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特許7237355撹拌混合造粒装置からの粉粒体処理品の排出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】撹拌混合造粒装置からの粉粒体処理品の排出方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/10 20060101AFI20230306BHJP
   B01F 27/808 20220101ALI20230306BHJP
   B01F 35/75 20220101ALI20230306BHJP
【FI】
B01J2/10 Z
B01F27/808
B01F35/75
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019118750
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2021003673
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-11-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591011384
【氏名又は名称】株式会社パウレック
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】内田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】井上 琢也
(72)【発明者】
【氏名】田林 功至
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-087641(JP,A)
【文献】特開2016-209949(JP,A)
【文献】特開2020-006308(JP,A)
【文献】特開2021-003837(JP,A)
【文献】特開2017-051169(JP,A)
【文献】特開平05-345315(JP,A)
【文献】特開昭58-000236(JP,A)
【文献】米国特許第04511093(US,A)
【文献】実開昭60-039329(JP,U)
【文献】特開2016-067970(JP,A)
【文献】特開平03-038239(JP,A)
【文献】特開2015-199017(JP,A)
【文献】特開平06-134274(JP,A)
【文献】特開平08-229421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 2/00- 2/30
B01F 27/00-27/96
B01F 35/00-35/95
B25J 1/00-21/02
B02C 18/00-18/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理すべき粉粒体を内部に収容する処理容器と、前記処理容器内の底部に配設された撹拌羽根と、前記処理容器に設けられた前記粉粒体の処理品を排出するための排出口とを備えた撹拌混合造粒装置から前記処理品を排出する方法であって、
前記撹拌混合造粒装置が、前記処理容器の外部に配置された関節ロボットを備え、
前記関節ロボットが、三次元空間において任意方向に移動可能なロボットアームと、該ロボットアームに保持される掻き取り治具とを有し、
前記粉粒体の処理後に、前記ロボットアームの動作により、前記掻き取り治具で前記処理容器内に付着した前記処理品を掻き落とし、その後、前記撹拌羽根を連続的に回転させることにより、前記排出口から前記処理品を排出する第1の排出工程と、
前記第1の排出工程の後、前記撹拌羽根を所定の位置に停止させた状態で、前記撹拌羽根によって区画形成された前記底部の複数の区画領域に対し、前記ロボットアームの動作により、前記掻き取り治具で前記処理品を掻き落とす掻き落とし工程と、
前記掻き落とし工程の後、前記撹拌羽根を所定角度回転させ、前記複数の区画領域のうちの1つを前記排出口に繋がる排出位置に停止させ、該排出位置に停止した前記区画領域において、前記ロボットアームの動作により、前記掻き取り治具で前記処理品を前記排出口に掻き寄せて排出し、その後、残りの前記区画領域が、順次、前記排出位置に停止するように前記撹拌羽根を間欠的に回転させて、前記排出位置に停止した前記区画領域において、前記ロボットアームの動作により、前記掻き取り治具で前記処理品を前記排出口に掻き寄せて排出する第2の排出工程とを備え
前記掻き落とし工程において、前記ロボットアームの動作により、掻き落とされた前記処理品を前記掻き取り治具で前記撹拌羽根の回転中心の側に掻き寄せることを特徴とする撹拌混合造粒装置からの粉粒体処理品の排出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、食品、農薬等の粉粒体を結合させて造粒する撹拌混合造粒装置からの粉粒体処理品の排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、食品、農薬等の粉、粒子、その他これらに類するもの(以下、これらを総称して粉粒体という。)を結合させて造粒するために撹拌混合造粒装置が使用されている(例えば特許文献1~3参照)。この撹拌混合造粒装置は、通常、処理すべき粉粒体を内部に収容する処理容器と、前記処理容器内の底部に配設された撹拌羽根と、前記処理容器に設けられた前記粉粒体の処理品を排出するための排出口とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-245415号公報
【文献】特開平7-8782号公報
【文献】特開平5-115766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この撹拌混合造粒装置では、粉粒体の処理(造粒)後に、処理容器内に、粉粒体の処理品が、付着していることが多い。従来では、処理品の生産量の向上のため、この付着した処理品を、作業者が手作業で治具により掻き取って、通常の処理品に加えていた。しかしながら、生産効率の観点から、この掻き取り作業の自動化が求められていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、撹拌混合造粒装置において、処理容器内に付着した処理品の掻き取り作業を、自動化することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために創案された本発明に係る撹拌混合造粒装置からの粉粒体処理品の排出方法は、処理すべき粉粒体を内部に収容する処理容器と、前記処理容器内の底部に配設された撹拌羽根と、前記処理容器に設けられた前記粉粒体の処理品を排出するための排出口とを備えた撹拌混合造粒装置から前記処理品を排出する方法であって、前記撹拌混合造粒装置が、前記処理容器の外部に配置された関節ロボットを備え、前記関節ロボットが、三次元空間において任意方向に移動可能なロボットアームと、該ロボットアームに保持される掻き取り治具とを有し、前記粉粒体の処理後に、前記ロボットアームの動作により、前記掻き取り治具で前記処理容器内に付着した前記処理品を掻き落とし、その後、前記撹拌羽根を連続的に回転させることにより、前記排出口から前記処理品を排出する第1の排出工程と、前記第1の排出工程の後、前記撹拌羽根を所定の位置に停止させた状態で、前記撹拌羽根によって区画形成された前記底部の複数の区画領域に対し、前記ロボットアームの動作により、前記掻き取り治具で前記処理品を掻き落とす掻き落とし工程と、前記掻き落とし工程の後、前記撹拌羽根を所定角度回転させ、前記複数の区画領域のうちの1つを前記排出口に繋がる排出位置に停止させ、該排出位置に停止した前記区画領域において、前記ロボットアームの動作により、前記掻き取り治具で前記処理品を前記排出口に掻き寄せて排出し、その後、残りの前記区画領域が、順次、前記排出位置に停止するように前記撹拌羽根を間欠的に回転させて、前記排出位置に停止した前記区画領域において、前記ロボットアームの動作により、前記掻き取り治具で前記処理品を前記排出口に掻き寄せて排出する第2の排出工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
この構成であれば、関節ロボットのロボットアームに保持された掻き取り治具により、処理容器内に付着した粉粒体の処理品を掻き取ることができる。従って、撹拌混合造粒装置において、処理容器の容器本体内に付着した処理品の掻き取り作業を、自動化することが可能である。
【0008】
上記の構成において、前記掻き落とし工程において、前記ロボットアームの動作により、掻き落とされた前記処理品を前記掻き取り治具で前記撹拌羽根の回転中心の側に掻き寄せてもよい。
【0009】
この構成であれば、掻き落とし工程の後に、撹拌羽根を所定角度回転させる際に、粉粒体の処理品に遠心力がかかっても、粉粒体の処理品が外周側に飛散することを抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撹拌混合造粒装置において、処理容器内に付着した処理品の掻き取り作業を、自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る撹拌混合造粒装置の概略斜視図である。
図2】撹拌混合造粒装置の要部拡大側面図である。
図3】ディスチャージ部の状態を示す概略断面図であり、(A)が排出を行わない状態を示す図、(B)が排出を行う状態を示す図である。
図4】排出工程の全体を示すフローチャートである。
図5】排出工程B内の工程を示すフローチャートである。
図6】撹拌羽根の停止位置1を示す概略平面図である。
図7】ロボットにより処理容器内を撮像する様子を示す概略断面図である。
図8】ロボットにより処理容器内を掻き取る様子を示す概略断面図である。
図9】排出工程C内の工程を示すフローチャートである。
図10】撹拌羽根の停止位置2を示す概略平面図である。
図11】撹拌羽根の停止位置3を示す概略平面図である。
図12】撹拌羽根の停止位置4を示す概略平面図である。
図13】排出工程D内の工程を示すフローチャートである。
図14】ロボットにより処理容器内の洗浄残渣を洗浄する様子を示す概略断面図である。
図15】ロボットにより処理容器内を乾燥させる様子を示す概略断面図である。
図16】本発明の変形例に係る撹拌混合造粒装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る撹拌混合造粒装置の概略斜視図であり、図2は、撹拌混合造粒装置の要部拡大側面図である。この撹拌混合造粒装置1は、処理すべき粉粒体を内部に収容する処理容器2と、処理容器2内の底部(底面2a)に配設された撹拌羽根3と、処理容器2の側面に配設された破砕羽根(クロススクリュウ4)と、処理容器2の側部に配設されたディスチャージ部5と、処理容器2の外部に配置された関節ロボット6と、粉粒体の処理や関節ロボット6を等をコントロールするためのコントロール部7とを主要な構成要素として備える。
【0013】
撹拌混合造粒装置1は、処理容器2内の粉粒体を次のように処理する。不図示の結合剤供給部から処理容器2内に結合剤を供給しつつ粉粒体を撹拌羽根3及びクロススクリュウ4で撹拌することによって粉粒体を結合させて造粒する。詳述すれば、撹拌羽根3が回転すると、処理容器2内の粉粒体が、撹拌され、この撹拌される粉粒体が、供給された結合剤により適度に凝集する一方、クロススクリュウ4によって適当にせん断され、徐々に所望の粒径に造粒されていく。
【0014】
処理容器2は、上端に開口部8aを有する容器本体8と、容器本体8の開口部8aに回動機構9を介して装着され、容器本体8に対する上下方向の回動動作によって開口部8aを開閉可能な蓋部10とを有する。回動機構9は、蓋部10の一端側に配設されており、本実施形態では、ヒンジの一種である。また、蓋部10は、閉じた状態でクランプ機構11により固定することが可能である。
【0015】
図3(A)と図3(B)に示すように、処理容器2の容器本体8において、ディスチャージ部5が配設されている部位には、粉粒体の処理品を排出するための排出口12が設けられている。ディスチャージ部5には、シリンダ機構5aが設けられており、このシリンダ機構5aの伸縮動作により、閉塞部5bが排出口12を開閉する。ディスチャージ部5の下部には、排出開口部5cが設けられており、排出口12から排出された粉粒体の処理品は、排出開口部5cを介してディスチャージ部5から排出される。
【0016】
関節ロボット6は、本実施形態では、6軸の垂直多関節型ロボットであるが、本発明は、これに限定されるものではない。関節ロボット6は、先端部6bが三次元空間において任意方向に移動可能なロボットアーム6aを有する。ロボットアーム6aの先端部6bは、デジタルカメラ等の撮像装置13(図7参照)や複数種類の治具を、自動で着脱可能である。
【0017】
本実施形態では、ロボットアーム6aの先端部6bに保持される治具は、掻き取り治具14、蓋部開閉治具15、洗浄治具16、乾燥治具17である(図1図2図8図14図15参照)。図1に示すように、ロボットアーム6aの先端部6bに保持される治具は、使用前には、関節ロボット6の近傍の所定の位置に配置されている。なお、図1では、掻き取り治具14、蓋部開閉治具15のみを図示し、撮像装置13やその他の治具は図示を省略している。
【0018】
図2に示すように、掻き取り治具14は、粉粒体の処理品を掻き取るためのヘラ部14aを有する。ヘラ部14aは、例えば、ポリエチレン等の樹脂等で形成されている。
【0019】
次に、粉粒体の処理を完了した後に、撹拌混合造粒装置1から粉粒体の処理品を排出する方法について説明する。
【0020】
図4に示すように、撹拌混合造粒装置1からの粉粒体処理品(以下、処理品と記す)の排出の工程は、排出工程Aと、排出工程B(第1の排出工程)と、排出工程C(掻き落とし工程)と、排出工程D(第2の排出工程)とをこの順番で備える。
【0021】
排出工程Aでは、まず、図3(B)に示すように、シリンダ機構5aの縮退動作により、閉塞部5bを処理容器2の排出口12から脱離させ、排出口12を開状態とする。その後、撹拌羽根3を連続的に高速で回転させ、遠心力により、排出口12から処理品を排出する。
【0022】
排出工程Bでは、排出工程Aの後に、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、掻き取り治具14で処理容器2内に付着した処理品を掻き落とし、その後、撹拌羽根3を連続的に回転させることにより、排出口12から処理品を排出する。
【0023】
詳述すると、図5に示すように、まず、排出工程Aの連続回転の後に自然停止した位置にある撹拌羽根3を、回転させて停止位置1に停止させる(S1)(図6参照)。なお、撹拌羽根3の回転方向dは、平面視で反時計回りである。また、撹拌羽根3は、回転方向前方に移行するにしたがって、処理容器2の底面2aに漸次接近するように傾斜している。
【0024】
図6に示すように、処理容器2の底面2aは、撹拌羽根3(第1~第3撹拌羽根3a~3c)によって3つの区画領域Ra,Rb,Rcに区画形成される。撹拌羽根3のうちの第1撹拌羽根3aと第2撹拌羽根3bで区画形成される区画領域がRb、第2撹拌羽根3bと第3撹拌羽根3cで区画形成される区画領域がRc、第3撹拌羽根3cと第1撹拌羽根3aで区画形成される区画領域がRaである。なお、本発明では、区画領域Ra,Rb,Rcは、撹拌羽根3の回転移動に伴って移動する。
【0025】
次に、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、蓋部開閉治具15によってクランプ機構11を操作し、蓋部10のクランプ機構11による固定を解除する。その後、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、蓋部開閉治具15で蓋部10を45°開け、不図示の固定機構で蓋部10を固定する(S2)。
【0026】
その後、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、撮像装置13で蓋部10の内側面10aを撮像する(S3)。
【0027】
そして、撮像装置13の撮像結果に基づいて、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、掻き取り治具14で蓋部10の内側面10aに付着した処理品を掻き落とす(S4)。この際、蓋部10の内側面10aにおける処理品の付着が多い部分に対して重点的に掻き落としを行う。
【0028】
次に、固定機構による蓋部10の固定を解除し、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、蓋部開閉治具15で蓋部10を90°まで開け、再び、固定機構によって蓋部10を固定する(S5)。
【0029】
その後、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、撮像装置13で容器本体8の内部を撮像する(S6)(図7参照)。
【0030】
そして、撮像装置13の撮像結果に基づいて、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、掻き取り治具14で容器本体8の内部に付着した処理品を掻き落とす(S7)(図8参照)。この際、容器本体8の内部における処理品の付着が多い部分に対して重点的に掻き落としを行う。この際に、容器本体8の内部で処理品を掻き落とす部位は、容器本体8内の側面8bや、この側面8bと底面2aとの間のR部8c、撹拌羽根3、撹拌羽根3のボス部3dである(図2参照)。
【0031】
次に、固定機構による蓋部10の固定を解除し、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、蓋部開閉治具15で蓋部10を閉じる。そして、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、蓋部開閉治具15でクランプ機構11を操作して蓋部10をクランプ機構11で固定する(S8)。
【0032】
その後、撹拌羽根3を連続的に高速で回転させる(S9)。すると、遠心力により、排出口12から処理品が排出される。なお、排出工程Aの後、処理容器2の排出口12は開状態のままである。
【0033】
排出工程Cでは、排出工程Bの後に、撹拌羽根3を所定の位置に停止させた状態で、区画領域Ra,Rb,Rcに対し、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、掻き取り治具14で処理品を掻き落とす。
【0034】
詳述すると、図9に示すように、まず、排出工程Bの連続回転の後に自然停止した位置にある撹拌羽根3を、回転させて停止位置1に停止させる(S10)(図6参照)。
【0035】
次に、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、蓋部開閉治具15によってクランプ機構11を操作し、蓋部10のクランプ機構11による固定を解除する。その後、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、蓋部開閉治具15で蓋部10を90°開け、不図示の固定機構で蓋部10を固定する(S11)。
【0036】
その後、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、撮像装置13で容器本体8の内部を撮像する(S12)(図7参照)。
【0037】
そして、撮像装置13の撮像結果に基づいて、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、区画領域Ra,Rb,Rcに対し、掻き取り治具14によって容器本体8の内部に付着した処理品を掻き落とし、更に、掻き取り治具14によって掻き落とされた処理品を前記撹拌羽根の回転中心の側(底面2aの中央側)に掻き寄せる(S13)(図8参照)。この際、容器本体8の内部における処理品の付着が多い部分に対して重点的に掻き落としを行う。なお、本実施形態では、図6に矢印a1で示すように、処理品の底面2aの中央側への掻き寄せは、底面2aの半径方向に沿って行われ、中心部Cpの内側に処理品を移動させる。中心部Cpの半径は、例えば、底面2aの半径の1/2~1/3である。
【0038】
この際に、容器本体8の内部で処理品を掻き落とす部位は、容器本体8内の側面8bの下部とR部8cである。これは、排出工程Bでの撹拌羽根3の連続回転の遠心力によって、これらの部位に処理品が付着しているからである。また、掻き取り治具14による処理品の掻き落としと底面2a中央側への掻き寄せは、容器本体8の内部の周方向の各位置において、連続して行う。
【0039】
排出工程Dでは、排出工程Cの後に、図10に示すように、撹拌羽根3を所定角度回転させ、区画領域Raを排出口12に繋がる排出位置Pに停止させ、区画領域Raにおいて、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、掻き取り治具14で処理品を排出口12に掻き寄せて排出する。
【0040】
その後、図11図12に示すように、残りの区画領域Rb,Rcが、順次、排出位置Pに停止するように撹拌羽根3を間欠的に回転させて、排出位置Pに停止した区画領域Rb,Rcにおいて、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、掻き取り治具14で処理品を排出口12に掻き寄せて排出する。
【0041】
詳述すると、図13に示すように、まず、排出工程Cの後で停止位置1にある撹拌羽根3を、撹拌羽根3を所定角度回転させて停止位置2に停止させる(S14)(図10参照)。これにより、排出工程Cで区画領域Ra,Rb,Rcの底面2a中央側に掻き集められた処理品が、撹拌羽根3のそれぞれによって移動させられる。停止位置2では、区画領域Raが排出口12に繋がる排出位置Pにある。停止位置2では、第1撹拌羽根3aが、排出口12の周方向位置に対して、回転方向後方近傍の周方向位置にある。
【0042】
その後、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、撮像装置13で区画領域Raと第1撹拌羽根3aを撮像する(S15)(図7参照)。
【0043】
そして、撮像装置13の撮像結果に基づいて、区画領域Raと第1撹拌羽根3aにおいて、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、図10の矢印a2で示すように、掻き取り治具14で処理品を排出口12に掻き寄せて排出する(S16)(図8参照)。この際、区画領域Raと第1撹拌羽根3aにおける処理品が多い部分に対して重点的に掻き取りを行う。
【0044】
本実施形態では、区画領域Raと第1撹拌羽根3aで処理品を掻き取る部位は、底面2aにおける第1撹拌羽根3aの回転方向前方の近傍領域と、第1撹拌羽根3aにおける回転方向前方の部位である。これは、撹拌羽根3を停止位置2に移動させた際に、第1撹拌羽根3aの移動により、処理品がこれらの領域、部位に集まるからである。
【0045】
次に、停止位置2にある撹拌羽根3を、120°回転させて停止位置3に停止させる(S17)(図11参照)。これにより、排出工程Cで区画領域Rb,Rcの底面2a中央側に掻き集められた処理品が、第2、第3撹拌羽根3b、3cによって移動させられる。停止位置3では、区画領域Rbが排出口12に繋がる排出位置Pにある。停止位置3では、第2撹拌羽根3bが、排出口12の周方向位置に対して、回転方向後方近傍の周方向位置にある。
【0046】
その後、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、撮像装置13で区画領域Rbと第2撹拌羽根3bを撮像する(S18)(図7参照)。
【0047】
そして、撮像装置13の撮像結果に基づいて、区画領域Rbと第2撹拌羽根3bにおいて、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、図11の矢印a3で示すように、掻き取り治具14で処理品を排出口12に掻き寄せて排出する(S19)(図8参照)。この際、区画領域Rbと第2撹拌羽根3bにおける処理品が多い部分に対して重点的に掻き取りを行う。
【0048】
本実施形態では、区画領域Rbと第2撹拌羽根3bで処理品を掻き取る部位は、底面2aにおける第2撹拌羽根3bの回転方向前方の近傍領域と、第2撹拌羽根3bにおける回転方向前方の部位である。これは、撹拌羽根3を停止位置3に移動させた際に、第2撹拌羽根3bの移動により、処理品がこれらの領域、部位に集まるからである。
【0049】
次に、停止位置3にある撹拌羽根3を、120°回転させて停止位置4に停止させる(S20)(図12参照)。これにより、排出工程Cで区画領域Rcの底面2a中央側に掻き集められた処理品が、第3撹拌羽根3cによって移動させられる。停止位置4では、区画領域Rcが排出口12に繋がる排出位置Pにある。停止位置4では、第3撹拌羽根3cが、排出口12の周方向位置に対して、回転方向後方近傍の周方向位置にある。
【0050】
その後、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、撮像装置13で区画領域Rcと第3撹拌羽根3cを撮像する(S21)(図7参照)。
【0051】
そして、撮像装置13の撮像結果に基づいて、区画領域Rcと第3撹拌羽根3cにおいて、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、図12の矢印a4で示すように、掻き取り治具14で処理品を排出口12に掻き寄せて排出する(S22)(図8参照)。この際、区画領域Rcと第3撹拌羽根3cにおける処理品が多い部分に対して重点的に掻き取りを行う。
【0052】
本実施形態では、区画領域Rcと第3撹拌羽根3cで処理品を掻き取る部位は、底面2aにおける第3撹拌羽根3cの回転方向前方の近傍領域と、第3撹拌羽根3cにおける回転方向前方の部位である。これは、撹拌羽根3を停止位置4に移動させた際に、第3撹拌羽根3cの移動により、処理品がこれらの領域、部位に集まるからである。
【0053】
以上で、撹拌混合造粒装置1からの処理品の排出の工程(排出工程A~D)が完了する。
【0054】
次に、洗浄工程における撹拌混合造粒装置1の動作を説明する。
【0055】
処理容器2内の溜め洗い運転による洗浄後に、図7に示すように、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、撮像装置13で処理容器2内(蓋部10の内側面10aと容器本体8内)を撮像する。
【0056】
そして、図14に示すように、撮像装置13の撮像結果に基づいて、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、洗浄治具16によって処理容器2内(蓋部10の内側面10aと容器本体8内)の洗浄残渣を洗浄する。この際、容器本体8の内部における洗浄残渣が多い部分に対して重点的に洗浄を行う。本実施形態では、洗浄治具16は、洗浄ノズルであり、洗浄液を噴出するものである。
【0057】
なお、排出工程Bのように、蓋部10の内側面10aに対する撮像と洗浄残渣の洗浄の場合の蓋部10の開度を45°とし、容器本体8内に対する撮像と洗浄残渣の洗浄の場合の蓋部10の開度を90°とすることが好ましい。
【0058】
処理容器2内(蓋部10の内側面10aと容器本体8内)の撮像と洗浄残渣の洗浄が完了した後、再び、図7に示すように、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、撮像装置13で処理容器2内(蓋部10の内側面10aと容器本体8内)を撮像する。
【0059】
そして、図15に示すように、撮像装置13の撮像結果に基づいて、関節ロボット6のロボットアーム6aの動作により、乾燥治具17によって処理容器2内(蓋部10の内側面10aと容器本体8内)に付着した洗浄液を乾燥させる。この際、容器本体8の内部における洗浄液が多く付着している部分に対して重点的に乾燥を行う。本実施形態では、乾燥治具17は、エアブローノズルであり、エアを噴出するものである。
【0060】
以上のように構成された撹拌混合造粒装置1では、関節ロボット6のロボットアーム6aに保持された掻き取り治具14により、処理容器2内に付着した処理品を掻き取ることができる。従って、撹拌混合造粒装置1において、処理容器2内に付着した処理品の掻き取り作業を自動化することが可能である。更に、撮像結果に基づいて掻き取りを行うので、処理品の付着が多い部分に対して重点的に掻き取りを行うことができ、これにより、効率的に掻き取りを行うことができる。
【0061】
本発明は、上記実施形態に限定されるものでは無く、その技術的思想の範囲内で、様々な変形が可能である。例えば、高薬理活性薬物や人体に有害な化学物質などの粉粒体を処理する場合、作業者の保護や、外部環境の汚染防止を図るために、図16に示すように、撹拌混合造粒装置1が、外部環境に対して気密に隔離された作業室Rを備えていてもよい。この場合には、処理容器2、ディスチャージ部5、関節ロボット6、掻き取り治具14、蓋部開閉治具15等は、作業室Rの内部に配置される。そして、この撹拌混合造粒装置1は、粉粒体の処理容器2への投入、ディスチャージ部5から排出された処理品の移動等も含め、作業室R内の全ての作業を、関節ロボット6により行うことができるように構成されている。
【0062】
また、上記実施形態では、排出工程、洗浄工程で、ロボットアーム6aの動作により、撮像装置13で撮像していたが、例えば、撹拌混合造粒装置1の運転準備や、メンテナンスの際に、ロボットアーム6aの動作により、撮像装置13で撮像し、その撮像結果に基づいて、その部位の異常の有無を判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 撹拌混合造粒装置
2 処理容器
2a 底面(底部)
3,3a,3b,3c 撹拌羽根
6 関節ロボット
6a ロボットアーム
12 排出口
14 掻き取り治具
B 排出工程(第1の排出工程)
C 排出工程(掻き落とし工程)
D 排出工程(第2の排出工程)
P 排出位置
Ra,Rb,Rc 区画領域
図1
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