(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】情報取得システム用のフレームを有するグレージング
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20230303BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
C03C27/12 N
B60J1/00 J
(21)【出願番号】P 2020538946
(86)(22)【出願日】2019-01-23
(86)【国際出願番号】 US2019014654
(87)【国際公開番号】W WO2019147605
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-11-04
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002200
【氏名又は名称】セントラル硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】バード,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ボグスラフスキー,カタリナ
【審査官】須藤 英輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-026248(JP,A)
【文献】国際公開第2015/186839(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/00-29/00
C03C 17/00-17/44
B60J 1/00-1/20
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ラミネートグレージングであって、
少なくとも第1面および第2面を有し、第1面が車両外部へ面する第1のガラス基板と、
少なくとも第3面および第4面を有し、第4面が車両内部へ面する第2のガラス基板と、
上記第1のガラス基板と上記第2のガラス基板との間の第1の中間層と、
第1の情報取得システム用の第1の開口領域を提供する不透明プリントと、ここで、上記第1の開口領域は上記第1の情報取得システム用の第1の要求開口部よりも大きく、
少なくとも一部が上記第1の開口領域内にある第1の暗色化源と、ここで、上記第1の暗色化源は、上記第1の開口領域内に第2の開口領域を提供し、上記第1の要求開口部は上記第2の開口領域内に収まり、
を備え、
上記第1の開口領域は上記第2の開口領域よりも大き
く、上記第1の暗色化源は、第4面に隣接した遮蔽物を含み、上記遮蔽物は、物体を自動車用ラミネートグレージングに取り付けるための取付デバイス、あるいは、上記自動車用ラミネートグレージングと他の物体との間に配置された嵌め込みデバイスである、
自動車用ラミネートグレージング。
【請求項2】
上記第1の開口領域全体にわたる平均可視光透過率が70%未満であり、上記第2の開口領域全体にわたる平均可視光透過率が少なくとも70%である、請求項1に記載の自動車用ラミネートグレージング。
【請求項3】
上記第1の暗色化源は、3%以下の可視光透過率を有する、請求項1に記載の自動車用ラミネートグレージング。
【請求項4】
上記第1の暗色化源が、上記第2の開口領域を完全に囲っている、請求項1に記載の自動車用ラミネートグレージング。
【請求項5】
上記第1の暗色化源が、上記第2の開口領域全体は囲んでいない、請求項1に記載の自動車用ラミネートグレージング。
【請求項6】
第2の情報取得システムをさらに含み、ここで、第2の情報取得システムは、第2の要求開口部を有し、上記不透明プリントは、上記第1の開口領域から離れた第3の開口領域をさらに含み、上記第3の開口領域は、上記第2の情報取得システムの上記第2の要求開口部よりも大きく、
第2の暗色化源をさらに含み、ここで上記第2の暗色化源は、少なくとも一部が上記第3の開口領域内に位置し、上記第2の暗色化源は、上記第3の開口領域内に第4の開口領域を提供し、上記第2の要求開口部は、上記第4の開口領域内に収まる、
請求項1に記載の自動車用ラミネートグレージング。
【請求項7】
第2の要求開口部を有する第2の情報取得システムをさらに含み、ここで、上記第1の暗色化源が上記第1の開口領域内に第3の開口領域をさらに提供し、上記第2の要求開口部は、上記第3の開口領域内に収まる、請求項1に記載の自動車用ラミネートグレージング。
【請求項8】
上記第1の開口領域のエッジが、上記第2の開口領域のエッジから2mm~6mmにある、請求項1に記載の自動車用ラミネートグレージング。
【請求項9】
自動車用グレージングであって、
第1面および第2面を有し、第1面が車両外部へ面するガラス基板と、
情報取得システム用の第1の開口領域を提供する不透明プリントと、ここで、上記第1の開口領域は上記情報取得システム用の要求開口部よりも大きく、
少なくとも一部が上記第1の開口領域内にある暗色化源と、ここで、上記暗色化源は、上記第1の開口領域内に第2の開口領域を提供し、上記情報取得システム用の上記要求開口部は上記第2の開口領域内に収まり、
を備えてな
り、
上記暗色化源は、自動車用グレージングの車両内部へ面する面に隣接した遮蔽物を含み、上記遮蔽物は、物体を自動車用グレージングに取り付けるための取付デバイス、あるいは、上記自動車用グレージングと他の物体との間に配置された嵌め込みデバイスである、
自動車用グレージング。
【請求項10】
上記
第1の開口領域全体にわたる平均可視光透過率が70%未満であり、上記第2の開口領域全体にわたる平均可視光透過率が少なくとも70%である、請求項
9に記載の自動車用グレージング。
【請求項11】
上記第2の開口領域は上記第1の開口領域よりも上記情報取得システムに近く、上記第1の開口領域は上記第2の開口領域よりも大きい、請求項
9に記載の自動車用グレージング。
【請求項12】
第1面および第2面を有する第1のガラス基板を提供し、
第3面および第4面を有する第2のガラス基板を提供し、
上記第1のガラス基板または上記第2のガラス基板の少なくとも1つの面に不透明プリントを印刷し、ここで、上記不透明プリントは情報取得システム用の第1の開口領域を有し、上記第1の開口領域は上記情報取得システム用の要求開口部よりも大きく、
暗色化源を提供し、ここで、上記暗色化源は、第2の開口領域を提供し、上記情報取得システム用の上記要求開口部は上記第2の開口領域内に収まり、
上記第1のガラス基板と上記第2のガラス基板との間に少なくとも1つの中間層を提供し、
上記第1のガラス基板および上記第2のガラス基板を両者間の上記少なくとも1つの中間層とともに、上記第2の開口領域が上記第1の開口領域内にあるようにラミネートする、
ラミネートグレージングの製造方法であって、
上記暗色化源は、第4面に隣接した遮蔽物を含み、上記遮蔽物は、物体をラミネートグレージングに取り付けるための取付デバイス、あるいは、上記ラミネートグレージングと他の物体との間に配置された嵌め込みデバイスである、
ラミネートグレージングの製造方法。
【請求項13】
暗色化源がラミネート後に提供される、請求項
12に記載のラミネートグレージングの製造方法。
【請求項14】
暗色化源が、ラミネートの前に提供される、請求項
12に記載のラミネートグレージングの製造方法。
【請求項15】
上記第1の開口領域は上記第2の開口領域よりも大きい、請求項
12に記載のラミネートグレージングの製造方法。
【請求項16】
自動車用グレージングであって、
少なくとも1つのガラス基板と、
上記少なくとも1つのガラス基板上の不透明プリントと、ここで、上記不透明プリントは第1の情報取得システム用の第1の開口領域を提供し、上記第1の開口領域は上記第1の情報取得システム用の第1の要求開口部よりも大きく、
少なくとも一部が上記第1の開口領域内にある第1の暗色化源と、ここで、上記第1の暗色化源は、上記第1の開口領域内に第2の開口領域を提供し、上記第1の要求開口部は上記第2の開口領域内に収まり、
を備え、
上記第1の開口領域は上記第2の開口領域よりも大き
く、
上記第1の暗色化源は、自動車用グレージングの車両内部へ面する面に隣接した遮蔽物を含み、上記遮蔽物は、物体を自動車用グレージングに取り付けるための取付デバイス、あるいは、上記自動車用グレージングと他の物体との間に配置された嵌め込みデバイスである、
自動車用グレージング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年1月24日出願の「情報取得システム用の不透明なステッカーフレームを有するラミネート車両用ウィンドウ」という名称の米国特許仮出願第62/621,286号の優先権を主張し、その内容は全体が参照として本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、概して、車両に関連した情報取得システム(例えば、画像化システム、電気的センサー、ビデオカメラ、距離センサー)用の不透明エナメルプリント開口部と、光透過率の歪みを低減し情報取得システムの性能を改善するように、不透明エナメルプリント開口部の中の暗色化源と、を有する車両用グレージング(例えば、車両用ウィンドシールド)に関する。
【背景技術】
【0003】
車両の内側に取り付けられる情報取得システムは、例えば車両の自動運転モード中の安全性能や快適性の改善のために、ますます普及してきている。この種のシステムとしては、種々の電気的センサーやカメラを使用した、画像化システム、衝突防止システム、ブレーキアシストシステム、運転支援システム、自動運転システム、などを含む。
【0004】
情報取得システムにおける電子センサーやカメラは、通常、車両用グレージングの内側面に直接に取り付けられるか、車両用グレージングの近くに配置される。このセンサーやカメラは、例えば、ラミネートガラスないし単一のガラス基板であるグレージングを通して、赤外線、近赤外線、レーザーレーダー、あるいは可視光、を放射および/または検出することにより、車外の状態に関する情報を収集する。
【0005】
車両の外側から見たときに電子センサーやカメラを隠すために、不透明エナメル層(例えば、暗色ないし黒色のエナメルプリント)が、外側ガラス(第1のガラス)基板の内側面S2または内側ガラス(第2のガラス)基板の外側面S4に印刷され得る。不透明エナメルプリントは、このようなシステムを覆うとともに、不透明エナメルプリント開口領域を提供するように設けられ、この開口領域を通して情報取得システムが情報を収集し、さらに、ラミネート車両用ウィンドシールドの周縁に不透明エナメルプリント領域を提供し得る。
【0006】
本開示の目的のために、図を参照することを含めて、第1のガラス基板は第1面および第2面を含み、第2のガラス基板は第3面および第4面を含む。外側ガラス(第1のガラス)基板の第1面は車両の外側に面し、外側ガラス基板の第2面は第1面の反対側にあり、第2面および第3面はラミネート車両用グレージングの内部にあり、内側ガラス基板の第4面は車両内側に面し、かつ第3面の反対側にある。
【0007】
情報取得システムの開口領域を備えたラミネート車両用ウィンドシールドのいくつかの例がある。例えば、米国特許出願公開第2011/0027515A1号は、概略、フロントガラスの内側に取り付けられた電気的検出器用のラミネート車両用ウィンドシールドにおける開口部配置を開示している。さらに、米国特許出願公開第2017/0015180A1号は、概略、情報取得デバイス用の不透明なマスキング層および開口部を開示している。
【発明の概要】
【0008】
ここに開示される実施形態は自動車用グレージングを含む。この自動車用グレージングは、少なくとも1つのガラス基板と、この少なくとも1つのガラス基板上の不透明プリントと、第2の開口領域と、を備える。上記不透明プリントは、情報取得システム用の第1の開口領域を提供し、上記第1の開口領域は、上記情報取得システムの要求開口部より大きく、上記自動車用グレージングは、上記第1の開口領域内に第1の歪みを有し、上記第2の開口領域は上記第1の開口領域内にあり、上記第2の開口領域は上記情報取得システムの要求開口部と少なくとも同じ大きさであり、上記自動車用グレージングは上記第2の開口領域内に第2の歪みを有し、この第2の歪みは上記第1の歪みより小さい。
【0009】
さらに自動車用ラミネートグレージングが開示される。この自動車用ラミネートグレージングは、少なくとも第1面および第2面を有し、第1面が車両外部へ面する第1のガラス基板と、少なくとも第3面および第4面を有し、第4面が車両内部へ面する第2のガラス基板と、上記第1のガラス基板と上記第2のガラス基板との間の第1の中間層と、第1の情報取得システム用の第1の開口領域を提供する不透明プリントと、第1の暗色化源と、を備える。上記第1の開口領域は上記第1の情報取得システム用の第1の要求開口部よりも大きく、上記第1の暗色化源は少なくとも一部が上記第1の開口領域内にあり、上記第1の暗色化源は、上記第1の開口領域内に第2の開口領域を提供し、上記第1の要求開口部は上記第2の開口領域内に適合し、上記第1の暗色化源は、500℃を越える熱処理を経ておらず、上記第1の開口領域は平方ミリメートルで上記第2の開口領域よりも大きい。
【0010】
いくつかの実施形態では、上記第1の開口領域全体にわたる平均可視光透過率が70%未満であり、上記第2の開口領域全体にわたる平均可視光透過率が少なくとも70%あるいはそれ以上である。特定の実施形態では、上記第1の暗色化源は、10%以下、6%以下、あるいは3%以下、の可視光透過率を有する。
【0011】
上記第1の暗色化源はプリントであり得る。上記プリントは、上記第1のガラス基板および上記第2のガラス基板の少なくとも一方の上にあり得る。いくつかの実施形態では、上記プリントは、第2面、第3面、および第4面の少なくとも1つの面上にある。他の実施形態では、上記プリントは、上記第1の中間層上にあり得る。
【0012】
特定の実施形態では、上記第1の暗色化源が基板であり得る。上記基板は、プリントされた面であり得る。いくつかの実施形態では、上記基板は、ポリマーフィルムであり、上記ポリマーフィルムは、上記第1のガラス基板と上記第1の中間層との間に配置され得る。他の実施形態では、上記ポリマーフィルムは、上記第2のガラス基板と上記第1の中間層との間に配置され得る。他の実施形態では、上記ポリマーフィルムは、上記第1の中間層と第2の中間層との間に挟まれている。上記ポリマーフィルムは接着剤層を含み得る。いくつかの実施形態では、接着剤層を有するポリマーフィルムが、第2面、第3面、および第4面の少なくとも1つの面に隣接している。他の実施形態では、上記ポリマーフィルムは電気部品を含み得る。このポリマーフィルムは第4面上にあり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、上記第1の暗色化源がコーティングである。このコーティングは、第2面、第3面、および第4面の少なくとも1つの面上にあり得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、上記第1の暗色化源は、着色中間層を含み得る。他の実施形態では、上記第1の中間層の一部が除去されて、上記着色中間層で置き換えられ得る。
【0015】
さらに、上記第1の暗色化源は、第4面上の遮蔽物を含み得る。上記遮蔽物は、物体を自動車用ラミネートグレージングに取り付けるための取付デバイスであり得る。上記取付デバイスは、上記第1の情報取得システムを保持するためのブラケットであり得る。いくつかの実施形態では、上記遮蔽物は、上記自動車用ラミネートグレージングと他の物体との間に配置された嵌め込みデバイスであり得る。
【0016】
特定の実施形態では、上記第1の暗色化源が、上記第2の開口領域を完全に囲っているものであり得る。他の実施形態では、上記第1の暗色化源が、上記第2の開口領域全体は囲んでいない。上記第2の開口領域が少なくとも3つの辺を有する場合、上記記第1の暗色化源は、上記第2の開口領域の1つの辺の上にあり得る。
【0017】
他の実施形態では、第2の情報取得システムを含み得る。第2の情報取得システムは、第2の要求開口部を有し、上記不透明プリントは、上記第1の開口領域から離れた第3の開口領域をさらに含み、上記第3の開口領域は、上記第2の情報取得システムの上記第2の要求開口部よりも大きい。第2の暗色化源をさらに含み、上記第2の暗色化源は、少なくとも一部が上記第3の開口領域内に位置し、上記第2の暗色化源は、上記第3の開口領域内に第4の開口領域を提供し、上記第2の要求開口部は、上記第4の開口領域内に適合する。上記第1の情報取得システムおよび上記第2の情報取得システムは、単一のシステムに統合され得る。特定の実施形態では、上記第1の暗色化源および上記第2の暗色化源が単一の構造である。
【0018】
特定の実施形態では、第2の要求開口部を有する第2の情報取得システムをさらに含み得る。上記第1の暗色化源は上記第1の開口領域内に第3の開口領域をさらに提供し、上記第2の要求開口部は、上記第3の開口領域内に適合する。
【0019】
上記第2の開口領域の各エッジは、上記第1の開口領域の各々対応するエッジから等距離にあり得る。他の実施形態では、上記第2の開口領域の第1のエッジと上記第1の開口領域の対応する第1のエッジとの間の距離が、上記第2の開口領域の第2のエッジと上記第1の開口領域の対応する第2のエッジとの間の距離と異なる。いくつかの実施形態では、上記第1の開口領域および上記第2の開口領域が少なくとも1つのエッジを共有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、上記不透明プリントが第2面上にある。第4面上に第2の不透明プリントをさらに含み得る。上記第2の不透明プリントは第3の開口領域を含み得る。この第3の開口領域は、上記第1の開口領域と同一の形状およびサイズであり得、上記第3の開口領域および上記第1の開口領域は、自動車用ラミネートグレージングにおいて互いに整列している。
【0021】
特定の実施形態では、上記第1の開口領域のエッジが、上記第2の開口領域のエッジから、2mm~22mm、2mm~10mm、あるいは、2mm~6mm、にある。いくつかの実施形態は、第1の暗色化源を含み、この第1の暗色化源が、上記不透明プリントと同じ色であり得る。いくつかの実施形態では、上記第1の暗色化源が上記不透明プリントに隣接し得る。
【0022】
ここにはさらに自動車用グレージングが開示される。この自動車用グレージングは、第1面および第2面を有し、第1面が車両外部へ面するガラス基板と、情報取得システム用の第1の開口領域を提供する不透明プリントと、暗色化源と、を備える。上記第1の開口領域は上記情報取得システム用の要求開口部よりも大きく、上記暗色化源は、少なくとも一部が上記第1の開口領域内にあり、上記暗色化源は、上記第1の開口領域内に第2の開口領域を提供し、上記情報取得システム用の上記要求開口部は上記第2の開口領域内に適合する。
【0023】
特定の実施形態では、上記1の開口領域全体にわたる平均可視光透過率が70%未満であり、上記第2の開口領域全体にわたる平均可視光透過率が少なくとも70%もしくはそれ以上である。
【0024】
ここには、さらに、ラミネートグレージングの製造方法が開示される。この製造方法は、第1面および第2面を有する第1のガラス基板を提供し、第3面および第4面を有する第2のガラス基板を提供し、上記第1のガラス基板または上記第2のガラス基板の少なくとも1つの面に不透明プリントを印刷し、ここで、上記不透明プリントは情報取得システム用の第1の開口領域を有し、上記第1の開口領域は上記情報取得システム用の要求開口部よりも大きく、暗色化源を提供し、ここで、上記暗色化源は、第2の開口領域を提供し、上記情報取得システム用の上記要求開口部は上記第2の開口領域内に適合し、上記第1のガラス基板と上記第2のガラス基板との間に少なくとも1つの中間層を提供し、上記第1のガラス基板および上記第2のガラス基板を両者間の上記少なくとも1つの中間層とともに、上記第2の開口領域が上記第1の開口領域内にあるようにラミネートする。
【0025】
いくつかの実施形態では、上記第1の開口領域のエッジが、上記第2の開口領域のエッジから、2mm~22mm、2mm~10mm、あるいは、2mm~6mm、にあり、暗色化源はラミネート後に提供され得る。他の実施形態では、暗色化源が、ラミネートの前に提供され得る。
【0026】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、その一部を構成するものであって、本開示の1つまたは複数の例示的な態様を示し、詳細な説明とともに、本開示の原理および実施を説明するのに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1a】情報取得システムの開口領域を有する従来のラミネート車両用ガラスを示す図。
【
図1b】情報取得システムの開口領域を有する従来のラミネート車両用ガラスを示す図(
図1aの線AA’に沿った断面図)。
【
図1c】情報取得システムの開口領域を有する従来のラミネート車両用ガラスで観察され得る曲げギャップの問題を表す図。
【
図2a】本開示の例示的な態様による、暗色化源を有する情報取得システム開口領域を備えたラミネート車両用ガラスを示す図。
【
図2b】本開示の例示的な態様による、暗色化源を有する情報取得システム開口領域を備えたラミネート車両用ガラスを示す図(
図2aの線BB’に沿った断面図)。
【
図2c】本開示の例示的な態様による暗色化源を有する情報取得システム開口領域を備えたラミネート車両用ガラス(
図2aの線DD’に沿った断面図)、および、従来のラミネート車両用ガラス(比較のために、
図1(c)の線CC’に沿った断面図)を示す図。
【
図3a】本開示の例示的な態様による、暗色化源開口領域と第2面および第4面の双方の上の不透明エナメルプリントとを有する情報取得システム開口領域を備えたラミネート車両用ガラスを示す図(
図2aの線BB’に沿った断面図)。
【
図3b】本開示の例示的な態様による、暗色化源と第2面および第4面の双方の上の不透明エナメルプリントとを有する情報取得システム開口領域を備えたラミネート車両用ガラスを示す図(
図2aの線DD’に沿った断面図)。
【
図4】本開示の例示的な態様による、暗色化源および少なくとも1つの暗色化源開口領域を有する不透明エナメルプリント開口領域を示す図。
【
図5】本開示の例示的な態様による、暗色化源および少なくとも1つの暗色化源開口領域を有する不透明エナメルプリント開口領域を示す図。
【
図6】本開示の例示的な態様による、暗色化源および少なくとも1つの暗色化源開口領域を有する不透明エナメルプリント開口領域を示す図。
【
図7】本開示の例示的な態様による、暗色化源を有するラミネート車両用グレージングの製造工程の例を示す図。
【
図8】本開示の例示的な態様による、暗色化源を有するラミネート車両用グレージングの他の製造工程を示す図。
【
図9】本開示の例示的な態様による、暗色化源を有するラミネート車両用グレージングの製造工程を示す図。
【
図10】本開示の例示的な態様による、暗色化源を有するラミネート車両用グレージングのさらに他の製造工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明では、説明の目的で、本開示の1つまたは複数の態様の理解を促進するために特定の詳細が示されている。しかしながら、いくつかまたはすべての場合において、以下で説明される特定の設計の詳細を適用せずに、以下で説明される任意の態様を実施できることは明らかであろう。
【0029】
本開示は、車両用グレージングにおける改良された性能の情報取得システム開口部に関し、この車両用グレージングは、不透明なエナメルプリントと、情報取得システムが車両の外部から情報を効果的に観察および収集できるようにする暗色化源と、を有する。
【0030】
光学的歪みは、凸レンズ/凹レンズの焦点距離の逆数として定義でき、一般に、ミリジオプター(mdpt)で表され、正または負の値となり得る。本明細書で使用するように、光学的歪みは絶対値として表され、光学的歪みが少ないほどゼロに近い値となる。ウィンドシールドにおける水平方向光学的歪みの光屈折力は、ISRA Labscan-Screen 2D検査装置を使用して測定できる。特に、光学フィルター設定は3/2/0であり、2mmの物理長に対応し、マスキングフィルター設定は6/5/5/R_であり、これは、約60.6度の取付角度において、開口部における不透明黒色プリントの周囲の約9mmの物理長をマスクする。非透明領域に近い値を計算するときに検査アルゴリズムが数学的アーティファクトを示すため、マスキングをする必要がある。これらのアーティファクトは、ガラスの物理的な性質ではなく、マスクによって隠され得るため、ガラスの光屈折力とは混同されない。
【0031】
図1aは、情報取得システムの開口部を備えた従来のラミネートウィンドシールド101を示す。不透明エナメルプリント103が、ウィンドシールド101の周縁領域および情報取得システムの開口部の近くの領域に設けられており、不透明エナメルプリント開口領域106を提供する。
図1bを参照すると、不透明エナメルプリント103は、第1のガラス基板121の第2面123上に、または第2のガラス基板124の第4面126上に印刷され得る。
【0032】
不透明エナメルプリント103には不透明エナメルプリント開口領域106(例えば、不透明エナメルプリントのない開口スペース)があり、これを通して情報取得システム130(例えば、高解像度カメラ)が車両の外側の状態に関する情報を観察し得る。
【0033】
不透明エナメルプリント103に沿ってガラス基板における光学的歪み104が観察されることがあり、その結果、情報取得システム130によって収集された情報に歪みが生じることがある。これらの光学的歪み104は、少なくとも部分的には、以下に説明する理由によって生成され得る。
【0034】
一般に、車両用グレージングの製造においては、平坦なガラス基板121,124を熱曲げプロセス温度(たとえば、ソーダライムガラスでは600°Cより高い温度)で曲げ、車両の窓に適合した2次元ないし3次元の形状を形成する。ガラス基板は、このような高温で熱処理され、かつガラス基板を曲げおよび/または焼き戻すために冷却され得る。不透明エナメルプリント103は、例えば、熱処理の前に平坦なガラス基板121,124上にスクリーン印刷によって印刷され得る。このスクリーン印刷された不透明エナメルプリント103は、次に、熱処理プロセス中に500~700℃の温度範囲で焼成され、高い機械的耐久性を備えた硬質プリントが形成される。このような製造工程において、黒色エナメルペイントなどの不透明エナメル印刷材料と、ISO16293-1:2008で定義されている透明ないし半透明のソーダライムシリカガラスなどのガラス基板121,124と、は、光の吸収率、弾性率、熱膨張係数など、異なる物理的特性を示す。例えば、黒色の不透明エナメルプリント103は、通常、炉内でガラス基板121,124よりもはるかに多くの熱を吸収し、その結果、ガラス基板121,124に不均一な温度分布が生じる。黒色の不透明エナメルプリント領域103の近傍におけるガラス基板121,124の領域の温度は、このプリント103から遠い領域よりも局部的に高温となり得る。さらに、黒色の不透明エナメルプリント103とソーダライムシリカガラス基板121,124との間で熱膨張係数(CTE)の差が存在し、結果的に、ガラス基板121,124および不透明エナメルプリント103が温度低下した後に残留応力が発生することがある。少なくともこれらの理由により、印刷したガラス基板121,124を熱処理することによって、不透明エナメルプリント103の近傍に光学的歪み104が生成され得る。熱処理後、第1,第2のガラス基板121,124は、ポリビニルブチラール(PVB)ポリマーシートなどのポリマー中間層127とともに、当該技術分野で周知のラミネートプロセス(例えば、オートクレーブ)を使用してラミネートされ得る。
【0035】
図1bは、
図1aの線AA’に沿った断面図を示す。情報取得システム要求開口領域108において、不透明エナメルプリント103に沿った光学的歪み104が存在し、かつこの光学的歪み104が情報取得システム130の視野と重なることがある。ここで、不透明エナメルプリント103のエッジラインが、情報取得システム130の測定フィールド108のエッジを規定している。情報取得システム要求開口領域108は、情報取得システム130が透過して情報を収集することとなる領域を含む。情報取得システム要求開口領域108は、種々の要件に依存する。この要件としては、情報取得システム130、取り付けた情報取得システム130と不透明エナメルプリント103との間の距離、印刷されたグレージングの設置角度、を含むが、これらに限定されるものではない。
【0036】
図1cに示すように、曲げプロセス後のガラス基板の形状の微小な差異107が、熱曲げプロセス中に第1のガラス基板121と第2のガラス基板124との間で起こり、結果として、光学的歪み104となることがある。このような差異は、ラミネートプロセス後にも残り、その結果、ラミネートされたグレージングに微小ギャップ107(曲げギャップ)が存在することになり得る。曲げギャップ107は、不透明エナメルプリント103ならびにガラス基板121,124の材料の物理的特性および熱処理プロセスパラメータによって、凸レンズもしくは凹レンズとして作用し得る。このような「凸レンズ/凹レンズ効果」は、高解像度カメラを有するシステムのような厳格な歪み許容度を有し得る情報取得システム130にとっては問題となり得る。
【0037】
本開示は、他の特徴の中でも、光学的歪みが少ない情報取得システム用の開口部を有する車両用グレージング、および、不透明エナメルプリントを有するそのような車両用グレージングを製造する方法、を含む。不透明エナメルプリントは、プリントエッジ周囲のドットパターンを含む審美的なパターンを提供するために、あるいはその物理的特性のために、グレージングに好適であり得る。特に、第4面へのプリントは、適切な接着面や耐酸性を提供し得る。従って、不透明エナメルプリントの問題に対処する解決策を提供することが望ましい。
【0038】
本明細書に開示するように、
図2aおよび
図2bを参照すると、情報取得システム130用の不透明エナメルプリント開口領域106を有する車両用グレージング201は、さらに、第1の不透明エナメルプリント開口領域106内に暗色化源221を含み、この暗色化源221が第1の開口部106内に第2の開口部206を形成する。第2の暗色化源開口領域206は、好ましくは、第1の不透明エナメルプリント開口領域106よりも小さいものであり得る。暗色化源221は、種々のものによって形成でき、第2面、第3面、および/または第4面の任意の面、または中間層材料127の上または中を含む、グレージング201のいかなる場所にあってもよい。暗色化源221は、不透明エナメルプリント203に隣接し、あるいは、不透明エナメルプリント203から離れている。暗色化源221が不透明エナメルプリント203に隣接する場合、いくつかの実施形態では、暗色化源221は、不透明エナメルプリント203および該不透明エナメルプリント203が印刷されたガラス基板と接している。不透明エナメルプリント203は、0.003~0.02mm、より好ましくは、0.005~0.015mmであることが望まれ得る。
【0039】
不透明エナメルプリント開口部106は、少なくとも1つの方向について、情報取得システムの開口部108に必要なサイズよりも大きく印刷されており、従って、不透明エナメルプリント203によって形成された歪み104の少なくとも一部を、情報取得システム130の要求視野から除去する。この場合、暗色化源221は、グレージング201にまたはその内部に適用され、少なくとも1つの方向についてより狭い情報取得システム開口部206を提供し、かつこの情報取得システム開口部206は、情報取得システム130のための要求開口部108が暗色化源開口部206内に収まるように、要求開口部108と少なくとも同じ大きさのままであり得る。暗色化源221は、少なくとも、熱処理プロセス中に不透明エナメルプリント開口領域106のエッジに形成された歪み205を覆い得る。暗色化源221は、第2面上のプリントと第4面上のプリントとの間のスペースを含む車外から視認し得る不透明エナメルプリント開口領域106内の領域を覆うマスキングを提供し得る。不透明エナメルプリント203は、第2面、第3面、第4面のいずれに提供されてもよい。
【0040】
図3aに示すように、いくつかの実施形態では、不透明エナメルプリント203,802が第2面と第4面の双方に設けられ、さらに、同一ないし実質的に同一の不透明エナメルプリント開口領域106が提供され得る。同一ないし実質的に同一のスクリーン印刷を用いて曲げおよびラミネート後のラミネート構造中の各ガラス基板121,124に印刷する場合には、第2面および第4面の不透明エナメルプリント203,802の双方が開口領域106を含むにも拘わらず、第4面プリント802は、第2面の不透明エナメルプリント開口領域106内に視認され得る。曲げを含む熱処理プロセス中にプリント面での加熱差に基づいて形成される変形205,805がラミネートされたグレージング801中のガラス基板121,124の間で一貫するように、第2面と第4面とに同一のプリントを設けることが好ましいものとなり得る。しかしながら、この場合に、第4面プリント802を視認できないようにしたり、情報取得システム開口部106内の車外から見えないように隠すことが好ましい領域をマスクする、という必要があり得る。第2面、第3面、第4面のいずれかに単一のプリントがある場合にも、内部空間のマスキングが好ましいことがあり得る。本明細書で説明するように、暗色化源221は、そのようなマスキングを提供するために使用され得る。
【0041】
他の実施形態では、暗色化源221は、迷光からの保護を提供し得る。情報取得システム130は、特に夜間や太陽光がグレージングに対してある角度にある場合に、迷光の影響を受け得る。暗色化源221は、情報取得システム130が迷光に晒されることを制限する暗色化源開口領域206を提供し得る。
【0042】
暗色化源221は、不透明エナメルのプリントされかつ焼成された開口部106の一部を遮断する暗色化領域を形成するいかなる要素であってもよい。暗色化源221は、適当ないかなる材料であってもよく、とりわけ、ペイント、インク、ポリマーフィルム、ポリマーステッカー、コーティング、取付ブラケット、取付要素、および/または、取付ブラケットとグレージングとの間の合わせ材料、を含み得る。好ましくは、暗色化源221は、ガラス基板121,124が曲げおよび/または焼戻しを含み得る熱処理され、かつガラス121,124上の不透明エナメルプリント203,802が焼成された後に、グレージングに設けられる。暗色化源221を有するグレージングは、ラミネートしたガラス基板121,124または単一のガラス基板を含み得る。
【0043】
暗色化源221は、適当ないかなるサイズであってよい。暗色化源221は、ガラスの変形205,805をマスクし、迷光から保護し、および/または、情報取得システムの視野108の周囲の車両内側をカバーするようなサイズであり得る。情報取得システムの視野108は、情報取得システムが車両外部から効果的に情報を収集できるように、情報取得システムが要求する開口部108のサイズに対応する。いくつかの実施形態では、暗色化源221は、不透明エナメルプリント203,802と少なくとも1mmオーバーラップしてもよく、暗色化源221のエッジは、好ましくは、車両外部から見たときに、不透明エナメルプリント203,802の後方にある。暗色化源221は、不透明エナメルプリント203,802のエッジから不透明エナメルプリント開口部106内に任意の適当な距離dだけ延びていてもよい。好ましくは、
図4に示されるように、暗色化源開口領域206のエッジと不透明エナメルプリント開口領域106のエッジとの間の距離dは、0~22mm、より好ましくは0~10mmであり、さらに好ましくは、0~6mmである。より好ましくは、暗色化源開口領域206の少なくとも1つのエッジと不透明エナメルプリント開口領域106の少なくとも1つのエッジとの間の距離dは、2~22mm、より好ましくは2~10mm、さらに好ましくは2~6mmである。
【0044】
好ましくは、暗色化源221は、情報取得システムの要求開口部108と少なくとも同じ大きさの暗色化源開口領域206を提供する。より好ましくは、暗色化源開口部206は、情報取得システムに要求開口部108のサイズより最大で3mmだけ大きく、情報取得システム要求開口部108の全体が、暗色化源221における暗色化源開口部206および不透明エナメルプリント開口部106の中にある。不透明エナメルプリント開口部106と暗色化源開口部206との間のサイズの差異は、各開口部の平均可視光透過率によって説明できる。例えば、暗色化源開口部206は、好ましくは、少なくとも70%もしくはこれ以上の平均可視光透過率を有し得、不透明エナメルプリント開口部106の平均可視光透過率は、70%未満であり得る。好ましくは、不透明エナメルプリント開口部の平均可視光透過率は、67%以下、より好ましくは65%以下であり得る。
図5に示すように、暗色化源221の少なくとも一部が不透明エナメルプリント開口部106内に配置され、不透明エナメルプリント開口部106全体にわたる平均可視光透過率を低下させるため、不透明化エナメルプリント開口部106の平均可視光透過率は、暗色化源開口部206の平均可視光透過率よりも小さいことが好ましい。従って、不透明エナメルプリント開口部106の平均可視光透過率は、暗色化源開口部206および暗色化源221の可視光透過率の関数となる。暗色化源221は、好ましくは10%以下、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは3%以下、の可視光透過率を有する。
【0045】
暗色化源221は、暗色化源開口スペース206を暗色化源221内に囲むように、暗色化源開口スペース206を取り囲んでいてもよく、取り囲んでいなくてもよい。
図5に示すように、暗色化源221が暗色化源開口部206を完全に取り囲まない場合、暗色化源開口部206の境界は、不透明エナメルプリント開口部106の境界と部分的に同じであり得る。例えば、不透明エナメルプリント開口部106が四辺の台形状を有する場合、暗色化源221は、台形状のエッジに沿った長方形状であってよい。
図5に示すように、台形の不透明エナメルプリント開口領域106は、不透明エナメルプリント開口領域106および暗色化源開口領域206が両開口部106,206によって共有される少なくとも1つのエッジを有するように、暗色化源221と重なっていてもよい。従って、暗色化源開口領域206は、暗色化源開口領域206のすべてのエッジよりも少ないエッジの上で、暗色化源221によって境界付けられ得る。いくつかの実施形態では、暗色化源221は、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のエッジを含む、不透明エナメルプリント開口部の任意の数のエッジに沿って延び得る。さらに、特定の実施形態では、不透明エナメルプリント203が不透明エナメル開口領域106を取り囲まないこともあり得る。このような場合、不透明エナメルの開口領域106は、印刷されていない境界410を有するように画定され得る。不透明エナメルの開口領域106は、不透明エナメル開口領域106が不透明エナメルプリント203によって囲まれていない場合でも、運転者の視界領域の中に延びていないことがあり得る。
【0046】
図4に示すように、いくつかの実施形態では、暗色化源221が、各不透明エナメルプリント開口106のエッジ内に車両外部から視認でき、暗色化源開口領域206が暗色化源221によって囲まれたようになり得る。しかしながら、不透明エナメルプリント開口部106と暗色化源開口部206との間の距離dは、開口部106,206の周囲で一定であっても一定でなくてもよい。さらに、
図4に示すように、不透明エナメルプリント開口部106および暗色化源開口部206は、同じ形状であってもなくてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、グレージングは、複数の情報取得システム開口部を含み得る。
図6に示すように、不透明エナメルプリント510が各情報取得システム開口部106の輪郭を描くために使用され、少なくとも1つの暗色化源221が、各不透明エナメルプリント開口領域106内に暗色化源開口領域206を設けるために使用され得る。いくつかの実施形態では、複数の不透明エナメルプリント開口部106に対して1つの暗色化源開口部206を提供するように、単一の暗色化源221が使用され、他の実施形態では、各々の不透明エナメルプリント開口部106に対して少なくとも1つの暗色化源221が使用され得る。いくつかの実施形態では、任意の数の情報取得システム開口部を有し、個々の情報取得システム開口部で利用される複数の暗色化源221があり得る。さらに他の実施形態は、複数の暗色化源開口領域206を含み、これらは同じサイズおよび形状であってもなくてもよい。
【0048】
特定の実施形態では、不透明エナメルプリント520は、複数の暗色化源開口部206を含む単一の開口部106を提供し得る。大きな不透明エナメルプリント開口部106の中で暗色化源開口部206を分離するために、暗色化源221が使用され得る。複数の情報取得システム130を備える場合、これらシステムは、個々に使用されることもあり、ステレオカメラのように単一のシステムで一緒に使用されることもある。さらに、情報取得システムは、同じタイプのシステムであっても異なるタイプのシステムであってもよく、例えば、システムは、カメラおよび非光学センサを含み得る。
【0049】
特定の実施形態では、暗色化源221は、500℃を超える熱処理がなされていない暗色化プリントを含み得る。暗色化プリントは、スクリーン印刷を含む任意の適当な手段によって任意のガラス面または中間層表面に適用され得る。暗色化プリントは、暗色ないし黒色のインクまたはペイントまたはカーボンナノチューブ配列を含む任意の適当な材料であり得る。ガラス基板が暗色化プリントで印刷される場合、暗色化プリントが熱処理に晒されないように、ガラス基板が熱処理された後に暗色化プリントが適用され得る。例えば、限定はしないが、帝国印刷インクまたはセイコーアドバンスト株式会社から入手可能なインクなど、スクリーン印刷に適した、焼成温度が100~300℃である暗色有機インクを使用することができる。ラミネートグレージングでは、暗色化プリントは、第2面、第3面、および/または第4面を含む、任意のガラス表面に適用され得る。他の実施形態では、中間層が暗色化プリントで印刷され得る。これらのおよび他の実施形態では、暗色化源は、直線またはパターン化したエッジであり得るエッジを有し得る。
【0050】
暗色化源221が中間層として設けられる場合、グレージング中間層全体の中の「パッチ」として暗色化中間層を提供することが望ましいことがあり得る。このような実施形態では、不透明エナメルプリント開口領域106においてグレージングに積層される中間層の一部を除去し、暗色化中間層パッチと置き換えることができる。このようなパッチは、少なくとも不透明エナメルプリント開口部106内に位置する暗色化源221を提供するために、着色または印刷された中間層材料を含み得る。暗色化源開口部206に透明中間層を提供するために、暗色化中間層パッチ内に別個のパッチが必要とされ得る。ラミネートグレージングの中に印刷された中間層および暗色化源開口部206を提供するように、グレージング全面の中間層がターゲットとなる領域において印刷されてもよい、ことが理解されよう。いくつかの実施形態では、暗色化源221は、着色された中間層であり得、これは、中間層の製造中に染料、顔料または他の手段によって着色され得る。さらに、着色または印刷された中間層は、薄い構造であり得、パッチを必要とせずに、非暗色化ポリマー中間層上に積層され得る。パッチは、着色または印刷された中間層が0.2mmより厚い場合に好ましいものとなり得る。
【0051】
暗色化源221は、さらに、グレージングにおけるガラス表面および/または中間層に隣接する暗色ないし黒色の基板であり得る。この基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリ塩化ビニル(PVC)などのポリマーフィルムを含む、任意の適当な材料であり得る。暗色化源基板は、印刷または着色することができ、任意選択的に、ステッカーなどの接着剤層を含み得る。暗色化源基板は、黒色の暗色化源を提供するために、カーボンナノチューブ層を含み得る。いくつかの実施形態では、暗色化基板は、第2面、第3面および第4面の少なくとも1つであり得る少なくとも1つのガラス表面に隣接して設けられ得る。特定の実施形態では、暗色化基板は、電気部品を含み得る。例えば、暗色化基板としては、電気的発熱要素の裏打ち材である暗色化ポリマーフィルムを含み得、これは、情報取得システム開口部を加熱するために第4面に適用され得る。
図2bに示すように、暗色化基板221は、第1のガラス基板121と中間層127との間に配置され得る。あるいは、暗色化基板221は、第2のガラス基板124と中間層127との間に配置され得る。いくつかの実施形態では、暗色化基材221は、ラミネートグレージング201内の少なくとも2つの中間層材料の間に配置され得る。好ましくは、暗色化源221は、ラミネートグレージング201内のガラス基板121,124間の距離を0.2mmより大きな量だけ増加させることがない。より好ましくは、ラミネートグレージング201におけるガラス基板121,124間の距離の増加は、0.1mmを越えず、より好ましくは0.05mm未満である。
【0052】
いくつかの実施形態では、暗色化源221はコーティングを含み得る。特に、着色コーティングは、暗色化源開口領域206を提供するために、不透明エナメルプリント開口領域106に少なくとも部分的に適用され得る。コーティングは、第2面、第3面および第4面の少なくとも1つを含む、任意のガラス表面に適用され得る。所望の不透明度の暗色化源221を提供するために、グレージングに複数の着色コーティングが使用され得る。複数のコーティングが使用される場合、コーティングが同じガラス表面上に形成されてもよく異なるガラス表面上に形成されてもよい。特定の実施形態では、コーティングは、暗色化源221を提供し暗色化源開口領域206を画定するために組み合わされる、同じ色または異なる色であり得る。
【0053】
さらに、暗色化源221は、ラミネートグレージングとともには形成されない遮蔽物を含み得る。遮蔽物は、グレージングに取り付けられ得るものであり、情報取得システム130やグレージングに取り付けられる他の付属品の取付に用いられるデバイスを含み得る。例えば、カメラブラケットを第4面に取り付けることで不透明エナメルプリント開口部106内に暗色化源221を提供し得る。さらに、遮蔽物は、ブラケットや他の機構をラミネートグレージングに取り付けまたは嵌め込むために使用されるデバイスから形成され得る。暗色化源221は、グレージングの一部として形成されていない場合、第4面に隣接しかつ接触する任意の材料を含み得、不透明エナメルプリント開口部106内に暗い領域を提供して暗色化源開口部206を提供し得る、ということが理解できるであろう。
【0054】
ラミネートグレージングに関して説明したと同様に、非ラミネートガラス基板においても、不透明エナメルプリント開口領域106と、不透明エナメルプリント開口領域106内に暗色化源開口領域206を提供する暗色化源221と、を備え得ることが理解されよう。さらに、ここに開示されるグレージングは、ウィンドシールド、後部ウィンドウ、側面ウィンドウ、ピラー、または他のグレージングを含む、任意の適当な車両用グレージングを提供し得ることが理解されるであろう。
【0055】
図2aは、情報取得システム用の改善された透過光学系を提供する情報取得システム開口部を有するラミネート車両用ガラス201の例示的な実施形態を示す。
図2bは、
図2aの線BB’に沿った断面図を示す。
【0056】
第1のガラス基板121および第2のガラス基板124は、車両ウィンドウの設計に適合するように熱処理(曲げ)され得る。ガラス基板121,124は、フロート法によって製造されたソーダライムガラスを含み得、これは、透明ガラス、緑色ガラス、または着色ガラスであり得、好ましくは0.40~3.0mmの厚さを有する。任意選択的に、機能性金属銀層を含む赤外線反射(IRR)コーティングなどの機能性コーティングを、第2面123および第3面125の少なくとも1つに堆積させてもよい。PVBまたはポリエチレンテレフタレート(PET)中間層のようなポリマー中間層127、任意選択的に、改善された防音機能(音響PVB)および/または、ウェッジ角度機能(ウェッジPVB)を有するもの、をラミネートグレージング201に使用し得る。例えば、これに限定されないが、約1.8mmの厚さを有する透明色の第1のソーダライムガラス基板121が使用され、約1.8mmの厚さを有する着色された第2のソーダライムガラス基板124が使用され、機能的IRRコーティングが第3面125表面に堆積され得る。
【0057】
不透明エナメルプリント203が、情報取得システムの近くのラミネート車両用ガラス201の周辺領域で、第1のガラス基板121の第2面123または第2のガラス基板124の第4面126に提供され、このエナメルプリント203は、不透明エナメルプリント開口部106を提供する。不透明エナメルプリント203は、情報取得システム130(例えば、高解像度カメラ、および/または、センサー)が車両の外側の情報を観察するために要求する情報取得システム開口部108よりも比較的広い開口領域106を提供し得る。車両用ウィンドウ用に当該技術分野で知られている着色エナメルプリント材料(黒色セラミックなど)を、不透明エナメルプリント203の形成に使用し得る。
図2aおよび
図2bに示すように、車両の外側から見たときに情報取得システム130を覆い、さらに、情報取得システム130の視野のエッジラインを規定するために、暗色化源221を第1,第2のガラス基板121,124の間に挿入し得る。暗色化源221は、不透明ポリマーステッカーを含む、ここに記述した任意の暗色化材料を含み得る。不透明ポリマーステッカーの厚さは、好ましくは、0.01~0.2mmの範囲から選択される。ラミネート構造の他の構成要素によっては、他の厚さ範囲が好ましい場合があり得る。暗色化源221は、好ましくは、不透明エナメルプリント203と同じ色である。例えば、厚さが約0.06mmの黒色PVC薄膜を使用することができる。
【0058】
図2cに示す例示的な実施形態では、不透明エナメルプリント開口領域106は、情報取得システム130が要求する領域よりも比較的に広い開口領域を有し得る。従って、この広い開口領域106に沿って生成された光学的歪み205は、情報取得システムが要求する開口領域108とほとんどまたは全く重複しないものとなり得る。暗色化源221は、この広い開口領域106内に暗色化源開口領域206を提供するために使用され、暗色化源開口領域206は、広い不透明エナメルプリント開口領域106よりも少ない光学歪み205を含み得る。好ましくは、暗色化源開口領域206内の光学歪み205は、150mdpt以下、より好ましくは100mdpt以下、さらに好ましくは60mdpt以下であり得る。従って、情報取得システム130は、従来の構造に起因した光学的歪みを伴うことなく鮮明な画像ないし視界を取得し得る。不透明エナメルプリント203ではなく暗色化源221が、情報取得システム130を車両外側から見えないようにマスクしつつ、情報取得システムの開口部のエッジを画定し得る。いくつかの実施形態では、情報取得システムの開口部は、
図5に示すように、暗色化源221が暗色化源開口領域206を取り囲まない場合のように、不透明エナメルプリント203と暗色化源221の双方によって画定され得る。
【0059】
図4は、暗色化源221の例示的な実施形態を示す。上述のように、暗色化源221が情報取得システムの開口領域の範囲を画定し得るので、情報取得システム130のカメラ/センサーの機能および/または数またはシステムに応じて、設計が自由かつカスタマイズ可能となり得る。暗色化源221は、単一の開口部あるいは同一ないし異なる幾何学的形状を有する複数の開口部を提供し得る。
【0060】
図7を参照すると、少なくとも1つの情報取得システム開口部を有するラミネート車両用ガラスを製造するためのプロセス700は、以下のステップを含み得る。
【0061】
ステップ702は、第1面および第2面を有する平坦な第1の(外側)ガラス基板と、第3面および第4面を有する平坦な第2の(内側)ガラス基板と、の準備を含み得る(例えば、切断、研削および洗浄)。任意選択的に、第2面または第3面の少なくとも1つの上に、IRRコーティングなどの機能コーティングを、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、または原子層堆積(ALD)によって堆積させてもよい。
【0062】
ステップ704は、ラミネート車両用ガラスの周縁および情報取得システム開口部の近傍での第2面または第4面上における不透明エナメルプリントの提供を含み得る。公知の不透明エナメルプリント材料(黒色セラミックペイントなど)および印刷方法(スクリーン印刷など)が使用され得る。情報取得システム近傍の領域における不透明エナメルプリントがない開口領域は、この開口領域が情報取得システムの要求開口領域よりも大きくなるように、事前に画定し得る。
【0063】
ステップ706は、不透明エナメルプリントを乾燥および/または予備焼成することを含み得る。公知の乾燥法および/または予備焼成法(赤外線乾燥など)を使用し得る。
【0064】
ステップ708は、第1および第2のガラス基板の曲げを含み得る。公知の自重曲げ(二重ガラス曲げ)法および/またはプレス曲げ(単一ガラス曲げ)法を使用し得る。
【0065】
ステップ710は、第1の曲げガラス基板と第2の曲げガラス基板との間に少なくとも1つの暗色化源を配置することを含み得る。例えば、
図4に示すように、暗色化源は所望の形状を提供するように予め画定され得る。暗色化源は、第2面および/または第3面の上に配置され得る。第2面に暗色化源を配置することが望ましいものとなり得る。
【0066】
ステップ712は、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に、PVBシートなどの少なくとも1つのポリマー中間層を配置することを含み得る。
【0067】
ステップ714は、従来のラミネート工程(例えば、オートクレーブ)を含む。
【0068】
追加の実施形態では、暗色化源は、第4面を含むガラスの外側表面に適用されてもよい。さらに、暗色化源は、ガラス基板間に積層された2つの中間層の間に提供され得る。
【0069】
図8を参照すると、少なくとも1つの情報取得システム開口部を有するラミネート車両用ガラスを製造するためのプロセス800は、以下のステップを含み得る。
【0070】
ステップ802は、第1面および第2面を有する平坦な第1の(外側)ガラス基板と、第3面および第4面を有する平坦な第2の(内側)ガラス基板と、の準備を含み得る(例えば、切断、研削および洗浄)。任意選択的に、第2面または第3面の少なくとも1つの上に、IRRコーティングなどの機能コーティングを、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、または原子層堆積(ALD)によって堆積させてもよい。
【0071】
ステップ804は、ラミネート車両用ガラスの周縁および情報取得システム開口部の近傍での第2面または第4面上における不透明エナメルプリントの提供を含み得る。公知の不透明エナメルプリント材料(黒色セラミックペイントなど)および印刷方法(スクリーン印刷など)が使用され得る。情報取得システム近傍の領域における不透明エナメルプリントがない開口領域は、この領域が情報取得システムの要求開口領域よりも大きくなるように、事前に画定し得る。
【0072】
ステップ806は、不透明エナメルプリントを乾燥および/または予備焼成することを含み得る。公知の乾燥法および/または予備焼成法(赤外線乾燥など)を使用し得る。
【0073】
ステップ808は、第1および第2のガラス基板の曲げを含み得る。公知の自重曲げ(二重ガラス曲げ)法および/またはプレス曲げ(単一ガラス曲げ)法を使用し得る。
【0074】
ステップ810は、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に、PVBシートなどの少なくとも1つのポリマー中間層を配置することを含み得る。
【0075】
ステップ812は、従来のラミネート工程(例えば、オートクレーブ)を含み得る。
【0076】
ステップ814は、第2のガラス基板の第4面上に暗色化源を配置することを含み得る。例えば、
図4に示すように、暗色化源は所望の形状を提供するように予め画定され得る。
【0077】
図3aは、情報取得システム用の改善された透過光学系を提供する情報取得システム開口部を有するラミネート車両用グレージング801の他の例示的な実施形態を示す(
図2aおよび
図2bと同様に断面図が示されている)。
【0078】
図2a、
図2bおよび
図2cに基づいて説明した特徴に加え、第1のガラス基板121の第2面123上の不透明エナメルプリント開口部106に加えて、第4面に、開口領域を有する不透明エナメルプリント領域802が設けられ得る。図示の実施形態によれば、第2のガラス基板124の第4面126上の不透明エナメルプリント802の印刷パターンないしデザインは、第2面123上の不透明エナメルプリント203と実質的に同じであり得る。これにより熱処理プロセス中に各ガラス基板121、124が同じまたは実質的に同じ熱歪み205,805を与え得るので、曲げギャップ効果が最小化し、また、光学的歪み205,805がさらに改善される。いくつかの実施形態では、熱処理は、ガラス基板121,124の熱的強化および/または曲げを含み得る。暗色化源221は、暗色化源開口領域206のエッジおよびサイズを画定し得、これを通して情報取得システム130が車両ウィンドウ外側から情報を収集し得る。さらに暗色化源221は、車両の外部からの視界から覆うことが望ましい不透明エナメルプリント開口領域106内の領域をマスキングし得る。暗色化源開口領域206は、好ましくは、情報取得システム130が要求する開口部108と少なくとも同じ大きさである。
【0079】
本開示の他の態様によれば、
図9を参照すると、少なくとも1つの情報取得システム開口部を有するラミネート車両用ガラスを製造するためのプロセス900は、以下のステップを含み得る。
【0080】
ステップ902は、第1面および第2面を有する平坦な第1の(外側)ガラス基板と、第3面および第4面を有する平坦な第2の(内側)ガラス基板と、の準備を含み得る(例えば、切断、研削および洗浄)。任意選択的に、第2面または第3面の少なくとも1つの上に、IRRコーティングなどの機能コーティングを、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、または原子層堆積(ALD)によって堆積させてもよい。
【0081】
ステップ904は、ラミネート車両用ガラスの周縁および情報取得システム開口部の近傍での第2面および第4面上における不透明エナメルプリントの提供を含み得る。公知の不透明エナメルプリント材料(黒色セラミックペイントなど)および印刷方法(スクリーン印刷など)が使用され得る。情報取得システム開口部近傍の領域における不透明エナメルプリントがない開口領域は、この領域が情報取得システムの要求開口領域よりも大きくなるように、事前に画定し得る。第2面および第4面上の不透明エナメルプリントは、任意選択的に、同じもしくは実質的に同じであり得る。
【0082】
ステップ906は、不透明エナメルプリントを乾燥および/または予備焼成することを含み得る。公知の乾燥法および/または予備焼成法(赤外線乾燥など)を使用し得る。
【0083】
ステップ908は、第1および第2のガラス基板の曲げを含み得る。公知の自重曲げ(二重ガラス曲げ)法および/またはプレス曲げ(単一ガラス曲げ)法を使用し得る。
【0084】
ステップ910は、第1の曲げガラス基板と第2の曲げガラス基板との間に少なくとも1つの暗色化源を配置することを含み得る。例えば、
図4に示すように、暗色化源は所望の形状を提供するように予め画定され得る。いくつかの実施形態では、暗色化源は、第2面および/または第3面の上に配置され得る。
【0085】
ステップ912は、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に、PVBシートなどのポリマー中間層を配置することを含み得る。
【0086】
ステップ914は、従来のラミネート工程(例えば、オートクレーブ)を含む。
【0087】
追加の実施形態では、暗色化源が、第4面を含むガラスの外側表面に適用され得る。さらに、暗色化源は、ガラス基板間に積層された2つの中間層の間に提供され得る。
【0088】
本開示の他の態様によれば、
図10を参照すると、少なくとも1つの情報取得システム開口部を有するラミネート車両用ガラスを製造するためのプロセス1000は、以下のステップを含み得る。
【0089】
ステップ1002は、第1面および第2面を有する平坦な第1の(外側)ガラス基板と、第3面および第4面を有する平坦な第2の(内側)ガラス基板と、の準備を含み得る(例えば、切断、研削および洗浄)。任意選択的に、第2面または第3面の上に、IRRコーティングなどの機能コーティングを、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、または原子層堆積(ALD)によって堆積させてもよい。
【0090】
ステップ1004は、ラミネート車両用ガラスの周縁および情報取得システム開口部の近傍での第2面および第4面上における不透明エナメルプリントの提供を含み得る。公知の不透明エナメルプリント材料(黒色セラミックペイントなど)および印刷方法(スクリーン印刷など)が使用され得る。情報取得システム開口部近傍の領域における不透明エナメルプリントがない開口領域は、この領域が情報取得システムの要求領域よりも大きくなるように、事前に画定し得る。いくつかの実施形態では、第2面および第4面上の不透明エナメルプリントは、任意選択的に、同じもしくは実質的に同じ設計であり得る。
【0091】
ステップ1006は、不透明エナメルプリントを乾燥および/または予備焼成することを含み得る。公知の乾燥法および/または予備焼成法(赤外線乾燥など)を使用し得る。
【0092】
ステップ1008は、第1および第2のガラス基板の曲げを含み得る。公知の自重曲げ(二重ガラス曲げ)法および/またはプレス曲げ(単一ガラス曲げ)法を使用し得る。
【0093】
ステップ1010は、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に、PVBシートなどのポリマー中間層を配置することを含み得る。
【0094】
ステップ1012は、従来のラミネート工程(例えば、オートクレーブ)を含み得る。
【0095】
ステップ1014は、第2の曲げガラス基板の第4面の上に暗色化源を配置することを含み得る。例えば、
図4に示すように、暗色化源は所望の形状を提供するように予め画定され得る。
【0096】
本開示の上記の説明は、当業者が本開示を作成または使用できるようにするために提供されている。本開示に対する種々の修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書に規定される共通の原理は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、他の変形に適用され得る。例えば、上記の説明は、ラミネートグレージングならびに単一のガラス基板に適用し得る。
【0097】
さらに、説明された態様および/または実施形態の要素は単数形で説明またはクレームされ得るが、単数形への限定が明示的に述べられていない限り、複数形も含まれる。さらに、特に明記しない限り、任意の態様および/または実施形態のすべてまたは一部を、他の任意の態様および/または実施形態のすべてまたは一部と共に利用することができる。従って、本開示は、本明細書で説明される例および設計に限定されず、本明細書で開示される原理および新規の特徴に一致する最も広い範囲が与えられる。