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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】シート状部材の展開巻取装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20230306BHJP
   B60J 3/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
E06B9/68 Z
B60J3/00 G
B60J3/00 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019110930
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2020204161
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 美樹
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-094934(JP,A)
【文献】特開2007-204047(JP,A)
【文献】特開平10-314016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/56-9/92
E06B 9/264
B60J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状部材と、
前記シート状部材の基端に固定した巻取シャフトと、
前記巻取シャフトを回転可能に支持し、前記シート状部材を巻取方向へ付勢して、前記シート状部材を巻取る巻取装置と、
前記シート状部材の先端に取付けたステイと、
前記ステイを前記シート状部材の展開巻取方向に沿って移動させる駆動手段と、
前記巻取装置から前記シート状部材の展開方向へ離れた位置に設け、前記シート状部材が展開した状態で、付勢状態で前記ステイに係止する係止部材と、
前記駆動手段に連結した状態で、前記ステイに対して移動可能であり、前記駆動手段が前記ステイを前記シート状部材の巻取方向に移動させる際に、前記ステイが移動するよりも前に前記ステイに対して移動して前記係止部材が前記ステイに係止している状態を解除する係止解除部材と、
を備えるシート状部材の展開巻取装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート状部材の展開巻取装置であって、
前記係止部材は、前記ステイと係止する係止部と、前記係止解除部材と当接する当接部とを含み、
前記係止部材は、前記係止解除部材により押されて付勢力に抗して移動して、前記ステイに対する係止を解除する、シート状部材の展開巻取装置。
【請求項3】
請求項2記載のシート状部材の展開巻取装置であって、
前記係止部と前記当接部との間に凹部を形成し、
前記係止解除部材は、前記係止部材を押し動かすための押部を含み、
前記ステイが前記係止部に係止した状態で、前記押部を前記凹部に配設する、シート状部材の展開巻取装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシート状部材の展開巻取装置であって、
前記係止解除部材は、前記ステイにおける前記シート状部材の展開方向側の第1位置と、前記シート状部材の巻取方向側の第2位置との間で移動可能であり、
前記係止部材は、前記ステイに係止可能な係止位置と、前記ステイとの係止を解除可能な係止解除位置のとの間で移動可能であり、前記係止解除位置から前記係止位置に向けて付勢されており、
前記シート状部材が展開する際は、前記係止解除部材が前記第1位置に位置しており、前記ステイ及び前記係止解除部材の少なくとも一方が前記係止部材を付勢力に抗して前記係止解除位置に向けて押し、
前記シート状部材が展開した状態では、前記係止部材が付勢力によって押されて前記係止位置に位置して前記ステイに係止しており、
前記シート状部材が巻取られる際には、前記係止解除部材が前記第2位置に向けて移動することによって、前記係止部材を前記付勢力に抗して前記係止解除位置に向けて押して、前記係止部材と前記ステイとの係止状態を解除する、シート状部材の展開巻取装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシート状部材の展開巻取装置であって、
前記駆動手段は、リニア駆動機構を含む、シート状部材の展開巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート状部材を展開状態に保つ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、乗用車の後部窓ガラスにあるロールブラインドを引出したり、巻取ったりする技術を開示している。ロールブラインドシートは、電動機、平歯車、ウオームが形成されたコイル状部材等を備える伝動装置によって引出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-241277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術によると、ロールブラインドシートが引出された後、電動機の回転が停止される。ロールブラインドシートは、伝動装置が一定の状態を保つことによって、引出された状態に保たれる。このため、ロールブラインドシートに巻取方向の力が加わると、その力がそのまま伝動装置に作用する恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、シート状部材を展開させる駆動手段に依存せずに、シート状部材を展開状態に保つことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係るシート状部材の展開巻取装置は、シート状部材と、前記シート状部材の基端に固定した巻取シャフトと、前記巻取シャフトを回転可能に支持し、前記シート状部材を巻取方向へ付勢して、前記シート状部材を巻取る巻取装置と、前記シート状部材の先端に取付けたステイと、前記ステイを前記シート状部材の展開巻取方向に沿って移動させる駆動手段と、前記巻取装置から前記シート状部材の展開方向へ離れた位置に設け、前記シート状部材が展開した状態で、付勢状態で前記ステイに係止する係止部材と、前記駆動手段に連結した状態で、前記ステイに対して移動可能であり、前記駆動手段が前記ステイを前記シート状部材の巻取方向に移動させる際に、前記ステイが移動するよりも前に前記ステイに対して移動して前記係止部材が前記ステイに係止している状態を解除する係止解除部材と、を備える。
【0007】
第2の態様は、第1の態様に係るシート状部材の展開巻取装置であって、前記係止部材は、前記ステイと係止する係止部と、前記係止解除部材と当接する当接部とを含み、前記係止部材は、前記係止解除部材により押されて付勢力に抗して移動して、前記ステイに対する係止を解除する。
【0008】
第3の態様は、第2の態様に係るシート状部材の展開巻取装置であって、前記係止部と前記当接部との間に凹部を形成し、前記係止解除部材は、前記係止部材を押し動かすための押部を含み、前記ステイが前記係止部に係止した状態で、前記押部を前記凹部に配設するものである。
【0009】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係るシート状部材の展開巻取装置であって、前記係止解除部材は、前記ステイにおける前記シート状部材の展開方向側の第1位置と、前記シート状部材の巻取方向側の第2位置との間で移動可能であり、前記係止部材は、前記ステイに係止可能な係止位置と、前記ステイとの係止を解除可能な係止解除位置のとの間で移動可能であり、前記係止解除位置から前記係止位置に向けて付勢されており、前記シート状部材が展開する際は、前記係止解除部材が前記第1位置に位置しており、前記ステイ及び前記係止解除部材の少なくとも一方が前記係止部材を付勢力に抗して前記係止解除位置に向けて押し、前記シート状部材が展開した状態では、前記係止部材が付勢力によって押されて前記係止位置に位置して前記ステイに係止しており、前記シート状部材が巻取られる際には、前記係止解除部材が前記第2位置に向けて移動することによって、前記係止部材を前記付勢力に抗して前記係止解除位置に向けて押して、前記係止部材と前記ステイとの係止状態を解除するものである。
【0010】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係るシート状部材の展開巻取装置であって、前記駆動手段は、リニア駆動機構を含む。
【発明の効果】
【0011】
第1の態様に係るシート状部材の展開巻取装置によると、係止部材は、シート状部材が展開した状態で、付勢状態でステイに係止する。また、駆動手段がステイをシート状部材の巻取方向に移動させる際には、ステイが移動するよりも前に前記ステイに対して係止解除部材が移動して係止部材がステイに係止している状態を解除する。このため、駆動手段は、ステイを巻取方向に移動させることができる。これにより、シート状部材を展開させる駆動手段に依存せずに、シート状部材を展開状態に保つことができる。
【0012】
第2の態様によると、係止解除部材は当接部を介して係止部材を押し動かす。これにより、係止部材は、付勢力に抗して移動し、ステイに対する係止を解除する。当接部と係止部とが別に設けられているため、係止のための構成、係止部材を押し動かすための構成を適した構成とし易い。もって、係止動作、係止解除動作を向上させることができる。
【0013】
第3の態様によると、シート状部材が展開した状態で、押部が凹部に配設される。巻取時に押部は当接部をスムーズに押すことができる。
【0014】
第4の態様によると、係止解除部材の移動、係止部材の移動によって、シート状部材をスムーズに展開及び巻取することができる。
【0015】
第5の態様によると、駆動手段がリニア駆動機構であっても、シート状部材が展開した状態を保ち、かつ、展開したシート状部材を巻取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係るシート状部材の展開巻取装置を示す概略平面図である。
図2】展開巻取装置の部分拡大平面図である。
図3】展開巻取装置の部分拡大側面図である。
図4】ステイの端部が係止部材に係止する動作を示す説明図である。
図5】ステイの端部が係止部材に係止する動作を示す説明図である。
図6】ステイの端部が係止部材に係止する動作を示す説明図である。
図7】ステイの端部が係止部材に係止する動作を示す説明図である。
図8】ステイの端部が係止部材に対する係止を解除して巻取方向に移動する動作を示す説明図である。
図9】ステイの端部が係止部材に対する係止を解除して巻取方向に移動する動作を示す説明図である。
図10】ステイの端部が係止部材に対する係止を解除して巻取方向に移動する動作を示す説明図である。
図11】変形例に係るシート状部材の展開巻取装置を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
{第1実施形態}
<全体構成について>
まず、シート状部材の展開巻取装置の全体構成について説明する。図1はシート状部材12の展開巻取装置10を示す概略平面図であり、図2は展開巻取装置10の部分拡大平面図であり、図3は展開巻取装置10の部分拡大側面図である。
【0018】
本展開巻取装置10の適用対象は、車両におけるウインドウであることが想定される。例えば、車両の後方には、リアウインドウが設けられている。リアウインドウの下方には取付パネル部材(パッケージトレイとも呼ばれる)が設けられる。リアウインドウの両側方には枠部材(ピラーとも呼ばれる)が設けられる。リアウインドウの上方には天井部が設けられている。展開巻取装置10は、リアウインドウの外周側に存在する部分、例えば、取付パネル部材及び枠部材に設けられる。シート状部材12は、リアウインドウのいずれかの周縁部側に収納される。シート状部材12は当該いずれかの周縁部側から反対側の周縁部側に向けて引出されてリアウインドウを覆う。本展開巻取装置10の適用対象は、車両のリアウインドウに限られず、車両のルーフウインドウ、サイドウインドウ等、各種ウインドウであってもよい。
【0019】
シート状部材12の展開巻取装置10は、シート状部材12と、巻取シャフト22と、巻取装置21と、ステイ30と、駆動手段50と、係止部材60と、係止解除部材80とを備える。
【0020】
シート状部材12は、巻かれた状態と平面状に展開した状態との間で変形可能なシート状の部材である。シート状部材12は、対象となるウインドウを部分的に又は全体的に覆うことができる形状に形成される。シート状部材12の形状の一例は、方形状である。シート状部材12は、台形状であってもよいし、三角形状であってもよい。シート状部材12は、メッシュ状に形成されていてもよいし、中身が埋った部分が面状に広がるシート状に形成されていてもよい。シート状部材12は、樹脂によって形成されていてもよいし、天然繊維等によって形成されていてもよい。ここでは、シート状部材12が方形状である例が説明される。方形状のシート状部材12のうちの1つの辺側部分が基端13、基端13に対向する他の1つの辺側部分が先端14であるとする。
【0021】
巻取シャフト22は、シート状部材12の基端13に対して回転不能に固定されている。巻取装置21は、巻取シャフト22を回転可能に支持している。巻取装置21は、巻取シャフト22を巻取方向へ付勢しており、当該シート状部材12を巻取る。より具体的には、巻取シャフト22は、巻取装置21の回転支持機構24によって回転可能に支持されている。巻取シャフト22は、巻取付勢部28によって所定方向に回転付勢されている。そして、巻取シャフト22が巻取付勢部28によって付勢された方向に回転することで、巻取シャフト22がシート状部材12を巻取る。つまり、巻取付勢部28による回転付勢方向は、シート状部材12を巻取る巻取方向である。また、巻取付勢部28の付勢力に抗して、シート状部材12の先端14が引張られると、シート状部材12が巻取シャフト22から引出されて面状に展開する。シート状部材12が展開した状態で、ウインドウを覆うことができる。
【0022】
ここでは、回転支持機構24は、ケース25と、ブラケット26と、軸受27とを備える。ケース25は、巻取シャフト22の延在方向に沿う長尺筒状に形成されている。ケース25は、角筒状であってもよいし、円筒状であってもよいし、角筒と円筒とが組合わされた形状であってもよい。一対のブラケット26が、ケース25の両端に設けられる。一対の軸受27が一対のブラケット26に取付けられている。軸受27は、ブラケット26からケース25内に突出しており、巻取シャフト22の両端に嵌め込まれて当該巻取シャフト22を回転可能に支持する。巻取付勢部28は、コイルバネ又は渦巻ばね等により構成されている。巻取付勢部28の一端は、軸受27又はブラケット26等の回転しない部位に固定される。巻取付勢部28の他端は、巻取シャフト22に固定される。初期状態において、シート状部材12を巻取シャフト22に巻取ることができる程度の巻取付勢力が巻取付勢部28に蓄えられている。このため、当初の巻取付勢力によって、シート状部材12が巻取シャフト22に巻取られた状態に保たれる。この状態では、巻取シャフト22に巻取られたシート状部材12は、ケース25内に収納されている。ケース25の周方向の一部には、シート状部材12を引出可能な細長いスリットが形成されている。シート状部材12は、当該スリットを通って外部に引出される。巻取シャフト22から引出されたシート状部材12は、面状に展開することができる。
【0023】
回転支持機構24は、ウインドウのいずれかの周縁部、例えば、リアウインドウの下方の取付パネル部材に設けられる。
【0024】
ステイ30は、シート状部材12の先端に取付けられる。より具体的には、ステイ30は、細長い棒状の部材である。ステイ30は、シート状部材12の先端14と同じ長さであるか先端14よりも長い。ステイ30は、例えば、樹脂材、アルミニウム等の金属材により形成される。ここでは、シート状部材12の先端14の全体がステイ30に沿って当該ステイ30に取付けられている。シート状部材12が巻取シャフト22に巻取られた状態で、ステイ30がケース25のスリットの周縁部に接触してもよい。これにより、シート状部材12の先端14がケース25内に入り込んでしまうことが抑制される。
【0025】
本実施形態では、ステイ30は、一対のレール42によって、収納位置と展開位置との間で移動可能に支持されている。収納位置は、ステイ30が回転支持機構24に近づいた位置である。収納位置は、例えば、シート状部材12が巻取シャフト22に巻取られ、ステイ30がケース25のスリットに接触した位置である。展開位置は、収納位置よりも回転支持機構24から遠い位置である。展開位置は、例えば、シート状部材12が巻取シャフト22から引出され、ステイ30がウインドウに対して回転支持機構24とは反対側の縁部(例えば、天井側の縁部)に達した位置である。
【0026】
一対のレール42は、金属等により形成された長尺部材に形成されている。レール42の内部にステイ30の端部及び係止解除部材80をガイド可能なガイド空間44が形成されている。一対のレール42を結ぶ方向において、各レール42の外向き部分及び内向き部分には、レール42の延在方向に沿うスリットが形成されている。なお、以下の説明において、外側という場合、一対のレール42を結ぶ方向において外側を意味し、内側という場合、一対のレール42を結ぶ方向においてその内(間)側を意味する場合がある。ステイ30の端部は、レール42の外側のスリット及び内側のスリットを通って、レール42の延在方向に沿って移動することができる。一対のレール42は、直線状に延在していてもよいし、ステイ30の端部及び係止解除部材80を移動可能に支持できる範囲で湾曲していてもよい。また、一対のレール42は、間隔を隔てて並ぶように配設される。一対のレール42の基端部の間には、上記回転支持機構24が配設される。一対のレール42の先端部は、回転支持機構24から離れる方向に向う。一対のレール42は、回転支持機構24に対してブラケット等を介して固定されていてもよい。一対のレール42は、回転支持機構24に対しては固定されず、ウインドウの周縁部等(例えば、ピラー)に固定されることで、回転支持機構24に対して一定姿勢に保たれてもよい。すなわち、回転支持機構24と一対のレール42とは、互いに一定姿勢を保つように支持される。そのための支持部材は、回転支持機構24と一対のレール42とを支持するための専用部品であってもよいし、ウインドウの周辺に位置する部材が利用されてもよい。
【0027】
一対のレール42は、互いに平行姿勢であってもよいし、回転支持機構24から遠ざかる方向に向けて順次広くなる又は狭くなる姿勢であってもよい。ここでは、一対のレール42は互いに平行姿勢である。
【0028】
レール42によって、係止解除部材80が当該レール42に沿って移動可能に支持されている。より具体的には、係止解除部材80は、レール42内のガイド空間44内を、当該レール42の延在方向に沿って移動可能に配設される。係止解除部材80は、レール42内を走行する移動部材であるとも把握され得る。ステイ30及び係止解除部材80が案内部材の一例であるレール42に沿って移動することから、ステイ30及び係止解除部材80の移動経路が安定する。
【0029】
ステイ30及び係止解除部材80がレール42に沿って移動可能に支持される構成は上記例に限られない。後述するように、ステイ30の端部と係止解除部材80とは互いに連結されており、レール42内を同方向に移動することができる。このため、ステイ30の端部及び係止解除部材80の一方のみがレール42によって移動可能に支持されてもよい。かかる構成によっても、ステイ30は所定の経路に沿って移動可能に支持される。また、ステイ及び係止解除部材の少なくとも一方に、孔又は溝が形成されていてもよい。この場合、ガイドレールが当該孔又は溝に嵌った状態で、ステイ及び係止解除部材の少なくとも一方がレールに沿って移動してもよい。
【0030】
レール42が設けられることは必須ではない。例えば、駆動手段自体が、テレスコピック構造等のように巻取装置21から伸縮する構造を含み、当該伸縮する構造自体が係止解除部材を所定の経路に沿って移動させる場合等には、レール42は省略されてもよい。
【0031】
駆動手段50は、ステイ30を、シート状部材12の展開巻取方向(ここではレール42の延在方向)に沿って移動させる手段である。ここでは、駆動手段50は、一対の係止解除部材80を一対のレール42に沿って往復移動させる駆動機構である。本実施形態では、駆動手段50は、ワイヤー52と、モータ56とを含む。ワイヤー52の一端部は係止解除部材80に固定されている。係止解除部材80は、ステイ30に連結されていることから、ワイヤー52の進退移動によってステイ30が移動することができる。一対のワイヤー52が、一対のレール42のそれぞれに対応して設けられる。ワイヤー52は、係止解除部材80からレール42内を通ってレール42の基端側に導かれる。ワイヤー52は、レール42の基端側から外に出て、巻取装置21側に設けられたワイヤー駆動機構54に導かれる。ワイヤー駆動機構54は、モータ56及びギヤ機構58を含む。モータ56は、電気モータ等である。ギヤ機構58は、モータ56の回転運動を、ワイヤー52の延在方向に沿った直線運動に変換する機構である。ギヤ機構としては、ラックアンドピニオン機構、ウオームギヤ機構等が採用され得る。ラックアンドピニオン機構の場合、ワイヤー52にラック歯が形成され、モータシャフトにピニオンギヤが取付けられた構成とされればよい。ウオームギヤ機構の場合、ワイヤー52が螺旋状の歯車が形成されたウオームギヤとされ、モータシャフトに円板状の斜歯歯車が取付けられた構成とすればよい。2つのワイヤー52は、共通する1つのモータ56によって駆動されてもよいし、別々のモータ56によって駆動されてもよい。
【0032】
駆動手段50は上記例に限られない。例えば、レールに対応する長尺状のガイド部と、係止解除部材に連結されて当該ガイド部に沿って移動する移動部材とがリニアアクチュエータとして構成されていてもよい。かかるリニアアクチュエータとしては、例えば、リニアモータ、電動シリンダ、流体シリンダ等が採用され得る。リニアアクチュエータがリニアモータの一種であるシャフトモータである例については後の変形例で説明される。電動シリンダとしては、ガイド部としてネジシャフト、移動部材としてネジシャフトに螺合するナットとを含み、前記ネジシャフトをモータによって回転させることでナットをネジシャフトに沿って移動させる構成が採用され得る。
【0033】
係止部材60は、巻取装置21からシート状部材12の展開方向へ離れた位置に設けられている。ここでは、一対の係止部材60は、一対のレール42のそれぞれの先端部に設けられている。そして、シート状部材12が展開した状態で、係止部材60は付勢状態でステイ30に係止する。
【0034】
係止解除部材80は、駆動手段50に連結された状態で、ステイ30に対して移動可能に設けられる。ステイ30に対する係止解除部材80の移動範囲は、ステイ30の移動方向(シート状部材12の展開巻取方向、あるいは、レール42の延在方向である)において一定の範囲である。駆動手段50による駆動力は、係止解除部材80を介してステイ30に伝達される。ステイ30が係止部材60に係止している状態で、駆動手段50が係止解除部材80を介してステイ30をシート状部材12の巻取方向に移動させる。この際、ステイ30が移動するよりも前に係止解除部材80がステイ30に対して移動し、もって、係止部材60がステイ30に係止している状態を解除する。これにより、ステイ30は巻取方向に移動可能となる。
【0035】
本シート状部材12の展開巻取装置10においては、駆動手段50によってシート状部材12が展開させられる。シート状部材12が展開した状態でステイ30が係止部材60に係止する。これにより、シート状部材12が展開した状態に保たれる。シート状部材12が巻取られる際には、駆動手段50によってステイ30が巻取方向に移動させられる。この際、係止解除部材80が係止部材60を移動させることによって、ステイ30と係止部材60との係止状態を解除させる。これにより、ステイ30は巻取方向に移動可能となる。駆動手段50がステイ30を巻取方向に移動させると、シート状部材12が巻取装置21に巻取られる。
【0036】
<シート状部材を展開状態に保つための構成について>
シート状部材12を展開状態に保ち、さらに、展開状態に保った状態を解除する構成について図2から図10を参照して説明する。図4から図10はステイ30の端部と係止部材60との動作を示す説明図である。図4から図7はステイ30の端部が係止部材60に係止する動作を示している。図8から図10はステイ30の端部が係止部材60に対する係止を解除して巻取方向に移動する動作を示している。なお、図3から図10ではレール42が省略されている。
【0037】
まず、ステイ30の端部は、レール42よりも外方に突出した突出部32に形成されている。突出部32のうち展開方向側の部分は、ステイ30の延在方向の外側に向うのにつれて巻取方向に向うガイド面33に形成されている。ここでは、ガイド面33は、外向きに凸となる湾曲面に形成されている。突出部32のうち巻取方向側の部分は、展開巻取方向に対して直交する接触面33fに形成されている。
【0038】
ステイ30のうちレール42を通過する部分には、巻取方向に向けて突出する連結突部34が突設されている。連結突部34には、巻取方向側及び一対のレール42の外向きに開口する連結保持凹部35が形成されている。連結保持凹部35のうち巻取方向側の部分には、抜け止突部35aが形成されている。
【0039】
係止解除部材80は、樹脂等によって形成された部材であり、レール42のガイド空間44内において、上記連結突部34よりも巻取方向側に配設されている。係止解除部材80は、ワイヤー連結部82とステイ連結部84とを備える。ワイヤー52はワイヤー連結部82に連結されている。ワイヤー連結部82は、例えば、ワイヤー52の端部を挟持すること等によってワイヤー52の端部に連結される。
【0040】
ステイ連結部84は、ワイヤー連結部82に対してステイ30側に一体化されている。ステイ連結部84は、連結保持凹部35内に配設される板状部分を含む。ステイ連結部84が連結保持凹部35内に配設された状態で、係止解除部材80のうちワイヤー連結部82側の部分が、連結突部34に対して巻取方向側に延出している。ステイ連結部84の主面には上記抜け止突部35aに対してステイ30側から係止可能な突部84aが突設されている。係止解除部材80は、ステイ30に対して第1位置と第2位置との間で移動可能に連結される。第1位置は展開方向側の位置である(図4から図7参照)。この位置では、ステイ連結部84の突部84aが連結保持凹部35のうち巻取方向を向く面に当っている。第2位置は、第1位置よりも巻取方向側の位置である(図10参照)。この位置では、突部84aが抜け止突部35aに対してステイ30側から当る。ここでは、係止解除部材80の上側にステイ30が設けられる。このため、重力によってステイ30は係止解除部材80側に押される。つまり、通常状態において、係止解除部材80は、ステイ30に対して第1位置に位置する。通常状態において、係止解除部材80を第1位置に向けて付勢する付勢部材が設けられてもよい。付勢部材としては、コイルバネ、板ばね等が採用され得る。
【0041】
係止解除部材80は、係止部材60を押し動かすための押部88を含む。ここでは、押部88は、ステイ連結部84に外向きに突出するように設けられている。押部88は、レール42から外向き突出した状態で、ステイ連結部84、ワイヤー連結部82と共にレール42に沿って移動する。ここでは、押部88の先端部のうち展開方向側の部分は、外側(一対のレール42に対して外側)に向うのにつれて巻取方向側に向うガイド面88bに形成されている。押部88の先端部のうち巻取方向側の部分は、外側(一対のレール42に対して外側)に向うのにつれて展開方向側に向うガイド面88aに形成されている。ここでは、ガイド面88a、88bは、外向きに凸となる湾曲面に形成されている。本実施形態では、押部88の先端部のガイド面88a、88bは、一対のレール42に対して直交する軸を曲率中心とする半円柱周面を描く。ここでは、押部88は、ステイ30の突出部32よりも大きく外側(係止部材60側)に突出している。
【0042】
本例では、係止解除部材80はステイ30に対して直接支持されている。係止解除部材は、他の部材を介してステイに対して間接的に移動可能に支持されていてもよい。
【0043】
係止部材60は、巻取装置21から離れた位置に配設されている。ここでは、係止部材60は、レール42の先端部に可動支持部70を介して支持されている。
【0044】
可動支持部70は、樹脂等によって形成された部材である。可動支持部70の先端部がレール42の先端部に支持され、可動支持部70の基端部がレール42の先端部から基端側に離れた位置に支持されている。このため、レール42の先端側において、レール42の外向き部分と可動支持部70との間に、隙間が設けられる。
【0045】
可動支持部70には、レール42側に開口する支持凹部72が形成されている。係止部材60は、当該支持凹部72に配設されることによって、レール42に対して進退方向に移動可能に支持されている。可動支持部70のうち支持凹部72の両側壁となる部分に規制用開口74が形成されている。
【0046】
係止部材60は、可動支持部70によって、係止位置と係止解除位置との間で移動可能に支持されている。係止位置は、係止部材60がステイ30に係止可能な位置であり、可動支持部70に対してステイ30側に移動した位置である(図4図6図7図8図10参照)。係止解除位置は、係止部材60がステイ30との係止を解除可能な位置であり、可動支持部70に対してステイ30から離れた外側に移動した位置である(図5図9参照)。ここでは、係止部材60のうち規制用開口74に対応する部分に突部61が形成されている。上記係止位置では、突部61が規制用開口74のうちレール42側の縁に接触する。この状態では、係止部材60から支持凹部72からレール42側に抜けることが抑制されている。係止解除位置では、突部61が規制用開口74のうちレール42側の縁から反対側寄りに位置する。上記したように、係止解除位置は、係止部材60とステイ30との係止を解除可能な位置である。このため、係止解除位置は、ステイ30の突出部32と後述する係止部64とがステイ30の延在方向において重複し合わないように、係止部材60がレール42に対して外側のいずれかに位置する状態として把握されてもよい。
【0047】
係止部材60は、係止解除位置から係止位置に向けて付勢されている。ここでは、係止部材60は、付勢部材68によって付勢されている。より具体的には、係止部材60に、支持凹部72の奥側(レール42の外向き側)に開口する付勢用凹部62が形成されている。付勢部材68は、コイルバネであり、付勢部材68が付勢用凹部62内において、支持凹部72の奥部分と付勢用凹部62の奥部分との間で圧縮されている。付勢部材68の付勢力によって、係止部材60が係止位置に向けて付勢されている。付勢部材は、板ばね等であってもよい。
【0048】
係止部材60は、樹脂等によって形成された部材であり、係止部64と、当接部66とを含む。係止部64は、係止部材60において展開方向側に設けられ、当接部66は係止部材60において巻取方向側に設けられる。係止部64は、ステイ30と係止する部分である。ここでは、係止部64のうち展開方向側の面は、展開巻取方向に対して直交する受面64aに形成されている。ステイ30の突出部32が当接部66を展開方向側に超えると、突出部32の接触面33fが受面64aに対向して接触可能な状態となる。係止部64のうち巻取方向側の面は、レール42の内側に向けて徐々に展開方向に向うガイド面64bに形成されている。
【0049】
当接部66は、係止解除部材80の押部88と当接する部分である。ここでは、当接部66のうち展開方向側の部分は、内側(一対のレール42の間側)に向うのにつれて巻取方向側に向うガイド面66aに形成されている。当接部66のうち巻取方向側の部分は、内側(一対のレール42の間側)に向うのにつれて展開方向側に向うガイド面66bに形成されている。このため、当接部66は、最も突出した部分から展開方向及び巻取方向に向けてなだらかに曲りつつ突出寸法が小さくなる形状に形成されている。ここでは、当接部66は、係止部64よりも大きく内側に突出している。
【0050】
押部88の先端部のガイド面88a、88bが弓状に当接部66側に突出し、これに対向するように当接部66のガイド面66a、66bが弓状に突出する。このため、押部88と当接部66とが互いに擦れ合いながら、係止解除部材80がスムーズに展開巻取方向に沿って移動できる。
【0051】
ステイ30が巻取方向に移動する際に、係止部材60は、係止解除部材80によって外側に押されて付勢部材68の付勢力に抗して外側の係止解除位置に移動する。これにより、係止部材60は、ステイ30に対する係止を解除する。
【0052】
上記係止部64と当接部66との間には凹部65が形成されている。ここでは、凹部65はなだらかに湾曲しつつ凹む形状に形成されている。凹部65は、押部88を配設可能な大きさに形成されている。そして、ステイ30が係止部64に係止した状態で、押部88が凹部65に配設される。
【0053】
ステイ30が係止部材60に係止する構成について説明する。
【0054】
シート状部材12が巻取って収納された状態では、係止部材60は付勢部材68の付勢力によって係止位置に位置する。巻取装置21の巻取力によって、係止解除部材80は、ステイ30に対して巻取方向側の第2位置に位置する。例えば、駆動手段50によってステイ30の収納位置が定まる場合、係止解除部材80は、ステイ30に対して展開方向側の第1位置に位置する。
【0055】
シート状部材12が展開する際、駆動手段50の駆動力によって係止解除部材80がレール42に沿って展開方向に移動される。この際、ステイ30の自重や巻取装置21の巻取力等によって、ステイ30が係止解除部材80に近づく。このため、係止解除部材80は、ステイ30に対して展開方向側の第1位置に位置する。係止解除部材80は、ステイ30に連結されていることから、駆動手段50による駆動力は係止解除部材80を介してステイ30に伝達される。このため、ステイ30も展開方向に移動する。これにより、シート状部材12も引出される。
【0056】
図4に示すように、ステイ30がレール42の先端側にある係止部材60に近づく。すると、ステイ30の突出部32のガイド面33が当接部66のガイド面66bに接触する。ステイ30がさらに展開方向に移動すると、突出部32が当接部66を外側に押すので、係止部材60は係止解除位置に向けて移動する。突出部32が当接部66を展開方向に乗越えた後、図5に示すように、押部88が当接部66に接触する。押部88が当接部66を外側に押すことによって係止部材60が係止解除位置に移動している状態で、ステイ30の突出部32が係止部64の側方位置を通過する。
【0057】
つまり、シート状部材12が展開する際には、係止解除部材80が第1位置に位置しており、ステイ30及び係止解除部材80が係止部材60を付勢力に抗して係止解除位置に向けて押す。これにより、ステイ30の突出部32が係止部64を展開方向側に容易に超えることができる。
【0058】
図6に示すように、ステイ30の突出部32が係止部64を展開方向に超え、押部88も当接部66を展開方向に超える。すると、付勢部材68の付勢力によって係止部材60が内側に押されて係止位置に戻る。これにより、ステイ30における突出部32の接触面33fが係止部材60における係止部64の受面64aに対向し、ステイ30と係止部材60とが係止可能な状態となる。なお、展開時において、ステイの突出部が係止部材を押し動かすことによってステイと係止部材との係止状態が成立してもよく、係止解除部材の押部が係止部材を押すことは必須ではない。
【0059】
この状態から、図7に示すように、駆動手段50の駆動によって、係止解除部材80が(僅かに)巻取方向に移動することが好ましい。図7では、押部88が当接部66に接触するが係止部材60を押さない程度の距離L1だけ、係止解除部材80がステイ30に対して巻取方向に移動している様子が示される。係止解除部材80は、第1位置と第2位置との間に位置している。これにより、ステイ30が係止部材60に対してより確実に係止する。係止部材60に対してステイ30ががたつき難くなり、音の発生が抑制される。また、仮にステイ30が巻取方向に押されたとしても、その力が係止解除部材80及びワイヤー52を介してワイヤー駆動機構54には伝わり難い。これにより、ワイヤー駆動機構54の破損等が抑制される。また、巻取時において、係止解除部材80が巻取方向に移動を開始すると直ぐに係止部材60を係止解除位置に向けて移動させることができる。
【0060】
このように、ステイ30が係止部材60に係止した状態が、シート状部材12が所定の展開状態に保たれた状態である。
【0061】
シート状部材12が巻取られる際には、駆動手段50によって係止解除部材80がさらに巻取方向に移動させられる。図8に示すように、ステイ30は、係止部材60に係止していることから、ワイヤー52が係止解除部材80を引張ると、ステイ30は停止したまま、係止解除部材80が巻取方向に移動する。すると、図9に示すように、係止解除部材80はステイ30に対して第2位置に向けて移動する。この際、押部88は、係止部材60の当接部66に接触し、係止部材60を付勢部材68による付勢力に抗して係止解除位置に向けて押す。これにより、ステイ30の突出部32と係止部材60の係止部64との係止が解除される。
【0062】
ステイ30と係止部64との係止が解除された時、係止部材60が係止解除位置に向けて移動した状態が継続していることが好ましい。また、ステイ30と係止部64との係止が解除されてから、係止解除部材80がさらに巻取方向にある程度移動するまで、係止部材60がさらに係止解除位置に向けて移動することが好ましい。本実施形態では、ステイ30と係止部64との係止が解除されてから、係止解除部材80がさらに巻取方向に進むと、押部88が当接部66の頂部(最も突出した部分)に接触するようになっている。これにより、上記2つの好ましい態様が実現されており、係止解除が確実になされる。
【0063】
駆動手段50が係止解除部材80を巻取方向にさらに移動させると、係止解除部材80がステイ30を巻取方向に移動させる。すると、ステイ30の突出部32は、係止部64を巻取方向に超える。この際、押部88も当接部66を巻取方向に超える。当接部66は、最も突出した部分から展開方向及び巻取方向に向けてなだらかに曲りつつ突出寸法が小さくなる形状に形成されているため、突出部32自体が当接部66を押して当接部66を巻取方向に超えていくことができる。このため、ステイ30の突出部32が係止部材60の係止部64を巻取方向に超えた後は、図10に示すように、ステイ30の突出部32及び係止解除部材80は、係止部材60に対して巻取方向に移動していくことができる。駆動手段50がステイ30を巻取装置21側に移動させると、シート状部材12が巻取装置21に巻取られ、収納状態となる。
【0064】
このように構成されたシート状部材12の展開巻取装置10によると、係止部材60は、シート状部材12が展開した状態で、付勢状態でステイ30に係止する。また、駆動手段50がステイ30をシート状部材12の巻取方向に移動させる際には、ステイ30が移動するよりも前にステイ30に対して係止解除部材80が移動して係止部材60がステイ30に係止している状態を解除する。このため、駆動手段50は、ステイ30を巻取方向に移動させることができる。これにより、シート状部材12を展開させる駆動手段に依存せずに、シート状部材12を展開状態に保つことができる。
【0065】
ステイ30が巻取方向に押されたとしても、その力は、ステイ30に係止する係止部材60によって受止められる。このため、当該力がワイヤー52、ギヤ機構58、モータ56等に伝わり難い。これにより、駆動手段50の破損等が抑制される。
【0066】
また、係止解除部材80は、当接部66を介して係止部材60を押し動かす。これにより、係止部材60は、付勢部材68による付勢力に抗して移動し、ステイ30に対する係止を解除する。当接部66と係止部64とが別に設けられているため、係止のための構成、係止部材60を押し動かすための構成を、それぞれに適した構成に設定し易い。もって、係止動作、係止解除動作を向上させることができる。
【0067】
また、シート状部材12が展開した状態で、押部88が、当接部66と係止部64との間の凹部65に配設される。このため、巻取時において押部88は当接部66をスムーズに押すことができる。特に、展開状態において押部88が当接部66と接触した状態としておけば、巻取時において、係止解除部材80が巻取方向に移動を開始すると直ぐに係止部材60を係止解除位置に向けて移動させることができる。
【0068】
シート状部材12が展開した状態で、押部88が凹部65内に配設されることは必須ではない。例えば、係止部材における係止部及び当接部が、展開巻取方向において同位置でレールの周りに分散して位置に設けられていてもよい。この場合、シート状部材12が展開した状態で、ステイが係止部に当接する位置及び押部の待機位置が、展開巻取方向においてほぼ同位置でレールの周りに分散していてもよい。
【0069】
また、シート状部材12が展開する際は、係止解除部材80が第1位置に位置しており、ステイ30及び係止解除部材80の少なくとも一方が係止部材60を付勢力に抗して係止解除位置に向けて押す。シート状部材12が展開した状態で、係止部材60が付勢力によって押されて係止位置に位置してステイに係止する。シート状部材12が巻取られる際には、係止解除部材80が第2位置に向けて移動することによって、係止部材60を付勢力に抗して係止解除位置に向けて押して、係止部材60とステイ30とが係止した状態が解除される。このため、係止解除部材80及び係止部材60の移動によって、シート状部材12がスムーズに展開及び巻取られることができる。
【0070】
図11は変形例に係るシート状部材12の展開巻取装置110を示す平面図である。この展開巻取装置110では、駆動手段50に対応する駆動手段150は、リニア駆動機構142を含む。リニア駆動機構142は、例えば、リニアモータである。ここでは、リニア駆動機構142が、リニアモータの一種であるシャフトモータである例が開示される。リニア駆動機構142は、シャフト144と、可動部146とを備える。シャフト144は、複数の永久磁石が、N極同士、S極同士で接合された長尺状をなす部材である。可動部146は、シャフト144を囲むコイルを含む。制御ユニットによってコイルに電流が流されると、磁力が発生する。このコイルの磁力とシャフト144の磁力とによって可動部146をシャフト144の延在方向に沿って移動させる推力が発生する。シャフト144の先端に可動支持部70が支持されており、当該可動支持部70に係止部材60が支持されている。
【0071】
上記係止解除部材80に対応する係止解除部材180及びステイ30に対応するステイ130には、シャフト144が貫通可能な孔が形成されている。可動部146は、係止解除部材180に連結されている。可動部146がシャフト144に沿って往復駆動されることで、係止解除部材180がシャフト144に沿って往復駆動される。これにより、上記実施形態と同様に、ステイ130が展開方向及び巻取方向に移動することができる。このため、本変形例に係る展開巻取装置110も上記実施形態と同様に展開及び巻取動作を行うことができる。
【0072】
駆動手段150として、本変形例のように、リニア駆動機構142を用いた場合の意義について説明する。
【0073】
すなわち、実施形態では、駆動手段50としてギヤ機構等を用いた場合には、ギヤ機構自体によってシート状部材12が展開状態に保たれることが期待される。しかしながら、駆動手段50として、リニア駆動機構142,特に、シャフトモータ等のリニアモータを用いた場合には、シャフト144と可動部146とは別体である。可動部146のコイルに通電中は、磁力によって可動部146がシャフト144に対して移動することができ、また、一定の位置に保たれ得る。しかしながら、電源がオフとされ、コイルに電流が流れない状態になると、可動部146はシャフト144の延在方向に自由に移動できる状態となる。つまり、シート状部材12の展開状態において電源がオフになると、可動部146は自重によりシャフト144に沿って下方に移動していく。このため、シート状部材12を展開状態で維持することができないことになる。
【0074】
本変形例では、シート状部材12の先端が取付けられたステイ130に対して、ステイ130とは別体の係止解除部材180が連結されている。リニア駆動機構142による力は係止解除部材180のみに作用し、ステイ130は、係止解除部材180の移動に追従する。また、ステイ130は、展開状態において、係止部材60に係止し、係止解除部材180の移動によってステイ130と係止部材60との係止が解除される。
【0075】
このため、シート状部材12を展開させるべく、可動部146に通電されると、可動部146及び係止解除部材180がシャフト144に沿って移動し、上記実施形態で説明したように、ステイ130が係止部材60に係止した状態となる。この状態で、可動部146への電流が遮断されても、ステイ130が係止部材60に係止した状態に保たれるため、ステイ130の自重、巻取力に拘らず、シート状部材12は展開状態に保たれる。なお、この時、係止解除部材180は、係止部材60の当接部66のガイド面66aに展開方向側から当接するので、可動部146はその位置で留まった状態となる。
【0076】
そして、シート状部材12を巻取るべく、可動部146に通電されると、可動部146及び係止解除部材180がシャフト144に沿って移動し、上記実施形態で説明したように、係止解除部材180が係止部材60を係止解除位置に移動させる。これにより、ステイ130と係止部材60との係止が解除され、可動部146及び係止解除部材180は、ステイ130と共に、巻取方向に移動することができる。これにより、シート状部材12が巻取装置21に巻取られる。
【0077】
このため、本変形例によると、リニア駆動機構142を用いた構成においても、シート状部材12を展開状態に保つことができる。ギヤ機構等を用いた駆動手段50と同様に、シート状部材12に巻取方向の外力が作用しても、ステイ130は係止部材60と係止して、巻取方向への移動が規制される。このため、可動部146の自由な移動が規制され、リニア駆動機構142の破損も抑制される。
【0078】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0079】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0080】
10、110 展開巻取装置
12 シート状部材
13 基端
14 先端
21 巻取装置
30、130 ステイ
32 突出部
42 レール
50 駆動手段
60 係止部材
64 係止部
66 当接部
68 付勢部材
80、180 係止解除部材
88 押部
142 リニア駆動機構
144 シャフト
146 可動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11