(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】近赤外分光法及び機械学習技術による、製造工程におけるエンドポイント検出
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3563 20140101AFI20230303BHJP
【FI】
G01N21/3563
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021175662
(22)【出願日】2021-10-27
(62)【分割の表示】P 2018078847の分割
【原出願日】2018-04-17
【審査請求日】2021-11-24
(32)【優先日】2017-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】チャンメン ション
(72)【発明者】
【氏名】ペン ゾー
(72)【発明者】
【氏名】ラン スン
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-049246(JP,A)
【文献】特開2016-075692(JP,A)
【文献】特開2010-128947(JP,A)
【文献】特表2005-528585(JP,A)
【文献】特開2006-048429(JP,A)
【文献】特開2009-003638(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0080172(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/958
G06N 3/00-G06N 99/00
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置によって、サポートベクターマシン(SVM)分類モデルを識別するステップと、
前記装置によって、1つ以上の分光計から、製造工程の実行中に測定した多変量スペクトルデータを受信するステップと、
前記装置によって、前記多変量スペクトルデータに基づいて、前記SVM分類モデルを用いて、前記製造工程が特定時刻に定常状態であるか否かを判定するステップと、
前記装置によって、前記製造工程が前記特定時刻に前記定常状態であるか否かを判定した後に、前記製造工程が前記定常状態に達したことの指標を提供するステップと
を含
み、
前記製造工程が前記特定時刻に前記定常状態であるか否かを判定するステップが、
前記製造工程が前記定常状態に達したものと判定するステップを含み、
前記方法が、
前記製造工程が前記定常状態に達したものと判定したことに基づいて、前記定常状態に関連する定量的測定基準を定めるステップと、
前記定量的測定基準に関連する情報を提供するステップと
をさらに含む方法。
【請求項2】
前記製造工程に関連する主要遷移時刻に基づいて、前記SVM分類モデルを生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記SVM分類モデルが80個以上の変数を
有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記製造工程が前記特定時刻に前記定常状態であるか否かを判定するステップが、
前記多変量スペクトルデータを前記SVM分類モデルへの入力として提供するステップと、
前記SVM分類モデルの出力に基づいて、前記製造工程が前記特定時刻に前記定常状態でないものと判定するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記特定時刻が、前記多変量スペクトルデータを測定した時刻である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記定量的測定基準が、
前記定常状態における化合物の成分の濃度、
前記定常状態における粒径
のうちの1つ以上を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記定量的測定基準を定めるステップが、
前記製造工程が前記定常状態に達したものと判定したことに基づいて、前記多変量スペクトルデータを回帰モデルへの入力として提供するステップと、
前記定量的測定基準を、前記回帰モデルからの出力として受信するステップと
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記多変量スペクトルデータが近赤外(NIR)スペクトルデータを含み、該NIRスペクトルデータは、100個以上の変数
の値を含むデータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上のメモリと、
前記1つ以上のメモリに結合された1つ以上のプロセッサとを具えた装置であって、
前記1つ以上のプロセッサは、
分類モデルを識別し、
1つ以上の分光計から、製造工程の実行中に測定したスペクトルデータを受信し、
前記スペクトルデータに基づいて、前記分類モデルを用いて、前記製造工程が特定時刻に定常状態であるか否かを判定し、
前記製造工程が前記特定時刻に前記定常状態であるか否かを判定した後に、前記製造工程が前記定常状態に達したことの指標を提供する
ように構成され
、
前記1つ以上のプロセッサが、前記製造工程が前記特定時刻に前記定常状態であるか否かを判定する際に、前記製造工程が前記定常状態に達したものと判定するように構成され、
前記1つ以上のプロセッサが、
前記製造工程が前記定常状態に達したものと判定したことに基づいて、前記定常状態に関連する定量的測定基準を定め、
前記定量的測定基準に関連する情報を提供する
ようにさらに構成されている装置。
【請求項10】
前記1つ以上のプロセッサが、前記製造工程に関連する主要遷移時刻に基づいて前記分類モデルを生成するようにさらに構成されている、請求項
9に記載の装置。
【請求項11】
前記分類モデルがサポートベクターマシン(SVM)分類モデルである、請求項
9に記載の装置。
【請求項12】
前記分類モデルが80個以上の変数を
有する、請求項
9に記載の装置。
【請求項13】
前記特定時刻が、前記スペクトルデータを測定した時刻である、請求項
9に記載の装置。
【請求項14】
前記スペクトルデータが多変量スペクトルデータを含む、請求項
9に記載の装置。
【請求項15】
一組の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記一組の命令が1つ以上の命令を含み、該1つ以上の命令は、
装置の1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記装置に、
1つ以上の分光計から、製造工程の実行中に測定した多変量スペクトルデータを受信させ、
前記多変量スペクトルデータに基づいて、前記製造工程が特定時刻に定常状態であるか否かを判定させ、
前記製造工程が前記特定時刻に前記定常状態であるか否かを判定した後に、前記製造工程が前記定常状態に達したことの指標を提供させ
、
前記製造工程が前記特定時刻に前記定常状態であるか否かを判定する際に、前記製造工程が前記定常状態に達したものと判定させ、
前記製造工程が前記定常状態に達したものと判定したことに基づいて、前記定常状態に関連する定量的測定基準を定めさせ、
前記定量的測定基準に関連する情報を提供させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記製造工程が前記特定時刻に前記定常状態であるか否かが、サポートベクターマシン(SVM)分類モデルを用いて判定される、請求項1
5に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記特定時刻が、前記多変量スペクトルデータが測定された時刻である、請求項1
5に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記多変量スペクトルデータが近赤外(NIR)スペクトルデータを含み、該NIRスペクトルデータは、100個以上の変数
の値を含むデータを含む、請求項1
5に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
製造工程(例えば、連続製造工程、バッチ製造工程)を実現することの一部として、工
程分析技術(PAT:process analytical technology)システムを利用して、製造工程
の監視及び制御を可能にするリアルタイム・データまたは準リアルタイム・データ(例え
ば、スペクトルデータ)を生成することができる。連続製造工程は、原材料をシステム内
に投入して、最終製品(例えば医薬品)をシステムから連続様式で送り出すことができる
。換言すれば、連続製造工程では、製造工程の個別ステップが、(例えば、バッチ製造工
程のような一連の離散的ステップではなく)単一の統合された製造工程に変換される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一部の可能な実現によれば、装置が1つ以上のプロセッサを含んで:非定常状態から定
常状態に遷移する製造工程に関連する学習スペクトルデータを受信し;学習スペクトルデ
ータに基づいて、サポートベクターマシン(SVM:support vector machine)分類モデ
ルの複数回の反復を生成し;SVM分類モデルの複数回の反復に基づいて、製造工程に関
連する複数の予測遷移時刻を決定し;これらの予測遷移時刻のうち1つの遷移時刻は、製
造工程中に、SVM分類モデルの対応する反復回が、製造工程が非定常状態から定常状態
に遷移したことを予測する時刻を識別することができ;複数の予測した遷移時刻に基づい
て、製造工程が定常状態に達したか否かを判定することに関連する最終的な分類モデルを
生成する。
【0003】
一部の可能な実現によれば、非一時的コンピュータ可読媒体が1つ以上の命令を記憶す
ることができ、これらの命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、これらの
1つ以上のプロセッサに:非定常状態から定常状態に遷移する製造工程の第1実行部分に
関連する学習スペクトルデータを受信させ;この学習スペクトルデータに基づいて、製造
工程の他の実行部分が非定常状態から定常状態に遷移したか否かを判定することに関連す
るSVM分類モデルを反復的に生成させ;製造工程の第2実行部分に関連する追加的スペ
クトルデータを受信させ;SVM分類モデル及び追加的スペクトルデータに基づいて、製
造工程の第2実行部分が非定常状態から定常状態に遷移したか否かを判定させる。
【0004】
一部の可能な実現によれば、方法が:装置によって、非定常状態から定常状態に遷移す
る製造工程の第1実行部分に関連する第1スペクトルデータを受信するステップと;この
装置によって、第1スペクトルデータに基づいて、SVM分類モデルの複数回の反復を生
成するステップと;上記装置によって、SVM分類モデルの複数回の反復に基づいて、製
造工程の第1実行部分に関連する複数の予測遷移時刻を決定するステップと;上記装置に
よって、複数の予測遷移時刻に基づいて、製造工程の他の実行部分が定常状態に達したか
否かを判定することに関連する最終的なSVM分類モデルを生成するステップと;上記装
置によって、製造工程の第2実行部分に関連する第2スペクトルデータを受信するステッ
プと;上記装置によって、製造工程の第2実行部分が定常状態に達したか否かを、最終的
なSVM分類モデル及び第2スペクトルデータに基づいて判定するステップとを含むこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】本明細書中に説明する実現例の概要を示す図である。
【
図1B】本明細書中に説明する実現例の概要を示す図である。
【
図1C】本明細書中に説明する実現例の概要を示す図である。
【
図2】本明細書中に説明するシステム及び/または方法を実現することができる環境の例を示す図である。
【
図3】
図2の1つ以上の装置の構成要素の例を示す図である。
【
図4】製造工程が定常状態に達した時点を検出するためのSVM分類モデルを生成するためのプロセスの例のフローチャートである。
【
図5A】製造工程に関連するSVM分類モデルの反復によって予測した遷移時刻に基づいて、製造工程の遷移時刻を決定することに関連するグラフ表現の例を示す図である。
【
図5B】製造工程に関連するSVM分類モデルの反復によって予測した遷移時刻に基づいて、製造工程の遷移時刻を決定することに関連するグラフ表現の例を示す図である。
【
図6】スペクトルデータに基づいて、SVM分類モデルを用いて、製造工程が定常状態に達したか否かを判定するためのプロセスの例のフローチャートである。
【
図7A】SVM分類モデルに関連する簡略化した決定境界を例示するグラフ表現の例である。
【
図7B】SVM分類モデルに関連する簡略化した決定境界を例示するグラフ表現の例である。
【
図8】
図7A及び7Bの決定境界に基づいて決定される判定値の例のグラフ表現である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
以下の実現例の詳細な説明は、添付した図面を参照する。異なる図面中では、同じ参照
番号が同一または同様の要素を識別することがある。
【0007】
製造工程(例えば、医薬品を製造するための連続製造工程またはバッチ製造工程)が、
非定常状態(例えば、材料及び/または化合物の性質が時間と共に変化する状態)から定
常状態(例えば、材料及び/または化合物の性質が経時的にほぼ一定のままである状態)
への遷移のような1つ以上の状態遷移を含むことができる。例えば、医薬品を製造する製
造工程に含まれる混合工程が、化合物のスペクトル特性が(例えば、混合工程の開始時に
おける)非定常状態から(例えば、混合工程が完了していることを示す)定常状態に遷移
する遷移を含むことができる。
【0008】
従って、効率を改善し、及び/または製造工程を最適化するためには、製造工程を監視
して、製造工程が定常状態に達した時点を(例えば、リアルタイムまたは準リアルタイム
で)特定するべきである。製造工程の状態を検出するための可能な技術は、全スペクトル
強度のような製造工程に関連する単一変数に基づいて製造工程の状態を検出する単変量技
術を用いるモデルである。製造工程の状態を検出するための他の可能な技術は、主成分分
析(PCA:principle component analysis)技術を用いて一組の変数(即ち、主成分)
を識別し、これら一組の変数を監視することに基づいて、製造工程の状態を検出し、製造
工程が定常状態に達した時点を検出するモデルである。しかし、一部の場合には、製造工
程中に測定されるデータが多変量データ(例えば、何百もの変数に関連するデータを含む
NIR(near infrared:近赤外)スペクトル)となり得る。従って、単変量技術または
PCA技術によれば、比較的少数の変数に焦点を当てることに起因して、これらの技術が
不正確な状態検出をもたらすことがあり、及び/または正確な状態検出を保証するために
はロバスト(頑健)性が不十分なことがある。
【0009】
本明細書中に説明する実現は、製造工程(例えば、連続製造工程、バッチ製造工程、等
)が定常状態に達したか否かを判定するためのサポートベクターマシン(SVM)分類モ
デルを生成し、このSVM分類モデルを用いて、製造工程に関連する多変量スペクトルデ
ータに基づいて、製造工程が定常状態に達したか否かを判定することができる検出装置を
提供する。一部の実現では、SVM分類モデルが、多数の変数(例えば、80変数、12
0変数、150変数、等)を考慮に入れ、これにより、SVMモデルの精度及び/または
ロバスト性を(例えば、上述した技術に比べて)向上させることができる。
【0010】
図1A~1Cは、本明細書中に説明する実現例100の概要の図である。
図1Aに参照
番号102で示すように、検出装置が製造工程に関連する学習スペクトルデータを受信す
ることができる。学習スペクトルデータ(時として第1スペクトルデータと称される)は
、製造工程に関連するスペクトルデータを含むことができ、これらのデータに基づいて、
製造工程が定常状態に達したか否かを検出することに関連する、サポートベクターマシン
(SVM)分類モデルの反復を生成することができる。例えば、学習スペクトルデータは
、製造工程の実行中に分光計(スペクトロメーター)によって測定したスペクトル(例え
ば、NIRスペクトルのような多変量時系列データ)を含むことができる。製造工程にお
いて学習スペクトルデータを収集する期間中の実行部分は、製造工程の第1実行部分と称
することができる。
【0011】
図に示すように、学習スペクトルデータは、製造工程の開始時(時刻t0)に測定した
スペクトルデータ、製造工程が非定常状態であることを知った時点(時刻tus0)に測定
したスペクトルデータ、製造工程が定常状態であることを知った時点(時刻tss0)に測
定したスペクトルデータ、製造工程の終了時(時刻te)に測定したスペクトルデータ、
及び時刻t0と時刻teとの間の製造工程の状態が未知である時点に測定したスペクトルデ
ータを含むことができる。
【0012】
参照番号104~116で示すように、検出装置は、学習スペクトルデータに基づいて
SVM分類モデルの反復を生成することができる。例えば、参照番号104で示すように
、SVM分類モデルの初期反復(反復0)を生成するために、検出装置は、学習スペクト
ルデータに基づいて非定常状態データの初期集合(例えば、時刻t0から時刻tus0までに
測定したスペクトルデータを含む)及び定常状態データの初期集合(例えば、時刻tss0
から時刻teまでに測定したスペクトルデータを含む)を作成することができる。
【0013】
参照番号106で示すように、検出装置は、非定常状態データの初期集合及び定常状態
データの初期集合に基づいて、SVM分類モデルの初期反復を生成することができる。図
に示すように、学習スペクトルデータをSVM分類モデルの初期反復への入力として提供
することに基づいて、検出装置は、SVM分類モデルの初期反復に関連する初期予測遷移
時刻(ttrans0)(例えば、SVM分類モデルの初期反復が、製造工程が非定常状態から
定常状態に遷移したことを予測する時刻)を決定することができる。
【0014】
参照番号108で示すように、SVM分類モデルの1回目の反復(反復1)を生成する
ために、検出装置は、学習スペクトルデータに基づいて、非定常状態データの第1集合(
例えば、時刻t0から時刻ttrans0までに測定したスペクトルデータを含む)及び定常状
態データの第1集合(例えば、時刻tss0-dt*1から時刻teまでに測定したスペクトルデ
ータを含む)を作成することができる。特に、非定常状態データの第1集合は、SVM分
類モデルの初期反復によって予測した遷移時刻までに測定したスペクトルデータを含むの
に対し、定常状態データの第1集合は、定常状態データの初期集合に含まれるデータ、並
びに時刻tss0より1タイムステップ前に測定したスペクトルデータを含む。
【0015】
参照番号110で示すように、検出装置装置は、非定常状態データの第1集合及び定常
状態データの第1集合に基づいて、SVM分類モデルの1回目の反復を生成することがで
きる。図に示すように、学習スペクトルデータをSVM分類モデルの1回目の反復への入
力として提供することに基づいて、検出装置は、SVM分類モデルの1回目の反復に関連
する第1予測遷移時刻(ttrans1)(例えば、SVM分類モデルの1回目の反復が、製造
工程が非定常状態から定常状態に遷移したことを予測した時刻)を決定することができる
。
【0016】
一部の実現では、製造工程が非定常状態であることを知った時刻から、SVM分類モデ
ルのn回目の反復を生成するために使用する定常状態データに関連する最も早い時刻が時
間のしきい値量(例えば1タイムステップ)になるまで(例えば、定常状態データの集合
が、tss0-dt*n=tus0+dtから時刻teまでに測定したスペクトルデータを含むまで)、
検出装置は、この方法で、SVM分類モデルのn(n>1)回の反復を生成して予測遷移
時刻を決定することができる。
【0017】
例えば、
図1Aに参照番号112で示すように、SVM分類モデルのn回目の反復(反
復n)を生成するために、検出装置は、学習スペクトルデータに基づいて、非定常状態デ
ータのn番目の集合(例えば、時刻t
0から時刻t
trans(n-1)までに測定したスペクトル
データを含む)及び定常状態データのn番目の集合(例えば、時刻t
ss0-dt*n=t
us0+dt
から時刻t
eまでに測定したスペクトルデータを含む)を作成することができる。特に、
非定常状態データのn番目の集合は、SVM分類モデルの(n-1)回目の(即ち、前回の
)反復によって予測した遷移時刻までに測定したスペクトルデータを含むのに対し、定常
状態データのn番目の集合は、定常状態データの(n-1)番目の集合に含まれるスペクト
ルデータ、並びに時刻t
ss0-dt*(n-1)より1タイムステップ前に測定したスペクトルデー
タを含む。
【0018】
参照番号114で示すように、検出装置は、非定常状態データのn番目の集合及び定常
状態データのn番目の集合に基づいて、SVM分類モデルのn回目の反復を生成すること
ができる。図に示すように、学習スペクトルデータをSVM分類モデルのn回目の反復へ
の入力として提供することに基づいて、検出装置は、SVM分類モデルのn回目の反復に
関連するn番目の予測遷移時刻(ttrans(n))(例えば、SVM分類モデルのn回目の反
復が、製造工程が非定常状態から定常状態に遷移したことを予測した時刻)を決定するこ
とができる。
【0019】
参照番号116で示すように、検出装置は、SVM分類モデルのn回の反復によって予
測したn個の遷移時刻に基づいて、製造工程に関連する主要(例えば、最も予測される)
遷移時刻を決定することができる。参照番号118で示すように、検出装置は、製造工程
に関連する遷移時刻に基づいて、最終的なSVM分類モデルを生成することができる。例
えば、検出装置は、決定した主要遷移時刻より前に測定したスペクトルデータを含む非定
常状態データの最終集合、及び決定した主要遷移時刻以後に測定した学習スペクトルデー
タを含む定常状態データの最終集合を作成することができる。従って、図に示すように、
検出装置は、非定常状態データの最終集合及び定常状態データの最終集合に基づいて、最
終的なSVM分類モデルを生成することができる。
【0020】
図1Bに参照番号120で示すように、検出装置は(その後に)、(例えば、上述した
ように生成した最終的なSVM分類モデルを記憶することに基づいて)製造工程のある実
行部分が定常状態に達したか否かを検出するに当たり使用するSVM分類モデルを識別す
ることができる。例えば、検出装置は、製造工程が開始されているか開始されたことの指
標を受信したことに基づいて、SVM分類モデルを識別することができる。
【0021】
参照番号122で示すように、検出装置は、製造工程の第2実行部分中に、製造工程に
関連するスペクトルデータ(時として第2スペクトルデータまたは追加的スペクトルデー
タと称される)を受信することができる。例えば、図に示すように、分光計は、製造工程
のこの実行部分中の所定時刻(例えば、時刻tA)にスペクトルデータを測定することが
でき、そして、このスペクトルデータを検出装置に提供することができる。当該実行部分
中にSVM分類モデルへの入力用にスペクトルデータを収集する製造工程の実行部分は、
製造工程の第2実行部分と称することができる。
【0022】
さらに図示するように、検出装置は、スペクトルデータ及びSVM分類モデルに基づい
て、製造工程が時刻tAに定常状態であるか否かを判定することができる。例えば、参照
番号124で示すように、検出装置は、時刻tAに測定したスペクトルデータを、SVM
分類モデルへの入力として提供することができる。参照番号126で示すように、検出装
置は、SVM分類モデルの出力に基づいて、製造工程が時刻tAに定常状態でないものと
判定することができる。一部の実現では、以下に説明するように、検出装置が、製造工程
が定常状態であるか否かを、SVM分類モデルに関連する決定境界に基づいて判定するこ
とができる。
【0023】
図1Cに参照番号128で示すように、検出装置は、製造工程のその後の実行部分中(時刻t
B)に、製造
工程に関連するスペクトルデータを受信することができる。例えば、図に示すように、分光計は時刻t
Bにスペクトルデータを測定することができ、そしてこのスペクトルデータを検出装置に提供することができる。
【0024】
さらに図示するように、検出装置は、スペクトルデータ及びSVM分類モデルに基づい
て、製造工程が時刻tBに定常状態であるか否かを判定することができる。例えば、参照
番号130で示すように、検出装置は、時刻tBに測定したスペクトルデータを、SVM
分類モデルの入力として提供することができる。参照番号132で示すように、検出装置
は、SVM分類モデルの出力に基づいて、製造工程が時刻tBに定常状態であるものと判
定することができる。
【0025】
参照番号134で示すように、一部の実現では、検出装置が(随意的に)製造工程が定
常状態に達しているものと判定したことに基づいて、定常状態に関連する定量的測定基準
を定めることができる。この定量的測定基準は、定常状態における化合物の成分の濃度、
定常状態における粒径、等のような、定常状態に関連する定量的特性を示す測定基準を含
むことができる。例えば、検出装置は、当該スペクトルデータに基づいて定常状態を検出
したスペクトルデータを入力として受け取る回帰モデル(例えば、部分最小二乗(PLS
:partial least square)回帰モデル、サポートベクター回帰(SVR:support vector
regression)モデル)を記憶するか、こうした回帰モデルにアクセスして、定常状態に
関連する定量的測定基準を出力として提供することができる。
【0026】
参照番号136で示すように、製造工程が定常状態に達したものと判定したことに基づ
いて、検出装置は、製造工程が定常状態に達したことの指標を(例えば、製造工程を監視
することに関連するユーザ装置に)提供することができる。さらに図示するように、検出
装置は、定量的測定基準に関連する情報も提供することができる。
【0027】
このようにして、検出装置は、製造工程が定常状態に達したか否かを判定するためのS
VM分類モデルを生成し、このSVM分類モデルを用いて、製造工程に関連する多変量ス
ペクトルデータに基づいて、製造工程が定常状態に達したか否かを判定することができる
。
【0028】
以上に示したように、
図1A~1Cは例として提供するに過ぎない。他の例が可能であ
り、
図1A~1Cに関して説明したものと異なることができる。
【0029】
図2は、本明細書中に説明するシステム及び/または方法を実現することができる環境
200の例を示す。
図2に示すように、環境200は、1つ以上の分光計210-1~2
10-X(X≧1)(ここでは集合的に分光計210で参照し、個別に210で参照する
)、検出装置220、ユーザ装置230、及びネットワーク240を含むことができる。
環境200内の装置は、有線接続、無線接続、あるいは有線接続と無線接続との組合せに
より相互接続することができる。
【0030】
分光計210は、試料(例えば、製造工程に関連する試料)に対する分光計測を実行す
ることができる装置を含む。例えば、分光計210は、分光法(例えば、近赤外(NIR
)分光法、中赤外(mid-IR)分光法、ラマン分光法、等のような振動分光法)を実
行するデスクトップ(即ち、非ハンドヘルド)型分光装置を含むことができる。一部の実
現では、分光計210が、分光計210によって取得したスペクトルデータを検出装置2
20のような他の装置による分析用に提供することを可能にすることができる。
【0031】
装置220は、製造工程が定常状態に達したか否かを、製造工程に関連する分類モデル
、及び製造工程に関連するスペクトルデータに基づいて検出することができる1つ以上の
装置を含む。例えば、検出装置220は、サーバー、コンピュータ、クラウドコンピュー
タ装置、等のグループを含むことができる。一部の実現では、装置220が、製造工程に
関連する学習スペクトルデータに基づいて分類モデルを生成することを可能にすることが
できる。一部の実現では、検出装置220が、環境200内の分光計210等のような他
の装置から情報を受信し、及び/または他の装置に情報を送信することができる。
【0032】
ユーザ装置230は、製造工程が定常状態に達したか否かに関連する情報を受信し、処
理し、及び/または提供することができる1つ以上の装置を含む。例えば、ユーザ装置2
30は、デスクトップ・コンピュータ、携帯電話(例えば、スマートホン、無線電話機、
等)、ラップトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、ハンドヘルド・コンピ
ュータ、ウェアラブル(装着型)通信装置(例えば、スマートウォッチ(腕時計)、スマ
ートグラス(メガネ)、等)、または同種の装置のような通信兼コンピュータ装置を含む
ことができる。
【0033】
ネットワーク240は、1つ以上の有線及び/または無線ネットワークを含む。例えば
、ネットワーク240は、セルラ・ネットワーク(例えば、ロングターム・エボリューシ
ョン(LTE:long-term evolution)ネットワーク、3G(第3世代)ネットワーク、
符号分割多元接続(CDMA:code division multiple access)ネットワーク、等)、
公衆陸上移動ネットワーク(PLMN:public land mobile network)、ワイドエリア・
ネットワーク(WAN:wide area network)、メトロポリタン・エリア(都市規模)ネ
ットワーク(MAN:metropolitan area network)、電話網(例えば、公衆交換電話網
(PSTN:public switched telephone network))、プライベート(私設)ネットワ
ーク、アドホック・ネットワーク、イントラネット、インターネット、光ファイバー系ネ
ットワーク、クラウドコンピュータ・ネットワーク、等、及び/または、これらもしくは
他の種類のネットワークの組合せを含むことができる。
【0034】
図2に示す装置の数及び配置は例として提供する。実際に、
図2に示すものに追加した
装置及び/またはネットワーク、
図2に示すものよりも少数の装置及び/またはネットワ
ーク、
図2に示すものとは異なる装置及び/またはネットワーク、あるいは
図2に示すも
のとは異なるように配置された装置及び/またはネットワークが存在し得る。さらに、図
2に示す2つ以上の装置を単一の装置内に実現することができ、あるいは、
図2に示す単
一の装置を複数の分散型装置として実現することができる。それに加えて、あるいはその
代わりに、環境200内の装置の集合(例えば、1つ以上の装置)が、環境200内の装
置の他の集合によって実行されるものとして説明した1つ以上の機能を実行することがで
きる。
【0035】
図3は、装置300の構成要素の例の図である。装置300は、分光計210、検出装
置220、及び/またはユーザ装置230に相当し得る。一部の実現では、分光計210
、検出装置220、及び/またはユーザ装置230が、1つ以上の装置300及び/また
は装置300の1つ以上の構成要素を含むことができる。
図3に示すように、装置300
は、バス310、プロセッサ320、メモリ330、記憶構成要素340、入力構成要素
350、出力構成要素360、及び通信インタフェース370を含むことができる。
【0036】
バス310は、装置300の構成要素間の通信を可能にする構成要素を含む。プロセッ
サ320は、ハードウェア、ファームウェア、あるいはハードウェアとソフトウェアの組
合せで実現することができる。プロセッサ320は、中央演算装置(CPU:central pr
ocessing unit)、グラフィック処理装置(GPU:graphical processing unit)、アク
セラレーテッド・プロセッシング・ユニット(APU:accelerated processing unit:
加速処理装置)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセ
ッサ、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA:field programmable gat
e array)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circu
it)、または他の種類の処理構成要素を含む。一部の実現では、プロセッサ320が、あ
る機能を実行するようにプログラムすることができる1つ以上のプロセッサを含む。メモ
リ330は、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、読出し専用メ
モリ(ROM:read only memory)、及び/または、プロセッサ320が利用する情報及
び/または命令を記憶する動的または静的な記憶装置(例えば、フラッシュメモリ、磁気
メモリ、及び/または光メモリ)を含む。
【0037】
記憶構成要素340は、装置300の動作及び利用に関係する情報及び/またはソフト
ウェアを記憶する。例えば、記憶構成要素340は、ハードディスク(例えば、磁気ディ
スク、光ディスク、光磁気ディスク、及び/または半導体ディスク)、コンパクトディス
ク(CD:compact disc)、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disc
)、フロッピー(登録商標)ディスク、カートリッジ、磁気テープ、及び/または他の種
類の非一時的コンピュータ可読媒体を、対応するドライブ(駆動装置)と共に含むことが
できる。
【0038】
入力構成要素350は、装置300が例えばユーザ入力装置(例えば、タッチスクリー
ン・ディスプレイ、キーボード、キーパッド、マウス、ボタン、スイッチ、及び/または
マイクロホン)を介して情報を受信することを可能にする構成要素を含む。それに加えて
、あるいはその代わりに、入力装置350は、情報を感知するためのセンサ(例えば、全
地球測位システム(GPS:global positioning system)構成要素、加速度計、ジャイ
ロスコープ、及び/またはアクチュエータを含むことができる。出力構成要素360は、
装置300からの情報を提供する構成要素(例えば、ディスプレイ、スピーカ、及び/ま
たは1つ以上の発光ダイオード(LED:light emitting diode)を含む。
【0039】
通信インタフェース370は、装置300が、例えば有線接続、無線接続、あるいは有
線接続と無線接続との組合せにより他の装置と通信することを可能にするトランシーバ型
構成要素(例えば、トランシーバ及び/または別個の受信機及び送信機)を含む。通信イ
ンタフェース370は、装置300が他の装置から情報を受信すること、及び/または他
の装置に情報を提供することを可能にすることができる。例えば、通信インタフェース3
70は、イーサネット(登録商標)インタフェース、光インタフェース、同軸ケーブル・
インタフェース、赤外線インタフェース、無線周波数(RF:radio frequency)インタ
フェース、ユニバーサル・シリアルバス(USB:universal serial bus)インタフェー
ス、Wi-Fiインタフェース、セルラ・ネットワーク・インタフェース、等を含むこと
ができる。
【0040】
装置300は、本明細書中に説明する1つ以上のプロセスを実行することができる。装
置300は、メモリ330及び/または記憶構成要素340のような非一時的コンピュー
タ可読媒体が記憶しているソフトウェア命令をプロセッサ320が実行することに応答し
て、これらのプロセスを実行することができる。本明細書では、コンピュータ可読媒体を
非一時的なメモリ装置として定義する。メモリ装置は、単一の物理的記憶装置内のメモリ
空間、あるいは複数の物理的記憶装置に分散したメモリ空間を含む。
【0041】
ソフトウェア命令は、他のコンピュータ可読媒体から、あるいは他の装置から通信イン
タフェース370を介して、メモリ330及び/または記憶構成要素340内に読み込む
ことができる。実行時に、メモリ330及び/または記憶構成要素340内に記憶された
ソフトウェア命令は、本明細書中に説明する1つ以上の工程をプロセッサ320に実行さ
せることができる。それに加えて、あるいはその代わりに、ハードウェア回路をソフトウ
ェア命令の代わりに、あるいはソフトウェア命令と組み合わせて用いて、本明細書中に説
明する1つ以上の工程を実行することができる。従って、本明細書中に説明する実現は、
ハードウェア回路とソフトウェアとのいずれの特定の組合せにも限定されない。
【0042】
図3に示す構成要素の数及び配置は例として提供する。実際に、装置300は、
図3に
示すものに加えた構成要素、
図3に示すものよりも少数の構成要素、
図3に示すものとは
異なる構成要素、あるいは
図3に示すものとは異なるように配置された構成要素を含むこ
とができる。それに加えて、あるいはその代わりに、装置300の構成要素の集合(例え
ば、1つ以上の構成要素)が、装置300の構成要素の他の集合によって実行されるもの
として説明した1つ以上の機能を実行することができる。
【0043】
図4は、製造工程が定常状態に達した時点を検出するための分類モデルを生成するため
のプロセス400の例のフローチャートである。一部の実現では、
図4の1つ以上のプロ
セス・ブロックを検出装置220によって実行することができる。一部の実現では、
図4
の1つ以上のプロセス・ブロックを、分光計210及び/またはユーザ装置230のよう
な、検出装置220とは別個の、あるいは検出装置220を含む他の装置または装置グル
ープによって実行することができる。
【0044】
図4に示すように、プロセス400は、製造工程に関連する学習スペクトルデータを受
信するステップを含むことができる(ブロック410)。例えば、検出装置220が、製
造工程に関連する学習スペクトルデータを受信する。
【0045】
学習スペクトルデータは、製造工程に関連するスペクトルデータを含むことができ、こ
のスペクトルデータに基づいて、SVM分類モデルの反復を生成することができる。例え
ば、学習スペクトルデータは、製造工程のある実行部分中に分光計210によって測定し
たスペクトル(例えば、NIRスペクトルのような多変量時系列データ)を含むことがで
きる。一部の実現では、製造工程を連続製造工程またはバッチ製造工程とすることができ
る。一部の実現では、以下に説明するように、検出装置220が、学習スペクトルデータ
に基づいてSVM分類モデルを生成することができる。
【0046】
一部の実現では、学習スペクトルデータが、製造工程の以前の実行部分中の異なる時刻
に(例えば、一連のタイムステップにおいて周期的に)測定した履歴スペクトルを含むこ
とができる。例えば、学習スペクトルデータは、製造工程の以前の実行部分の開始時(本
明細書では時刻t0と称する)に測定したスペクトル、及び製造工程の以前の実行部分の
終了時(本明細書では時刻teと称する)に測定したスペクトルを含むことができる。
【0047】
他の例として、学習スペクトルデータは、製造工程の以前の実行部分が非定常状態にな
っていることを知った時点(本明細書では時刻tus0と称する)に測定したスペクトルを
含むことができる。一部の実現では、(例えば、製造工程の開始時に製造工程が非定常状
態であるので)時刻tus0を時刻t0と同じ時刻にすることができる。その代わりに、時刻
tus0を、時刻t0の1タイムステップ後、時刻t0の5タイムステップ後、時刻t0の40
タイムステップ後のような、時刻t0より後の時刻にすることができる。一部の実現では
、時刻tus0を、時刻t0より後の、製造工程の以前の実行部分が非定常状態になっている
ものと想定される時刻にすることができる。
【0048】
追加的な例として、学習スペクトルデータは、製造工程の以前の実行部分が定常状態に
なっていることを知った時点(本明細書では時刻tss0と称する)に測定したスペクトル
を含むことができる。一部の実現では、(例えば、製造工程の終了時に製造工程が定常状
態であるので)時刻tss0を時刻teと同じ時刻にすることができる。その代わりに、時刻
tss0を、時刻teの1タイムステップ前、時刻teの5タイムステップ前、時刻teの40
タイムステップ前のような、時刻teより前の時刻とすることができる。一部の実現では
、時刻tss0を、時刻teより前の、製造工程の以前の実行部分が定常状態になっているも
のと想定される時刻にすることができる。
【0049】
さらに他の例として、学習スペクトルデータは、時刻t0と時刻teとの間の、製造工程
の以前の実行部分の状態が未知である時点に測定したスペクトルを含むことができる。
【0050】
一部の実現では、検出装置220が1つ以上の他の装置から学習スペクトルデータを受
信することができ、これらの他の装置は、例えば、製造工程の以前の実行部分中に学習ス
ペクトルデータを取得する1つ以上の分光計210、あるいは製造工程の以前の実行部分
中に1つ以上の分光計210によって測定した学習スペクトルデータを記憶するサーバー
装置である。
【0051】
一部の実現では、学習スペクトルデータが、製造工程の以前の複数の実行部分に関連す
ることができ、開始条件(例えば、全重量、粒径、分布、湿度レベル、等)は製造工程の
これら複数の実行部分間で変動する。こうした場合には、製造工程の複数の実行部分に関
連する学習スペクトルデータの複数の集合を平均化し、及び/または他の方法で組み合わ
せて、学習スペクトルデータを形成することができる。一部の実現では、変動する開始条
件で学習スペクトルデータを測定することが、これらの学習スペクトルデータに基づいて
生成されるSVM分類モデルの精度及び/またはロバスト性の(例えば、開始条件の単一
集合を有する製造工程の1つの実行部分に基づいて生成されるSVM分類モデルに比べた
)増加を生じさせる。
【0052】
一部の実現では、検出装置220が、学習スペクトルデータに対して次元縮小を実行す
ることができる。次元縮小は、多変量学習スペクトルデータの変数の数を低減することを
含むことができ、この多変量学習スペクトルデータに基づいてSVM分類モデルを生成す
ることができる。一部の実現では、主成分分析(PCA)技術を用いて次元縮小を実行す
ることができ、これにより、SVM分類モデルを生成するに当たり使用する主成分(即ち
、複数の変数の部分集合)を識別する。それに加えて、あるいはその代わりに、変数選択
技術を用いて次元縮小を実行することができ、これにより、これら複数の変数のうち、例
えば製造工程に関連する化合物に特徴的な変数を選択する。こうした変数選択技術の例は
、選択比(SR:selectivity ratio)技術、射影における変数重要度(VIP:variabl
e importance in projection)技術、等を含む。一部の実現では、次元縮小を実行するこ
とが、例えば、これら複数の変数間の干渉を除去すること及び/またはノイズを低減する
ことによって、(例えば、学習スペクトルデータの全体集合に基づいて生成したSVM分
類モデルに比べて)SVM分類モデルの相互運用性の改善、及び/またはSVM分類モデ
ルの生成の改善を生じさせることができる。
【0053】
図4にさらに示すように、プロセス400は、学習スペクトルデータに基づいて、非定
常状態データの集合及び定常状態データの集合を作成するステップを含むことができる(
ブロック420)。例えば、検出装置220が、学習スペクトルデータに基づいて、非定
常状態データの集合及び定常状態データの集合を作成することができる。
【0054】
この非定常状態データの集合は、SVM分類モデルの反復を生成する目的で、学習スペ
クトルデータに含まれるスペクトルデータを含むことができ、このスペクトルデータは、
製造工程が非定常状態であるものと想定される時刻に対応する。例えば、SVM分類モデ
ルの初期反復を生成することに関連する非定常状態データの初期集合は、時刻t0から時
刻tus0までの複数の時刻に測定したスペクトルデータを含むことができる。この例を継
続して、SVMモデルの次回の反復を生成することに関連する非定常状態データの他の集
合は、時刻t0から時刻ttrans0までの(1つ以上の)時刻に測定したスペクトルデータ
を含むことができ、ここに、ttrans0はSVM分類モデルの初期反復によって予測した遷
移時刻(例えば、非定常状態から定常状態への遷移の時刻)である。一般に、SVMモデ
ルのn回目の反復を生成することに関連する非定常状態データのn番目の集合は、時刻t
0から時刻ttrans(n-1)までの(1つ以上の)時刻に測定したスペクトルデータを含むこ
とができ、ここに、時刻ttrans(n-1)はSVM分類モデルの(n-1)回目の(即ち、前回
の)反復によって決定された遷移時刻である。SVM分類モデルの反復を生成することに
関する追加的な詳細は以下に説明する。
【0055】
一部の実現では、例えば、学習スペクトルデータに含まれる追加的スペクトルデータを
、SVMモデルの前回の反復を生成することに関連する非定常状態データの集合に追加す
ることによって、非定常状態データの集合を更新し、修正し、及び/または再作成して、
SVMモデルの各回の反復を生成することができる。例えば、SVM分類モデルのn回目
の反復を生成するための非定常状態データのn番目の集合は、SVM分類モデルの(n-
1)回目の反復を生成するために使用した非定常状態データの(n-1)番目の集合、並び
に非定常状態データの(n-1)番目の集合における最終時刻からSVM分類モデルの(n
-1)回目の反復を用いて予測した遷移時刻までの(1つ以上の)時刻に測定したスペク
トルデータを含むことができる。特定例として、SVM分類モデルの4回目の反復を生成
するための定常状態データの集合は、時刻t0から時刻ttrans3までに(例えば、開始時
刻からモデルの3回目の反復を用いて決定した遷移時刻までに)測定したスペクトルデー
タを含むことができるのに対し、SVM分類モデルの5回目の(即ち、次回の)反復を生
成するための定常状態データの集合は、時刻t0から時刻ttrans4までに(例えば、開示
時刻からSVM分類モデルの4回目の反復を用いて決定した遷移時刻までに)測定したス
ペクトルデータを含むことができる。
【0056】
定常状態データの集合は、SVM分類モデルの反復を生成する目的で、学習スペクトル
データに含まれるスペクトルデータを含むことができ、このスペクトルデータは、製造工
程の以前の実行部分が定常状態であるものと想定される時刻に対応する。例えば、SVM
分類モデルの初期反復を生成することに関連する定常状態データの初期集合は、時刻tss
0から時刻teまでの(1つ以上の)時刻に測定したスペクトルデータを含むことができる
。この例を継続して、SVMモデルの次回の反復を生成することに関連する定常状態デー
タの他の集合は、時刻tss0-dt*1から時刻teまでの(1つ以上の)時刻に測定したスペ
クトルデータを含むことができ、ここに、時刻tss0-dt*1はtss0より1タイムステップ
前の時刻である。換言すれば、検出装置220は、SVM分類モデルの各回の反復を生成
する際に、時刻tss0より前のタイムステップに関連するスペクトルデータを、定常状態
データの各集合に追加する。一般に、SVMモデルのn回目の反復を生成することに関連
する定常状態データのn番目の集合は、時刻tss0-dt*nから時刻teまでに測定したスペ
クトルデータを含むことができ、ここに、時刻tss0-dt*nは時刻tss0よりnタイムステ
ップ前の時刻である。
【0057】
一部の実現では、例えば、追加的スペクトルデータを、SVMモデルの前回の反復を生
成することに関連する定常状態データの集合に追加することによって、定常状態データの
集合を更新し、修正し、及び/または再作成して、SVMモデルの各回の反復を生成する
ことができる。例えば、SVM分類モデルの所定回の反復を生成するための定常状態デー
タの集合は、SVM分類モデルの前回の反復を生成するために使用した定常状態データの
集合に含まれるスペクトルデータ、並びにSVM分類モデルの前回の反復を生成するため
のスペクトルデータの集合に関連する最も早期のタイムステップの直前のタイムステップ
に測定したスペクトルデータを含むことができる。特定例として、SVM分類モデルの4
回目の反復を生成するための定常状態データの集合は、時刻tss0-dt*4から時刻teまで
に測定したスペクトルデータを含むことができるのに対し、SVM分類モデルの5回目の
(即ち、次回の)反復を生成するための定常状態データの集合は、時刻tss0-dt*5から時
刻teまでに測定したスペクトルデータ(即ち、tss0-dt*4よりも1タイムステップ早い
スペクトルデータ)を含むことができる。
【0058】
図4にさらに示すように、プロセス400は、非定常状態データの集合及び定常状態デ
ータの集合に基づいて、製造工程が定常状態に達したか否かを検出することに関連するS
VM分類モデルの反復を生成するステップを含むことができる(ブロック430)。例え
ば、検出装置220が、非定常状態データの集合及び定常状態データの集合に基づいて、
製造工程が定常状態に達した時点を検出することに関連するSVM分類モデルの反復を生
成することができる。
【0059】
一部の実現では、検出装置220が、非定常状態データの集合及び定常状態データの集
合にSVM技術を適用することに基づいて、SVM分類モデルの反復を生成することがで
きる。例えば、検出装置220は、非定常状態データの集合が、例えば超平面の集合によ
って定常状態データの集合から分離されるように、非定常状態データの集合及び定常状態
データの集合を空間内の点としてマッピングすることによって、SVMモデルを生成する
ことができる。
【0060】
一部の実現では、検出装置220が、学習スペクトルデータ及びSVM分類モデルの反
復に基づいて、SVM分類モデルの反復に関連する(即ち、SVM分類モデルの反復によ
って予測される)予測遷移時刻を決定することができる。例えば、検出装置220は、非
定常状態データの集合及び定常状態データの集合に基づいて、SVM分類モデルの反復を
生成することができる。ここで、検出装置220は、(例えば、時刻t0から時刻teまで
の各タイムステップに関連する)学習スペクトルデータを同じ空間内にマッピングするこ
とができ、この空間に基づいてSVM分類モデルを生成する。この例では、学習スペクト
ルデータのアイテムを(例えば、超平面の集合に対して)マッピングする場所に基づいて
、SVM分類モデルが、SVM分類モデルの初期反復によって予測した、製造工程に関連
する遷移時刻(ttrans(n))を識別することができる。一部の実現では、以下に説明する
ように、検出装置220が、SVM分類モデルの各回の反復毎に予測遷移時刻を決定する
ことができる。一部の実現では、検出装置220が、SVM分類モデルの反復に関連する
予測遷移時刻を識別する情報を記憶して、検出装置220が製造工程に関連する遷移時刻
を決定することを可能にすることができる。
【0061】
図4にさらに示すように、プロセス400は、SVM分類モデルの他回の反復を生成す
るか否かを決定するステップを含むことができる(ブロック440)。例えば、検出装置
220が、SVM分類モデルの他回の反復を生成するか否かを決定することができる。
【0062】
一部の実現では、検出装置220が、SVM分類モデルの他回の反復を生成するか否か
を、定常状態データの集合に関連する時刻に基づいて決定することができる。例えば、検
出装置220は、SVM分類モデルの反復を生成することを、定常状態データの集合に関
連する時刻のうち最も早い時刻が、製造工程が非定常状態であることを知った時刻(時刻
tus0)に関連するしきい値時刻を満足するまで継続するように構成することができる。
特定例として、検出装置220は、定常状態データの集合に関連する最も早い時刻が、時
刻tus0としきい値量だけ異なるまで(例えば、tss0-dt*nがtus0から1タイムステップ
になる(tss0-dt*n=tus0+dtになる)まで)、SVM分類モデルの反復を生成すること
(及び予測遷移時刻を決定すること)を継続するように構成することができる。
【0063】
それに加えて、あるいはその代わりに、検出装置220は、SVM分類モデルの他回の
反復を生成するか否かを、反復しきい値に基づいて決定することができる。例えば、検出
装置220は、SVM分類モデルの反復をしきい値量の時間分だけ生成することを、しき
い値回数の反復が生成されるまで継続する、等のように構成することができる。ここで、
検出装置220は、SVM分類モデルの他回の反復を生成するか否かを、しきい値を満足
したか否か(例えば、しきい値量の時間が経過したか否か、しきい値回数の反復が生成さ
れたか否か、等)に基づいて決定することができる。
【0064】
図4にさらに示すように、SVM分類モデルの他回の反復を生成する場合(ブロック4
40の「はい」)、プロセス400は、学習スペクトルデータに基づいて、定常状態デー
タの他の集合及び非定常状態データの他の集合を作成することを含むことができる(ブロ
ック420)。例えば、検出装置220は、(例えば、T
ss0-dt*n>t
us0+dtである際に
、反復しきい値を満足しない際に、等)SVM分類モデルの他回の反復を生成することを
決定することができ、検出装置220は、学習スペクトルデータに基づいて、定常状態デ
ータの他の集合及び非定常状態データの他の集合を作成することができる。
【0065】
一部の実現では、検出装置220は、非定常状態データの他の集合、及び定常状態デー
タの他の集合を、ブロック420に関して上述した方法で作成することができる。一部の
実現では、非定常状態データの他の集合及び定常状態データの他の集合を作成する際に、
検出装置220は、ブロック430に関して上述したように、SVM分類モデルの他回の
反復を生成して、SVM分類モデルの他回の反復によって予測される遷移時刻を決定する
ことができる。
【0066】
上述した反復プロセスの例として、検出装置220は、非定常状態データの初期集合(
例えば、時刻t0から時刻tus0までの(1つ以上の)時刻に測定した学習スペクトルデー
タを含む)及び定常状態データの初期集合(例えば、時刻tss0から時刻teまでの(1つ
以上の)時刻に測定した学習スペクトルデータを含む)を作成することができる。この例
では、検出装置220は、SVM技術を定常状態データの初期集合及び非定常状態データ
の初期集合に適用して、SVM分類モデルの初期反復を生成することができる。次に、検
出装置220は、学習スペクトルデータを、SVM分類モデルの初期反復への入力として
提供し、その出力として、SVM分類モデルの初期反復に関連する初期予測遷移時刻(t
trans0)を決定することができる。
【0067】
この例を継続して、検出装置220は、tss0>tus0+dtであるものと判定することが
でき、従って、検出装置220はSVM分類モデルの他回の反復を生成することができる
。次に、検出装置220は、学習スペクトルデータ及び初期予測遷移時刻に基づいて、定
常状態データの第1集合(例えば、時刻tss0-dt*1から時刻teまでに測定した学習スペ
クトルデータを含む)及び非定常状態データの初期集合(例えば、時刻t0から時刻ttra
ns0までに測定した学習スペクトルデータを含む)を作成することができる。次に、検出
装置220は、SVM技術を定常状態データの第1集合及び非定常状態データの第1集合
に適用して、SVM分類モデルの1回目の反復を生成することができる。次に、検出装置
220は、学習スペクトルデータをSVM分類モデルの1回目の反復への入力として提供
し、その出力として、SVM分類モデルの1回目の反復に関連する第1予測遷移時刻(t
trans1)を決定することができる。検出装置220は、この方法でSVM分類モデルの反
復を生成する(そして予測遷移時刻を決定する)ことを、検出装置220が追加的反復を
生成しないことを決定するまで継続することができる。
【0068】
図4にさらに示すように、SVM分類モデルの他回の反復を生成しない場合には(ブロ
ック440の「いいえ」)、プロセス400は、SVM分類モデルの反復によって予測し
た遷移時刻に基づいて、製造工程に関連する遷移時刻を決定するステップを含むことがで
きる(ブロック450)。例えば、検出装置220が、SVM分類モデルの他回の反復を
生成しないことを決定することができ、そして検出装置220は、製造工程に関連する遷
移時刻を、SVM分類モデルの反復によって予測した遷移時刻に基づいて決定することが
できる。
【0069】
一部の実現では、検出装置220が、製造工程に関連する遷移時刻を、SVM分類モデ
ルの反復に関連する予測遷移時刻に基づいて決定することができる。例えば、検出装置2
20は、上述した方法で、SVM分類モデルのn回の反復のそれぞれによって予測される
n個の遷移時刻を決定することができる。ここで、検出装置220は、製造工程に関連す
る遷移時刻を、SVM分類モデルのn回の反復によって予測したうちの主要遷移時刻(例
えば、最大の発生回数を有する予測遷移時刻)として決定することができる。
【0070】
図5A及び5Bは、製造工程に関連するSVM分類モデルの反復によって予測した遷移時刻に基づいて製造
工程の遷移時刻を決定することに関連するグラフ表現500及び550の例である。
図5A及び5Bの目的で、検出装置220はSVM分類モデルのn回の反復に対応するn個の遷移時刻を決定しているものと仮定する。
【0071】
図5Aでは、各点が、SVM分類モデルの反復によって予測した遷移時刻を表し、SV
M分類モデルの反復に関連する時刻t
ss0-dt*n(即ち、SVM分類モデルの反復を生成す
ることに関連する定常状態の集合に関連する時刻
tss0-d*n)に対してプロットしている
。
図5Aに示すように、n個の遷移時刻の集合のうちの主要遷移時刻は、時刻130であ
る(例えば、時刻130は他の遷移時刻よりも多数回の反復によって予測されている)。
この例では、検出装置220が、製造工程に関連する遷移時刻を時刻130として決定す
ることができる。
【0072】
代わりのグラフ表現を
図5Bに示す。
図5Bには、各遷移時刻の合計発生回数をプロッ
トしている。ここでも、
図5Bに示すように、n個の遷移時刻の集合のうちの主要遷移時
刻は時刻130である。こうして、検出装置220は、製造工程に関連する遷移時刻を時
刻130として決定することができる。
【0073】
以上に示したように、
図5A及び5Bは例として提供するに過ぎない。他の例が可能で
あり、
図5A及び5Bに関して説明したものと異なることができる。
【0074】
図4を参照すれば、プロセス400が、製造工程に関連する遷移時刻に基づいて最終的
なSVM分類モデルを生成するステップを含むことができる(ブロック460)。例えば
、検出装置220が、製造工程に関連する遷移時刻に基づいて、最終的なSVM分類モデ
ルを生成することができる。
【0075】
この最終的なSVM分類モデルは、SVM分類モデルの反復に基づいて決定した、製造
工程に関連する遷移時刻に基づいて生成したSVM分類モデルを含むことができる。
【0076】
一部の実現では、検出装置220が、製造工程に関連する遷移時刻に基づいて最終的な
分類モデルを生成することができる。例えば、検出装置220は、上述したように、製造
工程に関連する遷移時刻を決定することができる。ここでは、検出装置220が非定常状
態データの最終的な集合及び定常状態データの最終的な集合を作成することができ、非定
常状態データの最終的な集合は、遷移時刻より前の(1つ以上の)時刻に関連する学習ス
ペクトルデータを含み、定常状態データの最終的な集合は、遷移時刻以後の(1つ以上の
)時刻に関連する学習スペクトルデータを含む。この例では、検出装置220が、非定常
状態データの最終的な集合及び定常状態データの最終的な集合にSVM技術を適用するこ
とができ、そして最終決定されたSVM分類モデルを、上述した方法と同様な方法で生成
することができる。
【0077】
一部の実現では、上述したように、SVM分類モデルが決定境界(例えば、超平面)を
含むことができ、この決定境界は、製造工程のその後の実行部分が定常状態に達したか否
かを判定する根拠として機能することができる。決定境界に関する追加的な詳細は、
図6
に関して以下に説明する。
【0078】
一部の実現では、検出装置220が最終的なSVM分類モデルを記憶することができ、
これにより、上述したように、検出装置220はこの最終的なSVM分類モデルを用いて
、製造工程のその後の実行部分が非定常状態であるか定常状態であるかを判定することが
できる。このようにして、検出装置220はSVM分類モデルを生成することができ、こ
のSVM分類モデルは、製造工程に関連するスペクトルデータを入力として受信して、製
造工程が非定常状態であるか定常状態であるかの指標を出力として提供することができる
。
【0079】
一部の実現では、製造工程が複数回の状態遷移を含むことがあり、検出装置220は、
定常状態毎にプロセス400を反復して、製造工程に関連する複数のSVM分類モデルを
決定することができる。例えば、製造工程は、1回目の非定常状態から1回目の定常状態
に遷移し、1回目の定常状態から2回目の非定常状態に遷移し、そして2回目の非定常状
態から2回目の定常状態に遷移することができる。この例では、検出装置220が(例え
ば、製造工程に関連して測定した学習スペクトルに基づいて)プロセス400を実行して
、2回目の定常状態への遷移に関連するSVM分類モデルを生成することができる。次に
、検出装置220は、(例えば、2回目の定常状態に関連する学習スペクトルデータを含
まない学習スペクトルデータの部分集合に基づいて)プロセス400を実行して、1回目
の定常状態への遷移に関連するSVM分類モデルを生成することができる。
【0080】
図4はプロセス400のブロックの例を示しているが、一部の実現では、プロセス40
0が、
図4に示すものに加えた構成要素、
図4に示すものよりも少数のブロック、
図4に
示すものとは異なるブロック、あるいは
図4に示すものとは異なるように配置されたブロ
ックを含むことができる。それに加えて、あるいはその代わりに、プロセス400のブロ
ックのうちの2つ以上を並行して実行することができる。
【0081】
図6は、スペクトルデータに基づいて、SVM分類モデルを用いて、製造工程が定常状
態に達したか否かを判定するためのプロセス600の例のフローチャートである。一部の
実現では、
図6の1つ以上のプロセス・ブロックを検出装置220によって実行すること
ができる。一部の実現では、
図6の1つ以上のプロセス・ブロックを、分光計210及び
/またはユーザ装置230のような検出装置220とは別個の、あるいは検出装置220
を含めた他の装置または装置グループによって実行することができる。
【0082】
図6に示すように、プロセス600は、製造工程が定常状態に達したか否かを検出する
ためのSVM分類モデルを識別するステップを含むことができる(ブロック610)。例
えば、検出装置220は、製造工程が定常状態に達したか否かを検出するためのSVM分
類モデルを識別することができる。
【0083】
一部の実現では、検出装置220が、検出装置220が記憶している情報または検出装
置220によってアクセス可能な情報に基づいてSVM分類モデルを識別することができ
る。例えば、検出装置220は、プロセス440に関して上述したように、検出装置22
0によって生成した最終的なSVM分類モデルを記憶することに基づいて、SVM分類モ
デルを識別することができる。
【0084】
一部の実現では、検出装置220が製造工程を監視するべきことの指標を、検出装置220が(例えば、分光計210から、ユーザ装置230から、ユーザ入力に基づいて、等で)受信すると、検出装置220はSVM分類モデルを識別して、製造工程が定常状態に達した時点を特定することができる。例えば、検出装置220は、分光計210及び/またはユーザ装置230から、特定の製造工程を開始するべきこと、あるいは特定の製造工程が開始されたことの指標を受信することができ、例えば、検出装置220が製造工程を自動的に監視するように構成されている際に、この指標を受信したことに基づいてSVM分類モデルを(自動的に)識別して、製造工程が定常状態に達した時点を検出することができる。
【0085】
図6にさらに示すように、プロセス600は、製造工程に関連するスペクトルデータを
受信するステップを含むことができる(ブロック620)。例えば、検出装置220が、
製造工程に関連するスペクトルデータを受信することができる。
【0086】
一部の実現では、このスペクトルデータが、製造工程の実行中に1つ以上の分光計21
0によって測定したスペクトルを含むことができる。一部の実現では、検出装置220が
、製造工程中にスペクトルデータをリアルタイムまたは準リアルタイムで受信することが
できる。例えば、検出装置220は、製造工程の実行部分中に分光計210によって測定
したスペクトルデータを、分光計210がスペクトルデータを取得することに対してリア
ルタイムまたは準リアルタイムで受信することができる。一部の実現では、以下に説明す
るように、検出装置220が、スペクトルデータ及びSVM分類モデルに基づいて、製造
工程が定常状態に達したか否かを判定することができる。
【0087】
図6にさらに示すように、プロセス600は、スペクトルデータ及びSVM分類モデル
に基づいて、製造工程が定常状態に達したか否かを判定するステップを含むことができる
(ブロック630)。例えば、検出装置220が、スペクトルデータ及びSVM分類モデ
ルに基づいて、製造工程が定常状態に達したか否かを判定することができる。
【0088】
一部の実現では、検出装置220が、製造工程が定常状態に達したか否かを、SVM分
類モデルに関連する決定境界に基づいて判定することができる。例えば、(上述したよう
に)学習スペクトルデータを用いて製造工程の遷移時刻を識別することに基づいて、検出
装置220は、分光空間内の超平面によって表される決定境界を含むSVM分類モデルを
生成することができる。ここで、決定境界の内側にある分光空間内の点は、製造工程が定
常状態である分光条件を表すのに対し、決定境界の外側にある点は、製造工程が非定常状
態である分光条件を表す。一部の実現では、上述したように、製造工程に関連する遷移時
刻を特定した後に、SVM分類モデル技術を学習スペクトルデータに適用することに基づ
いて、決定境界データを生成することができる。
【0089】
図7A及び7Bは、SVM分類モデルに関連する簡略化した決定境界を例示するグラフ
表現700の例である。例示目的で、
図7A及び7Bに示す決定境界は、第1主成分(P
C1:principal component 1)及び第2主成分(PC2)に関連するものとして示して
いる。実際には、決定境界は異なる数の構成要素(例えば、80変数、120変数、等)
に関連することができる。
【0090】
図7A及び7Bでは、グレー色の点及び線が、製造工程が非定常状態である(1つ以上
の)時刻に(例えば、t
0からSVM分類モデルに関連する遷移時刻までに)測定した学
習スペクトルデータを表すのに対し、黒色の点及び線は、製造工程が定常状態である(1
つ以上の)時刻に(例えば、SVM分類モデルに関連する遷移時刻から時刻t
eまでに)
測定した学習スペクトルデータを表す。ライトグレー(薄灰)色の円は、製造工程が非定
常状態であった最後の点及び製造工程が定常状態であった最初の点を表す。
図7Aは、製
造工程に関連する全部の(例えば、時刻t
0から時刻t
eまでの)学習スペクトルデータの
グラフ表現であるのに対し、
図7Bは、
図7A中に破線の四角形で示す空間内の点の拡大
図である。
図7Bでは、決定境界は定常状態に関連する点(並びに非定常状態に関連する
点の部分集合)を囲む太線で表される。以上に示すように、
図7A及び7Bは簡略化した
図示の例として提供するに過ぎない。他の例が可能であり、
図7A及び7Bに関して説明
したものと異なることができる。
【0091】
一部の実現では、検出装置220が、製造工程が定常状態に達したか否かを、決定境界
(例えば、
図7Bに示すような決定境界)に基づいて判定することができる。例えば、検
出装置220は、製造工程に関連するスペクトルデータを受信することができ、そしてこ
のスペクトルデータを、決定境界に関連する空間内の点としてマッピングすることができ
る。ここで、スペクトルデータに関連する点が決定境界上または決定境界内にある場合、
検出装置220は、製造工程が定常状態に達したものと判定することができる。その代わ
りに、スペクトルデータに関連する点が決定境界の外側にある場合、検出装置220は、
製造工程が定常状態に達していない(即ち、非定常状態である)ものと判定することがで
きる。
【0092】
一部の実現では、検出装置220が、製造工程が定常状態に達したか否かの判定に関連
する信頼性測定基準(本明細書では決定値と称する)を生成することができる。例えば、
検出装置220は、決定境界、及びスペクトルデータを表す点に基づいて、決定境界から
スペクトルデータを表す点までの距離(例えば、決定境界上の最も近い点までの距離)を
測定することができる。ここで、決定境界の内側の点は、正(または負)の決定値に割り
当てることができるのに対し、決定境界の外側の点は、負(または正)の決定値に割り当
てることができる。この例では、より大きい絶対値を有する決定値(例えば、4.0.2
.5、-2.5、-4.0、等)が、より小さい絶対値を有する決定値(例えば。0.5
、0.2、-0.2、-0.5、等)よりも、製造工程の状態の判定におけるより高い信
頼性を表す。
【0093】
以上に示すように、
図7A及び7Bは例示として提供するに過ぎない。他の例が可能で
あり、
図7A及び7Bに関して説明したものと異なることができる。
【0094】
図8は、
図7A及び7Bの決定境界に基づいて特定した決定値の例のグラフ表現800
である。
図8では、負の決定値が、製造工程中に測定した、決定境界の外側にある点によ
るスペクトルデータに対応するのに対し、正の決定値は、製造工程中に、決定境界の内側
に入る点によるスペクトルデータに対応する。
図8中に縦線で示すように、検出装置22
0は、およそタイムステップ65で第1の正の決定値を特定している。
【0095】
一部の実現では、検出装置220が、製造工程が定常状態に達したか否かを、決定値の
しきい値に基づいて判定することができる。例えば、検出装置220は、決定境界の内側
にある点に関連する決定値がしきい値を満足する際に、製造工程が定常状態に達したもの
と判定することができる。
図8を特定例として用いれば、検出装置220が、2.0以上
である正の決定値を特定した際に製造工程が定常状態に達したものと判定するように構成
されている場合に、検出装置220はこうした判定をおよそタイムステップ75において
行うことができる。
【0096】
他の例として、検出装置220は、連続する複数のタイムステップに関連する連続する
複数の決定値がしきい値を満足する際に、製造工程が定常状態に達したものと判定するこ
とができる。
図8を特定例として用いれば、検出装置220が、連続する5つの正の決定
値を特定した際に製造工程が定常状態に達したものと判定するように構成されている場合
に、検出装置220は、こうした判定をおよそタイムステップ69で行うことができる。
【0097】
他の例として、検出装置220は、連続するしきい値個数の決定値がしきい値を満足す
る際に、製造工程が定常状態に達したものと判定することができる。
図8を特定例として
用いれば、検出装置220が、1.0以上である、連続する3つの正の決定値を特定した
際に製造工程が定常状態に達したものと判定するように構成されている場合に、検出装置
220は、こうした判定をおよそタイムステップ68で行うことができる。
【0098】
他の例として、検出装置220は、複数の決定値(例えば、連続する一連の正の決定値
)の平均値または加重平均値がしきい値を満足する際に、製造工程が定常状態に達したも
のと判定することができる。一部の実現では、検出値のしきい値を用いることにより、(
例えば、製造工程が本質的に確率的であり得るので)製造工程が定常状態に達したものと
誤判定することを防ぐことができる。
【0099】
以上に示すように、
図8は例示として提供するに過ぎない。他の例が可能であり、
図8
に関して説明したものと異なることができる。
【0100】
図6に戻れば、製造工程が定常状態に達していない場合(ブロック630の「いいえ」
)プロセス600は、製造工程に関連する追加的スペクトルデータを含むことができる。
例えば、検出装置220は、製造工程が定常状態に達していないものと(例えば、製造工
程がまだ非定常状態であるものと)判定することができ、そして(例えば、製造工程中の
次のタイムステップで収集される)追加的スペクトルデータを待つことができる。
【0101】
一部の実現では、この追加的スペクトルデータに基づいて、上述した方法で、製造工程
が定常状態に達しているか否かを判定することができる。一部の実現では、検出装置22
0は、スペクトルデータを受信して製造工程が定常状態に達したか否かを判定することを
、製造工程が定常状態に達したものと検出装置220が判定するまで継続することができ
る。
【0102】
図6にさらに示すように、製造工程が定常状態に達した場合(ブロック630の「はい
」)、プロセス600は、定常状態に関連する定量的測定基準を定めるステップを含むこ
とができる(ブロック640)。例えば、検出装置220は、製造工程が定常状態に達し
たものと判定することができ、そして定常状態に関連する定量的測定基準を定めることが
できる。
【0103】
この定量的測定基準は、定常状態における化合物の成分の濃度、定常状態における粒径
、等のような定常状態に関連する定量的特性を示す測定基準を含むことができる。一部の
実現では、検出装置220がスペクトルデータに基づいて検出した定常状態が、粒径のよ
うな特定の物理特性を有する成分化合物の特定組成に対応することができる。従って、上
記定量的測定基準は、定常状態に関連するスペクトルデータに基づいて予測することがで
きる。
【0104】
例えば、一部の実現では、検出装置220が、当該スペクトルデータに基づいて定常状
態を検出したスペクトルデータを入力として受信し、定常状態に関連する定量的測定基準
を出力として提供する回帰モデル(例えば、PLS回帰モデル、SVRモデル)を記憶す
るか、こうした回帰モデルにアクセスすることができる。この例では、回帰モデルからの
出力を、例えば、化合物の各成分の濃度、化合物の特定サイズ、等とすることができる。
【0105】
一部の実現では、検出装置220が、上記回帰モデルを記憶するか、こうした回帰モデ
ルにアクセスすることができる。それに加えて、あるいはその代わりに、検出装置220
は、学習スペクトルデータ及び定量的学習データ(例えば、学習スペクトルデータに対応
する定量的測定基準を識別する情報)に基づいて、上記回帰モデルを生成することができ
る。一部の実現では、定量的測定基準の決定が随意的である。
【0106】
図6にさらに示すように、プロセス600は、製造工程が定常状態に達したことの指標
、及び上記定量的測定基準に関連する情報を提供するステップを含むことができる(ブロ
ック650)。例えば、検出装置220は、製造工程が定常状態に達したことの指標、及
び上記定量的測定基準に関連する情報を提供することができる。
【0107】
一部の実現では、検出装置220が、製造工程が定常状態に達したことの指標、及び/
または、ユーザ装置230のような他の装置向けの定量的測定基準に関連する情報を提供
することができる(これにより、ユーザは、製造工程が定常状態に達したことを知ること
、及び/または定量的測定基準に関連する情報を見ることができる)。
【0108】
それに加えて、あるいはその代わりに、検出装置220は、製造工程が定常状態に達し
たことの指標を提供して、ある動作を自動的に実行させることができる。例えば、検出装
置220は、製造工程を実行することに関連する装置にこの指標を提供して、製造工程を
停止させて(例えば、定常状態に関連する混合工程を停止させて)、製造工程中の次のス
テップを開始させて、製造工程を再開する(例えば、新たな原材料に対して混合工程を再
開する)ことができる。
【0109】
図6は、プロセス600のブロックの例を示しているが、一部の実現では、プロセス6
00が、
図6に示すものに追加したブロック、
図6に示すものよりも少数のブロック、図
6に示すものとは異なるブロック、あるいは
図6に示すものとは異なるように配置された
ブロックを含むことができる。それに加えて、あるいはその代わりに、プロセス600の
ブロックのうち2つ以上を並行して実行することができる。
【0110】
本明細書中に説明した実現は、製造工程(例えば、連続製造工程、バッチ製造工程、等
)が定常状態に達したか否かを判定するためのSVM分類モデルを生成すること、及びS
VM分類モデルを用いて、かつ製造工程に関連する多変量スペクトルデータに基づいて、
製造工程が定常状態に達したか否かを判定することができる検出装置を提供する。一部の
実現では、SVM分類モデルが、多数の変数(例えば、80変数、120変数、150変
数、等)を考慮に入れ、これにより、SVM分類モデルの精度及び/またはロバスト性を
(例えば、単変量技術またはPCA技術に比べて)向上させることができる。
【0111】
以上の開示は、図示及び説明を提供するが、網羅的であること、あるいは実現を開示し
た明確な形態に限定することは意図していない。以上の開示を考慮した変更及び変形が可
能であり、あるいは実現の実施より変更及び変形を獲得することができる。
【0112】
本明細書中に用いる構成要素とは、ハードウェア、ファームウェア、及び/またはハー
ドウェアとソフトウェアの組合せとして広義に解釈されることを意図している。
【0113】
一部の実現は、しきい値に関連して本明細書中に説明している。本明細書中に用いる、
しきい値を満足するとは、しきい値よりも大きい値、しきい値よりも多い値、しきい値よ
りも高い値、しきい値以上である値、しきい値よりも小さい値、しきい値よりも少ない値
、しきい値よりも低い値、しきい値以下である値、しきい値に等しい値、等を参照する。
【0114】
本明細書中に説明したシステム及び/または方法は、ハードウェア、ファームウェア、
あるいはハードウェアとソフトウェアの組合せの異なる形態で実現することができること
は明らかである。これらのシステム及び/または方法を実現するために使用される実際の
特化したハードウェアまたはソフトウェア・コードは、実現を限定するものではない。従
って、本明細書中では、システム及び/または方法の動作及び挙動を特定のソフトウェア
・コードを参照せずに説明したが、ソフトウェア及びハードウェアは、本明細書中の説明
に基づくシステム及び/または方法を実現するように設計することができることは明らか
である。
【0115】
特徴の特定の組合せを、特許請求の範囲に記載し、及び/または明細書中に開示してい
るが、これらの組合せは可能な実現の開示を限定することは意図していない。実際に、こ
れらの特徴の多数は、特許請求の範囲に具体的に記載していない方法、及び/または明細
書中に開示していない方法で組み合わせることができる。以下に挙げる各従属請求項は1
つの請求項のみに従属することがあるが、可能な実現の開示は、特許請求の範囲中の各従
属請求項を他のあらゆる請求項と組み合わせたものを含む。
【0116】
本明細書中に用いるどの要素も動作も命令も、特に断りのない限り、決定的または不可
欠なものとして解釈するべきでない。また、本明細書中に用いる「ある...」は、1つ以
上のアイテムを含むことを意図しており、「1つ以上の」と互換的に用いることができる
。さらに、本明細書中に用いる「集合」とは、1つ以上のアイテム(例えば、関係するア
イテム、無関係なアイテム、関係するアイテムと無関係なアイテムとの組合せ、等)を含
むことを意図している。1つだけのアイテムを意図している場合、「1つの」または類似
の文言を用いている。また、本明細書中に用いる「有する」、「有している」等は、上限
がない用語を意図している。さらに、「基づく」は、特に断りのない限り「少なくとも部
分的に基づく」ことを意味することを意図している。