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特許7237218基礎杭施工時における支持地盤の確認方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】基礎杭施工時における支持地盤の確認方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/00 20060101AFI20230303BHJP
   E02D 7/20 20060101ALI20230303BHJP
   E21B 7/00 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
E02D1/00
E02D7/20
E21B7/00 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022056048
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2018101642の分割
【原出願日】2018-05-28
(65)【公開番号】P2022089863
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】田淵 卓夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 正幸
(72)【発明者】
【氏名】中川 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】柴田 靖
(72)【発明者】
【氏名】築舘 雪花
(72)【発明者】
【氏名】市川 政美
(72)【発明者】
【氏名】請川 誠
(72)【発明者】
【氏名】利根 誠
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 啓輔
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-067560(JP,A)
【文献】特開2000-054778(JP,A)
【文献】特開2017-115302(JP,A)
【文献】特開2017-160714(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0065453(US,A1)
【文献】特開2017-031573(JP,A)
【文献】特開平03-028411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/00
E02D 7/20
E21B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッド軸周りに螺旋状の羽根を備えたオーガーを用い、このオーガーを軸芯周りに回転させながら地中に貫入させ地盤を掘削する際に、オーガー先端の支持地盤の地耐力を確認するための方法であって、
前記オーガーの先端に、油圧ジャッキを内設するとともに、ピストン先端に前記地耐力測定用載荷板を支持し、オーガーの先端が支持層に達した段階で、オーガーを把持して移動しないように固定する装置を用いることによりオーガーを上下方向に移動しないように拘束した状態で、
前記油圧ジャッキを伸長して前記地耐力測定用載荷板に荷重をかけ、ジャッキ圧力とジャッキ伸長量を測定することにより、平板載荷試験に準じた地耐力測定試験を行うことを特徴とする基礎杭施工時における支持地盤の確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッド軸周りに螺旋状の羽根を備えたオーガーを用いて基礎杭を施工するに当たって、前記オーガーを地中に貫入させた状態で、支持地盤の地耐力を確認する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
土木構造物の基礎杭を施工するにあたっては、種々の工法が存在するが、その中の一つの方法として、ロッド軸周りに螺旋状の羽根を備えたオーガーを用い、このオーガーを軸芯回りに回転させながら地中に貫入させることにより円柱状に地盤を掘削した後、この掘削孔に地中に杭を挿入して基礎杭を構築することが行われている。
【0003】
上記基礎杭の施工においては、オーガー掘削時に先端が支持層に到着したかどうかの確認が施工管理上重要となる。支持地盤を確認する方法としては、従来より、支持地盤は他の層と比べてN値が高く、掘削抵抗が大きくなることに着目して、オーガー駆動装置の積分電流値を計測することによって支持層への到達を判断することが行われていた。
【0004】
具体的に下記特許文献1では、地盤を削孔する掘削機のオーガを駆動するオーガ駆動用モータの掘削時における電流値を検出する電流データ検出手段と、前記オーガの上下方向移動距離を検出する深度検出手段と、前記各検出手段からの検出信号をパソコン入力用デジタル信号に変換する信号変換装置と、この信号変換装置からの信号入力に基づき電流データについては積分し深度を縦軸として予め入力されたN値データと共に同一画面に表示するCRTを有するパソコンとを具備することを特徴とする杭支持層検出装置が提案されている。
【0005】
また、下記特許文献2では、支持層の想定深度よりも浅い深度にて、基準値取得深度を設定するための基準値取得深度設定部と、杭孔を掘削中の掘削ドリルのトルクに対応する電流値の積分値を前記掘削ドリルの掘削深度と対応付けられたチャートとしてモニタに表示するように構成されたチャート表示部と、前記基準値取得深度に対応する前記積分値に基づいて基準値を取得する基準値取得部と、前記基準値取得部によって取得された前記基準値、及び、前記基準値取得深度よりも深い深度に対応する前記積分値に基づいて、前記掘削ドリルが支持層に到達したか否かを判定するように構成された判定部と、前記判定部の判定結果を報知するように構成された報知部とを備える支持層到達判定装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平5-280031号公報
【文献】特開2018-35635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実際のオーガー掘削時に、深度に沿って、積分電流値、電流、N値との関係を計測したグラフの一例を図13に示す。
【0008】
積分電流値とN値との相関関係は、絶対的な比例関係にあるとは限らず、同じN値であってもその地盤で積分電流値が異なることも少なくない。一方で、積分電流値と地盤N値とにある程度以上の相関性が見られることも事実であり、オーガー装置の積分電流値を計測することにより支持地盤を確認することが専ら行われている。
【0009】
しかしながら、オーガー掘削時の積分電流値を計測する方法は、あくまでも間接的な方法であるため、オーガー掘削の施工効率を阻害することなく、支持地盤を直接的に確認する方法が望まれていた。
【0010】
そこで本発明の主たる課題は、ロッド軸周りに螺旋状の羽根を備えたオーガーを用いて基礎杭を施工するに当たって、前記オーガーを地中に貫入させた状態のままで、支持地盤の地耐力を直接的に測定することによって支持地盤の確認を行う方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、ロッド軸周りに螺旋状の羽根を備えたオーガーを用い、このオーガーを軸芯周りに回転させながら地中に貫入させ地盤を掘削する際に、オーガー先端の支持地盤の地耐力を確認するための方法であって、
前記オーガーの先端に、油圧ジャッキを内設するとともに、ピストン先端に前記地耐力測定用載荷板を支持し、オーガーの先端が支持層に達した段階で、オーガーを把持して移動しないように固定する装置を用いることによりオーガーを上下方向に移動しないように拘束した状態で、
前記油圧ジャッキを伸長して前記地耐力測定用載荷板に荷重をかけ、ジャッキ圧力とジャッキ伸長量を測定することにより、平板載荷試験に準じた地耐力測定試験を行うことを特徴とする基礎杭施工時における支持地盤の確認方法が提供される。
【0012】
上記請求項1記載の発明では、オーガーの先端に、油圧ジャッキを内設するとともに、ピストン先端に前記地耐力測定用載荷板を支持しておく。そして、オーガーの先端が支持層に達したならば、オーガーを把持して移動しないように固定する装置を用いることによりオーガーを上下方向に移動しないように拘束した状態とする。そして、前記油圧ジャッキを伸長して前記地耐力測定用載荷板に荷重をかけ、ジャッキ圧力とジャッキ伸長量を測定することにより、平板載荷試験に準じた地耐力測定試験を行う。従って、オーガーを地中に貫入させた状態のままで、支持地盤の地耐力を直接的に測定することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上詳説のとおり本発明によれば、ロッド軸周りに螺旋状の羽根を備えたオーガーを用いて基礎杭を施工するに当たって、前記オーガーを地中に貫入させた状態のままで、支持地盤の地耐力を直接的に測定することによって支持地盤の確認を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1参考第1形態例に係る地耐力測定試験方法に使用するオーガー1の側面図である。
図2図1のII-II線矢視図である。
図3図1のIII-III線矢視図である。
図4】地耐力測定試験の手順図(その1)である。
図5】地耐力測定試験の手順図(その2)である。
図6】地耐力測定試験の手順図(その3)である。
図7】地耐力測定用載荷板15の突出方法の変形例を示す図である。
図8本発明形態例に係る地耐力測定試験方法を示す図である。
図9参考第2形態例に係る地耐力測定試験方法に使用するオーガー1の側面図である。
図10】貫入試験用サンプラー4及び打撃用重錘5を示す側面図である。
図11】打撃用重錘5の縦断面図である。
図12】地耐力測定試験の手順図(A)~(D)である。
図13】オーガー掘削時の積分電流値、電流、N値の測定結果の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、ロッド軸周りに螺旋状の羽根を備えたオーガーを用い、このオーガーを軸芯周りに回転させながら地中に貫入させ地盤を掘削する際に、オーガー先端の支持地盤の地耐力を確認するための方法(第1~第3形態例)について、図面を参照しながら詳述する。
【0016】
参考第1形態例〕
図1図7に基づいて、参考第1形態例に係る支持地盤の地耐力測定試験方法について詳述する。
【0017】
参考第1形態例に係る試験方法は、オーガー1の先端に、オーガー軸芯方向に突出可能に地耐力測定用載荷板15を収納しておき、オーガー1の先端が支持層に達した段階で、前記地耐力測定用載荷板15を突出させた状態とし、オーガー1の自重を作用させてオーガー1の沈下量を測定することにより、平板載荷試験に準じた地耐力測定試験を行うものである。
【0018】
さらに、具体的に詳述する。
【0019】
オーガー1は、図1に示されるように、先端のオーガーヘッド2と、螺旋状の羽根が周面に設けられたオーガー軸3とから構成されている。前記オーガーヘッド2は、ヘッド軸10の外面(軸周り)に左右対の螺旋状の羽根11A、11Bを固設し、この螺旋状の羽根11A、11Bの下端縁に複数の掘削ビット12,12…を設けた構造のものであり、ヘッド軸10の回転に伴って前記掘削ビット12,12…が土砂を削り取るように掘削するとともに、螺旋状の羽根11A、11Bによって削り取った土砂を地上側に揚送する。
【0020】
一方、前記オーガー軸3は、外面(軸周り)に螺旋状の羽根13、13…が固設された軸状の軸部材であり、前記オーガーヘッド2の上端に対して螺合によって接続されている。オーガー軸3の内部には、中心部に掘削液供給路14を有し、掘削時にオーガーヘッド2の先端から吐出されるようになっている。この種のオーガー1は、主にシルト層、粘土層、砂層等の比較的軟らかい地層に対して適用されるものである。
【0021】
本願発明に係るオーガー1においては、先端にオーガー軸芯方向に突出可能に地耐力測定用載荷板15が収納状態で設けられている。
【0022】
具体的には、地耐力測定用載荷板15の背面側に外面にネジを形成した支持棒16が一体的に設けられている。一方、ヘッド軸10の側には、先端に開口を臨ませて前記支持棒16が螺入可能な雌ネジ孔10aが形成されている。なお、図2に示されるように、前記雌ネジ孔10aの十字方向にはそれぞれ凹部流路10bが形成されており、この凹部流路10bが前記掘削液供給路14に連通し、掘削液をオーガー先端から吐出できるようになっている。
【0023】
前記地耐力測定用載荷板15は、図3に示されるように、鋼板17の下面側に十字状にリブ18が形成され、かつ4箇所に掘削液吐出孔15aが形成された部材とされ、前記支持棒16を前記オーガー先端面に設けた雌ネジ孔10aに螺入させた状態で収納保持されている。
【0024】
<地耐力測定試験の手順>
(1)ステップ1
図4に示されるように、オーガー1を軸芯回りに順回転させながら地盤に貫入させ、円柱状に掘削孔を形成する。
【0025】
支持層Hにオーガー先端が到達した段階で、一旦掘削を止め、地耐力の測定試験を開始する。
【0026】
(2)ステップ2
図5に示されるように、地耐力測定用載荷板15を地盤に当接させた状態で、オーガー1を軸芯回りに逆回転させることによりオーガー1を上方側に移動させ、地耐力測定用載荷板15を突出させた状態とする。前記地耐力測定用載荷板15の下面には十字状のリブ18を有し、これが地盤に食い込むことにより共周りすることなく保持されるようになっている。
【0027】
(3)ステップ3
図6に示されるように、オーガー1の自重(重量は既知)を作用させ、オーガー1の沈下量(L)を測定することにより、平板載荷試験に準じた地耐力測定試験を行う。前記沈下量Lの測定は、地上において測定することができる。
【0028】
なお、前記平板載荷試験とは、JGS1521(地盤工学会基準)に規定された地盤特性試験の方法であり、対象地盤に設置した円形載荷板に荷重をかけ、載荷板の荷重と沈下量との関係から、地盤反力係数や極限支持力などの地盤の変形特性や支持力特性を求める試験である。本願発明における地耐力試験とは、用いる載荷板や荷重載荷方法などが異なるが、予め本願発明における試験方法と平板載荷試験による試験方法との相関関係を調べておくことにより、本願発明による試験方法の結果を平板載荷試験に換算することが可能である。
【0029】
<他の形態例>
(1)上記形態例では、前記地耐力測定用載荷板15の背面側に外面にネジを形成した支持棒16を一体的に設け、前記支持棒16をオーガー先端面に設けた雌ネジ孔10aに螺入した状態で収納保持したが、図7に示されるように、前記オーガー1の先端に油圧ジャッキ19を内設するとともに、ピストン20の先端に前記地耐力測定用載荷板15を支持し、オーガー1の先端が支持層に達した段階で、前記油圧ジャッキ19のピストン20を伸長させることにより前記前記地耐力測定用載荷板15を収納状態から突出させるようにしてもよい。
【0030】
本発明形態例〕
次に、図8に基づいて、本発明形態例に係る支持地盤の地耐力測定試験方法について詳述する。
【0031】
本地耐力測定試験方法は、図7に示したオーガー1を使用して行う試験方法である。
【0032】
オーガーの先端が支持層に達した段階で、オーガー1を上下方向に移動しないように拘束した状態とする。例えば、地上側において、オーガー1の把持して移動しないように固定する装置を用いて上下移動を拘束するようにする。
【0033】
オーガー1を上下方向に移動しないように固定したならば、前記油圧ジャッキ19を伸長して前記地耐力測定用載荷板15に荷重をかけ、ジャッキ圧力とジャッキ伸長量を測定することにより、平板載荷試験に準じた地耐力測定試験を行うようにする。なお、ジャック圧力は油圧を測定することにより計測が可能であり、ジャッキ伸長量は油圧ジャッキに設けたストロークセンサによって計測することが可能である。
【0034】
参考第2形態例〕
次に、図9図12に基づいて、参考第2形態例に係る支持地盤の地耐力測定試験方法について詳述する。
【0035】
参考第2形態例に係る試験方法は、前記オーガー1の螺旋状の羽根3、11A、11Bに通孔21を設けて、オーガー1の軸芯方向に沿って連続する、貫入試験用サンプラー4を挿入するための挿通路22を形成しておき、オーガー1の先端が支持層に達した段階で、前記貫入試験用サンプラー4を前記挿通路22から挿入するとともに、この貫入試験用サンプラー4に打撃を与えるために打撃用重錘5を挿入し、前記打撃用重錘5を所定の高さ位置まで引上げ自由落下させることによって前記貫入試験用サンプラー4に打撃を与え、前記貫入試験用サンプラー4を所定の深さまで打ち込むのに要する打撃回数N'を求めることにより、標準貫入試験に準じた地耐力測定試験を行うものである。
【0036】
なお、前記標準貫入試験とは、JIS A1219に規定された試験であり、原位置における地盤の硬軟や締り具合の指標となるN値を求めるとともに、試料を採取するための試験方法である。ここで、N値は質量63.5±0.5kgのドライブハンマーを76±1cmの高さから自由落下させて、ボーリングロッド頭部に取り付けたノッキングブロックを打撃し、ボーリングロッド先端に取り付けた標準貫入試験用サンプラーを地盤に30cm打ち込むのに要する打撃回数のことである。
【0037】
さらに、具体的に詳述する。
【0038】
図9に示されるように、オーガー1において、螺旋状の羽根13、11A、11Bに対して通孔21を設けてオーガー1の軸芯方向に沿って連続する、貫入試験用サンプラー4を挿入するための挿通路22を形成する。前記挿通路22(通孔21)の直径は、100mm+α程度とする。
【0039】
一方、前記貫入試験用サンプラー4及び打撃用重錘5を含む試験装置の詳細を図10に示す。
【0040】
前記貫入試験用サンプラー4及び打撃用重錘5は、ガイド用棒材6の下側に該ガイド用棒材6を外嵌するように前記貫入試験用サンプラー4を配設し、前記ガイド用棒材6の上側に該ガイド用棒材6を外嵌するように前記打撃用重錘5を配設し、これらサンプラー4、打撃用重錘5及びガイド用棒材6がそれぞれ独立的に吊持された構造とされ、前記打撃用重錘5を前記ガイド用棒材6に沿って引上げ、前記貫入試験用サンプラー4の上端に自由落下させることにより打撃を与えるようにしたものである。
【0041】
前記貫入試験用サンプラー4は、下側が開口とされ、上面にガイド用棒材6が貫通する通孔23aが形成された上蓋23を有する円管状の部材である。直径は、概ね50mmφ程度とされる。前記上蓋23の上面であって中心から偏心した位置(後述の打撃用重視5の管材28の配設位置)には吊持用ワイヤ24が連結されている。
【0042】
前記打撃用重錘5は、詳細には図11に示されるように、外管25と内管26とから二重管構造を成し、上端部は上蓋27Aよって塞がれ、下端は下蓋27Bによって塞がれている。前記外管25と内管26との間には比較的小径の管材28が上下方向に貫通する通孔29を形成するために配設されている。前記通孔29は前記貫入試験用サンプラー4の吊持用ワイヤ24を通すためのものである。
【0043】
前記外管25の直径φ1は概ね100mm程度とされ、前記内管26の直径φ2は概ね30~35mm程度とされる。これら外管25と内管26との間の空間には、重量を稼ぐために溶融した鉛30が充填されている。この打撃用重錘5の長さlは、オーガー1の螺旋羽根13に対して常時少なくとも2箇所で係合していることが望ましいため、螺旋羽根13の上下方向間隔の2倍+αの長さとするのが望ましい。この打撃用重錘5は吊持用ワイヤ31によって吊持されている。
【0044】
前記ガイド用棒材6は、図10に示されるように、前記貫入試験用サンプラー4の通孔23aに挿通し、かつ前記打撃用重錘6の内管26に挿通した状態で配置される棒状の部材であり、前記打撃用重錘6を引上げ、前記貫入試験用サンプラー4の上端に自由落下させることにより打撃を与えるとともに、貫入試験用サンプラー4を地中に貫入させる際のガイドとして機能するものである。このガイド用棒材6は吊持用ワイヤ32によって吊持されている。
【0045】
<地耐力の測定試験の手順>
(1)ステップ1
先ず、オーガー1を軸芯回りに順回転させながら地盤に貫入させ、円柱状に掘削孔を形成する。支持層Hにオーガー先端が到達した段階で、一旦掘削を止め、地耐力の測定試験を開始する。
【0046】
(2)ステップ2
オーガー1を上下方向に移動しないように拘束したならば、図10に示されるように、地上から螺旋状の羽根3、11A、11Bに形成した挿通路22に前記貫入試験用サンプラー4を挿入するとともに、この貫入試験用サンプラー4に打撃を与えるために打撃用重錘5を挿入し、図12(A)に示されるように、前記勧誘試験用サンプラー4及びガイド用棒材6を支持層Hに当接させる。
【0047】
(3)ステップ3
次に、図12(B)(C)に示されるように、前記打撃用重錘5をガイド用棒材6をガイドとしながら所定の高さ位置まで引上げ自由落下させることによって前記貫入試験用サンプラー4に打撃を与える作業を繰り返す。そして、前記貫入試験用サンプラー4を所定の深さLまで打ち込むのに要する打撃回数N'を求める。
【0048】
仮に、標準貫入試験に試験条件を合わせるとすれば、前記打撃用重錘5の引上げ高さは76±1cmであり、前記貫入試験用サンプラー4の貫入深さは30cmとなるが、標準貫入試験におけるドライブハンマーの質量は63.5±0.5kgであり、本願発明の打撃用重錘5の質量とは相違する可能性が高いため、必ずしも標準貫入試験に合わせる必要はない。予め、本願発明における試験方法と標準貫入試験による試験方法との相関関係を調べておくことにより、本願発明による試験方法の結果(打撃回数N')を標準貫入試験のN値に換算することが可能である。
【0049】
なお、貫入試験用サンプラー4の貫入深さLの測定は、前記打撃用重錘5を貫入試験用サンプラー4に載せた状態で吊持用ワイヤ31に地上でマーキングしておき、このマーキング位置の移動量を計測することによって可能である。
【0050】
(4)ステップ4
前記貫入試験用サンプラー4を所定の深さLまで打ち込んだならば、図12(D)に示されるように、貫入試験用サンプラ4、打撃用重錘5及びガイド用棒材6を吊持している吊持用ワイヤ24,31,32を地上側に引上げて、貫入試験用サンプラー4、打撃用重錘5及びガイド用棒材6を回収する。前記貫入試験用サンプラー4の内部には土砂(試料)が採取されている。
【符号の説明】
【0051】
1…オーガー、2…オーガーヘッド、3…オーガー軸、4…貫入試験用サンプラー、5…打撃用重錘、6…ガイド用棒材、10…ヘッド軸、11A・11B…螺旋羽根、12…掘削ビット、13…螺旋状の羽根、14…掘削液供給路、15…地耐力測定用載荷板、16…支持棒、17…鋼板、18…リブ、19…油圧ジャッキ、20…ピストン、21…通孔、22…挿通路、H…支持層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13