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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】荷揚げ装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 67/60 20060101AFI20230306BHJP
   G01S 17/88 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B65G67/60 G
B65G67/60 D
G01S17/88
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019074025
(22)【出願日】2019-04-09
(65)【公開番号】P2020172350
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 諒太郎
(72)【発明者】
【氏名】坂野 肇
(72)【発明者】
【氏名】阿久根 圭
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-059918(JP,A)
【文献】特開平11-208895(JP,A)
【文献】国際公開第2015/195046(WO,A1)
【文献】特開2014-179016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 67/60-67/62
G01S 17/88-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船庫の壁面までの距離を計測する測距センサと、
前記測距センサによって計測された複数の計測点に基づく直線を導出する直線導出部と、
前記直線の集合体による前記船庫のモデルを生成するモデル生成部と、
を備え
前記モデル生成部は、
前記船庫内の積荷を荷揚げする垂直運搬機構に上方向に向かって近づく前記直線を抽出して蓄積する、荷揚げ装置。
【請求項2】
前記モデル生成部は、
異なる時間に導出された前記直線を、船舶の特定部位を基準とした座標系に変換して蓄積し、蓄積した前記直線による前記船庫のモデルを生成する請求項1に記載の荷揚げ装置。
【請求項3】
前記モデル生成部は、
記垂直運搬機構との距離の変化が所定範囲以内の前記直線を抽出して蓄積する請求項1または2に記載の荷揚げ装置。
【請求項4】
前記船庫のモデルに基づいて、前記船庫と、前記垂直運搬機構との距離を導出する距離導出部を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の荷揚げ装置。
【請求項5】
前記距離導出部により導出された前記距離に基づいて、前記船庫と、前記垂直運搬機構との接近判定を行う接近判定部を備える請求項4に記載の荷揚げ装置。
【請求項6】
前記直線導出部は、
前記垂直運搬機構の最下点に対応する位置を前記直線の下端点として導出する請求項1から5のいずれか1項に記載の荷揚げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、荷揚げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷揚げ装置は、船庫内に積載された積荷を、船庫外に搬出する。荷揚げ装置の一例としてアンローダ装置がある。アンローダ装置では、積荷の状態や、船庫の壁面までの距離等を操縦者が直接目視することが困難または不可能なことが多い。アンローダ装置では、掻取部にセンサを取り付け、船庫の壁までの距離を計測する技術(例えば、特許文献1)が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-012094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、船庫内には、積荷が積載されているため、船庫の壁面が積荷に覆われているところもある。このような場合、上記特許文献1に記載されたような技術では、積荷に覆われている船庫の壁面を推定することが困難である。
【0005】
さらに、積荷に覆われている壁面の形状を推定するために平面を推定・延長することも考えられる。しかし、船庫は波型の凹凸形状を持つことが多い。そのため、一般的に行われている平面推定方法では正しく形状を推定することが困難である。
【0006】
本開示は、このような課題に鑑み、船庫の形状を推定することが可能な荷揚げ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る荷揚げ装置は、船庫の壁面までの距離を計測する測距センサと、測距センサによって計測された複数の計測点に基づく直線を導出する直線導出部と、直線の集合体による船庫のモデルを生成するモデル生成部と、
を備え、モデル生成部は、船庫内の積荷を荷揚げする垂直運搬機構に上方向に向かって近づく直線を抽出して蓄積する
【0008】
モデル生成部は、異なる時間に導出された直線を、船舶の特定部位を基準とした座標系に変換して蓄積し、蓄積した直線による船庫のモデルを生成してもよい。
【0009】
モデル生成部は、垂直運搬機構との距離の変化が所定範囲以内の直線を抽出して蓄積してもよい。
【0010】
荷揚げ装置は、船庫のモデルに基づいて、船庫と、垂直運搬機構との距離を導出する距離導出部を備えてもよい。
【0011】
荷揚げ装置は、距離導出部により導出された距離に基づいて、船庫と、垂直運搬機構との接近判定を行う接近判定部を備えてもよい。
【0012】
直線導出部は、垂直運搬機構の最下点に対応する位置を直線の下端点として導出してもよい。
【発明の効果】
【0013】
荷揚げ装置は、船庫の形状を推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】アンローダ装置の概要を説明する図である。
図2】アンローダ装置の構成を説明する図である。
図3】測距センサの計測範囲を説明する図である。
図4】測距センサの計測範囲を説明する図である。
図5】測距センサの計測範囲を説明する図である。
図6】測距センサの計測範囲を説明する図である。
図7】アンローダ装置の電気的な構成を説明する図である。
図8】船庫のモデルを作成して接近判定を行う処理の流れを示すフローチャートである。
図9】アンローダ装置の座標系を説明する図である。
図10】アンローダ装置の座標系を説明する図である。
図11】測距センサの計測点を説明する図である。
図12】エッジ点を検出する様子を示す図である。
図13】直線導出処理における直線を導出する様子を説明する図である。
図14】エレベータおよび掻取部の代表点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、アンローダ装置100の概要を説明する図である。図1に示すように、荷揚げ装置の一例としてのアンローダ装置100は、岸壁2に沿って敷設された一対のレール3上を、レール3の延在方向に走行可能である。アンローダ装置100は、岸壁2に停泊された船舶4の船庫5内に積載された積荷6を外部に搬出する。積荷6は、ばら荷が想定されており、一例として石炭が挙げられる。
【0017】
図2は、アンローダ装置100の構成を説明する図である。なお、図2では、岸壁2および船舶4を断面で示している。図2に示すように、アンローダ装置100は、走行体102、旋回体104、ブーム106、トップフレーム108、エレベータ110、掻取部112、ブームコンベア114を含んで構成される。なお、トップフレーム108、エレベータ110および掻取部112は、積荷6を船庫5から搬出する垂直運搬機構部として機能する。
【0018】
走行体102は、不図示のアクチュエータが駆動することで、レール3上を走行可能である。走行体102には、位置センサ116が設けられる。位置センサ116は、例えばロータリーエンコーダである。位置センサ116は、走行体102の車輪の回転数に基づき、所定の原点位置に対する走行体102の水平面上の位置を計測する。
【0019】
旋回体104は、走行体102の上部に、垂直軸を中心に旋回自在に設けられる。旋回体104は、不図示のアクチュエータが駆動することで、走行体102に対して旋回可能である。
【0020】
ブーム106は、旋回体104の上部に、傾斜角度を変更可能に設けられる。ブーム106は、不図示のアクチュエータが駆動することで、旋回体104を基準とした傾斜角度を変更可能である。
【0021】
旋回体104には、旋回角度センサ118および傾斜角度センサ120が設けられる。旋回角度センサ118および傾斜角度センサ120は、例えばロータリーエンコーダである。旋回角度センサ118は、走行体102に対する旋回体104の旋回角度を計測する。傾斜角度センサ120は、旋回体104に対するブーム106の傾斜角度を計測する。
【0022】
トップフレーム108は、ブーム106の先端に設けられる。トップフレーム108には、エレベータ110を旋回させるアクチュエータが設けられる。
【0023】
エレベータ110は、略円柱形状に形成される。エレベータ110は、中心軸を中心として旋回自在にトップフレーム108に支持される。トップフレーム108には、旋回角度センサ122が設けられる。旋回角度センサ122は、例えばロータリーエンコーダである。旋回角度センサ122は、トップフレーム108に対するエレベータ110の旋回角度を計測する。
【0024】
掻取部112は、エレベータ110の下端に設けられる。掻取部112は、エレベータ110の旋回に伴って、エレベータ110と一体的に旋回する。
【0025】
掻取部112は、複数のバケツ112aおよびチェーン112bが設けられる。複数のバケツ112aは、チェーン112bに連続的に配置される。チェーン112bは、掻取部112、および、エレベータ110の内部に架け渡される。
【0026】
掻取部112は、不図示のリンク機構が設けられる。リンク機構は、可動することにより、掻取部112の底部の長さを可変させる。これにより、掻取部112は、船庫5内の積荷6と接するバケツ112aの数を可変させる。掻取部112は、チェーン112bを回動させることにより、底部のバケツ112aによって船庫5内の積荷6を掻き取る。そして、積荷6を掻き取ったバケツ112aは、チェーン112bの回動に伴ってエレベータ110の上部に移動する。
【0027】
ブームコンベア114は、ブーム106の下方に設けられる。ブームコンベア114は、バケツ112aによってエレベータ110の上部に移動された積荷6を外部に搬出させる。
【0028】
このような構成でなるアンローダ装置100は、走行体102によってレール3の延在方向に移動し、船舶4との長手方向の相対位置関係を調整する。また、アンローダ装置100は、旋回体104によって、ブーム106、トップフレーム108、エレベータ110および掻取部112を旋回させ、船舶4との短手方向の相対位置関係を調整する。また、アンローダ装置100は、ブーム106によって、トップフレーム108、エレベータ110および掻取部112を鉛直方向に移動させ、船舶4との鉛直方向の相対位置関係を調整する。また、アンローダ装置100は、トップフレーム108によってエレベータ110および掻取部112を旋回させる。これにより、アンローダ装置100は、掻取部112を任意の位置および角度に移動させることができる。
【0029】
ここで、船舶4は、複数の船庫5が設けられる。船庫5は、上部にハッチコーミング7が設けられる。ハッチコーミング7は、鉛直方向に所定高さの壁面を有している。また、ハッチコーミング7は、船庫5における中央付近の水平断面に比べて、開口面積が小さい。つまり、船庫5は、ハッチコーミング7により開口が窄まった形状をしている。なお、ハッチコーミング7の上方には、ハッチコーミング7を開閉するハッチカバー8が設けられる。
【0030】
アンローダ装置100には、測距センサ130~136が設けられる。測距センサ130~136は、例えば、測距可能なレーザセンサであり、Velodyne社製のVLP-16、VLP-32、Quanergy社製のM8等が適用される。測距センサ130~136は、例えば円柱形状の本体部の側面に、軸方向に沿って離隔した16のレーザー照射部が設けられる。レーザー照射部は、360度回転可能に本体部に設けられる。レーザー照射部は、互いに隣接して配置されたレーザー照射部との軸方向のレーザーの発射角度の差が1~2.5度間隔となるようにそれぞれ配置される。つまり、測距センサ130~136は、本体部の周方向に360度の範囲でレーザーを照射可能である。また、測距センサ130~136は、本体部の軸方向に直交する平面を基準として、±15度の範囲でレーザーを発射可能である。また、測距センサ130~136は、レーザーを受信する受信部が本体部に設けられる。
【0031】
測距センサ130~136は、レーザー照射部を回転させながら所定角度毎にレーザーを照射する。測距センサ130~136は、複数のレーザー照射部から照射(投影)されて物体(計測点)で反射したレーザーを受信部でそれぞれ受信する。そして、測距センサ130~136は、レーザーが照射されてから受信するまでの時間に基づいて、物体までの距離を導出する。つまり、測距センサ130~136は、1つのレーザー照射部によって、1つの計測ライン上で複数の計測点までの距離をそれぞれ計測する。また、測距センサ130~136は、複数のレーザー照射部によって、複数の計測ライン上での複数の計測点までの距離をそれぞれ計測する。
【0032】
図3および図4は、測距センサ130~132の計測範囲を説明する図である。図3は、アンローダ装置100を上方から見た際の測距センサ130~132の計測範囲を説明する図である。図4は、アンローダ装置100を側方から見た際の測距センサ130~132の計測範囲を説明する図である。図3および図4において、測距センサ130~132の計測範囲を一点鎖線で示す。
【0033】
測距センサ130~132は、主に、ハッチコーミング7を検出する際に用いられる。測距センサ130~132は、図3および図4に示すように、トップフレーム108の側面に取り付けられる。具体的には、測距センサ130~132は、エレベータ110の中心軸を基準として、周方向に互いに120度離して配置される。また、測距センサ130~132は、本体部の中心軸が、エレベータ110の径方向に沿うように配置される。なお、測距センサ130~132は、鉛直方向の上半分が不図示のカバーで覆われる。
【0034】
したがって、測距センサ130~132は、図3および図4に示すように、計測方向として、水平面よりも下方であって、トップフレーム108の側面に接する接線を基準として±15度の範囲に存在する物体までの距離を計測することができる。
【0035】
図5および図6は、測距センサ133~136の計測範囲を説明する図である。図5は、掻取部112を上方から見た際の測距センサ133~136の計測範囲を説明する図である。なお、図5では、アンローダ装置100のうち、掻取部112のみを図示している。また、図5では、船舶4について、掻取部112と鉛直方向の同位置での水平断面を示している。図6は、アンローダ装置100を側方から見た際の測距センサ133~136の計測範囲を説明する図である。図5および図6において、測距センサ133、134の計測範囲を一点鎖線で示す。また、図5および図6において、測距センサ135、136の計測範囲を二点鎖線で示す。
【0036】
測距センサ133~136は、主に、船庫5内の積荷6、および、船庫5の壁面(側壁および底面)を検出する際に用いられる。測距センサ133は、図5および図6に示すように、掻取部112の側面112cに取り付けられる。測距センサ133は、本体部の中心軸が、掻取部112の側面112cに直交するように配置される。測距センサ134は、掻取部112の側面112dに取り付けられる。測距センサ134は、本体部の中心軸が、掻取部112の側面112dに直交するように配置される。測距センサ133、134は、鉛直方向の一部が不図示のカバーで覆われる。
【0037】
したがって、測距センサ133、134は、計測方向として、掻取部112の側面112cおよび側面112dの上方側の一部および下方側であって、掻取部112の側面112cおよび側面112dと平行な位置を基準として±15度の範囲に存在する物体の距離を計測することができる。なお、本実施形態の測距センサ133、134は、掻取部112の底部が位置する平面上において、少なくとも掻取部112の底部の最大長さ以上の範囲を計測できるように配置される。
【0038】
測距センサ135は、掻取部112の側面112cに取り付けられる。測距センサ135は、本体部の中心軸が、掻取部112の底面と直交するように配置される。測距センサ136は、掻取部112の側面112dに取り付けられる。測距センサ136は、本体部の中心軸が、掻取部112の底面と直交するように配置される。
【0039】
したがって、測距センサ135、136は、計測方向として、掻取部112の外方であって、掻取部112の側面112cおよび側面112dに直交する水平面(あるいは、本体部の中心軸と直交する平面)を基準として±15度の範囲に存在する物体の距離を計測することができる。
【0040】
測距センサ130~136は、物体までの距離を計測すると、物体までの距離を示す計測データをアンローダ制御部140(図7参照)に送信する。
【0041】
図7は、アンローダ装置100の電気的な構成を説明する図である。図7に示すように、アンローダ装置100には、アンローダ制御部140、記憶部142および表示部144が設けられる。
【0042】
アンローダ制御部140は、位置センサ116、旋回角度センサ118、傾斜角度センサ120、旋回角度センサ122、測距センサ130~136、記憶部142および表示部144と接続される。アンローダ制御部140は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。アンローダ制御部140は、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。そして、アンローダ制御部140は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して、アンローダ装置100全体を管理および制御する。
【0043】
また、アンローダ制御部140は、駆動制御部150、領域生成部152、エッジ検出部154、計測データ取得部156、座標変換導出部158、直線導出部160、モデル生成部162、距離導出部164、接近判定部166として機能する。駆動制御部150は、アンローダ装置100の駆動を制御する。なお、アンローダ制御部140の他の機能部の詳細については後述する。
【0044】
記憶部142は、ハードディスク、不揮発性メモリ等の記憶媒体である。記憶部142は、詳しくは後述する船庫5のモデルを記憶する。
【0045】
表示部144は、LEDディスプレイ、有機ELディスプレイ等である。表示部144には、船庫5の3次元モデルに対してアンローダ装置100の3次元モデルが配置された画像が表示される。
【0046】
図8は、船庫5のモデルを作成して接近判定を行う処理の流れを示すフローチャートである。なお、船庫5のモデルを作成して接近判定を行う処理は、アンローダ装置100によって積荷6を初めて掻き取る船庫5に対して行われることを前提としている。
【0047】
図8に示すように、船庫5のモデルを作成して接近判定を行う処理を開始すると、まず、計測データ取得部156は、測距センサ130~136で計測された計測点の計測データを随時取得する(S100)。なお、計測データ取得部156は、掻取部112が船庫5内の積荷6の掻き取り作業を開始してから、全ての積荷6を掻き取り終えるまでの間(例えば10時間)、各測距センサ130~136から計測データを1秒に1~5回の頻度で定期的に取得する。
【0048】
図9および図10は、アンローダ装置100の座標系を説明する図である。図9は、アンローダ装置100を上方から見た図である。図10は、アンローダ装置100を側方から見た図である。ここで、アンローダ装置100は、3つの座標系、すなわち、地上座標系300、トップフレーム座標系310およびハッチコーミング座標系320を有する。
【0049】
図9および図10に示すように、地上座標系300は、予め設定されたアンローダ装置100の初期位置を原点としている。地上座標系300は、レール3の延在方向および鉛直方向に直交する方向をXa軸方向とする。地上座標系300は、レール3の延在方向をYa軸方向とする。地上座標系300は、鉛直方向をZa軸方向とする。
【0050】
トップフレーム座標系310は、エレベータ110の中心軸上であって、鉛直方向におけるトップフレーム108の下端を原点としている。トップフレーム座標系310は、ブーム106の下面の延在方向であって、ブーム106に沿った方向をXb軸方向とする。トップフレーム座標系310は、ブーム106の下面の延在方向であって、ブーム106に直交する方向をYb軸方向とする。トップフレーム座標系310は、エレベータ110の延在方向をZb軸方向とする。
【0051】
ハッチコーミング座標系320は、船舶4のハッチコーミング7における船尾側の壁面の中心位置であって、ハッチコーミング7の上端を原点(船舶4の特定部位)としている。ハッチコーミング座標系320は、船舶4の長手方向、つまり、船舶4に沿ったハッチコーミング7の延在方向をXc軸方向とする。ハッチコーミング座標系320は、船舶4の短手方向(幅方向)をYc軸方向とする。ハッチコーミング座標系320は、ハッチコーミング7の上端面に直交する上方向をZc軸方向とする。
【0052】
そして、計測データ取得部156により測距センサ130~136から計測データが取得される度に、座標変換導出部158は、トップフレーム座標系310をハッチコーミング座標系320に変換するための変換パラメータを導出する座標変換処理を行う(S102)。
【0053】
ここで、地上座標系300、トップフレーム座標系310は、アンローダ装置100の形状、および、アンローダ装置100の移動に基づいて変換が可能である。
【0054】
例えば、測距センサ133~136は、掻取部112に取り付けられているため、掻取部112に対する位置は予め既知となっている。そして、エレベータ110の旋回角度に基づいて、トップフレーム座標系310の位置を導出することができる。
【0055】
また、測距センサ130~132は、トップフレーム108に取り付けられているため、トップフレーム座標系310の位置が予め既知となっている。
【0056】
ここで、トップフレーム座標系310と、ハッチコーミング座標系320とは、アンローダ装置100および船舶4の移動に伴って相対的な位置関係が変化する。例えば、船舶4が揺れたり、潮の満ち引きや積荷6の積載量によって船舶4が鉛直方向に移動したりすることで、トップフレーム座標系310と、ハッチコーミング座標系320とは、相対的な位置関係が変化する。
【0057】
そこで、エッジ検出部154は、測距センサ130~132により測定される計測点の計測データに基づいてハッチコーミング7の上端のエッジを検出する。そして、座標変換導出部158は、検出したハッチコーミング7の上端のエッジに基づいて、トップフレーム座標系310をハッチコーミング座標系320に変換するための変換パラメータを導出する。
【0058】
まず、エッジ検出部154は、測距センサ130~132の位置、および、測距センサ130~132により計測された計測点までの距離に基づいて、トップフレーム座標系310における計測点の3次元位置を導出する。
【0059】
図11は、測距センサ130~132の計測点を説明する図である。なお、図11では、ハッチコーミング7上の測距センサ130~132の計測範囲を太線で示す。図11に示すように、測距センサ130~132は、水平面よりも下方であって、トップフレーム108に接する平面を基準として測距センサ130~132から±15度の範囲に存在する物体までの距離を計測する。
【0060】
したがって、測距センサ130~132は、測距センサ130~132の鉛直下方(エレベータ110の回転中心)を基準として、前方側と後方側とで異なるハッチコーミング7のエッジが計測範囲となる。なお、前方側とは、1回の計測において前半に計測された計測範囲をいう。また、後方側とは、1回の計測において後半に計測された計測範囲をいう。
【0061】
そこで、測距センサ130~132で計測された測定点を、測距センサ130~132の鉛直下方を基準として、前方側および後方側の2つに分割する。
【0062】
図12は、エッジ点を検出する様子を示す図である。なお、図12において、計測点を黒丸で示す。図13では、測距センサ130~132の1つのレーザー照射部に照射されたレーザーによって計測された計測点を図示している。
【0063】
エッジ検出部154は、1つのレーザー照射部により照射されて計測された1つの計測ラインの計測点群毎(前方側、後方側毎)に以下の処理を行う。エッジ検出部154は、1つのレーザー照射部により照射されて計測された各計測点のベクトル(方向)を導出する。なお、計測点のベクトルは、連続して計測される計測点のうち、1の計測点に対する、次に計測される計測点の方向(ベクトル)を、1の計測点のベクトルとして導出する。
【0064】
そして、エッジ検出部154は、計測点のベクトルが鉛直方向とされる計測点を抽出する。これは、測距センサ130~132により計測されるハッチコーミング7の壁面(側面)が概ね鉛直方向に延在しているので、ハッチコーミング7の壁面に計測点がある場合、計測点のベクトルが鉛直方向となるからである。
【0065】
そして、エッジ検出部154は、抽出された計測点のうち、連続して抽出された計測点が複数ある場合、鉛直方向における最も上方の点を抽出する。これは、ハッチコーミング7の上端のエッジを検出するため、連続して計測された計測点群においては、最も上方の点が、ハッチコーミング7の上端のエッジである可能性があるからである。
【0066】
続いて、エッジ検出部154は、抽出された計測点のうち、トップフレーム座標系310におけるXb軸方向およびYb軸方向における最も原点に近い計測点を抽出する。つまり、エッジ検出部154は、エレベータ110の中心軸に最も近い計測点を抽出する。これは、ハッチコーミング7が船舶4の各構造物のうち、最もエレベータ110に近い位置にあるからである。
【0067】
そして、エッジ検出部154は、抽出された計測点に対して、トップフレーム座標系310におけるXb軸方向およびYb軸方向の所定の範囲(例えば数十cmの範囲)に存在する計測点を再抽出する。ここでは、ハッチコーミング7上の計測点を抽出することになる。
【0068】
そして、エッジ検出部154は、再抽出した計測点、つまり、ハッチコーミング7上の計測点のうち、鉛直方向における最も上方の計測点をハッチコーミング7のエッジ点として抽出する。
【0069】
エッジ検出部154は、測距センサ130~132の1つのレーザー照射部により照射されて計測された計測点群毎に、前方側および後方側のエッジ点を抽出する。
【0070】
そして、全てのエッジ点が抽出されると、エッジ検出部154は、ハッチコーミング7のエッジの直線を検出する。具体的には、エッジ検出部154は、測距センサ130の前方側でそれぞれ抽出されたエッジ点を1つのグループとする。同様に、エッジ検出部154は、測距センサ130の後方側でそれぞれ抽出されたエッジ点を1つのグループとする。さらに、エッジ検出部154は、測距センサ131、132の前方側および後方側でそれぞれ抽出されたエッジ点をそれぞれグループとする。
【0071】
ここで、図11に示したように、測距センサ130~132の前方側および後方側でそれぞれ計測されるハッチコーミング7の上端のエッジの直線は、ハッチコーミング7の角を含む場合、2本計測されることになる。
【0072】
そこで、エッジ検出部154は、グループごとに、抽出されたエッジ点間の線分のうち、最も多くの類似の線分をもつものを候補ベクトルとして導出する。そして、エッジ検出部154は、候補ベクトルに対して予め設定された範囲内に存在するエッジ点を抽出する。そして、エッジ検出部154は、抽出したエッジ点を用いて直線を再計算する。
【0073】
次に、エッジ検出部154は、抽出されなかったエッジ点を用いて上記した処理を繰り返し行う。ただし、抽出されたエッジ点の数が、予め設定された閾値未満である場合、直線を導出しない。これにより、ハッチコーミング7の角を含む場合であっても、2本のエッジの直線を導出することができる。
【0074】
エッジ検出部154は、グループごとに、上記した処理を繰り返し行うことで、エッジの直線を導出する。
【0075】
このように、エッジの直線は、1箇所で最大2個検出されるため、最大で12本検出されることになる。
【0076】
そして、エッジ検出部154は、検出された直線のうち、各直線間におけるなす角を導出する。そして、エッジ検出部154は、なす角が予め決められた閾値以下である場合、同一の直線であるとして統合する。具体的には、なす角が予め決められた閾値以下である直線を構成するエッジ点を用いて、最小二乗近似により直線を再導出する。
【0077】
続いて、エッジ検出部154は、検出したエッジの直線から、各辺の3次元方向ベクトル、各辺の3次元重心座標、各辺の長さ、各辺の端点の座標を含むエッジ辺情報を導出する。このように、船舶4の上方に設けられた測距センサ130~132を用いて、船庫5の上部に設けられたハッチコーミング7のエッジ辺情報を導出することで、船庫5の位置(姿勢)を精度よく容易に導出することが可能となる。
【0078】
次に、座標変換導出部158は、記憶部142に記憶されたハッチコーミング7の3次元モデル情報と、トップフレーム座標系310で表現されるエッジ辺情報(検出結果)とに基づいて、トップフレーム座標系310とハッチコーミング座標系320との変換パラメータを導出する座標変換処理を行う(図8のS102)。なお、ハッチコーミング7の3次元モデル情報は、ハッチコーミング座標系320によって表されるハッチコーミング7の3次元モデルを示すものである。ハッチコーミング7の3次元モデル情報は、測距センサ130~132によって計測された計測点の計測データを用いて作成されてもよい。また、ハッチコーミング7の3次元モデル情報は、他の計測器により計測された計測データを用いて作成されてもよい。また、ハッチコーミング7の3次元モデル情報は、ハッチコーミング7の図面に基づいて作成されてもよい。
【0079】
座標変換導出部158は、ブーム106の旋回角度だけ、検出したハッチコーミング7のエッジの直線の向きを回転させることで大まかな補正を行う。また、座標変換導出部158は、検出したハッチコーミング7のエッジの直線と、3次元形状情報におけるハッチコーミング7の上端の辺とを、エッジの向きが最も近い直線同士を対応付ける。これにより、正しい対応付けがなされるため、安定して正解に近い解の変換パラメータが得られる。なお、対応付けにおいては、検出したハッチコーミング7のエッジの直線を3次元点群で表し、その3次元点群と、3次元モデル情報におけるハッチコーミング7の上端の辺との最短距離の平均値が近いもの同士を対応付けてもよい。また、エッジの向きおよび最短距離の平均値の双方を考慮して対応付けてもよい。
【0080】
そして、座標変換導出部158は、変換パラメータである、Xb軸、Yb軸、Zb軸回りの回転角度α、β、γと、進行ベクトルt=(tx,ty,tz)とを例えばLM法により求める。LM法では、例えばエッジの直線を構成するエッジ点と、3次元形状情報に基づくハッチコーミング7の上端の辺との距離の差の二乗和を評価関数とし、その評価関数を最小にする変換パラメータを求める。具体的には、エッジの直線を構成するエッジ点と3次元形状情報に基づくハッチコーミング7の上端の辺との距離の合計、または、エッジの直線と3次元形状情報に基づくハッチコーミング7の上端の辺とにより形成される曲面の面積が最小となるように変換パラメータを求める。なお、変換パラメータを求める手法は、LM法に限らず、最急降下法、ニュートン法など他の手法であってもよい。
【0081】
このようにして、座標変換導出部158は、トップフレーム座標系310をハッチコーミング座標系320に変換するための変換パラメータを導出する。
【0082】
これにより、アンローダ装置100は、掻取部112に設けられた測距センサ133~136によって計測された計測点の3次元位置をハッチコーミング座標系320で表現することが可能となる。したがって、測距センサ133~136は、船庫5の計測点におけるハッチコーミング座標系320の3次元位置(位置情報)に関する計測データを計測しているとも言える。また、ハッチコーミング座標系320で表現することで、アンローダ装置100に対する船舶4の揺れ、位置の変化の影響を低減することができる。
【0083】
直線導出部160は、測距センサ133および134により計測された計測点の3次元位置に基づいて、直線を導出する直線導出処理を行う(図8のS104)。
【0084】
図13は、直線導出処理における直線を導出する様子を説明する図である。なお、図13において、導出された直線を太線で示す。また、測距センサ133の測定範囲を一点鎖線で示す。また、計測点を黒丸で示す。
【0085】
直線導出部160は、測距センサ133により計測点の計測データを取得すると、計測ライン毎に直線を導出する。つまり、図13は、特定のレーザー照射部による1回の計測軌道に基づいて切取った船庫5の断面を示す図ともいえる。上記したように、測距センサ133は、16のレーザー照射部が設けられているため、一回の測定において16の計測ライン上の計測点までの距離を計測することができる。なお、直線導出部160は、測距センサ134により計測点の計測データを取得すると、同様に、計測ライン毎に直線を導出する。
【0086】
直線導出部160は、1の計測ライン上の計測点毎に直線を導出する。具体的には、直線導出部160は、測距センサ133および134により計測された計測点のうち、1の計測ライン上の計測点のトップフレーム座標系310の3次元位置を導出する。
【0087】
続いて、直線導出部160は、1の計測ライン上の計測点のベクトル(方向)を導出する。なお、直線導出部160は、連続して計測される計測点のうち、1の計測点に対する、(当該計測の時系列で)次に計測される計測点の方向(ベクトル)を、1の計測点のベクトルとして導出する。
【0088】
そして、直線導出部160は、計測点のベクトルが、船庫5の壁面とされる計測点を抽出する。ここでは、例えば、計測点のベクトルが鉛直方向であること、または、鉛直方向に対して所定の範囲内であることが設定されている。つまり、直線導出部160は、ベクトルが鉛直方向に近い計測点を選定している。これは、測距センサ133により計測される船庫5の壁面(側壁および上壁)が概ね鉛直方向および鉛直方向に対して所定の範囲内に延在しているからである。
【0089】
直線導出部160は、抽出した計測点をクラスタリングする。ここでは、直線導出部160は、抽出した計測点のベクトルが同一とみなされる範囲内である計測点同士を同一のクラスタに分類していく。図13の例では、側壁5aに対応する計測点と、上壁5bに対応する計測点とが、それぞれ異なるクラスタに分類される。
【0090】
そして、直線導出部160は、同一のクラスタに分類された計測点を用いて直線Lを導出する。ここでは、直線導出部160は、同一のクラスタに分類された計測点の3次元位置に対して例えば最小二乗法等を適用して近似直線を求めることにより直線Lを導出する。図13の例では、2つの直線L1、L2が導出される。直線Lは、船庫5の壁面(側壁5aおよび上壁5b)を表す直線として導出される。
【0091】
続いて、直線導出部160は、導出した直線Lの上端点TPおよび下端点BPを導出する。上端点TPは、直線Lを導出したクラスタに属する計測点のうち、最もZb軸方向の値が大きい計測点のZb軸方向の座標を直線Lに代入した位置である。下端点BPは、掻取部112の底面のZb軸方向の座標を直線Lに代入した位置である。図13の例では、直線L1について、上端点TP1および下端点BP1が導出され、直線L2について、上端点TP2および不図示の下端点BP2が導出される。つまり、直線Lは、上端点TPから下端点BPまでの直線となる。
【0092】
このように、直線Lは、掻取部112の底面のZc軸方向の座標(垂直運搬機構における最下点)に対応する下端点BPまで延長されることになる。これにより、直線Lは、積荷6に覆われている部分まで船庫5の壁面が存在するものと推定して抽出されることになる。
【0093】
また、直線導出部160は、直線Lを導出したクラスタに属する計測点の重心位置を、直線Lの重心位置として導出する。さらに、直線導出部160は、直線Lのベクトル(方向)を導出する。
【0094】
続いて、直線導出部160は、導出された直線Lのうち、Zb軸方向の正方向(上方向)に向かうに連れて、原点、つまり、エレベータ110および掻取部112(垂直運搬機構)に近づく直線Lを抽出する。ここでは、上壁5bに相当する直線Lが抽出される。
【0095】
また、直線導出部160は、導出された直線Lのうち、エレベータ110および掻取部112(垂直運搬機構)との距離の変化がXb軸方向に亘って所定範囲以内(相対的に小さい)の直線Lを抽出する。ここでは、側壁5aに相当する直線Lが抽出される。なお、直線導出部160は、全ての直線Lを抽出するようにしてもよい。
【0096】
直線導出部160は、計測ライン毎に、直線Lを導出および抽出するとともに、直線Lの上端点TP、下端点BP、重心位置およびベクトルを導出する。
【0097】
また、直線導出部160は、掻取部112が所定角度(例えば、1~5度)回転する、もしくは、所定の距離移動する度に、測距センサ133、134で計測された計測データに基づいて、直線Lを導出および抽出するとともに、直線Lの上端点TP、下端点BP、重心位置およびベクトルを導出する。
【0098】
モデル生成部162は、直線導出部160により抽出された直線Lを、変換パラメータを用いてハッチコーミング座標系320の3次元位置に変換して蓄積していく。そして、モデル生成部162は、蓄積された(異なる時間で蓄積された)直線Lの集合体である船庫5のモデルを生成する(図8のS106)。したがって、船庫5のモデルは、船庫5を形どる情報となる多数の直線Lによって表されたモデルとなる。つまり、船庫5のモデルは、船庫5の壁面部分がモデル化されたものとなる。また、船庫5のモデルは、時系列的に異なる直線Lが集められたものとなるため、限られた視野の測距センサ133、134を用いても、直線Lを蓄積することで、船庫5全周の壁面を作成することができる。さらに、船庫5のモデルは、概ね鉛直方向に向かう直線Lの集合によりモデル化することで、船庫5の波型の壁面も、リブが出ている形状も精度良く推定することが可能となる。
【0099】
距離導出部164は、船庫5のモデルと、エレベータ110および掻取部112との距離を導出する。
【0100】
図14は、エレベータ110および掻取部112の代表点を説明する図である。なお、図14では、エレベータ110および掻取部112の代表点を黒丸で示す。図14に示すように、エレベータ110および掻取部112には、予め代表点が設定されている。代表点は、アンローダ装置100が駆動する際に、船庫5と接近する可能性がある位置(表面)に設定されており、エレベータ110および掻取部112の延在方向に対して複数設定されている。
【0101】
距離導出部164は、船庫5のモデルに含まれる直線Lと、エレベータ110および掻取部112の代表点との同一XcYc平面上での距離を、Zc軸方向の位置を変えてそれぞれ導出する(図8のS108)。なお、距離導出部164は、エレベータ110および掻取部112の代表点と、その代表点のXc軸方向の位置に対して一定範囲内に重心位置が含まれる直線Lとの距離を導出してもよい。
【0102】
そして、距離導出部164は、同一XcYc平面上において、船庫5のモデルに含まれる直線Lと、エレベータ110および掻取部112の代表点との距離が最も近い距離を最小距離として抽出する。つまり、距離導出部164は、Zc軸方向の異なる位置における最小距離をそれぞれ導出する。これにより、同一XcYc平面上において、船庫5と、エレベータ110および掻取部112とが最も接近している位置および距離が把握可能となる。
【0103】
接近判定部166は、距離導出部164により抽出された最小距離に基づいて、船庫5と、エレベータ110および掻取部112との接近判定を行う(図8のS110)。ここでは、接近判定部166は、最小距離が予め設定された閾値以下である場合、船庫5と、エレベータ110および掻取部112とが衝突するおそれがあると判定する。そして、接近判定部166は、最小距離が予め設定された閾値以下である場合、船庫5と、エレベータ110および掻取部112とが衝突するおそれがあるとして作業者に対して警告を行う。これにより、船庫5に対してエレベータ110および掻取部112が衝突してしまうことを回避させることができる。
【0104】
以上のように、アンローダ装置100では、測距センサ133、134で計測された複数の計測点の直線Lを導出し、導出した直線Lの集合体である船庫5のモデルを生成した。これにより、アンローダ装置100では、船庫5と、エレベータ110および掻取部112との位置関係を把握することができる。
【0105】
また、アンローダ装置100では、直線Lを、掻取部112の底面に対応する位置(下端点BP)まで延長するようにした。これにより、アンローダ装置100では、積荷6によって覆われている部分の船庫5の壁面の位置を、直線Lによって推測することができる。
【0106】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に技術的範囲に属するものと了解される。
【0107】
例えば、上記実施形態において、エッジ検出部154によるエッジの検出方法は一例に過ぎない。エッジ検出部154は、他の方法によりハッチコーミング7のエッジを抽出するようにしてもよい。
【0108】
また、上記実施形態において、アンローダ装置100の移動に伴って測距センサ133、134を移動させるようにしたが、測距センサ133、134の向き等を変更可能にしてもよい。これにより、測距センサ133、134の計測範囲を広くし、早期に船庫5のモデル(直線L)を導出することができる。
【0109】
また、上記実施形態において、直線導出部160が、掻取部112が所定角度回転する度に、測距センサ133、134で計測された計測データに基づいて、直線Lを導出するようにした。しかしながら、モデル生成部162は、一定時間毎に、船庫5のモデルから、古い直線Lを削除していくようにしてもよい。これにより、データ容量の削減、および、処理負荷を低減することができる。
【0110】
また、上記実施形態において、直線導出部160が、測距センサ133、134で計測された全ての計測ライン毎に直線Lを導出するようにした。しかしながら、直線導出部160は、全ての計測ライン毎に直線Lを抽出しなくてもよい。つまり、直線導出部160は、導出する直線Lを間引くようにしてもよい。
【0111】
また、上記実施形態において、直線導出部160が、船庫5の壁面に相当する直線Lを導出するようにした。しかしながら、直線導出部160は、積荷6の表面に相当する直線Lを導出するようにしてもよい。
【0112】
また、上記実施形態において、座標変換処理を毎回行うようにした。しかしながら、SLAM法を用いて、過去に計測された計測点と、今回計測された計測点とのマッチングを取ることにより、計測点のハッチコーミング座標系320の3次元位置を推定するようにしてもよい。
【0113】
また、上記実施形態において、荷揚げ装置の一例としてアンローダ装置100を例に挙げて説明した。しかしながら、荷揚げ装置は、連続アンローダ(バケット式、ベルト式、垂直スクリューコンベア式など)、ニューマチックアンローダ等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本開示は、荷揚げ装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0115】
100 アンローダ装置(荷揚げ装置)
133 測距センサ
134 測距センサ
160 直線導出部
162 モデル生成部
164 距離導出部
166 接近判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14