(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】暖房装置
(51)【国際特許分類】
F24H 9/02 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
F24H9/02 302A
(21)【出願番号】P 2019118867
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤川 朋保
(72)【発明者】
【氏名】小林 悠貴
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-008202(JP,U)
【文献】実開昭60-060522(JP,U)
【文献】実開昭54-031243(JP,U)
【文献】特開平11-132436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02
F23L 9/00
F23D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁に複数の空気孔が形成され、鉛直方向に沿う中心軸を有する有底筒状のポットバーナと、
前記ポットバーナの外周を囲む外筒と、
前記ポットバーナへ燃油を供給する燃油供給部と、
前記ポットバーナへ燃焼用空気を供給する空気供給部と、を備え、
前記空気供給部は、
燃焼用空気を送出する燃焼用送風機と、
前記燃焼用送風機と前記外筒の側壁とを接続する給気管と、を有し、
前記給気管の前記外筒側の端部に形成された給気口は、前記ポットバーナの中心軸から水平方向にずれた位置に向けて開口して
おり、
前記給気口から前記外筒内に流入する燃焼用空気の流れを整える整流板部材が備えられており、
前記整流板部材は、
前記外筒内に流入する燃焼用空気の流れ方向を水平方向よりも上向きに変える傾斜板部と、
前記傾斜板部の前記ポットバーナ側に鉛直方向に沿って設けられ、前記給気口から流入する燃焼用空気の前記ポットバーナに向かう流れを抑制する邪魔板部と、を有する
ことを特徴とする暖房装置。
【請求項2】
前記傾斜板部を含む平面は、前記ポットバーナに設けられ点火用のヒータが挿入される点火筒の上方を通過する
ことを特徴とする請求項
1に記載の暖房装置。
【請求項3】
前記傾斜板部に近い側の前記外筒の側壁に、温度検知手段が設置されている
ことを特徴とする請求項
1または請求項
2に記載の暖房装置。
【請求項4】
前記整流板部材は、前記給気口の外周部に係合する切欠きが形成された鉛直方向に沿う係合板部をさらに有し、
前記傾斜板部、前記邪魔板部および前記係合板部は、一体に形成されている
ことを特徴とする請求項
1から請求項
3のいずれか一項に記載の暖房装置。
【請求項5】
前記整流板部材は、前記傾斜板部の前記ポットバーナとは反対側に一体に形成された取付板部をさらに有し、
前記係合板部および前記取付板部は、前記外筒の内側面に固定するためのねじ孔をそれぞれ有する
ことを特徴とする請求項
4に記載の暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポットバーナ内で燃油を燃焼させる暖房装置がある(例えば、特許文献1参照)。この暖房装置では、ポットバーナ内において、燃油供給部から供給される燃油と、燃焼用送風機から送出される燃焼用空気とを用いて燃焼が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の暖房装置では、燃焼用空気は、燃焼用送風機から暖房装置の底板の下部に形成された風洞を経由し、ポットバーナの外周側下部へ供給される。これにより、燃焼用空気のポットバーナ全周への供給の均一化を図っているが、燃焼用空気の供給経路は、複雑な構造となっている。このため、燃焼用空気の給気抵抗が大きくなり、強い送風能力を有する大型で高価なモータが必要となる。
【0005】
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、燃焼用空気のポットバーナ全周への供給の均一化を図りつつ、燃焼用空気の給気抵抗を低減できる暖房装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る暖房装置は、ポットバーナと、外筒と、燃油供給部と、空気供給部と、を備えている。前記ポットバーナは、有底筒状を呈しており、鉛直方向に沿う中心軸を有する。前記ポットバーナの側壁には、複数の空気孔が形成されている。前記外筒は、前記ポットバーナの外周を囲んでいる。前記燃油供給部は、前記ポットバーナへ燃油を供給する。前記空気供給部は、前記ポットバーナへ燃焼用空気を供給する。前記空気供給部は、燃焼用空気を送出する燃焼用送風機と、前記燃焼用送風機と前記外筒の側壁とを接続する給気管と、を有している。前記給気管の前記外筒側の端部に形成された給気口は、前記ポットバーナの中心軸から水平方向にずれた位置に向けて開口している。前記給気口から前記外筒内に流入する燃焼用空気の流れを整える整流板部材が備えられており、前記整流板部材は、前記外筒内に流入する燃焼用空気の流れ方向を水平方向よりも上向きに変える傾斜板部と、前記傾斜板部の前記ポットバーナ側に鉛直方向に沿って設けられ、前記給気口から流入する燃焼用空気の前記ポットバーナに向かう流れを抑制する邪魔板部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃焼用空気のポットバーナ全周への供給の均一化を図りつつ、燃焼用空気の給気抵抗を低減できる暖房装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る暖房装置を示す外観斜視図である。
【
図2】暖房装置の前パネルを外した状態を示す斜視図である。
【
図3】ポットバーナへ燃焼用空気を供給する空気供給部の周辺を示す斜視図である。
【
図6】整流板部材の外筒への設置方法を説明するための図であって、外筒の上下を反転させた状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る暖房装置100を示す外観斜視図である。本実施形態に係る暖房装置100は、いわゆるポットバーナ式の温風暖房機であり、石油等の燃油の燃焼による燃焼ガスと室内空気とを熱交換して暖房を行う。
【0011】
図1に示すように、暖房装置100は、筐体をなす本体1を備えている。本体1は、前面略中央に温風を吹き出す吹き出し口2を設けた前パネル3と、底板4と、左右の側面板5と、背面板6と、上面板7とを有している。前パネル3の上部には、運転スイッチや温度設定スイッチ等の複数のボタンと温度や時間を表示する表示部とが一体となった操作・表示ユニット8が設けられている。
【0012】
図2は、暖房装置100の前パネル3を外した状態を示す斜視図である。
図3は、ポットバーナ10へ燃焼用空気を供給する空気供給部50の周辺を示す斜視図である。
図2に示すように、暖房装置100は、ポットバーナ10(
図3参照)と、外筒20と、熱交換器30と、燃油供給部40と、空気供給部50とを備えている。
【0013】
図3に示すように、ポットバーナ10は、有底筒状を呈する金属製部材であり、鉛直方向に沿う中心軸11を有している。ポットバーナ10の側壁12には、複数の空気孔13が形成されている。ポットバーナ10内には、燃油供給部40および空気供給部50によって燃油および燃焼用空気がそれぞれ供給され、ポットバーナ10内に供給された燃油は、該ポットバーナ10内において燃焼する。
【0014】
ポットバーナ10の側壁12には、点火用のヒータ(図示せず。以降同様)が挿入される円筒状の点火筒14が設けられている。ヒータは、ポットバーナ10内に供給された燃油を予熱して気化させる機能と、気化した燃油に点火する機能とを有している。
【0015】
外筒20は、ポットバーナ10の外周を囲んでいる。外筒20は、ポットバーナ10よりも大径で高さも大きい四角筒状を呈する金属製部材である。外筒20の内部下方に、ポットバーナ10が所定高さに浮いた状態で収容されている。外筒20とポットバーナ10との間、すなわち、ポットバーナ10の底壁の下方および側壁12の径方向外方には、空気室22が形成されている。
【0016】
図2に示すように、熱交換器30は、ポットバーナ10(
図3参照)で発生した燃焼ガスと、本体1の背面板6(
図1参照)に取り付けられた対流ファン(図示せず。以降同様)から送られる室内空気とを熱交換する。熱交換器30は、外筒20の側壁21の上部に接続されている。ポットバーナ10で発生した燃焼ガスは、外筒20内を上昇して熱交換器30に流入するようになっている。
【0017】
外筒20の上部には、複数の熱交換パイプ31が外筒20の背面から前面に向けて貫通するように設置されている。対流ファンから送られる室内空気は、熱交換パイプ31内を通過する際にポットバーナ10で発生した燃焼ガスと熱交換する。
【0018】
後記する整流板部材60の傾斜板部61(
図4参照)に近い側の外筒20の側壁21に、温度検知手段23が設置されている。温度検知手段23は、ここでは、外筒20の前側の側壁21に設置されている。具体的には、温度検知手段23は、空気室22の前側上部に接する部分の側壁21に設けられている。温度検知手段23としては、例えばサーモスタットが使用される。
【0019】
温度検知手段23は、第1温度センサ24と第2温度センサ25とを備えている。第1温度センサ24は、所定の高温度(例えば200℃)を検知し、加熱防止に用いられる。第2温度センサ25は、第1温度センサ24よりも低い所定の温度(例えば100℃)を検知する。例えば、室内空気を取り入れて送るための対流ファンは、第2温度センサ25のオン信号で回転始動し、第2温度センサ25のオフ信号で停止する。
【0020】
燃油供給部40は、ポットバーナ10へ燃油を供給する。
図3に示すように、燃油は、ポットバーナ10の側壁12に設けられた給油管41からポットバーナ10内に供給される。給油管41は、外筒20の側壁21とポットバーナ10の側壁12との間に架設されている。
【0021】
空気供給部50は、燃焼用空気を送出する燃焼用送風機51と、燃焼用送風機51と外筒20の側壁21とを接続する給気管52とを有している。給気管52の外筒20側の端部に形成された給気口53は、ポットバーナ10の中心軸11から水平方向(ここでは前方)にずれた位置に向けて開口している。具体的には、給気口53は、外筒20の左側の側壁21の前側かつ下側の隅部に接続されている。給気管52は、外筒20側の端部に位置する接続管54と、接続管54と燃焼用送風機51とを繋ぐ可撓性を有する例えばゴム製の配管55とを有している。
【0022】
また、暖房装置100は、給気口53から外筒20内に流入する燃焼用空気の流れを整える整流板部材60を備えている。
【0023】
図4は、整流板部材60を示す斜視図である。
図4に示すように、整流板部材60は、傾斜板部61と、邪魔板部62と、係合板部63と、取付板部64とを有している。傾斜板部61、邪魔板部62、係合板部63および取付板部64は一体に形成されている。整流板部材60は、金属製板材を所定形状に打抜き加工した後に曲げ加工することで製作され得る。
【0024】
傾斜板部61は、外筒20内に流入する燃焼用空気の流れ方向を水平方向よりも上向きに変える。すなわち、傾斜板部61は、給気口53の中心軸56に沿う方向において先端側(給気口53から遠ざかる側。ここでは右側)に行くほど高くなるように傾斜している。
【0025】
傾斜板部61を含む平面は、ポットバーナ10に設けられた点火筒14の上方を通過している。つまり、傾斜板部61を先端側に延長した平面の下方に、点火筒14が位置する。また、傾斜板部61の先端側のポットバーナ10に近い側の端縁には、ポットバーナ10との干渉を避けるために面取り部66が形成されている。
【0026】
邪魔板部62は、傾斜板部61のポットバーナ10側に鉛直方向に沿って設けられている。邪魔板部62は、傾斜板部61のポットバーナ10側の端縁65に連設されており、傾斜板部61と邪魔板部62とは垂直に交わっている。邪魔板部62は、給気口53から流入する燃焼用空気のポットバーナ10に向かう流れを抑制する。
【0027】
図5は、
図4のV-V線に沿う断面図である。
図5に示すように、給気管52の接続管54は、拡径されたフランジ部57と、フランジ部57の先端側に位置する接続部58とを有している。一方、外筒20の左側の側壁21には、空気室22内に突出した開口端を形成するバーリング部26が形成されている。接続管54は、バーリング部26の内面に挿入され、例えば溶接にて外筒20に固定されている。給気口53の外周部27は、ここでは、接続管54の接続部58と外筒20のバーリング部26とで構成されている。なお、給気口53の外周部27は、接続部58およびバーリング部26のうちの一方のみで構成されていてもよい。
【0028】
図4に示すように、係合板部63は、鉛直方向に沿って設けられている。係合板部63には、給気口53の外周部27(
図5参照)に係合する切欠き67が形成されている。切欠き67は、外周部27とのより確実な係合を実現できる観点から、円弧形状を呈していることが好ましい。係合板部63は、邪魔板部62の給気口53側の端縁68に連設されており、邪魔板部62と係合板部63とは垂直に交わっている。係合板部63は、外筒20(
図2参照)の内側面に固定するためのねじ孔71を有している。
【0029】
取付板部64は、傾斜板部61のポットバーナ10とは反対側の端縁69に連設されており、傾斜板部61と取付板部64とは垂直に交わっている。取付板部64は、外筒20(
図2参照)の内側面に固定するためのねじ孔72を有している。
【0030】
次に、
図6~
図8を参照して、整流板部材60の外筒20への設置方法について説明する。
まず、
図6に示すように、外筒20を、使用状態とは上下が逆になる状態に設置する。この状態で、整流板部材60が外筒20の内部に向けて上方から移動させられる。続いて、
図8に示すように、係合板部63の切欠き67を給気口53の外周部27(
図5参照)に係合させることで、整流板部材60が位置決めされる。そして、
図6および
図7に示すように、ねじ部材82が外筒20に形成された取付孔(図示せず)を介して取付板部64のねじ孔72(
図4参照)にねじ込まれる。続いて、ねじ部材81が外筒20に形成された取付孔(図示せず)を介して係合板部63のねじ孔71(
図4参照)にねじ込まれる。これにより、整流板部材60の外筒20への設置が完了する。
【0031】
次に、本実施形態に係る暖房装置100の動作について説明する。
図2に示すように、操作・表示ユニット8において運転スイッチをオン操作すると、燃油供給部40、空気供給部50およびヒータが駆動させられ、ポットバーナ10(
図3参照)内において燃油が燃焼させられる。
【0032】
ポットバーナ10で発生した燃焼ガスは、外筒20内を上昇して熱交換器30に流入し、熱交換器30を通過した後、排気ガスとして屋外に排気される。そして、第2温度センサ25のオン信号に基づいて、本体1の背面板6に取り付けられた対流ファン(図示せず)が駆動を開始する。対流ファンにより本体1内に取り込まれた空気は、燃焼ガスにより加熱された外筒20(熱交換パイプ31を含む)や熱交換器30と熱交換して加熱され、温風となって吹き出し口2から吹き出される。
【0033】
前記したように、本実施形態に係る暖房装置100は、ポットバーナ10と、外筒20と、燃油供給部40と、空気供給部50とを備えている。空気供給部50は、燃焼用空気を送出する燃焼用送風機51と、燃焼用送風機51と外筒20の側壁21とを接続する給気管52とを有している。給気管52の外筒20側の端部に形成された給気口53は、ポットバーナ10の中心軸11から水平方向にずれた位置に向けて開口している。
【0034】
このような本実施形態では、燃焼用送風機51から送出される燃焼用空気は、給気管52を介して外筒20の側壁21から外筒20内に供給される。このため、燃焼用空気の供給経路が簡易な構造となり、燃焼用空気の給気抵抗も低減される。これにより、それ程強い送風能力が要求されないため、駆動源として小型で安価なモータを使用できる。
仮に、給気口53がポットバーナ10の側壁12の中心軸11に向けて開口している場合には、燃焼用空気がポットバーナ10の側壁12の中央に当たる。この場合、ポットバーナ10は、燃焼用空気を大量に受けることで冷やされて局所的に温度が過度に低下し、気化不足による油だまりが発生したり、消火時間が長くなったりするおそれがある。また、燃焼用空気がポットバーナ10の側壁12の中央に当たると、燃焼用空気の流れが遮られて給気口53からポットバーナ10の向こう側に回りにくくなる。このため、外筒20内の燃焼用空気の流れが不均一となり、均質な燃焼が行えなくなるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、給気口53がポットバーナ10の中心軸11から水平方向にずれた位置に向けて開口しているため、燃焼用空気がポットバーナ10の側壁12の中央に当たることを回避できる。これにより、ポットバーナ10の温度低下を抑制できるとともに、外筒20内の燃焼用空気の流れが均一化される。
したがって、本実施形態によれば、燃焼用空気のポットバーナ10全周への供給の均一化を図りつつ、燃焼用空気の給気抵抗を低減できる暖房装置100を提供することができる。
【0035】
また、本実施形態は、給気口53から外筒20内に流入する燃焼用空気の流れを整える整流板部材60を備えている。整流板部材60は、傾斜板部61と、邪魔板部62とを有している。傾斜板部61は、外筒20内に流入する燃焼用空気の流れ方向を水平方向よりも上向きに変える。邪魔板部62は、傾斜板部61のポットバーナ10側に鉛直方向に沿って設けられており、給気口53から流入する燃焼用空気のポットバーナ10に向かう流れを抑制する。
【0036】
この構成では、傾斜板部61によって、燃焼用空気を外筒20内の上部に向けて流すことができる。これにより、燃焼用空気は、ポットバーナ10の下部の空気孔13に偏って供給されることなく、燃焼がより進行している箇所であるポットバーナ10の上部の空気孔13にも十分に供給される。このため、ポットバーナ10の上部および下部における燃焼のバランスが良好となる。このようにして、燃焼用空気がポットバーナ10全周に、より均一に供給される。また、邪魔板部62によって燃焼用空気がポットバーナ10に向かうことが抑制される。このため、燃焼用空気がポットバーナ10の側壁12に当たることをより回避できるとともに、燃焼用空気を傾斜板部61の方へ誘導できる。
【0037】
また、本実施形態では、傾斜板部61を含む平面は、ポットバーナ10に設けられ点火用のヒータが挿入される点火筒14の上方を通過する。
【0038】
この構成では、傾斜板部61に沿って送られる燃焼用空気が点火筒14に当たって遮られることが抑制される。これにより、燃焼用空気がポットバーナ10全周に、より均一に供給される。
【0039】
また、本実施形態では、傾斜板部61に近い側の外筒20の側壁21に、温度検知手段23が設置されている。
【0040】
この構成では、温度検知手段23は、整流板部材60によって燃焼用空気の流れが均一化された外筒20内の送風経路上に設置されることになる。このため、温度検知手段23によって安定した温度を検知でき、検知された温度を用いて暖房装置100の運転制御を正確に行うことができる。
【0041】
また、本実施形態では、整流板部材60は、給気口53の外周部27に係合する切欠き67が形成された鉛直方向に沿う係合板部63をさらに有している。そして、傾斜板部61、邪魔板部62および係合板部63は、一体に形成されている。
【0042】
この構成では、整流板部材60の設置時に、係合板部63の切欠き67を給気口53の外周部27に係合させることで、整流板部材60を容易かつ確実に位置決めできる。したがって、整流板部材60の設置の作業性が向上する。
【0043】
また、本実施形態では、整流板部材60は、傾斜板部61のポットバーナ10とは反対側に一体に形成された取付板部64をさらに有している。そして、係合板部63および取付板部64は、外筒20の内側面に固定するためのねじ孔71,72をそれぞれ有している。
【0044】
この構成では、取付板部64を外筒20に固定する際に、整流板部材60に対してねじ部材82の回転方向に作用する回転力によって、係合板部63の切欠き67が給気口53の外周部27に突き当たるように構成できる。ここでは、ねじ部材82として右ねじを使用することで、切欠き67が給気口53の外周部27に当たって止まる方向に、整流板部材60に回転力がかかるようになっている。この場合、係合板部63の切欠き67が整流板部材60の回り止めとして機能して整流板部材60が位置決めされるため、取付板部64の固定作業が容易となる。また、取付板部64の固定によって係合板部63の切欠き67が給気口53の外周部27に確実に係合する。これにより、係合板部63のねじ孔71と外筒20に形成された取付孔との位置が合致し、係合板部63の固定作業が容易となる。したがって、整流板部材60の設置の作業性がより向上する。そして、取付板部64および係合板部63を外筒20に固定することで、整流板部材60が強固に安定して外筒20に設置される。
【0045】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではない。本発明は、前記実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。また、前記実施形態の構成の一部について、追加、削除、置換をすることができる。
【0046】
整流板部材60は、一体に形成されたものに限定されるものではなく、例えば、傾斜板部61と邪魔板部62とが別体で用意されて、個々に外筒20に設置されてもよい。
また、係合板部63の切欠き67は、円弧形状に限定されるものではなく、例えば三角形、台形、矩形等の多角形状であってもよい。
また、整流板部材60の外筒20への固定手段は、ねじ締結に限定されるものではなく、例えば溶接等の他の固定手段が使用されてもよい。
また、給気口53は、外筒20の左側の側壁21の前側かつ下側の隅部に接続されているものに限定されるものではなく、例えば左側面視してポットバーナ10の中心軸11上に接続されていても、給気口53の向きがポットバーナ10の中心軸11から水平方向にずれた位置に向いている、例えば、給気口53の向きが外筒20の左側の側壁21の前側かつ下側の隅部付近に向いていればよい。
【符号の説明】
【0047】
10 ポットバーナ
11 中心軸
12 側壁
13 空気孔
14 点火筒
20 外筒
21 側壁
22 空気室
23 温度検知手段
27 外周部
40 燃油供給部
50 空気供給部
51 燃焼用送風機
52 給気管
53 給気口
60 整流板部材
61 傾斜板部
62 邪魔板部
63 係合板部
64 取付板部
67 切欠き
71 ねじ孔
72 ねじ孔
100 暖房装置