(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】SGCアクチベーターとミネラルコルチコイド受容体アンタゴニストとを含む組合せ
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4375 20060101AFI20230306BHJP
A61K 31/196 20060101ALI20230306BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20230306BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20230306BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230306BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230306BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230306BHJP
A61P 11/00 20060101ALN20230306BHJP
【FI】
A61K31/4375
A61K31/196
A61K31/55
A61K31/704
A61K45/00
A61P9/00
A61P13/12
A61P11/00
(21)【出願番号】P 2019519234
(86)(22)【出願日】2017-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2017075356
(87)【国際公開番号】W WO2018069148
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-09-11
(32)【優先日】2016-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】300049958
【氏名又は名称】バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】コルクホフ,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】サンドナー,ペーター
【審査官】深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522383(JP,A)
【文献】特表2010-519232(JP,A)
【文献】国際公開第2005/042022(WO,A2)
【文献】特許第7101688(JP,B2)
【文献】BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY LETTERS,2013年10月08日,VOL:23, NR:23,PAGE(S):6239 - 6242
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00
A61K 31/00-31/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(X)
【化1】
のsGCアクチベーターである(3S)-3-(4-クロロ-3-{[(2S,3R)-2-(4-クロロフェニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-メチルブタノイル]アミノ}フェニル)-3-シクロプロピルプロパン酸(ランカシグアット(runcaciguat))と、式(IV)
【化2】
の非ステロイド性MRアンタゴニスト(S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(フィネレノン)とを含む、
心臓および心血管障害、腎臓および心腎障害の治療および/または予防のための組合せ剤。
【請求項2】
心臓および心血管障害、腎臓および心腎障害の治療および/または予防用の医薬の製造のための、請求項1記載の組合せ剤の使用。
【請求項3】
不活性で無毒性で薬学的に適切な補助剤と組合された請求項1記載の少なくとも1つの組合せ剤を含む、
心臓および心血管障害、腎臓および心腎障害の治療および/または予防のための医薬。
【請求項4】
ACEインヒビター、アンジオテンシン受容体ブロッカー、アンジオテンシン受容体ブロッカーとNEPインヒビターとの組合せ(ARNI)、抗糖尿病薬、ベータブロッカー、アセチルサリチル酸、利尿薬、
I
f
チャンネルブロッカー、カルシウムアンタゴニスト、スタチン、
ジギタリス誘導体、カルシウム増感剤、ニトラートおよび抗血栓薬からなる群から選択される1以上の他の活性化合物と組合された請求項1記載の少なくとも1つの組合せ剤を含む、
心臓および心血管障害、腎臓および心腎障害の治療および/または予防のための医薬。
【請求項5】
I
f
チャンネルブロッカーとしてイバブラジンを含む、請求項4に記載の医薬。
【請求項6】
ジギタリス誘導体としてジゴキシンを含む、請求項4または5に記載の医薬。
【請求項7】
心血管障害および腎障害の治療および/または予防における使用のための、請求項3、4、5または6記載の医薬。
【請求項8】
ヒトおよび動物における
心血管障害および腎障害の治療および/または予防のための方法における使用のための請求項1記載の組合せ剤または請求項3~7のいずれか1項記載の医薬。
【請求項9】
10~40mgの非ステロイド性MRアンタゴニストであるフィネレノン(式(IV)の化合物)を投与する、疾患の治療および/または予防における使用のための請求項1記載の組合せ剤または請求項3~7のいずれか1項記載の医薬。
【請求項10】
式(IV)
【化3】
の非ステロイド性MRアンタゴニスト(S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(フィネレノン)と、
式(X)
【化4】
のsGCアクチベーターである(3S)-3-(4-クロロ-3-{[(2S,3R)-2-(4-クロロフェニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-メチルブタノイル]アミノ}フェニル)-3-シクロプロピルプロパン酸(ランカシグアット(runcaciguat))を含む医薬組成物を含む、
心臓および心血管障害、腎臓および心腎障害の治療および/または予防のためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可溶性グアニル酸シクラーゼのアクチベーター(sGCアクチベーター)とミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト(MRアンタゴニスト)との組合せ、ならびに心臓および心血管障害、腎臓および心腎障害、肺および心肺障害の治療および/または予防のための、そしてまた、線維性障害の治療および/または予防のための、該組合せの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトおよび動物の全身の機能は調節回路によって制御され、維持されている。その場合、これらの生理的調節回路は内因性ホルモン、酵素および受容体のカスケード系を含む。これらの調節回路は互いに関連しており、中央制御される。身体における病態生理学的変化だけでなく、気候、ストレス、医薬を含む食品成分のような外的影響も、これらの調節回路に直接的な影響を及ぼす。これらのカスケードおよび調節系の個々の成分の活性の低減または過剰はフィードバックまたはフィードフォワードメカニズムによる反作用によって補償されうる。したがって、短期的な反作用、例えば、ある内因性ホルモンの代償性放出による短期的な反作用は、緊急事態(例えば、傷害の場合)における身体機能の維持に不可欠である。しかし、長期的で永続的な代償性逆調節は生物の全身に致命的な影響を及ぼす可能性もある。
【0003】
心臓および心血管系、腎臓および心腎系または肺および心肺系の障害ならびに線維性障害を治療するためのほとんどの治療アプローチは前記の調節系の1つに介入するものである。これは、体の代償性逆調節ゆえに、短時間の後でも脱感作が生じ、所望の効果がもはや得られなくなり、または低減して、とりわけ、より高い投与量の使用を要するという欠点を伴いうる。これは、副作用の、より高いリスクのような欠点を伴う。
【0004】
本発明の目的は、複数の調節回路に作用し、心臓および心血管障害、腎臓および心腎障害、肺および心肺障害ならびに線維性線維症の治療に使用されうる薬学的に活性な物質の組合せを提供することである。
【0005】
前記のこれらの必須の調節系の1つはレニンアンジオテンシンアルドステロン系(RAAS)である。これは、塩分および水分のバランスを制御して身体の血圧を制御するホルモンおよび酵素の中央カスケード系である。塩分および流体の欠如または血圧低下の場合には、レニンなるホルモンが特殊な腎細胞において生成され、該細胞により分泌される。レニンは、肝臓において生成されるアンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンIへと切断し、一方、アンジオテンシン変換酵素(ACE)がアンジオテンシンIをアンジオテンシンIIへと変換する。アンジオテンシンIIは強力な血管収縮作用、およびそれによる血圧上昇作用を有し、副腎皮質におけるアルドステロンなるステロイドホルモンの生成を刺激する。アルドステロンは尿から血中へのナトリウムの再取り込みを促進し、これは血液量を増加させる。
【0006】
アンジオテンシンIIの特異的作用は、心血管系の標的細胞上で発現される対応細胞外受容体(アンジオテンシン受容体、AT-R)によってもたらされる。一方、アルドステロンの特異的作用は、細胞内受容体であるアルドステロンまたはミネラルコルチコイド受容体(MR)によってもたらされる。アンジオテンシンIIおよびアルドステロンは共に、塩分、水分および血圧の調節におけるそれらの核心的重要性に加えて、直接的な炎症促進性および線維化促進性の特性を有する。どちらのホルモンも、特に、例えば心筋梗塞または急性腎不全により引き起こされる心臓、腎臓および血管の「リモデリング」において、必須の役割を果たす。したがって、例えば、アルドステロンは心筋内のコラーゲンタンパク質の貯蔵を刺激し、これは剛性の増大をもたらし、したがって、長期にわたる機能性の低下をもたらしうる。
【0007】
アルドステロンおよびアンジオテンシンIIは古典的なフィードフォワード調節回路を形成する。カリウムに加えて、アンジオテンシンIIは副腎からのアルドステロンの放出のための最も重要な刺激であり、逆に、心臓組織および血管におけるアルドステロンはACE(すなわち、前駆体アンジオテンシンからアンジオテンシンIIを生成する酵素)の生成を刺激する。
【0008】
アンジオテンシンIIおよびアルドステロンの病態生理学的作用はACE、AT-RおよびMRの適切なインヒビターによって低減されうる。しかし、これらの単独の遮断は前記のフィードバック補償メカニズムに付され、すなわち、ミネラルコルチコイド受容体の遮断はアルドステロンの代償的放出を招き、同様に、AT-Rの遮断はアンジオテンシンIIの増加を招く。
【0009】
長期的代償メカニズムは、臨床的に重要な「アルドステロンエスケープ」現象において特別な役割を果たしている。アルドステロンの放出はRAASカスケードにおける最終段階に相当するため、ACE活性またはAT-Rのような初期RAAS鍵段階の遮断は、最終段階(すなわち、副腎におけるアルドステロンの生成および放出)を妨げるのにも十分である、と長い間考えられてきた。しかし、RESOLVD研究(McKelvieら,Circulation 1999;100;1056-1064)が示したところによると、単独ACEまたはAT-R遮断下、および二重ACE/AT-R遮断下、心不全患者のアルドステロン血漿レベルは最初の17週間の治療の間はベースラインと比較して低いが、43週間後にはベースラインさえも上回る。この研究の結果は、アンジオテンシンの遮断に加えて、ミネラルコルチコイド受容体へのアルドステロンの結合の阻害が臨床的に非常に重要であることを証明している。
【0010】
MRアンタゴニスト[例えば、ステロイド化合物であるスピロノラクトン、カンレノン/カンレノアートおよびエプレレノン、そしてまた、より最近の非ステロイドMRアンタゴニスト、例えば、式(VI)の化合物のMT-3995、式(V)の化合物のCS-3150、LY2623091、式(XIV)の化合物のPF-03882845、および式(IV)の化合物のフィネレノン]は腎臓におけるアルドステロン媒介性ナトリウム貯留に拮抗する(ナトリウム利尿作用)。したがって、MRアンタゴニストはナトリウム排泄の増加をもたらし、これは、高血圧患者ならびに/または心不全および/もしくは腎不全に罹患している患者に関する、証明されている治療概念である。しかし、MRアンタゴニストは、アルドステロンもMRを介してその生理的作用を示す腎臓部分においてのみ、そのナトリウム利尿作用を示しうる。これらは特に、限られた程度でナトリウム再吸収に関与するに過ぎない後期遠位尿細管および集合管部分であり、一方、ナトリウム分泌および再吸収の大部分は近位尿細管部分で生じる。
【0011】
しかし、RAASに加えて、非常に重要な他の調節系も存在し、それらの1つは一酸化窒素(NO)環状グアノシン一リン酸(cGMP)およびホスホジエステラーゼ(PDE)シグナル伝達経路(NO/cGMP経路)である。血圧の上昇、および結果的に生じる、血管内の内皮細胞に対する剪断力は、内皮細胞内だけでなく神経終末においても、酵素、すなわち、NOシンターゼ(NOS)が、L-アルギニンからNOを生成させることをもたらす。このNOは気体であり、細胞膜を介して種々の標的細胞内に、特に、血管筋組織の細胞内に拡散する。そこで、それは、アルファサブユニットとベータサブユニットとからなるヘテロ二量体細胞内ヘムタンパク質である可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)におけるヘム基に結合する。NO結合は該酵素を活性化し、ついでそれはグアノシン三リン酸(GTP)からcGMPへの変換を触媒する。このcGMPは重要なセカンドメッセンジャー分子であり、多数の細胞内タンパク質、とりわけcGMP依存性プロテインキナーゼ(Gキナーゼ)に結合する。種々の標的タンパク質、例えばカリウムチャネルのリン酸化を介して、Gキナーゼは細胞内カルシウム濃度の低下をもたらし、これは例えば血管筋組織の弛緩を誘発する。したがって、sGC/cGMP経路の刺激により、NOは血管拡張作用を示し、したがって、血圧降下作用を示す。また、cGMPの多数の他の作用、例えば抗血栓作用、抗線維化作用または抗炎症作用も記載されている。しかし、分子レベルでは、これらの作用は血管拡張ほど十分には理解されておらず、それらは完全には解明されていない。NO/cGMPシグナルカスケードおよびcGMPの作用は無効なGMPへのcGMPの分解によって終結する。この段階、すなわち、環状ホスファート環の加水分解および5’GMPの生成は、ホスホジエステラーゼ(PDE)によって触媒される。PDEは大きな酵素ファミリーであり、現在、11個の特定されているメンバーおよび100個を超える異なるスプライシング変異体を含む。異なるPDEは、主として組織特異性(例えば、PDE6は専ら眼内で発現される)、基質特異性(例えば、cAMP特異的またはcGMP特異的)および調節(例えば、カルシウム/カルモジュリンまたは環状ヌクレオチドを介する)の点で異なる。cGMPの特異的切断は、主に5型(PDE5)、6型(PDE6)および9型(PDE9)のPDEによってもたらされる(NO/cGMP/PDEシグナル伝達経路に関する総説は、例えば、Conti & Beavo 2007,Schmidtら(編)2009;Staschら,2011,DerbyshireおよびMarletta 2012,Monicaら,2016)。
【0012】
身体機能、特に、心臓および心血管系、脈管系の機能、腎臓機能または肺および心肺機能、そしてまた、抗線維化作用の生理的調節および維持のためには、NO/cGMPシグナル伝達経路が非常に重要であることを考慮して、このシグナル伝達経路における種々の重要な切換点に介入する多数の医薬品が研究され、開発されてきた。これが尚更必要であったのは、前記の器官系の種々の障害がNO生成の低減に関連していることが公知であるからであり、NO生成の低減は不十分なcGMP供給を招き、心臓および心血管系、腎臓、肺および線維性障害の発生における根本的な病理学的メカニズムの1つでありうる。
【0013】
例えば、狭心症の治療における急性症状の抑制および症状の予防の両方のための硝酸塩およびNO供与体の使用は古くから公知である。酵素的または非酵素的に、これらの化合物はNOを放出し、ついでそれはsGCに結合して、cGMP濃度の上昇を招きうる。しかし、治療上の可能性を著しく制限するのは、これらの化合物の速度論的制限に加えて、主として、フリーラジカルの生成の増加、それに伴う潜在的な血管および器官損傷効果、ならびにタキフィラキシーの発生である。
【0014】
したがって、より最近の開発は、とりわけ、特定のPDE、特にPDE5を阻害することによりcGMP分解を抑制することに焦点が合わされていた。強力かつ選択的なPDE5インヒビター、例えばシルデナフィル、バルデナフィルまたはタダラフィルの開発は、血管緊張の調節に関するこのシグナル伝達経路の有効性を再び実証した。この後、勃起不全(ED)、肺動脈高血圧(PAH)および良性前立腺肥大(BPH)の治療用の製剤の臨床承認がもたらされた。更に、これらの化合物は心臓および心血管障害ならびに腎障害に対する使用に関しても臨床試験されている。再び、これはこのNO/cGMPシグナル伝達経路の普遍的意義を示しており、これらのcGMP上昇性化合物の広範な適用の可能性を強調している。しかし、PDE5インヒビターを使用する治療選択肢は限られたものである。なぜなら、それは、活性となって分解が該化合物によって妨げられるためには、十分に高い内因性cGMP濃度を要するからである。しかし、特に心臓および心血管障害または肺障害を含む多数の障害の場合、内因性NO生成、したがってcGMP生成も、少なくとも部分的に損なわれる。これが、PDE5インヒビターが全ての患者に等しく有効であるわけではない理由であり、例えば勃起不全または肺高血圧の場合、治療抵抗性患者も生じる理由である。
【0015】
硝酸塩およびPDE5インヒビターの両方のこの欠点を克服するために、sGCの直接的な薬理学的刺激の試みがなされている。第1に、これは、硝酸塩のNO依存性フリーラジカル生成を回避するためのものであり、第2に、これは、PDE5インヒビターに関して記載されているとおり、生成したcGMPに対するその有効性の依存性を回避するためでもある。したがって、sGC刺激物質およびsGCアクチベーターの研究および開発はNO/cGMPシグナル伝達経路の薬理学における画期的なものである。これら2つの化合物クラス、すなわち、sGC刺激物質およびsGCアクチベーターは、NOには無関係にsGCを刺激し、cGMPのNO非依存的生成をもたらす。しかし、これらの化合物クラスは更に、内因的に生成したNOに対して相乗的(sGC刺激物質)および相加的(sGCアクチベーター)に作用する。現在知られている限りでは、主な相違はsGC結合である。sGCは、アルファサブユニットとベータサブユニットとから構成されるヘテロ二量体タンパク質であり、後者はNO結合性ヘム基を含有する。sGC刺激物質は未酸化のヘム含有sGCのアルファサブユニットに結合し、cGMPの直接的なNO非依存的生成を引き起こす(Staschら(A)2001;Stasch & Hobbs 2009)。一方、sGCアクチベーターは、酸化されたヘム非含有sGCのベータサブユニットに結合して、それを活性化して、cGMPのNO非依存的生成を招く(Staschら(B)2001,Schmidtら,2009)。この主要相違はインビトロ条件では非常に詳細に確立されている。しかし、ヘム含有および酸化型ヘム非含有sGCの存在の生理学的および病態生理学的結果、ならびにこれらの化合物クラスの、生じる治療可能性の理解は尚も不完全である。それでも、sGC刺激物質およびsGCアクチベーターの薬理学的有用性は、多数の前臨床モデルにおいて、ならびに多種多様な適応症に関して、特に心臓および心血管障害、腎臓および心腎障害、肺および心肺障害の分野において実証されている(Evgenovら,2009,Staschら,2011)。これは臨床試験においても確認され、したがって、2013年にsGC刺激物質リオシグアト(riociguat)が肺動脈高血圧(PAH)および慢性血栓塞栓性肺高血圧(CTEPH)の治療に関して承認された(Ghofraniら(A),Ghofraniら(B)2013,2013 Hambly & Granton 2015)。また、sGC刺激物質ベリシグアト(vericiguat)は心不全の治療に関して第II/III相の試験中である(Pieskeら,2014,Gheorghiadeら,2015)。これらの例はまた、心臓および心血管障害、腎臓および心腎障害ならびに肺および心肺障害の治療および/または予防の分野におけるsGC刺激物質およびsGCアクチベーターの広範な可能な使用を臨床的に証明している。更に、前臨床において、sGC刺激物質およびsGCアクチベーターの抗線維化作用が、説得力のある様態で実証された。
【0016】
原則として、ステロイド骨格を有するMRアンタゴニスト(MRA)と非ステロイド骨格を有するMRアンタゴニストとは区別される。ステロイド性MRA、例えばスピロノラクトンまたはその活性代謝産物カンレノンは、MRだけでなく、同種のアンドロゲンおよびプロゲステロン受容体とも相互作用する。これらの相互作用は、性ホルモン代謝に対する望ましくない影響、例えば女性化乳房、月経困難症および性欲喪失をもたらしうる。非ステロイド性MRA、例えばフィネレノンはMRと特異的に相互作用し、したがって、他のステロイドホルモン受容体との相互作用から生じる可能性のある対応副作用は予想されない。
【0017】
ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニストの例としては、以下のものが挙げられる(ステロイド性MRアンタゴニストに関して後記の刊行物に開示されている内容は本出願の開示の内容の一部をも構成する)。
【0018】
【0019】
のスピロノラクトン(7α-アセチルチオ-3-オキソ-17α-プレグナ-4-エン-21,17β-カルボラクト-7α-アセチルチオ-3-オキソ-17α-プレグナ-4-エン-21,17β-カルボラクトン)。これは文献から公知であり、とりわけ、Aldactone、Jenasprion、Asyrol、Spirobene、Veropsiron、Xenalonなる商品名で医薬として既に商業的に入手可能である。
【0020】
【0021】
のエプレレノン(エポキシメキセレノン)。これは文献から公知であり、とりわけ、Inspraなる商品名で医薬として既に商業的に入手可能である。
【0022】
【0023】
のカンレノン(10,13-ジメチルスピロ[2,8,9,11,12,14,15,16-オクタヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17,5’-オキソラン]-2’,3-ジオン)。これはスピロノラクトンの活性代謝産物であり、文献から公知であり、とりわけ、Contaren、LuvionおよびPhanuraneなる商品名で医薬として既に商業的に入手可能である。カンレノンは、カリウム塩であるカリウムカンレノアートとしても公知であり、商業的に入手可能である。
【0024】
非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニストの例としては、以下のものが挙げられる(非ステロイド性MRアンタゴニストに関して後記の刊行物に開示されている内容は本出願の開示の内容の一部をも構成する)。
【0025】
【0026】
の、ジヒドロピリジン骨格に基づく選択的アンタゴニストとしてのフィネレノン((S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド)。これはDE 10 2007009494 A1およびWO 2008 104 306 A2に記載されている。
【0027】
【0028】
のエサキセレノン(1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-N-(4-(メチルスルホニル)フェニル)-5-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピロール-3-カルボキサミド)。これはWO2006/012642に開示されている。
【0029】
【0030】
のアパラレノン(N-(4-(4-フルオロフェニル)-2,2-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-7-イル)メタンスルホンアミド)。これはWO07/089034に開示されている。
【0031】
【0032】
のPF-03882845((3S,3aR)-2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-7-カルボン酸)。これは以下の刊行物に開示されている:Meyers,M.J.,Arhancet,G.B.,Hockerman,S.L.,Chen,X.,Long,S.A.,Mahoney,M.W.,Rico,J.R.,Garland,D.J.,Blinn,J.R.,Collins,J.T.,Yang,S.,Huang,H.C.,McGee,K.F.,Wendling,J.M.,Dietz,J.D.,Payne,M.A.,Homer,B.L.,Heron,M.I.,Reitz,D.B.,Hu,X.,2010.Discovery of (3S,3aR)-2-(3-chloro-4-cyanophenyl)-3-cyclopentyl-3,3a,4,5-tetrahydro-2H-benzo[g]indazole-7-carboxylic acid(PF-3882845),an orally efficacious mineralocorticoid receptor(MR)antagonist for hypertension and nephropathy.J.Med.Chem.53,5979-6002。
【0033】
【0034】
の(R)-6-(1-(4-シアノ-3-メチルフェニル)-5-シクロペンチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-イル)-2-メトキシニコチン酸。これは以下の刊行物に開示されている:Casimiro-Garcia A,Piotrowski DW,Ambler Cら,Identification of (R)-6-(1-(4-cyano-3-methylphenyl)-5-cyclopentyl-4,5-dihydro-1H-pyrazol-3-yl)-2-methoxynicotinic acid,a highly potent and selective nonsteroidal mineralocorticoid receptor antagonist.J Med Chem 2014;57:4273-4288。
【0035】
アリールスルホンアミド構造に基づくMRアンタゴニスト、例えば、Futatsugi K,Piotrowski DW,Casimiro-Garcia Aら,Design and synthesis of aryl sulfonamide-based nonsteroidal mineralocorticoid receptor antagonists.Bioorg Med Chem Lett 2013;23:6239-6242に開示されているもの。
【0036】
KBP-5074。これはUS2015/0126501に開示されている。
【0037】
【0038】
の、インドール骨格に基づく(S)-N-{3-[1-シクロプロピル-1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル]-1H-インドール-7-イル}メタンスルホンアミド。これは以下の刊行物に開示されている:Bell MG,Gernert DL,Grese TA,Belvo MD,Borromeo PS,Kelley SA,Kennedy JH,Kolis SP,Lander PA,Richey R,Sharp VS,Stephenson GA,Williams JD,Yu H,Zimmerman KM,Steinberg MI,Jadhav PK.(S)-N-{3-[1-cyclopropyl-1-(2,4-difluoro-phenyl)-ethyl]-1H-indol-7-yl}-methanesulfonamide:a potent,nonsteroidal,functional antagonist of the mineralocorticoid receptor.J Med Chem.2007;50:6443-6445。
【0039】
ビスアリールオキシニドール。これは、Neel DA,Brown ML,Lander PA,Grese TA,Defauw JM,Doti RA,Fields T,Kelley SA,Smith S,Zimmerman KM,Steinberg MI,Jadhav PK.3,3-Bisaryloxindoles as mineralocorticoid receptor antagonists.Bioorg Med Chem Lett.2005;15:2553-2557に開示されている。
【0040】
そしてまた、オキサゾリジンジオン骨格に基づくMRアンタゴニスト。これは以下の刊行物に開示されている:Yang C,Shen HC,Wu Zら,Discovery of novel oxazolidinedione derivatives as potent and selective mineralocorticoid receptor antagonists.Bioorg Med Chem Lett 2013;23:4388-4392.Cox JM,Chu HD,Yang Cら,Mineralocorticoid receptor antagonists:identification of heterocyclic amide replacements in the oxazolidinedione series.Bioorg Med Chem Lett 2014;24:1681-1684.Yang C,Balsells J,Chu HD,Cox JM,Crespo A,Ma X,Contino L,Brown P,Gao S,Zamlynny B,Wiltsie J,Clemas J,Lisnock J,Gibson J,Zhou G,Garcia-Calvo M,Bateman TJ,Tong V,Xu L,Crook M,Sinclair P,Shen HC.Discovery of benzimidazole oxazolidinediones as novel and selective nonsteroidal mineralocorticoid receptor antagonists.ACS Med Chem Lett.2015;6:461-465。
【0041】
インドールまたはインダゾール骨格に基づくミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト。これはWO2012/097744、WO2013055606、WO2013055607、WO2013055608、WO2014014794、WO2012139495に開示されている。
【0042】
適切なsGCアクチベーターは以下の刊行物から公知である(後記の刊行物に開示されている内容は本出願の開示の内容の一部をも構成する):WO2013/157528、WO2015/056663、WO2009/123316、WO2016/001875、WO2016/001876、WO2016/001878、WO2000/02851、WO2012/122340、WO2013/025425、WO2014/039434、WO2016/014463、WO2009/068652、WO2009/071504、WO2010/015652、WO2010/015653、WO2015/033307、WO2016/042536、WO2009/032249、WO2010/099054、WO2012/058132、US2010/0216764、WO01/19776、WO01/19780、WO01/19778、WO02/070459、WO02/070460、WO02/070510、WO02/070462、WO2007/045366、WO2007/045369、WO2007/045433、WO2007/045370、WO2007/045367、WO2014/012935、WO2014/012934、WO2011/141409、WO2008/119457、WO2008/119458、WO2009/127338、WO2010/102717、WO2011/051165、WO2012/076466、WO2012/139888、WO2013/174736。
【0043】
以下のsGCアクチベーターは特に重要である。
【0044】
【0045】
の(3S)-3-(4-クロロ-3-{[(2S,3R)-2-(4-クロロフェニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-メチルブタノイル]アミノ}フェニル)-3-シクロプロピルプロパン酸。これはWO2012/139888に開示されている。
【0046】
【0047】
の4-({(4-カルボキシブチル)[2-(2-{[4-(2-フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)カルボン酸。これはWO 01/019780に開示されている。
【0048】
【0049】
の5-{(4-カルボキシブチル)[2-(2-{[3-クロロ-4’-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]メトキシ}フェニル)エチル]アミノ}-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸。これはWO2014/012934に開示されている。
【0050】
【0051】
の5-{[2-(4-カルボキシフェニル)エチル][2-(2-{[3-クロロ-4’-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]メトキシ}フェニル)エチル]アミノ}-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸。これはWO2014/012934に開示されている。
【0052】
およびsGCアクチベーターであるBI 703704。これはベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim)によって臨床開発中である。そしてまた、前臨床研究および開発中である他のsGCアクチベーター。
【0053】
RAASおよびNO/cGMP経路は共に、身体の恒常性を維持するのに重要な役割を果たしており、心臓および心血管系、腎臓および心腎系または肺および心肺系における重要な機能を調節する。心臓および心血管障害、腎臓および心腎障害、肺および心肺障害または線維性障害に対する単剤療法としてのMRアンタゴニストの使用およびsGCアクチベーターの使用も記載されている。しかし、実際には、これらの種々の疾患における2つのシグナル経路の調節異常の割合および直接比較におけるそれらの2つのメカニズムの絶対的効率は共に知られていない。
【0054】
したがって、sGCアクチベーターをMRアンタゴニストと直接比較する実験が行われた。これは、これらの2つの病理学的メカニズムの定性的および定量的な疾患関連性に関する洞察を得るために、ならびにそれから導き出される治療パラダイムを研究するために行われた。
【0055】
これらの実験においては、MRアンタゴニストとsGCアクチベーターとの組合せが使用され、そしてまた、個々の化合物との直接的な比較において試験された。驚くべきことに、これらの組合せの並外れた有効性が見出され、これは個々の成分の有効性を遥かに上回り、MRアンタゴニストとsGCアクチベーターとの組合せの相乗的活性を示唆している。
【発明の概要】
【0056】
したがって、前記の目的の達成手段は、心臓および心血管障害、腎臓および心腎障害、肺および心肺障害ならびに線維性障害の標的化治療に使用されうる、RAAS系に介入する少なくとも1つの物質と、少なくとも1つのsGCアクチベーターとの、超相加的(super-additive)効果を有する組合せの提供からなりうる。
【0057】
したがって、本発明は、とりわけ、MRアンタゴニストとsGCアクチベーターとを含む組合せを提供する。急性条件下、そして特に慢性条件下で使用される場合、この組合せは、実験条件下の心臓および腎臓の終末器官保護、腎臓タンパク質排泄の減少、罹患率および死亡率の減少に関して、正の効果を示す。これらの実験条件は、一方においては健常動物、または高血圧、心不全および/もしくは腎不全に罹患している動物(例えば、トランスジェニックレニンラット)、L-NAME処置動物(例えば、トランスジェニックレニンラット + L-NAME処置)からなる。
【0058】
少なくとも1つのsGCアクチベーターと少なくとも1つのMRアンタゴニストとを含む組合せが好ましい。
【0059】
少なくとも1つのsGCアクチベーターと少なくとも1つのステロイド性MRアンタゴニストとを含む組合せも好ましい。
【0060】
少なくとも1つのsGCアクチベーターと少なくとも1つの非ステロイド性MRアンタゴニストとを含む組合せも好ましい。
【0061】
少なくとも1つのsGCアクチベーターと、ジヒドロピリジン骨格を有する少なくとも1つの非ステロイド性MRアンタゴニストとを含む組合せも好ましい。
【0062】
少なくとも1つのsGCアクチベーターと、インドールまたはインダゾール骨格を有する少なくとも1つの非ステロイド性MRアンタゴニストとを含む組合せも好ましい。
【0063】
少なくとも1つのsGCアクチベーターと、オキサゾリジンジオン骨格を有する少なくとも1つの非ステロイド性MRアンタゴニストとを含む組合せも好ましい。
【0064】
少なくとも1つのsGCアクチベーターと、
式(I)
【化14】
【0065】
のスピロノラクトン(7α-アセチルチオ-3-オキソ-17α-プレグナ-4-エン-21,17β-カルボラクト-7α-アセチルチオ-3-オキソ-17α-プレグナ-4-エン-21,17β-カルボラクトン)、
式(II)
【化15】
【0066】
のエプレレノン(エポキシメキセレノン)、
式(III)
【化16】
【0067】
のカンレノン(10,13-ジメチルスピロ[2,8,9,11,12,14,15,16-オクタヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17,5’-オキソラン]-2’,3-ジオン)
からなる群から選択される少なくとも1つのステロイド性MRアンタゴニストとを含む組合せも好ましい。
【0068】
少なくとも1つのsGCアクチベーターと、
式(IV)
【化17】
【0069】
のフィネレノン((S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド)、
式(V)
【化18】
【0070】
のエサキセレノン(1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-N-(4-(メチルスルホニル)フェニル)-5-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピロール-3-カルボキサミド)、
式(VI)
【化19】
【0071】
のアパラレノン(N-(4-(4-フルオロフェニル)-2,2-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-7-イル)メタンスルホンアミド)、
式(XIV)
【化20】
【0072】
の(3S,3aR)-2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-7-カルボン酸)、
式(VIII)
【化21】
【0073】
の(R)-6-(1-(4-シアノ-3-メチルフェニル)-5-シクロペンチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-イル)-2-メトキシニコチン酸、
式(IX)
【化22】
【0074】
の(S)-N-{3-[1-シクロプロピル-1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル]-1H-インドール-7-イル}メタンスルホンアミド
からなる群から選択される少なくとも1つの非ステロイド性MRアンタゴニストとを含む組合せも好ましい。
【0075】
【0076】
のフィネレノン,(S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドと、少なくとも1つのsGCアクチベーターとを含む組合せも好ましい。
【0077】
【0078】
のフィネレノン,(S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドと、少なくとも1つのカルボン酸機能を含む少なくとも1つのsGCアクチベーターとを含む組合せも好ましい。
【0079】
【0080】
の(3S)-3-(4-クロロ-3-{[(2S,3R)-2-(4-クロロフェニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-メチルブタノイル]アミノ}フェニル)-3-シクロプロピルプロパン酸、
式(XI)
【化26】
【0081】
の4-({(4-カルボキシブチル)[2-(2-{[4-(2-フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)カルボン酸、
式(XII)
【化27】
【0082】
の5-{(4-カルボキシブチル)[2-(2-{[3-クロロ-4’-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]メトキシ}フェニル)エチル]アミノ}-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸、
式(XIII)
【化28】
【0083】
の5-{[2-(4-カルボキシフェニル)エチル][2-(2-{[3-クロロ-4’-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]メトキシ}フェニル)エチル]アミノ}-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸
からなる群から選択される少なくとも1つのsGCアクチベーターと、式(IV)
【化29】
【0084】
のフィネレノン,(S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドとを含む組合せも好ましい。
【0085】
少なくとも1つのカルボン酸機能を含む少なくとも1つのsGCアクチベーターと少なくとも1つのMRアンタゴニストとを含む組合せも好ましい。
【0086】
カルボン酸機能を含む少なくとも1つのsGCアクチベーターと少なくとも1つのMRアンタゴニストとを含む組合せも好ましい。
【0087】
【0088】
の(3S)-3-(4-クロロ-3-{[(2S,3R)-2-(4-クロロフェニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-メチルブタノイル]アミノ}フェニル)-3-シクロプロピルプロパン酸、
式(XI)
【化31】
【0089】
の4-({(4-カルボキシブチル)[2-(2-{[4-(2-フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)カルボン酸、
式(XII)
【化32】
【0090】
の5-{(4-カルボキシブチル)[2-(2-{[3-クロロ-4’-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]メトキシ}フェニル)エチル]アミノ}-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸、
式(XIII)
【化33】
【0091】
の5-{[2-(4-カルボキシフェニル)エチル][2-(2-{[3-クロロ-4’-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]メトキシ}フェニル)エチル]アミノ}-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸
からなる群から選択される少なくとも1つのsGCアクチベーターと、MRアンタゴニストとを含む組合せも好ましい。
【0092】
【0093】
のsGCアクチベーター(3S)-3-(4-クロロ-3-{[(2S,3R)-2-(4-クロロフェニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-メチルブタノイル]アミノ}フェニル)-3-シクロプロピルプロパン酸と少なくとも1つのMRアンタゴニストとを含む組合せも好ましい。
【0094】
【0095】
のsGCアクチベーター(3S)-3-(4-クロロ-3-{[(2S,3R)-2-(4-クロロフェニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-メチルブタノイル]アミノ}フェニル)-3-シクロプロピルプロパン酸と少なくとも1つのステロイド性MRアンタゴニストとを含む組合せが特に好ましい。
【0096】
【0097】
のsGCアクチベーター(3S)-3-(4-クロロ-3-{[(2S,3R)-2-(4-クロロフェニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-メチルブタノイル]アミノ}フェニル)-3-シクロプロピルプロパン酸と少なくとも1つの非ステロイド性MRアンタゴニストとを含む組合せが特に好ましい。
【0098】
【0099】
のsGCアクチベーター(3S)-3-(4-クロロ-3-{[(2S,3R)-2-(4-クロロフェニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-メチルブタノイル]アミノ}フェニル)-3-シクロプロピルプロパン酸と、ジヒドロピリジン骨格に基づく少なくとも1つの非ステロイド性MRアンタゴニストとを含む組合せが特に好ましい。
【0100】
【0101】
のsGCアクチベーター(3S)-3-(4-クロロ-3-{[(2S,3R)-2-(4-クロロフェニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-メチルブタノイル]アミノ}フェニル)-3-シクロプロピルプロパン酸と、インドールまたはインダゾール骨格に基づく少なくとも1つの非ステロイド性MRアンタゴニストとを含む組合せが特に好ましい。
【0102】
【0103】
のsGCアクチベーター(3S)-3-(4-クロロ-3-{[(2S,3R)-2-(4-クロロフェニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-メチルブタノイル]アミノ}フェニル)-3-シクロプロピルプロパン酸と、オキサゾリジンジオン骨格に基づく少なくとも1つの非ステロイド性MRアンタゴニストとを含む組合せが特に好ましい。
【0104】
【0105】
のsGCアクチベーター(3S)-3-(4-クロロ-3-{[(2S,3R)-2-(4-クロロフェニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-メチルブタノイル]アミノ}フェニル)-3-シクロプロピルプロパン酸と、
式(I)
【化41】
【0106】
のスピロノラクトン(7α-アセチルチオ-3-オキソ-17α-プレグナ-4-エン-21,17β-カルボラクト-7α-アセチルチオ-3-オキソ-17α-プレグナ-4-エン-21,17β-カルボラクトン)、
式(II)
【化42】
【0107】
のエプレレノン(エポキシメキセレノン)、
式(III)
【化43】
【0108】
のカンレノン(10,13-ジメチルスピロ[2,8,9,11,12,14,15,16-オクタヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17,5’-オキソラン]-2’,3-ジオン)およびそのカリウム塩
からなる群から選択される少なくとも1つのステロイド性MRアンタゴニストとを含む組合せが特に好ましい。
【0109】
【0110】
のsGCアクチベーター(3S)-3-(4-クロロ-3-{[(2S,3R)-2-(4-クロロフェニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-メチルブタノイル]アミノ}フェニル)-3-シクロプロピルプロパン酸と、
式(IV)
【化45】
【0111】
のフィネレノン((S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド)、
式(V)
【化46】
【0112】
のエサキセレノン(1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-N-(4-(メチルスルホニル)フェニル)-5-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピロール-3-カルボキサミド)、
式(VI)
【化47】
【0113】
のアパラレノン(N-(4-(4-フルオロフェニル)-2,2-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-7-イル)メタンスルホンアミド)、
式(XIV)
【化48】
【0114】
の(3S,3aR)-2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-7-カルボン酸)、
式(VIII)
【化49】
【0115】
の(R)-6-(1-(4-シアノ-3-メチルフェニル)-5-シクロペンチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-イル)-2-メトキシニコチン酸、
式(IX)
【化50】
【0116】
の(S)-N-{3-[1-シクロプロピル-1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル]-1H-インドール-7-イル}メタンスルホンアミド
からなる群から選択される少なくとも1つの非ステロイド性MRアンタゴニストとを含む組合せが特に好ましい。
【0117】
【0118】
のsGCアクチベーター(3S)-3-(4-クロロ-3-{[(2S,3R)-2-(4-クロロフェニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-メチルブタノイル]アミノ}フェニル)-3-シクロプロピルプロパン酸と、
式(IV)
【化52】
【0119】
の(S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドとを含む組合せが非常に特に好ましい。
【0120】
本発明の組合せによるsGCアクチベーターによる可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化およびMRへのアルドステロンの結合の同時遮断は末端器官保護、腎臓タンパク質排泄の減少ならびに罹患率および死亡率の減少に関して超相加的的効果をもたらす。
【0121】
本発明は更に、心臓および心血管障害、例えば駆出率が保たれた心不全または駆出率が低下した心不全の治療、心房細動、卒中またはアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防、腎臓および心腎障害、例えば慢性腎不全または糖尿病性腎症、肺障害および心肺障害、例えば肺疾患高血圧、中枢神経系の障害の治療、線維性障害および他の疾患症状(例えば、脳、腎臓、心臓または肺に影響を及ぼす末端器官損傷)の治療および/または予防のための、sGCアクチベーターと組合されたMRアンタゴニストの使用を提供する。
【0122】
本発明の内容の一部は、MRアンタゴニストとsGCアクチベーターとの組合せを含む、そしてまた、組合される成分の塩、溶媒和物および該塩の溶媒和物を含む医薬製剤である。
【0123】
組合される成分は塩として存在しうる。本発明の場合に好ましい塩は、組合される化合物の生理的に許容される塩である。医薬用途自体には適さないが、例えば、組合される化合物の単離または精製に使用されうる塩も含まれる。
【0124】
本発明の組合せは、種々の障害および疾患関連状態の予防および/または治療、特に、心臓および心血管障害、例えば駆出率が保たれた心不全または駆出率が低下した心不全の治療および/または予防、心房細動、卒中またはアテローム性動脈硬化症、腎臓および心腎障害、例えば慢性腎不全または糖尿病性腎症、肺障害および心肺障害、例えば肺疾患高血圧、中枢神経系の障害の治療および/または予防、線維性障害および他の疾患症状(例えば、脳、腎臓または心臓に影響を及ぼす末端器官損傷)の治療および/または予防に適している。
【0125】
更に、本発明の組合せは、種々の障害および疾患関連状態の予防および/または治療、特に、高血圧、心不全(急性および慢性)、非代償性心不全、左心室機能不全、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動、心房粗動、有害な血管リモデリング、心筋梗塞およびその続発症、アテローム性動脈硬化症、狭心症(不安定または安定)、腎不全(糖尿病性および非糖尿病性)、心不全、狭心症、糖尿病、続発性高アルドステロン症、原発性および続発性肺高血圧、糸球体腎炎、強皮症および全身性硬化症、糸球体硬化症、原発性腎疾患の続発性タンパク尿、腎血管性高血圧、糖尿病性および非糖尿病性網膜症、片頭痛、末梢血管疾患、レイノー病、内腔肥厚、認知機能障害、緑内障および脳卒中からなる群から選択される疾患の治療および/または予防に適している。
【0126】
本発明は更に、障害、特に前記の障害の治療および/または予防用の医薬の製造のための、本発明の組合せの使用を提供する。
【0127】
本発明は更に、障害、特に前記の障害の治療および/または予防方法を提供する。
【0128】
本発明の組合せは、単独で、または必要に応じて他の活性化合物と組合せて使用されうる。本発明は更に、特に前記障害の治療および/または予防のための、本発明の組合せの少なくとも1つと1以上の他の活性化合物とを含む医薬を提供する。組合せに適した活性化合物の好ましい例には以下のものが含まれる:
・血圧を低下させる活性化合物、例えば、そして好ましくは、カルシウムアンタゴニスト、アンジオテンシン受容体ブロッカー(ARB)、ACEインヒビター、エンドセリンアンタゴニスト、レニンインヒビター、アルファ受容体ブロッカー、ベータ受容体ブロッカーおよびRhoキナーゼインヒビターの群から選択されるもの;
・利尿薬、特にループ利尿薬、ならびにチアジド(thiazide)およびチアジド様利尿薬;
・抗糖尿病薬、例えば、そして好ましくは、インスリンおよび誘導体、スルホニル尿素、ビグアニド(biguanide)、チアゾリジンジオン、アカルボース(acarbose)、DPP4インヒビター、GLP-1類似体またはSGLTインヒビター(グリフロジン(gliflozin));
・抗血栓薬、例えば、そして好ましくは、血小板凝集インヒビター、抗凝固薬または線維素溶解促進性物質の群から選択されるもの;
・脂質代謝を変化させる活性成分、例えば、そして好ましくは、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成インヒビターの群から選択されるもの、好ましい例はHMG-CoAレダクターゼインヒビターまたはスクアレン合成インヒビター、ACATインヒビター、CETPインヒビター、MTPインヒビター、PPAR-アルファ、PPAR-ガンマおよび/またはPPAR-デルタアゴニスト、コレステロール吸収インヒビター、リパーゼインヒビター、ポリマー胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収インヒビターおよびリポタンパク質(a)アンタゴニストである;
・有機ニトラートおよびNO供与体、例えば、ニトロプルシド(nitroprusside)ナトリウム、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、モルシドミン(molsidomine)またはSIN-1および吸入NO;
・陽性変力作用を有する化合物、例えば強心配糖体(ジゴキシン)、ベータ-アドレナリン作動性およびドーパミン作動性アゴニスト、例えばイソプロテレノール(isoproterenol)、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンおよびドブタミン(dobutamine);
・環状グアノシン一リン酸(cGMP)および/または環状アデノシン一リン酸(cAMP)の分解を抑制する化合物、例えば、ホスホジエステラーゼ(PDE)1、2、3、4および/または5のインヒビター、特にPDE5インヒビター、例えばシルデナフィル(sildenafil)、バルデナフィル(vardenafil)およびタダラフィル(tadalafil)、ならびにPDE3インヒビター、例えばアムリノン(amrinone)およびミルリノン(milrinone);
・ナトリウム利尿ペプチド、例えば心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP、アナリチド)、B型ナトリウム利尿ペプチドまたは脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP、ネシリチド)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)およびウロジラチン(urodilatin);
・エンドペプチダーゼのインヒビター(NEPインヒビター)、例えばサクビトリル(sacubitril)、オマパトリラート(omapatrilate)またはAVE-7688、あるいは例えばLCZ696のようなアンジオテンシン受容体ブロッカー(例えば、バルサルタン(valsartan))との二重組合せ体(「ARNI」);
・カルシウム増感剤、例えば、そして好ましくは、レボシメンダン(levosimendan);
・チャネルブロッカー、例えば、そして好ましくは、イバブラジン(ivabradine);
・ミオシンアクチベーター、例えば、そして好ましくは、オメカムチブメカルビル(omecamtiv mecarbil);
・ヒト好中球エラスターゼ(HNE)のインヒビター、例えば、シベレスタット(sivelestat)またはDX-890(レルトラン(Reltran));
・シグナル伝達カスケードを抑制する化合物、例えば、チロシンキナーゼインヒビター、特に、ソラフェニブ(sorafenib)、イマチニブ(imatinib)、ゲフィチニブ(gefitinib)およびエルロチニブ(erlotinib);および/または
・心臓のエネルギー代謝に影響を及ぼす化合物、例えば、そして好ましくは、エトモキシル(etomoxir)、ジクロロアセタート(dichloroacetate)、ラノラジン(ranolazine)またはトリメタジジン(trimetazidine)。
【0129】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、利尿薬、例えば、そして好ましくは、フロセミド(furosemide)、ブメタニド(bumetanide)、トルセミド(torsemide)、ベンドロフルメチアジド(bendroflumethiazide)、クロロチアジド(chlorothiazide)、ヒドロクロロチアジド(hydrochlorothiazide)、ヒドロフルメチアジド(hydroflumethiazide)、メチルチアジド(methyclothiazide)、ポリチアジド(polythiazide)、トリクロルメチアジド(trichlormethiazide)、クロルタリドン(chlorthalidone)、インダパミド(indapamide)、メトラゾン(metolazone)、キネタゾン(quinethazone)、アセタゾラミド(acetazolamide)、ジクロルフェナミド(dichlorphenamide)、メタゾラミド(methazolamide)、グリセロール、イソソルビド(isosorbide)、マンニトール、アミロリド(amiloride)またはトリアムテレン(triamterene)と組合せて投与される。
【0130】
血圧を低下させる物質は、好ましくは、カルシウムアンタゴニスト、アンジオテンシン受容体ブロッカー、ACEインヒビター、エンドセリンアンタゴニスト、レニンインヒビター、アルファ受容体ブロッカー、ベータ受容体ブロッカー、Rhoキナーゼインヒビターおよび利尿薬の群からの化合物を意味すると理解される。
【0131】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せ製剤は、抗糖尿病薬、例えば、そして好ましくは、インスリンおよび誘導体、スルホニル尿素、例えばトルブタミド(tolbutamide)、カルバミド(carbutamide)、アセトヘキサミド(acetohexamide)、クロルプロパミド(chlorpropamide)、グリピジド(glipizide)、グリクラジド(gliclazide)、グリベンクラミド(glibenclamide)、グリブリド(glyburide)、グリボルヌリド(glibornuride)、グリキドン(gliquidone)、グリソキセピド(glisoxepide)、グリクロピラミド(glyclopyramide)、グリメピリド(glimepiride)、JB253およびJB558、メグリチニド(meglitinide)、例えばレパグリニド(repaglinide)およびナテグリニド(nateglinide)、ビグアニド(biguanide)、例えばメトホルミン(metformin)およびブホルミン(buformin)、チアゾリジンジオン、例えばロシグリタゾン(rosiglitazone)およびピオグリタゾン(pioglitazone)、アルファ-グルコシダーゼインヒビター、例えばミグリトール(miglitol)、アカルボース(acarbose)およびボグリボース(voglibose)、DPP4インヒビター、例えばビルダグリプチン(vildagliptin)、シタグリプチン(sitagliptin)、サクサグリプチン(saxagliptin)、リナグリプチン(linagliptin)、アログリプチン(alogliptin)、セプタグリプチン(septagliptin)およびテネリグリプチン(teneligliptin)、GLP-1類似体、例えばエクセナチド(exenatide)(またエキセンジン(exendin)-4)、リラグルチド(liraglutide)、リキシセンタグチス(lixisenatide)およびタスポグルチド(taspoglutide)、またはSGLTインヒビター(グリフロジン(gliflozin))、例えばカナグリフロジン(canagliflozin)、ダパグリフロジン(dapagliflozin)およびエンパグリフロジン(empagliflozin)と組合せて投与される。
【0132】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、カルシウムアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ニフェジピン(nifedipine)、アムロジピン(amlodipine)、ベラパミル(verapamil)またはジルチアゼム(diltiazem)と組合せて投与される。
【0133】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の化合物は、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ロサルタン(losartan)、カンデサルタン(candesartan)、バルサルタン(valsartan)、オルメサルタン(olmesartan)、テルミサルタン(telmisartan)またはエンブルサタン(embursatan)と組合せて投与される。
【0134】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、ACEインヒビター、例えば、そして好ましくは、エナラプリル(enalapril)、カプトプリル(captopril)、リシノプリル(lisinopril)、ラミプリル(ramipril)、デラプリル(delapril)、フォシノプリル(fosinopril)、キノプリル(quinopril)、ペリンドプリル(perindopril)またはトランドロプリル(trandopril)と組合せて投与される。
【0135】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、エンドセリンアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ボセンタン(bosentan)、ダルセンタン(darusentan)、アンブリセンタン(ambrisentan)またはシタキセンタン(sitaxsentan)と組合せて投与される。
【0136】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、レニンインヒビター、例えば、そして好ましくは、アリスキレン(aliskiren)、SPP-600、SPP-635、SPP-676、SPP-800またはSPP-1148と組合せて投与される。
【0137】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、アルファ1受容体ブロッカー、例えば、そして好ましくは、プラゾシン(prazosin)と組合せて投与される。
【0138】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、ベータ受容体ブロッカー、例えば、そして好ましくは、プロプラノロール(propranolol)、アテノロール(atenolol)、チモロール(timolol)、ピンドロール(pindolol)、アルプレノロール(alprenolol)、オクスプレノロール(oxprenolol)、ペンブトロール(penbutolol)、ブプラノロール(bupranolol,)、メチプラノロール(metipranolol)、ナドロール(nadolol)、メピンドロール(mepindolol)、カラザロール(carazalol)、ソタロール(sotalol)、メトプロロール(metoprolol)、ベタキソロール(betaxolol)、セリプロロール(celiprolol)、ビソプロロール(bisoprolol)、カルテオロール(carteolol)、エスモロール(esmolol)、ラベタロール(labetalol)、カルベジロール(carvedilol)、アダプロール(adaprolol)、ランジオロール(landiolol)、ネビボロール(nebivolol)、エパノロール(epanolol)またはブシンドロール(bucindolol)と組合せて投与される。
【0139】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、Rhoキナーゼインヒビター、例えば、そして好ましくは、ファスジル(fasudil)、Y-27632、SLx-2119、BF-66851、BF-66852、BF-66853、KI-23095またはBA-1049と組合せて投与される。
【0140】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、プロスタノイドおよびプロスタサイクリン受容体アゴニスト、例えば、そして好ましくは、イロプロスト(iloprost)、ベラプロスト(beraprost)、シカプロスト(cicaprost)、エポプロステノール(epoprostenol)またはトレプロスチニル(treprostinil)と組合せて投与される。
【0141】
抗血栓剤(抗血栓剤)は、好ましくは、血小板凝集インヒビター、抗凝固剤または線維素溶解促進性物質の群からの組成物を意味すると理解される。
【0142】
本発明の好ましい実施態様においては、本発明の組合せは、血小板凝集インヒビター、例えば、そして好ましくは、アスピリン(aspirin)、クロピドグレル(clopidogrel)、チクロピジン(ticlopidine)またはジピリダモール(dipyridamole)と組合せて投与される。
【0143】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、トロンビンインヒビター、例えば、そして好ましくは、キシメラガトラン(ximelagatran)、メラガトラン(melagatran)、ビバリルジン(bivalirudin)またはクレキサン(clexane)と組合せて投与される。
【0144】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、GPIIb/IIIaアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、チロフィバン(tirofiban)またはアブシキシマブ(abciximab)と組合せて投与される。
【0145】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、第Xa因子インヒビター、例えば、そして好ましくは、リバロキサバン(rivaroxaban)(BAY 59-7939)、DU-176b、アピキサバン(apixaban)、オタミキサバン(otamixaban)、フィデキサバン(fidexaban)、ラザキサバン(razaxaban)、フォンダパリヌクス(fondaparinux)、イドラパリヌクス(idraparinux)、PMD-3112、YM-150、KFA-1982、EMD-503982、MCM-17、MLN-1021、DX9065a、DPC906、JTV803、SSR-126512またはSSR-128428と組合せて投与される。
【0146】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せはヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組合せて投与される。
【0147】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、ビタミンKアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、クマリン(coumarin)と組合せて投与される。
【0148】
脂質代謝調節剤は、好ましくは、CETPインヒビター、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成インヒビター、例えばHMG-CoAレダクターゼインヒビターまたはスクアレン合成インヒビター、ACATインヒビター、MTPインヒビター、PPAR-アルファ、PPAR-ガンマおよび/またはPPAR-デルタアゴニスト、コレステロール吸収インヒビター、ポリマー胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収インヒビター剤、リパーゼインヒビターおよびリポタンパク質(a)アンタゴニストの群からの化合物を意味すると理解される。
【0149】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、CETPインヒビター、例えば、そして好ましくは、トルセトラピブ(torcetrapib)(CP-529 414)、JJT-705、BAY 60-5521、BAY 78-7499またはCETPワクチン(アバン(Avant))と共に投与される。
【0150】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、甲状腺受容体アゴニスト、例えば、そして好ましくは、D-チロキシン、3,5,3’-トリヨードチロニン(T3)、CGS 23425またはアキシチローム(axitirome)(CGS 26214)と組合せて投与される。
【0151】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、スタチンのクラスからのHMG-CoAレダクターゼインヒビター、例えば、そして好ましくは、ロバスタチン(lovastatin)、シンバスタチン(simvastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)、セリバスタチン(cerivastati)またはピタバスタチン(pitavastatin)と組合せて投与される。
【0152】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、スクアレン合成インヒビター、例えば、そして好ましくは、BMS-188494またはTAK-475と組合せて投与される。
【0153】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、ACATインヒビター、例えば、そして好ましくは、アバシミベ(avasimibe)、メリンアミド(melinamide)、パクチミベ(pactimibe)、エフルシミベ(eflucimibe)またはSMP-797と組合せて投与される。
【0154】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、MTPインヒビター、例えば、そして好ましくは、インプリタピド(implitapide)、BMS-201038、R-103757またはJTT-130と組合せて投与される。
【0155】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、PPAR-ガンマアゴニスト、例えば、そして好ましくは、ピオグリタゾン(pioglitazone)またはロシグリタゾン(rosiglitazone)と組合せて投与される。
【0156】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、PPAR-デルタアゴニスト、例えば、そして好ましくは、GW-501516またはBAY 68-5042と共に投与される。
【0157】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、コレステロール吸収インヒビター、例えば、そして好ましくは、エゼチミブ(ezetimibe)、チケサイド(tiqueside)またはパマケシド(pamaqueside)と共に投与される。
【0158】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、リパーゼインヒビター、例えば、そして好ましくは、オルリスタット(orlistat)と共に投与される。
【0159】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、ポリマー胆汁酸吸着剤、例えば、そして好ましくは、コレスチラミン(cholestyramine)、コレスチポール(colestipol)、コレソルバム(colesolvam)、コレスタゲル(CholestaGel)またはコレスチミド(colestimide)と組合せて投与される。
【0160】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、胆汁酸再吸収インヒビター、例えば、そして好ましくは、ASBT(=IBAT)インヒビター、例えば、AZD-7806、S-8921、AK-105、BARI-1741、SC-435またはSC-635と組合せて投与される。
【0161】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、リポタンパク質(a)アンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ゲムカベン(gemcabene)カルシウム(CI-1027)またはニコチン酸と組合せて投与される。
【0162】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、抗線維化作用を有する化合物、例えば、そして好ましくは、ソラフェニブ(sorafenib)、レゴラフェニブ(regorafenib)、イマチニブ(imatinib)、ダサチニブ(dasatinib)、ニロチニブ(nilotinib)、ニネタニブ(nintedanib)、ボルテゾミブ(bortezomib)またはピルフェニドン(pirfenidone)と組合せて投与される。
【0163】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組合せは、抗炎症作用を有する化合物、例えば、そして好ましくは、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、メトトレキサート(methotrexate)、ラパマイシン(rapamycin)、アザチオプロイン(azathioproin)、トシリズマブ(tocilizumab)、インフリキシマブ(infliximab)、リツキシマブ(rituximab)、アダリムマブ(adalimumab)、ベリムマブ(belimumab)、アバタセプト(abatacept)、SAR100842またはサリドマイド誘導体と組合せて投与される。
【0164】
本発明の組合せは全身的および/または局所的に作用しうる。この目的のために、それらは、適切な方法で、例えば経口、非経口、肺、鼻、舌下、舌、口腔、直腸、皮膚、経皮、結膜または耳経路により、あるいはインプラントまたはステントとして投与されうる。
【0165】
本発明の組合せは、これらの投与経路に適した投与形態で投与されうる。
【0166】
経口投与のための適切な投与形態は、先行技術に従い機能するものであって、本発明の組合せを迅速におよび/または修飾様態で放出し、本発明の化合物を結晶形態および/または非晶質形態および/または溶解形態で含有するもの、例えば、錠剤(素錠または被覆錠剤、例えば腸溶コーティング、または遅延様態で溶解するコーティング、または本発明の組合せの放出を制御する不溶性コーティングを有するもの)、口腔内で急速に崩壊する錠剤またはフィルム/ウエハー、フィルム/凍結乾燥物、カプセル剤(例えば、硬または軟ゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤、エアロゾル剤または溶液剤である。
【0167】
挙げられうる好ましい投与形態は、錠剤形態(素錠または被覆錠剤、例えば腸溶コーティング、または遅延様態で溶解するコーティング、または本発明の組合せの放出を制御する不溶性コーティングを有するもの)、口内で急速に崩壊する錠剤またはフィルム/ウェーハである。
【0168】
非経口投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰内経路により)、または吸収を伴って(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内経路により)、達成されうる。非経口投与に適した投与形態は、とりわけ、溶液、懸濁液、乳濁液、凍結乾燥物または滅菌粉末の形態の注射および注入のための製剤を含む。
【0169】
他の投与経路に関しては、適切な例としては、吸入剤(粉末吸入器、ネブライザーを含む)、点鼻剤、溶液またはスプレー、舌、舌下または頬側投与用の錠剤、フィルム/ウエハーまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼用製剤、膣カプセル剤、水性懸濁液(ローション剤、振とう混合物)、親油性懸濁液、軟膏剤、クリーム剤、経皮治療系(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散粉用粉末、インプラントまたはステントが挙げられる。
【0170】
経口または非経口投与が好ましく、経口投与がより好ましい。錠剤形態による経口投与が特に好ましい。
【0171】
本発明の組合せは、挙げられている投与形態に変換されうる。これは、不活性で無毒性の薬学的に適当な賦形剤と混合することにより、自体公知の方法で達成されうる。これらの賦形剤には、とりわけ、担体(例えば、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば、液体ポリエチレングリコール)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレアート)、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、合成および天然高分子(例えば、アルブミン)、安定剤(例えば、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸)、着色剤(例えば、無機顔料、例えば、酸化鉄)、ならびに風味および/または臭気矯正物質が含まれる。
【0172】
本発明の組合せにおいては、それらの複数の成分は、組合された単位剤形として、または2つの別々の単位剤形として、一緒または連続的または別々に投与されうる。単位剤形は、固定された組合せであってもよい。
【0173】
本発明の組合せの各成分の治療的有効量は、同時に、または任意の順序で連続的に投与されうる。
【0174】
1つの実施形態においては、成分は、本発明による成分の放出が、異なる時点で生じる、いわゆる遅延放出製剤中に存在しうる。例えば、本発明の1以上の成分をそれぞれが含有する遅延溶解コーティングを有する錠剤が挙げられうる。
【0175】
本発明の組合せの成分が別々の単位剤形で投与される場合、MRアンタゴニストおよびsGCアクチベーターはそれぞれ、例えば、カプセル剤または錠剤として提供されうる。
【0176】
経口投与の場合、式(IV)の化合物のフィネレノン(finerenone)の投与量は、例えば約1~100mg od、好ましくは約2.5~50mg od、非常に特に好ましくは10~40mg odである。
【0177】
それでも、幾つかの場合には、特に、体重、投与経路、活性成分に対する個々の応答、製剤の性質、および投与が行われる時間または間隔に応じて、記載されている量から逸脱することが必要でありうる。したがって、幾つかの場合には、前記の最小量より少量で対処するので十分でありうるが、他の場合には、前記の上限を超える必要がある。より大量の投与の場合には、それらを1日にわたる幾つかの個別用量に分割することが好ましいかもしれない。
【0178】
本発明はまた、キット形態の別々の医薬組成物の組合せに関する。これは、2つの別々の単位、すなわち、少なくとも1つのMRアンタゴニストの医薬組成物と少なくとも1つのsGCアクチベーターの医薬組成物とを含むキットである。
【0179】
本発明はまた、2つの単位、すなわち、少なくとも1つのMRアンタゴニストを含む医薬組成物と少なくとも1つのsGCアクチベーターを含む医薬組成物とを含む、好ましいキット形態に関する。
【0180】
該キットは、別々の成分を異なる剤形で投与する必要がある場合、または異なる投与間隔で投与する必要がある場合に特に有利である。
【0181】
医薬組成物の実施例
本発明の化合物は以下のとおりに医薬製剤に変換されうる。
【0182】
錠剤:
式(IV)のフィネレノン(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの医薬製剤
微粉化形態の結晶形態の式(IV)の化合物、ヒプロメロース5cPおよびラウリル硫酸ナトリウムの顆粒溶液を精製水中で調製した。
【0183】
微結晶セルロース、ラクトース一水和物およびクロスカルメロースナトリウムを容器または流動床造粒機内で混合した(プレミックス)。
【0184】
該プレミックスおよび顆粒溶液を流動床造粒機内で造粒した。
【0185】
滑沢剤ステアリン酸マグネシウムを加え、ついで、顆粒を乾燥させ、篩過した。このようにして打錠用混合物を調製した。
【0186】
回転式打錠機を使用して、打錠用混合物を圧縮して錠剤を得た。
【0187】
ヒプロメロース、タルク、二酸化チタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄および精製水から均一コーティング懸濁液を調製した。コーティング懸濁液を適切なコーティング装置内で錠剤上に噴霧した。
【表1】
【0188】
生理的有効性の評価
心臓および心血管障害ならびに腎臓および心腎障害ならびに本明細書に記載されている他の障害の治療に対する本発明の組合せの適合性は以下のアッセイ系において実証されうる。
【0189】
1.)代謝ケージ中の覚醒ラットのナトリウム利尿活性を検出するためのインビボアッセイ
ウィスターラット(体重250~450g)を、飼料(Altromin)および飲料水に自由に接近できるようにして飼育する。試験開始の約72時間前に、動物は、通常の飼料の代わりに、専ら、0.02%の塩化ナトリウム含量を有する減塩飼料(ssniff R/MH,10mm,0.02% Na含有,S0602-E081,ssniff,S0602-E081,ssniff Spezialdiaten GmbH,D-59494 Soest,Germany)を摂取する。試験中、動物を、減塩飼料および飲料水に約24時間自由に接近しうる状態で、この体重クラスのラットに適した代謝ケージ(Tecniplast Deutschland GmbH, D-82383 Hohenpeissenberg, Deutschland)内で単独で収容する。試験の開始時に、試験される物質を、体重1kgあたり0.5mlの容量の適切な溶媒中の強制飼養によって動物の胃内に投与する。対照動物には溶媒のみを投与する。対照試験および物質試験は同じ日に並行して実施する。対照群および物質投与群はそれぞれ6~8匹の動物からなる。試験中、動物によって排泄された尿をケージの底部の受容器内に連続的に収集する。単位時間当たりの尿量を各動物に関して別々に決定し、尿中に排出されたナトリウムおよびカリウムイオンの濃度を炎光光度法の標準的な方法により測定する。測定間隔は、典型的には、試験開始後8時間までの時間(昼間隔)および試験開始後8~24時間の時間(夜間隔)である。
【0190】
2.)DOCA/塩モデル
ラットにおける高塩食および片側腎臓除去と組合された酢酸デオキシコルチコステロン(DOCA)の投与は、比較的低いレニンレベルにより特徴づけられる高血圧を誘発する。この内分泌性高血圧(DOCAはアルドステロンの直接前駆体である)の結果は、選択されたDOCA濃度に応じて、心臓肥大、および例えば腎臓への更なる末端器官損傷であり、これは、とりわけ、タンパク尿および糸球体硬化症により特徴づけられる。したがって、このラットモデルにおいて、抗肥大および末端器官保護作用の存在に関して試験物質を調べることが可能である。
【0191】
約8週齢(体重250~300グラム)の雄Sprague-Dawley(SD)ラットに左一側性腎摘除術を施す。この目的のために、ラットを66% N2と33% O2との混合物中の1.5~2% イソフルランで麻酔し、腎臓を側腹切開により除去する。腎臓が除去されていない「偽手術」動物は後に対照動物として利用される。
【0192】
一側性腎摘出SDラットは、飲料水中の1% 塩化ナトリウムおよびDOCA(SIGMAから入手、ゴマ油に溶解;高用量:100mg/kg/週s.c.;通常用量:30mg/kg/週s.c.)の、肩甲骨の間の皮下注射を週1回受ける。
【0193】
インビボでの保護効果に関して調べられる物質を強制飼養または飼料(Ssniff,Germany)により投与する。試験開始の1日前に、動物を無作為化し、同数(通常はn=8~15)の動物を含む群に割り当てる。実験全体を通して、飲料水および飼料は動物が自由に摂取可能である。該物質(組合せ)を、飼料を介して、または1日1回、4~12週間、強制飼養により投与する。同様に処置されたが、溶媒のみ、または試験物質を含有しない飼料の投与を受けた動物は、プラセボ群として利用される。
【0194】
実験の終了時に、血行動態パラメータ(血圧、心拍数、変力作用[dp/dt]、弛緩時間[タウ]、最大左心室圧、左心室拡張末期圧[LVEDP])を測定することが可能であり、同様に、心臓、腎臓および肺の重量、タンパク質除去およびバイオマーカー(例えばBNP、脳ナトリウム利尿ペプチド、血漿レニン活性、アンジオテンシンおよびアルドステロン)の遺伝子発現を心臓および腎臓組織からのRNAの単離後にRIA、ELISAまたはRT/TaqMan PCRにより決定することが可能である。
【0195】
3.)L-NAME処理トランスジェニックレニンラット(TGR(mRen2)27)
トランスジェニックレニンラット「TGR(mRen2)27」は、マウスのRen-2遺伝子を過剰発現する、MullinsおよびGantenにより開発された高血圧ラット系統である。一酸化窒素シンターゼインヒビターL-NAMEの追加的投与は、このモデルにおいて罹患率および死亡率を増加させる内皮機能不全を誘発する。生涯にわたる降圧療法を受けない限り、ホモ接合動物は心不全および腎不全または脳卒中のような続発性合併症で死亡する。
【0196】
10~20週齢の雄TGR(mRen2)27レニンラットを異なる薬理学的治療群およびプラセボ群に無作為化する。更に、一酸化窒素シンターゼ阻害剤L-NAMEを30~100mg/lの濃度で飲料水により投与する。実験全体を通して、飲料水および飼料は動物に自由に摂取可能である。該物質を、飼料を介して、または4~10週間にわたって毎日、強制飼養により投与する。同様に処置されたが、溶媒のみ、または試験物質を含有しない飼料の投与を受けた動物は、プラセボ群として利用される。実験中、テールカフを使用して収縮期血圧を定期的に決定し、代謝ケージ内に尿を収集することによりタンパク尿および尿電解質組成を決定する。実験の終了時に、血行動態パラメータ(血圧、心拍数、変力作用[dp/dt]、弛緩時間[タウ]、最大左心室圧、左心室拡張末期圧[LVEDP])を測定し、心臓、腎臓および肺の重量を測定し、タンパク質除去およびバイオマーカー(例えば、ANP,RIA Kit RK 005-24,Phoenix Pharmaceuticals,Inc.,USA、cGMP,RIA Kit RE29075,IBL International GmbH,Hamburg,Germany、レニン,アンジオテンシンI,RIA Kit CA-1533,DiaSorin S.p.A.,Italy、およびアルドステロン,P2714,DiaSorin S.p.A.,Italy)ならびにバイオマーカーの遺伝子発現を心臓および腎臓組織からのRNAの単離後にRT/TaqMan PCRにより決定する。
【0197】
実施例
心臓および心血管障害ならびに腎臓および心腎障害は、高い患者罹患率、そしてまた、高い死亡率により特徴づけられる。この罹患率および死亡率は、高血圧のような種々のリスク因子と共に、L-NAME処理レニントランスジェニックラットの前記動物モデルにおいて非常に正確に再現されうる。したがって、例えば、この動物モデルを使用して、MRアンタゴニスト、例えば式(IV)の化合物のフィネレノン、およびsGCアクチベーター、例えば式(X)の化合物、および両方の組合せを調べた。
【0198】
例えば、式(IV)の化合物に対応するMRアンタゴニストであるフィネレノン、および式(X)の化合物に対応するsGCアクチベーターを、単独でおよび組合せて、10~20週齢のTGR(mRen2)27レニンラットにおいて試験した。また、一酸化窒素シンターゼインヒビターL-NAMEを30~100mg/lの濃度で飲料水を介して投与した。実験全体を通して、飲料水および飼料は動物に自由に摂取可能にした。該物質を強制飼養により4~10週間投与した。同様に処置されたが、試験物質として溶媒のみの投与を受けた動物は、プラセボ群として利用された。一連の試験において、プラセボ(群A)に加えて、MRアンタゴニストであるフィネレノン(10mg/kg od)(群B)および式(X)の化合物に対応するsGCアクチベーター(1mg/kg bid)(群C)を、単独で、およびフィネレノン(10mg/kg od) + 式(X)の化合物(1mg/kg bid)(D群)と組合せて投与した。この研究においては、 1群(A、B、C、D)当たり15匹の動物を使用した(表1)。
【表2】
【0199】
死亡率:
プラセボ動物の40%が死亡した後[一般に、プラセボ処置動物の40~50%が死亡したら(これは60~50%の生存率に相当する)、試験を終了した、]、試験を終了し、個々の処置群を互いに比較した。フィネレノン(10mg/kg od)の単独での処置、または式(X)の化合物に相当するsGCアクチベーター(1mg/kg bid)の単独での処置の場合には、該動物のそれぞれ僅か20%および27%が試験期間中に死亡した。これらはそれぞれ80%および73%の生存率に相当する。しかし、フィネレノン(10mg/kg od) + 式(X)の化合物(1mg/kg bid)の組合せは試験期間の全体にわたって死亡の全症例を予防し、試験期間にわたって100%の生存率の、有意に、より高い生存率をもたらした(表2)。
【表3】
【0200】
心血管および心腎死亡率の完全な予防と共に、心臓、心血管および腎機能の他のパラメーターも改善された。これらは、例えば、腎臓を介するタンパク質排出を決定することにより、またはBNP血漿濃度の決定により心臓におけるBNP産生(BNP = 脳ナトリウム利尿ペプチド)により定量化した。
【0201】
タンパク尿;尿中のタンパク質/クレアチニン比:
患者における腎臓損傷を決定するために、腎臓におけるタンパク質排泄(これは患者において著しく増強される)を用いる。ここでは、尿中に排泄されるタンパク質と尿中に排泄されるクレアチニンとの比(指数)、いわゆるタンパク質/クレアチニン比(これは腎損傷の定量的尺度として用いられうる)を決定する。行った動物実験においても、例えば、尿中のタンパク質/クレアチニン比として測定されるタンパク尿は、フィネレノン(10mg/kg od)の単独処置、または式(X)の化合物に相当するsGCアクチベーター(1mg/kg bid)の単独処置に際して、それぞれ58%および8%、既に有意に低下している。しかし、この場合もまた、フィネレノン(10mg/kg od) + 式(X)の化合物(1mg/kg bid)の組合せは、合計85%の、著しく、より顕著で非常に有意なタンパク尿減少をもたらした(表3)。
【表4】