IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】低移行性電子ビーム硬化型プライマー
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/101 20140101AFI20230303BHJP
   B05D 1/28 20060101ALI20230303BHJP
   B05D 3/06 20060101ALI20230303BHJP
   B05D 7/02 20060101ALI20230303BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230303BHJP
   B41M 1/06 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
C09D11/101
B05D1/28
B05D3/06 101Z
B05D7/02
B05D7/24 302P
B05D7/24 302U
B05D7/24 303A
B05D7/24 302Z
B05D7/24 301M
B05D7/24 302T
B05D7/24 302S
B41M1/06
【請求項の数】 38
(21)【出願番号】P 2021561740
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2020060707
(87)【国際公開番号】W WO2020212488
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】62/835,529
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507385165
【氏名又は名称】サン ケミカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アダムス、ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】ガウドル、カイ - ウベ
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-505870(JP,A)
【文献】特開2012-092234(JP,A)
【文献】国際公開第2014/156812(WO,A1)
【文献】特開2016-036967(JP,A)
【文献】特開2015-160949(JP,A)
【文献】国際公開第2018/165068(WO,A1)
【文献】特開2005-015755(JP,A)
【文献】国際公開第2018/052454(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/044334(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/009591(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、塩素を含まない、オフセット印刷用の電子線硬化性組成物であって:
- 組成物全体の10~40重量%の1つ以上のアクリレートモノマー;
- 組成物全体の5~30重量%の1つ以上のアクリレートオリゴマーであって、脂肪族アクリレートポリウレタンを含む、前記1つ以上のアクリレートオリゴマー
- 組成物全体の5~30重量%の1つ以上の塩素を含まない不活性樹脂;
- 組成物全体の5~30重量%の1つ以上のアクリル化されたエポキシ化植物油;および
- 組成物全体の0~60重量%の1つ以上の白色顔料、
しかも、前記組成物が光開始剤を含まない、前記組成物。
【請求項2】
1つ以上のアクリレートモノマーを組成物全体の20~40重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1つ以上のアクリレートオリゴマーを組成物全体の10~30重量%含む、先行するいずれかの請求項に記載の組成物。
【請求項4】
1つ以上の塩素を含まない不活性樹脂を組成物全体の10~25重量%含む、いずれかの先行する請求項に記載の組成物。
【請求項5】
1つ以上のアクリル化されたエポキシ化植物油を組成物全体の10~20重量%含む、任意の先行請求項に記載の組成物。
【請求項6】
塩素を含まない電子線硬化型のオフセット印刷用プライマーである先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
1つ以上のアクリレートモノマーを組成物全体の10~35重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
1つ以上のアクリレートオリゴマーを組成物全体の5~25重量%含む、請求項1または7に記載の組成物。
【請求項9】
1つ以上の塩素を含まない不活性樹脂を組成物全体の5~20重量%含む、請求項1、7または8に記載の組成物。
【請求項10】
1つ以上のアクリル化エポキシ化植物油を組成物全体の5~25重量%含む、請求項1、7、8または9に記載の組成物。
【請求項11】
1つ以上の白色顔料を組成物全体の10~60重量%含む、請求項1、7、8、9または10に記載の組成物。
【請求項12】
塩素を含まない電子線硬化型のオフセット印刷用ファーストダウンホワイトインクである請求項1、7、8、9、10または11に記載の組成物。
【請求項13】
1つ以上の白色顔料が、二酸化チタン、酸化亜鉛およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
1つ以上のアクリレートモノマーが、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化ジグリセロールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、任意の先行請求項に記載の組成物。
【請求項15】
1つ以上の不活性樹脂が、ポリケトン樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、任意の先行する請求項に記載の組成物。
【請求項16】
1つ以上のアクリル化エポキシ化植物油が、アクリル化エポキシ化大豆油である、いずれかの先行する請求項に記載の組成物。
【請求項17】
1つ以上の着色剤をさらに含む、いずれかの先行する請求項に記載の組成物。
【請求項18】
該組成物が低移行性の用途に適しており、2017年5月1日から食品と接触することを意図した材料および物品に関するthe Swiss Ordinance Annex 10 of the Federal Department of Home Affairsに示された特定の移行レベルに準拠している、いずれかの先行する請求項に記載の組成物。
【請求項19】
組成物がリソグラフィオフセット印刷に適している、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
プラスチック基材、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、1つ以上の後続インク層、接着剤、およびシール基材を含む積層構造体であって、積層構造体の積層接着強度が1N/15mmを超える積層構造体。
【請求項21】
積層構造体の積層結合強度が>2N/15mmである、請求項20に記載の積層構造体。
【請求項22】
積層構造体の積層結合強度が>3N/15mmである、請求項20に記載の積層構造体。
【請求項23】
組成物および後続のインク層が、オフセット印刷プロセスによって適用される、請求項20~22のいずれかに記載の積層構造体。
【請求項24】
オフセット印刷プロセスが、リソグラフィオフセット印刷プロセスである、請求項23に記載の積層構造体。
【請求項25】
プラスチック基材の少なくとも1つがポリエチレンテレフタレート(PET)である、請求項20から24のいずれかに記載の積層構造体。
【請求項26】
プラスチック基材の少なくとも1つが、コロナ処理、プラズマ処理、またはフレーム処理されている、請求項20から25のいずれかに記載の積層構造体。
【請求項27】
プラスチック基材と、請求項1~19のいずれか1項に記載の硬化組成物と、電子線硬化型オフセットインキの硬化物とを備える、印刷物。
【請求項28】
以下を含む、印刷物を調製する方法:
請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物を、オフセット印刷によってプラスチック基材に塗布すること;
電子ビームによって組成物を硬化させること。
【請求項29】
前記組成物の上に電子線硬化性インクを塗布すること、及び、電子線硬化性インクを電子線によって硬化させること、をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
オフセット印刷によって、電子線硬化性インクを塗布する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記電子ビーム硬化性インクを前記組成物の上にウェットオンウェットで塗布し、前記組成物および前記電子ビーム硬化性インクを単一の硬化ステップで電子ビームにより硬化させる、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記プラスチック基板がPETフィルムである、請求項28~31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
PETフィルムがコロナ処理されたPETフィルムである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
硬化が、10~40kGyの線量率と70~200KeVの加速電圧を用いる請求項28~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
硬化が、20~30kGyの線量率および70~120KeVの加速電圧を使用する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
硬化した印刷の上に接着剤層を塗布した後、封止基材と積層することをさらに含む、請求項28~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
オフセット印刷がリソグラフィオフセット印刷である、請求項28~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
表面印刷および積層において、電子線硬化性インクとプラスチック基材との間の接着を促進するための、請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素を含まず、低移行性の電子線(EB)硬化性組成物に関するものであり、特にオフセット印刷で塗布されるプライマーとして有用である。このプライマーは、電子線硬化性インクの基材、特にプラスチックへの良好な接着性を提供する。特に、本発明は、軟包装用のコロナ処理されたPETフィルムへの良好なインクの接着を提供する、塩素を含まない、低移行性のリソグラフィ用電子ビーム硬化性プライマーに向けられている。本発明はまた、印刷インク、特にいわゆる「ファーストダウンホワイトインク」、特にオフセット印刷によって適用されるインクとして使用するのに適した、低移行性の電子ビーム(EB)硬化性組成物に向けられている。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
例えば食品包装や医薬品などの繊細な包装用途のエネルギー硬化性インクおよびコーティングの場合、電子ビーム乾燥(すなわち硬化)は、UV硬化と比較して二重結合の変換が高いため、移行するモノマーのレベルが低くなるので、特に有利である。光重合開始剤を全く使用しないことと相まって、この技術は食品包装のような繊細な用途に適している。
【0003】
しかし、電子線乾燥中にアクリレート基が重合することにより、インクやコーティングが大幅に収縮し、ポリマーフィルム/インク層の界面に応力や歪みが発生する。これにより、インクと基材、特に薄いプラスチックフィルムとの接着性が損なわれることがある。
【0004】
インクやコーティングの接着は、いくつかの原理によって達成される。例えば、粗い表面上のポリマー鎖のインターロック、静電引力、ファンデルワールス相互作用、または基板表面の官能基とインクやコーティングとの間の化学結合の形成などである。
【0005】
最近では、フレキソ印刷が得意としていた軟包装の分野でも、リソグラフィ印刷の活用が進んでいる。リソグラフィ印刷の利点は、印刷の解像度が高いことと、版の技術がシンプルで使いやすいことである。リソグラフィ印刷は、電子ビーム(EB)による瞬間乾燥と組み合わせることで、プラスチックフィルムへの表刷りと積層構造体の裏刷りの両方の軟包装技術として利用できる。
【0006】
しかし、リソグラフィ印刷では、インクやコーティング剤のプラスチックフィルムへの密着性が、表面印刷と積層構造体の両方で課題となります。特に、軟包装の包装基材として広く使用されているコロナ処理PETでは、その課題が顕著である。多くの場合、インクを印刷する前にリソグラフィプライマーを塗布し、基材と次のインク層やコーティング層との間に接着性を付与する。リソグラフィプライマーとリソグラフィンクは、通常はウェットオンウェットで塗布され、電子ビームによりワンステップで硬化される。
【0007】
特に効果的なプライマーは、例えばWO2018009591やEP2513210B1に記載されているような塩素化ポリエステルをベースにしたものが多い。しかし、電子ビーム硬化において、より高いEB線量率レベルでは、塩素化材料が化学的に変化して他の小さな塩素化分子を形成する場合があり、これは、例えば食品包装などの繊細な用途での使用に悪影響を及ぼし、規制基準に関する課題となる可能性がある。EBによる塩素系物質の変化については、“Electron Beam degradation of chlorinated hydrocarbons in air” Radiation Physics and Chemistry 1995 46(4) pages 1137-1142に記載されている。
【0008】
オフセット印刷用の低移行性プライマーは,インクの基材,特にコロナ処理されたPETフィルムへの良好な接着性に加えて,当局や顧客が要求するSML(Specific migration Limits)に適合し,オフセット印刷プロセスで印刷したときに良好なリソグラフィ挙動を示すなど,さらなる特性を満たさなければならない。
【0009】
電子線硬化型インクと軟包装基材(プラスチックフォイルなど)との接着は、特にコロナ処理されたPETフィルムでは困難な場合が多い。本作品は、食品包装用途に適した電子線硬化型プライマーを適用することによる解決策を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、食品包装や医薬品包装のような繊細な用途のための、低移行で塩素を含まない電子ビーム硬化性組成物、特にプライマー、好ましくはオフセット印刷によって適用されるプライマーを提供することである。これらのプライマーは、表面印刷と積層の両方において、電子硬化性インクとプラスチック基材などの基材との間に良好な接着性を与える。これらのプライマーは、EB硬化による小胞子物質の形成のリスクなしに、非低移行性プライマーと同様の接着性能を付与する。本発明のさらなる目的は、電子ビーム硬化可能なファーストダウンホワイトインク組成物を提供することである。
【0011】
本出願中の文書の引用や識別は、そのような文書が存在することを認めるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
前述の問題は、下記を含む、オフセット印刷、特にリソグラフ印刷に適した塩素を含まない電子線硬化性組成物を提供することによって解決された:
- 10~40%の1つ以上のアクリレートモノマー;
- 5~30%の1つ以上のアクリレートオリゴマー;
- 5~30%の1つ以上の塩素を含まない不活性樹脂;
- 5~30%の1つ以上のアクリル化されたエポキシ化植物油;および
- 0~60%の1つ以上の白色顔料。
【0013】
第1の好ましい実施形態では、下記を含む、オフセット印刷、特にリソグラフィ印刷用の塩素を含まない電子ビーム硬化性プライマーが提供される:
- 10~40%(好ましくは20~40%、より好ましくは20~30%)の1つ以上のアクリレートモノマー;
- 5~30%(好ましくは10~30%、好ましくは20~30%)の1つ以上のアクリレートオリゴマー;
- 5~30%(好ましくは10~25%、好ましくは15~25%)の1つ以上の塩素を含まない不活性樹脂;
- 5~30%(好ましくは10~20%)の1つ以上のアクリル化エポキシ化植物油;および
- 0~60%の1つ以上の白色顔料;一実施形態ではプライマーは白色顔料を含まない。
【0014】
第2の好ましい実施形態では、以下を含む、オフセット印刷、特にリソグラフ印刷用の塩素を含まない電子ビーム硬化性プライマーが提供される:
- 20~40%(好ましくは20~30%)のアクリレートモノマー;
- 5~30%(好ましくは10~30%、より好ましくは20~30%)のアクリレートオリゴマー;
- 5~30%(好ましくは10~25%、好ましくは15~25%)の塩素を含まない不活性樹脂;
- 5~30%(好ましくは10~20%)のアクリル化されたエポキシ化植物油。
【0015】
このように、一実施形態では、プライマーは白色顔料を含まない。
【0016】
第3の好ましい実施形態では、以下を含む、塩素を含まない電子線硬化性組成物が提供される:
- 10~40%(好ましくは10~35%、好ましくは15~30%)の1つ以上のアクリレートモノマー;
- 5~30%(好ましくは5~25%、より好ましくは10~20%)の1つ以上のアクリレートオリゴマー;
- 5~30%(好ましくは5~20%、好ましくは5~15%)の1つ以上の塩素を含まない不活性樹脂;
- 5~30%(好ましくは5~25%、好ましくは5~20%、好ましくは5~15%、好ましくは5~10%)の1つ以上のアクリル化エポキシ化植物油;および
- 10~60%(好ましくは40~60%)の1つ以上の白色顔料。
【0017】
したがって、本発明の第3の実施形態は、以下を含む、塩素を含まない電子線硬化性組成物を提供する:
- アクリレートモノマーを10~35%、好ましくは15~30%と
- アクリレートオリゴマーを5~25%(好ましくは10~20%)と
- 塩素を含まない不活性樹脂を5~20%(好ましくは5~15)と
- アクリル化エポキシ化植物油を5~25%(好ましくは5~20%、より好ましくは5~15%、より好ましくは5~10%)と
- 白色顔料を10~60%(好ましくは40~60%)。
【0018】
第3実施形態の組成物は、オフセット印刷、特にリソグラフィ印刷に適したファーストダウンホワイトの印刷インクとして特に好適である。「ファーストダウンホワイト」という用語は、当技術分野における従来の意味、すなわち、基板の表面に直接塗布される、すなわちプライマー層を介さずに塗布される白色インク組成物であり、所望のパターンで1つ以上のカラーインクを重ね刷りすることができる。
【0019】
特に断りのない限り、量は組成物全体の重量%で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
モノマー:
本発明で使用するのに適した典型的なアクリル(すなわちアクリレート)モノマーの例は、好ましくは定義された構造を持つアクリル酸またはメタクリル酸のエステルである。単官能の(メタ)アクリレートを使用してもよいが、特に低粘度が必要とされる用途では、官能性≧2で、重量数平均が約200~800ダルトンのものが好ましい。
【0021】
本発明での使用に適したアクリレートモノマーおよびオリゴマーの例を下記に非限定的に列挙する:1,2-エチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA-ジグリシジルエーテルジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールA-ジアクリレート、ポリ(エチレン)グリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化ジグリセロールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、またはこれらの混合物。好ましいのは、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびプロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレートである。
【0022】
低移行性インクにおいて硬化が不完全な場合でも、(メタ)アクリレートモノマーの移行のリスクを最小限にするために、アクリレート官能性が最も高く、分子量の大きい下記のモノマーが好ましい:例えば、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化ジグリセロールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどがあり、BASF社、Allnex社、Arkema社などのサプライヤーから入手可能である。このようにして、4つまたは6つのアクリレート基のうち1つだけが重合したとしても、分子全体が架橋されたアクリレートマトリックスに固定され、もはや移行することはできない。通常のモノマーでは、粘度と硬化速度を調整することができる。
【0023】
オリゴマー:
本発明で使用するのに適したアクリル化オリゴマー(すなわち、アクリレートオリゴマー)は、好ましくは約400~5,000ダルトンの重量数平均および2を超えるアクリレート官能性を有する、例えばエポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリレート化ポリウレタン、アクリレート化ポリアクリレート、アクリレート化ポリエーテルなどのアクリレート化オリゴマーを含む。好ましいのは、脂肪族のアクリル化ポリウレタンである。ポリウレタンは、例えばフレキソ印刷用インクなどのプラスチックフィルムに良好な接着性を与えることが知られている。これらのオリゴマーは、レオロジー、顔料の濡れ性、印刷機上でのインク転写、光沢、耐薬品性などのフィルム特性を付与する。好適なアクリレートオリゴマーのさらなる例は、好適なアクリレートモノマーと組み合わせて上記に記載されている。
【0024】
すべての場合において、分子量は以下に定義されるサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される。
【0025】
アクリル化されたエポキシ化植物油
適切なアクリル化エポキシ化植物油は、通常、500~2500ダルトンの分子量を有する、アマニ油または大豆油、アマニ油およびヒマシ油およびそれらの混合物をベースにしている。好ましいのは、≧3の平均アクリレート官能性と>1000ダルトンの分子量を有する、アクリル化、エポキシ化された大豆油である。アクリル化、エポキシ化されたオイルの量を調整することで、軟包装用インクの柔軟性を変更することができる。
【0026】
不活性樹脂:
適切な不活性樹脂は、アクリルモノマーへの溶解性を示し、500~50000ダルトン、好ましくは1000~4000ダルトンの分子量を示す。「不活性樹脂」とは、重合可能なアクリル基を持たない樹脂のことである。これらは、例えば、ロジン樹脂、炭化水素樹脂、ポリエステル、ポリケトン、ポリウレタン、アルデヒド樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂またはセルロース樹脂に由来することができる。好ましいのは、ポリケトンと尿素-ホルマルデハイド樹脂である。本発明によれば、不活性樹脂は塩素を含まない。
【0027】
好ましくは、不活性樹脂は非EB硬化性である。
【0028】
白色顔料
前述のように、本組成物は、アナターゼ型またはルチル型の二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リソポンまたは炭酸カルシウムなどの白色顔料をさらに含むことができる。好ましくは、白色顔料は二酸化チタンである。裏面印刷の場合、通常、積層体を対象とする場合は、最初の印刷ステーションからファーストダウンの白色インクを塗布することができる。
【0029】
我々は驚くべきことに、本発明のプライマー製剤と白色顔料をベースにしたファーストダウン白色インクは、印刷される基板と後続のインク層との間の接着性を高めるプライマー特性も示すことを観察した。したがって、本発明の組成物は、ファーストダウンホワイトインクとして適している。
【0030】
追加成分
場合によっては、本発明の組成物は、そこに分散された染料または顔料の形で1つ以上の着色剤をさらに含むことができる。本発明で使用するのに適した顔料は、従来の有機または無機顔料を含む。代表的な顔料としては、例えば、下記の群から選択することができる:ピグメント・イエロー1、ピグメント・イエロー3、ピグメント・イエロー12、ピグメント・イエロー13、ピグメント・イエロー14、ピグメント・イエロー17、ピグメント・イエロー63、ピグメント・イエロー65、ピグメント・イエロー73、ピグメント・イエロー74、ピグメント・イエロー75、ピグメント・イエロー83、ピグメント・イエロー97、ピグメント・イエロー98、ピグメント・イエロー106、ピグメント・イエロー111、ピグメント・イエロー114、ピグメント・イエロー121、ピグメント・イエロー126、ピグメント・イエロー127、ピグメント・イエロー136、ピグメント・イエロー138、ピグメント・イエロー139、ピグメント・イエロー174、ピグメント・イエロー176、ピグメント・イエロー188、ピグメント・イエロー194、ピグメント・オレンジ5、ピグメント・オレンジ13、ピグメント・オレンジ16、ピグメント・オレンジ34、ピグメント・オレンジ36。ピグメント・オレンジ61、ピグメント・オレンジ62、ピグメント・オレンジ64、ピグメント・レッド2、ピグメント・レッド9、ピグメント・レッド14、ピグメント・レッド17、ピグメント・レッド22、ピグメント・レッド23、ピグメント・レッド37、ピグメント・レッド38、ピグメント・レッド41、ピグメント・レッド42、ピグメント・レッド48:2、ピグメント・レッド53:1、ピグメント・レッド57:1、ピグメント・レッド81:1、ピグメント・レッド112、ピグメント・レッド122、ピグメント・レッド170、ピグメント・レッド184、ピグメント・レッド210、ピグメント・レッド238、ピグメント・レッド266、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー61、ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36、ピグメントバイオレット1、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントブラック7。
【0031】
本発明の組成物は、着色剤や他の電子線硬化型インクと混合すると、優れたプライマー特性を示す。したがって、本発明の組成物は、透明白インク、レットダウンまたは混合ワニスとして好適である。
【0032】
本発明の組成物は、印刷インクの表面張力、光沢、流動性、顔料の濡れ性、耐摩耗性などの特性を修正するために、通常の添加剤をさらに含んでいてもよい。そのような添加剤は、典型的には、ワックス、レベリング剤、保存安定剤、湿潤剤、スリップ剤、流動剤、分散剤、脱泡剤などの表面活性剤である。
【0033】
本発明の組成物は、吸水性、ミスト性、色の強さなどを調整するために、クレイ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカなどの通常の増量剤をさらに含んでいてもよい。
【0034】
本発明の組成物は、良好なポットライフを確保するために、安定剤をさらに含んでもよい。例えば、ニトロソ-フェニルヒドロキシルアミンなどのニトロソ系安定剤;ハイドロキノン(HQ)、メチルエーテルハイドロキノン(MEHQ)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、2,6-ジ-tert-ブチル-N,N-ジメチルアミノ-p-クレゾールなどのフェノール系安定剤;および銅ジチオカルバメートをベースとするニトロソ-フェニルヒドロキシルアミン系安定剤などが挙げられる。
【0035】
このような追加成分は、典型的には、本発明の組成物中に、組成物の約15%以下、典型的には約12%以下の量で存在する。したがって、本発明の組成物では、前記1つ以上のアクリレートモノマー、前記1つ以上のアクリレートオリゴマー、前記1つ以上の塩素を含まない不活性樹脂、前記1つ以上のアクリル化エポキシ化植物油、および前記1つ以上の白色顔料の合計量は、組成物全体の少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも88重量%であることが好ましい。
【0036】
典型的には、本発明の組成物は、23℃でD=50 1/sの剪断速度で約5~120Pa・sの粘度を示し、好ましいのは、23℃でコーン&プレートレオメーターを用いて測定した約20~70Pa・sの粘度である。
【0037】
印刷される基板は、紙、プラスチック、金属、複合材などの典型的な基板材料で構成されていてもよい。好ましい基材は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレン、キャストポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ乳酸から誘導されるバイオベースのフィルムや箔などをベースとしたプラスチックフィルムであり、包装材料や食品包装材料に用いられる。材料は、例えばアクリルコーティングやポリウレタンコーティングで被覆されていてもよいし、化学的に表面処理されていても、コロナ表面処理されていても、プラズマ表面処理されていても、火炎処理されてメタライズされていても、すっきりしていてもよい。
【0038】
適切な接着性を得るためには、プラスチックフィルムの表面エネルギーが低すぎてはならず、そうでなければインクやコーティングが表面を濡らすことができず、接着性が得られない。十分な表面エネルギーを得るためには、通常、インクやコーティングを塗布する前に、表面をコロナで前処理する必要がある。これにより、水酸基やカルボニル基などの官能基が表面に生成され、表面エネルギーが増大する。未塗装の基板は、プライマーを基板に適切に塗布するために、適切なレベルの表面張力を得るためにコロナ処理が必要になることが多い。通常、38~42dynes/cmの表面張力は、本発明の組成物のプラスチック表面への良好な湿潤を提供するのに十分である。
【0039】
本発明のプライマーおよびインクの塗布は、好ましくは、ウェブベースの印刷機上のリソグラフィ(オフセット)印刷ステーションによって行われる;通常は、フィルムのコロナ処理後の最初の印刷ステーションである。
【0040】
本発明によるプライマーは、特にオフセット印刷に適しており、さらに特にリソグラフオフセット印刷に適している。しかし、本発明の組成物は、フレキソ印刷、インクジェット、スクリーンおよびグラビア印刷プロセスを含む、他のコーティング/印刷プロセスによっても適用することができる。
【0041】
本発明の組成物は、電子ビーム(EB)によって硬化させることができる。電子線乾燥機では、電子が電界で加速され、薄い金属箔を通して乾燥機から出ます。その後、電子はアクリルインクやコーティング剤に浸透し、ラジカル重合またはイオン重合を開始し、瞬間的に乾燥(すなわち硬化)させることができる。EBドライヤは、Energy Science, Inc. of Wilmington, Mass, or Comet company of Switzerlandなどから市販されている。吸収されたエネルギー(線量)は、キログレイ(kGy)という単位で測定される。通常、完全に硬化させるためには、電子ビームの線量は10kGyから約40kGyの範囲内でなければならない。本発明の放射線硬化性組成物では、乾燥した耐溶剤性のフィルムを得るためには、通常、200ppm以下の酸素レベルで20~30kGyの放射線量で十分である。また、70~200keVの加速電圧を印加することができ、通常は70~120keVでプライマー、インク、オーバー印刷ワニスを良好にスルーキュアすることができる。
【0042】
先に述べたように、EB硬化技術は、UV硬化に比べて二重結合の変換率が高いため、移行するモノマーの量が少なく、繊細なパッケージ用途に特に適している。光重合開始剤を全く使用しないことと相まって、この技術は食品包装のような繊細な用途に適している。
【0043】
このように、本発明の組成物は光重合開始剤を一切含まないことが理解されるだろう。このように、本発明の組成物は、UV光で硬化しない。
【0044】
インクやコーティング組成物が、食品を目的としたパッケージの非接触面に適用される場合、パッケージからの汚染が食品に影響を与えることを防止する必要がある。
【0045】
食品に影響を与える方法は、スルー移行とセットオフ移行の2つに大別される。ポリマー基材の場合、インクからの移行可能な種が食品を汚染する最も可能性の高い経路は、セットオフ移行である。これは、印刷物が食品に充填される前に積み重ねられたり、巻き取られたりする場合である。そのため、インクはパッケージの食品接触面に接触し、その接触面に移動して食品を汚染する可能性がある。
【0046】
しかし、ポリエチレンのようにプラスチックフィルムのバリア性が低い場合、スルー移行が発生し、特に60℃のような高い移行温度では、フィルムが膨張して小分子が移行しやすくなります。
【0047】
食品に準拠するための普遍的な規則はないが、例えばEuropean Printing ink manufactures (EUPIA)が示すようなガイドラインや推奨事項がある。EUPIAは、印刷物から発生する移行性物質の潜在的なレベルを測定する方法に関するガイドラインも提供している。このような具体的な移行限度値は、例えば、食品と接触することを意図した材料および物品に関するthe Swiss Ordinance Annex 10 of the Federal Department of Home Affairs from May 1, 2017や、EUプラスチック指令に示されている。準拠するためには、これらの教義に記載されているアクリル酸エステルやその他のリストされた材料の特定移行限度(SML)を超えないようにする必要がある。
【0048】
これは、本発明の組成物によって達成される。低いSMLに準拠するためには、高機能のアクリレート材料や高分子量のアクリレート材料を使用することが好ましい。十分な試験が行われておらず、SMLが得られていないアクリレートについては、移行限度は10ppbである。
【0049】
さらに、他の多くのプライマーやインクとは異なり、本発明の組成物は、塩素化ポリエステルなどの塩素系材料を含まない。塩素化された材料は、電子線照射中に化学変化を起こし、新たな小分子を形成する可能性があり、その結果、プライマーやインクの食品包装への適合性に悪影響を及ぼす可能性がある。このような分子は健康への影響が懸念され、「非意図的添加物質」(NIAS)として規制上の問題を引き起こす可能性がある。
【0050】
本発明の低移行性塩素を含まないリソグラフィEB硬化型プライマーおよびインクは、あらゆる種類のプラスチックフィルムに適しており、特にコーティングされたPETやコロナ処理されたPETに適している。表面印刷では許容範囲内のテープ接着性が得られ、印刷される基板と後続のインク層との間では良好な層間接着性が得られる。
【0051】
驚くべきことに、本発明のプライマーと組成物は、後続のインクフィルムの耐スクラッチ性と耐摩擦性を向上させることができる。軟包装では、薄いプラスチックフィルムが、包装材の動きに割れずに追従する柔軟なインクと組み合わせて使用されるのが一般的である。
【0052】
本発明のプライマーおよび組成物の別の用途は、積層である。積層は、2つの基材フィルム(通常はポリマー、時にはポリマーと紙の組み合わせ)で構成され、その間にあるインク層を保護する。通常は、隣接するインク層に良好な接着性を付与するために、第1フィルム上にプライマーが印刷される。その後、1つ以上のインク層をウェットオンウェットで印刷する。第2のプラスチック基材フィルムとの良好な接着性を得るために、インクと第2の基材の間に接着剤を塗布する。
【0053】
現在、ポリオール硬化剤との反応で硬化するポリイソシアネート系接着剤が主流である。これらの接着剤システムは、無溶剤または溶剤(通常は酢酸エチル)を含むことができる。無溶剤の場合は2~3g/m、溶剤を含む場合は3~4g/mのフィルム量で、ラミネーターで塗布される。塗布後、室温または高温(例:30~50℃)で乾燥させる。積層体の強度は、通常、2つの外側のフィルムを引き裂くのに必要な力を測定するピールティアーテスターによって測定される積層結合強度によって測定される。本発明のプライマーおよび組成物では、インク層と印刷される基材との間の接着性を改善することができるので、測定された全体のラミネーション接着強さが改善される。本発明のプライマーおよび組成物により、5N/15mmまでのラミネーション接着強度を達成することができる。
【0054】
全体として、本発明のプライマーおよび組成物は、表面印刷および積層の両方において、インクの基材への接着性を向上させることができ、その低い移行プロファイルおよび塩素化物質を含まないことから、食品包装および医薬品包装のような繊細な用途に適している。
【0055】
さらなる態様では、本発明は、以下を含む印刷物の調製方法を提供する:
本明細書に記載の硬化性組成物を、オフセット印刷によってプラスチック基材に塗布すること;及び
電子ビームによって組成物を硬化させること。
【0056】
この方法は、典型的には、好ましくはオフセット印刷によって、前記組成物の上に電子線硬化性インクを塗布することと、電子線硬化性インクを電子線によって硬化させることとをさらに含む。
【0057】
好ましくは、電子線硬化性インクを前記組成物の上にウェットオンウェットで塗布し、前記組成物および前記電子線硬化性インクを1つの硬化ステップで電子線により硬化させる。
【0058】
さらなる態様では、本発明は、プラスチック基材と、本明細書に記載の硬化した組成物と、硬化した電子ビーム硬化性オフセットインクとを含む、印刷物を提供する。
【0059】
さらなる態様では、本発明は、電子ビーム硬化性インクとプラスチック基材との間の接着を促進するための、特に表面印刷および積層における、本明細書に記載の硬化性組成物の使用を提供する。
【0060】
さらなる態様では、本発明は、プラスチック基材、本明細書に記載の硬化性組成物、1つ以上の後続インク層、接着剤、およびシール基材を含む積層構造体であって、積層構造体の積層接着強度が1N/15mm超、好ましくは2N/15mm超、好ましくは3N/15mm超である積層構造体を提供する。硬化性組成物および後続のインク層は、好ましくはオフセット印刷プロセス、好ましくはリソグラフィオフセット印刷プロセスによって塗布される。
【0061】
本発明は、以下の番号の段落によってさらに説明される:
1.以下を含む、リソグラフィ印刷用の塩素を含まない電子線硬化性プライマー:
1つ以上のアクリレートモノマーを20~40%;
1つ以上のアクリレートオリゴマーを5~30%;
1つ以上の塩素を含まない不活性樹脂を5~30%;
1つ以上のアクリル化されたエポキシ化植物油を5~30%;および
二酸化チタン、酸化亜鉛またはそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の白色顔料を0~60%。
2.1つ以上のアクリレートモノマーが、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化ジグリセロールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、段落1に記載のプライマー。
3.前記1つ以上のアシル酸オリゴマーが、脂肪族アクリレートポリウレタンを含む、段落1に記載のプライマー。
4.1つ以上の不活性樹脂が、ポリケトン樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、段落1に記載のプライマー。
5.1つ以上のアクリル化エポキシ化植物油が、アクリル化エポキシ化大豆油を含む、段落1に記載のプライマー。
6.さらに、1つ以上の着色剤を含む、段落1に記載のプライマー。
7.プライマーが低移行性に適しており、2017年5月1日から食品と接触することを意図した材料および物品に関するthe Swiss Ordinance Annex 10 of the Federal Department of Home Affairsに示された特定の移行レベルに準拠している、前記のいずれかの段落に記載のプライマー。
8.プラスチック基材、段落1~8のいずれか1つ以上のプライマー、1つ以上のインク層、接着剤、およびシール基材を含む積層構造体であって、該積層構造体の積層接着強度が>1N/15mmである積層構造体。
9.プラスチック基材、段落1~8のいずれか1つ以上のプライマー、1つ以上のインク層、接着剤、およびシール基材を含む積層構造体であって、積層構造体の積層接着強度が>2N/15mmである積層構造体。
10.プラスチック基材、段落1~8のいずれか1つ以上のプライマー、1つ以上のインク層、接着剤、およびシール基材を含む積層構造体であって、積層構造体の積層接着強度が>3N/15mmである積層構造体。
11.プライマーおよびインク層が、オフセット印刷プロセスによって塗布される、段落8~10のいずれか1つ以上の項に記載の積層構造体。
12.プラスチック基材の少なくとも1つがポリエチレンテレフタレート(PET)である、段落8~11のいずれか1つ以上の項に記載の積層構造体。
13.プラスチック基材の少なくとも1つが、コロナ処理、プラズマ処理、またはフレーム処理されている、段落8~12のいずれか1つ以上に記載の積層構造体。
14.プラスチック基材と、段落1~7のいずれか1つ以上に記載のプライマーと、電子線硬化型オフセットインキとを備える、印刷物。
【0062】
以上、本発明について、その好ましい実施形態を含めて詳細に説明した。しかしながら、当業者は、本開示を考慮した上で、本発明の範囲および精神に属する本発明の修正および/または改良を行うことができることが理解されるであろう。
【0063】
試験方法
分子量:別段の記載がない限り、「分子量」、「重量数平均」または「平均分子量」への言及は、好ましくは数平均分子量(Mn)に対するものである。分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのような当技術分野で知られているそれらの技術によって測定することができる。例えば、分子量の測定は、103Åおよび104Å(5μm混合、300mm×19mm、Waters Millipore Corporation, Milford, MA, USA)の2つのGPC Ultrastyragelカラムを備えたHewlett-Packard 1050 Series HPLCシステムで、移動相としてTHFを用いて行うことができる。好ましくは、分子量はポリスチレン標準との比較によって計算される。当業者であれば、このような分子量の定義は、典型的な分子量分布を有するポリマー材料に適用されることを理解するであろう。非高分子化合物の分子量は、その化合物の分子構造に基づいて定義され、計算される。
【0064】
粘度は、Anton Parr GmbH製のPhysika 300コーン&プレートレオメーターを用いて、D = 2-100 1/sのせん断速度で測定した。D = 50 1/sでの粘度値を記録した(Pa.s)。特に記載のない限り、粘度は23℃で測定した。
【0065】
タックは、オランダのIGT Testing Systems社製の校正された「Tack-o-scope」装置(Model 2001)を用いて測定する。1mlのインクを30℃のEPDMゴム製の分配ローラーに載せ、ローラー速度50rpmで90秒、その後300rpmで30秒分配する。その後、150rpmのローラー速度でタック値を測定する。
【0066】
フローは、垂直に配置したアルミ板に1mlのインクを載せて測定する。15分後にインクがプレートを流れ落ちた距離をcm単位で記録する。
【0067】
挽き目の細かさは、プライマー中の固体粒子の分散の質を表す重要なパラメータである。粒子の細かさを調べるには、グラインドメーターを使用する。この装置は、深さの異なる溝が加工されたスチールブロックで構成されており、測定するインクの種類に適した深さから始まり、ブロックの表面と同じ高さになるまで浅くなっていきます。溝の深さは隣の目盛に記されている。検査するインクを溝の深い方に置き、平らな金属スクレーパーで浅い方に向かって擦ります。目盛りの4μmの地点で、大きな凹凸の数(括弧内の第1の数字)と小さな凹凸の数(括弧内の第2の数字)を観察する。(0/0)は、大きな粒子も小さな凹凸も観察されなかったことを意味し、合格とした。
【0068】
移行分析-印刷面積が50cmの印刷された積層体を、標準的な移行セルに入れ、印刷の食品接触面を2gのTenaxシミュラントに接触させ、40°で10日間(より厳しいテストの場合は60℃で)行う。10日後、セルを空にし、Tenaxを60mlのアセトニトリルで抽出する。その後、自動蒸発装置を用いてアセトニトリルを1mlまで蒸発させ、得られた濃縮物をガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)および超高性能液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析計(UHPLC-MS-TOF)で分析する。
【0069】
テープテストの粘着力-規定の粘着テープ(TESA 4104)を硬化したインクの上に圧力をかけて置き、1分間放置した後、力を入れて剥がす。テープの下の領域を観察し、保持されたインクの割合を記録する。この実験は、精度を上げるために新しいサンプル材料で3回繰り返すことができる。
【0070】
積層接着強度の測定-積層されたサンプルを短冊状にカットする。積層されたサンプルは、ストリップにカットされる。1つのストリップの端で、積層された2つのフィルムが分離され、剥離試験機の爪がしっかりと握れるようになっている。積層されたサンプルをインストロン剥離試験機の爪の中に入れ、一次フィルム(印刷されたもの)を上の爪で挟みます。二次フィルムは下の爪で押さえるようにする。実験は毎分30センチメートルの速度で開始され、コンピュータ制御によって力と距離の関係を示すグラフが表示される。グラフの高いところと低いところを記録し、平均値を結果としてN/15mmで表する。各フィルムは8回測定され、精度の高い結果が得られる。
【0071】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。これらの実施例は、本発明をさらに説明するものであり、本発明の範囲を限定することを意図しておらず、またそのように解釈されるべきでもない。
【0072】
実施例
実施例1:発明のプライマー
成分を室温で30分間撹拌することにより、プライマーを調製した。その後、このプライマーミックスを3本ロールミル@10bar/30℃で2パスで分散させた。
【表1】
【0073】
実施例1のプライマーを、表面張力40dynes/cmのコロナ処理PETフィルム(Polyplex TPC101)上に、IGT社製オフセット印刷プローバーModel C-05を用いて、フィルム重量1.5g/mで塗布した。
【0074】
その上にシアンのEBインク(Sunbeam Advance, Sun Chemical社の商標)をIGT社のオフセット印刷プローバModel C-05で膜重量1.5g/mでウェットオンウェットで印刷した。
【0075】
この印刷を、コメット社製EB硬化装置を用いて、線量率30kGy、加速電圧110KeV、酸素濃度200ppmの条件で硬化させた。
【0076】
接着テープ試験-結果:剥がしたテープの下のインク領域の98-99%が印刷上に残った。
【0077】
実施例1では、本発明のプライマーにより、Sunbeam Advanceインクがコロナ処理されたPETフィルムPolyplex TPC101上に優れた接着性を示している。本発明のプライマーを使用しない場合、PETフィルムPolyplex TPC101への接着結果は通常50%以下である。
【0078】
実施例2.本発明の実施例1を用いて調製した積層体。
実施例1で得られた硬化印刷の上に、接着剤層(Sunlam NS2100A / HA450, Sun Chemical社の商標)を2.3g/mの塗布量で塗布した。次に、この印刷を、ラボ用ゴム製ラミネーターロール(重量5kg)を用いて、65μmの厚さでキャストポリプロピレンのフォイルと積層し、サーモプレスで、4バールの圧力と40℃の温度で40時間硬化させた。
【0079】
積層接着強度試験-結果:2.1N/15mm(平均)
【0080】
実施例2は、コロナ処理されたPETフィルムPolyplex TPC101に、本発明のプライマーをSunbeam Advance EB-インク、積層接着剤、およびシールフィルムと組み合わせて使用することで、2N/15mm超の積層接着強度が得られることを示している。プライマーを使用しない場合、積層接着強度は通常2N/15mm未満であり、多くの場合1N/15mm未満である。
【0081】
例3:白色顔料を含む発明のプライマー
成分をトリフォイルスターラーで室温で30分間撹拌してプライマーを調製した。その後、プライマーミックスを三本ロールミル@10bar/30℃で2パスして分散させた。
【0082】
【表3】
【0083】
実施例3は、白色顔料の酸化チタンをさらに含むプライマーの実施形態を示す。白色のプライマーは、積層印刷のファーストダウンホワイトとして使用することができる。これは、実施例3のプライマーが実際にプライマー特性を持つファーストダウンホワイトであるため、プライマーのための追加の印刷ステーションが必要ないという利点がある。
【0084】
実施例4:実施例3のプライマーのプレス印刷
実施例3のプライマーは、ワイドウェブオフセット印刷機の最初の印刷ステーションから異なるフィルムに印刷された。それに続く印刷ステーションでは、サンキュアアドバンスインキ(サンケミカル社の商標)のEBインキを、プライマーの上にウェットオンウェットで印刷した。その後、線速度200m/分、線量率30kGy、加速電圧110KeV、酸素濃度200ppmの条件で電子線を照射し、プライマーとインクを硬化させた。
【0085】
【表4】
【0086】
表は、軟包装用の各種プラスチックフィルム基材に対する Sunbeam Advance インキの接着結果を示している。このインクは、白色顔料を含む実施例3のプライマーを使用した場合、試験したすべての基材に対して良好な接着性を示した。多くの場合、積層印刷では、白い背景を提供するためにファーストダウンの白を印刷する。ここで、白色顔料を含む実施例3のプライマーは、プライマーの特性を有するファーストダウンホワイトとして機能する。
【0087】
実施例5:本発明の積層体と移行解析
30cm幅のカットリールから、実施例4の印刷基材を、ラミネーター(LABO Combi 400)上で、ラインスピード100m/分で、無溶剤型積層接着剤Sunlam NS2100A / HA450、(サンケミカル社の商標)を用いて、コーティング重量2.3g/mで積層した。カウンターフォイルはポリプロピレンのキャスト品で、厚さは65μmであった。積層接着剤の化学反応を完了させるために、積層体を室温で1週間保存した。
【0088】
移行分析は、~200%の高いインク被覆率を有する積層部品に対して上述のように行った。移行の条件は、40℃で10日間であった。
【0089】
移行の結果:
- アクリル系3官能モノマー:70億分の1(ppb)、特定移行限界(SML)は50ppb=合格
- アクリル化4官能モノマー:30億分の1(ppb)、特定移行限界(SML)は10ppb=合格
- アクリル化されたエポキシ化大豆油:<10億分の1(ppb)、特定移行限界(SML)は10ppb=合格
【0090】
実施例5は、分析された軟包装用積層体が、移行分析における個々のアクリレートの特定移行限度(SML)に適合していることを示している。
【0091】
例6-9:塩素を含まない発明プライマー例6-8と塩素化ポリエステルをベースにした比較プライマー例9の印刷
【表6-9】
【0092】
実施例6-9のプライマーは、中央印象オフセット印刷機の最初の印刷ステーションから、コロナ処理されたポリエチレンテレフタレートPET箔(Polyplex TPC101、15μm)上に印刷された。続く印刷ステーションでは,サンキュアアドバンスインキ(サンケミカル社の商標)のEBプロセスインキを,プライマーの上にウェットオンウェットで印刷した。その後、線速度200m/分、線量率30kGy、加速電圧110KeV、酸素濃度200ppmの条件で電子線を照射し、プライマーとその上のインクを硬化させた。
【0093】
本発明プライマーを用いたコロナ処理PET上のインクの接着性は、塩素化ポリエステルをベースとした比較プライマーと同等の接着レベルを示した。
本発明に関連して、以下の内容を更に開示する。
[1]
以下を含む、塩素を含まない、オフセット印刷用の電子線硬化性組成物:
- 10~40%の1つ以上のアクリレートモノマー;
- 5~30%の1つ以上のアクリレートオリゴマー;
- 5~30%の1つ以上の塩素を含まない不活性樹脂;
- 5~30%の1つ以上のアクリル化されたエポキシ化植物油;および
- 0~60%の1つ以上の白色顔料。
[2]
1つ以上のアクリレートモノマーを20~40%、好ましくは20~30%含む、[1]に記載の組成物。
[3]
1つ以上のアクリレートオリゴマーを10~30%、好ましくは20~30%含む、先行するいずれかに記載の組成物。
[4]
1つ以上の塩素を含まない不活性樹脂を10~25%、好ましくは15~25%含む、、先行するいずれかに記載の組成物。
[5]
1つ以上のアクリル化されたエポキシ化植物油を10~20%含む、先行するいずれかに記載の組成物。
[6]
塩素を含まない電子線硬化型のオフセット印刷用プライマーである先行するいずれかに記載の組成物。
[7]
1つ以上のアクリレートモノマーを10~35%、好ましくは15~30%含む、[1]に記載の組成物。
[8]
1つ以上のアクリレートオリゴマーを5~25%、好ましくは10~20%含む、[1]または[7]に記載の組成物。
[9]
1つ以上の塩素を含まない不活性樹脂を5~20%、好ましくは5~15%含む、[1]、[7]または[8]に記載の組成物。
[10]
1つ以上のアクリル化エポキシ化植物油を5~25%、好ましくは5~20%、好ましくは5~15%、好ましくは5~10%含む、[1]、[7]、[8]または[9]に記載の組成物。
[11]
1つ以上の白色顔料を10~60%、好ましくは40~60%含む、[1]、[7]、[8]、[9]または[10]に記載の組成物。
[12]
塩素を含まない電子線硬化型のオフセット印刷用ファーストダウンホワイトインクである[1]、[7]、[8]、[9]、[10]または[11]に記載の組成物。
[13]
1つ以上の白色顔料が、二酸化チタン、酸化亜鉛およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行するいずれかに記載の組成物。
[14]
前記組成物が光開始剤を含まない、先行するいずれかに記載の組成物。
[15]
1つ以上のアクリレートモノマーが、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化ジグリセロールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、先行するいずれかに記載の組成物。
[16]
前記1つ以上のアクリレートオリゴマーが、脂肪族アクリレートポリウレタンを含む、先行するいずれかに記載の組成物。
[17]
1つ以上の不活性樹脂が、ポリケトン樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行するいずれかに記載の組成物。
[18]
1つ以上のアクリル化エポキシ化植物油が、アクリル化エポキシ化大豆油である、先行するいずれかに記載の組成物。
[19]
1つ以上の着色剤をさらに含む、先行するいずれかに記載の組成物。
[20]
該組成物が低移行性の用途に適しており、2017年5月1日から食品と接触することを意図した材料および物品に関するthe Swiss Ordinance Annex 10 of the Federal Department of Home Affairsに示された特定の移行レベルに準拠している、先行するいずれかに記載の組成物。
[21]
組成物がリソグラフィオフセット印刷に適している、先行するいずれかに記載の組成物。
[22]
プラスチック基材、先行するいずれかに記載の組成物、1つ以上の後続インク層、接着剤、およびシール基材を含む積層構造体であって、積層構造体の積層接着強度が1N/15mmを超える積層構造体。
[23]
積層構造体の積層結合強度が>2N/15mmである、[22]に記載の積層構造体。
[24]
積層構造体の積層結合強度が>3N/15mmである、[22]に記載の積層構造体。
[25]
組成物および後続のインク層が、オフセット印刷プロセス、好ましくはリソグラフィオフセット印刷プロセスによって適用される、[22]~[24]のいずれかに記載の積層構造体。
[26]
プラスチック基材の少なくとも1つがポリエチレンテレフタレート(PET)である、[22]から[25]のいずれかに記載の積層構造体。
[27]
プラスチック基材の少なくとも1つが、コロナ処理、プラズマ処理、またはフレーム処理されている、[22]から[26]のいずれかに記載の積層構造体。
[28]
プラスチック基材と、[1]~[21]のいずれかに記載の硬化組成物と、電子線硬化型オフセットインキの硬化物とを備える、印刷物。
[29]
以下を含む、印刷物を調製する方法:
[1]~[21]のいずれかに記載の組成物を、オフセット印刷によってプラスチック基材に塗布すること;
電子ビームによって組成物を硬化させること。
[30]
好ましくはオフセット印刷によって、前記組成物の上に電子線硬化性インクを塗布すること、及び、電子線硬化性インクを電子線によって硬化させること、をさらに含む、[29]に記載の方法。
[31]
前記電子ビーム硬化性インクを前記組成物の上にウェットオンウェットで塗布し、前記組成物および前記電子ビーム硬化性インクを単一の硬化ステップで電子ビームにより硬化させる、[30]に記載の方法。
[32]
前記プラスチック基板がPETフィルムである、[29]~[31]のいずれかに記載の方法。
[33]
PETフィルムがコロナ処理されたPETフィルムである、[32]に記載の方法。
[34]
硬化が、10~40kGyの線量率と70~200KeVの加速電圧を用いる[29]~[33]のいずれかに記載の方法。
[35]
硬化が、20~30kGyの線量率および70~120KeVの加速電圧を使用する、[34]に記載の方法。
[36]
硬化した印刷の上に接着剤層を塗布した後、封止基材と積層することをさらに含む、[29]~[35]のいずれかに記載の方法。
[37]
オフセット印刷がリソグラフィオフセット印刷である、[29]~[36]のいずれかに記載の方法。
[38]
表面印刷および積層において、電子線硬化性インクとプラスチック基材との間の接着を促進するための、[1]~[21]のいずれかに記載の組成物の使用。