成る。それに対して、野生型SIGIRRのcDNAは配列番号5に係る557位に相当する位置にてアデニンを含む。変異型SIGIRRのcDNAにおける変異はこのアデニンの欠失によるものであり、それは一ヌクレオチド塩基のフレームシフトを生じ、それによって配列番号6の557位に相当する位置がグアニンとなる。一部の実施形態では、cDNAは配列番号6に係る553位~555位及び556位~558位に相当する位置にてそれぞれコドンCTA及びAGCを含む核酸配列を含む、またはそれから成る。それに対して、野生型SIGIRRのcDNAは配列番号5に係る553位~555位及び556位~558位に相当する位置にてそれぞれコドンCTA及びAAGを含む。一部の実施形態では、cDNAは配列番号6に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、cDNAは配列番号6に係る核酸配列を含む、またはそれから成る。
【0051】
一部の実施形態では、変異型SIGIRRのcDNA分子の配列全体に満たないものを含む。一部の実施形態では、cDNA分子は配列番号6の少なくとも約5、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約12、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、または少なくとも約600の連続するヌクレオチドを含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、cDNA分子は配列番号6の少なくとも約200~少なくとも約500の連続するヌクレオチドを含む、またはそれから成る。この点で、長いcDNA分子が短いものより好ましい。一部の実施形態では、cDNA分子は配列番号6の少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、または少なくとも約500の連続するヌクレオチドを含む、またはそれから成る。この点で、長いcDNA分子が短いものより好ましい。一部の実施形態では、そのようなcDNA分子は配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを含む。一部の実施形態では、そのようなcDNA分子は配列番号6に係る557位に相当する位置にてグアニンを含む。一部の実施形態では、そのようなcDNA分子は配列番号4に係る553位~555位及び556位~558位に相当する位置にてそれぞれコドンCTA及びAGCを含む。
【0052】
本開示はまた、変異型SIGIRRのゲノムDNA(たとえば、配列番号2)、変異型SIGIRRのミニ遺伝子、変異型SIGIRRのmRNA(たとえば、配列番号4)、及び/または変異型SIGIRRのcDNA(たとえば、配列番号6)とハイブリッド形成する単離された核酸分子も提供する。一部の実施形態では、そのような単離された核酸分子は少なくとも約5、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、少なくとも約1000、少なくとも約2000、少なくとも約3000、少なくとも約4000、少なくとも約5000、少なくとも約6000、少なくとも約7000、少なくとも約8000、少なくとも約9000、少なくとも約10000、少なくとも約11000、または少なくとも約11500のヌクレオチドを含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、単離された核酸分子は少なくとも約15のヌクレオチドを含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、単離された核酸分子は少なくとも約15~少なくとも約35のヌクレオチドを含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、そのような単離された核酸分子はストリンジェントな条件下で変異型SIGIRRのゲノムDNA(たとえば、配列番号2)、変異型SIGIRRのミニ遺伝子、変異型SIGIRRのmRNA(たとえば、配列番号4)、及び/または変異型SIGIRRのcDNA(たとえば、配列番号6)とハイブリッド形成する。そのような単離された核酸分子は、本明細書に記載されているまたは例示されているようなプローブとして、プライマーとして、または変異特異的なプローブもしくはプライマーとして使用されてもよい。
【0053】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、変異型SIGIRRのゲノムDNA(たとえば、配列番号2)、変異型SIGIRRのミニ遺伝子、変異型SIGIRRのmRNA(たとえば、配列番号4)、及び/または変異型SIGIRRのcDNA(たとえば、配列番号6)と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一である核酸分子の少なくとも約15の連続するヌクレオチドとハイブリッド形成する。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、約15~約100のヌクレオチド、または約15~約35のヌクレオチドを含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、単離された核酸分子は約15~約100のヌクレオチドを含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、単離された核酸分子は約15~約35のヌクレオチドを含む、またはそれから成る。
【0054】
一部の実施形態では、本明細書で開示されている核酸分子、ゲノムDNA分子、cDNA分子、またはmRNA分子のいずれも精製することができ、たとえば、少なくとも約90%純粋である。一部の実施形態では、本明細書で開示されている核酸分子のいずれか、ゲノムDNA分子、cDNA分子、またはmRNA分子は精製することができ、たとえば、少なくとも約95%純粋である。本明細書で開示されている核酸分子のいずれか、ゲノムDNA分子、cDNA分子、またはmRNA分子は精製することができ、たとえば、少なくとも約99%純粋である。精製は人の手によるものであり、人工の精製技法による。
【0055】
本開示はまた、本明細書で開示されている単離された核酸分子、ゲノムDNA分子、cDNA分子、またはmRNA分子のいずれかの断片も提供する。一部の実施形態では、断片は本明細書で開示されている核酸配列のいずれかの少なくとも約5、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、または少なくとも約100の連続する残基またはその任意の相補体を含む、またはそれから成る。この点で、長い断片が短いものより好ましい。一部の実施形態では、断片は少なくとも約5、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、または少なくとも約50の連続する残基を含む、またはそれから成る。この点で、長い断片が短いものより好ましい。一部の実施形態では、断片は少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、または少なくとも約35の連続する残基を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、断片は少なくとも約20の連続する残基を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、断片は少なくとも約25の連続する残基を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、断片は少なくとも約30の連続する残基を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、断片は少なくとも約35の連続する残基を含む、またはそれから成る。断片は配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするまたは配列番号9に係る186位~215位に相当する位置をコードする核酸分子の一部を含む、またはそれから成ることが想定される。そのような断片は、本明細書に記載されているまたは例示されているようなプローブとして、プライマーとして、または対立遺伝子特異的なプライマーとして使用されてもよい。
【0056】
本開示はまた、プローブ及びプライマーも提供する。本開示のプローブまたはプライマーは、本明細書で開示されている核酸分子のいずれかと特異的にハイブリッド形成する核酸配列またはその相補体を有する。一部の実施形態では、プローブまたはプライマーはストリンジェントな条件下にて本明細書で開示されている核酸分子のいずれかと特異的にハイブリッド形成する。本開示はまた、中度の条件下で、本明細書で開示されている核酸分子のいずれかとハイブリッド形成する核酸配列またはその相補体を有する核酸分子も提供する。本開示に係るプローブまたはプライマーは好ましくは、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードする核酸コドンまたはその相補体を包含する。従って、好ましい実施形態では、本開示は本明細書の上記及び以下でさらに詳細に定義されている変異特異的なプライマーを提供する。
【0057】
本開示に係るプローブを使用して、変異型SIGIRRタンパク質(たとえば、配列番号9に係る)をコードする変異型SIGIRRの核酸分子(たとえば、ゲノムDNA、mRNA及び/またはcDNA)を検出してもよい。加えて、本開示に係るプライマーを使用して変異型SIGIRRタンパク質をコードする核酸分子またはその断片を増幅してもよい。本開示はまた、上記に記載されているプライマーの1つを含むプライマーの対も提供する。切り詰めに至るフレームシフト変異型を含有するSIGIRRの断片のゲノムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅については、好適なプライマー配列には、順行プライマー(5’から3’):TCAGTGGCTCTGAACTGCAC(配列番号12)及び逆方向プライマー(5’から3’):GGTCCTGTTGAGCAGAGGAG(配列番号13)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で開示されている核酸分子は天然に存在するSIGIRRのゲノムDNA、cDNAまたはmRNA転写物の核酸配列を含むことができ、または天然に存在しない配列を含むことができる。一部の実施形態では、天然に存在する配列は同義突然変異またはコードされているSIGIRRのポリペプチドに影響を与えない突然変異に起因して天然に存在しない配列とは異なることができる。たとえば、配列は同義突然変異またはコードされているSIGIRRのポリペプチドに影響を与えない突然変異を除いて同一であることができる。同義突然変異または同義置換は、生じるアミノ酸配列が修飾されないようにタンパク質をコードする遺伝子のエクソンにて1つのヌクレオチドを別のものに置換することである。これは、一部のアミノ酸が1を超える3塩基対コドンによってコードされる、遺伝子コードの縮重のゆえに可能である。同義置換は、たとえば、コドンの最適化の過程で使用される。本明細書で開示されている核酸分子はコドンで最適化することができる。
【0059】
開示されている核酸分子と相互作用することができる機能性ポリヌクレオチドも、本明細書で提供される。機能性ポリヌクレオチドは、標的分子と結合すること、または特定の反応を触媒することなどの特定の機能を有する核酸分子である。機能性ポリヌクレオチドの例には、アンチセンス分子、アプタマー、リボザイム、三重鎖形成分子、及び外部ガイド配列が挙げられるが、これらに限定されない。機能性ポリヌクレオチドは、標的分子が持つ特定の活性のエフェクター、阻害剤、調節剤及び刺激剤として作用することができ、または機能性ポリヌクレオチドは任意の他の分子と独立したデノボ活性を持つことができる。
【0060】
アンチセンス分子は、標準的なまたは非標準的な塩基対合を介して標的核酸分子と相互作用するように設計される。アンチセンス分子と標的分子の相互作用は、たとえば、RNA分解酵素Hが介在するRNA・DNAハイブリッド分解を介した標的分子の破壊を促進するように設計される。あるいは、アンチセンス分子は、正常では標的分子で行われる処理機能、たとえば、転写または複製を妨害するように設計される。アンチセンス分子は標的分子の配列に基づいて設計することができる。標的分子の最もアクセスできる領域を特定することによってアンチセンスの効率を最適化する多数の方法が存在する。例となる方法には、試験管内選択実験及びDMSやDEPCを用いたDNA修飾試験が挙げられるが、これらに限定されない。アンチセンス分子は一般に、約10-6以下、約10-8以下、約10-10以下または約10-12以下の解離定数(k)で標的分子と結合する。アンチセンス分子の設計及び使用に役立つ方法及び技法の代表的な例は、以下に非限定で列挙する米国特許にて見いだすことができる:5,135,917;5,294,533;5,627,158;5,641,754;5,691,317;5,780,607;5,786,138;5,849,903;5,856,103;5,919,772;5,955,590;5,990,088;5,994,320;5,998,602;6,005,095;6,007,995;6,013,522;6,017,898;6,018,042;6,025,198;6,033,910;6,040,296;6,046,004;6,046,319;及び6,057,437。アンチセンス分子の例には、アンチセンスRNA、小分子干渉RNA(siRNA)、及び短鎖ヘアピンRNA(shRNA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書で開示されている単離された核酸分子はRNA、DNAまたはRNAとDNAの双方を含むことができる。単離された核酸分子は、たとえば、ベクターにおける異種核酸配列、または異種標識に連結する、または融合することができる。たとえば、本明細書で開示されている単離された核酸分子は、単離された核酸分子及び異種核酸分子を含むベクターまたは外因性ドナー配列に存在することができる。単離された核酸分子はまた、異種標識、たとえば、蛍光標識に連結する、または融合することもできる。標識の他の例は本明細書の別の部分で開示されている。
【0062】
標識は直接検出可能であることができ(たとえば、蛍光色素分子)、または間接的に検出可能であることができる(たとえば、ハプテン、酵素または蛍光消光剤)。そのような標識は、分光分析、光化学、生化学、免疫化学または化学の手段によって検出可能であることができる。そのような標識には、たとえば、放射線計数装置で測定することができる放射性標識;視覚的に観察するまたは分光光度計で測定することができる色素、染料または他の色原体;スピン標識分析器で測定することができるスピン標識;及び出力シグナルが好適な分子付加体の励起によって生成され、染料によって吸収される光による励起によって視覚化することができる、または標準の蛍光計もしくは画像化システムで測定することができる蛍光標識(たとえば、蛍光色素分子)が挙げられる。標識は、たとえば、出力シグナルがシグナル化合物の化学修飾によって生成される化学発光物質;金属含有物質;または、たとえば、無色の基質からの着色した生成物の形成のようなシグナルの酵素依存性の二次生成が発生する酵素であることができる。「標識」という用語は、続いて基質と共に加えられるとコンジュゲートされた分子を用いて検出可能なシグナルを生成するようにコンジュゲートされた分子に選択的に結合することができる「タグ」またはハプテンを指すこともできる。たとえば、ビオチンをタグとして用い、次いで西洋ワサビのペルオキシダーゼ(HRP)のアビジンまたはストレプトアビジンのコンジュゲートを用いてタグに結合し、次いで比色基質(たとえば、テトラメチルベンジジン(TMB)または蛍光発生基質を用いてHRPの存在を検出することができる。タグとして使用されて精製を助けることができる例となる標識には、myc、HA、FLAGまたは3×FLAG、6×Hisまたはポリヒスチジン、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質、エピトープタグ、または免疫グロブリンのFc部分が挙げられるが、これらに限定されない。多数の標識が知られており、それらには、たとえば、粒子、蛍光色素分子、ハプテン、酵素及びその比色性、蛍光性及び化学発光性の基質及び他の標識が挙げられる。
【0063】
開示されている核酸分子は、たとえば、ヌクレオチド、非天然のヌクレオチドまたは修飾されたヌクレオチド、たとえば、ヌクレオチド類似体またはヌクレオチド置換体を含むことができる。そのようなヌクレオチドには、修飾された塩基、糖もしくはリン酸基を含有する、またはその構造に非天然の部分を組み込んでいるヌクレオチドが挙げられる。非天然のヌクレオチドには、ジデオキシヌクレオチド、ビオチン化された、アミノ化された、脱アミノ化された、アルキル化された、ベンジル化された、及び蛍光標識されたヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
本明細書で開示されている核酸分子はまた、1以上のヌクレオチドの類似体または置換体も含むことができる。ヌクレオチド類似体は塩基、糖またはリン酸の部分のいずれかに修飾を含有するヌクレオチドである。塩基部分への修飾には、A、C、G及びT/Uの天然の及び合成の修飾、ならびに、たとえば、シュードウリジン、ウラシル-5-イル、ヒポキサンチン-9-イル(I)、及び2-アミノアデニン-9-イルのような様々なプリン塩基またはピリミジン塩基が挙げられるが、これらに限定されない。修飾された塩基には、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-メチルアデニン及び6-メチルグアニン及びアデニン及びグアニンの他のアルキル誘導体、2-プロピルアデニン及び2-プロピルグアニン及びアデニン及びグアニン他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-ハロウラシル及び5-ハロシトシン、5-プロピニルウラシル及び5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン及び6-アゾチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル及び他の8-置換されたアデニン及びグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチル及び他の5-置換されたウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン及び7-メチルアデニン、8-アザグアニン及び8-アザアデニン、7-デアザグアニン及び7-デアザアデニン及び3-デアザグアニン及び3-デアザアデニンが挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、5-置換されたピリミジン、6-アザピリミジン、及び2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン及び5-メチルシトシンを含むが、これらに限定されないN-2、N-6及びO-6置換されたプリンのような、ある特定のヌクレオチド類似体は二本鎖形成の安定性を高めることができる。塩基修飾は、たとえば、糖修飾、たとえば、2’-O-メトキシエチルと組み合わせて、たとえば、高い二本鎖安定性のような独特の特性を達成できることが多い。
【0065】
ヌクレオチド類似体は糖部分の修飾も含むことができる。糖部分に対する修飾には、リボース及びデオキシリボースの天然の修飾ならびに合成の修飾が挙げられるが、これらに限定されない。糖部分の修飾には、2’位での以下の修飾:OH;F;O-、S-、またはN-アルキル;O-、S-、またはN-アルケニル;O-、S-またはN-アルキニル;またはO-アルキル-O-アルキルが挙げられるが、これらに限定されず、その際、アルキル、アルケニル、及びアルキニルは置換されたまたは非置換のC1-10アルキルまたはC2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルであってもよい。例となる2’糖修飾には、-O[(CHO]CH、-O(CHOCH、-O(CHNH、-O(CHCH、-O(CH-ONH、及び-O(CHON[(CHCH)]も挙げられるが、これらに限定されず、その際、n及びmは1~約10である。
【0066】
2’位における他の修飾には、C1-10アルキル、置換された低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリルまたはO-アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換されたシリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善する基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学特性を改善する基、及び類似の特性を有する他の置換基が挙げられるが、これらに限定されない。同様の修飾は、糖の他の位置、特に3’末端ヌクレオチドまたは2’-5’連結したオリゴヌクレオチドの糖の3’位及び5’末端ヌクレオチドの5’位で行われてもよい。修飾された糖には架橋環の酸素での修飾、たとえば、CH及びSを含有するものが挙げることもできる。ヌクレオチドの糖類似体は、たとえば、ペントフラノシル糖の代わりのシクロブチル部分のような糖模倣体を有することもできる。
【0067】
ヌクレオチド類似体はリン酸部分でも修飾することができる。修飾されたリン酸部分には、2つのヌクレオチド間の結合がホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’-アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含むメチル及び他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホルアミデート及びアミノアルキルホスホルアミデートを含むホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル,及びボラノホスフェートを含有するように修飾することができるものが挙げられるが、これらに限定されない。2つのヌクレオチド間のこれらのリン酸結合または修飾されたリン酸結合は3’-5’結合または2’-5’結合を介することができ、結合は、たとえば、3’-5’から5’-3’にまたは2’-5’から5’-2’に反転した極性を含有することができる。種々の塩、混合塩及び遊離酸の形態も含まれる。
【0068】
ヌクレオチド置換体には、ヌクレオチドと類似の官能特性を有するが、リン酸部分、たとえば、ペプチド核酸(PNA)を含有しない分子が含まれる。ヌクレオチド置換体には、Watson・CrickまたはHoogsteenの方法で核酸を認識するが、リン酸部分以外の部分を介して一緒に連結される分子が含まれる。ヌクレオチド置換体は、適切な標的核酸と相互作用する場合、二重らせん型構造に従うことができる。
【0069】
ヌクレオチド置換体には、リン酸部分または糖部分が置き換えられているヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体も含まれる。一部の実施形態では、ヌクレオチド置換体は標準のリン原子を含有しなくてもよい。リン酸に対する置換体は、たとえば、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオチド間結合、混合ヘテロ原子とアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオチド間結合、または1以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環のヌクレオチド間結合であることができる。これらには、モルフォリノ結合(部分的にヌクレオシドの糖部分から形成される);シロキサン主鎖;スルフィド、スルホキシド及びスルホンの主鎖;ホルムアセチル及びチオホルムアセチルの主鎖;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチルの主鎖;アルケン含有主鎖;スルファミン酸主鎖;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノの主鎖;スルホネート及びスルホンアミドの主鎖;アミド主鎖;ならびに混合されたN、O、S及びCHの成分部分を有するその他を有するものが挙げられる。
【0070】
ヌクレオチド置換体では、ヌクレオチドの糖部分及びリン酸部分の双方が、たとえば、アミド型結合(アミノエチルグリシン)(PNA)によって置き換えることができることも理解される。
【0071】
分子の他の型(コンジュゲート)をヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体に連結して、たとえば、細胞の取り込みを高めることも可能である。コンジュゲートはヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体に化学的に連結することができる。そのようなコンジュゲートには、たとえば、コレステロール部分のような脂質部分、コール酸、ヘキシル-S-トリチルチオールのようなチオエーテル、チオコレステロール、ドデカンジオールまたはウンデシルの残基のような脂肪族鎖、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたは1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホン酸トリエチルアンモニウムのようなリン脂質、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、アダマンタン酢酸、パルミチル部分、またはオクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分が挙げられる。
【0072】
本開示はまた、本明細書で開示されている1以上の核酸分子を含むベクターも提供する。一部の実施形態では、ベクターは本明細書で開示されている1以上の核酸分子と異種核酸とを含む。ベクターは核酸分子を輸送することができるウイルスベクターまたは非ウイルスベクターであることができる。一部の実施形態では、ベクターはプラスミドまたはコスミド(たとえば、追加のDNAセグメントをライゲーションすることができる環状二本鎖DNA)である。一部の実施形態では、ベクターはウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントをウイルスゲノムにライゲーションすることができる。一部の実施形態では、ベクターはそれが導入される宿主細胞にて自己複製することができる(たとえば、細菌の複製開始点を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳類ベクター)。一部の実施形態では、ベクター(たとえば、非エピソーム性哺乳類ベクター)は宿主細胞への導入の際、宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、それによって宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、それらが操作可能に連結される遺伝子の発現を誘導することができる。そのようなベクターは本明細書では「組換え発現ベクター」または「発現ベクター」と呼ばれる。そのようなベクターはターゲティングベクター(すなわち、外来性ドナー配列)であることもできる。
【0073】
一部の実施形態では、本明細書で開示されている種々の遺伝子変異型によってコードされるタンパク質は、開示されている種々の遺伝子変異型をコードする核酸分子を発現ベクターに挿入することによって発現され、それにより遺伝子は発現制御配列、たとえば、転写及び翻訳の制御配列に操作可能に連結される。発現ベクターには、プラスミド、コスミド、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、植物ウイルス、たとえば、カリフラワーモザイクウイルス及びタバコモザイクウイルス、酵母人工染色体(YAC)、エプステイン・バー(EBV)由来のエピソーム、及び当該技術で既知の他の発現ベクターが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ベクター内の転写及び翻訳の制御配列が遺伝子変異型の転写及び翻訳を調節するその意図される機能を果たすように、開示されている遺伝子変異型を含む核酸分子をベクターにライゲーションすることができる。発現ベクター及び発現制御配列は使用される発現宿主細胞と適合性であるように選択される。開示されている遺伝子変異型を含む核酸配列を、変異型の遺伝情報として別のベクターにまたは同じ発現ベクターに挿入することができる。開示されている遺伝子変異型を含む核酸配列を常法(たとえば、開示されている遺伝子変異型を含む核酸とベクターにおける相補性制限部位のライゲーション、または制限部位が存在しない場合平滑末端のライゲーション)によって発現ベクターに挿入することができる。
【0074】
開示されている遺伝子変異型を含む核酸配列に加えて、組換え発現ベクターは宿主細胞における遺伝子変異型の発現を制御する調節配列を保有することができる。発現ベクターの設計は、調節配列の選択を含めて、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現のレベル、等のような要因に依存し得る。哺乳類宿主細胞の発現にとって望ましい調節配列には、たとえば、哺乳類細胞でのタンパク質発現の高いレベルを誘導するウイルス要素、たとえば、レトロウイルスLTR、サイトメガロウイルス(CMV)(たとえば、CMVのプロモーター/エンハンサー)、シミアンウイルス40(SV40)(たとえば、SV40のプロモーター/エンハンサー)、アデノウイルス(たとえば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、ポリオーマに由来するプロモーター及び/またはエンハンサー、ならびに、たとえば、天然の免疫グロブリン及びアクチンのプロモーターのような強力な哺乳類プロモーターを挙げることができる。細菌細胞または真菌細胞(たとえば、酵母細胞)にてポリペプチドを発現させる方法も周知である。
【0075】
プロモーターは、たとえば、構成的に活性があるプロモーター、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、時間的に制約されるプロモーター(たとえば、発生上調節されるプロモーター)、または空間的に制約されるプロモーター(たとえば、細胞特異的なまたは組織特異的なプロモーター)であることができる。プロモーターの例は、たとえば、WO2013/176772にて見いだすことができる。
【0076】
誘導性プロモーターの例には、たとえば、化学的に調節されるプロモーター及び物理的に調節されるプロモーターが挙げられる。化学的に調節されるプロモーターには、たとえば、アルコール調節プロモーター(たとえば、アルコール脱水素酵素(alcA)遺伝子のプロモーター)、テトラサイクリン調節プロモーター(たとえば、テトラサイクリン応答性プロモーター、テトラサイクリンオペレーター配列(tetO)、tet-Onプロモーター、またはtet-Offプロモーター)、ステロイド調節プロモーター(たとえば、ラットのグルココルチコイド受容体、エストロゲン受容体のプロモーター、またはエクジソン受容体のプロモーター)、または金属調節プロモーター(たとえば、メタロプロテイン受容体)が挙げられる。物理的に調節されるプロモーターには、たとえば、温度で調節されるプロモーター(たとえば、熱ショックプロモーター)及び光で調節されるプロモーター(たとえば、光誘導性のプロモーター、または光抑制性プロモーター)が挙げられる。
【0077】
組織特異的なプロモーターは、たとえば、ニューロン特異的なプロモーター、グリア特異的なプロモーター、筋肉細胞特異的なプロモーター、心臓細胞特異的なプロモーター、腎臓細胞特異的なプロモーター、骨細胞特異的なプロモーター、内皮細胞特異的なプロモーター、または免疫細胞特異的なプロモーター(たとえば、B細胞プロモーターまたはT細胞プロモーター)であることができる。
【0078】
発生上調節されるプロモーターには、たとえば、発生の胚形成期の間のみ、または成人細胞でのみ活性があるプロモーターが挙げられる。
開示されている遺伝子変異型を含む核酸配列及び調節配列に加えて、組換え発現ベクターは、追加の配列、たとえば、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(たとえば、複製開始点)及び選択可能なマーカー遺伝子を保有することができる。選択可能なマーカー遺伝子はベクターが導入されている宿主細胞の選択を助けることができる(たとえば、米国特許4,399,216;4,634,665;及び5,179,017を参照のこと)。たとえば、選択可能なマーカー遺伝子はベクターが導入されている宿主細胞にて、たとえば、G418、ハイグロマイシンまたはメソトレキセートのような薬剤に対する耐性を付与することができる。例となる選択可能なマーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(メソトレキセート選択/増幅によりdhfr-宿主細胞で使用するための)、ネオ遺伝子(G418選択のために)、及びグルタミン酸合成酵素(GS)遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
追加のベクターは、たとえば、全体が参照によって本明細書に組み入れられる2016年7月28日に出願された米国仮特許出願番号62/367,973に記載されている。
本開示はまた、本明細書で開示されている単離された核酸分子、ゲノムDNA分子、cDNA分子またはmRNA分子の1以上を含む組成物も提供する。一部の実施形態では、組成物は医薬組成物である。
【0080】
本開示はまた、変異型SIGIRRポリペプチドも提供する。一部の実施形態では、変異型SIGIRRポリペプチドは切り詰められる。一部の実施形態では、変異型SIGIRRポリペプチドは配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められる。一部の実施形態では、変異型SIGIRRポリペプチドは配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められ、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含む。一部の実施形態では、変異型SIGIRRポリペプチドは配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められ、且つ配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて複数のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、変異型SIGIRRポリペプチドは配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められ、且つ配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて以下のアミノ酸配列、Ser-Arg-Ser-Trp-Ser-Gly-Val-Gly-Ala-Thr-Ser-Ser-Ser-Trp-Thr-Thr-Ala-Thr-Ser-Cys-Arg-Ala-Leu-Ser-Pro-Pro-Pro-Thr-Ser-Trp(配列番号11)を含む。一部の実施形態では、変異型SIGIRRポリペプチドは配列番号9に係るアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、変異型SIGIRRポリペプチドは配列番号9に係るアミノ酸配列を含む、またはそれから成る。一部の実施形態では、切り詰められたSIGIRRタンパク質は配列番号9に係るアミノ酸配列、または配列番号9に対して少なくとも90%の配列同一性を有し、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むアミノ酸配列を含む、またはそれから成る。
【0081】
本開示はまた、本明細書で開示されているポリペプチドのいずれかの断片も提供する。一部の実施形態では、断片は、コードされているポリペプチド(たとえば、配列番号9のアミノ酸配列を有するポリペプチド)の少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約150、または少なくとも約200の連続するアミノ酸残基を含む。この点で、長い断片が短いものより好ましい。一部の実施形態では、断片はコードされているポリペプチドの少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、または少なくとも約100の連続するアミノ酸残基を含む。この点で、長い断片が短いものより好ましい。
【0082】
本開示はまた、本明細書で開示されているポリペプチドのいずれかから選択される、変異型SIGIRRポリペプチドを含む単離されたポリペプチドを含む二量体も提供する。
一部の実施形態では、本明細書で開示されている単離されたポリペプチドは異種ポリペプチドまたは異種分子または標識に連結され、または融合され、その多数の例は本明細書の別の部分で開示されている。たとえば、タンパク質は高い安定性または低い安定性を提供する異種ポリペプチドに融合することができる。融合されたドメインまたは異種ポリペプチドはポリペプチドのN末端、C末端またはポリペプチド内の内部に位置することができる。融合相手は、たとえば、Tヘルパーエピトープを提供するのを助けてもよく(免疫的融合相手)、またはネイティブの組換えポリペプチドよりも高い収率でタンパク質を発現するのを助けてもよい(発現増強剤)。ある特定の融合相手は免疫的融合相手及び発現増強融合相手の双方である。他の融合相手を選択してポリペプチドの溶解性を高めてもよく、または細胞内の所望の区画にポリペプチドを向けるのを促してもよい。一部の融合相手には、ポリペプチドの精製を円滑にする親和性タグが含まれる。
【0083】
一部の実施形態では、融合タンパク質は異種分子に直接融合される、またはペプチドリンカーのようなリンカーを介して異種分子に連結される。好適なリンカー配列は、たとえば、以下の要因に基づいて選択されてもよい:(1)柔軟性の拡張する構成を採用する能力;(2)第1及び第2のポリペプチドにおける機能的なエピトープと相互作用し得る二次構造を採用することに対する抵抗性;及び(3)ポリペプチドの機能的なエピトープと反応し得る疎水性残基または荷電残基の欠如。たとえば、ペプチドリンカー配列はGly、Asn及びSerの残基を含有してもよい。たとえば、Thr及びAlaのような他の中性に近いアミノ酸もリンカー配列で使用されてもよい。リンカーとして有用に採用されてもよいアミノ酸配列には、たとえば、Maratea et al.,Gene,1985,40,39-46;Murphy,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1986,83,8258-8262;及び米国特許4,935,233及び4,751,180で開示されているものが挙げられる。リンカー配列は一般に、たとえば、長さ1~約50のアミノ酸であってもよい。第1及び第2のポリペプチドが、機能的なドメインを分離し、立体干渉を阻止するのに使用することができる非必須のN末端アミノ酸領域を有する場合、リンカー配列は一般に必要とされない。
【0084】
一部の実施形態では、ポリペプチドは細胞膜透過性ドメインに操作可能に連結される。たとえば、細胞膜透過性ドメインはHIV-1 TATタンパク質、ヒトB型肝炎ウイルス由来のTLM細胞膜透過性モチーフ、MPG、Pep-1、VP22、単純ヘルペスウイルス由来の細胞膜透過性ペプチド、またはポリアルギニンペプチド配列から得ることができる。たとえば、WO2014/089290を参照のこと。細胞膜透過性ドメインは、タンパク質のN末端、C末端、またはタンパク質内のどこでも位置することができる。
【0085】
一部の実施形態では、ポリペプチドは追跡または精製の容易さのために異種ポリペプチド、たとえば、蛍光タンパク質、精製タグまたはエピトープタグに操作可能に連結される。蛍光タンパク質の例には、緑色蛍光タンパク質(たとえば、GFP、GFP-2、タグGFP、ターボGFP、eGFP、Emerald、Azami Green、単量体Azami Green、CopGFP、AceGFP、ZsGreenl)、黄色蛍光タンパク質(たとえば、YFP、eYFP、Citrine、Venus、YPet、PhiYFP、ZsYellowl)、青色蛍光タンパク質(たとえば、eBFP、eBFP2、Azurite、mKalamal、GFPuv、Sapphire、T-sapphire)、シアン蛍光タンパク質(たとえば、eCFP、Cerulean、CyPet、AmCyanl、Midoriishi-Cyan)、赤色蛍光タンパク質(たとえば、mKate、mKate2、mPlum、DsRed単量体、mCherry、mRFP1、DsRed-Express、DsRed2、DsRed-単量体、HcRed-Tandem、HcRedl、AsRed2、eqFP611、mRaspberry、mStrawberry、Jred)、橙色蛍光タンパク質(たとえば、mOrange、mKO、Kusabira-Orange、単量体Kusabira-Orange、mTangerine、tdTomato)、及び任意の他の好適な蛍光タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。タグの例には、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質、チオレドキシン(TRX)、ポリ(NANP)、タンデムアフィニティ精製(TAP)タグ、myc、AcV5、AU1、AU5、E、ECS、E2、FLAG、血球凝集素(HA)、nus、Softag1、Softag3、Strep、SBP、Glu-Glu、HSV、KT3、S、S1、T7、V5、VSV-G、ヒスチジン(His)、ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質(BCCP)、及びカルモジュリンが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、異種分子は免疫グロブリンFcドメイン、ペプチドタグ、形質導入ドメイン、ポリ(エチレングリコール)、ポリシアル酸、またはグリコール酸である。
【0086】
一部の実施形態では、単離されたポリペプチドは非天然のまたは修飾されたアミノ酸またはペプチドの類似体を含む。たとえば、D-アミノ酸または天然に存在するアミノ酸とは異なる機能性置換基を有するアミノ酸が多数存在する。天然に存在するペプチドの対向する立体異性体、ならびにペプチド類似体の立体異性体が開示されている。最適なアミノ酸をtRNA分子に委ね、たとえば、アンバーコドンを利用して部位特異的な方法で類似体のアミノ酸をペプチド鎖に挿入する遺伝子構築物を操作することによって、これらのアミノ酸をポリペプチド鎖に容易に組み込むことができる。
【0087】
一部の実施形態では、単離されたポリペプチドは、ペプチド模倣体であり、これらはペプチドに類似するように作ることができるが、天然のペプチド結合を介して接続されない。たとえば、アミノ酸またはアミノ酸類似体のための結合には、-CHNH-、-CHS-、-CH-、-CH=CH-(シス及びトランス)、-COCH-、-CH(OH)CH-、及び-CHHSO-が挙げられるが、これらに限定されない。ペプチド類似体は、たとえばb-アラニン、g-アミノ酪酸等のような結合原子間で1を超える原子を有することができる。アミノ酸類似体及びペプチド類似体は、増強された特性または望ましい特性、たとえば、さらに経済的な製造、さらに大きな化学的安定性、増強された薬理学的特性(半減期、吸収、効力、有効性、等)、変化した特異性(たとえば、生物活性の広いスペクトル)、低下した抗原性、及び他の望ましい特性を有することが多い。
【0088】
一部の実施形態では、単離されたポリペプチドはD-アミノ酸を含み、D-アミノ酸はペプチダーゼによって認識されないので、さらに安定したペプチドを生成するのにそれを使用することができる。コンセンサス配列の1以上のアミノ酸を同じ種類のD-アミノ酸(例えば、L-リシンの代わりにD-リシン)で系統的に置換することを用いてさらに安定なペプチドを生成することができる。システイン残基を用いて2以上のペプチドを一緒に環化するまたは連結することができる。これはペプチドを特定の構造に制約するのに有益である(たとえば、Rizo及びGierasch,Ann.Rev.Biochem.,1992,61,387を参照のこと)。
【0089】
本開示はまた、本明細書で開示されているポリペプチドのいずれかをコードする核酸分子も提供する。これには、特定のポリペプチドに関する縮重配列すべて(特定のポリペプチド1つをコードする配列を有する核酸すべて、ならびにタンパク質配列の開示されている変異型及び誘導体をコードする縮重核酸を含む核酸すべて)が含まれる。従って、各特定の核酸配列が本明細書で列挙していないかもしれないが、各配列及びあらゆる配列が開示されているポリペプチド配列を介して実際、本明細書で開示され、記載されている。
【0090】
核酸内の核酸配列またはポリペプチド内のアミノ酸配列の特定の区間の間での同一性パーセント(または相補性パーセント)は、BLASTプログラム(基礎的な局所配列比較検索ツール)及びPowerBLASTプログラム(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,1990,215,403-410;Zhang及びMadden,Genome Res.,1997,7,649-656)を用いて、またはSmith及びWaterman(Adv.Appl.Math.,1981,2,482-489)のアルゴリズムを使用する初期設定を用いたGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix,Genetics Computer Group,University Research Park,Madison Wis.)を使用することによって日常的に決定することができる。本明細書では、配列同一性パーセントが言及される場合、配列同一性の高いパーセントが低いものより好ましい。
【0091】
本開示はまた、本明細書で開示されている核酸分子の1以上及び/またはポリペプチドの1以上と、担体及び/または賦形剤とを含む組成物も提供する。一部の実施形態では、担体は核酸分子及び/またはポリペプチドの安定性を高める(たとえば、保存の所与の条件下(たとえば、-20℃、4℃または常温)で分解産物が閾値を下回る、たとえば、出発核酸もしくは出発タンパク質の0.5重量%を下回ったままである期間を延長する、または生体内での安定性を高める)。担体の例には、ポリ(乳酸)(PLA)ミクロスフェア、ポリ(D,L-乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)ミクロスフェア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質コクリエート及び脂質微小管が挙げられるが、これらに限定されない。担体は、たとえば、PBS、HBSS、等のような緩衝化塩溶液を含んでもよい。
【0092】
本開示はまた、本明細書で開示されているポリペプチドまたはその断片を製造する方法も提供する。そのようなポリペプチドまたはその断片は好適な方法によって製造することができる。たとえば、ポリペプチドまたはその断片は、そのようなポリペプチドまたはその断片をコードする核酸分子(たとえば、組換え発現ベクター)を含む宿主細胞から製造することができる。そのような方法は、ポリペプチドまたはその断片を製造するのに十分な条件下でポリペプチドまたはその断片をコードする核酸分子(たとえば、組換え発現ベクター)を含む宿主細胞を培養し、それによってポリペプチドまたはその断片を産生させることを含む。核酸は宿主細胞で活性があるプロモーターに操作可能に連結することができ、培養はそれによって核酸が発現される条件下で実施することができる。そのような方法はさらに、発現されたポリペプチドまたはその断片を回収することを含むことができる。回収することはポリペプチドまたはその断片を精製することをさらに含むことができる。
【0093】
タンパク質発現のための好適な系の例には、宿主細胞、たとえば、細菌細胞発現系(たとえば、Escherichia coli、Lactococcus lactis)、酵母細胞発現系(たとえば、Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris)、昆虫細胞発現系(たとえば、バキュロウイルスが介在するタンパク質発現)及び哺乳類細胞発現系が挙げられる。
【0094】
ポリペプチドまたはその断片をコードする核酸分子の例は本明細書の別の部分でさらに詳細に開示されている。一部の実施形態では、核酸分子は宿主細胞での発現についてコドンで最適化される。一部の実施形態では、核酸分子は宿主細胞にて活性があるプロモーターに操作可能に連結される。プロモーターは異種プロモーター(天然に存在するプロモーターではないプロモーター)であることができる。Escherichia coliにとって好適なプロモーターの例には、アラビノースプロモーター、lacプロモーター、tacプロモーター及びT7プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。Lactococcus lactisにとって好適なプロモーターの例には、P170プロモーター及びナイシンプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。Saccharomyces cerevisiaeにとって好適なプロモーターの例には、たとえば、アルコール脱水素酵素(ADHI)もしくはエノラーゼ(ENO)のプロモーターのような構成的なプロモーター、または、たとえば、PHO、CUP1、GAL1及びG10のような誘導性のプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。Pichia pastorisにとって好適なプロモーターの例には、アルコールオキシダーゼI(AOXI)のプロモーター、グリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素(GAP)のプロモーター、及びグルタチオン依存性ホルムアルデヒド脱水素酵素(FLDI)のプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。バキュロウイルス介在系にとって好適なプロモーターの例は、後期ウイルス強力ポリヘドリンのプロモーターである。
【0095】
一部の実施形態では、核酸分子はポリペプチドまたはその断片と共にインフレームでタグをコードしてタンパク質精製を助ける。タグの例は本明細書の別の部分で開示されている。そのようなタグは、たとえば、タグ付けされたタンパク質が他のタンパク質(たとえば、宿主細胞のタンパク質)から単離され得るように(たとえば、樹脂上に不動化された)相手リガンドに結合することができる。アフィニティークロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は発現されたタンパク質の純度を改善するのに使用することができる方法の例である。
【0096】
他の方法を用いてポリペプチドまたはその断片を製造することもできる。たとえば、タンパク質化学の技法によって2以上のペプチドまたはポリペプチドを一緒に連結することができる。たとえば、Fmoc(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)またはBoc(tert-ブチルオキシカルボニル)の化学的性質を用いてペプチドまたはポリペプチドを化学的に合成することができる。そのようなペプチドまたはポリペプチドは標準の化学反応によって合成することができる。たとえば、ペプチドまたはポリペプチドが合成され、その合成樹脂から切断できないのに対して、ペプチドまたはタンパク質の他の断片は合成され、その後、樹脂から切断することができ、それによって、他の断片で機能的に遮断されている末端基を曝露する。ペプチド縮合反応によって、これら2つの断片をそれぞれそのカルボキシル末端及びアミノ末端にてペプチド結合を介して共有結合することができる。あるいは、ペプチドまたはポリペプチドは本明細書に記載されているように生体内で独立して合成することができる。いったん単離されると、これらの独立したペプチドまたはポリペプチドは類似のペプチド縮合反応を介して連結されてペプチドまたはその断片を形成し得る。
【0097】
一部の実施形態では、クローニングしたまたは合成のペプチドセグメントの酵素的ライゲーションは、相対的に短いペプチド断片が連結されてさらに大きなペプチド断片、ポリペプチド、またはタンパク質全体のドメインを作り出せるようにする(Abrahmsen et al.,Biochemistry,1991,30,4151)。あるいは、合成ペプチドの天然の化学的ライゲーションを利用して短いペプチド断片から大きいペプチドまたはポリペプチドを合成で構築することができる。この方法は2ステップの化学反応から成り得る(Dawson et al.,Science,1994,266,776-779)。最初のステップは、最初の共有結合生成物としてチオエステル連結の中間体を得るための保護されていない合成ペプチド-チオエステルのアミノ末端Cys残基を含有する別の保護されていないペプチドセグメントとの化学選択反応であることができる。反応条件を変えないで、この中間体は自然発生する迅速な分子内反応を受けてライゲーション部位で天然のペプチド結合を形成することができる。
【0098】
一部の実施形態では、保護されていないペプチドセグメントを化学的に連結することができ、その際、化学的ライゲーションの結果としてペプチドセグメント間で形成される結合は非天然の(非ペプチド)結合である(Schnolzer et al.,Science,1992,256,221)。
【0099】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、たとえば、グリコシル化、アセチル化及びリン酸化のような発現後修飾、ならびに天然に存在する及び天然に存在しないの双方での当該技術で既知の他の修飾を持つことができる。ポリペプチドはタンパク質全体またはその部分配列であってもよい。
【0100】
本開示はまた、本明細書で開示されているポリペプチドの1以上をコードすることができるポリヌクレオチドを含む核酸分子またはその相補体を含む組換え発現ベクターを含む宿主細胞を培養し、それによってポリペプチドを産生させることを含む、本明細書で開示されているポリペプチドのいずれかを製造する方法も提供する。
【0101】
本開示はまた、本明細書で開示されている核酸分子を含むベクターを含む核酸分子のいずれか1以上及び/または本明細書で開示されているポリペプチドのいずれか1以上を含む細胞(たとえば、組換え宿主細胞)も提供する。細胞は試験管内、生体外または生体内にあることができる。核酸分子はプロモーター及び他の調節配列に連結することができる、それにより、それらが発現されてコードされたタンパク質を生じる。そのような細胞の細胞株がさらに提供される。
【0102】
一部の実施形態では、細胞は分化全能細胞または多能性細胞(たとえば、胚性幹(ES)細胞、たとえば、齧歯類のES細胞、マウスのES細胞またはラットのES細胞)である。分化全能細胞はどんな細胞型も生じることができる未分化の細胞を含み、多能性細胞は1を超える分化した細胞型に発生する能力を持つ未分化の細胞を含む。そのような多能性細胞及び/または分化全能細胞は、たとえば、ES細胞、またはES様細胞、たとえば、人工多能性幹(iPS)細胞であることができる。ES細胞には、胚に導入された際、発生している胚のどんな組織にも寄与することができる、胚に由来する分化全能性細胞または多能性細胞が挙げられる。ES細胞は胚盤胞の内部細胞塊から得ることができ、3つの脊椎動物胚葉(内胚葉、外胚葉及び中胚葉)のいずれかの細胞に分化することが可能である。本開示によれば、胚性幹細胞は非ヒト胚性幹細胞であってもよい。
【0103】
一部の実施形態では、細胞は初代体細胞である、または初代体細胞ではない細胞である。体細胞には、配偶子、生殖細胞、母細胞、または未分化の幹細胞ではない任意の細胞を挙げることができる。一部の実施形態では、細胞は初代細胞であることもできる。初代細胞には、生物、臓器または組織から直接単離されている細胞または細胞の培養物が挙げられる。初代細胞は形質転換されず、不死でもない細胞を含む。初代細胞は、組織培養で以前継代されなかった、または組織培養で以前継代されたことがあるが、組織培養で無限に継代できない生物、臓器または組織から得られる任意の細胞を含む。そのような細胞は従来の技法によって単離することができ、それらには、たとえば、体細胞、造血細胞、内皮細胞、上皮細胞、繊維芽細胞、間葉細胞、角化細胞、メラニン細胞、単球、単核細胞、脂肪細胞、前脂肪細胞、ニューロン、グリア細胞、肝細胞、骨格筋芽細胞、及び平滑筋細胞が挙げられる。たとえば、初代細胞は結合組織、筋組織、神経系組織または上皮組織から得ることができる。
【0104】
一部の実施形態では、細胞は、普通は無限に増殖し得ないが、突然変異または変異に起因して正常な細胞老化を回避している場合があり、代わりに細胞分裂を繰り返し受け続けることができる。そのような突然変異または変異は自然に発生することができ、または意図的に誘導することができる。不死化細胞の例には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚性腎臓細胞(たとえば、HEK293細胞)、及びマウス胚性線維芽細胞(たとえば、3T3細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。多数の種類の不死化細胞が周知である。不死化細胞または初代細胞には、組換えの遺伝子またはタンパク質を培養するために、または発現させるために通常使用される細胞が挙げられる。一部の実施形態では、細胞は、たとえば、肝臓細胞(たとえば、ヒト肝臓細胞)のような分化した細胞である。
【0105】
細胞はどんな供給源に由来することもできる。たとえば、細胞は真核細胞、動物細胞、植物細胞または真菌(たとえば、酵母)細胞であることができる。そのような細胞は魚細胞または鳥細胞であることができ、またはそのような細胞は、たとえば、ヒト細胞、非ヒト哺乳類細胞、齧歯類細胞、マウス細胞またはラット細胞のような哺乳類細胞であることができる。哺乳類には、ヒト、非ヒト霊長類、サル、類人猿、ネコ、イヌ、ウマ、オスウシ、シカ、野牛、ヒツジ、齧歯類(たとえば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット)、家畜(たとえば、乳牛、去勢オス牛のようなウシ種;羊、山羊等のようなヒツジ種;ならびに豚及びオス豚のようなブタ種)が挙げられるが、これらに限定されない。鳥類には、ニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ、ガチョウ、アヒル、等が挙げられるが、これらに限定されない。家畜化された動物及び農業用動物も含まれる。「非ヒト動物」という用語はヒトを除外する。
【0106】
追加の宿主細胞は、たとえば、全体が参照によって本明細書に組み入れられる米国特許出願公開番号US2018/0030114に記載されている。
本明細書で開示されている核酸分子及びポリペプチドは任意の手段によって細胞に導入することができる。形質移入のプロトコール、ならびに細胞に核酸またはタンパク質を導入するためのプロトコールは様々であり得る。非限定の形質移入法には、リポソーム、ナノ粒子、カルシウム、デンドリマー、及びたとえば、DEAE-デキストランまたはポリエチレンイミンのようなカチオン性ポリマーを用いた化学作用に基づいた形質移入法が挙げられる。非化学的方法には、エレクトロポレーション、ソノポレーション、及び光学形質移入が挙げられる。粒子に基づく形質移入には、遺伝子銃の使用、または磁石支援の形質移入が挙げられる。形質移入にはウイルス法も使用することができる。
【0107】
核酸またはタンパク質の細胞への導入は、エレクトロポレーション、細胞質内注入、ウイルス感染、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、形質移入、脂質介在性の形質移入、またはヌクレオフェクションを介して行うこともできる。ヌクレオフェクションは、核酸基質が細胞質だけでなく、核膜を介して及び核に送達されるのを可能にする改善されたエレクトロポレーション法である。加えて、本明細書で開示されている方法におけるヌクレオフェクションの使用は通常、普通のエレクトロポレーションよりもはるかに少ない細胞しか必要としない(たとえば、普通のエレクトロポレーションによる700万個と比べて約200万個のみ)。一部の実施形態では、ヌクレオフェクションはLONZA(登録商標)NUCLEOFECTOR(商標)システムを用いて実施される。
【0108】
核酸またはタンパク質の細胞への導入は微量注入によっても達成することができる。mRNAの微量注入は普通、細胞質の中に注入する(たとえば、mRNAを翻訳装置に直接送達する)が、タンパク質またはDNAの微量注入は普通、核の中に注入する。あるいは、微量注入は核及び細胞質双方の中への注入によって実施することができる。すなわち針を先ず核に導入することができ、第1の量を注入し、針を核から取り出しながら、第2の量を細胞質に注入することができる。ヌクレアーゼ剤タンパク質が細胞質に注入される場合、タンパク質は核局在シグナルを含んで核/前核への送達を確保してもよい。
【0109】
核酸またはタンパク質を細胞に導入する他の方法には、たとえば、ベクター送達、粒子介在送達、エクソーム介在送達、脂質・ナノ粒子介在送達、細胞膜透過性ペプチド介在送達、または埋め込み可能な装置が介在する送達を挙げることができる。核酸またはタンパク質を対象に投与して生体内で細胞を修飾する方法は本明細書の別の部分で開示されている。核酸及びタンパク質の細胞への導入は流体力学的送達(HDD)によっても達成することができる。
【0110】
核酸またはタンパク質を細胞に導入する他の方法には、たとえば、ベクター送達、粒子介在送達、エクソーム介在送達、脂質・ナノ粒子介在送達、細胞膜透過性ペプチド介在送達、または埋め込み可能な装置が介在する送達を挙げることができる。一部の実施形態では、核酸またはタンパク質は、担体、たとえば、ポリ(乳酸)(PLA)ミクロスフェア、ポリ(D,L-乳酸-co-グリコール酸)ミクロスフェア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質コクリエートまたは脂質微小管にて細胞に導入することができる。
【0111】
本開示はまた、プローブ及びプライマーも提供する。プローブ及びプライマーの例は、たとえば、上記に記載されている。本開示は、本明細書で開示されている核酸分子のいずれかと特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含むプローブ及びプライマーを提供する。たとえば、プローブまたはプライマーは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められる変異型SIGIRRタンパク質をコードする本明細書に記載されている核酸分子のいずれかとハイブリッド形成する、またはその核酸分子の相補体とハイブリッド形成する核酸配列を含んでもよい。一部の実施形態では、プローブまたはプライマーは、配列番号9に係る変異型SIGIRRタンパク質をコードする核酸分子とハイブリッド形成する、またはこの核酸分子の相補体とハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、プローブまたはプライマーは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められる、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含む変異型SIGIRRポリペプチドをコードする核酸分子とハイブリッド形成する、またはこの核酸分子の相補体とハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、プローブまたはプライマーは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められる、且つ配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて複数のアミノ酸を含む変異型SIGIRRポリペプチドをコードする核酸分子とハイブリッド形成する、またはこの核酸分子の相補体とハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、プローブまたはプライマーは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められる、且つ配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて以下のアミノ酸配列、Ser-Arg-Ser-Trp-Ser-Gly-Val-Gly-Ala-Thr-Ser-Ser-Ser-Trp-Thr-Thr-Ala-Thr-Ser-Cys-Arg-Ala-Leu-Ser-Pro-Pro-Pro-Thr-Ser-Trp(配列番号11)を含む変異型SIGIRRポリペプチドをコードする核酸分子とハイブリッド形成する、またはこの核酸分子の相補体とハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、プローブまたはプライマーは、配列番号9に係るアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する変異型SIGIRRポリペプチドをコードする核酸分子とハイブリッド形成する、またはこの核酸分子の相補体とハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、プローブまたはプライマーは、配列番号9に係るアミノ酸配列を含む、またはそれから成る変異型SIGIRRポリペプチドをコードする核酸分子とハイブリッド形成する、またはこの核酸分子の相補体とハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、プローブまたはプライマーは、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを包含する核酸分子の一部と特異的にハイブリッド形成する。
【0112】
プローブまたはプライマーは任意の好適な長さを含んでもよく、その非限定例には、少なくとも約5、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、または少なくとも約25のヌクレオチド長が挙げられる。好ましい実施形態では、プローブまたはプライマーは少なくとも約18ヌクレオチド長を含む。プローブまたはプライマーは、約10~約35、約10~約30、約10~約25、約12~約30、約12~約28、約12~約24、約15~約30、約15~約25、約18~約30、約18~約25、約18~約24、または約18~約22のヌクレオチド長を含んでもよい。好まれる実施形態では、プローブまたはプライマーは約18~約30のヌクレオチド長である。
【0113】
本開示はまた、変異特異的なプローブ及び変異特異的なプライマーも提供する。変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められる変異型SIGIRRタンパク質をコードする核酸配列と、またはその相補体と相補性である及び/またはハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。本開示の文脈では、「特異的にハイブリッド形成する」は、プローブまたはプライマー(たとえば、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマー)が野生型SIGIRRタンパク質をコードする核酸分子とハイブリッド形成しないことを意味する。一部の実施形態では、変異特異的なプローブは配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードする核酸コドンと、またはその相補体と特異的にハイブリッド形成する。一部の実施形態では、変異特異的なプライマーまたはプライマー対は、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンがそれから作り出される転写物内に包含されるように、変異型SIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の領域(複数可)と特異的にハイブリッド形成する。一部の実施形態では、プローブまたはプライマーは、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを包含する核酸分子の一部と特異的にハイブリッド形成する。
【0114】
一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、変異型SIGIRRタンパク質をコードする核酸配列と、またはその相補体と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含み、タンパク質は配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰めを含む。
【0115】
一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた変異型SIGIRRタンパク質をコードするゲノムDNA分子と、またはその相補体と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含む変異型SIGIRRタンパク質をコードするゲノムDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて以下のアミノ酸配列、Ser-Arg-Ser-Trp-Ser-Gly-Val-Gly-Ala-Thr-Ser-Ser-Ser-Trp-Thr-Thr-Ala-Thr-Ser-Cys-Arg-Ala-Leu-Ser-Pro-Pro-Pro-Thr-Ser-Trp(配列番号11)を含む変異型SIGIRRタンパク質をコードするゲノムDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードするゲノムDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードするゲノムDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、プローブまたはプライマーは、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを包含するゲノムDNAの一部と特異的にハイブリッド形成する。
【0116】
一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号2に係る9962位に相当する位置にてグアニンを含む核酸配列を含む、またはそれから成るゲノムDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号2に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含む、またはそれから成るゲノムDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号2に係る核酸配列を含む、またはそれから成るゲノムDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。
【0117】
一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた変異型SIGIRRタンパク質をコードするmRNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含む変異型SIGIRRタンパク質をコードするmRNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて以下のアミノ酸配列、Ser-Arg-Ser-Trp-Ser-Gly-Val-Gly-Ala-Thr-Ser-Ser-Ser-Trp-Thr-Thr-Ala-Thr-Ser-Cys-Arg-Ala-Leu-Ser-Pro-Pro-Pro-Thr-Ser-Trp(配列番号11)を含む変異型SIGIRRタンパク質をコードするmRNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードするmRNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードするmRNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、プローブまたはプライマーは、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを包含するmRNA分子の一部と特異的にハイブリッド形成する。
【0118】
一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号4に係る557位に相当する位置にてグアニンを含む核酸配列を含む、またはそれから成るmRNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号4に係る553位~555位及び556位~558位に相当する位置にてそれぞれコドンCUA及びAGCを含むmRNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号4に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含む、またはそれから成るmRNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号4に係る核酸配列を含む、またはそれから成るmRNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。
【0119】
一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた変異型SIGIRRタンパク質をコードするcDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含む変異型SIGIRRタンパク質をコードするcDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて以下のアミノ酸配列、Ser-Arg-Ser-Trp-Ser-Gly-Val-Gly-Ala-Thr-Ser-Ser-Ser-Trp-Thr-Thr-Ala-Thr-Ser-Cys-Arg-Ala-Leu-Ser-Pro-Pro-Pro-Thr-Ser-Trp(配列番号11)を含む変異型SIGIRRタンパク質をコードするcDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードするcDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号9を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードするcDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、プローブまたはプライマーは、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを包含するcDNA分子の一部と特異的にハイブリッド形成する。
【0120】
一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号6に係る557位に相当する位置にてグアニンを含む核酸配列を含む、またはそれから成るcDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号6に係る553位~555位及び556位~558位に相当する位置にてそれぞれコドンCUA及びAGCを含むcDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号6に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含む、またはそれから成るcDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーは、配列番号6に係る核酸配列を含む、またはそれから成るcDNA分子と相補性である及び/またはそれとハイブリッド形成するまたは特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。
【0121】
本開示のプローブまたはプライマーに関して上記に記載されている長さは本開示の変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーにも必要な変更を加えて適用される。
本開示はまた、上記に記載されているような変異特異的なプライマーの2つを含む変異特異的なプライマーの対も提供する。
【0122】
一部の実施形態では、プローブまたはプライマー(たとえば、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマー)はDNAを含む。一部の実施形態では、プローブまたはプライマー(たとえば、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマー)はRNAを含む。一部の実施形態では、プローブまたはプライマー(たとえば、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマー)は、たとえば、高ストリンジェントな条件のようなストリンジェントな条件下で変異型SIGIRRタンパク質をコードする核酸配列とハイブリッド形成する。
【0123】
一部の実施形態では、プローブは標識を含む。一部の実施形態では、標識は蛍光標識、放射性標識、またはビオチンである。一部の実施形態では、プローブの長さは上記に記載されている。あるいは、一部の実施形態では、プローブは、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、または少なくとも約100のヌクレオチドを含む、またはそれから成る。プローブ(たとえば、対立遺伝子特異的なプローブ)は、たとえば、本明細書で開示されている核酸分子のいずれかを検出するのに使用されてもよい。好まれる実施形態では、プローブは長さ少なくとも約18のヌクレオチドを含む。プローブは、長さ約10~約35、約10~約30、約10~約25、約12~約30、約12~約28、約12~約24、約15~約30、約15~約25、約18~約30、約18~約25、約18~約24、または約18~約22のヌクレオチドを含んでもよい。好ましい実施形態では、プローブは長さ約18~約30のヌクレオチドである。
【0124】
本開示はまた、本明細書で開示されているプローブのいずれか1以上が連結される基材を含む支持体も提供する。固体支持体は、たとえば、本明細書で開示されているプローブのいずれかような分子が会合することができる固体状態の基材または支持体である。固体支持体の一形態はアレイである。固体支持体の別の形態はアレイ検出器である。アレイ検出器は複数の異なるプローブがアレイ、格子または他の組織化されたパターンで連結されている固体支持体である。
【0125】
固体支持体で使用するための固体状態の基材には、分子を連結することができる固体物質を挙げることができる。これには、たとえば、アクリルアミド、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)、フルオロカーボン、ナイロン、シリコンゴム、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルソエステル、ポリプロピルフメレート、コラーゲン、グリコサミノグリカン及びポリアミノ酸のような物質が挙げられる。固体状態の基材は、薄膜、膜、ビン、皿、繊維、織り繊維、成形ポリマー、粒子、ビーズ、微粒子または組み合わせを含む任意の有用な形態を有することができる。固体状態の基材及び固体の支持体は多孔性または非多孔性であることができる。固体状態の基材の一形態は、たとえば、標準の96穴型のようなマイクロタイターディッシュである。一部の実施形態では、通常ウェル当たりアレイ1つを含有するマルチウェルのガラススライドを採用することができる。この特長は、アッセイ再現性のさらに大きな制御、高いスループット及び試料取り扱い、ならびに自動化の容易さを可能にする。一部の実施形態では、支持体はマイクロアレイである。
【0126】
本明細書で開示されているポリペプチドのいずれも1以上の置換(たとえば、保存的なアミノ酸置換)、挿入または欠失をさらに有することができる。挿入には、たとえば、アミノ末端またはカルボキシル末端の融合、ならびに単一のまたは複数のアミノ酸残基の配列内挿入が挙げられる。既知の配列を有するDNAにて所定の部位で置換を行う技法は周知であり、たとえば、M13プライマー変異誘発及びPCR変異誘発である。アミノ酸置換は通常、単一残基であるが、同時に多数の異なる位置で生じることができ、挿入は普通、約1~10アミノ酸残基の桁であろうし、欠失は約1から30残基に及ぶであろう。欠失または挿入は隣接する対で行うことができ、すなわち、2つの残基の欠失または2つの残基の挿入である。置換、欠失、挿入またはそれらの組み合わせを組み合わせて最終構築物に達してもよい。一部の実施形態では、突然変異は配列をリーディングフレームの外に配置せず、二次mRNA構造を生じ得る相補性領域を作り出さない。
【0127】
本開示はまた、組成物を作り、本明細書に記載されている方法を利用するためのキットも提供する。本明細書に記載されているキットは対象の試料にて1以上の遺伝子変異型を検出するためのアッセイ(単数)またはアッセイ(複数)を含むことができる。
【0128】
一部の実施形態では、SIGIRR変異型のヒトでの同定用のキットは上記に記載されている組成物及び方法を利用する。一部の実施形態では、基本的キットは、本明細書で開示されている核酸分子(たとえば、配列番号2、配列番号4、及び/または配列番号6)のいずれかにおける遺伝子座についての少なくとも一対のオリゴヌクレオチドのプライマーまたはプローブ、たとえば、変異特異的なプローブまたは変異特異的なプライマーを有する容器を含むことができる。キットはまた、任意で使用のための説明書も含むことができる。キットはまた、他の任意のキット成分、たとえば、増幅される遺伝子座のそれぞれに向けられた対立遺伝子ラダー、増幅用の十分な量の酵素、増幅を助けるための増幅緩衝液、酵素活性を促進するための二価カチオンの溶液、増幅中の鎖の伸長のためのdNTP、増幅した物質の電気泳動用の調製のための負荷溶液、鋳型対照としてのゲノムDNA、分離媒体にて物質が予想どおりに移動するのを確保するためのサイズマーカー、及びユーザーに情報を与え、使用中の誤りを限定するためのプロトコールやマニュアルの1以上も含むことができる。キットにおける種々の試薬の量は、たとえば、処理の最適感度のような多数の要因に応じて変化し得る。手動適用で使用するための検査キットまたは自動化された試料調製、反応の設定、検出器または分析器で使用するための検査キットを提供することはこれらの教示の範囲内にある。
【0129】
一部の実施形態では、キットは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた変異型SIGIRRタンパク質をコードするゲノムDNA分子またはその相補体の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)、または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含む変異型SIGIRRタンパク質をコードするゲノムDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)、または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて以下のアミノ酸配列、Ser-Arg-Ser-Trp-Ser-Gly-Val-Gly-Ala-Thr-Ser-Ser-Ser-Trp-Thr-Thr-Ala-Thr-Ser-Cys-Arg-Ala-Leu-Ser-Pro-Pro-Pro-Thr-Ser-Trp(配列番号11)を含む変異型SIGIRRタンパク質をコードするゲノムDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)、または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号9に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードするゲノムDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)、または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号9を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードするゲノムDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)、または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。
【0130】
一部の実施形態では、キットは、配列番号2に係る9962位に相当する位置にてグアニンを含む核酸配列を含む、またはそれから成るゲノムDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号2に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含む、またはそれから成るゲノムDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号2に係る核酸配列を含む、またはそれから成るゲノムDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。
【0131】
一部の実施形態では、キットは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた変異型SIGIRRタンパク質をコードするmRNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含む変異型SIGIRRタンパク質をコードするmRNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて以下のアミノ酸配列、Ser-Arg-Ser-Trp-Ser-Gly-Val-Gly-Ala-Thr-Ser-Ser-Ser-Trp-Thr-Thr-Ala-Thr-Ser-Cys-Arg-Ala-Leu-Ser-Pro-Pro-Pro-Thr-Ser-Trp(配列番号11)を含む変異型SIGIRRタンパク質をコードするmRNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号9に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードするmRNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号9を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードするmRNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。
【0132】
一部の実施形態では、キットは、配列番号4に係る557位に相当する位置にてグアニンを含む核酸配列を含む、またはそれから成るmRNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号4に係る553位~555位及び556位~558位に相当する位置にてそれぞれコドンCUA及びAGCを含むmRNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号4に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含む、またはそれから成るmRNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号4に係る核酸配列を含む、またはそれから成るmRNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。
【0133】
一部の実施形態では、キットは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた変異型SIGIRRタンパク質をコードするcDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含む変異型SIGIRRタンパク質をコードするcDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて以下のアミノ酸配列、Ser-Arg-Ser-Trp-Ser-Gly-Val-Gly-Ala-Thr-Ser-Ser-Ser-Trp-Thr-Thr-Ala-Thr-Ser-Cys-Arg-Ala-Leu-Ser-Pro-Pro-Pro-Thr-Ser-Trp(配列番号11)を含む変異型SIGIRRタンパク質をコードするcDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号9に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードするcDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号9を有する変異型SIGIRRタンパク質をコードするcDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。
【0134】
一部の実施形態では、キットは、配列番号6に係る557位に相当する位置にてグアニンを含む核酸配列を含む、またはそれから成るcDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号6に係る553位~555位及び556位~558位に相当する位置にてそれぞれコドンCTA及びAGCを含むcDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号6に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含む、またはそれから成るcDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号6に係る核酸配列を含む、またはそれから成るcDNA分子の増幅用の少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、変異特異的なプライマー)または検出用の少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、変異特異的なプローブ)を含む。
【0135】
一部の実施形態では、本明細書で開示されているキットのいずれかはさらに、ヌクレオチドラダー、プロトコール、酵素(たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような増幅に使用される酵素)、dNTP、緩衝剤、塩(単数)または塩(複数)、及び対照核酸試料のいずれか1以上を含んでもよい。一部の実施形態では、本明細書で開示されているキットのいずれかはさらに、検出可能な標識、アニーリング反応を行うのに必要とされる製品や試薬、及び説明書のいずれか1以上を含んでもよい。
【0136】
一部の実施形態では、本明細書で開示されているキットは、配列番号2の9962位に相当する位置にて、または配列番号4及び/または配列番号6の557位に相当する位置にてグアニンと直接ハイブリッド形成する3’末端ヌクレオチドを含むプライマーまたはプローブまたは変異特異的なプライマーまたは変異特異的なプローブを含むことができる。
【0137】
当業者は採用される検出法が一般に限定的ではないことを理解する。むしろ、それらでアンプリコンの存在または非存在を判定できるという条件で、多種多様な検出手段は開示されている方法及びキットの範囲内である。
【0138】
一部の態様では、キットは本明細書で開示されているプライマーまたはプローブの1以上を含むことができる。たとえば、キットは開示されている遺伝子変異型の1以上とハイブリッド形成する1以上のプローブを含むことができる。
【0139】
一部の態様では、キットは開示されている細胞または細胞株の1つを含むことができる。一部の態様では、キットはトランスジェニックな細胞または細胞株を作成するのに必要な物質を含むことができる。たとえば、一部の態様では、キットは、細胞と、開示されている遺伝子変異型の1以上を含む核酸配列を含むベクターとを含むことができる。キットはさらに細胞培養用の培地を含むことができる。
【0140】
本開示はまた、対象ヒトに由来する生体試料にてSIGIRR変異型のゲノムDNA、mRNA、cDNA及び/またはポリペプチドの存在を検出する方法も提供する。集団内の遺伝子配列及びmRNA及びそのような遺伝子によってコードされるタンパク質は一塩基多型のような遺伝子多型に起因して変化することができることが理解される。SIGIRRのゲノムDNA、mRNA、cDNA及びポリペプチドについて本明細書で提供されている配列は単に例となる配列である。SIGIRRのゲノムDNA、mRNA、cDNA及びポリペプチドについての他の配列も可能である。
【0141】
生体試料は対象由来の細胞、組織または生体液から得ることができる。試料は、任意の臨床的に関連する組織、たとえば、骨髄試料、腫瘍生検、微細針吸引物、または、たとえば、血液、歯肉溝滲出液、血漿、血清、リンパ液、腹水、嚢胞液または尿のような体液の試料を含んでもよい。場合によっては、試料は頬内スワブを含む。本明細書で開示されている方法で使用される試料は、アッセイ構成、検出方法の性質、及び試料として使用される組織、細胞または抽出物に基づいて変化するであろう。生体試料は採用されるアッセイに応じて異なって処理することができる。たとえば、変異型SIGIRRの核酸分子を検出する場合、ゲノムDNAについて試料を単離するまたは濃縮するように考案された予備処理を採用することができる。種々の既知の技法がこの目的に使用されてもよい。変異型SIGIRRのmRNAのレベルを検出する場合、様々な技法を用いてmRNAを伴う生体試料を濃縮することができる。mRNAの存在もしくはレベルまたは特定の変異型ゲノムDNA遺伝子座の存在を検出する種々の方法を使用することができる。
【0142】
一部の実施形態では、本開示は、生体試料におけるタンパク質の少なくとも一部を配列決定して、タンパク質が切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードするアミノ酸配列を含むかどうかを判定することを含む、変異型SIGIRRタンパク質の存在または非存在を検出する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、生体試料におけるタンパク質の少なくとも一部を配列決定して、タンパク質が配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードするアミノ酸配列を含むかどうかを判定することを含む、変異型SIGIRRタンパク質の存在または非存在を検出する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、生体試料におけるタンパク質の少なくとも一部を配列決定して、タンパク質が配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むSIGIRRタンパク質をコードするアミノ酸配列を含むかどうかを判定することを含む、変異型SIGIRRタンパク質の存在または非存在を検出する方法を提供する。
【0143】
一部の実施形態では、本開示は、生体試料における核酸の少なくとも一部を配列決定して、核酸が切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含むどうかを判定することを含む、変異型SIGIRRの核酸分子の存在または非存在を検出する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、生体試料における核酸の少なくとも一部を配列決定して、核酸が配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含むどうかを判定することを含む、変異型SIGIRRの核酸分子の存在または非存在を検出する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、生体試料における核酸の少なくとも一部を配列決定して、核酸が配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列を含むどうかを判定することを含む、変異型SIGIRRの核酸分子の存在または非存在を検出する方法を提供する。本明細書で開示されている変異型核酸分子のいずれも本明細書に記載されているプローブまたはプライマーのいずれかを用いて検出することができる。
【0144】
一部の実施形態では、対象にて炎症性腸疾患に関連する変異型SIGIRRの核酸分子または早期発症型炎症性腸疾患に関連する変異型SIGIRRの核酸分子(たとえば、ゲノムDNA、mRNAまたはcDNA)の存在または非存在を検出する方法は、対象から得られる生体試料にてアッセイを実施することを含み、そのアッセイは生体試料における核酸分子が本明細書で開示されている変異型SIGIRRの核酸配列のいずれか(たとえば、切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子)を含むかどうかを判定する。一部の実施形態では、生体試料は細胞または細胞溶解物を含む。そのような方法はさらに、たとえば、SIGIRRのゲノムDNAまたはmRNAを含む、対象由来の生体試料を得ることと、mRNAであれば任意でmRNAをcDNAに逆転写することと、生体試料にてSIGIRRのゲノムDNA、mRNAまたはcDNAの位置が切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードするかどうかを判定するアッセイを実施することとを含むことができる。そのような方法はさらに、たとえば、SIGIRRのゲノムDNAまたはmRNAを含む、対象由来の生体試料を得ることと、mRNAであれば任意でmRNAをcDNAに逆転写することと、生体試料にてSIGIRRのゲノムDNA、mRNAまたはcDNAの位置が配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードするかどうかを判定するアッセイを実施すること、または生体試料にてSIGIRRのゲノムDNA、mRNAまたはcDNAの位置が配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められた、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むSIGIRRタンパク質をコードするかどうかを判定するアッセイを実施することとを含むことができる。そのようなアッセイは、たとえば、特定のSIGIRRの核酸分子のこれらの位置の同一性を判定することを含むことができる。一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0145】
一部の実施形態では、アッセイは、対象に由来する生体試料における核酸分子のSIGIRRのゲノムDNA配列の少なくとも一部を配列決定することであって、配列決定される一部が配列番号9に係るSIGIRRタンパク質における186位にてセリンをコードする位置に相当する位置を含む配列決定すること;対象に由来する生体試料における核酸分子のSIGIRRのmRNA配列の少なくとも一部を配列決定することであって、配列決定される一部が配列番号9に係るSIGIRRタンパク質における186位にてセリンをコードする位置に相当する位置を含む、配列決定すること;または対象に由来する生体試料における核酸分子のSIGIRRのcDNA配列の少なくとも一部を配列決定することであって、配列決定される一部が配列番号9に係るSIGIRRタンパク質における186位にてセリンをコードする位置に相当する位置を含む、配列決定することを含む。
【0146】
一部の実施形態では、アッセイは、(a)(i)配列番号9に係る186位でセリンをコードする位置に相当する位置でのSIGIRRのゲノム配列の位置に最も近いSIGIRRのゲノムDNA配列の一部;(ii)配列番号9に係る186位でセリンをコードする位置に相当する位置でのSIGIRRのmRNA配列の位置に最も近いSIGIRRのmRNA配列の一部;または(iii)配列番号9に係る186位でセリンをコードする位置に相当する位置でのSIGIRRのcDNA配列の位置に最も近いSIGIRRのcDNA配列の一部とハイブリッド形成するプライマーに生体試料を接触させることと;(b)(i)配列番号9に係る186位でセリンをコードするコドンを越えたヌクレオチドの位置に相当するSIGIRRのゲノムDNA配列の位置;(ii)配列番号9に係る186位でセリンをコードするコドンを越えたヌクレオチドの位置に相当するSIGIRRのmRNA配列の位置;または(iii)配列番号9に係る186位でセリンをコードするコドンを越えたヌクレオチドの位置に相当するSIGIRRのcDNA配列の位置を少なくとも介してプライマーを伸長させることと;(c)プライマーの伸長産物が配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするヌクレオチドを含むかどうかを判定することとを含む。一部の実施形態では、SIGIRRのゲノムDNAだけが解析される。一部の実施形態では、SIGIRRのmRNAだけが解析される。一部の実施形態では、SIGIRRのmRNAから得られるSIGIRRのcDNAだけが解析される。
【0147】
一部の実施形態では、アッセイは、(a)(i)配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするヌクレオチドを含むSIGIRRのゲノムDNA配列の一部;(ii)配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするヌクレオチドを含むSIGIRRのmRNA配列の一部;または(iii)配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするヌクレオチドを含むSIGIRRのcDNA配列の一部とハイブリッド形成する変異特異的なプライマーに生体試料を接触させることと;(b)変異特異的なポリメラーゼ連鎖反応法を用いてプライマーを伸長させることと;(c)伸長が生じたかどうかを判定することとを含む。変異特異的なポリメラーゼ連鎖反応法を用いて核酸配列における欠失のような突然変異を検出することができる。鋳型とのミスマッチが存在する場合、DNAポリメラーゼは伸長しないので変異特異的なプライマーが使用される。技量のある熟練者は、基本的な変異特異的ポリメラーゼ連鎖反応法の多数の変形を自由に使用することができる。
【0148】
変異特異的なプライマーは、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列またはその核酸配列に対する相補体と相補性である核酸配列を含んでもよい。たとえば、変異特異的なプライマーは配列番号9をコードする核酸配列またはこの核酸配列に対する相補体と相補性である核酸配列を含んでもよい。変異特異的なプライマーは好ましくは、核酸配列が配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードする場合、変異型SIGIRRタンパク質をコードする核酸配列と特異的にハイブリッド形成する。
【0149】
一部の実施形態では、アッセイは、ストリンジェントな条件下で変異型SIGIRRのゲノムDNA配列、mRNA配列またはcDNA配列と特異的にハイブリッド形成し、且つ対応する野生型SIGIRRの配列とは特異的にハイブリッド形成しないプライマーまたはプローブに生体試料を接触させることと、ハイブリッド形成が生じているかどうか判定することとを含む。
【0150】
一部の実施形態では、アッセイはRNAの配列決定(RNA-Seq)を含む。一部の実施形態では、アッセイは逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を介してmRNAをcDNAに逆転写することも含む。
【0151】
一部の実施形態では、方法は、標的核酸配列に結合し、変異型SIGIRRのゲノムDNA、mRNAまたはcDNAを含むポリヌクレオチドを特異的に検出する及び/または同定するのに十分なヌクレオチド長さのプローブ及びプライマーを利用する。ハイブリッド形成の条件または反応条件はこの結果を達成するように操作者が決定することができる。このヌクレオチド長は、本明細書に記載されているまたは例示されているアッセイを含めて最適な検出方法で使用するのに十分である任意の長さであってもよい。一般に、たとえば、約8、約10、約11、約12、約14、約15、約16、約18、約20、約22、約24、約26、約28、約30、約40、約50、約75、約100、約200、約300、約400、約500、約600、または約700のヌクレオチド以上、または約11~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約100、約100~約200、約200~約300、約300~約400、約400~約500、約500~約600、約600~約700、または約700~約800以上のヌクレオチド長を有するプライマーまたはプローブが使用される。好ましい実施形態では、プローブまたはプライマーは少なくとも約18ヌクレオチド長を含む。プローブまたはプライマーは約10~約35、約10~約30、約10~約25、約12~約30、約12~約28、約12~約24、約15~約30、約15~約25、約18~約30、約18~約25、約18~約24、または約18~約22のヌクレオチド長を含んでもよい。好ましい実施形態では、プローブまたはプライマーは約18~約30のヌクレオチド長である。
【0152】
そのようなプローブ及びプライマーは、高ストリンジェントなハイブリッド形成条件下で標的配列と特異的にハイブリッド形成することができる。プローブ及びプライマーは連続するヌクレオチドの標的配列との完全な核酸配列同一性を有し得るが、標的核酸配列とは異なり、標的核酸配列を特異的に検出する及び/または同定する能力を保持するプローブが従来の方法で設計されてもよい。従って、プローブ及びプライマーは標的核酸分子に対して約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%の配列同一性または相補性を共有することができる。
【0153】
一部の実施形態では、変異型SIGIRRの遺伝子座及び/またはSIGIRR変異型のmRNAまたはcDNAを増幅するのに特異的なプライマーを使用して、特異的なプローブとして使用することができる、または生体試料にて変異型SIGIRRの遺伝子座を同定するために、もしくは特異的なSIGIRRのmRNAもしくはcDNAのレベルを測定するためにそれ自体検出され得るアンプリコンを作り出すことができる。SIGIRR変異型の遺伝子座を用いて配列番号9に係る186位にてセリンをコードする位置に相当する位置を含むゲノム核酸配列を示すことができる。核酸分子へのプローブの結合を可能にする条件下でプローブが生体試料における核酸分子とハイブリッド形成する場合、この結合を検出することができ、生体試料にて変異型SIGIRRの遺伝子座の存在または変異型SIGIRRのmRNAもしくはcDNAの存在もしくはレベルを示すことを可能にする。結合されたプローブのそのような同定が記載されている。特異的なプローブは、変異型SIGIRR遺伝子の特定の領域と少なくとも約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、及び約95%~約100%同一の(または相補性の)配列を含んでもよい。特異的なプローブは、変異型SIGIRRのmRNAの特定の領域と少なくとも約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、及び約95%~約100%同一の(または相補性の)配列を含んでもよい。特異的なプローブは、変異型SIGIRRのcDNAの特定の領域と少なくとも約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、及び約95%~約100%同一の(または相補性の)配列を含んでもよい。
【0154】
一部の実施形態では、生体試料の核酸相補体が変異型SIGIRRタンパク質をコードする(たとえば、切り詰められたSIGIRRタンパク質、または配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを有する変異型SIGIRRタンパク質)核酸配列を含むかどうかを判定するために、生体試料を、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードする位置に隣接する5’隣接配列に由来する第1のプライマーと、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードする位置に隣接する3’隣接配列に由来する第2のプライマーとを含むプライマー対を用いた核酸増幅法に供し、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードする位置でのヌクレオチドの存在について診断に用いるアンプリコンを作成する。一部の実施形態では、アンプリコンの長さの範囲は、プライマー対にヌクレオチド塩基対1つを加えて合わせた長さからDNA増幅プロトコールによって生産可能なアンプリコンの任意の長さに及んでもよい。この距離はヌクレオシド塩基対1つから増幅反応の限界まで、または約20,000のヌクレオシド塩基対まで及ぶことができる。任意で、プライマー対は、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードする位置及び配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードする位置の各側での少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のヌクレオチドを含む領域に隣接する。類似のアンプリコンはmRNA及び/またはcDNAの配列から生成することができる。
【0155】
プローブ及びプライマーを調製し、使用する代表的な方法は、たとえば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Vol.1-3,ed.Sambrook et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.1989(以後,“Sambrook et al.,1989”)、Current Protocols in Molecular Biology,ed.Ausubel et al.,Greene Publishing and Wiley-Interscience,New York,1992(定期的更新で)(以後,“Ausubel et al.,1992”)、及びInnis et al.,PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press:San Diego,1990)に記載されている。PCRのプライマー対は、その目的を対象とするコンピュータープログラム、たとえば、Vector NTI バージョン10(Informax Inc.,Bethesda Md.)、PrimerSelect(DNASTAR Inc.,Madison,Wis.)、及びPrimer3(バージョン0.4.0.COPYRGT.,1991,Whitehead Institute for Biomedical Research,Cambridge,Mass.)におけるPCRプライマー解析ツールを使用することによって既知の配列から導き出すことができる。さらに、配列は視覚的に走査することができ、プライマーは既知のガイドラインを用いて手作業で同定することができる。
【0156】
核酸のハイブリッド形成または増幅または配列決定の方法を用いて、変異型SIGIRRの遺伝子座の存在及び/または変異型SIGIRRのmRNAもしくはmRNAから生産されるcDNAのレベルを特異的に検出することができる。一部の実施形態では、核酸分子をプライマーとして用いてSIGIRRの核酸の領域を増幅することができるか、または核酸分子を、たとえば、ストリンジェントな条件下で変異型SIGIRRの遺伝子座を含む核酸分子または変異型SIGIRRのmRNAもしくはmRNAから作られるcDNAを含む核酸分子と特異的にハイブリッド形成するプローブとして使用することができる。
【0157】
たとえば、核酸の配列決定、核酸のハイブリッド形成、及び核酸の増幅を含む種々の技法が当該技術で利用できる。核酸の配列決定法の説明に役立つ例には、連鎖停止剤(Sanger)配列決定及びダイターミネーター配列決定が挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
他の方法には、精製したDNA、増幅したDNA及び固定細胞調製物(蛍光原位置ハイブリッド形成(FISH))に対して向けられた標識したプライマーまたはプローブを使用することが含まれる、配列決定以外の核酸ハイブリッド形成法が含まれる。一部の方法では、検出に先立って、または検出と同時に標的核酸が増幅されてもよい。核酸増幅法の説明に役立つ例には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)及び核酸配列に基づく増幅(NASBA)が挙げられるが、これらに限定されない。他の方法には、リガーゼ連鎖反応、鎖置換増幅及び好熱性SDA(tSDA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
たとえば、ハイブリッド形成保護アッセイ(HPA)、リアルタイムでの増幅プロセスの定量的評価、及び試料に当初存在するが、リアルタイム増幅に基づかない標的配列の量を決定することを含む任意の方法を、増幅されなかったまたは増幅されたポリヌクレオチドを検出するのに使用することができる。
【0160】
必ずしも配列の増幅を必要とせず、たとえば、染色体物質のサザン(DNA:DNA)ブロットハイブリッド形成、原位置ハイブリッド形成(ISH)、及び蛍光原位置ハイブリッド形成(FISH)の既知の方法に基づく核酸を同定する方法も提供される。サザンブロッティングを用いて特定の核酸配列を検出することができる。そのような方法では、試料から抽出された核酸を断片化し、マトリクスゲル上で電気泳動にて分離し、膜フィルターに移す。フィルターに結合した核酸を、対象とする配列と相補性の標識されたプローブとのハイブリッド形成に供する。フィルターに結合したハイブリッド形成したプローブが検出される。そのような方法では、プロセスは本明細書で記載されているまたは例示されているプローブのいずれかを使用するハイブリッド形成を含むことができる。
【0161】
ハイブリッド形成法では、プローブまたはプライマーがその標的と特異的にハイブリッド形成するようにストリンジェントな条件を採用することができる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドのプライマーまたはプローブは、ストリンジェントな条件下で、他の配列(たとえば、対応する野生型SIGIRRの遺伝子座、野生型mRNAまたは野生型cDNA)よりも、たとえば、バックグラウンドより10倍超を含めて、バックグラウンドより少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍以上検出可能に高い程度にその標的配列(たとえば、変異型SIGIRRの遺伝子座、変異型SIGIRRのmRNAまたは変異型SIGIRRのcDNA)とハイブリッド形成する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドのプライマーまたはプローブは、ストリンジェントな条件下で、他の配列よりも少なくとも2倍検出可能に高い程度にその標的配列とハイブリッド形成する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドのプライマーまたはプローブは、ストリンジェントな条件下で、他の配列よりも少なくとも3倍検出可能に高い程度にその標的配列とハイブリッド形成する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドのプライマーまたはプローブは、ストリンジェントな条件下で、他の配列よりも少なくとも4倍検出可能に高い程度にその標的配列とハイブリッド形成する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドのプライマーまたはプローブは、ストリンジェントな条件下で、他の配列よりもバックグラウンドより10倍を超えて検出可能に高い程度にその標的配列とハイブリッド形成する。ストリンジェントな条件は配列に依存し、様々な状況で異なる。ハイブリッド形成のストリンジェントな条件及び/または洗浄条件を制御することによって、プローブと100%相補性である標的配列を同定することができる(相同プロービング)。あるいは、ストリンジェントな条件を調整して低い程度の同一性が検出される(非相同プロービング)ように配列における幾つかのミスマッチを許すことができる。
【0162】
DNAのハイブリッド形成を促進する適当なストリンジェントな条件、たとえば、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)とそれに続く50℃での2×SSCの洗浄が既知であり、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.(1989),6.3.1-6.3.6にて見いだすことができる。通常、ハイブリッド形成及び検出のためのストリンジェントな条件は、塩濃度がpH7.0~8.3で約1.5M未満のNaイオン、通常、約0.01~1.0MのNa(または他の塩)イオン濃度及び温度が短いプローブ(たとえば、10~50ヌクレオチド)については少なくとも約30℃及び長いプローブ(50ヌクレオチドを超える)については少なくとも約60℃である。ストリンジェントな条件は、たとえば、ホルムアミドのような不安定化剤の添加によっても達成されてもよい。例となる低ストリンジェントの条件は、37℃での30~35%のホルムアミド、1MのNaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝溶液におけるハイブリッド形成、及び50~55℃での1×~2×SSC(20×SSC=3.0MのNaCl/0.3Mのクエン酸ナトリウム)における洗浄が挙げられる。例となる中程度のストリンジェントの条件には、37℃での40~45%のホルムアミド、1.0MのNaCl、1%SDSにおけるハイブリッド形成、及び55~60℃での0.5×~1×SSCにおける洗浄が挙げられる。例となる高ストリンジェントの条件には、37℃での50%のホルムアミド、1MのNaCl、1%SDSにおけるハイブリッド形成、及び60~65℃での0.1×SSCにおける洗浄が挙げられる。任意で、洗浄緩衝液は約0.1%~約1%のSDSを含んでもよい。ハイブリッド形成の持続時間は一般に約24時間未満であり、普通、約4~約12時間である。洗浄時間の継続は平衡に達するのに少なくとも十分な時間の長さであろう。
【0163】
ハイブリッド形成反応では、特異性は通常、ハイブリッド形成後の洗浄の関数であり、決定的な要因は最終洗浄溶液のイオン強度及び温度である。DNA・DNAのハイブリッドについては、TはMeinkoth及びWahl,Anal.Biochem.,1984,138,267-284の方程式、すなわちT=81.5℃+16.6(log M)+0.41(%GC)-0.61(%ホルム)-500/Lから近似させることができ、式中、Mは一価のカチオンのモル濃度であり、%GCはDNAにおけるグアノシンとシトシンのヌクレオチドの割合(%)であり、%ホルムはハイブリッド形成溶液におけるホルムアミドの割合(%)であり、Lは塩基対におけるハイブリッドの長さである。Tは、相補性の標的配列の50%が完全に一致するプローブとハイブリッド形成する温度(定義されたイオン強度及びpHのもとでの)である。Tは各1%のミスマッチについて約1℃低下する。従って、T、ハイブリッド形成及び/または洗浄の条件を調整して所望の同一性の配列とハイブリッド形成させることができる。たとえば、90%以上の同一性の配列が求められる場合、Tを10℃下げることができる。一般に、ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度及びpHにて特定の配列とその相補体について熱融点(T)より約5℃低いように選択される。しかしながら、厳密にストリンジェントな条件は熱融点(T)より1℃、2℃、3℃または4℃低いハイブリッド形成及び洗浄を利用することができ、中程度にストリンジェントな条件は熱融点(T)より6℃、7℃、8℃、9℃または10℃低いハイブリッド形成及び洗浄を利用することができ、低ストリンジェントの条件は熱融点(T)より11℃、12℃、13℃、14℃、15℃または20℃低いハイブリッド形成及び洗浄を利用することができる。方程式、ハイブリッド形成及び洗浄の組成及び所望のTを用いて、当業者は、ハイブリッド形成及び/または洗浄溶液のストリンジェントな条件での変動が本質的に記載されていることを理解するであろう。所望の程度のミスマッチが45℃(水溶液)または32℃(ホルムアミド溶液)に満たないTを生じる場合、さらに高い温度が使用できるようにSSCの濃度を上げることが最適である。
【0164】
提供されるのはまた、たとえば、タンパク質の配列決定及び免疫アッセイを含む、生体試料にて変異型SIGIRRポリペプチドの存在を検出する、またはそのレベルを定量する方法である。一部の実施形態では、ヒト対象にて変異型SIGIRRタンパク質(たとえば、配列番号9)の存在を検出する方法は、ヒト対象から得られる生体試料にて生体試料における変異型SIGIRRタンパク質(たとえば、配列番号4)の存在を検出するアッセイを実施することを含む。
【0165】
タンパク質の配列決定法の説明に役立つ非限定例には、質量分光分析及びEdman分解が挙げられるが、これらに限定されない。免疫アッセイの説明に役立つ例には、免疫沈降、ウエスタンブロット、免疫組織化学、ELISA、免疫細胞化学、フローサイトメトリー、及び免疫PCRが挙げられるが、これらに限定されない。種々の既知の技法(たとえば、比色性、蛍光性、化学発光性または放射性)を用いて検出可能に標識したポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体は免疫アッセイでの使用に好適である。免疫アッセイに関して、変異型SIGIRRタンパク質は野生型SIGIRRタンパク質と比べて異なるサイズを有するので、タンパク質ゲル上にて異なる分子量で流れる。従って、同一抗体を使用することによって、たとえば、ウエスタンブロットアッセイにて野生型SIGIRRタンパク質を変異型SIGIRRタンパク質から区別することができる。
【0166】
本開示はまた、ヒト対象から得られる核酸分子にて本明細書に記載されているSIGIRRの核酸分子のいずれかにおける変異のいずれかを検出することと、対象が炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患の1以上の症状を有するのであれば、炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患であるとヒト対象を診断すること、または対象が炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患の1以上の症状を有さなければ、炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクがあるとヒト対象を診断することとを含む、ヒト対象にて炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を診断する方法、または炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを検出する方法も提供する。一部の実施形態では、ヒト対象はそのような診断を必要としている。一部の実施形態では、ヒト対象は炎症性腸疾患または早期発症型炎症性腸疾患であると診断されている血縁者を有し得る。
【0167】
炎症性腸疾患または早期発症型炎症性腸疾患の症状には、下痢、発熱、倦怠感、腹痛、腹部けいれん、吐き気、嘔吐、血便の存在、貧血、食欲減退、及び意図せぬ体重減少、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
一部の実施形態では、方法は、対象から得られた生体試料から得られる変異型SIGIRRのゲノムDNA、mRNAまたはmRNAから得られるcDNAの存在を検出することを含む。集団内での遺伝子配列及びそのような遺伝子によってコードされるmRNAは、たとえば、一塩基多型(SNP)のような遺伝子多型に起因して変化し得ることが理解される。変異型SIGIRRのゲノムDNA、mRNA、cDNA及びポリペプチドについて本明細書で提供されている配列は単に例となる配列であって、追加のSIGIRRの対立遺伝子を含む他のそのような配列も可能である。
【0169】
一部の実施形態では、検出するステップは切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部を配列決定することを含む。一部の実施形態では、検出するステップは、SIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部を配列決定することを含み、その際、配列決定される核酸分子は配列番号9に係る186位に相当する位置を含むアミノ酸配列をコードする。本明細書で開示されている核酸分子(たとえば、ゲノムDNA、mRNAまたはcDNA)のいずれも配列決定することができる。一部の実施形態では、検出するステップは核酸分子全体を配列決定することを含む。
【0170】
一部の実施形態では、検出するステップは、切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部を増幅することと、検出可能な標識で核酸分子を標識することと、プローブを含む支持体に標識された核酸を接触させることであって、プローブは切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する核酸配列を含む、接触させることと、検出可能な標識を検出することとを含む。一部の実施形態では、検出するステップは、SIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部を増幅することであって、増幅された核酸分子は配列番号9に係る186位に相当する位置を含むアミノ酸配列をコードする、増幅することと、検出可能な標識で核酸分子を標識することと、プローブを含む支持体に標識された核酸を接触させることであって、プローブは配列番号9に係る186位に相当する位置にてアスパラギン酸をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する核酸配列を含む、接触させることと、検出可能な標識を検出することとを含む。本明細書で開示されている核酸分子のいずれも増幅することができる。たとえば、本明細書で開示されているゲノムDNA、cDNAまたはmRNAの分子のいずれも増幅することができる。一部の実施形態では、核酸分子はmRNAであり、方法はさらに、増幅するステップに先立ってmRNAをcDNAに逆転写することを含む。
【0171】
一部の実施形態では、検出するステップは、SIGIRRタンパク質をコードする核酸分子を検出可能な標識を含むプローブに接触させることと、検出可能な標識を検出することとを含み、その際、プローブは切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、検出するステップは、SIGIRRタンパク質をコードする核酸分子を検出可能な標識を含むプローブに接触させることと、検出可能な標識を検出することとを含み、その際、プローブは配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する核酸配列を含む。一部の実施形態では、核酸分子はヒト対象から得られる細胞内に存在するので、検出は原位置ハイブリッド形成法に従う。
【0172】
一部の実施形態では、検出するステップは、SIGIRRタンパク質をコードする核酸分子を変異特異的なプライマーに接触させることと、変異特異的なPCR法を用いて核酸分子を増幅することとを含む。変異特異的なプライマーは本明細書に記載されているそのようなプライマーであってもよく、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードする変異型SIGIRRタンパク質に対して特異的であってもよい。
【0173】
本明細書で開示されている方法にて使用することができる他のアッセイには、たとえば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)または定量的RT-PCR(qRT-PCR)が挙げられる。本明細書で開示されている方法にて使用することができるさらに他のアッセイには、たとえば、RNAの配列決定(RNA-Seq)とその後の生体試料における変異型のmRNAまたはcDNAの存在及び量の検出が挙げられる。
【0174】
本開示はまた、炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を有する、または炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを有するヒト対象を特定する方法も提供する。方法は一般に、対象から得られる試料にて、変異型SIGIRRタンパク質の存在または非存在、及び/または変異型SIGIRRタンパク質をコードする本明細書に記載されている核酸分子のいずれかの存在または非存在を検出することを含む。切り詰められたSIGIRRタンパク質の存在は、対象が炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を有する、または炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを有することを示す。それぞれ配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰めを生じる、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含有する変異型SIGIRRタンパク質をもたらす、配列番号2(たとえば、ゲノムDNA)に係る9962位に相当する位置における、または配列番号4(たとえば、mRNA)に係る557位に相当する位置における、または配列番号6(たとえば、cDNA)に係る557位に相当する位置におけるグアニン(アデニンの欠失による)の存在は、対象が炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を有する、または炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを有することを示す。方法はインビトロ、原位置、または生体内で実施されてもよい。
【0175】
本開示はまた、炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を有する、または炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを有するヒト対象を特定する方法も提供し、方法は、対象から得られる試料にて配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを有する、且つ配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められるSIGIRRタンパク質;及び/または配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを有する、且つ配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められるSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の存在または非存在を検出することを含み、切り詰められたSIGIRRタンパク質及び/または切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の存在は、患者が早期発症型炎症性腸疾患を有する、または早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを有することを示す。一部の実施形態では、切り詰められたSIGIRRタンパク質は、配列番号9に係る186位~209位及び211位~215位に相当する位置のいずれか1つで野生型SIGIRRタンパク質と比べて異なるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、切り詰められたSIGIRRタンパク質は、配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて配列番号11のアミノ酸配列を含む。
【0176】
一部の実施形態では、試料における切り詰められたSIGIRRタンパク質の存在または非存在は切り詰められたSIGIRRに対して特異的である抗体によって検出される。一部の実施形態では、切り詰められたSIGIRRに対して特異的である抗体は、(i)配列番号9に係る186位に相当する位置でのセリン;または(ii)配列番号9に係る186位に相当する位置がセリンとなるフレームシフト突然変異のためにSIGIRRタンパク質にて生じるエピトープに対して特異的である。一部の実施形態では、検出はさらに、切り詰められたSIGIRRに対して特異的である抗体の反応を野生型SIGIRRに対して特異的である抗体の反応と比べることを含む。一部の実施形態では、前記試料における前記切り詰められたSIGIRRタンパク質の存在または非存在は酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)によって検出される。一部の実施形態では、試料における前記切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の存在または非存在は、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを生じるフレームシフト突然変異が核酸分子に存在するかどうかを判定することによって検出される。一部の実施形態では、配列決定される核酸分子の一部は、配列番号9に係る186位に相当する位置をコードするコドンを包含する複数の位置を含む。
【0177】
方法の一部の実施形態では、検出するステップはSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部を配列決定することを含む。方法の一部の実施形態では、検出するステップは切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部を配列決定することを含む。配列決定される核酸分子は配列番号9に係る186位に相当する位置を含むアミノ酸配列をコードしてもよい。配列番号2(たとえば、ゲノムDNA)に係る9962位に相当する位置における、または配列番号4(たとえば、mRNA)に係る557位に相当する位置における、または配列番号6(たとえば、cDNA)に係る557位に相当する位置におけるグアニン(アデニンの欠失による)の存在は、それぞれ配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められ、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含有する変異型SIGIRRタンパク質を生じる。検出するステップはSIGIRRタンパク質全体をコードする核酸分子を配列決定することを含んでもよい。
【0178】
方法の一部の実施形態では、検出するステップは、切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部を増幅することと、増幅された核酸分子を検出可能な標識で標識することと、プローブを含む支持体に標識された核酸分子を接触させることであって、プローブは切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸配列と、たとえば、ストリンジェントな条件下を含めて特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む、接触させることと、検出可能な標識を検出することとを含む。方法の一部の実施形態では、検出するステップは、SIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部を増幅することと、増幅された核酸分子を検出可能な標識で標識することと、プローブを含む支持体に標識された核酸分子を接触させることであって、プローブは配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードする核酸配列(または、それぞれ、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められ、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含有する変異体SIGIRRタンパク質を生じる、配列番号2(たとえば、ゲノムDNA)に係る9962位に相当する位置にて、または配列番号4(たとえば、mRNA)に係る557位に相当する位置にて、または配列番号6(たとえば、cDNA)に係る557位に相当する位置にてグアニン(アデニンの欠失による)を有する核酸配列)と、たとえば、ストリンジェントな条件下を含めて特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む、接触させることと、検出可能な標識を検出することとを含む。増幅される核酸分子は好ましくは配列番号9に係る186位に相当する位置を含むアミノ酸配列をコードする。核酸がmRNAを含むのであれば、方法はさらに、増幅するステップに先立ってmRNAをcDNAに逆転写することを含んでもよい。一部の実施形態では、判定するステップは、検出可能な標識を含むプローブにSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子を接触させることと、検出可能な標識を検出することとを含む。プローブは好ましくは、配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含むアミノ酸配列をコードする核酸配列(または、それぞれ、配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められ、且つ配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを含有する変異体SIGIRRタンパク質を生じる、配列番号2(たとえば、ゲノムDNA)に係る9962位に相当する位置にて、または配列番号4(たとえば、mRNA)に係る557位に相当する位置にて、または配列番号6(たとえば、cDNA)に係る557位に相当する位置にてグアニン(アデニンの欠失による)を有する核酸配列)と、たとえば、ストリンジェントな条件下を含めて特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む。核酸分子はヒト対象から得られる細胞内に存在してもよい。
【0179】
一部の実施形態では、検出するステップは、SIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部を増幅することであって、増幅される核酸分子は配列番号9に係る186位に相当する位置にてアミノ酸をコードするコドンを包含する、増幅することと、増幅された核酸分子を検出可能な標識で標識することと、プローブを含む支持体に標識された核酸分子を接触させることであって、プローブは配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを包含する核酸配列とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む、接触させることと、検出可能な標識を検出することとを含む。
【0180】
一部の実施形態では、検出するステップは、検出可能な標識を含むプローブにSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子を接触させることであって、プローブは配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを包含する核酸配列とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む、接触させることと、検出可能な標識を検出することとを含む。一部の実施形態では、ヒト対象は18歳未満である。一部の実施形態では、ヒト対象はクローン病を有するまたはクローン病を発症するリスクを有すると特定される。
【0181】
本開示はまた、ヒト対象から得られる切り詰められたSIGIRRタンパク質を検出することと、対象が炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患の1以上の症状を有するのであれば炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患であるとヒト対象を診断すること、または対象が炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患の1以上の症状を有さなければ炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクがあるとヒト対象を診断することとを含む、ヒト対象にて炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を診断する方法、または炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを検出する方法も提供する。一部の実施形態では、ヒト対象はそのような診断を必要としている。本開示はまた、ヒト対象から得られる、配列番号9を含むタンパク質のような変異型SIGIRRタンパク質を検出することと、対象が炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患の1以上の症状を有するのであれば炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患であるとヒト対象を診断すること、または対象が炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患の1以上の症状を有さなければ炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクがあるとヒト対象を診断することとを含む、ヒト対象にて炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を診断する方法、または炎症性腸疾患もしくは早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを検出する方法も提供する。一部の実施形態では、ヒト対象はそのような診断を必要としている。一部の実施形態では、ヒト対象は炎症性腸疾患または早期発症型炎症性腸疾患であると診断されている血縁者を有し得る。
【0182】
本開示はまた、対象から得られるSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子を検出することであって、SIGIRRタンパク質は配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを有し、且つ配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められる、検出すること及び/またはヒト対象から得られるSIGIRRタンパク質を検出することであって、SIGIRRタンパク質は配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンを有し、且つ配列番号9に係る215位に相当する位置にて切り詰められる、検出することと、対象が早期発症型炎症性腸疾患の1以上の症状を有するのであれば早期発症型炎症性腸疾患であるとヒト対象を診断すること、または対象が早期発症型炎症性腸疾患の1以上の症状を有さなければ早期発症型炎症性腸疾患のリスクがあるとヒト対象を診断することとを含む、ヒト対象にて早期発症型炎症性腸疾患を診断する方法、または早期発症型炎症性腸疾患のリスクを検出する方法も提供する。一部の実施形態では、切り詰められたSIGIRRタンパク質は、配列番号9に係る186位~209位及び211位~215位に相当する位置のいずれか1つで野生型SIGIRRタンパク質と比べて異なるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、切り詰められたSIGIRRタンパク質は配列番号9に係る186位~215位に相当する位置にて配列番号13のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、切り詰められたSIGIRRタンパク質は切り詰められたSIGIRRに対して特異的である抗体によって検出される。一部の実施形態では、切り詰められたSIGIRRに対して特異的である抗体は、(i)配列番号9に係る186位に相当する位置におけるセリン;または(ii)配列番号9に係る186位に相当する位置がセリンとなるフレームシフト突然変異のためにSIGIRRタンパク質にて生じるエピトープに対して特異的である。一部の実施形態では、検出はさらに、切り詰められたSIGIRRに対して特異的である抗体の反応を野生型SIGIRRに対して特異的である抗体の反応と比べることを含む。一部の実施形態では、切り詰められたSIGIRRタンパク質は酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)によって検出される。一部の実施形態では、前記切り詰められたSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子は配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを生じる前記核酸分子におけるフレームシフト突然変異を検出することによって検出される。一部の実施形態では、配列決定される核酸分子の一部は配列番号9に係る186位に相当する位置をコードするコドンを包含する複数の位置を含む。
【0183】
一部の実施形態では、検出するステップは、SIGIRRタンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部を増幅することであって、増幅される核酸分子は配列番号9に係る186位に相当する位置にてアミノ酸をコードするコドンを包含する、増幅することと、増幅された核酸分子を検出可能な標識で標識することと、プローブを含む支持体に標識された核酸分子を接触させることであって、プローブは配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを包含する核酸配列とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む、接触させることと、検出可能な標識を検出することとを含む。
【0184】
一部の実施形態では、検出するステップは、検出可能な標識を含むプローブにSIGIRRタンパク質をコードする核酸分子を接触させることであって、プローブは配列番号9に係る186位に相当する位置にてセリンをコードするコドンを包含する核酸配列とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する核酸配列を含む、接触させることと、検出可能な標識を検出することとを含む。
【0185】
一部の実施形態では、試料が得られる、本明細書に記載されているヒト対象(たとえば、診断される及び/または治療されるヒト対象)は成人ではない。一部の実施形態では、試料が得られる、本明細書に記載されているヒト対象18歳以下である。一部の実施形態では、試料が得られる、本明細書に記載されているヒト対象は15歳以下である。一部の実施形態では、試料が得られる、本明細書に記載されているヒト対象は13歳以下である。一部の実施形態では、試料が得られる、本明細書に記載されているヒト対象は10歳以下である。一部の実施形態では、6歳以下のヒト対象は超早期発症型炎症性腸疾患を有してもよい。一部の実施形態では、ヒト対象は壊死性腸炎を有さない。
【0186】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法のいずれも、さらに、炎症性腸疾患または早期発症型炎症性腸疾患を治療するのに有効な作用物質で対象を治療することを含むことができる。一部の実施形態では、方法はさらに、対象にて変異が検出され、且つ対象が炎症性腸疾患または早期発症型炎症性腸疾患を有すると診断されている場合、炎症性腸疾患または早期発症型炎症性腸疾患を治療するのに有効な作用物質で対象を治療することを含む。
【0187】
本開示はまた、早期発症型炎症性腸疾患の診断または早期発症型炎症性腸疾患を発症するリスクを診断することにおける変異型SIGIRRのゲノムDNA、mRNA、cDNA、ポリペプチドのいずれかの使用、または本明細書で開示されている核酸分子をハイブリッド形成することも提供する。
【0188】
上記または以下で引用されている特許文書、ウエブサイト、他の出版物、受入番号等はすべて、各個々の項目が具体的に且つ個々に参照によってそのように組み入れられるように指示されたかのようにと同じ程度にあらゆる目的でそれらの全体が参照によって組み入れられる。異なる時点で配列の異なるバージョンが受入番号に関連する場合、本出願の有効出願日での受入番号に関連したバージョンが意図される。有効出願日は実際の出願日、または該当する場合、受入番号に言及する優先出願の出願日のうちの早い方を意味する。同様に、出版物、ウエブサイト等の異なるバージョンが異なる時点で公開される場合、指示されない限り、出願の優先出願日で最も新しく公開されたバージョンが意図される。本開示のいかなる特長、ステップ、要素、実施形態または態様も、別様に指示されていない限り、いかなる他の特長、ステップ、要素、実施形態または態様とも組み合わせて使用することができる。本開示は明瞭さ及び理解の目的で説明及び例示を手段として多少詳細に記載されているが、ある特定の変更及び修正が添付のクレームの範囲内で実践されてもよいことが明らかであろう。
【0189】
本明細書で列挙されているヌクレオチド配列及びアミノ酸配列はヌクレオチド塩基については標準の文字略記及びアミノ酸については一文字コードを用いて示される。ヌクレオチド配列は配列の5’末端で開始して3’末端に向かって進む(すなわち、各列で左から右へ)標準の慣例に従う。各ヌクレオチド配列の一方の鎖のみを示すが、相補鎖は示された鎖を参照することにより含められていると理解される。アミノ酸配列は配列のアミノ末端で開始してカルボキシ末端に向かって進む(すなわち、各列で左から右へ)標準の慣例に従う。
【0190】
以下の実施例を提供して実施形態をさらに詳細に説明する。それらは請求項に係る実施形態を説明するように意図され、限定することを意図するものではない。
【実施例
【0191】
以下の実施例は本明細書で請求項に係る化合物、組成物、物品、装置及び/または方法がどのように為され、評価されるかの完全な開示及び説明を当業者に提供するように提示され、純粋な例示であることが意図され、本発明者らがその発明と見なすものの範囲を限定するようには意図されない。数(たとえば、量、温度、等)に関して正確さを確保するように努力されているが、若干の誤差及び偏差が考慮されるべきである。別様に指示されない限り、部分は重量部であり、温度は℃であり、または周囲温度であり、圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。
【0192】
実施例1:患者の募集及び表現型決定
13歳のEO-IBD患者、IBDに罹患している彼の母親及び罹患していない父親にて全エクソーム配列決定及びトリオベースの変異型解析を行った。この家族は患者におけるEO-IBDの遺伝的評価について解明されている。
【0193】
実施例2:ゲノム試料
ゲノムDNAを末梢血試料から抽出し、全エクソーム配列決定のためにRegeneron遺伝学センター(RGC)に転送し、自動化バイオタンクにて-80℃で保存した。蛍光に基づく定量を行って、配列決定目的のための適切なDNAの量と質を確保した。
【0194】
1μgのDNAを150塩基対の平均断片長さに切断し(CovarisLE220)、Kapa Biosystemsの特注の試薬キットでエクソーム捕捉用に調製した。NimbleGen SeqCap VCRome 2.1またはIntegrated DNA Technologies xGenのエクソーム標的設計を用いて試料を捕捉した。試料をバーコード化し、プールし、Illumina HiSeq 2500 with v4 chemistryにて75bpペアエンド配列決定を用いて配列決定するために多重化した。捕捉した断片を配列決定し、20×以上の網羅度で網羅した最低85%の標的塩基を獲得した。配列決定に続いて、DNAnexus及びAWSを使用するRGCで開発されたクラウドベースのパイプラインを用いてデータを処理し、試料レベルのデータの生成及び解析のための標準的なツールを実行した。手短には、配列データを生成し、IlluminaのCASAVAソフトウェアを用いて脱多重化した。配列リードマッピングし、BWA-memを用いてGRCh37/hg19ヒトゲノム参照アセンブリに対してアラインメントを行った。アラインメントの後、重複リードをマークし、Picardツールを用いてフラグを付け、GATKを用いてインデルを再アラインメントして変異型コールの質を改善した。GATKのHaplotypeCallerを用いてSNP及びインデルの変異型及び遺伝子型をコールし、GATKの変異型品質スコア再較正(VQSR)を適用して変異型品質スコア全体に注釈をつけた。各試料について配列決定及びデータの品質のメトリック統計を取得し、取得性能、アラインメント性能及び変異型コールを評価した。
【0195】
実施例3:ゲノムデータの解析
最小読み取り深度(10超)、遺伝子型品質(30超)及び対立遺伝子バランス(20%超)に対する標準の品質管理フィルターをコールした変異型に適用した。RGCが開発した注釈及び解析パイプラインを用いて、合格した変異型を分類し、それらの潜在的な機能的効果(同義、非同義、スプライス、フレームシフトまたは非フレームシフトの変異型であるかどうか)に基づいて注釈をつけた。遺伝子データからの家系同一性に由来する測定基準を介して家族関係を検証し、PRIMUS(Staples et al.,Amer.J.Human Genet.,2014,95,553-564)及びこの家族について報告された家系図との相互参照を用いてコホートにおける近縁性及び関係性を推測した。
【0196】
家系に基づいた変異型の解析及び分離を行って、報告された家族歴を前提として常染色体優性遺伝パターンのもとでの候補疾患遺伝子を同定した。罹患した発端者と罹患した彼の母親との間で共有されたが、罹患していない父親とは共有されていない変異型をその後アノテーションし、人口抑制データベース、たとえば、dbSNP、1000ゲノムプロジェクト、NHLBIエクソーム配列決定プロジェクト、エクソーム凝集コンソーシアムデータベース(ExAC)及び内部RGCデータベースにおける観察されたそれらの頻度によってフィルターにかけて、共通する多型及び高頻度の、おそらく良性変異型をフィルターで除いた。変異型の機能的効果の生物情報での予測のためのアルゴリズム、たとえば、LRT、Poly-phen2、SIFT、CADD、及びMutation Tasterを、複数種の配列比較に基づく保存スコア(すなわち、GERP、PhastCons、PhyloP)と共に変異型のアノテーション過程の一部として組み込み、それを用いて、特定された候補変異型の潜在的な有害性について情報を提供した。
【0197】
13歳の患者にて早期発症型炎症性腸疾患と共に分離し、IBDに罹患した彼の母親から遺伝しているSIGIRR遺伝子にて稀少な切り詰めインデル変異型(SIGIRR:c.557delA;p.K186fs31)を同定した。図1(パネルA、B及びC)を参照して、クローン病(CD)の家族における優性分離によるSIGIRR遺伝子での切り詰め変異型の同定を示す。パネルAは母系遺伝によるc.557delA/p.K186fs31におけるSIGIRRでの切り詰め変異型を記載している表を示し;変異部位は種にわたって中立の保存スコアを有し、タンパク質機能に対する損傷が予測され;この変異型はExACブラウザーにて0.000471の変異対立遺伝子頻度を有する。パネルBはEO-IBDに罹患した患者(Utah81427)とクローン病に罹患した彼の母親(Utah81428)と罹患していない父親(Utah81429)の家系図を示し;黒記号はCDに罹患した人を示し、白記号は罹患していない人を示し;丸は女性、四角は男性を示す。パネルCはCDに罹患したUtah81427及びCDに罹患した彼の母親にて分離するが、罹患していない父親では観察されない同定されたSIGIRR切り詰め変異型の見て分かる確認を示す。
【0198】
実施例4:検出
対象におけるある特定の遺伝子変異型の存在は、対象が早期発症型炎症性腸疾患を有するまたは発症する高いリスクを有することを示すことができる。血液試料のような試料を対象から得ることができる。一般的な核酸抽出キットを用いて試料から核酸を単離することができる。対象から得られた試料から核酸を単離した後、遺伝子変異型が存在するかどうかを判定するために核酸を配列決定する。核酸の配列を対照配列(野生型配列)と比べることができる。対象から得られた試料から得られた核酸と対照配列との間で差異を見いだされることは、遺伝子変異型の存在を示す。これらのステップは上記の実施例にて及び本開示の全体を通して記載されているように実施することができる。1以上の遺伝子変異型の存在は、早期発症型炎症性腸疾患を有するまたは発症する対象の高いリスクを示すものである。
【0199】
実施例5:試験
材料及び方法
細胞株及び培養条件
エプスタイン・バーウイルスで形質転換したリンパ芽球様細胞株(LCL)は、University of Utah Health Sciences Centerにおいて、IRBにより承認された小児IBD患者から生成した。健常LCLはAmerican Type Cell Culture(ATCC;Manassas,VA)から購入した。細胞は、10%ウシ胎児血清(Gibco製品ID:12633)、1×Pen-strep(Gibco製品ID:15140122)及び1×L-グルタミン(Gibco製品ID:25030081)で補完したRPMI培地1640(Gibco製品ID:10438026)にて培養した。
【0200】
刺激条件
健常対照、SIGIRR LoF患者から生成したLCL及びSIGIRR LoFを内部に持たない4人のEO-IBD患者由来のLCLを2mg/mlのLPS(InvivoGen,SanDiego,CA)で72時間、または2mg/mlのαIgM/αCD40(Affymetrix,SantaClara,CA)で16時間刺激した。刺激に続いて、細胞培養上清を回収し、Mesoscale DiscoveryのV-Plexヒト炎症誘発性サイトカインパネル(K15049D)を用いて炎症誘発性サイトカインの分泌を定量するのに上清を使用し、及びMesoscale DiscoveryのQuickPlexSQ120を用いてそれを定量し、その後、RNAの配列決定によって補完した。
【0201】
統計
二元配置分散分析検定を用いて有意性を決定し、GraphPad PRISM(La Jolla,CA)を用いて3つの独立した実験からの結果を用い標準誤差を算出した。
【0202】
結果
図2を参照して、SIGIRR LoF患者から生成したLCLは健常なLCLまたはSIGIRR LoFを内部に持たないEO-IBD患者由来のLCLよりも多くのIFN-γ、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12p70、及びTNF-αを産生した。さらに、SIGIRR LoF患者から生成した未刺激のLCLは、健常なLCLまたはEO-IBD患者由来の一部のLCLよりも高レベルのIFN-γ、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12p70、及びTNF-αを分泌した。これはSIGIRR LoFのLCLは構成的に活性があり、LPS刺激に対して不応性であることを示している。図2を参照して、青色のバーは未刺激細胞から単離された上清を示し、赤色のバーはLPS刺激した細胞から単離された上清を示す。「」は二元配置分散分析によるp<0.05を示し;エラーバーは3つの独立した実験からの標準誤差を示す。
【0203】
図3を参照して、αIgM/αCD40による刺激に続いて、SIGIRR LoF患者から生成されたLCLは健常LCLまたはSIGIRR LoFを内部に持たないEO-IBD患者由来の一部のLCLよりも多くのIFN-γ、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12p70、及びTNF-αを産生した。さらに、SIGIRR LoF患者から生成された未刺激のLCLが健常LCLまたはEO-IBD患者由来の一部のLCLよりも高いレベルのIFN-γ、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、及びTNF-αを分泌したということは、SIGIRR LoFのLCLは構成的に活性があり、抗IgM/抗CD40の刺激に対して不応性であることを示している。図3を参照して、青色のバーは未刺激の細胞から単離された上清を示し、赤色のバーは抗IgM/抗CD40で刺激した細胞から単離された上清を示す。「」は二元配置分散分析によるp<0.05を示し;エラーバーは3つの独立した実験からの標準誤差を示す。
【0204】
未刺激の細胞では、健常対照から生成されたLCL及びSIGIRRの機能喪失(LoF)変異型を内部に持たないEO-IBD患者から生成されたLCLの双方と比べて切り詰められた(c.557delA;p.K186fs31)SIGIRRのEO-IBD患者のLCLにおけるIL-1β、IL-8、及びIL-6を含む重要な免疫修飾因子の上方調節が認められた。この所見はSIGIRRのLoF変異型を保有するIBD患者における独特の炎症特性を支持している。さらに、SIGIRR EO-IBD患者に由来するLCLがIL-1βまたはTLRの刺激による刺激に対して不応性であると認められたということは、SIGIRRの非存在下でのこれら炎症誘発性経路の構成的な活性化を支持している。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図3-5】
【配列表】
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