(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】バイオメトリックセンサデバイスおよびその組み立て方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
A61B5/00 B
A61B5/00 M
(21)【出願番号】P 2019520009
(86)(22)【出願日】2017-10-09
(86)【国際出願番号】 GB2017053053
(87)【国際公開番号】W WO2018069688
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-10-07
(32)【優先日】2016-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518215448
【氏名又は名称】ディーエスティー イノベーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DST INNOVATIONS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】マイルズ、アンソニー
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-505808(JP,A)
【文献】特表2011-517578(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02567655(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0215270(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからバイオメトリック信号またはデータを受信するように構成された電子デバイス(10)を含む薄い可撓性の第1部分と、
前記第1部分に電力を供給するための、その薄い可撓性の第1部分に接続された又は接続可能な電力セル(20)を含む薄い可撓性の第2部分とを含む、
ユーザの皮膚に取り付けるためのバイオメトリックセンサデバイスであって、
前記第1部分および前記第2部分は、個別であって、かつ互いに接続可能または接続されていること、
前記第2部分は、ユーザの皮膚に接触するための少なくとも1つのセンサパッド(25)を含むこと、および
前記少なくとも1つのセンサパッド(25)は、
ユーザの皮膚に接触して置
かれる、前記第2部分の
第1の面に設けられ、前記第1部分は、前記第2部分の
、前記第1の面に向
い合う、第2の面に取り付けられるかまたは取り付け可能であることを特徴とする、バイオメトリックセンサデバイス。
【請求項10】
前記第2部分は電解質を容れるカプセルを含み、前記カプセルは前記電力セル(20)
を作動させるように破断可能であることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか一項
に記載のバイオメトリックセンサデバイス。
【請求項11】
前記カプセルは、前記第2部分のプリントされた部分の間に設けられていることを特徴
とする、請求項10に記載のバイオメトリックセンサデバイス。
【請求項17】
前記第2部分の
第1の面をユーザの皮膚に取り付けることをさらに含む、請求項
16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、電子バイオメトリックデバイス、ならびにその製造方法および利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
スマートウォッチやリストバンドから、アームバンド、スマートシューズ、スマート衣類、そして我々がポケットに入れて持ち歩くスマートフォンに至るまで、今日利用可能な多くの種類のバイオメトリックデバイスがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらのデバイスの多くは高価でかさばり、そしてそれほど正確なまたは有用なデータを提供しない。問題の一部は、それらが人の手首にはめられるように、人の胸に掛けられるように、人が着用するものに組み込まれるように、または時として人の指に押し当てられるように設計されていることである。これは、バイオメトリックデータを読み取るデバイスが、着用するのが不快になる可能性のある場所に配置されており、必ずしもそのデータを収集するのに適した場所にあるとは限らないことを意味する。現行のデバイス(複数)は一度に1個ずつ使用されるように設計されており、多くの場合、データの収集はそれらが実行する唯一の機能ではない。現在利用可能なデバイスを複数個購入することは、かなりコスト高となることが多く、そして多くの状況で、それらはいくつかのスマートフォンやコンピュータとは相性が悪く、そのため、消費者はしばしば特定のデバイスおよびそのプラットフォームやそれに関連する制約に限定される。
前述の問題に対処するように設計されたいくつかのデバイスが市場に参入し始めた。しかしそれらはまだプラスチックのケーシングに入れられた従来の電子機器を使用している。更に、この電子デバイスはユーザの皮膚に対し接着力を与えるパッチに接続される。そのようなデバイスは、WO2014/165071A1に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[発明の記載]
本発明の態様は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0005】
本発明によるデバイスおよびそのエネルギーセルの実施形態は、それらをより薄く、より軽く、そして製造するのに更にいっそう費用効果のあるものにすることを可能にする新規な設計および製造に係るものである。
【0006】
本発明の実施形態は、前述のデバイスおよびシステムに固有のいくつかの問題に取り組むことを目的とする。実施形態は、エンドユーザに対する全体的なデバイスコストを実質的に低減し、例えば、医療用途、健康およびフィットネスの用途、スポーツ活動監視用途、軍事用途、群衆移動(クラウドムーブメント)用途、しかしこれらに限定されない用途の分野における利用、ソフトウェア、ファームウェアおよびコネクティビティ(接続性)を開発するためのプラットフォームを提供する製造方法を含むことができる。
【0007】
本発明の一実施形態は、皮膚の表面と直接接触して配置されるように設計された、極めて薄い、プリントされた電子式で、軽量かつエネルギー効率の良いマルチセンサデバイスを含む。そのデバイスの場所は、収集されるバイオメトリックデータの種類に依存することとなろう。複数のデータポイントが必要な場合は、複数のデバイスが身体上の複数の場所に配置されかつワイヤレスで接続されて、記録されるとともにリアルタイムで、被験者の活動のより詳細なデータセットを提供できる。
【0008】
バイオメトリックデータは人々のグループを記述するために相互に関係づけされて、そのグループのダイレクトでリアルタイムな分析を行うことができる。これは、既知のデータセットに対する個々人の比較が必要なときに、または互いに対するおよび/または履歴データセットに対しパフォーマンスを比較するのに、デバイスを使用する個人の数が多い場合、例えばチームなどの場合に役立てることができる。収集されるデータは、例えば、心拍数、体温、発汗組成、身体上のデバイスの位置、身体の向き、動き、身体への影響、および/または地理的位置を含むことができる。追加の付属品を用いると、デバイスは、例えば関節の動き、身体上の圧力点および/または呼吸を測定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
ここで、本発明の特定の実施形態を以下の図面を参照して説明する。
【
図1】
図1は本発明の第1の実施形態におけるデバイスおよび電力セルの構成を概略的に示す。
【
図5】
図5はデバイスと共に使用する電力セルを示す。
【
図8】
図8はデバイスが電源セルの上面に配置されるところを示す。
【
図9】
図9は一緒に配置されているデバイスと電力セルの側面図を示す。
【
図10】
図10は一緒になって使用する準備ができているデバイスと電力セルの側面図を示す。
【
図20】
図20は本発明の第2の実施形態におけるデバイスと電力セルの構成を概略的に示す。
【
図24】
図24はデバイスと共に使用する電力セルの正面図を示す。
【
図27】
図27は電源セルがデバイスに配置されるところを示す。
【
図28】
図28は第1または第2の実施形態におけるデバイスの電子回路の構成要素を概略的に示す。
【
図29】
図29は一実施形態におけるデバイスへの接続設定の最初の部分の表示(ディスプレイ)を示す。
【
図30】
図30はボディグラフィックの向きを選択するための一連の表示を示す。
【
図31】
図31はデバイスの場所を選択するための一連の表示を示す。
【
図32】
図32は監視されるバイオメトリックデータを選択するための表示を示す。
【
図33】
図33はバイオメトリックデータに対する共有オプションを選択するための構成画面を示す。
【
図35】
図35はスマートフォンとデバイスとの間のBluetooth(登録商標)接続を示す。
【
図36】
図36は本発明の実施形態と共に使用するための可能な通信シナリオを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態の詳細な説明]
ここで、本発明の特定の実施形態を、単に例として、そして本発明の態様の範囲を制限することなく説明する。
【0011】
[実施の形態1]
第1の実施形態では、
図1に示すように、デバイス10は、電力セル20にそれぞれの電力接続部5、15および信号/データ接続部6、16を介して接続されている。電力セル20は、電力接続部5、15を介してデバイス10に電気エネルギーを供給するための本体12と、エネルギーの供給を制御するための電子制御部11とを備えている。電力セル20は、ユーザの皮膚に接触するセンサパッド25を含む。ユーザの皮膚から感知された信号/データは、信号/データ接続部6、16を介してデバイス10に送られる。感知された信号は、デバイス10に出力される前に電子制御部11によって処理されてもよい。
【0012】
[構造]
図2は、第1の実施形態におけるデバイス10の正面図を示し、そのデバイスは、当該デバイスの機能を提供するのに必要な電子部品を収容し保護するところの、封入用の軟質で可撓性のパッド1と、デバイス10を電力セル20に接続し、続いて身体に接触する電極に接続するように設計された、軟質で可撓性の薄い電子プリント回路2と、電力セルに対するそのデバイスの位置合わせを示す矢印3または他のマーク(indicium)と、電力セル20に対しそのデバイスが優れた接着力を示すように設計され防水バリアを確実にする外縁部4とを含む。
【0013】
図3に示すように、デバイス10の背面は、電力セル20の正および負の端子をデバイス10に接続して電子プリント回路2に電力を供給する接続パッド5と、電力セル内の対応するパッドに接続して、ユーザの皮膚と直接接触しているパッドから出力したバイオメトリック信号を伝達するデータ接続パッド6とを含む。これらの信号は次に電子プリント回路2に送られてデバイス10の機能を提供することになる。
【0014】
図4は、層として提供された、デバイス10の可撓性パッド1、電子プリント回路2および外縁4を示す。
【0015】
図5は、電力セル20の前面(正面)側/上面側を示し、その電力セルは、電力セル20およびその電力セルのデバイス10への接続を管理する電子制御デバイス11と、当該技術分野において知られているようなエネルギー生成化学物質を含む本体12と、電力セル20およびデバイス10を正しく位置合わせして接続することを可能にする位置合わせ矢印13と、耐水縁部14と、電力セルからの電力をデバイスに接続する正および負の接点15と、デバイス10内の対応するパッドに接続して、ユーザの皮膚と直接接触しているセンサパッド25からの情報を伝達するデータ接続パッド16と、押されると電力セル20を作動させるボタン17とを含む。
【0016】
図6は、電力セル20の背側/皮膚側を示し、その電力セルは、皮膚接触電子機器を保持する軟質パッド領域21と、電力セルの内部構造とユーザの皮膚との間の接触を確実に防止する保護層22と、接触位置合わせ矢印23と、ユーザの皮膚と直接接触することになる耐水性縁部14およびセンサパッド25とを含む。
【0017】
図7は、電力セルの側面図を示し、その電力セルは、電子回路11、本体12、位置合わせ矢印13、接点15およびデータ接続パッドを含む第1層PL1と、耐水性縁部24およびセンサパッド25を含む第2層PL1とを含む。
【0018】
図8ないし
図10に示すように、デバイス10は以下のように電力セル20に接続される。接着剤保護材が電力セル20の前側/上側から取り除かれ、デバイス10は矢印3と13が整列した状態で電力セル20の上部に置かれる。次に、例えばボタンを押して電力セル20内で電解質を放出させることによってデバイス10を作動させる。次に、ユーザは電力セル20の背側/皮膚側から第2の接着剤保護材を取り除き、センサパッド25を露出させる。互いに接続されたデバイス10および電力セル20は、その後、身体上の所望の位置に配置する準備が整う。
【0019】
[デバイスの製造]
ここで、デバイス10の製造方法を、
図11から
図19および以下のステップを参照しながら説明する。これらのステップは、好ましくは順次に実行される。
1.汚染物質を含まないことを確実にするために剥離ライナー50を予め準備する。剥離ライナーは、硬化プロセスに対し安定した材料を提供する。剥離ライナー50は、湿気を除去し、プロセス中の収縮を防ぐために予熱してもよい。その前処理の温度は、剥離ライナー50として使用されている材料の特性に依存するであろう。
2.デバイス10を電力セル20に固着することになる接着剤層を剥離ライナー上にプリントする。プリントされた接着剤層は3つの異なる種類の接着剤を含むことができる。第1の、内側接着剤は、デバイス10と電力セル20との間に半永久的な接着をもたらすために使用される。第2の接着剤は、電気接点が存在することになる場所にプリントされ、端子に対し良好な粘着力を提供して良好な電気的接触を確保するように設計されている。第3の接着剤は、疎水性であり且つ湿気がデバイス10と電力セル20との間に入り込むのを防止する良好なシールを確保するためにデバイス10の縁部の周りに設けられる。
3.次に、
図11に示すように、第1層のプリント可能な基板51が接着剤層の上面にプリントされる。この層は、その中に、複数の穴部を有するが、その穴部は、電力セル20とデバイス10との間の電気的接触および接続安定性を促進するプリントされた接着パッドに対応する。
4.
図12に示されるように、導電性インクの層が前記穴部にプリントされて、第1層の電気接点52を形成する。
5.先の層上の前記穴部をより小さくし、デバイス10に対しより構造的な一体性を与えるために、柔軟で可撓性のあるプリント可能な基板53の層がプリントされる。
6.
図13に示すように、プリント回路2の第1層54は、1つまたは複数の導電性インクを使用してプリントされる。
7.絶縁体層55がプリント回路2の第1層の上面にプリントされ、そのためプリント回路2の第1層は次の層から隔てることができる。プリント回路基板の第1層とプリント回路の第2層とが接続される必要がある領域では、適切に配置された複数の穴部が絶縁体に形成される。
8.
図14に示すように、絶縁体に形成された穴部は導電性材料56で充填される。この導電性材料は、標準的なプリント回路基板構造のビアと同様に、プリント回路2の層間の接続を形成する。
9.
図15に示すように、プリント回路2の第2層57が先行層の上面にプリントされる。
10.このプロセスは、必要な多層接続システムが完成するまで繰り返される。例えば、
図16ないし
図18に示されるように、第2の絶縁体層58が先行する層の上面にプリントされ、併せて、プリント回路の第2層57への接続を提供するために導電性材料60で穴部が充填される。次に、導電性材料60を介して第2層57に接続している状態で、第2の絶縁体57の上にプリント回路の第3層62をプリントすることができる。そして絶縁体の第3層63が先行する層の上面にプリントされ、併せて、プリント回路の第3層62への接続を提供するために導電性材料64で穴部が充填される。
11.導電回路の全ての層がプリントされた後、マイクロプロセッサ65および/またはコンデンサ、ダイオードおよび抵抗器のような他の構成要素が加えられる。構成要素は、例えば導電性接着剤による圧着を用いて導電性材料64に接続することができる。
図19は、プリント回路の全ての層の全体にわたる構成を示す。
12.特定のサポート形状にプリントされた絶縁性接着剤の層が加えられ、そして部分的に硬化される。次に、導電性接着剤が追加されるが、その導電性接着剤は、接点が業界標準の方法で多層のプリント回路に追加される場合にはその接点を固定することになろう。
13.いったん構成要素(複数)が追加されたら、その構成要素の上に、それらを損傷から保護するために軟質ゲル層がプリントされ、パッド1を形成する。その後、ロゴおよび他の情報を追加してもよい。
14.完成したアセンブリはここで剥離ライナー50から取り外され他の層に接着されてデバイス10を形成することができ、あるいは剥離ライナーから取り外す前に他の層をプリントすることもできる。
【0020】
場合によっては、ステップ2で添加される接着剤は、いったんデバイスが剥離ライナーから取り外されたら、最後の工程として追加してもよい。また、場合によっては、軟質ゲル保護層を別個の剥離ライナー上にプリントし、組み立ておよび包装の段階で、デバイスに追加することができる。デバイス10は、包装の前、または使用直前に剥離ライナーから取り外すことができる。
【0021】
[電力セル構造]
電力セル20は、電力セル20が二つの半分体においてプリントされ、その二つの半分体が次に圧力接着剤を使用して互いに接合されることを除いて、デバイス10と構造が非常に類似している。一次電力セル20の場合、電解質を含むカプセルは、それを壊れやすくするように2つの層の間に配置される。これにより反応を活性化させる内容物が放出される。エネルギーセルの内層を構成するのに使用される化学物質は当該技術分野で知られているが、特定の場合には独自の配合物を使用することができる。
【0022】
[実施の形態2]
図20に示すように、第2の実施形態は、デバイス10がユーザの皮膚と接触して配置されるように設計され、電力セル20がデバイス10の外面に接続されるという点で第1の実施形態と異なる。
【0023】
図21は、第2の実施形態のデバイス10の正面図を示し、そのデバイスは、デバイス10の機能を提供するのに必要な電子部品を収容し保護するところの、封入用の軟質で可撓性のパッド1と、そのデバイス10を電力セルに接続し、続いて身体に接触する電極を接続するように設計された、軟質で可撓性の薄い電子プリント回路2と、電力セル20に対するそのデバイス10の位置合わせを示す矢印3と、電力セル20に対しそのデバイス10が優れた接着力を示すように設計され防水バリアを確実にする外縁部4と、デバイス10の機能を提供する電子部品に電力を通す正および負の接続部5とを含む。
【0024】
図22は、ユーザの皮膚上に直接配置されるように設計されたセンサパッド25を含むデバイス10の背面図を示す。
【0025】
図23は、デバイスの機能に必要な電子機器を保護する軟質保護層1と、可撓性回路2を含む可撓性領域とを含むデバイス10の側面図を示す。
【0026】
図24は、第2の実施形態の電力セル20の正面図を示し、その電力セルは軟質で可撓性のケーシング12とボタン17とを含み、そのケーシングは、そのエネルギーセルが一次セルの場合には必要なエネルギーを生成することを可能にする化学物質であって二次電池の場合にはデバイス10に電力を供給し所望の時間その機能を維持するのに必要なエネルギーを保持することを可能にする化学物質を収容し、前記ボタンは、一次エネルギーセルの場合には化学反応を活性化することができる。
【0027】
図25は、デバイス10に必要な電力を送る正および負の接続パッド15を含む電力セルの背面図を示す。
【0028】
【0029】
図27は、電力セル20がデバイス10の上に配置されていることを示す。この実施形態では、ユーザは電力セル20の背面から接着剤保護材を取り除き、電力セル20をデバイス10の前面に配置する。いったん、デバイス10に電源が供給されて作動すると、ユーザは次にデバイス10の背面から接着剤保護材層を取り除き、デバイス10を自分の身体上の位置に配置する。
【0030】
[デバイスの電子部品]
第1、第2または他の実施形態のデバイス10は電子回路2を含み、その電子回路2は、例えば
図28に示すように、以下の構成要素のうちの1つまたは複数を含むことができる。
- 信号/データを処理し及び/又はデバイス10を制御するためのプロセッサ30、
- ユーザの皮膚から感知された信号/データを受信するためのセンサインターフェイス31、
- 感知された信号/データ、デバイス10によって受信された他のデータ、そのデバイスのための構成データまたは設定、および/またはプロセッサによる実行のためのプログラムコードを格納するための内部メモリ32、
- 例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)その他の規格を実行するための1つまたは複数の無線通信インターフェイス34、
- デバイス10の加速度を検出または測定するための加速度計35、
- GPSおよび/またはグロナス(Glonass)受信機、またはビーコン(beacon)信号受信機などの測位回路36、そして
- デバイス10の、(例えば局所磁場に対する)向きおよび/または絶対位置もしくは相対位置を検知するための向きおよび/または位置センサ37。
【0031】
[コネクテッドアプリケーションの実施形態]
以下は、デバイス10に接続するために使用されることのできる携帯電話(モバイルフォン)アプリケーションの実施形態を説明する。この例は携帯電話アプリケーションのためのものであるが、タブレット、コンピュータ、スマートウォッチ、またはコネクテッドデバイスなどの代替デバイスが、デバイス10の機能(複数)を利用し、それらを何らかの方法でユーザに視覚化しまたは提示するために使用されることが可能であろう。視覚化または提示は、1つまたは複数の光、表示(ディスプレイ)、音、触覚フィードバック、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0032】
図29は、接続の設定(セットアップ)の最初の部分を示す。デバイス10のユーザの性別を確定することが好ましい。男性または女性の選択により、デバイス10および/またはアプリケーションは正しいモードに設定されることになる。代替として、性別は、アプリケーションに利用可能な情報から自動的に、またはデバイス10を使用して感知することによって決定することもできる。
【0033】
次に、アプリケーションは、決定された性別、この場合は女性の身体のグラフィックを表示する。その後、ユーザは、自分の身体に配置する第1のデバイスの位置を選択できる。第1の選択段階は、
図30に示されるように、身体の向き、例えば正面、側面または背面を選択することである。
【0034】
図31は、正面向きが選択されたことを示す。正面向きが選択されると、ユーザは位置選択をするように促される。身体のグラフィック表現上の点を選択すると、その領域内のグラフィックが拡大され、それによってデバイス10の位置をより正確に決定することができる。
【0035】
図32は、ディスプレイの次のステップを示す。そこでは、デバイスの位置が既に決定されていて、アプリケーションおよび/またはデバイス10は、ここで、監視すべきもの、例えば心拍数、体温、体の向き、動き、身体への影響、取ったステップ、および位置などを知る必要がある。ユーザはリストから個々の項目を選択することも、単にすべてを選択することもできる。
【0036】
デバイス10が携帯電話に接続されたので、デバイス10によって収集された情報は、電子メール、テキスト、ソーシャルネットワーク、ウェブサイト、データベースおよび他のコネクテッドサービスなどの任意の適切な手段によって他のデバイスおよび査定可能な(assessable)システムに伝達されることができる。
【0037】
図33は、スマートフォンアプリの可能な設定画面を示すが、このアプリは、ユーザに、情報を共有したいかどうか、そしてもし共有したいなら、誰と情報を共有したいか、またどのようにして情報を共有したいかを尋ねている。
【0038】
図34は、スマートフォンアプリが、デバイス10を検索しデバイス10の内部メモリに記憶されている情報にアクセスできることを確かめていることを示す。
【0039】
デバイス10がスマートフォン、タブレット、コンピュータ、または他のコネクテッドデバイスにいったん接続されると、情報はデバイス10からその接続されたデバイスへおよびその接続されたデバイスからデバイス10へ送信されることができる。また、情報はスマートフォンなどのコネクテッドデバイスに送られることができ、その情報はデバイス10に直接送られることができる。
図35は、スマートフォンとデバイス10との間のブルートゥース接続を示す。しかしながら、Wi - Fiのような他の接続タイプを使用することができる。
【0040】
図36は、1つの可能な通信シナリオを示す図であって、この通信シナリオは、ブルートゥースビーコン41と、デバイス10を身に着けている人または人々2とを含み、ブルートゥースビーコン41は、部屋内、建物内、都市内、スタジアム内、レクリエーションパーク内の特定の位置、またはそのようなデバイスの設置によって役立つようなその他の位置を示す信号を送りだす。デバイス10は、この位置伝送信号をピックアップして、それをその内部メモリに記憶することができる。スマートフォン43はデバイス10と同期している。スマートフォンは同じ位置伝送信号を受信することもでき、2つの信号は一緒に使用されてより正確な読み取りを提供することができる。スマートフォン43は、情報を、インターネットなどのネットワーク44を介して、伝送可能な情報を使用することを許可されている任意のサービスに送信することができる。このサービスは、サービスアプリケーション、ソーシャルネットワーク、データベース、ウェブサイト、非公開システム、医療用途、軍事用途を含むことができるが、これらに限定されない。第2のスマートフォン45は、第1のスマートフォン43からデータを受信することができ、デバイス間のコネクテッドアプリケーション、クラウド、または当技術分野で知られている他のコネクションタイプに対し使用されることができる。
【0041】
[アプリケーションの実施形態]
[リアルタイムおよび非リアルタイムの医療患者モニタリング]
API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)は、多くの異なる患者監視アプリケーション、これらは患者に取り付けられるデバイス10を含んでも含まなくてもよいが、そうしたアプリケーションを開発するために、医療機関によって使用されることができる。デバイス10は圧力および動きを感知することができる電子機器を含むので、複数のデバイス10をマットレス、寝具、ベッドまたは衣服ならびに患者の身体に取り付けて、あらゆる種類の活動を監視することが可能である。ストレッチセンサおよび曲げセンサなどの他のセンサに無線で(たとえばブルートゥースを介して)接続されたデバイス10を使用すれば、あらゆる種類の行動の監視が可能になるであろう。 カストマイズ可能なデータの収集を行うために、デバイス10の全部またはいくつかを一緒にグループ化することができる。標準のデバイス1個だけで監視することは可能であるが、グループ化されたデバイス監視機能は、活動の監視及びアプリケーションの設計の両方に対し、はるかに高い柔軟性を提供することができる。
【0042】
[リアルタイムおよび非リアルタイムの軍人および救助隊員の監視]
行動的な軍人が彼らの身体を極度のストレスにさらす事態となる多くの場面がある。デバイス10およびそれに関連するストレッチセンサおよび曲げセンサを容易に適用できることは、そのデバイスの、使い捨て可能性、極端な条件下での堅牢性、データをローカルに格納する能力、チームなどの複数の対象を監視するために一緒にグループ化される能力、およびそのデバイスの暗号化データ機能と相まって、このデバイス10を、運用要員と相性が極めて良好なものにしている。
【0043】
[代替実施形態]
上記の実施形態および一連の事象ならびに添付の図面は、単に例示でありいくつかの可能な実施形態のみを叙述することが意図されている。しかし、説明および図面を読めば明らかになる他の実施形態もまた、添付の特許請求の範囲によって規定されるように、本発明の範囲内に含むことができる。