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特許7237128ツールの安全ロックを執行できるツールクランプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】ツールの安全ロックを執行できるツールクランプ
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/157 20060101AFI20230303BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
B23Q3/157 E
B23Q11/00 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021188248
(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公開番号】P2022081462
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】109140574
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519025655
【氏名又は名称】臻賞工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【弁理士】
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】孫穎
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3217899(JP,U)
【文献】特開平07-051768(JP,A)
【文献】実開昭58-154036(JP,U)
【文献】特開2001-198760(JP,A)
【文献】特公昭46-025229(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155 - 3/157
B23Q 11/00
B25H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールの安全ロックを執行できるツールクランプであって、ベース上でツールホルダーを挟持する前記ツールクランプは、2個の挟持体、ピン部材、定位台を有し、
前記2個の挟持体は、それぞれ連接部及び爪部を有し、前記2個の連接部は重なり、しかも軸部材により貫通するように設置され、ピボット運動をするように前記ベースに連接され、前記2個の爪部は、前記2個の連接部に従い、相対してピボット運動をして開閉し、前記2個の連接部は共に、ピン孔を有し、前記2個のピン孔の孔径は相等で、
前記ピン部材は、前記軸部材に平行で、前記ベースに設置され、しかも前記ピン部材は、前記軸部材の位置と異なり、しかも前記2個の連接部が重なると、前記2個のピン孔に通して設置され、前記ピン部材は、大径セクションと小径セクションを有し、前記大径セクションは、前記2個のピン孔と凡そ等しい径の幅を備え、前記小径セクションの幅は、前記2個のピン孔より小さく、前記ピン部材は、軸方向に沿って移動し、前記ベースに相対し、ロック解除ポジションに位置する、或いはロッキングポジションに位置し、
前記ベースは、ピン槽を有し、前記ピン部材を収容して設置し、前記ピン部材は、前記ピン槽中において復位弾性部材を接続し、前記ピン部材は、前記復位弾性部材に常態的に押し上げられ、前記ロッキングポジションに位置し、しかも前記ピン部材が前記ロック解除ポジションへと移動すると、前記復位弾性部材は圧縮されて復元力を産生し、前記復元力を前記ピン部材に提供し、ロッキングポジションへと復位させ、
前記定位台は、前記ベースに固定され、しかも前記2個の連接部上に重ねて設置され、穿孔を有し、前記2個のピン孔に正対応し、しかも前記穿孔と前記小径セクションの幅は等しく、前記ピン部材が前記ロッキングポジションにある時、前記大径セクションは、前記2個のピン孔中に位置し、前記小径セクションは、前記穿孔に位置し、しかも露出セクションを伸ばし、前記露出セクションが前記穿孔に押し入れられる時、前記ピン部材は、前記ロッキングポジションより、前記ロック解除ポジションへと移動し、
前記2個の挟持体は、前記ピン部材が前記ロック解除ポジションにある時には、前記小径セクションは、少なくとも1個の前記ピン孔中にあり、しかも間隙を備え、前記間隙により、前記2個の挟持体は相対してピボット運動をでき、前記ツールホルダーは前記2個の爪部を開き、取り出され、或いは戻され、前記2個の挟持体は、前記ピン部材が前記ロッキングポジションにある時には、制限されて、相対してピボット運動をせず、前記ツールホルダーは、前記2個の爪部に挟持され固定される
ことを特徴とする、
ツールの安全ロックを執行できるツールクランプ。
【請求項2】
前記ピン部材は、開槽を有し、前記露出セクションに位置し、ローラーは、前記開槽中で、回転するように露出セクションに設置され、前記ローラーは押されることで、前記露出セクションは前記穿孔中に押し入れられる
ことを特徴とする、
請求項に記載のツールの安全ロックを執行できるツールクランプ。
【請求項3】
前記ピン部材は、前記露出セクションの頂端においてガイド角を有し、前記ガイド角は、前記開槽の片側に偏向し、しかも弧状曲線を呈し、前記ローラーは、前記ピン部材の頂端において、前記ガイド角の片側に露出する
ことを特徴とする、
請求項に記載のツールの安全ロックを執行できるツールクランプ。
【請求項4】
前記ピン部材は、前記大径セクションの片側において、軸方向に沿って陥没しフラット面を形成し、定位部材は前記ピン槽において、前記ベースの横に設置され、前記フラット面に密着して揃い、これにより前記定位部材により前記ピン部材を制限し、前記ベースに相対して軸方向に沿って移動しても、前記2個のピン孔に相対して回転しない
ことを特徴とする、
請求項に記載のツールの安全ロックを執行できるツールクランプ。
【請求項5】
前記ベースは、複数の前記ツールクランプを有し、パラレル配列して設置することを特徴とする、
請求項1に記載のツールの安全ロックを執行できるツールクランプ。
【請求項6】
前記各挟持体には、圧縮バネが設置され、少なくとも1個の前記挟持体が、外へとピボット運動をすると、前記圧縮バネの戻りに従い復位する
ことを特徴とする、
請求項に記載のツールの安全ロックを執行できるツールクランプ。
【請求項7】
前記圧縮バネは、任意の2個の前記ツールクランプの間に設置され、前記圧縮バネの両端は、隣り合う2個のツールクランプの挟持体にそれぞれ接続す
ことを特徴とする、
請求項に記載のツールの安全ロックを執行できるツールクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はツールホルダーを挟持するツールクランプに関し、特にツールの安全ロックを執行できるツールクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
マシニングセンターに対応し、加工過程でスムーズにツールを交換するため、通常は対応するツールマガジンを脇に設置する。
常用されるのはカルーセル式、ディスク式、チェーン式、タレット式など形態のツールマガジンで、各加工ツールの収容と設置、及び製造工程計画に対応する。
ツールマガジンは、異なる加工タイプのツールをセットすることで、マシニングセンターは、加工物件の加工過程において、交換して使用でき、マシニングセンターにとってなくてはならない重要な装置となっている。
しかも、ツールマガジンの設計及び刷新の趨勢は、マシニングセンターそのものを凌ぐ勢いを見せている。
【0003】
従来のツールクランプの構造には、特許文献1に開示する「ドラム式ツールマガジン上のツール把持機構」がある。
それは、圧板の前縁両方の内側は頂ピンに接し、ツールの押し引き面を押し、ツールディスクの迅速旋回によって、ツールがツールマガジンから出されないようにする。
【0004】
また、特許文献2に開示する「切削機中ツールマガジンの挟持台構造」は、2個の挟持アーム末端は、圧迫された復位部材が弾力をリリースすることで、円ロッドを軸心とし内向きに旋回動作を行い、これにより2個のクランピングエッジは、フライスツールのネックツールを定位する。
【0005】
さらに、特許文献3に開示する「ツールマガジンツールディスクのツール把持構造」は、ツールクランプ部の収容室は嵌着ブロックを有し、各嵌着ブロックはツールホルダーが載入されると、ツールホルダー周縁に陥没設置される環槽において支え、ツールクランピングシート中においてツールホルダーを堅固に固定する。
【0006】
しかし、上述の従来のツールクランプ構造はすべて、ツールホルダー定位の挟持構造(頂ピン、復位部材、嵌着ブロック)を提供することはできるが、ツールクランプが不注意で開けられることを予防する安全ツールロックメカニズムがない。
そのため、実務において、ツールホルダーが外力を受けると極めて容易にツールクランプから離脱して落下する問題がしばしば発生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】台湾特許第240497号明細書
【文献】台湾特許第324282号明細書
【文献】台湾特許第I293907号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記先行技術には、ツールクランプが不注意で開けられることを予防する安全ツールロックメカニズムがないため、ツールホルダーが外力を受けると極めて容易にツールクランプから離脱して落下するという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は安全ツールロックメカニズムを提供し、ツールクランプがロック解除状態でなければ、ツールホルダーは取り出され、或いは戻されることはないツールの安全ロックを執行できるツールクランプに関する。
【0010】
本発明によるツールの安全ロックを執行できるツールクランプは、ベース上でツールホルダーを挟持する。
ツールクランプは、2個の挟持体、ピン部材を有し、各挟持体は、それぞれ連接部及び爪部を有し、2個の連接部は重なり、しかも軸部材により貫通するように設置され、ピボット運動をするようにベースに連接される。
2個の爪部は2個の連接部に従い相対してピボット運動をし開閉する。
ピン部材は、軸部材に平行で、ベースに設置され、しかもピン部材は軸部材とは異なる位置に2個の挟持体の連接部を通して設置する。
ピン部材は、軸方向に沿って移動し、ベースに相対しロック解除ポジションに位置する或いはロッキングポジションに位置する。
2個の挟持体は、ピン部材がロック解除ポジションにある時には、相対してピボット運動をでき、ツールホルダーは2個の爪部を開き、取り出され、或いは戻される。
2個の挟持体は、ピン部材がロッキングポジションにある時、制限され、相対してピボット運動をせず、ツールホルダー2個の爪部12により挟持して固定される。
【0011】
これにより、2個の挟持体が、ピン部材において、ロック解除ポジションにある時でなければ、ツールホルダーは、2個の爪部を開くことはできず、よってツールホルダーをツールクランプ上から取り出し、或いは戻すことはできない。
但し、2個の挟持体がピン部材においてロッキングポジションにある時には制限され相対ピボット運動をできず、この時2個の挟持体は、ピン部材の制限を受け、2個の爪部は開かれない。
そのため、ツールホルダーに対して力を加えても、ツールホルダーをツールクランプから離脱させることはできず、これにより安全ツールロックメカニズムとでき、ツールホルダーが外力を受け、ツールクランプから離脱し落下する問題の発生を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明実施形態のツールクランプがベースに従いドラム式ツールマガジンに設置される様子を示す模式図である。
図2】本発明実施形態のツールクランプがベース上に設置される様子を示す立体外観図である。
図3図2のツールクランプをベース上で分解した配置図である。
図4図1の4-4線でカットした、ツールクランプ位置における断面局部模式図で、この時ピン部材はロッキングポジションにある。
図5図1の5-5線でカットした、ツールクランプ位置における断面局部模式図である。
図6】本発明実施形態の主軸がツールクランプへ移動しツールホルダーを取り出す位置の模式図である。
図7図4中のピン部材が軸方向に沿ってロック解除ポジションまで移動する様子を示す模式図である。
図8図5中の2個の挟持体がピン部材に従いロック解除ポジションで2個の爪部を開きツールホルダーを取り出し、或いは戻す様子を示す模式図である。
図9】本発明実施形態の主軸がツールホルダーを連動しツールクランプに戻させる様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(一実施形態)
上述の発明内容において掲示した中心思想について説明するため、以下では具体的実施形態を用いる。
実施形態中の各種物件は、説明に適した比率、大きさ、変形量或いは移動量で表示し、実際の部品の比率に基づいた表示でないことを、ここに明記する。
【0014】
図1図9に示す通り、本発明によるツールの安全ロックを執行できるツールクランプ100は、ベース200上でツールホルダー300を挟持する。
ベース200は、本実施形態中では、複数のツールクランプ100を有し、パラレル配列して設置される(図1、2参照)。
ツールクランプ100は、2個の挟持体10及びピン部材20を有する。
【0015】
挟持体10は、連接部11及び爪部12を有する。
2個の連接部11は重なり、しかも軸部材13により通して設置され、ピボット運動をするようにベース200に連接される。
2個の爪部12は2個の連接部11に従い相対してピボット運動をして開閉する。
本実施形態中において、2個の挟持体10は同様の構造を備え、連接部11は、挟持体10の、厚さが薄い方の側板に相対する。
本実施形態の2個の挟持体10は、反対に設置され、2個の連接部11により重なり(図3参照)、こうして2個の爪部12の位置は対称となる。
この他、2個の連接部11は共に、ピン孔111を有し、2個のピン孔111の孔径は相等で、2個のピン孔111は、2個の連接部11において重なる時に正対応する。
【0016】
ピン部材20は、ベース200に設置され、しかもピン部材20はベース200にある時は、軸部材13と平行を呈する。
しかも、ピン部材20の、ベース200における所在位置は、軸部材13の位置とは異なる。
ピン部材20は、重なって正対応する2個のピン孔111に通して設置され、ピン部材20は、軸方向に沿って移動し、ベース200に相対し、ロック解除ポジションP1に位置する(図7、8参照)或いはロッキングポジションP2に位置する(図4、5参照)。
2個の挟持体10が、ピン部材20において、ロック解除ポジションP1にある時、2個の挟持体10は相対してピボット運動をでき、ツールホルダー300が加工主軸に接合し、これに従い移動すると、2個の爪部12に対して外力を加え、2個の爪部12を開かせ、これによりツールホルダー300は、ツールクランプ100上から離され、或いはツールホルダー300をツールクランプ100へ戻すことができる。
また、ピン部材20がロッキングポジションP2にある時、2個の挟持体10は、ピン部材20より制限され、相対してピボット運動をせず、ツールホルダー300はこの時、2個の爪部12により挟持して固定される。
ここで言う2個の挟持体10は、相対してピボット運動をでき、2個の挟持体10は2個ともピボット運動をでき、或いは1個の挟持体10は不動で、もう1個の挟持体10はそれに相対してピボット運動をする。
いずれも、本発明が開示する2個の挟持体10が相対してピボット運動をする形態である。
【0017】
本実施形態中において、ピン部材20は、大径セクション21と小径セクション22を備え、大径セクション21は、2個のピン孔111と凡そ等しい径の幅を備え、小径セクション22の幅は、2個のピン孔111より小さい。
ピン部材20がロッキングポジションP2にある時、大径セクション21により、2個のピン孔111中において、2個の挟持体10を制限し、相対したピボット運動を行わせない。
ピン部材20がロック解除ポジションP1にある時、小径セクション22は、少なくとも1個のピン孔111中にあり、しかも間隙Gを備え、間隙Gにより、2個の挟持体10に、相対してピボット運動をする空間を提供する。
【0018】
好ましくは、ベース200は、ピン槽201を有し、ピン部材20を収容して設置し、しかもピン槽201内に、復位弾性部材23を設置する。
この復位弾性部材23は、本実施形態では圧縮バネである。
ピン部材20は、ピン槽201中で、復位弾性部材23により、大径セクション21に接続する。
ピン部材20は、復位弾性部材23により常態的に押し上げられ、ロッキングポジションP2に位置し、しかもピン部材20がロック解除ポジションP1まで移動すると、復位弾性部材23は圧縮されて復元力を発生し、復位弾性部材23の被圧縮の力が消えると、復元力をピン部材20に提供し、ロッキングポジションP2へと復位させる。
【0019】
本実施形態中において、定位台30をさらに有し、ベース200に固定され(図2、3参照)、しかも定位台30は2個の連接部11上に重ねて設置される。
定位台30とベース200には、2個の挟持体10が動けるピボット運動の空間を設けるる。
定位台30は、穿孔31を有し、穿孔31が定位台30において、ベース200に固定される時、2個のピン孔111に正対応し、しかも穿孔31と小径セクション22の幅は等しい。
ピン部材20がロッキングポジションP2にある時、大径セクション21は2個のピン孔111中に位置し、小径セクション22は穿孔31中に位置し、しかも小径セクション22は穿孔31外に露出セクション221を伸ばす。
この露出セクション221が穿孔31に押し入れられる時、ピン部材20は、ロッキングポジションP2からロック解除ポジションP1へと移動する。
【0020】
本実施形態中において、ピン部材20は、大径セクション21の片側に、フラット面24を有する(図3、4、5参照)。
このフラット面24は、ピン部材20の軸方向に沿って、大径セクション21で陥没して形成され、定位部材40は、ピン槽201ベース200の横に設置され、フラット面24に密着して揃う。
ここで言う定位部材40とは、本実施形態中では円柱で、しかもベース200は、溝部202を有し、これに定位部材40を収容し、しかも定位する。
ピン部材20が、ベース200に相対して、軸方向に沿って移動すると、定位部材40によりピン部材20を制限し偏向させない。
【0021】
上記のように、ピン部材20がロック解除ポジションP1にある時、小径セクション22は相対的に上にある挟持体10のピン孔111中において、間隙Gを有し(図7参照)、相対的に上にある挟持体10のピボット運動の幅は、相対的に下にある挟持体10より大きいが、本発明はこれに限定されない。
小径セクション22は、2個の挟持体10のピン孔111中において、共に間隙Gを有し(図示なし)、これにより、2個の挟持体10は、同様のピボット運動の幅を備えることもできる。
【0022】
本実施形態中において、ピン部材20は、開槽222を有し、この開槽222は、露出セクション221に位置する。
ローラー25は、開槽222中で回転するように設置され、露出セクション221に位置し、しかもピン部材20は、本実施形態では、露出セクション221の頂端に、ガイド角223を有する。
このガイド角223は、開槽222の片側に偏向し、しかも弧状曲線を呈する。
ローラー25は、ピン部材20の頂端の、ガイド角223を有する片側に露出し、ローラー25が押されると、露出セクション221は穿孔31中に押し入れられる。
【0023】
本実施形態中において、各挟持体10は、復位弾性部材50を有し、その外側に接続し、この復位弾性部材50は、本実施形態では圧縮バネである。
2個の挟持体10が、相対してピボット運動をすると、外へとピボット運動をする挟持体10は、それが接続する復位弾性部材50を圧縮し、しかもそれが接続する復位弾性部材50の戻りに従い、復位する。
この復位弾性部材50は、任意の2個のツールクランプ10の間に設置され、両端は、隣り合う2個のツールクランプ100の挟持体10間にそれぞれ接続する。
図2に示す通り、復位弾性部材50の一端は、2個の内の1個のツールクランプ10の挟持体10に接続し、しかも反対端は、ベース200上に設置する停止ブロック203に接続する。
ここで言う停止ブロック203とは、本実施形態中では、ベース200上に3個あり、その内の2個は、ベース200の最も両端のツールクランプ100の外側に設置し、ベース200の中央にも、1個の停止ブロック203を設置する。
本実施形態の復位弾性部材50は、停止ブロック203により、ツールクランプ100の挟持体10をピボット運動の後に復位させることができる。
【0024】
上述の実施形態のツールクランプ100は、ベース200上において、実際の使用時には、ドラム式ツールマガジン400に取り付けられる(図1参照)。
仮に、ツールクランプ100がツールホルダー300を有する状態で、ツールホルダー300をツールクランプ100上から取り出そうとするなら、この時、ツールホルダー300が接合する加工主軸500の移動により、加工主軸500上に設置されるプレス部材501により露出セクション221に接触し、ローラー25上を押し(図6、7参照)、これにより露出セクション221は穿孔31中に押し入れられ、しかもピン部材20は、ロック解除ポジションP1に位置する。
この時、小径セクション22とピン孔111中に設けられた間隙Gにより、挟持体10はピボット運動をし、2個の爪部12は、これにより開き、ツールホルダー300は、加工主軸500に従い移動でき、ツールクランプ100から取り出される。
ツールホルダー300を、ツールクランプ100に戻そうとするなら、加工主軸500によりプレス部材501を連動し、ガイド角223に従い露出セクション221に接触させ、ローラー25上を押し(図9参照)、同様に露出セクション221を穿孔31中に押し入れ、ピン部材20は、ロック解除ポジションP1に位置する。
すると、2個の爪部12もこれにより開き、ツールホルダー300は再び加工主軸500に従い移動し、ツールクランプ100に戻る。
【0025】
上記のように、ツールクランプ100がツールホルダー300において戻り、或いは離された後、ピン部材20は、復位弾性部材23により常態的に押し上げられロッキングポジションP2に位置し、大径セクション21により、その幅と凡そ等しい径の2個のピン孔111中において、2個の挟持体10を制限し、相対したピボット運動を行わせない。
よって、ツールクランプ100上に、ツールホルダー300を設置するなら、ツールホルダー300は2個の爪部12に挟持され固定され、ピン部材20が再びロック解除ポジションP1へと移動しない限り、ツールホルダー300は、2個の爪部12により取り出されず、こうしてツールホルダー300の、ツールクランプ100上での定位を確保する。
【0026】
上述の説明により明らかな本発明の特徴は以下の通りである。
本発明のツールクランプ100は、安全ツールロックメカニズムを提供する。
即ち、2個の挟持体10が、ピン部材20において、ロック解除ポジションP1にある時でなければ、ツールホルダー300は、2個の爪部12を開くことはできず、よってツールホルダー300をツールクランプ100上から取り出し、或いはツールホルダー300をツールクランプ100に戻すことはできない。
ピン部材20がロッキングポジションP2にある時、2個の挟持体10は制限されて、相対したピボット運動ができず、つまり2個の挟持体10は、ピン部材20により制限され、2個の爪部12は開かれない。
よって、ツールホルダー300に対して力を加えても、ツールホルダー300を、ツールクランプ100から離すことはできないため、ツールホルダー300が外力を受け、ツールクランプ100から離脱し落下する問題の発生を回避できる。
【0027】
前述した本発明の実施形態は本発明を限定するものではなく、よって、本発明により保護される範囲は後述される特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0028】
100 ツールクランプ、
200 ベース、
201 ピン槽、
202 溝部、
203 停止ブロック、
300 ツールホルダー、
400 ドラム式ツールマガジン、
500 加工主軸、
501 プレス部材、
10 挟持体、
11 連接部、
111 ピン孔、
12 爪部、
13 軸部材、
20 ピン部材、
21 大径セクション、
22 小径セクション、
221 露出セクション、
222 開槽、
223 ガイド角、
23 復位弾性部材、
24 フラット面、
25 ローラー、
30 定位台、
31 穿孔、
40 定位部材、
50 復位弾性部材、
P1 ロック解除ポジション、
P2 ロッキングポジション、
G 間隙。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9