(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】呼吸装置の回路断線イベントの発生を検出する方法、そのシステム、及び呼吸装置
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
A61M16/00 370Z
A61M16/00 305A
(21)【出願番号】P 2018507535
(86)(22)【出願日】2016-08-12
(86)【国際出願番号】 AU2016050736
(87)【国際公開番号】W WO2017027906
(87)【国際公開日】2017-02-23
【審査請求日】2019-08-13
(32)【優先日】2015-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ディオン・チャールズ・チュウ
(72)【発明者】
【氏名】デニス,クランシー・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リーヴンス,ベンジャミン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェシャンブル,エティエンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ウィシャート,スチュアート
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0086357(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0144130(US,A1)
【文献】国際公開第2014/030098(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00-16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者回路を介して圧縮空気流れを患者へ供給するように構成された呼吸装置の患者回路について回路断線イベントの発生を検出する方法であって、
前記患者回路の種類に基づいて、断線を検出する閾値を含む断線設定を決定することと、
前記圧縮空気流れの瞬間圧力および瞬間流量を1つ以上のセンサーによって検出することと、
前記検出された瞬間圧力および瞬間流量に基づいて、瞬間コンダクタンス値または瞬間インピーダンス値である瞬間断線パラメータをプロセッサ内において計算することと、
前記プロセッサを用いて、前記瞬間断線パラメータと前記断線設定とに基づいて回路断線イベントの発生を検出することと、
前記プロセッサにより感度設定を決定することと、
前記プロセッサにより該感度設定に基づいて前記断線設定の感度を調節することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記瞬間断線パラメータは前記コンダクタンス値である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記瞬間断線パラメータは前記インピーダンス値である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記断線設定は断線閾値であり、前記回路断線イベントの発生を検出することは、前記計算された瞬間断線パラメータを調節された断線閾値と比較することを含む、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記断線設定は複数の値を含むプロファイルであり、前記回路断線イベントの発生を検出することは、複数の計算された瞬間断線パラメータを前記プロファイルの前記複数の値と比較することを含む、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
患者固有の情報を前記呼吸装置によって受信することおよび前記断線設定の決定の際に前記患者固有の情報を用いることをさらに含む、請求項1~5のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記患者固有の情報は、患者の年齢、体重、身長および患者種類のうち1つ以上を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記断線設定は、前記呼吸装置のメモリ中に保存されたルックアップテーブルから決定される、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記患者回路の種類を決定することをさらに含む、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記患者回路の種類を前記呼吸装置のユーザインターフェースを介して受信することをさらに含む、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記患者回路の種類は、空気回路の構成を含む、請求項1~10のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記空気回路の構成は、通気型、非通気型、シングルリムならびにダブルリム、シングルリムならびにダブルリムのうち少なくとも1つである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記患者回路の種類は、患者インターフェースの種類を含む、請求項1~12のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記患者インターフェースの種類は、侵襲的、非侵襲的、通気型、および非通気型のうち少なくとも一項である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
回路断線イベントの発生が検出された際、回路断線イベントが発生した旨を信号伝達することをさらに含む、請求項1~14のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記回路断線イベントの発生が検出された際、前記回路断線イベントに対する応答を生成することをさらに含む、請求項1~15のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記回路断線イベントに対する応答を生成することは、前記呼吸装置のディスプレイ上のメッセージを活性化させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記回路断線イベントに対する応答を生成することは、断線警告を活性化させることを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記呼吸装置のユーザインターフェースは、前記断線警告を所定期間にわたってミュートするようユーザの入力が可能に構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記回路断線イベントに対する応答を生成することに先行して、連続的に前記回路断線イベントの発生を所定期限まで検出することをさらに含む、請求項16~19のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記所定期限は、5秒~60秒の設定時間である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記所定期限は所定数の呼吸である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記所定期限は、前記呼吸装置のユーザインターフェースを介して調節可能である、請求項20~22のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも呼吸1回毎に前記瞬間断線パラメータを計算することをさらに含む、請求項1~23のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記瞬間断線パラメータを各呼吸の吸気フェーズから計算することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記瞬間断線パラメータを各呼吸の吸気フェーズから少なくとも1回および各呼吸の呼気フェーズから少なくとも1回計算することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記瞬間断線パラメータを所定の時間間隔で計算することをさらに含む、請求項1~24のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記感度設定の決定は、(a)前記プロセッサによってデフォルト感度設定をアクセスすること、または、(b)前記プロセッサによって前記感度設定の選択のための試験フェーズを制御することを含む、請求項1~27のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記感度設定は前記試験フェーズから選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記試験フェーズは、前記呼吸装置により呼吸治療を前記患者へ提供することに先行して発生する、請求項
29に記載の方法。
【請求項31】
前記試験フェーズは、前記呼吸装置による前記患者への呼吸治療の提供の最中に発生する、請求項
29に記載の方法。
【請求項32】
前記回路断線イベントの発生が前記試験フェーズから検出された際、前記回路断線イベントに対する応答を生成することをさらに含む、請求項
29~
31のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記感度設定は、前記呼吸装置のユーザインターフェースを介して所定範囲の設定から選択可能である、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記所定範囲の設定は、1%~100%の値を含む、請求項
33に記載の方法。
【請求項35】
前記所定範囲の設定は、5%のインクリメントにて提供される5%~95%の値を含む、請求項
34に記載の方法。
【請求項36】
回路断線イベントの検出のための前記感度設定の値は、前記呼吸装置のディスプレイ上に提供される、請求項28~
35のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
回路断線イベントの発生が検出された際、ユーザの呼吸の通知の検出により前記検出された発生を認定することをさらに含み、前記検出されたユーザの呼吸の通知は、前記患者が前記患者回路に接続され続けているかを提供する、請求項1~
36のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記患者が未だ前記患者回路へ接続されている旨を呼吸の通知が示す場合、前記回路断線イベントの前記検出された発生を偽として認定する、請求項
37に記載の方法。
【請求項39】
前記患者が未だ前記患者回路へ接続されている旨を呼吸インジケータが示さない場合、前記回路断線イベントの前記検出された発生を真として認定する、請求項
37または
38に記載の方法。
【請求項40】
前記呼吸インジケータは、以下の、
(i)呼気労作を示す呼気流、
(ii)吸気労作を示す吸気流、
(iii)前記吸気フェーズから計算された瞬間断線パラメータを前記呼気フェーズから計算された瞬間パラメータと比較した時の差、
(iv)前記瞬間断線パラメータと、前記瞬間断線パラメータの先行値の計算された分散との比較、および
(v)呼吸フェーズ内における前記瞬間断線パラメータの経時的な変化量、
のうち一項以上からなる、請求項
37に記載の方法。
【請求項41】
回路断線イベントの発生が検出された際、前記検出された流量を所定の閾値と比較して前記回路断線イベントの発生を確認することをさらに含む、請求項1~
40のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
回路断線イベントの発生の検出の後に前記患者への前記患者回路の再接続を検出することをさらに含む、請求項1~
41のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記患者回路の前記患者への再接続は、前記瞬間断線パラメータを再接続閾値と比較することにより検出され、該再接続閾値は回路断線状態の変化を示す、請求項
42に記載の方法。
【請求項44】
前記患者回路の前記患者への再接続は、前記瞬間断線パラメータの急激な変化の検出によって検出される、請求項
42または
43に記載の方法。
【請求項45】
患者回路を介して圧縮空気流れを患者へ供給するように構成された呼吸装置の患者回路における回路断線イベントの発生を検出する方法であって、
前記圧縮空気流れの瞬間圧力および瞬間流量を1つ以上のセンサーによって繰り返し検出することと、
前記検出された瞬間圧力および瞬間流量に基づいて瞬間断線パラメータをプロセッサ内において繰り返し計算することであって、前記瞬間断線パラメータは瞬間コンダクタンス値または瞬間インピーダンス値である、繰り返し計算することと、
前記プロセッサにより連続する瞬間断線パラメータを比較して、前記瞬間断線パラメータの変動性レベルを経時的に決定することと、
前記変動性レベルに基づいて前記プロセッサにより回路断線イベントの発生を検出することと、
前記プロセッサにより感度設定を決定することと、
前記プロセッサにより該感度設定に基づい
て断線設定の感度を調節すること
であって、該断線設定は前記患者回路の種類に基づいて決定され、該断線設定は断線を検出する閾値を含むものである、断線設定の感度を調節することと
を含む、方法。
【請求項46】
前記瞬間断線パラメータはコンダクタンス値である、請求項
45に記載の方法。
【請求項47】
前記瞬間断線パラメータはインピーダンス値である、請求項
45に記載の方法。
【請求項48】
前記患者回路を介して圧縮空気流れを患者へ供給するように構成された呼吸装置の患者回路について回路断線イベントの発生を検出するシステムであって、
1つ以上のセンサーによって検出された前記圧縮空気流れの圧力および流量を示すデータへアクセスするために
前記プロセッサを有するコントローラであって、前記コントローラは、請求項1~
47のうちいずれか一項に記載の方法を行うように構成される、コントローラを含む、システム。
【請求項49】
請求項
48に記載のシステムを含み、
前記1つ以上のセンサーと、
前記圧縮空気流れを供給するように構成された圧力生成器と
をさらに含む、呼吸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
I. 関連出願への相互参照
本出願は、2015年8月14日に出願された豪州仮出願第2015903275号の恩恵を主張する。本明細書中、同文献それぞれの全体を参考のため援用する。
【0002】
1.技術の背景
技術の分野
本技術は、呼吸関連疾患の検出、診断、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術は、医療デバイスまたは装置およびその使用にも関する。詳細には、本技術は、呼吸装置における治療の送達を監視するために、患者回路中のコンダクタンスまたはインピーダンスの決定を利用することに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
ヒトの呼吸系およびその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻と口が患者の気道の入り口を形成する。
【0004】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸ゾーンと呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2011。
【0005】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0006】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。睡眠時の異常に小さな上側気道および舌領域における筋緊張の正常欠損、軟口蓋および後中咽頭壁の組み合わせに起因する。このような状態に起因して、患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0007】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の疾患であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CSRに関連して睡眠から何度も目覚める者もおり、不眠が深刻化し、交感神経作用が増加し、後負荷が増加する。米国特許第6,532,959号(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0008】
呼吸不全とは、呼吸障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO2呼気を肺が行うことができていないことを指し、従って血液ガス分圧の異常によって特徴付けられる。呼吸不全は、以下の疾患のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0009】
肥満過換気症候群(OHS)は、低呼吸の原因が他に明確に無い状態における、深刻な肥満および覚醒慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0010】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0011】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋緊張性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0012】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0013】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健康な個人も、呼吸器疾患の予防治療を有利に利用することができる。
【0014】
呼吸圧力治療(RPT)
経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用メカニズムとしては、例えば軟口蓋および舌を押して後中咽頭壁へ前進または後退させることにより、経鼻的持続陽圧呼吸療法が空気スプリントとして機能し、これにより上側気道の閉鎖を回避する。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0015】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0016】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0017】
治療システム
これらの治療は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、症状を治療することなく診断するためにも、用いられ得る。
【0018】
治療システムは、呼吸圧力療法デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、およびデータ管理を含み得る。
【0019】
治療システムは、患者がシステムから断線されたときを検出する回路断線検出システムを含み得る。例として、US6,240,921に記載のSmartStart(登録商標)機能がある。このSmartStart(登録商標)機能は、ResMedCPAPおよびVPAPデバイス(例えば、ResMed AirSense10CPAPデバイス)中に搭載される。患者の疾患に応じて、以下を自動的に行うために適切なアクションがとられ得る(a)治療を中断すること、(b)通常の治療を中断し、多様な目的(例えば、水または補給ガス送達の節約、再呼吸の回避、その後の再接続の検出)のために非治療待機状態に入ること、あるいは、(a)または(b)のうちいずれかと組み合わせてまたは可能な場合に通常治療のメンテナンスと組み合わせて(c)警告を鳴らすこと。
【0020】
人工呼吸器に依存する患者へのガス流れ経路に沿って偶発的に断線が発生した場合、生命の危険に繋がり得るため、このようなシステムにおいては、患者に断線が発生した場合に世話をする人または臨床医へ通知するための警告が必要になる場合がある。多くの容量人工呼吸器は、特定の回路構成および治療モードに対する患者断線を検出するように構成され得る低圧力警告を含む。これは、例えばバックグラウンド漏洩または強度の患者労作などの状況時において回路断線に起因して発生する(接続時の圧力を実質的に下回る)圧力低下を被るデバイスに依存する。このような断線検出システムの場合、例えば幼児および小児において一般的に用いられる細い気管切開管、または高漏洩と関連付けられたカフ無しカニューレ、または流れ能力が高いため圧力低下が発生しないタービンベースの人工呼吸器または高抵抗マウスピースにおいては、抜管を検出できない場合が多い。高漏洩にも圧力損失無しに耐える非侵襲的換気のトレンドが一般的に増している。患者、回路、換気モードおよび換気技術においてはこのように広範な変動があるため、全ての状況において信頼性良く断線を検出するシングルモダリティー断線警告(例えば、低圧力、高い流れ、大量、および少量)は存在していない。
【0021】
患者の再接続が検出された場合、前回の治療またはデバイスへ接続された患者の健康を保証するのに適した他のアクションが再開され得る。
【0022】
患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口腔へのマスク、口腔への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域との密閉部を形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば雰囲気圧力に対して約10cmH2Oの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0023】
密閉形成部分
患者インターフェースは、密閉形成部分を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、密閉形成部分の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
【0024】
患者インターフェースは、使用時に密閉形成部分を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、密閉形成部分は、各左鼻孔および右鼻孔と係合する2つのサブ部分を含み得る。患者インターフェースの一形態において、密閉形成部分は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻梁領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、密閉形成部分は、使用時に例えば顔の下唇領域上に密閉を形成することにより口腔領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、密閉形成部分は、使用時に双方の鼻孔および口腔領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイス型マスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0025】
一定範囲の患者インターフェース密閉形成部分の技術について、(ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願:WO1998/004、310;WO2006/074、513;WO2010/135、785)に開示がある。
【0026】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された米国特許第4,782,832号(Trimbleら)の主題になっている。
【0027】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(登録商標)フルフェイス型マスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの実施例についての記載がある:国際特許出願WO2004/073、778号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、米国特許出願第2009/0044808号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);国際特許出願WO2005/063、328号およびWO2006/130、903号(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(登録商標)フルフェイス型マスクの様相を記載);国際特許出願WO2009/052、560号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
【0028】
位置決めおよび安定化
陽圧空気治療に用いられる患者インターフェースの密閉形成部分は、密閉を妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、密閉形成部分を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0029】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、米国特許出願公開US2010/0000534号を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0030】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。
【0031】
呼吸圧力治療(RPT)デバイス
空気圧生成器は、広範な用途(例えば、工業規模通気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧生成器は、より一般的な空気圧生成器(例えば、医療機器の信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0032】
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響ノイズがある。
【0033】
従来のRPTデバイスのノイズ出力レベルの表(試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH
2Oにて測定)。
【表1】
【0034】
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、S9睡眠治療システム(製造元:ResMed Limited)がある。RPTデバイスの別の例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMed Stellar(登録商標)シリーズ)の場合、複数の状態(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的呼吸のための補助を提供し得る。
【0035】
ResMed Elisee(登録商標)150人工呼吸器およびResMedVSIII(登録商標)人工呼吸器は、複数の状態の治療のための成人患者または小児用患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的呼吸の補助を提供し得る。これらの人工呼吸器により、単一または二重の肢回路を用いた容積通気モードおよび気圧通気モードが得られる。RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
【0036】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士が対立することが多くあるため、特定の設計選択肢が慣例からほど遠くなるかあるいは避けられないことがある。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変更から大きく影響を受ける可能性もある。
【0037】
加湿器
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。一定範囲の人工的加湿機器およびシステムが公知であるが、医療加湿器の特殊な要件を満たせていない。
【0038】
医療加湿器は、典型的には患者が(例えば病院において)睡眠時または安静時にあるときに、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿度および/または温度を増加させるように、用いられる。枕元に置かれる医療加湿器は、小型である場合がある。医療加湿器は、患者へ送達される空気流れの加湿および/または加熱のみを行うように構成され得、患者の周囲の加湿および/または加熱は行わない。例えば、部屋ベースのシステム(例えば、サウナ、エアコン、または蒸発冷却器)は、呼吸により患者体内に取り込まれる空気も加湿し得るものの、これらのシステムの場合、部屋全体も加湿および/または加熱するため、占有者にとって不快感であり得る。さらに、医療加湿器の場合、工業用加湿器よりも安全面での制約がより厳しい場合もある。
【0039】
多数の医療加湿器が公知であるものの、このような医療加湿器の場合、1つ以上の欠陥を被り得る。すなわち、このような医療加湿器の場合、加湿が不適切なものもあれば、患者にとって使用が困難または不便であるものもある。
【0040】
データ管理
臨床的理由により、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」(例えば、患者が自身のRPTデバイスを特定の「コンプライアンスルール」に則っている)かを決定するためのデータを入手する場合がある。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0041】
患者の治療において、治療データの第三者または外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
【0042】
このようなデータを通信および管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ以上が発生し得る。
【発明の概要】
【0043】
技術の簡単な説明
本技術は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療機器は、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0044】
本技術の第1の態様は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0045】
本技術の別の態様は、呼吸障害の診断、改善、治療または予防において用いられる方法に関連する。
【0046】
本技術の特定の形態の一態様は、患者回路断線を検出する方法および/または装置を提供することである。
【0047】
本技術のいくつかのバージョンは、患者回路を介して圧縮空気流れを患者へ供給するように構成された呼吸装置の患者回路について回路断線イベントの発生を検出する方法を含む。本方法は、患者回路の種類に基づいて断線設定を決定することを含み得る。本方法は、圧縮空気流れの圧力および流量を1つ以上のセンサーによって検出することを含み得る。本方法は、検出された圧力および流量に基づいて瞬間断線パラメータをプロセッサ内において計算することを含み得る。本方法は、プロセッサを用いて、断線設定の関数としての瞬間断線パラメータに基づいて回路断線イベントの発生を検出することを含み得る。
【0048】
いくつかのバージョンにおいて、瞬間断線パラメータは、コンダクタンス値であり得る。瞬間断線パラメータは、インピーダンス値であり得る。断線設定は、断線閾値であり得る。回路断線イベントの発生を検出することは、計算された瞬間断線パラメータを断線閾値と比較することを含み得る。
【0049】
断線設定はプロファイルであり得、回路断線イベントの発生を検出することは、複数の計算された瞬間断線パラメータをプロファイルと比較することを含み得る。
【0050】
いくつかのバージョンにおいて、該方法は、患者固有の情報を呼吸装置によって受信することと、断線設定の決定の際に患者固有の情報を用いることとを含み得る。患者固有の情報は、患者の年齢、体重、身長および患者種類のうち1つ以上を含み得る。任意選択的に、断線設定は、呼吸装置のメモリ中に保存されたルックアップテーブルから決定され得る。本方法は、患者回路の種類を決定することを含み得る。本方法は、患者回路の種類を呼吸装置のユーザインターフェースを介して受信することを含み得る。患者回路の種類は、空気回路の構成を含み得る。空気回路の構成は、通気型、非通気型、シングルリムならびにダブルリム、シングルリムならびにダブルリムのうち少なくとも1つであり得る。患者回路の種類は、患者インターフェースの種類を含み得る。患者インターフェースの種類は、侵襲的、非侵襲的、通気型および非通気型のうち少なくとも1つであり得る。
【0051】
いくつかの場合において、方法は、回路断線イベントの発生が検出された際、回路断線イベントが発生した旨を信号伝達することを含み得る。本方法は、回路断線イベントの発生が検出された際、断線イベントへの応答を生成することを含み得る。断線イベントへの応答を生成することは、呼吸装置のディスプレイ上のメッセージを活性化させることを含み得る。断線イベントへの応答を生成することは、断線警告を活性化させることを含み得る。
【0052】
いくつかの場合において、呼吸装置のユーザインターフェースは、ユーザ制御により断線警告を所定期間にわたってミュートするように構成される。
【0053】
本方法は、断線イベントへの応答を生成することの前に、回路断線イベントの発生を所定期限まで連続的に検出することを含み得る。所定期限は、5秒~60秒の設定時間であり得る。所定期限は、所定数の呼吸であり得る。所定期限は、呼吸装置のユーザインターフェースを介して調節可能であり得る。本方法は、少なくとも呼吸1回毎に瞬間断線パラメータを計算することを含み得る。本方法は、瞬間断線パラメータを各呼吸の吸気フェーズから計算することを含み得る。本方法は、瞬間断線パラメータを各呼吸の吸気フェーズから少なくとも1回および各呼吸の呼気フェーズから少なくとも1回計算することを含み得る。本方法は、瞬間断線パラメータを所定の時間間隔で計算することを含み得る。
【0054】
いくつかのバージョンにおいて、方法は、感度設定を決定することと、感度設定に基づいて断線設定を調節することとを含み得る。本方法は、デフォルト感度設定に従って患者回路の種類に基づいて感度設定を決定することを含み得る。本方法は、感度設定を試験フェーズから決定することを含み得る。本試験フェーズは、呼吸装置により呼吸治療を患者へ提供することの前に行われ得る。試験フェーズは、呼吸装置による患者への呼吸治療の提供の最中に行われ得る。本方法は、回路断線イベントの発生が試験フェーズから検出された際、断線イベントへの応答を生成することを含み得る。感度設定は、呼吸装置のユーザインターフェースを介して所定範囲の設定から選択可能であり得る。所定範囲の設定は、1%~100%の値を含み得る。所定範囲の設定は、5%のインクリメントで設定される5%~95%の値を含み得る。いくつかの場合において、回路断線イベントの検出のための感度設定の値は、呼吸装置のディスプレイ上に提供され得る。
【0055】
いくつかのバージョンにおいて、本方法は、回路断線イベントの発生が検出された際、呼吸インジケータの監視により検出された発生を認定することを含み得る。いくつかの場合において、患者が未だ患者回路へ接続されている旨を呼吸インジケータが示す場合、方法は、回路断線イベントの検出された発生を偽として認定することを含み得る。いくつかの場合において、患者が未だ患者回路へ接続されている旨を呼吸インジケータが示さない場合、方法は、回路断線イベントの検出された発生を真として認定することを含み得る。呼吸インジケータは、以下のうち1つ以上からなり得る:(i)呼気労作を示す呼気流;(ii)吸気労作を示す吸気流;(iii)吸気フェーズから計算された瞬間断線パラメータを呼気フェーズから計算された瞬間パラメータと比較した時の差;(iv)瞬間断線パラメータと、瞬間断線パラメータの先行値の計算された分散との比較;および(v)呼吸フェーズ内における瞬間断線パラメータの経時的な変化量.
【0056】
いくつかのバージョンにおいて、方法は、回路断線イベントの発生が検出された際、検出された流量を所定の閾値と比較して、断線イベントの発生を確認することを含み得る。本方法は、回路断線イベントの発生の検出の後に患者への患者回路の再接続を検出することを含み得る。患者への患者回路の再接続は、瞬間断線パラメータを第2の閾値と比較することにより、検出され得る。患者への患者回路の再接続は、瞬間断線パラメータの急激な変化の検出により、検出され得る。
【0057】
本技術のいくつかのバージョンは、患者回路を介して圧縮空気流れを患者へ供給するように構成された呼吸装置の患者回路における回路断線イベントの発生を検出する方法を含み得る。本方法は、圧縮空気流れの圧力および流量を1つ以上のセンサーによって繰り返し検出することを含み得る。本方法は、検出された圧力および流量に基づいて瞬間断線パラメータをプロセッサ内において繰り返し計算することを含み得る。本方法は、プロセッサにより連続する瞬間断線パラメータを比較して、瞬間断線パラメータの変動性レベルを経時的に決定することを含み得る。本方法は、変動性レベルに基づいてプロセッサにより回路断線イベントの発生を検出することを含み得る。いくつかのバージョンにおいて、瞬間断線パラメータは、コンダクタンス値であり得る。瞬間断線パラメータは、インピーダンス値であり得る。
【0058】
本技術のいくつかのバージョンは、患者回路を介して圧縮空気流れを患者へ供給するように構成された呼吸装置の患者回路について回路断線イベントの発生を検出するシステムを含み得る。本システムは、1つ以上のセンサーによって検出された圧縮空気流れの圧力および流量を示すデータへアクセスするために少なくとも1つのプロセッサを有するコントローラを含み得る。コントローラは、患者回路の種類に基づいて断線設定を決定するように構成され得る。コントローラは、アクセスされた圧力および流量を示すデータに基づいて瞬間断線パラメータを計算するように、構成され得る。コントローラは、断線設定の関数としての瞬間断線パラメータに基づいて回路断線イベントの発生を検出するように、構成され得る。瞬間断線パラメータは、コンダクタンス値であり得る。瞬間断線パラメータは、インピーダンス値であり得る。
【0059】
システムのいくつかのバージョンにおいて、断線設定は断線閾値であり得、コントローラは、計算された瞬間断線パラメータを断線閾値と比較して回路断線イベントの発生を検出するように構成され得る。断線設定はプロファイルであり得、コントローラは、複数の計算された瞬間断線パラメータをプロファイルと比較して回路断線イベントの発生を検出するように、構成され得る。コントローラは、患者固有の情報を受信することと、患者固有の情報を用いて断線設定を決定することとを行うように、さらに構成され得る。患者固有の情報は、患者の年齢、体重、身長および患者種類のうち1つ以上を含み得る。コントローラは、呼吸装置のメモリ中に保存されたルックアップテーブルに基づいて断線設定を決定するように、構成され得る。
【0060】
コントローラは、患者回路の種類を決定するように、構成され得る。コントローラは、呼吸装置のユーザインターフェースを介して患者回路の種類を受信するように、構成され得る。患者回路の種類は空気回路の構成を含み得、空気回路の構成は侵襲的、非侵襲的、通気型、非通気型、シングルリムならびにダブルリムのうち1つ以上であり得る。コントローラは、呼吸装置のユーザインターフェースについて回路接続状態の通知を提供するように、構成され得る。コントローラは、呼吸装置のユーザインターフェース上にメッセージを活性化させることにより、回路断線イベントへの応答を生成するように構成され得る。コントローラは、断線警告を活性化させることにより、回路断線イベントへの応答を生成するように構成され得る。コントローラは、呼吸装置のユーザインターフェースのユーザ制御のユーザ活性化に応答して所定期間にわたって断線警告をミュートするように、構成され得る。コントローラは、回路断線イベントの発生が所定期限にわたって連続的に検出されるまで断線警告を活性化させることを行わないように、構成され得る。所定期限は、5秒~60秒の設定時間であり得る。所定期限は、所定数の呼吸であり得る。所定期限は、調節可能であり得る。
【0061】
いくつかのバージョンにおいて、コントローラは、瞬間断線パラメータを少なくとも呼吸当たり1回計算するように、構成され得る。コントローラは、瞬間断線パラメータを各呼吸の吸気フェーズから計算するように、構成され得る。コントローラは、瞬間断線パラメータを各呼吸の吸気フェーズから少なくとも1回および各呼吸の呼気フェーズから少なくとも1回計算するように、構成され得る。コントローラは、瞬間断線パラメータを所定の時間間隔で計算するように、構成され得る。
【0062】
いくつかのバージョンにおいて、コントローラは、感度設定を決定することおよび断線設定の感度を感度設定に基づいて調節することを行うように、さらに構成され得る。コントローラは、患者回路の種類に基づいてデフォルト感度設定を決定するように、構成され得る。コントローラは、感度設定を試験フェーズから決定するように、構成され得る。本試験フェーズは、呼吸装置により呼吸治療を患者へ提供することの前に行われ得る。試験フェーズは、呼吸装置から患者への呼吸治療が可能である間に行われ得る。断線警告の活性化は、試験フェーズ時にディセーブルされ得る。感度設定は、呼吸装置のユーザインターフェースを介して所定範囲の設定から選択可能であり得る。所定範囲の設定は、1%~100%の値を含み得る。所定範囲の設定は、5%のインクリメントで設定される5%~95%の値を含み得る。任意選択的に、感度設定通知は、呼吸装置のディスプレイ上に提供され得る。感度設定通知は、決定された感度設定により断線イベントが検出されたかについての通知を提供し得る。
【0063】
本システムのいくつかのバージョンにおいて、コントローラは、回路断線イベントの決定された発生と同時に患者が未だ患者回路へ接続されている旨を示す呼吸インジケータを監視することにより認定回路断線イベントの決定された発生を認定するように、さらに構成され得る。コントローラは、呼吸インジケータが患者が未だ患者回路へ接続されている可能性がある旨を示す場合、回路断線イベントの決定された発生を偽として認定するように構成され得る。コントローラは、呼吸インジケータが患者が未だ患者回路へ接続されている可能性がある旨を示さない場合、回路断線イベントの決定された発生を真として認定するように構成され得る。呼吸インジケータは、(i)呼気労作を示す呼気流;(ii)吸気労作を示す吸気流、(iii)吸気フェーズから計算された瞬間断線パラメータを呼気フェーズから計算された瞬間パラメータと比較した時の差、(iv)瞬間断線パラメータと、瞬間断線パラメータの先行値の計算された分散との比較、および(v)呼吸フェーズ内における瞬間断線パラメータの経時的な変化量のうち1つ以上からなる。
【0064】
コントローラは、回路断線イベントの発生の検出後、流量を所定の閾値と比較して回路断線の発生イベントを確認するように、さらに構成され得る。コントローラは、回路断線イベントの発生の検出後に患者回路の患者への再接続を検出するように、さらに構成され得る。患者への患者回路の再接続は、瞬間断線パラメータを第2の閾値と比較することにより、検出され得る。患者への患者回路の再接続は、瞬間断線パラメータの急激な変化の検出により、検出され得る。
【0065】
いくつかの場合において、呼吸装置は、上記のシステムのうち1つ以上を含み得、1つ以上のセンサーと、圧縮空気流れを供給するように構成された圧力生成器とをさらに含み得る。
【0066】
本技術のいくつかのバージョンは、吸気フェーズおよび呼気フェーズを含む連続する呼吸サイクルにおいて呼吸治療を患者呼吸へ提供するように構成された呼吸治療システムを含み得る。本システムは、圧縮空気流れを供給するように構成された圧力生成器を含み得る。圧力生成器は、圧力生成器からの圧縮空気を患者へ送達させるように空気回路を介して患者インターフェースへ接続するように、構成され得る。本システムは、圧縮空気流れの圧力および流量を示す1つ以上の信号を提供するように構成された少なくとも1つのセンサーを含み得る。本システムは、少なくとも1つのセンサーからの1つ以上の信号から瞬間圧力値および瞬間流量値を繰り返し検出するように構成されたプロセッサを含むコントローラを含み得る。プロセッサを含むコントローラは、瞬間圧力値および瞬間流量値に基づいて瞬間コンダクタンス値を繰り返し計算するように、構成され得る。プロセッサを含むコントローラは、瞬間コンダクタンス値の変化を経時的に監視して、システム内における呼吸イベントの発生を検出するように、構成され得る。
【0067】
いくつかの場合において、呼吸イベントは、閉塞であり得る。閉塞は、瞬間コンダクタンスが所定の閾値を下回ったときに検出され得る。閉塞は、瞬間コンダクタンスが経時的に不変のままであるときに検出され得る。閉塞は、空気回路、患者インターフェースまたは患者の気道において発生し得る。
【0068】
いくつかの場合において、呼吸イベントは、容量目標モード時に流れ枯渇になり得る。流れ枯渇は、呼吸サイクルの吸気フェーズにわたって瞬間コンダクタンス値のプロファイルの関数として検出され得る。流れ枯渇は、瞬間コンダクタンス値が吸気フェーズの終期部分と比較して吸気フェーズの早期から中期の吸気部分において高いときに、検出され得る。流れ枯渇は、(a)呼吸サイクルの吸気フェーズから計算された瞬間コンダクタンス値と、(b)コンダクタンス閾値との比較により、検出され得る。流れ枯渇は、呼吸サイクルの吸気フェーズから計算された瞬間コンダクタンス値がコンダクタンス閾値を超えたときに検出され得る。いくつかの場合において、コントローラは、呼吸イベントが検出されたときに呼吸イベントの発生を示すメッセージを活性化させるように、構成され得る。
【0069】
本技術のいくつかのバージョンは、吸気フェーズおよび呼気フェーズを含む連続する呼吸サイクルにおいて呼吸治療を患者呼吸へ提供するように構成された呼吸治療システムを含み得る。本システムは、圧縮空気流れを供給するように構成された圧力生成器を含み得る。圧力生成器は、圧力生成器からの圧縮空気を患者へ送達させるように空気回路を介して患者インターフェースへ接続するように、構成され得る。本システムは、圧縮空気流れの圧力および流量を示す1つ以上の信号を提供するように構成された少なくとも1つのセンサーを含み得る。本システムは、少なくとも1つのセンサーからの1つ以上の信号から瞬間圧力値および瞬間流量値を繰り返し検出するように構成されたプロセッサを含むコントローラを含み得る。本システムは、瞬間圧力値および瞬間流量値に基づいて瞬間コンダクタンス値を繰り返し計算するように構成されたプロセッサを含むコントローラを含み得る。本システムは、瞬間コンダクタンス値の変化を経時的に監視して呼吸治療を監視するように構成されたプロセッサを含むコントローラを含み得る。
【0070】
いくつかのバージョンにおいて、コントローラは、吸気フェーズの開始部分および吸気フェーズの終期部分から計算された瞬間コンダクタンス値から計算された瞬間コンダクタンス値のレベル差を決定し得る。コントローラは、レベル差に基づいて立上がり時間設定を調節することように、構成され得る。コントローラは、レベル差に基づいてピーク吸気流設定を調節するように構成され得る。コントローラは、瞬間コンダクタンス値を経時的に監視して1つ以上の呼吸サイクルの吸気フェーズおよび呼気フェーズを決定するように、構成され得る。コントローラは、瞬間コンダクタンス値を経時的に監視して、不十分な通気流れ状態を検出するように、構成され得る。コントローラは、不十分な通気流れ状態を最近の基準コンダクタンス値と比較して異常に低いコンダクタンス値として検出するように、構成され得る。
【0071】
本技術のいくつかのバージョンは、吸気フェーズおよび呼気フェーズを含む連続する呼吸サイクルにおいて呼吸治療を患者呼吸へ提供するように構成された呼吸治療システムを含み得る。本システムは、圧縮空気流れを供給するように構成された圧力生成器を含み得る。圧力生成器は、圧力生成器からの圧縮空気を患者へ送達させるように空気回路を介して患者インターフェースへ接続するように、構成され得る。本システムは、圧縮空気流れの圧力および流れを示す1つ以上の信号を提供するように構成された少なくとも1つのセンサーを含み得る。本システムは、少なくとも1つのセンサーからの1つ以上の信号から瞬間圧力値および瞬間流量値を繰り返し検出するように構成されたプロセッサを含むコントローラを含み得る。本システムは、瞬間圧力値および瞬間流量値に基づいて瞬間インピーダンス値を繰り返し計算するように構成されたプロセッサを含むコントローラを含み得る。本システムは、瞬間インピーダンス値の変化を経時的に監視して、システム内における呼吸イベントの発生を検出するように構成されたプロセッサを含むコントローラを含み得る。
【0072】
いくつかのバージョンにおいて、呼吸イベントは、閉塞であり得る。閉塞は、瞬間インピーダンスが所定の閾値を超えたときに検出され得る。閉塞は、瞬間インピーダンスが経時的に実質的に変化しないままであるときに、検出され得る。閉塞は、空気回路、患者インターフェースまたは患者の気道において発生し得る。
【0073】
いくつかのバージョンにおいて、呼吸イベントは、容量目標モード時の流れ枯渇であり得る。流れ枯渇は、呼吸サイクルの吸気部分にわたって瞬間インピーダンス値のプロファイルの関数として検出され得る。流れ枯渇は、瞬間インピーダンス値が吸気フェーズの終期部分においてよりも吸気フェーズの早期から中期の吸気部分において低くなったときに、検出され得る。流れ枯渇は、呼吸サイクルの吸気フェーズから計算された瞬間インピーダンス値と、インピーダンス閾値との比較により、検出され得る。流れ枯渇は、呼吸サイクルの吸気フェーズから計算された瞬間インピーダンス値がインピーダンス閾値を下回ったときに、検出され得る。
【0074】
いくつかの場合において、呼吸イベントが検出されると、コントローラは、呼吸イベントの発生を示すメッセージを提供するように構成され得る。
【0075】
本技術のいくつかのバージョンは、吸気フェーズおよび呼気フェーズを含む連続する呼吸サイクルにおいて呼吸治療を患者呼吸へ提供するように構成された呼吸治療システムを含み得る。本システムは、圧縮空気流れを供給するように構成された圧力生成器を含み得る。圧力生成器は、圧力生成器からの圧縮空気を患者へ送達させるように空気回路を介して患者インターフェースへ接続するように、構成され得る。本システムは、圧縮空気流れの圧力および流量を示す1つ以上の信号を提供するように構成された少なくとも1つのセンサーを含み得る。本システムは、少なくとも1つのセンサーからの1つ以上の信号から瞬間圧力および瞬間流量の値を繰り返し検出するように構成されたプロセッサを含むコントローラを含み得る。本システムは、瞬間圧力値および瞬間流量値に基づいて瞬間インピーダンス値を繰り返し計算するように構成されたプロセッサを含むコントローラを含み得る。本システムは、瞬間インピーダンス値の変化を経時的に監視して呼吸治療を監視することように構成されたプロセッサを含むコントローラを含み得る。
【0076】
いくつかのバージョンにおいて、コントローラは、吸気フェーズの開始部分から計算された瞬間インピーダンス値と、吸気フェーズの終期部分から計算された瞬間インピーダンス値との間のレベル差を決定する。コントローラは、レベル差に基づいて立上がり時間設定を調節することように、構成され得る。コントローラは、レベル差に基づいてピーク吸気流設定を調節するように構成され得る。コントローラは、瞬間インピーダンス値を経時的に監視して、各呼吸サイクルの患者の吸気フェーズおよび呼気フェーズを決定するように、構成され得る。コントローラは、瞬間インピーダンス値を経時的に監視して、不十分な通気流れ状態を検出するように、構成され得る。コントローラは、不十分な通気流れ状態を最近の基準インピーダンス値と比較して異常に高いインピーダンス値として検出するように、構成され得る。
【0077】
本技術の一形態は、患者回路断線を呼吸回路中の瞬間インピーダンスの決定に基づいて検出する方法および装置を含む。瞬間インピーダンスは、受動非接続回路に従ったインピーダンス閾値またはインピーダンスプロファイル(形状)と比較され得る。インピーダンス閾値は、装置へ接続された患者回路に基づいて決定され得る。
【0078】
本技術の一形態は、呼吸回路中の瞬間コンダクタンスの決定に基づいて患者回路断線を検出する方法および装置を含む。瞬間コンダクタンスは、コンダクタンス閾値またはコンダクタンスプロファイル(形状)と比較され得る。コンダクタンス閾値は、装置へ接続された患者回路に基づいて決定され得る。
【0079】
本技術の一形態の別の態様は、呼吸治療を患者回路を介して患者へ提供するように構成された呼吸装置における回路断線イベントの発生を検出する方法である。本方法は、呼吸装置へ接続された患者回路構成の種類を決定することと、断線設定を患者回路構成の種類の関数として決定することと、呼吸装置のコントローラにおいて、圧力および流れパラメータを繰り返し決定し、圧力および流れパラメータに基づいて瞬間断線パラメータを決定することと、回路断線イベントの発生を瞬間断線パラメータに基づいて断線設定の関数として決定することとを含む。いくつかの形態において、断線設定および瞬間断線パラメータは、コンダクタンス値であり得る。他の形態において、断線設定および瞬間断線パラメータは、インピーダンス値であり得る。
【0080】
本技術の一形態の別の態様は、呼吸治療を患者回路を介して患者へ提供するように構成された呼吸装置における回路断線の発生を検出する方法である。本方法は、呼吸装置のコントローラにおいて圧力および流れパラメータを繰り返し決定し、圧力および流れパラメータに基づいて瞬間断線パラメータを繰り返し決定することと、連続する瞬間断線パラメータを比較して、瞬間断線パラメータの経時的な変動性レベルを決定し、変動性レベルに基づいて回路断線の発生を決定することとを含む。瞬間断線パラメータは、コンダクタンス値またはインピーダンス値であり得る。
【0081】
本技術の一形態の別の態様は、呼吸装置における回路断線イベントの発生を検出するための回路断線システムである。本システムは、呼吸可能なガスの圧力および流れパラメータを示すデータへアクセスする少なくとも1つのプロセッサを有するコントローラを含む。本コントローラは、呼吸装置へ接続された患者回路構成の種類を決定することと、断線設定を患者回路構成の種類の関数として決定することと、瞬間断線パラメータを圧力および流れパラメータに基づいて決定することと、回路断線イベントの発生を瞬間断線パラメータに基づいて断線設定の関数として決定することと、回路断線イベントの発生を通知することとを行うように、構成される。いくつかの形態において、断線設定および瞬間断線パラメータは、コンダクタンス値であり得る。他の形態において、断線設定および瞬間断線パラメータは、インピーダンス値であり得る。
【0082】
いくつかの形態において、断線検出システムまたは方法は、第1の断線閾値である断線設定を含み得、決定された瞬間断線パラメータを第1の断線閾値と比較して、回路断線イベントの発生を決定する。
【0083】
断線検出システムまたは方法の他の形態において、断線設定はプロファイル形状であり、回路断線イベントの発生は、複数の決定された瞬間断線パラメータをプロファイル形状と比較して、回路断線の発生を決定することを含む。
【0084】
断線検出システムまたは方法のいくつかの形態において、患者固有の情報が呼吸装置中へ入力され得、患者固有の情報は、断線設定の決定において用いられ得る。患者固有の情報は、患者の年齢、体重、身長または患者種類のうち1つ以上を含み得る。
【0085】
断線検出システムまたは方法のいくつかの形態において、断線設定は、呼吸装置のメモリ中に保存されたルックアップテーブルから決定され得る。
【0086】
断線検出システムまたは方法のいくつかの形態において、患者回路構成の種類は、呼吸装置により自動的に検出され得る。他の形態において、患者回路構成の種類は、ユーザインターフェースを介して呼吸装置へ入力され得る。患者回路構成の種類は、侵襲的、非侵襲的、通気型、非通気型、シングルリムまたはダブルリムのうち少なくとも1つとなるように決定され得る。
【0087】
断線検出システムまたは方法のいくつかの形態において回路接続状態の通知は、呼吸装置のユーザインターフェース上に提供される。断線通知は、回路断線イベントが検出された際に提供され得る。断線通知は、呼吸装置または断線警告を活性化させることまたは両方についてのメッセージを提供することを含み得る。いくつかの形態において、断線警告は、呼吸装置のユーザインターフェースを介して所定期間にわたってミュートされ得る。いくつかの形態において、断線警告の活性化の前に、断線通知を所定の時間にわたって連続的に提供する必要がある。所定の時間は、5秒~60秒の設定時間または所定数の呼吸であり得る。所定の時間は、調節可能であり得る。
【0088】
断線検出システムまたは方法のいくつかの形態においては、瞬間断線パラメータは、少なくとも呼吸当たり1回決定される。例えば、瞬間断線パラメータは、各呼吸の吸気フェーズ時または各呼吸の吸気フェーズ時に少なくとも1回および各呼吸の呼気フェーズ時に少なくとも1回決定される。他の形態において、瞬間断線パラメータは、所定の時間間隔で決定され得る。
【0089】
断線検出システムまたは方法のいくつかの形態において、断線設定の感度を調節するための感度設定が決定される。感度設定は、患者回路構成の種類の関数としてのデフォルト感度設定として決定され得る。感度設定は、試験フェーズ時に決定され得、試験フェーズは、呼吸装置により呼吸治療を患者へ提供することの前または呼吸装置による患者への呼吸治療の提供の最中に発生し得る。断線警告の活性化は、試験フェーズ時にディセーブルされ得る。
【0090】
いくつかの形態において、感度設定は、ユーザインターフェースを介して所定範囲の設定から選択可能であり得る。所定範囲の設定は、1%~100%の値を含み得る。例えば、所定範囲の設定は、5%のインクリメントで設定される5%~95%の値を含み得る。
【0091】
いくつかの形態において、感度設定通知は、呼吸装置のディスプレイ上に提供され得、感度設定通知は、決定された感度設定が断線イベントを検出したかについての通知を提供し得る。
【0092】
いくつかの形態において、回路断線イベントの発生の検出後、断線検出システムまたは方法は、患者が未だ患者回路へ接続されている旨を示す呼吸インジケータを監視して、断線イベントを認定し得る。例えば、患者が未だ患者回路へ接続されている旨を呼吸インジケータが示す場合、回路断線イベントの発生は偽として認定されるため、回路断線イベントとして認定されない。あるいは、患者が未だ患者回路へ接続されている旨を呼吸インジケータが示さない場合、回路断線イベントの発生は真として認定され得、回路断線イベントが確認される。呼吸インジケータは、以下のうち1つ以上を含み得る:(i)呼気を示す呼気流を検出すること;(ii)吸気を示す吸気流を検出すること;(iii)吸気フェーズ時に決定された瞬間断線パラメータと、呼気フェーズ時に決定された瞬間パラメータとを比較した時の差;(iv)瞬間断線パラメータと、計算された分散of瞬間断線パラメータの先行測定との比較;または(v)呼吸フェーズ内における瞬間断線パラメータの経時的な変化量。
【0093】
いくつかの形態において、回路断線イベントの発生の検出後、断線検出システムまたは方法は、決定された流れパラメータを所定の閾値と比較して、回路断線イベントの発生を確認し得る。
【0094】
いくつかの形態において、回路断線イベントの発生の後、断線検出システムまたは方法は、患者回路から患者への再接続を検出し得る。患者への患者回路の再接続は、瞬間断線パラメータを第2の閾値と比較することにより、検出され得る。患者への患者回路の再接続は、瞬間断線パラメータの急激な変化の検出により、検出され得る。
【0095】
本技術の一形態の別の態様は、回路断線システムを含む呼吸装置または回路断線イベントを検出する方法である。
【0096】
本技術の一形態の別の態様は、吸気フェーズおよび呼気フェーズを含む連続する呼吸サイクルにおいて呼吸治療を患者呼吸へ提供するように構成された呼吸システムである。本システムは、加圧ガスの供給を提供するように構成された圧力生成器と、加圧ガスの圧力および流れを示す信号を提供する少なくとも1つのセンサーと、加圧ガスを圧力生成器から患者へ送達させるように空気送達回路へ接続された患者インターフェースデバイスと、瞬間圧力および流れ値を繰り返し決定することおよび瞬間圧力および流れ値に基づいて瞬間コンダクタンス値を決定することを行うように構成されたプロセッサを含むコントローラとを含む。コントローラは、瞬間コンダクタンス値の変化を経時的に監視して、システム内における呼吸イベントの発生を決定する。
【0097】
いくつかの形態において、呼吸イベントは、閉塞イベントである。閉塞イベントは、瞬間コンダクタンスが所定の閾値を下回ったときに検出され得る。いくつかの形態において、閉塞イベントは、瞬間コンダクタンスが経時的に不変のままであるときに検出される。閉塞イベントは、患者回路または患者の気道内にあり得る。
【0098】
他の形態において、呼吸イベントは、容量目標モード時に発生する流れ枯渇イベントである。流れ枯渇イベントは、呼吸サイクルの吸気フェーズにわたって瞬間コンダクタンス値のプロファイルの関数として検出され得る。流れ枯渇イベントは、瞬間コンダクタンス値が吸気フェーズの終了時においてよりも早期から中期の吸気フェーズにおいてより高くなったときに、検出され得る。流れ枯渇イベントは、呼吸サイクルの吸気フェーズ時に決定された瞬間コンダクタンス値と、第3のコンダクタンス閾値との比較により、検出され得る。流れ枯渇イベントは、呼吸サイクルの吸気フェーズ時に決定された瞬間コンダクタンス値が第3のコンダクタンス閾値を超えた場合に検出され得る。
【0099】
いくつかの形態において、呼吸系のコントローラは、呼吸イベントの発生を示すメッセージを提供するように構成され得る。
【0100】
本技術の一形態の別の態様は、吸気フェーズおよび呼気フェーズを含む連続する呼吸サイクルにおいて呼吸治療を患者呼吸へ提供するように構成された呼吸システムである。本システムは、加圧ガスの供給を提供するように構成された圧力生成器と、加圧ガスの圧力および流れを示す信号を提供する少なくとも1つのセンサーと、加圧ガスを圧力生成器から患者へ送達させるように空気送達回路へ接続された患者インターフェースデバイスと、瞬間圧力および流れ値を繰り返し決定することおよび瞬間圧力および流れ値に基づいて瞬間コンダクタンス値を決定することを行うように構成されたプロセッサを含むコントローラとを含む。コントローラは、瞬間コンダクタンス値の変化を経時的に監視して、治療を監視する。
【0101】
コントローラは、吸気フェーズの開始時に決定された瞬間コンダクタンス値と、吸気フェーズの終了時に決定された瞬間コンダクタンス値とのレベル差を決定し得る。コントローラは、レベル差に基づいて立上がり時間設定またはピーク吸気流設定を調節するように構成され得る。
【0102】
いくつかの形態において、コントローラは、瞬間コンダクタンス値を経時的に監視して、各呼吸サイクルの患者の吸気フェーズおよび呼気フェーズを決定し得る。
【0103】
本技術の一形態の別の態様は、吸気フェーズおよび呼気フェーズを含む連続する呼吸サイクルにおいて呼吸治療を患者呼吸へ提供するように構成された呼吸システムである。本システムは、加圧ガスの供給を提供するように構成された圧力生成器と、加圧ガスの圧力および流れを示す信号を提供する少なくとも1つのセンサーと、加圧ガスを圧力生成器から患者へ送達させるように空気送達回路へ接続された患者インターフェースデバイスと、瞬間圧力および流れ値を繰り返し決定することおよび瞬間圧力および流れ値に基づいて瞬間インピーダンス値を決定することを行うように構成されたプロセッサを含むコントローラとを含む。コントローラは、瞬間インピーダンス値の変化を経時的に監視して、システム内における呼吸イベントの発生を決定する。
【0104】
いくつかの形態において、呼吸イベントは、閉塞イベントである。閉塞イベントは、瞬間インピーダンスが所定の閾値を超えたときに検出され得る。閉塞イベントは、瞬間インピーダンスが経時的に実質的に変化しないままであるときに検出され得る。閉塞イベントは、患者回路または患者の気道内にあり得る。
【0105】
いくつかの形態において、呼吸イベントは、容量目標モード時に発生する流れ枯渇イベントである。流れ枯渇イベントは、呼吸サイクルの吸気フェーズにわたって瞬間インピーダンス値のプロファイルの関数として検出され得る。流れ枯渇イベントは、瞬間インピーダンス値が吸気フェーズの終了時においてよりも早期から中期の吸気フェーズにおいて低くなったときに、検出され得る。流れ枯渇イベントは、呼吸サイクルの吸気フェーズ時に決定された瞬間インピーダンス値と、第3のインピーダンス閾値との比較により、検出され得る。流れ枯渇イベントは、呼吸サイクルの吸気フェーズ時に決定された瞬間インピーダンス値が第3のインピーダンス閾値を下回ったときに、検出され得る。いくつかの形態において、コントローラは、呼吸イベントの発生を示すメッセージを提供するように、構成される。
【0106】
本技術の一形態の別の態様は、吸気フェーズおよび呼気フェーズを含む連続する呼吸サイクルにおいて呼吸治療を患者呼吸へ提供するように構成された呼吸システムである。本システムは、加圧ガスの供給を提供するように構成された圧力生成器と、加圧ガスの圧力および流れを示す信号を提供する少なくとも1つのセンサー;加圧ガスを圧力生成器から患者へ送達させるように空気送達回路へ接続された患者インターフェースデバイスと、瞬間圧力および流れ値を繰り返し決定することおよび瞬間圧力および流れ値に基づいて瞬間インピーダンス値を決定することを行うように構成されたプロセッサを含むコントローラとを含む。コントローラは、瞬間インピーダンス値の変化を経時的に監視して、治療を監視する。
【0107】
いくつかの形態において、コントローラは、吸気フェーズの開始時に決定された瞬間インピーダンス値と、吸気フェーズの終了時に決定された瞬間インピーダンス値との間のレベル差を決定し得る。コントローラは、レベル差に基づいて立上がり時間設定またはピーク吸気流設定を調節するように構成され得る。コントローラは、瞬間インピーダンス値を経時的に監視して、各呼吸サイクルの患者の吸気フェーズおよび呼気フェーズを決定し得る。
【0108】
本技術の一形態の態様は、患者回路の呼吸装置への再接続を検出する方法である。
【0109】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位様態を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち各種のものを様々な方法で組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0110】
本明細書中に記載される回路断線検出のための方法、システム、デバイスおよび装置により、プロセッサにおける機能(例えば、特定目的用コンピュータのプロセッサおよび/または呼吸装置のための監視デバイスの機能)の向上が可能になり得る。さらに、いくつかの場合において、これらは、治療デバイス(例えば、呼吸圧力治療デバイス)のコントローラまたはプロセッサ内において一体化され得る。さらに、記載の方法、システム、デバイスおよび装置によれば、問題または危険の可能性のある呼吸に関連する断線イベントをより容易に発見することが可能になるようにデバイスによる回路断線検出を行うことにより、呼吸器系または状態(例えば、睡眠疾患呼吸、小児用呼吸治療または呼吸非効率(例えば、COPD))のための自動監視および/または呼吸装置の技術分野における向上が可能になる。
【0111】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報を鑑みれば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
本技術を、添付図面中に非限定的に一例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む:
【0113】
【
図1A】[治療システム]
図1Aは、患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。
【
図1B】
図1Bは、患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
【
図1C】
図1Cは、患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイス型マスクをとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
【
図2A】[呼吸システムおよび顔の解剖学的構造]
図2Aは、鼻腔および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。
【
図2B】
図2Bは、鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻孔、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、中咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒトの上気道の図である。
【
図3A】[患者インターフェース]
図3Aは、本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
【
図4A】[RPTデバイス]
図4Aは、本技術の一形態による人工呼吸器デバイスの形態においてのRPTデバイスの斜視図である。
【
図4E】
図4Eは、本技術の一態様による人工呼吸器中の内部コンポーネントの配置の模式図である。
【
図4F】
図4Fは、本技術の一態様による空気圧ブロックの内部の模式図である。
【
図4G】
図4Gは、本技術の一形態による装置の空気圧回路の概略図である。上流と下流の方向が示されている。
【
図4H】
図4Hは、本技術の一態様による装置の電気部品の概略図である。
【
図4I】
図4Iは、本技術の一態様による装置に導入されたアルゴリズムの概略図である。本図において、実線の矢印は、例えば電子信号を介した情報の実際の流れを示す。
【
図5A】[加湿器]
図5Aは、本技術の一形態による加湿器の等角図である。
【
図5B】
図5Bは、本技術の一形態による加湿器の等角図であり、加湿器リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130から除去した様子を示す。
【
図5C】
図5Cは、本技術の一形態による加湿器の模式図である。
【
図6A】[加湿器]睡眠時のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。
【
図6B】
図6Bは、通常約90秒間にわたるノンレム睡眠呼吸時の患者を示す。
【
図7A】[故障検出]
図7Aは、本技術の態様による回路断線検出方法のフローチャートである。
【
図7B】
図7Bは、本技術の別の態様による回路断線検出方法のフローチャートである。
【
図7C】
図7Cは、感度設定を45%にした場合にコンダクタンス閾値について瞬間コンダクタンス、圧力および流れ値を経時的にトレースした結果を示す。
【
図7D】
図7Dは、感度設定を20%にした場合にコンダクタンス閾値について瞬間コンダクタンス、圧力および流れ値を経時的にトレースした結果を示す。
【
図7E】
図7Eは、感度設定を15%にした場合にコンダクタンス閾値について瞬間コンダクタンス、圧力および流れ値を経時的にトレースした結果を示す。
【
図7F】
図7F(i)および
図7F(ii)は、呼吸流れおよび気道圧力の経時的トレースおよび瞬間コンダクタンスおよびコンダクタンス変化の経時的トレースを示す。
【
図7G】
図7G(i)および
図7G(ii)は、コンダクタンストリガ閾値を示す呼吸流れおよび瞬間コンダクタンスのトレースを示す。
【
図7H】
図7H(i)および
図7H(ii)は、呼吸流れおよび気道圧力の経時的トレースならびに瞬間コンダクタンスおよび瞬間インピーダンスの経時的トレースをそれぞれ示し、患者回路断線をそれぞれ示す。
【
図7I】
図7Iは、気管内管患者回路と共にデユアルリム弁を用いた場合の小児患者の経時的瞬間コンダクタンスのグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0114】
技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0115】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0116】
治療
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加するステップを含む。
【0117】
本技術の特定の実施例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0118】
治療システム
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療のための呼吸装置またはデバイスを含む。呼吸装置またはデバイスは、圧縮空気を患者インターフェース3000への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
【0119】
患者インターフェース
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:密閉形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気孔3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、密閉形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
【0120】
密閉形成構造
本技術の一形態において、密閉形成構造3100は、密閉形成表面を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。
【0121】
本技術による密閉形成構造3100は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、シリコーン)から構成され得る。
【0122】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000の密閉形成部分は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含む。各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻の各鼻孔との密閉を形成するように構成および配置される。
【0123】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)上に密閉を形成する密閉形成部分を含む。
【0124】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、患者の顔の顎領域上に密閉を形成する密閉形成部分を含む。
【0125】
位置決めおよび安定化構造
本技術の患者インターフェース3000の密閉形成構造3100は、使用時において位置決めおよび安定化構造3300によって密閉位置において保持され得る。
【0126】
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、患者インターフェースの感知される嵩または実際の嵩を低減するように、目立たない外形または断面厚さを有する。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
【0127】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、織物患者接触層、発泡材料内側層および織物外側層の積層物から構成されたストラップを含む。一形態において、発泡材料は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、織物外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0128】
特定の形態の本技術において、位置決めおよび安定化構造3300は、伸張可能である(例えば、弾力性と共に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、クッションを患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一実施例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0129】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。
【0130】
通気
一形態において、患者インターフェース3000は、吐き出されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気部3400を含む。
【0131】
本技術による一形態の通気部3400は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含む。
【0132】
通気部3400は、プレナムチャンバ3200内に配置され得る。あるいは、通気部3400は、結合解除構造(例えば、回り継ぎ手)内に配置される。
【0133】
結合解除構造(複数)
一形態において、は、少なくとも1つの結合解除構造(例えば、回り継ぎ手または球窩およびソケット)を含む。
【0134】
接続ポート
接続ポート3600は、空気回路4170への接続を可能にする。
【0135】
前額支持部
一形態において、患者インターフェース3000は、前額支持部3700を含む。
【0136】
窒息防止弁
一形態において、患者インターフェース3000は、窒息防止弁を含む。
【0137】
ポート
本技術の一形態において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ3200内のガス(例えば、圧力)の特性を直接測定することが可能になる。
【0138】
RPTデバイス
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械コンポーネントおよび空気圧式コンポーネント、電気コンポーネントを含み、1つ以上のアルゴリズムを実行するように構成される。
【0139】
本技術の一形態によるRPTデバイスまたは人工呼吸器4000を
図4A~
図4Eに示す。RPTデバイス4000は、ハウジング4012、呼気空気入口ポート4014および吸気空気出口ポート4016を含む。空気入口ポート4014および空気出口ポート4016は、患者の気管中へ挿入され得る空気送達管(図示せず)へ接続可能であり、患者の鼻または口あるいは双方上にフィットする顔または鼻マスクへ接続されるか、または別の場合に呼吸を支援するように患者へ取り付けられる。RPTデバイス4000のためのハウジング4012は、ポータブルであり得、人工呼吸器を持ち運ぶためのハンドル4018を含み得る。ハウジングは、上側ハウジングケース4020、シャーシ4021および下側ハウジングケース4022を持ち得る。これらが共に接続されて、RPTデバイスの外面が形成される。しかし、ハウジングは、他の構成(例えば、上側および下側ケーシングを備えた2つのコンポーネント部分のみを含むもの)を有してもよいし、あるいは、3つよりも多くのコンポーネント部分を有してもよいことが理解されるべきである。RPTデバイスは、米国特許出願第13/624,167号(出願日:2012年9月21日、US2013/0263854として公開)に記載のような人工呼吸器の人工呼吸器または態様を含み得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0140】
シャーシ4021により、人工呼吸器アセンブリのための構造的骨格が得られ得る。シャーシ4021は、入口フィルタアセンブリ4036および入口シール4038を受容するような構造にされ得る。以下、これらそれぞれについて、より詳細に説明する。入口シール4038はまた、空気圧ブロックモジュール4056の入口へ接続するように構成される。好適には、入口シール4038は、シリコーンなどのコンプライアント材料によって形成され、入口シールは、空気圧ブロックモジュール4056の入口上にオーバーモールドされ得る。
【0141】
シャーシ4021はまた、空気圧ブロックシートを含み得る。空気圧ブロックシート中には、ハウジング内における空気圧ブロックモジュール4056のアライメントおよび組立を容易にするために、空気圧ブロックモジュール4056が配置される。シャーシ4021は、ハンドル4018の一部も含み得る。
【0142】
シャーシ4021の後部は、リアパネル上の多様な接続およびスイッチのために、一定範囲のインターフェースを含み得る。例えば、電力接続4049、スイッチ4051、データ接続4047および酸素接続または入口ポート4046のためのインターフェースがある。
【0143】
シャーシ4021は、RPTデバイス4000のコンポーネント(例えば、冷却ファン4068、プリント回路基板(PCB)4086)と、呼気空気入口ポート4014に隣接して配置された呼気部分4031のコンポーネント(
図4Eを参照)との配置および保持のための複数のインターフェースも含み得る。
【0144】
人工呼吸器4000の呼気部分4031は、患者からの呼気を受容するための呼気インターフェースモジュールを呼気空気入口ポート4014を介して挿入することが可能になるように、構成される。異なる呼気インターフェースモジュールは、呼気弁および呼気アダプタを含み得る。
【0145】
図4A~
図4Eから分かるように、RPTデバイス4000は、取り外し可能な内部バッテリ4450の配置およびインターフェース取りのためのバッテリ区画を含み得る。取り外し可能なバッテリカバー4052は、バッテリの挿入または取り外しのためのアクセスを可能にするように、下側ハウジングケース4022の外側底面上に設けられる。取り外し可能な呼気カバー4048、酸素センサーカバー4054およびグリル4044も、
図4Dに示すようにコンポーネント排熱を可能にするように、外側底面上に設けられる。下側ハウジングケース4022は、すべり止め脚部またはグリップ表面または1つ以上のすべり止めまたはグリップ脚部4053(例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)脚部)も外側底面上に有し得、これにより、RPTデバイス4000が平滑面からすべることを回避する。また、すべり止めまたはグリップ脚部4053により、RPTデバイス4000の位置が高くなり得るため、こぼれた水がRPTデバイスの底部下側に溜まる事態が回避される。ハンドル4018の一部も、下側ハウジングケース4022内に配置される。
【0146】
図4Aから分かるように、上側ハウジングケース4020は、RPTデバイス4000の上面を提供し、ユーザインターフェースディスプレイデバイス4024を受容するような構造にされる。ハウジングは、コンピュータまたはプロセッサによって駆動されるユーザインターフェースディスプレイデバイス4024を含み得る(例えば、コンピュータに対するタッチ入力を受信するように適合された液晶ディスプレイ(LCD))。ディスプレイデバイスは、RPTデバイスの使用時に容易に視認できるよう、ハウジングの上面と同一平面にあり得る。警告インジケータ照明バー4026(例えば、発光ダイオード(LED)照明バー)と、音声または視覚警告をディセーブルするためのボタン4028とが、ディスプレイに隣接して設けられ得る。しかし、他の公知のユーザインターフェースシステムも利用可能であり得ることが理解されるべきである(例えば、スクリーン、ボタン、ダイヤル、キーまたはこれらの組み合わせ)。シャーシ4021、下側ハウジングケース4022および上側ハウジングケース4020は、完成状態のハウジング4012の組立のために、共に接続される。ハウジング4012の組立の際には、ネジなどの締結具が用いられ得るが、他の任意の公知の締結具を用いてもよい。シャーシ4021は、上側ハウジングケース4020と、下側ハウジングケース4022との間に組み立てられる。
【0147】
図4Cに示すように、ハウジング4012の後部は、フィルタアセンブリ4036を含み得る。患者の肺中へポンプすべき空気が、フィルタアセンブリと関連付けられた空気入口中へと引き込まれる。この空気は、フィルタ中の浸透性フィルタ膜を通過し、患者へ空気を流すための通気道へ進入する。
【0148】
ハウジングの後部は、デジタルデバイス(例えば、コンピュータネットワーク、警告システム、パルスオキシメータ(例えば、spO2)およびデジタル記録媒体)との通信のためのデータ接続4047を含み得る。電力接続4049およびオンオフスイッチ4051も、ハウジングの後部に配置され得る。入力グリル4044-Iにより、コンポーネント冷却のための空気の入口が得られ得、また、内部コンポーネント(例えば、送風機モータおよびCPU)の動作によって発生する熱の放散が可能になり得る。内部コンポーネント上の加熱空気の動きは、(
図4D中のハウジング下部に図示される)加熱空気出力グリル4044-Oの近隣に設けられ得るハウジング中の冷却ファン4068によって駆動され得る。加えて、酸素(O
2)入口ポート4046は、ハウジングの後部に設けられ得、その結果、酸素源との接続が可能になる。
【0149】
図4Dは、RPTデバイス4000の下部を示す。取り外し可能な呼気カバー4048は、外部アクセスハッチとして機能し、呼気部分の区画またはハウジングの部分へのアクセスまたはその保護を可能にする。呼気カバー4048が取り外されると、任意の挿入された呼気ガス経路設定モジュールおよび呼気空気入口ポート4014へのアクセスが可能になる。また、呼気ガス経路設定モジュール(例えば、呼気弁または呼気アダプタ)の除去および交換も容易になる。呼気カバー4048は、ハウジング4012へ締結することができ、これにより、指で回すことが可能なラッチ4050により余分な遊びが低減される。任意選択的に、いくつかの実施形態において、ラッチは、ラッチが解放されないようにロックする機能を果たし得る。任意選択のラッチ解放ボタン4050Rを操作して、呼気カバーを係合解除することができる。解放ボタン4050Rを押圧すると、呼気カバー4048をラッチ解除することができる。当業者であれば、呼気カバー4048をハウジングに対して取り外し可能な様態で固定および接続するための別の方法を用いてもよいことを理解する。また、ハウジングの下部には、交換可能な内部バッテリのための取り外し可能なバッテリカバー4052と、酸素センサー4064へのアクセスの際に取り外すことが可能な酸素センサーカバー4054とが設けられ得る。
【0150】
図4Eは、本技術の一態様によるRPTデバイス4000の内部コンポーネントを示す。RPTデバイス4000は、以下のコンポーネントのうち一部または全てを含み得る:入口空気フィルタ4034、入口シール4038、入口マフラー4039、酸素供給経路4043、空気圧ブロックモジュール4056、吸気部分4033、安全弁4085、呼気部分4031、制御およびPCB4086、冷却ファン4068および内部バッテリ4450。
【0151】
空気圧ブロックモジュール4056は、その通気道が空気入口、吸気出口ポート4016および任意選択的に酸素供給経路4043においてフィルタアセンブリ4036とアライメントされるように、RPTデバイス4000内に配置される。矢印は、それぞれ人工呼吸器4000を通過する空気流れ4035および酸素流れ4045の経路を示す。空気流れ4035は、入口空気フィルタ4034を介して進入し、フィルタアセンブリ4036および入口シール4038を介して移動して、空気圧ブロックモジュール4056の入口マフラー4039中へ入る。任意選択的に、酸素源が酸素入口ポート4046へ取り付けられ得、酸素流れ4045が酸素供給経路4043および酸素シールを通じて空気圧ブロックモジュール4056中へ方向付けられ、ここで、入口マフラー4039内の入口空気流れ4035と組み合わされる。空気圧ブロックモジュール4056内において、空気流れ4035は、主要送風機4104(
図4Fを参照)によって加圧される。圧縮空気流れ4035および酸素流れ4045は、出口マフラー4084を介して空気圧ブロックモジュール4056から方向付けられ、主要シール4040を通じて吸気部分4033中へ入った後、吸気出口ポート4016から退出して、空気回路(図示せず)を介して患者インターフェース(図示せず)へ送達される。
【0152】
酸素センサー4064は、吸気部分4033の酸素センサー区画内に配置され得、患者へ送達されている酸素量を測定する。酸素センサー4064は、酸素センサー4064が容易に交換可能でありかつ吸気出口ポート4016に隣接するように、ハウジング4012内に取り付けられ得る。酸素センサーは、患者へポンプされている空気の酸素レベルを検出する。酸素センサーからのデータは、酸素濃度に関連するトリガ警の提供と、マイクロプロセッサにより酸素濃度をユーザインターフェース上に表示させるべきデータの提供とに用いられ得る。供給される酸素の量は、患者へ供給される既知の量の空気および酸素の調節により、制御され得る。しかし、酸素センサーは、酸素入口ポート4046を通じて供給されるべき補充酸素の量を調節するように、任意選択的に用いてもよい。
【0153】
ハウジング下部上の(
図4Dに示す)酸素センサーカバー4054は取り外し可能であるため、ハウジングの酸素センサー区画内に収容された酸素センサーへのアクセスが可能となる。酸素センサーは、ハウジング内のマウント内にはめ込まれ、吸気出口ポート4016に隣接する。吸気出口ポート4016を通過する空気流れの一部は、酸素センサーによって感知される。このセンサーは、ガスの酸素レベルを示すデータ信号を生成する。このデータは、プロセッサへのデータ搬送を行うデータ接続へ搬送される。プロセッサは、このデータを分析して、患者へポンプされている空気へ付加すべき補充酸素の量を決定する。
【0154】
酸素源は、低圧酸素供給であってもよいし、あるいは高圧酸素供給であってもよい。高圧酸素源の供給のため、酸素調節器(図示せず)を酸素供給経路4043内に配置して、高圧酸素源からの圧力を低下させた後、酸素を入口マフラー4039へ進入させ得る。酸素入口ポート4046は、異なる管轄(例を非限定的に挙げると、male or female diameter index safety system(DISS)、sleeve indexing system(SIS)、国立標準技術研究所(NIST)およびAssociation Francaise De Normalisation(AFNOR))において用いられる異なる種類の酸素コネクタの接続を可能にする一定範囲の異なる酸素接続アダプタへ接続するように、適合され得る。
【0155】
別の配置(図示せず)において、高圧酸素源は、主要送風機4104の後(例えば、出口マフラー4084内)に設けられ得、圧縮空気と混合される。いくつかの実施例において、患者へのガス流れの圧力源を提供するために、高圧酸素が用いられ得る。いくつかの配置において、低圧酸素が、空気回路4170または患者インターフェース3000へ任意選択的に設けられ得る。
【0156】
空気圧ブロックモジュール4056を矩形形状として模式的に図示しているが、空気圧ブロックモジュール4056は、任意の形状(例えば、ハウジング中のシートに適合しかつ空気圧ブロックモジュール4056がハウジング内に不適切に配置される可能性を最小化させる非対称形状)を持ち得ることが理解されるべきである。
【0157】
主要プリント回路基板(PCB)4086は、シャーシ4021へ組立および取り付けされ得、シャーシ4021と下側ハウジングケース4022との間に配置され得る。メインボードの電子コンポーネントは、空気圧ブロックモジュール4056からのデータ信号を搬送するプロセッサ、電気コネクタを含み得る(例えば、圧縮空気を吸気出口ポート4016へ提供する送風機用の電力およびデータコネクタ)。この点について、電気コネクタにより、空気圧ブロックモジュール4056中のPCB上の電子コンポーネントと、ハウジング中の主要PCB上の電子コンポーネントとの間に電力経路および信号経路が得られる。メインボードの電子コンポーネントは、酸素センサー4064などの任意のセンサーのためのデータおよび電力コネクタも含み得る。ハウジング中の電子コンポーネントは、ディスプレイデバイスのための画像の生成、スピーカ4061のための音声信号(例えば、可聴警告の生成、圧力および酸素センサーからの信号検出のためのもの)を制御し得、送風機の回転速度を制御し得る。RPTデバイス4000は、PCB4086へ接続された時計を任意選択的に含み得る。
【0158】
図4Fは、空気圧ブロックモジュール4056の内部コンポーネントの模式図である。空気圧ブロックモジュール4056は、ボリュートアセンブリ4108、入口ノンリタン弁アセンブリ4114、任意選択の酸素入口ポート4144、終末呼気陽圧(PEEP)送風機4124、出口マフラー4084、安全弁4085、圧力センサー4128、流量センサー4130および流れ要素4132およびPEEP圧力センサー4142を備えた主要送風機4104を含む。ボリュートアセンブリ4108は、空気経路の大部分を形成し、空気圧ブロックモジュール4056の重要機能の一部を行う。
【0159】
空気圧ブロック4056は、ノンリタン弁アセンブリ4114と連通しかつノンリタン弁アセンブリ4114を制御するように構成された電子弁4116および流れ制御電子弁4120を含み得る。PEEP電子弁4136は、PEEP送風機4124から呼気部分4031への圧力供給を制御するためにPEEP送風機4124と連通するように、構成される。PEEP圧力管は、呼気部分4031中のPEEP呼気弁およびPEEP供給ポート間に接続されて、PEEP圧力源を提供する。PEEP圧力センサー4142は、PEEP圧力を感知する。
【0160】
図4Gは、別の形態のRPTデバイス4000の模式的配置を示す。RPTデバイス4000の空気圧経路は好適には、入口空気フィルタ4034、入口マフラー4039、空気を陽圧で供給することが可能な制御可能源(圧力生成器)4140(好適には、主要送風機4104)、および出口マフラー4084を含む。1つ以上の変換器4270(例えば、圧力センサー4128および流量センサー4130)が、空気圧経路内に設けられる。
【0161】
好適な空気圧ブロック4056は、外部ハウジング4012内に配置された空気圧経路の一部を含む。
【0162】
RPTデバイス4000は好適には、電力供給4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ4230、治療デバイスコントローラ4240、1つ以上の保護回路4250、メモリ4260、変換器4270、データ通信インターフェース4280、および1つ以上の出力デバイス4290を有する。電気コンポーネント4200は、シングルプリント回路基板アセンブリ(PCBA)上に取り付けられ得る。一代替形態において、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBAを含み得る。
【0163】
RPTデバイス4000の中央コントローラ4230は、使用時に1組の1つ以上のアルゴリズムモジュール4300を実行するようにプログラムされ、好適には事前処理モジュール4310、治療エンジンモジュール4320、治療制御モジュール4330を含み、さらに好適には故障状態モジュール4340を含む。
【0164】
RPTデバイス機械および空気圧式コンポーネント
RPTデバイスは、以下のコンポーネントのうち1つ以上を一体ユニット中に含み得る。一代替形態において、以下のコンポーネントのうち1つ以上が、それぞれの別個のユニットとして配置され得る。
【0165】
空気フィルタ(複数)
本技術の一形態によるRPTデバイスは、空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含み得る。
【0166】
一形態において、入口空気フィルタ4112は、圧力生成器4140の空気圧経路上流の始まり部に配置される。
【0167】
一形態において、出口空気フィルタ4113(例えば抗菌ファクタ)は、空気圧ブロック4056の出口と、患者インターフェース3000との間に配置される。
【0168】
マフラー(複数)
本技術の一形態によるRPTデバイスは、マフラーまたは複数のマフラー4118を含み得る。
【0169】
本技術の一形態において、入口マフラー4122は、空気圧経路内において圧力生成器4140の上方に配置される。
【0170】
本技術の一形態において、出口マフラー4121は、空気圧経路内において圧力生成器4140と患者インターフェース3000との間に配置される。
【0171】
圧力生成器
本技術の一形態において、空気の流れまたは供給を陽圧において生成する圧力生成器4140は、制御可能な送風機4242である。例えば、送風機4242は、ボリュート内に収容された1つ以上のインペラを備えたブラシレスDCモータ4244を含み得る。送風機は、空気供給の送達を例えば約120リットル/分までの速度で、約4cmH2O~約20cmH2Oの範囲の陽圧で、または他の形態において約30cmH2Oまで行うことができる。送風機については、以下の特許または特許出願のうちいずれか1つに記載があり得。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する:米国特許第7,866,944号、米国特許第8,638、014号、米国特許第8,636,479号およびPCT特許出願公開WO2013/020167。
【0172】
圧力生成器4140は、治療デバイスコントローラ4240の制御下にある。
【0173】
他の形態において、圧力生成器4140は、ピストン駆動ポンプ、高圧源(例えば、圧縮空気リザーバ)へ接続された圧力調節器、またはベローズであり得る。
【0174】
変換器(複数)
変換器は、RPTデバイスの内部に設けてもよいし、あるいはRPTデバイスの外部に設けてもよい。外部変換器は、例えば空気回路上に配置してもよいし、あるいは空気回路の一部を形成してもよい(例えば、患者インターフェース)。外部変換器は、非接触センサーの形態をとり得る(例えば、データRPTデバイスを送るかまたは移動させるドップラーレーダー移動センサー)。
【0175】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270が、圧力生成器4140の上流および/または下流に配置され得る。1つ以上の変換器4270は、特性(例えば、空気圧経路中の当該ポイントにおける流量、圧力または温度)を測定するように、構築および配置され得る。
【0176】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270は、患者インターフェース3000の近隣に配置され得る。
【0177】
一形態において、変換器4270からの信号が、(例えば、ローパス、ハイパスまたはバンドパスフィルタリングによって)フィルタリングされ得る。
【0178】
流量センサー
本技術による流量センサー4130は、差圧変換器(例えば、SENSIRIONからのSDP600シリーズ差圧変換器)に基づき得る。
【0179】
一形態において、流量センサー4130からの流量を示す信号が、中央コントローラ4230によって受信される。
【0180】
圧力センサー
本技術による圧力センサー4128は、空気圧経路と流体連通して配置され得る。適切な圧力変換器の一実施例として、HONEYWELL ASDXシリーズからのセンサーがある。別の適切な圧力変換器として、GENERAL ELECTRICからのNPAシリーズからのセンサーがある。
【0181】
一形態において、圧力センサー4128からの信号は、中央コントローラ4230によって受信され得る。
【0182】
モータ速度変換器
本技術の一形態において、モータ4244および/または送風機4242の回転速度を決定するために、モータ速度変換器4276が用いられ得る。モータ速度変換器4276からのモータ速度信号は、治療装置コントローラ4240へ提供され得る。モータ速度変換器4276は、例えば速度センサーであり得る(例えば、ホール効果センサー)。
【0183】
アンチスピルバック弁
本技術の一形態において、アンチスピルバック弁4160が、加湿器5000と、空気圧ブロック4056との間に配置され得る。アンチスピルバック弁は、水が加湿器5000から上流に(例えば、送風機のモータ4244へ)流れる危険性を低減させるように、構築および配置される。
【0184】
空気回路
本技術の一態様による空気回路4170は導管またはチューブであり、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、空気圧ブロック4056および患者インターフェース3000)間に移動するように、構築および配置される。
【0185】
詳細には、空気回路4170は、空気圧ブロック4056の出口および患者インターフェース3000と流体接続し得る。空気回路構成は、
図1Aに示すようなシングルリム構成を含み得る。シングルリム回路は、通気孔と共に用いられ得る。イベントは、窒息防止弁などの独立部分として設けられ得、空気送達管に取り付けられるか、あるいは、通気孔を患者インターフェースの一部として設けてもよい。空気送達管は、デバイス(例えば、人工呼吸器または加湿器)の出口へ接続される。この通気型シングルリム構成において、患者へ送達されるべき吸気空気またはガス流れが、RPTデバイスから空気送達管を通じて記患者インターフェースへ到達し、患者の呼気ガスが、通気孔を通じて呼気される。RPTデバイスは、患者呼気物が確実に排出されるように、通気孔において陽圧を提供する。
【0186】
別の構成において、シングルリム回路は、近位の空気圧式弁と共に用いられ得る。近位の空気圧式弁は、空気送達管の患者インターフェース端の近隣に設けられる。空気送達管の反対端は、デバイス(例えば、人工呼吸器または加湿器)の出口へ接続される。小型管もデバイスと近位の空気圧式弁との間に接続されて、圧力制御線を提供する。RPTデバイスは、制御圧力を近位の空気圧式弁へ付加して、近位の空気圧式弁の排気ポートの開閉を制御する。吸気時において、弁が完全閉鎖されると、全ての空気流れが患者インターフェースへ方向付けられる。呼気時において、弁を比例的に制御して、患者が排気ポートから指定背圧(終末呼気陽圧(PEEP)として公知である)において呼気させることを可能にする。RPTデバイスはまた、バイアス流れを連続的に出力させて、PEEPの高精度制御を確保し、患者インターフェースにおける全漏洩をオフセットさせる。患者における空気圧力は、RPTデバイス内の近位の圧力センサーへ接続された圧力感知ラインを用いて監視され得る。
【0187】
さらなる構成において、ダブルリム回路が用いられ得る。ダブルリム回路は、以下の2つの管を含む:すなわち、吸気時にRPTデバイスからの空気を患者へ送達させる吸気管、および患者からの呼気をRPTデバイスの呼気ポートへ送達させた後、排気ポートから退出させるための呼気管。幾何学的に、これら2つの管は、並べて配置してもよいし、あるいは同軸に配置してもよい。呼気ポートと排気ポートとの間の空気流れを、RPTデバイス内部に配置された空気圧式弁によって調節することができる。
【0188】
吸気時において、弁が完全閉鎖されると、全ての空気流れが患者へ方向付けられる。呼気時において、弁を比例的に制御して、患者が排気ポートから指定PEEP圧力において呼気することを可能にする。RPTデバイスはまた、バイアス流れを連続的に出力させて、PEEPの高精度制御を確保し、患者インターフェースにおける全漏洩をオフセットさせる。患者における空気圧力は、吸気時において呼気管へ接続されたRPTデバイス内の近位の圧力センサーを介して監視され得、呼気時において吸気管へ接続された出力圧力センサーを介して監視され得る。
【0189】
いくつかの形態において、空気回路4170は、(例えば空気温度の維持または上昇のために)空気回路中の空気を加熱するように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。ダブルリム回路のために、吸気管または呼気管またはあるいは両方が加熱され得る。加熱要素は、加熱ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上の変換器(例えば、温度センサー)を含み得る。一形態において、加熱ワイヤ回路は、空気回路4170の軸周囲にらせん状に巻かれ得る。加熱要素は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230または加湿器コントローラ5250)と連通し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一実施例について、米国特許出願第8,733,349号に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0190】
酸素送達
本技術の一形態において、補充用酸素4180が、空気圧経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧ブロック4056の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000へ送達され得る。
【0191】
RPTデバイス電気コンポーネント
電源
電源4210は、RPTデバイス4000の外部ハウジング4012の内部または外部に配置され得る。
【0192】
本技術の一形態において、電源4210は、RPTデバイス4000にのみ電力を供給する。本技術の別の形態において、電源4210から、電力がRPTデバイス4000および加湿器5000双方へ提供される。電力供給は、WO2015/063218に記載のような内部バッテリおよび外部バッテリから供給される電力を制御するための電力管理システムを含み得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0193】
入力デバイス
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、人間がデバイスと相互作用を可能にするためのボタン、スイッチまたはダイヤルの形態をとる1つ以上の入力デバイス4220を含む。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、タッチスクリーンを介してアクセスすることが可能な物理的デバイスまたはソフトウェアデバイスであり得る。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、一形態において外部ハウジング4012に物理的に接続させてもよいし、あるいは、別の形態において中央コントローラ4230と電気接続された受信器と無線通信してもよい。
【0194】
一形態において、入力デバイス4220は、人間が値および/またはメニュー選択肢を選択することを可能にするように、構築および配置され得る。
【0195】
中央コントローラ
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000の制御に適した1つまたは複数のプロセッサである。
【0196】
適切なプロセッサは、ARM HoldingsからのARM(登録商標)Cortex(登録商標)-Mプロセッサに基づいたプロセッサであるx86INTELプロセッサを含み得る(例えば、ST マクロ電子からのS(登録商標)32シリーズのマイクロコントローラ)。本技術の特定の代替形態において、32ビットRISC CPU(例えば、ST MICRO電子SからのSTR9シリーズマクロコントローラ)または16ビットRISC CPU(例えば、TEXAS INSTRUMENTSによって製造されたマクロコントローラのMSP430ファミリーからのプロセッサ)も適切であり得る。
【0197】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、専用電子回路である。
【0198】
一形態において、中央コントローラ4230は、特定用途向け集積回路である。別の形態において、中央コントローラ4230は、個別電子コンポーネントを含む。
【0199】
中央コントローラ4230は、1つ以上の変換器4270、1つ以上の入力デバイス4220および加湿器5000から入力信号(複数)を受信するように、構成され得る。
【0200】
中央コントローラ4230は、出力信号(複数)を出力デバイス4290、治療装置コントローラ4240、データ通信インターフェース4280および加湿器5000のうち1つ以上へ提供するように、構成され得る。
【0201】
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、本明細書中に記載の1つ以上の方法を実行するように、構成される(例えば、非一時的なコンピュータで読出可能な記録媒体のような(例えば、メモリ4260)中に記録されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズムの組4300)。本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000と一体化され得る。しかし、本技術のいくつかの形態において、いくつかの方法が、遠隔配置されたデバイスによって行われ得る。例えば、遠隔配置されたデバイスは、記録されたデータ(例えば、本明細書中に記載のセンサーのうちいずれかからのもの)の分析により、人工呼吸器の制御設定を決定し得るか、または、呼吸関連イベントを検出し得る。
【0202】
時計
RPTデバイス4000は、中央コントローラ4230へ接続された時計4232を含み得る。
【0203】
治療装置コントローラ
本技術の一形態において、治療デバイスコントローラ4240は治療制御モジュール4330であり、中央コントローラ4230によって実行されるアルゴリズム4300の一部を形成する。
【0204】
本技術の一形態において、治療装置コントローラ4240は、専用モータ制御集積回路である。例えば、一形態において、ONSEMIによって製造されたMC33035ブラシレスDCモータコントローラが用いられる。
【0205】
保護回路
本技術による1つ以上の保護回路4250は、電気保護回路、温度および/または圧力安全回路を含み得る。
【0206】
メモリ
本技術の一形態によれば、RPTデバイス4000は、メモリ4260(例えば、不揮発性メモリ)を含む。いくつかの形態において、メモリ4260は、電池式スタティックRAMを含み得る。いくつかの形態において、メモリ4260は、揮発性RAMを含み得る。
【0207】
メモリ4260は、PCBA上に配置され得る。メモリ4260は、EEPROMまたはNANDフラッシュの形態をとり得る。
【0208】
追加的にまたは代替的に、RPTデバイス4000は、取り外し可能なメモリ4260(例えば、セキュアデジタル(SD)規格に従って作製されたメモリカード)を含む。
【0209】
本技術の一形態において、メモリ4260は、非一時的コンピュータで読出可能な記録媒体として機能する。この記録媒体上に、本明細書中に記載の1つ以上の方法を表現するコンピュータプログラム命令(例えば、1つ以上のアルゴリズム4300)が記録される。
【0210】
データ通信システム
本技術の一形態において、データ通信インターフェース4280が設けられ、中央コントローラ4230へ接続される。データ通信インターフェース4280は、リモート外部通信ネットワーク4282および/またはローカル外部通信ネットワーク4284へ接続可能であり得る。リモート外部通信ネットワーク4282は、遠隔外部デバイス4286へ接続可能であり得る。ローカル外部通信ネットワーク4284は、ローカル外部デバイス4288へ接続可能であり得る。
【0211】
一形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230の一部である。別の形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230と別個であり、集積回路またはプロセッサを含み得る。
【0212】
一形態において、リモート外部通信ネットワーク4282はインターネットである。データ通信インターフェース4280は、インターネットへ接続するために、(例えば、イーサネット(登録商標)または光ファイバーを介して)有線通信を用得るかまたは無線プロトコル(例えば、CDMA、GSM(登録商標)、LTE)を用い得る。
【0213】
一形態において、ローカル外部通信ネットワーク4284は、1つ以上の通信規格(例えば、ブルートゥース(登録商標)またはコンシューマー赤外線プロトコル)を用いる。
【0214】
一形態において、遠隔の外部デバイス4286は、1つ以上のコンピュータ(例えば、ネットワーク化コンピュータのクラスタ)である。一形態において、遠隔の外部デバイス4286は、物理的コンピュータではなく仮想コンピュータであり得る。いずれの場合も、このような遠隔の外部デバイス4286は、適切に権限を付与された人間(例えば、臨床医)からのアクセスが可能であり得る。
【0215】
ローカル外部デバイス4288は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットまたはリモートコントロールであり得る。
【0216】
任意選択のディスプレイ、警報を含む出力デバイス
本技術による出力デバイス4290は、視覚、音声および触覚ユニットのうち1つ以上の形態をとり得る。視覚ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイであり得る。
【0217】
ディスプレイドライバ
ディスプレイドライバ4292は、ディスプレイ4294上へ表示されるべき文字、記号または画像を入力として受信し、ディスプレイ4294にこれらの文字、記号または画像を表示させるコマンドへ変換する。
【0218】
ディスプレイ
ディスプレイ4294は、ディスプレイドライバ4292から受信されたコマンドに応答して、文字、記号または画像を視覚的に表示するように構成される。
【0219】
RPTデバイスアルゴリズム
事前処理モジュール
本技術の一形態による事前処理モジュール4310は、変換器4270(例えば流量センサー4130または圧力センサー4128)からの信号を入力として受信し、1つ以上の出力値を計算するための1つ以上のプロセスステップを行う。これらの出力値は、別のモジュール(例えば、治療エンジンモジュール4320)への入力として用いられる。
【0220】
本技術の一形態において、出力値は、インターフェースまたはマスク圧力Pm、呼吸流量Qrおよび漏洩流量Qlを含む。
【0221】
本技術の多様な形態において、事前処理モジュール4310は、以下のアルゴリズムのうち1つ以上を含む:圧力補償4312、通気流量推定4314、漏洩流量推定4316および呼吸流量推定4318。
【0222】
圧力補償
本技術の一形態において、圧力補償アルゴリズム4312は、空気圧ブロックの出口の近位の空気圧経路中の圧力を示す信号を入力として受信する。圧力補償アルゴリズム4312は、圧力低下を空気回路4170を通じて推定し、患者インターフェース3000中の推定圧力Pmを出力として提供する。
【0223】
通気流量の推定
本技術の一形態において、通気流量推定アルゴリズム4314は、患者インターフェース3000中の推定圧力Pmを入力として受信し、患者インターフェース3000中の通気孔3400からの空気の通気流量Qvを推定する。
【0224】
漏洩流量の推定
本技術の一形態において、漏洩流量推定アルゴリズム4316は、全体流量Qtおよび通気流量Qvを入力として受信し、漏洩流量Qlの推定を出力として提供する。一形態において、漏洩流量推定アルゴリズムは、いくつかの呼吸サイクル(例えば、約10秒)を含むくらいに充分に長い期間にわたって全体流量Qtと通気流量Qvとの間の差平均を計算することにより、漏洩流量Qlを推定する。
【0225】
一形態において、漏洩流量推定アルゴリズム4316は、漏洩流量Qlを出力として提供し、漏洩コンダクタンスを計算することおよび漏洩流量Qlを漏洩コンダクタンスおよび圧力Pmの関数となるように決定することにより、患者インターフェース3000中の全体流量Qt、通気流量Qv、および推定圧力Pmを入力として受信する。漏洩コンダクタンスは、全体流量Qtと通気流量Qvとの間の差に等しいローパスフィルタされた非通気流量の商と、圧力Pmのローパスフィルタされた平方根として計算され、ローパスフィルタ時定数は、いくつかの呼吸サイクル(例えば、約10秒)を含むだけの充分な値を有する。漏洩流量Qlは、漏洩コンダクタンスの積および圧力Pmの関数として推定され得る。
【0226】
呼吸流量推定
本技術の一形態において、呼吸流量推定アルゴリズム4318は、全体流量Qt、通気流量Qvおよび漏洩流量Qlを入力として受信し、通気流量Qvおよび漏洩流量Qlを全体流量Qtから減算することにより、患者への空気呼吸流量Qを推定する。
【0227】
治療エンジンモジュール
本技術の一形態において、治療エンジンモジュール4320は、患者インターフェース3000中の圧力Pmおよび患者への空気呼吸流量Qrのうち1つ以上を入力として受信し、1つ以上の治療パラメータを出力として提供する。
【0228】
本技術の一形態において、治療パラメータは、治療圧力Ptである。
【0229】
本技術の一形態において、治療パラメータは、振幅、ベース圧力および目標換気のうち1つ以上である。
【0230】
多様な形態において、治療エンジンモジュール4320は、以下のアルゴリズムのうち1つ以上を含む:フェーズ決定4321、波形決定4322、換気決定4323、吸気流制限決定4324、無呼吸/呼吸低下決定4325、いびき決定4326、気道開通性決定4327、目標換気決定4328、および治療パラメータ決定4329。
【0231】
フェーズ決定
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、フェーズを決定しない。
【0232】
本技術の一形態において、フェーズ決定アルゴリズム4321は、呼吸流量Qrを示す信号を入力として受信し、患者1000の現在の呼吸サイクルのフェーズΦを出力として提供する。
【0233】
いくつかの形態において、離散フェーズ決定として知られるフェーズ出力Φは、離散変数である。離散フェーズ決定の一具現例により、吸気または呼気の値を持つ二値フェーズ出力Φが得られる。この値は、自発吸気および呼気それぞれの開始が検出された際に例えば0回転および0.5回転の値としてそれぞれ表される。「トリガ」および「サイクル」するRPTデバイス4000は、離散フェーズ決定を有効に行う。なぜならば、トリガ点およびサイクル点は、フェーズが呼気から吸気へおよび吸気から呼気へそれぞれ変化する瞬間であるからである。二値フェーズ決定の一具現例において、呼吸流量Qrの値が負の閾値よりもより大きな負の値であるときに呼吸流量Qrが正の閾値を超える値および0.5回転の離散値を有し(これにより、RPTデバイス4000を「サイクルさせる」)とき、フェーズ出力Φは、離散値0を持ち(これによりRPTデバイス4000を「トリガ」する)ように、決定される。
【0234】
離散フェーズ決定の別の具現例により、吸気、吸気中の一時停止および呼気のうち1つの値を備えた3値フェーズ出力Φが得られる。
【0235】
他の形態において、連続フェーズ決定として知られるフェーズ出力Φは連続する変数であり、例えば0回転~1回転または0~2Φラジアンの間で変動する。連続フェーズ決定を行うRPTデバイス4000は、連続フェーズが0回転および0.5回転それぞれに到達したときに、トリガおよびサイクルし得る。連続フェーズ決定の一具現例において、フェーズの連続値Φは、呼吸流量Qrのファジー論理分析を用いて決定される。本具現例において実行されたフェーズの連続値は、「ファジーフェーズ」と呼ばれることが多い。ファジーフェーズ決定アルゴリズム4321の一具現例において、以下の規則が呼吸流量Qrへ適用される:
1.呼吸流量がゼロになった後に急激に増加した場合、フェーズは0回転である。
2.呼吸流量が大きな正の値でありかつ安定している場合、フェーズは0.25回転である。
3.呼吸流量がゼロであり急激に低下する場合、フェーズは0.5回転である。
4.呼吸流量が大きな負の値でありかつ安定している場合、フェーズは0.75回転である。
5.呼吸流量がゼロでありかつ安定しており、呼吸流量の5秒のローパスフィルタされた絶対値が大きい場合、フェーズは0.9回転である。
6.呼吸流量が正であり、フェーズが呼気である場合、フェーズは0回転である。
7.呼吸流量が負であり、フェーズが吸気であり、フェーズは0.5回転である。
8.呼吸流量の5秒のローパスフィルタされた絶対値が大きい場合、フェーズは、時定数20秒によってローパスフィルタされた患者の呼吸速度に等しい一定速度で増加する。
【0236】
各規則の出力は、フェーズが規則の結果でありかつ大きさが規則が真となるファジー範囲となるベクトルとして表され得る。呼吸流量が「大きい」、「安定している」などのファジー範囲は、適切なメンバシップ関数によって決定される。規則の結果は、ベクトルとして表され、その後、セントロイドをとるなどのいくつかの関数により、組み合わされる。このような組み合わせにおいて、規則は、等しく重み付けしてもよいし、あるいは異なる様態で重み付けしてもよい。
【0237】
連続フェーズ決定の別の具現例において、吸気時間Tiおよび呼気時間Teは、先ず呼吸流量Qrから推定される。その後、フェーズΦは、先行トリガ瞬間から経過した吸気時間Tiの割合の半分または0.5回転に先行サイクル瞬間から経過した呼気時間Teの割合を加算した値(これらのうち、より直近のもの)として決定される。
【0238】
本技術のいくつかの形態において、測定されたまたは推定された圧力パラメータ(P)および流量(Q)パラメータに基づいて、回路インピーダンスまたは回路コンダクタンス値の連続的決定が行われ得る。決定された連続インピーダンスまたはコンダクタンス値を用いて、受動的断線回路と、呼吸している患者が取り付けられた回路とを区別することができ、これにより、回路接続状態の決定が可能になる。受動的断線回路により、決定されたコンダクタンスまたはインピーダンス値が経時的に比較的一定になり得るかまたは不変になり得る。これとは対照的に、呼吸している患者が取り付けられた回路の場合、回路上において患者が呼吸するため、決定されたコンダクタンスまたはインピーダンス値が経時的に変動する。
【0239】
本技術の他の形態において、測定または推定された圧力パラメータ(P)および流量(Q)パラメータに基づいた瞬間インピーダンスまたはコンダクタンス値の連続的決定により、患者の呼吸フェーズが推定され得る。瞬間インピーダンスまたはコンダクタンス値をフィルタリングすることにより、信号からノイズが除去され得る。例えば、断線回路は、コンダクタンスまたはインピーダンス値の比較的一定の測定を所有する一方、回路へ接続された呼吸している患者は、各呼吸フェーズ内におけるコンダクタンスまたはインピーダンス値の特徴的形状またはプロファイルを代わりに所有し得る。このプロファイルにより、基準レベルのコンダクタンスに相対する圧力および流量双方についての情報が具現化されるため、これらのパラメータいずれかを単独で用いた場合よりも、患者活動に対する感度を高くすることができる。例えば、吸気活動は、回路種類に応じて、送達流量の増加または気道圧力の低下または双方に関連付けられ得る。患者呼気労作に対して、逆が行われ得る。そのため、呼吸フェーズの推定に用いられるコンダクタンスまたはインピーダンスプロファイルを、回路構成全体においてより高感度かつより高汎用性にすることができる。よって、コンダクタンスまたはインピーダンスプロファイルまたは絶対的大きさを用いて、患者労作と同期した様態でRPTデバイスをトリガおよびサイクルすることもできるし、あるいは、マシンの呼吸フェーズと患者の呼吸フェーズとの間の非同期の可能性について臨床医へフィードバックを提供することもできる。例えば、労作のトリガが「無効である」状態の検出を、米国特許第8,603,006号およびUS2012/0037159として公開された米国特許出願第13/264,4012号に記載のものと同様に行うことができる。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0240】
図7F(i)は、CPAP治療時にシステム上において呼吸している患者を刺激する呼吸マシンのための呼吸流量および気道圧力の例示的トレースを示す。気道圧力7108は、比較的一定のままであり、呼吸流量7106は、吸気フェーズおよび呼気フェーズにわたってサイクルする。
図7F(ii)は、呼吸流量値および気道圧力値から決定された瞬間コンダクタンス(G)7112を示す。図示のように、瞬間コンダクタンスは、吸気フェーズおよび呼気フェーズを通じた類似の呼吸サイクルと、流量トレース7106中のものとを示す。瞬間コンダクタンスの経時的変化(dG/dt)7114は、システム上において呼吸する患者を示す、経時的に連続的に変動するコンダクタンスを示す。
【0241】
図7G(i)は、呼吸流量7106および決定された瞬間コンダクタンス7112の例示的トレースを示す。吸気フェーズ7102、呼気フェーズ7104および流量トリガ点7120が図示される。流量トリガ点7120は、新規吸気フェーズをトリガするために用いられ得る。圧力トリガ点7130も図示され、新規吸気フェーズをトリガするために用いられ得る。
図7G(ii)において、同じ決定された瞬間コンダクタンス7112トレースが提供され、コンダクタンストリガ閾値7100が通知される。瞬間コンダクタンス7112が増加し、コンダクタンストリガ閾値7100を超える度に、システムは、新規吸気フェーズをトリガし得る。コンダクタンストリガにより新規吸気をトリガするいくつかの実施例が、7110において図示される。
【0242】
波形決定
本技術の一形態において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、患者の呼吸サイクル全体を通じてほぼ一定の治療圧力を提供する。
【0243】
本技術の他の形態において、治療制御モジュール4330は、圧力生成器4140を制御して、波形テンプレートΠ(Φ)に従って患者呼吸サイクルのフェーズΦの関数として変動する治療圧力Ptを提供させる。
【0244】
本技術の一形態において、波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ(Φ)を提供する。波形テンプレートは、治療パラメータ決定アルゴリズム4329によって用いられる予定のフェーズ決定アルゴリズム4321によって提供されるフェーズ値Φの変域について[0、1]の範囲内の値を有する。
【0245】
一形態において、離散的または連続的に値をとるフェーズに適したものとして、波形テンプレートΠ(Φ)は矩形波テンプレートであり、0.5回転までのフェーズ値に対して1の値を有し、0.5回転を超えるフェーズ値に対して0の値を有する。一形態において、連続的に値をとるフェーズに適したものとして、波形テンプレートΠ(Φ)は、2つの平滑に曲線状の部分を含む(すなわち、0.5回転までのフェーズ値に対して平滑に曲線状の(例えば、上昇コサインの)0から1への上昇、および0.5回転を超えるフェーズ値に対して1から0への平滑に曲線状の(例えば、指数関数的)低下)。一形態において、連続的に値をとるフェーズに適したものとして、波形テンプレートΠ(Φ)は矩形波に基づくが、0.5回転よりも実質的に低い「立上がり時間」までのフェーズ値に対して0~1の平滑な上昇を持ち、0.5回転後の「下降時間」内のフェーズ値に対して1から0への平滑な下降を有する。
【0246】
本技術のいくつかの形態において、波形決定アルゴリズム4322は、RPTデバイスの設定に応じて、波形テンプレートのライブラリから波形テンプレートΠ(Φ)を選択する。ライブラリ中の各波形テンプレートΠ(Φ)は、フェーズ値Φに対するルックアップテーブル値Πとして提供され得る。他の形態において、波形決定アルゴリズム4322は、所定の関数形式(恐らくは、1つ以上のパラメータ(例えば、指数関数的な曲線状部分の時定数)によってパラメータ化されたもの)を用いて、波形テンプレートΠ(Φ)を「オンザフライ」で計算する。関数形式のパラメータは、所定のものであってもよりし、あるいは患者1000の現在の状態に依存してもよい。
【0247】
吸気(Φ=0回転)または呼気(Φ=0.5回転)の離散二値フェーズに適した本技術のいくつかの形態において、波形決定アルゴリズム4322は、最も直近のトリガ瞬間から測定された離散フェーズΦおよび時間tの関数として、波形テンプレートΠを「オンザフライ」で計算する。1つのこのような形態において、波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ(Φ、t)を2つの部分(吸気および呼気)において以下のように計算する。
【数1】
ここで、Π
i(t)およびΠ
e(t)は、波形テンプレートΠ(Φ、t)の吸気部分および呼気部分である。1つのこのような形態において、波形テンプレートの吸気部分Π
i(t)は、立上がり時間によってパラメータ化された0から1への平滑な上昇であり、波形テンプレートの呼気部分Π
e(t)は、下降時間によってパラメータ化された1から0への平滑な下降である。
【0248】
換気決定
本技術の一形態において、換気決定アルゴリズム4323は、呼吸流量Qrを入力として受信し、現在の患者換気Ventを示す測定を決定する。
【0249】
いくつかの具現例において、換気決定アルゴリズム4323は、実際の患者換気の推定値である換気Ventの測定を決定する。このような一具現例として、呼吸流量Qrの絶対値の半値をとることがあり、これは、任意選択的にローパスフィルタ(例えば、コーナ周波数が0.11Hzである2次ベッセルローパスフィルタ)によってフィルタリングされる。
【0250】
他の具現例において、換気決定アルゴリズム4323は、実際の患者換気に大きく比例する換気Ventの測定を決定する。このような一具現例において、ピーク呼吸流量Qpeakが、サイクルの吸気部分において推定される。呼吸流量Qrのサンプリングを含む上記および他の多数の手順により、換気に大きく比例する測定が得られるが、これらの測定の場合、流量波形形状の変動がそれほど大きくない(ここで、2つの呼吸の形状は、時間および振幅において正規化された呼吸の流量波形が類似するときと同様のものとしてとられる)。いくつかの簡単な例を挙げると、正の呼吸流量の中央値、呼吸流量の絶対値の中央値、および流量の標準偏差がある。正の係数を用いた呼吸流量の絶対値の任意次数の統計の任意の線形的組み合わせ(およびさらには正の係数および負の係数双方を用いたいくつかのもの)は、換気におおむね比例する。別の例として、吸気部分の(時間について)中央K割合における呼吸流量の平均であり、ここで、0<K<1である。流量形状が一定である場合、換気に高精度に比例する任意の多数の測定がある。
【0251】
吸気流制限の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、吸気流制限の範囲の決定について、吸気流制限決定アルゴリズム4324を実行する。
【0252】
一形態において、吸気流制限決定アルゴリズム4324は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、呼吸の吸気部分が吸気流制限を示す範囲の計量を出力として提供する。
【0253】
無呼吸および呼吸低下の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、無呼吸および/または呼吸低下の存在の決定のために、無呼吸/呼吸低下決定アルゴリズム4325を実行する。
【0254】
無呼吸/呼吸低下検出アルゴリズム4325は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、無呼吸または呼吸低下が検出されたかを示すフラッグを出力として提供する。
【0255】
一形態において、無呼吸とは、呼吸流量Qrの関数が所定の期間にわたって流量閾値を下回ったときに検出されるものとされる。この関数は、ピーク流量、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均およびピーク流量の流量中間値を決定し得る(例えば、RMS流量)。流量閾値は、流量の比較的長期間の測定値であり得る。
【0256】
一形態において、呼吸低下とは、呼吸流量Qrの関数が所定の期間にわたって第2の流量閾値を下回ったときに検出されるものとする。この関数は、ピーク流量、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均およびピーク流量の流量中間値を決定し得る(例えば、RMS流量)。第2の流量閾値は、流量の比較的長期の測定値であり得る。第2の流量閾値は、無呼吸の検出に用いられる流量閾値よりも高い。
【0257】
いびきの決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、いびき範囲の決定のために、1つ以上のいびき決定アルゴリズム4326を実行する。
【0258】
一形態において、いびき検出アルゴリズム4326は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、いびきが存在している範囲の測定値を出力として提供する。
【0259】
いびき検出アルゴリズム4326は、流量信号の強度を30~300Hzの範囲内において決定するステップを含み得る。さらに、いびき決定アルゴリズム4326は、バックグラウンドノイズ(例えば、送風機からのシステム中の気流音)を低減するために呼吸流量信号Qrをフィルタリングするステップを含み得る。
【0260】
気道開通性の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、気道開通性の範囲の決定のために、1つ以上の気道開通性決定アルゴリズム4327を実行する。
【0261】
一形態において、気道開通性決定アルゴリズム4327は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、信号の出力を約0.75Hz~約3Hzの周波数範囲内において決定する。この周波数範囲内におけるピークの存在は、気道開放を示すものとしてみなされる。ピークの不在は、気道閉鎖の兆候とみなされる。
【0262】
一形態において、ピークが求められる周波数範囲は、治療圧力Ptにおける小さな強制オシレーションの周波数となる周波数範囲である。一具現例において、強制オシレーションは、振幅が約1cmH2Oである周波数2Hzである。
【0263】
一形態において、気道開通性決定アルゴリズム4327は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、心臓発生信号の存在または不在を決定する。心臓発生信号の不在は、気道閉鎖の兆候としてみなされる。
【0264】
目標換気の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、現在の換気Ventの測定を入力としてとり、換気測定のための目標値Vtgtの決定のために、1つ以上の目標換気決定アルゴリズム4328を実行する。
【0265】
本技術のいくつかの形態において、目標換気決定アルゴリズム4328は存在せず、目標値Vtgtは所定のものであり、例えばRPTデバイス4000の構成時におけるハードコーディングによりまたは入力デバイス4220を通じた手入力により得られる。
【0266】
適応型サーボ換気(ASV)などの本技術の他の形態において、目標換気決定アルゴリズム4328は、患者の典型的な最近の換気を示す値Vtypから目標値Vtgtを計算する。
【0267】
適応型サーボ換気のいくつかの形態において、目標換気Vtgtは、高割合でありかつ典型的な最近の換気Vtyp未満の値として計算される。このような形態の高割合は、範囲(80%、100%)、または(85%、95%)、または(87%、92%)内にあり得る。
【0268】
適応型サーボ換気の他の形態において、目標換気Vtgtは、典型的な最近の換気Vtypの1の倍数を若干上回る値として計算される。
【0269】
典型的な最近の換気Vtypは、いくつかの所定の時間スケールにわたる複数の時間的瞬間にわたる現在の換気Ventの測定が付近に分布する値であり、密集する傾向がある(すなわち、最近の履歴における現在の換気の測定の中央傾向の測定)。目標換気決定アルゴリズム4328の一具現例において、最近の履歴は、数分のオーダーであるが、どんなも場合もチェーン・ストークス漸増サイクルおよび漸減サイクルの時間スケールよりも長くなければならない。目標換気決定アルゴリズム4328は、中央傾向の多様な周知の測定のいずれかを用いて、典型的な最近の換気Vtypを現在の換気Ventの測定から決定し得る。1つのこのような測定として、現在の換気Ventの測定についてのローパスフィルタ出力であり、時定数が100秒に等しい。
【0270】
治療パラメータの決定
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、治療エンジンモジュール4320中のその他のアルゴリズムのうち1つ以上から返送された値を用いて、1つ以上の治療パラメータの決定のための1つ以上の治療パラメータ決定アルゴリズム4329を実行する。
【0271】
本技術の一形態において、治療パラメータは、瞬間治療圧力Ptである。この形態の一具現例において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、以下の方程式を用いて治療圧力Ptを決定する。
【数2】
ここで:
Aは振幅であり、
Π(Φ、t)は、フェーズの現在の値Φおよび時間のtにおける(0から1の範囲の)波形テンプレート値であり、
P
0はベース圧力である。
【0272】
波形決定アルゴリズム4322がフェーズによってインデックスされた値Φのルックアップテーブルとして波形テンプレートΠ(Φ、t)を提供する場合、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、フェーズ決定アルゴリズム4321から返送されたフェーズの現在の値Φに対して最近接ルックアップテーブル入力をロケートすることまたはフェーズの現在の値Φにまたがる2つの入力間の他により、方程式(1)を適用する。
【0273】
振幅Aおよびベース圧力P0の値は、選択された呼吸圧力治療モードに応じて、治療パラメータ決定アルゴリズム4329によって設定され得る。
【0274】
治療制御モジュール
本技術の一態様による治療制御モジュール4330は、治療エンジンモジュール4320の治療パラメータ決定アルゴリズム4329からの治療パラメータを入力として受信し、これらの治療パラメータに従って圧力生成器4140から空気流れを送達させるように、圧力生成器を制御する。
【0275】
本技術の一形態において、治療パラメータは治療圧力Ptであり、治療制御モジュール4330は、患者インターフェース3000におけるマスク圧力Pmが治療圧力Ptに等しい空気流れを圧力生成器4140から送させるように、圧力生成器を制御する。
【0276】
故障状態の検出
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、故障状態の検出のための1つ以上の方法4340を実行する。1つ以上の方法4340によって検出された故障状態は、以下のうち少なくとも1つを含み得る:
停電(電力無しまたは電力不足)
変換器故障の検出
コンポーネントの存在を検出できない
動作パラメータが推奨範囲から外れている(例えば、圧力、流量、温度、PaO2)
検出可能な警告信号を生成するための試験警告の不履行
患者回路の断線。
【0277】
故障状態が検出されると、対応するアルゴリズム信号は、以下のうち1つ以上により、故障の存在を信号伝達する:
可聴、視覚および/または動力学的(例えば、振動的)警告活性化
外部デバイスへのメッセージ送信
インシデントのロギング
【0278】
患者回路の断線
本技術の一形態によれば、例えば故障検出方法4340の一部として、RPTデバイス4000は、回路断線検出システムを含む。回路断線検出システムは、患者回路断線イベントの発生を検出し、患者回路断線イベントが発生した旨を患者、臨床医または介護者にアドバイスするかまたはRPTデバイスの制御パラメータを変更する(例えば、治療オフ、圧力低減、流れ低減またはモータ速度低減)またはこれらの組み合わせを変更するためのメッセージまたは警告を活性化し得る。患者回路は、空気回路4170および患者インターフェース3000を含む。患者インターフェースは、侵襲的、非侵襲的、通気型または非通気型の患者インターフェースを含み得る(例えば、マスク、気管切開管(カフ付きまたはカフ無し)、ストロー/管インターフェース、マウスピース、または他の任意のこのような患者インターフェース)。
【0279】
回路断線検出システムは、提供される治療モードから独立した1つ以上の断線パラメータ(複数)(すなわち、容量または圧力制御型治療モードおよび治療設定のもの)を監視することを含む。断線パラメータ(複数)は、回路コンダクタンスまたは回路インピーダンスを含み得る。いくつかの形態において、瞬間断線パラメータ(Di)を断線閾値(Dthres)と比較して、断線イベントの発生が検出され得る。
【0280】
他の形態において、瞬間断線パラメータ(Di)が、取り付けられた受動的断線回路(すなわち、患者が接続されていない回路)を示す比較的一定のまたは非変動プロファイルについて監視され得る。このような形態において、連続的に決定された瞬間断線パラメータの経時的な変動性レベルにより、患者回路の断線の通知が得られ得る。例えば、連続的に決定された瞬間断線パラメータが実質的に等しい値を有する場合(すなわち、経時的変動性がほとんど無い場合)、患者回路断線を示す。これとは対照的に、連続的に決定された瞬間断線パラメータが異なる値(すなわち、経時的変動性レベル)を有する場合、患者が患者回路へ接続されていなかった旨を示す。
【0281】
図7H(i)は、システム上において呼吸している患者を刺激するシステムへ呼吸マシンが接続されている場合の呼吸流量7106および気道圧力7108のトレースを示す。
図7H(ii)は、
図7H(i)からの呼吸流量7106および気道圧力7108に基づいて決定された瞬間コンダクタンス7112および瞬間インピーダンス7116の値のグラフを示す。矢印7122は、患者回路がシステムへ接続されている際の2つの呼吸サイクルを示す。瞬間コンダクタンス7112および瞬間インピーダンス7116双方は、患者回路上における呼吸が刺激された際の値の経時的変動を示す。7118において、回路断線が発生し、瞬間コンダクタンス7112および瞬間インピーダンス7116が示す変化量は極めて小さいため、患者回路断線イベントが発生したことを示す。
【0282】
図7Iは、二値気管内管を介してRPTデバイスへ接続された小児患者についての瞬間コンダクタンスの経時的グラフを示す。コンダクタンス閾値7050が図示される。矢印により示されるNBは、患者回路が接続されているときの通常の呼吸期間を示す。矢印DCは、抜管が発生している期間を示す。最初に抜管イベントが発生すると、断線イベントが7054時に生成されたことへの応答が発生されて真の断線イベントが発生したことが保証されるまで、所定期限7064において遅延が発生する。矢印DTは、気管管断線が発生したときの期間を示す。最初に気管管の断線が発生すると、所定期限7064においても遅延が発生し、その後断線イベントへの応答が7054時に生成される。断線イベント応答7054は、警告またはメッセージの活性化の形態をとり得る。いくつかの形態において、断線イベント(DCまたはDT)が先ず検出されたがいくつかの形態において警告所定期限7064が過ぎた後でないと警告を活性化できない場合、通知がRPTデバイスのユーザインターフェース上に表示され得る。
【0283】
断線閾値(Dthres)は、閾値回路コンダクタンス値または閾値回路インピーダンス値である。同じ回路および流体について、コンダクタンスおよびインピーダンスは相互に逆のものであるとみなされ得る。インピーダンス(抵抗)は、回路へ圧力差が付加される場合にその回路のうちどれくらいの部分が流れを妨害しているかを示す。コンダクタンスとは、回路へ圧力差が付加されている場合にその回路のうちどれくらいが流れに対して伝導性であるかを示す。
【0284】
図7Aは、本技術の一形態においてRPTデバイス4000のコントローラによって行われ得る患者回路断線検出方法7000のフローチャートである。方法7000は、7010から開始し、RPTデバイスへ接続された患者回路の種類を7012において決定する。患者回路の種類の決定7012は、RPTデバイス4000へ接続された空気回路4170の構成および/または空気回路4170へ接続された患者インターフェース3000の種類を決定することを含み得る。患者回路の種類の決定7012は、空気回路の構成(例えば、侵襲的、非侵襲的、通気型または非通気型、シングルリム回路またはダブルリム回路のうち1つ以上)を決定することを含み得る。一具現例において、患者回路の種類は、入力デバイス4220を介してRPTデバイス4000へ入力され得る。別の具現例において、患者回路の種類(例えば、空気回路4170の構成または患者インターフェース3000の種類または双方)が、RPTデバイス4000によって決定され得る。このような一具現例において、動作の設定フェーズ時において患者が存在しない状態で特定の所定の値の圧力および/または流量を付加することと、各値においてインターフェース圧力および/または流量を測定することとが行われる。その結果得られる測定は、患者回路の種類の推測に用いられ得る。別のこのような具現例が、PCT公開第WO2010/091462号に開示されている。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。同文献において、患者回路へ反射して戻ってくる音声の音響分析することにより、その特性(例えば、空気回路4170の構成および/または患者インターフェース3000の種類)を決定する。他のこのような具現例において、RPTデバイス4000のセンサー(複数)は、患者回路種類の識別情報を空気回路のタグおよび/または患者インターフェースから例えば無線周波数識別情報(例えば、RFID)によって検出し得る。
【0285】
ステップ7014において、断線閾値(Dthres)の値が、ステップ7012からの患者回路の種類に基づいて決定される。断線閾値(Dthres)は、使用時に患者回路において期待されるバックグラウンド漏洩レベルから「真の」断線を区別しつつ、「真の」患者回路断線を検出することが可能な一定範囲のインピーダンスまたはコンダクタンス値を決定するように、患者回路の予測されるインピーダンスまたは予測されるコンダクタンスならびに患者回路によって提供される周囲への期待される漏洩に基づいて設定される。断線閾値は、インピーダンス値またはコンダクタンス値の適切な範囲を決定するために、一定範囲の異なる患者回路種類の事前特徴付けに基づいて経験的に決定され得る。いくつかの形態において、RPTデバイス4000は、RPTデバイスへ接続された患者回路の種類に基づいて記断線閾値の初期値を設定するためにルックアップテーブルを用い得る。
【0286】
任意選択的にいくつかの形態において、患者情報7013もRPTデバイスへ提供され得、断線閾値の決定または設定の基本として用いられ得る。患者情報は、以下のうち少なくとも1つを含み得る:患者の種類(例えば、成人または小児)、患者の体重、患者の身長、および患者の年齢。
【0287】
治療時の患者回路の断線を監視するため、RPTデバイスは、患者インターフェース中の瞬間圧力(Pm)および患者回路中の瞬間流量(Qt)の測定または推測をステップ7016において繰り返し検出するように、構成され得る。上記したように、RPTデバイスは、圧力または流量をそれぞれ測定または推測する圧力センサー4128または流量センサー4130のうち1つ以上を含み得る。ステップ7018において、瞬間断線パラメータ(Di)は、瞬間圧力(Pm)および流量(Q)入力に基づいて計算され得る。瞬間断線パラメータ(Di)は、回路インピーダンス値または回路コンダクタンス値として計算され得る。
【0288】
ステップ7020において、瞬間断線パラメータ(Di)を断線閾値(Dthres)と比較して、回路断線イベントが発生したかを検出する。比較結果が回路断線イベントが発生した旨を示す場合、ブール断線通知(Disc)が真に設定され得る。真の断線通知により、回路断線イベントの発生が信号伝達され得る。ステップ7022においてシステムは、断線イベントが検出されたかを検出し、結果が「いいえ」である場合、ステップ7024において、断線通知(Disc)を偽に設定することにより非断線状態が信号伝達され、方法7000はサイクルバックして、7016における瞬間圧力および流量値の検出を繰り返す。ステップ7022において結果が「はい」である場合、7026において断線通知(Disc)を真に設定することにより、断線イベントが信号伝達される。方法7000は、7016において瞬間圧力および流量値の検出にサイクルバックすることにより、引き続き断線状態を監視し得る。いくつかの形態において、断線イベントが検出された際に真の断線通知が提供され得るが、検出された断線イベントがゼロである場合、方法7000は、サイクルバックして、ステップ7016における瞬間圧力値および流量値の検出を繰り返す。
【0289】
7026における断線通知の設定の後、断線警告、メッセージ、カウンタまたはタイマの活性化が続き得る。いくつかの形態において、断線イベントが先ず検出された場合、RPTデバイスは第1の通知を提供し得る。例えば、出力デバイス4290は、ディスプレイ4294を含み得る。ディスプレイ4294上には、回路断線イベントが検出された旨の通知が提供され得る。ディスプレイ4294上の通知は、メッセージまたは光(例えば、オンにされた光、色が変更された光またはLED点滅)または他の形態視覚通知をとり得る。追加的にまたは代替的に、RPTデバイスは、断線イベントの連続検出を所定期間にわたって監視するカウンタまたはタイマを開始し得る。警告またはメッセージの活性化は、断線イベントの連続検出を所定期間にわたって行った後のみに行われ得る。あるいは、断線イベントが所定期間にわたって連続的に検出された場合、第1の通知と異なる第2の通知が、音声通知の形態(例えば、警告)の形態で提供され得る。いくつかの形態において、閾値と比較した断線パラメータの状態が、RPTデバイス4000の出力デバイス4290上に連続的に通知され得る。このような断線状態通知により、断線検出の状態についてのリアルタイムフィードバックがユーザ、介護者または臨床医へ提供され得、断線イベントの高精度検出を保証できるよう、断線閾値(Dthres)のレベルの調節が支援され得る。断線状態は、現在設定されている断線閾値(Dthres)から断線通知が得られるか否かを示し得、ユーザ、介護者または臨床医は、この状態情報を用いて、断線閾値(Dthres)を調節または微調整し得る。例えば、ユーザ、介護者または臨床医は、これらの状況のうちいずれかにおいて現在設定されている断線閾値(Dthres)が回路断線イベントを検出し、断線通知(Disc)を提供できるかを試験するために、断線患者回路を意図的に断線させるかまたは患者インターフェース漏洩を提供し得る。患者回路断線イベントが検出されている間に患者インターフェース漏洩が発生した場合、断線閾値(Dthres)は、断線通知の提供を回避できるように調節され得る。断線状態により、患者回路断線検出システムの性能の監視が可能になり得る。
【0290】
図7Bは、RPTデバイス4000のコントローラによって本技術の別の形態において行われ得る回路断線検出方法7000Aのフローチャートである。この形態において、断線通知(Disc)は、断線警告の活性化前に所定期限までに提供する必要がある。方法7000Aは、開始7010から「断線イベントは検出されたか」ステップ7022までにおいて、
図7Aに示す方法7000に類似する。類似のアイテム番号は、同一または実質的に類似のステップを指す。方法7000Aと同様に、ステップ7022において断線イベントが検出されない場合、ステップ7024において断線通知(Disc)が偽へ設定されるか、または、以前から偽として設定されている場合は偽として維持される。しかし、加えて、ステップ7038においてタイマをゼロにリセットした後、ステップ7016へ戻り、瞬間圧力および流量を監視する。
【0291】
同様に、ステップ7022において結果が「はい」である場合(すなわち、断線イベントが検出された場合)、ステップ7026において断線通知(Disc)は真に設定されるか、または、以前から真として設定されている場合は真として維持される。加えて、ステップ7032において、以前から開始されていない場合はタイマが開始されるか、または、タイマが以前から開始されている場合はタイマがインクリメントされる。タイマは、所定期限までカウントアップまたはダウンし得る。断線通知(Disc)は、ユーザ、介護者または臨床医に断線状態を通知するために、RPTデバイス4000の出力デバイス4290(例えば、ユーザインターフェース)上に表示してもよい。このような断線通知の表示により、上記のような断線閾値(Dthres)の微調整または患者回路断線検出システムの性能の監視または双方が支援され得る。
【0292】
ステップ7034において、タイマの現在値を所定期限と比較する。所定期限は、設定時間長さ(例えば、5~60秒または5~30秒、またはいくつかの他の時間制限)を含み得る。あるいは、所定期限は、カウンタの形態をとり得、所定数の呼吸カウントを含み得る(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上の呼吸)。設定時間制限は、設定時間長さについて秒単位または分単位であるいは設定された呼吸数について、入力デバイス4220を介して調節可能であり得る。
【0293】
タイマの現在値が所定期限以上ではない場合、方法7000Aはサイクルバックして、瞬間圧力および流量入力の監視および断線状態の経時的監視を引き続き行う。
【0294】
タイマの現在値が所定期限以上である場合、警告またはメッセージがステップ7040において活性化されて、患者回路断線イベントが発生した旨が患者、臨床医、または介護者のうち1つ以上へ信号伝達され得る。任意選択的に、方法7000Aはサイクルバックして、引き続き瞬間圧力および流量入力を監視し、断線状態を検出する。
【0295】
そのため、この様態において、「真」の断線イベントが先ず検出された場合、タイマが開始し、所定期限に到達するかまたは所定期限を超えるまで、断線イベントの連続的発生を引き続き監視する。断線イベントが所定期限までに連続的に検出された場合、RPTデバイスは、警告またはメッセージを活性化させる。しかし、所定期限に到達する前に「偽」の断線通知が検出された場合、カウンタはリセットされ、所定期限が到達しない場合、警告またはメッセージは活性化されない。断線システムは、瞬間断線パラメータの決定および断線状態の監視を引き続き行う。
【0296】
瞬間断線パラメータは、患者インターフェースにおいて測定または推定された圧力(Pm)およびRPTデバイス4000からの測定または推測された体積流量(Qt)に基づいて、インピーダンスおよびコンダクタンスのいずれかまたは双方として計算され得る。上記したように、RPTデバイスは、圧力または流量をそれぞれ測定または推測する圧力センサー4128または流量センサー4130のうち1つ以上を含み得る。瞬間断線パラメータ値をフィルタリングすることにより、信号中のノイズが除去され得る。
【0297】
本技術の一形態において、瞬間断線パラメータは、患者インターフェースにおける圧力の測定または推定(Pm)および測定流量(Qt)に基づいて、計算され得る。断線パラメータは、患者インターフェースにおける圧力損失に関連する以下の方程式に基づいて計算され得る。
【数3】
ここで、Pmは患者インターフェースにおける圧力であり、Zはインピーダンスであり、ρは空気密度であり、Qtは測定流量である。いくつかの形態において、空気密度は、周囲圧力およびガス温度に基づいて推測され得る。周囲圧力およびガス温度は、センサーを介して測定してもよいし、あるいは、入力デバイスを介してデバイスへ入力してもよい。
【0298】
この方程式[1]は、瞬間断線パラメータの一形態として用いられ得るインピーダンス(Z)決定が得られるように、再配置され得る。
【数4】
【0299】
このような形態において、断線閾値はインピーダンス閾値であり、瞬間インピーダンスが断線閾値インピーダンス未満である場合、患者回路は断線していると決定される。
【0300】
方程式[2]を反転させると、コンダクタンス(G)決定が得られ得る。コンダクタンス(G)決定は、別の形態の瞬間断線パラメータとして用いられ得る。
【数5】
【0301】
このような形態において、断線閾値はコンダクタンス閾値であり、瞬間コンダクタンスが所定期限にわたって断線閾値コンダクタンスを超える場合、患者回路は断線していると決定される。
【0302】
本技術のいくつかの形態において、瞬間断線パラメータは、所定の時間間隔において決定される。所定の時間間隔は、1回以上の呼吸またはミリ秒または秒単位の持続時間を含み得る。一形態において、瞬間断線パラメータは、各呼吸時において少なくとも1回決定される。例えば、瞬間断線パラメータは、呼吸の吸気フェーズ時に決定される。他の形態において、瞬間断線パラメータは、吸気フェーズ時および呼気フェーズ時を含む呼吸毎に複数回決定される。瞬間断線パラメータは、少なくとも呼吸当たり1回(好適には、吸気フェーズ時に少なくとも1回または吸気フェーズ時に少なくとも1回および呼気フェーズ時に少なくとも1回)提供される圧力(P)および流量(Qt)の入力に基づいて決定される。
【0303】
他の形態において、瞬間断線パラメータは、所定の時間間隔において検出され得る。
【0304】
瞬間圧力および流量入力は、呼吸サイクル時にサンプルされたセンサー信号に基づいて測定または推測され得る。吸気サンプリング時間は、呼吸の吸気部分の終了時などにおける大きな患者吸気労作による信号への影響を最小化させるように、構成され得る。例えば、吸気圧力および流量入力は、サイクリング(例えば、サイクリング前の10~30ミリ秒間)の前の所定の時間においてまたは新規呼吸がトリガされた後の所定の時間(例えば、トリガ後の100~300ミリ秒)において、決定され得る。呼気圧力および流量入力は、不安定な流れ(例えば、弁切り換えに関連する不安定な流れ)の期間を回避できるときに、決定され得る。例えば、呼気圧力および流量入力は、サイクリング後の所定の時間(例えば、100~300ミリ秒または200~250ミリ秒)またはトリガ前の所定の時間(例えば、トリガ前の10~50ミリ秒)において決定され得る。サンプリング時間は、患者労作の測定が必要か否かに基づいて選択され得る。患者労作測定が必要な場合、サンプリングは、トリガおよびサイクリングイベントの検出の直後に発生し得る。あるいは、患者への影響を最小にした測定を可能にするために、サンプリングは、トリガおよびサイクリングの直前に行われ得る。
【0305】
当業者であれば、他の圧力損失方程式を用いて、瞬間断線パラメータ(コンダクタンスまたはインピーダンス)を決定することができることを理解する。
【0306】
いくつかの形態において、回路断線検出システムは、患者回路断線を検出するために、常にイネーブルされている。他の形態において、回路断線検出システムは、非依存的患者(すなわち、自発的に呼吸している患者)のためまたはRPTデバイスへ接続された回路構成に応じて、ディセーブルされ得る。好適には、回路断線検出システムは、換気に依存する患者のためにディセーブルすることはできない。
【0307】
いくつかの形態において、RPTデバイスにより、断線警告を活性化させた後に所定期間(例えば、30秒~5分間、または30秒、60秒または120秒またはいくつかの他の時間長さ)にわたってミュートさせることが可能になる。断線警告は、例えば入力デバイス4220上のボタンまたはダイヤルを押圧することにより、RPTデバイス4000の入力デバイス4220を介してミュートされ得る。いくつかの形態において、警告ミュートの時間長さは、入力デバイス4220を介して調節可能であり得る。この調節は、臨床医、患者または介護者によって行われ得る。
【0308】
本技術のいくつかの形態において、断線閾値(Dthres)は、感度設定に基づいて調節され得る。感度設定を用いて断線閾値(Dthres)を調節して、断線イベント検出レベルを微調整することができる。感度設定は、断線許容因子としてみなされ得る。感度設定をユーザ、介護者または臨床医によって手動で微調整することにより、患者回路(例えば、空気回路4170および患者インターフェース3000)が接続された断線システムを(患者へ接続する前に)試験することができる。感度設定の微調整は、回路断線の検出が成功する確率を増加させおよび/または治療時に回路断線が偽検出され、警告またはメッセージが活性化される確率を低減させるように、構成される。RPTデバイス4000の出力デバイス4290上への断線通知(Disc)の表示は、感度設定の微調整の支援に用いられ得る。
【0309】
一形態において、感度設定は、一定範囲の感度設定を経験的に試験して、断線閾値が断線通知ステップ7026によって示されるような回路断線イベントを高精度に検出できるだけの充分な高感度となる最小の感度設定を決定することに基づいて、試験フェーズ時に手動で設定され得る。感度設定は、断線時の断線システムの有効性を損なう空気回路の部分的閉塞を保護するための決定された感度設定においてまたはより高感度の1つ以上のレベルにおいて、設定され得る。試験フェーズは、治療の提供前または治療提供の最中(例えば、治療の初期フェーズ)において設けられ得る。
【0310】
いくつかの形態において、感度設定のための試験フェーズ時において、RPTデバイスは、感度設定の調節を支援するためのフィードバックをプロンプトするための断線警告を活性化させるために必要な所定期限をディセーブルまたは低減させ得る。
【0311】
いくつかの形態において、RPTデバイスは、現在測定されている瞬間断線パラメータに基づいて回路断線イベントを検出したであろう感度設定レベルについて、出力デバイス4290(例えば、ディスプレイ4294上のもの)を介してフィードバックを提供するように構成され得る。感度設定におけるフィードバックは、リアルタイムフィードバックとして提供してもよいし、あるいは後続分析のためにメモリに保存してもよい。
【0312】
感度設定は、1~100%(例えば、5~100%)のパーセンテージまたは0.01~1などの分数または値または任意のスケールであり得る。いくつかの形態において、感度設定は、上限と下限との間(例えば、5%~95%のなどの5%のインクリメント間の)所定範囲の設定から選択され得る。断線閾値は、比較7020において瞬間断線パラメータと共に用いられ得る最終断線閾値が得られるように、感度設定によって調節され得る。いくつかの形態において、感度設定が高くなるほど、最終断線閾値のシステム中の漏洩に対する耐性が高くなる。よって、感度設定が低いほど、感度設定が高いときよりも断線検出への感度が高くなる。しかし、当業者であれば、感度設定が高いほど、感度設定がより低い場合よりも断線検出に対する感度が高くなるように感度設定を構成することが可能であることを理解する。
【0313】
いくつかの形態において、感度設定は、空気回路の構成、患者インターフェースの種類または患者種類のうち1つ以上に基づいて、デフォルト感度設定として設定され得る。他の形態において、デフォルト感度設定は、先行治療セッションからまたは先行学習期間からメモリに保存された先行感度データの分析に基づいて、設定され得る。
【0314】
図7C~
図7Eは、感度設定が異なる同一条件下において同じ患者回路構成についての例示的試験フェーズを開示する。患者回路は、インターフェースマスクが成人の患者によって用いられている際のシングルリム回路を含む。これらの試験において、回路断線が52~74秒において発生し、高漏洩が96~153秒において発生する。断線イベント応答(例えば、警告またはメッセージ)を生成するためには、瞬間コンダクタンス値(G)がコンダクタンス閾値を所定期限(例えば、少なくとも5回の連続的呼吸)にわたって超えた状態で維持する必要がある。
図7C~
図7Eそれぞれにおいて、上側トレースは、瞬間コンダクタンス(G)値の秒単位の時間にわたる変化を示し、下側トレースは、瞬間圧力(Pm)7108および瞬間流量(Qt)7106の秒単位の時間にわたる変化を示す。
【0315】
図7Cは、波線によりコンダクタンストレース上に示されるようなコンダクタンス閾値7050を設定する15%の感度設定を用いた場合の試験を示す。瞬間コンダクタンス(G)が7052および7056において示すようにコンダクタンス閾値7050を超えた場合、タイマがカウントを開始して、矢印7064によって示すように瞬間コンダクタンスが連続的に所定期限にわたって閾値を超えるかを評価する。所定期限7064を超えた後、断線イベント応答7054が開始する。断線イベント応答7054は、この時間におけるメッセージまたは警告を活性化させることを含み得る。しかし、瞬間コンダクタンスがコンダクタンス閾値7050を超える度に、コンダクタンス閾値波線に沿った点線によって示されるように、断線イベントが検出され得る。単一の断線イベント(すなわち、単一の点)が発生した場合、断線イベント応答7054は生成されない。回路が再度接続された場合、瞬間コンダクタンス値は、点7060においてコンダクタンス閾値を下回り、断線イベント応答が接続解除される(すなわち、メッセージまたは警告が不活性化される)。矢印7058によって示される影付きブロックはまた、瞬間コンダクタンスが所定期限7064よりも長い期間にわたって断線閾値7050を連続的に超えており、断線イベント応答(例えば、メッセージまたは警告)が生成される時間の長さを示す。しかし、ブロック7058において、回路断線は発生していないが高漏洩イベントは発生したため、断線イベントが誤って検出され、回路断線が誤って通知される。そのため、断線閾値が高感度になりすぎて、回路断線イベントの偽通知を回避するために感度レベルを低下させるよう、感度設定レベルを高くする必要が出てくる。圧力7108および流量7106のトレースが下側トレース中に記載されており、サイクル呼吸流量トレース7106が不在になったときに回路断線が52~74秒において発生したことを示す。しかし、96~153秒において、サイクル呼吸流量トレース7106は存在し続けており、患者が患者回路上において呼吸し続けている旨を示す。
【0316】
図7Dにおいて、感度設定を35%へ増加させて、コンダクタンス閾値7050の感度を低下させる。上記したように、瞬間コンダクタンスは、点7052においてコンダクタンス閾値7050を超え、所定期限7064にわたってコンダクタンス閾値を超え続け、その結果、断線イベント応答7054が発生する。上記したように、瞬間コンダクタンスがコンダクタンス閾値7050を超える度に、コンダクタンス閾値波線7050に沿って提供される点によって示すように、断線イベントが検出され得る。断線イベント応答7054は、断線通知が所定期限にわたって連続的に検出されたとき、メッセージまたは警告を活性化させて回路断線イベントの発生を通知することを含む。回路が再度接続された場合、瞬間コンダクタンス値は点7060においてコンダクタンス閾値を下回り、断線イベント応答が接続解除される(すなわち、メッセージまたは警告が不活性化される)。瞬間コンダクタンス閾値7050は、7056において再度超えるが、瞬間コンダクタンスが7060においてコンダクタンス閾値を下回るため、所定期限にわたって連続的に超えない。その結果、断線イベント応答が無くなる(すなわち、警告またはメッセージが活性化されなくなる)。しかし、高漏洩イベントに起因して、瞬間コンダクタンス値は、7062において再度コンダクタンス閾値を超え、所定期限7064にわたってコンダクタンス閾値を超え続ける。その結果、第2の断線イベント応答(例えば、メッセージまたは警告の活性化)が発生し、ブロック7058において回路断線イベントが示される。しかし、上記したように、これは、実際の回路断線ではなく高漏洩に起因する回路断線イベントの偽検出である。その結果、感度設定を35%にすれば、高漏洩発生時において、いくつかの偽断線通知を充分提供することができる。
【0317】
図7Eにおいて、偽断線イベント検出の回避のため、感度設定を45%までさらに増加させて、コンダクタンス閾値7050の感度をさらに低下させる。上記したように、瞬間コンダクタンスは、点7052においてコンダクタンス閾値7050を超え、所定期限7064にわたってコンダクタンス閾値を超え続け、その結果、断線イベント応答7054が発生する。断線イベント応答7054は、回路断線イベントの発生を通知するメッセージまたは警告を提供する。回路が再接続されると、瞬間コンダクタンス値は点7060においてコンダクタンス閾値を下回り、断線イベント応答が接続解除される(すなわち、メッセージまたは警告が不活性化される)。波線の断線閾値線7050上の点によって示すように、所定期限7064よりも短い時間の間だけ瞬間コンダクタンス閾値7050を7056および7062において再度超えると、瞬間コンダクタンスは7060において再度コンダクタンス閾値を下回り、その結果、断線イベント応答は無くなる(すなわち、警告またはメッセージは活性化されない)。これは、本実施例において、回路断線イベントとしての高漏洩イベントの偽検出を回避するためのこの患者回路構成にとって最適な感度設定が45%以上であることを示す。
【0318】
本技術のいくつかの形態において、回路断線検出システムは、高精度の断線警告の活性化またはメッセージの可能性を高めるための断線軽減を含み得る。このような軽減は、断線イベントの初期検出後に、例えば断線閾値との比較のためにまたは受動的断線回路を示す比較的一定のまたは非変動のプロファイルのために瞬間断線パラメータの監視を介して、行われ得る。断線軽減は、断線イベントを確認するかまたは偽検出発生を識別する特性の検出を含み得る。
【0319】
(例えば先行的/同時に検出された断線イベントを失格させるための)偽断線軽減は、患者が患者回路へ接続され続けている旨を示す以下の呼吸インジケータのうち1つ以上の検出を含み得る:
呼気労作を示す呼気流;
吸気労作を示す吸気流;
吸気フェーズ時に計算された瞬間断線パラメータと、呼吸サイクルの呼気フェーズ時に計算された瞬間断線パラメータとを比較した時の差;
呼気部分時の負の瞬間断線パラメータ(すなわち、負の呼吸流量(Qr)または呼気部分時における患者インターフェース中の負の圧力(Pm)の検出);または
瞬間断線パラメータと、瞬間断線パラメータの先行値の計算された分散との比較であって、分散は、同一フェーズからの(すなわち、吸気フェーズまたは呼気フェーズからの)瞬間断線パラメータの複数の直近の値の長期測定に基づいて計算される、比較。長期測定は、所定の時間定数(例えば、30秒~300秒、60秒~120秒)、所定数の呼吸フェーズ、またはいくつかの他の時間制限に基づく。
【0320】
複数の瞬間断線パラメータが各呼吸フェーズ内において決定された場合、呼吸フェーズ内におけるこれらの瞬間断線パラメータ間の変化量は、「活性の」負荷(すなわち、患者活動)を示し得、偽断線通知を無効にする条件として機能する。
【0321】
上記の偽断線軽減のうち1つ以上が回路断線イベントの検出後に検出された場合、回路断線イベントは偽と認定され、断線通知(Disc)は偽に設定される。
【0322】
確認断線軽減は、出口流量が所定の閾値(例えば、極端な漏洩と関連付けられたかまたは回路内または加湿器内の流体分散と関連付けられた流れ)を超えた旨を検出することを含み得る。
【0323】
用いられ得る断線軽減の種類は、使用されている患者回路に依存し得る。
【0324】
いくつかの形態において、RPTデバイスは、患者回路の再接続を検出するように構成され得る。患者回路の再接続の検出に応答して、RPTデバイスは、治療再開、断線イベント応答の接続解除、および再接続への異なる応答の生成のうち1つ以上を行うように、構成され得る。再接続イベントは、瞬間断線パラメータと、回路断線状態または偽断線通知の変化を示す再接続閾値との比較により、検出され得る。別の形態において、再接続イベントは、患者が患者回路上において呼吸している旨を示す呼吸サイクルにわたった瞬間断線パラメータの変化量の検出により、検出され得る。
【0325】
あるいは、再接続イベントは、患者の存在が患者インターフェースにおいて回復しており、it吸気しているか、呼気しているか、または患者インターフェースを閉塞させている旨を示す瞬間断線パラメータの急激な変化によって検出してもよい。瞬間断線パラメータの必要な変化は、瞬間断線パラメータの増加または低下の第2の閾値を満足させることに基づき得るか、または、瞬間断線パラメータの経時的不連続に基づき得る。例えば、インピーダンスが用いられる場合、瞬間断線インピーダンスが第2のインピーダンス閾値を超えると、呼吸のトリガが信号伝達され得る。あるいは、コンダクタンスが用いられる場合、瞬間断線コンダクタンスが第2のコンダクタンス閾値を下回ると、呼吸のトリガが信号伝達され得る。
【0326】
再接続イベントは、単一再接続の検出の後または断線警告の活性化またはメッセージに続く複数の再接続検出の後に、通知され得る。再接続イベントの検出前に真の断線イベントが通知される時間の長さは、再接続への応答速度の決定の基本として、用いられ得る。他の形態において、再接続に対する応答速度は、患者回路の関数として決定され得る。
【0327】
コンダクタンスまたはインピーダンスを用いた治療の監視
上記した方法は、高漏洩イベントと対照的な断線/再接続イベントの検出のために実行されているが、故障検出方法4340の代替形態において、コンダクタンスまたはインピーダンス値は、システム内において発生している特定の呼吸イベントの発生を検出するために用いられ得る。1つのこのような形態において、コンダクタンスまたはインピーダンス値は、閉塞を検出することおよび任意選択的に警告またはメッセージを活性化させることのために用いられ得る。コンダクタンスまたはインピーダンスの経時的変化が監視され得、治療セッションのための最近の基準と比較され得る。最近の基準は、コンダクタンスまたはインピーダンス値の経時的な短期平均(例えば、2~10秒または2~10呼吸)を決定することを含み得る。例えば、ノミナルゼロの不変のコンダクタンス(または一貫して余分なインピーダンス)は、患者回路内または患者の気道内のいずれかの場所の完全な遮断を示す。あるいは、完全閉塞に関連する値を、最近の基準コンダクタンス(またはインピーダンス)測定に相対して推測することができる。コンダクタンスまたはインピーダンスを用いることにより、治療モード全体において一貫する閉塞を検出する構成フリー手段が得られ得、この手段は自動であり得、常に利用可能であり得る。
【0328】
故障検出方法4340のさらに他の形態において、コンダクタンスまたはインピーダンス値は、患者中の「流れ枯渇」の検出に用いられ得る。流れ枯渇は、容量目標モードにおいて換気される自発呼吸患者上において発生し得る。これは、構成されたピーク吸気流量が患者の吸気需要を満たさない場合に発生する。流れ枯渇が発生した場合、患者は、人工呼吸器が供給できるかまたは供給しようとしている流れよりも多くの流れをRPTデバイスおよび回路から吸入しようとするため、気道圧力が低下する。このような「吸入」は、最近の基準コンダクタンス値と比較して異常に高いコンダクタンス値としてまたは吸気時の特定のプロファイル(例えば、吸気終期よりも早期から中期の吸気においてより高くなるコンダクタンス)としてみられ得る。流れ枯渇を示す異常に高いコンダクタンス値は、患者回路接続が呼吸サイクルにわたるコンダクタンス変化の検出または上記したような他の偽断線軽減の検出に基づいて確認された際に、検出される。
【0329】
いくつかのこのような形態において、吸気フェーズ時のコンダクタンス値を第3のコンダクタンス閾値と比較し、瞬間コンダクタンス値が第3のコンダクタンス閾値を超えており、吸気流が検出された場合、流れ枯渇イベントが検出され得る。
【0330】
同様に、低インピーダンス値を最近の基準インピーダンス値または吸気時の特定のプロファイルのものと比較することにより、流れ枯渇イベントが信号伝達され得る。吸気時の別個のプロファイルは、吸気開始時における低インピーダンス値と、吸気終了時におけるその後のインピーダンスのより高レベルへの増加とを含み得る。第3のインピーダンス閾値が提供され得、吸気フェーズからの瞬間インピーダンス値が第3の閾値を下回り、吸気流が検出された場合、流れ枯渇イベントが検出され得る。
【0331】
流れ枯渇イベントが検出されると、RPTデバイスは、通知を介護者または臨床医へ提供し得る。この通知は、出力デバイス4290上のメッセージの活性化または警告の活性化であり得る。いくつかの形態において、流れ枯渇イベントが検出されると、治療パラメータが調節され得る。
【0332】
故障検出方法4340のさらに他の形態において、コンダクタンスまたはインピーダンス値は、不十分な通気流れの検出のために用いられ得る。この状態は、最近の基準コンダクタンス値と比較して異常に低いコンダクタンス値または最近の基準インピーダンス値と比較して異常に高いインピーダンス値として、検出され得る。不十分な通気流れを示す異常に低いコンダクタンス値は、呼吸サイクルにわたるコンダクタンス変化の検出または上記したような他の偽断線軽減の検出に基づいて患者回路接続が確認された際に、検出され得る。
【0333】
いくつかのこのような形態において、吸気フェーズ時のコンダクタンス値を第4のコンダクタンス閾値と比較し、瞬間コンダクタンス値が第4のコンダクタンス閾値よりも低い場合、不十分な通気流れ状態が検出され得る。あるいは、第4のインピーダンス閾値が提供され得、瞬間インピーダンス値が第4のインピーダンス閾値を超えた場合、不十分な通気流れ状態が検出され得る。
【0334】
不十分な通気流れ状態が検出されると、RPTデバイスは、介護者または臨床医へ通知を提供し得る。この通知は、出力デバイス4290上のメッセージの活性化または警告の活性化であり得る。いくつかの形態において、不十分な通気流れ状態が検出された場合、治療パラメータが調節され得る。
【0335】
故障検出方法4340の他の形態において、患者の負荷解除が典型的に所望される期間において実質的な労作を消費している患者と一貫する立上がり時間またはピーク吸気流(PIF)の不適切な設定を検出するためのコンダクタンスまたはインピーダンス値が提供され得る。コンダクタンスまたはインピーダンスは、呼吸サイクルにわたって連続的に計算され得る。吸気開始時の高コンダクタンスまたは低インピーダンス値を吸気終了時のコンダクタンスまたはインピーダンス値と比較すると、立上がり時間またはピーク吸気流(PIF)の適切な設定が示され得る。吸気開始時のコンダクタンスまたはインピーダンス値と、レベル差に基づく吸気終了時のコンダクタンスまたはインピーダンス値とを比較すると、立上がり時間設定またはPIF設定の調節が得られ得る。
【0336】
加湿器
加湿器の概要
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、
図5Aに示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0337】
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110と、空気流れを受容する加湿器入口5002と、加湿された空気流れを送達させるための加湿器出口5004とを含み得る。
図5Aおよび
図5Bに示すようないくつかの形態において、加湿器リザーバ5110の入口および出口はそれぞれ、加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器ベース5006をさらに含み得る。加湿器ベース5006は、加湿器リザーバ5110を受容するように適合され得、加熱要素5240を含み得る。
【0338】
加湿器機械コンポーネント
水リザーバ
1つの配置によれば、加湿器5000は、空気流れの加湿のために蒸発させるべき一定量の液体(例えば、水)を収容または保持するように構成された水リザーバ5110を含み得る。水リザーバ5110は、少なくとも呼吸治療セッション期間(例えば、一晩の睡眠)にわたって適切な加湿を提供するための所定の最大量の水を収容するように、構成され得る。典型的には、リザーバ5110は、数百ミリリットルの水(例えば、300ミリリットル(ml)、325ml、350mlまたは400ml)を収容するように、構成される。他の形態において、加湿器5000は、外部水源(例えば、建物の水供給システム)から水供給を受容するように、構成され得る。
【0339】
1つの配置によれば、水リザーバ5110は、空気流れがRPTデバイス4000を通過する際にRPTデバイス4000からの空気流れを加湿するように、構成される。一形態において、水リザーバ5110は、空気流れがリザーバ5110中の一定量の水と接触しつつ、空気流れのリザーバ5110中の蛇行経路の移動を促進するように、構成され得る。
【0340】
一形態によれば、リザーバ5110は、例えば
図5Aおよび
図5Bに示すように横方向において加湿器5000から取り外し可能であり得る。
【0341】
リザーバ5110は、例えばリザーバ5110がその通常の動作方向(例えば、任意のアパチャを通じておよび/またはそのサブコンポーネント間に)から変位および/または回転した時にリザーバ5110からの液体放出を抑制するようにも構成され得る。加湿器5000によって加湿すべき空気流れは加圧されていることが多いため、リザーバ5110は、漏洩および/または流れインピーダンスを通じた空気圧の損失を回避するようにも、構成され得る。
【0342】
伝導性部位
1つの配置によれば、リザーバ5110は、加熱要素5240からリザーバ5110中の一定量の液体への効率的な熱伝達を可能にするように構成された伝導性部位5120を含む。一形態において、伝導性部位5120はプレートとして配置され得るが、他の形状も適切であり得る。伝導性部位5120の全体または一部は、アルミニウムなどの熱伝導性材料(例えば、厚さおよそ2mm(例えば、1mm、1.5mm、2。5mmまたは3mm))、別の熱伝導金属また何らかのプラスチックによって構成され得る。いくつかの場合において、適切な熱伝導性が、適切なジオメトリのより低伝導性の材料により、達成され得る。
【0343】
加湿器リザーバドック
一形態において、加湿器5000は、加湿器リザーバ5110を受容するように構成された(
図5Bに示すような)加湿器リザーバドック5130を含み得る。いくつかの配置において、加湿器リザーバドック5130は、ロック機能を含み得る(例えば、リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130内に保持するように構成されたロックレバー5135)
【0344】
水位インジケータ
加湿器リザーバ5110は、
図5A~
図5Bに示すような水位インジケータ5150を含み得る。いくつかの形態において、水位インジケータ5150は、加湿器リザーバ5110中の水の量についての1つ以上の兆候を患者1000または介護者などのユーザへ提供し得る。水位インジケータ5150から提供されるこれら1つ以上の兆候は、最大の所定量の水、その任意の一部の通知を含み得る(例えば、25%、50%または75%または量(例えば、200ml、300mlまたは400ml))。
【0345】
加湿器電気&熱コンポーネント
加湿器5000は、例えば下記に羅列するような複数の電気および/または熱コンポーネントを含み得る。
【0346】
加湿器変換器(複数)
加湿器5000は、上記した変換器4270の代わりにまたは上記した変換器4270に加えて1つ以上の加湿器変換器(センサー)5210を含み得る。加湿器変換器5210は、
図5Cに示すような空気圧センサー5212、空気流量変換器5214、温度センサー5216または湿度センサー5218のうち1つ以上を含み得る。加湿器変換器5210は、1つ以上の出力信号を生成し得る。これらの出力信号は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230および/または加湿器コントローラ5250)へ通信され得る。いくつかの形態において、加湿器変換器は、出力信号をコントローラへ通信しつつ、加湿器5000の外部に(例えば、空気回路4170内に)配置され得る。
【0347】
圧力変換器
1つ以上の圧力変換器5212が、RPTデバイス4000内に設けられた圧力センサー4128に加えてまたはRPTデバイス内に設けられた圧力センサー4128の代わりに加湿器5000へ設けられ得る。
【0348】
流量変換器
RPTデバイス4000内に設けられた流量センサー4130に加えてまたはRPTデバイス内に設けられた流量センサー4130の代わりに、1つ以上の流量変換器5214が加湿器5000へ設けられ得る。
【0349】
温度変換器
加湿器5000は、1つ以上の温度変換器5216を含み得る。1つ以上の温度変換器5216は、1つ以上の温度(例えば、加熱要素5240の温度および/または加湿器出口5004の空気流れ下流の温度)を測定するように構成され得る。いくつかの形態において、加湿器5000は、周囲空気の温度を検出する温度センサー5216をさらに含み得る。
【0350】
湿度変換器
一形態において、加湿器5000は、周囲空気などのガスの湿度を検出する1つ以上の湿度センサー5218を含み得る。いくつかの形態において、湿度センサー5218は、加湿器5000から送達されるガスの湿度を測定するように、加湿器出口5004に向かって配置され得る。湿度センサーは、絶対湿度センサーであってもよいし、あるいは相対湿度センサーであってもよい。
【0351】
加熱要素
いくつかの場合において、加熱要素5240は、加湿器リザーバ5110中の水量および/または空気流れへの水量のうち1つ以上へ熱入力を提供する加湿器5000へ設けられ得る。加熱要素5240は、電気抵抗加熱トラックなどの熱生成コンポーネントを含み得る。加熱要素5240の1つの適切な実施例として、例えばPCT特許出願公開第WO2012/171072号に記載の層状加熱要素がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0352】
いくつかの形態において、加熱要素5240は、加湿器ベース5006中へ設けられ得る。加湿器ベース5006において、
図5Bに示すように主に伝導により熱が加湿器リザーバ5110へ送られ得る。
【0353】
加湿器コントローラ
本技術の1つの配置によれば、加湿器5000は、
図5Cに示すような加湿器コントローラ5250を含み得る。一形態において、加湿器コントローラ5250は、中央コントローラ4230の一部であり得る。別の形態において、加湿器コントローラ5250は、中央コントローラ4230と通信し得る別個のコントローラであり得る。
【0354】
一形態において、加湿器コントローラ5250は、特性(例えば、温度、湿度、圧力および/または流量)の測定を入力として受信し得る(例えばリザーバ5110中および/または加湿器5000中の空気流れ、水の測定)。加湿器コントローラ5250は、加湿器アルゴリズムの実行または実施ならびに/あるいは1つ以上の出力信号の送達を行うようにも、構成され得る。
【0355】
図5Cに示すように、加湿器コントローラ5250は、1つ以上のコントローラを含み得る(例えば、中央加湿器コントローラ5251、加熱空気回路4171の温度を制御するように構成された加熱空気回路コントローラ5254および/または加熱要素5240の温度を制御するように構成された加熱要素コントローラ5252)。
【0356】
呼吸波形
図6Aは、睡眠時の成人の典型的な呼吸波形のモデルを示す。水平軸は時間であり、垂直軸は呼吸流量である。パラメータ値は変動し得るため、典型的な呼吸は、以下のおおよその値を持ち得る:一回換気量、Vt、0.5L、吸気時間、Ti、1.6秒、ピーク吸気流量、Qピーク、0.4L/秒、呼気時間、Te、2.4s、ピーク呼気流量、Qピーク、-0.5L/秒。呼吸の全持続時間Ttotは約4秒である。人間は典型的には、1分あたり呼吸を約15回行い(BPM)、換気Ventは約7.5L/分である。典型的な負荷サイクル、TiとTtotの比は約40%である。
【0357】
図6Bは、通常約90秒の期間に約34回呼吸し、自動PAPによる治療を受け、マスク圧力は約11cmH
2Oである、ノンレム睡眠時の患者を示す。上側チャンネルは、酸素飽和度測定(SpO
2)を示し、スケールは、垂直方向における90~99%の範囲の飽和を有する。図示の期間全体において、患者は、約95%の飽和を維持した。第2のチャンネルは、定量的呼吸気流を示し、スケールは、垂直方向における-1~+1LPSの範囲であり、呼気は陽圧である。胸部および腹部の動きを第3および第4のチャンネル中に示す。
【0358】
用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0359】
一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0360】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0361】
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0362】
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0363】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中のバックグラウンドノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外のソースから発生し得る。
【0364】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の通知の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0365】
経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼気時において若干上昇し、吸気時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の兆候の不在時において低減される)。
【0366】
流量:単位時間あたりに送達される空気またはガスの量(または質量)。単位時間あたりの容量としての流量は、「体積流量」として具体的に呼ばれ得、本開示において、これは、認定されていない用語である「流量」によって意味される量である。流量とは、瞬間的量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合、流量について言及された場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向双方を有する量)を指す。流量は、記号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」と呼ぶ場合もある。
【0367】
患者の呼吸の実施例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。合計流量Qtは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。通気孔流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするために通気孔から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムからの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0368】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0369】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0370】
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェースの通気穴)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0371】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0372】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmH2O、g-f/cm2、およびヘクトパスカル)。1cmH2Oは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカルである。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmH2Oの単位で付与される。
【0373】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてマスク圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0374】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には正である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0375】
呼吸サイクルの態様
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
【0376】
呼吸数:通常は1分当たりの呼吸回数で測定される、患者の自発呼吸数。
【0377】
負荷サイクル:吸気時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
【0378】
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
【0379】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0380】
流量制限:流量制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は吸気流量制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は呼気流量制限と称することができる。
【0381】
流れ制限吸息の波形の種類:
(i)平坦化:上昇の後に比較的平坦な部位が続いた後、下降が発生すること。
(ii)M字型:立ち上がりにおいて1つおよび立ち下がりにおいて1つの2つの局所的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部位がある。
(iii)椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生した後、比較的平坦な部位が続く。
(iv)逆椅子状:比較的平坦な部位の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが立ち下がり部分に発生する。
【0382】
呼吸低下:好適には、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る:
(i)患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(ii)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0383】
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
【0384】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から吸気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0385】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)と共に行われ得る。
【0386】
呼吸終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0387】
ピーク流量(Qピーク):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
【0388】
1回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出された空気の量である。
【0389】
(吸気)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0390】
(呼気)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0391】
(合計)時間(Ttot):1つの呼吸流量波形の吸気部分の開始と次の呼吸流量波形の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0392】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0393】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上側気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流量制限の状態と関連し得る。
【0394】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸息および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
【0395】
RPTデバイスパラメータ
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対する回りエルボーにおいて発生し得る。
【0396】
人工呼吸器の用語
適応サーボ人工呼吸器(ASV):一定の目標換気を持つのではなく変更が可能なサーボ人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
【0397】
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(自発呼吸努力によってトリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される最小呼吸速度(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
【0398】
サイクル:人工呼吸器の吸息フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸息部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
【0399】
呼気の気道陽圧(EPAP):人工呼吸器が所与の時期に達成しようとする所望のマスク圧力の生成のために、呼吸内において変化する圧力が付加される基本圧力。
【0400】
終了時呼気圧力(EEP):呼吸の呼気部分の終了時において人工呼吸器が達成しようとする所望のマスク圧力。圧力波形テンプレートΠ(Φ)が呼気終了時にゼロの値である(すなわち、Φ=1のときにΠ(Φ)=0である場合)、EEPはEPAPに等しい。
【0401】
吸息の気道陽圧(IPAP):呼吸の吸息部分時に人工呼吸器が達成しようとする最大の所望のマスク圧力。
【0402】
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す数であり、吸気時の最大値と、基本圧力との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP-EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
【0403】
サーボ人工呼吸器:患者換気を有しかつ目標換気を有する人工呼吸器であり、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
【0404】
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
【0405】
スイング:圧力補助に相当する用語。
【0406】
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸サイクルの呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
【0407】
典型的な最近の換気:典型的な最近の換気Vtypは、一定の所定の時間スケールにわたって最近の換気測定が密集する傾向となる一定範囲の値である。例えば、最近の履歴にわたる換気測定の中心的傾向の測定は、典型的な最近の換気の適切な値であり得る。
【0408】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0409】
呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0410】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0411】
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0412】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0413】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、中咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
【0414】
材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0415】
ポリカーボネート:典型的には、ビスフェノールAカーボネートの透明な熱可塑性ポリマーである。
【0416】
機械的アイテムに関連して用いられる用語
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
・「弾性」:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0417】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
・「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
・「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0418】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。
・「フロッピー」構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
・「剛性」の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の実施例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmH2Oの圧力の負荷において患者気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0419】
一実施例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の実施例において、構造またはコンポーネントは、第1の方向においてフロッピーであり得、第2の方向において剛性であり得る。
【0420】
他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0421】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0422】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として実行される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的具現例が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0423】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記載される。
【0424】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0425】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0426】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していない、認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0427】
詳細には、「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0428】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0429】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「第1の」および「第2の」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0430】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置が考案され得ることが理解されるべきである。
なお、出願当初の特許請求の範囲の記載は以下の通りである。
請求項1:
患者回路を介して圧縮空気流れを患者へ供給するように構成された呼吸装置の患者回路について回路断線イベントの発生を検出する方法であって、
前記患者回路の種類に基づいて断線設定を決定することと、
前記圧縮空気流れの圧力および流量を1つ以上のセンサーによって検出することと、
前記検出された圧力および流量に基づいて瞬間断線パラメータをプロセッサ内において計算することと、
前記プロセッサを用いて、前記断線設定の関数としての前記瞬間断線パラメータに基づいて回路断線イベントの発生を検出することと、
を含む、方法。
請求項2:
前記瞬間断線パラメータはコンダクタンス値である、請求項1に記載の方法。
請求項3:
前記瞬間断線パラメータはインピーダンス値である、請求項1に記載の方法。
請求項4:
前記断線設定は断線閾値であり、前記回路断線イベントの発生を検出することは、前記計算された瞬間断線パラメータを前記断線閾値と比較することを含む、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項5:
前記断線設定はプロファイルであり、前記回路断線イベントの発生を検出することは、複数の計算された瞬間断線パラメータを前記プロファイルと比較することを含む、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項6:
患者固有の情報を前記呼吸装置によって受信することおよび前記断線設定の決定の際に前記患者固有の情報を用いることをさらに含む、請求項1~5のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項7:
前記患者固有の情報は、患者の年齢、体重、身長および患者種類のうち1つ以上を含む、請求項6に記載の方法。
請求項8:
前記断線設定は、前記呼吸装置のメモリ中に保存されたルックアップテーブルから決定される、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項9:
前記患者回路の種類を決定することをさらに含む、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項10:
前記患者回路の種類を前記呼吸装置のユーザインターフェースを介して受信することをさらに含む、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項11:
前記患者回路の種類は、空気回路の構成を含む、請求項1~10のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項12:
前記空気回路の構成は、通気型、非通気型、シングルリムならびにダブルリム、シングルリムならびにダブルリムのうち少なくとも1つである、請求項11に記載の方法。
請求項13:
前記患者回路の種類は、患者インターフェースの種類を含む、請求項1~12のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項14:
前記患者インターフェースの種類は、侵襲的、非侵襲的、通気型、および非通気型のうち少なくとも一項である、請求項13に記載の方法。
請求項15:
回路断線イベントの発生が検出された際、回路断線イベントが発生した旨を信号伝達することをさらに含む、請求項1~14のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項16:
前記回路断線イベントの発生が検出された際、前記回路断線イベントに対する応答を生成することをさらに含む、請求項1~15のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項17:
前記回路断線イベントに対する応答を生成することは、前記呼吸装置のディスプレイ上のメッセージを活性化させることを含む、請求項16に記載の方法。
請求項18:
前記回路断線イベントに対する応答を生成することは、断線警告を活性化させることを含む、請求項16~17のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項19:
前記呼吸装置のユーザインターフェースは、ユーザ制御により前記断線警告を所定期間にわたってミュートするように構成される、請求項18に記載の方法。
請求項20:
前記回路断線イベントに対する応答を生成することに先行して、連続的に前記回路断線イベントの発生を所定期限まで検出することをさらに含む、請求項16~19のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項21:
前記所定期限は、5秒~60秒の設定時間である、請求項20に記載の方法。
請求項22:
前記所定期限は所定数の呼吸である、請求項20に記載の方法。
請求項23:
前記所定期限は、前記呼吸装置のユーザインターフェースを介して調節可能である、請求項20~22のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項24:
少なくとも呼吸1回毎に前記瞬間断線パラメータを計算することをさらに含む、請求項1~23のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項25:
前記瞬間断線パラメータを各呼吸の吸気フェーズから計算することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
請求項26:
前記瞬間断線パラメータを各呼吸の吸気フェーズから少なくとも1回および各呼吸の呼気フェーズから少なくとも1回計算することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
請求項27:
前記瞬間断線パラメータを所定の時間間隔で計算することをさらに含む、請求項1~24のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項28:
感度設定を決定することと、前記感度設定に基づいて前記断線設定を調節することとをさらに含む、請求項1~27のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項29:
デフォルト感度設定に従って前記患者回路の種類に基づいて前記感度設定を決定することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
請求項30:
前記感度設定を試験フェーズから決定することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
請求項31:
前記試験フェーズは、前記呼吸装置により呼吸治療を前記患者へ提供することに先行して発生する、請求項30に記載の方法。
請求項32:
前記試験フェーズは、前記呼吸装置による前記患者への呼吸治療の提供の最中に発生する、請求項30に記載の方法。
請求項33:
前記回路断線イベントの発生が前記試験フェーズから検出された際、前記回路断線イベントに対する応答を生成することをさらに含む、請求項30~32のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項34:
前記感度設定は、前記呼吸装置のユーザインターフェースを介して所定範囲の設定から選択可能である、請求項28~33のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項35:
前記所定範囲の設定は、1%~100%の値を含む、請求項34に記載の方法。
請求項36:
前記所定範囲の設定は、5%のインクリメントにて提供される5%~95%の値を含む、請求項35に記載の方法。
請求項37:
回路断線イベントの検出のための前記感度設定の値は、前記呼吸装置のディスプレイ上に提供される、請求項28~36のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項38:
回路断線イベントの発生が検出された際、呼吸インジケータの監視により前記検出された発生を認定することをさらに含む、請求項1~37のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項39:
前記患者が未だ前記患者回路へ接続されている旨を呼吸インジケータが示す場合、前記回路断線イベントの前記検出された発生を偽として認定する、請求項38に記載の方法。
請求項40:
前記患者が未だ前記患者回路へ接続されている旨を呼吸インジケータが示さない場合、前記回路断線イベントの前記検出された発生を真として認定する、請求項38~39のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項41:
前記呼吸インジケータは、以下の、
(i)呼気労作を示す呼気流、
(ii)吸気労作を示す吸気流、
(iii)前記吸気フェーズから計算された瞬間断線パラメータを前記呼気フェーズから計算された瞬間パラメータと比較した時の差、
(iv)前記瞬間断線パラメータと、前記瞬間断線パラメータの先行値の計算された分散との比較、および
(v)呼吸フェーズ内における前記瞬間断線パラメータの経時的な変化量、
のうち一項以上からなる、請求項38に記載の方法。
請求項42:
回路断線イベントの発生が検出された際、前記検出された流量を所定の閾値と比較して前記回路断線イベントの発生を確認することをさらに含む、請求項1~41のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項43:
回路断線イベントの発生の検出の後に前記患者への前記患者回路の再接続を検出することをさらに含む、請求項1~42のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項44:
前記患者回路の前記患者への再接続は、前記瞬間断線パラメータを第2の閾値と比較することにより検出される、請求項43に記載の方法。
請求項45:
前記患者回路の前記患者への再接続は、前記瞬間断線パラメータの急激な変化の検出によって検出される、請求項43~44のうちいずれか一項に記載の方法。
請求項46:
前記患者回路を介して圧縮空気流れを患者へ供給するように構成された呼吸装置の患者回路における回路断線イベントの発生を検出する方法であって、
前記圧縮空気流れの圧力および流量を1つ以上のセンサーによって繰り返し検出することと、
前記検出された圧力および流量に基づいて瞬間断線パラメータをプロセッサ内において繰り返し計算することと、
前記プロセッサにより連続する瞬間断線パラメータを比較して、前記瞬間断線パラメータの変動性レベルを経時的に決定することと、
前記変動性レベルに基づいて前記プロセッサにより回路断線イベントの発生を検出することと、
を含む、方法。
請求項47:
前記瞬間断線パラメータはコンダクタンス値である、請求項46に記載の方法。
請求項48:
前記瞬間断線パラメータはインピーダンス値である、請求項46に記載の方法。
請求項49:
前記患者回路を介して圧縮空気流れを患者へ供給するように構成された呼吸装置の患者回路について回路断線イベントの発生を検出するシステムであって、
1つ以上のセンサーによって検出された前記圧縮空気流れの圧力および流量を示すデータへアクセスするために少なくとも1つのプロセッサを有するコントローラであって、前記コントローラは、
前記患者回路の種類に基づいて断線設定を決定することと、
前記アクセスされた圧力および流量を示すデータに基づいて瞬間断線パラメータを計算することと、
前記瞬間断線パラメータに基づいて回路断線イベントの発生を前記断線設定の関数として検出することと
を行うように構成される、コントローラ
を含む、システム。
請求項50:
前記瞬間断線パラメータはコンダクタンス値である、請求項49に記載のシステム。
請求項51:
前記瞬間断線パラメータはインピーダンス値である、請求項49に記載のシステム。
請求項52:
前記断線設定は断線閾値であり、前記コントローラは、前記計算された瞬間断線パラメータを前記断線閾値と比較して回路断線イベントの発生を検出するように構成される、請求項49~51のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項53:
前記断線設定はプロファイルであり、前記コントローラは、複数の前記計算された瞬間断線パラメータを前記プロファイルと比較して回路断線イベントの発生を検出するように構成される、請求項49~51のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項54:
前記コントローラは、患者固有の情報を受信することと、前記患者固有の情報を用いて前記断線設定を決定することとを行うようにさら構成される、請求項49~53のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項55:
前記患者固有の情報は、患者の年齢、体重、身長および患者種類のうち1つ以上を含む、請求項54に記載のシステム。
請求項56:
前記コントローラは、前記呼吸装置のメモリ中に保存されたルックアップテーブルに基づいて前記断線設定を決定するように構成される、、請求項49~55のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項57:
前記コントローラは、前記患者回路の種類を決定するように構成される、請求項49~56のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項58:
前記コントローラは、前記患者回路の種類を前記呼吸装置のユーザインターフェースを介して受信するように構成される、請求項49~56のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項59:
前記患者回路の種類は空気回路の構成を含み、前記空気回路の構成は、侵襲的、非侵襲的、通気型、非通気型、シングルリムならびにダブルリムのうち1つ以上である、請求項49~58のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項60:
前記コントローラは、前記呼吸装置のユーザインターフェース上に回路接続状態の通知を提供するように構成される、請求項49~59のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項61:
前記コントローラは、前記呼吸装置のユーザインターフェース上にメッセージを活性化させることにより、前記回路断線イベントへの応答を生成するように構成される、請求項49~60のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項62:
前記コントローラは、断線警告を活性化させることにより、前記回路断線イベントへの応答を生成するように構成される、請求項49~61のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項63:
前記コントローラは、前記呼吸装置のユーザインターフェースのユーザ制御のユーザ活性化に応答して前記断線警告を所定期間にわたってミュートさせるように構成される、請求項62に記載のシステム。
請求項64:
前記コントローラは、回路断線イベントの発生が所定期限にわたって連続的に検出されるまで、前記断線警告の活性化を行わないように構成される、請求項62~63のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項65:
前記所定期限は、5秒~60秒の設定時間である、請求項64に記載のシステム。
請求項66:
前記所定期限は、所定数の呼吸である、請求項64に記載のシステム。
請求項67:
前記所定期限は調節可能である、請求項64~66のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項68:
前記コントローラは、前記瞬間断線パラメータを少なくとも呼吸当たり1回計算するように構成される、請求項49~67のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項69:
前記コントローラは、前記瞬間断線パラメータを各呼吸の吸気フェーズから計算するように構成される、請求項68に記載のシステム。
請求項70:
前記コントローラは、前記瞬間断線パラメータを各呼吸の吸気フェーズから少なくとも1回および各呼吸の呼気フェーズから少なくとも1回計算するように構成される、請求項68に記載のシステム。
請求項71:
前記コントローラは、前記瞬間断線パラメータを所定の時間間隔で計算するように構成される、請求項49~68のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項72:
前記コントローラは、感度設定を決定することと、前記断線設定の感度を前記感度設定に基づいて調節することとを行うようにさらに構成される、請求項49~68のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項73:
前記コントローラは、前記患者回路の種類に基づいてデフォルト感度設定を決定するように構成される、請求項72に記載のシステム。
請求項74:
前記コントローラは、前記感度設定を試験フェーズから決定するように構成される、請求項72に記載のシステム。
請求項75:
前記試験フェーズは、前記呼吸装置により呼吸治療を前記患者へ提供することに先行して発生する、請求項74に記載のシステム。
請求項76:
前記試験フェーズは、前記呼吸装置による前記患者への呼吸治療の提供の最中に発生する、請求項74に記載のシステム。
請求項77:
断線警告の活性化は、前記試験フェーズ時にディセーブルされる、請求項74~76のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項78:
前記感度設定は、前記呼吸装置のユーザインターフェースを介して所定範囲の設定から選択可能である、請求項72~77のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項79:
前記所定範囲の設定は、1%~100%の値を含む、請求項78に記載のシステム。
請求項80:
前記所定範囲の設定は、5%のインクリメントにて提供される5%~95%の値を含む、請求項79に記載のシステム。
請求項81:
感度設定通知は前記呼吸装置のディスプレイ上に提供され、前記感度設定通知は、前記決定された感度設定を用いて回路断線イベントが検出されたかの通知を提供する、請求項72~80のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項82:
前記コントローラは、前記回路断線イベントの決定された発生と同時に前記患者が未だ前記患者回路へ接続されている旨を示す呼吸インジケータを監視することにより、回路断線イベントの決定された発生を認定するようにさらに構成される、請求項49~81のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項83:
前記患者が未だ前記患者回路へ接続されている旨を呼吸インジケータが示す場合、前記コントローラは、前記回路断線イベントの前記決定された発生を偽として認定するように構成される、請求項82に記載のシステム。
請求項84:
前記患者が未だ前記患者回路へ接続されている旨を呼吸インジケータが示さない場合、前記コントローラは、前記回路断線イベントの前記決定された発生を真として認定するように構成される、請求項82~83のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項85:
前記呼吸インジケータは、以下の、
(i)呼気労作を示す呼気流、
(ii)吸気労作を示す吸気流、
(iii)前記吸気フェーズから計算された瞬間断線パラメータを前記呼気フェーズから計算された瞬間パラメータと比較した時の差、
(iv)前記瞬間断線パラメータと、前記瞬間断線パラメータの先行値の計算された分散との比較。および
(v)呼吸フェーズ内における前記瞬間断線パラメータの経時的な変化量、
のうち1つ以上からなる、請求項82~84のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項86:
前記コントローラは、回路断線イベントの発生の検出後、前記流量を所定の閾値と比較して前記回路断線の発生イベントを確認するようにさらに構成される、請求項49~85のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項87:
前記コントローラは、回路断線イベントの発生の検出後に前記患者回路の前記患者への再接続を検出するようにさらに構成される、請求項49~86のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項88:
前記患者回路の前記患者への再接続は、前記瞬間断線パラメータを第2の閾値と比較することにより、検出される、請求項87に記載のシステム。
請求項89:
前記患者回路の前記患者への再接続は、前記瞬間断線パラメータの急激な変化により、検出される、請求項87~88のうちいずれか一項に記載のシステム。
請求項90:
請求項49~89のうちいずれか一項に記載のシステムを含む呼吸装置であって:
前記1つ以上のセンサー;および
前記圧縮空気流れを供給するように構成された圧力生成器をさらに含む、呼吸装置。
請求項91:
吸気フェーズおよび呼気フェーズを含む連続する呼吸サイクルにおいて呼吸治療を患者呼吸へ提供するように構成された呼吸治療システムであって、
圧縮空気流れを供給するように構成された圧力生成器であって、前記圧力生成器は、前記圧力生成器からの前記圧縮空気を前記患者へ送達させるように空気回路を介して患者インターフェースへ接続するように構成される、圧力生成器と、
前記圧縮空気流れの圧力および流量を示す1つ以上の信号を提供するように構成された少なくとも1つのセンサーと、
プロセッサを含むコントローラであって、
瞬間圧力値および瞬間流量値を前記少なくとも1つのセンサーからの前記1つ以上の信号から繰り返し検出することと、
前記瞬間圧力値および瞬間流量値に基づいて瞬間コンダクタンス値を繰り返し計算することと、
前記瞬間コンダクタンス値の変化を経時的に監視して、前記システム内における呼吸イベントの発生を検出することと、
を行うように構成される、コントローラと
を含む、システム。
請求項92:
前記呼吸イベントは閉塞である、請求項91に記載の呼吸システム。
請求項93:
前記閉塞は、前記瞬間コンダクタンスが所定の閾値を下回ったときに検出される、請求項92に記載の呼吸システム。
請求項94:
前記閉塞は、前記瞬間コンダクタンスが経時的に不変のままであるときに検出される、請求項92に記載の呼吸システム。
請求項95:
前記閉塞は、前記空気回路、前記患者インターフェースまたは前記患者の気道中において発生する、請求項92~94のうちいずれか一項に記載の呼吸システム。
請求項96:
前記呼吸イベントは、容量目標モード時の流れ枯渇である、請求項91に記載の呼吸システム。
請求項97:
前記流れ枯渇は、呼吸サイクルの吸気フェーズにわたる前記瞬間コンダクタンス値のプロファイルの関数として検出される、請求項96に記載の呼吸システム。
請求項98:
前記流れ枯渇は、瞬間コンダクタンス値が前記吸気フェーズの終期部分と比較して前記吸気フェーズの早期から中期の吸気部分において高いときに検出される、請求項97に記載の呼吸システム。
請求項99:
前記流れ枯渇は、(a)呼吸サイクルの吸気フェーズから計算された瞬間コンダクタンス値と、(b)コンダクタンス閾値との比較によって検出される、請求項96に記載の呼吸システム。
請求項100:
前記流れ枯渇は、前記呼吸サイクルの吸気フェーズから計算された瞬間コンダクタンス値が前記コンダクタンス閾値を超えたときに検出される、請求項99に記載の呼吸システム。
請求項101:
前記呼吸イベントが検出されると、前記コントローラは、前記呼吸イベントの発生を示すメッセージを活性化させるように構成される、請求項91~100に記載の呼吸システム。
請求項102:
吸気フェーズおよび呼気フェーズを含む連続する呼吸サイクルにおいて呼吸治療を患者呼吸へ提供するように構成された呼吸治療システムであって、
圧縮空気流れを供給するように構成された圧力生成器であって、前記圧力生成器は、前記圧力生成器からの前記圧縮空気を前記患者へ送達させるように空気回路を介して患者インターフェースへ接続するように構成される、圧力生成器と、
前記圧縮空気流れの圧力および流量を示す1つ以上の信号を提供するように構成された少なくとも1つのセンサーと、
プロセッサを含むコントローラであって、
瞬間圧力値および瞬間流量値を前記少なくとも1つのセンサーからの前記1つ以上の信号から繰り返し検出することと、
前記瞬間圧力値および瞬間流量値に基づいて瞬間コンダクタンス値を繰り返し計算することと、
前記瞬間コンダクタンス値の変化を経時的に監視して、前記呼吸治療を監視することと、
を行うように構成される、プロセッサを含むコントローラと
を含む、呼吸治療システム。
請求項103:
前記コントローラは、前記吸気フェーズの開始部分および前記吸気フェーズの終期部分から計算された瞬間コンダクタンス値から計算された瞬間コンダクタンス値のレベル差を決定する、請求項102に記載の呼吸システム。
請求項104:
前記コントローラは、前記レベル差に基づいて立上がり時間設定を調節するように構成される、請求項103に記載の呼吸システム。
請求項105:
前記コントローラは、前記レベル差に基づいてピーク吸気流設定を調節するように構成される、請求項103に記載の呼吸システム。
請求項106:
前記コントローラは、前記瞬間コンダクタンス値を経時的に監視して1つ以上の呼吸サイクルの吸気フェーズおよび呼気フェーズを決定するように構成される、請求項102に記載の呼吸システム。
請求項107:
前記コントローラは、前記瞬間コンダクタンス値を経時的に監視して不十分な通気流れ状態を検出するように構成される、請求項102に記載の呼吸システム。
請求項108:
前記コントローラは、前記不十分な通気流れ状態を最近の基準コンダクタンス値と比較して異常に低いコンダクタンス値として検出するように構成される、請求項107に記載の呼吸システム。
請求項109:
吸気フェーズおよび呼気フェーズを含む連続する呼吸サイクルにおいて呼吸治療を患者呼吸へ提供するように構成された呼吸治療システムであって、
圧縮空気流れを供給するように構成された圧力生成器であって、前記圧力生成器は、前記圧力生成器からの前記圧縮空気を前記患者へ送達させるように空気回路を介して患者インターフェースへ接続するように構成される、圧力生成器と、
前記圧縮空気流れの圧力および流れを示す1つ以上の信号を提供するように構成された少なくとも1つのセンサーと、
プロセッサを含むコントローラであって、
瞬間圧力値および瞬間流量値を前記少なくとも1つのセンサーからの前記1つ以上の信号から繰り返し検出することと、
前記瞬間圧力値および瞬間流量値に基づいて瞬間インピーダンス値を繰り返し計算することと、
前記瞬間インピーダンス値の変化を経時的に監視して、前記システム内における呼吸イベントの発生を検出することと、
を行うように構成されたプロセッサと、
を含むコントローラと、
を含む、呼吸治療システム。
請求項110:
前記呼吸イベントは閉塞である、請求項109に記載の呼吸システム。
請求項111:
前記閉塞は、前記瞬間インピーダンスが所定の閾値を超えたときに検出される、請求項110に記載の呼吸システム。
請求項112:
前記閉塞は、前記瞬間インピーダンスが経時的に実質的に変化しないままであるときに検出される、請求項110に記載の呼吸システム。
請求項113:
前記閉塞は、前記空気回路、前記患者インターフェースまたは前記患者の気道中において発生する、請求項110~112のうちいずれか一項に記載の呼吸システム。
請求項114:
前記呼吸イベントは、容量目標モード時の流れ枯渇である、請求項109に記載の呼吸システム。
請求項115:
前記流れ枯渇は、呼吸サイクルの吸気部分における瞬間インピーダンス値のプロファイルの関数として検出される、請求項114に記載の呼吸システム。
請求項116:
前記流れ枯渇は、瞬間インピーダンス値が前記吸気フェーズの終期部分においてよりも前記吸気フェーズの早期から中期の吸気部分において低くなったときに検出される、請求項115に記載の呼吸システム。
請求項117:
前記流れ枯渇は、呼吸サイクルの吸気フェーズから計算された瞬間インピーダンス値と、インピーダンス閾値との比較によって検出される、請求項114に記載の呼吸システム。
請求項118:
前記流れ枯渇は、前記呼吸サイクルの前記吸気フェーズから計算された前記瞬間インピーダンス値が前記インピーダンス閾値を下回ったときに検出される、請求項117に記載の呼吸システム。
請求項119:
前記呼吸イベントが検出されると、前記コントローラは、前記呼吸イベントの発生を示すメッセージを提供するように構成される、請求項109~118のうちいずれか一項に記載の呼吸システム。
請求項120:
吸気フェーズおよび呼気フェーズを含む連続する呼吸サイクルにおいて呼吸治療を患者呼吸へ提供するように構成された呼吸治療システムであって、
圧縮空気流れを供給するように構成された圧力生成器であって、前記圧力生成器は、前記圧力生成器からの前記圧縮空気を前記患者へ送達させるように空気回路を介して患者インターフェースへ接続するように構成される、圧力生成器と、
前記圧縮空気流れの圧力および流量を示す1つ以上の信号を提供するように構成された少なくとも1つのセンサーと、
プロセッサを含むコントローラであって、
前記少なくとも1つのセンサーからの前記1つ以上の信号から瞬間圧力および瞬間流量の値を繰り返し検出することと、
前記瞬間圧力値および瞬間流量値に基づいて瞬間インピーダンス値を繰り返し計算することと、
前記瞬間インピーダンス値の変化を経時的に監視して、前記呼吸治療を監視することと、
を行うように構成されたプロセッサを含むコントローラと
を含む、呼吸治療システム。
請求項121:
前記コントローラは、前記吸気フェーズの開始部分から計算された瞬間インピーダンス値と、前記吸気フェーズの終期部分から計算された瞬間インピーダンス値との間のレベル差を計算する、請求項120に記載の呼吸システム。
請求項122:
前記コントローラは、前記レベル差に基づいて立上がり時間設定を調節するように構成される、請求項121に記載の呼吸システム。
請求項123:
前記コントローラは、前記レベル差に基づいてピーク吸気流設定を調節するように構成される、請求項121に記載の呼吸システム。
請求項124:
前記コントローラは、前記瞬間インピーダンス値を経時的に監視して、各呼吸サイクルの患者の吸気フェーズおよび呼気フェーズを決定するように構成される、請求項120に記載の呼吸システム。
請求項125:
前記コントローラは、前記瞬間インピーダンス値を経時的に監視して、不十分な通気流れ状態を検出するように構成される、請求項120に記載の呼吸システム。
請求項126:
前記コントローラは、不十分な通気流れ状態を最近の基準インピーダンス値と比較して異常に高いインピーダンス値として検出するように構成される、請求項125に記載の呼吸システム。
【符号の説明】
【0431】
【表2A】
【表2B】
【表2C】
【表2D】
【表2E】