(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】巻尺用ホルダ
(51)【国際特許分類】
G01B 3/1071 20200101AFI20230306BHJP
【FI】
G01B3/1071
(21)【出願番号】P 2018025365
(22)【出願日】2018-02-15
【審査請求日】2020-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000165882
【氏名又は名称】原度器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139044
【氏名又は名称】笹野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】原 照剛
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-229602(JP,A)
【文献】特開平07-285335(JP,A)
【文献】特開2002-085127(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0180726(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/10-3/1094
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトクリップを有する巻尺を保持するためのホルダであって、
上記ベルトクリップを掛着可能な掛着部と、
上記掛着部に掛着された上記ベルトクリップの脱出を防止する可動ロック部と、
を備え、
上記可動ロック部の少なくとも下側部が、上記掛着部に掛着された上記ベルトクリップの脱出が防止される脱出防止位置と、上記ベルトクリップの抜き差しが可能な抜差可能位置と、の間を
縦振りで揺動することができるように、上記可動ロック部が構成されていて、上記抜差可能位置に動かされた上記可動ロック部は、該可動ロック部に接続されたバネからなる付勢手段を使って上記脱出防止位置に自動的に復帰可能に構成されており、さらには、
上記可動ロック部は、これに上記ベルトクリップが押し付けられることによって該巻尺用ホルダの内方へ移動可能に構成されていることを特徴とする、巻尺用ホルダ。
【請求項2】
上記ベルトクリップの横移動による掛着部からの脱落を防止する脱落防止ガードが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の巻尺用ホルダ。
【請求項3】
上記脱落防止ガードが、上記掛着部乃至上記可動ロック部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の巻尺用ホルダ。
【請求項4】
上記バネがコイルばねであることを特徴とする請求項1に記載の巻尺用ホルダ。
【請求項5】
上記可動ロック部が該巻尺用ホルダの内方へ移動することによって、上記掛着部の上端面の上方が空くように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の巻尺用ホルダ。
【請求項6】
該巻尺用ホルダは、下方先端に向かって先細状の形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の巻尺用ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻尺の保持に用いられる機械ロック式の巻尺用ホルダに関し、より詳しくは、ベルトクリップを備える巻尺に対応するように構成されている巻尺用ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
巻尺を携帯する際に用いられる機械ロック式の巻尺用ホルダは、ホルダの保持部と、これに対に設けられている外部係止片(巻尺のケースに付属)とが係合して上記外部係止片の脱落を防止する構造になっていて、この外部係止片を備える巻尺が保持された際、該巻尺の落下を確実に防止できるように構成されている。
【0003】
そして、上述の外部係止片は、巻尺のケースにおいて既設のベルトクリップが設置されているケース背面に、既設のベルトクリップに代わり取り付けられる。このため、巻尺用ホルダは、外部係止片が設置された巻尺の専用品となっている。
【0004】
また、上述の外部係止片は、他の巻尺のベルトクリップ取り付け部に既設されているベルトクリップに代えて取り付け可能に構成されている場合もある。これにより、数種の巻尺は、上述の巻尺用ホルダに保持できるようになっている。
【0005】
しかしながら、既設されているベルトクリップに代えて外部係止片を取り付けできるようにしても、ベルトクリップ取り付け部の形態や取付ねじの寸法は、各巻尺やメーカー間で相違していることが多く、また、保持の安全性の観点からも、現状、同一メーカーの一部の巻尺間での互換性しかなかった。
【0006】
ところで、最近では巻尺が高所で使用されるケースが増加しているため、巻尺を携帯する際は、上述に説明している巻尺の落下を確実に防止できる巻尺ロック機能を有する巻尺用ホルダを用いて安全に携帯している。しかしながら、この巻尺用ホルダは、メーカー内でも一部の巻尺しか対応していないため、携帯者自身の作業に適合する巻尺を選ぶことができないといった問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、保持(係止)に必須の外部係止片を必要とせず、巻尺既設のベルトクリップそのままで該巻尺を安全に保持(係止)できるようにして、各メーカーの巻尺にも十分に対応することができる汎用性に優れた巻尺用ホルダを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の巻尺用ホルダの一実施例においては、ベルトクリップを有する巻尺を保持するためのホルダであって、上記ベルトクリップを掛着可能な掛着部と、上記掛着部に掛着された上記ベルトクリップの脱出を防止する可動ロック部と、を備え、該可動ロック部の少なくとも下側部が、上記掛着部に掛着された上記ベルトクリップの脱出が防止される脱出防止位置と、上記ベルトクリップの抜き差しが可能な抜差可能位置と、の間を動くことができるように、該可動ロック部が構成されていて、上記抜差可能位置に動かされた上記可動ロック部は、上記脱出防止位置に自動的に復帰可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
一実施例においては、上記ベルトクリップの横移動による掛着部からの脱落を防止する脱落防止ガードが設けられていることを特徴とする。
【0011】
さらなる実施例においては、上記脱落防止ガードが、上記掛着部乃至上記可動ロック部に設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、上記可動ロック部は、上記ベルトクリップが押し付けられることによって該巻尺ホルダの内方へ移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
さらには、上記可動ロック部が該巻尺用ホルダの内方へ移動することによって、上記掛着部の上端面の上方が空くように構成されていることを特徴とする。
【0014】
また一実施例においては、携帯者の衣服またはベルトに装着可能に構成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る巻尺用ホルダの一実施例を示す斜視図。
【
図4】ロックが解除された状態の巻尺用ホルダの斜視図。
【
図6】巻尺を保持した状態の巻尺用ホルダの断面図。
【
図7】ロックが解除された状態の
図6に示した巻尺用ホルダの断面図。
【
図8】掛着部に掛着された巻尺を背面側から見ている図。
【
図9】巻尺用ホルダの他の一実施例を示す(a)斜視図と(b)断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の巻尺用ホルダについて、添付の図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は、本巻尺用ホルダの一実施例を示しており、巻尺用ホルダ1は、掛着部2と、脱落防止ガード4と、可動ロック部6と、携帯者ベルト係着部8を備えている。なお、
図2は、
図1に示している巻尺用ホルダ1の断面図である。
【0018】
掛着部2は、
図6にて説明すると、巻尺20に備えるベルトクリップ22が掛着されるところである。掛着部2の厚さは、ベルトクリップ22の折返し部24の間隙よりも小なるものとされ、また掛着面が平坦な板状体からなっている。そして、巻尺用ホルダ1が携帯者に装着された状態において、掛着部2における上方端面部が、ベルトクリップ22の折返し部24の内面を支持するための支持部10となっている。なお、掛着面におけるベルトクリップ22の抜き差し方向に、溝などを形成する場合もある。
【0019】
脱落防止ガード4は、掛着部2の支持部10に支持されたベルトクリップ22の折返し部24が、該支持部10の横方向に移動して脱落するのを防止するためのものである。本実施例では、該脱落防止ガード4は支持部10の両側に掛着部2と一体形成されていて、掛着部2の下端から可動ロック部6の上端にかけて設けられている。
【0020】
可動ロック部6は、
図6にて説明すると、掛着部2の支持部10に掛着された巻尺20のベルトクリップ22が、該支持部10の上方向に移動して脱落(抜け落ち)するのを防止するためのものである。本実施例では、可動ロック部6に有するストッパ部12が、掛着部2の支持部10の上方に位置するよう該可動ロック部6が配置されている。この配置位置は、巻尺20に備えるベルトクリップ22における折返し部24の脱出が防止される脱出防止位置である。従って、掛着部2の支持部10の上方に位置するよう配置された可動ロック部6のストッパ部12は、掛着部2の支持部10に巻尺20のベルトクリップ22における折返し部24が支持された際に、該折返し部24の上方に位置するようになっている。なお、可動ロック部6のストッパ部12は、可動ロック部6の全体またストッパ部12の構成や形成の形態によって、ベルトクリップ22の直線状の折返し部24の上方の一部に、或いは全域に亘って位置する。
【0021】
また、可動ロック部6は、全部または一部が携帯者ベルト係着部8方向(巻尺20に備えるベルトクリップ22の抜き差しができる抜差可能位置)に移動できるように構成されていて、且つ、携帯者ベルト係着部8方向に押動されたときは、発条部材や弾性部材などを用いて構成された付勢手段38により、ストッパ部12が掛着部2の支持部10の上方位置(巻尺20に備えるベルトクリップ22の脱出が防止される脱出防止位置)に戻るよう可動ロック部6が自動復帰(自動的に元の位置に復帰する)可能に構成されている。付勢手段38たる発条部材の一例としては、圧縮コイルばね/ねじりコイルばね/板ばねなどのばねが挙げられ、また、弾性部材の一例としては、シリコンなどの合成ゴムが挙げられる。勿論、上述した発条部材や弾性部材の他、弾発性に優れる部材(材料)を用いて付勢手段としてもよい。付勢手段38は、可動ロック部6や脱落防止ガード4の形態、また該脱落防止ガード4の設置の有無など、巻尺用ホルダ1の形態により、付勢に用いられる部材や構造が選定されるので、
図1~
図8では図示していないが、
図9(b)に、一実施例における付勢手段38としてのばねの配置を示している。また、可動ロック部6は、揺動(縦振り)可能となるように、1つ又は複数の付勢手段38と接続している場合もある。
【0022】
ところで、可動ロック部6のストッパ部12と、掛着部2の支持部10に支持されたベルトクリップ22の折返し部24との隙間は、掛着部2の支持部10にベルトクリップ22が支持されたとき、あるいは間もなく支持されるとき、可動ロック部6が初期位置に復帰して該可動ロック部6のストッパ部12が上記折返し部24の上方に位置可能な隙間となっていればよい。合理的な一例を挙げれば、ベルトクリップ22の折返し部24と掛着部2の支持部10との隙間が、0.5mm~10mmの間で設定される。しかしながら、可動ロック部6のストッパ部12と掛着部2の支持部10との配置形態、ストッパ部12及び支持部10の形態、ベルトクリップ22の形態により、上記隙間寸法0.5mm~10mmは、この範囲よりも小なる寸法に設定される場合もあれば、大なる寸法に設定される場合もある。
【0023】
そして、本実施例に示した可動ロック部6の携帯者ベルト係着部8方向への動きは、ベルトクリップ22の前面が押し付けられることによって可動ロック部6の全体が携帯者ベルト係着部8方向へ動くように構成している。この可動ロック部6の全体が携帯者ベルト係着部8方向へ動くようにする場合の一例を以下に示す(図示せず)と、可動ロック部6の上端寄り及び下端寄りまたは概ね中央の両側面に形成した脱落防止ガード4方向に突出する突部を、脱落防止ガード4の携帯者ベルト係着部8方向へ延設された上記突部と対応する案内溝に遊嵌させることで、可動ロック部6の後退移動が案内される(突部と案内溝の形成部材は反対でもよい)。また、可動ロック部6の背面に設けられた突部を、携帯者ベルト係着部8に設けられた上記突部と対応する案内凹部に遊嵌させることで、可動ロック部6の後退移動が案内される(突部と案内凹部の形成部材は反対でもよい)。なお、可動ロック部6の全体が携帯者ベルト係着部8方向へ動く際に、周知技術によって可動ロック部6が上下方向に首振り可能に構成する場合もある。
【0024】
また、可動ロック部6は、一部分だけを携帯者ベルト係着部8方向へ動くように構成する場合もある。この可動ロック部6の一部が携帯者ベルト係着部8方向へ動くようにする場合の一例を説明する(図示せず)と、可動ロック部6の上方部乃至上端部を回転または折曲げ可能に支持して、ストッパ部12が携帯者ベルト係着部8方向へ振り子のように動くようにする。可動ロック部6の支持は、可動ロック部6の両側に配置されている部材に支持し、或いは可動ロック部6の上側に配置されている部材に支持する。軸材で支持する場合には、その軸材に発条部材(コイルスプリング/ねじりコイルばね等)を装着して可動ロック部6を自動復帰(自動的に元の位置に復帰)させるようにしてもよい。また、弾性部材や発条部材を介して支持すれば、該弾性部材や発条部材が可動ロック部6を自動復帰(自動的に元の位置に復帰)させるための付勢手段となる。また、可動ロック部6の上方部乃至上端部を、携帯者ベルト係着部8乃至脱落防止ガード4もしくは可動ロック部6の上側または横側に配置されている部材に弾性部材を介して接続することで、該弾性部材が可動ロック部6を自動復帰(自動的に元の位置に復帰)させるための付勢手段となる。なお、可動ロック部6の少なくとも上方部乃至上端部を弾性部材(樹脂素材)で形成したり、可動ロック部6及び携帯者ベルト係着部8乃至脱落防止ガード4を、弾性を有する素材(樹脂)で一体成型する場合もある。
【0025】
携帯者ベルト係着部8は、該巻尺用ホルダ1を携帯者のベルトに装着するためのものである。本実施例に示した携帯者ベルト係着部8は、携帯者が身に着けているベルトを通すためのベルト挿通部16が形成されている。
【0026】
図3にて、巻尺20を巻尺用ホルダ1に保持させる際の動作を説明する。先ずは、
図3(a)のように、巻尺20のベルトクリップ22の前面を巻尺用ホルダ1の可動ロック部6の前面に当接させ(矢印A)、
図3(b)のように、該ベルトクリップ22で初期位置(ホームポジション)に位置(停止)している可動ロック部6を付勢手段の押圧力に抗して携帯者ベルト係着部8方向に押し込む(矢印B及びC)。そうすると、
図3(c)のように、掛着部2における支持部10の上方に空間14が生じるので、巻尺20を下方に移動させ(矢印D)、
図3(d)及び
図3(e)のように、掛着部2の支持部10をベルトクリップ22の先端の開口部分から内空間26に入れていく。なお、可動ロック部6は付勢手段の押圧力によって初期位置(
図3(a)の位置)に戻っていく(矢印E)。そして、
図3(f)のように、ベルトクリップ22の折返し部24が可動ロック部6を通過すると、該可動ロック部6は初期位置(
図3(a)の位置)に戻り、ベルトクリップ22における折返し部24の上方に可動ロック部6のストッパ部12が位置(停止)する。ベルトクリップ22の折返し部24の内面は掛着部2の支持部10上に位置されて、該巻き尺20は巻尺用ホルダ1に固定的に保持される。
【0027】
図4は、可動ロック部6によるロックが解除された状態の巻尺用ホルダ1の斜視図であり、ロック状態を解除する場合は、可動ロック部6を携帯者ベルト係着部8の方向(巻尺20に備えるベルトクリップ22の抜き差しができる抜差可能位置)へ押し込むことで解除することができる。なお、
図5は、
図4に示している巻尺用ホルダ1の断面図である。
【0028】
また、
図7にて上述のロック状態の解除を説明すると、携帯者が手で可動ロック部6を携帯者ベルト係着部8の方向へ押し込むことにより、可動ロック部6のストッパ部12が、掛着部2における支持部10の上方位置から携帯者ベルト係着部8の方向(巻尺20に備えるベルトクリップ22の抜き差しができる抜差可能位置)へ移動し、掛着部2の支持部10に支持されている巻尺20のベルトクリップ22における折返し部24の上方に空間14が生じる。
【0029】
そして、巻尺20を上方に移動させることで、掛着部2の支持部10に支持されている巻尺20のベルトクリップ22における折返し部24を、上記空間14から携帯者ベルト係着部8の方向へ押し込まれている可動ロック部6の前面側を通過して外部に出すことができて、さらに巻尺20を上方に移動させることによって巻尺用ホルダ1から取り出すことができる。
【0030】
また、上述した脱落防止ガード4、すなわち、掛着部2の支持部10に支持されたベルトクリップ22の折返し部24が、該支持部10の横方向に移動して脱落するのを防止するために設けている脱落防止ガード4は必ずしも設ける必要はなく、掛着部2と可動ロック部6との組み合わせにより、ベルトクリップ22の折返し部24が横方向に移動(滑動)することで生じる掛着部2の支持部10からの脱落を防止できる。すなわち、掛着部2乃至可動ロック部6に、上述した脱落防止ガード4の機能を持たせることができる。
【0031】
上述したベルトクリップ22(折返し部24)の、掛着部2(支持部10)からの脱落を防止可能な掛着部2と可動ロック部6との組み合わせ形態を、
図8に示す。本
図8は、掛着部に掛着された巻尺を背面側から見ている図である。なお、右下の
図8(d)は、ベルトクリップ22を備える巻尺20の一実施例を示した斜視図である。
図8(a)は、掛着部2の支持部10たる上部端面に下方に向けて凹状部28を形成し、該凹状部28の内底でベルトクリップ22の折返し部24の内面を支持し、且つ、可動ロック部6のストッパ部12の全部を上記凹状部28内に位置させて、ベルトクリップ22(折返し部24)の横方向移動(滑動)及び上方向移動による脱落(抜け落ち)を防止するようにしている。
図8(b)は、掛着部2の支持部10たる上部端面に下方に向けて凹状部28を形成し、該凹状部28の内底でベルトクリップ22の折返し部24の内面を支持し、且つ、可動ロック部6のストッパ部12の一部を上記凹状部28内に位置させて、ベルトクリップ22(折返し部24)の横方向移動(滑動)及び上方向移動による脱落(抜け落ち)を防止するようにしている。
図8(c)は、掛着部2の支持部10で支持しているベルトクリップ22の折返し部24を、可動ロック部6のストッパ部12たる下部端面に上方に向けて形成した凹状部30内に位置させて、ベルトクリップ22(折返し部24)の横方向移動(滑動)及び上方向移動による脱落(抜け落ち)を防止するようにしている。ところで、
図8(a),(b)のように凹状部28を形成するのではなく、掛着部2の支持部10の両端に凸状部を形成してもよい。また、
図8(c)のように 凹状部30を形成するのではなく、可動ロック部6のストッパ部12の両端に凸状部を形成してもよい。従って、上述した構造を用いることで、掛着部2乃至可動ロック部6が前段で説明している脱落防止ガード4の機能を持てる。
【0032】
図9は、巻尺用ホルダの他の一実施例を示す斜視図である。
図9(a)に示す巻尺用ホルダ32は、一方が巻尺のケースに繋げられた落下防止用ロープのフックなどの外部フックを係着するための係着部34が設けられている。また、
図9(b)に示す巻尺用ホルダ36は、下方先端に向かって先細状になっていて、掛着部2に巻尺20が支持されたときに、該巻尺20の特に下端部の巻尺用ホルダ36前方への突出量を少なくできるようにしている。これにより、携帯者がしゃがんだ姿勢を取る際に、巻尺20のケース下端部が携帯者周囲の部材への衝突を低減できるようにしている。
【0033】
また、本実施例では示していないが、少なくとも掛着部2と、脱落防止ガード4と、可動ロック部6とを備えた巻尺用ホルダの本体部が、携帯者ベルト係着部8におけるベルト挿通部16のベルト挿通方向に対し直角方向に立設された軸に回転可能に軸支される場合もある。この場合、上記本体部は複数の角度で停止可能に構成するのがよい。
【0034】
本巻尺用ホルダは上述のように構成されているので、各メーカーが使用するベルトクリップの寸法(厚み/長さ/幅)が相違していても、巻尺既設のベルトクリップそのままで該巻尺を安全に保持(係止)することができる。従って、ベルトクリップを備える巻尺であれば、市販の大多数の巻尺に十分対応可能な汎用性に優れたホルダになっている。
【0035】
さらには、上述したように、ベルトクリップを備える市販の大多数の巻尺に対応可能なので、携帯者が自身の作業に適合する巻尺を選ぶことができ、また、取り扱いに慣れている今使用している巻尺をそのまま使うこともできるので、作業の安全性確保や経済性においても高い効果を有する。
【符号の説明】
【0036】
1…巻尺用ホルダ
2…掛着部
4…脱落防止ガード
6…可動ロック部
8…携帯者ベルト係着部
10…支持部
12…ストッパ部
14…空間
16…ベルト挿通部
20…巻尺
22…ベルトクリップ
24…折返し部
26…内空間
28…凹状部
30…凹状部
32…巻尺用ホルダ
34…係着部
36…巻尺用ホルダ
38…付勢手段