(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】アクリルベースまたはABSベースのポリマーに対する非フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)ポリ塩化ビニルの接着性を改善する方法
(51)【国際特許分類】
C08L 33/12 20060101AFI20230306BHJP
B29C 65/00 20060101ALI20230306BHJP
C08L 51/04 20060101ALI20230306BHJP
C08L 101/12 20060101ALI20230306BHJP
B29K 27/06 20060101ALN20230306BHJP
B29K 33/00 20060101ALN20230306BHJP
【FI】
C08L33/12
B29C65/00
C08L51/04
C08L101/12
B29K27:06
B29K33:00
(21)【出願番号】P 2018557858
(86)(22)【出願日】2017-05-19
(86)【国際出願番号】 US2017033588
(87)【国際公開番号】W WO2017213827
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2018-12-10
【審判番号】
【審判請求日】2020-08-24
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(73)【特許権者】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】セヴィンチ, ゼフラ シベル
(72)【発明者】
【氏名】リン, マイケル トゥン キウン
【合議体】
【審判長】原田 隆興
【審判官】藤原 浩子
【審判官】岡崎 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-73947(JP,A)
【文献】特開平7-101006(JP,A)
【文献】特開昭63-77963(JP,A)
【文献】特開2004-82720(JP,A)
【文献】特開昭59-127757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/12
B32B 27/00
C08L 33/00
C08L 27/06
C08L 51/04
C08L 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)ベースのポリマーに対する、非フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)で可塑化されたポリ塩化ビニル(PVC)の接着性を改善する方法であって、
前記
ABSベースのポリマーとポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤のブレンドに対する前記ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤の含量が12%(w/w)を超えるように、前記ABSベースのポリマーを耐衝撃性改良剤とブレンドするステップ
であって、ここで、前記耐衝撃性改良剤が、ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤を含む
ステップを含む、方法。
【請求項2】
前記非DEHP PVCが、テレフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHT)PVCである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ABSベースのポリマーが、(1)ABSを含むメタクリレートポリマー、(2)透明グレードのABS、および(3)メタクリル酸メチル-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(MABS)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ABSベースのポリマーが、前記ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤とブレンドされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ABSベースのポリマーと前記ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤のブレンドに対する前記ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤の含量が、12%(w/w)を超え、最大40%(w/w)までである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
接合方法を介して非DEHP PVCを含む第1のメンバーを、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)ベースのポリマーを含む第2のメンバーに接合するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法であって、前記接合方法が、
前記ABSベースのポリマーとポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤のブレンドに対する前記ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤の含量が12%(w/w)を超えるように、前記ABSベースのポリマーをポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤とブレンドするステップ;
前記ABSベースのポリマーを含む前記第2のメンバーを形成するステップ;および
前記第1のメンバーを前記第2のメンバーに溶剤接合するステップ
を含む方法。
【請求項7】
前記非DEHP PVCおよびABSベースのポリマーが、24.47N(5.5lbf)を超える結合力を少なくとも5年間有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ABSベースのポリマーが、前記ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤とブレンドされる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のメンバーがチューブであり、前記第2のメンバーが成型部品である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のメンバーおよび前記第2のメンバーが、シクロヘキサノンまたはシクロヘキサノンおよびMEKの混合物を使用して溶剤接合される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記ABSベースのポリマーと前記ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤のブレンドに対する前記ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤の含量が少なくとも15%(w/w)である、請求項6に記載の接合方法。
【請求項12】
非DEHP PVCを含む第1のメンバー、および
アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)ベースのポリマーの成型部品を含む第2のメンバー
を含むデバイスの構成要素であって、前記第1のメンバーが前記第2のメンバーに溶剤接合されており、
前記ABSベースのポリマーとポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤のブレンドに対する前記ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤の含量が12%(w/w)を超えるように、前記ABSベースのポリマーが請求項1に記載の耐衝撃性改良剤とブレンドされる、構成要素。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
ポリ塩化ビニル(PVC)は、IVおよび血液バッグ、外科用チューブおよび関連構成要素、カテーテル等の医療用途に最も広く使用されるポリマーの中の1つである。単独では、PVCは硬質で剛性が高い物質である。しかし、PVCが可塑剤で可塑化された場合、PVCは柔軟であるにもかかわらず強靭で、耐キンク性になり、シクロヘキサノン等の溶剤を使用して他のポリマー構成要素に容易に溶剤接着することができる。しかし、PVCの使用は、アクリルベースまたはABSベースのポリマー等の他のポリマーに対するPVCの接合強度の経時的な劣化によってある程度妨げられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
要旨
本開示は、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマー(そのようなポリマーを含む物品またはデバイスを含む)に対する、非フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)で可塑化されたポリ塩化ビニル(PVC)(非DEHP PVCベースのポリマーブレンド、およびそのようなポリマーおよびブレンドを含む物品またはデバイスを含む)の接着性を改善する方法を提供する。
であって、
【0003】
本開示の方法は、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマー中のゴム含量が12%(w/w)を超えるように、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを耐衝撃性改良剤とブレンドするステップを含み得る。
【0004】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、非DEHPで可塑化されたPVCは、テレフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHT)で可塑化されたPVCである。
【0005】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、非DEHPで可塑化されたPVCは、可塑剤の総重量に対して、15%(w/w)~46%(w/w)の範囲の量で非DEHP可塑剤を含む可塑剤を含む。
【0006】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、非DEHPで可塑化されたPVCは、エポキシ化油を除いて、6%(w/w)~42%(w/w)の範囲の量で非DEHP可塑剤を含む可塑剤を含む。
【0007】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、アクリルベースのポリマーは、耐衝撃性改良されたアクリルベースのマルチポリマーである。
【0008】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、ABSベースのポリマーは、耐衝撃性改良されたABSベースのマルチポリマーである。
【0009】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、アクリルベースのポリマーはアクリルターポリマーである。
【0010】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、アクリルターポリマーは、メタクリル酸メチル/スチレン/アクリル酸エチルターポリマーである。
【0011】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、ABSベースのポリマーは、(1)ABSを含むメタクリレートポリマー、(2)透明グレードのABS、および(3)メタクリル酸メチル-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(MABS)からなる群から選択される。
【0012】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、アクリルベースのポリマーは、98%(w/w)を超えるポリ(メタクリル酸メチル)含量を有する。
【0013】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、アクリルベースのポリマーは透明である。
【0014】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、耐衝撃性改良剤は、ポリ(アクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリブタジエン、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレンコポリマー(MBS)、アクリルゴム、およびElvaloy(登録商標)ACからなる群から選択される。
【0015】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、アクリルベースのポリマーまたは前記ABSベースのポリマーは、ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤とブレンドされる。
【0016】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、アクリルベースのポリマーは、ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤および/またはポリ(アクリル酸ブチル)耐衝撃性改良剤とブレンドされる。
【0017】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマー中のゴム含量は、12%(w/w)を超え、最大40%(w/w)までである。
【0018】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマー中のゴム含量は、少なくとも15%(w/w)である。
【0019】
本開示はまた、非DEHPで可塑化されたPVCポリマーを含む第1のメンバー(非DEHPで可塑化されたPVCポリマーブレンドを含む)を、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを含む第2のメンバーに接合する方法であって、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマー中のゴム含量が12%(w/w)を超えるように、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを耐衝撃性改良剤とブレンドするステップ;アクリルベースのポリマーまたは前記ABSベースのポリマーを含む第2のメンバーを形成するステップ;および第1のメンバーを第2のメンバーに溶剤接合するステップを含む方法も提供する。
【0020】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、非DEHPで可塑化されたPVC(例えば、非DEHP PVCポリマーブレンド)およびアクリルベースのポリマーは、5.5lbfを超える結合力を少なくとも5年間有する。
【0021】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーは、ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤とブレンドされる。
【0022】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、アクリルベースのポリマーは、ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤および/またはポリ(アクリル酸ブチル)耐衝撃性改良剤とブレンドされる。
【0023】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、第1のメンバーはチューブであり、第2のメンバーは成型部品である。
【0024】
上記または下記の実施形態のそれぞれまたはいずれかの一部の実施形態では、第1のメンバーおよび第2のメンバーは、シクロヘキサノンまたはシクロヘキサノンおよびメチルエチルケトン(MEK)の混合物を使用して溶剤接合される。
【0025】
本開示はまた、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマー中のゴム含量が12%(w/w)を超えるように、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを耐衝撃性改良剤とブレンドするステップ;アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを含む第2のメンバーを形成するステップ;および第1のメンバーを第2のメンバーに溶剤接合するステップを含む方法によって作製されたデバイスの構成要素を提供する。
【0026】
本開示はまた、非DEHP PVCを含む第1のメンバー、およびアクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーの成型部品を含む第2のメンバーを含むデバイスの構成要素であって、第1のメンバーが第2のメンバーに溶剤接合されており、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマー中のゴム含量が、12%(w/w)を超えるように、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーが耐衝撃性改良剤を含む、構成要素を提供する。
【0027】
前述の概要、および以下の本開示の詳細な記載は、添付した図面と共に読めばよりよく理解される。本開示を図示する目的では、図に示されたものは、現在のところ好ましい実施形態である。しかし、本開示は、示された正確な配置、例および手段に限定されるものではないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に従ってチューブを溶剤接合するための、ポケットを有する成型部品の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
本開示は、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーに対する非フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)ポリ塩化ビニル(PVC)(例えば、非DEHP PVCポリマーブレンド)の接着性を改善する方法を提供する。医療用途では、PVCを含む物品は、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを含む物品に溶剤接合されることが多い。このような用途では、DEHPを含まないPVC組成物(例えば、非DEHP PVCポリマーブレンド)は、PVC物品からのDEHPの溶出に対する高まりつつあるに懸念にかんがみて好都合である。しかし、このような接合は経時的に劣化し、その結果、このような接合を含む医療デバイスまたは構成要素は、適切な保管寿命を有さない。驚くべきことに、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーに対する非フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)ポリ塩化ビニル(PVC)(例えば、非DEHP PVCポリマーブレンド)の接着性(例えば、接合強度および/または接合寿命)は、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを耐衝撃性改良剤とブレンドすること、および/または高分子量のアクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを使用することによって改良され得ることが見出された。医療デバイスまたは構成要素が、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを含む物品に接合された、非DEHP PVC(例えば、非DEHP PVCポリマーブレンド)を含む物品を含む場合、医療デバイスまたは医療デバイスの構成要素を製造するために本方法を使用することができる。
【0030】
本明細書に開示されたものは、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーに対する非フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)ポリ塩化ビニル(PVC)の接着性を改善する方法であって、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを耐衝撃性改良剤とブレンドするステップ、および/または高分子量のアクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを使用するステップを含む方法である。本明細書で使用される場合、「接着性を改善する」という用語は、継ぎ目の強度を(例えば、結合引張力(例えば、3.5lbf、4.0lbf、4.5lbf、5.0lbf、5.5lbf、6.0lbf、6.5lbf、7.0lbf、7.5lbf、8.0lbf、8.5lbf、9.0lbf、9.5lbf、10.0lbfまたはそれを超える)の顕著な劣化なしに)、および/または接合の寿命を、例えば、多年(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10年またはそれを超えて)にわたることを含めて、(例えば、接合の劣化を低減または維持して)、増加させ、強化しまたは維持することを意味する。好ましくは、接合は少なくとも5.5lbfの引張力を少なくとも5年間維持する。
【0031】
本開示において使用するのに適した非DEHPで可塑化されたPVC化合物またはブレンドは、医療グレードおよび食品グレードポリ塩化ビニルホモポリマーを含む。PVC樹脂は、任意の適した量、例えば、約35%(w/w)~約90%(w/w)の範囲の量で組成物または物品に含まれてもよい。すべての添加剤の組み合わせた量に対するPVC樹脂の量の好ましい重量比は、任意の適した比、例えば、約0.5~約5、または約1~3、または約1~2の範囲の比であってもよい。
【0032】
PVCのK値は、PVCの分子量と相関し、しばしば分子量に対する代理として使用される。本明細書に記載の組成物に使用するためのPVC樹脂は、当技術分野ですでに公知のように、所望のPVC物品の最終使用に対する任意の適したK値、任意選択で約35~約80の範囲、任意選択で約60~約80の範囲、例えば70のK値で特徴付けることができる。
【0033】
ポリマーブレンドを含む、本開示による非DEHPで可塑化されたPVCポリマーは、限定するものではないが、可塑剤、潤滑剤、耐衝撃性改良剤、殺生物剤、充填剤、着色剤、酸化防止剤、および他の機能性成分を含む、他の任意選択の添加剤成分を、例えばこれらの所期の目的に適した量で含むことができる。
【0034】
本開示による非DEHPで可塑化されたPVCポリマー(例えば、非DEHP PVCポリマーブレンド)は、一次および任意選択で二次可塑剤を含むことができる。PVC組成物に使用するための可塑剤は、当技術分野で周知である。一次または二次可塑剤として使用するのに適した可塑剤には、フタレート可塑剤、例えば、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)、テレフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHT)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、およびフタル酸ジ(イソノニル)(DINP)、エポキシ化植物油、例えば、大豆およびアマニ、トリメリテート、例えば、トリメリット酸トリメチル(TMTM)、トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル)(TOTM)、およびトリメリット酸n-オクチル(OTM)、ポリエステル、ホスフェート、例えば、リン酸イソデシルジフェニル(isodectyl diphenyl phosphate)(DDP)およびリン酸トリス(2-エチルヘキシル)(TOF)、シトレート、例えば、クエン酸ブチリルトリヘキシル(BTHC)およびクエン酸アセチルトリブチル(ATBC)、ベンゾエート、例えば、二安息香酸ジプロピレングリコール(DPGDP)、スルホネート、例えば、ペンタデシルスルホン酸のフェニルクレシル(phenyl cresyl)エステル、カルボキシレート、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジ(イソノニル)等のシクロヘキサンベースのもの、ヒマシ油誘導体、ならびにアジペート、例えば、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHA)、アジピン酸ジメチル(DMAD)、およびアジピン酸ジオクチル(DOA)が含まれる。
【0035】
一次可塑剤は、非DEHP PVC組成物に、任意の適した量、例えば、約30phr~約70phr、または約35phr~約65phr、または約30phr~約60phr、または約25phr~約55phrの範囲で含まれてもよい。一部の実施形態では、PVC組成物は二次可塑剤を含む。二次可塑剤は任意の適した量、例えば、最大約30phrまでPVC組成物に含まれ得る。より少ない可塑剤が使用されるにつれて、PVC物品はより脆性になり、一方、より多くの可塑剤が使用されるにつれて、PVC物品は強度を失うことがある。
【0036】
本開示による非DEHPで可塑化されたPVC組成物に使用するための潤滑剤は、当技術分野で周知である。適した潤滑剤には、限定するものではないが、ポリエチレン、パラフィンワックス、およびアクラワックス(acrawax)、例えばN,N’エチレンビスステアリン酸アミド(N,N’ ethylene bisstearamide)が含まれる。潤滑剤は、最大約0.5phrまでの量でPVC組成物に含まれ得る。一実施形態では、本開示による非DEHPで可塑化されたPVC組成物は、潤滑剤等のいずれの加工助剤も必要ではないことがある。
【0037】
本明細書に記載の非DEHP PVC組成物をPVC物品中に形成することができる。PVC物品は、当技術分野で一般的にすでに公知の様々な方法を含む、任意の適切な装置および方法を用いて製造することができる。PVC物品は熱加工され得る。例えば、PVC物品は、限定するものではないが、押出し、押出ブロー成型、射出成型、射出ブロー成型、インサート成型、回転成型、熱成形、真空成形、引抜成形、樹脂トランスファー成型、および溶接を含む、1種または複数の加工ステップで製造することができる。
【0038】
非DEHPで可塑化されたPVCベースのポリマーは、2種またはそれよりも多いポリマーのブレンドであってもよく、例えば、多層チューブ、またはデュアルルーメンチューブを含むチューブ(例えば、医療用途に使用するためのチューブ)に製作することが可能であり得る。チューブは、1種または複数の以下の物理的特性を有し得る:約20,000psi未満、より好ましくは約10,000未満、最も好ましくは約5,000psi未満の弾性率、ASTM D1003に従って測定された場合、約25%未満の内部ヘーズ、約100ft/分を超え、より好ましくは約200ft/分を超え、さらにより好ましくは約250ft/分を超え、最も好ましくは約300ft/分に等しいまたはそれを超えるスループット速度で製作されることが可能であること;約400psi~約1500psi、より好ましくは約600psi~約800psiの降伏強度、および降伏曲線周辺の引張曲線はなだらかであるべきであること、チューブに著しく損傷を与えることなく、典型的には約5lbの締付力を有する医療用チューブクランプと共に繰り返して使用することが可能であること、および剛性構成要素に溶剤接合することが可能であること。一実施形態では、チューブを放射線に照射してもよい。
【0039】
非DEHP PVCベースのポリマーは、押出し、共押出し、ブロー押出し、ブロー成型、射出成型等の標準的なポリマー加工技術を用いてチューブに製作してもよい。同様に、ブレンドは、押出し、共押出し、ブロー押出し、ブロー成型、圧縮成型 射出成型、積層、熱成形、カレンダー加工等の標準的なポリマー加工技術を使用して、フィルムまたはシートに製作することができる。
【0040】
輸液ポンプと共に使用されるチューブ、特にチューブの側壁にエネルギーを加えるポンプでは、チューブは、医療輸液ポンプによってチューブに加えられるエネルギーに応答して液体を、10%を超える流量の変動なしに、より好ましくは5%を超える変動なしに、24時間送達することができることが望ましい。また、ポンプに適合性のあるチューブは、元の断面直径を有し、チューブを5lbの重量で10秒間伸ばした後、元の断面直径の95%を保持することが望ましい。
【0041】
非DEHPで可塑化されたPVCベースのポリマーは、チューブ材料を製造するために1種または複数の添加剤をブレンドしてもよい。例えば、非DEHPベースのポリマーは、ポリオレフィン、さらに特定するとアルファ-オレフィンのホモポリマーおよびコポリマーのブレンド樹脂を含んでもよい。これらの添加剤を、チューブ材料の5%~約95重量%の量でチューブ材料にブレンドしてもよい。アルファ-オレフィンは、2~約20個の炭素原子またはこれらの任意の範囲またはこれらの範囲の組合せを含んでもよい。2~約10個の炭素原子を含むアルファ-オレフィンがより好ましい。したがってオレフィンポリマーは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、4-エチル-1-ヘキセン等のオレフィン、またはこれらのオレフィンの2種またはそれよりも多くの混合物から誘導されてもよい。特に有用なオレフィンポリマーの例には、超低密度ポリエチレン(ULDPE)と称される、エチレン-ブテンコポリマーおよびエチレンとプロピレンのコポリマーおよびエチレンとオクテン-1のコポリマーが含まれる。このようなULDPEは、好ましくは0.910g/cm3に等しいまたはそれよりも低い密度を有し、好ましくはメタロセン触媒系を使用して製造される。このような触媒は、複数の触媒点を有することが公知のチーグラー・ナッタタイプの触媒とは対照的に、立体的にも電子的にも同等の単一の触媒サイトを有するので、「シングルサイト」触媒と称される。
【0042】
一部の実施形態では、チューブ材料に、ガンマ線、電子ビーム、紫外光、可視光または他のイオン化エネルギー源等の放射線への曝露に応答する放射線感受性添加剤を添加してもよい。適した放射線感受性添加剤には、ジクミルペルオキシド(DiCup)等の有機ペルオキシドおよび他のフリーラジカルを発生させる化合物が含まれる。他のフリーラジカル感受性官能基には、アクリレート、酸、ジエンおよびそのコポリマーおよびターポリマー、アミド、アミン、シラン、ウレタン、ヒドロキシル(hydroyxl)、エポキシ、エステル、ピロリドン、アセテート、一酸化炭素、ケトン、イミダゾリン、光およびUV開始剤、フルオロ化合物等が含まれる。これらの官能基は、ポリマー化合物および非ポリマー化合物中にあってもよい。さらに特定すると、適した添加剤には、エチレン-酢酸ビニル、エチレン-アクリル酸メチル(EMA)、エチレン-アクリル酸(EAA)、脂肪アミド、低粘性官能化および非官能化スチレン-ブタジエンコポリマーおよびその水素化誘導体、官能化および非官能化ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレンプロピレンジエンモノマーターポリマー、ポリブテン、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、光開始剤等が含まれる。エチレン-プロピレンターポリマーは、連鎖非共役ジオレフィン、例えば1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエンまたは環式ポリエン、例えば、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロオクタジエン、メチルテトラヒドロインデン等の第3の構成要素を有する。
【0043】
放射線感受性添加剤は、単層または外層の好ましくは0.01~20.0重量%、より好ましくは0.01~10.0重量%、最も好ましくは0.02~5.0重量%の量の有効量でチューブ材料に添加するべきである。
【0044】
任意選択で、チューブ材料は、シアノアクリレート系接着剤等の接着剤とのその相溶性を増強するために、および摩擦等の他の表面特性を改善するために(潤滑)、極性添加剤を取り込むことによってさらに改良してもよい。極性添加剤は、好ましくは、主鎖に5個を超えるが500個未満の炭素原子、より好ましくは200個未満の炭素、最も好ましくは100個未満の炭素を有する非ポリマー性脂肪族または芳香族炭化水素から選択される。さらに、添加剤は、アミン;アミド;ヒドロキシル;酸;アセテート、アンモニウム塩;金属アルコレート、金属カルボキシレート等の有機金属化合物、および多数の1,3-ジカルボニル化合物の金属錯体;フェニルホスフィン;ピリジン;ピロリドン;イミダゾリン、およびオキサゾリンの群から選択される電気陰性基を有すべきである。改良添加剤はまた、ポリマーエマルジョンまたは溶液であってもよい。
【0045】
極性添加剤は、チューブ材料の約0.001重量%~10.00重量%、より好ましくは0.01~2.0重量%の量で含まれるべきである。
【0046】
チューブは、0.003~0.4インチの範囲内の内径寸法、および0.12~0.50インチの範囲内の外径寸法を有してもよい。チューブは、50,000psi未満、より好ましくは30,000未満、さらにより好ましくは10,000未満、最も好ましくは4,000psi未満またはこれらの任意の範囲またはこれらの範囲の任意の組合せの弾性率を有する柔軟性であるべきである。
【0047】
アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーに対する非DEHP PVCの接着性は、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを耐衝撃性改良剤とブレンドすること、および/またはアクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーの分子量を増加させることによって改善してもよい。
【0048】
アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーとブレンドしてもよい耐衝撃性改良剤は、例えば、ポリ(アクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリブタジエン、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレンコポリマー(MBS)、アクリルゴム、またはElvaloy(登録商標)ACからなる群から選択される1種または複数の耐衝撃性改良剤を含んでもよい。別の実施形態では、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを、例えば、12%(w/w)を超え、最大40%(w/w)までの耐衝撃性改良剤を含む、ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤とブレンドしてもよい。さらに別の実施形態では、アクリルベースのポリマーを、例えば、12を超え、最大40%(w/w)の耐衝撃性改良剤を含む、ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤および/またはポリ(アクリル酸ブチル)耐衝撃性改良剤とブレンドしてもよい。
【0049】
耐衝撃性改良剤とブレンドされたアクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーは、好ましくは、12%(w/w)を超え、例えば少なくとも15%(w/w)のゴム含量を有する。特定の用途に対する使用要求事項または優先度に応じて、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマー中の12%(w/w)未満のゴム含量は、必要な接着強度を提供しないこともある。
【0050】
非DEHP PVCベースのポリマーを含む物品は、例えば、本明細書に開示されたアクリルベースまたはABSベースのポリマーを含む別の物品に溶剤接合され得る。構成要素を製作するための適したポリマーは、さらに、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、環式オレフィンを含むポリマーおよび架橋多環式オレフィンを含むポリマーのホモポリマーおよびコポリマーを含んでもよい。適した環式オレフィンを含むポリマーおよび、架橋多環式オレフィンを含むポリマー。
【0051】
図1を参照すると、本開示によるアクリルベースまたはABSベースのポリマーを含む物品は、腹膜透析またはI.V.投与セットに一般に使用されているコネクターまたは他のデバイス等の剛性物品であってもよい。物品は約30,000psiを超える弾性率を有してもよい。
【0052】
溶剤接合技術を使用して、2種の剛性構成要素、剛性構成要素と半剛性構成要素、剛性構成要素と柔軟性構成要素、半剛性構成要素と柔軟性構成要素、半剛性構成要素と別の半剛性構成要素、および特定の柔軟性構成要素を相互につなぎ合わせることを含む、剛性、半剛性および柔軟性部品の任意の組合せを互いにつなぎ合わせることができる。溶剤接合は、ポリマーの1つで製造された1つの物品を、製品を溶融、溶解または膨潤するために溶媒に曝露し、次いで別のポリマー構成要素に取り付けて、恒久的な接合を形成することができることを指す。例えば、非DEHP PVCベースのポリマーを含む物品を、溶媒に曝露して、それをアクリルベースまたはABSベースのポリマーを含む物品等の剛性物品に接合してもよい。
【0053】
適した溶媒は、典型的には、約20(MPa)1/2未満、より好ましくは約19(MPa)1/2未満、最も好ましくは約18(MPa)1/2未満の溶解度パラメーターを有し、限定するものではないが、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素の混合物、芳香族炭化水素の混合物ならびに芳香族および脂肪族炭化水素の混合物を含む。適した脂肪族炭化水素には、置換および非置換のヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、デカリン等が含まれる。適した芳香族炭化水素には、キシレン、テトラリン、トルエン、およびクメン等の、置換および非置換の芳香族炭化水素溶媒が含まれる。適した炭化水素の置換基には、1~12個の炭素を有する脂肪族置換基が含まれ、プロピル、エチル、ブチル、ヘキシル、第三級ブチル、イソブチルおよびそれらの組合せが含まれる。適した溶媒はまた、約200g/モル未満、より好ましくは約180g/モル未満、最も好ましくは約140g/モル未満の分子量を有する。
【0054】
本開示は、腹膜透析、血液透析、または血液透析濾過に使用されるデバイスの構成要素等の溶剤接合された構成要素をさらに提供する。非DEHP PVCベースのポリマーを含む物品を用意し、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを含む物品を用意し、第1の物品または第2の物品の1つに溶剤を適用して界面領域を確定し、第1の物品を界面領域に沿って第2の物品に接合することによって、構成要素を互いに溶剤接合することができる。
【0055】
第1の物品は、Y字部、濾過器ハウジング、点滴チャンバー、ヘパリンロック、注入部、カテーテル、皮下注射針、注射筒、栓、チューブ、酸素供給器、ポンプカセット、バルブ、ビュレット、および任意の医療用物品または構成要素からなる群から選択される剛性、半剛性および柔軟性医療用製品であることができる。第2の物品は、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを含む群から選択される剛性、半剛性および柔軟性ポリマー材料であることができる。第2の物品は、第1の物品に対して述べた同じデバイスの部品であることができる。
【0056】
また、テクスチャ付き、つや消し、またはそうでないものはチューブが接合される領域(界面領域)もしくはチューブ外面の全体に沿って粗面化した、外面を有するチューブを供給して、溶剤接合を改善することが望ましい。
【0057】
本開示はまた、非DEHPで可塑化されたPVCを含む第1のメンバーをアクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを含む第2のメンバーに接合する方法を提供する。方法は、アクリルベースのポリマーもしくはABSベースのポリマーを耐衝撃性改良剤とブレンドする、またはアクリルベースのポリマーもしくはABSベースのポリマーの分子量を増加させるステップ;アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを含む第2のメンバーを形成するステップ;および第1のメンバーを第2のメンバーに溶剤接合するステップを含んでもよい。あるいは、方法は、非DEHP PVCを含む第1のメンバーを、耐衝撃性改良剤を有するアクリルベースのポリマーまたは耐衝撃性改良剤を有するABSベースのポリマーを含む第2のメンバーに接合するステップを含んでもよく、方法は、非DEHP PVCを含む第1のメンバーおよび耐衝撃性改良剤を有するアクリルベースのポリマーまたは耐衝撃性改良剤を有するABSベースのポリマーを含む第2のメンバーを用意するステップ;および第1のメンバーを第2のメンバーに溶剤接合するステップを含む。また、提供されるものは、デバイス(例えば、腹膜透析、血液透析、または血液透析濾過に使用されるデバイス)の構成要素であって、本明細書に開示された方法により、第2のメンバーに接合された第1のメンバーを含む、構成要素である。
【0058】
本明細書で使用される場合、別の指定がなければ、「重量%(wt.%)」および「重量%(wt%)」という用語は、全体の組成物(適用可能な場合)中の「乾燥」(無水の)重量部で特定される要素の組成を表すものである。
【0059】
本開示の広い範囲に示された数値の範囲およびパラメーターは、近似値であるにもかかわらず、具体例に示す数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、任意の数値は、個々の試験測定値に見られる標準偏差からやむを得ず生じるある種の誤差を本質的に含む。別の指示がなければ、本明細書および特許請求の範囲で使用される、成分の量、分子量、反応条件等の特性、およびその他を表すすべての数は、すべての場合「約」という用語によって修飾されていると理解される。
【0060】
本開示を記載する文脈において(とりわけ、添付の特許請求の範囲の文脈において)使用される、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」という用語および類似の指示物は、本明細書に別の指示がなければまたは文脈で明確に否定されていなければ、単一および複数の両者を包含するものと解釈される。本明細書における値の範囲の列挙は、単に、範囲に入る各個別の値に個々に言及することの省略表現としての役割を果たすことが意図されている。本明細書に別の指示がなければ、個々の値はそれぞれ、本明細書に個別に列挙されているかのように、本明細書に取り込まれている。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に別の指示がなければ、または文脈によって明確に否定されていなければ、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書に提供された任意のおよびすべての例、または例示的な言語(例えば、「等の」)の使用は、単に、本開示をよりよく明らかにするものであり、さもなければ特許請求される本開示の範囲の限定を引き起こすものではない。本明細書中のいかなる言語も、本開示の実行に必須の任意の特許請求されていない要素を示すものと解釈するべきでない。
【0061】
本明細書に開示された開示の代替の要素または実施形態のグループ分けは、限定するものと解釈してはならない。各グループメンバーは、個別に、またはグループの他のメンバーもしくは本明細書に見られる他の要素との任意の組合せで参照され、特許請求され得る。グループの1つまたは複数のメンバーを、簡便さおよび/または特許性の理由で、グループに含める場合があり、またはグループから除く場合があることが予想される。任意のこのような含めることまたは除くことが生じる場合、本明細書は、このようにして、添付の特許請求の範囲に使用されたすべてのマーカッシュ群の記述を満たすように改変された群を含むものと考えられる。
【0062】
本開示のある特定の実施形態が、本開示を実行するのに本発明者らに公知の最良の方法を含めて、本明細書に記載されている。当然、前述の記載を読むと、当業者にはこれらの記載された実施形態に関する変形が明らかになる。本発明者は、当業者が必要に応じてこのような変形を使用することを期待し、本発明者らは、本開示が本明細書に具体的に記載されたもの以外の方法で実行されることを意図する。したがって、本開示は、適用される法律によって許可された、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙された主題のすべての改変および等価物を含む。さらに、そのすべての可能な変形における上記の要素の任意の組合せも、本明細書に別の指示がなければ、またはさもなければ文脈によって明確に否定されてなければ、本開示によって包含される。
【0063】
本明細書に開示された具体的な実施形態は、「からなる」または および「から本質的になる」という言語を使用して、特許請求の範囲においてさらに限定され得る。出願されたか、補正により追加されたかにかかわらず、特許請求の範囲に使用される場合、「からなる」という移行句は、特許請求の範囲に規定されてない任意の要素、ステップまたは成分を排除する。「から本質的になる」という移行句は、特許請求の範囲を、特定された材料またはステップ、ならびに基本的および新規な特性に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。特許請求にかかる本開示の実施形態は、本明細書に本質的にまたは明示的に記載され、有効になる。
【0064】
本明細書に開示された開示の実施形態は、本開示の原理の実例となるものと理解される。用いることが可能な他の改変は、本開示の範囲内に属する。したがって、例として、限定することなく、本開示の代替の構成は、本明細書の教示に従って利用され得る。したがって、本開示は、正確に示され、記載されたものに限定されるものではない。
【0065】
本開示を、様々な具体的な材料、手順および例に言及することによって、本明細書に記載し、例示してきたが、本開示は、その目的のために選択された材料および手順の特定の組合せに限定されないものと理解される。このような詳細の多数の変形が、当業者に理解されるように、暗に含まれ得る。本明細書および例は、例示的なものに過ぎないと考えられ、本開示の真の範囲および趣旨は、添付の特許請求の範囲によって示されることが意図される。本出願で参照されたすべての参考文献、特許、および特許出願は、これらの全体が参照により本明細書に援用される。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーに対する、非フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)で可塑化されたポリ塩化ビニル(PVC)の接着性を改善する方法であって、
前記アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマー中のゴム含量が12%(w/w)を超えるように、前記アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを耐衝撃性改良剤とブレンドするステップを含む方法。
(項目2)
前記非DEHP PVCが、テレフタル酸ジオクチル(DEHT)PVCである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記非DEHPで可塑化されたPVCが、可塑剤の総重量に対して、15%(w/w)~46%(w/w)の範囲の量で非DEHP可塑剤を含む可塑剤を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記非DEHPで可塑化されたPVCが、エポキシ化油を除いて、6%(w/w)~42%(w/w)の範囲の量で非DEHP可塑剤を含む可塑剤を含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記アクリルベースのポリマーが、耐衝撃性改良されたアクリルベースのマルチポリマーである、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記ABSベースのポリマーが、耐衝撃性改良されたABSベースのマルチポリマーである、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記アクリルベースのポリマーがアクリルターポリマーである、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記アクリルターポリマーが、メタクリル酸メチル/スチレン/アクリル酸エチルターポリマーである、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記ABSベースのポリマーが、(1)ABSを含むメタクリレートポリマー、(2)透明グレードのABS、および(3)メタクリル酸メチル-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(MABS)からなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記アクリルベースのポリマーが、98%(w/w)を超えるポリ(メタクリル酸メチル)含量を有する、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記アクリルベースのポリマーが透明である、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記耐衝撃性改良剤が、ポリ(アクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリブタジエン、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレンコポリマー(MBS)、アクリルゴム、およびElvaloy(登録商標)ACからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記アクリルベースのポリマーまたは前記ABSベースのポリマーが、ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤とブレンドされる、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記アクリルベースのポリマーが、ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤および/またはポリ(アクリル酸ブチル)耐衝撃性改良剤とブレンドされる、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマー中のゴム含量が、12%(w/w)を超え、最大40%(w/w)までである、項目1に記載の方法。
(項目16)
非DEHP PVCを含む第1のメンバーを、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを含む第2のメンバーに接合する方法であって、
前記アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマー中のゴム含量が12%(w/w)を超えるように、前記アクリルベースのポリマーまたは前記ABSベースのポリマーを耐衝撃性改良剤とブレンドするステップ;
前記アクリルベースのポリマーまたは前記ABSベースのポリマーを含む前記第2のメンバーを形成するステップ;および
前記第1のメンバーを前記第2のメンバーに溶剤接合するステップ
を含む方法。
(項目17)
前記非DEHP PVCおよびアクリルベースのポリマーが、5.5lbfを超える結合力を少なくとも5年間有する、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記アクリルベースのポリマーまたは前記ABSベースのポリマーが、ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤とブレンドされる、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記アクリルベースのポリマーが、ポリブタジエン系の耐衝撃性改良剤および/またはポリ(アクリル酸ブチル)耐衝撃性改良剤とブレンドされる、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記第1のメンバーがチューブであり、前記第2のメンバーが成型部品である、項目16に記載の方法。
(項目21)
前記第1のメンバーおよび前記第2のメンバーが、シクロヘキサノンまたはシクロヘキサノンおよびMEKの混合物を使用して溶剤接合される、項目16に記載の方法。
(項目22)
非DEHP PVCを含む第1のメンバーを、アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーを含む第2のメンバーに接合する方法であって、
前記アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマー中のゴム含量が少なくとも15%(w/w)となるように、前記アクリルベースのポリマーまたは前記ABSベースのポリマーを耐衝撃性改良剤とブレンドするステップ;
前記アクリルベースのポリマーまたは前記ABSベースのポリマーを含む前記第2のメンバーを形成するステップ;および
前記第1のメンバーを前記第2のメンバーに溶剤接合するステップ
を含む方法。
(項目23)
非DEHP PVCを含む第1のメンバー、および
アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーの成型部品を含む第2のメンバー
を含むデバイスの構成要素であって、第1のメンバーが第2のメンバーに溶剤接合されており、前記アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマー中のゴム含量が、12%(w/w)を超えるように、前記アクリルベースのポリマーまたはABSベースのポリマーが耐衝撃性改良剤を含む、構成要素。