(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L  21/60        20060101AFI20230306BHJP        
   H01L  21/3205      20060101ALI20230306BHJP        
   H01L  21/768       20060101ALI20230306BHJP        
   H01L  23/522       20060101ALI20230306BHJP        
【FI】
H01L21/60 301P 
H01L21/60 301A 
H01L21/88 T 
(21)【出願番号】P 2019171102
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【氏名又は名称】池上  徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【氏名又は名称】須藤  章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【氏名又は名称】高下  雅弘
(72)【発明者】
【氏名】高橋  浩明
【審査官】安田  雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-122801(JP,A)      
【文献】特開2018-103147(JP,A)      
【文献】特開2008-210832(JP,A)      
【文献】特開2012-174951(JP,A)      
【文献】特開2019-040975(JP,A)      
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L    21/60    -21/607
H01L    21/3205
H01L    21/768
H01L    21/302  -21/308
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  半導体基板の上に第1の絶縁層を形成し、
  前記第1の絶縁層の上にアルミニウム層を形成し、
  前記アルミニウム層のパターニングを行い、
  前記第1の絶縁層及び前記アルミニウム層の上に第2の絶縁層を形成し、
  前記第2の絶縁層の上にマスク材を形成し、
  前記第2の絶縁層を、前記マスク材をマスクにフッ素
及び窒素ガスを含むエッチングガスを用いた反応性イオンエッチング法によりエッチングを行い、前記アルミニウム層の一部の表面を露出させ、
  前記一部の表面に、ph6以上ph7.5以下の液体をノズルから噴射する洗浄処理を行
い、
            
  前記洗浄処理の後に、非酸化性雰囲気で250℃以上450℃以下の熱処理を行う、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
  前記液体は、ph6以上ph6.9以下又はph7.1以上ph7.5以下の水溶液である請求項
1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
  前記液体は、酸の希釈溶液又はアルカリの希釈溶液である請求項
1又は請求項
2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
  前記液体は、炭酸を含む請求項
1ないし請求項
3いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
  前記熱処理の後に前記一部の表面にボンディングワイヤを接続する請求項1ないし請求項4いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
         【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明の実施形態は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
  半導体チップ上の電極パッドと、リードフレームなどの外部電極とを接続するために、ボンディングワイヤが用いられる。ボンディングワイヤの一端が電極パッドに接続され、他端が外部電極に接続される。ボンディングワイヤの信頼性を向上させるために、電極パッドとボンディングワイヤの密着性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  本発明が解決しようとする課題は、電極パッドとボンディングワイヤの密着性が向上する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
  本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、半導体基板の上に第1の絶縁層を形成し、前記第1の絶縁層の上にアルミニウム層を形成し、前記アルミニウム層のパターニングを行い、前記第1の絶縁層及び前記アルミニウム層の上に第2の絶縁層を形成し、前記第2の絶縁層の上にマスク材を形成し、前記第2の絶縁層を、前記マスク材をマスクにフッ素及び窒素ガスを含むエッチングガスを用いた反応性イオンエッチング法によりエッチングを行い、前記アルミニウム層の一部の表面を露出させ、前記一部の表面に、ph6以上ph7.5以下の液体をノズルから噴射する洗浄処理を行い、前記洗浄処理の後に、非酸化性雰囲気で250℃以上450℃以下の熱処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
            
            【
図2】第1の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
 
            【
図3】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の模式断面図。
 
            【
図4】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の模式断面図。
 
            【
図5】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の模式断面図。
 
            【
図6】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の模式断面図。
 
            【
図7】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の模式断面図。
 
            【
図8】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の模式断面図。
 
            【
図9】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の模式断面図。
 
            【
図10】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の模式断面図。
 
            
            【
図12】第2の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
 
            【
図13】第2の実施形態の半導体装置の製造方法の模式断面図。
 
            【
図14】第2の実施形態の半導体装置の製造方法の模式断面図。
 
            【
図15】第2の実施形態の半導体装置の製造方法の模式断面図。
 
            【
図16】第2の実施形態の半導体装置の製造方法の模式断面図。
 
          
【発明を実施するための形態】
【0007】
  本明細書中、同一又は類似する部材については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0008】
  本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する場合がある。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0009】
  本明細書中の半導体装置を構成する部材の化学組成の定性分析及び定量分析は、例えば、二次イオン質量分析法(Secondary  Ion  Mass  Spectroscopy:SIMS)、エネルギー分散型X線分光法(Energy  Dispersive  X-ray  Spectroscopy:EDX)により行うことが可能である。また、半導体装置を構成する部材の厚さ、部材間の距離等の測定には、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission  Electron  Microscope:TEM)を用いることが可能である。また、半導体装置を構成する部材の物質の同定、結晶系の同定、結晶系の存在割合の大小比較には、例えば、X線回折分析(X-rayDiffraction:XRD)、電子線回折分析(Electron  Beam  Diffraction:EBD)、X線光電分光分析(X-ray  Photoelectron  Spectroscopy:XPS)を用いることが可能である。
【0010】
(第1の実施形態)
  第1の実施形態の半導体装置は、半導体基板と、半導体基板の上に設けられた第1の絶縁層と、第1の絶縁層の上に設けられたアルミニウム層と、第1の絶縁層の上に設けられ、アルミニウム層の表面の第1の領域を覆う第2の絶縁層と、アルミニウム層の表面の第1の領域以外の第2の領域の上に設けられ、αアルミナを主成分とし、膜厚が0.5nm以上3nm以下の酸化アルミニウム膜と、を備える。
【0011】
  図1は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。第1の実施形態の半導体装置100は、半導体チップ10、リードフレーム11、ボンディングワイヤ12、はんだ層13を含む。
 
【0012】
  半導体チップ10は、はんだ層13によって、リードフレーム11に固定される。また、半導体チップ10は、ボンディングワイヤ12によって、リードフレーム11に電気的に接続される。
【0013】
  ボンディングワイヤ12の一端が半導体チップ10の表面に設けられる図示しない電極パッドに接続される。ボンディングワイヤ12の他端がリードフレーム11に接続される。
【0014】
  ボンディングワイヤ12は、例えば、銅ワイヤ、金ワイヤ、アルミワイヤ、又は、パラジウムで被覆された銅ワイヤである。
【0015】
  図2は、第1の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図である。
図2は、
図1の点線枠で囲まれる部分の拡大図である。
図2は、半導体チップ10のボンディングワイヤ12が接続される電極パッドを含む図である。
 
【0016】
  半導体チップ10は、シリコン基板20(半導体基板)、層間絶縁層22(第1の絶縁層)、アルミニウム層24、保護絶縁層26(第2の絶縁層)、酸化アルミニウム膜28を有する。
【0017】
  シリコン基板20は、単結晶のシリコン基板である。シリコン基板20は、半導体基板の一例である。シリコン基板20には、例えば、図示しないトランジスタやダイオードなどの半導体素子が形成されている。
【0018】
  層間絶縁層22は、シリコン基板20の上に設けられる。層間絶縁層22は、例えば、酸化シリコンを含む。
【0019】
  アルミニウム層24は、層間絶縁層22の上に設けられる。アルミニウム層24は、半導体チップ10の電極パッドである。
【0020】
  アルミニウム層24は、例えば、アルミニウム合金である。アルミニウム層24は、例えば、シリコン及び銅の少なくともいずれか一方を含むアルミニウム合金である。
【0021】
  保護絶縁層26は、層間絶縁層22の上に設けられる。保護絶縁層26は、アルミニウム層24の表面の第1の領域24aを覆う。保護絶縁層26は、アルミニウム層24の上に開口部32を有する。
【0022】
  保護絶縁層26は、例えば、酸化シリコンと窒化シリコンとの積層構造である。
【0023】
  酸化アルミニウム膜28は、アルミニウム層24の上に設けられる。酸化アルミニウム膜28は、アルミニウム層24の表面の第1の領域24a以外の第2の領域24bの上に設けられる。
【0024】
  酸化アルミニウム膜28は、αアルミナ(α-Al2O3:アルファアルミナ)を主成分とする。αアルミナを主成分とするとは、酸化アルミニウム膜28を構成する物質の内、αアルミナが最もモル比率の高い物質であること意味する。
【0025】
  αアルミナは、三方晶系の酸化アルミニウムである。三方晶系は六方晶系に含まれるとする分類方法もある。
【0026】
  酸化アルミニウム膜28の膜厚は、0.5nm以上3nm以下である。
【0027】
  アルミニウム層24の第2の領域24bの上にボンディングワイヤ12が接続される。例えば、ボンディングワイヤ12とアルミニウム層24との間の一部に、酸化アルミニウム膜28が存在する。
【0028】
  次に、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
【0029】
  第1の実施形態の半導体装置の製造方法は、半導体基板の上に第1の絶縁層を形成し、第1の絶縁層の上にアルミニウム層を形成し、アルミニウム層のパターニングを行い、第1の絶縁層及びアルミニウム層の上に第2の絶縁層を形成し、第2の絶縁層の上にマスク材を形成し、第2の絶縁層を、マスク材をマスクにフッ素を含むガスを用いた反応性イオンエッチングによりエッチングを行い、アルミニウム層の一部の表面を露出させ、一部の表面に、ph6以上ph7.5以下の液体をノズルから噴射する洗浄処理を行う。
【0030】
【0031】
  最初に、シリコン基板20の上に層間絶縁層22を形成する。層間絶縁層22は、例えば、Chemical  Vapor  Deposition法(CVD法)を用いて形成する。
【0032】
  次に、層間絶縁層22の上にアルミニウム層24を形成する。アルミニウム層24は、例えば、スパッタ法を用いて形成する(
図3)。
 
【0033】
  次に、アルミニウム層24をパターニングする(
図4)。アルミニウム層24のパターニングは、例えば、フォトリソグラフィ法と反応性イオンエッチング法(RIE法)を用いて形成される。
 
【0034】
  次に、層間絶縁層22及びアルミニウム層24の上に、保護絶縁層26を形成する(
図5)。保護絶縁層26は、例えば、CVD法を用いて形成する。
 
【0035】
  次に、保護絶縁層26の上にフォトレジスト30(マスク材)を形成する(
図6)。フォトレジスト30は、アルミニウム層24の上の領域に開口部32を有する。
 
【0036】
  次に、フォトレジスト30をマスクに保護絶縁層26をエッチングする(
図7)。エッチングにより、アルミニウム層24の一部の表面が露出する。
 
【0037】
  保護絶縁層26のエッチングは、フッ素を含むエッチングガスを用いたRIE法により行われる。例えば、エッチングガスは、四フッ化炭素(CF4)又はトリフルオロメタン(CHF3)を含む。
【0038】
  例えば、エッチングガスは、窒素ガスを含む。
【0039】
  保護絶縁層26のエッチングガスは、例えば、四フッ化炭素(CF4)、窒素ガス、及び、酸素ガスの混合ガスである。
【0040】
  保護絶縁層26のエッチングの後に、露出したアルミニウム層24の一部の表面にフッ素含有膜34が形成される。フッ素含有膜34は、エッチングガスに由来するフッ素を含む膜である。
【0041】
  フッ素含有膜34は、例えば、フッ素を含む酸化シリコン膜である。フッ素含有膜34は、例えば、γアルミナ(γ-Al2O3:ガンマアルミナ)を主成分とする膜である。γアルミナを主成分とするとは、フッ素含有膜34を構成する物質の内、γアルミナが最もモル比率の高い物質であること意味する。
【0042】
  γアルミナは、立方晶系の酸化アルミニウムである。
【0043】
  フッ素含有膜34の膜厚は、例えば、5nm以上である。
【0044】
  次に、フォトレジスト30の剥離を行う(
図8)。フォトレジスト30の剥離は、酸素プラズマを用いたアッシングにより行う。アッシングの温度は、例えば、50℃以下である。
 
【0045】
  次に、保護絶縁層26のエッチングにより露出したアルミニウム層24の表面に、洗浄処理を行う(
図9)。洗浄処理は、ph6以上ph7.5以下の液体をノズル36から、アルミニウム層24の表面に噴射することで行う。
 
【0046】
  液体は、例えば、水である。液体は、例えば、純水である。
【0047】
  液体は、例えば、ph6以上ph6.9以下又はph7.1以上ph7.5以下の弱酸性又は弱アルカリ性を呈する。である。液体は、例えば、酸の希釈溶液、又は、アルカリの希釈溶液である。液体は、例えば、炭酸(H2CO3)の水溶液、塩酸(HCl)の水溶液、又は、塩化カリウム(KCl)の水溶液である。
【0048】
  洗浄処理により、物理的にフッ素含有膜34の全部又は大部分が除去される。フッ素含有膜34の洗浄処理後の膜厚は、例えば、2nm以下である。
【0049】
  次に、非酸化性雰囲気で250℃以上450℃以下の熱処理を行う(
図10)。例えば、熱処理は窒素雰囲気で行われる。
 
【0050】
  熱処理により、アルミニウム層24の保護絶縁層26に被覆されていない領域の表面に、酸化アルミニウム膜28が形成される。酸化アルミニウム膜28は、αアルミナ(α-Al2O3:アルファアルミナ)を主成分とする。酸化アルミニウム膜28の膜厚は3nm以下である。
【0051】
  その後、アルミニウム層24の一部の表面に、ボンディングワイヤが接続され、
図1及び
図2に示す半導体装置100が製造される。
 
【0052】
  ボンディングワイヤ12がアルミニウム層24に接続される際に、酸化アルミニウム膜28が破壊される。その結果、ボンディングワイヤ12とアルミニウム層24が電気的に接続されると共に、ボンディングワイヤ12とアルミニウム層24との間の一部に、酸化アルミニウム膜28が残存する。
【0053】
  次に、第1の実施形態の半導体装置及び半導体装置の製造方法の作用及び効果について説明する。
【0054】
  図11は、比較例の半導体装置の拡大模式断面図である。比較例の半導体装置は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の洗浄処理を省略して製造される点で、第1の実施形態の半導体装置と異なっている。
 
【0055】
  比較例の半導体装置は、洗浄処理を省略しているため、アルミニウム層24の表面に、厚いフッ素含有膜34が残存している。ボンディングワイヤ12とアルミニウム層24との間に、厚いフッ素含有膜34が挟まることで、ボンディングワイヤ12とアルミニウム層24との密着性が低下する。したがって、例えば、ボンディングワイヤ12がアルミニウム層24から剥離し、信頼性が低下するという問題があった。
【0056】
  また、フッ素含有膜34とアルミニウム層24の表面とが反応し、アルミニウム層24の表面の腐食が進行し、半導体装置の信頼性が低下するという問題があった。
【0057】
  第1の実施形態の半導体装置の製造方法は、保護絶縁層26のエッチングにより露出したアルミニウム層24の表面に、ph6以上ph7.5以下の液体をノズル36から噴射する洗浄処理を行う。この洗浄処理により、アルミニウム層24の表面の厚いフッ素含有膜34の全部又は大部分が除去される。
【0058】
  その後、アルミニウム層24の表面に酸化アルミニウム膜28が形成される。酸化アルミニウム膜28の膜厚は3nm以下と薄い。したがって、ボンディングワイヤ12がアルミニウム層24に接続される際に、酸化アルミニウム膜28が破壊される。よって、ボンディングワイヤ12とアルミニウム層24が直接接続され、ボンディングワイヤ12とアルミニウム層24との密着性が向上する。
【0059】
  洗浄処理では、ph6以上ph7.5以下の中性に近い液体を用いる。例えば、フッ素含有膜34の除去に、アルカリ性の強い水溶液を用いると、フッ素含有膜34の除去後に、厚い酸化アルミニウム膜28が形成され、ボンディングワイヤ12とアルミニウム層24との密着性が低下するおそれがある。また、フッ素含有膜34の除去に、酸性の強い水溶液を用いると、アルミニウム層24の表面がエッチングされてしまうおそれがある。
【0060】
  第1の実施形態の洗浄処理では、ph6以上ph7.5以下の中性に近い液体を用いることで、酸化アルミニウム膜28上に厚い酸化アルミニウム膜28が形成されることが抑制される。また、アルミニウム層24の表面がエッチングされることが抑制される。
【0061】
  洗浄処理に用いる液体は、ph6以上ph6.9以下又はph7.1以上ph7.5以下であることが好ましい。洗浄処理に用いる液体は、酸の希釈溶液又はアルカリの希釈溶液であることが好ましい。
【0062】
  液体中に、僅かに、イオンが存在することで、洗浄処理中に半導体基板が帯電することが抑制される。したがって、例えば、絶縁層の静電破壊が抑制される。
【0063】
  保護絶縁層26をエッチングする際のエッチングガスに、窒素ガスが含まれることが好ましい。窒素ガスが含まれることで、エッチングレートが高くなる。したがって、保護絶縁層26のエッチング時間が短くなり、アルミニウム層24の表面に残留するフッ素量が低減される。よって、フッ素含有膜34の膜厚が薄くなり、洗浄処理による除去が容易となる。
【0064】
  フォトレジスト30の剥離の際のアッシングの温度は、50℃以下であることが好ましい。アッシングの温度が高いと、フッ素含有膜34の中のフッ素がアルミニウム層24に拡散する。したがって、酸化アルミニウム膜28の膜質が低下するおそれがある。
【0065】
  半導体装置100のアルミニウム層24の表面は、厚さが0.5nm以上の酸化アルミニウム膜28で覆われる。酸化アルミニウム膜28は、αアルミナを主成分とする。αアルミナは、例えば、γアルミナと比べて、安定性が高い。したがって、アルミニウム層24の表面が腐食されることが防止される。よって、半導体装置100の信頼性が向上する。厚さが0.5nm以上あることで、十分な信頼性向上効果が得られる。
【0066】
  以上、第1の実施形態によれば、電極パッドとボンディングワイヤの密着性が向上する半導体装置及びその製造方法が実現できる。
【0067】
(第2の実施形態)
  第2の実施形態の半導体装置は、第2の絶縁層の上にポリイミド層を、更に備える点で、第1の実施形態の半導体装置と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0068】
  図12は、第2の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図である。
図12は、第1の実施形態の
図2に対応する図である。第2の実施形態の半導体装置は、半導体チップ15を有する。
 
【0069】
  半導体チップ15は、シリコン基板20(半導体基板)、層間絶縁層22(第1の絶縁層)、アルミニウム層24、保護絶縁層26(第2の絶縁層)、酸化アルミニウム膜28、ポリイミド層38を有する。
【0070】
  ポリイミド層38は、保護絶縁層26の上に設けられる。
【0071】
  次に、第2の実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
【0072】
  第2の実施形態の半導体装置の製造方法は、マスク材が感光性ポリイミドである点で、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0073】
【0074】
  層間絶縁層22及びアルミニウム層24の上に、保護絶縁層26を形成するまでの製造方法は、第1の半導体装置の製造方法と同様である。
【0075】
  次に、保護絶縁層26の上にポリイミド層38(マスク材)を形成する(
図13)。ポリイミド層38は感光性ポリイミドである。ポリイミド層38は、アルミニウム層24の上の領域に開口部40を有する。
 
【0076】
  次に、ポリイミド層38をマスクに保護絶縁層26をエッチングする(
図14)。エッチングにより、アルミニウム層24の一部の表面が露出する。
 
【0077】
  保護絶縁層26のエッチングは、フッ素を含むエッチングガスを用いたRIE法により行われる。例えば、エッチングガスは、四フッ化炭素(CF4)又はトリフルオロメタン(CHF3)を含む。
【0078】
  保護絶縁層26のエッチングの後に、露出したアルミニウム層24の一部の表面にフッ素含有膜34が形成される。フッ素含有膜34は、エッチングガスに由来するフッ素を含む膜である。
【0079】
  次に、保護絶縁層26のエッチングにより露出したアルミニウム層24の一部の表面に、洗浄処理を行う(
図15)。洗浄処理は、ph6以上ph7.5以下の液体をノズル36から噴射することで行う。
 
【0080】
  洗浄処理により、物理的にフッ素含有膜34の全部又は大部分が除去される。フッ素含有膜34の洗浄処理後の膜厚は、例えば、2nm以下である。
【0081】
  次に、非酸化性雰囲気で250℃以上450℃以下の熱処理を行う(
図16)。熱処理により、アルミニウム層24の保護絶縁層26に被覆されていない領域の表面に、酸化アルミニウム膜28が形成される。酸化アルミニウム膜28は、αアルミナ(α-Al
2O
3:アルファアルミナ)を主成分とする。酸化アルミニウム膜28の膜厚は3nm以下である。
 
【0082】
  その後、アルミニウム層24の一部の表面に、ボンディングワイヤが接続され、
図12に示す半導体装置が製造される。
 
【0083】
  以上、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、電極パッドとボンディングワイヤの密着性が向上する半導体装置及びその製造方法が実現できる。
【0084】
  本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
12        ボンディングワイヤ
20        シリコン基板(半導体基板)
22        層間絶縁層(第1の絶縁層)
24        アルミニウム層
24a      第1の領域
24b      第2の領域
26        保護絶縁層(第2の絶縁層)
28        酸化アルミニウム膜
30        フォトレジスト(マスク材)
38        ポリイミド層(マスク材)