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特許7237817飲料分野及び背景を調製するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】飲料分野及び背景を調製するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20230306BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A47J31/06 220
A47J31/36 122
A47J31/36 124
A47J31/06 323
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019505446
(86)(22)【出願日】2017-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 NL2017050513
(87)【国際公開番号】W WO2018026273
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】2017284
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】オジンク,ジューディス マーグリート ハネケ
(72)【発明者】
【氏名】リジスカンプ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】コルネリッセン,マルヤン
(72)【発明者】
【氏名】コーイケル,クラース
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-545412(JP,A)
【文献】特表2004-514488(JP,A)
【文献】国際公開第2015/155145(WO,A1)
【文献】特表2006-528507(JP,A)
【文献】特表2012-501781(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0059587(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
A47J 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費用飲料を調製するためのシステム(1)であって、交換可能な第1のカプセル(4A)又は第2のカプセル(4B)を選択的に保持するための空洞(24)を有する第1の淹出チャンバ部分(18)を含む装置(2)を含み、
前記第1のカプセル(4A)は、第1の出口領域(13A)が取り付けられた第1の本体(6A)を有し、前記第2のカプセル(4B)は、第2の出口領域(13B)が取り付けられた第2の本体(6B)を有し、前記第2の出口領域(13B)は、前記第1の出口領域(13A)の直径(D)よりも大きい直径(D)を有し、
前記装置は、前記第1のカプセル又は前記第2のカプセルの周囲で前記第1の淹出チャンバ部分(18)を閉じるための、第2の淹出チャンバ部分(20)を更に含み、前記第2の淹出チャンバ部分(20)は、前記第1の出口領域(13A)又は第2の出口領域(13B)に対して当接するための抽出プレート(30)を有し、前記抽出プレート(30)は、前記第1のカプセルの前記第1の出口領域または前記第2のカプセルの前記第2の出口領域を介して飲料を抽出するように構成され
前記抽出プレート(30)は中央部分(32)と周辺部分(34)とを備え、前記中央部分(32)は、前記周辺部分(34)に相対的に、前記第2の淹出チャンバ部分(20)の軸方向において、延びた第1の淹出位置に又は引き込んだ第2の淹出位置に移動可能であり、
前記中央部分(32)は、前記空洞(24)が淹出中に前記第1のカプセル(4A)を保持しているときに、前記延びた第1の淹出位置において、前記空洞(24)中へ延びて前記第1の出口領域(13A)に対して当接するように構成されており、かつ
前記中央部分(32)および前記周辺部分(34)は、前記空洞(24)が淹出中に前記第2のカプセル(4B)を保持しているときに、前記引き込んだ第2の淹出位置において前記第2の出口領域(13B)に対して当接するように構成されて、前記第1のカプセル(4A)の前記第1の出口領域は、前記空洞が前記第1のカプセルを保持している時に、前記空洞が前記第2のカプセルを保持するときの前記第2のカプセル(4B)の前記第2の出口領域よりも、より前記空洞内へと窪んでいる、
前記システム(1)。
【請求項2】
前記空洞(24)が淹出中に前記第1のカプセル(4A)を保持しているときに、前記周辺部分(34)が前記第1の淹出チャンバ部分(18)に対して当接するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記中央部分(32)は準備位置から前記引き込んだ第2の淹出位置まで移動可能である、請求項1から2のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項4】
前記中央部分(32)は前記準備位置内で付勢されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2のカプセル(4B)は、前記中央部分(32)を前記準備位置から前記引き込んだ第2の淹出位置まで移動させるように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のカプセル(4A)は、前記中央部分(32)を前記準備位置から前記延びた第1の淹出位置まで移動させるように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の淹出チャンバ部分(18)は前記第2の淹出チャンバ部分(20)に向けて移動されるように構成されており、前記第1の淹出チャンバ部分(18)は前記第2のカプセル(4B)を前記中央部分(32)に対して押し付ける、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のカプセルの軸方向の長さ(L)は、前記第1のカプセルの軸方向の長さ(L)よりも長い、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の淹出チャンバ部分(18)は前記空洞(24)内に実質的に環状の第1の当接面(26)を有し、前記第1の当接面(26)は、前記空洞(24)が前記交換可能な第1のカプセル(4A)を保持するときに、前記第1のカプセル(4A)のフランジ状の第1のリム(14A)に対して当接するように構成されており、前記第1の淹出チャンバ部分(18)は実質的に環状の第2の当接面(28)を有し、前記第2の当接面(28)は、前記空洞(24)が前記交換可能な第2のカプセル(4B)を保持するときに、前記第2のカプセル(4B)のフランジ状の第2のリム(14B)に対して当接するように構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記実質的に環状の第1の当接面(26)と前記実質的に環状の第2の当接面(28)は互いに対して不動である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記実質的に環状の第1の当接面(26)は、前記実質的に環状の第2の当接面(28)から前記第1の淹出チャンバ部分(18)の軸方向に間隔を空けて配置されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記空洞(24)が前記第1のカプセル(4A)を保持するときに、前記延ばした第1の淹出位置において前記抽出プレート(30)の前記中央部分をロックするためのロック機構(86)を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ロック機構(86)は、前記空洞(24)が前記第2のカプセル(4B)を保持するときに、前記引き込んだ第2の淹出位置において前記抽出プレート(30)の前記中央部分(32)のロックを解除するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の淹出チャンバ部分は、前記ロック機構(86)を作動させるためのアクチュエータ(98)を含む、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ロック機構(86)は、前記第1の淹出チャンバ部分(18)を前記第2の淹出チャンバ部分(20)に押し当てて閉じている間に作動される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムは、前記第1の淹出チャンバ部分(18)を前記第2の淹出チャンバ部分(20)に押し当てて閉じている間に、前記空洞(24)が第2のカプセル(4B)を保持しているとき、前記第1の淹出チャンバ部分(18)が前記ロック機構(86)を作動させる前に、前記中央部分(32)が前記第2のカプセル(4B)によって前記ロック機構(86)を越えるまで押されるように構成されている、請求項12~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、前記第1の淹出チャンバ部分(18)を前記第2の淹出チャンバ部分(20)に押し当てて閉じている間に、前記空洞(24)が前記第1のカプセル(4A)を保持しているとき、前記第1のカプセル(4A)によって前記中央部分が前記ロック機構(86)を越えるまで押される前に、前記第1の淹出チャンバ部分(18)が前記ロック機構(86)を作動させるように構成されている、請求項12~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記抽出プレート(30)の前記中央部分が延ばした位置と引き込んだ位置との間の所定の位置を通過したことを判定するように構成されたセンサを含み、前記カプセルに供給される流体のパラメータを制御するように構成された流れ制御ユニットを含み、前記流れ制御ユニットは、前記抽出プレート(30)の前記中央部分が前記延ばした位置と前記引き込んだ位置との間の前記所定の位置を通過したと前記センサが判定したときに、第1のモードでの動作から第2のモードでの動作への切り替えを行うように構成されている、請求項1~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記中央部分(32)は、前記第1のカプセル(4A)を保持するための淹出チャンバを形成するときに、前記中央部分(32)と前記第1の淹出チャンバ部分(18)との間に流体封止係合部を提供するように構成された第1の封止部材(120)を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記周辺部分(34)は、前記第2のカプセル(4B)を保持するための淹出チャンバを形成するときに、前記周辺部分(34)と前記第1の淹出チャンバ部分(18)との間に流体封止係合部を提供するように構成された第2の封止部材(122)を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
消費用飲料を調製するための方法であって、交換可能な第1のカプセル(4A)又は第2のカプセル(4B)を選択的に保持するための空洞(24)を有する第1の淹出チャンバ部分(18)を含む装置(2)を準備することを含み、
前記第1のカプセル(4A)は、第1の出口領域(13A)が取り付けられた第1の本体(6A)を有し、前記第2のカプセル(4B)は、第2の出口領域(13B)が取り付けられた第2の本体(6B)を有し、前記第2の出口領域(13B)は、前記第1の出口領域(13A)の直径(D)よりも大きい直径(D)を有し、
前記装置は、前記第1のカプセル又は前記第2のカプセルの周囲で前記第1の淹出チャンバ部分(18)を閉じるための、第2の淹出チャンバ部分(20)を更に含み、前記第2の淹出チャンバ部分(20)は、前記第1の出口領域(13A)又は前記第2の出口領域(13B)に対して当接するための抽出プレート(30)を有し、前記抽出プレート(30)は、前記第1のカプセルの前記第1の出口領域または前記第2のカプセルの前記第2の出口領域を介して飲料を抽出するように構成され
前記抽出プレート(30)は中央部分(32)と周辺部分(34)とを備え、前記中央部分(32)は前記周辺部分(34)に相対的に、前記第2の淹出チャンバ部分(20)の軸方向において、延びた第1の淹出位置又は引き込んだ第2の淹出位置に移動可能であり、
前記中央部分(32)は、前記空洞(24)が淹出中に前記第1のカプセル(4A)を保持しているときに、前記延びた第1の淹出位置において、前記空洞(24)中へ延びて前記第1の出口領域(13A)に対して当接するように構成されており、
前記中央部分(32)は、前記空洞(24)が淹出中に前記第2のカプセル(4B)を保持しているときに、前記引き込んだ第2の淹出位置において前記第2の出口領域(13B)に対して当接するように構成されており、かつ
前記周辺部分(34)は、前記空洞(24)が淹出中に前記第2のカプセル(4B)を保持しているときに、前記第2の出口領域(13B)に対して当接するように構成されて、前記第1のカプセル(4A)の前記第1の出口領域は、前記空洞が前記第1のカプセルを保持している時に、前記空洞が前記第2のカプセルを保持するときの前記第2のカプセル(4B)の前記第2の出口領域よりも、より前記空洞内へと窪んでいる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、飲料を調製するためのシステムに関する。本発明は、飲料を調製するための装置及び方法にも関する。より特定的には、本発明は、カプセルを用いて飲料を調製するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
淹出装置において、原材料、例えば挽いたコーヒー豆を含むカプセルを用いて、コーヒーなどの飲料を便利に調製することができる。カプセルは、所定量の飲料を生成するという目的に合わせて設計されていてもよい。例えば、知られている量の原材料がカプセル内に提供され、この原材料は、装置によって、知られている量の液体、例えば熱湯と混合されることになる。しかしながら、時には飲料を標準とは異なる量で提供することが、望ましい場合がある。代わりに又は加えて、例えばより強いコーヒーを得るために、原材料を増量することが望ましい場合がある。代わりに又は加えて、原材料の量及び/又は体積が異なり得る、様々な種類の飲料を提供することが望ましい場合がある。原材料の増量を可能にするためには、カプセルの標準的なサイズでは不十分な場合があり、より大きいカプセルを提供することが望ましい場合がある。原材料の量に関して選択ができるようにしておくために、淹出システムは好ましくは、原材料を貯蔵するための容積が可変である様々な種類のカプセルを許容し得る。
【0003】
例えば、国際特許公開第WO2015/004613A1号には、飲料を調製するためのシステムが記載されている。この知られているシステムは、外向きに突出する横断方向のフランジを有しかつそれぞれの軸方向長さの異なる、少なくとも第1の種類のカプセル及び第2の種類のカプセルを備える。知られているシステムは淹出ユニットを備え、この中に、上記のチャンバに導入される上記の種類のカプセルを受け入れるための、側方画定部及び摺動可能な端部画定部を備える容積可変の淹出チャンバが画定されている。知られているシステムは、上記の様々な種類のカプセルが対応する様々な形状のフランジを有し、淹出チャンバの上記の端部画定部は、カプセルが淹出チャンバに導入されるときに上記の様々な種類のカプセルのフランジに結合されるように適合された停止手段を有し、この結果、上記のチャンバの側方画定部に対する端部画定部の対応する様々な相対移動が可能になることを特徴としている。
【0004】
しかしながら、単にフランジの形状を変更するだけでは、様々なカプセルからの様々な量の流体の効率的な抽出が得られない場合がある。更に、形状が様々であるカプセルを提供することが望ましくない場合がある。例えば、形状によっては、カプセルの望まれる外観を損ない、カプセルの取り回しを困難にする場合がある。不規則な形状の使用はまた、装置内にカプセルをより精確に置くための労力を、更に増す場合がある。先行技術の利点のうちの少なくともいくつかを維持しながら、その1つ以上の欠点を解消できる淹出システムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
一態様によれば、本開示は、(人が)消費するのに好適な飲料を調製するためのシステムを提供する。システムは装置を備え、任意選択的に、装置内に収まるように特定的に適合される、原材料を含む1つ以上の種類の対応するカプセルを含んでもよく、この逆も成り立つ。装置は通常、淹出チャンバを備える。本明細書に記載するような淹出チャンバは、原材料、例えば挽いたコーヒー豆を含むカプセルを受け入れるように構成される。例えば、カプセルは、熱湯を原材料と混合して飲料を生成することが可能になるように、淹出チャンバ内で穿孔される。
【0006】
好ましくは、淹出チャンバは、カプセルの周囲で閉じられて淹出チャンバを形成する、2つ以上の部分を備える。例えば、第1の淹出チャンバ部分は交換可能なカプセルを保持するための空洞を備え、一方、第2の淹出チャンバ部分は、第1の淹出チャンバ部分と協働して、例えば第1の淹出チャンバ部分を閉じてもよい。カプセルは通常、出口領域、例えば原材料が抽出される際に通る出口面を有する、本体を備える。淹出チャンバ部分のうちの1つは、カプセルの出口領域に対して当接する抽出プレートを有してもよい。抽出プレートは、カプセルの出口領域を介して、例えば抽出プレートの孔を通して、飲料を抽出するように構成されてもよい。
【0007】
好ましくは、淹出チャンバを形成する部分は、様々な種類の、例えば原材料を保持するための様々な容積を有するカプセルを取り扱うように適合される。特に、カプセルは例えば、あるカプセルの出口領域の直径が、別のカプセルの直径と比較してより大きいという形で、異なっていてもよい。これに応じて、抽出プレートは、第1の直径の出口領域を有するか又は第2の(より大きい)直径の出口領域を有するカプセルからの抽出を取り扱うように構成されてもよい。更に、抽出プレートは、中央部分と周辺部分とを備えていてもよく、中央部分は周辺部分に対して好ましくは軸方向に移動可能である。
【0008】
抽出プレートが中央部分と周辺部分とを備えていることにより、抽出プレートのサイズをカプセルの出口領域の直径に適合させることができる。例えば、空洞が比較的小さい(例えば標準的な)直径を有する第1のカプセルを保持するとき、抽出プレートの中央部分は出口領域に当接してもよく、一方で周辺部分は例えば、第1の淹出チャンバ部分に対して当接してもよい。逆に、空洞が比較的直径の大きい第2のカプセルを保持するとき、抽出プレートの周辺部分は、中央部分の代わりに又は中央部分に加えて、第2の出口領域に対して当接してもよい。例えば、流れの制限を低減可能にし得る、より大きい抽出面を提供してもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、抽出プレートには、飲料の通過を可能にする1つ以上の開口を設けてもよい。この開口は、例えば中央部分内に、好ましくは更に周辺部分内に、配設されてもよい。代わりに又は加えて、抽出プレートの1つ以上の部分は、出口領域の引き裂きを容易にするための1つ以上のレリーフ要素を備えてもよい。例えば、尖った物体を使用して出口領域の1つ以上の位置に穿孔し、そこを通して液体を抽出してもよい。レリーフ要素を開口と組み合わせてもよく、例えば、1つ以上のレリーフ要素を開口を通して延ばして又は引き込んで、カプセルの出口領域を穿孔してもよい。いくつかの実施形態では、淹出チャンバ部分は、様々な位置の間で移動可能であってもよい。これらの位置は、所望の方向に偏位されていてもよい。例えば、第1の淹出チャンバ部分は第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、この場合、第1の淹出チャンバ部分は、カプセルを第2の淹出チャンバ部分に向かって付勢するように構成された第1の付勢部材を含む。例えば、第2の淹出チャンバ部分は第3の位置と第4の位置との間で移動可能であり、この場合、第2の淹出チャンバ部分は、第2の淹出チャンバを第1の淹出チャンバ部分に向かって付勢するように構成された第2の付勢部材を備える。代わりに又は加えて、穿孔プレートに向けたカプセルの付勢を制御する付勢部材を提供してもよいか、又はこの逆が成り立つ。付勢部材の相対的な剛直性を設定することによって、穿孔シークエンスを、例えば、カプセルを穿孔する前にまず淹出チャンバを閉じるように及び/又は加圧された液体を加えるときにカプセルの穿孔だけを行うように、制御できることが理解されよう。
【0010】
場合により、第1の淹出チャンバ部分の空洞は、第1のカプセル又は第2のカプセルを受け入れるように構成されている。第1の淹出チャンバ部分の空洞は、第1のカプセル又は第2のカプセルを保持するように構成された所定の空洞であってもよい。空洞は、第1のカプセル又は第2のカプセルを保持するために不変の形状を有していてもよい。第1の淹出チャンバ部分は、第1の淹出チャンバ部分の構造を変えることなく第1のカプセル又は第2のカプセルを保持するように構成されていてもよい。第1の淹出チャンバ部分は、モノリス部分であってもよい。
【0011】
通常は、装置は、調製後に飲料が流出することになる出口を備える。例えば、カプセルにその底部を介して穿孔した孔を通って、熱湯などの液体が流れてもよい。水を、例えば圧力下で、カプセル内の原材料と混合することができる。カプセル内の原材料を含む液体は、例えば抽出プレートを介して抽出できる飲料を形成し得る。例えば、液体は、カプセルから出て、抽出プレートを通り、装置の飲料出口まで流れる。カプセルに液体を供給するために、装置は、流体分注デバイスを備えてもよい。流体分注デバイスは、交換可能なカプセルのうちの選択した1つにある量の流体、例えば水を圧力下で供給し、これにより、そのそれぞれの出口領域がレリーフ要素上に押し付けられてそれぞれの出口領域が開かれるように、構成されていてもよい。液体の量は、カプセルの種類、例えばサイズに適合されてもよい。好ましくは、抽出プレートと第2のカプセルの第2の(より大きい)出口領域は、第2の出口領域の開放時の流れ抵抗が第1の(より小さい)出口領域の開放時の流れ抵抗よりも小さくなるように、互いに適合されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、中央部分は、(カプセルを受け入れる)準備位置から第1の淹出位置又は第2の淹出位置まで移動可能であってもよく、これらの位置は、どのカプセルを受け入れるかに応じて異なる位置であり得る。更に、中央位置は通常、第1の淹出位置及び第2の淹出位置とは異なり得る準備位置において付勢されていてもよい。少なくとも抽出プレートの中央部分の様々な位置を可能にすることにより、システムは、カプセルの様々な軸方向の長さにも適合するように、より汎用性が高くなり得る。例えば、第2のカプセルの軸方向の長さは、例えば同じ又は同様の直径対長さの比を維持するように、第1のカプセルの軸方向の長さよりも長くすることができる。好ましくは、カプセルは、カプセルの底部からカプセルの蓋まで延びる軸線を中心にして実質的に回転対称である。この場合、カプセルを淹出チャンバ内にどのように置くかは問題にならない。
【0013】
いくつかの実施形態では、それぞれカプセルの出口領域は、空洞が第2のより大きいカプセルを保持するときよりも、第1のカプセルを保持するときに、より空洞内へと窪んでいてもよい。これに応じて、第1の淹出チャンバ部分及び第2の淹出チャンバ部分が第2のカプセルの周囲で閉じられるとき、中央部分は、第2の淹出位置において第2の出口領域に対して当接してもよい。代わりに又は加えて、第1の淹出チャンバ部分及び第2の淹出チャンバ部分が第1のカプセルの周囲で閉じられるとき、中央部分は、第1の淹出位置において第1の出口領域に対して当接してもよい。それぞれのカプセルの出口領域が様々な深さで窪むことを可能にすることによって、カプセルの後端部の機構を適合させる必要性を下げることができる。例えば、カプセルの底部に穿孔するための機構を、カプセルの様々なサイズに適合させる必要はない。
【0014】
いくつかの実施形態は、第1のカプセルが中央部分を準備位置から第1の淹出位置まで移動させ、第2のカプセルが中央部分を準備位置から第2の淹出位置まで移動させるように、適合されていてもよい。例えば、第1の淹出チャンバ部分が第2の淹出チャンバ部分に向けて移動されるように構成されているとき、第1の淹出チャンバ部分は、第1のカプセル又は第2のカプセルを中央部分に対して押し付けてもよく、例えばこの場合、中央部分は様々な位置においてロックされている。例えば、カプセルの異なる直径によって、異なるロック機構が機械的にトリガされてもよい。
【0015】
一実施形態では、空洞が第1のカプセルを保持するときに、ロック機構は、延ばした第1の淹出位置において抽出プレートの中央部分をロックしてもよい。代わりに又は加えて、ロック機構は、空洞が第2のカプセルを保持するときに抽出プレートの中央部分を第2の淹出位置において提供するために、ロック機構を解除又は回避するように構成されてもよい。ロック機構はまた逆に機能してもよく、例えば、第2の位置ではロックし、第1の位置では解除する。また、カプセル出口面の直径に応じて各々が異なる位置でロックするための、複数のロック機構を提供してもよい。直径に応じてロック位置を変えることによって、同じ形状の、例えば直径の異なる形状円形形状の、フランジを使用することができる。
【0016】
場合により、例えば第1の淹出チャンバ部分を第2の淹出チャンバ部分に押し当てて閉じている間にロック機構を作動させるための、アクチュエータが提供されてもよい。一実施形態では、第2のカプセルを保持しながら第1の淹出チャンバ部分を第2の淹出チャンバ部分に押し当てて閉じるときに、第1の淹出チャンバ部分がロック機構を作動させる前に、第2のカプセルによって中央部分をロック機構を越えるまで押してもよい。更なる実施形態では、第1のカプセルを保持しながら第1の淹出チャンバ部分を第2の淹出チャンバ部分に押し当てて閉じるときに、第1のカプセルによって中央部分がロック機構を越えるまで押される前に、第1の淹出チャンバ部分がロック機構を作動させる。例えば、ロック機構は、カプセル直径に応じてロック機構を開閉できる枢動可能な指部として設計された、ロッカーを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、カプセルは出口領域の周囲にフランジ状のリムを有する。直径が異なる出口領域を有するカプセルを使用するとき、フランジ状のリムの直径も異なっていてよい。空洞は、1つ、2つ、又はそれ以上の異なる直径のカプセルを許容するように適合されていてもよい。空洞を適合することには、例えば、空洞内で当接面が様々な(軸方向の)位置にあること及び/又は様々な直径を有することが含まれ得る。例えば、空洞は、空洞が第1のカプセルを保持するときに第1のカプセルのフランジ状の第1のリムに対して当接するように構成された、実質的に環状の第1の当接面を有してもよい。代わりに又は加えて、空洞は、(より大きい直径を有する)第2のカプセルのリムに対して当接するように構成された、第2の当接面を有してもよい。例えば、実質的に環状の第2の当接面は、空洞の開放端に配置されている。第1の当接面は第2の当接面から第1の淹出チャンバ部分の軸方向に間隔を空けて配置されてもよく、例えば、開口端から更に空洞内へと窪んでいてもよい。好ましくは、第1の当接面と第2の当接面は、互いに対して不動である。これにより構造的な完全性が改善される。
【0018】
いくつかの実施形態では、センサは、抽出プレートの中央部分が延ばした位置と引き込んだ位置との間の所定の位置を通過したことを判定するように構成されていてもよい。例えば、カプセルの種類を、中央部分の位置を測定することによって判定してもよい。システムのいくつかの部分を、淹出チャンバに挿入されるカプセルの種類についての情報に従って適合させてもよい。例えば、流れ制御ユニットは、カプセルに供給される流体のパラメータを制御するように構成されていてもよい。場合によっては、流れ制御ユニットは、中央の抽出プレートが延ばした位置と引き込んだ位置との間の所定の位置を通過したとセンサが判定したときに、第1のモードでの動作から第2のモードでの動作への切り替えを行うように構成されていてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、カプセルは様々なサイズを有し、例えば、第2のカプセルは第1のカプセルよりも大きい。様々なサイズのカプセルを用いるいくつかの実施形態では、第1の淹出チャンバ部分は、空洞が第1のカプセルを保持するときに第1のカプセルによって占有されない第1の容積を有し、この第1の容積は、空洞が第2のカプセルを保持するときに第2のカプセルの一部を保持するように構成されている。代わりに又は加えて、第1の淹出チャンバ部分は、空洞が第2のカプセルを保持するときに第2のカプセルによって占有されない第2の容積を有し、この第2の容積は、空洞が第1のカプセルを保持するときに第2の淹出チャンバ部分を受け入れるように構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の淹出チャンバ部分と第1のカプセルは、第1のカプセルを空洞内に装填したときに第1のカプセルのフランジ状の第1のリムが空洞の内周壁と係合するように、互いに適合される。代わりに又は加えて、第1の淹出チャンバ部分と第2のカプセルは、第2のカプセルを空洞内に装填したときに第2のカプセルの外側部分が空洞の内周壁と係合するように、互いに適合される。したがって、空洞を特定のカプセルに適合させることができることが、理解されよう。
【0021】
いくつかの実施形態では、中央部分は、第1のカプセルを保持するための淹出チャンバが形成するときに、中央部分と第1の淹出チャンバ部分との間に流体封止係合部を提供するように構成された、第1の封止部材を含む。代わりに又は加えて、周辺部分は、第2のカプセルを保持するための淹出チャンバが形成するときに、周辺部分と第1の淹出チャンバ部分との間に流体封止係合部を提供するように構成された、第2の封止部材を含む。これにより、様々なカプセルを十分に封止することが可能になり得る。
【0022】
本開示の他の又は更なる態様では、本明細書に記載するようなシステムを、消費用飲料を調製するための方法において使用してもよい。例えば、方法は、例えばサイズの異なる本明細書に記載するような交換可能な第1のカプセル又は第2のカプセルを選択的に保持するための空洞を有する第1の淹出チャンバ部分を含む装置を準備することを含む。動作中、第1の淹出チャンバ部分は、第2の淹出チャンバ部分と係合することによって閉じられてもよい。好ましくは、第2の淹出チャンバ部分は、それぞれのカプセルの出口領域に対して当接する抽出プレートを有する。より好ましくは、抽出プレートは中央部分と周辺部分とを含み、中央部分は周辺部分に対して移動可能であるか、又はこの逆が成り立つ。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1のカプセルは装置に挿入され、消費用飲料を調製するために使用される。他の又は更なる実施形態では、第2の(より大きい)カプセルは、装置に挿入され、消費用飲料を調製するために使用される。調製方法は例えば、淹出チャンバ内のカプセルに圧力下で流体を供給することを含んでもよい。好ましくは、出口領域は抽出プレートに対向して開口している。例えば、カプセル内の圧力の上昇により、出口領域が抽出プレート上に設けられたレリーフ要素に押し付けられて引き裂かれ、カプセルから飲料が出ることが可能になる。
【0024】
ある態様によれば、本明細書に記載するようなシステムの装置が提供される。
【0025】
ある態様によれば、本明細書に記載するような、カプセル、並びに第1のカプセル及び第2のカプセルの組が提供される。
【0026】
システムを考慮して説明された実施形態、態様、特徴及び任意選択肢のいずれも、装置、カプセル及び方法に等しく適用されることが理解されよう。上記の実施形態、態様、特徴及び任意選択肢任意の1つ以上を組み合わせることができることも明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、図面に表される例示的な実施形態を基礎にして更に明らかになるであろう。例示的な実施形態は、非限定的な例示によって与えられる。なお、図面は、非限定例として与えられる本発明の実施形態の、概略的な表現に過ぎない。
【0028】
図において、
図1A】飲料を調製するためのシステムの断面図を示す。
図1B】飲料を調製するためのシステムの断面図を示す。
図2A】それぞれ、淹出チャンバを閉じるためのレバー機構の斜視図及び部分透視図を示す。
図2B】それぞれ、淹出チャンバを閉じるためのレバー機構の斜視図及び部分透視図を示す。
図3A】第1のカプセルが挿入されたときのロック機構の機能の断面図を示す。
図3B】第1のカプセルが挿入されたときのロック機構の機能の断面図を示す。
図4A】第2のカプセルが挿入されたときのロック機構の機能の断面図を示す。
図4B】第2のカプセルが挿入されたときのロック機構の機能の断面図を示す。
図5A】拘束リングの機能を示す。
図5B】拘束リングの機能を示す。
図5C】拘束リングの機能を示す。
図6A】抽出中に淹出チャンバ内に第1のカプセル又は第2のカプセルが存在することを示す。
図6B】抽出中に淹出チャンバ内に第1のカプセル又は第2のカプセルが存在することを示す。
図7A】カプセルの排出を促進するために、第1の淹出チャンバ部分が下向きに旋回し得る方法を示す。
図7B】カプセルの排出を促進するために、第1の淹出チャンバ部分が下向きに旋回し得る方法を示す。
図8A】それぞれ、淹出チャンバに挿入された第1のカプセル又は第2のカプセルを示す。
図8B】それぞれ、淹出チャンバに挿入された第1のカプセル又は第2のカプセルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1A及び図1Bは、飲料を調製するためのシステム1の概略断面図を示す。システムは、装置2と交換可能なカプセルとを含む。ここで、システム1は、第1のカプセル4A及び第2のカプセル4Bと協働するように構成されている。図1A及び図1Bに示す装置2は、1つの同じ装置である。装置2は、第1のカプセル4A(図1A参照)又は第2のカプセル4B(図1B参照)のいずれかと選択的に協働するように構成されている。システム1は、装置2と、第1のカプセル4Aと、第2のカプセル4Bとを含んでいてもよいことが理解されよう。
【0030】
第1のカプセル4A及び第2のカプセル4Bは、異なる種類のものである。この例では、第2のカプセル4Bは、第1のカプセル4Aよりも大きい。第2のカプセル4Bの軸方向の長さLは、第1のカプセル4Aの軸方向の長さLよりも長い。第2のカプセル4Bの直径Dは、第1のカプセル4Aの直径Dよりも大きい。例えば、第2のカプセル4Bの直径Dは第1のカプセル4Bの直径Dの1.05~2倍であり、好ましくはDの1.1~1.5倍、より好ましくはDの1.1~1.3倍であり、例えば、D=1.2、すなわち約20パーセント大きい。
【0031】
この違いにもかかわらず、この例では、第1のカプセル4Aと第2のカプセル4Bは、同様の視覚的印象を与えるように設計されている。第1のカプセル4Aと第2のカプセル4Bは、良く知られた見た目と触感を有するように設計されている。ここで、第1のカプセル4Aの軸方向の長さと直径の比L/Dは、第2のカプセル4Bの軸方向の長さと直径の比L/Dと実質的に同じである。好ましくは、第1のカプセル及び第2のカプセルの直径に対する長さの比は、20%以内、好ましくは10%以内で同一であり、例えば、同一である。直径を大きくしつつ(D>D)、比率は同じ又は同様に維持する(L/D~L/D)ことにより、原材料を保持するためのより一層大きい容積がもたらされることが理解されよう。例えば、直径を20パーセント大きくすれば、70パーセント超(1.2^3=1.728)の容積の増大がもたらされ得る。
【0032】
類似性を考慮して、両方のカプセル4A、4Bをここで同時に説明する。この例では、カプセル4A、4Bの両方がカップ形状本体6A、6Bを含む。ここで、カップ形状本体6A、6Bは、底部8A、8Bと周壁10A、10Bとを含む。底部8A、8B及び周壁10A、10Bは、モノリス部分を形成していてもよい。カプセル4A、4Bは、いずれも蓋12A、12Bを含む。蓋12A、12Bは、カップ形状本体6A、6Bの開放端を閉じる。蓋12A、12Bは出口領域13A、13B、例えば平坦な出口面を含み、以下に説明するように、この出口領域を通り、飲料をカプセルから放出することができる。この例では、蓋12A、12Bは、カプセル4A、4Bのフランジ状のリム14A、14Bに接続している。ここで、リム14A、14Bは、外向きに延びているリムである。底部8A、8B、周壁10A、10B、及びリム14A、14Bは、モノリス部分を形成していてもよい。ここで、出口領域13A、13Bは、蓋12A、12Bの領域のうち、飲料が潜在的にカプセル4A、4Bから出て行くことができる領域を画定する。したがって、リム14A、14Bに対して封止された蓋12A、12Bの領域は、出口領域13A、13Bの部分を構成しない。この例では、カプセル4A、4Bは、底部8A、8Bから蓋12A、12Bまで延びる軸線を中心にして実質的に回転対称である。カップ形状本体6A、6Bと蓋12A、12Bは、カプセルの内部空間16A、16Bを取り囲む。内部空間16A、16Bは、ある量の飲料原材料、例えば抽出可能な物質又は可溶性物質を含む。飲料原材料は、例えば、ローストして挽いたコーヒー豆、茶葉、などであり得る。飲料原材料は、粉末状コーヒーであってもよい。飲料原材料は、液体であってもよい。カプセル4A、4Bのサイズの違いを考慮すると、第2のカプセル4Bは第1のカプセル4Aよりも多量の飲料原材料を含み得ることが理解されよう。この例では、第2のカプセル4Bの内部空間16Bは、第1のカプセル4Aの内部空間16Aの約2倍である。例えば、第1のカプセル4Aは、4~8グラム、例えば、約6グラムの挽いたコーヒー豆を含んでいてもよい。例えば、第2のカプセル4Bは、8~16グラム、例えば、約12グラムの挽いたコーヒー豆を含んでいてもよい。
【0033】
カップ形状本体6A、6Bは、アルミニウム箔などの金属箔、ポリプロピレン又はポリエチレンなどのプラスチック材料、あるいはこれらの組み合わせから製造できる。カップ形状本体6A、6Bは、プレス加工、深絞り、真空成形、射出成形などによって製造できる。この蓋は、アルミニウム箔などの金属箔、ポリプロピレン又はポリエチレンなどのプラスチック材料、あるいはこれらの組み合わせから製造できる。この例では、カプセル4A、4Bは、いわゆる閉じたカプセルである。これは、装置に挿入する前に密閉して閉じられたカプセルを指す。この閉じたカプセルは、以下に記載するように、装置によって開けることができる。代わりに、封止されていないカプセル又は再充填可能なカプセルも使用可能である。
【0034】
装置は、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20とを含む。第1の淹出チャンバ部分18及び第2の淹出チャンバ部分20を互いに閉じ合わせて、淹出チャンバ22A、22Bを形成することができる(図1A図1Bには示されていない)。
【0035】
第1の淹出チャンバ部分18は、空洞24を含む。空洞24は、第1のカプセル4A又は第2のカプセル4Bを受け入れるように構成されている。ここでは、第1の淹出チャンバ部分18の空洞24は、第1のカプセル4A又は第2のカプセル4Bを保持するように構成された、所定の空洞24である。ここで、空洞24は、第1のカプセル4A又は第2のカプセル4Bを保持するための、不変の形状を有している。ここで、第1の淹出チャンバ部分18は、第1の淹出チャンバ部分18の構造を変えることなく第1のカプセル4A又は第2のカプセル4Bを保持するように構成されている。この例では、第1の淹出チャンバ部分18は、モノリス部分である。この例では、第1の淹出チャンバ部分18は、第1の当接面26を含む。第1の当接面は、空洞24の内部に位置する。ここで、第1の当接面26は、第1のほぼ環状の当接面である。第1のほぼ環状の当接面26は、連続して環状であってもよく、又は、中断された環状、例えば、環に沿って複数のセグメントを含むものであってもよい。第1の当接面26は、空洞22の中に突き出た、例えばアーチ状の、1つ以上の隆起部の形状とってもよい。ここで、第1の当接面26は、空洞22に階段状の形状を与える。この例では、第1の淹出チャンバ部分18は、第2の当接面28を含む。第2の当接面は、空洞24の開放端付近に位置する。ここで、第2の当接面28は、第2のほぼ環状の当接面である。第2のほぼ環状の当接面28は、連続して環状であってもよく、又は中断された環状、例えば、環に沿って複数のセグメントを含むものであってもよい。第2の当接面28は、例えばアーチ状の、1つ以上の隆起部の形状をとってもよい。第1の当接面26と第2の当接面28は、第1の淹出チャンバ部分18の軸方向に、互いに距離を空けて配置されていることが理解されよう。第1の当接面26と第2の当接面とは一定の間隔で配置されている。第1の当接面26と第2の当接面は、互いに対して不動である。ここで、第1の淹出チャンバ部分18は、エジェクタ38を含む。この例では、エジェクタ38は、円錐形リング及び/又は弾性要素42、ここでは螺旋ばねを含む。第1の淹出チャンバ部分18は、カプセルの底部を穿孔するための穿孔手段44を含む。ここで、穿孔手段は、複数のナイフ、例えば3つのナイフを含む。
【0036】
第2の淹出チャンバ部分20は、抽出プレート30を含む。この例では、抽出プレート30は、中央部分32と周辺部分34とを含む。中央部分32は、周辺部分34に対して移動可能である。ここで、中央部分32は、第2の淹出チャンバ部分20の軸方向に移動可能である。
【0037】
ここまで記載したようなシステム1を、以下のように飲料を調製するために使用することができる。システム1の更なる特徴を、流れに沿って説明する。
【0038】
図1A及び図1Bの例では、装置2は、カプセルを受け入れる準備ができている状態にある。図1A及び図1Bでは、カプセル4A、4Bは、第1の淹出チャンバ部分18の空洞にちょうど挿入されたところである。第1の淹出チャンバ部分18は、傾いた位置にある。空洞24の開放端は上向きに配置される。
【0039】
図1Aに示すように、第1のカプセル4Aは、重力の影響で空洞24内に落下することができる。ここで、第1のカプセル4Aのリム14Aは、第1の淹出チャンバ部分18の内面36によって導かれる。第1のカプセル4Aの底部8Aは、エジェクタ38に対して当接するまで、空洞24の中を下がっていく。ここで、第1のカプセル4Aの底部8Aは、エジェクタ38に対して中央にある。第1のカプセル4Aのリム14Aが、第1の当接面26と第2の当接面28との間に位置することが理解されよう。第1のカプセル4Aの底部8Aは、この状態ではまだ穿孔されていない。
【0040】
図1Bに示すように、第2のカプセル4Bも、重力の影響で空洞24内に落下することができる。ここで、第2のカプセル4Bの周壁10Bは、第1の淹出チャンバ部分18の内面46によって導かれる。第2のカプセル4Bの底部8Bは、エジェクタ38に対して当接するまで、空洞24の中を下がっていく。ここで、第2のカプセル4Bの底部8Bは、エジェクタ38に対して中央にある。穿孔手段44から見ると、第2のカプセル4Bのリム14Bが第2の当接面28よりも奥に位置することが、理解されよう。第2のカプセル4Bの底部8Bは、この状態ではまだ穿孔されていない。
【0041】
図1A及び図1Bに示すように、カプセル4A、4Bが空洞24に挿入されると、カプセル4A、4Bの周囲で淹出チャンバを閉じるために、第1の淹出チャンバ部分18は、第2の淹出チャンバ部分20に向かって移動することができる。第1の淹出チャンバ部分18は、装置のフレーム48内を導かれる。
【0042】
図2A及び2Bは、第1の淹出チャンバ部分18が第1のボス50と第2のボス52とを含む例を示す。第1のボス50は、フレーム48の第1の溝54の中を導かれる。第2のボス52は、フレーム48の第2の溝56の中を導かれる。ボス50、52と、溝54、56は、第1の淹出チャンバ部分18が従うことになる経路を決定づけることが理解されよう。ここで、第1の溝54と第2の溝56は、フレーム48の側壁57に設けられている。第1の溝54は、側壁57の中に第1の深さまで延びている。第2の溝56は、側壁の中に第2の深さまで延びている。第2の深さは、第1の深さよりも深い。第1のボス50は、第2のボス52よりも大きな直径を有する。第1の溝54は、第2の溝56よりも大きな幅を有する。第1の溝54の幅は、第1のボス50の直径に対応する。第2の溝56の幅は、第2のボス52の直径に対応している。第1の溝54が、第2の溝56とは異なる軌道に沿って延びていることが理解されよう。これらの溝の幅及び深さが異なることによって、第1のボス50及び第2のボス52が異なる軌道に従うことが可能になる。この構造によって、第1のボス50及び第2のボス52を導くための非常にコンパクトな構造が可能になる。
【0043】
装置2は、レバー58を備えている。レバーはユーザが手で作動させることができる。レバーは、フレーム48に、レバー軸60を中心に枢動可能に接続している。第1の淹出チャンバ部分18は、ニージョイント62を介して、フレーム48に接続している。ニージョイント62は、プッシュロッド64とクランク66とを含む。プッシュロッド64は、ニー軸68で、クランク66に枢動可能に接続している。クランク66は、クランク軸70でフレーム48に枢動可能に接続している。レバー58は、第1の淹出チャンバ部分18を作動させて移動させるためのニージョイント62に接続している。ここで、レバー58は、レバーリンク74を介して、ニージョイント62に接続している。レバーリンク74は、レバーリンク軸76で、レバー58に枢動可能に接続している。レバーリンク74は、ニーリンク軸78で、プッシュロッド74に枢動可能に接続している。
【0044】
拘束リング80は、第1の淹出チャンバ部分18の周囲に構成されている。拘束リング80は、第1の淹出チャンバ部分18に対して軸方向に移動可能である。ここで、拘束リング80は、第1の淹出チャンバ部分18の外面によって導かれる。拘束リングは、1つ以上の弾性要素82、ここでは螺旋ばねを介して、第1の淹出チャンバ部分に接続している。プッシュロッドは、プッシュロッド軸72で、拘束リング80に枢動可能に接続する。したがって、ここでは、ニージョイント62は、第1の淹出チャンバ部分18に間接的に、すなわち拘束リング80及び1つ以上の弾性要素82を介して、接続する。拘束リングの機能を以下に記載する。
【0045】
レバー58を下方向に動かすと、ニージョイント62は、第1の淹出チャンバ部分18を、第2の淹出チャンバ部分20に向けて押す。同時に、第1の溝54及び第2の溝56の形状に起因して、第1の淹出チャンバ部分18は、上側に傾いた向きから、第1の淹出チャンバ部分18の軸方向が第2の淹出チャンバ部分20の軸方向と整列するような整列した向きへと回転する。
【0046】
上述のように、装置2は、第1のカプセル4A又は第2のカプセル4Bのいずれかと選択的に協働するように構成されている。ここで、システム1は、第1のカプセルが挿入されたか、又は第2のカプセルが挿入されたかに応じて、淹出チャンバを自動的に調整するように構成されている。このことは、第1のカプセル又は第2のカプセルの適切な取り扱いを選択するのに、ユーザの入力が必要ではないという利点を提供する。したがって、エラーのリスクが大きく減る。
【0047】
上述のように、図1A及び図1Bを参照すると、第2の淹出チャンバ部分20は、中央部分32と周辺部分34とを有する抽出プレート30を含む。ここで、中央部分32は、第2の淹出チャンバ部分20の軸方向に移動可能である。中央部分32は、この例では、フレーム48に対して軸方向にスライドして移動可能なシャフト32’を備えている。中央部分32は弾性部材84、ここでは螺旋ばねを介して、フレーム48に接続している。弾性部材84は、中央部分を図1A及び図1Bの準備位置へと付勢する。準備位置は、この例では延ばした位置である。中央部分32は、第1のカプセル4Aと協働するための第1の淹出位置に位置付けることができる。中央部分は、第2のカプセル4Bと協働するための第2の淹出位置に位置付けることができる。この例では、システム1は、空洞24が第1のカプセル4Aを保持するときに、中央部分32を第1の淹出位置に又は第1の淹出位置付近にロックするように構成された、ロック機構86を含む。
【0048】
図3A及び図3Bは、ロック機構86がロッカー88を含む例を示す。ここで、ロッカー88は枢動可能な指部として設計され、枢動軸90を中心に枢動可能である。ロッカー88は、シャフト32’から枢動して離れる位置へと付勢される。ロッカーは、任意の他の好適な位置へと付勢されてもよい。ロック機構86はプッシャー92を更に含む。プッシャーは、第2の淹出部分20の本体94内をスライドして導かれる。プッシャー92は弾性部材96、ここでは螺旋ばねを介して、本体94に接続している。弾性部材96は、延ばした位置でプッシャーを付勢する。第1の淹出チャンバ部分18はアクチュエータ98を含む。ここで、アクチュエータは、第1の淹出チャンバ部分18の前側表面によって形成されている。
【0049】
図3A及び図3Bは、空洞24が第1のカプセル4Aを保持するときのロック機構86の機能を示す。この例では、ここでは蓋12A、出口領域13A、及び/又はリム14Aによって形成される、第1のカプセル4Aの最外部分は、アクチュエータ98と比較して後方に、すなわちより穿孔手段44に向かう方に位置している。結果として、第1のカプセル4Aを第2の淹出チャンバ部分20の方に向けて前進させると、アクチュエータ98は、第1のカプセル4Aの最外部分が中央部分32に触れる前に、プッシャー92に触れることになる。プッシャーは、弾性部材96の付勢力に対抗して押される。プッシャー92のリップ100は、ロッカー88のスロープ表面102に沿ってスライドし、ロッカー88をシャフト32’に向けて枢動させる。その結果、ロッカー88の親指104は、中央部分32(図3B参照)の部分106の移動経路内に配置される。第1のカプセル4Aを第2の淹出チャンバ部分20に向かって更に前進させると、第1のカプセル4Aは中央部分32に対して当接する。これにより、中央部分が弾性部材84の付勢力に抗して押し出され得る。枢動したロッカー88は、部分106が親指104に当接する位置を越えて中央部分が移動することを防止する。これは、本明細書では、第1の淹出位置として定義される。したがって、第1のカプセル4Aは、中央部分32を準備位置から第1の淹出位置まで移動させるように構成されている。第1のカプセル4Aは、淹出中に第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間で保持され、中央部分32は第1の淹出位置にある。
【0050】
図4A及び図4Bは、空洞24が第2のカプセル4Bを保持するときのロック機構86の機能を示す。この例では、ここでは蓋12B、出口領域13B、及び/又はリム14Bによって形成される、第2のカプセル4Bの最外部分は、アクチュエータ98と比較して前方に、すなわちより第2の淹出チャンバ部分20に向かう方に位置している。結果として、第2のカプセル4Bを第2の淹出チャンバ部分20の方に向けて前進させると、第2のカプセル4Bの最外部分は、アクチュエータ98がプッシャー92に触れる前に、中央部分32に対して当接することになる。中央部分32は弾性部材84の付勢力に対抗して押され、一方、ロッカー88は依然としてシャフト32’から離れるように枢動される。結果として、部分106は、サム104の下を通る。部分106がサム104を通過した後で初めて、プッシャーは、アクチュエータ98によって、弾性部材96の付勢力に対抗して押される。プッシャー92のリップ100は、依然としてロッカー88のスロープ表面102に沿ってスライドし、ロッカー88をシャフト32’に向けて枢動させる。しかしながら、部品106はその瞬間に既に親指104を通過している。この例では、第2のカプセル4Bは、本体94に当接する中央部分32を押す。これは、本明細書では、第2の淹出位置として定義される。したがって、第2のカプセル4Bは、中央部分32を準備位置から第2の淹出位置まで移動させるように構成されている。第2のカプセル4Bは、淹出中に第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間で保持され、中央部分32は第2の淹出位置にある。
【0051】
したがって、ロック機構86は、空洞24が第1のカプセル4Aを保持するときに、中央部分32を第1の淹出位置にロックするように構成されている。なお、ロックは片側であってもよい、すなわち、ロック機構は、空洞24が第1のカプセル4Aを保持するときに、中央部分32が第1の淹出位置を越えて移動するのを防止してもよい。しかし、第1の淹出位置から準備位置への中央部分32の移動は妨げられなくてもよい。ロックユニット86は、第2のカプセル4Bが淹出チャンバ内に入ったときに、中央部分32が、第1の淹出位置に又は第1の淹出位置付近にロックされるのを、選択的に防止するように構成されている。ロックユニット86は、第2のカプセルが淹出チャンバ内に入ったときに、中央部分32が第2の淹出位置へと移動するのを選択的に可能にするように構成されている。
【0052】
図3A及び図4Aと比較すると、第1の淹出チャンバ部分18を第2の淹出チャンバ部分20に向けて前進させている間、第1のカプセル4Aは、第2のカプセル4Bよりも更に第1の淹出チャンバ部分内に窪んでいることが理解されよう。次いで、第1の蓋12A、出口エリア13A及び/又はリム14Bは、第2の蓋12B、出口エリア13B、及び/又はリム14Bよりも、第1の淹出チャンバ部分18内に更に窪んでいることが理解されよう。
【0053】
図3B及び図4Bと比較すると、淹出チャンバが第1のカプセル4Aを保持するとき、中央部分32が空洞24内に延びることが理解されよう。中央部分32は、第2のカプセルが第1の淹出チャンバ部分18内に入っていれば、第2のカプセル4Bの蓋12B、出口領域13B、及び/又はリム14Bが存在したであろう位置を越えて、第1の淹出チャンバ部分18内に延びる。
【0054】
図5A図5Cは、拘束リング80の機能を示す。上述のように、ニージョイント62は、第1の淹出チャンバ部分18に間接的に、すなわち拘束リング80及び1つ以上の弾性要素82を介して、接続する。
【0055】
図5Aでは、第1のカプセル4Aは、中央部分が第1の淹出位置にある中央部分32に対して当接している。拘束リング80は、依然として後方位置にある。レバー58はその終了位置にまだ達していないことが理解されよう。第1の淹出チャンバ部分18は、突出部108を含む。ここで、突出部108は、実質的に環状の突出部である。突出部108は、外向きに延びている。ここで、突出部108は、第1の淹出チャンバ部分18の最外縁部を形成する。第2の淹出チャンバ部分20は、リテーナ110を含む。ここで、リテーナ110は、リテーナリップの円周リングとして設計されている。リテーナ110は、本体94に枢動可能に接続する。ここで、リテーナ110は、本体94に弾性的に枢動可能に接続する。リテーナ110は、歯部112を含む。ここで、歯部は、第1の傾斜面114と第2の傾斜面116とを有する。
【0056】
レバー58を下げると、拘束リング80は、第2の淹出チャンバ部分20に向かって前進する。1つ以上の弾性要素82は、第1の淹出チャンバ部分が第2の淹出チャンバ20部分に対して当接するまで、例えばカプセル4A、4Bを間に挟んで、第1の淹出チャンバ部分18を拘束リング80の前方に押す。この移動中、突出部108は、第1の傾斜面114に対向して前進する。これにより、リテーナ110を外向きに枢動させる(図5A参照)。更に前進すると、突出部108は第2の傾斜面116を通過し、リテーナ110を内向きに枢動させる(図5B参照)。レバー58を更に下げると、第1の淹出チャンバ部分が第2の淹出チャンバ20部分に対して当接し、1つ以上の弾性要素82を圧縮させる。その結果、拘束リング80は、第2の淹出チャンバ部分20に向かって前進する。レバー58を完全に下げると、拘束リング80がリテーナ110とロックリング118との間に挿入される(図5C参照)。リテーナ110を取り囲む拘束リング80は、リテーナ110が外向きに枢動することを防止する。したがって、第1の淹出チャンバ部分は、第2の淹出チャンバ部分20に対してロックされる。第1の淹出チャンバ部分は、第2の淹出チャンバ部分20上にロックされる。
【0057】
装置は、流体、例えば加圧した熱湯などの液体を、第1の淹出チャンバ部分18に供給するための、流体供給システムを含むことができる。飲料を淹出するための流体により淹出チャンバが加圧されるとき、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20は、流体圧力によって互いから押し離されることになる。リテーナ110、拘束リング80、及び任意選択的にロックリング118には、流体圧力によって及ぼされる力の全て又は一部がかかることになる。リテーナ110とロックリング118との間に介在する拘束リング80は機械的安定性を高める。拘束リング80はリテーナ110によって及ぼされる全ての力に耐える必要はないが、その理由は、拘束リング80がロックリング118に対して当接し、その力の少なくとも一部をロックリング118に伝えることができるためである。ロックリング118は不動とすることができ、したがって容易に強化することができる。第1の淹出チャンバ部分は第2の淹出チャンバ部分20上にロックされているため、フレーム48とアクチュエーション機構、例えばニージョイントは、この力に、又は少なくともそのより小さな一部に、耐える必要はない。したがって、フレーム及び/又は作動機構は、より弱く及び/又はより安価に設計することができる。
【0058】
拘束リング80の機能は、第1のカプセル4Aに対して図5A図5Cに示されているが、拘束リング80は、第2のカプセル4Bに対して同様に機能し得ることが理解されよう。
【0059】
図6Aは抽出中の淹出チャンバ内の第1のカプセル4Aを示す。図6Bは抽出中の淹出チャンバ内の第2のカプセル4Bを示す。
【0060】
穿孔部材44は、カプセル4A、4Bの底部8A、8Bを穿孔するように構成されている。図5A図5Cにも見られるように、この例では、穿孔部材44は、カプセル4A、4Bの蓋12A、12Bが第1の淹出位置又は第2の淹出位置で中央部分32に対して当接するまで、底部8A、8Bを穿孔しない。それに対して、弾性要素42及び弾性要素84の剛性を選択することができる。この例では、弾性要素42の剛性は、弾性部材84の剛性よりも大きくなるように選択される。しかし、弾性要素42の剛性が弾性部材84の剛性に等しいか、又は弾性要素42の剛性が弾性部材84の剛性よりも小さいことも可能であることが理解されよう。
【0061】
カプセル4A、4Bが淹出チャンバ内に入り、底部8A、8Bが穿孔されると、流体、この例では加圧した熱湯を、淹出チャンバに供給することができる。したがって、淹出チャンバは気密性であることが望まれる。更に、中央部分32は、第1の封止部材120を備えている。周辺部分34は、第2の封止部材122を備えている。飲料調製装置2は、第1のカプセル4A又は第2のカプセル4Bのいずれかを使用して、消費に適したある量の飲料を調製するように構成されている。量は、所定量とすることができる。この量は、ユーザ選択可能、ユーザ設定可能、又はユーザプログラム可能な量であってもよい。
【0062】
図3Bを参照すると、第1のカプセル4Aを考慮した封止が記載されている。第1の封止部材120は、第1のカプセル4Aを保持するための淹出チャンバを形成するときに、中央部分32と第1の淹出チャンバ18部分との間に流体封止係合部を提供するように構成されている。この例では、第1の封止部材120は、第1のカプセル4Aが淹出チャンバに入っているときに、第1の淹出チャンバ部分18に対して当接する。これは、カプセル4Aの外側の空洞24内に存在する水に対する封止を提供する。このように、淹出チャンバ22Aに注入される淹出液は、カプセル4Aの外側を迂回することが防止されている。図3Bの例では、第1の封止部材120は、弾性リップ121を含む。弾性リップ121は、淹出チャンバ内の液体圧力の影響下で、中央部分32と第1の淹出チャンバ部分18との間に自己強化性の封止係合部を提供するように構成されている。この例では、第1の封止部材120は、第1のカプセル4Aのリム14Aに対して当接している。リム14Aは、第1の当接面26によって第1の封止部材120に押し付けられている。これにより、中央部分32とカプセル4Aとの間に、出口領域13Aを介してカプセル4Aを出て行く飲料に対する封止係合部が提供される。ここでは、リム14Aの、カップ形状本体6Aから離れる方に面する面が、第2の淹出チャンバ部分20に対して封止されることが理解されよう。代わりに又は加えて、リム14Aの、カップ形状本体6Aの方に面する面が、第1の淹出チャンバ部分18に対して封止されてもよい。更に、第1の淹出チャンバ部分18に対して、例えば第1の当接面26に対して、及び/又は、カプセル4Aに対して、例えばリム14Aに対して、追加の封止を提供することができる。カプセルに対する封止は、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間の封止に対する追加であってもよいことは明らかであろう。これにより、第1の封止部材120による封止負担を軽減することができる。
【0063】
図4Bを参照すると、第2のカプセル4Bを考慮した封止が説明されている。第2の封止部材122は、第2のカプセル4Bを保持するための淹出チャンバを形成するときに、周辺部分34と第1の淹出チャンバ18部分との間に流体封止係合部を提供するように構成されている。この例では、第2の封止部材122は、第2のカプセル4Bが淹出チャンバ内に入っているときに、第1の淹出チャンバ部分18に対して当接する。これは、カプセル4Bの外側の空洞24内に存在する水に対する封止を提供する。
【0064】
図3Bの例では、第2の封止部材122は弾性リップ123を含む。弾性リップ123は、淹出チャンバ内の液体圧力の影響下で、周辺部分34と第1の淹出チャンバ部分18との間に自己強化性の封止係合部を提供するように構成されている。この例では、第2の封止部材122は、第2のカプセル4Bのリム14Bに対して当接する。リム14Bは、第2の当接面28によって第2の封止部材122に押し付けられている。これにより、周囲部分34とカプセル4Bとの間に、出口領域13Bを介してカプセル4Bを出て行く飲料に対する封止係合部を提供することができる。
【0065】
図4Bでは、第2のカプセル4Bを保持するための淹出チャンバを形成するときに、第1の封止部材120が中央部分32と周辺部分34との間に封止係合部を提供する。中央部分32と周辺部分34との間のこの封止係合は自己補強的であり得る。更に、周辺部分34と第2のカプセル4Bとの間の係合によって、淹出液が第1の封止部材120へと流れることが可能になり得る。したがって、第1の封止部材120は、中央部分32とカプセル4Bとの間に、出口領域13Bを介してカプセル4Bを出て行く飲料に対する封止係合部を提供する。ここで、蓋によって、例えば箔によって覆われていてもいなくてもよいリム14Bの、カップ形状本体6Bから離れる方に面する面が、第2の淹出チャンバ部分20に対して封止されることが理解されよう。代わりに又は加えて、リム14Bの、カップ形状本体6Bの方に面する面は、第1の淹出チャンバ部分18に対して封止されてもよい。更に、第1の淹出チャンバ部分18に対して、例えば第2の当接面28に対して、及び/又は、カプセル4Bに対して、例えばリム14Bに対して、追加の封止を提供することができる。カプセルに対する封止は、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間の封止に対する追加であってもよいことは明らかであろう。これにより、第2の封止部材122による封止負担を軽減することができる。
【0066】
流体が淹出チャンバ内のカプセル4A、4Bに圧力下で供給される場合、出口領域13A、13Bは、抽出プレート30に対向して開口していてもよい。この例における抽出プレート30は、複数のレリーフ要素124を含む。ここで、レリーフ要素124は切頭角錐形である。カプセル4A、4B内の圧力が上昇すると、出口領域13A、13Bがレリーフ要素に押し付けられて引き裂かれ、飲料がカプセル4A、4Bから出ることが可能になる。
【0067】
飲料は、抽出プレートの開口を介して抽出プレート30を通過することができる。次に、飲料は出口126まで流れることができる。出口126から、飲料はカップなどの容器に流れ込むことができる。
【0068】
飲料が淹出されたら、レバー58を上向きに動かすことができる。
【0069】
これにより、拘束リング80がリテーナ110から離れて移動する。次に、第1の淹出チャンバ部分18を後方に移動する。リテーナ110の第2の傾斜面116は、リテーナが突起部108を通過することを可能にすることができる。第1の淹出チャンバ18部分は、第2の淹出チャンバ部分20から離れる方に移動する。中央部分32は準備位置に戻る。ボス50、52と、溝54、56は、第1の淹出チャンバ部分18が従うことになる経路を決定づける。
【0070】
図7A及び図7Bは、第1の淹出チャンバ部分が下向きに旋回し得る方法を示す。これにより、重力の影響下で使用済みのカプセル4A、4Bの空洞24からの排出が促進される。エジェクタ38は、カプセル4A、4Bを穿孔部材44から押し離して空洞24から押し出すのを助けることができる。使用済みのカプセル4A、4Bは、装置2の廃棄物バスケット内に落下することができる。
【0071】
図8A及び図8Bは、カプセル4A又はカプセル4Bを淹出チャンバに挿入し得る方法の例を示す。この例では、第1のカプセル4A及び第2のカプセル4Bは、同様の視覚的印象を与えるように設計されている。
【0072】
図8Aは、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20によって形成された淹出チャンバ22Aに挿入された第1のカプセル4Aの例を示す。周壁10Aはその位置で空洞24よりも狭いことが理解されよう。結果的に、空洞24の内部の第1のカプセル4Aの周囲に、第1の容積126が存在する。
【0073】
図8Bは、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20によって形成された淹出チャンバ22Bに挿入された第2のカプセル4Bの一例を示す。周壁10Bの部分128は、その位置で空洞24よりも狭いことが理解されよう。この部分128は、第1の当接面26を越えて延びる周壁10Bの部分によって形成される。結果的に、空洞24の内部の第2のカプセル4Bの周囲に、第2の容積130が存在する。
【0074】
なお、淹出チャンバが第1のカプセル4Aを保持するとき、第1の容積126は、第1のカプセル4Aによって占められていない。しかし、この第1の容積126は、淹出チャンバが第2のカプセル4Bを保持するときに、第2のカプセル4Bの一部によって占有される。第2の容積130は、淹出チャンバが第2のカプセル4Bを保持するときに、第2のカプセル4Bによって占有されない。この第2の容積130は、淹出チャンバが第1のカプセル4Aを保持するときに、抽出プレート30の中央部分32を受け入れる。
【0075】
カプセル4Aを用いて飲料を淹出するとき、第1の容積126は、飲料の淹出には使用されない流体(例えば水)で満たされる。この流体は、淹出後、廃棄物バスケットに廃水されてもよい。第2のカプセル4Bを用いて飲料を淹出するとき、第2の容積130は流体、例えば水で満たされ、これは飲料の淹出には使用されない。この流体は、淹出後、容器、例えば廃棄物バスケットに廃水することができる。この例では、第1の容積126は、第2の容積130と実質的に等しい。したがって、廃棄物バスケットに向かう流体の体積は、第1のカプセル4Aを用いて飲料を淹出するとき及び第2のカプセル4Bを用いて飲料を淹出するときに、実質的に等しい。
【0076】
本明細書では、本発明を、本発明の実施形態の具体例を参照しつつ説明してきた。しかし、本発明の本質から逸脱することなく、様々な修正及び変更が行われ得ることは明らかであろう。明瞭さ及び簡潔な説明の目的のために、本明細書では同一又は別々の実施形態の一部として特徴を説明するが、これら別々の実施形態に記載の特徴の全部又は一部の組み合わせを有する代替実施形態も考えられる。
【0077】
この例では、抽出プレートの中央部分は、複数のレリーフ要素を含む。周辺部分にはレリーフ要素は含まれない。しかし、周辺部分にはレリーフ要素も含まれ得ることが理解されよう。抽出プレートと第2の出口領域は、第2の出口領域の開放時の流れ抵抗が第1の出口領域の開放時の流れ抵抗よりも小さくなるように、互いに適合されてもよい。抽出プレートと第2の出口領域は、第2の出口領域が、抽出プレート上で第1の出口領域よりも大きな表面積にわたって引き裂かれるように、互いに適合されてもよい。
【0078】
抽出プレートと第2の出口領域は、第2の出口領域が、抽出プレート上で第1の出口領域よりも多くの位置で引き裂かれるように、互いに適合されてもよい。外側レリーフ要素は、第1の出口領域及び第2の出口領域の両方を引き裂くように設計されてもよく、第2の出口領域は、外側レリーフ要素上で、第1の出口領域よりも大きな表面積にわたって引き裂かれる。抽出プレートは、第1の種類のレリーフ要素と少なくとも1つの第2の種類のレリーフ要素とを含むことができ、第1の種類のレリーフ要素は、第1の出口領域に対応する領域内に配置されており、少なくとも1つの第2の種類のレリーフ要素は、第2の出口領域に対応する領域内でかつ第1の出口領域に対応する領域外に配置されている。第2の種類のレリーフ要素は、第1の種類のレリーフ要素よりも鋭い縁部を有してもよい。第2の出口領域は、弱化された区域を含んでいてもよい。弱化された区域は、第2の出口領域の周辺領域に配置されてもよい。
【0079】
この例では、第1のカプセル及び第2のカプセルは、実質的に同じ形状を有している。異なる形状を有する第3のカプセルを提供することも可能である。第3のカプセルは、例えば、中央部分が第1の淹出位置にあるときに、淹出チャンバを実質的に満たすような形状とすることができる。異なる形状を有する第4のカプセルを提供することも可能である。第4のカプセルは、例えば、中央部分が第2の淹出位置にあるときに、淹出チャンバを実質的に満たすような形状とすることができる。
【0080】
この例では、第1のカプセルは、外向きに延びるフランジ状のリムを有している。第1のカプセルが外向きに延びるリムを含まないことが可能であることが理解されよう。この例では、第2のカプセルは、外向きに延びるフランジ状のリムを有している。第2のカプセルが外向きに延びるリムを含まないことが可能であることが理解されよう。
【0081】
この例では、カプセル本体と蓋は、本体に蓋を容易に溶接するために、アルミニウム箔、好ましくは、ポリマーコーティングされたアルミニウム箔から形成される。カプセル本体及び/又は蓋は、当業者によって好適であると考えられ、押出し、共押出し、射出成形、ブロー成形、真空成形、などの当該分野で従来公知の技術を使用して、シート、フィルム、又は箔に加工できる多種多様な材料で作製され得ることが理解されよう。カプセル本体及び/又は蓋のための好適な材料としては、プラスチック材料、具体的には、熱可塑性材料、例えばポリオレフィンポリマー、例えばポリエチレン若しくはポリプロピレン、PVC、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、アルミニウム、ステンレス鋼、金属合金などの金属箔、又は、紙、ポリエステルなどのような織布若しくは不織布若しくは他の方法で処理された繊維材料のシート、又はそれらの組み合わせ、例えば多層、が挙げられるが、これらに限定されない。カプセル用の材料は、生分解性ポリマー又は他の生分解性材料であり得る。当業者は、カプセルの使用中の食品材料との想定される使用及び他の関連する状況を考慮して、適切な材料を選択することができるであろう。シート又は箔の厚さは、形状安定なカプセルが提供されるように選択され得る。シート又は箔の厚さは材料の性質によって変わり得る。
【0082】
例では、カプセルは密閉カプセルである。システムで開放カプセルを使用することも可能である。開放カプセルは装置への挿入前に開放されている。開放カプセルは予め穿孔することができる。開放カプセルは、開放カプセルを装置に挿入する前に取り除く必要がある密閉封止パッケージに包装することができる。例では、カプセルは穿孔手段によって穿孔されている。穿孔手段によって穿孔されていないカプセルをシステムで使用することも可能である。そのようなカプセルは、例えば入口フィルタを含むことができる。例では、カプセルは淹出プレートに対向して開く。淹出プレートに対向して開かないカプセルをシステムで使用することも可能である。そのようなカプセルは、例えば出口フィルタを含むことができる。
【0083】
この例では、カプセル自体は封止部材を含まない。カプセルが封止部材、例えば弾性封止部材を備えることが可能であることが理解されよう。封止部材は、リム上に、例えばカップ形状本体の方に面する面上に又はカップ形状本体から離れる方に面する面上に、例えば載置することができる。代わりに又は加えて、周壁上に及び/又は底部上に、封止部材を提供することができる。
【0084】
この例では、拘束リング及びリテーナは、第1の淹出チャンバ部分及び第2の淹出チャンバ部分の、実質的に周囲全体に沿って延びている。これにより、2つの淹出チャンバ部分が互いに特に良好にロックされる。ただし、拘束リング及びリテーナが、周囲に沿った1つ以上の別々の位置、例えば2つ、3つ、4つ、6つ、又は8つの位置に、拘束手段及び保持手段を含むことも可能であることが理解されよう。
【0085】
第1のカプセルを用いて飲料を淹出するように構成されており、第2のカプセルを用いて飲料を淹出することはできない、第1の装置を提供することも可能であることが理解されよう。このような第1の装置は、図と関連させて記載される装置と、第1のカプセルと、任意選択的に第2のカプセルと、を有するシステムに含まれ得る。
【0086】
第2のカプセルを用いて飲料の淹出するように構成されており、第1のカプセルを用いて飲料を淹出することはできない、第2の装置を提供することも可能であることが理解されよう。このような第2の装置は、図と関連させて記載される装置と、第2のカプセルと、任意選択的に第1のカプセルと、を有するシステムに含まれ得る。
【0087】
しかし、他の改変、変形、及び変更も可能である。したがって、明細書、図面及び例は、限定的な意味ではなく例示的な意味で検討されるべきである。
【0088】
明確にするために、また簡潔な説明のために、特徴は同一又は別々の実施形態の一部として本明細書に記載されているが、本発明の範囲は説明した特徴の全部又は一部の組み合わせを有する実施形態を含み得ることが理解されよう。
【0089】
特許請求の範囲において、括弧内に置かれた任意の参照記号は、特許請求の範囲を限定すると解釈すべきではない。単語「~を含む(comprising)」は、特許請求の範囲に列挙されるもの以外の特徴又は工程の存在を除外しない。更に、単語「a」及び「an」は、「ただ1つ」に限定されると解釈されるべきではなく、代わりに「少なくとも1つ」を意味するために使用され、複数を除外しない。特定の手段が互いに異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B