(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】内視鏡用キャップおよび内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/018 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
A61B1/018 514
(21)【出願番号】P 2019209048
(22)【出願日】2019-11-19
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 恵一
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-126487(JP,A)
【文献】特開平07-148107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の挿入部に着脱可能な内視鏡用キャップにおいて、
開口端部の側から前記挿入部の先端に着脱される有底筒型のカバーと、
前記カバーの内部に保持された台座と、
前記台座に回動可能に支持された起上台とを備え、
前記台座は、
前記カバーの筒部の内面に配置された板状の土台部と、
前記土台部の縁から立ち上がり前記カバーの軸方向に延びて前記起上台を支持する板状の支持壁と、
前記支持壁の先端部から前記
支持壁に対して前記土台部と同じ側に延びる先端壁と、
前記先端壁から前記支持壁と反対の向きに突出する底部固定突起と、
前記土台部
の前記開口端部側の端部から前記支持壁と反対の向きに突出する側面固定突起とを有し、
前記カバーは、
底部に設けられており、前記底部固定突起が挿入される第1固定孔と、
側面に設けられており、前記側面固定突起が挿入される第2固定孔と
を備え
、
前記側面固定突起の前記開口端部側の部分は、前記第2固定孔の内面の前記開口端部側の部分に突き当てられている
内視鏡用キャップ。
【請求項2】
前記側面固定突起は、前記土台部の前記支持壁が延びる向きとは反対側の縁に設けられている
請求項1に記載の内視鏡用キャップ。
【請求項3】
前記側面固定突起は、前記底部固定突起側の縁が面取部を有する
請求項1または請求項2に記載の内視鏡用キャップ。
【請求項4】
前記面取部は、R面取形状である
請求項3に記載の内視鏡用キャップ。
【請求項5】
前記台座は、前記支持壁を貫通する起上台取付孔を有し、
前記起上台は、
前記起上台取付孔に挿入される起上台軸と、
前記挿入部の先端に回動可能に設けられたレバーに連結されるレバー連結部と
を有する
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の内視鏡用キャップ。
【請求項6】
前記土台部は、前記支持壁の縁に設けられたフランジ孔を有し、
前記起上台は、前記フランジ孔に挿入される板状のフランジを有する
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の内視鏡用キャップ。
【請求項7】
挿入部の先端の表面に露出する回動可能な起上台連結部と、
開口端部の側から前記挿入部の先端に着脱される有底筒型のカバーと、前記カバーの内部に保持された台座と、前記台座に回動可能に支持されており、前記起上台連結部に連結されるレバー連結部を有する起上台とを備え、前記台座は、前記カバーの筒部の内面に配置された板状の土台部と、前記土台部の縁から立ち上がり前記カバーの軸方向に延びて前記起上台を支持する板状の支持壁と、前記支持壁の先端部から前記
支持壁に対して前記土台部と同じ側に延びる先端壁と、前記先端壁から前記支持壁と反対の向きに突出する底部固定突起と、前記土台部
の前記開口端部側の端部から前記支持壁と反対の向きに突出する側面固定突起とを有し、前記カバーは、底部に設けられており、前記底部固定突起が挿入される第1固定孔と、側面に設けられており、前記側面固定突起が挿入される第2固定孔とを有する内視鏡用キャップと
を備え、
前記側面固定突起の前記開口端部側の部分は、前記第2固定孔の内面の前記開口端部側の部分に突き当てられている
内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用キャップおよび内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
挿入部の内部を通るチャンネルの先端に起上台を有する内視鏡が使用されている。起上台は、チャンネルに通した処置具等を屈曲させて、所望の向きに誘導する際に使用される。
【0003】
内視鏡検査の前に内視鏡の先端に取り付けて使用し、内視鏡検査の後に取り外す起上台付きの内視鏡用キャップが提案されている(特許文献1)。起上台周囲の複雑な構造を内視鏡から取り外せるため、内視鏡を容易に洗浄できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の内視鏡用キャップは、カバー、起上台および台座の三体構造である。台座に設けられた起上台取付孔に、起上台に設けられた起上台軸が挿入され、起上台が回動可能に支持される。起上台を支持した台座は、カバーの内面に設けられた台座溝に固定されている。
【0006】
内視鏡用キャップは、いわゆるシングルユースであることが望ましい。シングルユース用の内視鏡用キャップは、個包装された状態で医療機関に供給される。精密機器であることが周知である内視鏡に比べて、内視鏡用キャップは輸送中および保管中に衝撃を受けやすい。
【0007】
衝撃によりカバーと台座とが外れた内視鏡用キャップは、そのままでは使用できない。台座とカバーとを取り付けなおすか、または、別の内視鏡用キャップを使用する必要があるため、ユーザに負担がかかる。内視鏡用キャップを内視鏡に取り付ける際の取り扱いにより、カバーと台座とが外れた場合も同様にユーザに負担がかかる。
【0008】
シングルユースの内視鏡用キャップは、症例終了後に内視鏡から取り外される。取り外し作業時に、カバーと台座とが外れた場合、台座等の小さい部品が飛散するおそれがある。体液が付着した部品が飛散することにより、ユーザに捜索、および、落下した場所の消毒等の負担がかかる。
【0009】
一つの側面では、カバーと台座とが外れにくい内視鏡用キャップ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
内視鏡の挿入部に着脱可能な内視鏡用キャップは、開口端部の側から前記挿入部の先端に着脱される有底筒型のカバーと、前記カバーの内部に保持された台座と、前記台座に回動可能に支持された起上台とを備え、前記台座は、前記カバーの筒部の内面に配置された板状の土台部と、前記土台部の縁から立ち上がり前記カバーの軸方向に延びて前記起上台を支持する板状の支持壁と、前記支持壁の先端部から前記支持壁に対して前記土台部と同じ側に延びる先端壁と、前記先端壁から前記支持壁と反対の向きに突出する底部固定突起と、前記土台部の前記開口端部側の端部から前記支持壁と反対の向きに突出する側面固定突起とを有し、前記カバーは、底部に設けられており、前記底部固定突起が挿入される第1固定孔と、側面に設けられており、前記側面固定突起が挿入される第2固定孔とを備え、前記側面固定突起の前記開口端部側の部分は、前記第2固定孔の内面の前記開口端部側の部分に突き当てられている。
【発明の効果】
【0011】
一つの側面では、カバーと台座とが外れにくい内視鏡用キャップ等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】挿入部の先端から処置具先端部が突出した状態を示す説明図である。
【
図5】内視鏡用キャップを挿入部の先端に取り付ける前の状態を説明する正面図である。
【
図6】内視鏡用キャップを取り付ける前の挿入部の先端の斜視図である。
【
図7】内視鏡用キャップおよびレバー室蓋を取り外した挿入部の先端の斜視図である。
【
図8】内視鏡用キャップを内視鏡への取付側からみた斜視図である。
【
図9】内視鏡用キャップを内視鏡への取付側からみた図である。
【
図10】
図9のX-X線による内視鏡用キャップの断面図である。
【
図11】
図9のXI-XI線による内視鏡用キャップの断面図である。
【
図12】
図9のXII-XII線による内視鏡用キャップの断面図である。
【
図16】
図14のXVI-XVI線による起上台の断面図である。
【
図23】カバーを内視鏡への取付側からみた図である。
【
図24】台座と起上台とを組み付けた状態を説明する説明図である。
【
図25】カバーと台座との組み付け方法を説明する説明図である。
【
図26】カバーと台座との組み付け方法を説明する説明図である。
【
図27】カバーと台座との組み付け方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態1]
図1は、内視鏡10の外観図である。本実施の形態の内視鏡10は、上部消化管向けの軟性鏡である。内視鏡10は、操作部20および挿入部30を有する。操作部20は、起上操作レバー21、チャンネル入口22および湾曲ノブ23を有する。操作部20は、図示しないビデオプロセッサ、光源装置および表示装置等に接続されている。
【0014】
挿入部30は長尺であり、一端が操作部20に接続されている。挿入部30は、操作部20側から順に軟性部12、湾曲部13および内視鏡用キャップ50を有する。軟性部12は、長尺である。湾曲部13は、湾曲ノブ23の操作に応じて湾曲する。内視鏡用キャップ50は、湾曲部13に連続する硬性の先端部31(
図2参照)を覆っている。
【0015】
本実施の形態の内視鏡10は、内視鏡用キャップ50を先端部31から着脱できる。内視鏡用キャップ50は、外装部材であるカバー52および起上台80(
図2参照)を有する。内視鏡用キャップ50の構成の詳細については後述する。
【0016】
以後の説明では、挿入部30の長手方向を挿入方向と記載する。同様に、挿入方向に沿って操作部20に近い側を操作部側、操作部20から遠い側を先端側と記載する。個々の部品についても、内視鏡10に取り付けられた場合の向きに準じて操作部側および先端側の表現を使用する。
【0017】
図2は、挿入部30の先端の斜視図である。
図3は、挿入部30の先端から処置具先端部41が突出した状態を示す説明図である。
図1から
図3を使用して、本実施の形態の内視鏡10の構成を説明する。
【0018】
湾曲部13の先端に配置された先端部31は、一方の側に挿入方向に沿って並んだ観察窓36および照明窓37を有する。照明窓37は、観察窓36よりも先端側に配置されている。先端部31は、他方の側の操作部側に、チャンネル出口35を有する。チャンネル出口35の先端側に、起上部83が配置されている。先端部31を覆うカバー52は、観察窓36、照明窓37および起上部83に対応する部分に略長方形の窓部53を有する。窓部53の操作部側の辺は、起上部83側が操作部側に、観察窓36側が先端側にそれぞれ位置する一段の階段状である。
【0019】
照明窓37は、図示しない光源装置から出射した照明光を照射する。観察窓36を通して、照明光により照らされた範囲を光学観察することが可能である。本実施の形態の内視鏡10は、光学観察が可能な視野方向が挿入方向に対して直交する方向である、いわゆる側視型である。内視鏡10は、視野方向が若干先端側に傾いた前方斜視型、または視野方向が若干操作部側に傾いた後方斜視型であっても良い。
【0020】
チャンネル入口22とチャンネル出口35との間は、軟性部12および湾曲部13の内部を通るチャンネル34により接続されている。チャンネル入口22から処置具40を処置具先端部41側から挿入することにより、チャンネル出口35から処置具先端部41を突出させることができる。
【0021】
図3に実線で示すように、処置具先端部41は起上部83の上で緩く曲がりながら突出する。
図1に矢印で示すように、ユーザが起上操作レバー21を操作することにより、後述するようにレバー60(
図7参照)が動き、レバー60に連動して起上台80が動く。起上台80が動くことにより、
図1中および
図3中に矢印および二点鎖線で示すように、起上台80の上の処置具先端部41が操作部20側に屈曲する。処置具先端部41の動きは、観察窓36を介して図示しない撮像素子等により撮影され、図示しない表示装置に表示される。
【0022】
処置具40は、たとえば高周波ナイフ、鉗子または造影チューブ等の処置用の機器である。なお、チャンネル34に挿入する機器は処置用の機器に限定されない。たとえば、超音波プローブ、極細内視鏡等の観察用の機器をチャンネル34に挿入して使用する場合もある。以後の説明では、観察用の機器も含めて処置具40と記載する。
【0023】
以上に説明したように起上台80が動くことを、以下の説明では「起上台80が起上する」と表現する場合がある。起上した起上台80に押されて処置具先端部41が屈曲することを、以下の説明では「処置具40が起上する」と表現する場合がある。ユーザは、起上操作レバー21の操作により、処置具40の起上の程度を調整できる。
【0024】
図4は、挿入部30の先端の正面図である。カバー52は、一端に開口端部56を有する有底筒型である。カバー52は、窓部53と開口端部56との間に符号表示部54を有する。符号表示部54には、たとえば内視鏡用キャップ50の型番が表示されている。本実施の形態においては、カバー52は射出成形により製造されており、カバー52の成形時に符号表示部54の型番も形成される。
【0025】
なお、符号表示部54には、たとえばレーザマーキング等により、文字またはバーコード等が書き込まれても良い。このようにする場合には、たとえばロット番号またはシリアル番号等を個々にカバー52に表示できる。
【0026】
図5は、内視鏡用キャップ50を挿入部30の先端に取り付ける前の状態を説明する正面図である。内視鏡10のユーザは、一方の手で湾曲部13を保持し、他方の手の二本の指でカバー52を摘む。ユーザは、内視鏡用キャップ50と先端部31との向きを合わせた状態で、内視鏡用キャップ50を押し込むことにより、挿入部30に内視鏡用キャップ50を取り付ける。
【0027】
内視鏡検査の終了後、ユーザは、一方の手で湾曲部13を保持しながら、他方の手の二本の指でカバー52の
図5における左右の側面をそれぞれ押圧して、カバー52を軽く変形させる。そのままカバー52を先端側に引っ張ることにより、挿入部30の先端から内視鏡用キャップ50を外すことができる。
【0028】
図6は、内視鏡用キャップ50を取り付ける前の挿入部30の先端の斜視図である。
図5および
図6を使用して、挿入部30の先端の構成を説明する。先端部31は、略円柱形状であり、中心からずれた位置に先端側から操作部側に向けて設けられた溝により、光学収容部33とレバー室69とに分かれている。チャンネル出口35は、溝の底に開口している。
【0029】
先端部31は、周面の一部を平坦に切り欠いて形成される第1平面部321を有する。第1平面部321の、光学収容部33とレバー室69とを隔てる溝の底に沿った部分に、第3係合部29が設けてある。第3係合部29は、長円形の窪みである。
【0030】
第1平面部321の光学収容部33側には、観察窓36および照明窓37が配置されている。観察窓36の操作部側には、観察窓36に水および空気を噴射して清掃するノズル38が設けられている。光学収容部33の外側には、先端部31の周面の一部を平坦に切り欠いて形成される第2平面部322および第3平面部323が設けられている。第2平面部322と第3平面部323とは、角度をもって連続している。
【0031】
レバー室69は中空であり、先端部31の外周面に沿った長方形の薄板状のレバー室蓋67で覆われている。レバー室蓋67は、蓋ねじ66により四隅で固定されている。レバー室69は、光学収容部33側に支持壁68を有する。
【0032】
支持壁68から光学収容部33に向けて起上台連結部61が突出する。起上台連結部61は、長方形断面の軸である。
図5および
図6に示すように、内視鏡用キャップ50が取り外された状態では、起上台連結部61は先端部31の表面に露出している。
【0033】
図7は、内視鏡用キャップ50およびレバー室蓋67を取り外した挿入部30の先端の斜視図である。レバー室69の内部に、レバー60が設けられている。レバー60は、一端にワイヤ固定部65を有し、回動連結部64を介して他端に起上台連結部61を有する。レバー60は、回動連結部64と起上台連結部61との間で、支持壁68に設けた孔に回動可能に支持されている。なお、回動は、所定の角度の範囲内での回転運動を意味する。
【0034】
ワイヤ固定部65は、起上ワイヤ24の端部に連結されている。起上ワイヤ24は、挿入部30を通って起上操作レバー21(
図1参照)に連結されている。さらに具体的には、起上ワイヤ24は、起上ワイヤ24の外径よりも若干太い内径を有する図示しない案内管に挿通されている。図示しない案内管は、挿入部30を長手方向に貫通する。そのため、起上操作レバー21の操作に連動して起上ワイヤ24の先端が進退する。起上ワイヤ24は、起上操作レバー21により遠隔操作される。
【0035】
ユーザが、
図1に矢印で示す向きに起上操作レバー21を操作した場合、起上操作レバー21に接続された起上ワイヤ24の先端は操作部側に引っ張られる。起上ワイヤ24に引っ張られて、レバー60が回動する。
【0036】
図8は、内視鏡用キャップ50を内視鏡10への取付側からみた斜視図である。
図9は、内視鏡用キャップ50を内視鏡10への取付側からみた図である。
図10は、
図9のX-X線による内視鏡用キャップ50の断面図である。
図11は、
図9のXI-XI線による内視鏡用キャップ50の断面図である。
図12は、
図9のXII-XII線による内視鏡用キャップ50の断面図である。
【0037】
前述したように、内視鏡用キャップ50は、カバー52および起上台80を有する。起上台80は、台座70に回動可能に取り付けられている。カバー52は、筒部に窓部53を有する。窓部53は、カバー52の周面の一箇所に、略全長にわたって開口している。窓部53に対向する内面に、台座70が固定されている。
【0038】
図11に示すように、台座70の一端から突出する側面固定突起74が、カバー52の側面を貫通する第2固定孔59を貫通する。カバー52および台座70の構成の詳細は後述する。
【0039】
【0040】
起上台80は、円柱状の起上台軸82と、起上台軸82の一方の端面から起上台軸82の軸方向に対して略垂直に突出する起上部83とを有する。起上部83は、基端側から順に、第2起上部832および第1起上部831を有する略L字形である。
【0041】
第2起上部832は、起上台軸82に接して設けられており、起上台軸82の直径と略同一の幅を有する。第1起上部831は、第2起上部832の一方の端部に角度をなして接続する。第1起上部831は、L字形の内側の面にスプーン状の窪み部84を有する。
【0042】
第2起上部832の他方の端部にレバー連結部81が設けられている。レバー連結部81は、第2起上部832の端部に向けて開口するU字形の溝である。レバー連結部81の一方の縁は、起上台軸82の端部に覆われている。第2起上部832の、起上台軸82側の部分に、板状のフランジ85が部分的に設けられている。フランジ85は、起上台80のL字形の外側に突出する。
【0043】
図15に破線で示すように、レバー連結部81は、起上台軸82の中心軸を挟む様に設けられている。フランジ85の側面は、起上台軸82と略同軸の略半円柱面である。
【0044】
【0045】
台座70は、長方形板状の土台部95と、土台部95の一方の長辺側の縁から立ち上がり土台部95の長手方向に沿って延びる略長方形板状の第1壁77とを有する。第1壁77は、本実施の形態の支持壁の一例である。
【0046】
さらに土台部95から、3段の略階段形の板状の第2壁78が、第1壁77と平行に立ち上がる。第2壁78の上段が設けられた側の端部には、第1壁77と第2壁78とを掛け渡す長方形板状の第3壁79が接続している。第3壁79は、本実施の形態の先端壁の一例である。
【0047】
第3壁79には、第1壁77と反対側の面に、第1固定突起73を設けてある。第1固定突起73は、割溝を有する突起である。第1固定突起73は、端部に一回り太い抜け止めを有する。第1固定突起73は、本実施の形態の底部固定突起の一例である。
【0048】
台座70においては、第1固定突起73が突出する側が先端側であり、第1壁77の長手方向に沿って第1固定突起73の反対側が操作部側である。第1壁77の土台部95側の縁に沿って、先端側から操作部側に向かう略U字溝型の係合溝96が設けられている。
【0049】
第1壁77の操作部側に、起上台取付孔76が設けられている。起上台取付孔76は、
図13から
図17を使用して説明した起上台80の起上台軸82を嵌め込み可能な直径を有する円形断面の孔である。
図20に示すように、土台部95と第1壁77との接合部分の操作部側に、フランジ孔761が設けられている。
【0050】
図21に示すように、土台部95に設けられた部分のフランジ孔761は第1壁77が立ち上がる側の縁に沿って台座70に設けられた長方形の孔である。フランジ孔761の長辺の長さは、起上台取付孔76の直径と略同一である。フランジ孔761の短辺の長さは、フランジ85を挿入可能な長さである。土台部95の一方の縁から、起上台取付孔76の中心までの長さと、フランジ孔761の長手方向の中央部までの長さとは、略同一である。
【0051】
図19に示すように、第1壁77に設けられた部分のフランジ孔761の縁は、両端が起上台取付孔76に向けて突出している。なお、フランジ孔761の縁は直線状であっても良い。
【0052】
図20に示すように、土台部95の操作部側の端部から第1壁77の反対側に側面固定突起74が突出している。側面固定突起74の先端側の縁には、いわゆるR面取形状の面取部が形成されている。なお、側面固定突起74の先端側の縁は、いわゆるC面取形状であっても良い。
【0053】
【0054】
前述のとおり、カバー52は有底筒形であり、周面の一箇所に、略全長にわたって開口する窓部53を有する。さらにカバー52は、台座固定孔57を有する。台座固定孔57は、本実施の形態の第1固定孔の一例である。
図12に示すように、台座固定孔57は、カバー52の底に設けられており、外側の径が大きくなった段付きの貫通孔である。
【0055】
図22および
図23に示すように、窓部53に対向して、カバー52の軸方向に平行な筋状の、第1台座支持部451と第2台座支持部452とが配置されている。第1台座支持部451と、第2台座支持部452との間に、平面の台座配置面453が設けられている。第1台座支持部451と、第2台座支持部452との間の間隔は、
図18から
図21を使用して説明した台座70に設けられた土台部95の幅に対応している。
【0056】
第2台座支持部452よりも開口端部56側に、第2固定孔59が貫通している。第2固定孔59の断面は、略長方形である。
【0057】
カバー52の底から内向きに四角柱状の第2固定突起58が突出している。第2固定突起58は、窓部53と台座配置面453との間に配置されている。第2固定突起58と、台座配置面453との間には、土台部95の厚さに相当する隙間が設けられている。第2固定突起58は、
図18から
図21を使用して説明した台座70に設けられた係合溝96に挿入可能な寸法である。
【0058】
図11および
図23に示すように、カバー52は、窓部53の開口端部56側の縁に沿って内側に向けて突出する板状の突出部49を有する。突出部49の先端の一部には、第1係合部46が内向きに突出するように設けられている。
【0059】
図8から
図23を使用して、内視鏡用キャップ50の構成を説明する。
図12に示すように、第1固定突起73はカバー52の内側から台座固定孔57に挿通されている。第1固定突起73に設けられた抜け止めの作用により、第1固定突起73は台座固定孔57から抜けない状態になっている。
【0060】
図9に示すように、土台部95は第1台座支持部451と第2台座支持部452との間に挟まれている。これにより、台座70が、第1固定突起73周りに回動しない。
図10に示すように、第2固定突起58が係合溝96に挿入され、土台部95の端部がカバー52の内面と第2固定突起58との間に挟持されている。
【0061】
図11を使用して前述したように、側面固定突起74が第2固定孔59を貫通する。側面固定突起74の操作部側の端面は、第2固定孔59の内面に突き当てられている。突き当て部により、台座70が先端側に向けて付勢されることが望ましい。
【0062】
なお、台座70を、接着または溶着等によりカバー52に固定しても良い。このようにする場合には、側面固定突起74の操作部側の端面と、第2固定孔59の内面との間に隙間が設けられていても良い。台座70が強固に保持された内視鏡用キャップ50を実現できる。
【0063】
図9および
図10に示すように、起上台軸82は、起上台取付孔76に挿入されている。フランジ85はフランジ孔761に挿入されている。起上台80は、起上台取付孔76に支持された起上台軸82周りに回動可能である。
図11に示すように、起上台80が起上していない場合、レバー連結部81は開口端部56の側に開口している。
【0064】
図5を使用して説明したように、内視鏡用キャップ50を挿入部30の先端に押し込むことにより、起上台連結部61とレバー連結部81とが係合すると共に、第1係合部46と第3係合部29とが係合する。以上により、内視鏡用キャップ50が挿入部30の先端に取り付けられる。
【0065】
図7を使用して説明したように、ユーザが起上操作レバー21を操作することにより、レバー60が回動する。レバー60の回動にともない、起上台連結部61が回動し、
図11に仮想線で示すように起上台80が起上する。
【0066】
図24は、台座70と起上台80とを組み付けた状態を説明する説明図である。起上台軸82が、起上台取付孔76に挿入され、起上台80が起上台軸82回りに回動可能な状態で台座70に支持される。
【0067】
フランジ85が、フランジ孔761に挿入される。
図24の紙面に垂直な方向に力を加えた場合であっても、起上台80が台座70から外れない状態になる。すなわち、フランジ85は起上台80が台座70から脱落することを防止する抜け止めの機能を果たす。
【0068】
図25から
図27は、カバー52と台座70との組み付け方法を説明する説明図である。なお、
図25から
図27においては、カバー52および台座70は、
図24と同様の正面図で示し、カバー52は
図12と同様の面で切断した断面図で示す。組み付け途中の弾性変形については図示を省略する。
【0069】
図25に示すように、台座70および起上台80を、第1固定突起73側からカバー52に挿入する。第1固定突起73の先端を、台座固定孔57の縁に接触させる。側面固定突起74が突出しているため、土台部95は操作部側がカバー52の中心側に向かって浮いた状態になる。
【0070】
図26に示すように、台座70を押し込む。第1固定突起73の割り溝が弾性変形により閉じながら、台座固定孔57の細径部を通過する。土台部95およびカバー52も弾性変形して、側面固定突起74が第2固定孔59に入り込む。なお、
図26においては、土台部95およびカバー52の弾性変形状態については図示を省略する。前述のように側面固定突起74の先端側の縁は面取りされているため、第2固定孔59の縁で引っ掛かりにくい。
【0071】
その後、弾性復帰により第1固定突起73が元の形状に戻り、先端の抜け止めが機能する状態になる。同時に、台座70がカバー52の底部に向けて引き込まれ、
図27に示すように側面固定突起74が第2固定孔59に係合する。以上により、内視鏡用キャップ50が完成する。
【0072】
本実施の形態によると、側面固定突起74の操作部側の端面が、第2固定孔59の内面に突き当てられている。突き当て部には摩擦力が作用するため、輸送中および保管中の衝撃等により、カバー52と台座70とが外れることを防止できる。
【0073】
突き当て部により、台座70が先端側に向けて付勢されていることにより、カバー52と台座70とが外れることをさらに効果的に防止できる。
【0074】
本実施の形態によると、先端部31への取付作業および取り外し作業の際に、カバー52と台座70とが外れにくい内視鏡用キャップ50を提供できる。
【0075】
台座70をカバー52の底部に向けて押し込む動作により、第1固定突起73と台座固定孔57との係合、および、側面固定突起74と第2固定孔59との係合の両方が行われるため、組み立てが容易な内視鏡用キャップ50を提供できる。組み立てが容易であるため、量産に適した、すなわち、シングルユースに適した内視鏡用キャップ50を提供できる。
【0076】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
10 内視鏡
12 軟性部
13 湾曲部
20 操作部
21 起上操作レバー
22 チャンネル入口
23 湾曲ノブ
24 起上ワイヤ
29 第3係合部
30 挿入部
31 先端部
321 第1平面部
322 第2平面部
323 第3平面部
33 光学収容部
34 チャンネル
35 チャンネル出口
36 観察窓
37 照明窓
38 ノズル
40 処置具
41 処置具先端部
451 第1台座支持部
452 第2台座支持部
453 台座配置面
46 第1係合部
49 突出部
50 内視鏡用キャップ
52 カバー
53 窓部
54 符号表示部
56 開口端部
57 台座固定孔(第1固定孔)
58 第2固定突起
59 第2固定孔
60 レバー
61 起上台連結部
64 回動連結部
65 ワイヤ固定部
66 蓋ねじ
67 レバー室蓋
68 支持壁
69 レバー室
70 台座
73 第1固定突起(底部固定突起)
74 側面固定突起
76 起上台取付孔
761 フランジ孔
77 第1壁(支持壁)
78 第2壁
79 第3壁(先端壁)
80 起上台
81 レバー連結部
82 起上台軸
83 起上部
831 第1起上部
832 第2起上部
84 窪み部
85 フランジ
95 土台部
96 係合溝