(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】ワンウェイタービンクラッチを備えたトルクコンバータおよびこれを組み立てる方法
(51)【国際特許分類】
F16H 41/24 20060101AFI20230306BHJP
F16H 41/28 20060101ALI20230306BHJP
F16H 45/02 20060101ALI20230306BHJP
F16D 41/06 20060101ALI20230306BHJP
F16D 43/02 20060101ALI20230306BHJP
F16F 15/134 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
F16H41/24 A
F16H41/28
F16H45/02 Y
F16D41/06 A
F16D43/02
F16F15/134 A
(21)【出願番号】P 2019534821
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(86)【国際出願番号】 KR2017015284
(87)【国際公開番号】W WO2018117709
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-21
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519225255
【氏名又は名称】ヴァレオ、カペック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VALEO KAPEC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン、ジェヤバラン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、デプラエテ
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-122879(JP,A)
【文献】特開平07-083309(JP,A)
【文献】特開2009-236233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 41/24
F16H 41/28
F16H 45/02
F16D 41/06
F16D 43/02
F16F 15/134
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブシャフトとドリブンシャフトを一緒にカップリングするための流体力学的トルクコンバータにおいて、
前記
流体力学的トルクコンバータは回転軸を中心に回転可能なケーシングと、
前記回転軸を中心に回転可能なインペラホイールと、
前記回転軸を中心に回転可能で、軸方向に前記インペラホイールに対向して配置され、前記インペラホイールと同軸に整列され前記インペラホイールによって流体力学的に回転可能なタービンホイールと、
軸方向に前記インペラホイールと前記タービンホイールの間に位置する固定子と、
1つの円周方向にのみ前記タービンホイールの回転運動を許容するワンウェイタービンクラッチと、
トーショナルバイブレーションダンパーと、を含み、
前記ワンウェイタービンクラッチは、前記タービンホイールに回転不能に連結される外側リングと、半径方向に前記外側リング内に配置される内側リングと、半径方向に前記外側リングと前記内側リングの間に配置され、前記内側リングに対して前記外側リングの回転運動を1つの円周方向にのみ許容するように構成される複数の係合コンポーネントと、を含み、
前記トーショナルバイブレーションダンパーは、前記回転軸を中心に回転可能な入力部材と、円周方向に作用する複数の弾性部材と、前記弾性部材を通じて前記入力部材に弾性的にカップリングされる出力部材と、を含み、
前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材は、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングに回転不能にカップリングされ、
前記タービンホイールは、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングおよび前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材のうちの1つに回転不能にカップリングされ、
前記タービンホイール及び前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材の両方が、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングに対して回転不能であり、且つ、前記流体力学的トルクコンバータの出力ハブを構成する前記ワンウェイタービンクラッチの前記内側リングに対して1つの円周方向にのみ回転可能である、流体力学的トルクコンバータ。
【請求項2】
前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材の半径方向内側端部は、前記ワンウェイタービンクラッチの前記内側リングの半径方向外側ガイド表面にスライディング式で係合する、
請求項1に記載の流体力学的トルクコンバータ。
【請求項3】
ドライブシャフトとドリブンシャフトを一緒にカップリングするための流体力学的トルクコンバータにおいて、
前記流体力学的トルクコンバータは回転軸を中心に回転可能なケーシングと、 前記回転軸を中心に回転可能なインペラホイールと、
前記回転軸を中心に回転可能で、軸方向に前記インペラホイールに対向して配置され、前記インペラホイールと同軸に整列され前記インペラホイールによって流体力学的に回転可能なタービンホイールと、
軸方向に前記インペラホイールと前記タービンホイールの間に位置する固定子と、 1つの円周方向にのみ前記タービンホイールの回転運動を許容するワンウェイタービンクラッチと、
トーショナルバイブレーションダンパーと、を含み、
前記ワンウェイタービンクラッチは、前記タービンホイールに回転不能に連結される外側リングと、半径方向に前記外側リング内に配置される内側リングと、半径方向に前記外側リングと前記内側リングの間に配置され、前記内側リングに対して前記外側リングの回転運動を1つの円周方向にのみ許容するように構成される複数の係合コンポーネントと、を含み、
前記トーショナルバイブレーションダンパーは、前記回転軸を中心に回転可能な入力部材と、円周方向に作用する複数の弾性部材と、前記弾性部材を通じて前記入力部材に弾性的にカップリングされる出力部材と、を含み、
前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材は、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングに回転不能にカップリングされ、
前記タービンホイールは、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングおよび前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材のうちの1つに回転不能にカップリングされ、
前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングが前記ワンウェイタービンクラッチの前記内側リングに対して回転する場合、その間の摩擦を減少させるために軸方向に前記ワンウェイタービンクラッチの前記内側リングと前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材の間に配置される低摩擦ベアリングワッシャーをさらに含む、流体力学的トルクコンバータ。
【請求項4】
ドライブシャフトとドリブンシャフトを一緒にカップリングするための流体力学的トルクコンバータにおいて、
前記流体力学的トルクコンバータは回転軸を中心に回転可能なケーシングと、 前記回転軸を中心に回転可能なインペラホイールと、
前記回転軸を中心に回転可能で、軸方向に前記インペラホイールに対向して配置され、前記インペラホイールと同軸に整列され前記インペラホイールによって流体力学的に回転可能なタービンホイールと、
軸方向に前記インペラホイールと前記タービンホイールの間に位置する固定子と、 1つの円周方向にのみ前記タービンホイールの回転運動を許容するワンウェイタービンクラッチと、
トーショナルバイブレーションダンパーと、を含み、
前記ワンウェイタービンクラッチは、前記タービンホイールに回転不能に連結される外側リングと、半径方向に前記外側リング内に配置される内側リングと、半径方向に前記外側リングと前記内側リングの間に配置され、前記内側リングに対して前記外側リングの回転運動を1つの円周方向にのみ許容するように構成される複数の係合コンポーネントと、を含み、
前記トーショナルバイブレーションダンパーは、前記回転軸を中心に回転可能な入力部材と、円周方向に作用する複数の弾性部材と、前記弾性部材を通じて前記入力部材に弾性的にカップリングされる出力部材と、を含み、
前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材は、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングに回転不能にカップリングされ、
前記タービンホイールは、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングおよび前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材のうちの1つに回転不能にカップリングされ、
半径方向に伸びて、前記固定子と前記ワンウェイタービンクラッチの間に配置される環状のリテーナプレートをさらに含む、流体力学的トルクコンバータ。
【請求項5】
前記環状のリテーナプレートは、前記タービンホイールから分離し、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングに移動不能に取り付けられる、請求項4に記載の流体力学的トルクコンバータ。
【請求項6】
ドライブシャフトとドリブンシャフトを一緒にカップリングするための流体力学的トルクコンバータにおいて、
前記流体力学的トルクコンバータは回転軸を中心に回転可能なケーシングと、 前記回転軸を中心に回転可能なインペラホイールと、
前記回転軸を中心に回転可能で、軸方向に前記インペラホイールに対向して配置され、前記インペラホイールと同軸に整列され前記インペラホイールによって流体力学的に回転可能なタービンホイールと、
軸方向に前記インペラホイールと前記タービンホイールの間に位置する固定子と、 1つの円周方向にのみ前記タービンホイールの回転運動を許容するワンウェイタービンクラッチと、
トーショナルバイブレーションダンパーと、を含み、
前記ワンウェイタービンクラッチは、前記タービンホイールに回転不能に連結される外側リングと、半径方向に前記外側リング内に配置される内側リングと、半径方向に前記外側リングと前記内側リングの間に配置され、前記内側リングに対して前記外側リングの回転運動を1つの円周方向にのみ許容するように構成される複数の係合コンポーネントと、を含み、
前記トーショナルバイブレーションダンパーは、前記回転軸を中心に回転可能な入力部材と、円周方向に作用する複数の弾性部材と、前記弾性部材を通じて前記入力部材に弾性的にカップリングされる出力部材と、を含み、
前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材は、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングに回転不能にカップリングされ、
前記タービンホイールは、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングおよび前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材のうちの1つに回転不能にカップリングされ、
前記タービンホイールは、タービンシェル、および前記ワンウェイタービンクラッチに向かう方向に前記タービンホイールから実質的には軸方向外側に伸びて、前記タービンシェルと一体であるカップリング部材を含み、
前記タービンホイールの前記カップリング部材は、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングに回転不能にカップリングされる、流体力学的トルクコンバータ。
【請求項7】
前記タービンホイールの前記カップリング部材は、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングの半径方向外側表面に移動不能に取り付けられる、請求項6に記載の流体力学的トルクコンバータ。
【請求項8】
ドライブシャフトとドリブンシャフトを一緒にカップリングするための流体力学的トルクコンバータにおいて、
前記流体力学的トルクコンバータは回転軸を中心に回転可能なケーシングと、 前記回転軸を中心に回転可能なインペラホイールと、
前記回転軸を中心に回転可能で、軸方向に前記インペラホイールに対向して配置され、前記インペラホイールと同軸に整列され前記インペラホイールによって流体力学的に回転可能なタービンホイールと、
軸方向に前記インペラホイールと前記タービンホイールの間に位置する固定子と、 1つの円周方向にのみ前記タービンホイールの回転運動を許容するワンウェイタービンクラッチと、
トーショナルバイブレーションダンパーと、を含み、
前記ワンウェイタービンクラッチは、前記タービンホイールに回転不能に連結される外側リングと、半径方向に前記外側リング内に配置される内側リングと、半径方向に前記外側リングと前記内側リングの間に配置され、前記内側リングに対して前記外側リングの回転運動を1つの円周方向にのみ許容するように構成される複数の係合コンポーネントと、を含み、
前記トーショナルバイブレーションダンパーは、前記回転軸を中心に回転可能な入力部材と、円周方向に作用する複数の弾性部材と、前記弾性部材を通じて前記入力部材に弾性的にカップリングされる出力部材と、を含み、
前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材は、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングに回転不能にカップリングされ、
前記タービンホイールは、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングおよび前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材のうちの1つに回転不能にカップリングされ、
タービンシェル、および前記タービンシェルと一体である環状のリテーナプレートをさらに含み、
前記リテーナプレートは、前記タービンシェルから半径方向内側に伸びて、前記固定子と前記ワンウェイタービンクラッチの間に配置される、流体力学的トルクコンバータ。
【請求項9】
軸方向に前記リテーナプレートと前記ワンウェイタービンクラッチの前記内側リングの間に配置され、前記タービンホイールが前記ワンウェイタービンクラッチの前記内側リングに対して回転する場合、その間の摩擦を減少させる低摩擦ベアリングワッシャーをさらに含む、請求項4に記載の流体力学的トルクコンバータ。
【請求項10】
ドライブシャフトとドリブンシャフトを一緒にカップリングするための流体力学的トルクコンバータにおいて、
前記流体力学的トルクコンバータは回転軸を中心に回転可能なケーシングと、 前記回転軸を中心に回転可能なインペラホイールと、
前記回転軸を中心に回転可能で、軸方向に前記インペラホイールに対向して配置され、前記インペラホイールと同軸に整列され前記インペラホイールによって流体力学的に回転可能なタービンホイールと、
軸方向に前記インペラホイールと前記タービンホイールの間に位置する固定子と、 1つの円周方向にのみ前記タービンホイールの回転運動を許容するワンウェイタービンクラッチと、
トーショナルバイブレーションダンパーと、を含み、
前記ワンウェイタービンクラッチは、前記タービンホイールに回転不能に連結される外側リングと、半径方向に前記外側リング内に配置される内側リングと、半径方向に前記外側リングと前記内側リングの間に配置され、前記内側リングに対して前記外側リングの回転運動を1つの円周方向にのみ許容するように構成される複数の係合コンポーネントと、を含み、
前記トーショナルバイブレーションダンパーは、前記回転軸を中心に回転可能な入力部材と、円周方向に作用する複数の弾性部材と、前記弾性部材を通じて前記入力部材に弾性的にカップリングされる出力部材と、を含み、
前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材は、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングに回転不能にカップリングされ、
前記タービンホイールは、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングおよび前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材のうちの1つに回転不能にカップリングされ、
前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材は、前記出力部材の半径方向内側端部から前記タービンホイールに向かう方向に実質的には軸方向外側に伸びる少なくとも1つのカップリング部材と、前記出力部材の前記半径方向内側端部から半径方向内側に伸びる少なくとも1つのガイドプレートと、を含み、
前記少なくとも1つのカップリング部材および前記少なくとも1つのガイドプレートは前記出力部材と一体であり、
前記少なくとも1つのカップリング部材は、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングに回転不能にカップリングされる、請求項1に記載の流体力学的トルクコンバータ。
【請求項11】
前記トーショナルバイブレーションダンパーに向かって実質的には軸方向に伸びて、前記タービンホイールに移動不能に取り付けられる複数のタービン駆動アームをさらに含む、請求項10に記載の流体力学的トルクコンバータ。
【請求項12】
前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材は、前記タービンホイールの前記タービン駆動アームと回転不能に係合する複数の被駆動フィンガーをさらに含む、請求項11に記載の流体力学的トルクコンバータ。
【請求項13】
前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材は、前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記弾性部材の端部に係合する複数の被駆動アームをさらに含む、請求項11に記載の流体力学的トルクコンバータ。
【請求項14】
前記ケーシングから軸方向に移動可能なロッキングピストンをさらに含み、
ロックアップモードにおいて前記ケーシングに対して前記ロッキングピストンが選択的、摩擦的に係合する、請求項1に記載の流体力学的トルクコンバータ。
【請求項15】
前記ロッキングピストンは、前記入力部材に回転不能に取り付けられ、前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材に軸方向に移動可能である、請求項14に記載の流体力学的トルクコンバータ。
【請求項16】
前記ケーシングはロッキング表面を備え、前記ロッキングピストンは、前記ケーシングの前記ロッキング表面に軸方向に対向する係合表面を備え、前記ロッキングピストンは、前記ロッキングピストンの前記係合表面に固定して取り付けられる環状の摩擦ライナーを含む、請求項14または15に記載の流体力学的トルクコンバータ。
【請求項17】
前記固定子に取り付けられ、1つの円周方向にのみ前記固定子の回転運動を許容するワンウェイ固定子クラッチをさらに含む、請求項1に記載の流体力学的トルクコンバータ。
【請求項18】
回転軸を中心に回転可能なケーシングの第1および第2ケーシングシェルを提供する段階と、
インペラホイール、軸方向に前記インペラホイールと対向して配置されタービンシェルを含むタービンホイール、および固定子を含む予め組み立てられたトルクコンバータを提供する段階と、
1つの円周方向にのみ前記タービンホイールの回転運動を許容し、前記タービンホイールに回転不能に連結された外側リング、前記外側リング内に半径方向に配置された内側リング、および半径方向に前記外側リングと前記内側リングの間に配置され前記内側リングに対して1つの円周方向にのみ前記外側リングの回転運動を許容するように構成される複数の係合コンポーネントを含むワンウェイタービンクラッチを提供する段階と、
前記回転軸を中心に回転可能な入力部材、円周方向に作用する複数の弾性部材、および前記弾性部材を通じて前記入力部材に弾性的にカップリングされる出力部材を含むトーショナルバイブレーションダンパーを提供する段階と、
前記タービンホイールを前記回転軸と同軸の前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングおよび前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材のうちの1つに回転不能に連結する段階と、
前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材を前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングに回転不能に取り付ける段階と、
前記円周方向に作用する弾性部材を通じて前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記入力部材を前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材に弾性的に装着する段階と、を含み、
前記タービンホイール及び前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材の両方が、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングに対して回転不能であり、且つ、流体力学的トルクコンバータの出力ハブを構成する前記ワンウェイタービンクラッチの前記内側リング
に対して1つの円周方向にのみ回転可能である、流体力学的トルクコンバータの組み立て方法。
【請求項19】
ロッキングピストンを提供する段階と、
前記ロッキングピストンを前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記入力部材に回転不能に取り付ける段階と、をさらに含む、請求項18に記載の流体力学的トルクコンバータの組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクコンバータに関し、より詳しくは、タービンホイールに対してワンウェイクラッチを備えたハイブリッド車両のためのトルクコンバータおよびその組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、“クリーン”車両に対する需要は、燃料消費を減らし汚染を減らさなければならない必要性により増加する傾向にある。一般にハイブリッドシステムは、上述した必要性を達成するために開発されている。ハイブリッド車両は、車両の制動時の運動エネルギーを収集するために、交流発電機(alternator)(または、ジェネレーター)が使用される回転力コンバータおよび復元(recuperative)制動のために知られている。交流発電機は、収集された運動エネルギーを電気エネルギーに変換して、一例として、スーパーキャパシタまたはバッテリーパックの形態でエネルギー貯蔵装置を充電する。復元されたこのようなエネルギーは、モータ自動車に含まれている多様な電気および電子装備などに戻る。電気エネルギーはまた、熱機関の始動をかけるか、熱機関のトルクを補助するのに使用することができる。
【0003】
コースティング(coasting)モード、エンジンブレーキモード、および再生モードなどのハイブリッド車両の一部の作動条件で、トルクコンバータの出力ハブは、トルクコンバータのタービンホイールよりもっと速く回転することができる。通常、出力ハブとタービンホイールは回転不能に連結されている。したがって、コースティング、エンジンブレーキまたは再生モードにおいて、タービンホイールの回転は、コンバータおよびタービン“ポンプ”流体の典型的な流体流れパターンをインペラホイールで逆転させる。タービンホイールの回転がトルクコンバータのオイルを加熱して、過剰な熱損失をもたらし、場合によっては、結果としてトルクコンバータに損傷をもたらすため、タービンホイールのこのような作動は望ましくない。
【0004】
さらに、ハイブリッド車両のコースティング中に、ドラッグが逆回転力を発生させ、電気モータの有効回転力を減少させることによって、トルクコンバータのタービンホイールによって誘発されるドラッグは、ハイブリッド車両の電気モータの効率を減少させる。
【0005】
また、ハイブリッド車両で再生モードのような一部の作動条件で、内燃機関の回転を防止することが望ましい。さらに、タービンホイールの回転は、インペラホイールと内燃機関に若干のトルクを伝達できる。再生モードと関連する回転力から入力シャフトを分離するため、ワンウェイクラッチまたはギヤ機構などの機械装置を使うことが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したことを含むが、これに限定されない従来の流体力学的トルクカップリング装置がハイブリッド車両に適用するのに適合することが証明されたが、ハイブリッド車両に使用されるトルクコンバータのタービンホイールが再生モード中に変速機の入力シャフトから分離することを許容するワンウェイクラッチの改善であり、その性能および費用を改善させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の実施様態により、ドライブシャフトとドリブンシャフトを一緒にカップリングするための流体力学的トルクコンバータを提供する。前記トルクコンバータは、回転軸を中心に回転可能なケーシングと、前記回転軸を中心に回転可能なインペラホイールと、前記回転軸を中心に回転可能で、軸方向に前記インペラホイールに対向して配置され、前記インペラホイールと同軸に整列され、前記インペラホイールによって流体力学的に回転可能に駆動されるタービンホイールと、軸方向に前記インペラホイールと前記タービンホイールの間に位置する固定子と、1つの円周方向にのみ前記タービンホイールの回転運動を許容するワンウェイタービンクラッチと、を含む。前記ワンウェイタービンクラッチは、前記タービンホイールに回転不能に連結される外側リングと、前記外側リング内に半径方向に配置される内側リングと、半径方向に前記外側リングと前記内側リングの間に配置され、前記内側リングに対して前記外側リングの回転運動を1つの円周方向にのみ許容するように構成される複数の係合コンポーネントと、を含む。前記トーショナルバイブレーションダンパーは、前記回転軸を中心に回転可能な入力部材と、円周方向に作用する複数の弾性部材と、前記弾性部材を通じて前記入力部材に弾性的にカップリングされる出力部材と、を含む。前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材は、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングに回転不能にカップリングされる。前記タービンホイールは、前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングと前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材のうちの1つに回転不能にカップリングされる。
【0008】
本発明の第2の実施様態によれば、流体力学的回転力コンバータを組み立てる方法を提供する。前記方法は、回転軸を中心に回転可能なケーシングの第1および第2ケーシングシェルを提供する段階と、インペラホイール、軸方向に前記インペラホイールと対向して配置されタービンシェルを含むタービンホイール、および固定子を含む予め組み立てられた回転力コンバータを提供する段階と、1つの円周方向にのみ前記タービンホイールの回転運動を許容するワンウェイタービンクラッチを提供する段階と、前記回転軸を中心に回転可能な入力部材、円周方向に作用する複数の弾性部材、および前記弾性部材を通じて前記入力部材に弾性的にカップリングされる出力部材を含むトーショナルバイブレーションダンパーを提供する段階と、を含む。前記ワンウェイタービンクラッチは、前記タービンホイールに回転不能に連結された外側リングと、半径方向に前記外側リング内に配置される内側リングと、半径方向に前記外側リングと前記内側リングの間に配置され、前記内側リングに対して前記外側リングの回転運動を1つの円周方向にのみ許容するように構成される複数の係合コンポーネントと、を含む。前記方法は、前記タービンホイールを前記回転軸と同軸の前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リング、および前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材のうちの1つに回転不能に連結される段階と、前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材を前記ワンウェイタービンクラッチの前記外側リングに回転不能に取り付ける段階と、前記円周方向に作用する弾性部材を通じて前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記入力部材を前記トーショナルバイブレーションダンパーの前記出力部材に弾性的に装着する段階と、をさらに含む。
【0009】
本発明の一部を構成する装置システム、コンバータ、プロセスなどを含む本発明の他の様態は、例示的な実施例の下記の詳細な説明を熟読することによってもっと明らかになるだろう。
【発明の効果】
【0010】
上述したように、本発明の実施形態によるトルクコンバータによれば、コースティング、エンジンブレーキまたは再生モードで、タービンホイールの回転がコンバータおよびタービン“ポンプ”流体の典型的な流体流れパターンをインペラホイールで逆転させることによって、タービンホイールの回転がトルクコンバータのオイルを加熱して過剰な熱損失をもたらし、トルクコンバータに損傷をもたらすことを防止できるトルクコンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付した図面は明細書に含まれて、明細書の一部を構成する。図面は、上述した一般的な説明および後述する例示的な実施例および方法の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。本発明の目的および長所は、類似の要素に同一または類似の参照符号が付与されている添付の図面を参照して、以下の明細書を検討することによって明らかになるだろう。
【
図1】本発明の第1実施例による流体力学的トルクコンバータの部分的な半分軸断面図である。
【
図2】本発明の第1実施例による流体力学的トルクコンバータのタービンホイール、ワンウェイタービンクラッチ、およびロッキングピストンの部分的な半分軸断面図である。
【
図3】
図2のワンウェイタービンクラッチの半分軸断面図である。
【
図4】
図3のワンウェイタービンクラッチの内側リングの半分断面図である。
【
図5A】本発明の第1実施例による流体力学的トルクコンバータのタービンホイールの部分正面斜視図である。
【
図5B】本発明の第1実施例による流体力学的トルクコンバータの例示的なタービンホイールの部分後面斜視図である。
【
図6】
図5Bのタービンホイールの部分断面図である。
【
図7】本発明の第1実施例による流体力学的トルクコンバータのタービンホイールとこれに装着されるワンウェイタービンクラッチの後面図である。
【
図8】本発明の第2実施例による流体力学的トルクコンバータの部分的な(fragmented)半分軸断面図である。
【
図9】本発明の第2実施例による流体力学的トルクコンバータのタービンホイールおよびワンウェイタービンクラッチの部分的な半分軸断面図である。
【
図10】
図9のワンウェイタービンクラッチの断面図である。
【
図11】本発明の第3実施例による流体力学的トルクコンバータの部分的な半分軸断面図である。
【
図12】本発明の第3実施例による流体力学的トルクコンバータのタービンホイール、ロッキングピストン、およびワンウェイタービンクラッチの部分的な半分軸断面図である。
【
図13】本発明の第3実施例による流体力学的トルクコンバータのタービンホイールおよびワンウェイタービンクラッチの部分的な半分軸断面図である。
【
図14】
図13のワンウェイタービンクラッチの半分断面図である。
【
図15A】本発明の第3実施例による流体力学的トルクコンバータの部分正面斜視図である。
【
図15B】本発明の第3実施例による流体力学的トルクコンバータの部分後面斜視図である。
【
図17】本発明の第3実施例による流体力学的トルクコンバータのタービンホイールと、これに装着されるワンウェイタービンクラッチの正面斜視図である。
【
図18】本発明の第3実施例による流体力学的トルクコンバータのトーショナルバイブレーションダンパーの正面斜視図である。
【
図19A】本発明の第3実施例による流体力学的トルクコンバータのトーショナルバイブレーションダンパーの出力部材の正面斜視図である。
【
図19B】本発明の第3実施例による流体力学的トルクコンバータのトーショナルバイブレーションダンパーの出力部材の後面斜視図である。
【
図20】本発明の第4実施例による流体力学的トルクコンバータの部分的な(fragmented)半分軸断面図である。
【
図21】本発明の第4実施例による流体力学的トルクコンバータのタービンホイール、ワンウェイタービンクラッチ、およびトーショナルバイブレーションダンパーの部分的な半分軸断面図である。
【
図22】本発明の第4実施例による流体力学的トルクコンバータのタービンホイール、ワンウェイタービンクラッチ、およびトーショナルバイブレーションダンパーの出力部材の部分的な半分軸断面図である。
【
図23】
図22のワンウェイタービンクラッチの半分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、図面全般にわたって類似の参照符号が類似または相応する部分を指している、添付図面に示したように本発明の例示的な実施例および方法を詳細に参照する。しかし、本発明のより広い様態は、例示的な実施例および方法に関連して示され記述された特定の詳細、典型的な装置および方法、並びに説明用例示に限定されないことに留意しなければならない。
【0013】
例示的な実施例に対する該説明は、明細書全体の詳細な説明の一部として見なされる添付図面に関連して熟読しなければならない。詳細な説明において、“水平(horizontal)”、“垂直(vertical)”、“上(up)”、“の下(down)”、“上側(upper)”、“下側(lower)”、“右側(right)”、“左側(left)”、“上部(top)”、および“下部(bottom)”のような相対語(relative terms)だけでなく、その派生語(例えば、“水平に(horizontally)”、“下向きに(downwardly)”、“上向きに(upwardly)”など)は後に記載するように、または説明されている図面に示されているような方位を指すと理解されなければならない。これら相対語は、説明の便宜上のものであり、通常、特定の方向を必要とすることを意図したものではない。“連結された(connected)”、および“相互連結された(interconnected)”のような付着、結合などに関する用語は、構造体が直接または介在構造体を通して間接的に互いに対して固定または取り付ける関係だけでなく、特に明記しない限り、両者とも可動式または固定式の付着または関係を示す。“作動可能に連結された(operatively connected)”という用語は、関連の構造がその関係により意図された通り作動するように許容する取り付け、結合または連結を意味する。付加的に、請求の範囲で使用された1つ(“a”および“an”)という単語は、“少なくとも1つ(at least one)”を意味する。
【0014】
ハイブリッド車両に使用されるものと同様の流体力学的トルクコンバータの第1実施例は、一般に、
図1~
図4の断片的な断面図(fragmentary sectional view)に示すように、添付の図面において符号10で表示している。流体力学的トルクコンバータ10は、自動車などのモータ車両のドライブシャフトおよびドリブンシャフトを流体的にカップリングするように公知の方式で作動可能である。典型的な場合、ドライブシャフトはモータ車両の内燃機関(図示せず)の出力シャフトであり、ドリブンシャフトはモータ車両の自動変速機に連結される。
【0015】
流体力学的トルクコンバータ10は、回転軸Xを中心に回転可能なシーリングケーシング12、流体カップリング14、トーショナルバイブレーションダンパー(ダンパーアセンブリーともいう)16、および回転軸Xを中心に回転可能な摩擦ロックアップクラッチ18を含み、全てケーシング12内に配置される。シーリングケーシング12は、オイルまたはトランスミッションフルードなどの流体で少なくとも部分的に満たされる。トーショナルバイブレーションダンパー16および摩擦ロックアップクラッチ18もケーシング12に配置される。本明細書で説明された図面はハーフビュー(half-view)、すなわち、回転軸X上の流体力学的トルクコンバータ10の部分(portion)または断片(fragment)を示す。一般に、トルクコンバータ10は、回転軸Xを中心にして対称である。ここで、軸方向および半径方向は、トルクコンバータ10の回転軸Xに対して考えられる。“軸方向(axially)”、“半径方向(radially)”、および“円周方向(circumferentially)”などの相対的な用語は、それぞれ回転軸Xを中心にして平行に、垂直に、および円状の向きに関する。
【0016】
シーリングケーシング12は、
図1に示した第1実施例により第1ケーシングシェル(またはカバーシェル)20
1、および第2ケーシングシェル(または、インペラシェル)20
2は、溶接部19での溶接によってその外側周辺(outer peripheries)で、そして回転軸X周りに回転可能に一緒にシーリングされて相互連結される。第1ケーシングシェル20
1は、ドライブシャフトに対して移動不能に(すなわち、固定的に)連結されて、より典型的には、ドライブシャフトに対して回転不能に固定されるフライホイール(flywheel)(図示せず)に連結されて、エンジンがトルクを伝達するために作動する同じ速度でケーシング12が回転する。具体的には、
図1に示した実施例において、ケーシング12は、内燃機関によって回転可能に駆動され、スタッド21でフライホイールに回転不能に連結される。典型的に、スタッド21は溶接などによってカバーシェル20
1に固定式で固定される。第1および第2ケーシングシェル20
1、20
2それぞれは、一体型(integral)(すなわち、ユニタリ(unitary))または単一ピースであり、例えば、単一ピースの金属シートをプレス成形することによって一体に製作され得る。第1ケーシングシェル20
1は、
図1に示したケーシング12内の流体カップリング14およびダンパーアセンブリー16に対向するロッキング表面25を限定する。
【0017】
流体カップリング14は、インペラホイール(または、ポンプともいう)30、タービンホイール32、および軸方向にインペラホイール30とタービンホイール32の間に配置される固定子(または、リアクターともいう)34を含む。インペラホイール30、タービンホイール32、および固定子34は、回転軸X上で互いに同軸に整列する。インペラホイール30、タービンホイール32、および固定子34は、集合的にトーラス(torus)を形成する。インペラホイール30およびタービンホイール32は、当業界に公知の通り、互いに流体形態で(または、流体力学的に(hydrodynamically))結合され得る。
【0018】
インペラホイール30は、実質的には環状、セミトロイダル型(または凹型)インペラシェル31、実質的には環状のインペラコアリング36およびインペラシェル31およびインペラコアリング36にブレージングなどによって固定的に(すなわち、移動不能に)取り付けられた複数のインペラブレード37を含む。ケーシング12の第2ケーシングシェル202の少なくとも一部は、インペラアセンブリー30のインペラシェル31を形成し、インペラシェル31として提供される。したがって、インペラシェル31は、ケーシング12の一部分とも言われる。その結果、インペラホイール30のインペラシェル31は、第1ケーシングシェル201に対して回転不能であり、したがって、エンジン出力と同じ速度で回転するエンジンのドライブシャフト(または、フライホイール)に対して回転不能である。インペラホイール30はまた、第2ケーシングシェル20(または、インペラシェル31)に固定式で固定されたインペラハブ22を含む。インペラハブ22は、変速機の油圧ポンプと係合するように配置される。インペラシェル31、インペラコアリング36、およびインペラブレード37は、通常、スチールブランクからのスタンピングによって形成される。
【0019】
タービンホイール32は、実質的には環状のタービンシェル33、実質的には環状のタービンコアリング38、およびブレージングのような固定的に(すなわち、移動不能に)タービンシェル33およびコアリング38に取り付けられる多数のタービンブレード39を含む。インペラホイール30の回転は、トーラス内のトランスミッションフルードがタービンブレード36を回転させてタービンシェル33を回転させることになる。タービンシェル33、タービンコアリング30およびタービンブレード31は、通常、スチールブランクからのスタンピングによって形成される。
【0020】
固定子34は、インペラホイール30とタービンホイール32の間に配置され、タービンホイール32からの流体を効率的にインペラホイール30に方向転換(redirect)させる。固定子34は、典型的に固定子34が逆回転しないようにワンウェイ固定子クラッチ40上に装着される。第1スラストベアリング421は、固定子34とタービンシェル33の間に介在(interpose)し、第2スラストベアリング422は、固定子34とケーシング12の第2ケーシングシェル202、またはインペラハブ22の間に介在する。
【0021】
ワンウェイ固定子クラッチ40は、
図1に示すように、固定子34の固定子ハブ35内に取り付けられ、回転軸Xと同軸の外側リング44、回転軸Xと同軸の内側リング46、および外側リング44と内側リング46の間に限定された環状空間内に円周方向に配置された複数のスプラグまたは円筒形ローラ48を含む。内側リング46の内周表面は、固定子シャフトの外周に回転可能にカップリングするためのスプライン47を有する。
【0022】
固定子34は、ワンウェイ固定子クラッチ40を固定子ハブ35内に保持し、固定子ハブ35に対して回転軸Xの方向へのワンウェイ固定子クラッチ40のコンポーネントの軸方向移動を防止するための環状固定子リテーナプレートを含む。固定子リテーナプレート50は、固定子ハブ35内にスプラグまたは円筒形ローラ48を保持するようにワンウェイ固定子クラッチ40の外側リング44および内側リング46いずれも結合する軸方向内側端部面を有する。固定子リテーナプレート50の軸方向外側端部面は、第1スラストベアリング421と係合する。第1実施例によれば、固定子リテーナプレート50は、固定子34の固定子ハブ35に固定される。
【0023】
ロックアップクラッチ18(ロックアップクラッチ18の係合位置(または、ロックアップモード))に向かって回転軸Xに沿って軸方向に変位可能であり、ケーシング12のカバーシェル201内部のロッキング表面25(ロックアップクラッチ18の係合解除位置(または、非ロックアップ))から離隔された実質的には環状ロッキングピストン52を含む。言い換えれば、ロッキングピストン52は、ケーシング12のロッキング表面25に選択的に加圧されてトルクコンバータ10をシャフトの間にロックアップし、タービンホイール32とインペラホイール30の間のスライディング移動を制御する。
【0024】
ロッキングピストン52は、実質的には環状のピストン本体54と、ピストン本体54に固定的に取り付けられてケーシング12のロッキング表面25に対面する環状の摩擦ライナー56とを含む。ピストン本体54は、ケーシング12のロッキング表面25に軸方向に対向する係合表面55を有する。環状の摩擦ライナー56は、
図1に示すように、接着剤接合などの当業界で公知の任意の適正な手段によってその半径方向外周端部54
1でピストン本体54の係合表面55に固定的に取り付けられる。ピストン本体54の半径方向に内周端部54
2で軸方向に延長するのは回転軸Xに近接し同軸である実質的には円筒形フランジ58である。
【0025】
環状の摩擦ライナー56は、向上した摩擦性能のための摩擦物質で製造される。これとは異なり、環状の摩擦ライナーがケーシング12のロッキング表面25に固定され得る。また他の実施例によれば、第1摩擦リングまたはライナがケーシング12のロッキング表面25に固定され、第2摩擦リングまたはライナがロッキングピストン本体54の係合表面55に固定される。摩擦リング中の1つまたはすべてを省略することは本発明の範囲内にある。言い換えれば、環状の摩擦ライナー56は係合表面中の任意のもの、全部またはどちらにも固定され得る。また、例示的な実施例によれば、ロッキングピストン本体54の係合表面55は、ロックアップクラッチ18の係合を向上させるためにやや円錘形である。特に、摩擦ライナー56を保持するロッキングピストン本体54の係合表面55は、ロックアップクラッチ18の回転力容量を向上させるためにケーシング12のロッキング表面25に対して10°~30°の角度で円錘形である。これとは異なり、ロッキングピストン本体54の係合表面55は、ケーシング12のロッキング表面25に平行であり得る。
【0026】
流体力学的トルクコンバータ10は、タービンホイール32が逆回転することを防止するワンウェイタービンクラッチ60をさらに含む。言い換えれば、ワンウェイタービンクラッチ60は、1つの円周方向にタービンホイール32の回転運動だけを許容する。
図3に示すように、ワンウェイタービンクラッチ60は、回転軸Xと同軸の外側リング62、外側リング62と同軸で外側リング62から半径方向に離隔して外側リング62と内側リング64の間の相対回転をそれぞれ可能にする内側リング64、および外側リング62と内側リング64の間の限定された環状空間内に円周方向に配置される複数の係合コンポーネント66を含む。外側リング62は、環状の半径方向外側レーストラック表面62
Rを有し、内側リング64は、半径方向外側レース表面62
Rに対向し半径方向に離隔して配置された環状の半径方向内側レーストラック表面64
Rを有する。
図3に示すように、内側リング64の半径方向内側レーストラック表面64
Rは、外側リング62の半径方向外側レーストラック表面62
Rの半径方向に内側に配置される。係合コンポーネント66は、半径方向に対向する外側レーストラック表面62
R、および内側レーストラック表面64
Rと係合するように構成される。
【0027】
係合コンポーネント66は、外側リング62を内側リング64に選択的に回転不能に係合するようにし、外側リング62を内側リング64から選択的に回転可能に係合解除するように構成される。本発明の例示的な実施例によれば、係合コンポーネント66は、円周方向に分布したスプラグエレメントである。前記スプラグ式のワンウェイタービンクラッチ60は、
図3に示すように、環状空間の外周側にスプラグ66を有する外側ケージ67oと、内周側にスプラグ66を有する内側ケージ67i空間、およびリボンスプリングをさらに含む。リボンスプリングは、その弾性力によって半径方向に外側リング62と内側リング64の間でスプラグ66を加圧するように構成される環状スプリング部材である。スプラグ66の半径方向外側端部は、ワンウェイタービンクラッチ60の外側リング62の半径方向外側レーストラック表面62
Rと係合するように構成される一方、スプラグ66の半径方向内側端部は、内側リング64の半径方向内側レーストラック表面を含む。これとは異なり、係合コンポーネントは、ローラまたはウェッジエレメントであり得る。
【0028】
言い換えれば、外側リング62は、ワンウェイタービンクラッチ60の内側リング64に対して1つの円周方向にのみ回転可能である。内側リング64の内周表面には、変速機の入力シャフトの外周に回転可能に連結されるスプライン65が形成されている。したがって、ワンウェイタービンクラッチ60の内側リング64は、流体力学的トルクコンバータ10の出力ハブを限定する。また、
図1に示すように、ピストン本体54の円筒形フランジ58は、出力ハブ64に軸方向にスライディング可能に装着される。したがって、ロッキングピストン52は回転可能で、回転軸Xに沿ってロックアップモードおよびロックアップ解除モードそれぞれに出力ハブ64に対して軸方向に移動可能である。出力ハブ64の半径方向内周表面に装着されたシーリング部材78は、変速機の入力シャフトと出力ハブ64の界面でシーリングを生成する。また、タービンホイール32は、回転軸Xを中心に出力ハブ64に対して回転可能である。
【0029】
出力ハブ64は、
図1および
図4に示すように、出力ハブ64から軸方向外側に伸びて、ロッキングピストン52を中心に合わせてロッキングピストン52の円筒形フランジ58とスライディング可能に結合するための実質的には円筒形ピストン表面69を限定する環状ピストンフランジ68を有する。特に、ロッキングピストン52の円筒形フランジ58は、出力ハブ64の円筒形ピストン表面69に対して中心に合わせ、回転可能および軸方向すべり可能に変位できるように装着される。出力ハブ64は、
図3および
図4に示すように、出力ハブ64から軸方向外側に伸びて、ワンウェイタービンクラッチ60の外側リング62を中心に合わせ、および半径方向に支持するための環状の(例えば、円筒形)半径方向外側ガイド表面71を限定する環状ガイドレッジ70をさらに含む。
【0030】
ワンウェイタービンクラッチ60の外側リング62は、実質的には円筒形の半径方向外側表面73、および回転軸Xに実質的には直交して伸びて、ロッキングピストン52に対向する実質的には環状の平面型(すなわち、平らな)の側面表面74を有する。1つ以上のネジ型ボア76は、
図3に示すように、ワンウェイタービンクラッチ60の平面型表面74に形成される。
【0031】
コースティング(coasting)モード、エンジンブレーキモード、および再生モードなどのハイブリッド車両の一部の作動条件で、トルクコンバータ10の出力ハブ64は、トルクコンバータ10のタービンホイール32よりもっと速く回転することができる。したがって、ワンウェイタービンクラッチ60は、タービンホイール32によるドラッグとハイブリッド車両の電気モータの効率を一般に減少させる逆トルクを防止して、ハイブリッド車両の電気モータの有効トルクの減少を防ぐことができる。言い換えれば、ワンウェイタービンクラッチ60は、コースティングモード、制動モード、および再生モードなどのハイブリッド車両の一部の作動条件でタービンホイール32をトルクコンバータ10の出力ハブ64から分離させる。
【0032】
タービンホイール32は、
図2、
図5A、
図5B、および
図6に示すように、カバーシェル20
1に向かう方向にトロイダル型タービンシェル33の半径方向内側端部33iから実質的には軸方向外側に伸びる実質的には環状カップリング部材77
Aをさらに含む。本発明の第1実施例によれば、カップリング部材77
Aを有するタービンシェル33は、例えば、単一部品からなる一体型(または、ユニタリ)コンポーネントであるが、固定式と一緒に連結された個別のコンポーネントであり得る。
【0033】
タービンホイール32は、ワンウェイタービンクラッチ60の外側リング62に回転不能に連結される。特に、
図2に示すように、タービンホイール32のそれぞれのカップリング部材77
Aは、外側リング62の半径方向外側表面73に配置され、タービンホイール32のカップリング部材77
Aの軸方向の末端、環状の自由端部で、例えば、溶接部61での溶接によってワンウェイタービンクラッチ60の外側リング62に固定される。
【0034】
流体カップリング14は、
図2に示すように、ワンウェイタービンクラッチ60の外側リング62および内側リング64の間に、実質的には半径方向に伸びる実質的には環状のリテーナプレート77
Rを含む。リテーナプレート77
Rは、係合コンポーネント66をカバーしワンウェイタービンクラッチ560の外側リング62および内側リング64と少なくとも一部が重畳するように構成される。
図1に示すように、リテーナプレート77
Rは、軸方向に第1スラストベアリング42
1とワンウェイタービンクラッチ60の間に配置される。本発明の第1実施例によれば、リテーナプレート77
Rは、タービンシェル33をカップリング部材77
Aと分離するように形成される。また、リテーナプレート77
Rは、例えば、機械的ファスナー、接着剤結合、または溶接部79によって、溶接などの適正手段によってワンウェイタービンクラッチ60の外側リング62に移動不能に(すなわち、固定)取り付けられる。リテーナプレート77
Rは、外側リング62と内側リング64の間に係合コンポーネント66を有し、
図2に示すように右側から左側への方向に回転軸Xに沿って外側リング62に対してワンウェイタービンクラッチ60の内側リング64と係合コンポーネント66の軸方向移動を防止するように構成される。
【0035】
トーショナルバイブレーションダンパー16は、
図1に示すように、軸方向にケーシング12の第1ケーシングシェル20
1とタービンホイール32の間でケーシングにハウジングされる。トーショナルバイブレーションダンパー16は、実質的には環状の駆動(または入力)部材80、互いに円周方向に等間隔で配置される円周方向の弾性ダンピング部材82、および好ましくは複数の駆動(または出力)部材84を含む。
図1の第1実施例によれば、弾性ダンピング部材82は、実質的には円周方向に配向される主軸を有する螺旋状(またはコイル)スプリングで構成される。他の弾性部材は、スプリング82を代替するか補完するように選択され得る。駆動部材80および被駆動部材84は、弾性ダンピング部材82の円周方向に対向する端部に係合する。したがって、駆動部材80は、当業界に公知の通り、弾性ダンピング部材82を通じて被駆動部材84に弾性的にカップリングされる。したがって、トーショナルパイブレシションダンパー16の被駆動部材84は、ねじり振動を吸収する弾性ダンピング部材82の弾性により駆動部材80に対して回転可能である。
図2に示すように、被駆動部材84の半径方向内側(または末端)端部85は、トーショナルバイブレーションダンパー16の被駆動部材84を中心に合わせ、および半径方向に支持するために出力ハブ64のガイドレッジ70の半径方向外側ガイド表面71とスライディング式で係合する。
【0036】
第1実施例によれば、ダンパーアセンブリー16の駆動部材80とロッキングピストン52のロッキングピストン本体54は、
図1に示すように、リベット81によって一緒に固定式で(すなわち、移動不能に)連結される。次いで、被駆動部材84は、
図2に示すように、外側リング62に対して回転不能であるように、例えば、機械的ファスナー63、ダウエルピン85、または溶接によって、ワンウェイタービンクラッチ60の外側リング62に回転不能に連結される。したがって、ロッキングピストン52は、トーショナルバイブレーションダンパー16を通じて外側リング62に弾性的にカップリングされる。機械的ファスナー63は、ワンウェイタービンクラッチ60の外側リング62の側面表面74に形成される相補的なネジ型ボア76内に挿入される。その結果、トーショナルバイブレーションダンパー16の被駆動部材84は、外側リング62と内側リング164の間に係合コンポーネント66を有し、
図2に示すように回転軸Xに沿って左側から右側方向に外側リング62に対してワンウェイタービンクラッチ160の第2ベアリングワッシャー96、内側リング164、および係合コンポーネント66の軸方向移動を防止するように構成される。
【0037】
ロックアップクラッチ18は、ドライブシャフトおよびドリブンシャフトを選択的にロッキングする。ロックアップクラッチ18は、通常、タービンホイール32とインペラホイール30の間のスリップ現象によって引き起こされる能率の損失を回避するために、モータ車両の始動後、そしてドライブシャフトおよびドリブンシャフトの油圧カップリング後に活性化される。ロッキングピストン52は、ケーシング内部のロッキング表面25(ロックアップクラッチ18の係合(またはロッキング)位置)に向かって、そしてロッキング表面25(ロックアップクラッチ18の係合解除(または開放)位置)から離隔する方向に軸方向変位が可能である。また、ロッキングピストン52は、トーショナルバイブレーションダンパー16(ロックアップクラッチ18の係合(またはロッキング)位置)から離隔する方向に、そしてトーショナルバイブレーションダンパー16(ロックアップクラッチ18の係合解除(または開放)位置)に向かって軸方向変位が可能である。特に、ロッキングピストン本体54の円筒形フランジ58は、ケーシング12のカバーシェル20
1および出力ハブ64に対して中心に合わせられ、回転可能で、軸方向にスライディング可能に変位できるため、出力ハブ64の環状ピストンフランジ68の円筒形ピストン表面69に装着される。以下でさらに詳述されるように、ロッキングピストン52は、回転軸Xに沿ってカバーシェル20
1に対して軸方向に移動可能である。出力ハブ64に沿うロッキングピストン52の軸方向移動は、
図1に示すように、ロッキングピストン54の軸方向対向側面上に位置するトーラスおよびダンパー圧力チャンバー23
1、23
2によって制御される。
【0038】
ロッキングピストン54は、ドライブシャフトとドリブンシャフトの間でトルクコンバータ10をロックアップし、タービンホイール32とインペラホイール30の間でスライディング移動を制御するためにケーシング12のロッキング表面25に選択的に加圧される。特に、適正油圧がロッキングピストン52に加わると、ロッキングピストン52は、ケーシング12のロッキング表面25に向かって(
図1に示すように)右側に移動してタービンホイール32から離隔し、ピストン本体54の係合表面55とケーシング12のロッキング表面25の間で摩擦ライナーをクランピングする。その結果、ロックアップクラッチ18がロッキング位置にある場合、タービンホイール32をバイパスするように、ロックアップクラッチ18は、トーショナルバイブレーションダンパー16、タービンホイール32、およびワンウェイタービンクラッチ60を通じてケーシング12を出力ハブ64に動作可能にカップリングする。したがって、ロックアップクラッチ18は、該ロッキング位置にある場合タービンホイール32をバイパスする。
【0039】
作動の際、ロックアップクラッチ18が係合解除(開放)位置にあり、タービンホイール32が出力ハブ64より速く回転すれば、エンジントルクは流体カップリング14のタービンホイール32によってインペラホイール30からワンウェイタービンクラッチ60を通じて出力ハブ64に伝達される。ロックアップクラッチ18が結合(ロッキング)位置にあると、エンジントルクは、トーショナルバイブレーションダンパー16を通じてワンウェイタービンクラッチ60の外側リング62にケーシング12によって伝達される。しかし、ハイブリッド車両がコースティングモード、エンジンブレーキモードまたは再生モードにある場合、すなわち、出力ハブ64がタービンホイール32より速く回転できる場合、ワンウェイタービンクラッチ60は、タービンホイール32をトルクコンバータ10の出力ハブ64からカップリング解除し、出力ハブ64からのトルクをタービンホイール32に伝達しない。
【0040】
流体力学的トルクコンバータ10の組み立て方法は、次のとおりである。この例示的な方法は、本明細書に記載された他の説明と関連して実施され得ることを理解しなければならない。この例示的な方法は、本発明に記述されたタービンアセンブリーを組み立てる独占的な方法ではない。流体力学的トルクコンバータ10を組み立てる方法は、以下に説明される段階を順次に行うことによって実行され得るが、前記方法は、異なるシークエンスで段階を行うことを含むことができる。
【0041】
まず、ロッキングピストン52を備えたトーショナルバイブレーションダンパー16、インペラホイール30、タービンホイール32、固定子34がそれぞれ予め組み立てられる。インペラホイール30およびタービンホイール32は、スチールブランクからのスタンピングまたはポリマー物質の射出成形によって形成される。固定子34は、アルミニウムからのキャスティングまたはポリマー物質の射出成形によって製造される。インペラホイール30、タービンホイール32、および固定子34サブアセンブリーを一緒に組み立てて流体カップリング14を形成する。
【0042】
本発明の第1実施例によれば、タービンホイール32は、
図2、
図5A、
図5B、および
図7に示すように、トロイダル型タービンシェル33、およびトロイダル型タービンシェル33の半径方向内側端部33iから実質的には半径方向外側に伸びる環状カップリング部材77
Aで形成される。本発明の第1実施例によれば、カップリング部材77
Aを備えたタービンシェル33は、例えば、単一部品で製造される一体型(またはユニタリ)コンポーネントであるが、固定式で互いに連結される個別のコンポーネントであり得る。
【0043】
次に、ワンウェイタービンクラッチ60が取り付けられる。まず、環状のリテーナプレート77Rが提供される。環状のリテーナプレート77Rは、環状のリテーナプレート77Rの半径方向外側末端、環状の自由端部で、例えば、溶接部79での溶接によって、ワンウェイタービンクラッチ60の外側リング62に移動不能に取り付け(すなわち、固定)られる。以降、環状のリテーナプレート77Rは、第1スラストベアリング421およびワンウェイタービンクラッチ60の間で軸方向にワンウェイタービンクラッチ60の半径方向左側側面に隣接して配置される。次に、環状のリテーナプレート77Rは、ワンウェイタービンクラッチ60に装着されて、タービンホイール32のそれぞれのカップリング部材77Aは、外側リング62の半径方向外側表面73に配置され、タービンホイール32のカップリング部材77Aの軸方向の末端、環状の自由端部で、例えば溶接部61での溶接によって、ワンウェイタービンクラッチ60の外側リング62に固定される。
【0044】
次に、トーショナルバイブレーションダンパー16が取り付けられる。トーショナルバイブレーションダンパー16を組み立てる前に、ロッキングピストン52のロッキングピストン本体54は、溶接、接着剤結合またはリベット81などのファスナーのような適正手段によってトーショナルバイブレーションダンパー16の入力部材80に固定される。
【0045】
次に、出力部材84は外側リング62に対して回転不能であるように、
図1および
図2に示すように、例えば、ダウエルピン85、または溶接、または機械的ファスナー63によって、ワンウェイタービンクラッチ60の外側リング62に回転不能に連結される。それに加えて、被駆動部材84の半径方向内側端部85は、出力ハブ64のガイドレッジ70の半径方向外側ガイド表面71にスライディング可能に係合する。その後、
図1に示すように、第1ケーシングシェル20
1は、例えば、溶接部19での溶接によって第2ケーシングシェル20
2に対して移動不能にシーリングされて固定される。
【0046】
多様な修正、変更および変形は、
図8~
図23に示している追加の実施例を含む前記実施例により実施され得るが、これに限定されるものではない。簡略化の観点で、
図8~
図23に関連して、上述した
図1~
図7の参照符号は、
図8~
図23の追加の実施例を説明するのに有用または必要な範囲を除いて、その説明は省略する。修正されたコンポーネントおよび部品は、コンポーネントまたは部品の符号に100桁の数字を追加して示す。
【0047】
図8~
図10に示した第2実施例の流体力学的トルクコンバータ110において、ワンウェイタービンクラッチ60はワンウェイタービンクラッチ160に代替される。
図8~
図10の流体力学的トルクコンバータ110は、
図1~
図7の流体力学的トルクコンバータ10に実質的に対応して、したがって、ワンウェイタービンクラッチ160のみを以下に詳しく説明する。
【0048】
図8~
図10に示すように本発明の第2実施例によれば、ワンウェイタービンクラッチ160は、タービンホイール32が逆回転しないように構成される。言い換えれば、ワンウェイタービンクラッチ60と同様に、ワンウェイタービンクラッチ160は、1つの円周方向にのみタービンホイール32の回転運動を許容する。ワンウェイタービンクラッチ160は
図10に示すように、回転軸Xと同軸の外側リング62、外側リング62と同軸で半径方向に離隔して外側および内側リング62、164の相対的回転をそれぞれ可能にする内側リング164、および外側リング62と内側リング164の間に限定された環状空間内に円周方向に配置された複数の係合コンポーネント66を含む。
【0049】
また、ワンウェイタービンクラッチ60と同様に、ワンウェイタービンクラッチ160の外側リング62は、環状の半径方向外側レーストラック表面62
Rを備え、内側リング164は、環状の半径方向外側レーストラック表面62
Rと対向し半径方向に離隔して配置される環状の半径方向内側レーストラック表面164
Rを備える。
図10に示すように、内側リング164の半径方向内側レーストラック表面164
Rは、外側リング62の半径方向外側レーストラック表面62
Rの半径方向内側に配置される。係合コンポーネント66は、半径方向に対向する外側レーストラック表面62
R、および内側レーストラック表面164
Rと係合するように構成される。
【0050】
ワンウェイタービンクラッチ160は、低摩擦、環状、スライディング式の第1および第2ベアリングワッシャー94、95をそれぞれ含む。
図9に示すように、低摩擦の第1ベアリングワッシャー94は、ワンウェイクラッチ160の外側リング62がその内側リング164に対して回転する場合、その間の摩擦を減少させるために軸方向にリテーナプレート77
Rとワンウェイタービンクラッチ160の内側リング164の間に配置される。第1ベアリングワッシャー94は、
図10に示すように、ワンウェイタービンクラッチ160の内側リング164の左側軸方向外側側壁に対応する環状の第1リセス95に装着される。これと同様に、第2ベアリングワッシャー96は、ワンウェイタービンクラッチ160の外側リング62がその内側リング164に対して回転する場合、その間の摩擦を減少させるために軸方向にトーショナルバイブレーションダンパー16の被駆動部材84とワンウェイタービンクラッチ160の内側リング164の間に軸配置される。低摩擦の第2ベアリングワッシャー96は、
図10に示すように、ワンウェイタービンクラッチ160の内側リング164の右側軸方向外側壁に対応する環状の第2リセス97に装着される。
【0051】
第1および第2低摩擦ベアリングワッシャー94、95それぞれは、フェノールプラスチック(またはフェノール樹脂)またはナイロンなどの、耐久性がある低摩擦材料で製造される。他の好適な耐久性および低摩擦プラスチックまたは他の材料もまた、使用することができる。第1および第2ベアリングワッシャー94、95は、ワンウェイタービンクラッチ160のコンポーネントの摩擦および摩耗を減少させる。
【0052】
また、タービンホイール32のリテーナプレート77
Rは、外側リング62と内側リング164の間に係合コンポーネント66を有し、
図9に示すように、右側から左側方向に回転軸Xに沿って外側リング62に対してワンウェイタービンクラッチ160の第1ベアリングワッシャー94、内側リング164、および係合コンポーネント66の軸方向移動を防止するように構成される。これと同様に、トーショナルバイブレーションダンパー16の被駆動部材84は、外側リング62と内側リング164の間に係合コンポーネント66を有し、
図9に示すように左側から右側への方向に回転軸Xに沿って外側リング62に対してワンウェイタービンクラッチ160の第2ベアリングワッシャー95、内側リング164、および係合コンポーネント66の軸方向移動を防止するように構成される。
【0053】
図11~
図19Bに第3実施例の流体力学的トルクコンバータ210において、タービンホイール32、トーショナルバイブレーションダンパー16、およびワンウェイタービンクラッチ60は、タービンホイール232、トーショナルバイブレーションダンパー216、およびワンウェイタービンクラッチ260によって代替される。
図11~
図19Bの流体力学的トルクコンバータ210は、
図1~
図7の流体力学的トルクコンバータ10に実質的に対応して、したがって、タービンホイール232、トーショナルバイブレーションダンパー216、およびワンウェイタービンクラッチ260のみが以下に詳しく説明される。
【0054】
図12、
図13、
図15A、および
図15Bに示すように、本発明に係る第3実施例によれば、タービンホイール232は、実質的にはトロイダル型タービンシェル233、トロイダル型タービンシェル233の半径方向内側端部233iから実質的には半径方向内側に伸びる実質的には環状のリテーナプレート277を含む。本発明の第3実施例によれば、リテーナプレート277を有するタービンシェル233は、例えば、単一部品からなる一体型(またはユニタリ)コンポーネントであるが、固定式で一緒に連結された個別のコンポーネントであり得る。リテーナプレート277を有するタービンシェル233、タービンコアリング30、およびタービンブレード39は、通常、スチールブランクからのスタンピングによって形成される。タービンホイール232は、実質的には環状のタービンコアリング38、およびブレージングなどのように固定的に(すなわち、移動不能に)タービンシェル233およびコアリング38に取り付けられる多数のタービンブレード39を含む。インペラホイール30の回転は、トーラス内の流体がタービンブレード39を回転させてタービンシェル33を回転させることになる。タービンホイール232は、
図12、
図13、
図15A、
図15B、および
図16に示すように、トーショナルバイブレーションダンパー216に向かって実質的には軸方向に伸びる複数のタービン駆動アーム286を含む。
【0055】
図11~
図19Bに示すように本発明の第3実施例によれば、トーショナルバイブレーションダンパー216は、ケーシング12の第1ケーシングシェル20
1とタービンホイール232の間で軸方向にケーシング12にハウジングされる。トーショナルバイブレーションダンパー216は、実質的には環状の駆動(または入力)部材80、互いに円周方向に等間隔で配置された複数の円周方向の弾性ダンピング部材82、および実質的には環状の駆動(または出力)部材84を含む。
図11の実施例によれば、弾性ダンピング部材82は、実質的には円周方向に配向された主軸を有する螺旋状(またはコイル)スプリングで構成される。他の弾性部材は、スプリング82を代替するか補完するように選択され得る。駆動部材80および被駆動部材84は、弾性ダンピング部材82の円周方向の対向する端部に係合する。したがって、駆動部材80は、当業界に公知の通り、弾性ダンピング部材82を通じて被駆動部材284に弾性的にカップリングされる。したがって、トーショナルバイブレーションダンパー216の被駆動部材284は、トーショナルバイブレーションを吸収する弾性ダンピング部材82の弾性により駆動部材80に対して回転可能である。
【0056】
被駆動部材284の半径方向外側自由端部は、実質的には軸方向にトーショナルバイブレーションダンパー216の弾性ダンピング部材82に向かって伸びる複数の被駆動(または出力)アーム284D、および実質的には軸方向にタービンホイール232のタービン駆動アーム286に向かって伸びる複数の駆動フィンガー284Cを随伴する。
【0057】
駆動部材80および被駆動部材284の被駆動アーム284
Dは、駆動部材80が被駆動部材284に対して軸方向に移動可能に弾性ダンピング部材82の円周方向対向端部と係合する。したがって、駆動部材80は当業界に公知の通り、弾性ダンピング部材82を通じて被駆動部材284に弾性的にカップリングされる。したがって、トーショナルバイブレーションダンパー216の被駆動部材284は、トーショナルバイブレーションを吸収する弾性ダンピング部材82の弾性によって駆動部材80に対して回転可能である。また、トーショナルバイブレーションダンパー216の被駆動部材284は、タービンホイール232に回転不能にカップリングされる。具体的には、トーショナルバイブレーションダンパー216の被駆動部材284の被駆動フィンガー284
Cは、円周方向に実際的に動作のないタービンホイール232のタービン駆動アーム286と円周方向に係合する。
図17および
図18に示すように、タービンホイール232のタービン駆動アーム286それぞれは、トーショナルバイブレーションダンパー216の被駆動部材284の一対の被駆動フィンガー284
Cの間に回転不能に係合する。
【0058】
被駆動部材284は、
図12および
図13に示すように、タービンホイール232に向かう方向に被駆動部材284の半径方向内側端部284iに実質的には軸方向外側に伸びる1つ以上の(好ましくは3つ)カップリング部材284
A、係合コンポーネント66を経て被駆動部材284の半径方向内側端部284iから半径方向内部に実質的に伸びて、ワンウェイタービンクラッチ260の内側リング64と部分的に重なる1つ以上の(好ましくは3つ)ガイドプレート284
Rをさらに含む。本発明の第3実施例によれば、カップリング部材284
Aおよびガイドプレート284
Rを有する被駆動部材284は、単一部品からなる一体型(またはユニタリ)コンポーネントであるが、固定式で一緒に連結された個別のコンポーネントであり得る。
【0059】
図11~
図19Bに示すように本発明の第3実施例によれば、ワンウェイタービンクラッチ260は、タービンホイール232が逆回転しないように提供される。言い換えれば、ワンウェイタービンクラッチ60と同様に、ワンウェイタービンクラッチ260は、1つの円周方向にのみタービンホイール232の回転運動を許容する。
図12~
図14に示すように、ワンウェイタービンクラッチ260は、回転軸Xと同軸の外側リング262、外側リング262と同軸で外側リング262から半径方向に離隔して外側リング262と内側リング64の間の相対回転をそれぞれ可能にする内側リング64、および外側リング262と内側リング64の間の限定された環状空間内に円周方向に配置される複数の係合コンポーネント66を含む。
【0060】
また、ワンウェイタービンクラッチ60と同様に、ワンウェイタービンクラッチ260の外側リング262は、環状の半径方向外側レーストラック表面262
Rを有し、内側リング64は、半径方向外側レース表面262
Rに対向し半径方向に離隔して配置される環状の半径方向内側レーストラック表面64
Rを有する。
図13に示すように、内側リング64の半径方向内側レーストラック表面64
Rは、外側リング262の半径方向外側レーストラック表面262
Rの半径方向に内側に配置される。係合コンポーネント66は、半径方向に対向する外側レーストラック表面262
Rおよび内側レーストラック表面64
Rと係合するように構成される。
【0061】
トーショナルバイブレーションダンパー216の被駆動部材284は、ワンウェイタービンクラッチ260の外側リング262に回転不能に取り付け(すなわち、固定)られる。具体的には、
図13に示すように、被駆動部材284それぞれのカップリング部材284
Aは、外側リング262の半径方向外側表面273に配置され、被駆動部材284のカップリング部材284
Aの軸方向の末端、環状の自由端部で、例えば、溶接部261での溶接によって、ワンウェイタービンクラッチ260の外側リング262に固定される。言い換えれば、ワンウェイタービンクラッチ260の外側リング262は、トーショナルバイブレーションダンパー216の被駆動部材284に回転不能にカップリングされる。
【0062】
また、
図11~
図13に示すように、被駆動部材284のガイドプレート284
Rは、ワンウェイタービンクラッチ260の外側リング262と内側リング64の間に係合コンポーネント66を有し、回転軸Xに沿って左側から右側方向に外側リング262に対してワンウェイタービンクラッチ260の内側リング64および係合コンポーネント66の軸方向移動を防止する。
図13に示すように、ガイドプレート274それぞれの半径方向内側(または末端)端部285は、トーショナルバイブレーションダンパー216の被駆動部材284を中心に合わせて、半径方向に支持するために出力ハブ64のガイドレッジ70の半径方向外側ガイド表面71とスライディング式で係合する。
【0063】
流体力学的トルクコンバータ210の組み立て方法は、次のとおりである。まず、ロッキングピストン52を備えたトーショナルバイブレーションダンパー16、インペラホイール30、タービンホイール232、および固定子34をそれぞれ予め組み立てる。インペラホイール30およびタービンホイール232は、スチールブランクからのスタンピングまたはポリマー物質の射出成形によって形成される。固定子34は、アルミニウムからのキャスティングまたはポリマー物質の射出成形によって製造される。インペラホイール30、タービンホイール232および固定子34サブアセンブリーを一緒に組み立てて流体カップリング214を形成する。
【0064】
本発明の実施例によれば、タービンホイール232は、
図11、
図12、および
図16に示すように、トロイダル型タービンシェル233、およびトロイダル型タービンシェル233の半径方向内側端部233iから実質的には半径方向内側に実質的に伸びる実質的には環状のリテーナプレート277で形成される。本発明の実施例によれば、リテーナプレート277を有するタービンシェル233は、単一部品からなる一体型(またはユニタリ)コンポーネントであるが、固定式で一緒に連結された個別のコンポーネントであり得る。
【0065】
次に、トーショナルバイブレーションダンパー16が取り付けられる。
図12、
図13、
図15A、
図15B、および
図16に示すように、トーショナルバイブレーションダンパー16を組み立てる前に、タービン駆動アーム286は、タービンホイール232のタービンシェル233の半径方向末端端部で、溶接部287での溶接または機械的ファスナーなどの、適正手段によってタービンホイール232のトロイダル型タービンシェル233に移動不能に連結(すなわち、固定)される。次いで、ロッキングピストン52のロッキングピストン本体54は、溶接、接着剤結合またはリベット81などのファスナーのような適正手段によってトーショナルバイブレーションダンパー16の入力部材80に固定される。
【0066】
次に、ワンウェイタービンクラッチ260が取り付けられる。ワンウェイタービンクラッチ260の駆動部材284は、駆動部材284のカップリング部材284
A、ガイドプレート284
R、被駆動フィンガー284
C、および被駆動アーム284
Dは、例えば、単一部品からなる一体型(またはユニタリ)コンポーネントとして提供される。次に、駆動部材284は、ワンウェイタービンクラッチ260の外側リング262に回転不能に連結される。特に、被駆動部材284それぞれのカップリング部材284
Aは、外側リング262の半径方向外側表面273に配置され、被駆動部材284のカップリング部材284
Aの軸方向の末端、環状の自由端部で、例えば、溶接部261での溶接によって、ワンウェイタービンクラッチ260の外側リング262に固定される。したがって、ワンウェイタービンクラッチ260の外側リング262は、タービンホイール232およびトーショナルバイブレーションダンパー216の被駆動部材284すべてに回転不能にカップリングされる。それに加えて、被駆動部材284の半径方向内側端部285は、出力ハブ64のガイドレッジ70の半径方向外側ガイド表面71にスライディング可能に係合する。以降、
図11に示すように、第1ケーシングシェル20
1は、例えば、溶接によって溶接部19で第2ケーシングシェル20
2に対して移動不能にシーリングして固定される。
【0067】
図20~
図23に示した第4実施例の流体力学的トルクコンバータ310において、ワンウェイタービンクラッチ260は、ワンウェイタービンクラッチ360に代替される。
図20~
図23の流体力学的トルクコンバータ310は、
図11~
図19Bの流体力学的トルクコンバータ210に実質的に対応して、したがって、ワンウェイタービンクラッチ360のみを以下に詳しく説明する。
【0068】
図20~
図23に示すように本発明の第4実施例によれば、ワンウェイタービンクラッチ360は、タービンホイール232が逆回転しないように構成される。言い換えれば、ワンウェイタービンクラッチ260と同様に、ワンウェイタービンクラッチ360は、1つの円周方向にのみタービンホイール232の回転運動を許容する。ワンウェイタービンクラッチ360は、
図23に示すように、回転軸Xと同軸の外側リング262、外側リング262と同軸で半径方向に離隔して外側および内側リング262、164の相対的回転をそれぞれ可能にする内側リング164、および外側リング262と内側リング164の間に限定された環状空間内に円周方向に配置された複数の係合コンポーネント66を含む。
【0069】
また、ワンウェイタービンクラッチ260と同様に、ワンウェイタービンクラッチ360の外側リング262は、環状の半径方向外側レーストラック表面262
Rを有し、内側リング164は、環状の半径方向外側レーストラック表面262
Rと対向し、半径方向に離隔して配置される環状の半径方向内側レーストラック表面164
Rを有する。
図20に示すように、内側リング164の半径方向内側レーストラック表面164
Rは、外側リング262の半径方向外側レーストラック表面262
Rの半径方向内側に配置される。係合コンポーネント66は、半径方向に対向する外側レーストラック表面262
Rおよび内側レーストラック表面164
Rと係合するように構成される。
【0070】
ワンウェイタービンクラッチ360は、低摩擦、環状、スライディング式の第1および第2ベアリングワッシャー94、96をそれぞれ含む。低摩擦の第1ベアリングワッシャー94は、ワンウェイクラッチ360の外側リング262が該内側リング164に対して回転する場合、その間の摩擦を減少させるために軸方向にタービンホイール232の環状のリテーナプレート277とワンウェイタービンクラッチ360の内側リング164の間に配置される。第1ベアリングワッシャー94は、
図23に示すように、ワンウェイタービンクラッチ260の内側リング164の左側軸方向外側側壁に対応する環状の第1リセス95に装着される。これと同様に、第2ベアリングワッシャー96は、ワンウェイタービンクラッチ360の外側リング262が該内側リング164に対して回転する場合、これらの間の摩擦を減少させるために軸方向にトーショナルバイブレーションダンパー216の被駆動部材284とワンウェイタービンクラッチ360の内側リング164の間に配置される。低摩擦の第2ベアリングワッシャー96は、
図23に示すように、ワンウェイタービンクラッチ360の内側リング264の右側軸方向外側壁に対応する環状のリセス97に装着される。
【0071】
第1および第2低摩擦ベアリングワッシャー94、96それぞれは、フェノールプラスチック(またはフェノール樹脂)またはナイロンなどの、耐久性がある低摩擦材料で製造される。他の好適な耐久性および低摩擦プラスチックまたは他の材料もまた、使用することができる。第1および第2ベアリングワッシャー94、96は、ワンウェイタービンクラッチ360のコンポーネントの摩擦および摩耗を減少させる。
【0072】
また、タービンホイール232のリテーナプレート277は、外側リング262と内側リング164の間に係合コンポーネント66を有し、
図22に示すように回転軸Xに沿って右側から左側方向に外側リング262に対してワンウェイタービンクラッチ360の第1ベアリングワッシャー94、内側リング164および係合コンポーネント66の軸方向回転を防止するように構成される。これと同様に、トーショナルバイブレーションダンパー216の被駆動部材284は、外側リング262と内側リング164の間に係合コンポーネント66を有し、
図22に示すように左側から右側への方向に回転軸Xに沿って外側リング262に対してワンウェイタービンクラッチ360の第2ベアリングワッシャー96、内側リング164、および係合コンポーネント66の軸方向移動を防止するように構成される。
【0073】
本発明の実施例に関する上記の説明は、特許法の規定により説明を目的として提示された。これは、本発明が開示された正確な形態で制限するか包括するものではない。以上で開示された実施例は、本発明の原理およびその実際の応用を最もよく説明するために選択され、当業者は多様な実施例で、そして、ここに記述された原理が遵守される限り、意図される特定用途に適した多様な変形を有する本発明を最もよく用いることができる。したがって、本発明は、その一般的な原理を利用して、本発明の任意の変更、利用、または適用をカバーするためである。また、本出願は、本発明が属する技術分野で公知または通常の慣行に従う本開示物からの逸脱をカバーするためである。したがって、上記で説明された発明にあっては、その意図および範囲から逸脱することなく変更され得る。また、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
10:トルクコンバータ
12:ケーシング
14:流体カップリング
16:トーショナルバイブレーションダンパー
18:ロックアップクラッチ
19:溶接部
21:スタッド
22:インペラハブ
25:ロッキング表面
30:インペラホイール
31:インペラシェル
32:タービンホイール
33:タービンシェル
34:固定子
35:固定子ハブ
36:インペラコアリング
37:インペラブレード
38:タービンコアリング
39:タービンブレード
40:ワンウェイ固定子クラッチ
44:外側リング
46:内側リング
47:スプライン
48:円筒形ローラ
50:固定子リテーナプレート
52:ロッキングピストン
54:ピストン本体
55:係合表面
56:環状の摩擦ライナー
58:円筒形フランジ
60:ワンウェイタービンクラッチ
62:外側リング
64:内側リング
66:係合コンポーネント
67i:内側ケージ
67o:外側ケージ
68:ピストンフランジ
69:ピストン表面
74:側面表面
76:ネジ型ボア
77A:カップリング部材
77R:リテーナプレート
78:シーリング部材
80:駆動部材
81:リベット
82:弾性ダンピング部材
84:被駆動部材
X:回転軸