IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧

<>
  • 特許-収穫機及び収容器の認識システム 図1
  • 特許-収穫機及び収容器の認識システム 図2
  • 特許-収穫機及び収容器の認識システム 図3
  • 特許-収穫機及び収容器の認識システム 図4
  • 特許-収穫機及び収容器の認識システム 図5A
  • 特許-収穫機及び収容器の認識システム 図5B
  • 特許-収穫機及び収容器の認識システム 図5C
  • 特許-収穫機及び収容器の認識システム 図6A
  • 特許-収穫機及び収容器の認識システム 図6B
  • 特許-収穫機及び収容器の認識システム 図7
  • 特許-収穫機及び収容器の認識システム 図8A
  • 特許-収穫機及び収容器の認識システム 図8B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】収穫機及び収容器の認識システム
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/127 20060101AFI20230306BHJP
   A01F 12/46 20060101ALI20230306BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230306BHJP
   G06Q 50/02 20120101ALI20230306BHJP
【FI】
A01D41/127
A01F12/46
G06K7/10 244
G06Q50/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019149392
(22)【出願日】2019-08-16
(65)【公開番号】P2021029116
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】団栗 彰男
(72)【発明者】
【氏名】中西 正洋
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-102160(JP,A)
【文献】特開2006-252254(JP,A)
【文献】特開2019-118296(JP,A)
【文献】特開2006-061104(JP,A)
【文献】特開2019-094727(JP,A)
【文献】特開2018-106302(JP,A)
【文献】特開2019-121115(JP,A)
【文献】特開2012-084064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/127
A01F 12/46
G06K 7/10
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体に設けられ且つ収穫物を収穫する収穫部と
前記収穫部で収穫物を収容器に排出可能な排出部と、
前記収容器に設けられた電子タグの情報を受信可能な読取装置と、
を備え、
前記排出部は、前記機体に格納する格納姿勢と、前記格納姿勢とは異なる姿勢であって前記収容器の上方に位置する排出姿勢と、に姿勢変更可能であり、
前記読取装置は、前記排出部に設けられると共に、前記排出部が収穫物を排出する排出期間及び前記排出部が前記格納姿勢から排出姿勢への姿勢変更を行う姿勢変更期間に、前記電子タグの情報を受信し、
前記姿勢変更期間では、前記電子タグが設けられた収容器に対して、前記読取装置が設けられた排出部が接近する
収穫機。
【請求項2】
前記姿勢変更期間では、前記排出部は、前記機体の後部に位置する旋回軸芯を中心に旋回しつつ前記収容器に対して接近する
請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記格納姿勢では、前記旋回軸芯から見て前記排出部の先端が前方に位置しており、
前記排出姿勢では、前記旋回軸芯から見て排出部の先端が幅方向の外方に位置しており、
前記排出部が前記排出姿勢になった場合に、前記排出部は前記収穫物を前記収容器に排出する
請求項2に記載の収穫機。
【請求項4】
記排出部から収穫物の排出の開始及び終了のいずれかを指令する操作スイッチを備え、
前記読取装置は、前記操作スイッチによって前記排出の開始の指令が行われた場合に、
前記電子タグの情報の受信を開始する請求項1に記載の収穫機。
【請求項5】
前記読取装置は、前記操作スイッチによって前記排出の終了の指令が行われた場合に、前記電子タグの情報の受信を終了する請求項に記載の収穫機。
【請求項6】
前記読取装置は、前記排出部が前記排出姿勢から前記格納姿勢に変更する場合に、前記電子タグの情報の受信を終了する請求項に記載の収穫機。
【請求項7】
収穫機で収穫した収穫物を前記収穫機の排出部を介して収容器に排出する際に、前記収容器に設けた電子タグによって前記収容器を認識する収容器の認識システムであって、
前記排出部は、前記機体に格納する格納姿勢と、前記格納姿勢とは異なる姿勢であって前記収容器の上方に位置する排出姿勢とに姿勢変更可能であり、
前記収容器に設けられた電子タグの情報を受信可能で且つ、少なくとも前記排出部が排出する排出期間及び前記排出部が前記格納姿勢から排出姿勢への姿勢変更を行う姿勢変更期間に前記電子タグの情報を受信する読取装置を備えており、
前記姿勢変更期間では、前記電子タグが設けられた収容器に対して、前記読取装置が設けられた排出部が接近する
収容器の認識システム。
【請求項8】
前記姿勢変更期間では、前記排出部は、前記機体の後部に位置する旋回軸芯を中心に旋回しつつ前記収容器に対して接近する
請求項7に記載の収容器の認識システム。
【請求項9】
前記格納姿勢では、前記旋回軸芯から見て前記排出部の先端が前方に位置しており、
前記排出姿勢では、前記旋回軸芯から見て排出部の先端が幅方向の外方に位置しており、
前記排出部が前記排出姿勢になった場合に、前記排出部は、前記旋回軸芯の幅方向外方に位置する前記収容器に前記収穫物を排出する
請求項8に記載の収容器の認識システム。
【請求項10】
前記排出部から収穫物の排出の開始及び終了のいずれかを指令する操作スイッチと、
前記操作スイッチによって前記排出の開始の指令が行われた場合に、前記電子タグの情報の受信を開始する読取装置と、
を備えている請求項に記載の収容器の認識システム。
【請求項11】
前記読取装置は、前記操作スイッチによって前記排出の終了の指令が行われた場合に、前記電子タグの情報の受信を終了する請求項10に記載の収容器の認識システム。
【請求項12】
前記読取装置は、前記排出部が前記排出姿勢から前記格納姿勢に変更する場合に、前記電子タグの情報の受信を終了する請求項11に記載の収容器の認識システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、収穫物を収容器に排出する収穫機及び収穫機の認識システムに関する。
【背景技術】
【0002】
稲や麦などの穀物を収容する収容器を認識するシステムとして特許文献1が知られている。特許文献1のシステムでは、収穫物を収容する第1収容器に設けられ、且つ第1収容器に関する情報を送信する第1RFIDタグと、収穫物を収容する第2収容器に設けられ、且つ第2収容器に関する情報を送信する複数の第2RFIDタグと、収穫物を第1収容器及び第2収容器のいずれかに排出する収穫物排出装置に設けられ、第1RFIDタグの情報及び第2RFIDタグの情報を受信可能なRFIDリーダと、RFIDリーダが受信した情報に基づいて、収穫物排出装置から排出された収穫物の排出先を推定する演算装置と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-102160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した認識管理システムでは、演算装置によって収穫物の排出先を認識することができる。しかしながら、安定的に排出先を求めるためには、が第1RFIDタグ及び第2RFIDタグの情報をRFIDリーダが常に受信しなければならず、無駄な電力消費などをしてしまうばかりでなく、周りの環境に電波を発信しなければならないということがあった。
【0005】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、収穫物の排出先(収容先)を簡単に把握でき、且つ、電波の受信等を最小限に留めることができる収穫機及び収容器の認識システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
収穫機は、機体と、前記機体に設けられ且つ収穫物を収穫する収穫部と、前記収穫部で収穫物を収容器に排出可能な排出部と、前記収容器に設けられた電子タグの情報を受信可
能な読取装置と、を備え、前記排出部は、前記機体に格納する格納姿勢と、前記格納姿勢とは異なる姿勢であって前記収容器の上方に位置する排出姿勢と、に姿勢変更可能であり、
前記読取装置は、前記排出部に設けられると共に、前記排出部が収穫物を排出する排出期間及び前記排出部が前記格納姿勢から排出姿勢への姿勢変更を行う姿勢変更期間に、前記電子タグの情報を受信し、前記姿勢変更期間では、前記電子タグが設けられた収容器に対して、前記読取装置が設けられた排出部が接近する
【0007】
収穫機は、前記姿勢変更期間では、前記排出部は、前記機体の後部に位置する旋回軸芯を中心に旋回しつつ前記収容器に対して接近する
収穫機は、前記格納姿勢では、前記旋回軸芯から見て前記排出部の先端が前方に位置しており、前記排出姿勢では、前記旋回軸芯から見て排出部の先端が幅方向の外方に位置しており、前記排出部が前記排出姿勢になった場合に、前記排出部は前記収穫物を前記収容器に排出する。
収穫機は、前記排出部から収穫物の排出の開始及び終了のいずれかを指令する操作スイッチを備え、前記読取装置は、前記操作スイッチによって前記排出の開始の指令が行われた場合に、前記電子タグの情報の受信を開始する。
【0008】
前記読取装置は、前記操作スイッチによって前記排出の終了の指令が行われた場合に、前記電子タグの情報の受信を終了する
【0009】
前記読取装置は、前記排出部が前記排出姿勢から前記格納姿勢に変更する場合に、前記電子タグの情報の受信を終了する。
収容器の認識システムは、収穫機で収穫した収穫物を前記収穫機の排出部を介して収容器に排出する際に、前記収容器に設けた電子タグによって前記収容器を認識する収容器の認識システムであって、前記排出部は、前記機体に格納する格納姿勢と、前記格納姿勢とは異なる姿勢であって前記収容器の上方に位置する排出姿勢とに姿勢変更可能であり、前記収容器に設けられた電子タグの情報を受信可能で且つ、少なくとも前記排出部が排出する排出期間及び前記排出部が前記格納姿勢から排出姿勢への姿勢変更を行う姿勢変更期間に前記電子タグの情報を受信する読取装置を備えており、前記姿勢変更期間では、前記電子タグが設けられた収容器に対して、前記読取装置が設けられた排出部が接近する
【0010】
収容器の認識システムは、前記姿勢変更期間では、前記排出部は、前記機体の後部に位置する旋回軸芯を中心に旋回しつつ前記収容器に対して接近する。
収容器の認識システムは、前記格納姿勢では、前記旋回軸芯から見て前記排出部の先端が前方に位置しており、前記排出姿勢では、前記旋回軸芯から見て排出部の先端が幅方向の外方に位置しており、前記排出部が前記排出姿勢になった場合に、前記排出部は、前記旋回軸芯の幅方向外方に位置する前記収容器に前記収穫物を排出する。
収容器の認識システムは、前記排出部から収穫物の排出の開始及び終了のいずれかを指令する操作スイッチと、前記操作スイッチによって前記排出の開始の指令が行われた場合に、前記電子タグの情報の受信を開始する読取装置と、を備えている。
収容器の認識システムは、前記読取装置は、前記操作スイッチによって前記排出の終了の指令が行われた場合に、前記電子タグの情報の受信を終了する。
収容器の認識システムは、前記読取装置は、前記排出部が前記排出姿勢から前記格納姿勢に変更する場合に、前記電子タグの情報の受信を終了する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、収穫物の排出先(収容先)を簡単に把握でき、且つ、電波の受信等を最小限に留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】収容器の認識システムを示す図である。
図2】コンバインと収容器との関係を示す図である。
図3】RFIDタグをコンテナに取付けた図で、左側はコンテナの平面図、右側はコンテナの断面図を示している。
図4】コンバインの平面図である。
図5A】排出作業におけるアンローダの姿勢変更、穀物の排出、読取装置の受信との動作関係を示した図である。
図5B図5Aとは異なる動作関係を示した図である。
図5C図5A及び図5Bとは異なる動作関係を示した図である。
図6A】第1収容器及び第2収容器に電子タグを取付けた平面図である。
図6B】電子タグの取付状態を簡略化して示した平面図である。
図7】記憶部に記憶された情報の一例を示す図である。
図8A】タグと電波強度との関係を示す図である。
図8B】タグと受信の有無との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、収容器の認識システムの概略図を示している。
収容器の認識システムは、収穫機40で収穫した収穫物を収容する収容器11を認識するシステムである。収穫物は、野菜類、穀物類、いも類、種類等の農作物である。収穫機40は収穫物を収穫する機械であれば何でもよい。
【0014】
以下、説明の便宜上、収穫物は、稲、麦などの穀物類であるとして説明を進める。当然の如く、収穫物(農作物)は限定されない。
収容器の認識システムは、容器11、即ち、収容器11に設けられた電子タグ10を備えている。収容器の認識システムは、電子タグ10の情報を受信可能な読取装置20を備えている。
【0015】
まず、収容器11について説明する。
収容器11は、フレキシブルコンテナバッグ(以降、フレコンという)、コンテナ等である。フレキシブルコンテナバッグは、変形自在な材料であって化学繊維等で構成されている。また、コンテナは、金属等で構成されている。この実施形態では、収容器11はコンテナである。図3に示すように、収容器11は、穀物等の収穫物を収容する収容部12を有している。収容部12は、底部13と、周部14とを有している。底部13は、例えば、平面視で矩形状の板材で構成されている。周部14は、底部13を取り囲んでいて、当該底部13の縁部から起立している。周部14で囲まれた部分が、収穫物を挿入する開口部15である。
【0016】
周部14は、縦壁14aと、横壁14bとを含んでいる。縦壁14aは、底部13の4つの縁部のうち、互いに対向する2つの縁部又は当該縁部近傍から起立する板材である。横壁14bは、縦壁14aが設けられていない残りの2つの縁部又は当該縁部近傍から起立し且つ縦壁14aに交差する板材である。説明の便宜上、縦壁14aにおいて、底部13の左の縁部又は縁部近傍から立ち上がる縦壁14aのことを第1縦壁14a1といい、底部13の右の縁部又は縁部近傍から立ち上がる縦壁14aのことを第2縦壁14a2という。また、横壁14bにおいて、底部13の奥の縁部又は縁部近傍から立ち上がる横壁14bのことを第1横壁14b1といい、底部13の手前の縁部又は縁部近傍から立ち上がる横壁14bのことを第2横壁14b2という。
【0017】
第1縦壁14a1は、第1横壁14b1の左部と第2横壁14b2の左部とを連結している。第1縦壁14a1は、第1横壁14b1及び第2横壁14b2に直交している。第2縦壁14a2は、第1横壁14b1の右部と第2横壁14b2の右部とを連結している。第2縦壁14a2は、第1横壁14b1及び第2横壁14b2に直交している。開口部15は、第1縦壁14a1、第2縦壁14a2、第1横壁14b1、第2横壁14b2により構成されている。したがって、開口部15に穀物を挿入することによって、穀物を収容することができる。
【0018】
電子タグ10は、収容器11、即ち、収容部12に関する情報(容器情報)を送信するタグである。電子タグ10は、例えば、RFIDタグ(Radio Frequency Identification)である。容器情報は、少なくとも収容器11(収容部12)を識別するための識別情報(収容器11を識別するための情報)である。識別情報は、収容器11毎に個別に割り当てられた番号等である。識別情報は、収容器11を識別できるものであれば何でもよく、上述した例に限定されない。なお、容器情報は、収容器11の大きさ(縦、横、容量)の容量情報であったり、電子タグ10の取付情報であってもよい。取付情報とは、収容器11の1個に対して、電子タグ10の取付位置や取付個数を示す情報である。
【0019】
電子タグ10は、例えば、読取装置20からの情報(信号)を電力に変換するパッシブ型タグである。言い換えれば、電子タグ10は、蓄電池を有さないパッシブ型タグである。電子タグ10は、容器情報を記憶する記憶部101と、出力部(以下、送信部という)102とを有している。記憶部101及び送信部102は筐体に格納されている。記憶部101は、例えば、不揮発性のメモリ等で構成され、容器情報として識別情報を記憶している。記憶部101は、容器情報として収容器11の大きさ(縦、横、容量)等を記憶していてもよい。送信部102は、読取装置20からの情報(信号)を受信すると、記憶部101に記憶されている容器情報を外部、即ち、読取装置20に向けて送信する。なお、電子タグ10を有するアクティブ型タグであってもよい。
【0020】
電子タグ10、即ち、記憶部101及び送信部102を格納する筐体は、収容器11に設けられている。図3に示すように、1個の収容器11に対して複数の電子タグ10が設けられている。この実施形態では、1個の収容器11に1個の電子タグ10ではなく、複数の電子タグ10が設けられている。複数の電子タグ10は、周部14に設けられている。詳しくは、複数の電子タグ10は、縦壁14aに設けられた1以上の電子タグ10(縦タグ10aという)と、横壁14bに設けられた1以上の電子タグ10(横タグ10bという)とを含んでいる。
【0021】
この実施形態では、縦タグ10aは、第1縦壁14a1に設けられた第1縦タグ10a1と、第2縦壁14a2に設けられた第2縦タグ10a2とを含んでいる。横タグ10bは、第1横壁14b1に設けられた第1横タグ10b1と、第2横壁14b2に設けられた第2横タグ10b2とを含んでいる。即ち、第1縦壁14a1、第2縦壁14a2、第1横壁14b1、第2横壁14b2のそれぞれに、1個の電子タグ10(第1縦タグ10a1、第2縦タグ10a2、第1横タグ10b1、第2横タグ10b2)が取り付けられている。
即ち、複数の電子タグ10(第1縦タグ10a1、第2縦タグ10a2、第1横タグ10b1、第2横タグ10b2)がそれぞれ、収容器11の開口部15の近傍の部位、即ち、収容器11の周部14(第1縦壁14a1、第2縦壁14a2、第1横壁14b1、第2横壁14b2)の上部に設けられている。
【0022】
第1縦タグ10a1と、第2縦タグ10a2とは、第1横壁14b1の中央部と第2横壁14b2の中央部を結ぶ中央線L1に対して対称に配置されている。第1横タグ10b1と、第2横タグ10b2とは、第1縦壁14a1の中央部と第2縦壁14a2の中央部を結ぶ中央線L2に対して対称に配置されている。
読取装置20は、例えば、電子タグ10等の外部に電波(信号)を出力して、当該電子タグ10から送信された様々な情報(識別情報、容量情報、取付情報等)を受信可能な受信部20aと、受信した情報(信号)を処理する処理部20bと、スイッチ20cとを備えている。受信部20aは、信号(情報)を受信するアンテナで構成されている。処理部20bは、電気・電子回路等で構成されていて、受信部20aが受信した信号を増幅したり、受信部20aが受信した信号(情報)の処理を行う。スイッチ20cは、ON/OFFに切り換え可能なスイッチであって、ONである場合に処理部20bに電力が供給されて処理部20bが作動し、OFFである場合に処理部20bへの電力の供給が停止されて処理部20bの作動が止まる。受信部20a、処理部20b及びスイッチ20cは、筐体21に格納されている。
【0023】
さて、図1、2、4に示すように、電子タグ10から送信された容器情報を受信する読取装置20は、収穫物を収穫する収穫機40に設けられている。例えば、収穫機40は、穀物を収穫することができ、且つ、収穫した穀物を排出することができるコンバインである。コンバインを例にとり、収穫機40について説明する。
図1、2に示すように、コンバイン40は、機体41と、走行装置42と、運転席43と、原動機44と、タンク(グレンタンク)45と、刈取装置(収穫部)46と、測定装置47と、制御装置48と、脱穀装置(図示省略)と、排出部(アンローダ)49とを有している。また、コンバイン40は、通信装置16を有している。走行装置42は機体の下部に設けられている。運転席43、原動機44、脱穀装置及びグレンタンク45は機体41に設けられている。刈取装置46は、機体41の前部に設けられている。刈取装置46は、穀物を刈り取る装置である。脱穀装置は、刈り取った穀物を脱穀する装置である。グレンタンク45は、脱穀された穀物を貯留するタンクである。走行装置42は、クローラ装置から構成されていて、運転席43の近傍に配置した操作部材を操作することによって、前進、後進、旋回(ターン)等を行うことができる。走行装置42は、クローラ装置で構成しているがこれに限定されず、前輪、後進等を有する装置であってもよい。制御装置48は、原動機44を制御したり、脱穀装置を制御したり、刈取装置46を制御する装置である。
【0024】
測定装置47は、穀物の特性を測定可能な装置であって、穀物の水分量、タンパク量などを測定する装置である。具体的には、測定装置47は、穀物に含まれる水分量を測定する水分測定部47aと、穀物のタンパク量を測定する食味測定部47bとを有している。水分測定部47a及び食味測定部47bは、グレンタンク45の内部、又は、グレンタンク45の周囲に設けられている。
【0025】
食味測定部47bは、グレンタンク45に入る穀物に対して近赤外線(近赤外線光)を照射して、透過光の分光分析に基づいて吸収スペクトルを解析し、その解析結果により、穀物に含まれるタンパク質等の成分量(タンパク質含有率)、即ち、タンパク量を求める。水分測定部47aは、穀物の誘電率を用いて当該穀物の水分量を測定したり、或いは、穀物の電気抵抗を用いて当該穀物の水分量(水分含有率)を測定したり、穀物に赤外線或いはマイクロ波等を照射することで水分量を測定するセンサ等である。水分測定部47aは、水分を検出するものであればどのような装置であってもよい。
【0026】
なお、測定装置47は、穀物の収穫量を測定する収穫量測定部47cを含んでいてもよい。収穫量測定部47cは、グレンタンク45の下部に設けられている。収穫量測定部47cは、グレンタンク45の重量を測定して当該グレンタンク45の重量を収穫量に換算するロードセル等で構成されている。以下、説明の便宜上、穀物の水分量及びタンパク量とのことを「穀物特性情報」といい、当該穀物特性情報及び穀物の収穫量のことを「収穫情報」という。
【0027】
排出部(アンローダ)49は、グレンタンク45に貯留された穀物(穀粒)を外部に排出する装置であって、縦送り部51と、横送り部52とを有している。縦送り部51は、グレンタンク45の後方に位置している。縦送り部51の内部には、グレンタンク45から送り出された穀物を上方に送る搬送スクリュ等の搬送機構53が設けられている。横送り部52は、縦送り部51の上部に連結されている。横送り部52は、穀物が通過し且つ横方向に延びる円筒状の横筒体52aと、横筒体52aの内部に設けられ且つ縦送り部51から送り出された穀物を横筒体52aの先端部54に送る搬送スクリュ等の搬送機構52bと、横筒体52aの先端部54に取付けられ上下方向(鉛直方向)に延びる縦筒体52cとを有している。横送り部52の先端部、即ち、縦筒体52cは、穀物を排出する部分であって、下部に形成された開口部から穀物が排出することができる。横送り部52には、ブラケット等の支持具55が設けられ、支持具55に読取装置20が取り付けられている。
【0028】
図4に示すように、アンローダ49、即ち、縦送り部51及び横送り部52は、旋回モータの駆動させることによって、機体41の後部の旋回軸芯O1を中心として旋回(回動)をすることが可能である。詳しくは、排出部49は、横筒体52aの先端部54が機体41の幅内(機体41の左端と機体41の右端との間A11)に位置する格納姿勢J10と、横筒体52aの先端部54が機体41の幅外(機体41の外方A12)に位置する排出姿勢J11とに亘って回動可能に機体41に支持されている。言い換えれば、排出部49が格納姿勢J10にあるとき、横筒体52aの先端部54(排出部49の先端部)は、刈取装置46の上方に位置し、排出部49が排出姿勢J11にあるとき、横筒体52aの先端部54(排出部49の先端部)は、刈取装置46の外側であって機体41の側方又は後方に位置する。
【0029】
通信装置16は、近距離、又は、長距離の通信を行う装置で構成されている。例えば、通信装置16は、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、Bluetooth(登録商標)等により無線通信を行う通信モジュール、携帯電話通信網により無線通信を行う通信モジュール、データ通信網により無線通信を行う通信モジュールのいずれかである。
【0030】
通信装置16には、読取装置20が接続されている。また、通信装置16には、測定装置47(食味測定部47b、水分測定部47a及び収穫量測定部47c)に接続されている。通信装置16は、読取装置20が受信した容器情報、受信強度、穀物特性情報、収穫情報等を外部に送信することができる。
コンバイン40は、操作スイッチ57と、姿勢操作部材58と、姿勢検出装置59とを備えている。操作スイッチ57は、タンク(グレンタンク)45の穀物をアンローダ49から収容器11(外部)に排出する排出動作の開始を指令可能なスイッチ(もみ排出スイッチ)である。操作スイッチ57は、ON/OFFに切り換え可能なスイッチであって、ONにすると排出動作の開始(排出開始)が指令され、OFFにすると排出動作の停止(排出停止)が指令される。制御装置48は、排出開始の指令を取得すると、搬送機構52b、53を駆動させる。また、制御装置48は、排出終了の指令を取得すると、搬送機構52b、53の駆動を停止する。
【0031】
図1に示すように、姿勢操作部材58は、アンローダ49の姿勢を変更する部材であって、ロータリスイッチ等で構成されている。予め定められた中立位置N1から一方向(左方向)に操作すると、アンローダ49の左旋回を指令し、他方向(右方向)に操作すると、アンローダ49の右旋回を指令する。制御装置48は、左旋回の指令を取得すると、旋回モータを駆動させてアンローダ49を、旋回軸芯O1を中心として左旋回させる。制御装置48は、右旋回の指令を取得すると、旋回モータを駆動させてアンローダ49を、旋回軸芯O1を中心として右旋回させる。操作スイッチ57及び姿勢操作部材58は、運転席43に設けていてもよいし、遠隔操作によって排出開始、排出終了、左旋回、右旋回を指令することができるリモコン60に設けてもよい。
【0032】
姿勢検出装置59は、姿勢操作部材58において中立位置A1から一方側又は他方側の操作量を検出するセンサ、或いは、アンローダ49の回動位置を検出するセンサである。姿勢検出装置59によって、アンローダ49が格納姿勢J10であるか否かを検出したり、アンローダ49が格納姿勢J10から排出姿勢J11に向けて姿勢しているかなどを検出することができる。
【0033】
さて、グレンタンク45の穀物を収容器11に排出する排出作業では、圃場のコンバイン40を、収容器11を搭載した運搬車22の近くに移動させる。或いは、運搬車22をコンバイン40の近くに移動させる。その後、図4に示すように、姿勢操作部材58を操作して、アンローダ49の横送り部52を上、下、左、右に移動させて、横筒体52aの先端部54(排出部49の先端部)を、穀物を排出する排出先の収容器11の上方に位置させる。即ち、排出作業においては、アンローダ49を格納姿勢J10から排出姿勢J11に姿勢の変更をする。アンローダ49を排出姿勢J11にした後は、操作スイッチ57を操作することによって、穀物の排出を開始し、収容器11の穀物が所定量、或いは、グレンタンク45内の穀物が無くなると、操作スイッチ57を操作することによって、穀物の排出を終了する。
【0034】
図5Aは、排出作業におけるアンローダの姿勢変更、穀物の排出、読取装置20動作との関係を示した図である。図5Aを用いて、読取装置20の動作について詳しく説明する。
図5Aに示すように、時点P1よりも前の時点では、アンローダ49は格納姿勢J10である(姿勢変更:OFF)。即ち、姿勢操作部材58を操作する時点P1よりも前の前期間T1(アンローダ49が格納姿勢J10の状態)では、読取装置20における電子タグ10の読取動作は停止している(読取装置:OFF)。つまり、前期間T1では、読取装置20のスイッチ20cはOFFであって、処理部20bは停止していて、受信部20aは電子タグ10の情報(識別情報、容量情報、取付情報等)を受信しない。
【0035】
姿勢操作部材58を時点P1で操作すると、制御装置48は、旋回モータを作動させる。時点P1以降は、アンローダ49は、格納姿勢J10から排出姿勢J11への姿勢変更が開始される(姿勢変更:OFF→ON)。時点P1において、読取装置20は、電子タグ10の情報の受信を開始する(読取装置:OFF→ON)。例えば、姿勢操作部材58が中立位置N1から左方向及び右方向のいずれかに操作されたP1時点で、制御装置48は、読取装置20のスイッチ20cをOFFからONに切り換えることで、電子タグ10の情報の受信を開始する。つまり、読取装置20は、アンローダ49が格納姿勢J10から排出姿勢J11への姿勢変更を開始した場合に、電子タグ10の情報の受信を開始する。
【0036】
次に、アンローダ49が格納姿勢J10から排出姿勢J11に至るまでの姿勢変更期間T2において、スイッチ20cはONに維持される。また、時点P2において、アンローダ49が排出姿勢J11となり、当該排出姿勢J11において、操作スイッチ57により排出開始が指令されると、穀物は収容器11に排出される(排出:OFF→ON)。時点P2以降において、アンローダ49が穀物を排出する排出期間T3でも、スイッチ20cはONに維持されていて、読取装置20は電子タグ10の情報(識別情報、容量情報、取付情報等)を受信する。時点P3において、操作スイッチ57により排出終了が指令されると、穀物の収容器11への排出は停止する。時点P3以降において、アンローダ49が穀物を排出しない停止時間T4では、制御装置48は、スイッチ20cをONからOFFに切り換え、読取装置20は、電子タグ10の情報の受信を終了する。
【0037】
以上のように、少なくともアンローダ49が格納姿勢J10から排出姿勢J11への姿勢変更を開始した場合に、読取装置20は、電子タグ10の情報の受信を開始しているため、電子タグ10と読取装置20との間の通信を、排出作業の意思があった場合に行うことができ、無駄に電波を発生させることを抑制することができる。また、読取装置20は、排出終了が指令されると、電子タグ10の情報の受信を終了しているため、電子タグ10と読取装置20との間の通信を、排出作業の終了後に行うことを抑制することができる。
【0038】
図5Bは、図5Aの動作の変形例を示している。
図5Bに示すように、アンローダ49が格納姿勢J10から排出姿勢J11への姿勢変更を開始する時点P1において、スイッチ20cはOFFに維持されていて、当該読取装置20は、電子タグ10の情報の受信を停止している(読取装置:OFF)。時点P2に示すように、操作スイッチ57により排出開始が指令されると、制御装置48は、スイッチ20cをOFFからONに切り換え、読取装置20は、電子タグ10の情報の受信を開始する(読取装置OFF→ON)。図5Bにおいては、少なくともアンローダ49から穀物の排出を開始した排出期間T3に、電子タグ10の情報の受信を開始しているため、穀物の排出を実際に行ったときに、電子タグ10と読取装置20との間の通信を行っているため、図5Aに比べてより、無駄に電波を発生させることを抑制することができる。
【0039】
図5Cは、図5Bの動作の変形例を示している。
図5Cに示すように、時点P2において、操作スイッチ57により排出開始が指令されると、読取装置20は、電子タグ10の情報の受信を開始する(読取装置OFF→ON)。排出期間T3において、所定期間T5が経過すると、制御装置48は、スイッチ20cをOFFからONに切り換え、読取装置20は、電子タグ10の情報の受信を終了する(読取装置ON→OFF)。所定期間T5は、アンローダ49の先端部が、どの収容器11の上方に位置しているかをする情報を収集する期間であり、例えば、読取装置20が複数の電子タグ10の情報(識別情報、容量情報、取付情報等)を受信すれば、読取装置20は、電子タグ10の情報の受信を終了する。図5Cにおいては、少なくともアンローダ49から穀物の排出を開始した排出期間T3に、電子タグ10の情報の受信を開始し、情報の受信を終了しているため、図5A及び図5Bに比べてより、無駄に電波を発生させることを抑制することができる。
【0040】
読取装置20によって読み取られた電子タグ10の情報は、制御装置48又は通信装置16に出力され、穀物の排出先の推定に用いられる。
図1に示すように、少なくとも制御装置48及び支援装置100のいずれかは、推定部61と、記憶部62とを備えている。推定部61は、制御装置48又は支援装置100に設けられた電気電子回路、プログラム等で構成され、穀物の排出先を推定する。記憶部62は、不揮発性のメモリ等で構成されている。
【0041】
支援装置100は、サーバ、携帯端末(スマートフォン、タブレット、PDA、ノートパソコンなど)である。
以下、推定部61における収穫物(穀物)の排出先の特定について詳しく説明する。図6Aは、トラック等の運搬車22に、上述した2つの収容器11を並べた状態を示している。説明の便宜上、2つの収容器11のうち、一方の収容器11Aを第1収容器11A、他方の収容器11Bを第2収容器11Bといい説明を続ける。第1収容器11Aに設けた電子タグ10のことを第1電子タグ10Aといい、第2収容器11Bに設けた電子タグ10のことを第2電子タグ10Bという。
【0042】
第1収容器11Aと、第2収容器11Bとは隣接している。即ち、第1収容器11Aの第2縦壁14a2と、第2収容器11Bの第1縦壁14a1とが隣接して並ぶように、第1収容器11Aと第2収容器11Bとは運搬車22上に並べられている。第1収容器11Aには、複数の第1電子タグ10Aが取り付けられている。第1収容器11Aに対する複数の第1電子タグ10Aの取付け位置及び個数は、図3と同様である。即ち、複数の第1電子タグ10Aは、第1縦タグ10a1、第2縦タグ10a2、第1横タグ10b1、第2横タグ10b2を含んでいる。また、第2収容器11Bにも、複数の第2電子タグ10Bが取り付けられている。第2収容器11Bに対する複数の第2電子タグ10Bの取付け位置及び個数は、図3と同様である。複数の第2電子タグ10Bは、第1縦タグ10a1、第2縦タグ10a2、第1横タグ10b1、第2横タグ10b2を含んでいる。
【0043】
以降、説明の便宜上、第1収容器11Aに設けた複数の第1電子タグ10Aにおいて、第1縦タグ10a1を「タグA」、第2縦タグ10a2を「タグB」、第1横タグ10b1を「タグC」、第2横タグ10b2のことを「タグD」という。第2収容器11Bに設けた複数の第2電子タグ10Bにおいて、第1縦タグ10a1を「タグE」、第2縦タグ10a2を「タグF」、第1横タグ10b1を「タグG」、第2横タグ10b2のことを「タグH」という。なお、図6Bは、タグの取付状態を簡略化して示した図である。
【0044】
図7に示すように、記憶部62には、第1収容器11Aに取付けられた複数の第1電子タグ10A(タグA、タグB、タグC、タグD)のIDが記憶されている。また、記憶部62には、第2収容器11Bに取付けられた複数の第2電子タグ10B(タグE、タグF、タグG、タグH)のIDが記憶されている。タグA、タグB、タグC、タグDのIDは、第1収容器11Aの識別情報である。また、タグE、タグF、タグG、タグHのIDは、第2収容器11Bの識別情報である。タグA~タグDのIDのそれぞれは、予め第1収容器11Aに対応して割り当てられていて、1個のIDであっても、第1収容器11Aを識別することが可能である。タグE~タグHのIDのそれぞれは、予め第2収容器11Bに対応して割り当てられていて、1個のIDであっても、第2収容器11Bを識別することが可能である。なお、記憶部62には、取付情報として、所定の収容器に取付けたタグの取付個数を記憶していてもよい。
【0045】
推定部61は、読取装置20が受信した複数の電子タグ10の受信強度に基づいて穀物の排出先を推定する。具体的には、推定部61は、読取装置20が受信した複数の第1電子タグ10Aにおける受信強度と、読取装置20が受信した複数の第2電子タグ10Bにおける受信強度とに基づいて、穀物の排出先を推定する。即ち、推定部61は、読取装置20が受信した情報のうち、少なくとも識別情報の受信強度に基づいて、穀物の排出先を推定する。この場合は、複数の第1電子タグ10A及び複数の第2電子タグ10Bは、識別情報のみを出力するタグであってもよい。
【0046】
穀物の排出先を推定する場合、推定部61は、読取装置20が受信した複数の第1電子タグ10A及び複数の第2電子タグ10Bの受信強度(受信した受信強度)を用いる。推定部61は、記憶部62を参照して、第1収容器11Aに取付けたタグの個数(第1取付個数)と、第2収容器11Bに取付けたタグの個数(第2取付個数)とが同じであるか否かを判定する。例えば、図7に示すように、記憶部62には、4個の第1電子タグ10A(タグA、タグB、タグC、タグD)と第1収容器11Aとが対応付けて記憶されている。そのため、推定部61は、第1取付個数は4個であると認識する。同様に、記憶部62には、4個の第2電子タグ10B(タグE、タグF、タグG、タグH)が対応付けて記憶されているため、推定部61は、第2取付個数は4個であると認識する。このように、第1取付個数と、第2取付個数とが同じである場合、第1収容器11Aに対応する全てのタグA~タグDの受信強度の合計(第1合計)と、第2収容器11Bに対応する全てのタグE~タグGの受信強度の合計(第2合計)とを比較する。例えば、図8Aは、複数の第1電子タグ10A(タグA、タグB、タグC、タグD)の受信強度と、複数の第2電子タグ10B(タグE、タグF、タグG、タグH)の受信強度との一例を示している。
【0047】
図8Aに示すように、第1合計が第2合計よりも大きいため、推定部61は、穀物の排出先を、第1収容器11Aに決定する。推定部61が推定した排出先を、液晶パネル等で構成された表示部33に表示する。例えば、第1収容器11Aを「コンテナA」、第2収容器11Bを「コンテナB」とした場合、表示部33に、穀物の排出先は、「コンテナAです」と表示する。
【0048】
なお、上述したように、第1取付個数と、第2取付個数とが同じである場合、推定部61は、第1合計と第2合計とを比較して、数値が大きい方を排出先として判定する。しかしながら、第1取付個数と第2取付個数とが互いに異なる場合は、第1取付個数と第2取付個数との比率から第1合計、第2合計を補正し、補正した第1合計と第2合計とを比較する。例えば、第1取付個数よりも第2取付個数が多い場合は、第1合計は、「第1合計=(第2取付個数/第1取付個数)×第1収容器に取付けたタグの受信強度の平均」で求め、第2合計は、第2収容器に取付けた全ての受信強度の合計で求める。そのうえで、推定部61は、第1合計と、第2合計とを比較する。同様に、第1取付個数よりも第2取付個数が少ない場合は、第1合計は、第1収容器に取付けた全ての受信強度の合計で求め、「第2合計=(第1取付個数/第2取付個数)×第2収容器に取付けたタグの受信強度の平均」で求める。
【0049】
なお、推定部61は、第1合計と第2合計とを比較して、数値が大きい方を排出先として判定していたが、第1合計と第2合計との差(受信強度差)を算出して、受信強度差が予め定められた値以上である場合に、数値が大きい方を排出先として判定してもよい。
上述した実施形態では、推定部61は、第1取付個数及び第2取付個数を記憶部62を参照することによって求めていたが、これに代え、複数の第1電子タグ10A及び複数の第2電子タグ10Bから送信された取付情報に含まれる取付個数に基づいて、第1取付個数及び第2取付個数を求めてもよい。
【0050】
また、推定部61は、受信強度に基づいて排出先の推定を行っているが、これに代えて、識別情報を受信したタグの個数に基づいて排出先の推定を行ってもよい。具体的には、推定部61は、読取装置20が識別情報を受信した複数の第1電子タグ10Aの個数(第1受信個数)、読取装置20が識別情報を受信した複数の第2電子タグ10Bの個数(第2受信個数)に基づいて、収穫物の排出先を推定する。図8Bは、第1受信個数と、第2受信個数とを示した図である。推定部61は、タグA、タグB、タグC、タグDのそれぞれのIDうち、読取装置20が受信できた識別情報(ID)の個数を第1受信個数とする。推定部61は、タグE、タグF、タグG、タグHのそれぞれのIDうち、読取装置20が受信できた識別情報(ID)の個数を第2受信個数とする。
【0051】
推定部61は、第1収容器11Aにおける第1取付個数と、第2収容器11Bにおける第2取付個数とが同じである場合、第1受信個数と第2受信個数とを比較する。図8Bに示すように、推定部61は、第1受信個数が第2受信個数よりも多いため排出先は「コンテナA」であると判定する。
推定部61は、第1取付個数と第2取付個数とが異なる場合は、第1受信個数及び第2受信個数と、記憶部62に記憶された取付個数に基づいて排出先を推定する。具体的には、推定部61は、第1取付個数に対する第1受信個数の割合(第1受信個数/第1取付個数)を求め、且つ、第2取付個数に対する第2受信個数の割合(第2受信個数/第2取付個数)を求める。そして、推定部61は、第1取付個数に対する第1受信個数の割合と、第2取付個数に対する第2受信個数の割合とを比較して、割合が高い取付個数に対応する収容器11を排出先とする。例えば、第1取付個数が5個、第2取付個数が3個である場合において、第1受信個数が3個、第2取付個数が3個である。この場合、推定部61は、排出先は「コンテナB(第2収容器11B」であると判定する。
【0052】
収穫機40は、機体41と、機体41に設けられ且つ収穫物を収穫する収穫部46と、収穫部46で収穫物を収容器11に排出可能な排出部49と、収容器11に設けられた電子タグ10の情報を受信可能な読取装置20と、を備え、読取装置20は、少なくとも排出部49が収穫物を排出する排出期間T3に、電子タグ10の情報を受信する。これによれば、収穫物を排出する排出期間T3に、読取装置20が電子タグ10の情報を受信することから、収容器11を認識する電波をできるだけ抑えることができる。また、排出期間T3に電子タグ10の情報を受信することから、収穫物の排出先を推定し易く、推定の信頼度を向上させることができる。
【0053】
収穫機40は、機体41と、機体41に設けられ且つ収穫物を収穫する収穫部46と、収穫部46で収穫物を収容器11に排出可能な排出部49と、収容器11に設けられた電子タグ10の情報を受信可能な読取装置20と、排出部49から収穫物の排出の開始及び終了のいずれかを指令する操作スイッチ57を備え、読取装置20は、操作スイッチ57によって排出の開始の指令が行われた場合に、電子タグ10の情報の受信を開始する。これによれば、読取装置20が受信した電子タグ10の情報が、排出先の収容器11に設けられた電子タグ10の情報であることの信頼性を向上させることができる。
【0054】
読取装置20は、操作スイッチ57によって排出の終了の指令が行われた場合に、電子タグ10の情報の受信を終了する。これによれば、読取装置20が受信した電子タグ10の情報が、排出先の収容器11に設けられた電子タグ10の情報であることの信頼性を向上させることができる。
排出部49は、機体41に格納する格納姿勢と、格納姿勢とは異なる姿勢であって収容器11の上方に位置する排出姿勢とに姿勢変更であり、読取装置20は、排出部49が格納姿勢から排出姿勢への姿勢変更を開始した場合に、電子タグ10の情報の受信を開始する。これによれば、排出部49が格納姿勢から排出姿勢に姿勢変更を開始したことをもって、電子タグ10の情報の受信が行われるため、電子タグ10の情報の信頼性を向上させることができる。
【0055】
読取装置20は、排出姿勢から格納姿勢に変更する場合に、電子タグ10の情報の受信を終了する。これによれば、排出部49が排出姿勢から収納姿勢に姿勢変更の終了したことをもって、電子タグ10の情報の受信が行われるため、無駄な電子タグ10の情報の受信を低減することができる。
収容器11の認識システムは、収穫機40で収穫した収穫物を収穫機40の排出部49を介して収容器11に排出する際に、収容器11に設けた電子タグ10によって収容器11を認識する収容器11の認識システムであって、収容器11に設けられた電子タグ10の情報を受信可能で且つ、少なくとも排出部49が排出する排出期間T3に電子タグ10の情報を受信する読取装置20を備えている。これによれば、収穫物を排出する排出期間T3に、読取装置20が電子タグ10の情報を受信することから、収容器11を認識する電波をできるだけ抑えることができる。また、排出期間T3に電子タグ10の情報を受信することから、収穫物の排出先を推定し易く、推定の信頼度を向上させることができる。
【0056】
収容器11の認識システムは、収穫機40で収穫した収穫物を収穫機40の排出部49を介して収容器11に排出する際に、収容器11に設けた電子タグ10によって収容器11を認識する収容器11の認識システムであって、排出部49から収穫物の排出の開始及び終了のいずれかを指令する操作スイッチ57と、操作スイッチ57によって排出の開始の指令が行われた場合に、電子タグ10の情報の受信を開始する読取装置20とを備えている。これによれば、読取装置20が受信した電子タグ10の情報が、排出先の収容器11に設けられた電子タグ10の情報であることの信頼性を向上させることができる。
【0057】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。上述した実施形態では、収容器11を直方体状のコンテナで構成していたが、円筒状のフレコンで構成してもよい。上述した実施形態では、1個の収容器11に複数の電子タグ10を設けていたが、これに代え、1個の収容器11に1個の電子タグ10を設けてもよい。即ち、収容器11に設ける電子タグ10は複数ではなく1個であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 :電子タグ
11 :収容器
20 :読取装置
20c :スイッチ
40 :収穫機
41 :機体
46 :収穫部
49 :排出部
57 :操作スイッチ
J10 :格納姿勢
J11 :排出姿勢
T3 :排出期間
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8A
図8B