(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】シート供給体及びシートロール抜け止め器具
(51)【国際特許分類】
B65D 5/72 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
B65D5/72 B
(21)【出願番号】P 2022202513
(22)【出願日】2022-12-19
【審査請求日】2022-12-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522493274
【氏名又は名称】株式会社寺林製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺林 明宏
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-192179(JP,A)
【文献】実開平6-31637(JP,U)
【文献】特開2005-289648(JP,A)
【文献】特開2004-142817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/72
B65D 25/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部、底板部、前板部、後板部、左板部、及び、右板部を備えた本体部と、
前記本体部の前記後板部の一方側縁部に回動可能に連接された蓋部と、
蓋部に設けられた切断刃と、
巻芯のまわりにシートが巻回されて形成され、前記本体部に収容されるシートロールと、
を有し、
前記シートロールから前記本体部の外側に所要長さに引き出された前記シートが、前記蓋部により前記本体部が略閉鎖された状態で前記切断刃に押し当てられることにより切断される、シート供給体であって、
前記本体部の前記左板部に設けられ、破断された場合に左側貫通孔の外縁を形成する左側破断予定線と、
前記本体部の前記右板部に設けられ、破断された場合に右側貫通孔の外縁を形成する右側破断予定線と、
前記左板部に押し当てられることで前記左側破断予定線を破断して当該左板部に前記左側貫通孔を形成しかつその左側貫通孔に係合する左側ボス部を備えた、左側係合部材と、
前記右板部に押し当てられることで前記右側破断予定線を破断して当該右板部に前記右側貫通孔を形成しかつその右側貫通孔に係合する右側ボス部を備えた、右側係合部材と、
前記巻芯の内径の1/20以上1/3以下となる外径を備え、前記左側貫通孔に係合された前記左側ボス部と前記右側貫通孔に係合された前記右側ボス部との間に支持されつつ前記巻芯との間に前記内径の1/3以上のガタつき間隙を許容するように当該巻芯の内部に遊嵌挿通され、前記シートロールの前記本体部からの離脱を防止する抜け止めシャフトと、
を有することを特徴とするシート供給体。
【請求項2】
請求項1記載のシート供給体において、
前記シートロールは、前記シートとしてのラップフィルムが前記巻芯のまわりに巻回されて形成されるラップロールであり、
前記ラップロールから前記本体部の外側に所要長さに引き出された前記ラップフィルムのシートが、前記切断刃に押し当てられることにより切断される
ことを特徴とするシート供給体。
【請求項3】
請求項2記載のシート供給体において
前記抜け止めシャフトは、
正n角形(n:3以上の整数)の横断面形状を備えた非円型シャフトであり、
前記左側ボス部は、
前記非円型シャフトの左側端部が回転不能に挿入される、正n角形の左側挿入穴を備え、
前記右側ボス部は、
前記非円型シャフトの右側端部が回転不能に挿入される、正n角形の右側挿入穴を備える
ことを特徴とするシート供給体。
【請求項4】
請求項3記載のシート供給体において、
前記抜け止めシャフトは、
左側部分が前記nをn1とした正n1角形の横断面形状を備えるとともに、右側部分が前記nをn2(n2≠n1)とした正n2角形の横断面形状を備える、異形断面シャフトであり、
前記左側ボス部は、
前記左側端部が回転不能に挿入される、正n1角形の前記左側挿入穴を備え、
前記右側ボス部は、
前記右側端部が回転不能に挿入される、正n2角形の前記右側挿入穴を備える
ことを特徴とするシート供給体。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のシート供給体において、
前記左側係合部材及び前記右側係合部材のうちいずれか一方と、前記抜け止めシャフトとは、一体に構成されている
ことを特徴とするシート供給体。
【請求項6】
開口部、底板部、前板部、後板部、左板部、及び、右板部を備えた本体部と、
前記本体部の前記後板部の一方側縁部に回動可能に連接された蓋部と、
蓋部に設けられた切断刃と、
巻芯のまわりにシートが巻回されて形成され、前記本体部に収容されるシートロールと、
前記本体部の前記左板部に設けられ、破断された場合に左側貫通孔の外縁を形成する左側破断予定線と、
前記本体部の前記右板部に設けられ、破断された場合に右側貫通孔の外縁を形成する右側破断予定線と、
を有し、
前記シートロールから前記本体部の外側に所要長さに引き出された前記シートが、前記蓋部により前記本体部が略閉鎖された状態で前記切断刃に押し当てられることにより切断される、シートボックスに適用される、シートロール抜け止め器具であって、
前記左板部に押し当てられることで前記左側破断予定線を破断して当該左板部に前記左側貫通孔を形成しかつその左側貫通孔に係合する左側ボス部を備えた、左側係合部材と、
前記右板部に押し当てられることで前記右側破断予定線を破断して当該右板部に前記右側貫通孔を形成しかつその右側貫通孔に係合する右側ボス部を備えた、右側係合部材と、
前記巻芯の内径の1/20以上1/3以下となる外径を備え、前記左側貫通孔に係合された前記左側ボス部と前記右側貫通孔に係合された前記右側ボス部との間に支持されつつ前記巻芯との間に前記内径の1/3以上のガタつき間隙を許容するように当該巻芯の内部に遊嵌挿通され、前記シートロールの前記本体部からの離脱を防止する抜け止めシャフトと、
を有することを特徴とするシートロール抜け止め器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート供給体及びシートロール抜け止め器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品の包装用に用いるラップフィルムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の
図1~
図4、
図6等には、箱型の化粧箱1の内部に収納したラップロール20からラップフィルム22のシートを引き出し、切断刃3で切断する構成について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、
図6のようにラップフィルム22のシートを引き出して使用するとき、化粧箱1の上部の天井蓋板9を手で押さえる力が弱かったりした場合に、油断すると化粧箱1の内部からラップロール20が飛び出して落下する場合があり、不便であった。
【0005】
本発明の目的は、シートロールからラップフィルム等のシートを引き出すときに、シートロールが抜け出して離脱したり落下するのを防止する、シート供給体及びシートロール抜け止め器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、開口部、底板部、前板部、後板部、左板部、及び、右板部を備えた本体部と、前記本体部の前記後板部の一方側縁部に回動可能に連接された蓋部と、蓋部に設けられた切断刃と、巻芯のまわりにシートが巻回されて形成され、前記本体部に収容されるシートロールと、を有し、前記シートロールから前記本体部の外側に所要長さに引き出された前記シートが、前記蓋部により前記本体部が略閉鎖された状態で前記切断刃に押し当てられることにより切断される、シート供給体であって、前記本体部の前記左板部に設けられ、破断された場合に左側貫通孔の外縁を形成する左側破断予定線と、前記本体部の前記右板部に設けられ、破断された場合に右側貫通孔の外縁を形成する右側破断予定線と、前記左板部に押し当てられることで前記左側破断予定線を破断して当該左板部に前記左側貫通孔を形成しかつその左側貫通孔に係合する左側ボス部を備えた、左側係合部材と、前記右板部に押し当てられることで前記右側破断予定線を破断して当該右板部に前記右側貫通孔を形成しかつその右側貫通孔に係合する右側ボス部を備えた、右側係合部材と、前記巻芯の内径の1/20以上1/3以下となる外径を備え、前記左側貫通孔に係合された前記左側ボス部と前記右側貫通孔に係合された前記右側ボス部との間に支持されつつ前記巻芯との間に前記内径の1/3以上のガタつき間隙を許容するように当該巻芯の内部に遊嵌挿通され、前記シートロールの前記本体部からの離脱を防止する抜け止めシャフトとを有することを特徴としている。
【0007】
本願のシート供給体によれば、使用中、抜け止めシャフトが巻芯の中を常時軸方向に貫通しているので、シートロールからラップフィルム等のシートを引き出すときに、はずみでシートロールが本体部の中から抜け出して離脱したり落下したりすることがない。
【0008】
その際、抜け止めシャフトの外径は巻芯の内径に対して十分に細く、抜け止めシャフトは十分なガタつき間隙を介して巻芯に遊嵌されているので、通常のシートの引き出し時に抜け止めシャフトが巻芯の内径に接触することはほとんどなく、シートロールが回転するのを阻害しない(シートロールが抜け出しそうになって初めて接触し、ふだんは接触しない)。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シートロールからラップフィルム等のシートを引き出すときに、シートロールが抜け出して離脱したり落下するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本体部が閉鎖された状態のシート供給体の斜視図である。
【
図2】本体部が開口した状態のシート供給体の斜視図である。
【
図3】本体部からラップロールを取り出した状態の斜視図である。
【
図4】使用前の状態のシート供給体の斜視図である。
【
図5】左側破断予定線の構成の一例を示す図である。
【
図6】抜け止めシャフトの外径の効果を説明する概念図である。
【
図7】抜け止めシャフトの外径の効果を説明する概念図である。
【
図8】抜け止めシャフトの外径の効果を説明する概念図である。
【
図9】横断面形状が非円型の変形例に係るシート供給体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば下記の各構成要素を均等なものに置換した実施形態を採用することができ、それらについても本発明の技術的範囲に含まれる。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするため、重要でない公知の技術的事項の説明を適宜省略又は簡略化する。
【0012】
図1に本体部8が閉鎖された状態のシート供給体1の斜視図を示す。なお、
図1(a)は後板部5側から見たシート供給体1の斜視図、
図1(b)は前板部4側から見たシート供給体1の斜視図である。
また、
図2に本体部8が開口した状態のシート供給体1の斜視図を示す。また、
図3に、本体部8からラップロール13を取り出した状態の斜視図を示す。なお、
図1及び
図2は、シート供給体1の使用時の状態を表す図である。
【0013】
図1及び
図2に示されるように、シート供給体1は底板部3、前板部4、後板部5、左板部6、及び右板部7を備えた本体部8と、本体部8の後板部5の一方側縁部に回動可能に連接された蓋部9と、蓋部9に設けられた切断刃10とを備えたシートボックス21を有する。
【0014】
図1は、蓋部9を本体部8の上部に被せ、本体部8を閉鎖した状態であり、
図2は、蓋部9を後板部5側に回動させて本体部8を開口した状態である。
図2に示すように、本体部8の開口時において、シート供給体1のシートボックス21は開口部2を有する。
【0015】
図1及び
図2において、シートボックス21の本体部8にはラップロール13が収容されている。
図3は、シートボックス21の本体部8からラップロール13を取り出した状態である。ラップロール13は、本実施形態に係るシートロールの一例であって、シートとしてのラップフィルム12が巻芯11のまわりに巻回されて形成される。シートロールは、この例に限定されず、シートとしてのアルミホイルや、各種のペーパーシート等、シート状ものが、巻芯11のまわりに巻回されて形成されたものであってもよい。
【0016】
シート供給体1の使用時においては、ラップロール13から本体部8の外側に所要長さに引き出されたラップフィルム12のシートが、蓋部9により本体部8が略閉鎖された状態で切断刃10に押し当てられることにより切断される。
【0017】
図3に示すように、左板部6には左側貫通孔17が形成されている。左板部7にも、同様の構成で右側貫通孔18が形成されている。
【0018】
シート供給体1は抜け止めシャフト14と、左側係合部材15と、右側係合部材16とを有する。この例では、抜け止めシャフト14は、横断面が円形状となった、直線状のパイプである。この例では、ラップロール13等が食品の包装に用いられる観点から、衛生面を考慮して、SUS等の所謂高級ステンレスを材質とし、軽量化のため、板厚1ミリメートルの中空のパイプを抜け止めシャフト14として用いているが、必ずしもこれに限定されず、他の材料や、構成(中空でない構造等)を用いてもかまわない。パイプの直径は、この例では6ミリメートルであり、板厚と合わせた抜け止めシャフト14の外径dは8ミリメートルとなっているが、これに限らず、パイプの直径及び抜け止めシャフトの外径dは、使用時に、シートロールの回転を邪魔せず、かつ、左側貫通孔17や右側貫通孔18に通しやすく、かつ、十分な強度を有する範囲内に、適宜設計される。
【0019】
特に限定されるものではないが、左側係合部材15及び右側係合部材16は、例えば、樹脂素材等で構成されている。本体部8にラップロール13が収容された状態において、抜け止めシャフト14は巻芯11の内部に遊嵌挿通され、左側係合部材15と、右側係合部材16との間に支持される。
【0020】
図4に、使用前の状態のシート供給体1の斜視図を示す。使用前の状態では、シート供給体1は、未使用のラップロール13が収納された未開封のシートボックス21と、抜け止めシャフト14と、左側係合部材15と、右側係合部材16とに分離されている。なお、抜け止めシャフト14と、左側係合部材15と、右側係合部材16とが、本実施形態に係るシートロール抜け止め器具23に相当する。
【0021】
使用前(未開封)の状態のシートボックス21においては本体部8と蓋部9とは一体化され、本体部8と蓋部9との境界に配置されるミシン目22を破断してシートボックス21を開封することで、本体部8と蓋部9とが開口部2を介して分離され、その間に切断刃10が現出する。
【0022】
左側係合部材15は、左側貫通孔17に係合する左側ボス部19を備え、右側係合部材16は、右側貫通孔18に係合する右側ボス部20を備える。シート供給体1の使用時において、抜け止めシャフト14の軸方向両端部は、左側ボス部19と右側ボス部20に設けられた円型の挿入穴にそれぞれ挿入され、抜け止めシャフト14は、巻芯11の内部に遊嵌挿通された状態で、左側ボス部19と、右側ボス部20との間に支持される。
【0023】
図5に左側破断予定線24の構成の一例を示す図を示す。使用前の状態では、
図5(a)に示すように、左板部6には、破断された場合に左側貫通孔17の外縁の少なくとも一部を形成する左側破断予定線24が設けられている。使用時に、ユーザが左側ボス部19を左板部6に押し当てることで左側破断予定線24を破断すると、
図5(b)に示すように左板部6に左側貫通孔17が形成される。
【0024】
この例では、左側破断予定線24の形状は略円形状で、破断された部分は、上部で左板部6に連結されたまま、本体部8の内側に押し込まれて左側貫通孔17が形成されるように構成されているが、左側破断予定線24の形状は円形状で、破断された部分は左板部6から完全に分離されるように構成されていてもかまわない。左側破断予定線24の形状や大きさは任意に設定することができる。
【0025】
図示は省略するが、右板部7にも、上述と同様の構成で、破断された場合に右側貫通孔18の外縁の少なくとも一部を形成する右側破断予定線25が設けられ、ユーザが右側ボス部20を右板部7に押し当てることで右側破断予定線25を破断すると、右板部7に右側貫通孔18が形成される。
【0026】
図6、
図7,及び
図8に抜け止めシャフト14の外径の効果を説明する概念図を示す。
【0027】
本実施形態において、抜け止めシャフト14の外径dは巻芯11の内径Dの1/20以上1/3以下の範囲にあり、抜け止めシャフト14は、巻芯11との間に巻芯11の内径Dの1/3以上のガタつき間隙xを許容するように構成される。
【0028】
図6(a)に示すように、抜け止めシャフト14の外径dが、巻芯11の内径Dの1/20よりも小さい場合、ガタつき間隙xが大きくなり、
図6(b)及び
図6(c)に示すように、巻芯11の本体部8内での傾きが大きくなり得るので、抜け止めとしての効果が低下する場合がある。
【0029】
図7(a)に示すように、抜け止めシャフト14の外径dが、巻芯11の内径Dの1/3よりも大きい場合、ガタつき間隙xが小さすぎるため、
図7(b)及び
図7(c)に示すように、巻芯11が本体部8内でわずかに傾くだけで抜け止めシャフト14に接触するため、抵抗が生じ、ラップフィルム12を取り出しづらい。
【0030】
図8に示すように、抜け止めシャフト14の外径dが巻芯11の内径Dの1/20以上1/3以下の範囲にある場合、ガタつき間隙xが最適な寸法となり、ラップロール13の巻芯11の傾きを抑制して本体部8からの離脱を防止しつつ、ラップフィルム12の取り出しやすさを両立できるようになっている。この図では、抜け止めシャフト14の外径dが巻芯11の内径Dの1/3であり、ガタつき間隙xが抜け止めシャフト14の外径dと等しくなっている。
【0031】
左側係合部材15及び右側係合部材16の左側ボス部19及び右側ボス部20は、左側貫通孔17及び右側貫通孔18にぴったりとはまるように設計されている場合には、抜け止め効果に優れるものとなるが、抜け止め効果を損なわない範囲で、隙間が存在していてもかまわない。これらの設計は、左側破断予定線24や右側破断予定線25の大きさや形状、抜け止めシャフト14の外径d等によって適宜調整される。
【0032】
<実施形態の効果>
本実施形態のシート供給体1によれば、使用中、抜け止めシャフト14が巻芯11の中を常時軸方向に貫通しているので、ラップロール13からラップフィルム12のシートを引き出すときに、はずみでラップロール13が本体部8の中から抜け出して離脱したり落下したりすることがない。
その際、抜け止めシャフト14の外径dは巻芯11の内径Dに対して十分に細く、抜け止めシャフト14は十分なガタつき間隙xを介して巻芯11に遊嵌されているので、通常のシートの引き出し時に抜け止めシャフト14が巻芯11の内径Dに接触することはほとんどなく、ラップロール13が回転するのを阻害しない(シートロールが抜け出しそうになって初めて接触し、ふだんは接触しない)。
【0033】
<変形例>
なお、本考案は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0034】
(1)抜け止めシャフト14′の横断面形状が非円型の場合
図9に変形例に係るシート供給体1′の斜視図を示す。シート供給体1′のシートロール抜け止め器具23′は、抜け止めシャフト14′と、左側係合部材15′と、右側係合部材16′とを有する。
【0035】
この例では、抜け止めシャフト14′は、正4角形の横断面形状を備えた非円型シャフトである。左側ボス部19′は、抜け止めシャフト14′の左側端部が回転不能に挿入される、正4角形の左側挿入穴26を備える。右側ボス部20′は、抜け止めシャフト14′の右側端部が回転不能に挿入される、正4角形の右側挿入穴27を備える。この例では、左側挿入穴26及び右側挿入穴27は、非貫通の穴であるが、貫通孔であってもかまわない。
【0036】
本変形例によれば、横断面が円型の抜け止めシャフト14を円形の挿入穴に挿入する場合に比べて、左側ボス部19′及び右側ボス部20′の左側挿入穴26及び右側挿入穴27から軸方向に抜けにくい。また左側ボス部19′及び右側ボス部20′に対して周方向に回転できないことからこれによっても抜け止め防止を図ることができる。さらに、部品単位でバラバラにした時に、抜け止めシャフト14′が転がってしまうのを防止できる。
【0037】
(2)抜け止めシャフトの横断面形状が左右で異なる場合
本変形例において、抜け止めシャフトは、左側部分が前記nをn1とした正n1角形の横断面形状を備えるとともに、右側部分が前記nをn2(n2≠n1)とした正n2角形の横断面形状を備える、異形断面シャフトとなっている。例えば、抜け止めシャフト14の左側部分の横断面形状が正4角形で、右側部分の横断面形状が正5角形となるような構成である。
【0038】
この時、左側係合部材の左側ボス部は、抜け止めシャフトの左側端部が回転不能に挿入される、正n1角形の左側挿入穴を備え、右側係合部材の右側ボス部は、抜け止めシャフトの右側端部が回転不能に挿入される、正n2角形の右側挿入穴を備える。
【0039】
この変形例によれば、例えば、左板部6,右板部7のうち一方の板部が開閉可能に構成されていて、ラップロール13を使い切った後の交換時に上記一方の板部を開いて対応する一方の係合部材のみを取り外しラップロールを軸方向に抜き出す場合等、左・右の係合部材を区別して取扱いたい場合等における便宜を図ることができる。
【0040】
(3)左側係合部材または右側係合部材が抜け止めシャフトと一体化している場合
本変形例のシート供給体においては、左側係合部材及び右側係合部材のうちいずれか一方と、抜け止めシャフトとが、一体に構成されている。例えば、左側係合部材または右側係合部材と、抜け止めシャフトとを、樹脂素材で一体的に成型する等の方法により、このような構成とすることができる。
【0041】
本変形例によれば、シート供給体を構成する部品点数を減らすことができ、バラバラにした時の紛失の可能性を低減できる。また左・右両側の係合部材のうちもう一方は抜け止めシャフトと一体ではなく取外し可能とすることで、ラップロールを使い切った後の交換時の便宜を図ることができる。
【0042】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0043】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0044】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0045】
1 シート供給体
2 開口部
3 底板部
4 前板部
5 後板部
6 左板部
7 右板部
8 本体部
9 蓋部
10 切断刃
11 巻芯
12 ラップフィルム
13 ラップロール
14 抜け止めシャフト
15 左側係合部材
16 右側係合部材
17 左側貫通孔
18 右側貫通孔
19 左側ボス部
20 右側ボス部
21 シートボックス
22 ミシン目
23 シートロール抜け止め器具
24 左側破断予定線
25 右側破断予定線
26 左側挿入穴
27 右側挿入穴
【要約】
【課題】ラップフィルム等のシートを引き出すときに、シートロールが抜け出して離脱したり落下するのを防止する。
【解決手段】
本体部8と、蓋部9と、切断刃10と、本体部8に収容されるラップロール13とを有し、ラップフィルム13のシートが切断刃19により切断されるシート供給体1であって、本体部8の左板部6に設けられる左側破断予定線24と、本体部8の右板部7に設けられる右側破断予定線25と、左側破断予定線24を破断して形成した左側貫通孔17に係合する左側ボス部19を備えた左側係合部材15と、右側破断予定線25を破断して形成した右側貫通孔18に係合する右側ボス部20を備えた右側係合部材と、ラップロール13の巻芯11の内径Dの1/20以上1/3以下となる外径dを備え、巻芯11との間に前記内径の1/3以上のガタつき間隙xを許容する抜け止めシャフト14とを有する。
【選択図】
図2