(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】肥満の治療のためのグルカゴン及びGLP-1コアゴニスト
(51)【国際特許分類】
A61K 38/26 20060101AFI20230306BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230306BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230306BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230306BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230306BHJP
C07K 14/605 20060101ALN20230306BHJP
【FI】
A61K38/26
A61P1/16
A61P3/04
A61P29/00
A61P43/00 111
C07K14/605 ZNA
(21)【出願番号】P 2018546872
(86)(22)【出願日】2017-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2017055679
(87)【国際公開番号】W WO2017153575
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2020-03-05
(32)【優先日】2016-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508098350
【氏名又は名称】メドイミューン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MedImmune Limited
【住所又は居所原語表記】Milstein Building,Granta Park,Cambridge CB21 6GH,England
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】マリア・アレクサンドラ・ベドナレック
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ・ウルリッヒ・イェルムトゥス
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・アンベリー
(72)【発明者】
【氏名】マルチェッラ・ペトローネ
【審査官】横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-501256(JP,A)
【文献】国際公開第2012/138941(WO,A1)
【文献】特表2013-545724(JP,A)
【文献】特表2011-524419(JP,A)
【文献】特表2013-518115(JP,A)
【文献】特表2015-524427(JP,A)
【文献】特表2011-524410(JP,A)
【文献】肝臓,Vol.55 Suppl.1,p.A54(PD1-14)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号19のアミノ酸配列を含むペプチドを含
む、肝臓脂肪を少なくとも20%減らすことにより非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療するための医薬組成物
であって、治療を必要とするヒト対象に、投与1回当たり前記ペプチド100~600μgの用量で投与される、医薬組成物。
【請求項2】
毎日投与される、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
1日1回投与される、請求項
2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、又は少なくとも4週間投与される、請求項1~
3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
注射により投与される、請求項1~
4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記投与が皮下である、請求項
5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記疾患の進行を停止するための、請求項1~
6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記疾患の進行を逆転するための、請求項1~
6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年3月10日に提出された米国仮特許出願第62/306,121号明細書の利益を主張するものである。尚、この文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子データにて提出した配列表の参照
本出願と一緒に提出したASCIIテキストファイル(名称:Sequencelisting_ST25.txt;サイズ:14,333バイト;及び作成日:2017年3月6日)で電子データにて提出したリストの内容は、その全体を参照により本明細書に組み込むものとする。
【背景技術】
【0003】
肥満は、世界規模で主要な、増大しつづける健康問題である。それは、心血管疾患、腎臓病、高血圧、発作、不妊、呼吸不全、及び2型糖尿病などの生命を脅かす多くの疾患に関連している。
【0004】
グルコン及びグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、158アミノ酸前駆体ポリペプチドであるプレプログルカゴンに由来し、これは、様々な組織でプロセシングされて、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)及びオキシントモジュリン(OXM)など、いくつかの異なるプログルカゴン由来のペプチドを形成するが、これらは、グルコースホメオスタシス、インスリン分泌、胃内容排出、及び腸成長、並びに食物摂取などの多様な生理学的機能に関与する。グルカゴンは、プログルカゴンのアミノ酸33~61(プレプログルカゴンの53~81)に対応する29アミノ酸ペプチドであるのに対し、GLP-1は、プログルカゴンのアミノ酸72~108(プレプログルカゴンの92~128)に対応する37アミノ酸ペプチドとして生成される。GLP-1(7~36)アミド又はGLP-1(7~37)酸は、GLP-1の生物学的に活性の形態であり、GLP-1受容体で実質的に同等の活性を示す。
【0005】
膵臓によりグルカゴンが生成され、グルカゴン受容体(「glucR」)と相互作用する。グルカゴンは、肝臓内で作用して、糖新生とグリコーゲン分解によって血糖を高める。血糖が下がり始めると、グルカゴンは、グリコーゲンを分解し、グルコースを放出するように肝臓にシグナルを送り、血糖値を通常のレベルへと上昇させる。
【0006】
GLP-1は、グルカゴンと比較して異なる生物学的活性を有する。これは、消化管内L細胞(gut L cells)から分泌されて、GLP-1受容体に結合する。その活性には、インスリン合成及び分泌の刺激、グルカゴン分泌の阻害、及び食物摂取の阻害が含まれる。
【0007】
グルカゴン及びGLP-1のいずれも、それぞれの受容体でアゴニストとして作用し、減量に有効であることがわかっている。特定のGLP-1類似体は、販売されているか、又は肥満の治療のために開発中であり、例えば、Liraglutide(Novo NordiskからのVICTOZA(登録商標)及びExenatide(Eli Lilly/AmylinからのByetta(登録商標))などがある。グルカゴン/GLP-1アゴニストペプチドは、(特許文献1)にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2014/091316号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一部の療法は、血糖のコントロールのために利用可能であるが、これまでのところ実質的な減量を達成するものは皆無であり、これは、患者にとって大きなアンメットニーズのままである。50%の患者が、血糖コントロールのための経口単剤療法(通常、メトホルミンを用いる)から、10年以内にインスリン療法の開始へと進行し、多くの場合、インスリン療法を開始する前に複数の経口併用療法を採用する。インスリンの使用は、体重増加を悪化させ、インスリンの開始から1年目で6kgもの増加となり得る。この体重増加は、インスリン抵抗性の増大を招く恐れがあり、これは、高血圧、脂質異常症、及び主要有害心血管事象のリスク増大に関連する。インスリン抵抗性の低減に関して、有意な減量(>5%)が、インスリン抵抗性を低減するための最適な介入であるが、これは、現時点で、集中的な食餌及びライフスタイル介入並びに/又は肥満手術によってしか確実に達成することができない。糖尿病及び肥満症を治療する上で治療有効的であるが、有害な作用は回避する投薬計画を用いて、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドをヒトに投与する方法が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを投与するステップを含む、患者の肥満及び糖尿病並びに関連する病状を予防及び治療する方法が本明細書に記載される。
【0011】
一例では、体重を減らす方法は、HX2QGTFTSDX10SX12X13LX15X16X17X18AX20X21FX23X24WLX27X28GX30
(ここで、X2は、G又はSであり、X10は、Y又はKであり、X12は、K、E、R、又はSであり、X13は、K又はYであり、X15は、D又はEであり、X16は、S又はGであり、X17は、E、R、Q、又はKであり、X18は、R、S、又はAであり、X20は、R、K、又はQであり、X21は、D又はEであり、X23は、V又はIであり、X24は、A又はQであり、X27は、E又はVであり、X28は、A又はKであり、X30は、G又はRである)(配列番号4)のアミノ酸配列を含むペプチド50~600μg又は100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む。
【0012】
一例では、体脂肪を減らす方法は、配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチド50~600μg又は100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む。
【0013】
一例では、肥満を治療する方法は、配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチド50~600μg又は100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む。
【0014】
一例では、過剰体重に起因する、又は過剰体重を特徴とする疾患若しくは病状を治療又は予防する方法は、配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチド50~600μg又は100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む。
【0015】
一例では、体重を管理する方法は、配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチド50~600μg又は100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む。
【0016】
一例では、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療する方法は、配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチド50~600μg又は100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む。
【0017】
一例では、脂質酸化を増大する方法は、配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチド50~600μg又は100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む。
【0018】
一例では、食物摂取を抑制する方法は、配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチド50~600μg又は100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む。
【0019】
一例では、血漿グルコースを低下させる方法は、配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチド50~600μg又は100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む。
【0020】
一例では、血糖コントロールを改善する方法は、配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチド50~600μg又は100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む。
【0021】
一例では、血糖コントロールを達成する方法は、配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチドを50~600μg又は100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む。
【0022】
一例では、体重を減らし、且つ血糖をコントロールする方法は、配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチド50~600μg又は100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む。
【0023】
一例では、対象は、糖尿病を有する。一例では、糖尿病は、2型糖尿病である。
【0024】
一例では、2型糖尿病を治療する方法は、配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチドをヒトに投与するステップを含む。
【0025】
一例では、2型糖尿病を有するヒト対象の血糖コントロールを改善する方法は、配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチド50~600μg又は100~600μgを、対象に投与するステップを含む。
【0026】
一例では、投与によって体重が減少する。一例では、投与によって肥満が治療される。一例では、投与によって体脂肪が減少する。
【0027】
一例では、X2は、Gであり、X10は、Kであり、X12は、E、R、又はSであり、X13は、Kであり、X17は、E又はKであり、X18は、Sであり、X20は、Rであり、X27は、Eであり、あるいはX28は、Aである。
【0028】
一例では、X2は、Gであり、X10は、Kであり、X12は、E、R、又はSであり、X13は、Kであり、X17は、E又はKであり、X18は、Sであり、X20は、Rであり、X27は、Eであり、且つX28は、Aである。
【0029】
一例では、ペプチドは、配列番号19のアミノ酸配列を含むか、それから本質的に構成されるか、又はそれから構成される。
【0030】
一例では、投与は、3~10日間にわたり初期用量を、その後、より高い第2用量を投与するステップを含む。
【0031】
一例では、初期用量は、3~7日間投与する。一例では、初期用量は、100μgのペプチドである。一例では、第2用量を少なくとも4日間投与する。一例では、初期用量を連続4日間投与し、第2用量を少なくとも連続4日間投与する。一例では、第2用量は、150~200μgのペプチドである。一例では、第2用量は、150μgのペプチド又は200μgのペプチドである。
【0032】
一例では、投与は、さらに、第2用量の後に第3用量を投与するステップを含み、第3用量は、第2用量よりも高い。一例では、初期用量を3~10日間投与し、第2用量を3~10日間投与する。一例では、初期用量を3~7日間投与し、第2用量を3~7日間投与する。一例では、初期用量を連続4日間投与し、第2用量を少なくとも連続4日間投与し、第3用量を少なくとも連続4日間投与する。一例では、初期用量を連続4日間投与し、第2用量を連続7日間投与し、第3用量を少なくとも連続4日間投与する。一例では、第3用量は、200~400μgのペプチドである。一例では、第3用量は、200μgのペプチド、300μgのペプチド、又は400μgのペプチドである。
【0033】
一例では、100μgの初期用量を4日間投与し、150μgの第2用量を4日間投与し、200μgの第3用量を毎日投与する。一例では、100μgの初期用量を5日間投与し、150μgの第2用量を5日間投与し、200μgの第3用量を5日間投与し、300μgの第4用量を毎日投与する。一例では、100μgの初期用量を5日間投与し、200μgの第2用量を5日間投与し、300μgの第3用量を毎日投与する。
【0034】
一例では、50μgのペプチドを投与する。一例では、100μgのペプチドを投与する。一例では、150μgのペプチドを投与する。一例では、200μgのペプチドを投与する。一例では、250μgのペプチドを投与する。一例では、300μgのペプチドを投与する。一例では、400μgのペプチドを投与する。
【0035】
一例では、ペプチドは、毎日投与する。一例では、ペプチドは、1日1回投与する。
【0036】
一例では、ペプチドは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、又は少なくとも4週間投与する。
【0037】
一例では、ペプチドは、注射により投与する。一例では、投与は皮下である。
【0038】
一例では、投与によって、混合食試験後に濃度-時間曲線下のグルコース面積の少なくとも20%減少がもたらされる。
【0039】
一例では、グルコースが減少する。一例では、グルコースは、空腹時血漿グルコースである。一例では、グルコースは、混合食試験からの食後血糖である。
【0040】
一例では、投与によって、少なくとも1.0kg、少なくとも1.3kg、又は約1.3~約2.0kgの減量がもたらされる。一例では、対象の体重は、少なくとも3.5kg又は少なくとも5kg減少する。一例では、対象の体重は、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも5%、又は少なくとも10%減少する。一例では、対象の体重は、約2%~約20%、約2%~約25%、又は約2%~約30%減少する。
【0041】
一例では、脂肪は、肝臓脂肪である。一例では、対象の肝臓脂肪は、少なくとも20%減少する。一例では、対象の肝臓脂肪は、約20%~約40%減少する。一例では、投与によって、肝臓脂肪の約三分の一の減少がもたらされる。一例では、対象の肝体積が減少する。
【0042】
一例では、投与によって、ヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルが低下する。一例では、対象のHbA1cレベルは、少なくとも0.6%低下する。一例では、対象のHbA1cレベルは、少なくとも0.9%低下する。一例では、対象のHbA1cレベルは、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約2%、又は約0.5%~約3%低下する。一例では、対象のHbA1cレベルは、6.3%以下まで低下する。
【0043】
一例では、投与によって、フルクトサミンレベルが減少する。
【0044】
一例では、対象の食欲が抑制される。
【0045】
一例では、対象のエネルギー消費が増加する。
【0046】
一例では、疾患の進行が停止する。一例では、疾患の進行が逆転する。
【0047】
一例では、ペプチドは、固相合成法による合成によって製造される。一例では、固相合成法は、フルオレニルメチルオキシカルボニルクロリド化学を使用する。
【0048】
一例では、ペプチドのX30のカルボキシル基は、非修飾G又はRである。一例では、ペプチドのX30のカルボニル基は、アミド化される。
【0049】
一例では、ペプチドは、リシン残基のN(ε)基上にパルミトイル部分を含む。一例では、パルミトイル基は、リンカーを介してリシンに連結される。一例では、リンカーは、γグルタミン酸塩である。一例では、ペプチドは、リシン残基のN(ε)基上にステアロイル又はステアリン酸塩部分を含む。一例では、リシン残基は、X10である。
【0050】
一例では、ペプチドは、cAMPアッセイ1におけるEC50が、10,000pM未満、5000pM未満、2500pM未満、1000pM未満、900pM未満、800pM未満、700pM未満、600pM未満、500pM未満、400pM未満、300pM未満、200pM未満、100pM未満、50pM未満、25pM未満、20pM未満、15pM未満、10pM未満、5pM未満、4pM未満、3pM未満、又は2pM未満のヒトグルカゴン受容体に結合する。
【0051】
一例では、ペプチドは、cAMPアッセイ1におけるEC50が、10,000pM未満、5000pM未満、2500pM未満、1000pM未満、900pM未満、800pM未満、700pM未満、600pM未満、500pM未満、400pM未満、300pM未満、200pM未満、100pM未満、50pM未満、25pM未満、20pM未満、15pM未満、10pM未満、5pM未満、4pM未満、3pM未満、又は2pM未満のヒトGLP-1受容体に結合する。
【0052】
一例では、ペプチドは、GLP-1活性のアゴニスト、グルカゴン活性のアゴニスト、又はGLP-1とグルカゴン活性の両方のアゴニストである。
【0053】
一例では、ペプチドは、グルカゴン受容体とGLP-1受容体の両方に結合し、ペプチドは、グルカゴン受容体より、GLP-1受容体で、天然リガンドと比較して少なくとも約2倍、5倍、又は10倍大きい活性を呈示する。
【0054】
一例では、ペプチドは、異種部分をさらに含む。一例では、この異種部分は、タンパク質、ペプチド、タンパク質ドメイン、リンカー、有機ポリマー、無機ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ビオチン、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、HSA FcRn結合部分、抗体、抗体のドメイン、抗体断片、単鎖抗体、ドメイン抗体、アルブミン結合ドメイン、酵素、リガンド、受容体、結合ペプチド、非FnIIIスカフォールド、エピトープタグ、組換えポリペプチドポリマー、サイトカイン、脂質、又は列挙した部分の2つ以上の組み合わせである。
【0055】
一例では、対象は、27~40kg/m2のボディマスインデックス(BMI)を有する。一例では、対象は、30~39.9kg/m2のBMIを有する。一例では、対象は、少なくとも40kg/m2のBMIを有する。
【0056】
一例では、対象は、過剰体重である。一例では、対象は、肥満である。一例では、対象は、(i)過剰体重であり、且つ(ii)高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、心血管疾患の病歴又はこれらの組み合わせを有する。一例では、対象は、(i)過剰体重であり、且つ(ii)高血糖、高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸、又はこれらの組み合わせを有する。
【0057】
一例では、対象は、インスリン療法を受けている。一例では、投与されるインスリンの量が低減される。一例では、インスリン療法が停止される。
【0058】
一例では、対象は、インスリン、メトホルミン、スルホニル尿素、ナトリウム-グルコース共輸送体-2(sglt-2)阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-IV)阻害剤、グルタゾン、αグルコシダーゼ阻害剤、又はこれらの組み合わせを受けている。
【0059】
一例では、ペプチドの半減期は、約10~約12時間である。
【0060】
一例では、投与は、食餌及び運動を補助するものである。
【0061】
一例では、ペプチドは配列番号19を含み、ペプチドは、100μgの初期用量で4日間投与され、150μgの第2用量で4日間投与された後、200μgの用量で毎日投与される。
【0062】
一例では、ペプチドは配列番号19を含み、ペプチドは、100μgの初期用量で5日間投与され、200μgの第2用量で5日間投与された後、300μgの用量で毎日投与される。
【0063】
一例では、ペプチドは配列番号19を含み、ペプチドは、100μgの初期用量で5日間投与され、150μgの第2用量で5日間投与され、200μgの第2用量で5日間投与された後、300μgの用量で毎日投与される。
【0064】
一例では、対象は、2型糖尿病を有する。一例では、対象は、肥満である。一例では、対象は、(i)過剰体重であり、且つ(ii)高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、心血管疾患の病歴又はこれらの組み合わせを有する。一例では、対象は、(i)過剰体重であり、且つ(ii)高血糖、高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸、又はこれらの組み合わせを有する。
本発明の実施形態をさらに記載する:
[項1]
体重を減らす方法であって、
HX2QGTFTSDX10SX12X13LX15X16X17X18AX20X21FX23X24WLX27X28GX30
(ここで、X2は、G又はSであり、X10は、Y又はKであり、X12は、K、E、R、又はSであり、X13は、K又はYであり、X15は、D又はEであり、X16は、S又はGであり、X17は、E、R、Q、又はKであり、X18は、R、S、又はAであり、X20は、R、K、又はQであり、X21は、D又はEであり、X23は、V又はIであり、X24は、A又はQであり、X27は、E又はVであり、X28は、A又はKであり、X30は、G又はRである)(配列番号4)
のアミノ酸配列を含むペプチド100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項2]
体脂肪を減らす方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項3]
肥満を治療する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項4]
過剰体重に起因する、若しくは過剰体重を特徴とする疾患若しくは病状を治療又は予防する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項5]
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項6]
脂質酸化を増大する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項7]
食物摂取を抑制する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項8]
血漿グルコースを低下させる方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド100~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項9]
前記対象が、糖尿病を有する、上記項1~8のいずれか1項に記載の方法。
[項10]
前記糖尿病が、2型糖尿病である、上記項9に記載の方法。
[項11]
2型糖尿病を治療する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチドをヒトに投与するステップを含む方法。
[項12]
2型糖尿病を有するヒト対象の血糖コントロールを改善する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド100~600μgを、前記対象に投与するステップを含む方法。
[項13]
前記投与によって体重が減少する、上記項11又は12に記載の方法。
[項14]
前記投与によって肥満が治療される、上記項11~13のいずれか1項に記載の方法。
[項15]
前記投与によって体脂肪が減少する、上記項9~12のいずれか1項に記載の方法。
[項16]
X2は、Gであり、X10は、Kであり、X12は、E、R、又はSであり、X13は、Kであり、X17は、E又はKであり、X18は、Sであり、X20は、Rであり、X27は、Eであり、あるいはX28は、Aである、上記項1~15のいずれか1項に記載の方法。
[項17]
前記ペプチドが、配列番号19を含むか、それから本質的に構成されるか、又はそれから構成される、上記項1~16のいずれか1項に記載の方法。
[項18]
前記投与が、3~10日間にわたり初期用量を、その後、より高い第2用量を投与するステップを含む、上記項1~17のいずれか1項に記載の方法。
[項19]
前記投与が、3~7日間にわたり初期用量を投与するステップを含む、上記項18に記載の方法。
[項20]
前記初期用量が、100μgのペプチドである、上記項18又は19に記載の方法。
[項21]
前記第2用量を少なくとも4日間投与する、上記項18~20のいずれか1項に記載の方法。
[項22]
前記初期用量を連続4日間投与し、前記第2用量を少なくとも連続4日間投与する、上記項18~21のいずれか1項に記載の方法。
[項23]
前記第2用量が、150~200μgの前記ペプチドである、上記項18~22のいずれか1項に記載の方法。
[項24]
前記第2用量が、150μgの前記ペプチド又は200μgの前記ペプチドである、上記項23に記載の方法。
[項25]
前記投与が、さらに、第2用量の後に第3用量を投与するステップを含み、前記第3用量は、前記第2用量よりも高い、上記項18~24のいずれか1項に記載の方法。
[項26]
前記初期用量を3~10日間投与し、前記第2用量を3~10日間投与する、上記項25に記載の方法。
[項27]
前記初期用量を3~7日間投与し、前記第2用量を3~7日間投与する、上記項25に記載の方法。
[項28]
前記初期用量を連続4日間投与し、前記第2用量を少なくとも連続4日間投与し、前記第3用量を少なくとも連続4日間投与する、上記項25に記載の方法。
[項29]
前記初期用量を連続4日間投与し、前記第2用量を少なくとも連続7日間投与し、前記第3用量を少なくとも連続4日間投与する、上記項25に記載の方法。
[項30]
前記第3用量が、200~400μgの前記ペプチドである、上記項25~29のいずれか1項に記載の方法。
[項31]
前記第3用量が、200μgの前記ペプチド、300μgの前記ペプチド、又は400μgの前記ペプチドである、上記項30に記載の方法。
[項32]
100μgの前記ペプチドを投与する、上記項1~17のいずれか1項に記載の方法。
[項33]
150μgの前記ペプチドを投与する、上記項1~17のいずれか1項に記載の方法。
[項34]
200μgの前記ペプチドを投与する、上記項1~17のいずれか1項に記載の方法。
[項35]
250μgの前記ペプチドを投与する、上記項1~17のいずれか1項に記載の方法。
[項36]
前記ペプチドを毎日投与する、上記項1~35のいずれか1項に記載の方法。
[項37]
前記ペプチドを1日1回投与する、上記項1~36のいずれか1項に記載の方法。
[項38]
前記ペプチドを、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、又は少なくとも4週間投与する上記項1~37のいずれか1項に記載の方法。
[項39]
前記ペプチドを注射により投与する、上記項1~38のいずれか1項に記載の方法。
[項40]
前記投与が皮下である、上記項39に記載の方法。
[項41]
前記投与によって、混合食試験後に濃度-時間曲線下のグルコース面積の少なくとも20%減少がもたらされる、上記項1~40のいずれか1項に記載の方法。
[項42]
前記投与によって、少なくとも1.0kg、少なくとも1.3kg、又は約1.3~約2.0kgの減量がもたらされる、上記項1~41のいずれか1項に記載の方法。
[項43]
前記脂肪が、肝臓脂肪である、上記項2、9、10、及び15~42のいずれか1項に記載の方法。
[項44]
前記投与によって、肝臓脂肪の約三分の一の減少がもたらされる、上記項1~43のいずれか1項に記載の方法。
[項45]
前記投与によって、ヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルが低下する、上記項1~44のいずれか1項に記載の方法。
[項46]
前記投与によって、フルクトサミンレベルが低下する、上記項1~45のいずれか1項に記載の方法。
[項47]
前記ペプチドが、固相合成法による合成によって製造される、上記項1~46のいずれか1項に記載の方法。
[項48]
前記固相合成法が、フルオレニルメチルオキシカルボニルクロリド化学を使用する、上記項47に記載の方法。
[項49]
X30の前記カルボキシル基が、非修飾G又はRである、上記項1~48のいずれか1項に記載の方法。
[項50]
X30の前記カルボキシル基が、アミド化される、上記項1~48のいずれか1項に記載の方法。
[項51]
前記ペプチドが、リシン残基のN(ε)基上にパルミトイル部分を含む、上記項1~50のいずれか1項に記載の方法。
[項52]
前記パルミトイル基が、リンカーを介して前記リシンに連結される、上記項51に記載の方法。
[項53]
前記リンカーが、γグルタミン酸塩である、上記項52に記載の方法。
[項54]
前記ペプチドが、リシン残基のN(ε)基上にステアロイル又はステアリン酸塩部分を含む、上記項1~50のいずれか1項に記載の方法。
[項55]
前記リシン残基が、X10である、上記項51~54のいずれか1項に記載の方法。
[項56]
前記ペプチドが、cAMPアッセイ1による10,000pM未満、5000pM未満、2500pM未満、1000pM未満、900pM未満、800pM未満、700pM未満、600pM未満、500pM未満、400pM未満、300pM未満、200pM未満、100pM未満、50pM未満、25pM未満、20pM未満、15pM未満、10pM未満、5pM未満、4pM未満、3pM未満、又は2pM未満のEC50で、ヒトグルカゴン受容体に結合する、上記項1~55のいずれか1項に記載の方法。
[項57]
前記ペプチドが、cAMPアッセイ1による10,000pM未満、5000pM未満、2500pM未満、1000pM未満、900pM未満、800pM未満、700pM未満、600pM未満、500pM未満、400pM未満、300pM未満、200pM未満、100pM未満、50pM未満、25pM未満、20pM未満、15pM未満、10pM未満、5pM未満、4pM未満、3pM未満、又は2pM未満のEC50で、ヒトGLP-1受容体に結合する、上記項1~56のいずれか1項に記載の方法。
[項58]
前記ペプチドが、GLP-1活性のアゴニスト、グルカゴン活性のアゴニスト、又はGLP-1とグルカゴン活性の両方のアゴニストである、上記項1~57のいずれか1項に記載の方法。
[項59]
前記ペプチドが、グルカゴン受容体とGLP-1受容体の両方に結合し、前記グルカゴン受容体よりも、前記GLP-1受容体で、天然リガンドと比較して少なくとも約2倍、5倍、又は10倍大きい活性を呈示する、上記項1~58のいずれか1項に記載の方法。
[項60]
前記ペプチドが、異種部分をさらに含む、上記項1~59のいずれか一項に記載の方法。
[項61]
前記異種部分が、タンパク質、ペプチド、タンパク質ドメイン、リンカー、有機ポリマー、無機ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ビオチン、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、HSA FcRn結合部分、抗体、抗体のドメイン、抗体断片、単鎖抗体、ドメイン抗体、アルブミン結合ドメイン、酵素、リガンド、受容体、結合ペプチド、非FnIIIスカフォールド、エピトープタグ、組換えポリペプチドポリマー、サイトカイン、脂質、又は列挙した部分の2つ以上の組み合わせである、上記項60に記載の方法。
[項62]
前記対象が、27~40kg/m2のボディマスインデックス(BMI)を有する、上記項1~61のいずれか一項に記載の方法。
[項63]
前記対象が、30~39.9kg/m2のBMIを有する、上記項1~61のいずれか一項に記載の方法。
[項64]
前記対象が、少なくとも40kg/m2のBMIを有する、上記項1~61のいずれか一項に記載の方法。
[項65]
前記対象が、過剰体重である、上記項5~12及び16~64のいずれか一項に記載の方法。
[項66]
前記対象が、肥満である、上記項5~12及び16~64のいずれか一項に記載の方法。
[項67]
前記ペプチドの半減期が、約10~約12時間である、上記項1~66のいずれか一項に記載の方法。
[項68]
前記投与が、食餌及び運動を補助するものである、上記項1~67のいずれか一項に記載の方法。
[項69]
体重を減らす方法であって、
HX2QGTFTSDX10SX12X13LX15X16X17X18AX20X21FX23X24WLX27X28GX30
(ここで、X2は、G又はSであり、X10は、Y又はKであり、X12は、K、E、R、又はSであり、X13は、K又はYであり、X15は、D又はEであり、X16は、S又はGであり、X17は、E、R、Q、又はKであり、X18は、R、S、又はAであり、X20は、R、K、又はQであり、X21は、D又はEであり、X23は、V又はIであり、X24は、A又はQであり、X27は、E又はVであり、X28は、A又はKであり、X30は、G又はRである)(配列番号4)
のアミノ酸配列を含むペプチド50~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項70]
体脂肪を減らす方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド50~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項71]
肥満を治療する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド50~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項72]
過剰体重に起因する、又は過剰体重を特徴とする疾患若しくは病状を治療又は予防する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド50~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項73]
体重を管理する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド50~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項74]
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド50~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項75]
脂質酸化を増大する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド50~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項76]
食物摂取を抑制する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド50~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項77]
血漿グルコースを低下させる方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド50~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項78]
血糖コントロールを改善する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド50~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項79]
血糖コントロールを達成する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド50~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項80]
体重を減らし、且つ血糖をコントロールする方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド50~600μgを、治療を必要とするヒト対象に投与するステップを含む方法。
[項81]
前記対象が、糖尿病を有する、上記項69~80のいずれか1項に記載の方法。
[項82]
前記糖尿病が、2型糖尿病である、上記項81に記載の方法。
[項83]
2型糖尿病を治療する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチドをヒトに投与するステップを含む方法。
[項84]
2型糖尿病を有するヒト対象の血糖コントロールを改善する方法であって、配列番号4の前記アミノ酸配列を含むペプチド50~600μgを、前記対象に投与するステップを含む方法。
[項85]
前記投与によって体重が減少する、上記項83又は84に記載の方法。
[項86]
前記投与によって肥満が治療される、上記項83~85のいずれか1項に記載の方法。
[項87]
前記投与によって体脂肪が減少する、上記項77~80のいずれか1項に記載の方法。
[項88]
X2は、Gであり、X10は、Kであり、X12は、E、R、又はSであり、X13は、Kであり、X17は、E又はKであり、X18は、Sであり、X20は、Rであり、X27は、Eであり、あるいはX28は、Aである、上記項69~87のいずれか1項に記載の方法。
[項89]
前記ペプチドが、配列番号19を含むか、それから本質的に構成されるか、又はそれから構成される、上記項69~88のいずれか1項に記載の方法。
[項90]
前記投与が、3~10日間にわたり初期用量を、その後、より高い第2用量を投与するステップを含む、上記項69~89のいずれか1項に記載の方法。
[項91]
前記初期用量を3~7日間にわたり投与する、上記項90に記載の方法。
[項92]
前記初期用量が、100μgのペプチドである、上記項90又は91に記載の方法。
[項93]
前記第2用量を少なくとも4日間投与する、上記項90~92のいずれか1項に記載の方法。
[項94]
前記初期用量を連続4日間投与し、前記第2用量を少なくとも連続4日間投与する、上記項90~93のいずれか1項に記載の方法。
[項95]
前記第2用量が、150~200μgの前記ペプチドである、上記項90~94のいずれか1項に記載の方法。
[項96]
前記第2用量が、150μgの前記ペプチド又は200μgの前記ペプチドである、上記項95に記載の方法。
[項97]
前記投与が、さらに、前記第2用量の後に第3用量を投与するステップを含み、前記第3用量が、前記第2用量よりも高い、上記項90~96のいずれか1項に記載の方法。
[項98]
前記初期用量を3~10日間投与し、前記第2用量を3~10日間投与する、上記項97に記載の方法。
[項99]
前記初期用量を3~7日間投与し、前記第2用量を3~7日間投与する、上記項97に記載の方法。
[項100]
前記初期用量を連続4日間投与し、前記第2用量を少なくとも連続4日間投与し、前記第3用量を少なくとも連続4日間投与する、上記項97に記載の方法。
[項101]
前記初期用量を連続4日間投与し、前記第2用量を少なくとも連続7日間投与し、前記第3用量を少なくとも連続4日間投与する、上記項97に記載の方法。
[項102]
前記第3用量が、200~400μgの前記ペプチドである、上記項97~101のいずれか1項に記載の方法。
[項103]
前記第3用量が、200μgの前記ペプチド、300μgの前記ペプチド、又は400μgの前記ペプチドである、上記項102に記載の方法。
[項104]
100μgの初期用量を4日間投与し、150μgの第2用量を4日間投与し、200μgの第3用量を毎日投与する、上記項69~89のいずれか1項に記載の方法。
[項105]
100μgの初期用量を5日間投与し、150μgの第2用量を5日間投与し、200μgの第3用量を5日間投与し、300μgの第4用量を毎日投与する、上記項69~89のいずれか1項に記載の方法。
[項106]
100μgの初期用量を5日間投与し、200μgの第2用量を5日間投与し、300μgの第3用量を毎日投与する、上記項69~89のいずれか1項に記載の方法。
[項107]
50μgの前記ペプチドを投与する、上記項69~89のいずれか1項に記載の方法。
[項108]
100μgの前記ペプチドを投与する、上記項69~89のいずれか1項に記載の方法。
[項109]
150μgの前記ペプチドを投与する、上記項69~89のいずれか1項に記載の方法。
[項110]
200μgの前記ペプチドを投与する、上記項69~89のいずれか1項に記載の方法。
[項111]
250μgの前記ペプチドを投与する、上記項69~89のいずれか1項に記載の方法。
[項112]
300μgの前記ペプチドを投与する、上記項69~89のいずれか1項に記載の方法。
[項113]
前記ペプチドを毎日投与する、上記項69~112のいずれか1項に記載の方法。
[項114]
前記ペプチドを1日1回投与する、上記項69~113のいずれか1項に記載の方法。
[項115]
前記ペプチドを、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、又は少なくとも4週間投与する上記項69~114のいずれか1項に記載の方法。
[項116]
前記ペプチドを注射により投与する、上記項69~115のいずれか1項に記載の方法。
[項117]
前記投与が皮下である、上記項116に記載の方法。
[項118]
前記投与によって、混合食試験後に濃度-時間曲線下のグルコース面積の少なくとも20%減少がもたらされる、上記項69~117のいずれか1項に記載の方法。
[項119]
グルコースが減少する、上記項69~76、81~83、及び85~117のいずれか1項に記載の方法。
[項120]
前記グルコースが、空腹時血糖である、上記項119に記載の方法。
[項121]
前記グルコースが、混合食試験からの食後血糖である、上記項119に記載の方法。
[項122]
前記投与によって、少なくとも1.0kg、少なくとも1.3kg、又は約1.3~約2.0kgの減量がもたらされる、上記項69~121のいずれか1項に記載の方法。
[項123]
前記対象の体重が、少なくとも3.5kg又は少なくとも5kg減少する、上記項69~121のいずれか1項に記載の方法。
[項124]
前記対象の体重が、約2~約30kg減少する、上記項69~121のいずれか1項に記載の方法。
[項125]
前記対象の体重が、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも5%、又は少なくとも10%減少する、上記項69~124のいずれか1項に記載の方法。
[項126]
前記対象の体重が、約2%~約20%、約2%~約25%、又は約2%~約30%減少する、上記項69~125のいずれか1項に記載の方法。
[項127]
前記脂肪が、肝臓脂肪である、上記項70、81、82、及び85~126のいずれか1項に記載の方法。
[項128]
前記対象の肝臓脂肪が、少なくとも20%減少する、上記項69~126のいずれか1項に記載の方法。
[項129]
前記対象の肝臓脂肪が、約20%~約40%減少する、上記項69~126のいずれか1項に記載の方法。
[項130]
前記投与によって、肝臓脂肪の約三分の一の減少がもたらされる、上記項69~126のいずれか1項に記載の方法。
[項131]
前記対象の肝体積が減少する、上記項69~130のいずれか1項に記載の方法。
[項132]
前記対象のHbA1cレベルが低下する、上記項69~131のいずれか1項に記載の方法。
[項133]
前記対象のHbA1cレベルが、少なくとも0.6%低下する、上記項132に記載の方法。
[項134]
前記対象のHbA1cレベルが、少なくとも0.9%低下する、上記項132に記載の方法。
[項135]
前記対象のHbA1cレベルが、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約2%、又は約0.5%~約3%低下する、上記項132に記載の方法。
[項136]
前記対象のHbA1cレベルが、6.3%以下まで低下する、上記項132に記載の方法。
[項137]
前記投与によって、フルクトサミンレベルが低下する、上記項69~136のいずれか1項に記載の方法。
[項139]
前記対象の食欲が抑制される、上記項69~137のいずれか1項に記載の方法。
[項140]
前記対象のエネルギー消費が増加する、上記項69~139のいずれか1項に記載の方法。
[項141]
前記疾患の進行が停止する、上記項69~140のいずれか1項に記載の方法。
[項142]
前記疾患の進行が逆転する、上記項69~140のいずれか1項に記載の方法。
[項143]
前記ペプチドが、固相合成法による合成によって製造される、上記項69~142のいずれか1項に記載の方法。
[項144]
前記固相合成法が、フルオレニルメチルオキシカルボニルクロリド化学を使用する、上記項143に記載の方法。
[項145]
X30の前記カルボキシル基が、非修飾G又はRである、上記項69~143のいずれか1項に記載の方法。
[項146]
X30の前記カルボキシル基が、アミド化される、上記項69~143のいずれか1項に記載の方法。
[項147]
前記ペプチドが、リシン残基のN(ε)基上にパルミトイル部分を含む、上記項69~146のいずれか1項に記載の方法。
[項148]
前記パルミトイル基が、リンカーを介して前記リシンに連結される、上記項147に記載の方法。
[項149]
前記リンカーが、γグルタミン酸塩である、上記項148に記載の方法。
[項150]
前記ペプチドが、リシン残基のN(ε)基上にステアロイル又はステアリン酸塩部分を含む、上記項69~88又は90~146のいずれか1項に記載の方法。
[項151]
前記リシン残基が、X10である、上記項147~150のいずれか1項に記載の方法。
[項152]
前記ペプチドが、cAMPアッセイ1による10,000pM未満、5000pM未満、2500pM未満、1000pM未満、900pM未満、800pM未満、700pM未満、600pM未満、500pM未満、400pM未満、300pM未満、200pM未満、100pM未満、50pM未満、25pM未満、20pM未満、15pM未満、10pM未満、5pM未満、4pM未満、3pM未満、又は2pM未満のEC50で、ヒトグルカゴン受容体に結合する、上記項69~151のいずれか1項に記載の方法。
[項153]
前記ペプチドが、cAMPアッセイ1による10,000pM未満、5000pM未満、2500pM未満、1000pM未満、900pM未満、800pM未満、700pM未満、600pM未満、500pM未満、400pM未満、300pM未満、200pM未満、100pM未満、50pM未満、25pM未満、20pM未満、15pM未満、10pM未満、5pM未満、4pM未満、3pM未満、又は2pM未満のEC50で、ヒトGLP-1受容体に結合する、上記項69~152のいずれか1項に記載の方法。
[項154]
前記ペプチドが、GLP-1活性のアゴニスト、グルカゴン活性のアゴニスト、又はGLP-1とグルカゴン活性の両方のアゴニストである、上記項69~153のいずれか1項に記載の方法。
[項155]
前記ペプチドが、グルカゴン受容体とGLP-1受容体の両方に結合し、前記グルカゴン受容体よりも、前記GLP-1受容体で、天然リガンドと比較して少なくとも約2倍、5倍、又は10倍大きい活性を呈示する、上記項69~154のいずれか1項に記載の方法。
[項156]
前記ペプチドが、異種部分をさらに含む、上記項69~155のいずれか一項に記載の方法。
[項157]
前記異種部分が、タンパク質、ペプチド、タンパク質ドメイン、リンカー、有機ポリマー、無機ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ビオチン、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、HSA FcRn結合部分、抗体、抗体のドメイン、抗体断片、単鎖抗体、ドメイン抗体、アルブミン結合ドメイン、酵素、リガンド、受容体、結合ペプチド、非FnIIIスカフォールド、エピトープタグ、組換えポリペプチドポリマー、サイトカイン、脂質、又は列挙した部分の2つ以上の組み合わせである、上記項156に記載の方法。
[項158]
前記対象が、27~40kg/m2のボディマスインデックス(BMI)を有する、上記項69~157のいずれか一項に記載の方法。
[項159]
前記対象が、30~39.9kg/m2のBMIを有する、上記項69~157のいずれか一項に記載の方法。
[項160]
前記対象が、少なくとも40kg/m2のBMIを有する、上記項69~157のいずれか一項に記載の方法。
[項161]
前記対象が、過剰体重である、上記項74~79、81~84、及び88~160のいずれか一項に記載の方法。
[項162]
前記対象が、肥満である、上記項74~79、81~84、及び88~160のいずれか一項に記載の方法。
[項163]
前記対象が、(i)過剰体重であり、且つ(ii)高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、心血管疾患の病歴又はこれらの組み合わせを有する、上記項69、70、72~85、及び87~161のいずれか一項に記載の方法。
[項164]
前記対象が、(i)過剰体重であり、且つ(ii)高血糖、高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸、又はこれらの組み合わせを有する、上記項69、70、72~85、及び87~161のいずれか一項に記載の方法。
[項165]
前記対象が、インスリン療法を受けている、上記項1~164に記載の方法。
[項166]
投与される前記インスリンの量が低減される、上記項165に記載の方法。
[項167]
インスリン療法が停止される、上記項165に記載の方法。
[項168]
前記対象が、インスリン、メトホルミン、スルホニル尿素、ナトリウム-グルコース共輸送体-2(sglt-2)阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-IV)阻害剤、グルタゾン、αグルコシダーゼ阻害剤、又はこれらの組み合わせを受けている、上記項69~167のいずれか一項に記載の方法。
[項169]
前記ペプチドの半減期が、約10~約12時間である、上記項69~168のいずれか一項に記載の方法。
[項170]
前記投与が、食餌及び運動を補助するものである、上記項69~169のいずれか一項に記載の方法。
[項171]
前記ペプチドが、配列番号19を含み、且つ
前記ペプチドが、100μgの初期用量で4日間投与され、150μgの第2用量で4日間投与された後、200μgの用量で毎日投与される、上記項1~170のいずれか1項に記載の方法。
[項172]
前記ペプチドが、配列番号19を含み、且つ
前記ペプチドが、100μgの初期用量で5日間投与され、200μgの第2用量で5日間投与された後、300μgの用量で毎日投与される、上記項1~170のいずれか1項に記載の方法。
[項173]
前記ペプチドが、配列番号19を含み、且つ
前記ペプチドが、100μgの初期用量で5日間投与され、150μgの第2用量で5日間投与され、200μgの第2用量で5日間投与された後、300μgの用量で毎日投与される、上記項1~170のいずれか1項に記載の方法。
[項174]
前記対象が、2型糖尿病を有する、上記項171~173のいずれか1項に記載の方法。
[項175]
前記対象が、肥満である、上記項171~173のいずれか1項に記載の方法。
[項176]
前記対象が、(i)過剰体重であり、且つ(ii)高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、心血管疾患の病歴又はこれらの組み合わせを有する、上記項171~173のいずれか一項に記載の方法。
[項177]
前記対象が、(i)過剰体重であり、且つ(ii)高血糖、高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸、又はこれらの組み合わせを有する、上記項171~173のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】ビヒクル処置、及びリラグルチドによる処置と比較して、3つの異なる用量のグルカゴン/GLP-1コアゴニストペプチドG730の投与後のDIOマウスの0日目からの体重の平均変化率(%)を示す。各群での出発体重は、それぞれ、ビヒクル:47.4±3.7g、G730 10nmol/kg:44.5±2.2g、G730 20nmol/kg:45.9±3.6g、及びG730 50nmol/kg:46.1±2.4gであった。
【
図2】ビヒクル処置、及びリラグルチドによる処置と比較して、3つの異なる用量のグルカゴン/GLP-1コアゴニストペプチドG797の投与後のDIOマウスの0日目からの体重の平均変化率(%)を示す。各群での出発体重は、それぞれ、ビヒクル:47.4±3.7g、G797 5nmol/kg:47.5±1.2g、G797 20nmol/kg:47.4±2.2g、及びG797 50nmol/kg:47.2±1.8gであった。
【
図3】ビヒクル処置、及びリラグルチドによる処置と比較して、20nmol/kgの用量のグルカゴン/GLP-1コアゴニストペプチドG812の投与後のDIOマウスの0日目からの体重の平均変化率(%)を示す。各群での出発体重は、それぞれ、ビヒクル:47.4±3.7g、及びG812 20nmol/kg:49.2±3.4gであった。
【
図4】
図1、2、及び3に示す3種のグルカゴン/GLP-1コアゴニストペプチドについて体重変化の結果を比較するグラフである。
【
図5】ビヒクル処置、及びリラグルチドによる処置と比較して、2つの異なる用量のグルカゴン/GLP-1コアゴニストペプチドG796の投与後のDIOマウスの0日目からの体重の平均変化率(%)を示す。
【
図6】ビヒクル処置、及びリラグルチドによる処置と比較して、2つの異なる用量のグルカゴン/GLP-1コアゴニストペプチドG865の投与後のDIOマウスの0日目からの体重の平均変化率(%)を示す。
【
図7】ビヒクル処置、及びリラグルチドによる処置と比較して、2つの異なる用量のグルカゴン/GLP-1コアゴニストペプチドG933の投与後のDIOマウスの0日目からの体重の平均変化率(%)を示す。
【
図8】
図5、6、及び7に示す3種のグルカゴン/GLP-1コアゴニストペプチドについて体重変化の結果を比較するグラフである。
【
図9】計画された、及び実際のG933単一用量漸増試験のフローチャートを表示する。
【
図10】G933単一用量漸増試験の
対象素因を表示する。
【
図11】G933単一用量漸増試験における
対象の中央血糖値を示す。
【
図12】G933単一用量漸増試験における
対象の中央インスリン値を示す。
【
図13】G933単一用量漸増試験におけるコホート1~4のフローチャートを表示する。MEDI0382は、配列番号19の配列を有する30アミノ酸直鎖ペプチドを指す。
【
図14】7日目にプラセボ又は100μgのG933で処置した
対象(コホート1)、11日目にプラセボ又は150μgのG933で処置した
対象(コホート2)、及び15日目にプラセボ又は200μgのG933で処置した
対象(コホート3)における平均混合食試験血糖値を示す。
【
図15】7日目にプラセボ又はG933で処置した
対象(コホート1)、9日目にプラセボ又はG933で処置した
対象(コホート3)、及び15日目にプラセボ又はG933で処置した
対象(コホート3)におけるベースライン空腹時血糖値の変化を示す。
【
図16】コホート1及び3の両方で試験期間にわたるベースライン体重からの体重変化、並びにコホート1及び3における7日目及び15日目の体重変化をそれぞれ示す。
【
図17】反復投与後のMEDI0382の血漿中濃度を示す。
【
図18】G933で処置した患者の血糖値によって測定される血糖コントロールの改善を示す。点線は、ベースライン(1日目)で観察された血糖値を表し、実線は、41日目で観察された血糖値を表す。
【
図19】G933で処置した患者のHbA1cによって測定される血糖コントロールの改善を示す。
【
図20】G933で処置した患者の絶対重量の減少を示す。(この図では、G933は、「MEDI」又は「0382」と称され;「Plac」は、プラセボを指す。)
【
図21】G933で処置した患者の減量率(%)を示す。(この図では、「MEDI」は、「MEDI0382」を指す。)
【
図22】G933で処置した患者の肝臓脂肪減少の評価を示す。個々の
対象からの代表的な画像が提供される。
【
図23】G933で処置した患者に起こった吐気及び嘔吐を示す。
【
図24】G933複数用量漸増試験におけるコホート5及び6のフローチャートを表示する。
【
図25】プラセボと比較して、G933で処置したコホート5患者の血糖値により測定される血糖コントロールの改善を示す。点線は、ベースライン(1日目)で観察された血糖値を表し、実線は、17日目で観察された血糖値を表す。(この図では、G933は、「MEDI」と称される。)
【
図26】プラセボと比較して、G933で処置したコホート6患者の血糖値により測定される血糖コントロールの改善を示す。点線は、ベースライン(1日目)で観察された血糖値を表し、実線は、17日目で観察された血糖値を表す。(この図では、G933は、「MEDI」と称される。)
【
図27】全コホートにおけるベースライングルコースAUCからの変化率(%)を示す。
【
図28】コホート5及び6における空腹時血糖値の改善を示す。(この図では、G933は、「MEDI」と称される。)
【
図29】コホート5及び6におけるベースラインからの体重変化を示す。(この図では、G933は、「MEDI」と称される。)
【
図30】全コホートにおける減量及び血糖の変化を示す。
【
図31】16日目及び22日目のコホート5並びに11日目及び17日目のコホート6におけるG933の血漿中濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
定義
本開示全体を通して、用語「1つの(a)」又は「1つの(an)」実体は、1つ又は複数の該実体を指し;例えば、「1つのポリヌクレオチド」は、1つ又は複数のポリヌクレオチドを示すと理解される。従って、用語「1つの(a)」(又は「1つの(an)」及び「少なくとも1つの」は、本明細書において置換え可能に用いることができる。
【0067】
さらに、本明細書で用いる「及び/又は」は、2つの明示された特徴又は構成要素の各々を他のものと一緒に又はなしで、具体的に開示するものとして理解すべきである。従って、本明細書において、「A及び/又はB」のようなフレーズに用いられる用語「及び/又は」は、「A及びB」、「A又はB」、「A」(単独)、並びに「B」(単独)を包含することが意図される。同様に、「A、B、及び/又はC」のようなフレーズに用いられる用語「及び/又は」は、以下の側面:A、B及びC;A、B、又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)を包含することが意図される。
【0068】
本明細書において、態様が、「含む」という表現と共に記載されている場合はいずれも、「から構成される」及び/又は「から本質的に構成される」の用語で記載される別の類似の態様も提供されることは理解されたい。特定のアミノ酸配列を「含む」ペプチドは、当該アミノ酸配列を含むペプチドを指し、ここで、ペプチドは、別のアミノ酸又は当該アミノ酸配列に対する他の修飾を含んでもよいし、含まなくてもよい。特定のアミノ酸配列から「構成される」ペプチドは、当該アミノ酸配列のみを含み、別のアミノ酸又は当該アミノ酸配列に対する他の修飾を含まないペプチドを指す。特定のアミノ酸配列から「構成される」アミノ酸配列を「含む」ペプチドは、当該アミノ酸配列を含み、別のアミノ酸を含まないが;ペプチドは、アミノ酸配列(例えば、アシル部分又はパルミトイル部分)に対する他の修飾を含み得る。
【0069】
別に定義されない限り、本明細書で用いる技術及び科学用語は全て、本開示が関連する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,第2版,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,第3版,1999,Academic Press;及びOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,改訂版,2000,Oxford University Pressは、本開示に用いられる用語の多くの一般的辞書を当業者に提供する。
【0070】
単位、接頭語、及び記号は、それぞれが国際単位系(SI)により容認される形態で表示する。数値の範囲は、範囲を定める数値を含む。別に指示のない限り、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシの方向で、左から右に記載する。本明細書に記載する見出しは、開示の様々な態様の限定ではなく、これらは、参照により全体を本明細書に組み込むことができる。従って、すぐ下に定義する用語は、本明細書の全体を参照することにより、より十全に定義される。
【0071】
本明細書で用いる場合、用語「ポリペプチド」は、単数の「ポリペプチド」、さらには複数の「ポリペプチド」を包含することが意図され、2つ以上のアミノ酸の任意の1つ又は複数の鎖を含む。従って、本明細書で用いる場合、1つの「ペプチド」、1つの「ペプチドサブユニット」、1つの「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、「アミノ酸配列」、又は2つ以上のアミノ酸の任意の1つ又は複数の鎖を指すのに用いられるいずれか他の用語は、たとえこれら用語の各々が、より特有の意味を有し得るとしても、「ポリペプチド」の定義に含まれる。用語「ポリペプチド」は、これらの用語のいずれかに代わり、またはそのいずれかと置換え可能に用いることができる。この用語はさらに、翻訳後又は合成後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質切断、又は非天然アミノ酸による修飾を受けたポリペプチドも含む。
【0072】
さらに具体的には、本明細書で用いる場合、用語「ペプチド」は、完全長ペプチド及び断片、その変異体若しくは誘導体、例えば、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、長さ29、30、若しくは31アミノ酸)を包含する。本明細書に開示する「ペプチド」例えば、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、例えば、半減期を延長するために、Fcドメイン又はアルブミンドメインなどの別の成分を含む融合ポリペプチドの一部であってよい。本明細書に記載するペプチドは、いくつかの異なる方法で誘導体化することもできる。
【0073】
用語「単離された」は、ペプチド又は核酸が、一般に、本開示に従ってなるであろう状態を指す。単離されたペプチド及び単離された核酸は、それらが天然で結合されている物質、例えば、それらの自然環境、又は調製がin vitro若しくはin vivoで実施される組換えDNA技術によるものである場合には、それらが調製される環境(例えば、細胞培養物)においてそれらと一緒に見いだされる他のペプチド若しくは核酸を含まないか、又は実質的に含まないであろう。ペプチド及び核酸は、希釈剤又は補助剤と一緒に製剤化することができ、さらに、実用的な目的のために単離することもでき、例えば、ペプチドは、免疫アッセイに使用するためのマイクロタイタープレートに塗布するために使用される場合、通常、ゼラチン若しくは他の担体と混合され、あるいは、診断又は治療法に使用される場合、薬学的に許容される担体若しくは希釈剤と一緒に混合され得る。
【0074】
「組換え」ペプチドは、組換えDNA技術によって生成されるペプチドを指す。宿主細胞に発現される、組換えにより生成されたペプチドは、任意の好適な技術により分離、分割、又は部分的若しくは実質的に精製されたネイティブ又は組換えポリペプチドであることから、本開示の目的のために単離されたとみなされる。
【0075】
用語「断片」、「類似体」、「誘導体」、又は「変異体」は、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを指す場合、少なくとも一部の要望される活性、例えば、グルカゴン及び/又はGLP-1受容体への結合を保持する任意のペプチドを含む。本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの断片は、発現、精製、及び又は対象への投与の際に、望ましい特性を呈示するタンパク質分解断片、欠失断片を含む。
【0076】
本明細書で用いる場合、用語「変異体」は、アミノ酸置換、欠失、挿入、及び/又は修飾によって、記載したペプチドとは異なるペプチドを指す。当分野では公知の突然変異誘導技術を用いて、変異体を作製することができる。変異体はさらに、あるいは、これに代わり、他の修飾を含むことができ、例えば、半減期、可溶性、若しくは安定性を増大するために、ペプチドを異種アミノ酸配列若しくは他の部分に結合又はカップリング、例えば、融合させることができる。本明細書に記載のペプチドに結合又はカップリングさせる部分の例として、限定するものではないが、アルブミン、免疫グロブリンFc領域、ポリエチレングリコール(PEG)などが挙げられる。ペプチドはまた、ペプチド(例:6-His)の合成、精製若しくは同定を容易にするために、又は固体支持体とのポリペプチドの結合を増強するために、リンカー又は他の配列に結合させるか、又はカップリングして作製することもできる。
【0077】
本明細書で用いる場合、用語「配列同一性」は、2つ以上のポリヌクレオチド配列同士、又は2つ以上のポリペプチド配列同士の関係を指す。1つの配列のある位置が、比較配列の対応位置と同じ核酸塩基又はアミノ酸によって占められているとき、配列は、その位置で「同一」であると言う。「配列同一性」の割合(%)は、両配列において同一の核酸塩基又はアミノ酸が存在する位置の数を決定して、「同一」位置の数を得ることにより計算する。次に、「同一」位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で割ってから、100を掛けることにより、「配列同一性」の割合(%)を取得する。「配列同一性」の割合(%)は、2つの最適にアラインメントした配列を、比較ウィンドウにわたって比較することにより決定する。比較のために配列を最適にアラインメントする目的で、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の部分は、ギャップと呼ばれる付加又は欠失を含んでもよいが、参照配列は、不変のまま維持する。最適なアラインメントは、ギャップがあっても、参照及び比較配列間で、考えられる最大の「同一」位置を生み出すアラインメントである。2つの配列同士の「配列同一性」の割合(%)は、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(2004年9月1日現在)から入手可能なプログラム「BLAST 2 Sequences」のバージョンを用いて決定することができ、このプログラムは、プログラムBLASTN(ヌクレオチド配列の比較用)とBLASTP(ポリペプチド配列の比較用)を含み、これらのプログラムは、Karlin及びAltschul(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90(12):5873-5877,1993)のアルゴリズムに基づく。「BLAST 2 Sequences」を使用する場合、2004年9月1日現在デフォルトパラメータであるパラメータを語長(3)、オープンギャップペナルティ(11)、伸長ギャップペナルティ(1)、ギャップドロップオフ(50)、期待値(10)について用いることができ、また、限定はしないが、マトリクスオプションなどの任意の他の必要なパラメータを用いてもよい。
【0078】
用語「組成物」又は「医薬組成物」は、治療を必要とする対象、例えば、肥満を治療中のヒト対象への投与のための、例えば、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤と一緒に、本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを含有する組成物を指す。
【0079】
用語「薬学的に許容される」は、正しい医学的判断の範囲内で、過剰な毒性又は他の合併症なしに、妥当な利益/リスク比で、ヒト及び動物の組織との接触に好適な組成物を指す。
【0080】
「有効な量」は、単一用量又はシリーズの一部としてのいずれかで、対象に投与した場合、治療、例えば、肥満の治療に有効な、本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの量である。ある量は、例えば、その投与により、減量又は体重維持(例えば、増量の予防)、体脂肪の減少、低血糖の予防若しくは調節、高血糖の予防若しくは調節、インスリン合成の促進、又は食物摂取の抑制のうち1つ又は複数が達成されるとき、有効である。この量は、治療を受ける全ての対象について一定量であってもよいし、又は治療しようとする対象の体重、健康状態、及び体調、要望される減量又は体重維持の程度、ペプチドの製剤化、医学的状況、並びに他の関連因子に応じて変動し得る。
【0081】
用語「対象」は、本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを用いた治療を必要とする任意の対象、特に哺乳動物の対象を意味する。哺乳動物の対象として、限定はしないが、ヒト、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、畜牛、クマ、乳牛、類人猿、サル、オランウータン、及びチンパンジーなどが挙げられる。一実施形態では、対象は、ヒト対象である。
【0082】
本明細書で用いる場合、「それを必要とする対象」は、治療することが望ましい個体、例えば、体重若しくは体脂肪減少、体重若しくは体脂肪維持を促進すること又は、指定された期間にわたって増量を予防若しくは最小限にすることが望ましい肥満の対象又は肥満になりやすい対象を指す。
【0083】
用語「治療する(こと)」又は「治療」又は「治療すること」は、診断された病状又は障害を治癒する、及び/又は進行を停止させる治療処置を指す。「予防する(こと)」などの用語は、標的とする病状又は障害を予防する、及び/又はその発生を緩和する予防又は防止処置を指す。従って、治療を必要とする者は、疾患又は病状をすでに有する者を含む。予防を必要とする者は、疾患又は病状に罹患しやすい者並びに疾患又は病状を予防しようとする者を含む。例えば、過剰体重に起因する、若しくは過剰体重を特徴とする疾患又は病状を有する「患者を治療する(こと)」というフレーズは、対象が、それによる不快さ及び/又は機能の変化を被ることがなくなる程度まで疾患又は病状の重症度を低減することを指す。過剰体重に起因する、若しくは過剰体重を特徴とする疾患又は病状を「予防する(こと)」というフレーズは、疾患若しくは病状の可能性を低減する、及び/又は疾患若しくは病状の発生を低減すること(例えば、非治療患者と比較して発生の相対的減少)を指す。
【0084】
「重症度を低減する(こと)」のような用語は、診断された病状又は障害の症状を緩和する、又は軽減する治療処置を指す。例えば、過剰体重に起因する、若しくは過剰体重を特徴とする疾患又は病状の「重症度を低減する(こと)」というフレーズは、疾患若しくは病状の重症度を低減すること(例えば、非治療患者と比較して体重の減少、又は血糖コントロールの向上)を指す。
【0085】
本明細書で用いる場合、「GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド」は、グルカゴン受容体において、ネイティブグルカゴンと比べ、少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又はそれを超える活性を呈示し、かつ、アッセイ1の条件下で、GLP-1受容体において、ネイティブGLP-1と比べ、少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又はそれを超える活性を呈示するキメラペプチドである。
【0086】
本明細書で用いる場合、用語「ネイティブグルカゴン」は、配列番号1の配列を含む、天然に存在するグルカゴン、例えば、ヒトグルカゴンを指す。用語「ネイティブGLP-1」は、天然に存在するGLP-1、例えば、ヒトGLP-1を指し、例えば、GLP-1(7~36)アミド(配列番号2)、GLP-1(7~37)酸(配列番号3)又はこれら2つの化合物の混合物を包含する総称である。本明細書で用いる場合、「グルカゴン」又は「GLP-1」は、それ以上の呼称がない場合、ネイティブヒトグルカゴン又はネイティブGLP-1をそれぞれ意味するものとする。他に指示のない限り、「グルカゴン」は、ヒトグルカゴンを指し、また、「GLP-1」は、ヒト「GLP-1」を指す。
【0087】
GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド
本明細書には、グルカゴン受容体とGLP-1受容体の両方に結合するペプチドが記載される。例示的なペプチドは、国際公開第2014/091316号パンフレットに記載されており、これは、その全体を参照により本明細書に組み込む。特定の実施形態では、ペプチドは、MEDI0382、すなわち、残基10にγグルタミン酸リンカー及びパルミトイル基誘導化を含有する配列番号19の配列を含む30アミノ酸直鎖ペプチドである。特定の実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、グルカゴン及びGLP-1活性のコアゴニストである。このようなペプチドは、本明細書において、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドと呼ぶ。本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、減量を促進し、増量を予防するか、又は望ましい体重を維持する上で好都合な比でGLP-1及びグルカゴン活性を有し、かつ最適化された可溶性、製剤化性、及び安定性を備える。特定の実施形態では、本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、ヒトGLP-1及びヒトグルカゴン受容体において活性であり、特定の実施形態では、GLP-1受容体において天然リガンドと比較した相対活性は、グルカゴン受容体でのものより、少なくとも約1倍、2倍、5倍、8倍、10倍、15倍、20倍、又は25倍高い。
【0088】
特定の実施形態では、開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、グルカゴン及びGLP-1受容体において望ましい力価を有し、減量を促進する上で望ましい相対力価を有する。特定の実施形態では、開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、cAMPアッセイ1(実施例2を参照)でのEC50により示されるように、GLP-1受容体において、10,000pM未満、5000pM未満、2500pM未満、1000pM未満、900pM未満、800pM未満、700pM未満、600pM未満、500pM未満、400pM未満、300pM未満、200pM未満、100pM未満、50pM未満、25pM未満、20pM未満、15pM未満、10pM未満、5pM未満、4pM未満、3pM未満、又は2pM未満のin vitro力価を呈示する。特定の実施形態では、開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、4.4%ヒト血清アルブミン中のcAMPアッセイ(アッセイ2、実施例2を参照)でのEC50により示されるように、GLP-1受容体において、10,000pM未満、5000pM未満、2500pM未満、1000pM未満、900pM未満、800pM未満、700pM未満、600pM未満、500pM未満、400pM未満、300pM未満、200pM未満、100pM未満、50pM未満、25pM未満、20pM未満、15pM未満、10pM未満、5pM未満、4pM未満、3pM未満、又は2pM未満のin vitro力価を呈示する。特定の実施形態では、開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、cAMPアッセイ1(実施例2を参照)でのEC50により示されるように、グルカゴン受容体において、10,000pM未満、5000pM未満、2500pM未満、1000pM未満、900pM未満、800pM未満、700pM未満、600pM未満、500pM未満、400pM未満、300pM未満、200pM未満、100pM未満、50pM未満、25pM未満、20pM未満、15pM未満、10pM未満、5pM未満、4pM未満、3pM未満、又は2pM未満のin vitro力価を呈示する。特定の実施形態では、開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、4.4%ヒト血清アルブミン中のcAMPアッセイ(アッセイ2、実施例2を参照)でのEC50により示されるように、グルカゴン受容体において、10,000pM未満、5000pM未満、2500pM未満、1000pM未満、900pM未満、800pM未満、700pM未満、600pM未満、500pM未満、400pM未満、300pM未満、200pM未満、100pM未満、50pM未満、25pM未満、20pM未満、15pM未満、10pM未満、5pM未満、4pM未満、3pM未満、又は2pM未満のin vitro力価を呈示する。特定の実施形態では、本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、アッセイ2で用いる場合、ネイティブリガンドと比較して、約0.01~0.50の範囲、例えば、約0.02~0.30、例えば、約0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、又は0.30の相対GLP1-R/glucR力価比を有する。
【0089】
特定の実施形態では、開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、cAMPアッセイ1(実施例2を参照)でのEC50により示されるように、グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(胃抑制ペプチド)(GIPR:gastric inhibitory peptide)で、10,000pM未満、5000pM未満、2500pM未満、1000pM未満、900pM未満、800pM未満、700pM未満、600pM未満、500pM未満、400pM未満、300pM未満、200pM未満、100pM未満、50pM未満、25pM未満、20pM未満、15pM未満、10pM未満、5pM未満、4pM未満、3pM未満、又は2pM未満のin vitro力価を呈示する。特定の実施形態では、開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、4.4%ヒト血清アルブミン中のcAMPアッセイ(アッセイ2、実施例2を参照)でのEC50により示されるように、GIPRで、10,000pM未満、5000pM未満、2500pM未満、1000pM未満、900pM未満、800pM未満、700pM未満、600pM未満、500pM未満、400pM未満、300pM未満、200pM未満、100pM未満、50pM未満、25pM未満、20pM未満、15pM未満、10pM未満、5pM未満、4pM未満、3pM未満、又は2pM未満のin vitro力価を呈示する。
【0090】
特定の実施形態では、本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、許容可能な可溶性、製剤化しやすさ、血漿安定性、及び改善された薬物動力学特性の1つ又は複数の基準を有する。特定の実施形態では、開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、広範なpH範囲にわたって標準バッファー中に可溶性である。
【0091】
特定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、一般的バッファー溶液中に、最大0.5mg/ml、0.6mg/ml、0.7mg/ml、0.8mg/ml、0.9mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、又はそれを超える濃度で、バッファー系に、例えば、0.25~150mMのイオン強度の範囲で可溶性であり、限定はしないが、リン酸バッファー、Trisバッファー、グルタミン酸バッファー、酢酸バッファー、コハク酸バッファー、又はヒスチジンバッファーが挙げられる。例示的バッファーとしては、100mMグルタミン酸pH4.5バッファー、100mM酢酸pH5バッファー、100mMコハク酸pH5バッファー、100mMリン酸pH6バッファー、100mMヒスチジンpH6バッファー、100mMリン酸pH6.5バッファー、100mMリン酸pH7.0バッファー、100mMヒスチジンpH7.0バッファー、100mMリン酸pH7.5バッファー、100mM Tris pH7.5バッファー、100mM Tris pH8.0バッファーが挙げられる。特定の実施形態では、開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、例えば、pH4.0~pH8.0のpH範囲にわたって、例えば、pH4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、又は8.5で、0.8mg/mlの標準的バッファーに可溶性である。特定の実施形態では、開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、pH4.5~8.0、5.0~8.0、5.5~8.0、6.0~8.0、6.5~8.0、7.0~8.0、4.5~8.5、5.5~8.5、5.5~8.5、6.0~8.5、6.5~8.5、又は7.0~8.5の標準的バッファーに可溶性である。
【0092】
特定の実施形態では、開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、標準的医薬製剤中に製剤化可能である。例示的製剤として、限定はしないが、以下のものが挙げられる:0.1M Tris pH7.5、150mM マンニトール、最終製剤pH=7.2;0.05M Tris、50mM アルギニン/プロリン、最終製剤pH=8.0;又はリン酸ナトリウムバッファー(pH8)/1.85%W/Vプロピレングリコール、最終製剤pH=7.0。特定の実施形態では、開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、最大0.5mg/ml、0.6mg/ml、0.7mg/ml、0.8mg/ml、0.9mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、又はそれを超える濃度で、上記又は他の製剤に可溶性である。
【0093】
特定の実施形態では、開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、血清又は血漿中のプロテアーゼに対して許容可能に安定している。グルカゴン又はGLP-1の一般的分解産物としては、+1産物(酸)及びDPP IV-分解産物がある。+1質量を有する産物は、グルタミンのアミド基又はC末端での脱アミド化から生じ得る。分解産物は、血漿中のプロテアーゼDPP IVの作用から生じ得る。特定の実施形態では、開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、37℃の血漿中24時間後、最大30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%のレベルで血漿中に安定したままである。
【0094】
本明細書において、アミノ酸配列:
HX2QGTFTSDX10SX12X13LX15X16X17X18AX20X21FX23X24WLX27X28GX30;
(ここで、X2は、G又はSであり、X10は、Y又はKであり、X12は、K、E、R、又はSであり、X13は、K又はYであり、X15は、D又はEであり、X16は、S又はGであり、X17は、E、R、Q、又はKであり、X18は、R、S、又はAであり、X20は、R、K、又はQであり、X21は、D又はEであり、X23はV又はIであり、X24は、A又はQであり、X27は、E又はVであり、X28は、A又はKであり、X30は、G又はRである)(配列番号4)。特定の実施形態では、上に示す単離されたペプチド(配列番号4)が提供され、ここで、X2は、Gであり、X10は、Kであり、X12は、E、R、又はSであり、X13は、Kであり、X17は、E又はKであり、X18は、Sであり、X20は、Rであり、X27は、Eであり、且つ/又はX28は、Aである。特定の実施形態では、上に示す単離されたペプチド(配列番号4)が提供され、ここで、X10は、Kであり、X12は、Eであり、X17は、Eであり、X20は、Rであり、X27は、Eであり、且つ/又はX28は、Aである。
【0095】
特定の実施形態では、上に示す単離されたペプチドが提供され、ここで、X2は、Sであり、X10は、Y又はKであり、X12は、K、E、R、又はSであり、X13は、K又はYであり、X15は、Dであり、X16は、Sであり、X17は、E、R、Q、又はKであり、X18は、R、S、又はAであり、X20は、Rであり、X21は、Dであり、X23は、Vであり、X24は、Aであり、X27は、E又はVであり、X28は、Aであり、X30は、Gである(配列番号5)。特定の実施形態では、上に示す単離されたペプチドが提供され、ここで、X17がEで、且つX18がRであるとき、X2は、Sであり、X10は、Y又はKであり、X12は、K、E、R、又はSであり、X13は、K又はYであり、X15は、Dであり、X16は、Sであり、あるいは、X17がRで、且つX18がSであるとき、X20は、Rであり、X21は、Dであり、X23は、Vであり、X24は、Aであり、X27は、E又はVであり、X28は、Aであり、X30は、Gである(それぞれ、配列番号6及び配列番号7)。特定の実施形態では、上に示す単離されたペプチドが提供され、ここで、X17がEで、且つX18がRであるとき、X2は、Sであり、X10は、Yであり、X12は、Kであり、X13は、Kであり、X15は、Dであり、X16は、Sであり、あるいは、X17がRで、且つX18がSであるとき、X20は、Rであり、X21は、Dであり、X23は、Vであり、X24は、Aであり、X27は、Vであり、X28は、Aであり、X30は、Gである(それぞれ、配列番号8及び配列番号9)。特定の実施形態では、上に示す単離されたペプチドが提供され、ここで、X17がEで、且つX18がRであるとき、X2は、Sであり、X10は、Kであり、X12は、K、E、R、若しくはSであり、X13は、Yであり、X15は、Dであり、X16は、Sであり、また、X17がRで、且つX18がSであるとき、X20は、Rであり、X21は、Dであり、X23は、Vであり、X24は、Aであり、X27は、Eであり、X28は、Aであり、X30は、Gである(それぞれ、配列番号10及び配列番号11)。特定の実施形態では、上に示す単離されたペプチドが提供され、ここで、X17がEで、且つX18がRであるとき、X2は、Sであり、X10は、Kであり、X12は、Eであり、X13は、Yであり、X15は、Dであり、X16は、Sであり、あるいは、X17がRで、且つX18がSであるとき、X20は、Rであり、X21は、Dであり、X23は、Vであり、X24は、Aであり、X27は、Eであり、X28は、Aであり、X30は、Gである(それぞれ、配列番号12及び配列番号13)。特定の実施形態では、上に示す単離されたペプチドが提供され、ここで、X17がEで、且つX18がRであるとき、X2は、Sであり、X10は、Kであり、X12は、Rであり、X13は、Yであり、X15は、Dであり、X16は、Sであり、あるいは、X17がRで、且つX18がSであるとき、X20は、Rであり、X21は、Dであり、X23は、Vであり、X24は、Aであり、X27は、Eであり、X28は、Aであり、X30は、Gである(それぞれ、配列番号14及び配列番号15)。
【0096】
本明細書に記載するGLP-1/グルカンアゴニストペプチドとしては、限定されないが、G730(配列番号16)、G797(配列番号17)、G849(配列番号18)、G933(配列番号19)、G865(配列番号20)、G796(配列番号21)、G812(配列番号22)及びG380(配列番号23)がある。これらのGLP-1/グルカンアゴニストペプチドを表1に列記する:
【0097】
【0098】
特定の実施形態では、単離されたペプチドは、G933(配列番号19)である。
【0099】
ペプチドG797及びG933はいずれも、12位にグルタミン酸残基を有し、実施例2に示すように、グルカゴン及びGLP-1受容体の両方で頑健な活性を維持する。対応する残基は、エクセンディン-4及びグルカゴンではリシンであり、GLP-1においてはセリンである。この残基は、受容体と接触すると考えられていないが、正から負への電荷の変化が、隣接する環境を改変し得る。さらに、G797、G849及びG933は、27位にグルタミン酸残基を有する。残基27はエクセンディン-4ではリシンであり、GLP-1(バリン)及びグルカゴン(メチオニン)では非荷電疎水性残基である。エキセナチド(exenatide)のリシンは、残基Glu127及びGlu24におけるGLP1受容体との静電気的相互作用をもたらす(C.R.Underwood et al J Biol Chem 285 723-730(2010);S.Runge et al J Biol Chem 283 11340-11347(2008))。27位の電荷が負に変化すると、GLP1R力価の損失を予想し得るのに対し、この変化は、G797、G849、及びG933におけるGLP1R活性と適合性である。
【0100】
MEDI0382は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)及びグルカゴン受容体の合成ペプチド二重アゴニストである。MEDI0382は、G933(配列番号19)であり、これは、残基10にγグルタミン酸リンカー及びパルミトイル基誘導化を含む。
【0101】
MEDI0382は、化学的に合成される。樹脂上でのペプチド鎖伸長は、Fmoc-アミノ酸のカップリングのために製造者が供給するプロトコルを用いて、固相ペプチド合成装置により実施する。グルタミン残基20及び24は、脱アミノ化に対して感受性ではないアミノ酸で置換され、アルギニン残基17は、タンパク質分解に対する感受性を低減するためにグルタミン酸塩で置換される。
【0102】
MEDI0382の配列を以下に示す:
【0103】
L-ヒスチジル-L-セリル-L-グルタミニルグリシル-L-トレオニル-L-フェニルアラニル-L-トレオニル-L-セリル-L-α-アスパルチル-(N6-[N-(1-オキソヘキサデシル)-L-γ-グルタミル])L-リシル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-チロシル-L-ロイシル-L-α-アスパルチル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-アルギニル-L-アラニル-L-アルギニル-L-α-L-アスパルチル-L-フェニルアラニル-L-バリル-L-アラニル-L-トリプトフィル-L-ロイシル-L-α-グルタミル-L-アラニルグリシルグリシン
【化1】
【0104】
GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの製造方法
本開示は、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの製造方法を提供する。本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、任意の好適な方法により製造することができる。例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、当業者には周知の方法、例えば、Merrifield(1963,J.Am.Chem.Soc.85:2149-2154)により記載される固相合成法により、化学的に合成される。例えば、標準的試薬(例えば、実施例1で説明するような)を用いる自動合成装置により、固相ペプチド合成を達成することができる。
【0105】
あるいは、本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、当業者には周知である好都合なベクター/宿主細胞の組み合わせを用いて、組換えにより生産することもできる。GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを組換えにより生産するための様々な方法が入手可能である。一般に、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を適切な発現ビヒクル、例えば、挿入されたコード配列の転写及び翻訳に必要なエレメントを含有するベクターに挿入する。GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドをコードする核酸を適正なリーディングフレーム内のベクターに挿入する。次に、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを発現する好適な宿主細胞に、発現ベクターをトランスフェクトする。好適な宿主細胞として、限定はしないが、細菌、酵母、又は哺乳動物細胞がある。市販の様々な宿主発現ベクター系を用いて、本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを発現させ得る。
【0106】
修飾、コンジュゲート、融合、及び誘導体化
特定の実施形態では、本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、アミノ酸修飾により安定化される。特定の実施形態では、C末端アミノ酸のカルボキシル基をアミド化する。特定の実施形態では、C末端アミノ酸は、アミド化グリシン、例えば、G730、G797、G849、G865、G796、G812及びG380である。特定の実施形態では、例えば、G933、すなわち、C末端グリシンは、非修飾酸である。特定の実施形態では、1又は複数個のアミノ酸残基がアシル化されているGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドが提供される。例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、1又は複数個のリシン残基を含有し、ここで、パルミトイル部分は、N(ε)基と結合している。特定の実施形態では、リンカーは、リシンとパルミトイル基との間に組み込まれる。このリンカーはγグルタミン酸基、又は限定されないが、βアラニン及びアミノヘキサン酸などの別のリンカーであってもよい。コレステロール又はミリストイル基の付加といった異なるアシル化方法を用いてもよい。特定の実施形態では、13位(例えば、G730)にパルミトイル部分を付加する。特定の実施形態では、パルミトイル部分は、10位(例えば、G797、G849、G933、G865、G796、及びG812)に付加される。特定の実施形態では、パルミトイル部分は、17位(例えば、G380)に付加される。
【0107】
本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド、例えば、G730、G797、G849、及びG933は、実施例1に記載するように、血清アルブミンとの結合によりその半減期を延長し、これによって、腎クリアランスの傾向を低減するために、パルミトイル化することができる。
【0108】
上記に代わり、又はこれに加えて、例えば、半減期を延長するために、本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを異種部分と結合することができる。異種部分は、タンパク質、ペプチド、タンパク質ドメイン、リンカー、有機ポリマー、無機ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ビオチン、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、HSA FcRn結合部位、抗体、抗体のドメイン、抗体断片、単鎖抗体、ドメイン抗体、アルブミン結合ドメイン、酵素、リガンド、受容体、結合ペプチド、非FnIIIスカフォールド、エピトープタグ、組換えポリペプチドポリマー、サイトカイン、又はこれらの部分の2つ以上の組み合わせであってよい。
【0109】
例えば、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを異種ポリペプチドと融合させることができる。組換え遺伝子融合及び発現又は化学結合のいずれかによって、本ペプチドをタンパク質と融合させることができる。融合するパートナーとして好適なタンパク質として、限定はしないが、ヒト血清アルブミン、抗体、及び抗体のFc部分との融合を含む抗体断片がある。GLP-1は、力価を保持しながら、これらのタンパク質と融合されている(L.Baggio et al,Diabetes 53 2492-2500(2004);P.Barrington et al Diabetes,Obesity and Metabolism 13 426-433(2011);P.Paulik et alアメリカ糖尿病学会(American Diabetes Association)2012,Poster 1946)。伸長された組換えペプチド配列は、ペプチドに高分子量を付与することも記載されている(V.Schellenberger et al Nature Biotechnol 27 1186-1190(2009);PASylation(欧州特許出願公開第2173890号明細書))。特定の実施形態では、C末端での融合パートナー、例えば、アルブミン又はFc部分と一緒に、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを融合タンパク質のN末端部分として組み込む。本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、ヒト血清アルブミンに対する親和性を有する「Albudabs」などのペプチド又はタンパク質ドメインに融合することもできる(M.S.Dennis et al J Biol Chem 277 35035-35043(2002);A.Walker et al Protein Eng Design Selection 23 271-278(2010))。本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを異種ポリペプチド、例えば、アルブミン又はFc領域と融合させる方法は、当業者には周知である。
【0110】
さらに安定化させるか、又は半減期を延長するために、他の異種部分をGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドと結合することもできる。化学的融合の場合、特定の実施形態は、遊離N末端の維持を特徴とするが、誘導体化のための別の地点を作製することもできる。さらに別の方法は、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)などの大きな化学物部分(large chemical moiety)とペプチドを誘導体化するものである。「ペグ化GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド」は、これに共有結合したPEG鎖を有する。GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの誘導体化、例えば、ペグ化を、パルミトイル化したリシン、あるいは、置換された、又は誘導体化を可能にするような伸長により組み込まれたシステインなどの残基において実施することができる。前述のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドフォーマットは、in vitro及び/又はin vivoで、相対力価と、GLP-1及びグルカゴン受容体活性化の間の均衡とに関して特徴付けることができる。
【0111】
一般的用語「ポリエチレングリコール鎖」又は「PEG鎖」は、エチレンオキシドの縮合ポリマーと水の混合物を指し、これは、一般式H(OCH2CH2)nOH(nは、3、4、5、6、7、8、9、又はそれを超える整数である)で表される分岐又は直鎖状である。PEG鎖は、約500~約40,000ダルトンの範囲から選択される平均総分子量を有するエチレングリコールのポリマーを含む。PEG鎖の平均分子量は、数値により示され、例えば、PEG-5,000は、約5,000の総平均分子量を有するポリエチレングリコール鎖を指す。
【0112】
PEG化は、当分野では公知のPEG化反応のいずれかにより実施することができる。例えば、Focus on Growth Factors,3:4-10,1992及び欧州特許出願公開第0 154 316号明細書及び同第0 401 384号明細書を参照されたい。PEG化は、反応性ポリエチレングリコール分子(又は類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応又はアルキル化反応を用いて実施することができる。
【0113】
PEG化GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを調製する方法は、一般に、(a)分子が、1又は複数個のPEG基に結合する条件下で、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドをポリエチレングリコール(例えば、PEGの反応性エステル若しくはアルデヒド誘導体)と反応させるステップと、(b)反応産物を取得するステップを含む。
【0114】
医薬組成物
さらには、代謝疾患、例えば、肥満の治療のために製剤化される、有効量の本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを含有する組成物、例えば、医薬組成物が提供される。
【0115】
本開示の組成物は、公知の方法に従い製剤化することができる。好適な調製方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第19版,A.R.Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1995)に記載されており、この文献は、参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。組成物は、限定はしないが、水溶液、エマルジョン、ゲル、懸濁液、凍結乾燥形態、又は当分野で知られる任意の他の形態などの様々な形態であってよい。さらに、組成物は、例えば、希釈剤、結合剤、安定剤、及び防腐剤などの薬学的に許容される添加剤を含んでもよい。製剤化されたら、本発明の組成物を対象に直接投与することができる。
【0116】
本発明の組成物と一緒に用いることができる担体は、当分野では公知であり、限定はしないが、例えば、チログロブリン、ヒト血清アルブミンのようなアルブミン、破傷風トキソイド、及びポリL-リシン、ポリL-グルタミン酸のようなポリアミノ酸、インフルエンザ、B型肝炎ウイルスコアタンパク質などが挙げられる。様々な水性担体を用いることができ、例えば、水、緩衝水、0.8%食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸などがある。従来の公知の滅菌技術で組成物を滅菌することもできるし、又は濾過滅菌することもできる。得られた組成物をそのまま、又は凍結乾燥して、使用のためにパッケージングすることができ、凍結乾燥した調製物は、投与前に滅菌液と合わせる。組成物は、生理学的条件に近づけるのに必要な、pH調節及び緩衝剤、張性調節剤、湿潤剤などの薬学的に許容される補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンなどを含有してもよい。
【0117】
治療方法
有効な血糖コントロールによる実質的な非外科的減量は、依然として2型糖尿病患者の重要なアンメットニーズである。本明細書に記載する治療方法は、このニーズを満たすことができる。
【0118】
GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、グルカゴンの作用、例えば、食物摂取の抑制又は血糖値の調節と、GLP-1の作用、例えば、胃運動性の抑制、又はインスリン放出の促進を組み合わせることができる。従って、これらは、過剰な脂肪組織の排除を加速し、持続可能な減量を誘導すると共に、血糖コントロールを改善することができる。GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)はまた、高コレステロール、及び高LDL-コレステロール又は異常なHDL/LDL比などの心血管リスク因子を低減するように作用することもできる。GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、さらに、トリグリセリドを低減するように作用することもできる。
【0119】
本開示は、肥満又は肥満関連疾患若しくは障害を治療する方法を提供し、この方法は、治療を必要とする対象に、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を投与するステップを含む。特定の事例では、投与は、食餌及び運動を補助するものである。さらに、肥満又は肥満関連疾患若しくは障害の治療のための50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)が提供される。肥満又は肥満関連疾患若しくは障害の治療のための薬剤の製造における、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)の使用も提供される。50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、単回又は分割用量で投与することができる。さらに、50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、漸増用量(例えば、100μgの初期用量、150又は200μgの第2用量、並びに任意選択で、200、300若しくは400μgの第3用量といった用量漸増法、例えば、その際、初期用量及び/若しくは第2用量は、3~10日間又は3~7日間投与する)で投与することができる。特定の事例では、対象は、2型糖尿病を有する。特定の事例では、対象は、30~39.9kg/m2のボディマスインデックス(BMI)を有する。特定の事例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。
【0120】
本開示は、減量方法も提供し、この方法は、治療を必要とする対象に、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を投与するステップを含む。50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、単回又は分割用量で投与することができる。さらに、50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、漸増用量(例えば、100μgの初期用量、150又は200μgの第2用量、並びに任意選択で、200、300若しくは400μgの第3用量といった用量漸増法、例えば、その際、初期用量及び/若しくは第2用量は、3~10日間又は3~7日間投与する)で投与することができる。特定の実施形態では、投与は、食餌及び運動を補助するものである。特定の事例では、対象は、2型糖尿病を有する。特定の事例では、対象は、27~40kg/m2のBMIを有する。特定の事例では、対象は、30~39.9kg/m2のBMIを有する。特定の事例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。特定の事例では、対象は過剰体重である。特定の事例では、対象は肥満である。
【0121】
本開示は、体脂肪を減らす方法も提供し、この方法は、治療を必要とする対象に、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を投与するステップを含む。50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、単回又は分割用量で投与することができる。さらに、50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、漸増用量(例えば、100μgの初期用量、150又は200μgの第2用量、並びに任意選択で、200、300若しくは400μgの第3用量といった用量漸増法、例えば、その際、初期用量及び/若しくは第2用量は、3~10日間又は3~7日間投与する)で投与することができる。特定の事例では、投与は、食餌及び運動を補助するものである。特定の事例では、対象は、2型糖尿病を有する。特定の事例では、対象は、27~40kg/m2のBMIを有する。特定の事例では、対象は、30~39.9kg/m2のBMIを有する。特定の事例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。特定の事例では、対象は過剰体重である。特定の事例では、対象は肥満である。特定の事例では、脂肪は、肝臓脂肪である。肝臓脂肪の減少によって、インスリン感受性の増大及び/又は肝機能の改善を達成することができる。特定の事例では、対象の肝臓脂肪は、少なくとも20%減少する。特定の事例では、対象の肝臓脂肪は、約20%~約40%減少する。特定の事例では、投与によって、肝臓脂肪の約三分の一の減少が達成される。特定の事例では、対象の肝体積は縮小する。特定の事例では、投与によって、ヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルが(例えば、少なくとも0.6%、少なくとも0.9%、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約3%、又は6.3%以上)低下する。
【0122】
本開示は、さらに、体重を管理する方法も提供し、この方法は、治療を必要とする対象に、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を投与するステップを含む。50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、単回又は分割用量で投与することができる。さらに、50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、漸増用量(例えば、100μgの初期用量、150又は200μgの第2用量、並びに任意選択で、200、300若しくは400μgの第3用量といった用量漸増法、例えば、その際、初期用量及び/若しくは第2用量は、3~10日間又は3~7日間投与する)で投与することができる。特定の事例では、投与は、食餌及び運動を補助するものである。特定の事例では、対象は、2型糖尿病を有する。特定の事例では、対象は、27~40kg/m2のBMIを有する。特定の事例では、対象は、30~39.9kg/m2のBMIを有する。特定の事例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。特定の事例では、対象は過剰体重である。特定の事例では、対象は肥満である。
【0123】
本開示は、さらに、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療する方法も提供し、この方法は、治療を必要とする対象に、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を投与するステップを含む。50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、単回又は分割用量で投与することができる。さらに、50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、漸増用量(例えば、100μgの初期用量、150又は200μgの第2用量、並びに任意選択で、200、300若しくは400μgの第3用量といった用量漸増法、例えば、その際、初期用量及び/若しくは第2用量は、3~10日間又は3~7日間投与する)で投与することができる。特定の事例では、投与は、食餌及び運動を補助するものである。投与によって、体重を減らす、又は肥満を治療することもできる。特定の事例では、対象は、27~40kg/m2のBMIを有する。特定の事例では、対象は、30~39.9kg/m2のBMIを有する。特定の事例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。特定の事例では、対象は過剰体重である。特定の事例では、対象は肥満である。
【0124】
本明細書に記載するように、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、増量の予防、脂肪(例えば、肝臓脂肪)増加の予防、減量の促進、脂肪(例えば、肝臓脂肪)減少の促進、過剰体重の低減、脂肪(例えば、肝臓脂肪)の低減、又は病的肥満を含む肥満の治療(例えば、食欲、給餌、食物摂取、カロリー摂取、及び/又はエネルギー消費の管理により)のために投与することができる。エネルギー消費の増加は、例えば、肝臓中の脂肪酸及び/又はグルコースの酸化増大によって達成され得る。本開示は、さらに、過剰体重又は過剰体脂肪に起因する、若しくはそれらを特徴とする疾患又は病状を治療又は予防する方法も提供し、この方法は、治療を必要とする対象に、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を投与するステップを含む。特定の実施形態では、投与は、食餌及び運動を補助するものである。さらに、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、他の肥満関連代謝障害の治療のために使用することもできる。50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、単回又は分割用量で投与することができる。さらに、50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、漸増用量(例えば、100μgの初期用量、150又は200μgの第2用量、並びに任意選択で、200、300若しくは400μgの第3用量といった用量漸増法、例えば、その際、初期用量及び/若しくは第2用量は、3~10日間又は3~7日間投与する)で投与することができる。他の肥満関連(過剰体重関連)障害の例を以下に挙げるが、これらに限定されるわけではない:インスリン抵抗性、耐糖能障害、糖尿病前期、空腹時血糖値上昇、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症(又はこれら代謝リスク因子の組み合わせ)、グルカゴン産生腫瘍、心血管疾患、例えば、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化(atherosclerois)、動脈硬化、冠動脈性心疾患、又は抹消動脈疾患、発作、呼吸不全、又は腎疾患。
【0125】
本開示は、さらに、2型糖尿病を治療する方法も提供し、この方法は、治療を必要とする対象に、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を投与するステップを含む。50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、単回又は分割用量で投与することができる。さらに、50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、漸増用量(例えば、100μgの初期用量、150又は200μgの第2用量、並びに任意選択で、200、300若しくは400μgの第3用量といった用量漸増法、例えば、その際、初期用量及び/若しくは第2用量は、3~10日間又は3~7日間投与する)で投与することができる。特定の事例では、投与は、食餌及び運動を補助するものである。投与によって、体重を減らす、又は肥満を治療することもできる。特定の事例では、対象は、27~40kg/m2のBMIを有する。特定の事例では、対象は、30~39.9kg/m2のBMIを有する。特定の事例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。特定の事例では、対象は過剰体重である。特定の事例では、対象は肥満である。
【0126】
本開示は、さらに、血糖コントロールを改善する、又は血糖コントロールを達成する方法も提供し、この方法は、治療を必要とする対象に、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を投与するステップを含む。50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、単回又は分割用量で投与することができる。さらに、50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、漸増用量(例えば、100μgの初期用量、150又は200μgの第2用量、並びに任意選択で、200、300若しくは400μgの第3用量といった用量漸増法、例えば、その際、初期用量及び/若しくは第2用量は、3~10日間又は3~7日間投与する)で投与することができる。特定の事例では、投与は、食餌及び運動を補助するものである。投与によって、体重を減らす、又は肥満を治療することもできる。特定の事例では、対象は、2型糖尿病を有する。特定の事例では、対象は、27~40kg/m2のBMIを有する。特定の事例では、対象は、30~39.9kg/m2のBMIを有する。特定の事例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。特定の事例では、対象は過剰体重である。特定の事例では、対象は肥満である。血糖コントロールの改善は、混合食試験を用いて評価することができる。特定の事例では、血糖コントロールの改善によって、混合食試験後の濃度-時間曲線下グルコース面積(AUC)の少なくとも10%減少(例えば、処置前のAUCと比較して)がもたらされる。特定の事例では、血糖コントロールの改善によって、混合食試験後のAUCの少なくとも15%減少(例えば、処置前のAUCと比較して)がもたらされる。特定の事例では、血糖コントロールの改善によって、混合食試験後のグルコースAUCの少なくとも20%減少(例えば、処置前のAUCと比較して)がもたらされる。特定の事例では、血糖コントロールの改善によって、混合食試験後のグルコースAUCの少なくとも25%減少(例えば、処置前のAUCと比較して)がもたらされる。特定の事例では、血糖コントロールの改善によって、混合食試験後のグルコースAUCの少なくとも30%減少(例えば、処置前のAUCと比較して)がもたらされる。血糖コントロールの改善は、ヘモグロビンA1c及びフルクトサミンに基づいて評価することもできる。
【0127】
本開示は、さらに、減量及び血糖コントロールの方法も提供し、この方法は、治療を必要とする対象に、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を投与するステップを含む。50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、単回又は分割用量で投与することができる。さらに、50~600μg又は100~600μgの本明細書に開示するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、漸増用量(例えば、100μgの初期用量、150又は200μgの第2用量、並びに任意選択で、200、300若しくは400μgの第3用量といった用量漸増法、例えば、その際、初期用量及び/若しくは第2用量は、3~10日間又は3~7日間投与する)で投与することができる。特定の事例では、投与は、食餌及び運動を補助するものである。投与によって、体重を減らす、又は肥満を治療することもできる。特定の事例では、対象は、2型糖尿病を有する。特定の事例では、対象は、27~40kg/m2のBMIを有する。特定の事例では、対象は、30~39.9kg/m2のBMIを有する。特定の事例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。特定の事例では、対象は過剰体重である。特定の事例では、対象は肥満である。特定の事例では、投与によって、少なくとも1.0kg、少なくとも1.3kg、又は少なくとも2.0kgの減量が達成される。特定の事例では、対象の体重は、少なくとも3.5kg又は少なくとも5kg減少する。特定の事例では、対象の体重は、約2~約30kg減少する。特定の事例では、対象の体重は、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも5%、又は少なくとも10%減少する。特定の事例では、対象の体重は、約2%~約20%、約2%~約25%、又は約2%~約30%減少する。
【0128】
特定の事例では、本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)の投与によって、少なくとも1kgの減量が達成される。特定の事例では、本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)の投与によって、少なくとも1.3kgの減量が達成される。特定の事例では、本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの投与によって、少なくとも1.5kgの減量が達成される。特定の事例では、本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)の投与によって、4週間にわたる1日1回の反復投与後に、1~3kgの減量がもたらされる。特定の事例では、本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)の投与によって、4週間にわたる1日1回の反復投与後に、1.3~2kgの減量がもたらされる。
【0129】
本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)の投与経路は、例えば、経口、非経口、吸入又は局部であってよい。本明細書で用いる場合、用語「非経口」は、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、筋内、皮下、直腸、又は膣内投与を含む。投与のための別の形態例として、注射液、特に、静脈内又は動脈内注射又は滴注用の溶液がある。本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、単回用量又は複数回用量として投与することができる。特定の実施形態では、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを、皮下注射により投与する。
【0130】
非経口製剤は、単回ボーラス用量、注入又は負荷ボーラス用量(loading bolus dose)に続く維持用量であってよい。これらの組成物は、特定の一定又は変動間隔、例えば、1日1回、又は「必要に応じた」基準に基づき、投与することができる。また、要望される最適応答(例えば、治療又は予防応答)をもたらすように、投与レジメンを調節することもできる。
【0131】
特定の事例では、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、1日1回投与することができる。特定の事例では、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、注射(例えば、皮下投与)により1日1回投与することができる。特定の事例では、50~600μg又は100~600μg(例えば、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、又は少なくとも4週間の期間にわたって、注射(例えば、皮下投与)により1日1回投与することができる。特定の事例では、50~600μg又は100~600μg(例えば、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、単一用量又は分割用量で投与することができる。特定の事例では、50~600μg又は100~600μg(例えば、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600μg)の本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、漸増用量(例えば、100μgの初期用量、150又は200μgの第2用量、並びに任意選択で、200、300若しくは400μgの第3用量といった用量漸増法、例えば、その際、初期用量及び/若しくは第2用量は、3~10日間又は3~7日間投与する)で投与することができる。特定の事例では、本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、初期用量として100μgを4日間、第2用量として150μgを4日間投与し、第3用量として200μgを毎日投与することができる。特定の事例では、本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、初期用量として100μgを5日間、第2用量として150μgを5日間、第3用量として200μgを5日間投与し、第4用量として300μgを毎日投与することができる。特定の事例では、明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、初期用量として100μgを5日間、第2用量として200μgを5日間投与し、第3用量として300μgを毎日投与することができる。
【0132】
特定の事例では、明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)の半減期は、約7~約13時間である。特定の事例では、明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)の半減期は、約9~約13時間である。特定の事例では、明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)の半減期は、約7~約12時間である。特定の事例では、明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)の半減期は、約10~約12時間である。特定の事例では、明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)の半減期は、約8~約11時間である。
【0133】
キット
また別の実施形態では、本開示は、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを含むキットを提供し、これは、本明細書に記載の方法を実施するために用いることができる。特定の実施形態では、キットは、1つ又は複数の容器に入った、本明細書に開示のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを含む。当業者であれば、当分野では公知の確立されたキットフォーマットの1つに、開示されるGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを容易に組み込むことができることを容易に認識されよう。
【実施例】
【0134】
実施例1:GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの合成、修飾、及び特性決定
略語のリスト:
Boc:tert-ブチロキシカルボニル
tert-Bu:tert-ブチル
DCM:ジクロロメタン
DIC:ジイソプロピルカルボジイミド
Fmoc:9-フルオレニルメトキシカルボニル
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC:高性能液体クロマトグラフィー
Mtt:4-メチルトリチル
NMP:N-メチルピロリドン
Pbf:2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル
TFA:トリフルオロ酢酸
TIS:トリイソプロピルシラン
Trt:トリフェニルメチル、トリチル
【0135】
GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを以下のように合成した: NovaSyn TGR又は予めロードしたFmoc-Wang樹脂(NovaBiochem)上でのペプチド鎖の伸長を、PRELUDE(商標)固相ペプチド合成装置(Protein Technologies,Tucson,AZ,USA)を用いて実施した。N-メチルピロリドン(NMP)でのアミノ酸のヒドロキシベンゾトリアゾールエステルのカップリングのために製造者供給のプロトコルを適用した。アミノポリエチレングリコールのアミノ基及びアミノ酸のαアミノ基の半永久的保護のために、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基を使用し、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、チロシンについてはtert-ブチル(tert-Bu)で、アルギニンについては2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル(Pbf)で、また、ヒスチジンについてはトリチル(Trt)で、側鎖を保護した。1位のヒスチジンのN末端アミノ基をtert-ブチロキシカルボニル基(Boc)で保護した。続いて側鎖の化学修飾が必要であれば、Lys(Mtt)をペプチド鎖に組み込んだ。
【0136】
ペプチド鎖伸長が終了したら、2%TFA及び5%TISを含有するDCM(10×7ml、各0.5分)で、ペプチド樹脂を洗浄することにより、Mtt基を除去した。脂質部分とLysの側鎖のカップリングを、HOBtの存在下で、カップリング試薬としてDICを用い、PRELUDE(商標)ペプチド合成装置で実施した。
【0137】
TFA:TIS:水(95:2.5:2.5)の混合物を用いて、樹脂からペプチドを切断した。室温で2時間後、ペプチジル樹脂を濾過し、TFAで洗浄した後、合わせた濾液を真空で乾燥まで蒸発させた。残留物をエーテルと一緒に粉砕し、形成された沈殿物を濾過し、エーテルで洗浄した後、乾燥させた。粗ペプチドを水中の5%酢酸に溶解させ、Varian 920-LCシステムに取り付けたPolaris 3 C8-Aカラム上の逆相高速液体クロマトグラフィーにより分析した。15分間にわたる10~90%バッファーBの標準勾配システムを分析に用いた。バッファーAは、水中0.1%TFAであり、バッファーBは、アセトニトリル中0.1%TFAであった。HPLCプロフィールを210nmで記録した。半分取C18 RP XBridge Watersカラムを用いたVarian ProStarシステムで分取を実施した。30分間にわたる、30~70%バッファーBの勾配で、水及びアセトニトリルの前述した溶媒系を分離に用いた。クロマトグラフィーにより均質な産物(>97%純度)をエレクトロスプレー質量分析により分析した(MassLynx,Waters)。
【0138】
実施例2:in vitro試験
グルカゴン及びGLP-1受容体媒介cAMP生成
細胞cAMP活性アッセイにおけるペプチドの生物学的活性(アッセイ1):
実施例1の方法により合成したGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの生物学的活性を、生物学的活性、例えば、1つ又は複数の細胞受容体応答の刺激について、下記の方法により試験した。ヒト、マウス、ラット、又はイヌGLP-1受容体(GLP-1R)、グルカゴン受容体(GCGR)又はグルコース依存性インスリン分泌性ペプチド(胃抑制ポリペプチド)受容体(GIPR)を発現する安定な細胞株を、標準的方法によりHEK293又はCHO細胞において産生させた。これら各種受容体のペプチド活性化により、cAMPセカンドメッセンジャーの下流生産が起こるが、これは、機能活性アッセイで測定することができる。
【0139】
「アッセイ培地」を使用して、cAMPアッセイを実施した:
アッセイ培地:0.5mM IBMX(Sigma#I7018)を含有する、DMEM(Gibco#41966)中の10%FBS。
低タンパク質結合384ウェルプレート(Greiner#781280)を用いて、アッセイ培地で作製した試験サンプルの11回の1:5連続希釈を実施した。サンプル希釈物は全て、2回反復して作製した。
【0140】
目的の受容体を発現する細胞の凍結クライオバイアル(cryo-vial)を水浴中で急速に解凍し、予熱したアッセイ培地に移した後、240×gで5分旋回させた。最適化濃度(例えば、1×105細胞/mlのhGCGR細胞、0.5×105細胞/mlのhGLP-1R及びhGIPr細胞)で、細胞をアッセイ培地に再懸濁させた。
【0141】
希釈プレートから、5μLレプリカを黒色浅型ウェル(shallow-well)U底384ウェルプレート(Corning#3676)にスタンプした。これに、5μL細胞懸濁液を添加して、プレートを室温で30分インキュベートした。
【0142】
市販のcAMPダイナミック2HTRFキット(Cisbio、Cat♯62AM4PEJ)を用いて、cAMPレベルを測定した後、製造業者の推奨事項に従い、2つのステッププロトコルを実施した。手短には、抗cAMPクリプテート(ドナー発蛍光団)及びcAMP-d2(アクセプター発蛍光団)を、キットに備えられたコンジュゲート及び溶解バッファーで各々1/20希釈することにより、個別に作製した。5μLの抗cAMPクリプテートをアッセイプレートの全てのウェルに添加し、5μLのcAMP-d2を、非特異的結合(NSB)ウェル以外の全てのウェルに添加し、これらにコンジュゲート及び溶解バッファーを添加した。プレートを室温で1時間インキュベートした後、励起波長320nm及び発光波長620nm及び665nmを用いて、Envision(Perkin Elmer)で読み取った。
【0143】
合成GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの配列、並びに「アッセイ培地」中で実施するcAMPアッセイにおいて決定されたそれらのEC50値を表2に示す。表2に示すペプチドは全て、C末端アミドを伴って合成された。別のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、C末端アミノ酸を伴って合成され、「アッセイ培地」中で実施するcAMPアッセイで決定されたEC50値を表3に示す。「アッセイ培地」中で実施する、更なるGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドのEC50を表4に示す。表4に示すペプチドは全て、「酸」と表示されていない限り、C末端アミドを有し、酸と表示されている場合には、それらはC末端酸を有する。
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
様々な血漿中濃度の血清アルブミンの存在下でのグルカゴン及びGLP-1受容体媒介cAMP生成アッセイ(アッセイ2)。
以下のように、cAMP生成を誘導するペプチドのアゴニスト力価決定を、それぞれ4.4、3.2及び3.2%のヒト、ラット若しくはマウス血清アルブミンの存在下、ヒト、ラット若しくはマウスグルカゴン受容体(GlucR若しくはGCGRと略される)又はGLP-1受容体を発現するCHO細胞において測定した。
【0152】
ヒト、マウス若しくはラットGlucR又はGLP-1受容体の安定な組換え発現を有するCHO細胞をDMEM10%FBS及びゲネチシン(100μg/ml)中で培養した。凍結保存細胞ストックを2×107/バイアルで、1×細胞凍結培地-DMSO血清不含有(Sigma Aldrich)中で調製し、-80℃で保存した。細胞を37℃で急速解凍してから、ヒト、ラット、及びマウス血清アルブミンについてそれぞれ4.4、3.2及び3.2%で血清アルブミンを含有するアッセイバッファー(DMEM)で希釈した。ペプチドをDMSOで順次希釈した後、表示の最終濃度で血清アルブミンを含有するDMEMで100倍希釈した。次に、希釈したペプチドを384黒色シャローウェルマイクロタイターアッセイプレートに移した。細胞をアッセイプレートに添加し、室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後、アッセイを停止し、CisBio Bioassaysから入手可能なHTRF(登録商標)dynamic d2 cAMPアッセイキットを用い、製造者のガイドラインに従ってcAMPレベルを測定した。Perkin Elmer ENVISION(登録商標)蛍光プレートリーダでプレートを読み取った。ヒト及びラット血清アルブミンは、Sigma Aldrichから購入し、マウス血清アルブミンは、Equitech Bio Ltdから購入した。
【0153】
製造者のガイドラインに記載されている通り、データを%ΔFに変換し、4-パラメータロジスティックフィットにより分析して、EC50値を決定した。選択したペプチドのアッセイ2EC50値を表5に示す。決定されたアッセイ2EC50値は、組換え細胞株中のGLP-1で試験したペプチド及びグルカゴン受容体の固有力価と、血清アルブミンに対するペプチドのアフィニティ(遊離ペプチドの量を決定する)の両方に依存的であった。血清アルブミンとの結合は、得られたEC50値を高める。アルブミンの様々な血漿中濃度での遊離ペプチドの割合及び0%HSAでのEC50は、HSA濃度によるcAMP生成の変動に基づいて計算することができる。例えば、G730及びG933は、4.4%HSAの遊離ペプチドについては、0.85%及び0.29%、並びに0%HSAのGLP1RでのEC50については、7pM及び6pMの値をそれぞれ付与した。G797及びG849は、4.4%HSAの遊離ペプチドについては、0.82%及び0.48%、並びに0%HSAのGLP1RでのEC50については、7pM及び2pMの値をそれぞれ付与した。異なるペプチド間で、及び異なる条件下で、GLP1R及びGlucRでの活性の均衡を比較するため、下記の計算を用いてこれらを相関させることができ、その際、EC50を天然のリガンドのEC50と関連付ける。
【0154】
【0155】
血漿中ペプチドの安定性試験。ペプチドG730、G797、G849及びG933の血漿中安定性を以下のように決定した。
【0156】
Eppendorf Low Bind Tube内に固体ペプチドを計量して導入し、DMSO中に溶解させることにより、約200μmol/Lのペプチドのストック溶液を調製した。10μLのストック溶液をEppendorf Low Bind Tube内の990μLの血漿に添加して、初期濃度約2μmol/Lの血漿中ペプチドを得た。ヒト、ラット及びマウスからの凍結ブランク血漿を解凍し、温度37℃に加熱した後、ストック溶液を添加した。スパイクした血漿サンプルを穏やかに混合し、実験の開始前に、約5分間平衡させた。血漿サンプルをGalaxyR CO2インキュベータ内で37℃にて48時間インキュベートした。0、1、2、6.5、17、24及び48時間時点でサンプリング(30μL)を実施した。サンプルは、分析まで-70℃で保存した。
【0157】
血漿サンプルを次のようにしてアッセイした。30μLの血漿サンプルは、96ウェルローバインドプレート(Eppendorf Protein
LoBind)内の180mlの低温エタノールで沈殿させたタンパク質であった。混合及び遠心分離後、100μLの上清を新しいプレートに移し、1μLを分析カラム上に注射した。
【0158】
ポジティブエレクトロスプレーイオン化と共に、中高分解能質量分析計(Perkin Elmer PenTOF)に接続したμLC-システム(LC Exigent μLC)を用いて分析を実施した。分析カラムは、2.7μmの粒径を有する、5cm、1mm Agilent Poroshell(注文品)C18-カラムであった。流量:低速逆相勾配を用いて、0.1ml/分。移動相は、アセトニトリル及び0.1%ギ酸を含む水であった。
【0159】
得られたデータを、次の分解産物:+1産物(酸)及びDPP IV-切断産物についてマニュアルで評価した。+1質量(mass)を有する産物は、グルタミンのアミド基又はC末端での脱アミドから生じ得る。血漿中のプロテアーゼDPP IVの作用から、切断産物が生じる。ペプチドの分解及びペプチド産物の形成のいずれも、初期ペプチド濃度のパーセンテージで記録した。ピークを積分し、残留ペプチド(%)を計算した:(ピーク面積/ピーク面積0H)*100。24時間時点のデータを表6に示す。G797及びG933の場合、脱アミド及びDPP IV切断のレベルは低かった。
【0160】
【0161】
可溶性
ペプチドの可溶性を、以下のように、4.5~8.0のpH範囲内の様々なバッファー種において評価した。GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの乾燥粉末を室温の様々なバッファー中で再構成した。NanoDrop 2000分光光度計を用いて、280nmで吸光度を測定し、下記の等式を用いて、ペプチド濃度を計算した:
c=(A280*Mw)/ε
式中、cは、濃度、εは、消散係数、Mwは、分子量であり、
A280は、280nmでの吸光度であり、
ε=(1×Trp=5560)+(1×Tyr=1200)
【0162】
結果を表7に示す。ペプチドの各々は、pH範囲(6.5~8.5)にわたって、0.8mg/で可溶性であった。G730は、4.5~8.0のpH範囲で可溶性であり、G797は、6.~8.0のpH範囲で可溶性であり、G933は、6~8.0のpH範囲で可溶性であった。G933の可溶性は、いくつかの異なるバッファー系で試験し、これらも表7に示す。G933は、少なくとも次のバッファー系において1mg/mlで可溶性であった:ヒスチジン(pH6及び7;イオン強度:0.25~100mM)、リン酸ナトリウム(pH6~7.5;イオン強度:0.25~100mM)、及びトリス/ヒドロキシメチルアミノメタン(pH7~9;イオン強度:0.25~100mM)。
【0163】
【0164】
製剤化。ペプチド可溶性を下記の3つの異なる等張製剤で評価した:
1.デフォルト製剤(DF)=0.1M Tris pH7.5、150mM マンニトール。最終製剤pH=7.2
2.バックアップ製剤1(BF1)=0.05M Tris、50mM アルギニン/プロリン。最終製剤pH=8.0
3.バックアップ製剤2(BF2)=リン酸ナトリウムバッファー(pH8)/1.85%W/Vプロピレングリコール。最終製剤pH=7.0
【0165】
可溶性を上に詳述したように測定し、結果を表8に示す。G730、G797及びG933は、DF中に少なくとも5mg/mlまで可溶性であり、DF中のG849の最大可溶性は、3.7mg/mlであり、G797は、BF1中に少なくとも10mg/mlまで可溶性であり、G933は、BF2中に少なくとも10mg/mlまで可溶性であった。
【0166】
【0167】
1ヵ月以内に、逆相超性能液体クロマトグラフィー(RP UPLC)により純度を測定することによってDFの安定性を評価した。保存条件は、5℃、25℃、40℃及び-80℃であった。結果を表9及び10に示す。
【0168】
【0169】
【0170】
実施例3:in vivo試験
G730、G797、及びG812(試験A)。選択した本明細書に開示のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを以下のように食餌性肥満(DIO)マウスモデルで試験した。9~11週齢の雌C57/Bl6JHsdOla(Harlan Laboratories,UK)に対してD12492(Research Diets,NJ,USA)及びチョコレート菓子のdelicato ball(Delicata Bakverk,Sweden)の高脂肪食餌を開始し、これを動物施設への移送までの16週間、3週間の順応期間及び薬剤処置の間、維持したが、食餌の2つの成分のカロリー含量を表11に示す。マウスを9群(n=5~6)に分け、29週齢で処置を開始した。治療群及び投与を表12に示す。
【0171】
【0172】
【0173】
GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドG730、G797、及びG812、並びにリラグルチド(Liraglutide)をビヒクルである100mM Tris/150mMマンニトール、pH7.4中に製剤化した。治療薬は、動物を高脂肪食餌で維持しながら、14日間1日2回皮下投与した。投与期間全体を通して、動物の体重を毎日モニターした。14日目に、血漿グルコース及びインスリンの測定のために、4時間の絶食時間後、意識のあるマウスから血液サンプルを取得した。次に、イソフルランを用いてマウスを麻酔した後、眼の裏の毛細血管床から末梢血液を採取した。次のパラメータを測定した:トリグリセリド、総コレステロール、非エステル化脂肪酸(NEFA)、β-ヒドロキシ酪酸及び線維芽細胞増殖因子21(FGF21)の血液化学測定値(以下の表14及び15)。
【0174】
リラグルチド及びビヒクルと比較して、体重に対するリラグルチド並びにGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドG730、G797、及びG812による処置の効果を
図1~4に示す。G730又はG797のいずれかで処置された動物は、14日間の投与期間にわたって用量依存的且つ連続的な減量を示した。50nmol/kgで、G730及びG797で処置された動物は、ビヒクルで処置した動物と比較して、14日目に約24%の体重変化を経験した。
【0175】
G730又はG797で処置されたマウスは、第14日にグルコースの用量依存的減少を示した(表13)。また、これらの2つの処置によって、特により高い用量で、インスリンレベルの低下も観察された(表13)。インスリン感受性指数である恒常性モデル評価(Homeostatic model assessment)(HOMA)は、20nmol/kgのG730と、20及び50nmol/kgのG797で、有意に改善した。HOMAは、血漿インスリンと血糖値の和を用いて、β-細胞機能及びインスリン抵抗性を評価するモデル化方法である(表14)。総血漿コレステロールは、リラグルチド、全用量のG730及びG797のいずれによっても低下したが、血漿非エステル化脂肪酸(NEFA)レベル並びに血漿及び肝性トリグリセリド(TG)に顕著な変化はなかった。β-ヒドロキシ酪酸(BeHy)は、減量と一致して、増加レベルへの傾向を有した。線維芽細胞増殖因子21(FGF21)は、概して、二重GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド処置により増加した。
【0176】
【0177】
【0178】
G865、G933、及びG796(試験B)。GLP-1/グルカゴンペプチドのさらに別のセットを、上と同じプロトコルを使用するが、表15に示す処置群及び用量を用いて、食餌性肥満モデルで試験した。
【0179】
【0180】
GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドG865、G933、及びG796、並びにリラグルチドを、ビヒクルである100mM Tris/150mMマンニトール、pH7.4で製剤化した。治療薬は、動物を高脂肪食餌で維持しながら、14日間1日2回皮下投与した。投与期間全体を通して、動物の体重を毎日モニターした。14日目に、血漿グルコース及びインスリンの測定のために、4時間の絶食時間後、意識のあるマウスから血液サンプルを取得した。次に、イソフルランを用いてマウスを麻酔して、眼の裏の毛細血管床から末梢血液を採取した。次のパラメータを測定した:トリグリセリド、総コレステロール、非エステル化脂肪酸(NEFA)、β-ヒドロキシ酪酸及び線維芽細胞増殖因子21(FGF21)の血液化学測定値(以下の表16及び17)。
【0181】
リラグルチド及びビヒクルと比較して、体重に対するリラグルチド並びにGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドG933、G865、及びG796による処置の効果を
図5~8に示す。G933、G865、又はG796のいずれかで処置された動物は、14日間の投与期間にわたって用量依存的且つ連続的な減量を示した。
【0182】
治療後14日目の血糖値、インスリンレベル及びHOMAを、表16に示す。治療後14日目の総血漿コレステロールレベル、血漿非エステル化脂肪酸(NEFA)レベル、血漿及び肝性トリグリセリド(TG)レベル、β-ヒドロキシ酪酸(BeHy)レベル、及び線維芽細胞増殖因子21(FGF21)レベルを表17に示す。
【0183】
【0184】
【0185】
実施例4:単一用量漸増試験
(A)対象
合計362人の対象が、ドイツにおいて試験に参加することに同意した。対象は、以下の選択及び除外基準についてスクリーニングされた。
【0186】
選択基準:
・健常なボランティア、スクリーニングの時点で年齢18~45歳;
・ボディマスインデックス≧22且つ≦30kg/m2、及び体重≧70kg;並びに
・複数回の挿管に適した静脈アクセス
【0187】
除外基準:
・G933の評価又は対象の安全性若しくは試験結果の解釈を妨げ得るあらゆる状態。具体的な例として以下を含む:(a)急性若しくは慢性膵炎の病歴、又はスクリーニング時の正常値上限(ULN)を超える膵アミラーゼ若しくはリパーゼ、(b)治療を必要とする胃不全麻痺の病歴、(c)安全性及び耐容性データの解釈に影響を及ぼす可能性がある、上部胃腸管に影響する手術の病歴、(d)胆嚢摘出により処置されていない急性胆嚢炎のエピソードを招いた胆石症、又は既知胆道疾患の病歴、(e)多発性内分泌腺腫症2型(MEN-2)、甲状腺C細胞肥厚を示唆する血清カルシトニン(カルシトニンレベル>50ng/L)の病歴若しくは家族歴、又はスクリーニング時の甲状腺髄様癌、(f)臨床的に有意な心調律異常の病歴、例えば、永続性若しくは発作性心房細動/心房粗動、発作性上室性頻拍症、発作性室性頻拍症、埋込み型ペースメーカデバイス若しくは心臓除細動器/除細動器の存在、(g)治療済み若しくは症候性心不全の病歴、並びに(h)過去の心筋梗塞又は脳血管障害(例えば、発作)の病歴;
・胃腸、腎、若しくは肝疾患(ジルベール症候群を除く)又は薬剤の吸収、分布、代謝、若しくは排泄を妨げることがわかっているその他のいずれかの状態の病歴又は存在;
・非黒色腫皮膚癌を除く癌の病歴;
・1日目の投与前4週間以内のあらゆる臨床的に重要な病、医学的/外科的処置、若しくは外傷;
・スクリーニング時のB型肝炎表面抗原陽性又はC型肝炎ウイルス抗体血清学;
・スクリーニング時のヒト免疫不全ウイルス(HIV)テスト陽性、又は病歴若しくは対象の口頭報告によって決定される抗レトロウイルス薬剤の使用;
・スクリーニング時の正常範囲外の血清カリウム又はカルシウム;
・スクリーニング時にULNを超える血清クレアチニン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、又は総ビリルビン;
・治験担当医師により判断される、臨床化学、血液学、若しくは検尿結果における他のいかなる臨床的に重要な異常も、本試験から排除とすべきである。
・次の医療製品のいずれかの使用:(a)GLP-1受容体アゴニストの同時若しくは以前の使用、(b)スクリーニング前の28日以内に全身性コルチコステロイドの現在若しくは以前の使用、又は(c)体重のコントロールのために許可されたいずれかの医療製品若しくは植物性生薬の使用又は1日目~7日目の1週間前から食欲が抑制されている(prohibited);
・以下:(a)収縮期血圧<90mmHg若しくは≧140mmHg、(b)拡張期血圧<50mmHg若しくは≧90mmHg、又は(c)心拍数<50若しくは>90拍/分のいずれかとして定義される、仰臥位安静10分後の異常なバイタルサイン;
・律動、伝導(例えば、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、洞不全症候群)、又は12誘導ECGの形態学におけるいずれかの臨床的に重要な異常、あるいは、治験担当医師の意見で、心拍数について補正されたQT間隔(QTc)の変化の解釈の妨げとなり得るECGにおけるあらゆる異常、例えば、異常T波形態、又は左心室肥大など;
・フリデリシア(Fridericia)式を用いた延長QT(QTcF)>450ミリ秒、又は12誘導ECGに基づく短縮QTcF<340ミリ秒、又はQT延長症候群の家族歴;
・<120ミリ秒までのPR(RQ)間隔又は延長>200ミリ秒(1度房質ブロック);
・間欠性2度ブロック(睡眠中のウェンケバッハ(Wenckebach)ブロックは除外しない)若しくは3度ブロック、又は房室解離;
・50~110ミリ秒の範囲外のQRS間隔;
・過去3年以内の薬物乱用の既知又は疑われる病歴
・過去3年以内のアルコール乱用又はアルコールの過剰摂取の病歴;
・現在の喫煙者(>0タバコ/日);対象はまた、スクリーニング時に試験するコチニンについて陽性の場合にも除外される;
・スクリーニング若しくは試験施設への入院時の乱用薬物についてのスクリーンで陽性か、又は治験薬の投与前の試験施設入院時のアルコール呼気テストで陽性。慢性不安又は睡眠障害のためにベンゾジアゼピンを使用する対象は、試験への参加が許可される場合もある。
・重度のアレルギー/過敏症の病歴又は進行中の臨床的に重要なアレルギー/過敏症
・スクリーニング前2ヵ月以内の全血若しくは赤血球の献血、又はあらゆる血液喪失>500mL
・別の新規化学実体(市販のために承認されていない化合物として定義される)の摂取、又は本試験における治験薬の投与の少なくとも30日若しくは5半減期(どちらか長い方)以内に薬剤治療を含むいずれか他の臨床試験への参加。除外期間は、最終投与、又は最後の来院から治験薬の30日若しくは5半減期後(どちらか長い方)に開始するものとする。同意し、スクリーニングを受けたが、本試験又は以前の試験にランダム化されていない対象は、除外されない;あるいは
・公的若しくは司法命令により、対象が、施設に送致されるような精神疾患。
【0188】
スクリーニングの後、313人の対象が、選択/除外基準を満たさないと決定された。残る48人の対象をランダム化し、G933を投与した。48人の処置患者のデモグラフィックスを以下の表に示す。
【0189】
【0190】
【0191】
(B)試験デザイン
第1相、ランダム化、盲検式、単一用量漸増試験を実施した。提案される試験のフローチャートを
図9に示す。コホート当たり8人の
対象を計画した。各コホートにおいて、
対象を3:1でG933(MEDI0382)又はプラセボにランダム化した。
【0192】
GPL-1及びグルカゴンモジュレータに関する臨床文献データを用いて実施したPK/PDモデル化に基づき、臨床的に有効なG933の用量は、300~2000μg/日の範囲であることが予測された。従って、5、10、30、100、300、600、1200、及び2000μgG933の増加用量を選択した。用量漸増に進む前に、各コホートについての安全性データを評価した。安全性をさらに高めるために、提案された用量範囲の下限で倍増加を最大にし、最後の用量増加が2倍未満になるように段階的に減少させた。この試験で提案される最大用量レベルは、2000μgであった。サルのAUCデータに基づいて提案される2000μgの最大ヒト用量の安全裕度は、0.8であった。
【0193】
対象は、試験の間、1用量のG933を投与された。全対象について、ランダム化前の28日以内(-29日目~-2日日目)にスクリーニング来院を実施した。対象は、治験薬を受ける前日の晩(-1日目)に施設に入院し、翌朝の投薬前に、資格基準の反復評価、4時間にわたる心電図遠隔モニタリングの実施、身体能力レベルの標準化が実施できるようにした。最小8時間にわたり一晩絶食した後、1日目に、ベースライン安全評価及び血液サンプルを採取してから、単一皮下(SC)用量のG933又はプラセボいずれかを対象に投与した。対象は、1日目及び2日目を通して、定時評価及び安全性モニタリング(連続的遠隔測定及び断続的なデジタル心電図[ECG]による心臓モニタリングを含む)のために試験施設に滞在し、退院まで収容された。対象は、安全性評価が実施され、血液サンプルが採取されてから3日目の朝に施設から退院した。対象は、4日目、7日目、及び28日目に、外来患者として施設に再来院した。
【0194】
スクリーニングの後、各対象の試験期間は、約29日であり、これには、入院患者評価期間と外来患者の追跡調査期間が含まれた。
【0195】
薬力学的評価のために、1日目に、グルコース及びインスリンレベルの測定のために血液サンプルを各食事(朝食、昼食、及び夕食)前、並びに各食事の開始から1及び2時間(±15分)後に採取した。1日目の各食事の開始を記録し、各食事は、30分以内に消費するようにした。
【0196】
免疫学的評価のために、1日目、投与から約1週間後、投与から約1か月後に抗薬物抗体(ADA)のサンプリングを行った。
【0197】
薬物動態(PK)評価の場合、サンプリング時間は、投与前、並びに投与から1、2、4、6、8、10、12、16、24、36、48、及び72時間後(投与から最初の2時間については±15分、48時間までの残りの時点については±30分)であった。1日目には、各食事(朝食、昼食、及び夕食)前、並びに各食事の開始から1及び2時間(±15分)後にPKサンプルも採取するようにした。
【0198】
(C)結果
用量漸増は、プロトコルに従って計画した通り、5~300μgまで実施したが、有意な嘔吐の事象により立証されるように、300μgは認容されなかったため、最終コホートについては用量を150μgまで漸減した。実際の試験のフローチャートを
図9に付与し、
対象の素因を
図10に示す。
【0199】
5μgのG933については、3人の対象のみが少なくとも1つの血漿中定量可能なレベルを示したことから、PKパラメータを得ることができなかった。5及び10μgのG933群の全対象において、2~4.5時間から16~24時間までG933の血漿中濃度が測定可能であった。G933の血漿中濃度は、100及び300μgのG933群の全対象において、48時間まで測定可能であった。いずれの対象も、投与から72時間後のG933の血漿中濃度は定量下限に満たなかった。
【0200】
全G933用量について平均濃度-時間プロフィールが、ピーク後に明らかな単一指数関数的降下を示し、ピークから投与後48時間までに濃度の非常に急速な減少が起こった。
【0201】
単一用量血漿G933PKパラメータ推定値を対象及び処置別に列記し、表19に処置別にまとめる。
【0202】
【0203】
G933は、用量5~150μgのG933の単回投与後最大濃度までの平均時間(tmax)7.0~9.0時間で、最高用量300μgでは4.5時間の平均tmaxで吸収された。
【0204】
72時間のサンプリング期間にわたる視覚検査に基づく少なくとも3つのデータポイントを用いて、G933の見掛け排出半減期(t1/2)を決定した。5μg用量群の対象においてT1/2は、血漿中濃度が低すぎたため、評価することができなかった。%AUCexが20%を超えた他の用量群でも、t1/2及び結果としてAUC0-∞は記録されなかった。幾何平均t1/2値は、約10~12時間であった。
【0205】
変動係数(CV)により表される最大血漿中濃度(Cmax)及びAUC0-∞の対象間変動は、いずれのパラメータについても中度(3~37%)であった。
【0206】
ベースライン時又はベースライン後にADA陽性の対象はいなかった。
【0207】
試験期間を通して、血圧、脈拍、食物摂取、及び有害事象をモニターしたが、それを表20にまとめる。
【0208】
全ての治療中に発生した有害事象(TEAE)は、グレード1(軽度)又はグレード2(中度)の重症度であった。それらを以下の表21にまとめる。
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
全体として、G933は、高用量では、嘔吐や脈拍数及び血圧の上昇が観察されたものの、良好な耐容性を示した。事前に指定された探索的エンドポイントは、プラセボと比較して、全ての用量のGP933で処置した対象における1日食物摂取総量の低減を示唆している。
【0213】
投与後2.5~14時間の間隔で、食事時間頃の個別の血糖及びインスリン測定値並びに中央血漿グルコース及びインスリン血漿レベルをそれぞれ
図11及び12に示す。グルコース低減効果は、全ての用量のG933で処置した
対象の血漿血糖値に認められた。この作用は、最初の食事時間頃に明瞭である。同様に、インスリン血漿レベルも、最初の食事時間と合致して、特に100μg以上の用量で、用量応答を示した。
【0214】
最も頻繁なTEAE(発生率>対象の10%)は、嘔吐、吐気、めまい、及び頭痛であった。嘔吐のTEAEは、最も高いG933用量(100、150、及び300μg)にだけ起こった。嘔吐を経験した10人の対象について計40回の嘔吐エピソードがあった。30回のエピソードは、300μg用量で5人の対象から、9回のエピソードは、150μg用量で4人の対象から、また1回のエピソードは、100μg用量で1人の対象からであった。
【0215】
1日に、又は食事の調節にもかかわらず連続2日にわたり3件以上の嘔吐エピソードとして定義される有意な嘔吐は、150μgのG933群中6人の対象のうち2人(33.3%)及び300μgのG933群中6人の対象のうち5人(83.3%)について報告された。300μg用量で観察された有意な嘔吐の事象のために、G933の用量は、最終コホートについて150μgまで漸減させた。
【0216】
150μgまでの用量で、G933の耐容性は、吐気、嘔吐、頻脈及び血圧に関して許容可能であった。G933の300μgの用量では、収縮期血圧及び脈拍数の有意な上昇があったため、許容できないレベルの嘔吐が見られた。様々な市販のGLP-1アゴニスト全体で、特に、吐気及び嘔吐を有する健常なボランティアにおいて、単一用量の後に有意な脈拍数上昇が認められた。G933の胃腸管作用(嘔吐)が、心血管作用を一切起こすことなく、150μgの単一用量で見られたことを考慮すれば、治療域が存在し、G933は、心血管リスクプロフィールにマイナスの影響を与えることなく、血糖コントロールを改善し、且つ減量を促進すると予想される用量で、2型糖尿病を有する対象に安全に投与することができる。G933は、この単一用量健常ボランティア試験における安全性及び耐容性を満たした。
【0217】
実施例5:複数用量漸増試験パートI
(A)対象
約75人の比較的良好にコントロールされた2型糖尿病(T2DM)を有する過剰体重又は肥満の対象が、本試験への参加のために登録している。登録対象は、以下の選択及び除外基準を満たす。
【0218】
選択基準:
・スクリーニングの時点で年齢18~65歳の男性又は女性;
・ボディマスインデックス27~40kg/m2(両端の値を含む);
・T2DMの診断及びメトホルミン単剤療法で管理される血糖コントロール、ここで、スクリーニング前の3ヵ月間に有意な用量変化(減少若しくは増加≧500mg/日)が起こっておらず:(a)スクリーニングヘモグロビンA1C(糖化ヘモグロビン;HbA1c)値は、6.5%~8.5%、又は任意選択で7.0%~8.5%の標的範囲内にあるべきであり;(b)メトホルミン単剤療法に加えてジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP IV)阻害剤を処方された対象は、スクリーニング前4週間のDPP IV阻害剤ウォッシュアウト期間の後に、本試験に参加する資格を有する場合があり;(c)メトホルミン単剤療法に加えてスルホニル尿素の許可用量の50%未満を処方された対象は、4週間のスルホニル尿素ウォッシュアウト期間の後に、本試験に参加する資格を有する場合があり;並びに(d)メトホルミン単剤療法に加えてナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤を処方された対象は、4週間のSGLT2阻害剤ウォッシュアウト期間の後、本試験に参加する資格を有する場合がある;
・複数回の挿管に適した静脈アクセス
・コホート4対象は、スクリーニング前の少なくとも4週間にわたって≧10mg1日用量のスタチンを服用しなければならない;並びに
・コホート4対象は、スクリーニング期間中プラセボの初期自己注射後、毎日皮下(SC)注射を自己投与する意思があるか、自己投与することができなければならない。
【0219】
除外基準:
・治験薬の評価又は対象の安全性若しくは試験結果の解釈を妨げ得るあらゆる状態。具体的な例として、以下のものがある:(a)急性若しくは慢性膵炎の病歴、又はスクリーニング時の実験基準範囲の正常値上限(ULN)の2倍を超える膵アミラーゼ若しくはリパーゼ、(b)治療を必要とする胃不全麻痺の病歴、(c)安全性及び耐容性データの解釈に影響を及ぼす可能性がある、上部GI管に影響する手術の病歴、(d)胆嚢摘出により処置されていない急性胆嚢炎のエピソードを招いた胆石症、又は既知胆道疾患の病歴、並びに(e)スクリーニング時の甲状腺C細胞肥厚を示唆する血清カルシトニン(カルシトニンレベル>50ng/L)、甲状腺髄様癌、又は多発性内分泌腺腫症の病歴若しくは家族歴;
・GI、腎、若しくは肝疾患(ジルベール症候群を除く)、又は薬剤の吸収、分布、代謝、若しくは排泄を妨げることがわかっているその他のいずれかの状態の病歴若しくは存在;
・癌の病歴(任意選択で、過去10年以内)、但し、非黒色腫皮膚癌を除く;
・糖尿病性足部潰瘍の病歴又は存在;
・1日目投与前4週間以内のあらゆる臨床的に重要な病(既知糖尿病を有する対象についてはT2DMを除く)、医学的/外科的処置、又は外傷;
・インスリン減少症又は血糖コントロール不良(例えば、重度の渇き、夜間頻尿、多尿症、多渇症、若しくは減量);
・空腹時血糖≧200mg/dL(11.11mmol/L);
・スクリーニング時のB型肝炎表面抗原又はC型肝炎ウイルス抗体血清学的検査陽性;
・スクリーニング時のヒト免疫不全ウイルス(HIV)テスト陽性、又は病歴若しくは対象の口頭報告によって決定される、抗レトロウイルス薬剤を服用する対象;
・スクリーニング時のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)≧2.5×ULN;
・スクリーニング時のアラニントランスアミナーゼ(ALT)≧2.5×ULN;
・スクリーニング時の総ビリルビン≧2×ULN;
・スクリーニング時に正常範囲の下限を下回るヘモグロビン;
・スクリーニング時の好中球<1.5×109/L;
・スクリーニング時に正常範囲を超える甲状腺刺激ホルモン(TSH)レベル;
・糸球体濾過量(GFR)≦60ml/分/1.73m2として定義される腎機能障害(GFRは、Modification in Renal Diseaseに従って推定される);
・持続性(対象の担当医師による過去2回以上の記録として定義される)顕性アルブミン尿(>300mg/L);
・重度の晩期糖尿病性合併症(うっ血性心不全若しくは末梢動脈疾患の症状を伴う大血管症、神経障害、胃不全麻痺、網膜症、腎症の症状を伴う細小血管症);
・スクリーニング期間中の心伝導障害(例えば、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、洞不全症候群);
・以下:(a)<60歳の場合、収縮期血圧<90mmHg若しくは≧140mmHg、≧60歳の場合、収縮期血圧<90mmHg若しくは≧150mmHg、(b)拡張期血圧<50mmHg若しくは≧90mmHg、又は(c)HR<45若しくは>85拍/分のいずれかにより定義される、仰臥位安静10分後の異常なバイタルサイン;
・安静時ECGの律動、伝導若しくは形態のあらゆる臨床的に重要な異常、並びに、異常ST-T波形態学、又は左心室肥大をはじめとする、QTc間隔変化の解釈の妨げとなり得る12誘導ECGにおけるあらゆる異常;
・延長QTcF>450ミリ秒(両性について)若しくは短縮QTcF<340ミリ秒、又はQT延長症候群の家族歴;
・PR(PQ)間隔短縮<120ミリ秒(PR>120ミリ秒であるが、心室粗動のエビデンスがなければ、PR>110ミリ秒も許容される);
・PR(PQ)間隔延長(>240ミリ秒)、間欠性2度若しくは3度AVブロック、又はAV解離;
・持続性又は間欠性脚ブロックをはじめとする、QRS持続時間>120ミリ秒;
・埋込み型心臓除細動器若しくは長期ペースメーカ、並びに症状性心室及び/若しくは心房性頻拍;
・Canadian Cardiovascular SocietyクラスIIより高度に分類される不安定狭心症若しくは安定狭心症、又は心筋梗塞若しくは発作;
・心不全を原因とする入院又は心不全の診断の病歴;
・過去3年以内の薬物乱用の既知又は疑われる病歴;
・過去3年以内のアルコール乱用又はアルコールの過剰摂取の病歴;
・スクリーニング若しくは試験施設への入院時の乱用薬物のスクリーンで陽性か、又は治験薬の投与前の試験施設入院時のアルコールについてのスクリーンで陽性。慢性不安又は睡眠障害のためにベンゾジアゼピンを使用する患者は、試験への参加が許可される場合もある;
・重度のアレルギー/過敏症の病歴又は進行中の臨床的に重要なアレルギー/過敏症;
・スクリーニング前の2ヵ月間の全血若しくは赤血球の献血、又はあらゆる血液喪失>500mL;
・別の新しい化学実体(市販のために承認されていない化合物として定義される)の摂取、又は本試験における治験薬の最初の投与前の少なくとも30日若しくは5半減期(どちらか長い方)以内に薬剤治療を含むいずれか他の臨床試験への参加。除外の期間は、最終投与、又は最後の来院から治験薬の30日若しくは5半減期後(どちらか長い方)に開始するものとする。同意し、スクリーニングを受けたが、本試験に又は以前の第1相試験にランダム化されていない対象は、除外されない;
・あらゆる種類の別の試験への同時参加;
・次の医療製品のいずれかの使用:(a)GLP-1アゴニストの同時若しくは以前の使用、(b)スクリーニング前28日以内の全身性コルチコステロイドの使用、(c)QTc間隔を延長することがわかっている化合物の使用、又は(d)1日目投与前1週間以内の、体重若しくは食欲のコントロールのために許可されたいずれかの植物性生薬若しくは医療製品の使用;
・公的若しくは司法命令により、対象が、施設に送致されるような精神疾患;
・乳酸アシドーシス又はケトアシドーシスの病歴
【0220】
(B)試験デザイン
第1/2相、ランダム化、二重盲検式、複数用量漸増試験を2つのパート(A及びB)で実施した。試験のフローチャートを
図13に示す。パートAでは、メトホルミン療法を維持するT2DM
対象において、約12日の期間にわたりG933(MEDI0382)の用量漸増レジメン、並びに用量漸増後の最大有効用量を確立し、これを長期投与期間(パートB)にわたり使用して、体重及び血糖コントロールに対するG933の効果を立証する。
【0221】
パートAは、3つのコホートから成る。コホート1は、7日間にわたって毎日投与される安定用量(例えば、100μg)の治験薬(9人の対象;G933が6人、プラセボが3人)から構成される。コホート2は、4日間の初期用量(例えば、100μg)の治験薬、及び7日間の漸増ステップ(漸増用量1;例えば、150μg)(9人の対象;G933が6人、プラセボが3人)から構成され、コホート3は、4日間の初期用量(例えば、100μg)の治験薬、4日間の漸増ステップ(漸増用量1;例えば、150μg)、及び7日間の第2漸増ステップ(漸増用量2;例えば、200μg)(9人の対象;G933が6人、プラセボが3人)で投与される。
【0222】
パートBは、1コホートから成る。このコホート(コホート4)の対象は、4日間の初期用量(例えば、100μg)の治験薬、4日間の漸増ステップ(漸増用量1;例えば、150μg)、4日間の第2漸増ステップ(漸増用量2;例えば、200μg)、これに続いて、在宅で28日間の漸増用量2(例えば、200μg)(48人の対象;G933が24人、プラセボが24人)から構成される。
【0223】
初期用量は、100μgである。漸増用量1及び2は300μg以下である。各対象の試験期間は、コホートにより異なり、入院患者複数用量漸増(MAD)又は漸増評価期間(2日目に開始し、コホート1は、8日目、コホート2は、12日目、コホート3は、16日目、及びコホート4は、13日目に終了)と、外来患者追跡調査期間とから構成される。さらに、コホート4についてのみ、第2入院患者漸増ステップ後で、来院の終了前に、28日間の在宅での治験薬自己投与(毎週の来院を含む)が含まれる。
【0224】
対象は、治験薬を受ける前に2晩入院し、翌朝の投薬前に、資格基準の反復評価及びベースライン混合食試験(MMT)を実施し、身体能力のレベルを標準化する。最小8時間にわたる一晩絶食後の1日目に、安全性、効力、薬物動態(PK)、薬物力学(PD)、及び抗薬物抗体(ADA)実験室テストのためにベースライン血液サンプルを採取する。さらに、12誘導ECGを記録し、単一SC用量のG933又はプラセボいずれかを対象に投与した。
【0225】
対象は、1日中及び処置期間を通して、ECG、遠隔測定、バイタルサインのモニタリング、及び潜在的反応についての注射部位の評価をはじめとする、観察及び安全性テストのために施設に滞在する。加えて、コホート4の場合、携帯型24時間血圧モニタリング(ABPM)を実施する。
【0226】
1日目と、全コホートについて達成された最も高い用量レベルの最終日に混合食試験(MMT)処置を実施する。追加時点は、漸増用量1の第1日(コホート2)、漸増用量2の第1日(コホート3)、漸増入院期間からの退院日(漸増用量2の第5日;コホート4)、及び28日の在宅自己投与期間中の毎週の来院(コホート4)を含む。MMTのために、対象は、5分以内に標準食(Ensure Plus(登録商標))を消費し、標準食の消費直前及び240分後に、グルコース及びグルコース代謝に関するパラメータの測定のために、定時の連続血液サンプルを採取する。入院期間中、朝食の15分前及び2時間後、正午、並びに夕食、及び就寝前に、指先の血糖サンプルを収集する。
【0227】
コホート4対象は、最終日エンドポイントを収集するために、在宅自己投与期間の終わりに一晩滞在するために再入院する。
【0228】
第1用量の前、入院投与期間中(及びコホート4の外来期間中)、施設からの退院時、並びに7日及び14日追跡調査来院時を含む(しかし、これらに限定されない)複数の時点で、体重を測定する。
【0229】
G933の薬物動態サンプルを、投与前及び投与後、並びにG933の最後の投与から48時間後まで、コホートによって様々な時点で取得する。メトホルミン濃度のためのサンプルは、G933の投与前に採取する。抗薬物抗体サンプルは、投与前と、最後の投与から最大28時間後までの様々な時点で取得する。
【0230】
対象は、本試験で最後の用量を投与された翌日、施設から退院する。治験薬の最後の投与から約28日後に最終安全性評価のために追跡調査来院を実施する。
【0231】
(C)効力評価
プラセボと比較して、G933の複数用量後の血糖コントロール及び体重に対する影響を評価するために、コホート4におけるMMTグルコースAUC(MMT後最大240分)の変化率及びベースライン(-1日目)から処置終了までの体重の変化を、共分散の分析を用いて、ベースライン測定値及び処置群について調節することにより、G933群とプラセボ群の間で比較する。処置終了時の測定値がない場合には、入手可能な最後の測定値で代用する。比較は、0.1の両側有意水準で実施する。プラセボ群と比較してG933処置群における体重減少(例えば、4週間の1日1回反復投与で1.3~2.0kg)は、例えば、100~300μgの用量のG933が、減量に有効であることを立証するものである。
【0232】
コホート4において、ヘモグロビンA1c(糖化ヘモグロビンHA1c)及びフルクトサミンのベースライン(-2日目)からの変化、並びにMMT後24時間のグルコースAUCのベースライン(-1日目)からの変化率を体重の評価と同様に分析した。24時間グルコースAUC分析は、MMT前/後のグルコース代謝パネルからのグルコース測定値、並びに血清化学血糖値及びPDグルコースサンプルを含み、ここで、これらの結果は、特異な時点からのものである。プラセボ群と比較してG933処置群における血糖コントロールの増大(例えば、混合食試験(MMT)後の濃度-時間曲線下グルコース面積(AUC)の少なくとも20%の減少並びに/又はヘモグロビンA1c及びフルクトサミンにより測定される通り)は、例えば、100~300μgの用量のG933が、血糖コントロールに有効であることを立証するものである。
【0233】
(D)結果
(i)パートA:コホート1~3
G933は、最大15日にわたって、1日1回(QD)最大200μgの用量で首尾よく投与された。
【0234】
G933によって正常レベルに対して有意なグルコース低減が、空腹時血漿グルコース及び混合食試験からの食後血糖の両方で観察された。混合食試験では、コホート1~3の全てにおいて、曲線下グルコース面積(AUC)が>40%減少した(
図14)。コホート1(7日目)及びコホート3(9及び15日目)におけるベースライン空腹時血糖値の変化を
図15に示す。
【0235】
最大2kgの実質的な減量への用量依存的傾向が認められた。結果を
図16に示すが、これは、G933が、2型糖尿病を有する過剰体重/肥満患者の体重を実質的に低減したことを立証するものである。コホート3では、2kg超の差が観察された。
【0236】
G933は、用量漸増により、200μgまで良好な耐容性を示した。反復投与後の薬物動態を
図17に示す。PKは線形であり、予測可能であった。半減期は、約11時間であった。複数回の1日投与後にはわずかな蓄積があるか、又は全くないかであり、4日目から7日目まで定常状態が達成された。試験した用量範囲内での最大血漿中濃度は、4.21ng/mL及び18.90ng/mLであった。平均1日曝露は、2.89ng/mL~12.45ng/mLの範囲であった。
【0237】
ただ1つのサンプルが、ベースライン後、抗G933抗体に対して陽性であることが確認された。
【0238】
有害事象は、管理可能であり、GLP-1モノアゴニストについて予想されるものと一致していた。
【0239】
報告された大部分の吐気及び嘔吐の事象は、処置の開始時、すなわち、100μg用量レベルで起こった。嘔吐は、G933を受けた患者の26%(n=5)に起こり、プラセボでは起こらなかった。コホート1では、嘔吐事象は報告されなかった。コホート2では、2人の活性患者において3回の嘔吐事象が報告された。いずれの症例も、100μgを投与する1日目に起き、またいずれの症例も、介入なしで解消された。コホート3では、3人の活性患者において13回の嘔吐事象が報告された。2人の対象は、1日目に嘔吐し、これらの症例は介入なしで解消された。1人の対象は、1日目と5日目に6回嘔吐した。3日目に静脈内食塩水を投与し、この対象は、5日目に試験を中止した。
【0240】
4人(44.4%)のプラセボ患者及び7人(36.8%)のG933処置患者において、心臓に有害事象が報告された。その頻度は、全ての活性コホートで、用量と共に増加しないことがわかった。約10bpmの脈拍数増加が、G933による処置後の各コホートにおいて観察された。収縮期血圧及び拡張期血圧に有意な変化は見られなかったが、G933又はプラセボにずれかを受けた全てのコホートに血圧降下の傾向が認められた。
【0241】
4人(44.4%)のプラセボ患者及び13人(68.4%)のG933処置患者において胃腸(GI)有害事象が報告された。GI有害事象は、コホート1、2、及び3のそれぞれ3、4、及び6人の患者に及ぼされた。最も主要なGI有害事象は吐気であり、これは、6人(31.6%)のG933処置患者に報告された。
【0242】
コホート3の6人(85.7%)のG933処置患者に食欲減退が報告された。
【0243】
1件の重篤な有害事象(SAE):マイコプラズマ肺炎が報告された。
【0244】
要約すると、G933は、良好な耐容性を示し、有意な食後血糖の減少をもたらし、臨床的に有意な用量依存的減量を示した。
【0245】
(ii)パートB:コホート4
G933は、41日の投与期間にわたって、血糖及び減量を有効に低下させた。ベースライン(1日目)から41日目までの曲線下グルコース面積(AUC)の平均減少を
図18に示す。この時間の経過で、G933は、38.5%の減少(90%C.I.-47.1、-29.0)をもたらしたのに対し、プラセボは、16.1%の減少(90%C.I.-24.9、-8.0)しかもたらさなかった(p値:0.001)。G933は、HbA1cにより測定されるように、血糖コントロールも改善した(
図19を参照)。41日の処置の後、HbA1cは、7.2%のベースライン平均から42日目の6.3%の平均へと、0.92パーセント減少した。これに対し、プラセボは、7.3%のベースライン平均から6.7%の平均へと、HbA1cを0.58パーセント低減したに過ぎなかった。
【0246】
体重に対するG933の効果を
図20及び21に示す。
図20は、G933による41日の処置の後、患者が、約3.83kg減量したのに対し、プラセボを受けた患者は、約1.71kgしか減量しなかったことを示す(G933とプラセボの差2.12kg;p<0.001)。さらに、G933で処置した44%の患者が、少なくとも5kg減量したのに対し、プラセボを受けた患者で、少なくとも5kg減量したのは、わずか8%であった。
図21は、G933による41日の処置の後、患者が、その体重の約4.18%を減量したのに対し、プラセボを受けた患者は、その体重の約1.71%しか減量しなかったことを示す(G933とプラセボの差2.47%;p<0.001)。加えて、G933で処置した患者の84%が、その体重の少なくとも2%を減量したのに対し、プラセボを受けた患者で、その体重の少なくとも2%減量したのは、42%に過ぎなかった。
【0247】
G933による処置は、肝臓脂肪の減少も達成した。(
図22を参照)。プラセボに対するG933によるベースライン(95%CI)からの肝臓脂肪の平均相対減少率は、20.5%(7.2、33.9)であった(p=0.004)。G933で処置した患者には、プラセボと比較して、肝体積の有意な減少も観察された(0.14L(-0.24、-0.03)、p=0.01)。
【0248】
全体として、G933及びプラセボで処置した患者において有害作用は均衡を保った。有害作用を以下の表にまとめる。死亡は起こらなかった。
【0249】
【0250】
計17人の患者が、吐気を報告した:プラセボを受けた4人(15.4%)と、G933で処置した13人(52.0%)。計8人の患者が、嘔吐した:プラセボを受けた0人と、G933で処置した8人(32.0%)。吐気及び嘔吐は、早期の投与ほど頻度が高かった。(
図23を参照)。
【0251】
心臓及び血流力学パラメータに有害な変化は観察されなかった。収縮期又は拡張期血圧の上昇も観察されなかった。13日目に12.8拍/分(bpm)の脈拍数の増加が見られたが、41日目までに6.9bpmに下降した。
【0252】
全体として、G933は、41日期間の血糖低下及び減量の両方に関して有効であった。混合食試験に基づくグルコース代謝は正常化し、これは、HbA1cの有意な減少を伴った。意外なことに、リラグルチド(3mg)による処置について予想されたものよりも、高い減量の推定値が観測された。
【0253】
G933は、最大41日まで、100μgから200μgまでの漸増用量に対して良好な耐容性を示し、200μgによる処置から1週間以内の定常状態達成と、複数回投与後の最小蓄積が確認された。200μg用量レベルで観察された最大血漿中濃度は、1.98ng/mL~34.30ng/mLであった。
【0254】
実施例6:複数用量漸増試験パートII
(A)対象
約32人の比較的良好にコントロールされた2型糖尿病(T2DM)を有する過剰体重又は肥満の対象が、本試験への参加のために登録している。登録対象は、下記の例外を除いて、実施例5に記載した選択及び除外基準を満たす者である。
【0255】
選択基準:
・コホート5及び6の対象は、スクリーニング期間中プラセボ(又は通常の食塩水)の初期自己注射後、毎日皮下(SC)注射を自己投与する意思があり、且つ自己投与することができなければならない。
【0256】
除外基準:
・以下:(a)収縮期血圧<90mmHg若しくは≧140mmHg;(b)拡張期血圧<50mmHg若しくは≧90mmHg;又は(c)心拍数<45若しくは>85拍/分のいずれかにより定義される、仰臥位安静10分後の異常なバイタルサイン;
・Canadian Cardiovascular SocietyクラスIIより高度に分類される不安定狭心症若しくは安定狭心症、又は心筋梗塞若しくは発作のいずれかの以前の病歴、又は過去12ヵ月以内の一過性脳虚血発作の病歴。
【0257】
(B)試験デザイン
ランダム化、二重盲検式、複数用量漸増試験を実施した。本試験のフローチャートを
図24に示す。この試験は、2つのコホート:コホート5及びコホート6から成る。コホート5は、16人の
対象(活性12、プラセボ4)から成り、5日間にわたる100μgのG933(MEDI0382)投与の開始後、150μgを5日間、200μgを5日間、そして300μgを7日間投与する。コホート6は、更なる16人の
対象(活性12、プラセボ4)から成り、5日間にわたる100μgのG933投与の開始後、200μgを5日間、そして300μgを7日間投与する。コホート5及びコホート6は、計約32人の
対象を有し、並行して試験を実施する。
【0258】
試験は、コホート5及び6の両方について、3日目に開始する入院患者漸増評価期間と、外来患者追跡調査期間から構成される。最初の4日と、300μgを投与する最後の日は入院する。
【0259】
コホート1~4について実施例5に記載したように、対象は診療施設に入院する。しかし、彼らは、3日目に終了する初期入院期間を有し、その後、G933の在宅自己投与期間を行うが、300μg用量の開始まで、用量漸増ステップ毎に診療施設に来院する。対象は、300μg用量の開始のための第2の入院期間を有し、これは第4日で終了し、その後、この用量での在宅自己投与が続く。
【0260】
1日目と、達成される最も高い用量レベルの最後の日に、混合食試験(MMT)処置を実施する。追加時点は、300μg用量を開始する前(コホート5は16日目で、コホート6は11日目)と、投与の終了時(コホート5は22日目で、コホート6は17日目)を含む。MMTは、実施例5に記載の通りに実施する。
【0261】
第1用量の前、入院投与期間中、外来患者期間中、施設からの退院時、7日~14日の追跡調査来院時、並びに来院の28日終了時を含む(しかし、これらに限定されない)複数の時点で、体重を測定する。
【0262】
G933の薬物動態サンプルを、投与前及び投与後、並びにG933の最後の投与から48時間後まで、コホートによって様々な時点で取得する。メトホルミン濃度のためのサンプルは、G933の投与前に採取する。抗薬物抗体サンプルは、投与前と、最後の投与から最大28日後までの様々な時点で取得する。
【0263】
対象は、本試験で最終用量を投与された後、施設から退院する。治験薬の最後の投与から約28日後に最終安全性評価のために追跡調査来院を実施する。
【0264】
(C)結果
G933は、コホート5及び6において、グルコースを有効に低下させた。コホート5及び6で観察されたグルコースAUCレベルをそれぞれ
図25及び26に示す。コホート5では、G933による処置は、41.7%のグルコースAUC減少(90%C.I.-49.9、-33.5)をもたらしたのに対し、プラセボによる処置は、8.0%のグルコース低減(90%C.I.-19.6、3.6)しかもたらさなかった(p<0.001)。コホート6において、G933による処置は、35.8%のグルコースAUC減少(90%C.I.-43.3、-28.3)をもたらしたのに対し、プラセボによる処置は、-6.9%のグルコース低減(90%C.I.-20.2、6.3)しかもたらさなかった(p=0.002)。グルコースAUCに対する効果は、以前のコホートと同等であり、すなわち、約40%の減少を標準化した。全コホートにおけるベースライングルコースAUCからの変化率(%)を
図27に示す。
図28に示すように、G933は、コホート5及び6の空腹時血糖値も有効に低下させた。
【0265】
G933は、減量においても有効であった。
図29に示すように、22日の処置後、コホート5においてG933で処置した患者は、約3.09kg減量したのに対し、プラセボで処置した患者は、約0.98kgしか減量しなかった(2.11kgの差)。同様に、17日の処置後では、コホート6においてG933で処置した患者は、約2.23kg減量したのに対し、プラセボで処置した患者は、約0.35kgしか減量しなかった(1.88kgの差)。コホート5(2.11kg)及び6(1.88kg)のいずれも、22日及び17日後に、コホート4での41日の投与中に観察されたものと同等の減量を示した。
【0266】
体重及び血糖値の変化を
図30に一緒にプロットし、以下の表22にまとめる。
【0267】
【0268】
G933は、コホート5及び6において、良好な耐容性を示し、有害事象プロフィールは、リラグルチドなどの他の市販のGLP-1類似体と一致した。いずれのコホートにも死亡又は重篤な有害事象は観察されなかった。
【0269】
いずれの漸増スケジュールも、最大300μg用量のG933が、吐気及び嘔吐に関して良好な耐容性であることを立証している。コホート5では、計4人の患者が、8回の吐気のエピソードを報告した:プラセボを受けた患者1人(20%)及びG933を受けた患者3人(27.3%)。計3人の患者が、8回の嘔吐エピソードを報告した:プラセボを受けた患者はおらず(0%)、G933を受けた患者3人(27.3%)。コホート6では、計5人の患者が、6回の吐気のエピソードを報告した:プラセボを受けた患者はおらず(0%)、G933を受けた患者5人(41.7%)。1人の患者が、2回嘔吐した:プラセボを受けた患者はおらず(0%)、G933を受けた患者1人(8.3%)。対象が、最初の用量から48時間後に外来患者になると、より低い割合の吐気(8/24=33%)及び嘔吐(4/24=16%)が観察された。
【0270】
携帯型血圧測定は、G933処置患者において、収縮期血圧/拡張期血圧(SBP/DBP)にベースラインからの上昇は示さず、下降への潜在的傾向を示した。コホート5では、22日のG933の投与後、心拍数がベースラインから約7.6拍/分(BPM)増加し、これは、以前、並びに他のGLP-1類似体及びコホート4で観察されたものと一致した。コホート6では、17日のG933の投与後、心拍数がベースラインから約5.9拍/分(BPM)増加した。
【0271】
両方の漸増計画により得られた300μgの最高用量で7日後のG933の血漿中濃度を
図31に示す。プロフィールは、特に定常状態に達すると、重複するが、これは、この用量レベルでの曝露が、採用した漸増計画とは独立であることを示唆している。300μg用量で観察された最大血漿中濃度は、7.9ng/mL~30.9ng/mLの範囲であった。
【0272】
複数用量漸増試験結果のまとめ(パートI及びII)
全体として、100~300μgの用量範囲で、G933は、約8~11時間の半減期を有する線形PK、毎日の反復投与後のわずかな蓄積、並びに試験した全4用量レベルで4日目~7日目の定常状態達成を示した。これらの結果により、単一用量試験(実施例4)からの結果が確認された。300μgの最高用量で7日後に到達した血漿中濃度は、採用した漸増計画とは独立であった。Cmaxの対象間変動は、より小さなコホートでは約20~30%、より大きなコホート4では40~50%であった。試験した用量試験範囲内で、且つ採用した漸増計画を用いた最大血漿中濃度は、1.98ng/mL~34.3ng/mLの範囲であり、平均1日血漿中濃度は、0.87ng/mL~16.3ng/mLの範囲であった。
【0273】
安全性及び耐容性プロフィールは、他のGLP-1模倣物と同等であり、重要なことには、G933は、減量及び血糖コントロールの両方をもたらした。
【0274】
本開示は、本開示の個別の態様の単一の例示として意図される記載の具体的実施形態、並びに本開示の範囲内で機能的に均等であるあらゆる組成物又は方法によって範囲を限定されるわけではない。実際に、本明細書において図示及び記載するもの以外に、本開示の様々な改変形態が、以上の説明及び添付の図面から、当業者には明らかになるであろう。こうした改変形態は、添付する特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0275】
本明細書で述べた全ての刊行物及び特許出願は、あたかも各刊行物又は特許出願が、具体的かつ個別に参照により組み込まれると示されているのと同じ範囲まで、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【配列表】