(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】航空装置の形状を有する遠隔操作可能な兵器
(51)【国際特許分類】
F41G 9/00 20060101AFI20230303BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20230303BHJP
B64C 27/10 20230101ALI20230303BHJP
B64C 27/50 20060101ALI20230303BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20230303BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20230303BHJP
B64U 10/10 20230101ALI20230303BHJP
F41G 7/30 20060101ALI20230303BHJP
F42B 25/00 20060101ALI20230303BHJP
F42C 1/00 20060101ALI20230303BHJP
B64D 1/04 20060101ALN20230303BHJP
B64U 101/18 20230101ALN20230303BHJP
【FI】
F41G9/00
B64C13/20 Z
B64C27/10
B64C27/50
B64C39/02
B64D47/08
B64U10/10
F41G7/30
F42B25/00
F42C1/00
B64D1/04
B64U101:18
(21)【出願番号】P 2020520028
(86)(22)【出願日】2018-10-05
(86)【国際出願番号】 US2018054767
(87)【国際公開番号】W WO2019177664
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-10-04
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520116997
【氏名又は名称】オーバーワークス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(72)【発明者】
【氏名】ヒル ジェフリー
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-535438(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0091263(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0051667(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0211589(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0167778(US,A1)
【文献】特開2000-266499(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0247714(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41G 9/00
F41G 7/30
F42B 25/00
B64C 13/20
B64C 27/10
B64C 39/02
B64D 47/08
F42C 1/00
B64C 27/50
B64D 1/04
B64U 10/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き添え被害を起こさぬように、爆発兵器を第一高度から地上又はその上空にある目的地点に投下する方法であって、
兵器を提供することを含み、
前記兵器は、
互いに反対側に位置する第一及び第二端部を有し、内部に爆発コンポーネントが配置された管状の本体と、
前記本体の第一端部又はその近辺に取り付けられ、駆動動作中に前記本体を中心に回転し、推力を与えることによって前記兵器を標的位置上空の第一高度に運ぶ複数のブレードと、
前
記本体の内部に配置され、選択的に前記駆動動作を行わせるように接続され、前記ブレードの回転を介して前記推力を与えることで前記兵器に推進揚力を与えるモーターと、
前記第二端部に沿って設けられ、前記兵器が飛行中に地表のビューを写した画像データのフレームを生成する撮像装置であって、赤外線画像又は可視光画像を取得する撮像装置と、
無線周波(rf)制御信号を受信するように構成され、当該受信信号に応じて前記兵器の他の構成要素の動作を実行させるように接続された第一受信回路と、
前記画像データのフレームを受信し、当該画像データのストリームを含むRF信号を送信するように接続されたrfビデオ送信回路と、
を備え、
前記方法は更に、ユーザーにより操縦可能で、前記兵器から離れて配置可能なリモコン装置を提供することを含み、
前記リモコン装置は、
ユーザー入力に応じて、飛行及びホバリング中の前記兵器の動作を人間が指示するための制御信号を送信するrf制御回路と、
前記画像データのストリームを受信するためのrf受信回路と、
前記rf受信回路から前記画像データを受信し、前記画像データのストリームから得られたスクリーン表示用画像データを表示するビデオ処理回路と、
を組み合わせたものを備えた回路を含み、
前記兵器が地表上空で飛行中、前記ブレードは前記モーターの上に位置し、中心軸周りに回転するためのシャフトを介し前記モーターに接続され、前記撮像装置は、前記兵器の真下の地表の一部のビューを写した画像データのフレームを生成可能であり、
更に、
前記駆動動作が開始され、それにより前記兵器に前記推進揚力が与えられた後、
前記兵器の撮像装置で取得した画像データに基づき前記兵器の真下の地表の一部のビューを写した画像データのフレームを生成可能であり、前記兵器が標的位置上空の空中位置に移動するようナビゲートするために前記リモコン装置から一以上の第一制御信号を送ることが可能であり、
前記兵器が標的位置上空の空中位置にある状態で、前記兵器を前記標的位置に向けて降下させて前記爆発コンポーネントを爆発させるために前記リモコン装置から一以上の第二制御信号を送ることが可能である、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、前記兵器は、操縦手が、前記リモコン装置の操作を通じて、前記兵器のモーター動作を停止して前記兵器を前記第一高度から前記標的位置に向けて投下し得る機構を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、前記兵器を降下させるステップでは、ブレードの回転方向を反転させて、それによりブレードをリフト又はホバーモードから下降モードに移行することで動力降下が行われる、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、前記一以上の第二制御信号を送るステップでは、ブレードの動力回転を停止し、重力により前記兵器を前記標的位置に向かい降下させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法であって、前記一以上の第二制御信号を送るステップでは、前記兵器を、前記標的位置に降下する前に当該標的位置の真上で浮遊させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記爆発コンポーネントを爆発させるステップは、前記兵器が表面に衝突したときに着発信管を用いて行われる、または、前記爆発コンポーネントを爆発させるように操作可能な起爆スイッチを用いて行われる、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記爆発コンポーネントは、前記兵器が表面に衝突したときに着発信管を用いること、または、前記爆発コンポーネントを爆発させるように操作可能な起爆スイッチを用いること、のいずれかによって爆発させることが操縦手によって選択可能であり、
前記爆発させるステップでは、前記リモコン装置の操縦手が、前記着発信管が配備されていない状態で前記爆発コンポーネントを爆発させたい場合、前記リモコン装置から送る第三制御信号で前記起爆スイッチを操作し、地上又はその上空で前記爆発コンポーネントを爆発させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記兵器は、前記爆発コンポーネントを爆発させるように操作可能な起爆スイッチを更に備え、
前記爆発させるステップでは、前記爆発コンポーネントが衝撃で爆発しない場合、前記リモコン装置から送る第三制御信号
で前記起爆スイッチを操作し、当該爆発コンポーネントを爆発させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記兵器を操縦手が手に持ち配備する、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記兵器は、前記操縦手が当該兵器を持って起動し、リモコン装置を介して当該兵器の移動を操作することにより配備される、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記表示は前記操縦手によって視認可能であり、前記操縦手は、前記表示を見て、地表に対する前記兵器の現在位置を監視し、前記表示を介して当該兵器の下方に標的を認識すると、前記リモコン装置を使って、選択した標的に前記兵器が直接降下可能になるようにする、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記兵器は、前記
標的位置に向かって、前記第一高度から地表に対し垂直方向に降下する、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記駆動動作では、前記ブレードを折り畳まれた位置又は格納された位置から、回転させて揚力を与える展開位置に配置する、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記ブレードは、バネ仕掛けで展開位置へ配置される、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
垂直離陸を行い、地表上空を飛行する航空装置
の形状を有する兵器であって、
上ケース部分と、前記上ケース部分の底部に取り付けられた下ケース部分を備えるケースと、
展開時に、推力を与えて前記
兵器を所望の位置上空の第一高度に運ぶため、前記上ケース
部分を中心に回転可能となるように前記上ケース
部分に取り付けられた複数の展開可能な同軸ブレードと、
前記上ケース
部分に取り付けられ、垂直離陸および飛行が可能なように前記
同軸ブレードを回転させる動力を選択的に提供するよう接続されるモーターと、
前記ケースに取り付けられたペイロードと、
前記下ケース
部分に取り付けられ、飛行中に前記
兵器から見た真下の地表の一部のビューを写した画像データのフレームを生成するように方向づけることが可能である撮像システムと、
前記兵器を前記第一高度か
ら標的に投下するために接続されたスイッチと、
を備え、
前記
兵器には、当該
兵器が標的位置上空の空中位置に移動するようナビゲートするためにリモコン装置から一以上の第一制御信号を送ることが可能である、
ことを特徴とする航空装置
の形状を有する兵器。
【請求項16】
請求項15に記載の航空装置
の形状を有する兵器を備えたシステムであって、
前記システムは、
前記
兵器の操縦、前記モーター及びカメラの動作を含む当該
兵器の動作、及び操縦のための前記
同軸ブレードの調整を制御するよう動作可能に接続されたマイクロプロセッサベースのサブシステムと、
前記
兵器を操縦して前記標的の上空位置に移動させ、前記兵器を前記標的に投下させるためのリモコン装置であって、rfリンクを介して前記マイクロプロセッサベースのサブシステムとのデータ送受信が可能であり、それにより前記第一高度から前記兵器を投下する前記スイッチの機能を含む前記
兵器の動作についての制御を行うリモコン装置と、
を備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項16に記載の航空装置
の形状を有する兵器であって、
遠隔信号を受信するように構成された受信機を更に備え、
前記
兵器が配備された際に、当該
兵器を操作して所望の位置に移動させ、前記所望の位置上空でホバリングするよう当該
兵器の飛行を前記遠隔信号を介して制御可能である、
ことを特徴とする航空装置
の形状を有する兵器。
【請求項18】
請求項16に記載の航空装置
の形状を有する兵器であって、
前記
同軸ブレードは、その回転が停止したときに、格納されるように構成されている、
ことを特徴とする航空装置
の形状を有する兵器。
【請求項19】
請求項15に記載の航空装置
の形状を有する兵器であって、
前記ペイロードは、前記
兵器を第一高度から前記所望の位置に投下されるように操作可能な兵器として機能させるスイッチと接続された爆発物、核検出器、化学物質検出器、生物剤検出器、リンペイロード、化学物質ペイロード、及び前記
兵器の周囲のエリアを照らすように構成された照明システムのうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする航空装置
の形状を有する兵器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年10月5日に出願された米国仮特許出願第62/568,518号「遠隔制御可能な航空兵器」及び2018年9月4日に出願された米国仮特許出願第62/726,976号「遠隔制御可能な航空兵器による監視徘徊」の優先権を主張し、各々の開示内容が参照により本明細書に組み込まれる。また、本願は2015年11月10日に出願された米国特許第10,093,417号「無人飛行装置」に関連し、当該特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、遠隔制御の無人航空機(UAV)又はドローンに関し、特に、一実施形態である兵器は、標的へ投下する手段及び爆発コンポーネントを含む。
【背景技術】
【0003】
戦場において、兵士達はミサイルを持ち運び敵を攻撃するが、その際に、罪のない人々への巻き添え被害がないという確信がないまま発射してしまう事があまりにも多い。同様の懸念は、手榴弾にもある。さらに、投擲されるか発射されるかに関わらず、こういった爆発物が一旦宙に放たれると、放った者は弾道を自身でコントロールする事が出来なくなり、到着点を変更することも出来ない。そこで、バックパックで持ち運べるほど軽くコンパクトでありながらも目的地までの操縦が可能なシステムを提供できれば、有益となるであろう。
【発明の概要】
【0004】
従来システムの前述又は他の例示的な問題、欠点、及び不利な点に鑑み、本発明の例示的な態様は、監視徘徊を行える遠隔制御可能な航空兵器を提供するものである。
【0005】
したがって、本発明の例示的な特徴は、第一高度から地上又はその上空にある目的地点に兵器を投下するための構造及び方法を提供することである。
【0006】
本発明の第一の例示的態様においては、前述及び他の特徴及び目的を達成するためとして、巻き添え被害を起こさぬように第一高度から地上又はその上空にある目的地点に爆発兵器を投下する方法を記載する。本方法は、兵器を提供することを含み、前記兵器は、互いに反対側に位置する第一及び第二端部を有し、内部に爆発コンポーネントが配置された管状の本体と、前記本体の第一端部又はその近辺に取り付けられ、駆動動作中に前記本体を中心に回転し、推力を与えることによって前記兵器を標的位置上空の第一高度に運ぶ複数のブレードと、前記管状本体の内部に配置され、選択的に前記駆動動作を行わせるよう接続され、前記ブレードの回転を介して前記推力を与えることで前記兵器に推進揚力を与えるモーターと、前記第二端部に沿って設けられ、前記兵器が飛行中に地表のビューを写した画像データのフレームを生成する撮像装置であって、赤外線画像又は可視光画像を取得する撮像装置と、無線周波(rf)制御信号を受信するように構成され、当該受信信号に応じて前記兵器の他の構成要素の動作を実行させるように接続された第一受信回路と、前記画像データのフレームを受信し、当該画像データのストリームを含むRF信号を送信するように接続されたrfビデオ送信回路と、を備える。本方法は更に、ユーザーにより操縦可能で、前記兵器から離れて配置可能なリモコン装置を提供することを含み、前記リモコン装置は、ユーザー入力に応じて、飛行及びホバリング中の前記兵器の動作を人間が指示するための制御信号を送信するrf制御回路と、前記画像データのストリームを受信するための第二受信回路と、前記rfビデオ送信回路から前記画像データを受信し、スクリーン上に当該画像データを表示するビデオ処理回路と、を備え、前記兵器が地表上空で飛行中、前記ブレードは前記モーターの上に位置し、中心軸周りに回転するためのシャフトを介し前記モーターに接続され、前記撮像装置は、前記兵器の真下の地表の一部のビューを写した画像データのフレームを生成するように方向付けられる。本方法は更に、前記駆動動作を始め、それにより前記兵器に前記推進揚力を与えることと、前記兵器の撮像装置で取得した前記画像データの表示フレームに基づき、前記リモコン装置から一以上の第一制御信号を送ることで、前記兵器が標的位置上空の空中位置に移動するようナビゲートすることと、前記リモコン装置から一以上の第二制御信号を送ることで、前記兵器を前記標的位置に向けて降下させることと、前記爆発コンポーネントを爆発させること、を備える。
【0007】
本発明の他の例示的態様においては、前記兵器は、ユーザーが、前記リモコン装置の操作を通じて、前記兵器のモーター動作を停止して前記兵器を前記第一高度から前記標的位置に向けて投下し得る機構を含む。
【0008】
本発明の他の例示的態様は、前記動力降下が、下降を加速するためにブレードの回転方向を反転させて、それによりブレードをリフト又はホバーモードから下降モードに移行することで行われる、実施形態である。
【0009】
本発明の他の例示的態様は、前記一以上の第二制御信号を送るステップで、ブレードの回転を停止し、重力により前記兵器を前記標的位置に向かい降下させる、実施形態である。
【0010】
本発明の他の例示的態様は、前記一以上の第二制御信号を送るステップで、前記兵器を、前記標的位置に降下する前に当該標的位置の真上で浮遊させる、実施形態である。
【0011】
本発明の他の例示的態様は、前記爆発コンポーネントを爆発させるステップが、前記兵器が表面に衝突したときに着発信管を用いて行われる、実施形態である。
【0012】
本発明の他の例示的態様は、前記爆発コンポーネントを爆発させるステップは、着発信管を作動させることなく前記標的位置又はその近辺で行われる、実施形態である。
【0013】
本発明の他の例示的態様は、前記兵器が前記爆発コンポーネントを爆発させるように操作可能な起爆スイッチを更に備え、前記爆発させるステップでは、前記リモコン装置のユーザーが着発信管を使用せずに前記爆発コンポーネントを爆発させたい場合、前記リモコン装置から送る第三制御信号で前記起爆スイッチを操作し、地上又はその上空で前記爆発コンポーネントを爆発させる、実施形態である。
【0014】
本発明の他の例示的態様は、前記兵器が前記爆発コンポーネントを爆発させるように操作可能な起爆スイッチを更に備え、前記爆発させるステップでは、前記爆発コンポーネントが衝撃で爆発しない場合、前記リモコン装置から送る第三制御信号で前記起爆スイッチを操作し、前記爆発コンポーネントを爆発させる、実施形態である。
【0015】
本発明の他の例示的態様は、前記兵器を操縦手が手に持ち配備する、実施形態である。
【0016】
本発明の他の例示的態様は、前記兵器が、前記操縦手が当該兵器を持って起動し、リモコン装置を介して当該兵器の移動を操作することにより配備される、実施形態である。
【0017】
本発明の他の例示的態様は、前記操縦手が、前記リモコン装置のディスプレイを見て、地表に対する前記兵器の現在位置を監視し、前記ディスプレイを介して当該兵器の下方に標的を認識すると、前記リモコン装置を使ってブレードへの電力を停止し、前記操縦手が、選択した標的に前記兵器が直接投下されるようにし、前記爆発コンポーネントが、前記標的位置に沿った面に衝突すると爆発する、実施形態である。
【0018】
本発明の他の例示的態様は、前記兵器が、前記目標位置に向かって、前記第一高度から地表に対し垂直方向に投下される、実施形態である。
【0019】
本発明の他の例示的態様は、前記駆動動作では、前記ブレードを折り畳まれた位置又は格納された位置から、回転させて揚力を与える展開位置に配置する、実施形態である。
【0020】
本発明の他の例示的態様は、前記ブレードがバネ仕掛けで展開位置へ配置される、実施形態である。
【0021】
他の例示的実施形態は、互いに反対側に位置する第一及び第二端部を有する管状の本体と、前記本体の第一端部又はその近辺に取り付けられ、展開時に、推力を与えて前記兵器を標的位置上空の第一高度に運ぶため、前記本体を中心に回転可能な複数の展開可能ブレードと、前記管状本体部分に取り付けられ、前記ブレードが展開された後に、前記ブレードを回転させる動力を選択的に提供するよう接続されるモーターと、前記管状本体に取り付けられた爆発物と、前記兵器を前記第一高度から前記標的に投下するために接続されたスイッチと、前記兵器から見た地表の一部のビューを生成するカメラと、を備え、前記兵器は、展開されると、その飛行がリモコン装置により制御可能で、それにより当該兵器は、前記標的の上空に移動され、当該標的に投下される。
【0022】
本発明の他の例示的態様はシステムであって、前記兵器の操縦、前記モーター及び前記カメラの動作を含む前記兵器の動作、及び操縦のための前記ブレードの調整を制御するよう動作可能に接続されたマイクロプロセッサベースのサブシステムと、前記リモコン装置とを備え、前記リモコン装置は、rfリンクを介して前記マイクロプロセッサベースのサブシステムとのデータ送受信が可能であり、それにより前記第一高度から前記兵器を投下する前記スイッチの機能を含む前記システムの動作についての制御を行う。
【0023】
他の例示的実施形態は、地表上空を移動する兵器を含み、当該兵器は、上部ケースと、前記上部ケースの底部に取り付けられた下部ケースと、複数の展開可能な同軸ブレードであって、推力を与えて前記兵器を標的位置上空の第一高度に運ぶため、展開時に前記上部ケースを中心に回転可能となるよう当該上部ケースに取り付けられたブレードと、前記上部ケースに取り付けられ、垂直離陸及び垂直飛行ができるようにブレードを回転させるための動力を選択的に提供するように接続されたモーターと、前記下部ケースに取り付けられたペイロードと、前記下部ケースに取り付けられ、兵器から見た地表の少なくとも一部のビューを生成するように配置された画像システムと、遠隔信号を受信するように構成された受信機と、を備え、前記兵器が配備された際に、当該兵器を操作して目標位置上空に位置するよう当該兵器の飛行を前記遠隔信号を介して制御可能である。
【0024】
本発明の他の例示的態様は、前記ペイロードが爆発物を含む実施形態である。
【0025】
本発明の他の例示的態様は、前記ブレードが、その回転が停止したときに、格納されるように構成されている、実施形態である。
【0026】
本発明の他の例示的態様は、前記ペイロードが、核検出器、化学物質検出器、生物剤検出器、リンペイロード、化学物質ペイロード、及び前記兵器の周囲のエリアを照らすように構成された照明システムのうちの少なくとも1つを含む、実施形態である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
前述及び他の目的、特徴、並びに利点は、図面への参照及び以下に記載の本発明の実施形態の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態の斜視図であり、ここではブレードが広げられた状態にある。
【
図2】
図2は、
図1に示す実施形態の斜視図であり、ここではブレードが折り畳まれた状態にある。
【
図8】
図8は、CPUコントローラの一実施形態の詳細図である。
【
図9】
図9は、CPUコントローラの別の詳細図である。
【
図10】
図10は、探知ヘッドを有する実施形態の斜視図である。
【
図18】
図18は、閉じられた状態にある照明ヘッドを有する実施形態の斜視図である。
【
図28】
図28は、電磁パルス(EMP)ヘッドを有する実施形態の斜視図である。
【
図36】
図36は、リモコン装置の例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面を参照すると、本発明による方法及び構造の例示的な実施形態が示されている。
【0029】
図示された兵器1の実施形態は、ペイロードと、Ascent AeroSystems、LLCに譲渡された米国特許第一0,093,417号に記載されているものと同様の同軸ドローンと呼ばれる無人飛行装置とを組み合わせたものである。他の実施形態においては、本兵器1は、標的に放つのに適した形であれば、他の無人航空機(UAV)の形を有していてもよい。爆弾を航空機により運び発射する、又はまたそういった輸送手段により運ばれたペイロードを「落とす」のではなく、本兵器1は、一体成形されたUAVの機能を持ち、それにより戦場において、標的上空の選択高度及び位置に到達するよう飛行制御が出来る。そして、この位置に達すると、本兵器1は、そのまま標的に投下されるよう制御出来る。
【0030】
図1に示されているのは、駆動形態にある本兵器1であり、ここではプロペラ/回転ブレード38が飛行用に開いている。本兵器は、上部ケース41及び下部ケース43などから構成されている。
図2は、ブレード38が折り畳まれた状態の本兵器1を示している。
図1から
図3は、本兵器1の構成要素の配置を示し、上部ケース41は、本兵器1が地表に対し垂直に配備されたとき、その反対側の第二下端部6の上に位置する第一上端部5を有している。
図4及び
図5は、本兵器を、それぞれ上面及び底面から示した図である。
【0031】
図6に示すように、上部ケース41はモーター46を備えており、このモーター46は、上部ケース41の第一上端部5を越えて延びるモーターシャフト45を有している。モーターシャフト45は、プロペラとも呼ばれる回転ブレード38に、それを連動させるために連結されている。このプロペラ38は、ギアシャフト37を介してモーターシャフト45に連結されている。トランシーバ36及びアンテナは、モーターシャフト45の上に取り付けられており、本兵器1の最上端に位置する。バッテリー47は、図示のとおり、上部ケース41内のモーター46の下に搭載され、モーター46に電力を供給し、それによりブレード38を折り畳まれた位置から動作位置に動かし、そして推進力を発生して本兵器1を上昇させ移動させる。サーマルカメラ52は、図示のとおり、下部ケース43の最下部において、地表に沿って視界を撮影できる位置に配置されている。マイクロプロセッサベースシステム50は、爆薬とサーマルカメラ52の間に配置されている。ドーム44はカメラ52を覆ってもよい。
【0032】
図7は、本兵器1の分解斜視図である。加えて
図8及び
図9は、下部ケース43の構成要素の詳細図であり、マイクロプロセッサベースシステム(CPU/コントローラ)50、着発信管49又はインパクトボタンスイッチ51により点火される点火薬、及びサーマルカメラ52を含んでいる。インパクトボタンスイッチ51は、地面との衝突時に信管49を点火するものであり、マイクロプロセッサベースシステム50とサーマルカメラ52との間に配置されるが、他の配置構成及び配列構成を用いてもよい。マイクロプロセッサベースシステム50は、図示のとおり、ビデオカメラ52及びスクリーンレチクルを制御するマイクロコンピューターボード(1GHzシングルコアCPU、512MB RAM、ミニHDMI及びUSBコネクター、Hat互換40ピンヘッダー、コンポジットビデオ出力、CSIカメラコネクター、ブルートゥース、802.11 WiFi接続など)上に格納される。このシステムは、全地球測位システム(GPS)情報も提供する。例えば、カメラ52は、80×60アクティブピクセルの一又は複数の焦点面アレイ、IRセンサが強化された非冷却熱探知カメラ、及び50度の視野を有する放射測定可能な長波赤外線(LWIR)カメラでよい。ドーム44用に選ばれる材料は、赤外領域で透明性のあるゲルマニウムガラスでよく、熱撮像のための前面光学部品として有利に機能する。実施形態によっては、カメラレンズが下部ケース43から突出するようにするため、ドーム44は必要ではない場合がある。
【0033】
本兵器1は、遠隔制御による飛行ナビゲーションのもとでの標的への空輸用に提供される。ナビゲーションは、本兵器1を地上から発射した人物により行ってもよい。本兵器1に搭載され、ビデオ画像を生成するカメラ52は、ビデオCCDカメラ、赤外線又は熱カメラ、又は他の種類の撮像装置でもよい。説明の都合上、以下の実施形態において、この撮像装置をサーマルカメラ52と呼ぶ場合もあるが、本発明はそれに限定されない。サーマルカメラ52は、飛行中に地表のビューをリモコン装置3に提供可能なように、兵器1上に配置される。実施形態によっては、このカメラ52は、地表に向かって下向きになり、目標エリアの有用なビューを提供し、本兵器1の投下の狙いを下方の標的につける、又はその投下を指示するアシストを行う。
【0034】
図1に見られるとおり、本兵器1は、飛行制御データ、撮像データ、ペイロード制御データ、及び本兵器1との間で送受信されることが望ましいと思われる他のデータを送受信するための受信機又は送受信機36有している。
【0035】
本兵器1においてUAVの機能を提供する例示的構成には、互いに反対側に位置する第一及び第二端部5及び6を有し、軸対称で管状の上部ケース41が含まれる。実施形態によっては、上部ケース41の第一上端部5と第二下端部6は、第一カップリング20を用いて連結されている。第一カップリング20は、上部ケース41を下部ケース43に取り外し可能に嵌合連結するためのねじ部を有していてもよい。また、このカップリング20の機能は、締め具による締め付け、留め具の使用、又は取り外し不可能な連結手段によって実現してもよい。上部ケース41については、ABS管で形成されてもよい。
【0036】
展開可能な回転ブレード38は、上部ケース41の第一上端部5又はその近傍に取り付けられている。モーター46も、上部ケース41の第一上端部5に配置されている。モーター46の動作は、隣接するバッテリユニット47への接続を介した電力により、リモコン装置3を用いて制御されてもよい。リモコン装置3が様々なレベルの電力を選択的に生成することにより、モーター46は、様々なレベルの推力でブレード38を展開及び回転させるように動作可能である。展開されると、ブレード38は、兵器1を地面に沿って動いて目標位置上空の第一高度に位置させるため、上部ケース41の周りを回転して推進力を与える。
【0037】
図1から
図9に示す実施形態では、ブレード38は、回転中心軸の周りの2つの高さに配置されているが、他の周知のブレード構成で実施してもよい。ブレード38は、ピン39によって取り付けられた付勢ユニット又はバネ装置40を含んでいてもよく、そうすることでブレード38は、配備された際に折り畳まれた位置から延びることができる。これにより、未使用時に本兵器1をより簡単に運ぶことができる。
【0038】
本兵器1が標的上空の所望の位置についた際に、リモコン装置3は回転動力を切ることにより、ブレード38を、回転を停止させて、折り畳むことができる。その結果、重力により、本兵器1は標的に向かって、爆弾として効果的に投下される。他の実施形態では、この回転動力を発生するシステムは、モーターが、ブレード38を折り畳ませることなく本兵器1を標的に向かって降下する動力を与えるように、ブレード回転を逆に動作させることが可能な構成としてもよい。すなわち、個々の任務やペイロードに応じて、本兵器1の標的に対する静かで低抗力のアプローチのために、ブレードを折り畳んでもよいし、勢いよく迅速なアプローチのために、ブレードに下向きの推力をかけてもよい。
【0039】
ペイロードは、爆発コンポーネント48、化学物質/生物/放射線検出ユニット、LEDアレイなどの照明ユニット、電磁パルス装置、又は任務要件に応じた他の有用なペイロードであり得る。典型的なペイロードは、下部ケース43に配置され得る。下部ケース43は、異なるタイプのペイロードへの変更を可能とするため、モジュール式又は取り外し可能としてもよい。
【0040】
本兵器1の爆発コンポーネント48は、円筒対称の下部ケース43内に格納される円筒形状としてもよく、上部ケース41と共通の中心軸を共有するように取り付けられる。本兵器1の下部ケース43は上部ケース41の第二下端部6の下に位置し、第二カップリング11を介して上部ケース41に取り付けられている。第二カップリング11は、嵌合用のねじ山を含んでいてもいいし、またその作用を、カップリング20に関連して説明したような他のカップリング手段で行ってもよい。下部ケース43は、ABS管で形成されてもよい。図示の構成では、バッテリー47は、モーター46の下、上部ケース41の第二下端部6に配置され、爆発コンポーネント48は下部ケース43の上部に格納されている。
【0041】
図7から
図9を参照すると、例えばマイクロプロセッサベースシステムを含む電子制御装置50が、下部ケース43内の爆発コンポーネント48の下に配置されている。熱カメラ52は、下部ケース43の最下部において、マイクロプロセッサベースシステム50の下部に取り付けられており、下部ケース43の透明ドーム44がある箇所に格納されている。このドーム44により、飛行中、カメラレンズが地表に対する広角度の視野を提供できる。本兵器1の飛行中、カメラ52は、無線周波数リンクを介してリモコン装置3に表示するため、地上部分又は関心ある地上工作物を撮像する。リモコン装置3を用いて本兵器1を操縦する者は、標的上空の任意の位置まで地表に沿って本兵器1を操縦することができる。マイクロプロセッサベースシステム50は、CPUならびに他の制御及び記憶用のシステムを有していてもよい。マイクロプロセッサベースシステム50は、特定の飛行特性を自律的に又は別の方法で処理し、飛行支援機能、障害物回避機能、自動操縦機能、標的感知機能、標的照準機能、群飛機能、及びコンピュータシステムにより行われる他の適切な機能を提供するようにしてもよい。
【0042】
爆発コンポーネント48は、着発信管49により爆発するようにしてもよい(例えば、衝撃力で爆発するよう硝酸アンモニウムとアルミニウム粉末などの金属との組み合わせで形成)。この着発信管49もボタン/スイッチ51に繋げ、それにより爆発を引き起こすようにしてもよい。
【0043】
例示的な一実施形態において着発信管49となる材料は、電子爆発式雷管M6アセンブリとして販売されており、これもまた上記ボタン/スイッチとして機能する点火薬を含んだアルミニウム合金カップを有する。点火薬は、無煙パウダー、塩素酸カリウム、ジニトロの鉛塩、オルトクレゾール、及びRDX(O2NNCH2)3の添装薬からなる。
【0044】
点火薬において電橋線(火花を発生させる)で繋がれた2本のリード線は、本構成においてボタン/スイッチ51として機能するカップの開放端内にゴム(又はゴムと硫黄)栓アセンブリを通って延びる。この栓アセンブリは、2つの円周方向のシボにより、カップに固定される。ボタン/スイッチ51は、電子爆発回路を有していてもよく、それにより、本兵器1の地面又は他の物体への衝突なく、着発信管49を作動出来るようになる。このような爆発回路は、リモコン装置3から出されたコマンドに応答して、信管49を作動させ爆発コンポーネント48を爆発させる。着発信管49によって爆発するコンポーネント48は、プラスチック爆薬(組成物C-4)、又は硝酸アンモニウム又は過塩素酸アンモニウムとアルミニウムなどの金属との組み合わせでもよい。
【0045】
リモコン装置3の設計及び機能は特に限定されず、直接又は間接的に兵器1と通信することが可能である。リモコン装置は、例えば、スマートフォン、単一又は複数帯域幅のリモコン、防衛システム、又は他の適切な制御手段であり得る。
図36は、市販のリモコン装置3を示しており、これはカメラ52からの画像を表示するためのディスプレイ71と、第一周波数(例えば2.4GHz)で送信する第一アンテナ72と、第二周波数(例えば5.8GHz)で送信する第二アンテナ73とを有している。図示の装置3は、スロットル/方向舵制御スティック74及び昇降舵/補助翼スティック75を含む。この装置3はまた、電源ボタン76、スタートボタン77、ジンバルコントローラ78、第二ディスプレイ79も有しており、他の特殊機能のための様々なコントローラも有し得る。
【0046】
本兵器1は、戦闘環境や、敵位置の観察をする際に狙撃手がいて見つかる危険性が高い時などに役立つ。例示的な実施形態では、同軸ドローンを備えた本兵器1はバックパックで運ぶことができ、手から発射可能で、熱画像で標的の姿のリアルタイムビデオフィードを提供しながら、標的の上空を遠隔操作で飛ばすことができる。標的が熱画像に写り、本兵器1が標的の真上に配置されると、リモコン装置3のボタンコマンドが起動される。すると、回転ブレード38が停止し、重力でドローンが爆弾として標的に投下され、その衝撃により爆発する。
【0047】
民兵により発射されてから飛行中にも制御可能な兵器が記載されているが、これにより、飛行中にも目的地を選択できるようになり、この兵器を発射した者は兵器から取得した情報に基づいて目的地を変更できるようになる。開示された兵器は比較的軽く、コンパクトで、パックに入れて運ぶのに適している。一デザインにおいては、この兵器の長さは20インチ(51cm)に制限されており、バッテリー47により、2kgのペイロードを輸送しながら30分間飛行する。
【0048】
本実施形態では、兵器1は手で配備可能である。例えば、兵士-操縦手は、発射の際に手動で電源を入れて回転ブレード38の回転を開始させてもよく、その後、リモコン装置3による無線(rf)操縦で兵器1の動きを制御してもよい。本兵器1が飛行している間、操縦手はリモコン装置のモニターを見ることで、対地位置を監視し得る。その表示は、本兵器1からのライブ映像に基づいている。そして、本兵器1の下方に標的を発見すると、リモコン装置3を使用し即座に回転ブレード38を停止し折り畳む。この動作は、実施形態によっては、付勢装置又はバネ21を介してばね負荷されてもよい。これにより、本兵器1は選択した標的に直接投下できる。標的の表面と接触すると、巻き添え被害を最小限に抑えられるという確証とともに、着発信管49による爆薬への点火がなされる。爆発による被害を地上に生じさせないようにする必要が生じた場合、リモコン装置3を使用し爆発コンポーネント48を爆発させることも可能である。
【0049】
本発明により、兵士は、サーマルレチクル及び遠隔制御ディスプレイ71を介して、強力で軽量な遠隔投下可能軍需品を高精度に運ぶことができる。本兵器1は、開いている窓など、構造物を通って進むことが可能で、巻き添え被害を全く又はほとんど伴わずに、シャフトなどを通じて投下可能である。また、本兵器1に赤外線(LED)ライトを取り付け、地表に沿って照射し、それにより標的の識別を確保することも可能である。加えて、所望の目的地への移動を容易にするため、操縦手は特定のGPS目標位置と目標位置上空の高度を指定してもよい。更に、本兵器1を、GPS座標が操縦手の視線上にない場合でも、その位置に自動的に投下されるようにプログラムしてもよい。本兵器1は、多種の信管で動作可能であり、その種類は、方針及び安全手順並びに武器の互換性に合うよう変更してもよい。
【0050】
図示された実施形態は、ドローン爆弾システムを含んでいる。これは無人同軸空輸手段の一種であり、視界にある地上標的及び視界にない地上標的の両方に、爆発弾頭又は他の従来型及び非従来型の特殊弾頭と共に接敵するように設計されている。これらの実施形態は、地上戦闘員に誘導式又は誘導可能な精密兵器を提供することができる持ち運び可能な徘徊型兵器である。このシステムには、高解像度の電気光学カメラや赤外線カメラが装備されており、それにより、操縦者が標的を見つけて監視したり、標的まで誘導することができる。これらの実施形態の有利な効果の一つは、撃ち込む前に長時間空中で「徘徊する」機能であり、操縦者に、いつ何に撃ち込むかを決める時間を与えてくれる。この機能により、爆弾が投下される前の撤回が可能となり、戦闘員が、不慮の事故がないよう又は地上の状態を考慮し、補正ができる。これは、地上要員を危険にさらす可能性のある従来のミサイルと比べたときの効果である。
【0051】
開示した徘徊型兵器の実施形態からは、多くの作戦が恩恵を受けることができ、ロケットや迫撃砲などの従来からある選択肢と比べ、固有かつ新しい一連の機能が提供可能である。そういった恩恵の1つは、迫撃砲、ロケット、小型ミサイルなどの武器と比較し、戦闘員と非戦闘員を区別する機能が向上しているということである。徘徊機能により、ユーザーは、攻撃前に、潜在的な標的を長時間にわたって検出及び追跡可能である。これにより、敵意のない標的の巻き添え被害を最小限に抑えることができる。
【0052】
記載された実施形態による別の恩恵は、同等の武器と比較して精度が改善されていることである。例えば、手榴弾は360度に爆破を起こすが、実施形態は、それより正確に標的の爆破を行える前方爆破を起こす。加えて、他の兵器は操縦できないが、開示した徘徊型兵器では、操縦可能である。また、「中止合図」機能により、このドローン爆弾システムの操縦手は、飛行中に攻撃をキャンセルし、被害なく兵器を止めることができる。従来のロケット、迫撃砲、ミサイルには、この機能はない。本発明のいくつかの実施形態では、弾頭が交換可能であり、それによりこのドローン爆弾システムを、殺傷力のある武器から殺傷力のない戦略的使用のものへと変更できる。
図10から
図17に示された例示的実施形態は、そのようなものの一つで、ペイロードとして、核及び生物化学兵器(NBC)探知弾頭53を含む。これはある地区を飛行し、NBC汚染物質の存在を確認するための空気サンプルを取得するもので、これにより隔離地域に入る人員を危険に晒さずにすむ。
図16の分解図にあるように、探知ヘッド53は、本体ケース54、バッテリー47、CPU/コントローラシステム50、そしてミニバキューム55を通気口57に隣接させておくために配置するグリッド56を含んでいてもよい。
【0053】
本兵器1の他の例示的実施形態が
図18から
図27に示されており、これらは照明ヘッド58を有するペイロードを示している。照明ヘッド58は、任意のタイプの照明装置でよい。
図18から
図27に示す例では、照明ヘッド58は、傘型機構59、膜又は反射カバー60、及びLEDアレイ/ストリップ61を含む。LEDストリップ61については、3M(商標)粘着バックを有し、ストリップごとに54個のLED照明を備えたLEDストリップ照明で形成してもよく、それらが36インチに延びる。これらのストリップは、3つのLEDごとに切断できるようブラントカット接続となっている。12V照明ストリップであれば、透明無色又は赤色で、IP67定格の耐水性及び防塵性がある。これらのLEDは、ミッションに応じて任意の色にしてもよい。LEDストリップ61は、夜間視力を支援するための赤外光を発するようにしてもよい。
【0054】
図18及び
図20に示されるように、傘機構59は、照明ヘッド58を起動させるまで閉じたままでもよい。これにより、保管と輸送が容易になり、飛行特性と隠密性が向上する。そして、
図19及び
図21に示すように、所定の位置についたら傘機構59が開くというようにしてもよく、それにより反射カバー60が開き、LEDストリップ61が所定の位置に配置され、所望のエリア(この例では、通常、地上エリア)が照らされる。これらのユニットは、火災の原因となるとともに、「消す」ことができない短命の照明砲の代わりに使用できる。それに対して、本発明による照明アレイは、必要なときに光スイッチのようにオン・オフを切り替えることができる。
【0055】
図24から
図27に示されるように、照明ヘッド58は、標的エリアをより長く照らすために、バッテリー47及び追加バッテリー63を有していてもよい。ここでは、照明システムや本兵器1の他の機能を制御するマイクロプロセッサベース制御システム50’も有している。このシステム50の機能コントロールには、リモコン装置3が使用される。
図28から
図35に示される実施形態では、電子システムを無力化するのに有用な電磁パルス(EMP)弾頭64が示されている。一実施形態では、このEMP弾頭64は、本ユニットが電柱又は他の戦略的電子標的に着地し、例えば磁石64で強磁性面に取り付けられるというような事を可能にする取り付け機構を含む。その後、本ユニットは、建造物への深刻な損傷なく標的を無力化するEMPパルスを放射できる。EMP弾頭64は、バッテリー47、マイクロプロセッサシステム50”、及びEMPパルスを発生させるのに使用される銅コイル66及びコンデンサー67を含む。この実施形態では、磁石68は兵器1の下端に配置され、EMPパルス放出前に本兵器1が着地する場所に取り付けられる(飛行特性及び磁力によっては中間領域に取り付けられる)。
【0056】
さらに別のオプションは、刺激物(メース、ペッパースプレー)の散布により群衆を分散させる場合のペイロードである。地上要員は、抗議活動を行っている群衆の上空に本ユニットを飛ばし、例えば催涙ガスを特定のグループの真上で放出することにより、群衆の特定エリアのみを狙うことができ、それにより罪のない一般大衆に影響が及ぶのを避けることができる。ガスは、群衆全体に均一に散布されるようにしてもよく、それにより、人々を傷つけたり、平和維持活動要員に投げ戻される可能性のある発射物の利用を回避できる。
【0057】
実施形態によっては、ペイロードは高エネルギーリン弾頭を含んでいてもよく、これは例えば磁石を介して戦車や他の車両又は設備に取り付けられ、発火し、金属や他の物質を溶かし、標的を無効化する。標的の例としては、装甲車両、航空機、レーダー、設備などがある。
【0058】
適応するペイロードを備えた実施形態に加え、本発明は、任務に応じて異なるサイズのドローン/ペイロードパッケージを含むように拡張可能である。例えば、開示されたドローン爆弾システムは、複数(例えば3つ)のサイズで利用できるよう拡張可能である。したがって、一実施形態は、長さ8インチ程度で、M203手榴弾と同じようにパウチに入れて兵士のモールベストに取り付け可能な手持ちサイズのミニシステムであり得る。このユニットは、高破壊力のペイロード弾頭のみを有することになるであろうが、兵士が複数のユニットを持ち運べるほど小さく、それらを標的に遠隔誘導出来るので、兵士が大きな危険にさらされることもない。この兵器は、迫撃砲やM203グレネードランチャー型のシステムなど、現在使われている多くの兵器の代わりとなるか、又は改良品となれるであろう。
【0059】
他の可能実施形態は、交換可能な弾頭を有し、長さ22インチ程度で、MOLLEシステムに取り付けられた筒に入れて兵士のリュックサックに取り付け可能なミドルサイズのシステムを含む。いくつかの実施形態は、大型システムであってもよく、例えば長さ6フィート程度で、テロリストキャンプを完全に破壊できるほどの殺傷ペイロードを運ぶことが可能である。この実施形態は、軍の自動飛行ソフトウェアと互換性があり、50マイル以上の距離を輸送可能である。
【0060】
開示されたドローン爆弾システムは、正確な精度を特徴とする効果的なペイロード投下システムであるため、敵の防楯は完全に無意味なものとなる。このシステムは、コンパクトな携帯型ドローン爆弾のかたちでもよく、スナイパーや隠れた標的を無力化し、更に重要な点として、兵士が防楯から身を乗り出す必要性をなくす事ができる。兵士は、リモコン装置を利用して、熱撮像機能を備えたドローン爆弾システムを、バックパックからより安全に発射できる。長さ22インチのドローン爆弾システムであれば、重量は5ポンドで、射程は25キロメートルである。本ドローン爆弾システムの同軸UAVの実施形態が目標物の上空に到着し、標的が兵士のディスプレイユニットのサーマルレチクル内に入ると、爆発物が重力又は逆推力を利用して標的に落とされる。爆発性が強力なペイロードは、他の兵器によって引き起こされるような巻き添え被害を起こさぬように標的に到達する。本ドローン爆弾システムは、推定500%の命中確率の向上を兵士に提供し得る。
【0061】
本発明の例示的な実施形態が示されてきたが、本発明はそれらに限定されない。本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によってのみ限定され、各請求項は別個の実施形態を構成する。実施形態は、異なる請求項を組み合わせたものでもよい。異なる実施形態の組み合わせは、本特許請求の範囲内であり、本開示を確認した当業者には明らかであろう。