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特許72373903Dキャパシタ、及び光活性基板を作製するキャパシタアレイ
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  • 特許-3Dキャパシタ、及び光活性基板を作製するキャパシタアレイ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】3Dキャパシタ、及び光活性基板を作製するキャパシタアレイ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/33 20060101AFI20230306BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20230306BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20230306BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20230306BHJP
   H01G 4/10 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01G4/30 541
H01G4/30 544
H01L21/90 Z
H01G4/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022003207
(22)【出願日】2022-01-12
(62)【分割の表示】P 2018544793の分割
【原出願日】2017-02-24
(65)【公開番号】P2022058587
(43)【公開日】2022-04-12
【審査請求日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】62/299,641
(32)【優先日】2016-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516218823
【氏名又は名称】スリーディー グラス ソリューションズ,インク
【氏名又は名称原語表記】3D GLASS SOLUTIONS,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(72)【発明者】
【氏名】フレミング ジェブ エイチ
(72)【発明者】
【氏名】バリントン ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】マクウェシー カイル
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-165025(JP,A)
【文献】特開2012-079960(JP,A)
【文献】特開2014-241365(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0941691(KR,B1)
【文献】特開昭63-128699(JP,A)
【文献】特開2008-227484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/33
H01G 4/30
H01L 21/768
H01G 4/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチングされた三次元構造を有する容量性デバイスであって、以下:
第1の感光性ガラスセラミック基板であって、
前記第1の感光性ガラスセラミック基板中の1又は2以上の第1の電気伝導路、及 び
前記1又は2以上の第1の電気伝導路に塗布される第1の金属被覆を含み、
シリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム、及び酸化セリウムを少なくとも含む、 前記第1の感光性ガラスセラミック基板と;
第2の感光性ガラスセラミック基板であって、
前記第2の感光性ガラスセラミック基板中の1又は2以上の第2の電気伝導路、及 び
前記1又は2以上の第2の電気伝導路に塗布される第2の金属被覆を含み、
シリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム、及び酸化セリウムを少なくとも含む、 前記第2の感光性ガラスセラミック基板と;
前記第1の感光性ガラスセラミック基板と前記第2の感光性ガラスセラミック基板との間に位置する誘電体材料の層と;
前記第1の感光性ガラスセラミック基板と前記第2の感光性ガラスセラミック基板とを接続する1又は2以上のビア、ポストチャネル、又はそれらの組合せであって、
前記容量性デバイス中の電気容量を増大させる増大した表面積を有する前記1又は2以上のビア、ポストチャネル、又はそれらの組合せを有し、前記エッチングされた三次元構造の異方性エッチング比が、少なくとも30:1である、前記1又は2以上のビア、ポストチャネル、又はそれらの組合せと;
前記第1の感光性ガラスセラミック基板に接続される、前記1又は2以上のビア、ポストチャネル、又はそれらの組合せの各々の第1の末端、及び前記第2の感光性ガラスセラミック基板に接続される、前記1又は2以上のビア、ポストチャネル、又はそれらの組合せの各々の第2の末端と;
を備える、前記容量性デバイス。
【請求項2】
第1の金属被覆、第2の金属被覆、又はその両方が、Au、Ag、Pt、Cu、W、TiW、TiN、TaN、WN、Al、又はそれらの混合物若しくは合金を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
誘電体材料の層が、Ta、Al、又は他の気相誘電体を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
第1の金属被覆、第2の金属被覆、又はその両方が、原子層堆積(ALD)を用いて塗布される、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性ガラス内セラミック基板中に三次元キャパシタ構造を創成すること(creating)、特に、電子、マイクロ波、及びラジオ周波数に関するフィルタ、サージ保護装置(surge protectors)、及び貯蔵装置を目的として、他の受動部品と共にキャパシタを製造することに関する。
【背景技術】
【0002】
集積電子素子といったいくつかのマイクロマシニング(micromachining)及びマイクロファブリケーションプロセス(microfabrication processes)を目的として、他の素子システム又はサブシステムと共に、感光性ガラス構造が提案されている。従来のガラスのシリコンマイクロファブリケーションは、高価及び低収量であり、さらに射出モデリング又はエンボス加工プロセスによって不整合な形状を生成する。シリコンマイクロファブリケーション処理は、高価な基礎装備、各々に100万ドルを超える費用が一般的にかかる、フォトリソグラフィ、及び反応性イオンエッチング又はイオンビームミリング器具に依拠し、さらに数百万から数十億の費用がかかる超清浄で高生産なシリコンファブリケーション設備を必要とする。射出成形及びエンボス加工は、より安価な三次元形状の生成方法であるが、転写において欠陥が生じるか、又は確率的な硬化プロセスに起因する差異が存在する。
【0003】
本発明は、費用効率の高いガラスセラミック三次元キャパシタ構造又は三次元キャパシタアレイデバイスを創成する。本発明において、ガラスセラミック基板は、垂直平面及び水平平面の両方を、個別に、又は同時に加工するステップを通してそのような構造を形成し、二次元又は三次元容量性デバイス(capacitive device)を形成する能力を示した。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、ビア又はポストを有する感光性ガラス基板を調製するステップ、さらに導電層(通常は金属)、誘電体材料、及び最上層導電層(通常は金属)を、1又は2以上被覆、又は充填するステップによって、二次元又は三次元キャパシタデバイスを1又は2以上有する基板を作製する方法を含む。
【0005】
シリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム、及び酸化セリウムを少なくとも含む感光性ガラスセラミック複合基板を調製するステップ、感光性ガラス基板中に、二次元又は三次元キャパシタデバイスを1又は2以上含むデザインレイアウトをマスキングするステップ、感光性ガラス基板の少なくとも一部分を活性エネルギー源に露光するステップ、感光性ガラス基板を、そのガラス転移温度を上回る、少なくとも10分間の加熱相にさらすステップ、感光性ガラス基板を冷却し、露光されたガラスの少なくとも一部を結晶性材料へ転換して結晶性ガラス基板を形成するステップ、並びに結晶性ガラス基板をエッチング溶液でエッチングし、その後容量性デバイスの製造に使用される傾斜チャネル(angled channels)又は貫通孔を1又は2以上形成するステップによって作製する方法、並びに調製さ
れるデバイス。
【0006】
本発明は、第1の結晶性ガラス基板であって、第1の結晶性ガラス基板中の1又は2以上の電気伝導路、及び1又は2以上の電気伝導路に塗布される金属被覆を含み、第1の結晶性ガラス基板が、シリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム、及び酸化セリウムを少なくとも含む、第1の結晶性ガラス基板、第2の結晶性ガラス基板であって、第2の結晶性ガラス基板中の1又は2以上の第2の電気伝導路、及び1又は2以上の第2の電気伝導路に塗布される第2の金属被覆を含み、第2の結晶性ガラス基板が、シリカ、酸化リチウム
、酸化アルミニウム、及び酸化セリウムを少なくとも含む、第2の結晶性ガラス基板、第1の結晶性ガラス基板と第2の結晶性ガラス基板の間に位置する誘電体材料の層、並びに第1の結晶性ガラス基板と第2の結晶性ガラス基板を接続する1又は2以上のビア、ポスト、チャネル、又はそれらの組合せを含む、ガラスセラミック容量性デバイスを提供する。第1の末端は、第1の結晶性ガラス基板に接続されてもよく、第2の末端は、第2の結晶性ガラス基板に接続されてもよい。ガラスセラミック容量性デバイスが、電圧貯蔵装置として機能してもよい。金属被覆、第2の金属被覆、又はその両方が、Au、Ag、Pt、Cu、W、TiW、TiN、TaN、WN、Al、又はそれらの混合物及び合金であってもよい。誘電体層が、Ta、Al、又はAlを含むがそれに限定されない他の気相誘電体であってもよい。
【0007】
本発明は、シリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム、及び酸化セリウムを少なくとも含む感光性ガラスセラミック基板を用意するステップ、感光性ガラスセラミック基板上のデザインレイアウトをマスキングするステップであって、デザインレイアウトが、1又は2以上の電気伝導路を形成する1又は2以上の構造を含む、ステップ、感光性ガラスセラミック基板の少なくとも一部分を活性エネルギー源に露光するステップ、感光性ガラスセラミック基板を、そのガラス転移温度を上回る、少なくとも10分間の加熱相まで加熱するステップ、感光性ガラスセラミック基板を冷却し、露光されたガラスの少なくとも一部を結晶性材料へ転換して結晶性ガラス基板を形成するステップ、結晶性ガラス基板をエッチング溶液でエッチングし、1又は2以上のエッチングされた三次元構造を結晶性ガラス基板中に形成するステップ、エッチングされた三次元構造に隣接する結晶性ガラス基板の一部分をセラミック相へ変換する任意のステップ、結晶性ガラス基板を希釈ガラスエッチング液でリンスし、ガラス領域に高表面積のテクスチャ(texture)を形成するステップ
、ビア又はポストチャネルを第1の金属で被覆し、底部電極を形成するステップ、構造の少なくとも一部分を誘電体媒体で被覆するステップ、ビア又はポストチャネルを第2の金属で被覆し、上部電極を形成するステップ、上部及び誘電体媒体の少なくとも一部分を除去し、電気接点又は独立デバイスを提供するステップ、並びに第1の金属、第2の金属、又はその両方を、表面又は埋設接点を介して回路に接続するステップを含む、感光性ガラスセラミックの中又は上に創成される容量性デバイスを製作する方法を提供する。
【0008】
第1の金属、第2の金属、又はその両方の被覆が、原子層堆積(ALD,atomic layer
deposition)を用いる。ガラスセラミック容量性デバイスが、電圧貯蔵装置として機能
する。第1の金属、第2の金属、又はその両方が、Au、Ag、Pt、Cu、W、TiW、TiN、TaN、WN、Al、又はそれらの混合物及び合金を含む。誘電体層が、Ta、Al、又は他の気相誘電体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明のさらなる利益及び利点は、添付の図面を参照し、例として与えられる以下のさまざまな実施形態の記載から、より明らかになる。
図1】直径が65um、中心間のピッチが72umの貫通孔ビアを示す図である。
図2】1mm厚の基板中のブラインドビアであって、ビア深さが440μm、頂部の直径が41μm、底部の直径が19μmのブラインドビアである。
図3】APEX(登録商標)ガラス中/上の、表面積が広く、アスペクト比が大きいデバイスの平面図である。
図4】APEX(登録商標)ガラス中/上の、充填貫通孔ビアの側面図である。
図5】ADLキャパシタ構造を有するブラインドビアの分解図を示すカラーの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のさまざまな実施形態の製作及び使用が以下に詳細に検討されるが、本発明は、
幅広いさまざまな具体的状況で具現化され得る、応用可能な多くの発明概念を提供すると理解されるべきである。本明細書で検討される具体的な実施形態は、本発明をなす及び使用する特定の方法の例示に過ぎず、発明の範囲を定めるものではない。
【0011】
本発明を容易に理解するために、多くの用語を以下に定義する。本明細書において定義される用語は、本発明に関する分野の当業者が通常理解する意味を有する。「a」、「an」及び「the」といった用語は、単数の実体のみを意味することを意図せず、説明のために使用され得る具体例の一般的な分類を含む。本明細書における専門用語は、本発明の具体的な実施形態を説明するために使用されるが、それらの用法は、特許請求の範囲において概説される場合を除き、発明の範囲を定めない。
【0012】
これらの需要に応えるため、本発明者らは、半導体、RF電子装置、マイクロ波電子装置、及び光学イメージングのための、新規の実装及び基板材料として、ガラスセラミック(APEX(登録商標))ガラスセラミック)を開発した。APEX(登録商標)ガラスセラミックは、第1世代半導体装置を使用し、簡単な3段階のプロセスで加工され、最終材料は、ガラス、セラミックの何れかに構成することができるか、又はガラス及びセラミックの両方の領域を含有することができる。APEX(登録商標)ガラスセラミックは、高密度のビアが容易に作製される、マイクロ流体能を示す、マイクロレンズ又はマイクロレンズアレイ、より硬質な実装体のための高いヤング率、ハロゲンを用いない製造、及び安価な製造が挙げられる、既存の材料に対するいくつかの利益を有する。フォトエッチング可能なガラスは、各種のマイクロシステム構成要素の作製に関し、いくつかの長所を有する。微細構造は、従来の半導体加工装置を使用し、これらのガラスを用いて比較的安価に生産されている。一般的に、ガラスは、高い温度安定性、良好な機械及び電気特性を有し、プラスチック及び多くの金属よりも良好な耐化学性を有する。我々の知る限り、唯一の市販のフォトエッチング可能なガラスは、Schott Corporation社が製作し、Invenios Inc.社のみに
よって米国に輸入されるFOTURAN(登録商標)である。FOTURAN(登録商標)は、微量な銀イオンに加えて微量な他の元素を含有するリチウムアルミニウムケイ酸塩ガラス、具体的には75~85重量%の酸化ケイ素(SiO)、7~11重量%の酸化リチウム(LiO)、3~6重量%の酸化アルミニウム(Al2O)、1~2重量%の酸化ナトリウム(NaO)、0.2~0.5重量%の三酸化アンチモン(Sb)又は酸化ヒ素(AsO3)、0.05~0.15重量%の酸化銀(AgO)、及び0.01~0.04重量%の酸化セリウム(CeO)を含む。本明細書で使用される場合、「APEX(登録商標)ガラスセラミック」、「APEX(登録商標)ガラス」又は単なる「APEX(登録商標)」という用語は、本発明のガラスセラミック組成物の一実施形態を表すために用いられる。
【0013】
酸化セリウムは、酸化セリウムの吸収バンド範囲内のUV光に露光されると増感剤として作用し、光子を吸収し、電子を失って、例えば
【0014】
[化1]
Ce3+ + Ag+ = Ce4+ + Ag0
【0015】
のように、隣接する酸化銀を還元して銀原子を形成させる。
【0016】
焼成プロセスにおいて、銀原子は、合体して銀ナノクラスターとなり、周囲のガラスの結晶化のための核生成部位を誘導する。マスクを通してUV光に露光される場合、ガラスの露光された領域のみが、続く熱処理において結晶化する。
【0017】
この熱処理は、ガラス転換温度付近の(例えば、FOTURAN(登録商標)に関しては空気
中で465℃より高い)温度で行う必要がある。結晶相は、未露光のガラス質非晶質領域
よりも、フッ化水素酸(HF)といったエッチング液に対する溶解度が高い。特に、FOTURAN(登録商標)の結晶領域は、非晶質領域よりも約20倍速く10%HF中でエッチン
グされ、露光された領域が除去された際に、約20:1の壁面斜面比(wall slopes ratios)の微細構造を可能とする。
【0018】
一般的に、性能、均一性、他者の利便性、及び有効性の問題に悩まされる微細構造形成において、ガラスセラミック材料の収める成功は限られている。過去のガラスセラミック材料で得られるエッチングアスペクト比は、およそ15:1であるのに対し、APEX(登録商標)ガラスの平均エッチングアスペクト比は、50:1を超える。これにより使用者は、より小さく、より深いフィーチャ(features)の創成が可能となる。さらに、我々の製造方法は、90%を超える製品収量を可能とする(伝来のガラスの収量は50%前後である)。最後に、伝来のガラスセラミックにおいては、ガラスのおよそ30%のみがセラミック状態へ変換するのに対し、APEX(商標)ガラスセラミックを用いる場合、この変換率は70%前後である。
【0019】
APEX(登録商標)ガラス組成物は、その性能の向上に関し、3つの主要な機構を与える:(1)より多量の銀により、粒界でより速くエッチングされる、より小さいセラミック結晶の形成がもたらされる、(2)シリカ含有量(HF酸によりエッチングされる主要成分)の低減により、未露光材料の不要なエッチングが低減される、並びに(3)アルカリ金属及び酸化ホウ素のより高い総重量パーセントにより、格段に均一なガラスが製造時に生じる。
【0020】
ガラスのセラミック化は、およそ20J/cmの310nmの光でガラス基板全体を露光することによって成し遂げられる。セラミック内部にガラス区域を創成しようとする場合、使用者は、ガラスをガラスのまま残すべき箇所を除き、全ての材料を露光する。一実施形態において、本発明は、異なる直径のさまざまな同心円を含有する石英/クロムマスクを提供する。
【0021】
本発明は、電子、マイクロ波、及びラジオ周波数用途のガラスセラミック構造の中又は上の誘導デバイスを作製する方法を含む。ガラスセラミック基板は、60~76重量%のシリカ、KOとNaOの組合せが6重量%~16重量%となる少なくとも3重量%のKO、0.003~1重量%の、AgO、及びAuOからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物、0.003~2重量%のCuO、BO3とAlの組合せが13重量%を超えない0.75重量%~7重量%のB及び6~7重量%のAl、8~15重量%のLiO、並びに0.001~0.1重量%のCeOを含むがそれらに限定されない、広範な組成変動を有する感光性ガラス基板であってもよい。この組成物、及び他の多様な組成物は、一般的にAPEX(登録商標)ガラスと称される。
【0022】
露光部分は、ガラス基板をガラス転換温度付近の温度まで加熱することによって結晶性材料へ転換され得る。ガラス基板をフッ化水素酸といったエッチング液でエッチングする場合、ガラスを広域スペクトル中間紫外線(broad spectrum mid-ultraviolet flood lamp)(約308~312nm)フラッドランプで露光する際の、未露光部分に対する露光
部分の異方性エッチング比は、少なくとも30:1であり、少なくとも30:1のアスペクト比を有する成形ガラス構造(shapedglass structure)が生じ、誘導構造が創成される。露光用のマスクは、誘導構造/デバイスを創成するために、連続するグレースケール(grey scale)の露光をもたらして湾曲構造を形成する、ハーフトーンマスクであり得る。フラッド露光(flood exposure)と共にデジタルマスクを使用することもでき、デジタルマスクは、誘導構造/デバイスの創成をもたらすために使用され得る。次いで、露光されたガラスは、通常2段階のプロセスで焼成される。銀イオンを銀ナノ粒子へ合体させることを目的として、420℃~520℃の間の温度範囲で10分~2時間の間加熱し、5
20℃~620℃の間の温度範囲で10分~2時間の間加熱し、銀ナノ粒子周囲に酸化リチウムを形成させる。ガラスプレートは、次いでエッチングされる。ガラス基板は、通常5体積%~10体積%のHF溶液からなるエッチング液でエッチングされ、露光部分の未露光部分に対するエッチング比は、広域スペクトル中間紫外線フラッドライトで露光する場合、少なくとも30:1であり、レーザーで露光する場合、30:1を超え、異方性エッチング比が少なくとも30:1の成形ガラス構造が生じる。
【0023】
本発明は、ガラスセラミック基板の複数のビア又はポスト中に創成される誘導構造を含み、そのようなプロセスは、二次元又は三次元キャパシタデバイスを1又は2以上少なくとも含有する感光性ガラス構造を使用する。容量性デバイスは、ビアが貫通孔又はブラインドビアである、1つのビア、又は一連のビア、原子層堆積(ALD)法を用いる底部電極、誘電体、及び上部電極の堆積によって形成される。ビアは、希釈HFといったエッチング液を用いて追加の低濃度リンスをさらに受けてもよい。希釈HFは、ビアのセラミック壁面に模様を形成するか、又はテクスチャを付与する。セラミック壁面へのテクスチャの付与は、デバイスの電気容量を直接増大させる構造の表面積を著しく増大させる。
【0024】
容量性デバイスは、ガラスに良好に付着する導電層、誘電体層、上部導電層、及び最終バリア層からなる。APEX(登録商標)ガラスの次元構造(dimensional structure)は、
2ミクロン未満のTiN層、又は他の電極材料層で被覆され、その後に2ミクロン以下のTa、Al、又はAlを含むがそれに限定されない他の気相誘電体の誘電体層が続く。TMA及びOを用いる380℃のAl-サイクル時間:3.5s。次いでAl層は、酸素環境中で5分間300℃に加熱され、誘電体層は完全に酸化される。次いで、2ミクロン未満のTiN上部電極をALDによって堆積させる。誘電体中の空間電荷の形成を防ぐため、上部及び底部電極は、同一の材料から構築される必要がある。仕事関数差の大きさに依存し、空間電荷は、誘電体層を破壊することなく外部電圧によって除去可能なものより大きくなり得、キャパシタが有用でなくなる。仕事関数の問題の解決は、電極と誘電体の間に抵抗接点を設置することによって達成され得る。電気容量を増大させるために、追加の金属層及び絶縁体層を追加してもよい。
【0025】
好ましい実施形態。好ましい構造は、ビア又はポストを希釈HF洗浄し、底部電極には高度にテクスチャが付与された表面積で被覆されたTiWメタライゼーション(metallization)を、誘電体には五酸化タンタルを、及び上部電極にはTiWメタライゼーション
を創成するキャパシタ構造を創成することである。TiW底部電極は、2段階のADLプロセスを必要とする。第1段階は、300℃~400℃の基板温度において、約1.8sのサイクル時間で1.67Å/サイクルのTiCl速度を使用してTiを堆積させることである。第2段階は、パージ前に基板の表面上に混在するSi-H及びW-Fを使用してタングステン(W)を堆積させることである。Wの直線的な成長速度は、ALDサイクルの間、各反応物の割合が均等であることを必要とする。タングステンについての典型的なALD成長は、3.5sのサイクル時間、177℃~325℃の間の基板温度で、6Åサイクルである。両金属の堆積の達成に必要な基板温度でALDサイクルをWからTiへ入れ替えることで、TiW層の形成がもたらされる。プロセスは、TiW構造が20Åに達するまで繰り返される。次に、水素原子の存在下でTaCl前駆体を使用し、ALDによってTaが形成される。タンタル膜は、1.8sのALDサイクル時間、25~400℃の基板温度で堆積される。各ALDサイクルの後、基板が400℃である間に、タンタル膜は、30秒間Oにさらされる。これにより、金属タンタル膜は、Taへ変換される。デバイスは、底部電極と同様にしてTiWからなる上部電極を付与することによって完成する。ALD法のまさにこの性質により、高密度コンフォーマル被膜(conformal coatings)が可能となる。
【0026】
キャパシタ構造の仕上げは、キャパシタの両接点への電気的接続が可能となるよう、底
部電極に至るまでのエッチングを必要とする。これは、構造を標準的なポジ型フォトレジストで被覆することによって成し遂げられる。キャパシタ構造の長方形上部部品を用いてフォトレジストを露光する。次いで、キャパシタ上のフォトレジストを現像、及び除去し、上部TiWフォトレジスト電極を露出させる。TiW電極は、Tegal 804プラズマエッ
チングシステムを使用し、SF/Heプラズマでエッチングされる。このエッチング速度は、200Wの進行波電力で200Å/分である。このエッチングは、Ta層に優先的に行われ、Ta層を有効なエッチング停止層とする。Ta、プラズマエッチングは、300Wの進行波電力、1200Å/分のエッチング速度でAr/Cl(10%/90%)混合物を使用する。Ar/Clプラズマは、TiW底部電極を攻撃/エッチングしない。これにより、キャパシタ用の上部及び底部電極は、多くの標準的な厚膜及び薄膜プロセスによって、回路の他の部分に接続可能となる。
【0027】
第2の実施形態は、容量性構造用のベース基板として、片面又は両面上にテクスチャが付与された高表面積を創成してガラスセラミックを部分的又は完全に除去する、希釈HF溶液でエッチングされたセラミック相を有し得る、貫通孔ビアを使用する。第3の実施形態は、高表面積容量性構造を創成する、希釈HFでエッチングされたセラミック相を有し得る、APEX(登録商標)ガラス基板の片面又は両面上のポストを使用する。
【0028】
本発明及びその利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書においてさまざまな変更、置換、及び代替が可能であると理解されるべきである。さらに、本出願の範囲は、本明細書に説明されるプロセス、機械、製造された物、組成物、手段、方法、及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。本発明の開示から当業者が容易に理解するように、現在存在するか又は後に開発される、本明細書に説明される、対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たすか又は実質的に同じ結果を達成するプロセス、機械、製造された物、組成物、手段、方法、又はステップが、本発明に従って利用されてもよい。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造された物、組成物、手段、方法、又はステップをそれらの範囲内に含むよう意図される。
図1
図2
図3
図4
図5