(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230306BHJP
G10L 15/10 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
G06Q50/10
G10L15/10 200W
(21)【出願番号】P 2021182525
(22)【出願日】2021-11-09
(62)【分割の表示】P 2020144038の分割
【原出願日】2020-01-06
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】511113970
【氏名又は名称】株式会社インタラクティブソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】関根 潔
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-178087(JP,A)
【文献】特開2008-254103(JP,A)
【文献】特開2019-124750(JP,A)
【文献】特開2008-152605(JP,A)
【文献】特開2007-256714(JP,A)
【文献】特開2004-288008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G10L 15/00 - 15/34
G06F 3/048 - 3/0489
G06F 3/16
G06F 16/00 - 16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレゼンテーション資料と,前記プレゼンテーション資料に関する複数のキーワードと,前記プレゼンテーション資料に関する説明文であって当該説明文は前記複数のキーワードを含むものと,を記憶する資料記憶部(5)と,
前記プレゼンテーション資料に関する音声情報を含むプレゼンテーションを記憶する音声記憶部(7)と,
前記音声記憶部が記憶したプレゼンテーションに含まれる用語を解析する音声解析部(9)と,
前記音声解析部が解析した音声に含まれる前記複数のキーワードの登場順番を解析し,解析した登場順番に基づいて,前記複数のキーワードの順番を変更するキーワード順調整部(11)と,
前記キーワード順調整部(11)が変更した複数のキーワードの順番に基づいて前記説明文を更新する説明文更新部(15) と
を含む,
システム(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって,
前記説明文更新部(15)が更新した前記説明文を音声出力するための音声出力部をさらに有する,
システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって,
表示部(3)と,
前記表示部(3)に表示させる内容を制御する表示制御部(13)と,をさらに含み,
前記表示制御部(13)は,前記説明文更新部(15)が更新した前記説明文を前記表示部(3)に表示するように表示情報を制御する,
システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって,
前記システムは,
前記音声解析部(9)が解析した前記プレゼンテーションに含まれる用語が,前記複数のキーワードの順番と異なる時は,アラートを出力するアラート出力部(21)をさらに有する,
システム。
【請求項5】
コンピュータを,
プレゼンテーション資料と,前記プレゼンテーション資料に関する複数のキーワードと,前記プレゼンテーション資料に関する説明文であって当該説明文は前記複数のキーワードを含むものと,を記憶する資料記憶手段と,
前記プレゼンテーション資料に関する音声情報を含むプレゼンテーションを記憶する音声記憶手段と,
前記音声記憶手段が記憶したプレゼンテーションに含まれる用語を解析する音声解析手段と,
前記音声解析手段が解析した音声に含まれる前記複数のキーワードの登場順番を解析し,解析した登場順番に基づいて,前記複数のキーワードの順番を変更するキーワード順調整手段と,
前記キーワード順調整手段が変更した複数のキーワードの順番に基づいて前記説明文を更新する説明文更新手段と
を含む,
システムとして機能させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムであって,
前記コンピュータを,
前記説明文更新手段が更新した前記説明文を音声出力するための音声出力手段をさらに有するか,又は
前記説明文更新手段が更新した前記説明文を表示手段に表示するように制御するための表示制御手段をさらに有するシステム
として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,システムに関する。より詳しく説明すると,この発明は,コンピュータを用いて,機械によるプレゼンテーションや,通常のプレゼンテーターであっても効果的なプレゼンテーションを行うことができるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002-259635号公報には,議論参加者が議論する過程でなされた発言の中からキーワードを図形オブジェクトとテキストとの組み合わせにより表示するシステムが記載されている。
【0003】
特開2017-224052号公報には,プレゼンテーション評価装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-259635号公報
【文献】特開2017-224052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は,機械によるプレゼンテーションや,通常のプレゼンテーターであっても効果的なプレゼンテーションを行うことができるプレゼンテーション支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
複数のMR,塾講師,及び営業マンに対して,それぞれ同じプレゼンテーション資料(例えばパワーポイント(登録商標))を用いて営業させた。すると,優秀なMR,優秀な塾講師,優秀な営業マンといった優秀なプレゼンテーターは,それぞれのプレゼンテーション資料の各頁におけるキーワードの出現順番にあるパターンがあることが分かった。一方,優秀でないプレゼンテーターのキーワードの出現順番は,パターン化が難しいことが分かった。
【0007】
上記の課題は,基本的には,あるプレゼンテーション資料に関して,あるシチュエーションに適したプレゼンテーションを行った者のプレゼンテーションを録音等しておいて,そのプレゼンテーションに含まれる用語を解析し,解析した用語に含まれるキーワードの出現順番を解析することで,キーワードを用いる最適な順を決めることができるという知見に基づく。この発明は,優秀なプレゼンテーターの説明におけるキーワードの登録順を明確に示すことで,機械がプレゼンテーションを行う場合や,通常のプレゼンテーターがプレゼンテーションを行う場合であっても,一定の品質を確保できるという知見に基づく。
【0008】
この明細書に記載されるある発明は,プレゼンテーション支援システムに関する。このシステムは,コンピュータを用いたシステムである。
【0009】
このシステムは,表示部3と,資料記憶部5と,音声記憶部7と,音声解析部9と,キーワード順調整部11と,表示制御部13を含む。本明細書における各部は,コンピュータにおける各手段や各要素によって実現できる。それらは,ソフトウェア又はハードウェアにより実現してもよいし,ソフトウェアとハードウェアの協働により実現してもよい。
【0010】
資料記憶部5は,プレゼンテーション資料とプレゼンテーション資料に関する複数のキーワードとを記憶するための要素である。
音声記憶部7は,プレゼンテーション資料に関する音声情報を含むプレゼンテーションを記憶するための要素である。
音声解析部9は,音声記憶部7が記憶したプレゼンテーションに含まれる用語を解析するための要素である。
キーワード順調整部11は,音声解析部9が解析した音声に含まれる複数のキーワードの登場順番を解析し,解析した登場順番に基づいて,複数のキーワードの順番を変更するための要素である。
表示制御部13は,表示部3に表示させる内容を制御するための要素である。表示制御部13は,キーワード順調整部11が変更した複数のキーワードの順番に基づいて表示部3に複数のキーワードを表示するように制御する。
【0011】
このシステムの好ましい例は,資料記憶部5が,プレゼンテーション資料に関する説明文をさらに記憶する。プレゼンテーション資料に関する説明文は,複数のキーワードを含む。そして,システム1は,キーワード順調整部が変更した複数のキーワードの順番に基づいて説明文を更新する説明文更新部15をさらに有する。
【0012】
このシステムの好ましい例は,資料記憶部5は,複数のキーワードのそれぞれのキーワードに関する1又は複数の関連語をさらに記憶するものである。
そして,システムは,キーワード調整部17をさらに有する。キーワード調整部17は,音声解析部が解析した用語に基づいて,複数のキーワードのそれぞれについて,複数のキーワードに含まれるあるキーワードよりも当該あるキーワードの関連語の方が多く用いられていたと判断した場合に,当該あるキーワードに変えて当該関連語を新たなキーワードとなるように,資料記憶部5に記憶される複数のキーワードを調整するための要素である。
【0013】
このシステムの好ましい例は,キーワード候補抽出部19をさらに有する。キーワード候補抽出部19は,音声解析部9が解析した用語について,複数のキーワード,及び関連語以外の用語の頻度を解析し,頻度が高い用語を新たなキーワード,又は新たなキーワードの候補として抽出するための要素である。
【0014】
このシステムの好ましい例は,資料記憶部5が,複数のキーワードのそれぞれのキーワードに関する1又は複数の関連語をさらに記憶する。そして,このシステム(又はこのシステムのキーワード候補抽出部19)は,音声解析部が解析した用語に基づいて,複数のキーワードのそれぞれについて,複数のキーワードに含まれるあるキーワードよりも当該あるキーワードの関連語の方が多く用いられていた場合に,当該関連語を新たなキーワードの候補として抽出する。
【0015】
このシステムの好ましい例は,音声解析部9が解析したプレゼンテーションに含まれる用語が,複数のキーワードの順番と異なる時は,アラートを出力するアラート出力部21をさらに有する。
【0016】
この明細書に記載されたある発明は,コンピュータプログラムに関する。このプログラムは,コンピュータを上記したプレゼンテーション支援システムとして機能させるためのプログラムである。具体的に説明すると,このプログラムは,コンピュータを,
表示手段と,
プレゼンテーション資料とプレゼンテーション資料に関する複数のキーワードとを記憶する資料記憶手段と,
プレゼンテーション資料に関する音声情報を含むプレゼンテーションを記憶する音声記憶手段と,
音声記憶手段が記憶したプレゼンテーションに含まれる用語を解析する音声解析手段と,
音声解析手段が解析した音声に含まれる複数のキーワードの登場順番を解析し,解析した登場順番に基づいて,複数のキーワードの順番を変更するキーワード順調整手段と,
表示手段に表示させる内容を制御する表示制御手段と,を含み,
表示制御手段は,キーワード順調整手段が変更した複数のキーワードの順番に基づいて表示手段に複数のキーワードを表示するように制御する,
プレゼンテーション支援システムとして機能させるためのプログラムである。このプログラムは,例えば,コンピュータを上記したシステムとして機能させるためのものである。
【0017】
この明細書に記載されるある発明は,上記したプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体に関する。
【発明の効果】
【0018】
この発明は,機械によるプレゼンテーションや,通常のプレゼンテーターであっても効果的なプレゼンテーションを行うことができるプレゼンテーション支援システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は,プレゼンテーション支援システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は,コンピュータの基本構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は,本発明のシステム例を示す概念図である。
【
図4】
図4は,プレゼンテーション資料の表示例を示す概念図である。
【
図5】
図5は,キーワード順調整部により調整された語順のキーワードを示す概念図である。
【
図6】
図6は,説明文表示領域を有する表示画面の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0021】
この明細書に記載されるある発明は,プレゼンテーション支援システムに関する。このシステムは,コンピュータを用いたシステムである。
【0022】
図1は,プレゼンテーション支援システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示されるように,このシステム1は,表示部3と,資料記憶部5と,音声記憶部7と,音声解析部9と,キーワード順調整部11と,表示制御部13を含む。なお,このシステムは,
図1に示されるように,説明文更新部15,キーワード調整部17,キーワード候補抽出部19,及びアラート出力部21をさらに含んでもよく,コンピュータが備える各種要素を適宜含んでもよい。
【0023】
本明細書における各部は,コンピュータにおける各手段や各要素によって実現できる。それらは,ソフトウェア又はハードウェアにより実現してもよいし,ソフトウェアとハードウェアの協働により実現してもよい。このシステムは,コンピュータにより実装されてもよいし,コンピュータとサーバを用いたサーバ・クライアントシステムにより実装されてもよい。コンピュータは,携帯端末,デスクトップ型パーソナルコンピュータ,及びサーバのいずれか又は2つ以上の組み合わせであってもよい。これらは通常インターネット(イントラネット)等により情報の授受を行うことができるように接続されている。一部の機能をいずれかのコンピュータにもたせるなど,複数のコンピュータを用いて,機能を分担してもよい。
【0024】
図2は,コンピュータの基本構成を示すブロック図である。この図に示されるように,コンピュータは,入力部31,出力部33,制御部35,演算部37及び記憶部39を有しており,各要素は,バス41などによって接続され,情報の授受を行うことができるようにされている。例えば,記憶部には,制御プログラムが記憶されていてもよいし,各種情報が記憶されていてもよい。入力部から所定の情報が入力された場合,制御部は,記憶部に記憶される制御プログラムを読み出す。そして,制御部は,適宜記憶部に記憶された情報を読み出し,演算部へ伝える。また,制御部は,適宜入力された情報を演算部へ伝える。演算部は,受け取った各種情報を用いて演算処理を行い,記憶部に記憶する。制御部は,記憶部に記憶された演算結果を読み出して,出力部から出力する。このようにして,各種処理が実行される。この各種処理を実行するものが,各手段である。
【0025】
図3は,本発明のシステム例を示す概念図である。
図3に示されるように,本発明のシステム(本発明の装置を含むシステム)は,インターネット又はイントラネット43と接続された携帯端末45と,インターネット又はイントラネット43に接続されたサーバ47とを含むものであってもよい。もちろん,単体のコンピュータや携帯端末が,本発明の装置として機能してもよいし,複数のサーバが存在してもよい。
【0026】
表示部3は,コンピュータに基づいて,各種情報を表示するための要素である。コンピュータの出力部33の一種であるモニタ又はディスプレイや,スマートフォンのタッチパネルが表示部3として機能する。表示部3は,プロジェクタであっても構わない。プレゼンテーションを行う場合は,コンピュータやタブレットのモニタが表示部3として機能する他,プレゼンテーション資料がプロジェクタにより放映されてもよい。この場合,後述するように,モニタには,プレゼンテーション資料のみならず,キーワードの語順に関する情報及び説明分のいずれか又は両方が合わせて表示されてもよい。
【0027】
資料記憶部5は,プレゼンテーション資料とプレゼンテーション資料に関する複数のキーワードとを記憶するための要素である。コンピュータの記憶部が,資料記憶部5として機能する。プレゼンテーション資料の例は,パワーポイント(登録商標),又はpdf(登録商標)で作成された資料である。プレゼンテーション資料とは,例えばパワーポイント(登録商標)といったソフトウェアで作成された一連の資料の全体(あるファイル)を意味したり,ある特定のページを意味する。例えば,プレゼンテーション資料ごとに識別番号やIDが割り当てられている。そして,資料記憶部5では,割り当てられた情報(識別番号やID),又は識別番号及びページ番号(スライド番号)と関連して,複数のキーワードが記憶されている。このようにして,それぞれのプレゼンテーション資料又は各資料の各ページ(各スライド)と,それぞれのプレゼンテーション資料に関連する複数のキーワードが関連づけられて記憶される。
【0028】
プレゼンテーション資料の例は,糖尿病に関する新薬Xに関するパワーポイント資料である。そして,そのプレゼンテーション資料に関する複数のキーワードの例は,そのパワーポイント資料に関するキーワードである「糖尿病」,「X」,「投与量」,「副作用」,「めまい」,「眠気」,(投与してはならない対象である)「妊婦」,及び(投与してはならない対象である)「19歳以下」である。これらは,例えば,プレゼンテーション資料の識別番号(及び各ページ番号)に関連して,資料記憶部5に記憶される。
【0029】
図4は,プレゼンテーション資料の表示例を示す概念図である。この例では,例えばパワーポイントにより作成されたプレゼンテーション資料のある頁を表示するプレゼンテーション領域51,及びキーワードを表示するキーワード表示領域53が表示部3に表示される。プロジェクタや,相手方のモニタ(相手方の表示部)には,例えばプレゼンテーション領域51の表示画像が表示される。相手方の表示部の例は,相手方のモニタ,複数の生徒用のディスプレイ,及び複数の聴衆用のディスプレイである。
【0030】
音声記憶部7は,プレゼンテーション資料に関する音声情報を含むプレゼンテーションを記憶するための要素である。コンピュータの記憶部が,音声記録部7として機能する。プレゼンテーションは,プレゼンテーション資料に基づいてプレゼンテーターが説明等を行った際の音声や映像である。プレゼンテーションは,マイクなどの収音機器(コンピュータの入力部)を介して,電気情報に変換されてコンピュータに入力された音声情報であってもよい。また,プレゼンテーションは,ビデオなどの収録機器を介して,電気情報に変換されてコンピュータに入力された映像及び音声情報であってもよい。このようにコンピュータの入力部から入力された音声情報(及び映像)が,音声記憶部7としての記憶部に記憶されることとなる。
【0031】
音声解析部9は,音声記憶部7が記憶したプレゼンテーションに含まれる用語を解析するための要素である。音声解析部9は,例えば,記憶部に記憶された制御プログラムにより実装される。音声認識装置は,公知である。このため,音声解析部は,公知の音声認識装置のものを適宜用いることができる。例えば,音声記録部7に記憶されたプレゼンテーションのうち音声情報を読み取る。そして,コンピュータの制御部は,記憶部に記憶された制御プログラムを読み出して,読み出した音声情報を演算部に解析させる。この際,記憶部に記憶された複数の用語及びその用語の音声情報を読み出し,プレゼンテーションに含まれる用語を解析すればよい。そして,解析された用語を適宜記憶部に記憶させればよい。このようにして,音声解析部9は,音声記憶部7が記憶したプレゼンテーションに含まれる用語を解析できる。
【0032】
例えば,プレゼンテーションを行った者の情報やプレゼンテーション相手に関する情報とともに,プレゼンテーションに含まれる用語を解析し記憶部に記憶すればよい。プレゼンテーションを行った者の情報を記憶部に記憶してもよい。プレゼンテーションを行った者の情報の例は,社員番号,氏名,性別,年齢,営業成績,役職,出身地,プレゼンテーションの評価,勤続年数,及び担当年数である。プレゼンテーション相手に関する情報の例は,病院の規模,病院の地方,講演か一人の医者向けか,及び(医者向けの場合)医者に関する情報である。プレゼンテーション相手に関する情報の別の例は,講義の地域,受講者のレベル,受講者の学年,受講人数,受講者の職業,受講者の業務内容,受講者の勤務年数,及び受講者の役職である。
【0033】
キーワード順調整部11は,音声解析部9が解析した音声に含まれる複数のキーワードの登場順番を解析し,解析した登場順番に基づいて,複数のキーワードの順番を変更するための要素である。音声解析部9が,プレゼンテーションに含まれる用語を解析し,記憶部に記憶している。一方,複数のキーワードも,資料記憶部5に記憶されている。キーワード順調整部は,これらを読み出すとともに,用語が複数のキーワードと一致するか否か判断し,これにより複数のキーワードの出現順を求めることができる。
【0034】
キーワード順調整部11は,機械学習プログラムを含んでもよい。機械学習プログラムの指令に従って,記憶部に蓄積された用語データを自動的に解析し,複数のキーワードの登録順番を自動的に調整できるようにされていてもよい。このような機械学習プログラムは公知である。
【0035】
例えば,あるプレゼンテーターのプレゼンテーションでは,「X」,「糖尿病」,「妊婦」,「19歳以下」,「副作用」,「めまい」,「眠気」,「投与量」,の順にキーワードが出現した場合,そのプレゼンテーターに関する情報とともに,このキーワードが出願した順番を記憶部に記憶する。これは,例えば,東京地区で営業成績の良かったMRや塾講師のプレゼンテーションによるキーワードの出現順を集めて,その語順を記憶し,キーワードの順番を調整して,記憶部に記憶するようにすればよい。
【0036】
図5は,キーワード順調整部により調整された語順のキーワードを示す概念図である。この例では,「X」,「糖尿病」,「妊婦」,「19歳以下」,「副作用」,「めまい」,「眠気」,「投与量」,の順にキーワードが変化されるとともに,東京地区,人気MRのタグが付され,合わせて記憶されている。このようなタグが降られているので,例えば,人気MRの検索情報を用いて,上記の語順のキーワードを読み出すことができる。また,例えば東京地区.人気MRの検索情報を用いて,上記の語順のキーワードを読み出すことができる。
【0037】
表示制御部13は,表示部3に表示させる内容を制御するための要素である。表示制御部13は,キーワード順調整部11が変更した複数のキーワードの順番に基づいて表示部3に複数のキーワードを表示するように制御する。これにより,キーワードの語順をカスタマイズすることができる。例えば,プレゼンテーターの属性を用いて,優秀な話者とそうでない話者,大病院向けと小規模病院向け,専門医向けと一般医向け,東京の病院向けと地方の病院向けなど,様々な用途に合わせてキーワードの語順をカスタマイズできる。この表示制御部13により,
図5に示されるような表示を行うことができる。
【0038】
このシステムの好ましい例は,資料記憶部5が,プレゼンテーション資料に関する説明文をさらに記憶する。プレゼンテーション資料に関する説明文は,複数のキーワードを含む。そして,システム1は,キーワード順調整部が変更した複数のキーワードの順番に基づいて説明文を更新する説明文更新部15をさらに有する。
【0039】
図6は,説明文表示領域を有する表示画面の例を示す概念図である。
図6に示されるように,この例では,キーワード表示領域53に表示されたキーワードの順に,説明文章が作成され,説明文表示領域55に表示されている。この説明文表示領域55は,プレゼンテーター用の表示部3にのみ表示されてもよいし,相手方の表示部にも表示されるようにされてもよいし,相手方の表示する,又は表示しないかを切り替えることができるようにされていてもよい。このような制御は,このような処理を行うプログラムを実装したコンピュータを用いることで容易に行うことができる。
【0040】
例えば,機械(ロボット)が音声出力部を有する場合,資料記憶部5が記憶する説明文(に含まれるテキスト)を音声出力部を用いて音声出力させることで,機械によるプレゼンテーションを行わせることができる。このようにこの発明を用いれば,最適なプレゼンテーションを機械に行わせることができることとなる。
【0041】
このシステムの好ましい例は,資料記憶部5が,複数のキーワードのそれぞれのキーワードに関する1又は複数の関連語をさらに記憶するものである。ここでいう関連語は,同じ意味を有する用語ばかりでなく,用語を用いることで同様の意味を表すものも含む。 そして,システムは,キーワード調整部17をさらに有する。キーワード調整部17は,音声解析部が解析した用語に基づいて,複数のキーワードのそれぞれについて,複数のキーワードに含まれるあるキーワードよりも当該あるキーワードの関連語の方が多く用いられていたと判断した場合に,当該あるキーワードに変えて当該関連語を新たなキーワードとなるように,資料記憶部5に記憶される複数のキーワードを調整するための要素である。プレゼンテーションの説明文ノートやスクリプトに含まれるキーワードについて,よく用いられている関連語があればそちらに置き換えることができる。これにより,時代の変化にも柔軟に対応することができることとなる。また,これにより方言にも柔軟に対応できることとなる。各キーワードの関連語辞書を用意しておいて,キーワードの第1候補以外のものの方がよく用いられている場合は,キーワードを変えるようにすればよい。この場合,あるキーワードの関連語を新たなキーワードとするとともに,あるキーワードを新たなキーワードの関連語として,資料記憶部に記憶してもよい。このようにして,あるプレゼンテーション資料に関するキーワードとそのキーワードに関する関連語が更新されるようにしてもよい。
【0042】
なお,「頻度が低くても特徴的な用語」があれば,キーワードとして資料記憶部に記憶するようにしてもよい。特徴的な用語か否かは,例えばキーワード候補用のデータベースを用意し,そのデータベースに含まれる用語が,音声解析部が解析した用語に含まれれば,その用語を新たなキーワードとするようにしてもよい。このように,キーワード辞書に登録されていない未知のキーワードがある場合には,未知のキーワードがあることを示すようにしてもよい。そして,入力部からの入力があれば,その未知のキーワードを,新たなキーワードとして,辞書に登録するようにしてもよい。
【0043】
例えば,複数のプレゼンテーションを収録し,用語を解析した際に,「妊婦」より「妊娠」の方が多く用いられていたとする。この場合,資料記憶部5は,例えばキーワード「妊婦」と関連して,「妊娠」,「おめでた」,「お腹が大きい」といった関連語を記憶しており,演算部がプレゼンテーションがなされたこれらの頻度を記憶部から読み出して,演算部が演算処理し,その結果,コンピュータは,「妊婦」より「妊娠」の方が多く用いられていたことを把握できる。すると,資料記憶部5が記憶するキーワードが,「妊婦」から「妊娠」に更新され,それにともない,キーワード表示領域53に表示されるキーワードや,説明文表示領域55に表示される説明文章が自動的に更新されてもよい。この場合,例えば,元のキーワードであった「妊婦」は,このプレゼンテーション資料に関する新たなキーワードである「妊娠」の関連語として,資料記憶部に記憶されればよい。
【0044】
このシステムの好ましい例は,キーワード候補抽出部19をさらに有する。キーワード候補抽出部19は,音声解析部9が解析した用語について,複数のキーワード,及び関連語以外の用語の頻度を解析し,頻度が高い用語を新たなキーワード,又は新たなキーワードの候補として抽出するための要素である。これにより,プレゼンテーションにキーワードを表示するものであって,キーワード及びその関連語以外の用語でよく用いられている用語があれば新たなキーワード,又は新たなキーワードの候補とする。頻度は,例えば,あるプレゼンテーション資料に関する複数のキーワードのいずれかより多い頻度であってもよいし,すべてのキーワードのいずれもよりも高い頻度であってもよい。そのようなキーワードは,プレゼンテーションを効果的にするうえで重要な用語なので,プレゼンテーションをスムーズに行わせることができるようになる。
【0045】
キーワード候補抽出部19は,機械学習プログラムを含んでもよい。機械学習プログラムの指令に従って,記憶部に蓄積された用語データを自動的に解析し,自動的に頻度が高い用語を新たなキーワードの候補として抽出するようにされていてもよい。このような機械学習プログラムは公知である。自動的に抽出された新たなキーワード,又はキーワードの候補は,適宜表示部3に表示されればよい。そして,キーワードの候補が表示部に表示された場合,管理者等からの承認に関する情報がコンピュータに入力されたときは,その指令を受けて,承認されたキーワードの候補を,そのプレゼンテーション資料(又はそのある頁)に関するキーワードの一つとして,記憶部に記憶させればよい。
【0046】
このシステムの好ましい例は,資料記憶部5が,複数のキーワードのそれぞれのキーワードに関する1又は複数の関連語をさらに記憶する。そして,このシステム(又はこのシステムのキーワード候補抽出部19)は,音声解析部が解析した用語に基づいて,複数のキーワードのそれぞれについて,複数のキーワードに含まれるあるキーワードよりも当該あるキーワードの関連語の方が多く用いられていた場合に,当該関連語を新たなキーワードの候補として抽出する。
【0047】
例えば,プレゼンテーションにA製品とB製品が含まれる場合,キーワードである「A製品」と「B製品」の関連語である同じ対象疾患に対する他社の治療薬である「C製品」がそれぞれの関連語の一つとして資料記憶部5に記憶されている。そして,そのプレゼンテーションに「A製品」と「C製品」という用語が含まれている場合,そのプレゼンテーション資料に関するキーワードの新たな候補として,資料記憶部5に記憶されている複数の関連語から「C製品」を新たなキーワード(又はキーワードの候補として抽出する)。新たなキーワード又は新たなキーワードの候補が抽出されたのちの処理は,先に説明した処理と同様である。
【0048】
このシステムの好ましい例は,音声解析部9が解析したプレゼンテーションに含まれる用語が,複数のキーワードの順番と異なる時は,アラートを出力するアラート出力部21をさらに有するものである。
【0049】
この例は,システムが,プレゼンテーション資料を記憶部から読み出し,表示部に表示する。システムは,その資料(又はその資料のある頁)に関するキーワードの順番を記憶部から読み出す。そして,マイクなどの入力部から,プレゼンテーターのプレゼンテーションが入力される。音声解析部は,入力されたプレゼンテーションを解析し,用語を判断する。そして,その用語が,いずれのキーワード(又は関連語)であるか,キーワード(又は関連語)でないか判断する。そのうえで,解析した用語があるキーワード(又はその関連語)である場合は,その用語がキーワードの順番どおりであるか判断する。そして,キーワードの順番どおりの場合は,処理を続ける。一方,キーワードの順番どおりでなければ,アラートを出力する。アラートの例は,キーワード表示領域53における正しいキーワードを強調表示するというものである。
【0050】
この明細書に記載されるある発明は,コンピュータプログラム及びそのプログラムを記憶した情報記録媒体(CD-ROMなど)に関する。このプログラムは,基本的には,コンピュータを上記したいずれかのプレゼンテーション支援システムとして機能させるためのコンピュータが読み取ることができるプログラムである。例えば,そのようなプログラムは,コンピュータを,表示手段と,プレゼンテーション資料とプレゼンテーション資料に関する複数のキーワードとを記憶する資料記憶手段と,プレゼンテーション資料に関する音声情報を含むプレゼンテーションを記憶する音声記憶手段と,音声記憶手段が記憶したプレゼンテーションに含まれる用語を解析する音声解析手段と,音声解析手段が解析した音声に含まれる複数のキーワードの登場順番を解析し,解析した登場順番に基づいて,複数のキーワードの順番を変更するキーワード順調整手段と, 表示手段に表示させる内容を制御する表示制御手段と,を含み,表示制御手段は,キーワード順調整手段が変更した複数のキーワードの順番に基づいて表示手段に複数のキーワードを表示するように制御する,プレゼンテーション支援システムとして機能させるためのプログラムである。各種手段は,上記したシステムの各部に相当する。
【0051】
このプログラムは,資料記憶手段が,プレゼンテーション資料に関する説明文をさらに記憶し,プレゼンテーション資料に関する説明文は,複数のキーワードを含み,コンピュータが,キーワード順調整手段が変更した複数のキーワードの順番に基づいて説明文を更新する説明文更新手段をさらに有するように機能させるものであってもよい。
【0052】
このプログラムは,資料記憶手段が,複数のキーワードのそれぞれのキーワードに関する1又は複数の関連語をさらに記憶し,コンピュータが,音声解析手段が解析した用語に基づいて,複数のキーワードのそれぞれについて,複数のキーワードに含まれるあるキーワードよりも当該あるキーワードの関連語の方が多く用いられていたと判断した場合に,当該あるキーワードに変えて当該関連語を新たなキーワードとなるように,資料記憶手段に記憶される複数のキーワードを調整するキーワード調整手段をさらに有するように機能させるものであってもよい。
【0053】
このプログラムは,コンピュータを,音声解析手段が解析した用語について,複数のキーワード,及び関連語以外の用語の頻度を解析し,頻度が高い用語を新たなキーワードの候補として抽出するキーワード候補抽出手段をさらに有するように機能させるものであってもよい。
【0054】
このプログラムは,コンピュータが,音声解析手段が解析したプレゼンテーションに含まれる用語が,複数のキーワードの順番と異なる時は,アラートを出力するアラート出力手段をさらに有するように機能させるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
この発明は,プレゼンテーション支援システムに関するので,情報関連産業において利用されうる。
【符号の説明】
【0056】
1 プレゼンテーション支援システム
3 表示部
5 資料記憶部
7 音声記憶部
9 音声解析部
11 キーワード順調整部
13 表示制御部
15 説明文更新部
17 キーワード調整部
19 キーワード候補抽出部
21 アラート出力部