(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】容器の蓋を開閉するための装置
(51)【国際特許分類】
B65D 43/16 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
B65D43/16 200
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018206354
(22)【出願日】2018-11-01
【審査請求日】2021-10-15
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515116009
【氏名又は名称】グリフォルス・ワールドワイド・オペレーションズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GRIFOLS WORLDWIDE OPERATIONS LIMITED
【住所又は居所原語表記】Grange Castle Business Park,Grange Castle,Clondalkin,Dublin 22,IRELAND
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ホアン・オリオルス・ガハ
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-007005(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03085643(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00260436(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2001/0044986(US,A1)
【文献】仏国特許発明第01444084(FR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器であって、蓋と、前記蓋を開閉する間に前記蓋(3)の動きを抑制するために当該容器(2)の
前記蓋(3)を開閉するための装置(1)と、を備える、容器において、
前記装置が、
a) 当該容器に連結される固定構造(10、100)と、
b) 前記蓋(3)を前記固定構造(10、100)にヒンジ取り付けする共通回転シャフトと、
c) 前記蓋(3)に力を発生させるバネ(5)であって、前記力の大きさが、前記蓋(3)の相対位置に応じて変化する、バネと、
を備え、
前記蓋が、前記共通回転シャフトから遠隔にある位置において前記バネの前記力を受け入れ、前記共通回転シャフトが、前記バネ(5)によって発揮される
前記力が前記蓋の重量を相殺するように配置されており、
当該容器が、
d) 取手(4)の上側部分(8)に螺入された2つのネジ(13、13’)であって、当該ネジ(13、13’)が、前記固定構造(10、100)を通過する、ネジ、
をさらに備え、
前記ネジ(13、13’)が、前記固定構造(10、100)に対する前記取手(4)の及び棒材(7)の振動する動きを許容するように構成されて
おり、
前記蓋に連結されかつ前記共通回転シャフトを用いて前記固定構造にヒンジ留めされる可動構造(11、110)を備え、
前記固定構造(10)が、前記可動構造(11、110)の円形の動きの間に前記可動構造と前記棒材(7)との間の前記ヒンジを受け入れる凹部(18)を有することを特徴とする容器。
【請求項2】
前記バネ(5)が、ヒンジを用いて前記固定構造(10)に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記バネ(5)が、ヒンジを用いて前記蓋(3)に連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記棒材(7)が、前記可動構造(11、110)に対して及び前記固定構造(10、100)に対してヒンジ留めされており、
前記棒材(7)の長手方向軸が、前記バネ(5)の長手方向軸と一致することを特徴とする
請求項1から3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
前記バネ(5)が、前記固定構造(10)と保持ナット(14)との間に配置されており、それにより、前記蓋(3)が開閉する動きを行うときに、前記可動構造(11)が、前記共通回転シャフト回りに回転し、前記バネ(5)の長さにおける変化をもたらすことを特徴とする
請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記共通回転シャフトが、前記可動構造(11)と前記固定構造(10)とをヒンジ取り付けする第1のボルト(12)であり、前記可動構造と前記棒材(7)との間の前記ヒンジが、第2のボルト(9)であることを特徴とする
請求項1から5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
前
記凹部(18)が、前記第2のボルト(9)の進行と合致する形を有しており、したがって、前記蓋(3)が開位置に到達したときに、前記第2のボルト(9)の一端が前記凹部(18)の壁に接触するように、前記第2のボルトを受け入れることが可能であることを特徴とする、
請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記取手の上方部分(8)が、少なくとも1つの固定スリーブを用いて上部において前記棒材(7)に連結し、下部において前記バネ(5)の上方部分に連結しており、それにより、前記バネ(5)によって発揮される前記力が、前記取手(4)の前記上方部分によって受け入れられ、前記力を前記棒材(7)へとさらに伝達させ、前記力を前記第2のボルト(9)を介して前記可動構造(11)へとさらに伝達させることを特徴とする
請求項6または7に記載の容器。
【請求項9】
前記固定構造(10)の一端が、前記固定構造(10)における前記凹部(18)の上方の角の位置より実質的に低い高さにあり、それにより、前記一端が、開位置にある前記蓋(3)に対する停止部として作用することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
前記取手(4)を備え、前記取手の長手方向軸が、前記バネ(5)の長手方向軸と一致することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
前記バネ(5)が、前記蓋が90°にあるときを除いて、常時引っ張られていることを特徴とする
請求項1から10のいずれか1項に記載の容器。
【請求項12】
2つの前記可動構造(11、11’)と、2つの前記固定構造(10、10’)と、を備えることを特徴とする
請求項1から11のいずれか1項に記載の容器。
【請求項13】
前記可動構造(11、11’)及び前記固定構造(10、10’)が、固い平面上の板の形を有することを特徴とする
請求項1から12のいずれか1項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の蓋を開閉する間の蓋の動きを抑制するための蓋を開閉するための装置を開示している。より明確には、本発明は、閉じる瞬間における容器への蓋の衝撃の力を抑制および最小限にするための装置を開示している。装置は、蓋を開けるときに使用者が蓋の重量に加える必要がある押す力がより小さくなるように、使用者が蓋を開けることも支援する。
【背景技術】
【0002】
前記容器へのアクセスを提供するための「マンウェイ」として知られる開口部を有する様々な種類の容器がある。したがって、マンウェイは、容器に嵌められ、ガスケットに対して後退するカバーまたは蓋を有する開口部である。前記蓋は、通常のヒンジ式の蓋であり、共通シャフトによってヒンジ取り付けされる2つの要素を有する蓋の種類であると理解され、蓋は概して移動可能であって容器は静止しており、蓋の位置を変化させるために、共通のシャフト回りでの蓋の回転を許容する。
【0003】
ガスケットが、2つ以上の合致する表面の間の空間を埋める機械的シールであり、前記表面同士が圧縮の下にあるときに概して漏れを防止する。具体的には、ガスケットは、環状であって開口部の縁に位置付けられ、マンウェイの蓋が閉位置にあるときに容器の内部に収容された流体が漏れ出すのを防止するために使用される。
【0004】
マンウェイの蓋は、通常、相当の重量のものであり、40キログラム超の重量となる。容器を取り扱う責任のある使用者は、とりわけ蓋の重量のため、蓋を開けるまたは閉じるときに問題または困難にしばしば直面する。蓋を閉じることに関しての難しさは、閉じる瞬間における蓋の速い速度と、前記閉じる間の抑制の欠如とに関連する。蓋の速度および質量から生じる蓋の運動エネルギーは、蓋が容器に接触するときに衝撃エネルギーへと変換される。現在、使用者の指がマンウェイの縁にある間に蓋が不用意に閉じることによって数多くの事故が引き起こされており、閉じる瞬間に指を潰してしまう。蓋を閉じることに関連する別の問題は、蓋の繰り返しの衝撃によって生じさせられるガスケットの変形である。ガスケットの目的は流体の漏れを防止することであり、永久的な変形は望ましくない漏れを引き起こす可能性がある。
【0005】
そのため、1つの装置を用いて蓋を開閉するときの困難を解決するためのシステム、具体的には、閉じる瞬間において使用者の身体のあらゆる部分において使用者が怪我をするのを防止するためのシステムを備える、蓋を開ける装置を提供することが重要である。
【0006】
欧州特許出願公開第3085643号明細書は、請求項1の前段部分にかかる容器に蓋を配置するための装置を開示している。
【0007】
欧州特許出願公開第0260436号明細書は、蒸発器の蓋を開閉するための機構を開示している。この機構は、弾性手段を開示していない。
【0008】
米国特許出願公開第2001/044986号明細書は、容器に固定された構造を有する傾斜装置を開示しており、バネは、容器に対して静止している。この装置は、バネと容器の蓋との間の相対的な動きを可能とするカムを有する。この文献に開示されたシステムにおいて、カムは、緩衝停止部を有しなければならず、そのため、バネ力の作動範囲は、非常に制限されている。
【0009】
仏国特許出願公開第1444084号明細書は、容器の蓋を開閉するための装置を開示している。この装置は、蓋を開閉するための油圧式のまたは電磁式のアクチュエータを備える。この文献は、アクチュエータの故障の場合に蓋を閉位置のままとする目的で弾性手段またはバネを使用することを開示している。蓋及び請求項1にかかる装置を備える容器を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、蓋の重量を相殺するためにバネの力を使用することで、前述の技術的問題に対する技術的解決策を開示している。本発明によれば、バネの力を使用して蓋の重量を相殺することは、蓋を運動学的および動的に抑制することを可能にする。
【0011】
本発明の目的は、蓋を開閉する過程の間に1つの装置内に多様性を提供することである。容器において蓋を開閉するための装置は、容器に対する蓋の衝撃が抑制されることを確保するために、蓋の重量を相殺する。
【0012】
より明確には、本発明の目的は、蓋の質量および位置に依存して蓋の重量を相殺するための弾性手段を有する蓋を開閉する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これを達成するために、本発明は、蓋を開閉する間に蓋の動きを抑制するための装置であって、容器に連結される固定構造と、蓋の相対位置に応じて大きさが変化する力を蓋において生成する弾性手段と、蓋を前記固定構造にヒンジ取り付けする共通回転シャフトとを備え、蓋は、共通回転シャフトから遠隔にある位置において弾性手段の力を受け入れ、共通回転シャフトは、弾性手段によって発揮される力が蓋の重量を相殺するように配置されることを特徴とする装置を開示する。
【0014】
好ましくは、弾性手段は、弾性手段の力を前記固定構造に伝達させることができ、さらに前記弾性手段を傾けさせることができるヒンジを用いて固定構造に連結される。より好ましくは、弾性手段は、前記弾性手段を傾けさせることができるヒンジを用いて蓋に連結される。
【0015】
好ましくは、装置は、共通回転シャフトを用いて蓋に連結されて固定構造にヒンジ留めされる可動構造を備え、そのため前記共通回転シャフト回りでの前記可動構造の回転が可能である。
【0016】
好ましくは、装置は、可動構造および固定構造に対してヒンジ留めされる棒材を備え、棒材の長手方向軸が弾性手段の長手方向軸と一致し、そのため、棒材と可動構造との間の前記ヒンジは蓋の動きの間に共通シャフトに対して円の形で動く。
【0017】
好ましくは、蓋が開ける動きまたは閉じる動きを行うときに、可動構造が共通回転シャフト回りに回転し、弾性手段の長さにおける変化をもたらすように、弾性手段は固定構造と保持ナットとの間に配置される。
【0018】
好ましくは、共通回転シャフトは、可動構造と固定構造とをヒンジ取り付けする第1のボルトまたは長いボルトであり、可動構造と棒材との間のヒンジは、短いボルトとも称される第2のボルトである。
【0019】
好ましくは、固定構造における凹部が、第2のボルトの進行と合致する形を有し、したがって、蓋が開位置に到達したときに短いボルトの一端が凹部の壁に接触し、蓋の開ける動きを止めるように、前記ボルトを受け入れさせることができる。
【0020】
好ましくは、固定構造の一端が、開位置における蓋に対する停止部として作用するように、固定構造における凹部の上方の角より実質的に低い高さにある。
【0021】
装置は、「取手」として以下で称されるケーシングを取手の形で備え、ケーシングの長手方向軸は弾性手段の長手方向軸と一致する。
【0022】
好ましくは、弾性手段によって発揮される力が取手の上方部分によって受け入れられ、前記力を棒材へとさらに伝達し、これがさらに前記力を短いボルトを介して可動構造へと伝達するように、取手の上方部分は、少なくとも1つの固定スリーブを用いて、上部において棒材に連結し、下部において弾性手段の上方部分に連結する。
【0023】
好ましくは、弾性手段は、蓋がマンウェイに対して90°にあるときを除いて常に引っ張られるバネである。
【0024】
好ましくは、装置は2つの可動構造と2つの固定構造とを備える。より好ましくは、可動構造および固定構造は硬い平面状の板の形を有する。
【0025】
本発明は、蓋の全体の進行を通じて重量の作用に合致するかまたはその作用を相殺するような方法で、弾性手段またはバネを配置することを可能にする。
【0026】
理解を支援するために、容器の蓋を開閉するための装置の2つの実施形態の説明のための非限定的な図面が含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】蓋が閉じられる容器に配置される本発明による蓋を開閉するための装置の立面図である。
【
図2】
図1からの蓋を開閉するための装置の斜視図である。
【
図3】蓋が180°で開いている蓋を受容器において開閉するための装置の斜視図である。
【
図4】
図3からの蓋を開閉するための装置の立面図である。
【
図5】容器から分離されている、蓋を開閉するための装置の立面図である。
【
図6】取手の内部に位置付けられたバネを示す、
図5からの蓋を開閉するための装置の立面図である。
【
図7】蓋が閉じられている容器に配置される、蓋を開閉するための装置の第2の実施形態の斜視図である。
【
図8】
図7からの蓋を開閉するための装置の第2の実施形態の上方からの図である。
【
図9】蓋が閉じられている、容器に結合されている、
図8からの蓋を開閉するための装置の第2の実施形態の側方からの立面図である。
【
図10】蓋が90°で開いている、
図9からの蓋を開閉するための装置の第2の実施形態の斜視図である。
【
図11】
図10からの蓋を開閉するための装置の第2の実施形態の側方からの立面図である。
【
図12】取手の内部に位置付けられたバネを示す、容器から分離された、蓋を開閉するための装置の第2の実施形態の斜視図である。
【
図13】バネを覆う取手を備える、
図12からの蓋を開閉するための装置の第2の実施形態の側方からの立面図である。
【
図14】蓋を開閉するための装置の第2の実施形態の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下において、本発明の2つの実施形態が添付の図面を参照して記載されており、第1の実施形態では、蓋が180°まで開けられており、第2の実施形態では、蓋が90°まで開けられている。
【0029】
図1および
図2は、容器2に配置された蓋を開閉するための装置1の第1の実施形態を示しており、蓋3は閉じられている。したがって、
図1は、可動構造11を用いて蓋3に連結され、固定構造10を用いて容器2に連結される装置1を示している。具体的には、可動構造11は可動板11であり、固定構造10は固定板10である。
【0030】
本実施形態の装置1は、バネ5(
図6に示されている)と、取手4と、2つの固定板10および10’と、2つの可動板11および11’と、棒材7とを備える。バネ5は取手4の内部に位置付けられており、そのため
図1および
図2は前記バネ5を示していない。棒材7の長手方向軸は取手4の長手方向軸と一致する。さらに、棒材7の長手方向軸はバネ5の長手方向軸と一致する。
【0031】
可動板11および11’は、実質的に細長く、それらの端のうちの一方によって蓋3にしっかりと連結されている硬い平面状の要素である。可動板11および11’の他端は、丸められ、短いボルト9とも称される第2のボルト9を受け入れるための実質的に円形の孔を有する。短いボルト9の長手方向軸は可動板11および11’に対して垂直であり、可動板11および11’は立平面に対して対称に配置されている。さらに、前記可動板は、長いボルト12とも称される第1のボルト12を受け入れるための第2の実質的に円形の孔を備える。長いボルト12の長手方向軸は可動板11および11’に対して垂直である。
【0032】
固定板10および10’は、容器の外壁に連結されている硬い平面状の要素である。前記固定板は、内側の角が実質的に丸められて、長いボルト12とも称される第1のボルト12において、可動板11および11’の円形の動きを許容する実質的にL字形の凹部18を備える。前記円形の動きは、短いボルト9の端が凹部18の上方内側の角と接触するときに完了する。さらに、固定板10および10’は、2つの孔、すなわち、16mmのネジ13を受け入れるための第1の実質的に円形の孔と、長いボルト12を受け入れるための第2の実質的に円形の孔とを備える。前記長いボルト12は、立平面に対して対称に配置されている固定板10および10’において可動板11および11’を回転させる共通回転シャフトである。
【0033】
棒材7は、円柱の形で細長くされた中空でない硬い棒材である。棒材7は下方端にネジ山付領域を備え、他端は管を備え、管の長手方向軸は、硬い棒材の長手方向軸に対して垂直に配置される。管は中空であるため、短いボルト9を受け入れることができる。棒材7のネジ山付端は、ナット14を所定位置で固定し、延いてはバネ5の機械的特性を設定するために使用される。そのため、棒材7は、2つのヒンジ点によってヒンジ留めされ、すなわち、上において短いボルト9を用いて可動板11および11’にヒンジ留めされ、2つのネジ13および13’を用いて固定板10および10’にヒンジ留めされる。
【0034】
2つのネジ13および13’は取手4の上方部分8へと螺入され、そのため前記ネジ13および13’は固定板10および10’を通過する。ネジ13および13’のこの構成は、容器2にしっかりと連結されている固定板10および10’に対する取手4および棒材7の振動する動きを許容するのに有利である。
【0035】
さらに、棒材7は、第1の固定スリーブ19と、ロッドの中間部分における第2の固定スリーブ20とを備え、そのため両方のスリーブ19および20は取手4の上方部分8の内側で楔止めされ、取手4の前記上方部分8に対する棒材7の軸方向の動きを制限する。そのため、バネ5の力は、バネ5の長手方向軸に対して垂直に配置される取手4の上方部分8の面へと伝えられ、前記面は、前記力を固定スリーブ19および20を介して棒材7へと伝達する。
【0036】
取手4の上方部分8は、長方形の角柱と同様である外側形状を有する。上方部分8は、棒材7と、固定板10および10’と、取手4自体との間の取り外し可能な連結要素である。取手4の上方部分8は、取手4へのネジ連結を可能にするためのネジ領域を備える。
【0037】
取手4は、上部においてネジ山付領域を備える管の形であり、ネジ山付領域は取手4の上方部分8へと螺入され、下部において蓋へと螺入される。1つの利点は、バネ5が別のバネによって交換できること、または、その機械的特性が変更できることである。
【0038】
装置1は以下の手法で動作し、使用者は、把持部(図示せず)、または、本発明に関係しない別の機構を用いて、蓋3を開ける。使用者が蓋を開けるまたは閉じるために装置1に直接的な力を加えないことに注目することは重要である。蓋がヒンジ留めされて可動板11および11’にしっかりと連結されているため、長いボルト12は回転シャフトであり得る。可動板11は、棒材7の上方端とのヒンジ点9において長いボルト12の回転の動きを円の動きへと変換する。前記ヒンジ点9は短いボルト9である。短いボルト9は長いボルト12と幾何学的に一致せず、つまり、2つのボルトの間に偏心と称される隙間がある。棒材7の上方部分は長いボルト12に対して円の形で移動し、一方、短いボルト9と長いボルト12とが
図1において同じ高さになり、その位置において、棒材7が左に向かって(時計回りに)旋回し始めるまで、前記棒材7の下方部分は、蓋3の開く最初の瞬間の間に
図1の右に向かって(反時計回り方向に)実質的に動く(旋回する)。時計回り方向におけるこの旋回する動きは、蓋がおおよそ180°まで開けられるまで続く。
【0039】
図3および
図4は、第1の実施形態による、蓋がおおよそ180°まで開いたときの開く動きの終わりを示している。この瞬間において、凹部18の上方内側の角と固定板10の端16とは停止部として作用し、蓋3の開く動きを制限する。短いボルト9は凹部18へと挿入され、その凹部18は合致する形状を有しているため、凹部18の上方内側の角と接触するまで短いボルト9を受け入れることができる。さらに、蓋3の外側面は固定板10の端16と接触する。開位置は、第1の実施形態において180°に対応する蓋3が完全に開いている位置を意味すると理解される。
【0040】
蓋3が閉じられるとき、バネ5は、伸長され、つまり、引っ張りの手法で動作し、棒材7を下向きに引っ張り、結果として蓋の重量を実質的に相殺する。蓋3が90°にあるとき、バネ5は平衡させられ、つまり、バネ5は伸長も圧縮もさせられない。蓋3が90°から180°の間の位置にあるとき、バネ5は、蓋が180°へと開けられるまで再び漸進的に伸長し、これは、閉位置と共にバネ5の最大の延長に対応し、蓋3の重量を実質的に相殺する結果として棒材7を下向きに押す。そのため、バネ5の力は蓋3の相対位置に応じて変化する。バネ5の力は取手4の上方部分8へと直接的に伝えられ、前記上方部分は、棒材7に対する長手方向において前記棒材に前記力を伝え、前記棒材は前記力を短いボルト9を介して可動板11および11’へとさらに伝える。
【0041】
図5は、容器2および蓋3なしで第1の実施形態の装置1を示している。
図5は、3つのヒンジ点、すなわち、可動板11と固定板10との間の第1のヒンジ点12と、棒材7と可動板11との間の第2のヒンジ点9と、棒材7と固定板10との間の第3のヒンジ点13とを備える機構を示している。第1のヒンジ点12は長いボルト12であり、第2のヒンジ点9は短いボルト9であり、第3のヒンジ点13は2つのネジ13および13’を用いて作り出される。長いボルト12は、線形または回転の並進のいずれであっても、並進の手法ではなく回転の手法で動く。実際、長いボルト12の長手方向軸は機構の回転の軸である。
【0042】
図6は、取手4のない
図5からの装置1を示しており、したがってバネ5と取手4の内部の他の要素とを示している。バネ5は、下部においてナット14を用いて接触させられ、上部において取手4の上方部分8を用いて接触させられる。例えば、取手4の上方部分8に発揮される力、または、バネ定数として知られる比例定数といったバネ5の機械的特徴は、下方ナット14と取手4の上方部分8との間の距離を変えることによって容易に設定可能である。ナット14が緩められるとき、ナット14は棒材7の長手方向軸の方向において後退し、バネ5を伸長し、結果としてバネ定数を増加させる。バネ定数を増加させることで、バネ5によって発揮される力は、フックの法則により、長さの各々の伸長単位について比例的により大きくなる。反対に、ナット14を螺入すると、ナットを棒材7の長手方向軸の方向において前進させ、バネ5を次第に小さく圧縮し、結果としてバネ定数を低下させる。そのためバネ5の機械的特性は設定可能である。
【0043】
同様に、使用者は、蓋がその自重の下で決して閉じることなく、例えば閉位置から30ミリメートルにおいて平衡されたままとなるように、装置1を設定できる。このために、使用者は、例えば30ミリメートルの開位置における蓋の角度を決定するために、基本的な三角法の定理を使用でき、引っ張られたバネが閉位置から30ミリメートルにおける蓋3の有効な重量と等しくなるような力を発揮し、バネ5を受け入れる蓋3の有効な重量を計算し、ナット14の位置を調節でき、それによってシステムが平衡とさせられることを確保する。
【0044】
張力が蓋3の有効な重量より実質的に小さくなり、それによって、蓋3が90°未満の開位置にあるときに、蓋3がその自重の下で使用者からの支援なしで比較的低速度で制御された手法で閉じるように、バネ5を調節する選択肢もあり、蓋3が容器2と接触する瞬間における衝撃力を制御することが可能である。そのため、使用者は、蓋3の衝撃が例えば15ニュートンと同等の力のものとなるように、装置1を設定できる。
【0045】
図7、
図8、および
図9は、蓋が閉じられている第2の実施形態を示している。第2の実施形態は90°の開位置に対応し、固定板100および100’と可動板110および110’とは、第1の実施形態における板と実質的に異なる形状を有する。可動板110および110’は、4つの丸められた角を有する実質的な長方形と、短いボルト9を受け入れるための1つの孔と、長いボルト12を受け入れるための別の孔とを有する。前記短いボルト9は、棒材7の上方端を2つの可動板110および110’に連結し、前記可動板を蓋3に連結する。固定板100は、短いボルト9に対する可動板110および110’の時計回りの旋回する動きの間に短いボルト9を挿入させることができる丸められた角と寸法とを有する長方形の凹部を有する。さらに、固定板100および100’は、長いボルト12を受け入れるための孔と、ネジ13を受け入れるための別の孔とを備える。
【0046】
第1の実施形態における場合のように、機構は、3つのヒンジ点、すなわち、可動板110および110’と固定板100および100’とを連結する長いボルト12から成る第1のヒンジ点と、棒材7と2つの可動板110および110’とを連結する短いボルト9から成る第2のヒンジ点と、2つのネジ13および13’から成る第3の点とを備える。
【0047】
図10および
図11は、蓋が90°まで開けられている第2の実施形態を示している。本実施形態の装置1は、前記蓋が実質的に90°超まで開くときに蓋3の動きを制限するように設計されている。これは、固定板100における凹部の丸められた角のうちの1つとの短いボルト9の端の直接的な接触を用いて達成される。
【0048】
2つの可動板110および110’は、例えば溶接を用いて、蓋3に永久的に連結され、2つの固定板100および100’は容器2の側面に永久的に連結され、そのため本実施形態は、可動板110および110’を長いボルト12に対して旋回させることができ、前記長いボルトは機構の回転の軸である。
【符号の説明】
【0049】
1 装置、2 容器、3 蓋、4 取手、5 バネ、7 棒材、8 上方部分、9 第2のボルト,短いボルト,第2のヒンジ点、10、10’ 固定構造,固定板、11、11’ 可動構造,可動板、12 第1のボルト,長いボルト,第1のヒンジ点、13,13’ ネジ,第3のヒンジ点、14 ナット、16 端、18 凹部、19 第1の固定スリーブ、20 第2の固定スリーブ、100,100’ 固定板、110,110’ 可動板