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特許7237392植物栽培棚及び植物栽培棚を構成する棒部材並びに規制キャップ・規制筒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】植物栽培棚及び植物栽培棚を構成する棒部材並びに規制キャップ・規制筒体
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/12 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
A01G9/12 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022034350
(22)【出願日】2022-03-07
(62)【分割の表示】P 2020068182の分割
【原出願日】2020-04-06
(65)【公開番号】P2022067122
(43)【公開日】2022-05-02
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2020034961
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392003225
【氏名又は名称】第一ビニール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085246
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 清一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀夫
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-067611(JP,A)
【文献】特開平09-121689(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0269246(US,A1)
【文献】特開2004-135606(JP,A)
【文献】特開2002-112638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合部材を介して棒部材相互が接合されてなる支柱枠体で植物を栽培するように構成された植物栽培棚であり、
該接合部材は、該棒部材の軸線方向で見た所要部としての、外周面が円形を呈する被保持軸部を密接状態に保持する上端開放のC字状の保持溝が形成された保持部を具え、該保持部は、該被保持軸部を弾性挟持状態で保持する該保持溝を相互間で形成する一対の挟持片を有し、該両挟持片の先側間に、前記被保持軸部を前記保持溝に収容するための導入開口部が設けられ、該導入開口部を弾性的に拡開させて該被保持軸部を前記保持溝に収容させ得るように構成されており、
前記導入開口部を弾性的に拡開させて該被保持軸部を該保持溝に収容させた収容状態で、前記導入開口部の対向する縁部が前記被保持軸部の外周面に当接して前記導入開口部が窄まった状態となり、該被保持軸部が、該窄まった状態にある該導入開口部に規制されて前記保持溝から脱出しないように構成されており、
前記被保持軸部の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接する規制突部が設けられており、該規制突部は円環状鍔部として構成されており、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、植物が栽培された状態の前記支柱枠体が強風にさらされたときに、風力の作用によって該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止するように構成されており、
両前記規制突部の、両前記挟持片の前記外端部に当接する当接面は、前記被保持軸部の軸線と直角を呈し、対向する該当接面間の間隔は、前記両挟持片の前記両外端部間の間隔に等しく設定されていることを特徴とする植物栽培棚。

【請求項2】
前記棒部材は、棒部材本体の端部に規制キャップを固着して構成されており、該規制キャップは、前記保持部に保持される前記被保持軸部を有し、該被保持軸部の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接する規制突部が設けられており、該規制突部は、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止することを特徴とする請求項1記載の植物栽培棚。
【請求項3】
前記棒部材は、棒部材本体の長さ方向の所要部位に、該棒部材本体を挿通状態となし得る規制筒体を固着して構成されており、該規制筒体は、前記保持部に保持される前記被保持軸部を有し、該被保持軸部の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接する規制突部が設けられており、該規制突部は、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止することを特徴とする請求項1記載の植物栽培棚。
【請求項4】
請求項2記載の植物栽培棚を構成する前記棒部材であって、棒部材本体の端部に前記規制キャップを固着して構成されており、該規制キャップは、前記保持部に保持される前記被保持軸部を有し、該被保持軸部の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接する規制突部が設けられており、該規制突部は、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止することを特徴とする植物栽培棚を構成する棒部材。
【請求項5】
請求項3記載の植物栽培棚を構成する前記棒部材であって、棒部材本体の長さ方向の所要部位に、該棒部材本体を挿通状態となし得る規制筒体を固着して構成されており、該規制筒体は前記保持部に保持される前記被保持軸部を有し、該被保持軸部の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接する規制突部が設けられており、該規制突部は、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止することを特徴とする植物栽培棚を構成する棒部材。
【請求項6】
請求項4記載の棒部材を構成する前記規制キャップであって、前記保持部に保持される前記被保持軸部を有し、該被保持軸部の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接する規制突部が設けられており、該規制突部は、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止することを特徴とする規制キャップ。
【請求項7】
請求項5記載の棒部材を構成する規制筒体であって、前記保持部に保持される前記被保持軸部を有し、該被保持軸部の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接する規制突部が設けられており、該規制突部は、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止することを特徴とする規制筒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培棚及び該植物栽培棚を構成する棒部材並びに該棒部材を構成する規制キャップと規制筒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
接合部材を介して棒部材相互が接合されている植物栽培棚の一例として、特許文献1や特許文献2、特許文献3、特許文献4が開示するものが提案されている。
【0003】
特許文献1と特許文献2に係る植物栽培棚は、上端に接合部材が設けられてなる2本の支柱を所要間隔を置いて地面に立設すると共に、隣り合う該接合部材によって横棒部材の両端側の部分を着脱可能の弾性挟持状態で保持させて支柱枠体を形成し、該支柱枠体にネット材を掛けて構成されており、畝に植えた蔓性植物を該ネット材に這わせて成長させるようになされていた。
【0004】
又特許文献3、特許文献4に係る植物栽培棚は、上端で開閉可能となるように連結された左右1対の支柱の上端に接合部材が設けられてなる開閉式支柱の複数本を用い、山形に開いた該開閉式支柱を所要間隔を置いて地面に立設すると共に、隣り合う該接合部材によって横棒材の両端側の部分を着脱可能の弾性挟持状態で保持させて支柱枠体を形成し、該支柱枠体の両傾斜外面にネット材を掛けて構成されており、畝に植えた蔓性植物を該ネット材に這わせて成長させるようになされていた。
【0005】
ところで、これらの植物栽培棚を構成するために用いられている前記接合部材は、上端開放部が窄まった保持溝が設けられたC字状保持部を具えていた。そして前記横棒部材の前記両端側の部分を、該上端開放部を弾性的に拡開させて該保持溝に収容させ、該両端側の部分を弾性挟持状態とし、これによって、前記横棒部材を介して前記支柱相互や前記開閉式支柱相互を連結して前記支柱枠体を構成していた。
【0006】
そのため、前記植物栽培棚で胡瓜やゴーヤ、カボチャ等の蔓性植物を栽培したとき、該蔓性植物の葉が生い茂り実がついた状態で該植物栽培棚が強風にさらされると、該植物栽培棚が大きく横揺れ(前記横棒材の延長方向での揺れ)する。その結果、地面に埋設されている支柱埋設部分の周囲の土が押し広げられて隙間が生じて支柱がぐらつき、前記植物栽培棚が倒壊する恐れがあった。又、植物栽培棚の該横揺れが大きくなると、前記保持溝の軸線に対して前記横棒材の軸線が大きく傾いた状態となる現象も生じ、その結果、前記上端開放部が開いて前記保持部が前記横棒材から外れ、植物栽培棚が損壊する恐れもあった。更に、このように強風で植物栽培棚が横揺れすると、それに伴い、栽培されている植物の幹や茎、枝葉等が折損したり、実がネット材に擦れて損傷を受ける等、植物にダメージを与える問題も発生した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-142870号公報
【文献】特開2012-105630号公報
【文献】特開2011-142871号公報
【文献】特開2012-105629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、棒部材の軸線方向で見た所要部としての被保持軸部を、左右一対の挟持片が構成する保持溝に収容させて該棒部材を弾性挟持状態で保持する構成の植物栽培棚が強風にさらされた場合に、その横揺れを抑制して該植物栽培棚を保護できると共に、該横揺れによって受ける栽培植物のダメージを低減させることのできる植物栽培棚の提供を課題とするものである。又、該植物栽培棚を構成するに好適な棒部材並びに、該棒部材を構成するに好適な規制キャップと規制筒体の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る植物栽培棚の第1の態様は、接合部材を介して棒部材相互が接合されている植物栽培棚であり、該接合部材は、該棒部材の軸線方向で見た所要部としての、外周面が円形を呈する被保持軸部を密接状態に保持する上端開放のC字状の保持溝が形成された保持部を具え、該保持部は、該被保持軸部を弾性挟持状態で保持する該保持溝を相互間で形成する一対の挟持片を有し、該両挟持片の先側間に、前記被保持軸部を前記保持溝に収容するための導入開口部が設けられ、該導入開口部を弾性的に拡開させて該被保持軸部を前記保持溝に収容させ得るように構成されている。前記導入開口部を弾性的に拡開させて該被保持軸部を該保持溝に収容させた収容状態で、前記導入開口部の対向する縁部が前記被保持軸部の外周面に当接して前記導入開口部が窄まった状態となり、該被保持軸部が、該窄まった状態にある該導入開口部に規制されて前記保持溝から脱出しないように構成されている。そして、前記被保持軸部の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接する規制突部が設けられており、該規制突部は、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止することを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る植物栽培棚の第2の態様は、前記第1の態様において、前記棒部材は、棒部材本体の端部に規制キャップを固着して構成されており、該規制キャップは、前記保持部に保持される前記被保持軸部を有し、該被保持軸部の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接する規制突部が設けられており、該規制突部は、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止することを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る植物栽培棚の第3の態様は、前記第1の態様において、前記棒部材は、棒部材本体の長さ方向の所要部位に、該棒部材本体を挿通状態となし得る規制筒体を固着して構成されており、該規制筒体は、前記保持部に保持される前記被保持軸部を有し、該被保持軸部の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接する規制突部が設けられており、該規制突部は、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止することを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る植物栽培棚を構成する棒部材は、前記第2の態様に係る植物栽培棚を構成する前記棒部材であって、棒部材本体の端部に前記規制キャップを固着して構成されている。該規制キャップは、前記保持部に保持される前記被保持軸部を有し、該被保持軸部の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接する規制突部が設けられており、該規制突部は、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止することを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る植物栽培棚を構成する棒部材の第2の態様は、前記第3の態様に係る植物栽培棚を構成する前記棒部材であって、棒部材本体の長さ方向の所要部位に、該棒部材本体を挿通状態となし得る規制筒体を固着して構成されており、該規制筒体は前記保持部に保持される前記被保持軸部を有する。該被保持軸部の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接する規制突部が設けられている。該規制突部は、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止することを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る規制キャップは、前記第2の植物栽培棚に係る棒部材を構成する規制キャップであり、前記保持部に保持される前記被保持軸部を有し、該被保持軸部の、前記軸線方向で見た両側部位に前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接する規制突部が設けられている。そして該規制突部は、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止することを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る規制筒体は、前記第3の植物栽培棚に係る棒部材を構成する規制筒体であり、前記保持部に保持される前記被保持軸部を有し、該被保持軸部の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接する規制突部が設けられている。そして該規制突部は、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る植物栽培棚は、接合部材を介して棒部材相互が接合されているものであり、該接合部材は、該棒部材の軸線方向で見た所要部としての被保持軸部を保持する保持部を具え、該保持部は、該被保持軸部を弾性挟持状態で保持する保持溝が一対の挟持片間で形成されている。又、該被保持軸部を弾性挟持した状態にある前記両挟持片の両外端部に当接する規制突部が設けられており、該規制突部は、前記保持溝に収容されている前記被保持軸部が、該被保持軸部の軸線が該保持溝の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止するように作用する。
【0017】
従って本発明によるときは、該植物栽培棚で胡瓜等の蔓性植物を栽培して、葉が生い茂り実がついた状態で該植物栽培棚が強風にさらされた場合は、前記規制突部が、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片の前記軸線方向で見た両外端部に当接した状態にあるために、該植物栽培棚の横揺れ(前記横棒部材の延長方向での揺れ)が抑制される。その結果、前記特許文献1、2、3、4に記載の前記植物栽培棚におけるような、地面に埋設されている支柱埋設部分の周囲の土が押し広げられ隙間が生じて支柱にぐらつきが生じ、甚だしいときには植物栽培棚が倒壊する、といった事態を回避できる。
【0018】
又、植物栽培棚の横揺れが大きくなると、前記保持溝の軸線に対して前記横棒部材の軸線が大きく傾いた状態となる現象も生じ、その結果、前記保持溝の導入開口部が開いて前記横棒部材が前記保持部から外れて植物栽培棚が損壊する恐れもあったのであるが、かかる事態を回避できる。
【0019】
更には、強風で植物栽培棚が横揺れすると、栽培されている植物の幹や茎、枝葉等が折損したり、実がネットに擦れて損傷を受ける等、植物がダメージを受けやすい問題も発生したのであるが、これを回避できることともなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る植物栽培棚の一例を示す正面図である。
図2】その植物栽培棚における、接合部材を介しての支柱と横棒部材との接合状態を示す説明図である。
図3】その接合状態の分解斜視図である。
図4】その接合状態の斜視図である。
図5】その接合状態の断面図である。
図6】規制キャップと棒部材本体を示す斜視図である。
図7】開閉式支柱を用いて構成された植物栽培棚を示す部分斜視図である。
図8】前後に位置をずらして接合部材を有する開閉式支柱を用いてなる植物栽培棚を説明する説明図である。
図9】棒部材相互が互いに所要角度で交差するように接合部材で接合された状態を示す説明図である。
図10】規制筒体を用いて構成された横棒部材と支柱とを接合部材を介して接合してなる植物栽培棚を説明する説明図である。
図11】規制筒体の構成を示す断面図である。
図12】規制キャップの他の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
図1~5において本発明に係る植物栽培棚1は、接合部材2を介して棒部材3,3相互が接合されている植物栽培棚であり、該接合部材2は、該棒部材3の軸線方向で見た所要部としての被保持軸部5を保持する保持部6を具えている。
【0022】
該保持部6は、該被保持軸部5を弾性挟持状態で保持する保持溝7を相互間で形成する一対の挟持片9,9を有し、該両挟持片9,9の先側10,10間に、前記被保持軸部5を前記保持溝7に収容するための導入開口部11が設けられ、該導入開口部11を弾性的に拡開させて、該被保持軸部5を図4~5に示すように前記保持溝7に収容させ得るように構成されている。
【0023】
又前記被保持軸部5の、前記軸線方向F1で見た両側部位に、図4~5に示すように、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片9,9の前記軸線方向で見た両外端部12,12に当接する規制突部13,13が設けられており、該規制突部13,13は、前記保持溝7に収容されている前記被保持軸部5が、該被保持軸部5の軸線L1(図4)が該保持溝7の軸線L2(図4)に対して傾斜する方向に移動するのを阻止するものである。
【0024】
前記棒部材3は、本実施例においては図1~2に示すように、支柱15としての棒部材3と、該支柱15の上端間に架け渡される横棒部材16としての棒部材3の2種類からなる。そして、上端に前記接合部材2が設けられてなる2本の支柱15,15を所要間隔を置いて地面17に立設すると共に、前記横棒部材16の両端側の前記被保持軸部5, 5を、隣り合う該接合部材2, 2によって着脱可能の弾性挟持状態で保持させることにより支柱枠体14を形成するようになされている。
【0025】
かかる構成の該支柱枠体14にネット材19を掛けることによって前記植物栽培棚1を構成でき、該植物栽培棚1に、畝に植えた蔓性植物を該ネット材19に這わせて成長させるようになされている。該支柱15は例えば、径が16mmで全長が180cmに設定されており、前記横棒部材16は例えば、径が16mmで全長が180cmに設定されている。
【0026】
前記接合部材2は、本実施例においては、前記支柱15の上端部分20を図2に示すように圧入させ得る下端開放の縦円筒体21の上端部分22に前記保持部6が連結されている。該保持部6の基本構成は前記した通りであるが、本実施例においては図3~5に示すように、上端が開放し且つ前記軸線方向(以下、左右方向ともいう)の両端が開放すると共に上端開放部23が窄まったC字状の前記保持溝7が設けられたC字状保持部6aとして構成されている。該C字状保持部6aは、より具体的には図3に示すように、基部25の両側(前記軸線方向F1と直交する前後方向F2で見た両側)で前記両挟持片9,9が上方に向けて対向状態で突設されており、該両挟持片9,9の下側部分の円弧状内面と前記底部の円弧状上面とによって、上端開放のC字状の保持溝7が形成されている。そして、該保持溝7に前記被保持軸部5が、前記両挟持片9,9の先側10,10間に設けられている前記導入開口部11を弾性拡開させながら、着脱可能の嵌入状態で収容される。該収容された状態では、図4に示すように、前記前後の挟持片9,9が該被保持軸部5を前後から弾性的に挟持し、弾性挟持状態で保持された該被保持軸部5は、窄まった状態にある前記導入開口部11に規制されて該保持溝7から脱出することがない。
【0027】
そして図2~3に示すように、前記基部25の左右方向(前記軸線方向F1)の両側で連結突片26,26が下方に突設されており、該両連結突片26,26の下側部分は、円板状の連結片部27,27に形成されている。前記C字状保持部6aを前記縦円筒体21の上端部分22に連結するには、該両連結突片26,26間に該縦円筒体21の細幅の該上端部分22を挿入し、該連結片部27,27と該上端部分22とをリベット等の軸部24で連結する。又本実施例においては図2~3に示すように、前記縦円筒体21の上側部分の前後部位に、前記ネット材19の上端縁部29を掛着させるフック状掛着片が30,30が設けられている。
【0028】
前記被保持軸部5は本実施例においては図3図6に示すように、前記横棒部材16としての棒部材3を構成する規制キャップ31を以って構成されている。ここで該横棒部材16の構成を説明する。該横棒部材16は、棒部材本体32の両端部に規制キャップ31を固着して構成されている。
【0029】
該規制キャップ31は、図3~6に示すように、前記C字状保持部6aで保持される前記被保持軸部5を有する。該規制キャップ31は、本実施例においては図6に示すように、円形パイプ状を呈する前記棒部材本体32の端部分35を圧入させ得る、内端36が開放した挿入孔部34を有し、且つ外端37(図3) が閉塞された有底の横円筒体39(図6) を以って構成されている。
【0030】
そして図2図4図6に示すように、該被保持軸部5の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片9,9の前記軸線方向で見た両外端部12,12に当接する規制突部13,13が設けられている。該規制突部13は本実施例においては、前記横円筒体39の内端40と外端41で該横円筒体39の周方向に連続する内外の円環状鍔部として構成されている。そして該規制突部13は、図2図4に示すように前記保持溝7に収容されている前記被保持軸部5が、該被保持軸部5の軸線L1(図4)が該保持溝7の軸線L2(図4)に対して傾斜する方向に移動するのを阻止する。
【0031】
然して図1~2に示すように、かかる構成の前記接合部材2が上端に設けられてなる2本の支柱15,15を所要間隔を置いて地面17 に立設すると共に、前記横棒部材16の両端側の前記被保持軸部5,5を、左右隣り合う該接合部材2,2によって着脱可能の弾性挟持状態で保持させることにより前記支柱枠体14を形成できる。そして、該支柱枠体14の前記フック状掛着片30にネット材19の前記上端縁部29を掛けることによって前記植物栽培棚1を構成できる。該植物栽培棚1の該ネット材19に、畝に植えた胡瓜やカボチャ等の蔓性植物を這わせて成長させる。
【0032】
このようにして、前記植物栽培棚1で胡瓜等の蔓性植物を栽培し、葉が生い茂り実がついた状態で該植物栽培棚1が強風にさらされた場合は、前記両規制突部13,13が図2に示すように、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片9,9の前記軸線方向で見た両外端部12,12に当接した状態にあるために、該規制突部13,13の規制作用によって、前記保持溝7に収容されている前記被保持軸部5が、該被保持軸部5の軸線L1(図4)が該保持溝7の軸線L2(図4)に対して傾斜する方向に移動するのが阻止され、従って、該植物栽培棚1の横揺れ(前記横棒部材の延長方向での揺れ)が阻止される。
【0033】
前記特許文献1、2、3、4に記載の前記植物栽培棚によるときには、かかる横揺れによって、前記したように、地面に埋設されている支柱埋設部分の周囲の土が押し広げられ隙間が生じて支柱にぐらつきが生じ、甚だしいときには植物栽培棚が倒壊する恐れがあったのであるが、本発明によるときは、かかる事態を回避できる。
【0034】
又、前記特許文献1、2、3、4に記載の前記植物栽培棚によるときは、前記のように、前記植物栽培棚の横揺れが大きくなると、前記保持溝の軸線に対して前記横棒部材16の軸線が大きく傾いた状態となる現象も生じ、その結果、前記保持溝の導入開口部が開いて前記横棒部材が前記保持部から外れて植物栽培棚が損壊する恐れもあったのであるが、本発明によるときは、かかる事態を回避できる。
【0035】
更には、前記特許文献1、2、3、4に記載の前記植物栽培棚によるときは、強風で植物栽培棚が横揺れすると、栽培されている植物の幹や茎、枝葉等が折損したり、実がネットに擦れて損傷を受ける等、植物がダメージを受けやすい問題も発生したのであるが、本発明によるときは、これを回避できることともなる。
【実施例2】
【0036】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0037】
(1)本発明に係る植物栽培棚1は、前記接合部材2を介して棒部材3,3相互が接合されているものであるが、該植物栽培棚を構成する棒部材相互の全ての接合が本発明に係る接合部材2を用いて行われているとは限らない。
【0038】
(2)図7は、開閉式支柱42としての棒部材3と、該開閉式支柱42の上端間に架け渡される横棒部材16としての棒部材3の2種類の棒部材3を用いて植物栽培棚1を構成する他の実施例を示すものである。該開閉式支柱42は、左右1対の支柱15,15の上端部43,43相互を連結軸44で連結することによって該支柱15,15が開閉可能とされている。そして、該連結軸44を介して前記接合部材2が該上端部43,43に連結されている。本実施例に係る植物栽培棚1は、該開閉式支柱の複数本を用い、山形に開いた該開閉式支柱を所要間隔を置いて地面に立設すると共に、前記軸線方向F1に並んだ該接合部材2,2によって該横棒部材16の両端側の部分としての被保持軸部5,5と該棒部材3の中間の所要部としての被保持軸部5を前記保持部6で保持させ、これによって、山形の支柱枠体14を形成し、支柱枠体14の両傾斜外面45,45にネット材19を掛けて構成されている。そして、畝に植えた蔓性植物を該両ネット材19,19に這わせて成長させるようになされている。
【0039】
このようにして構成された植物栽培棚1によるときも、前記した植物栽培棚1におけると同様に、葉が生い茂り実がついた状態で該植物栽培棚が強風にさらされた場合は、前記規制突部13の規制作用によって、前記保持溝7に収容されている前記被保持軸部5が、該被保持軸部5の軸線が該保持溝7の軸線に対して傾斜する方向に移動するのが阻止される。これによって、前記植物栽培棚1におけると同様に、該植物栽培棚1の横揺れを抑制でき、支柱15のぐらつきに起因する該植物栽培棚の倒壊の恐れを回避でき、前記横棒部材16が前記保持部6から外れて植物栽培棚1が損壊する恐れを防止でき、栽培されている植物がダメージを受けやすい問題を回避できることとなる。
【0040】
(3)開閉式支柱42としての棒部材3と該開閉式支柱42の上端間に架け渡される横棒部材16としての棒部材3の2種類の棒部材3を用いて植物栽培棚を構成する場合の他の態様としては、図8に示すように、前記の左右1対の支柱15,15の夫々の上端に、前後に位置をずらして1個の接合部材2が設けられてなる開閉式支柱42を用いるものを挙げることができる。かかる開閉式支柱42の複数本を用い、山形に開いた該開閉式支柱42を所要間隔を置いて地面に立設すると共に、前後位置の夫々で前記軸線方向に並んだ該接合部材2の保持部6で、前後に位置する別個の横棒部材16の両端側の部分としての被保持軸部5を保持させることによって、山形の支柱枠体を形成できる。そして、該支柱枠体の両傾斜外面45,45に、フック状掛着片30,30を介して前記ネット材19,19を掛けることにより、植物栽培棚1を構成できる。この場合も、畝に植えた蔓性植物を該両ネット材に這わせて成長させることができる。このようにして構成された植物栽培棚1によるときも、該植物栽培棚1の横揺れを抑制できることにより、前記した植物栽培棚におけると同様の作用効果を奏する。
【0041】
(4)本発明に係る植物栽培棚1を構成する際における、接合部材2を介しての棒部材3,3相互の接合は、棒部材3,3が互いに所要角度で交差する部分での接合とされることもある。この場合の一例としては、例えば図9に示すように、両棒部材3、3の軸線方向で見た所要部としての被保持軸部5,5が、交差する別個の保持部6,6で保持されるように構成される。該保持部6,6は、前記基部25,25相互が枢軸48で相対回転可能に接合されている。そして、該被保持軸部5の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片9,9の前記軸線方向で見た両外端部12,12に当接して前記保持部6の前記軸線方向での移動を阻止する規制突部13,13が設けられる。
【0042】
(5)前記棒部材3は、例えば図10~11に示すように、棒部材本体32の長さ方向の所要部位に、該棒部材本体32を挿通状態となし得る規制筒体44を、高周波溶着等により固着して構成されることもある。該規制筒体44は、前記保持部6に保持される前記被保持軸部5を有し、該被保持軸部5の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片9,9の前記軸線方向で見た両外端部12,12に当接して前記保持部6の前記軸線方向での移動を阻止する規制突部13,13が設けられている。
【0043】
該規制筒体44は、例えば図6において、前記規制キャップ31の前記横円筒体39の前記内端36と共に前記外端37も開放して構成できる。
【0044】
(6)図12は、前記棒部材本体32の端部に前記規制キャップ31を固着して構成された前記棒部材3の他の態様を示すものである。該規制キャップ31は、前記被保持軸部5の前記軸線方向で見た両側部位に、前記と同様構成の規制突部13,13が設けられており、該被保持軸部5の内端46に挿入軸部47を突出してなる。該挿入軸部47を、パイプ状を呈する棒部材本体32の端側の部分49に圧入状態に挿入することによって前記棒部材3が構成されている。
【0045】
(7)前記規制筒体44は、前記被保持軸部5を有するものであれば、両端開放で軸線方向に割溝が設けられたC字状筒体を呈するものとして構成することもできる。該C字状筒体の該割溝を弾性的に拡開させ該割溝を通して該C字状筒体内に前記棒部材本体32の所要部分を挿入させ、該C字状筒体を高周波溶着等により該棒部材本体32に固着すれば、前記棒部材3を構成できる。
【0046】
(8)前記棒部材3の所要部としての前記被保持軸部5は、前記規制キャップ31や前記規制筒体44を用いて構成するのではなく、該棒部材3そのものの一部分であってもよい。このように構成する場合は、該被保持軸部5の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記規制突部13,13が該棒部材3に一体又は別体に設けた突部を以て構成される。
【0047】
(9)前記規制突部13は、前記被保持軸部5の、前記軸線方向で見た両側部位に、前記弾性挟持状態にある前記両挟持片9,9の前記軸線方向で見た両外端部12,12に当接して、前記保持溝7に収容されている前記被保持軸部5が、該被保持軸部5の軸線が該保持溝7の軸線に対して傾斜する方向に移動するのを阻止するものであるならば、前記棒部材3の周方向に連続するものである必要はなく、該周方向で所要間隔を置いて独立して設けられた突部を以って構成されてもよい。
【0048】
(10)本発明に係る植物栽培棚1が、支柱15としての棒部材3と、該支柱15の上端間に架け渡される横棒部材16としての棒部材3の2種類の棒部材を用いて構成される場合、該支柱を立設するに際しては、該支柱の下側部分を、プランターの外側部に連結具を用いて連結することとしてもよい。この場合は、プランターの重量を利用して該支柱の立設状態を保つことができる。このように構成する場合も、支柱の下端部分を地面に突き刺して該支柱を立設する場合におけると同様の、植物栽培棚の横揺れを抑制できることに伴う前記作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 植物栽培棚
2 接合部材
3 棒部材
5 被保持軸部
6 保持部
7 保持溝
9 挟持片
11 導入開口部
12 外端部
13 規制突部
15 支柱
16 横棒部材
19 ネット材
31 規制キャップ
42 開閉式支柱
44 規制筒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12