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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20230306BHJP
   G08B 13/02 20060101ALI20230306BHJP
   G08B 13/19 20060101ALI20230306BHJP
   G08B 13/196 20060101ALI20230306BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G08B13/02 A
G08B13/19
G08B13/196
G08B25/04 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018088221
(22)【出願日】2018-05-01
(65)【公開番号】P2018190420
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】P 2017090735
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516206761
【氏名又は名称】株式会社ELEMENTS
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】久田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0312531(US,A1)
【文献】特開2013-045162(JP,A)
【文献】特開2009-015536(JP,A)
【文献】特開2010-090677(JP,A)
【文献】特開2004-240839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 13/00-15/02
G08B 17/00-17/12
G08B 19/00-31/00
H04M 9/00- 9/10
H04M 11/00-11/10
H04W 4/00-99/00
H04L 12/28
H04L 12/44-12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定団体に属していないユーザにより管理されている建物の出入口近傍の所定の領域に立入ろうとする訪問者であって、当該所定団体に属している訪問者を監視する情報処理システムであって、
前記訪問者に対して、生体情報に関する所定の条件を満たした場合には、前記所定の領域への立入りを許可し、前記所定の条件を満たしていない場合には、前記所定の領域への立入りを禁止する管理手段と、
前記立入りが許可された前記訪問者が前記所定の領域に立入ったことをその時刻と共に検出し、当該訪問者が前記所定の領域から立去ったことをその時刻と共に検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果を前記所定団体に報知する報知手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記検出手段により前記訪問者が前記所定の領域に立入ったことが検出された場合、前記訪問者の異常行動の有無を判定する判定手段をさらに備え、
前記報知手段は、前記訪問者の異常行動があったと前記判定手段により判定された場合、さらに、その旨を報知する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記所定の領域を撮像する撮像手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記撮像手段による撮像の結果に基づいて、前記訪問者の異常行動の有無を判定する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記所定の領域に配置された所定の物品の振動を検知する振動検知手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記振動検知手段による検知の結果に基づいて、前記訪問者の異常行動の有無を判定する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記管理手段は、
前記訪問者が前記所定の領域に立入る際に、当該訪問者に対して、前記生体情報に関する前記所定の条件を満たしているかについての認証を行うと共に、
前記訪問者が前記所定の領域から立去る際に、当該訪問者に対して、前記生体情報に関する前記所定の条件を満たしているかについての前記認証を行う、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ確保の観点から、関係者以外の立入を禁止するために、入口に電気錠等を設ける建物が増えている。その一方で、関係者以外の者が建物の中に入らなければならない事情も多く存在する。例えば、ユーザ宛の荷物を配達する宅配サービスは、広く一般に利用されており、人々の日常生活に不可欠なものとなっている。宅配業者が荷物をユーザ宅へ配達する場合、ユーザ又はその家族が在宅中であれば問題ないが、特に平日の昼間等時間帯にはユーザ又はその家族が不在の場合もある。このような場合、宅配業者は、ユーザが不在時に宅配のために訪問した旨を知らせるための伝言メモ(以下「不在連絡票」と呼ぶ)を郵便受け等に投函し、ユーザ宛の荷物を一旦持ち帰るのが一般的である。このため、宅配業者としてはユーザ宛の荷物を効率良く届けることがでず、ユーザとしては荷物を効率良く受け取れないといった問題があった。
このような宅配時の非効率を解消するための手段の一つとして、特定の宅配業者のみを自宅に立入らせることができる、とされる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-114923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の技術のみでは、特定の宅配業者のみを自宅に立入らせることはできるが、立入ることを許された宅配業者の内心に存在し得る悪意を判別することができない。つまり、ユーザ宅に立入った宅配業者の内心に基づく行動を制御することはできない。仮に、宅配業者の内心に悪意が存在する場合には、その悪意に基づく行動を制限する術はなく、窃盗や器物破損等のトラブルが発生し得る。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、ユーザが所在する建物への訪問者のうち、特定の訪問者のみについて、建物の出入口近傍の所定の領域への立入りを認めるとともに、この所定の領域への立入りが認められた訪問者の行動に一定の制限を課して、効率良く訪問者を監視する手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明が適用される情報処理システムは、
建物の出入口近傍の所定の領域に立入ろうとする訪問者を監視する情報処理システムであって、
前記訪問者に対して、生体情報に関する所定の条件を満たした場合には、前記所定の領域への立入りを許可し、前記所定の条件を満たしていない場合には、前記所定の領域への立入りを禁止する管理手段を備える。
【0007】
また、前記訪問者が前記所定の領域に立入ったことを検出する検出手段と、
前記検出手段による検出の結果に基づいて、前記訪問者の異常行動の有無を判定する判定手段と、
前記訪問者の異常行動があったと判定された場合、その旨を報知する報知手段と、
をさらに備えることができる。
【0008】
また、前記所定の領域を撮像する撮像手段をさらに備えることができ、
前記判定手段は、さらに、
前記検出手段による検出の結果及び前記撮像手段による撮像の結果に基づいて、前記訪問者の異常行動の有無を判定することができる。
【0009】
また、前記所定の領域に配置された所定の物品の振動を検知する振動検知手段と、
前記振動検知手段による検知の結果に基づいて、前記訪問者の異常行動の有無を判定する判定手段と、
前記訪問者の異常行動が有ったと判定された場合、その旨を報知する報知手段と、
をさらに備えることができる。
【0010】
また、前記管理手段は、前記訪問者が前記所定の領域に立入る前後の夫々において、少なくとも一度、前記訪問者が前記所定の条件を満たしているか否かの認証を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザが所在する建物への訪問者のうち、特定の訪問者のみについて、建物の出入口近傍の所定の領域への立入りを認めるとともに、所定の領域への立入りが認められた訪問者の行動に一定の制限を課して、訪問者を効率良く監視する手法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の情報処理システムの一実施形態に係る訪問者監視システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2図1の訪問者監視システムを構成する管理装置、限界領域検出装置、及び監視装置の機能的構成のうち、管理処理を実行するための機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3図2の管理装置が実行する管理処理の流れを説明するフローチャートである。
図4図2の限界領域検出装置及び監視装置による処理の具体例を示す図である。
図5】限界領域検出装置及び監視装置の設置例を示す図である。
図6】立入可能領域に設置された物品に、監視装置のセンサ部を取り付けた場合の例を示す図である。
図7】荷物を置くための台座に、振動センサを取り付けた場合の具体例を示す図である。
図8】振動センサが取り付けられていない物品を利用しつつ、限界領域検出装置のセンサ部と、監視装置の撮像部とを協働させることで訪問者の異常行動を監視する場合を示す図である。
図9】振動センサが取り付けられた物品、又は振動センサが取り付けられていないを利用しつつ、限界領域検出装置のセンサ部と、監視装置の撮像部とを協働させることで訪問者の異常行動を監視する場合の具体例を示す図である。
図10】建物の出入口近傍の所定の領域に設置される物品として、暖簾を設置した場合の例を示す図である。
図11】管理装置を備える扉を開錠する権限の内容を示す図である。
図12】管理装置による認証の流れ示す図である。
図13】管理装置を備える扉の設置例を示す図である。
図14】管理装置を備える扉を開錠する権限の活用例を示す図である。
図15】管理装置が備える学習機能の活用例を示す図である。
図16】管理装置を備える扉を設置することなく訪問者の行動を監視可能とする、限界領域検出装置としてのセンサポールを示す図である。
図17図16のセンサポールの設置例を示す図である。
図18図17に示すセンサポールとともに、ホテルや民泊におけるチェックイン手続の無人化を可能とするチェックイン端末を設置した場合の例を示す図である。
図19】扉の外側(即ち建物外)に監視装置を設置した場合の例を示す図である。
図20】本発明の情報処理システムの一実施形態に係る訪問者監視システムのハードウェア構成例のうち、図1とは異なる例を示すブロック図である。
図21】本発明の情報処理システムの一実施形態に係る訪問者監視システムのハードウェア構成例のうち、図1とは異なる例を示すブロック図である。
図22】本発明の情報処理システムの一実施形態に係る訪問者監視システムのハードウェア構成例のうち、図1とは異なる例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の情報処理システムの一実施形態に係る訪問者監視システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0015】
訪問者監視システムは、図1に示すように、扉1に搭載された管理装置11と、扉1の内外に設置された、限界領域検出装置21と、監視装置22とを含むように構成され、必要に応じて開扉維持機構23を設けてもよい。
【0016】
(管理装置)
管理装置11は、建物の出入口に設置された扉1に搭載された装置であり、建物の出入口近傍の所定の領域に立入ろうとする者(以下「訪問者」と呼ぶ)に対して、生体情報に関する所定の条件を満たした場合には、訪問者の立入りを許可し、生体情報に関する所定の条件を満たしていない場合には、訪問者の立入りを禁止する。このような処理を、以下「管理処理」と呼ぶ。管理装置11による管理処理の結果、特定の訪問者のみについて立入りを認めることができるので、特定の訪問者以外の者が立入ることを効率良く防ぐことができる。
【0017】
具体的には、管理装置11は、ターミナル111と、信号変換基板112と、電気錠113と、電気錠制御盤114と、無停電電源(UPS)115とを備え、これらが協働することで管理処理が実行される。
なお、図1に示すように、ターミナル111、電気錠制御盤114、及び無停電電源(UPS)115は、交流電源から100Vの電力の供給を受けている。信号変換基板112は、ターミナル111からUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して間接的に電力の供給を受けるとともに、ターミナル111との間の通信を可能としている。
【0018】
ターミナル111は、建物の出入口近傍の所定の領域に立入ろうとする訪問者の生体情報を入力するための端末である。具体的には、ターミナル111は、生体情報入力部120(図2参照)を備える。生体情報入力部120は、生体認証を受けようとする訪問者の生体情報を入力する。生体情報入力部120に入力される生体情報の内容は特に限定されない。例えば指紋や顔の撮像画像に基づく画像情報等を生体情報とすることができる。
【0019】
信号変換基板112は、ターミナル111に対する入力信号を、電気錠113を開閉するための信号に変換する電子回路が組込まれた基板である。具体的には、信号変換基板112には、電気錠I/F(インターフェース)121と、電気錠制御盤I/F(インターフェース)122と、施開錠検知入力部123と、開閉検知入力部124と、DC/DCコンバータ125とが組込まれている。
電気錠I/F(インターフェース)121は、信号変換基板112と電気錠113とを接続するためのインターフェースである。
電気錠制御盤I/F(インターフェース)122は、信号変換基板112と電気錠制御盤114とを接続するためのインターフェースである。
施開錠検知入力部123は、電気錠113の施錠状態と開錠状態とを検知し、検知した結果を入力する。
開閉検知入力部124は、管理装置11を搭載した扉1が開いている状態と、閉まっている状態とを検知し、検知した結果を入力する。
DC/DCコンバータ125は、直流の電圧値を変換する。具体的には例えば、DC/DCコンバータ125は、DC5V(ボルト)をDC24V(ボルト)に変換する。図1の例における信号変換基板112は、AC/DCコンバータを有しない構成となっている。このため、信号変換基板112は、上述したようにターミナル111からUSBケーブルを介して間接的に電力の供給を受けているが、AC/DCコンバータ126を有する構成とすることにより、100V(ボルト)の交流電源から直接電力の供給を受けることもできる。なお、信号変換基板112が、AC/DCコンバータ126を有する場合の構成例は、図20乃至図22の例を参照して後述する。
【0020】
電気錠113は、電力を利用して扉1の開錠と施錠とを行う鍵である。
【0021】
電気錠制御盤114は、電気錠113を施錠する制御と開錠する制御とを行うための各種機器が納められた箱である。
【0022】
無停電電源(UPS)115は、管理装置11を安定稼働させるための無停電電源装置である。具体的には、無停電電源(UPS)115は、内部にバッテリー(図示せず)を備え、停電や断線といった突然の電源トラブルに対応する。電源トラブルにより、100Vの交流電源からの電力の供給がなくなった場合、無停電電源(UPS)115は、バッテリーに蓄電した電力を使用して管理装置11を安定稼働させる。これにより、電源トラブルによって扉1を開錠することができなくなるような事故を防ぐことができる。
【0023】
(限界領域検出装置)
限界領域検出装置21は、建物の出入口近傍の所定の領域に設置される装置であり、訪問者が建物の出入口近傍の所定の領域に立入ったことを検出する。具体的には、限界領域検出装置21は、センサ等で構成され、建物の出入口近傍の所定の領域に立入った訪問者が、建物の出入口近傍の所定の領域のうち立入ることが禁止されていない領域(以下「立入可能領域」と呼ぶ)と、立入ることが禁止された領域(以下「立入禁止領域」と呼ぶ)との境界(以下「限界領域」)を越えて立入った場合にこれを検知する。限界領域検出装置21を構成するセンサ等は特に限定されないが、例えば、発振した赤外線レーザーを目的物に照射して目的物までの距離を測定するレーザーレンジファインダ等を用いることができる。
【0024】
(監視装置)
監視装置22は、建物の出入口近傍の所定の領域に設置される装置であり、建物の出入口近傍の所定の領域に立入った訪問者の行動を監視する。具体的には例えば、監視装置22は、赤外線監視カメラ等の撮像手段や、振動センサ等の検知手段等を用いて、建物の出入口近傍の所定の領域に立入った訪問者の行動を監視する。
【0025】
監視装置22が、建物の出入口近傍の所定の領域に立入った訪問者の行動を監視する際に、監視カメラ等の撮像手段を用いる場合には、監視カメラ等が、建物の出入口近傍の所定の領域を撮像する。そして、管理装置11が、監視カメラ等による撮像の結果に基づいて、建物の出入口近傍の所定の領域に立入った訪問者の異常行動の有無を判定する。なお、擦りガラス等で監視カメラを隠すことにより、訪問者に監視カメラの存在を悟らせないようにしてもよい。また、スイッチの切り替えにより透明ガラスと不透明ガラスとを切り替えることができる瞬間調光ガラスを監視カメラの前に配置してもよい。これにより、所定のシチュエーション(例えば宅配業者による宅配時)以外は撮影を行わない旨を訪問者にアピールすることができる。
【0026】
監視装置22が、建物の出入口近傍の所定の領域に立入った訪問者の行動を監視する際に、振動センサ等の検知手段を用いた監視を行う場合には、振動センサ等が、建物の出入口近傍の所定の領域に設置された所定の物品の振動を検知し、管理装置11が、振動センサ等による検知の結果に基づいて、建物の出入口近傍の所定の領域に立入った訪問者の異常行動の有無を判定する。なお、振動センサを用いて監視を行う場合の具体例については、図6及び図7を参照して後述する。
【0027】
(開扉維持機構)
開扉維持機構23は、必要に応じて設けられる機構であり、扉1が開いた状態を維持させるための機構である。開扉維持機構23を備えることにより、例えば宅配業者は、扉1を開いた状態で効率良く配達作業を行うことができる。
【0028】
図2は、図1の訪問者監視システムを構成する管理装置11、限界領域検出装置21、及び監視装置22の機能的構成のうち、管理処理を実行するための機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0029】
管理装置11は、図2に示すように、管理部101と、入力部102と、電力供給部103と、記憶部104とを備える。記憶部104の一領域にはユーザDB401が設けられている。ユーザDB401には、ユーザに関するあらゆる情報を記憶させることができる。例えば、生体認証に必要となる各ユーザの生体情報をユーザDB401に記憶させることができる。生体認証に必要となる各ユーザの生体情報は、各ユーザの夫々を一意に識別するID等に紐付けられて記憶されている。
【0030】
管理装置11において管理処理が実行される場合、管理部101では、入力受付部131と、判定部132と、錠管理部133と、扉管理部134と、報知制御部135とが機能する。
【0031】
入力受付部131は、入力部102により入力された、認証を受けようとする訪問者の生体情報を受付ける。
【0032】
判定部132は、入力受付部131により受付けられた生体情報に基づいて、電気錠113を施錠するか開錠するかを判定する。具体的には、判定部132は、入力受付部131により受付けられた、認証を受けようとする訪問者の生体情報と、ユーザDB401に記憶され管理されている生体情報とが照合するか否かを判定する。
また、判定部132は、限界領域検出装置21による検出の結果と、監視装置22による監視の結果とのうち少なくとも一方の結果に基づいて、建物の出入口近傍の所定の領域に立入った訪問者の異常行動の有無を判定する。
【0033】
錠管理部133は、判定部132による判定の結果に基づいて、電気錠113の開錠及び施錠の制御を実行する。
また、錠管理部133は、電気錠113の施錠及び開錠についてのログを管理する。具体的には例えば、錠管理部133は、電気錠113が開錠された時刻、電気錠113が施錠された時刻、電気錠113が開錠の状態を継続している時間(以下「開錠継続時間」と呼ぶ)、電気錠113が施錠の状態を継続している時間(以下「施錠継続時間」と呼ぶ)等を管理する。
【0034】
扉管理部134は、扉1の開閉についてのログを管理する。具体的には、扉管理部134は、扉1が開いた時刻、扉1が閉じた時刻、扉1が開いた状態を継続している時間(以下「開扉継続時間」と呼ぶ)、扉1が閉じた状態を継続している時間(以下「閉扉継続時間」と呼ぶ)等を管理する。例えば、開扉維持機構23により扉1の開扉状態が維持されている時間は、開扉継続時間としてカウントされる。
【0035】
報知制御部135は、錠管理部133による管理の結果、扉管理部134による管理の結果、及び判定部132による判定の結果に基づいて、ユーザ(例えば家主)、警備会社、宅配業者の管理センター等に対する報知を行う制御を実行する。
具体的には例えば、報知制御部135は、予め設定された施錠継続時間よりも短い施錠継続時間が錠管理部133によって検知された場合には、ユーザや警備会社等にその旨を報知する制御を実行することができる。
また例えば、報知制御部135は、予め設定された開錠継続時間よりも長い開錠継続時間が錠管理部133によって検知された場合には、ユーザや警備会社等にその旨を報知する制御を実行することができる。これにより、宅配業者は、予め設定された開錠継続時間より短い時間であれば、ユーザや警備会社等への報知が行われることなく、建物の出入口近傍の所定の領域において宅配作業を行うことができる。
また例えば、限界領域検出装置21による検知の結果や、監視装置22による監視の結果に基づいて電気錠113が施錠されたときに、扉1の内側に人物等の存在が確認され、これにより、判定部132の判定において訪問者の異常行動の存在が認められた場合には、報知制御部135は、ユーザや警備会社等にその旨を報知する制御を実行することができる。
なお、ユーザや警備会社等に対する報知の具体的手法は特に限定されない。例えばアラートメール、警告音、監視カメラによる撮像画像の出力(ストリーミング)、等の手法を用いて報知してもよい。また例えば、玄関の領域にスピーカ(図示せず)を設置し、報知後に通話等を行えるようにしてもよい。また、報知と同時に扉1を施錠するようにしてもよい。これにより、異常行動を行った訪問者の逃走を防ぐことができる。
【0036】
管理装置11において管理処理が実行される場合、入力部102では、生体情報入力部120と、施開錠検知入力部123と、開閉検知入力部124とが機能する。生体情報入力部120は、生体認証を受けようとする者の生体情報を入力する。施開錠検知入力部123は、電気錠113の施錠状態と開錠状態とを検知し、検知した結果を入力する。開閉検知入力部124は、管理装置11を搭載した扉1が開いている状態と、閉まっている状態とを検知し、検知した結果を入力する。
【0037】
管理装置11において管理処理が実行される場合、電力供給部103では、無停電電源(UPS)115と、DC/DCコンバータ125又はAC/DCコンバータ126とが機能する。無停電電源(UPS)115は、バッテリーに蓄電した電力を使用して管理装置11を安定稼働させる。これにより、電源トラブルにより扉1を開錠することができないといった事態が生じることを防ぐことができる。DC/DCコンバータ125は、DC(直流)5V(ボルト)からDC(直流)24V(ボルト)に変換する。AC/DCコンバータ126は、交流を直流に変換する。具体的には、AC/DCコンバータ126は、AC(交流)100V(ボルト)からDC(直流)24V(ボルト)に変換する。
【0038】
限界領域検出装置21は、図2に示すように、センサ部211を備える。センサ部211は、発振した赤外線レーザーを目的物に照射して目的物までの距離を測定するレーザーレンジファインダ等で構成され、訪問者が建物の出入口近傍の所定の領域に立入ったことを検出する。
【0039】
監視装置22は、図2に示すように、センサ部221と、撮像部222とを備える。センサ部221は、建物の出入口近傍の所定の領域に設置された所定の物品の振動を検知する。撮像部222は、建物の出入口近傍の所定の領域を撮像する。
【0040】
以上のような機能を有する管理装置11、限界領域検出装置21、及び監視装置22が協働することにより、例えば訪問者が宅配業者である場合には、配達時におけるユーザの利便性と居住空間の安全性とを両立させることができる。
【0041】
図3は、図2の管理装置11が実行する管理処理の流れを説明するフローチャートである。
【0042】
図3に示すように、管理装置11の管理部101では、例えば次のような一連の処理が実行される。なお、図3に示す処理は、訪問者が扉1の内側(即ち建物内)に立入ろうとする場合の処理である。
立入の認証を受けようとする訪問者は、管理装置11の入力部102から生体情報を入力する。
生体情報が入力されると、ステップS1において、管理部101の入力受付部131は、入力部102に入力された訪問者の生体情報を受付ける。
ステップS2において、判定部132は、入力受付部131により受付けられた、認証を受けようとする訪問者の生体情報と、ユーザDB401に記憶され管理されている生体情報とが照合するか否かを判定する。
立入の認証を受けようとする訪問者の生体情報と、ユーザDB401に記憶され管理されている生体情報とが照合された場合には、ステップS2においてYESであると判定されて、処理はステップS3に進む。
これに対して、立入の認証を受けようとする訪問者の生体情報と、ユーザDB401に記憶され管理されている生体情報とが照合されない場合には、ステップS2においてNOであると判定されて、処理はステップS1に戻される。即ち、ステップS2においてYESであると判定されるまで、ステップS1の処理とステップS2の判定処理とが繰り返し実行される。
ステップS3において、錠管理部133は、電気錠113の開錠する制御を実行する。ステップS3における処理の結果、電気錠113が開錠されると、訪問者は建物内に立入ることができる。
【0043】
ステップS4において、判定部132は、限界領域検出装置21のセンサ部211が、建物内に立入った訪問者が建物内の所定の領域に立入ったことを検出したか否かを判定する。
限界領域検出装置21のセンサ部211が、建物内に立入った訪問者が建物内の所定の領域に立入ったことを検出していない場合には、ステップS4においてNOであると判定されて、処理はステップS5に進む。
これに対して、限界領域検出装置21のセンサ部211が、建物内に立入った訪問者が建物内の所定の領域に立入ったことを検出した場合には、ステップS4においてYESであると判定されて、処理はステップS5をスキップしてステップS7に進む。
【0044】
ステップS5において、判定部132は、監視装置22のセンサ部221及び撮像部222による監視の結果から、建物内に立入った訪問者の異常行動の有無を判定する。
建物内に立入った訪問者の異常行動が認めらた場合には、ステップS5においてYESであると判定されて、処理はステップS7に進む。
これに対して、建物内に立入った訪問者の異常行動が認めらない場合には、ステップS5においてNOであると判定されて、処理はステップ6に進む。
【0045】
訪問者は、建物内から建物外に出る際、退出の認証を受けるために、管理装置11の入力部102から生体情報の入力を行う。
ステップS6において、入力受付部131は、入力部102に入力された訪問者の生体情報を受付ける。
ステップS7において、判定部132は、入力受付部131により受付けられた、退出の認証を受けようとする訪問者の生体情報と、ユーザDB401に記憶され管理されている生体情報とが照合するか否かを判定する。
退出の認証を受けようとする訪問者の生体情報と、ユーザDB401に記憶され管理されている生体情報とが照合された場合には、ステップS7においてYESであると判定されて、訪問者は問題なく退出することができる。これにより管理処理は終了する。
これに対して、退出の認証を受けようとする訪問者の生体情報と、ユーザDB401に記憶され管理されている生体情報とが照合されない場合には、ステップS7においてNOであると判定されて、処理はステップS8に進む。
ステップS8において、報知制御部135は、ユーザに対する報知と、警備会社等に対する報知とを行う制御を実行する。これにより管理処理は終了する。
以上のステップを経て管理処理が実行されることにより、ユーザが所在する建物への訪問者のうち、特定の訪問者のみについて建物内への立入りを認めるとともに、建物内への立入りが認められた訪問者の行動に一定の制限を課して、建物内の所定の領域のみを立入可能領域とし、それ以外の領域を立入禁止領域として管理することが可能となる。
【0046】
次に、図4を参照して、限界領域検出装置21及び監視装置22による処理の具体例について説明する。
図4は、図2の限界領域検出装置21及び監視装置22による処理の具体例を示す図である。なお、図4には、宅配業者Tが、ユーザ宛の荷物を配達するために、留守中のユーザ宅に立入った場合の例が示されている。
図4(A)は、限界領域検出装置21により形成される立入可能領域A1及び立入禁止領域A2のイメージを示す側面図である。
図4(B)は、限界領域検出装置21により形成される立入可能領域A1及び立入禁止領域A2のイメージを示す斜視図である。
【0047】
限界領域検出装置21は、上述したようにレーザーレンジファインダ等のセンサ部211を含む。限界領域検出装置21は、図4(A)に示すように、宅配業者Tが、ユーザ宅内において、立入可能領域A1を越えて立入禁止領域A2に立入った場合にこれを検知する。なお、立入可能領域A1の大きさを決める立入可能距離D1は、ユーザが任意に設定することができる。図4(A)に示す例では、ユーザによる立入可能距離D1の設定の結果、ユーザ宅の玄関の領域と、玄関側の廊下の一部の領域とが立入可能領域A1に含まれている。このため、宅配業者Tは、立入禁止領域A2に立入ることなく、ユーザ宛の荷物を玄関側の廊下の端部に置くことができる。
【0048】
なお、図4(A)には、限界領域検出装置21が、扉1の内側(即ち建物内)に立入可能領域A1と立入禁止領域A2とを形成させる例が示されているが、これに限定されない。限界領域検出装置21は、扉1の外側(即ち建物外)に立入可能領域A1と立入禁止領域A2とを形成させることもできる。
【0049】
監視装置22は、上述したように監視カメラ等からなる撮像部222や、振動センサ等からなるセンサ部221を含む。監視装置22は、監視カメラや振動センサ等を用いて、ユーザ宅内に立入った宅配業者Tの行動を監視する。監視カメラを用いて監視が行われる場合には、管理装置11が、監視カメラ等による撮像の結果に基づいて、建物内に立入った宅配業者Tの異常行動の有無を判定する。なお、振動センサを用いて監視が行われる場合については、図6及び図7を参照して後述する。
これにより、24時間365日の撮像画像を記録することが可能となるので、犯罪等を抑止することができるとともに、有事の際の証拠を確保することができる。
また、監視カメラにより撮像された画像に基づく画像情報から宅配業者Tを抽出することにより、宅配業者Tがユーザ宅内に滞在している時間を計測したり、立入った者の人数を検出することもできる。宅配業者Tがユーザ宅内に滞在している時間を計測することにより、例えば宅配業者Tがユーザ宅内に滞在している時間が、上述の開錠継続時間を超過した場合に、ユーザ及び警備会社等に報知するようにすることもできる。また、立入った宅配業者Tの人数を検出することにより、例えば建物内に残留した宅配業者Tの異常行動を監視することができる。
【0050】
限界領域検出装置21と、監視装置22とを協働させてもよい。この場合、監視カメラにより撮像された画像に基づく画像情報から宅配業者Tを抽出する際の精度を高めることができる。その結果、例えばユーザ宅で飼われているペット等を宅配業者Tであると誤って検知してしまうことを防ぐことができる。
【0051】
図5は、限界領域検出装置21及び監視装置22の設置例を示す図である。
【0052】
図5に示す例では、限界領域検出装置21は、扉1の上部近傍と、扉1の左右側部近傍とに夫々設置されている。また、監視装置22は、扉1の上部近傍に設置されている。このように設置された状態で、ユーザは以下の設定を行う。
即ち、ユーザは、立入可能距離D1を設定する。これにより、扉1内(即ち建物内)に立入可能領域A1と立入禁止領域A2とを形成させることができる。ユーザが設定した立入可能距離D1を越えて訪問者(例えば宅配業者T)が建物内に立入った場合には、その旨がユーザ及び警備会社等に報知される。
また、ユーザは、開錠継続時間を設定する。これにより、ユーザが設定した開錠継続時間を越えて訪問者(例えば宅配業者T)が建物内に滞在している場合には、その旨がユーザ及び警備会社等に報知される。
【0053】
図6は、立入可能領域A1内に設置された物品31に、監視装置22のセンサ部221を取り付けた場合の例を示す図である。
【0054】
上述の図4及び図5に示す監視装置22の構成に、図6に示すセンサ部221を加えることができる。センサ部221は、上述したように、建物内の物品31に取り付けられ、建物内の物品31の振動を検知する。センサ部221により建物内の物品31の振動が検知されると、管理装置11が、センサ部221の検知の結果に基づいて、建物内に立入った訪問者の異常行動の有無を判定する。
ここで、建物内の物品31がどのようなものであるかは特に限定されない。例えば、暖簾、看板、台座等、建物内に設置可能なあらゆる物品を「建物内の所定の物品」とすることができる。図6に示すように、扉1の内側(即ち建物内)の玄関の領域と廊下の領域との境界部付近に、センサ部221としての振動センサが取り付けられた物品31を設置することで、玄関の領域と廊下の領域とを分断する仕組みを設けることができる。これにより、扉1の内側(即ち建物内)に監視カメラ等の撮像部222を設置することなく訪問者が廊下の領域(即ち立入禁止領域A2)に立入ったことを検出することができる。
【0055】
図7は、荷物を置くための台座(物品31)に、振動センサ(センサ部221)を取り付けた場合の具体例を示す図である。
【0056】
図7に示すように、扉1の内側(即ち建物内)の玄関の領域と廊下の領域との境界部付近に、振動センサ(センサ部221)が取り付けられた台座(物品31)を設置することができる。図7に例示する台座(物品31)は、マンションやアパートのように玄関の領域が比較的狭い場合に好適である。
建物内に立入った宅配業者Tは、この台座(物品31)に荷物を置く。すると、振動センサ(センサ部221)は、宅配業者Tが、荷物の配達のために建物内に立入って台座(物品31)に荷物を置いたこと検知する。
これにより、扉1の内側(即ち建物内)に監視カメラ等の撮像部222を設置することなく、宅配業者Tが荷物の配達のために建物内に立入ったことを検知することができる。
【0057】
このように、センサ部221を用いて訪問者(例えば宅配業者T)を監視することにより、監視カメラ等の撮像部222を設置することなく宅配業者Tが荷物の配達のために建物内に立入ったことを検知することができる。これにより、監視カメラに抵抗感を有する訪問者への配慮、訪問者のプライバシーの保護、監視カメラ設置に伴うコスト増の回避等において効果を奏することができる。
また、扉1の内側(即ち建物内)に立入る権限を有する者(例えば宅配業者T)による不正行為(建物内への盗聴器や盗撮カメラの設置等のストーキング行為、窃盗等)を検知することができる。さらに、扉1の内側(即ち建物内)に立入る権限を、ネットワークを介して乗っ取るようなハッカー行為等への対応も可能となる。
【0058】
上述のように、物品31に、監視装置22のセンサ部221を取り付けることで、効率良く訪問者の異常行動を監視することができるが、物品31に監視装置22のセンサ部221を取り付けることなく、効率良く訪問者の異常行動を監視することもできる。
即ち、物品31を利用しつつ、限界領域検出装置21のセンサ部211と、監視装置22の撮像部222とを協働させることで訪問者の異常行動を監視する。
【0059】
図8は、振動センサ(センサ部221)が取り付けられていない物品31を利用しつつ、限界領域検出装置21のセンサ部211と、監視装置22の撮像部222とを協働させることで訪問者の異常行動を監視する場合を示す図である。
【0060】
図8に示すように、扉1の内側(即ち建物内)の玄関の領域と廊下の領域との境界部付近に、振動センサ(センサ部221)が取り付けられていない物品31を設置する。
限界領域検出装置21のセンサ部211、及び監視装置22の撮像部222は、協働して建物内の物品31の変化を捉える。これにより、建物内に立入った訪問者が、建物内の物品31よりも扉1側の立入可能領域A1を越えて、建物内の物品31よりも奥の廊下側の立入禁止領域A2に立入ったことを検知することができる。この場合、監視装置22の振動センサ(センサ部221)は不要となる。
【0061】
図9は、振動センサ(センサ部221)が取り付けられた物品31、又は振動センサ(センサ部221)が取り付けられていない物品31を利用しつつ、限界領域検出装置21のセンサ部211と、監視装置22の撮像部222とを協働させることにより、訪問者の異常行動を監視する場合の具体例を示す図である。なお、図9には、宅配業者Tが、ユーザ宛の荷物を配達するために、留守中のユーザ宅に立入った場合の例が示されている。
図9(A)は、限界領域検出装置21と物品31とにより形成される立入可能領域A1及び立入禁止領域A2のイメージを示す側面図である。
図9(B)は、限界領域検出装置21と物品31とにより形成される立入可能領域A1及び立入禁止領域A2のイメージを示す斜視図である。
【0062】
図9(A)に示すように、ユーザにより設定された立入可能距離D1に基づいて配置された物品31と、扉1の内側(即ち建物内)に設置された限界領域検出装置21と、監視装置22とによって、扉1の内側(即ち建物内)には、立入可能領域A1と、立入禁止領域A2とが形成される。これにより、宅配業者Tが立入可能領域A1を越えて作業を行った場合には、その旨がユーザ及び警備会社等に報知される。
【0063】
図9(A)に示す例において、物品31に振動センサ(センサ部221)が取り付けられている場合には、振動センサ(センサ部221)により宅配業者Tの物理的な不正行為が検知されると、その旨がユーザ及び警備会社等に報知される。
また、管理装置11が、監視装置22の監視カメラ(撮像部222)による撮像の結果に基づいて、建物内に立入った宅配業者Tの異常行動の有無を判定する。これにより、24時間365日の撮像画像を記録することができるので、犯罪等を抑止することができるとともに、有事の際の証拠を確保することができる。
また、監視カメラ(撮像部222)により撮像された画像に基づく画像情報から宅配業者Tを抽出することにより、宅配業者Tがユーザ宅内に滞在している時間を計測したり、立入った者の人数を検出することもできる。宅配業者Tがユーザ宅内に滞在している時間を計測することにより、例えば宅配業者Tがユーザ宅内に滞在している時間が、上述の開錠継続時間を超過した場合に、ユーザ及び警備会社等に報知するようにすることもできる。また、立入った宅配業者Tの人数を検出することにより、例えば建物内に残留した宅配業者Tの異常行動を監視することができる。
また、振動センサ(センサ部221)が取り付けられた物品31のみによる監視では対応しきれない問題(例えば物品31のサイズと玄関の領域とのサイズの不一致、あるいは玄関の領域での不正行為)に対応することができる。
このように、振動センサ(センサ部221)が取り付けられているか否かを問わず、建物内の物品31を利用することにより、建物内に立入った訪問者を監視することができる。
【0064】
なお、図9(A)には、限界領域検出装置21及び物品31が、扉1の内側(即ち建物内)に立入可能領域A1と立入禁止領域A2とを形成させる例が示されているが、これに限定されない。限界領域検出装置21及び物品31が、扉1の外側(即ち建物外)に立入可能領域A1と立入禁止領域A2とを形成させることもできる。
【0065】
図10は、建物の出入口近傍の所定の領域に設置される物品31として、暖簾を設置した場合の例を示す図である。
【0066】
ユーザにより設定された立入可能距離D1(図9)に基づいて、図10に示すように、玄関の領域と廊下の領域との境界付近に物品31としての暖簾を設置することにより、扉1の内側(即ち建物内)に、立入可能領域A1と、立入禁止領域A2とを形成させることができる。これにより、宅配業者Tは、立入可能領域A1に含まれる玄関の領域まで立入り、暖簾の手前に荷物を置くことができる。そして、宅配業者Tが立入可能領域A1を越えて立入禁止領域A2に立入った場合には、その旨がユーザ及び警備会社等に報知される。
なお、図10では、物品31としての暖簾が、人間の大人の腰の高さ程度の高さで固定される構成となっているが、これは例示に過ぎず、図10の例と異なる構成であってもよい。例えば、人間の大人が潜ることができる高さの暖簾であってもよい。この場合、ユーザが在宅中であるか外出中であるかを問わず、ユーザ宅の出入口近傍の所定の領域に物品31を常設しておくことができる。
【0067】
次に、図11を参照して、管理装置11を備える扉1を開錠する権限について説明する。
【0068】
図11は、管理装置11を備える扉1を開錠する権限の内容を示す図である。
なお、図11には、扉1を開錠する権限を有する宅配業者Tが、ユーザA宛の荷物を配達するために、留守中のユーザA宅に訪問した場合の例が示されている。
【0069】
図11に示す例では、別途設けられた宅配業者Tの配送ステータス管理システム(図示せず)に、図1に示す訪問者監視システムを連携させ、宅配業者Tに対しユーザA宅の扉1を開錠する権限を付与する。ユーザA宅の扉1を開錠する権限を付与された宅配業者Tに対しては、宅配の開始時、及び宅配の完了時の夫々のタイミングで生体認証が行われる。これにより、宅配の開始から宅配の完了までの間に生じた事象についての責任を宅配業者Tが負うこととなるので、責任の所在を明らかにすることができる。その結果、ユーザA宅の扉1を開錠する権限を有しないにもかかわらず、ユーザA宅の扉1を開錠する権限を有する宅配業者Tに同行することでユーザA宅の扉1の内側に立入った無権限者Fが、宅配の完了後もユーザA宅の扉1の内側に残留するような問題が生じることを防ぐことができる。
【0070】
例えば図11に示すように、宅配業者Tが、宅配を担当するユーザA宅に宅配を行おうとする場合には、宅配業者Tに対してユーザA宅の扉1を開錠する権限が付与される。これに対して、宅配業者Tが宅配を担当しないユーザB宅の扉1を開錠する権限は宅配業者Tに付与されない。つまり、宅配業者Tは、ユーザA宅の扉1を開錠する権限を付与されたとしても、ユーザB宅の扉1を開錠する権限を付与されない限り、ユーザB宅の扉1を開錠する権限については無権限者Fとなる。
ユーザA宅の扉1を開錠する権限は、ユーザA宅の家主や、これからユーザA宅への宅配を行おうとする宅配業者T等にのみ付与され、それ以外の無権限者Fには付与されない。また、ユーザA宅の扉1を開錠する権限は、ユーザA宅への宅配を行おうとする宅配業者Tに付与された後、宅配が完了することにより剥奪される。即ち、宅配のためにユーザA宅の扉1を開錠する権限を有する宅配業者Tは、宅配完了後に無権限者Fとなる。また、複数の宅配業者Tに対して、ユーザA宅の扉1を開錠する権限を同時に付与しないようにしてもよい。これにより、ユーザA宅の扉1を開錠する権限の付与を必要最小限にすることができるので、セキュリティの強化を図ることができる。
【0071】
次に、図12を参照して、管理装置11による認証について説明する。
図12は、管理装置11による認証の流れ示す図である。
なお、図12には、宅配業者Tが、ユーザ宛の荷物を配達するために、留守中のユーザ宅に訪問した場合の例が示されている。
【0072】
ステップS21において、宅配業者Tは、ユーザ宛の荷物を配達するために、留守中のユーザ宅に向かう。
ステップS22において、宅配業者Tは、留守中のユーザ宅に到着する。ここで、図12に示すように、ユーザ宅の出入口には扉1が設けられており、扉1の近傍にはターミナル111としての指紋認証器が設置されている。
ステップS23において、宅配業者Tは、自身が所持するスマートフォン等の携帯端末を使用して、指紋認証を実行可能にする。ここで、指紋認証を実行できる時間に制限を設けてもよい。具体的には例えば、宅配業者Tが所持するスマートフォン等の携帯端末に表示された所定のボタンが押下されると、ボタンの押下から所定の時間(例えば1分間)だけ指紋認証を行うことができるようにしたり、インターフォンを押してから所定の時間(例えば20秒)が経過しない限り指紋認証を行うことができないようにてもよい。また例えば、別途設けられた宅配業者Tの配送ステータス管理システム(図示せず)と連携することにより、宅配業者Tが営業所を出発してからユーザ宅への配達が完了するまでの間だけ指紋認証を行うことができるようにしてもよい。このように、指紋認証を実行できる時間に制限を設けることにより、指紋認証に必要となる最小限の時間についてのみ指紋認証を行うことができる。その結果、セキュリティを強化することができる。
ステップS24において、宅配業者Tは、指紋認証器(ターミナル111)に指をかざす。これにより、管理装置11による指紋認証が開始される。管理装置11による指紋認証は、宅配業者Tの指紋と、ユーザDB401に記憶されたn人のユーザ(nは1以上の整数値)の指紋との間で照合が行われる。即ち、1:n認証による指紋認証が行われる。これにより、例えばICカード(Integrated Circuit Card)の運用では実現不可能な個人の特定を、生体認証によって実現することが可能となる。なお、図12には、一部のユーザの指紋のイメージが例として示されている。
ステップS24における指紋認証の結果、指紋が照合されると、ステップS25において扉1が開錠される。これにより、宅配業者Tは、ユーザ宅内に立入ることができる。
【0073】
次に、図13を参照して、管理装置11を備える扉1の設置例について説明する。
図13は、管理装置11を備える扉1の設置例を示す図である。
【0074】
図13に示すように、管理装置11を備える扉1を建物内に複数設置してもよい。具体的には例えば、建物の外側と建物の内側の玄関とを仕切る扉1Aと、玄関と廊下とを仕切る扉1Bと、廊下とリビングとを仕切る扉1Cとを設置してもよい。
これにより、訪問者の種類に合わせて、訪問者に扉1を開錠する権限を付与したり剥奪したりすることができる。その結果、単にセキュリティを強化するのではなく、訪問者の種類に対応させた柔軟なセキュリティ設定が可能となる。
訪問者の種類の具体例としては、宅配、家事代行、ベビーシッター、家主、親族、友人等を挙げることができる。例えば宅配の場合には、玄関の領域まで立入ることができれば業務を行うことができるので、扉1Aを開錠する権限のみが付与され、扉1Bを開錠する権限、及び扉1Cを開錠する権限については付与されないこととしてもよい。また、扉1Aの外側(即ち建物の外)に宅配物を置くことができるようになっている場合(図19に例示する場合)には、扉1Aを開錠する権限さえも付与しないことができる。これに対して、家事代行やベビーシッターの場合には、リビングの領域まで立入らなければ業務を行うことができないので、扉1A、扉1B、及び扉1Cの全てついて開錠する権限が付与されることとしてもよい。
【0075】
次に、図14を参照して、管理装置11を備える扉1を開錠する権限の活用例について説明する。
【0076】
図14は、管理装置11を備える扉1を開錠する権限の活用例を示す図である。
図14の例では、別途設けられた宅配業者Tの配送ステータス管理システム(図示せず)に、本発明の一実施形態に係る訪問者監視システムが連携しており、宅配業者Tに対しユーザA宅の扉1を開錠する権限が付与されている。また、宅配業者Tは、ユーザB宛の荷物を配達するために、留守中のユーザB宅に訪問している。なお、ユーザB宅の扉61は、管理装置11を備えるユーザA宅の扉1と異なり、従来から存在する一般的な扉であるとする。
【0077】
従来より、宅配業者Tが、ユーザB宛の荷物を宅配するためにユーザB宅を訪問したものの、ユーザBが留守中である場合には、宅配業者Tは、ユーザB宅の郵便受け等に不在連絡票等のメモ書きを残し、ユーザB宛の荷物を営業所に持ち帰えるのが一般的であった。
しかしながら、ユーザBに対し、ユーザA宅の扉1を開錠する権限を付与されれば、宅配業者TがユーザB宛の荷物を宅配する際、ユーザA宅の扉1の内側の立入可能領域A1を、ユーザB宛の宅配物を一時的に置くための代理宅配ボックスとして利用することができる。
この場合、帰宅したユーザBは、ユーザA宅の扉1を開錠する権限を有する宅配業者TがユーザB宅に荷物を宅配する際の手順と同様の手順で、ユーザA宅の扉1を開錠して荷物を回収することができる。また、ユーザBが直接ユーザA宅の扉1を開錠して荷物を回収することなく、宅配業者Tに荷物の再送を依頼することもできる。この場合、荷物の再送の依頼を受けた宅配業者Tは、ユーザA宅に一時的に置いてあるユーザB宛の荷物を回収して、ユーザB宅に再配達する。これにより、荷物が大きかったり重かったりする場合におけるユーザBの負担を軽減させることができる。
なお、ユーザBが立入可能領域A1を越えてA宅内に立入った場合には、宅配業者Tの場合と同様に、異常行動として検知されてユーザAや警備会社等にその旨が報知される。
また、扉1の外側(即ち建物外)に監視装置22を設置することにより、扉1の外側の領域を、ユーザB宛の宅配物を一時的に置くための代理宅配エリアとして利用することもできる。
図14の例におけるユーザAのように、自身の玄関の領域を代理宅配ボックス又は代理宅配エリアとして提供するユーザに対しては、システムの利用料を割引たり、代理宅配ボックス又は代理宅配エリアの提供料を支払う等のメリットを享受させてもよい。これにより、ユーザAのように自身の玄関の領域を代理宅配ボックスとして提供しようとするユーザや、ユーザBのように他ユーザ宅の玄関の領域を代理宅配ボックス又は代理宅配エリアとして利用しようとするユーザの数の増加が期待できる。その結果、サービスを利用するユーザの増加を図ることができる。
【0078】
次に、図15を参照して、管理装置11が備える学習機能について説明する。
図15は、管理装置11が備える学習機能の活用例を示す図である。
【0079】
上述したように、ユーザDB401(図2)には、ユーザに関するあらゆる情報を記憶させることができるので、ユーザ宛の宅配物の履歴に関する情報(以下「配達履歴情報」と呼ぶ)を記憶させることもできる。配達履歴情報には、ユーザが不在のため宅配ボックスに配達した際の配達時間に関する情報も含めることができる。例えば宅配業者Tが生体認証により扉1を開錠して宅配が可能となった日時の履歴についても配達履歴情報としてユーザDB401に記憶させることができる。
これにより、管理装置11の扉管理部134は、配達履歴情報に基づいて、ユーザが留守である可能性が高い曜日や時間帯等を演算して、扉1を自動で在宅モードから、不在時の宅配を可能とする不在宅配モードに切り替えることもできる。なお、扉管理部134による演算には、AI(人工知能)による学習等を利用することができる。
具体的には例えば、図15に示すように、AI(人工知能)が、過去3週間の配達履歴のうち、ユーザが不在につき宅配ボックスに配達された履歴についての情報に基づいた学習を行い、ユーザが留守である可能性が高い曜日(図15の例では木曜日)や時間帯等を演算して、扉1を自動で在宅モードから不在宅配モードに切り替えることができる。
【0080】
次に、図16乃至図18を参照して、管理装置11を備える扉1を設置することなく訪問者の行動を監視する例について説明する。
図16は、管理装置11を備える扉1を設置することなく訪問者の行動を監視可能とする限界領域検出装置21としてのセンサポールを示す図である。
図17は、図16のセンサポールの設置例を示す図である。
図17(A)は、センサポールにより形成される立入可能領域A1及び立入禁止領域A2のイメージを示す側面図である。
図17(B)は、センサポールにより形成される立入可能領域A1及び立入禁止領域A2のイメージを示す斜視図である。
【0081】
上述の実施形態では、管理装置11を備えた扉1と、扉1の内側(即ち建物内)の近傍に設置された限界領域検出装置21と、監視装置22とによって訪問者の異常行動を監視する構成となっていたが、これに加え、又は単独で、限界領域検出装置21としてのセンサポールを設置することもできる。
これにより、管理装置11を備える扉1を設置することなく、距離センサ(センサ部211)によって訪問者の行動を監視することができるので、例えばホテルや民泊において、セキュリティを確保しながら、宿泊客に対する部屋の鍵の受け渡し業務を無人化させることもできる。
具体的には例えば、センサポール(限界領域検出装置21)は、図16に示すように、赤外線レーザーを目的物に照射する複数の距離センサ(センサ部211)が所定間隔で縦一列に配置された棒状の装置で構成させることができる。センサポール(限界領域検出装置21)は、自立可能であるため、図17(A)及び(B)に示すように、管理装置11を備えない一般的な扉61の内側(即ち建物内)の近傍に簡単に設置することができる。これにより、扉61の内側(即ち建物内)に立入可能領域A1と立入禁止領域A2とを形成させることができる。センサポール(限界領域検出装置21)を設置する場合には、扉61を施錠せずに訪問者が出入り自由な状態で、センサポール(限界領域検出装置21)のみでセキュリティを担保することができる。
【0082】
センサポール(限界領域検出装置21)の具体的な構成は特に限定されない。例えばセンサポール(限界領域検出装置21)の高さを0.9m程度とすることで持ち運びし易いコンパクトなサイズとすることもできる。また、センサポール(限界領域検出装置21)に対する電力の供給は、USBケーブルを介して間接的に行ってもよいし、100V(ボルト)の交流電源からACアダプタを介して直接的に行ってもよい。
【0083】
センサポール(限界領域検出装置21)の活用例として、例えばホテルや民泊において、立入可能領域A1を越えた立入禁止領域A2に各部屋の鍵を保管するセキュリティボックス(図示せず)を設置してもよい。この場合、立入可能領域A1でチェックインの手続が行われると、これをトリガとして、立入禁止領域A2への立入に伴う報知が解除されるようにして、宿泊客に対する部屋の鍵の受け渡し業務を無人化させることもできる。なお、宿泊客に対する部屋の鍵の受け渡し業務を無人化させる趣旨から、立入可能領域A1で行われるチェックインの手続も無人で行われることが好ましい。
【0084】
図18は、図17に示すセンサポール(限界領域検出装置21)とともに、ホテルや民泊におけるチェックイン手続の無人化を可能とするチェックイン端末24を設置した場合の例を示す図である。
【0085】
図18に示すように、扉61の内側(即ち建物内)の立入可能領域A1にチェックイン端末24を設置した場合、扉61は常時開錠させることができる。なお、立入可能領域A1を越えた立入禁止領域A2には、各部屋の鍵を保管するセキュリティボックス(図示せず)が設置されている。
宿泊客は、扉61から建物内に立入り、チェックイン端末24を操作することでチェックインを行う。このとき、センサポール(限界領域検出装置21)は、宿泊客が立入禁止領域A2に立入った場合にこれを検知して報知を行うので、セキュリティは担保される。
宿泊客がチェックインを済ませると、これをトリガとして、センサポール(限界領域検出装置21)による報知機能が解除される。これにより、チェックインを済ませた宿泊客は、セキュリティボックス(図示せず)に保管された部屋の鍵を受け取ることができる。なお、セキュリティボックスに保管された部屋の鍵を受け取る際に必要となるセキュリティボックスの開錠キーは、チェックイン完了時にチェックイン端末24に表示される。
このように、扉61が常時開錠された状態であっても、センサポール(限界領域検出装置21)とチェックイン端末24とを設置することにより、ホテルや民泊におけるチェックイン業務や部屋の鍵の受け渡し業務を無人化させることが可能となる。
【0086】
上述のように、監視装置22は、扉1の内側(即ち建物内)に設置することができるが、図19に示すように、扉1の外側(即ち建物外)に監視装置22を設置することもできる。これにより、扉に電気錠113等を設置する手間を省略することができる。
図19は、扉1の外側(即ち建物外)に監視装置22を設置した場合の例を示す図である。
【0087】
図19に示すように、扉1の外側(即ち建物外)に監視装置22を設置すると、監視装置22の各種センサ(センサ部221)が、扉1の外側の領域に置かれた荷物の監視を行うことができる。なお、各種センサ(センサ部221)の種類は特に限定されない。例えば、赤外線照射による絶対温度を検出する赤外線アレイセンサ等を用いることができる。
監視装置22によって監視された状態にある荷物が移動すると、ユーザや警備会社等にその旨が報知される。扉1を開錠する権限が付与されている者(例えば宅配業者T)は、監視装置22による荷物の監視を解除することができる。これにより、宅配業者Tは扉1に立入ることなくユーザ宛の荷物の宅配を完了させることができる。
監視装置22により監視される荷物は、宅配業者Tが扉1の外側の領域に置いたユーザ宛の宅配物に限定されず、ユーザが他者宛で発送したい荷物であってもよい。この場合、宅配業者Tは、ユーザが不在の状態であっても、ユーザが発送する荷物の集荷を行うことができる。
また、上述したように、扉1の外側(即ち建物外)に監視装置22を設置することにより、図14に示す例と同様に、扉1の外側の領域を、異なるユーザ宛の宅配物を一時的に留置するための代理宅配エリアとして利用することもできる。
【0088】
監視装置22の各種センサ(センサ部221)は、扉1の外側の所定の領域を監視可能とするため、図19(A)に示すように監視装置22から遠い位置に荷物が置かれた場合や、図19(B)に示すように監視装置22から近い位置に荷物が置かれた場合であっても荷物が置かれる前後にわたって監視することができる。また、図示はしないが、複数の荷物であっても監視することができる。
【0089】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0090】
例えば、上述の実施形態では、限界領域検出装置21のセンサ部211をレーザーレンジファインダで構成させているが、特にこれに限定されない。即ち、センサ部211として、超音波距離センサ、光位置センサ(PSDセンサ)、カメラ等の人を検知できる各種センサを用いることができる。また、センサ部211の各種センサに首振りモータを設けてもよい。これにより、センシングが可能となる範囲を広げることができる。
【0091】
また、図13には、管理装置11を備える扉1(扉1A乃至1C)を建物内に複数設置する例が示されているが、必ずしも扉1を設置する必要はない。扉1を設置することにより、訪問者の立入制限をより強固なものとすることができるが、建物内に限界領域検出装置21を複数設置することで、建物内の複数の領域について訪問者の立入りを検出することもできる。この場合、例えば図13の例にあてはめると、建物の外側と建物の内側の玄関とを仕切る領域と、玄関と廊下とを仕切る領域と、廊下とリビングとを仕切る領域との夫々について限界領域検出装置21を設置することができる。これにより、訪問者の種類に合わせて、訪問者に各領域に立入る権限を付与したり剥奪したりすることができる。その結果、扉1の有無を問わず、訪問者の種類に対応させた柔軟なセキュリティ設定が可能となる。
【0092】
また、図1のハードウェア構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が訪問者監視システムに備えられていれば足り、この機能を実行するためにどのようなハードウェア構成とするかは特に図1の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、図2に例示する場所に限定されず、任意でよい。
例えば、上述のように、図1図20乃至図22に記載されている開扉維持機構23は必須の機構ではなく、訪問者監視システムの機能を発揮させるために必要に応じて設けることができる。
また例えば、図20乃至図22は、本発明の情報処理システムの一実施形態に係る訪問者監視システムのハードウェア構成例のうち、図1とは異なる例を示すブロック図である。
【0093】
図20に示す例は、主に以下の点で図1に示す例と異なる。即ち、信号変換基板112に電力を供給する手法が異なる。図1に示す例では、管理装置11の信号変換基板112は、DC/DCコンバータ125を有し、ターミナル111に接続されたUSBケーブルを介して間接的に電力の供給を受ける。これに対し、図20に示す例では、管理装置11の信号変換基板112は、AC/DCコンバータ126を有し、100V(ボルト)の交流電源から直接的に電力の供給を受ける。
また、図1に示す例では、管理装置11は、電気錠制御盤114を備え、信号変換基板112が電気錠制御盤I/F122を有する構成となっている。これに対して、図20に示す例では、管理装置11は、電気錠制御盤114を備えておらず、信号変換基板112も電気錠制御盤I/F122を有しない構成となっている。
【0094】
図21に示す例は、主に以下の点で図1に示す例と異なる。即ち、信号変換基板112に電力を供給する手法が異なる。図1に示す例では、管理装置11の信号変換基板112は、DC/DCコンバータ125を有し、ターミナル111に接続されたUSBケーブルを介して間接的に電力の供給を受ける。これに対し、図21に示す例では、管理装置11の信号変換基板112は、AC/DCコンバータ126を有し、100V(ボルト)の交流電源から直接的に電力の供給を受ける。
なお、図21に示す例は、図1に示す例と同様に、管理装置11は、電気錠制御盤114を備え、信号変換基板112が電気錠制御盤I/F122を有する。
【0095】
図22に示す例は、主に以下の点で図1に示す例と異なる。即ち、ターミナル111が無停電電源(UPS)115から電力の供給を受けるか否かが異なる。図1に示す例では、管理装置11のターミナル111は、無停電電源(UPS)115から電力の供給を受ける。これに対して、図22に示す例では、管理装置11がターミナル用ACアダプタ116を備え、ターミナル111は、ターミナル用ACアダプタ116を介して、100V(ボルト)の交流電源から直接的に電力の供給を受ける。
また、信号変換基板112に電力を供給する手法が異なる。図1に示す例では、信号変換基板112は、無停電電源(UPS)115から電力の供給を受けることはなく、ターミナル111に接続されたUSBケーブルを介して間接的に電力の供給を受ける。これに対して、図22に示す例では、信号変換基板112は、無停電電源(UPS)115から電力の供給を受ける。また、図22に示す例では、信号変換基板112は、AC/DCコンバータ126と、レギュレータ24V-5V(/3.3V)128とを有し、100V(ボルト)の交流電源から直接的に電力の供給を受ける。
【0096】
また、上述の実施形態では、電力の供給及び通信を行うために、USBケーブルによって接続させた手法が用いられているが、電力の供給及び通信を行うための接続手法は特に限定されない。例えば、USBケーブル以外のケーブルを用いた有線接続によるものであってもよいし、ワイヤレスUSB(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11等の近距離無線による通信手法や、電磁誘導方式等を用いた非接触による電力の供給手法を用いたものであってもよい。
【0097】
また、上述の実施形態における、電圧の大きさについての具体的な数値は一例にすぎない。即ち、上述した交流電源、DC/DCコンバータ125、AC/DCコンバータ126、レギュレータ24V-5V(/3.3V)128の電圧についての具体的な数値は一例にすぎず、本発明の情報処理システムの構成に合わせた任意の数値とすることができる。
【0098】
また、上述の実施形態では、振動センサ(センサ部221)を設置した物品31は、扉1の内側(即ち建物内)に設置されているが、物品31の設置場所は、扉1の内側(即ち建物内)に限定されず、図19に示すような、扉1の外側(即ち建物外)に設置されてもよい。
【0099】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
さらに言えば、ハードウェア又はソフトウェアにより実行される一連の処理のうち、一部の処理について、ユーザによりデータ入力を行う等、ユーザのマニュアル操作により実行することもできる。
【0100】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0101】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0102】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的なシステムを意味するものとする。
【0103】
換言すると、本発明が適用される情報処理システムは、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理システムは、
建物(例えばユーザ宅)の出入口近傍の所定の領域(例えば玄関の領域)に立入ろうとする訪問者(例えば宅配業者T)を監視する情報処理システム(例えば図1の訪問者管理システム)であって、
前記訪問者に対して、生体情報に関する所定の条件を満たした場合(例えば指紋認証における照合)には、前記所定の領域への立入りを許可し、前記所定の条件を満たしていない場合には、前記所定の領域への立入りを禁止する管理手段(例えば図2の管理装置11)
を備える情報処理システム。
これにより、ユーザが所在する建物への訪問者のうち、特定の訪問者のみについて、建物の出入口近傍の所定の領域への立入りを認めるとともに、所定の領域への立入りが認められた訪問者の行動に一定の制限を課して、効率良く訪問者を監視することができる。
【0104】
また、前記訪問者が前記所定の領域に立入ったことを検出する検出手段(例えば図2の限界領域検出装置21)と、
前記検出手段による検出の結果に基づいて、前記訪問者の異常行動の有無を判定する判定手段(例えば図2の管理装置11の判定部132)と、
前記訪問者の異常行動(例えば立入禁止領域A2への立入り)があったと判定された場合、その旨を報知する報知手段(例えば図2の管理装置11の報知制御部135)と、
をさらに備えることができる。
これにより、ユーザ及び警備会社等に対し、訪問者の異常行動の事実を迅速に知らせることができる。
【0105】
また、前記所定の領域を撮像する撮像手段(例えば図2の監視装置22の撮像部222)をさらに備え、
前記判定手段は、さらに、
前記検出手段による検出の結果及び前記撮像手段による撮像の結果に基づいて、前記訪問者の異常行動の有無を判定することができる。
これにより、訪問者の異常行動を精度良く監視することができる。
【0106】
また、前記所定の領域に配置された所定の物品の振動を検知する振動検知手段(例えば図2の監視装置22のセンサ部221)と、
前記振動検知手段による検知の結果に基づいて、前記訪問者の異常行動の有無を判定する判定手段(例えば図2の管理装置11の判定部132)と、
前記訪問者の異常行動が有ったと判定された場合、その旨を報知する報知手段(例えば図2の管理装置11の報知制御部135)と、
をさらに備えることができる。
これにより、訪問者の異常行動を精度良く監視することができるとともに、ユーザ及び警備会社等に対し、訪問者の異常行動の事実を迅速に知らせることができる。
【0107】
前記管理手段は、前記訪問者(例えば宅配業者T)が前記所定の領域に立入る前後の夫々において、少なくとも一度、前記訪問者が前記所定の条件を満たしているか否かの認証(例えば、宅配時の認証、及び宅配完了に伴う退出時の認証)を行うことができる。
これにより、例えば宅配の開始から宅配の完了までの間に生じた事象についての責任を宅配業者Tが負うこととなるので責任の所在が明らかになる。その結果、ユーザ宅の扉1を開錠する権限を有しないにもかかわらず、ユーザ宅の扉1を開錠する権限を有する宅配業者に同行することでユーザ宅の扉1の内側に立入った無権限者Fが、宅配の完了後もユーザ宅の扉1の内側に残留するような問題が生じることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0108】
1,1A,1B,1C・・・扉、11・・・管理装置、21・・・限界領域検出装置、22・・・監視装置、23・・・開扉維持機構、24・・・チェックイン端末、31・・・建物の出入口近傍の所定の領域に設置された物品、61・・・(従来からある)扉、101・・・管理部、102・・・入力部、103・・・電力供給部、104・・・記憶部、111・・・ターミナル、112・・・信号変換基板、113・・・電気錠、114・・・電気錠制御盤、115・・・無停電電源(UPS)、120・・・生体情報入力部、121・・・電気錠I/F、122・・・電気錠制御盤I/F、123・・・施開錠検知入力部、124・・・開閉検知入力部、125・・・DC/DCコンバータ、126・・・AC/DCコンバータ、127・・・メインCPU、128・・・レギュレータ24V-5V(/3.3V)、131・・・入力受付部、132・・・判定部、133・・・錠管理部、134・・・扉管理部、135・・・報知制御部、141・・・電池充電回路5-4.2V、142・・・電池、211・・・センサ部、221・・・センサ部、222・・・撮像部、401・・・ユーザDB、A1・・・立入可能領域、A2・・・立入禁止領域、D1・・・立入可能距離、F・・・無権限者、T・・・宅配業者、S1~S8,S21~S25・・・各ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
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