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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/34 20060101AFI20230306BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20230306BHJP
   B65D 43/10 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B65D1/34
B65D1/26
B65D43/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018171237
(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2020040720
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】込山 和馬
(72)【発明者】
【氏名】▲関▼口 尚男
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第3364800(JP,B2)
【文献】特許第6371023(JP,B1)
【文献】意匠登録第1606479(JP,S)
【文献】意匠登録第1533939(JP,S)
【文献】特開2009-012840(JP,A)
【文献】意匠登録第1588825(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/34
B65D 1/26
B65D 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と蓋体とを備え、シート成形によって形成される包装用容器であって、
前記容器本体は、
底面部と、
前記底面部の周縁から上方に立ち上がる本体周壁部と、
前記本体周壁部から外向きに延びる本体フランジ部と、
前記本体フランジ部の外周縁側に下方内向きに延びる本体逆テーパ部とを有し、
前記本体フランジ部は、平面視において、円弧状の本体円弧状フランジ部と、直線状の本体直線状フランジ部とを含み、
前記蓋体は、
天板部と、
前記天板部の周縁から下方に連続する蓋体周壁部と、
前記蓋体周壁部から外向きに延びる蓋体フランジ部と、
前記蓋体フランジ部の外周縁側に下方内向きに延びて前記本体逆テーパ部に外側から係合する蓋体逆テーパ部とを有し、
前記蓋体フランジ部は、平面視において、前記本体円弧状フランジ部に対応する蓋体円弧状フランジ部と、前記本体直線状フランジ部に対応する蓋体直線状フランジ部とを含み、
前記蓋体逆テーパ部は、
前記蓋体円弧状フランジ部に当該蓋体円弧状フランジ部と同心円弧状に形成した蓋体円弧状逆テーパ部と、
前記蓋体直線状フランジ部に当該蓋体直線状フランジ部と平行に形成した蓋体直線状逆テーパ部とを含み、
前記蓋体円弧状逆テーパ部の円弧長は前記蓋体直線状逆テーパ部の長さよりも長く、
前記蓋体フランジ部の外周縁側に断続的に形成する一方、
前記容器本体の外周の一部から外側に向かって膨出する受け片と、前記蓋体の外周の一部には前記受け片に対応する摘み部とを有し、
前記受け片は、
前記摘み部の外周よりも大きい外周で、つなぎ部を介して下向きに折れ曲がる方向に変形可能なものであり、
さらにこの受け片は、
前記摘み部に対応する平面と、
当該平面の外周部の容器本体の外周縁を除いた部分の内側の一部分で、且つ、前記摘み部の外周よりも外側に前記摘み部の厚さよりも高い突状部を有し、
前記突状部は、
前記平面に前記摘み部の外周に沿って形成され、
この突状部の両終端側は前記受け片の平面まで徐々に下向きに傾斜して連続する
ことを特徴とした包装用容器。
【請求項2】
蓋体は、
蓋体フランジ部から上方に突出して、当該蓋体同士を積み重ねたときに上下で係合可能な回転規制部をさらに有する、
請求項記載の包装用容器。
【請求項3】
回転規制部は、
蓋体円弧状フランジ部の対向する位置に2個一対を有する、
請求項記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂シート成形品である包装用容器の蓋体と容器本体との閉蓋構造に係り、商品の搬送時や陳列時には容器本体と蓋体が不用意に外れることがなく、一方、意図する場合には容易に開蓋することができるようにした包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器本体と蓋体とを外嵌合によって閉蓋する包装用容器は周知であるところ、商品の搬送時や陳列時における不用意な開蓋を防止するためには、蓋体は容器本体に対して強く嵌合していることが好ましい。
【0003】
そこで、本出願人は、容器本体の蓋体嵌合用フランジからアール部を介して逆テーパ部を設ける一方、蓋体には蓋体フランジ部から蓋体アール部を介して蓋体逆テーパ部を設け、この蓋体逆テーパ部の深さを前記容器本体の逆テーパ部の深さに対応させた包装用容器を開示した(特許文献1)。
【0004】
この包装用容器によれば、容器本体と蓋体とには何れも逆テーパ部が形成されるので、閉蓋時には蓋体に設けた蓋体逆テーパ部がいったん容器本体のアール部を乗り越えて容器本体の逆テーパ部に係合する。このため、従来のものよりも容器本体と蓋体の嵌合力が高まり、不用意な開蓋を有効に抑制することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-103993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、容器本体と蓋体の嵌合力が高まったことによって容器本体から蓋体を開蓋する際に容器本体が撓んだり捻れることによって、容器内で収容物が暴れやすくなることが想定される。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、商品の搬送時や陳列時には容器本体と蓋体が不用意に外れることなく、一方、意図する場合には容易に開蓋することができるようにした包装用容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために本発明では、容器本体と蓋体とを備え、シート成形によって形成される包装用容器であって、前記容器本体は、底面部と、前記底面部の周縁から上方に立ち上がる本体周壁部と、前記本体周壁部から外向きに延びる本体フランジ部と、前記本体フランジ部の外周縁側に下方内向きに延びる本体逆テーパ部と、前記本体フランジ部から外向きに突出する本体摘み部とを有する。前記本体フランジ部は、平面視において、円弧状の本体円弧状フランジ部と、直線状の本体直線状フランジ部とを含む。
【0009】
これに対して前記蓋体は、天板部と、前記天面部の周縁から下方に連続する蓋体周壁部と、前記蓋体周壁部から外向きに延びる蓋体フランジ部と、前記蓋体フランジ部の外周縁側に下方内向きに延びて前記本体逆テーパ部に外側から係合する蓋体逆テーパ部と、前記蓋体フランジ部から外向きに突出して前記本体摘み部に重なる蓋体摘み部とを有する。前記蓋体フランジ部は、平面視において、前記本体円弧状フランジ部に対応する蓋体円弧状フランジ部と、前記本体直線状フランジ部に対応する蓋体直線状フランジ部とを含む。また、前記蓋体逆テーパ部は、前記蓋体円弧状フランジ部に当該蓋体円弧状フランジ部と同心円弧状に形成した蓋体円弧状逆テーパ部と、前記蓋体直線状フランジ部に当該蓋体直線状フランジ部と平行に形成した蓋体直線状逆テーパ部との少なくとも2種の蓋体逆テーパ部を含む。さらに、前記蓋体円弧状逆テーパ部の円弧長は前記蓋体直線状逆テーパ部の長さよりも長く、当該蓋体逆テーパ部は前記蓋体フランジ部の外周縁側に断続的に形成する。
【0010】
そして、本発明では、前記容器本体及び前記蓋体の一部は、前記本体摘み部と前記蓋体摘み部とが重なる部分を開蓋の起点とした開蓋領域をなすという手段を用いた。
【0011】
上記手段によれば、蓋体逆テーパ部を本体逆テーパ部に外側から係合させることで、上記特許文献1で開示した包装用容器と同様に、容器本体に対して蓋体を強く嵌合することができる。また、本発明では、その開蓋領域において本体摘み部と蓋体摘み部とが重ね合わさるため、この状態では、これら摘み部に何かが接触して不用意な開蓋操作が行われず、閉蓋状態を維持する。
【0012】
そして、意図する開蓋操作が行われた場合、本発明では、複数の蓋体逆テーパ部を断続的(間欠的)に設けているため、蓋体逆テーパ部を閉鎖ループ状に設けた場合よりも嵌合を解除しやすい。つまり、本発明では、容器本体と蓋体を強く嵌合する構成を採用すると同時に、嵌合力が強すぎた場合には開蓋に余分な力を加える必要があることを考慮して、蓋体逆テーパ部を断続的に形成することにより、その間欠の度合いを調整すること、すなわち間隔や蓋体逆テーパ部の数を調整することによって、蓋体の嵌合力をその容器に応じた力に設計することができる。
【0013】
さらに本発明では、蓋体円弧状逆テーパ部と蓋体直線状逆テーパ部とでは蓋体フランジに沿った長さに差を持たせており、これによって嵌合の強度をよりきめ細かく調整することができるのである。
【0014】
なお、蓋体円弧状逆テーパ部の円弧長を蓋体直線状逆テーパ部の長さよりも長く設定することで、容器全体の嵌合の強度を高めている。
【0015】
一方、開蓋領域は、前記容器本体及び前記蓋体の一部に設けられて開蓋の起点となるが、意図する開蓋容易性の観点からは、容器本体の本体円弧状フランジ部とこれに対応する蓋体円弧状フランジ部とに設けることが好ましい。また、その領域内において前記蓋体円弧状フランジ部は蓋体円弧状逆テーパ部が形成される部分と形成されない部分とを含むことが好ましい。開蓋領域の一部に蓋体円弧状逆テーパ部を設けることで、意図しない開蓋をより確実に抑制しつつ、意図する開蓋を容易にすることができるからである。また、開蓋領域には本体摘み部と蓋体摘み部とが重ね合わされており、これら摘み部を相対的に離反する方向に操作して開蓋操作を行うところ、これら摘み部が本体直線状フランジ部と蓋体直線状逆テーパ部とに位置すると、開蓋操作する際の離反力がこれら直線状逆テーパ部に垂直に作用するため、開蓋の起点を得られにくい反面、本体円弧状フランジ部と蓋体円弧状フランジ部とに位置させることで、摘み部を頂点とする円弧状フランジ部の一部から蓋体円弧状逆テーパ部の嵌合を比較的小さな力で解除することができるからである。
【0016】
これとは別に、蓋体は、蓋体フランジ部から上方に突出して、当該蓋体同士を積み重ねたときに上下で係合可能な回転規制部をさらに有することが好ましい。上記手段における包装用容器では、蓋体が蓋体円弧状フランジを有するものの、蓋体直線状フランジ部によって蓋体を積み重ねたときの周方向の回転がある程度規制されるが、回転規制部によって、さらなる周方向回転を規制する力を高めることができるからである。
【0017】
この回転規制部は、蓋体円弧状フランジ部の対向する位置に2個一対を有することで、より確実に蓋体円弧状フランジ部における周方向回転を規制することが可能となる。
【0018】
なお、本発明では、容器本体と蓋体とを備え、シート成形によって形成される包装用容器であって、前記容器本体は、底面部と、前記底面部の周縁から上方に立ち上がる本体周壁部と、前記本体周壁部から外向きに延びる本体フランジ部と、前記本体フランジ部の外周縁側に下方内向きに延びる本体逆テーパ部とを有し、前記蓋体は、天板部と、前記天面部の周縁から下方に連続する蓋体周壁部と、前記蓋体周壁部から外向きに延びる蓋体フランジ部と、前記蓋体フランジ部の外周縁側に下方内向きに延びて前記本体逆テーパ部に外側から係合する蓋体逆テーパ部とを有するものとして、前記蓋体逆テーパ部は、長さが異なる複数の蓋体逆テーパ部を有して、これら複数の蓋体逆テーパ部を前記蓋体フランジ部の外周縁側に断続的に形成するという手段を採用することもある。
【0019】
この別手段では、円弧状フランジ部や直線状フランジ部を有しないような包装用容器であっても、複数の蓋体逆テーパ部を断続的に設けること、及び、それらが長さの異なる二種以上の蓋体逆テーパ部によって構成されることで、蓋体の嵌合力をその容器に応じた力に設計することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、商品の搬送時や陳列時には容器本体と蓋体が不用意に外れることない強さで蓋体を容器本体に嵌合できる一方、意図する場合には蓋体を比較的小さな力で容易に開蓋することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る包装用容器における容器本体の平面図
図2】同、蓋体の平面図
図3】同、図1のZ-Z線切断端面図
図4】同、逆テーパ部の係合状態を示す要部切断端面図
図5】同、逆テーパ部の係合前の状態を示す要部切断端面図
図6】同、閉蓋状態の容器全体の要部斜視図
図7】同、閉蓋状態の容器全体を示す正面図
図8】本発明を適用し得る他の容器形状を示す概略平面図
図9】弁当容器(方形)に係る実施形態を示す分解平面図
図10】同、蓋体の平面図
図11図1のA-A’線端面図
図12】同、容器本体の平面図
図13】同、容器本体の区画壁を示す平面視説明図
図14図4のB-B’線端面図、及びC-C’線端面図
図15】弁当容器の他の実施形態を示す容器本体の平面図
図16】弁当容器のさらなる他の実施形態を示す容器本体の平面図
図17】区画壁のバリエーションを示す容器本体の平面視概略図
図18】包装用容器の外形のバリエーションを示す平面視概略図
図19】嵌合構造の要部を示した斜視図
図20】同、容器本体の要部端面図
図21】同、蓋体の要部端面図
図22】同、容器本体に蓋体を閉蓋した状態を示す要部断面図
図23】嵌合構造の別の実施形態を示す容器本体の要部端面図
図24】同、蓋体の要部端面図
図25】嵌合構造のさらなる別の実施形態における閉蓋状態を示す要部断面図
図26】同、開蓋動作を示す説明図
図27】他の実施形態における開蓋動作を示す説明図
図28】嵌合構造のさらに別の実施形態における閉蓋状態を示す要部断面図
図29】嵌合構造のさらに別なる実施形態における閉蓋状態を示す要部断面図
図30】嵌合構造のさらに別なる実施形態における開蓋動作を示す説明図
図31】容器本体同士又は蓋体同士を積み上げた状態を示す説明図
図32】異なる嵌合構造を対比した説明図
図33】他の容器本体同士又は蓋体同士を積み上げた状態を示す説明図
図34】さらに他の容器本体同士又は蓋体同士を積み上げた状態を示す説明図
図35図1の弁当容器における開蓋試験の結果を示す図
図36】区画壁を有しない弁当容器における開蓋試験の結果を示す図
図37】区画壁を有する弁当容器の好ましい縦横比を示す図
図38】オードブル容器(円形)に係る実施形態を示す分解平面図
図39】同、容器本体の平面図
図40】同、容器本体の側面図
図41図31のB-B’線端面図、及びC-C’線端面図
図42】摘み部の構造を示す閉蓋した包装用容器の要部断面図
図43】同、要部斜視図
図44】同、蓋体の要部斜視図
図45】同、容器本体の要部斜視図
図46】中容器を備えるオードブル容器(円形)の分解斜視図
図47】同、容器本体及び中容器の要部拡大斜視図
図48】同、要部断面図
図49】中容器を備えるオードブル容器(円形)の他の実施形態を示す要部断面図
図50】同、さらなる他の実施形態を示す要部断面図
図51】中容器を備えるオードブル容器(楕円形)を示す要部断面図
図52】同、本体容器及び中容器の斜視図
図53】同、包装用容器の第二方向に沿う断面図
図54】同、包装用容器の一の使用態様における第一方向に沿う断面図
図55】同、包装用容器の他の一の使用態様における第一方向に沿う断面図
図56】同、2つの包装用容器を積み重ねた状態を示す図
図57】同、別態様の包装用容器の第一方向に沿う断面図
図58】同、別態様の包装用容器の第一方向に沿う断面図
図59】同、別態様の包装用容器の第一方向に沿う断面図
図60】同、別態様の包装用容器の第一方向に沿う断面図
図61】同、別態様の包装用容器の第一方向に沿う断面図
図62】同、別態様の包装用容器の第二方向に沿う断面図
図63】同、別態様の包装用容器の第二方向に沿う断面図
図64】同、別態様の包装用容器の分解斜視図
図65】同、別態様の包装用容器の平面図
図66】同、別態様の包装用容器の平面模式図
図67】同、別態様の包装用容器の平面模式図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1~7は、平面視において、単なる円形でも方形でもなく、円弧状部分と直線部分とを組み合わせたオードブル用の包装用容器に本発明を適用した実施形態を示したものである。この包装用容器にあっても、容器本体Bと蓋体Cとを備え、シート成形によって形成されることは従来の包装用容器と変わるところはないが、後述するように、本発明特有の特徴を有する。
【0023】
即ち、容器本体Bは、底面部B1と、該底面部B1から上方に立ち上がる本体周壁部B2と、該本体周壁部B2から外向きに延びる本体フランジ部B3と、該本体フランジ部B3の外周縁の全周には、下方に傾斜する傾斜フランジ部B4を介して、内向きに延びる本体逆テーパ部B5とを形成している。
【0024】
この容器本体Bは、図1における平面視において、左右を円弧状に形成すると共に、上下を直線状に形成した特殊な形状を呈している。つまり、本体フランジ部B3は、左右一対の本体円弧状フランジ部B3aと、上下一対の本体直線状フランジ部B3bとを含む。そして、各本体円弧状フランジ部B3aには180度で対向する位置に、本体摘み部B6を当該円弧状フランジ部B3aから外向きに突出している。
【0025】
なお、容器本体Bの内部は、底面部B1の中央に円形の収容凹部B7を設け、そこから放射状に5つの仕切り壁B8を設けて、収容凹部B7の外側を5つの収容部B9に区画している。さらに、各収容部B9は、図3に示すように、同心円弧状の畦部B10・B11を介して外側に向かって低位となるような三段構成としている。このような構成によって、様々な食品を規則的に収容するオードブル容器に適したものとしている。ただし、これは一例であって、内部については仕切り壁等を自由に形成し得る。
【0026】
これに対して蓋体Cは、円形状の天板部C1と、該天板部C1の周縁から下方に連続する蓋体周壁部C2と、該蓋体周壁部C2から外向きに延びる蓋体フランジ部C3と、該蓋体フランジ部C3の外周縁側に下方内向きに延びて、図4に示すように、前記本体逆テーパ部B4に外側から係合する蓋体逆テーパ部C4とを有し、さらに、図5に示すように、蓋体逆テーパ部C4の下側には傾斜部C5を設けて、蓋体逆テーパ部C4を本体逆テーパ部B4に係合する際、傾斜部C5が容器本体Bの傾斜フランジ部B4に案内されて、容易に閉蓋作業を行えるようにしている。
【0027】
この蓋体Cの外形は容器本体Bに対応しており、蓋体フランジ部C3は、本体円弧状フランジ部B3aに対応する蓋体円弧状フランジ部C3aが左右一対に形成され、本体直線状フランジ部B3bに対応する蓋体直線状フランジ部C3bが上下一対に形成されている。そして、蓋体円弧状フランジ部C3aには、閉蓋時に容器本体Bの本体摘み部B6の上面に重なる蓋体摘み部C6を一対形成しており、この重なり合う周辺領域を開蓋領域OAとしている。閉蓋時の開蓋領域OAにおいて蓋体摘み部C6は、その外縁が本体摘み部B6から突出しないものであり、これによって、蓋体摘み部C6が不用意に開蓋方向に操作されることを防止している。これに加えて、この実施形態では、図4に示したように、蓋体Cと容器本体Bとも、カットエンドC7・B12は水平方向に延びているが、蓋体CのカットエンドC7は容器本体BのカットエンドB12から突出しない長さとしており、これによって摘み部以外の部分においても、不用意な開蓋を防止している。
【0028】
他方、蓋体Cにおける蓋体逆テーパ部C4に関し、蓋体円弧状フランジ部C3aにはこれと同心円弧状に蓋体円弧状逆テーパ部C4aを形成すると共に、蓋体直線状フランジ部C3bにはこれと平行して蓋体直線状逆テーパ部C4bを形成している。
【0029】
さらに、蓋体円弧状逆テーパ部C4aは、図6に示すように、円弧長L1の第一蓋体円弧状逆テーパ部C4a1と、別の円弧長L2の第二蓋体円弧状逆テーパ部C4a2の二種類を含んでいる。ここで円弧長L1は円弧長L2よりも長く、且つ、これら二種類の円弧長L1・L2は何れも蓋体直線状逆テーパ部C4bの長さL3よりも長く設定している。つまり、長さが異なる複数種の蓋体逆テーパ部を断続的に形成する点、及び、それら蓋体逆テーパ部が円弧状逆テーパ部と直線状逆テーパ部とを組み合わせたものであるときは、蓋体円弧状逆テーパ部の円弧長を蓋体直線状逆テーパ部の長さよりも長く形成する点が本発明の特徴的構成の一つである。
【0030】
なお、蓋体逆テーパ部C4の各長さL1~L3は、大きければ大きいほど嵌合強度を高めることができるが、具体的にどのような数値とするかは、容器の形状や収容物等に応じて嵌合強度を調整する必要があることから、特定の数値に限定しない。
【0031】
そして、これら第一・第二の蓋体円弧状逆テーパ部C4a1・C4a2と蓋体直線状逆テーパ部C4bとは、蓋体フランジ部C3の外周縁側に間隔を空けて複数を断続的に形成しており、これも本発明の特徴的構成である。
【0032】
また、開蓋領域OAとの関係では、この実施形態では、当該領域OAの約半分の領域内に第二の蓋体円弧状逆テーパ部C4a2の一部が形成され、残る約半分の領域には蓋体逆テーパ部C4は形成されておらず、これも本発明が意図する特徴的構成の一つである。
【0033】
上記構成の包装用容器について、蓋体Cを容器本体Bに嵌合したところを正面視すると図7の状態となり、容器本体Bの本体逆テーパ部B4に蓋体Cの蓋体逆テーパ部C4の全てが係合することで閉蓋状態を維持する。蓋体逆テーパ部C4は、形状や長さが異なる複数の逆テーパ部C4a1・C4a2・C4bが断続的に形成されているため、それぞれの嵌合強度は大小するが、蓋体逆テーパ部C4は何れも本体逆テーパ部B4に対応した深さを有するため、容器全体としての嵌合強度は比較的大きい。また、この実施形態では、開蓋領域OAの一部に第二の蓋体円弧状逆テーパ部C4a2が存在すると共に、蓋体Cの蓋体摘み部C6や蓋体フランジ部C3のカットエンドC7は容器本体Bの本体摘み部B6やカットエンドB12よりも奥まって位置しているため、不用意な開蓋が行われることはない。
【0034】
一方、意図する開蓋では、蓋体摘み部C6を本体摘み部B6から相対的に離反する方向に操作することで、操作した蓋体摘み部C6から近い蓋体逆テーパ部C4から順に嵌合を解除することができる。特に、この実施形態では、開蓋の起点となる摘み部B6・C6を円弧状フランジ部B3a・C3aに設けているため、その頂部に摘み部B6・C6を離反させる力が最初に集中して、比較的弱い力で第二の蓋体円弧状逆テーパ部C4a2の嵌合解除を開始することができる。
【0035】
ところで、この実施形態では、蓋体Cのさらなる細部について、蓋体周壁部C2の4カ所には補強リブC8を設けている。この補強リブC8は、中心を内部に向かって湾曲状に窪ませた凹条部C8aとし、該凹条部C8aの両側は僅かに外部に突出する線状凸部C8bとすることで、単なる凸部や凹部による場合よりも耐荷重を高め、蓋体Cを容器本体Bに手で押さえつけて嵌合させる際の蓋体周壁部C2の撓みを防止すると共に、蓋体Cを容器本体Bから開蓋する際の蓋体周壁部C2の変形を抑止する効果がある。
【0036】
また、蓋体フランジ部C3には、図6・7に示したように、上方に突出する回転規制部C9を設けている。これは、蓋体C同士を積み重ねたときに、上下の蓋体Cで係合するもので、当該係合によって蓋体Cが周方向に回転することを規制するものである。特に、本実施形態では、蓋体円弧状フランジ部C3aの対向する二カ所に、この回転規制部C9を一対設けているため、より確実に蓋体Cの周方向回転を規制することができる。これは、蓋体Cを多数積み重ねて納品する際の安定性もあるが、上下で形状を合致させることが最も嵩が小さくなり、物流コストも低減することができるためで、蓋体Cが周方向の回転によって嵩高くならないようにするのに有効である。
【0037】
本発明は、上記実施形態に限定されず、平面視で円弧を含む曲線と直線を組み合わせた容器の全体形状も、図8に示すように、(A)半月形、(B)地紙形、(C)扇形、(D)船形、(E)槌形などに適用できることはもちろん、小判形、ひさご形、蛤形、団扇形、角丸長方形(トラック形)、凸レンズ形、紡錘形、砲弾形、鼓形などにも適用することができる。さらに、これら形状の図形を組み合わせた、さらなる複雑な形状の容器にも適用することができるものである。
【0038】
また、容器が円弧状部分(曲線部分)や直線部分を含むと含まざるとに関係なく、その他形状の容器についても、蓋体フランジ部の外周縁に沿った長さが異なる複数種の蓋体逆テーパ部を有して、これら複数種の蓋体逆テーパ部を前記蓋体フランジ部の外周縁側に断続的に形成する構成によって、本発明の目的を達成することができることがある。そこで、当該構成を採用し得るさらなる実施形態を以下に示す。
【0039】
図9図13は、長方形状の弁当容器を示し、図9に示したように、蓋体1と容器本体2はともに外形が平面視長方形状をなしている。
【0040】
蓋体1は、図10に示したように、天板1aと、この天板1aの周縁から下向きに傾斜して連続する蓋体壁1bと、この蓋体壁1bの下縁部から外側に向けて拡開する蓋体フランジ部1cとを有している。そして、蓋体フランジ部1dには容器本体1と嵌合する係合部1dが形成されているが、その詳細は後述する。
【0041】
天板1aは、図11に示したように、傾斜状の蓋体壁1bから一旦平面部1eが形成され、そこから一段高く形成されている。天板1aの角部は円弧状に丸み形状を有して、当該角部を補強している。
【0042】
蓋体壁1bには、各斜面の中央部に補強凹部1fを形成している。また、蓋体壁1bの四隅には蓋体フランジ部1dの角部を補強する突出線状部1gを形成している。さらに、蓋体壁1bの長辺側には、補強凹部1fと突出線状部1gの間に位置して、蓋体フランジ部1cに跨る突出補強リブ1hを形成している。一方、蓋体壁1bの短辺側には、補強凹部1fと突出線状部1gの間に位置して、蓋体フランジ部1cに跨る止め突起1iを形成し、蓋体1を積み重ねたときに、上側の蓋体1の蓋体フランジ部1cが当接し、所定高さで積層できるようにしている。
【0043】
蓋体フランジ部1cの四隅の角部は、この蓋体1を開蓋する際の摘み部1jとして、その開蓋領域の中心位置には当該摘み部1jを指し示す三角形状の案内凹部1kが形成され、前記開蓋領域の内側には、蓋体フランジ部1cよりも一段高く第二フランジ部1lを形成し、この第二フランジ部1lの案内凹部1kからの延長線上に三角形状の誘導凹部1mを形成し、この誘導凹部1mと案内凹部1kとによって、消費者が摘み部1jの存在を目視や触覚によって認識できるようにしている。
【0044】
蓋体1に対応する容器本体2は、図12に示すように、底面2aと、この底面2aの周囲から立ち上がる壁面2bと、この壁面2bに対して外側に向けた蓋体嵌合用フランジ部2cとを有する。そして、前記蓋体嵌合用フランジ部2cから延長して蓋体1の係合部1dが嵌合する係合部2dが形成されているが、その詳細は後述する。
【0045】
この容器本体2は、底面2aから立ち上がる区画壁2eを有している。この区画壁2eは、図13の斜線部で示すように、容器本体2の対角線に設けられている。また、区画壁2eの両端は略90度の角度で二股に分岐しており、それぞれの先端は外周の壁面2bに一体に接続している。このような区画壁2eによって、容器本体1には二つの大収容部2f・2gと、二つの小収容部2h・2iの合計4つの収容部を形成している。
【0046】
さらに、区画壁2eは、図14(A)に示すように、末広がりの山型に形成しており、これによって食品をその斜面に立て掛けるように収容することでボリューム感を引き立てるとともに、容器本体2の撓みを防止するのに有効な機能を有している。
【0047】
さらに、一方の大収容部2fには、容器本体2の外縁部に対して平行とならない斜めに複数本の連続隆起部2lが底面2aから隆起して形成されている。この連続隆起部2lは、区画壁2eの斜面に前述した食品を立て掛けて収容する際の堰き止めの機能を果たしており、同時に容器本体2の底面2aの強度を向上させるとともに、区画壁2eを補完して容器本体の撓みを防止する機能を有している。
【0048】
さらにまた、容器本体2の内部四隅の角部における壁面2bは、図14(B)にも示すように、階段状の段部2jを形成しており、これによって、大小の各収容部の強度を高め、区画壁2eを補完して容器本体2の撓みを防止する役目も果たす。
【0049】
また、蓋体嵌合用フランジ部2cの四隅の略三角形状の部分は、蓋体1の摘み部1jの受け片として開蓋領域2kとしている。
【0050】
なお、区画壁2eの形態、及び収容部の形態については、上記実施形態のものに限定されないのはもちろんであり、容器本体2に斜め(対角)に形成したり、交差部を有する区画壁とすることで、強固に嵌合する蓋体1を開放する際に生じる容器本体2の撓みをより軽減させることができる。つまり、図15に示すように、対角状に設ける区画壁2e’の一方端側のみを二股に分岐させて収容部を3つとする場合や、図16に示すように、短辺方向の第一方向と、長辺方向の第二方向とにそれぞれ沿う複数の区画壁2e"を2以上の交差部を有して変形的な格子状に形成する場合がこれに当たる。さらに例示すれば、対面の外縁部(壁面)まで延設する構造、角部を介して隣接する外縁部まで延設する構造を基本として、図17の(A)~(F)に示す形態を採用することもあり、収容する収容物(ごはんやおかず)の量や種類数、さらには意匠的な観点から、自由にレイアウトすることができる。
【0051】
さらに、包装用容器全体の外形についても、図18に示すように、(A)正方形型(少なくとも1つの角を丸めたものを含む)、(B)方形型(少なくとも1つの角を丸めたものを含む)、(C)対角する2つの角を切り取った四角形(少なくとも1つの角を切り取ったものを含む)、(D)五角形型、(E)六角形型、(F)八角形型など、何れの多角形状も採用することができる。また、楕円形型や円形型も本発明から排除するものではない。
【0052】
続いて、蓋体1と容器本体2の係合部1d・2dの嵌合構造についての実施形態を図19図24にしたがって説明する。図19は、包装用容器の縦切断端面を示した斜視図であって、円形の包装用容器の一部を示しているが、容器本体2の基本的構成は、上述した長方形状の包装用容器と同じく、収容物の収容部3と、この収容部3の底面4と、底面4の周囲に立ち上がる壁面5からなっている。本発明の重要な構成としては、壁面5から外側に向けて拡開するフランジ部6が形成され、フランジ部6の外周縁の全周から下向き環状に周壁部7が形成され、さらに周壁部7から外側に向けて蓋体嵌合用フランジ部8が形成され、アール部9を経て逆テーパ部10に連続し、さらに逆テーパ部10からは外側に向けて折り返し部11が形成されている。アール部9は、逆テーパ部10を形成するために必要な構成であるので、アールの曲率については特に限定するものではない。また、蓋体嵌合用フランジ部8に対して逆テーパ部10が出現することが重要であるから、具体的にはアールではなく、角張った構成でもよい。このように、本発明におけるアール部とは、蓋体嵌合用フランジ部8から逆テーパ部が連続するための要素を示すものとする。
【0053】
なお、本実施形態に示したフランジ部6と、周壁部7については、容器本体2に対する内容物によっては省略することがある。つまり、壁面5から直接蓋体嵌合用フランジ部8が接続する構成も本発明に含まれる。
【0054】
次に蓋体1の構成について説明する。蓋体1は、基本的には天板21と、この天板21の周縁から下向きに連続する蓋体壁22によって構成されている。そして、重要な構成としては、蓋体壁22の下縁部23から外側に向けて蓋体フランジ部24が拡開し、蓋体フランジ部24の外周からは容器本体2のアール部9に対応して蓋体アール部25が設けられ、蓋体アール部25からは蓋体逆テーパ部26が延長し、さらに折り返し面27に連続している。なお、蓋体アール部25のアール形状は容器本体のアール部9にほぼ一致することが好ましいが、容器本体2と蓋体1を確実に嵌合できるものであれば、完全に一致する必要はない。
【0055】
図20は容器本体2の係合部分のみを示した一部断面図であり、図21は蓋体1の一部断面図であり、図22は容器本体2に蓋体1を係合させた状態を示した一部断面図である。ここで、容器本体2と蓋体1の係合状態は、容器本体のアール部9のアール形状と蓋体アール部25のアール形状が一致した状態を示しているが、前記したように必ずしも完全に一致する必要はない。この状態において重要な構成は、容器本体2の逆テーパ部10に対して蓋体逆テーパ部26が係合することによって、両者が密に係合することであり、この意味では容器本体の逆テーパ部10の長さや蓋体逆テーパ部26の長さは厳密に限定する必要はない。なお、図22に示したように、蓋体1に形成した折り返し面27のカットエンド28が容器本体2に形成された折り返し部11を超えないようにすることによって、蓋体1の下端周縁部(カットエンド28)に人の手指が不用意に当たって蓋体が開蓋をすることを防止することが可能である。
【0056】
なお、本実施形態の説明では容器本体2に形成されるアール部9、及びこれに連続する逆テーパ部10と、蓋体1に形成される蓋体アール部25、及び蓋体逆テーパ部26は容器本体2、及び蓋体1の全周に形成されることを前提として説明しているが、必要なことはこれらの構成によって容器本体2と蓋体1が密に係合することであるから、それぞれを外周のうち対応する位置に間欠的に設けることや、一方には全周に、他方には外周に対して間欠的に形成することも本発明が意図している構成である。
【0057】
次に、容器本体2と蓋体1の係合部のさらなる実施形態について図23、及び図24を示しながら説明するが、先の実施形態と同一番号を附した部分は同じ箇所を示す。構成として先の実施形態と異なるところは、容器本体2の折り返し部11は逆テーパ部10の下端から垂直に立ち下がった垂直折り返し部11aと、水平折り返し部11bによって構成されているところであるが、基本的な機能は先の実施形態と変わるところはない。ここで、容器本体2の逆テーパ部10と、蓋体逆テーパ部26のアンダーカット深さDは0.5~4.0mmに設定し、それぞれの逆テーパ部10・26は垂直に対して30~90度に設定する。なお、ここで90度はほぼ折り返しに相当するが、折り返し部分が完全に隙間なく重畳するのではなく、隙間が存在する程度の状態とすることが好ましい。したがって、正確には90度未満である。このように、アンダーカットを深くするためにはシート成形に用いる金型にスライドコアを用いる。深さDを0.5mmよりも浅くすれば従来の課題と同様に蓋体が外れやすく、一方4.0mmよりも深くなりすぎると開蓋時に余分な力を加える必要があるため、本実施例では深さDをこのように設定している。深さDについては、逆テーパ部10の深さと蓋体逆テーパ部26の深さを完全に一致させてもよいが、蓋体逆テーパ部26の深さを十分に深くすることによって、逆テーパ部10よりも延長長さにおいて相対的に短く、すなわち幾分浅くてもよい。また、テーパ部角度については、30度よりも小さい場合には深さDを深くするためには逆テーパ部10が高くなりすぎて、容器本体のスタック性が悪くなり、搬送時の搬送箱への収容数を多くすることができない。よって、角度は30度を超える角度に設定している。
【0058】
次に、図25・26は、嵌合構造のさらに別の実施形態を示すものであって、上記実施形態と異なるところは、容器本体2と蓋体1の双方について、そのアール部9と蓋体アール部25の全部を垂直平面部9’と25’に変更しているところである。
【0059】
このように、蓋体1における蓋体フランジ部24と蓋体逆テーパ部26の間と、容器本体2における蓋体嵌合用フランジ部8と逆テーパ部10との間の部分に、垂直平面部9’・25’それぞれを形成することで、図26に示すように、蓋体1が容器本体2に嵌合した状態から完全に離脱するまで継続して、蓋体逆テーパ部10が逆テーパ部9との面接触を維持する。よって、この場合、嵌合強度が高い。
【0060】
これに対して、垂直平面部9’・25’をアール部9・25とした上記実施形態では、途中までは蓋体逆テーパ部26が逆テーパ部10に面接触しているが、最終段階では、図27に示すように、蓋体逆テーパ部26が容器本体2のアール部9(の下側)と点接触となるため、図25・26に示した垂直平面部9’・25’としたものよりも嵌合強度が低くなる。
【0061】
なお、上述したアール部9は半円弧状であり、それ単独で蓋体嵌合用フランジ部8と逆テーパ部10とを接続する構成であるが、図28に示すように、この部分を蓋体嵌合用フランジ部8側の上側のみ上四半円弧状部9aとして、ここから垂直平面部9’を介して逆テーパ部10と連続するように構成すれば、容器本体2における蓋体嵌合用フランジ部8と逆テーパ部10との間にアール部を一部に含んでいても、蓋体1が容器本体2に嵌合した状態から完全に離脱するまで継続して、蓋体逆テーパ部10が逆テーパ部9との面接触を維持するから、図25のものと同様の嵌合強度を得ることができる。逆に、図29に示すように、容器本体2の逆テーパ部10側の下側のみを下四半円弧状部9bとしたものや、図30に示すように、逆テーパ部状の面取り部9cとした場合は、蓋体嵌合用フランジ部8と逆テーパ部10の間に垂直平面部9’が介在したとしても、嵌合解除(開蓋)の最終段階で蓋体逆テーパ部26が下四半円弧状部9bと点接触となるため、半円弧状のアール部9と同等の嵌合強度となる。
【0062】
一方、製造直後の蓋体1と容器本体2は、蓋体1同士、容器本体2同士を積み重ねて保管・搬送等するが、上記半円弧状のアール部9・25を構成するものは、図31に示すように、このアール部9・25と点接触になり、摩擦抵抗が小さく、積み重ねた状態での安定性が悪い。
【0063】
これと、アール部9・25の全部を垂直平面部9’・25’に変更した場合を比較すると、図32に示すように、アール部9・25が介在する分、蓋体嵌合用フランジ部8と蓋体フランジ部24のそれぞれの有効長L1・L2がL1<L2となるため、嵌合の観点以外に、積み重ねの観点からも、アール部9・25の全部を垂直平面部9’・25’に変更したほうが有利である。
【0064】
こうしたことは、閉蓋のための嵌合前に、蓋体1を容器本体2に被せただけの仮置きの状態における安定性にも共通していえる。つまり、逆テーパ部10や蓋体逆テーパ部26から、図23・24に示したような、折り返し部11や折り返し面27を延長して形成した容器本体2と蓋体1では、図33に示すように、容器本体2の蓋体嵌合用フランジ8と垂直平面部9’との間に、蓋体1の折り返し面27と傾斜角度を同じくする平面状の傾斜面9dを形成することで、蓋体1の折り返し面27が容器本体2の傾斜面9dに面接触するため、蓋体1を容器本体2に被せた仮置きの状態が安定する。
【0065】
これに対して、上記傾斜面がアール形状の傾斜面9eである場合は、図34に示すように、この傾斜面9eに対して蓋体1の折り返し面27が点接触となり、仮置き時の安定性に欠けることがある。
【0066】
ここまで、容器本体2に区画壁2eによって2以上の収容部を設けた包装用容器と、この容器本体2に対する蓋体1の嵌合構造についての構成を詳述したが、当該構成を採用した本発明の包装用容器について、その開蓋時における収容物の移動(暴れ)試験結果を図35に示す。当該試験は、図9に示した包装用容器について、その縦(D)・横(W)比が異なるサンプル容器を5種類用意し、それぞれに同じ重さの食品を収容したうえで、各サンプルについて5回ずつ開蓋作業を行い、その1回でも収容物である食品の確かな暴れを目視できたかどうかを判定した。これに対して、図36は、区画壁のない包装用容器について、同様の試験を行ったうえで、その結果を示したものである。
【0067】
これらの結果に示すように、区画壁のない包装用容器では、そのほとんどのサンプルで、ほぼ毎回のように、収容物の暴れを目視できたのに対して、本発明に係る包装用容器では、逆に、ほとんど収容物の暴れを目視することができなかった。よって、本発明の区画壁のある包装用容器は、区画壁によって容器本体2が補強され、嵌合する蓋体1の開蓋時に収容物が移動するような撓みや捻りを防止していることを確認した。
【0068】
図37は、上記試験結果に準じて、区画壁のある包装用容器の縦(D)・横(W)比が異なる複数のサンプルについて、区画壁がない包装用容器との比較で、容器本体(その底面を含む)の撓みを低減できる比率を示したものである。同図(B)の1:1.9を除く(A)の範囲で顕著な効果を奏したことから、縦横比が1:1.2~1:1.7の範囲内の区画壁がある包装用容器とすることが好適である。
【0069】
なお、詳細な試験結果を省略するが、外形が環状の包装用容器についても、容器本体に区画壁を形成したものは、同様に、収容物の暴れを目視することができなかった。よって、区画壁がある包装用容器は、方形以外、環状の外形であっても、区画壁がない円形状の包装用容器に比べて、蓋体の開蓋時における容器本体(主として本体底面)の捻れや撓みを低減することができた。
【0070】
このような環状の外形を有する包装用容器の具体例としては、図38に示す円形のオードブル容器がある。このオードブル容器についても、容器本体100と蓋体200を備えており、外形が円形である以外、それぞれの基本的な構成は先の方形状包装容器に係る実施形態と変わるところはない。
【0071】
つまり、このオードブル容器においても、容器本体100は、底面101と、この底面101の周囲から立ち上がる壁面と102と、この壁面102に対して外側に向けた蓋体嵌合用フランジ部103とを有して、この蓋体嵌合用フランジ部103には上述した嵌合構造の係合部104を設けている。
【0072】
また、蓋体200の基本構成も、天板201と、この天板201の周縁から下向きに連続する蓋体壁202と、この蓋体壁202の下縁部から外側に向けて拡開する蓋体フランジ部203とを有して、蓋体フランジ部203に、容器本体100の上記係合部104に対して係合する係合部204を設けている。
【0073】
なお、係合部104・204は、蓋体嵌合用フランジ部103からアール部を介して逆テーパ部に連続するものを採用することができるが、アール部の代わりに垂直平面部を介して逆テーパ部に連続するものを採用することが、より強い嵌合を実現できることから好ましい。このオードブル容器においても重要なことは、容器本体100と蓋体200とで逆テーパ部の深さを対応させることで、確実な係合を実現することである。
【0074】
もう一つの重要な構成は、容器本体100は、図39に示すように、その内部に収容物を収容する複数の収容部を区画する複数の区画壁を有することである。この実施形態における区画壁は、容器底面101から立ち上がるとともに壁面102に当接し、且つ、容器本体100の外縁部から中央部側に向けて形成された線状区画壁105である。
【0075】
さらに、本実施形態では、容器本体100の中央部に環状区画壁106をさらに設け、この環状区画壁106と容器本体100の外縁部(壁面102)との間のドーナツ状の環状領域に、5本の線状区画壁105を等間隔に放射状に設けて区画壁を構成している。当該構成により、この容器本体100では、中央の円形の収容部107が一つと、その回りに5つの扇状の収容部108とで、合計6種類の惣菜等の食品を収容する収容部を形成している。また、これらの収容部側は、アルミ蒸着フィルムシートで形成している。ただし、環状区画壁106については省略し、線状区画壁105のみで収容部を区画してもよい。この場合、線状区画壁105が3本以上あるものについては、収容部を区画するのであるから、それぞれの先端を接続することはもちろんである。
【0076】
なお、図38・39中の符号109と205は、開蓋の際に使用する摘み部であるが、その詳細は別途詳述する。
【0077】
そして、容器本体100の底面101は、図40に示すように、外縁部から中央部に向かって高くなるように傾斜しており、これによってボリューム感と食品の見えやすさを確保している。
【0078】
また、線状区画壁105についても、図40に示したように、底面101の傾斜に沿うように、容器本体100の外縁部から中央部側に向かって傾斜角が内方に向かって湾曲する中央部側内向湾曲形状を有する。
【0079】
このような区画壁の構成によって、本オードブル容器においても、容器本体100が補強され、嵌合する蓋体200の開蓋時に収容物が移動するような撓みや捻りを防止するのであるが、本実施形態ではさらに、線状区画壁105は、図41に示すように、底面101に向かって末広がりの略山型としている。より詳しくは、左右の斜面を二段斜面105aに形成し、頂部の中央は底面101側に窪む凹条部105bとしている。なお、この形状は、容器本体100の中央部から外縁部に向けて徐々に変化しており、中央部寄りでは凹状部105bが浅いのに対して、外縁部寄りでは凹状部105bが深くなり、且つ、外縁部寄りでは二段斜面105aと頂部の間に緩斜面105cを形成している。これによって、容器本体100の外縁部側の耐捻れ強度が増し、嵌合を解除(開蓋)する際に容器本体100の捻れや撓みをより軽減することができる。
【0080】
なお、本実施形態のオードブル容器のように円形の包装用容器では、方形の包装用容器のように、外縁部に角部が存在しないため、開蓋の指示部を明示することが好ましい。明確な開蓋指示部がない場合、消費者はオードブル容器の中央を無理に押さえながら開蓋することが予想され、そうすると容器本体100の中央部が押し下げられ、逆に、外縁部は浮き上がるように変形し、蓋体200の嵌合が解除された途端、元の形状に復元する弾みで、容器本体100の収容物が飛び出るおそれがあるからである。
【0081】
そこで、本実施形態では、上述のように、容器本体100と蓋体200の双方外縁部に開蓋始点となる摘み部109・205を設けている。なお、摘み部109・205に何かが引っ掛かって、不用意に開蓋されてしまったり、商品を床に落とすという事故が発生するおそれがあるので、こうした問題をも解決する観点から、以下、摘み部109・205の構成を詳述する。
【0082】
なお、オードブル容器における摘み部109・205は、弁当容器における摘み部1j・2kとしても共通して採用できるものであるから、以下の実施形態では、あらたな符号を付して説明する。
【0083】
図42は、本発明の摘み部を採用した包装用容器の容器本体301に対して蓋体302を閉蓋した状態を示す要部断面図であり、容器本体301と蓋体302は外嵌合によって閉蓋される。容器本体301の外周部303には円周状にフランジ面304が形成されており、このフランジ面304からほぼ垂直方向には周壁305が立ち下がっている。なお、306は周壁305の途中に内向き環状に形成された嵌合受け面である。そして、周壁305の下面の一部からは円弧状のつなぎ部307を介して受け片308が膨出している。さらに、受け片308の先端側に見られる突状部309は、受け片308における容器本体301の外周を除いた周囲を囲むように形成されている。一方、蓋体302にも容器本体301のフランジ面304に対応したフランジ部310が形成され、このフランジ部310から下向きの壁面311に環状の嵌合凸部312が形成され、容器本体301の嵌合受け面306に対して蓋体302の嵌合凸部312が外嵌合をする構成としている。313は蓋体302の外周の一部から外側に向かって膨出した摘み部であり、閉蓋時には容器本体301の受け片308の突状部309の内側に収容されるようにしている。314は適宜摘み部313の表面に設けられる多数の細かい凹凸である。なお、突状部309の高さは、摘み部313の厚さよりも高いように設定している。このようにすると、摘み部313は突状部309より飛び出ることはなく、不用意に指などが引っかかることはない。
【0084】
図43は閉蓋時に容器本体301に形成された受け面307に対して蓋体302に形成された摘み部313が収容された状態を示しており、図42と同じ番号は同じ箇所を示している。また、図44・45は容器本体301と蓋体302それぞれを単独で示したものである。なお、本実施形態では容器全体の形状を平面視において円形としているが、容器全体の形状は円形に限らず矩形や楕円形、あるいは六角形や八角形などの多角形などであっても本発明に影響を与えるものではない。
【0085】
このように構成された包装用容器において、閉蓋を行う場合には、容器本体301に対して蓋体302を、容器本体301の受け片308に蓋体302の摘み部313が対応するような回転位置とし、通常の外嵌合容器と同様に閉蓋を行う。そして、いったん閉蓋をした後は摘み部313が受け片308の周囲に形成された突状部309よりも低い位置に収容されるので、なんら力を加えていない場合には摘み部313が指などにひっかかることはない。次に、開蓋する場合には、まず容器本体301の受け片308の一部、好ましくは突状部309の先端に下向きの力を加えると、受け片308はつなぎ部307を介して容易に下向きに折れ曲がる方向に変形する。そうすると、この変形によって蓋体302の摘み部313が受け片308から相対的に離脱することになり、指で摘み部313を挟むことができる。次に、一方の手の指で摘み部313を確保するとともに、他方の手の指で受け片308を確保し、相互に開蓋方向に引き離せば容易に開蓋を行うことができる。
【0086】
本実施形態では、容器本体301と蓋体302は外嵌合によって閉蓋をする構成について説明したが、嵌合構造については、弁当容器やオードブル容器について既に説明した嵌合構造を採用する。また、容器本体301に形成された受け片308は、変形を容易にするためにつなぎ部307を介して成形しているが、受け片308が小さい力で下向きに変形できるのであれば、つなぎ部307を省略することもある。また、本発明において必須の構成は、摘み部313が受け片308の外周からはみ出さないことであるから、摘み部313の外形と受け片308の外形を相似的に一致させる必要はなく、突状部309についても必要に応じて省略することもある。さらに、本実施形態は摘み部を蓋体に形成し、受け片を容器本体に形成した場合について説明したが、逆に摘み部を容器本体に、受け片を蓋体に形成することも本発明の範囲に含まれる。
【0087】
なお、摘み部313と受け片308には、適宜多数の細かい凹凸を設けるものとしているが、これは摘み部313と受け片308の間に水滴などが入り込んだ場合に水滴によって双方がぴったりと張り付くことを避けることを目的の一つとしているが、例えば摘み部313と受け片308の間に隙間を形成するように成形すれば凹凸を省略してもよい。ただし、指で摘んだ場合の滑り止めを期待する場合には凹凸を設けることが好ましい凹凸の形状については特に限定しないが、例えばローレット状、ドット状、多数の縞状など、滑り止めの機能を発揮できる形状であればよい。
【0088】
ところで、図43および図45で示されるように、本実施形態では突状部309の両終端受け片308まで徐々に下向き傾斜して連続している。このように構成した場合には、閉蓋作業時に容器本体301と蓋体302の位置がずれたときでも相互に回転させて摘み部313を受け片308の正確な位置に調整する際に下向き傾斜が存在するためにスムーズに回転させることができる。逆にいえば、いったん位置合わせが行えた後は摘み部313が突状部309の内壁で規制されるため、回転方向の力が働いた場合でも不用意に回転することはない。ただし、これらの関係は、容器本体301と蓋体302の嵌合部が回転方向においてどのような角度でも嵌合するような円形などの場合に機能するものである。
【0089】
ここまで、嵌合構造と区画壁とが一体不可分である包装用容器に係る実施形態について説明し、その効果として、開蓋時における容器本体の捻れや撓みが少なくなることを詳述したが、区画壁と同様の作用効果を奏するものとして、区画壁の有無にかかわらず、容器本体に中容器を備えた、あらたな包装用容器に係るいくつの実施形態を以下説明する。なお、嵌合構造については、既に詳細に説明したものを採用するものとする。
【0090】
〔中容器を備える包装用容器の第一実施形態〕
中容器を備える、あらたな包装用容器400の一つの実施形態は、図46に示すように、容器本体403と、容器本体403に係合する状態で当該容器本体403に載置される中容器405と、容器本体403と中容器405とを覆う蓋体407とを備えている。
【0091】
容器本体403は、容器底面32と、容器底面32の外縁から立設された容器壁面31とを有している。容器底面32と容器壁面31とにより囲まれた空間に、収容物を収容する収容部36が形成されている。収容部36は、収容物として、例えば、食品等を収容する。本実施形態では、調理済みの食品(以下、料理と言う)が、収容物として収容部36に収容される。以下では、少なくとも2種以上の料理が収容されるオードブル用の包装用容器400を例に説明する。図46に示す例では、包装用容器400は、平面視で円形状に形成されている。
【0092】
図46に示すように、容器本体403は、収容物を収容する収容部36を複数に区画する区画壁33を有している。本実施形態では、収容部36は、第一収容空間36Aと第二収容空間36Bとを有している。これら第一収容空間36Aと第二収容空間36Bとは、区画壁33によって区画されている。
【0093】
区画壁33は、容器底面32から立設されている。図46に示す例では、区画壁33は、環状に形成されて容器本体403の中央部側に設けられる環状区画壁34を含んでいる。ここでは、区画壁33は、上面が径方向に幅を有する環状に形成されている。本実施形態では、区画壁33は、環状区画壁34に加えて、環状区画壁34から放射線状に延びる複数の線状区画壁35を含んでいる。図46に示す例では、区画壁33は、1つの環状区画壁34と、5つの線状区画壁35とを含んで構成されている。但し、環状区画壁34は1つに限らず、同心円状に複数形成されていても良い。また、環状区画壁34は、容器本体403の内方を向く環状内周壁34Bと、容器本体403の外方を向くと共に環状内周壁34Bを外方から覆う環状外周壁34Aと、環状内周壁34Bの上端部と環状外周壁34Aの上端部とを連結する環状天井部34Dとを有している。環状天井部34Dは、環状外周壁34Aとの境界部分に、区画壁外縁部34D1を有している。本実施形態では、区画壁外縁部34D1が、「環状区画壁の外縁」に相当する。なお、以下では、容器本体403の外縁部から中央部側に向かう方向を「内方」又は「内側」とし、反対に、中央部側から外縁部側に向かう方向を「外方」又は「外側」として説明する。
【0094】
第二収容空間36Bは、容器本体403の中央部側に設けられている。第二収容空間36Bは、容器底面32のうち容器本体403の中央部側に設けられた容器側第二底部32Bと、環状内周壁34Bとにより囲まれた空間によって構成されている。なお、前述のように、環状区画壁34が複数形成される場合には、第二収容空間36Bも複数設けられる。
【0095】
第一収容空間36Aは、第二収容空間36Bの周囲に設けられている。図46に示す例では、1つの第二収容空間36Bの周囲に、5つの第一収容空間36Aが設けられている。第一収容空間36Aは、容器底面32のうち容器側第二底部32Bの周囲に設けられた容器側第一底部32Aと、環状外周壁34Aと、複数の線状区画壁35(本例では2つ)と、容器壁面31とにより囲まれた空間によって構成されている。
【0096】
第一収容空間36A及び第二収容空間36Bに、同一の又は異なる種類の料理が収容されることで、食卓を豪華に飾ることができる。このような包装用容器400は、例えば、多人数で会食を行う場合に適している。
【0097】
図46及び図47に示すように、中容器405は、容器本体403に載置される。本実施形態では、中容器405は、区画壁外縁部34D1よりも内側に収まる状態で当該環状区画壁34に載置されている。図46に示すように、中容器405は、係合部53Bを有し、容器本体403は、係合部53Bと係合する被係合部34Cを有している。
【0098】
図46及び図48に示すように、被係合部34Cは、環状区画壁34の上側に形成されている。本実施形態では、被係合部34Cは、環状天井部34Dが形成される領域の一部に形成されており、より具体的には、環状天井部34Dにおける内側部分に形成されている(図48等参照)。図48に示す例では、被係合部34Cは、内方に向かうに従って下方に緩やかに傾斜する緩テーパ部34C1と、当該緩テーパ部34C1の内側端部から外方に折り返されて外方に向かうに従って下方に傾斜する被係合テーパ部34C4と、当該被係合テーパ部34C4に連続して形成されると共に外方に窪む被係合窪み部34C5とを有している。
【0099】
本実施形態では、係合部53Bと被係合部34Cとの係合が、内嵌合である。図46及び図48に示すように、係合部53Bの下端が、上方から、被係合部34Cの緩テーパ部34C1によって被係合テーパ部34C4に案内され、その後、被係合窪み部34C5に係止する。係合部53Bの下端が被係合窪み部34C5に係止した状態で、被係合テーパ部34C4及び被係合窪み部34C5は、係合部53Bの下端を内方に押圧して当該係合部53Bの抜け止めとして機能する。このようにして、係合部53Bと被係合部34Cとが内嵌合する。これにより、係合部53Bと被係合部34Cとを強固に嵌合することができる。そして、係合部53B(被係合部34C)の内側の空間である第二収容空間36Bの密閉性を高くでき、例えば、水分の多い食品を収容物として第二収容空間36Bに収容する場合には、汁漏れを抑制することができる。
【0100】
中容器405は、容器本体403の第二収容空間36Bを上方から覆うと共に、容器本体403に載置される。図46及び図47に示すように、中容器405は、収容物を収容する凹状の収容空間57を形成する内周壁52及び底部51を有している。図48に示す例では、収容空間57は、中容器405が容器本体403に載置された状態で、第二収容空間36Bの上方に配置される上方収容空間57として構成されている。本実施形態では、中容器405は透明である。これにより、中容器405が容器本体403に載置された状態で、上方収容空間57の下方に配置される第二収容空間36Bを外部から視認することができる。例えば、第二収容空間36Bに料理(食品)が収容されている場合には、この料理を外部から視認することができ、需要者に視覚的な満足感を与えることができる。よって、店頭では消費者の購買意欲を惹起し、家庭では食卓を見栄え良くすることができる。
【0101】
図48に示すように、中容器405は、開口部54と、開口部54の周囲を囲む開口縁部54Aとを有している。開口部54は、上方収容空間57に連続して形成されている。収容物は、開口部54を介して上方収容空間57に収容される。図46に示す例では、開口部54及び開口縁部54Aは、平面視で円形状に形成されている。これにより、中容器405の周囲のいずれの方向からでも、上方収容空間57に収容物を収容することが容易となる。また、中容器405の周囲のいずれの方向からでも、上方収容空間57に収容された収容物を容易に取り出すことができ、例えば、多人数で会食を行う場合などに適している。
【0102】
図48に示すように、中容器405は、内周壁52を取り囲む外周壁53を有している。本実施形態では、内周壁52は、内方を向くように構成されている。そして、外周壁53は、外方を向くように構成されている。内周壁52と外周壁53とは、中容器405の上端に形成された頂部56によって互いに連結されている。内周壁52は頂部56の内方に配置され、外周壁53は頂部56の外方に配置されている。図47に示す例では、内周壁52及び外周壁53は、平面視で円形状に形成されている。
【0103】
図48に示す例では、外周壁53が、下方に向かって外側に広がるテーパ部状に形成されている。本実施形態では、外周壁53は、下方に向かって外側に広がる長テーパ部53Aを有している。また、内周壁52が、下方に向かって内側に広がるテーパ部状に形成されている。本実施形態では、内周壁52は、長テーパ部53Aよりも短く形成されると共に下方に向かって内側に広がる短テーパ部52Aを有している。これらにより、外周壁53及び内周壁52に対して上方から外力が作用した場合の中容器405の保形性を向上させることができる。
【0104】
図48に示す例では、内周壁52は、内周壁52の基端において短テーパ部52Aに連続して形成された内周基端凹部52Bを有している。本実施形態では、内周基端凹部52Bは、下方に向けて凹んだ形状に形成されている。内周基端凹部52Bは、内周壁52に沿って環状に連続するように形成されている。これにより、内周壁52の基端部の強度を向上させることができる。また、例えば、上方収容空間57に、水分を含む食品を収容する場合には、食品から染み出た水分を内周基端凹部52Bに流すことができ、食品が水分に浸ることを抑制できる。その結果、上方収容空間57に収容された食品の食感や風味が損なわれることを抑制することができる。
【0105】
図46図48等に示すように、中容器405における容器本体43との係合部53Bが、外周壁53に形成されている。本実施形態では、係合部53Bが、外周壁53の全周に亘って形成されている。また、係合部53Bは、外周壁53の下端部に形成されている。図48に示す例では、係合部53Bは、長テーパ部53Aの下方に連続して形成されている。そして、係合部53Bは、長テーパ部53Aの基端から下方及び外方に膨出する係合膨出部53B3と、係合膨出部53B3に連続して形成されると共に上方に向かうに従って内方に狭まる係合テーパ部53B4と、係合テーパ部53B4から外方に折り返されて外方に延びる外フランジ部53B5とを有している。
【0106】
本実施形態では、係合膨出部53B3が、上方から、被係合部34Cの緩テーパ部34C1によって被係合テーパ部34C4に案内され、その後、被係合窪み部34C5に係止する。係合膨出部53B3が被係合窪み部34C5に係止した状態で、係合膨出部53B3は、被係合テーパ部34C4及び被係合窪み部34C5によって内方に押圧される。そして、係合テーパ部53B4が、被係合テーパ部34C4に当接すると共に係合膨出部53B3の抜け止めとして機能する。よって、係合部53Bと被係合部34Cとを、より強固に嵌合させることができる。このように、中容器を収容可能な容器において、本実施形態では、中容器は、その外縁部が容器本体内部における区画壁となって収容部を区画すると共に、容器本体底部の補強効果の機能を補完する。したがって、比較的強く嵌合する蓋体を開蓋する際の容器本体(底面)の捻れや撓みを低減して、収容物の暴れを防止することができる。
【0107】
図48に示す例では、底部51が、係合部53Bよりも上方に配置されている。本実施形態では、底部51は、中容器405における内周壁52に連続して形成されており、係合部53Bは、中容器405における外周壁53に連続して形成されている。より具体的には、底部51は、内周壁52における短テーパ部52Aの基端側に形成されており、係合部53Bは、短テーパ部52Aよりも長く形成された外周壁53における長テーパ部53Aの基端側に形成されている。従って、中容器405は、底部51が係合部53Bよりも上方に位置する底上げ形状となっている。これにより、底部51の下方に配置された第二収容空間36Bの収容スペースを広くすることができる。また、例えば、第二収容空間36Bに料理が収容されている場合には、当該料理が底部51の下面に付着するのを抑制することができる。従って、底部51の下面の汚れ抑制にもなる。
【0108】
本実施形態では、中容器405と容器本体403とが係合した状態で、係合部53Bと被係合部34Cとが上下方向に重複する部分を有するように設けられている。図48に示す例では、上下方向の重複長さL2の範囲内で、係合部53Bと被係合部34Cとが重複している。なお、本実施形態では、重複長さL2は、被係合部34Cの上下方向の長さに設定されている。より具体的には、重複長さL2は、被係合部34Cにおける、緩テーパ部34C1の上端から被係合窪み部34C5の下端までの上下方向の長さに設定されている。
【0109】
図46に示すように、蓋体407は、中容器405が容器本体403に載置された状態で、これら中容器405及び容器本体403を覆う。蓋体407は、中容器405及び容器本体403を上方から覆う蓋体天板72と、蓋体天板72の外縁から下方に突出して形成されると共に、中容器405及び容器本体403を外方から覆う蓋体壁71と、蓋体壁71の下端に形成されて容器本体403の外周被係合部37と係合する外周係合部73とを有している。蓋体407の形状は、容器本体403の形状に合わせて適宜変更することができる。本実施形態では、蓋体407は、平面視で円形状に形成されている。これにより、平面視で円形状に形成されている容器本体403に対して係合可能となっている。なお、蓋体407の形状は、中容器405の形状に左右されるものではない。
【0110】
図46に示す例では、蓋体407は、蓋体天板72から上方に突出するズレ抑止部72Aを有している。また、図46に示すように、本実施形態では、容器本体403の容器側第二底部32Bは、この周囲に配置された複数の容器側第一底部32Aよりも上方に配置されている。従って、容器底面32は、全体的に、中央部側が上方に凹んだ形状となっている。例えば、蓋体407が容器本体403に装着された状態で、複数の包装用容器400が段積みされる場合には、上方に位置する包装用容器400の容器本体403が、下方に位置する包装用容器400の蓋体407に載置される。このとき、蓋体407のズレ抑止部72Aが、これよりも上方に位置する容器底面32に嵌まり込む。これにより、上下方向に段積みされた複数の包装用容器400の水平方向のズレを抑制することができ、複数の包装用容器400を安定性良く段積みすることができる。
【0111】
ここで、包装用容器400単体で見た場合に、容器本体403に対して中容器405が適切に係合していない場合や、適切に係合している状態であっても何らかの外力を受けた場合には、中容器405が容器本体403から外れることがある。蓋体407が容器本体403に装着された状態で、中容器405が容器本体403から外れると、上方収容空間57又はその下方の第二収容空間36Bから料理(収容物)が飛び出して、複数の収容部36の間で異なる種類の料理が混ざることがある。このような事態は、蓋体407が容器本体403に装着された状態で、中容器405が容器本体403に対して上方に移動して、係合部53Bが被係合部34Cを乗り越えることにより生じる。
【0112】
そこで本実施形態では、図48に示すように、蓋体407が容器本体403に装着された状態での中容器405の上端である頂部56と蓋体407の内面72Fとの間の上下方向の隙間L1が、係合部53Bと被係合部34Cとの上下方向の重複長さL2よりも小さく設定されている。なお、本例では、内面72Fは、蓋体天板72の下面である。
【0113】
このような構成によれば、蓋体407が容器本体403に装着された状態で中容器405が容器本体403に対して上方に移動した場合であっても、係合部53Bが被係合部34Cを完全に乗り越える(外れる)前に中容器405の頂部56が蓋体407の内面72Fに接触する。そのため、係合部53Bと被係合部34Cとが上下方向で重複した状態を常に維持することができ、蓋体407が容器本体403に装着された状態で中容器405が容器本体403から外れることを抑制できる。
【0114】
更に、本実施形態では、係合部53Bと被係合部34Cとの重複長さL2のうち、被係合テーパ部34C4の上端部から被係合窪み部34C5の下端部までの上下方向の長さが第二重複長さL2aに設定されている。そして、図48に示すように、隙間L1が、第二重複長さL2aよりも小さく設定されている。これにより、蓋体407が容器本体403に装着された状態で中容器405が容器本体403に対して上方に移動した場合であっても、係合部53Bの係合膨出部53B3が被係合部34Cの被係合窪み部34C5から外れることがない。従って、蓋体407が容器本体403に装着された状態で中容器405が容器本体403からずれることを抑制でき、この場合には、当然に、中容器405が容器本体403から外れることを抑制できる。
【0115】
以上のように、包装用容器400は、中容器405における容器本体403との係合部53Bが、外周壁53に形成されている。そのため、係合部53Bを視認しながら当該係合部53Bを容器本体403に対して係合することができる。例えば、中容器405の上方収容空間57に料理が収容されている状態で、当該中容器405と容器本体403とを係合させる場合には、係合部53Bを視認しながらこれらを係合させることができる。従って、中容器405と容器本体403との係合に関して特に神経を使う必要がなく、例えば、上方収容空間57に収容された料理がこぼれないように気を遣いながら中容器405と容器本体403とを容易に係合させることができる。
【0116】
また、係合部53Bが外周壁53に形成されているため、中容器405と容器本体403との係合時には、中容器405は、当該中容器405における最も外側に配置された外周壁53の位置で支持された状態となっている。そのため、例えば、中容器405の第二収容空間36Bに収容された料理の収容位置に偏りが生じた場合であっても、中容器405を良好に安定させることができる。
【0117】
なお、本実施形態の包装用容器400(容器本体403、中容器405、及び蓋体407)は、例えば熱可塑性樹脂を原料とするシート材を用いて製造することができる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等)、ポリスチレン系樹脂(耐衝撃性ポリスチレン系樹脂等)、及びポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート系樹脂や耐熱性を付与した変性ポリエチレンテレフタレート系樹脂等)等を採用することができる。シート材としては、発泡シート材又は非発泡シート材を用いることができ、さらに、これらにフィルム等を積層した積層シーとを用いることもできる。包装用容器400は、上述した各種の熱可塑性樹脂シートを用いて、熱成形により成形することができる。熱成形の具体的手法としては、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、及び熱板成形法等の各種手法を採用可能である。
【0118】
〔中容器を備える包装用容器の第二実施形態〕
次に、包装用容器の第二実施形態について説明する。上記の第一実施形態では、中容器405の係合部53Bと容器本体403の被係合部34Cとの係合が、内嵌合である例について説明した。しかし、第二実施形態では、係合部53Bと被係合部34Cとの係合が、外嵌合である。以下、図49を参照して第二実施形態に係る包装用容器について説明する。なお、特に説明しない点については第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0119】
図49に示す例では、被係合部34Cは、緩テーパ部34C1の外方に連続して形成されると共に、外方に突出する被係合突出部34C6を有している。本実施形態では、被係合突出部34C6は、緩テーパ部34C1の外周全周に亘って形成されている。
【0120】
図49に示す例では、係合部53Bは、被係合突出部34C6に引っ掛かって係合する係合引掛部53B6を有している。係合引掛部53B6は、中容器405の外周壁53の下端部において、外方に湾曲するフック状に形成されている。係合引掛部53B6が内方に力を作用させている状態で、被係合突出部34C6に外方から引っ掛かることによって、中容器405の係合部53Bと容器本体403の被係合部34Cとが外嵌合する。
【0121】
第二実施形態によれば、係合部53Bと被係合部34Cとを簡易な構造で嵌合させることができる。また、中容器405を容器本体403に取り付けた後に盛り付けをする場合、風等の影響によって中容器405の姿勢が崩れないように、係合部53Bをストッパーとして機能させることができる。従って、中容器405への盛り付けの作業性を向上させることができる。
【0122】
〔中容器を備える包装用容器の第三実施形態〕
次に、包装用容器の第三実施形態について説明する。上記の各実施形態では、中容器405の係合部53Bと容器本体403の被係合部34Cとが、内嵌合又は外嵌合する例について説明した。しかし、第三実施形態では、係合部53Bと被係合部34Cとが嵌合しない状態で、中容器405が容器本体403に載置される。以下、図50を参照して第三実施形態に係る包装用容器について説明する。なお、特に説明しない点については第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0123】
図50に示す例では、被係合部34Cが、緩テーパ部34C1の頂点部分から外方に向かうに従って下方に傾斜する外側テーパ部34C7と、この外側テーパ部34C7に連続して形成されて外方に張り出す外側載置部34C8とを有している。そして、係合部53Bの下端部が外側載置部34C8に載置された状態で、中容器405が容器本体403に取り付けられる。この場合には、図50に示すように、重複長さL2は、外側テーパ部34C7の上下方向の長さに設定される。
【0124】
〔中容器を備える包装用容器のその他の実施形態〕
(1)上記の第一及び第二実施形態では、中容器405の係合部53Bと容器本体403の被係合部34Cとの係合が、内嵌合又は外嵌合である例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。中容器405の係合部53Bと容器本体403の被係合部34Cとの係合が、内嵌合及び外嵌合の両方からなる「内外嵌合」であっても良い。
【0125】
(2)上記の第三実施形態では、図50に示すように、係合部53Bの下端部が、被係合部34Cの外側載置部34Cに載置されている例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。係合部53Bの下端部は、被係合部34Cにおける他の部分に載置されていても良い。
【0126】
(3)上記の実施形態では、蓋体407が容器本体403に装着された状態で、中容器405の上端である頂部56と蓋体407の内面72Fとの間に上下方向の隙間L1が存在する例について説明した(図48参照)。しかし、本発明はこのような例に限定されない。蓋体407が容器本体403に装着された状態で、中容器405の上端である頂部56と蓋体407の内面72Fとが当接する(言い換えれば、隙間L1が0(ゼロ)となる)ように構成されていても良い。
【0127】
ここで、複数の包装用容器400を段積みする際には、上方に位置する包装用容器400の重みによって下方に位置する包装用容器400の蓋体407が下方に撓むことがある。段積みする包装用容器400の数が多くなるほど、重みが増して蓋体407の撓み量も大きくなる。そして、この状態で、蓋体407の外縁では、蓋体407の外周係合部73が容器本体403の外周被係合部37から外れる方向に、力が作用する。その結果、蓋体407が容器本体403から外れて、中容器405及び容器本体403から収容物がこぼれる可能性がある。上記構成によれば、中容器405の頂部56と蓋体407の内面72Fとが当接するため、蓋体407が容器本体403に装着された状態で中容器405が容器本体403に対して上方に移動することを抑制することができ、その結果、中容器405が容器本体403から外れることを抑制できる。
【0128】
(4)上記の実施形態では、中容器405の外周壁53の長テーパ部53Aが、平滑な外面を有するように形成されている例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。長テーパ部53Aは、下方に沿って延びる複数のリブ部を有して構成されていても良い。これにより、外周壁53の強度を向上させることができる。なお、リブ部は、外周壁53の一部の領域にだけ形成されていても良い。
【0129】
(5)上記の実施形態では、環状区画壁34は、容器本体403の中央部に設けられている例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。環状区画壁34は、容器本体403の中央部から偏心した位置に設けられていても良い。また、環状区画壁34は、少なくとも環状に形成されれば、円形状に限らず、平面視で楕円状や多角形状等であっても良い。
【0130】
(6)上記の実施形態では、中容器405の係合部53Bが、外周壁53の全周に亘って形成されている例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。係合部53Bは、外周壁53の一部の領域に形成されていても良い。例えば、係合部53Bは、環状の外周壁53に対して180°間隔で2つ形成されていても良いし、90°間隔で4つ形成されていても良い。
【0131】
(7)上記の実施形態では、中容器405の内周壁52及び外周壁53が、平面視で円形状に形成されている例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。内周壁52及び外周壁53は、平面視で楕円状や多角形状等に形成されていても良い。
【0132】
(8)上記の実施形態では、中容器405に関して、底部51が係合部53Bよりも上方に配置されている例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。底部51は、上下方向において係合部53Bと同じ位置に配置されていても良いし、係合部53Bよりも下方に配置されていても良い。
【0133】
(9)上記の実施形態では、中容器405が透明である例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。中容器405は、不透明であっても良い。例えば、中容器405は、半透明であっても良いし、表面に印刷模様や着色が施されていても良い。
【0134】
(10)なお、前述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0135】
〔中容器を備える包装用容器のさらなる他の実施形態〕
中容器を備える包装用容器500のさらなる実施形態については、図51に示すように、本体容器40と、本体容器40に設置される中容器60と、本体容器40及び中容器60を覆う蓋体80とを備えている。本体容器40及び蓋体80は、平面視で(上から見て)楕円状に形成されている。中容器60は、平面視で矩形状(より具体的には長方形状)に形成されている。本体容器40は、収容物たる複数種の食品を収容する主体であり、当該複数種の食品を収容するための収容部Cを有している。本実施形態では、本体容器40は単一の収容部Cを有するように形成されている。中容器60も、収容物たる食品を収容可能であり、当該食品を収容するための収容部Dを有している。
【0136】
中容器60は、本体容器40及び蓋体80よりも小さく形成されており、本体容器40の収容部C内を2つの空間に仕切っている。すなわち、本実施形態の包装用容器500において、中容器60は、食品を収容するための“収容容器”としての機能と、本体容器40の収容部Cを2つの空間に仕切るための“仕切り”としての機能とを兼ね備えている。このように、中容器60を“仕切り”として利用することは、本実施形態の包装用容器500に特徴的な構成の1つである。かかる構成を採用することで、本体容器40の定位置には特に仕切壁を設けることなく、多種(少なくとも3種)の食品を互いに分け隔てた状態で収容して包装することができる。
【0137】
本実施形態の包装用容器500は、さらに、中容器60が、本体容器40の単一の収容部C内で複数の位置に設置可能に構成されている点によっても特徴付けられる。すなわち、中容器60を“中容器兼可動仕切り”として利用することも、本実施形態の包装用容器500に特徴的な構成の1つである。
【0138】
本体容器40は、収容部Cに臨む内面に、中容器60が係合する被係合部Fを有している。ここで、本体容器40は、図51に示すように、本体底面41と、本体底面41の周囲を取り囲む壁面42とを有している。これらの本体底面41と壁面42とによって区画される空間として、収容部Cが構成されている。従って、本実施形態において「収容部Cに臨む内面」とは、本体底面41の上面と、その周囲から連続する壁面42の内周面とを含む面である。
【0139】
本体底面41は、全体として平らに形成されているとともに、平面視で楕円状に形成されている。以下の説明において、楕円状の本体容器40(本体底面41)の長軸に平行な方向を「第一方向X」と言い、短軸に平行な方向を「第二方向Y」と言う。第一方向Xと第二方向Yとは互いに直交(「交差」の一例)している。本実施形態では、第一方向Xが「スライド方向」に相当し、第二方向Yが「スライド方向に交差する方向」に相当する。
【0140】
壁面42は、本体底面41の周囲を取り囲む状態で当該本体底面41から立設されている。壁面42は、本体底面41に対して傾斜する姿勢で立設されている。壁面42は、2段階の傾斜を有するように形成されており、本体底面41から連続する内側傾斜壁42Aと、この内側傾斜壁42Aよりも外側(本体底面41とは反対側)に位置する外側傾斜壁42Bとを含む。本実施形態では、外側傾斜壁42Bは、内側傾斜壁42Aに比べて傾斜が緩くなるように形成されている(図53を参照)。外側傾斜壁42Bの外側には、フランジ部45が外方に延出する状態で連なっている。このフランジ部45には、蓋体80のフランジ部83が嵌合している(図56を参照)。
【0141】
本実施形態では、壁面42(ここでは特に、内側傾斜壁42A)における本体底面41との境界部分の内周面に、内側傾斜壁42Aよりも急傾斜の案内壁43が設けられている。案内壁は、本体底面41から垂直又はそれに近い角度で立ち上がるように形成されている(図53を参照)。案内壁43は、内側傾斜壁42Aにおける本体底面41とのループ状の境界部分のうち、第一方向Xの中央領域において第二方向Yに互いに対向するように、一対設けられている。一対の案内壁43は、それぞれ、少なくとも本体底面41との境界部分が第一方向Xに平行となるように設けられている。一対の案内壁43同士の第二方向Yの離間長さは、中容器60の第二方向Yの長さと同じ又は同程度に設定されている。案内壁43には、中容器60の外周壁63の下端部に設けられた支持フランジ64の第一辺縁部64Aが係合する。案内壁43と第一辺縁部64Aとは、第二方向Yに互いに当接する。本実施形態では、壁面42における本体底面41との境界部分の内面に形成された案内壁43により、被係合部Fが構成されている。
【0142】
また、本体容器40は、収容部Cに臨む内面における第一方向Xの複数箇所に、中容器60が係止する被係止部Mをさらに有している。本実施形態では、本体底面41の上面に、第二方向Yに延びる複数の突条部47が設けられている。突条部47は、本体底面41における案内壁43の設置領域(第一方向Xの中央領域)に設けられている。第一方向Xの中央に設けられた中心標示部49に対して第一方向Xの一方側に複数の突条部47が設けられ、それと同数の突条部47が中心標示部49に対して第一方向Xの他方側に設けられている。中心標示部49の両側において、それぞれ複数(本例では3つ)の突条部47が所定ピッチで設けられている。突条部47の設置ピッチ(隣り合う突条部47同士の第一方向Xの間隔)は、中容器60の第一方向Xの幅よりも小さく設定されている。本実施形態では、突条部47の設置ピッチは、中容器60の第一方向Xの幅の1/3程度に設定されている。
【0143】
また、中心標示部49の両側に位置する各群の突条部47のうち、第一方向Xの一方側から数えた場合の序列が同じもの同士の第一方向Xの間隔は、中容器60の第一方向Xの幅と同じ又は同程度に設定されている。本実施形態では、同じ序列の一対の突条部47の互いに向かい合う側面同士の第一方向Xの間隔が、中容器60の第一方向Xの幅と同程度に設定されている。このため、中心標示部49の両側に分かれて位置する所定の組の突条部47には、中容器60の外周壁63の下端部に設けられた支持フランジ64の第二辺縁部64Bが係止される。突条部47と第二辺縁部64Bとは、第一方向Xに互いに当接する。本実施形態では、本体底面41の上面に形成された突条部47により、被係止部Mが構成されている。
【0144】
本実施形態の中容器60は、被係合部Fに係合する係合部Eと、被係止部Mに係合する係止部Lとを有している。中容器60は、図51に示すように、底部61と、底部61の外縁から上方に延びる内周壁62と、内周壁62の上端部から下方に延びる外周壁63とを有している。底部61は、全体として平らに形成されているとともに、平面視で矩形状(本例では、第一方向Xよりも第二方向Yに長い長方形状)に形成されている。底部61は、全体として平らに形成されていれば良く、図示の例のように、底部61の外周部に、中央部に比べて僅かに下方に窪むように形成された環状凹部が設けられても良い。
【0145】
内周壁62は、底部61の周囲を取り囲む状態で当該底部61から立設されている。内周壁62は、上方に向かうに従って僅かに外方に向かうテーパ部状に形成されている。内周壁62は、その上下方向の中央部付近に段部を有する2段階のテーパ部状に形成されている。外周壁63は、内周壁62の周囲を取り囲む状態で当該内周壁62から垂下されている。外周壁63は、下方に向かうに従って僅かに外方に向かう末広がり状に形成されている。外周壁63は、上下方向において底部61の位置を越えて下方に延びている。すなわち、外周壁63の上下方向の高さは、内周壁62の上下方向の高さよりも高く設定されている。中容器60は、外周壁63の下端部の位置よりも底部61の位置が高い、上げ底容器となっている。
【0146】
第一方向Xに対向する2面と第二方向Yに対向する2面とを有する外周壁63の下端部には、外方に向かって膨出する支持フランジ64が設けられている。支持フランジ64の下端部は、さらに外方に向かって折り返されている。支持フランジ64は、その折り返し部分に、第二方向Yの両側を向く一対の第一辺縁部64Aと、第一方向Xの両側を向く一対の第二辺縁部64Bとを有する。
【0147】
第一辺縁部64Aは、第一方向Xに平行に延びるように形成されている。第一辺縁部64Aは、本体容器40の壁面42に設けられた案内壁43に係合する(図53を参照)。本実施形態では、外周壁63の下端部に設けられた支持フランジ64の一対の第一辺縁部64Aにより、係合部Eが構成されている。また、第二辺縁部64Bは、第二方向Yに平行に延びるように形成されている。第二辺縁部64Bは、本体容器40の本体底面41に設けられた複数の突条部47のうちのいずれかに係止可能となっている(図54図56を参照)。本実施形態では、外周壁63の下端部に設けられた支持フランジ64の一対の第二辺縁部64Bにより、係止部Lが構成されている。
【0148】
このような包装用容器500では、中容器60の係合部E(本例では第一辺縁部64A)が、本体容器40における単一の収容部C内において複数の位置で被係合部F(本例では案内壁43)に係合可能に設けられている。その際、図52に示すように、第一方向Xに平行に設けられる中容器60の第一辺縁部64Aが、同じく第一方向Xに平行に設けられる本体容器40の案内壁43に係合した状態でスライド可能であることにより、中容器60の係合部Eが複数の位置で本体容器40の被係合部Fに係合可能となっている。このように、本体容器40の案内壁43と中容器60の第一辺縁部64Aとを係合させた状態で中容器60を第一方向Xにスライドさせることで、第一方向Xにおける中容器60の設置位置の調整を容易に行うことができる。
【0149】
また、中容器60の第一辺縁部64Aと本体容器40の案内壁43とを係合状態で第一方向Xにスライド可能としつつ、中容器60の係止部L(本例では第二辺縁部64B)が、第一方向Xの異なる位置にある2つの突条部47に係止するように設けられている。このように、中容器60の一対の第二辺縁部64Bを一対の突条部47に係止させることで、第一方向Xにおける中容器60の位置決めを容易に行うことができる。図54図56に示すように、中容器60の一対の第二辺縁部64Bを実際に係止させる突条部47の組を変更することで、本体容器40における単一の収容部C内の複数の位置に、中容器60を安定的に固定することができる。
【0150】
そして、四方を外周壁63で囲まれた中容器60を上述したように“中容器兼可動仕切り”として利用して、収容する食品の種類に応じた全体レイアウトの最適化を容易に行うことができる。例えば、中容器60の両サイドに同程度のボリュームの食品を収容する場合には、中容器60を第一方向Xの中央部に設置することができる(図56を参照)。また例えば、中容器60の両サイドに収容する食品のボリュームが異なる場合には、中容器60を第一方向Xのいずれかに寄せて設置することができる(図54及び図55を参照)。
【0151】
中容器60は上げ底に形成されているので、当該中容器60に収容した食品のボリューム感を創出しやすく、外観(見栄え)を良好にすることができる。中容器60の設置位置を決定するにあたっては、当該中容器60に収容して目立たせるべき食品の好ましい収納位置を考慮しても良い。
【0152】
図51に示すように、蓋体80は、天板81と、天板81の周囲を取り囲む蓋体壁82と、蓋体壁82の外縁に設けられたフランジ部83とを有している。天板81は、全体として平らに形成されているとともに、平面視で楕円状に形成されている。蓋体壁82は、天板81の外縁から天板81に対して傾斜する状態で下方に延びるように形成されている。フランジ部83は、蓋体壁82の下端部から外方に延出するように形成されている。このフランジ部83には、本体容器40のフランジ部45が嵌合している(図56を参照)。
【0153】
天板81の第一方向Xの両端部には、その外縁に沿って上方に隆起する隆起部81Aが膨出形成されている。一対の隆起部81Aは、それぞれ平面視でU字状に形成されているとともに、U字の開口部分が互いに向かい合う状態となるように形成されている。この隆起部81Aは、複数の包装用容器500を上下に積み重ねたときに、直上の包装用容器500の本体容器40の壁面42(具体的には内側傾斜壁42A)に対して外方から係止可能である(図56を参照)。そして、直上の包装用容器500が第一方向X及び第二方向Yの両方向に移動するのを規制する。
【0154】
なお、本実施形態の包装用容器500(本体容器40、中容器60、及び蓋体80)は、例えば熱可塑性樹脂を原料とするシート材を用いて製造することができる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等)、ポリスチレン系樹脂(耐衝撃性ポリスチレン系樹脂等)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート系樹脂や耐熱性を付与した変性ポリエチレンテレフタレート系樹脂等)、及びスチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体等)の少なくとも一種を採用することができる。シート材としては、発泡シート材又は非発泡シート材を用いることができ、さらに、これらにフィルム等を積層した積層シーとを用いることもできる。包装用容器500は、上述した各種の熱可塑性樹脂シートを用いて、熱成形により成形することができる。熱成形の具体的手法としては、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、及び熱板成形法等の各種手法を採用可能である。
【0155】
〔さらなる実施形態〕
(1)上記の実施形態では、壁面42における本体底面41との境界部分の内面に形成された案内壁43により被係合部Fが構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば本体底面41の上面に第一方向Xに延びる一対の突条部が設けられ、当該一対の突条部により被係合部Fが構成されても良い。
【0156】
(2)上記の実施形態では、本体底面41の上面に形成された突条部47により被係止部Mが構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、突条部47に代えて例えば点状の突起が設けられ、当該突起により被係止部Mが構成されても良い。
【0157】
(3)上記の実施形態では、被係止部Mとしての突条部47が第一方向Xの複数箇所に計6つ設けられた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、突条部47の個数は任意であって良い。
【0158】
(4)上記の実施形態では、中容器60の外周壁63と本体容器40の突条部47との係止が第一方向Xにおける単なる当接である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図57又は図58に示すように、外周壁63と突条部47との係止が内嵌合であっても良い。或いは、例えば図59に示すように、外周壁63と突条部47との係止が外嵌合であっても良い。或いは、例えば図60に示すように、外周壁63と突条部47との係止が内外嵌合(内嵌合かつ外嵌合)であっても良い。これらの構成では、本体容器40に対して中容器60を安定的に固定することができる。よって、例えば食品等の収容物を収容した状態の包装用容器500の搬送中に、内部で中容器60が移動するのを抑制することができる。
【0159】
(5)上記の実施形態では、中容器60が底部61と内周壁62と外周壁63とを有する上げ底型に形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図61に示すように、中容器60として、底部61と、底部61の外縁から上方に延びる周壁67とを有する、通常のお椀型の容器を用いても良い。このような場合には、例えば中容器60の底部61の中央部に係止溝部68を設け、当該係止溝部68を突条部47(被係止部Mの一例)に係止させても良い。この場合、係止溝部68により係止部Lが構成される。図示の例のように突条部47及び係止溝部68を逆台形状に形成すれば、本体容器40に対して中容器60を安定的に固定することができて好ましい。なお、中容器60の底部61の周縁部を突条部47に係止させても良く(図示省略)、この場合、底部61の周縁部により係止部Lが構成される。
【0160】
(6)上記の実施形態では、中容器60の外周壁63と本体容器40の案内壁43との係合が第二方向Yにおける単なる当接である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図62又は図63に示すように、外周壁63と案内壁43との係合が内嵌合であっても良い。例えば、被係合部Fとしての案内壁43が上方に向かうに従って本体容器40の中央部側に向かう逆テーパ部状に形成されるとともに、外周壁63の下端部に設けられた係合部Eが下方に向かうに従って外方に向かう末広がり状に形成され、これらが嵌合されても良い。
【0161】
(7)上記の実施形態では、中容器60の外周壁63の第二辺縁部64Bにより係止部Lが構成され、本体底面41の上面に形成された突条部47により被係止部Mが構成された例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図64及び図65に示すように、本体容器40の壁面42(案内壁43)から本体容器40の中央部側に膨出する係止凸部48が設けられ、当該係止凸部48により被係止部Mが構成されても良い。この場合、中容器60の外周壁63の支持フランジ64に、係止凸部48が係止する状態で収容される係止凹部65が設けられ、当該係止凹部65により係止部Lが構成されると良い。このように、被係合部F及び被係止部Mが本体容器40における同一の箇所(案内壁43)に設けられ、係合部E及び係止部Lが中容器60における同一の箇所(第一辺縁部64A)に設けられても良い。このような例において、図61に示すような通常のお椀型の中容器60を用いるように構成しても良く、この場合、係止部Lは中容器60の周壁37に設けることができる。
【0162】
(8)上記の実施形態では、中容器60と本体容器40とがスライド可能であることにより、中容器60の係合部Eが複数の位置で本体容器40の被係合部Fに係合可能となっている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、中容器60の係合部Eが複数のピンポイントの位置で本体容器40の被係合部Fに係合可能となっていても良い。このような構成の一例を図66に示す。この図に示すように、本体容器40に、所定配列(例えば格子状や千鳥状等)をなす状態で本体底面41から上方に突出する複数の突出部44が設けられ、当該突出部44により被係合部Fが構成される。中容器60は、底部61と内周壁62と外周壁63とを有する上げ底型に形成され、外周壁63の内面により係合部Eが構成される。中容器60は、複数の突出部44の中から選択されて所定形状(中容器60の平面視形状に対応する形状)をなす突出部44の組み合わせに対して係合部E(外周壁63の内面)が外嵌することで、複数の位置に可動かつ安定的に固定可能である。このような構成では、中容器60の大きさ次第では、当該中容器60を第一方向X及び第二方向Yの両方向に可動させることも可能である(図66を参照)。なお、中容器60の外周壁63の外面により係合部Eが構成されても良く、この場合、中容器60は、所定形状をなす複数の突出部44の組み合わせに対して係合部E(外周壁63の外面)が内嵌することで、複数の位置に可動かつ安定的に固定可能となる。これらの場合において、中容器60は、所定形状をなす複数の突出部44の組み合わせに対して係合部Eが単に当接するだけ(図64を参照)であっても良い。
【0163】
(9)上記の例において、図61に示すような通常のお椀型の中容器60を用いるように構成することもできる。この場合、本体容器40に、所定配列(例えば格子状や千鳥状等)をなす状態で本体底面41から下方に窪む複数の下向き凹部が設けられ、当該下向き凹部により被係合部Fが構成される。また、中容器60に、底部61から下方に突出する1つ又は複数の下向き突出部が設けられ、当該下向き突出部により係合部Eが構成される。中容器60は、複数の下向き凹部の中から選択されて所定形状をなす下向き凹部の組み合わせ(1つでも良い)に対して係合部E(下向き突出部)がそれぞれ嵌合することで、複数の位置に可動かつ安定的に固定可能である。なお、本体容器40に上向き突出部(被係合部Fの一例)が設けられるとともに中容器60に上向き凹部(係合部Eの一例)が設けられても良く、この場合、中容器60は、所定形状をなす複数の上向き突出部の組み合わせ(1つでも良い)に対して上向き凹部がそれぞれ嵌合することで、複数の位置に可動かつ安定的に固定可能となる。
【0164】
(10)上記の実施形態では、本体容器40及び蓋体80が平面視で楕円状に形成され、中容器60が平面視で矩形状に形成された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本体容器40及び蓋体80は、平面視で円形状、矩形状、又は多角形状(例えば六角形や八角形等)等の他の形状に形成されても良い。中容器60に関しても、平面視で円形状、楕円状、又は多角形状等の他の形状に形成されても良い。非矩形の中容器60を用いる場合(図67を参照)には、被係合部Fとして複数の突出部44を有する本体容器40(又はこれに類する容器2)を用いれば、多様な形状の中容器60にも対応可能なので好適である。
【0165】
(11)上記の実施形態では、包装用容器500に中容器60が1つだけ備えられている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、中容器60の個数は、本体容器40の単一の収容部C内でそれぞれが可動であることを保障される限り、任意であって良い。
【0166】
(12)上記の実施形態では、本体容器40が収容部Cを1つだけ有している構成を主に想定して説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本体容器40が固定の仕切り壁で仕切られた複数の収容部Cを有しても良い。この場合、複数の収容部Cのうちの少なくとも1つにおいて、当該収容部C内で中容器60が複数の位置に設置可能に構成されると良い。
【0167】
(13)上記の実施形態において、本体容器40に蓋体80が装着された状態で、中容器60の上端部と蓋体80の内面とが当接するように構成されても良い。このようにすれば、中容器60の外周壁63と本体容器40の突条部47とが単に当接する場合であっても、包装用容器500の搬送中に包装用容器500の内部で中容器60が移動するのを抑制することができる。また、中容器60で蓋体80を下方から支持して、複数の包装用容器500を上下に積み重ねたときに蓋体80が下方に撓むのを抑制することができる。
【0168】
(14)上記の実施形態において、蓋体80とは別に、中容器60を覆う中蓋が設けられても良い。
【0169】
(15)上記の実施形態では、食品を収容する包装用容器500を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、包装用容器500は、食品以外のあらゆる収容物を収容する目的で使用することができる。
【0170】
(16)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0171】
C、1、80、200、302、407 蓋体
C3 蓋体フランジ部
C3a 蓋体円弧状フランジ部
C3b 蓋体直線状フランジ部
C4 蓋体逆テーパ部
C4a 蓋体円弧状逆テーパ部
C4b 蓋体直線状逆テーパ部
C9 回転規制部
1d 係合部
B、2、40、100、301、403 容器本体
B3 本体フランジ部
B3a 本体円弧状フランジ部
B3b 本体直線状フランジ部
B4 本体逆テーパ部
OA 開蓋領域
2d 係合部
2e 区画壁
B6、C6、109、205 摘み部
105 線状区画壁
106 環状区画壁
60、405 中容器
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
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図11
図12
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