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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】デジタルデータの芸術的な表現
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230306BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230306BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A61B5/00 D ZDM
G06F3/01 515
G06T11/60 100B
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020129156
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2021037271
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2020-10-27
(31)【優先権主張番号】16/560,173
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タイラー・ゴフ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ダム・ロードリー-バッティン
(72)【発明者】
【氏名】セス・ベンソン
(72)【発明者】
【氏名】カーティス・フラナガン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・リー・マークス
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-178669(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0234362(US,A1)
【文献】特開2000-116785(JP,A)
【文献】特開昭51-020861(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0254880(US,A1)
【文献】国際公開第2015/098573(WO,A1)
【文献】特開2018-149175(JP,A)
【文献】米国特許第06967652(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/0538
A61B 5/06 - 5/398
G06Q 50/22
G16H 10/00 -80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
1つまたは複数のプロセッサが、ある期間にわたって測定されたユーザの状態に関連し、かつ、前記期間内の少なくとも第1の値と第2の値とを有するデータを、1つまたは複数のセンサから受信することと、
前記1つまたは複数のプロセッサが、受信した前記データの修正デカルト表現を生成することとを備え、前記修正デカルト表現は、
前記期間の始まりに対応する第1の端と、前記期間の終わりに対応する第2の端とを含み、前記第1の端は前記第2の端に接続され、前記修正デカルト表現はさらに、
中心を含み、
前記中心と前記修正デカルト表現の第1の部分との間の第1の距離は、前記データの前記第1の値に対応し、前記中心と前記修正デカルト表現の第2の部分との間の第2の距離は、前記データの前記第2の値に対応し、前記第1の部分は前記第2の部分とは異なり、前記第1の距離は前記第2の距離とは異なり、前記方法はさらに、
形状および色の少なくとも1つを有するパターンを前記修正デカルト表現にオーバーレイして、前記第1の距離または前記第2の距離のうち少なくとも1つに基づいて拡張部分を有する芸術的な表現を生成することと、
表示のために前記修正デカルト表現を提供することと
前記中心からのベースライン距離を有するベースラインメトリックを求めることとをさらに備え、
前記第1の距離は前記ベースライン距離よりも大きく、前記第2の距離は前記ベースライン距離よりも小さく、
前記拡張部分を有する芸術的な表現を生成することは、前記第1の距離と前記ベースライン距離との間の差を示す山距離に対応する第1拡張部分と、前記第2の距離と前記ベースライン距離との間の差を示す谷距離に対応する第2拡張部分とを生成することを含み、
前記山距離が大きいほど前記第1拡張部分は大きく、前記谷距離が大きいほど前記第2拡張部分は大きい、方法。
【請求項2】
受信した前記データのデカルト表現を生成することをさらに備え、前記期間はx軸に沿って表され、前記データはy軸に沿って表され、
前記修正デカルト表現を生成することは、前記デカルト表現を操作することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
表示のために前記ベースラインメトリックを提供することをさらに備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記パターンは、形状および色の両方を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記パターンは第1のエッジを有し、前記方法はさらに、第1の動きを有するように前記第1のエッジをアニメーション化することを備える、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記パターンは、少なくとも前記色を含み、
前記方法は、前記第1の距離または前記第2の距離のうち少なくとも1つに基づいて、前記パターンの前記色を変更することをさらに備える、請求項1~および請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記パターンに対してランダムな外観を生成することをさらに備える、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ランダムな外観を生成することは、等比数列を有する前記ランダムな外観を含み、前記等比数列は、少なくとも繰り返すまたはサイズが変化する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記修正デカルト表現は円を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記修正デカルト表現は外周面を有し、前記方法はさらに、前記パターンに対して3次元の外観を生成することを備え、前記3次元の外観は少なくとも、前記中心から径方向におよび前記外周面から垂直方向に拡張する少なくとも1つの拡張部分を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
システムであって、
1つまたは複数のコンピューティングデバイスと、
命令を格納するメモリとを備え、前記命令は、前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行可能であり、
前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスは、
ある期間にわたって測定されたユーザの状態に関連し、かつ、前記期間内の第1の値と第2の値とを少なくとも有するデータを1つまたは複数のセンサから受信し、
受信した前記データの修正デカルト表現を生成するように構成され、前記修正デカルト表現は、
前記期間の始まりに対応する第1の端と、前記期間の終わりに対応する第2の端とを含み、前記第1の端は前記第2の端に接続され、前記修正デカルト表現はさらに、
中心を含み、
前記中心と前記修正デカルト表現の第1の部分との間の第1の距離は、前記データの前記第1の値に対応し、前記中心と前記修正デカルト表現の第2の部分との間の第2の距離は、前記データの前記第2の値に対応し、前記第1の部分は前記第2の部分とは異なり、前記第1の距離は前記第2の距離とは異なり、前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスはさらに、
形状および色の少なくとも1つを有するパターンを前記修正デカルト表現にオーバーレイして、前記第1の距離または前記第2の距離のうち少なくとも1つに基づいて拡張部分を有する芸術的な表現を生成し、
表示のために前記修正デカルト表現を提供し、
前記中心からのベースライン距離を有するベースラインメトリックを求めるように構成され、
前記第1の距離は前記ベースライン距離よりも大きく、前記第2の距離は前記ベースライン距離よりも小さく、
前記拡張部分を有する芸術的な表現を生成することは、前記第1の距離と前記ベースライン距離との間の差を示す山距離に対応する第1拡張部分と、前記第2の距離と前記ベースライン距離との間の差を示す谷距離に対応する第2拡張部分とを生成することを含み、
前記山距離が大きいほど前記第1拡張部分は大きく、前記谷距離が大きいほど前記第2拡張部分は大きい、システム。
【請求項12】
前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスはユーザウェアラブルデバイスである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記パターンは、形状および色の両方を含む、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記パターンは、少なくとも前記色を含み、
前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスはさらに、前記第1の距離または前記第2の距離のうち少なくとも1つに基づいて前記パターンの前記色を変更するように構成される、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項15】
前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスはさらに、前記パターンに対してランダムな外観を生成するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
コンピューティングデバイス可読命令が格納されたコンピューティングデバイス可読プログラムであって、前記命令は、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行されると、前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスに方法を実行させ、前記方法は、
ある期間にわたって測定されたユーザの状態に関連し、かつ、前記期間内の少なくとも第1の値と第2の値とを有するデータを、1つまたは複数のセンサから受信することと、
受信した前記データの修正デカルト表現を生成することとを備え、前記修正デカルト表現は、
前記期間の始まりに対応する第1の端と、前記期間の終わりに対応する第2の端とを含み、前記第1の端は前記第2の端に接続され、前記修正デカルト表現はさらに、
中心を含み、
前記中心と前記修正デカルト表現の第1の部分との間の第1の距離は、前記データの前記第1の値に対応し、前記中心と前記修正デカルト表現の第2の部分との間の第2の距離は、前記データの前記第2の値に対応し、前記第1の部分は前記第2の部分とは異なり、前記第1の距離は前記第2の距離とは異なり、前記方法はさらに、
形状および色の少なくとも1つを有するパターンを前記修正デカルト表現にオーバーレイして、前記第1の距離または前記第2の距離のうち少なくとも1つに基づいて拡張部分を有する芸術的な表現を生成することと、
表示のために前記修正デカルト表現を提供することと
前記中心からのベースライン距離を有するベースラインメトリックを求めることとをさらに備え、
前記第1の距離は前記ベースライン距離よりも大きく、前記第2の距離は前記ベースライン距離よりも小さく、
前記拡張部分を有する芸術的な表現を生成することは、前記第1の距離と前記ベースライン距離との間の差を示す山距離に対応する第1拡張部分と、前記第2の距離と前記ベースライン距離との間の差を示す谷距離に対応する第2拡張部分とを生成することを含み、
前記山距離が大きいほど前記第1拡張部分は大きく、前記谷距離が大きいほど前記第2拡張部分は大きい、コンピューティングデバイス可読プログラム。
【請求項17】
前記パターンは、少なくとも前記色を含み、
前記方法は、前記第1の距離または前記第2の距離のうち少なくとも1つに基づいて、前記パターンの前記色を変更することをさらに備える、請求項16に記載のコンピューティングデバイス可読プログラム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示の背景
情報は、さまざまな方法で表現可能である。テーブル形式の一連の数字など、大量のデータのセットを原文通りにまたは数値で簡潔にリストし得る一方で、視聴者は、この情報を手動で構文解析するのに苦労する場合がある。たとえば、データがどのような傾向を示すかを理解すること、またはデータの部分が互いに関連する程度の大きさを概念化することが難しい場合がある。
【0002】
通常、情報の視覚的な表現には、グラフまたは図の使用が含まれる。そのような方法は情報を効率的に表現することが可能だが、デカルト座標系の制約に制限されることが一般的である。たとえば、2つのデータのセットを視覚化しようとする場合、一方のデータのセットはx軸など一方の軸に沿ってグラフ化され、他方のデータのセットは、y軸など別の軸に沿ってグラフ化される。データはその後、線、波、バー、または点の集合など、さまざまな視覚的な構造物を用いて関連付けることができる。
【0003】
効率的に情報を表現する際のデカルト座標系の実用性は、1つのグラフ内の3つ以上のデータのセットを比較しようとする場合に限界に達し始める。そのような負荷情報を表示する一つの方法は、必要に応じてより多くの視覚的な構造物を追加することによるものである。しかしながら、これは、視聴者が表現されているものを理解するためにより努力しなければならないことがあるように、情報の表現を視覚的に乱すことがある。視覚的に情報を表現する代替的な手段は、円グラフにおいて見られる。しかしながら、円グラフでは、グラフの「一切れ」は小さすぎて理解できなくなる前に一度にいくつかの数字しか表示できないので、この方法の限界はさらにいっそう著しくなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の簡潔な概要
本開示は、情報が効率的におよび容易に視聴者によって理解可能になるように、多くの情報のセットを視覚的に大きく乱すことなく表現するシステムおよび方法を提供する。
【0005】
本開示のある態様は、1つまたは複数のプロセッサを用いる方法を提供する。方法は、ある期間にわたって測定されたユーザの状態に関連し、かつ、この期間内の少なくとも第1の値と第2の値とを有するデータを、1つまたは複数のセンサから受信することと、受信したデータの修正デカルト表現を生成することとを備え得る。修正デカルト表現は、期間の始まりに対応する第1の端と、期間の終わりに対応する第2の端とを含み、第1の端は第2の端に接続される。修正デカルト表現はさらに中心を含む。中心と表現の第1の部分との間の第1の距離は、データの第1の値に対応し、中心と表現の第2の部分との間の第2の距離は、データの第2の値に対応し、第1の距離は第2の距離とは異なる。方法はさらに、表示のために修正デカルト表現を提供することを備え得る。方法はさらに、受信したデータのデカルト表現を生成することを備えてもよく、期間はx軸に沿って表され、データはy軸に沿って表され、修正デカルト表現を生成することは、デカルト表現を操作することを含む。方法はさらに、中心からのベースライン距離を有するベースラインメトリックを求めることを備え得る。方法はさらに、表示のためにベースラインメトリックを提供することを備え得る。方法はさらに、形状および色を有するパターンを修正デカルト表現にオーバーレイして、第1の距離または第2の距離のうち少なくとも1つに基づいて第1の拡張部分を有する芸術的な表現を生成することを備え得る。さらに、パターンは第1のエッジを有してもよく、方法はさらに、第1の動きを有するように第1のエッジをアニメーション化することを備え得る。方法はさらに、第1の距離または第2の距離のうち少なくとも1つに基づいて、パターンの色を変更することを備え得る。方法はさらに、パターンに対してランダムな外観を生成することを備え得る。ランダムな外観を生成することは、等比数列を有するランダムな外観を含んでもよく、等比数列は、少なくとも繰り返すまたはサイズが変化する。さらに、修正デカルト表現は円を含み得る。方法はさらに、ドットパターン、ハローパターン、大理石パターン、および光跡パターンからなる群から選択されるパターンに対して外観を生成することを備え得る。さらに、修正デカルト表現は外周面を有してもよく、方法はさらに、パターンに対して3次元の外観を生成することを備えてもよく、3次元の外観は少なくとも、中心から径方向におよび外周面から垂直方向に拡張する少なくとも1つの拡張部分を含む。
【0006】
本開示の他の態様は、1つまたは複数のコンピューティングデバイスと、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行可能な命令を格納するメモリとを備えるシステムを提供する。1つまたは複数のコンピューティングデバイスは、ある期間にわたって測定されたユーザの状態に関連し、かつ、この期間内の第1の値と第2の値とを有するデータを1つまたは複数のセンサから受信し、受信したデータの修正デカルト表現を生成するように構成され得る。修正デカルト表現は、期間の始まりに対応する第1の端と、期間の終わりに対応する第2の端とを含み、第1の端は第2の端に接続される。修正デカルト表現はさらに中心を含む。中心と表現の第1の部分との間の第1の距離は、データの第1の値に対応し、中心と表現の第2の部分との間の第2の距離は、データの第2の値に対応し、第1の距離は第2の距離とは異なる。1つまたは複数のコンピューティングデバイスはさらに、表示のために修正デカルト表現を提供するように構成され得る。さらに、1つまたは複数のコンピューティングデバイスはユーザウェアラブルデバイスでもよい。1つまたは複数のコンピューティングデバイスはさらに、形状および色を有するパターンを修正デカルト表現にオーバーレイして、第1の距離または第2の距離のうち少なくとも1つに基づいて第1の拡張部分を有する芸術的な表現を生成するように構成されてもよい。1つまたは複数のコンピューティングデバイスはさらに、第1の距離または第2の距離のうち少なくとも1つに基づいてパターンの色を変更するように構成されてもよい。1つまたは複数のコンピューティングデバイスはさらに、パターンに対してランダムな外観を生成するように構成されてもよい。
【0007】
本開示のさらに他の態様は、プログラムのコンピューティングデバイス可読命令が格納された非一時的コンピュータ読取り可能記憶媒体を提供し、命令は、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行されると、1つまたは複数のコンピューティングデバイスに方法を実行させる。方法は、ある期間にわたって測定されたユーザの状態に関連し、かつ、この期間内の少なくとも第1の値と第2の値とを有するデータを、1つまたは複数のセンサから受信することと、受信したデータの修正デカルト表現を生成することとを備え得る。修正デカルト表現は、期間の始まりに対応する第1の端と、期間の終わりに対応する第2の端とを含み、第1の端は第2の端に接続される。修正デカルト表現はさらに中心を含む。中心と表現の第1の部分との間の第1の距離は、データの第1の値に対応し、中心と表現の第2の部分との間の第2の距離は、データの第2の値に対応し、第1の距離は第2の距離とは異なる。方法はさらに、表示のために修正デカルト表現を提供することを備え得る。方法はさらに、形状及び色を有するパターンを修正デカルト表現にオーバーレイして、第1の距離または第2の距離のうち少なくとも1つに基づいて第1の拡張部分を有する芸術的な表現を生成することを備えてもよい。方法はさらに、第1の距離または第2の距離のうち少なくとも1つに基づいて、パターンの色を変更することを備えてもよい。
【0008】
本特許または本出願ファイルは、少なくとも1つのカラー図面を含む。カラー図面を有する本特許または本特許出願公報のコピーは、請求および必要な料金の支払いに応じて庁から提供される。
【0009】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、ならびに利点は、以下の説明および添付の図面からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本開示の態様に係る芸術的な波形を示す、ユーザウェアラブルデバイスの例を示す図である。
図1B】本開示の態様に従って構成された、図1Aのユーザウェアラブルデバイスを示す図である。
図2】本開示の態様に係るシステムの例を示す図である。
図3】本開示のある態様に係る線形波形の表現を示す図である。
図4】本開示の他の態様に係る線形波形の表現を示す図である。
図5】本開示のある態様に係る非線形波形の表現を示す図である。
図6】本開示のある態様に係る芸術的な波形の表現を示す図である。
図7A】本開示の他の態様に係る芸術的な波形の表現を示す図である。
図7B図7Aの芸術的な波形の延長部分の部分図である。
図8】本開示の他の態様に係るドットパターンを有する芸術的な波形の表現を示す図である。
図9】本開示の他の態様に係るハローパターンを有する芸術的な波形の表現を示す図である。
図10】本開示の他の態様に係る大理石パターンを有する芸術的な波形の表現を示す図である。
図11】本開示の他の態様に係る光跡パターンを有する芸術的な波形の表現を示す図である。
図12A】本開示のある態様に係る突起状の(spiked)パターンを有する3次元の芸術的な波形の表現を示す図である。
図12B】本開示のある態様に係る、押し出されて3次元波形を形成する波形の表現を示す図である。
図12C】本開示の他の態様に係る3次元波形の表現を示す図である。
図13】本開示の他の態様に係るドットパターンを有する3次元の芸術的な波形の表現を示す図である。
図14】本開示の他の態様に係る垂直線のパターンを有する3次元の芸術的な波形の表現を示す図である。
図15A】本開示のある態様に係る芸術的な波形の表現を示す図である。
図15B】第1および第2の点を有する、図15Aの芸術的な波形の表現を示す図である。
図15C】第2の点が図15Bの第1の点からさらに離れた場所にある、図15Aの芸術的な波形の表現を示す図である。
図15D図15Aの完成した芸術的な波形の表現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本開示は、芸術的な表現を用いてユーザデバイス上にユーザに関連する情報の表示を提供する。たとえば、ユーザデバイスは、血圧、心拍数、体温などの、ユーザに関連する情報を収集し得る。収集した情報に基づいて、デバイスは、ユーザがストレスを感じているか、興奮しているか、落ち込んでいるか、または身体機能が活発かどうかなどといった、ユーザの状態を判断し得る。そのような情報は、視覚的に魅力的で理解が容易な態様で、ユーザに示すことが可能である。たとえば、図またはグラフなどではなく芸術的な表現をユーザに提供してもよく、芸術的な表現のある部分から別の部分への変化が、互いに対する、および全体の芸術的な表現に対するこれらの部分の区別に役立って、ユーザの状態が変化した態様がより直感的に示される。これは、数時間、1日、1週間などのある期間にわたってユーザの状態が変化した態様を示す際に、特に有益な場合がある。
【0012】
配置の例
図1Aは、ユーザの集められたメトリックをスクリーン220に芸術的な波形210で表示するクライアントデバイス200を示す図である。クライアントデバイス200は、さらに以下で説明するように、効率的で理解が容易な態様での表示のために、ユーザのメトリックを測定する複数のセンサを含む。なお、クライアントデバイス200はスマートウォッチとして図示されているが、デバイスはさまざまな他の種類のデバイスのいずれかでもよい。たとえばデバイスは、スマートグラス、リング、ペンダントなど、任意の種類のウェアラブル電子デバイスでもよい。他の例では、デバイスは、携帯電話、ラップトップ、タブレットなど、ウェアラブルデバイスと通信している電子デバイスでもよい。
【0013】
図1Bは、クライアントデバイス200の内部コンポーネントの例を示す図である。図示するように、クライアントデバイス200は、中央処理装置204および/またはグラフィックプロセッサ206などの1つまたは複数のコンピュータプロセッサを有する処理モジュール202と、命令210およびデータ212を格納するように構成されたメモリモジュール208とを含む。これらのプロセッサは、並列して動作してもしなくてもよく、ASIC、コントローラおよび他の種類のハードウェア回路を含み得る。これらのプロセッサは、ユーザインターフェースモジュール214を通じてユーザから情報を受信し、表示インターフェースを有する表示モジュール216の表示デバイス上でユーザに情報を提示するように構成される。
【0014】
ユーザインターフェースモジュール214は、ユーザ入力によってユーザから指令を受信し、所与のプロセッサへの送信のためにそれらを変換し得る。ユーザ入力は、タッチスクリーン、キーパッド、マウス、スタイラス、マイクロホン、または他の種類の入力デバイスのうち1つ以上を含み得る。表示モジュール216は、表示デバイスを駆動して図形情報および他の情報をユーザに提示するための適切な回路を含み得る。一例として、波形グラフィックスおよび図形アニメーションなどの図形情報はグラフィックプロセッサ(複数可)206で生成され得る一方で、CPU204は、クライアントデバイス200の全動作を管理する。図形情報は、波形、および/またはこれらの波形のアニメーションを表示モジュール216に表示し得る。たとえば、処理モジュールは、メモリモジュール208に格納された命令およびデータを用いてユーザの状態または他のサービスを示すことに関連するアプリケーションを実行し、ブラウザアプリケーションまたは他のサービスに関連付けられたユーザの状態の芸術的な表現を、表示モジュール216を介してユーザに提示し得る。
【0015】
メモリモジュール208は、コンピュータ読取り可能媒体(単数もしくは複数)、揮発性メモリユニット(単数もしくは複数)、または不揮発性メモリユニット(単数もしくは複数)のうち1つ以上として実現可能である。メモリモジュール208はたとえば、フラッシュメモリおよび/またはNVRAMを含んでもよく、ハードドライブまたはメモリカードとして具体化されてもよい。代替的に、メモリモジュール208はまた、DVD、CD‐ROM、高密度テープドライブ、および他の種類の書込み可能または読出し専用メモリを含み得る。ある実現例では、コンピュータプログラム製品は、情報担体で有形的に具体化される。コンピュータプログラム製品は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると本明細書で説明されるような1つまたは複数の方法を行う命令210などの命令を含む。図示されるように、命令210は、データの収集、データの表現の生成、表現の変換、パターンの表現に対するオーバーレイを含み得る。情報担体は、メモリモジュール208などのコンピュータ読取り可能媒体またはマシン読取り可能媒体である。図1Bは機能的にデバイス200のプロセッサ(複数可)、メモリモジュール、および他の要素が同じ全体的なブロック内にあると示しているが、そのようなコンポーネントは、同じ物理的な筐体内に格納されてもよい、または、格納されなくてもよい。たとえば、命令およびデータの一部または全ては、光学ドライブ、高密度テープドライブ、またはUSBドライブなどの取外し可能な記憶媒体である情報担体に格納されてもよいが、それ以外は読出し専用コンピュータチップ内に格納されてもよい。
【0016】
データ212は、命令210に従ってプロセッサによって検索、格納、または修正されてもよい。たとえば、請求される主題は特定のデータ構造によって制限されないが、データはコンピューティングデバイスレジスタに、複数の異なるフィールドおよびレコードを有する表、XMLドキュメントまたはフラットファイルとして、関係データベースに格納されてもよい。データはまた、コンピューティングデバイス可読フォーマットでフォーマットされてもよい。
【0017】
命令210は、マシンコードなどによって直接、スクリプトなどによって間接的に、プロセッサ(複数可)によって実行される命令のセットでもよい。たとえば、命令はコンピューティングデバイス読取り可能媒体にコンピューティングデバイスコードとして格納されてもよい。その点について、「命令」および「プログラム」という用語は、本明細書では同じ意味で用いられる場合がある。命令は、プロセッサ(複数可)による直接的な処理用にオブジェクトコードフォーマットで、または、オンデマンドで解釈される、もしくは事前にコンパイルされた独立したソースコードモジュールのスクリプトまたは集合を含む他のコンピューティングデバイス言語で、格納されてもよい。命令の機能、方法およびルーチンについて、以下でより詳細に説明する。
【0018】
図1Bにも示すように、クライアントデバイス200は、他のデバイスおよびシステムと通信するための通信モジュール218を含む。通信モジュール218は無線送受信機を含むが、代替的に、このモジュールは、無線送受信機に加えて、またはこの代わりに、有線送受信機を含んでもよい。クライアントデバイス200は、近距離無線通信、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(BLE)、または他のアドホックネットワークなどの短距離通信プロトコル、インターネット、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ローカルネットワーク、1つまたは複数の企業が所有権を有する通信プロトコルを用いたプライベートネットワーク、イーサネット(登録商標)、WiFi(登録商標)およびHTTP、ならびにこれらの組合せを含むさまざまな構成およびプロトコルを用いて、通信モジュール218を介して他のリモートデバイスと通信可能である。
【0019】
さらに、図示するようなクライアントデバイス200は、1つまたは複数のメトリックセンサ220を含み得る。メトリックセンサ220は、クライアントデバイス200を用いてユーザのメトリックを測定するように構成される。たとえば、これらのコンポーネントは、光電脈波センサ(PPG)、加速度計、ジャイロスコープ、皮膚電位センサ(EDA)、皮膚温度センサ、マイクロホン、温度センサ、湿度センサ、気圧計、または人間および/もしくは環境の状態を検出するためのさまざまな他の種類のセンサのいずれかを含み得る。クライアントデバイス200はまた、静止画像を取込みビデオストリームを記録するための1つまたは複数のカメラ222、1つまたは複数のスピーカ224およびパワーモジュール226、ならびに触覚フィードバックまたは他の情報をユーザに提供するためのアクチュエータ(図示せず)を含み得る。
【0020】
いくつかの例では、さまざまなクライアントデバイスは、ネットワークを通じてデータにアクセスすることによって、離れた場所に格納されたデータの芸術的な表現を表示し得る。たとえば、図2は、さまざまなクライアントデバイスが集められたメトリックを表示可能になるように、デスクトップPC121、携帯電話122、タブレット123、ラップトップ124、およびスマートウォッチ125などの異なるクライアントデバイスが通信ネットワーク110を介してサーバ104からコンテンツまたは他の情報をリクエストし得るシステム100の例を示す図である。たとえば、ユーザは、自分のスマートウォッチ、タブレット、または他のデバイスに自分の状態情報を表示したいと思う場合がある。そのようなクライアントデバイスは、リクエストを送信し、クエリ結果を本明細書で説明するようなサーバシステム104から受信し得る。サーバ104は、リンク108を介して1つまたは複数のデータベース106に連結されてもよい。上述のように、データベース(複数可)は、ユーザがさまざまな種類のデバイス上のデータにアクセスしこれをリモートで見ることを可能にするためにメトリックデータベースを含み得る。リモートデータベースに格納されたユーザデータは、権限を与えられたアクセスのみが許可されるように、安全に格納される。さらに、名前などの個人的に識別可能な情報が取除かれ、データが代わりにコードまたは識別子を用いて識別されてもよい。
【0021】
ユーザが自分のメトリックに関連する情報をリクエストすると、サーバは、データベース(複数可)にアクセスして、ユーザの測定されたメトリックの波形グラフィカル表現を生成するために使用される情報を検索してもよく、クライアントデバイスにおいて波形グラフィカル表現を生成するためにクライアントデバイスにメトリックを送信してもよい。代替的にまたはさらに、サーバは、表示のためにクライアントデバイスに生成された波形を送信してもよい。
【0022】
サーバシステムの例が、本明細書で開示される技術と共に用いられ得る。サーバシステムは、クライアントデバイス200について上述されたものと同様のさまざまなコンポーネントを含む。たとえば、サーバデバイスは、中央処理装置および/またはグラフィックプロセッサなどの1つまたは複数のコンピュータプロセッサを有する処理モジュールと、命令およびデータを格納するように構成されたメモリモジュールとを含み得る。プロセッサは、並列に動作してもしなくてもよく、ASIC、コントローラおよび他の種類のハードウェア回路を含み得る。
【0023】
メモリモジュール208と同様に、メモリモジュールは、コンピュータ読取り可能媒体(単数もしくは複数)、揮発性メモリユニット(単数もしくは複数)、または不揮発性メモリユニット(単数もしくは複数)のうち1つ以上として実現可能である。メモリモジュールは、たとえば、フラッシュメモリおよび/またはNVRAMを含んでもよく、ハードドライブまたはメモリカードとして具体化されてもよい。代替的に、メモリモジュールはまた、DVD、CD‐ROM、高密度テープドライブ、および他の種類の書込み可能または読出し専用メモリを含み得る。ある実現例では、コンピュータプログラム製品は、情報担体で有形的に具体化される。コンピュータプログラム製品は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると本明細書で説明されるような1つまたは複数の方法を行う命令などの命令を含む。情報担体は、メモリモジュール208などのコンピュータ読取り可能媒体またはマシン読取り可能媒体である。上述の本開示は、サーバシステムのプロセッサ(複数可)、メモリモジュール、および他の要素が同じ全体的なブロック内にあると機能的に説明しているが、そのようなコンポーネントは、同じ物理的な筐体内に格納されてもよい、または格納されなくてもよい。たとえば、命令およびデータの一部または全ては、光学ドライブ、高密度テープドライブ、またはUSBドライブなどの取外し可能な記憶媒体である情報担体に格納されてもよいが、それ以外は読出し専用コンピュータチップ内に格納されてもよい。
【0024】
メモリモジュールのデータは、命令に従ってプロセッサによって検索、格納または修正されてもよい。たとえば、請求される主題は特定のデータ構造によって制限されないが、データは、コンピューティングデバイスレジスタに、複数の異なるフィールドおよびレコードを有する表、XMLドキュメントまたはフラットファイルとして関係データベースに格納されてもよい。データはまた、任意のコンピューティングデバイス可読フォーマットでフォーマットされてもよい。命令210と同様に、サーバ命令は、マシンコードなどによって直接、またはスクリプトなどによって間接的に、プロセッサ(複数可)によって実行される命令のセットでもよく、命令210の上述の説明は、ここでのサーバ命令にも当てはまる。
【0025】
一例として、上述のサーバの処理モジュール内のプロセッサは、分散型アーキテクチャにおいて配列可能である。分散型アーキテクチャでは、サーバシステムは、たとえばクラウドコンピューティング配列で複数のサーバユニットを含み得る。包含的なアーキテクチャにおいてであろうと分散型アーキテクチャにおいてであろうと、プロセッサは、データベース(複数可)に動作可能に連結される。一例では、データベースは、ユーザがクライアントデバイス200以外の他のデバイス上のデータにアクセスしこれをリモートで見ることを可能にするメトリックデータベースを含む。たとえば、ユーザは、上述のようなラップトップ100、タブレット100、携帯電話100、スマートウォッチ100およびデスクトップPC100上の集められたメトリックを見ることができる。データベースはまた、メトリックデータベースのメトリックをグラフ化するさまざまな手段を提供するグラフィックデータベースを含み得る。データベースはメトリックデータベースとグラフィックデータベースとの両方を含んでもよいが、そのような情報は、複数の離散的なデータベースに格納されてもよい。データベースは、たとえば、クラウドコンピューティングアーキテクチャの複数のメモリモジュールまたは他の格納デバイスにわたって分散されてもよい。
【0026】
サーバシステムはまた、他のデバイスおよびシステムと通信するためのサーバ通信モジュールを含み得る。このサーバ通信モジュールは、無線送受信機を含み得る。サーバ通信モジュールはまた、無線送受信機に加えてまたはこれの代わりに有線送受信機を含み得る。サーバシステムは、近距離無線通信、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(BLE)、または他のアドホックネットワークなどの短距離通信プロトコル、インターネット、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ローカルネットワーク、1つまたは複数の企業が所有権を有する通信プロトコルを用いたプライベートネットワーク、イーサネット(登録商標)、WiFi(登録商標)およびHTTP、ならびにこれらの組合せを含むさまざまな構成およびプロトコルを用いて、サーバ通信モジュールを介して他のリモートデバイスと通信可能である。
【0027】
さらに、サーバシステムはパワーモジュールを含む。図1Bに示すコンピュータコンポーネントを含む他のシステム要素も、サーバシステム内に含まれてもよい。
【0028】
方法例および使用事例
データの選択
本応用例で用いられるように、「上の(superior)」は円の中心からより離れた径方向距離のことを言い、「下の(inferior)」は円の中心により近い径方向距離を言う。
【0029】
さらに、「芸術的な(artistic)」は、形状および色のうち少なくとも1つを含む特徴を示すために用いられる。このように、芸術的な波形は、第1の波形が芸術的な波形を生成するために第1の波形に起因するさらに別の色および/または形状を有することを示し得る。
【0030】
「デカルト(Cartesian)」表現は、水平方向に拡張するx軸と垂直方向に拡張するy軸とを含むグラフィック表現である。デカルト表現では、一方のメトリックのセットが水平方向のx軸に沿ってプロットされ他方のメトリックのセットが垂直方向のy軸に沿ってプロットされるように、データが表示される。「修正デカルト(modified Cartesian)」表現は、x軸がもはや水平ではない、および/または、y軸がもはや垂直ではないグラフィック表現である。たとえば、修正デカルト系では、データは、さらに以下で説明するような円形状まはた代替的な形状などの独特な形状によって、水平にまたは垂直に直線でない態様で表示し得る。
【0031】
技術の特徴は、異なる使用事例で実現可能である。特定の使用事例の例について以下で説明するが、この技術は他の状況でも使用可能であり、本明細書で明示的に提供される状況に制限されない。異なる使用事例について、ユーザは自分のクライアントデバイスの携帯アプリまたはサービスを介して情報をリクエストし得る。リクエストした情報は、ある期間にわたるユーザについての情報のこともある。たとえばこれは、1日の期間にわたるユーザの感情的な状態を測定することを含み得る。代替的に、ユーザについての情報は、ユーザのストレス、健康レベル、睡眠、または測定されたユーザの状態の他のデータを含み得る。この期間は、数時間、数分、数日、数ヶ月、数年、ユーザが定義した期間、または他の期間にわたってもよい。他の状況は、通勤またはジム通いなどの繰り返しのイベントを含む、所与の繰り返し測定期間にわたるそのような情報の表示を含み得る。
【0032】
上述のようなスマートウォッチまたは他の電子デバイスなどのクライアントデバイスを通じて、ユーザについてのメトリックが断続的に、たとえば、5秒ごとに、1分ごとに、5分ごとに、または他のタイムフレームごとに所与の期間を通じて収集される。たとえば、メトリックセンサ220は、ユーザの心拍数、呼吸数、心拍変動(HRV)、皮膚コンダクタンスレベル、皮膚温度、動作を含む多数のメトリック、または、ユーザの状態もしくは気候、騒音などのユーザを取り巻く他の状態に関連するさまざまな他のメトリックのうちいずれかを測定可能である。
【0033】
測定の初期段階では、センサによって提供される未加工データは、可変性が多すぎるために可視化にふさわしいメトリックとして正確に用いることはできない場合がある。そのようなデータには、特定のフィルタリングおよび補間プロセスを行って、適切な可視化用にデータを「平滑に」し得る。このプロセスは、バンドパスフィルタリング、ガウス和フィルタリング、またはデータをより不規則にしない他のプロセスを含み得る。
【0034】
さらに、データがフィルタリングされた後でも、クライアントデバイスは、測定されたデータを可視化にふさわしいメトリックとみなす前に、特定のカットオフ条件が満たされることを必要とする場合がある。たとえば、大きな変化率を有するデータは、ユーザの感情的な状態を表していないとして無視してもよい。一例として、気温の大きな変化率は、ユーザがクライアントデバイスを装着したばかりのウォームアップ期間、またはユーザがクライアントデバイスを外したばかりでクライアントデバイスに無視されているクールダウン期間を示し得る。たとえば、ユーザの皮膚の温度を調整するために温度が周囲環境の周囲温度から変化する場合、温度は毎分0.5℃を超えて上昇し得る。データのこの急上昇によって、クライアントデバイスは、それが装着されたばかりだと判断し、温度の変化率が安定するまでこの短期間に測定されたデータを無視し得る。その反対に、温度の変化が毎分0.5℃を超えて低下する場合、クライアントデバイスは、クライアントデバイスが外されたばかりだと判断し、同様に、この期間に測定された温度データを無視し得る。
【0035】
代替的な態様では、温度の変化率は、ユーザがクライアントデバイスを装着するまたは外すと判断するための温度の変化率が毎分0.5℃を上回るまたは下回るように変更可能である。これはたとえば、毎分0.8℃、1秒あたり0.01℃、または他の温度変化率を含み得る。さらに他の態様では、他のセンサによって収集されたデータは、クライアントデバイスが装着されたばかりかまたは外されたばかりかを判断するために用いられてもよい。たとえば、加速度計からの動作データの大きな変化率は同様に、ユーザがクライアントデバイスを装着したばかりかもしくは外したばかりのとき、ユーザが車の使用をスタートもしくは停止したとき、または、ユーザが異なる速度状態の間で移行しているとクライアントデバイスに示し得る他の活動を示しているとして無視されてもよい。さらに他の態様では、クライアントデバイスは、あるセンサからの変化率が当該センサについてのカットオフ閾値を満たすほど大きくないがデータの測定を開始するのに必要な最低閾値を満たすための他のセンサから検出された変化率がない場合に収集されたデータを、無視してもよい。たとえば、歩行中または運転中などに加速度計が特定の移動速度を検出するが温度に変化がない場合、データは、ユーザがデバイスを装着することなくバックパックまたはハンドバックなどの中でデバイスを携帯していることを示しているとして、クライアントデバイスによって無視されてもよい。さらに、カットオフ条件は、ユーザの心拍数の大きな変化率がユーザデバイスが装着されたばかり/取りはずされたばかり、または電源をオンされたばかり/オフされたばかりと示し得るように、ユーザの心拍数の変化率を検出することを含んでもよく、その大きな変化率に対応するデータは無視される。
【0036】
クライアントデバイスが可視化にふさわしいメトリックを決定すると、各メトリックは、表示されるべき、測定されたユーザの状態に応じて加重値が与えられてもよい。たとえば、クライアントデバイスがユーザの感情の状態を測定している場合、負の加重値はメトリックとユーザの落ち着きとの間の逆相関を示し得る一方で、正の加重値は、メトリックとユーザの落ち着きとの間の正相関を示し得る。一例として、心拍数、呼吸数、皮膚のコンダクタンスレベル、および動作メトリックに、これらのメトリックが増加するにつれてユーザは落ち着いていないとみなされるように、負の値を与えることができる。逆に、HRVおよび皮膚の温度メトリックには、これらのメトリックが増加するにつれてユーザはより落ち着いているとみなされるように、正の加重値を与えることができる。さらに、各メトリックの大きさは、メトリックが測定されたユーザの状態に対してどれぐらいの影響を有するかを示し得る。たとえば、動作メトリックは、他のメトリックよりも影響がないと考えられることがあるため、ユーザの感情状態を判断する際に他のメトリックよりも低い加重が与えられることがある。
【0037】
加重値のセットの一例は、心拍数、呼吸数、および皮膚コンダクタンスレベルメトリックを-1に設定することと、動作メトリックを-0.5に設定することと、HRVおよび皮膚温度メトリックを1に設定することとを含み得る。これらの値はユーザの感情状態を判断する目的で設定されるが、他の態様では、メトリックの加重値は、メトリックを用いるための所望の目的に従って変更してもよい。たとえば、一日を通じたユーザの身体活動のレベルを判断する際に、心拍数、呼吸数、皮膚コンダクタンスレベル、および動作メトリックを、ユーザの身体活動のレベルとの正相関を示すメトリックとして1に設定し得る一方で、HRVと皮膚温度はユーザの身体活動のレベルと逆相関を示すメトリックとして-1に設定し得る。ユーザの感情状態の判断とは対照的に、ユーザの身体活動を測定する際に動作メトリックに与えられる加重は、動作メトリックがユーザの感情状態に対してよりもユーザの身体活動に対してより影響があることを示すために増加し得る。
【0038】
クライアントデバイスはその後、加重メトリックを用いて、メトリックのベースラインセットを判断し得る。たとえば、クライアントデバイスがユーザの感情状態を判断している場合、ベースラインメトリックは、ユーザが最も落ち着いている場合を示すことが可能である。クライアントデバイスは、ユーザのメトリックが比較的安定していてむらがない期間を考慮すること、およびそれらの期間に収集されたデータの平均をとることによって、ユーザのベースラインメトリックを求め得る。代替的な態様では、ユーザは、所望の期間に測定されたメトリックを選択することによって、ベースラインを特定可能である。さらに他の態様では、クライアントデバイスは、メトリックデータベースから求められるようなベースラインメトリックの標準的なセットを用いて、ユーザの測定されたメトリックを比較可能である。
【0039】
データの表示
クライアントデバイスはその後、ユーザのベースラインメトリックを、メトリックの視覚表現またはグラフィック表現を生成することによって所与の期間測定されたユーザのメトリックと比較する。これは、波形、ヒストグラム、または散布図などを含み得る。たとえば、図3図4は、測定されたユーザの状態を表す線形またはデカルト波形300、400を示す図である。図3は、ある期間にわたる、ベースラインメトリック310と比較メトリック320とのグラフィック表現を行う波形300を示す図である。この例では、x軸(すなわち横軸)は所与の期間を表示し、y軸(すなわち縦軸)は集められたデータを表示する。ベースラインメトリック310は、ユーザについて比較的安定したメトリックのセットを表す直線である。比較メトリック320は、ユーザの測定されたメトリックを表し、ユーザがベースラインメトリック310とはプラスに異なる期間を表す山321と、ユーザがベースラインメトリック310とはマイナスに異なる期間を表す谷322とを有する。山321の各々は、山321とベースラインメトリック310との間のプラスの差の大きさに対応する山距離331だけベースラインメトリック321から外れている。谷322の各々は、山322とベースラインメトリック310との間のマイナスの差の大きさに対応する谷距離332だけ、ベースラインメトリック321から外れている。図4は、上述のように、ベースラインメトリック410と比較メトリック420とを有する波形400を示す図である。ここで、波形400はより大きな山距離431を有する山421を含む一方で、谷422は、波形300の対応する特徴よりも大きな谷距離432を有する。
【0040】
たとえば、図3がユーザの感情状態を表示している場合、ベースラインメトリック310は、ユーザの最大のまたは標準の落ち着きを表し、山321は、ユーザがベースラインの落ち着いた状態よりも興奮している期間を表し、谷322は、ユーザがベースラインの落ち着いた状態よりも落ち着いている期間を表す。そのような場合、山距離321は、ユーザがベースラインの落ち着いた状態からどれだけ興奮しているかに対応し、谷距離322は、ユーザがベースラインの落ち着いた状態からどれだけ落ち着いているかに対応する。図4の波形400もユーザの感情状態を表示している場合、波形300の対応する特徴に対する山距離421および谷距離422の大きさの増加は、ユーザがそれぞれの期間により激しいレベルの興奮と落ち着きとを経験したことを示す。
【0041】
波形は代替的に、非線形形状を有してもよく、修正デカルト表現で表示されてもよい。図5は、ベースラインメトリック510と比較メトリック520とを有する円形波形500を含む、修正デカルト表現の例を示す図である。本態様では、ベースラインメトリック510は、ベースラインメトリック310、410の直線形状ではなく円形形状を有する。代替的な態様では、円形波形500は、楕円形状、矩形状、三角形状または他の幾何学形状などの他の形状をとり得る。代替的に、円形波形500は、生体および自然で見られるような有機形状などの、非線形エッジおよび不規則な輪郭を有する不規則な非幾何学形状を有し得る。さらに、波形500は2次元として示される一方で、他の態様では球形などの3次元でもよい。比較メトリック520は、ベースラインメトリック510よりも上に拡張する山521と、ベースラインメトリック510よりも下に拡張する谷522とを有する。山521の各々は、山521とベースラインメトリック510との間のプラスの差の大きさに対応する山距離531だけベースラインメトリック510から上にずれる。谷522の各々は、谷522とベースラインメトリック510との間のマイナスの差の大きさに対応する谷距離532だけ、ベースラインメトリック510から下にずれる。図5がユーザの感情状態を測定する場合、山521と山距離531とは、ユーザがベースラインの落ち着いた状態からどれだけ興奮しているかに対応し、たとえば、山距離531が大きいほど、ユーザはより興奮している。逆に、谷522と谷距離531とは、ユーザがベースラインの落ち着いた状態からどれだけ落ち着いているかに対応し、たとえば、谷距離532が大きいほど、ユーザはより落ち着いている。
【0042】
さらに、ベースラインメトリック510および比較メトリック511は、中心から測定可能である。この例では、ベースラインメトリック510は中心から一定の径方向距離を有する一方で、比較メトリック520はさまざまな径方向距離を有する。このように、山521は一般に、中心からより遠い第1の距離に対応し、谷522は一般に、中心により近い第2の距離に対応する。ユーザの感情状態を測定する場合、中心から離れているほどユーザはより興奮している一方で、中心に近いほどユーザはより落ち着いている。
【0043】
円形波形500は、ラッピング機能を線形波形に適用することによって形成してもよい。たとえば、ラッピング機能を図3に示す波形300に適用することは、波形300を曲げるまたは成形することと、x軸に沿って表されたデータの最も左端と最も右端とを接続して円形形状を形成することとを含み得る。円形波形500をこのように形成することによって、線形波形を有するよりもより直感的にユーザに情報を提示することが可能である。たとえば、ユーザのメトリックが一日にわたって測定される場合、測定された期間の端が円形の始まりと接続するように線形波形をラップすることによって、一日の反復性の周期的な性質を視覚的に描くことができる。なお、そのような例では、円形波形500の上部は午後12時のユーザの感情状態を表すことが可能であり、一般に、一日の「上部」であると理解可能であり、円形波形500の下部は、午前12時のユーザの感情状態を表すことが可能であり、一般に、一日の「下部」であると理解可能である。このように、より美的に満足するデザインを提供することに加えて、線形波形がユーザに提供されるため、ユーザは、時間を表す直線軸を直接参照することなく、測定されたユーザの状態が一日のうち大体の時間にどのようであったかを大まかに理解することができる。このように、ユーザは、データがデカルト表現で表されている場合よりも素早くデータが表されていると理解可能である。代替的に、円形波形500を用いて午前または午後の間に測定されたメトリックを表し得る場合、ユーザは、円形波形500の上部が12時を表す一方で円形波形500の下部が6時を表すと、直感的に理解し得る。
【0044】
代替的な態様では、波形300は、三角形状、矩形状、またはU形状などの非線形および非円形形状でラップされてもよい。さらに代替的な態様では、円形波形500は、ラッピング機能を用いずに作成されてもよく、それによって、波形500は、メトリックの望ましいセットを求めた後で、円形にインスタンス化される。
【0045】
パターンは上述の波形のうちいずれかに適用されて、情報を表示するさらに他の手段を提供し得る。たとえば、方法は、波形の山および谷、ならびにそれらの対応する山距離および谷距離などの、波形の特定の特徴に対応する形状および/または色などの特定の外観を有するパターンをオーバーレイすることを備え得る。このように、波形のこれらの特徴は、互いにおよび波形の他の部分から視覚的に区別し得る。このオーバーレイステップによって、波形がオーバーレイされたパターンを通してもなお見えるように、波形の芸術的な表現が生成され得る。代替的に、パターンをオーバーレイすることは、波形が見えなくなるように、波形をパターンと取り替えることを含み得る。このように、ユーザは、情報がクライアントデバイスに表示されていると、より素早く効率的に理解し得る。パターンの外観はさらに、ユーザの選択に基づいて別に生成されてもよい。
【0046】
一例として、図6は、ベースラインメトリック610と比較メトリック620とが依然として見えるように、ベースラインメトリック610と比較メトリック620との円形波形にオーバーレイされたフラクタルな着色されたパターンを有する芸術的な波形600を示す図である。本態様では、ベースラインメトリック610は、実線ではなくドットの円によって表示される。比較メトリック620は、上述のように、対応する山距離631a、631b、631c、631dを有する山621a、621b、621c、621dと、対応する谷距離632a、6322bを有する谷622a、622bとを有する。波形600に適用されたパターンの色は、山621a、621b、621c、621dと一致する山色区分641a、641b、641c、641dおよび拡張部分650a、650b、650c、650d、ならびに谷621a、621bと一致する谷色区分642a、642bによって表される。山色区分は、ベースラインメトリックからのプラスの差が緑の色合いで表されると描写する一方で、ベースラインメトリックからのマイナスの差を描写する谷色部分が青の色合いで表される。このように、ユーザは、色区間の色によって、測定された期間中の所与の時点において興奮しているかより落ち着いているかが分かる。色区分の彩度は、山色区分が濃いほど対応する山距離または谷距離が大きくなるように、山距離または谷距離の大きさを示すために使用される。たとえば、山621aに対応する色区分641aは、山距離631aが山距離631cよりも大きいので、山621cについての色区分641cよりも深い色合いの緑を有する。逆に、谷622aに対応する色区分642aおよび谷622bに対応する色区分642bは、谷距離632aおよび谷距離632bが実質的に同じ距離を有するので、実質的に同じ色合いの青を有する。このように、波形600は、ユーザの感情状態を表す場合、色区分の彩度が濃いほどユーザの感情状態が激しいことを示す。色区分の明るさは、彩度に類似した役割を果たし得る。
【0047】
波形600に適用されるパターンの形状は、山621a、621b、621c、621dと一致しそれぞれの山距離631a、631b、631c、631dに対応する大きさに作られた拡張部分650a、650b、650c、650dを含む。たとえば、山距離631bが山距離631aよりも大きいため、拡張部分650bは拡張部分650aよりも大きい。拡張部分のサイズは、対応する山距離および/または谷距離に対する拡張部分の関係によって限度内にとどめられる一方で、これらの限度内の拡張部分の形状は、さまざまでも不規則でもよく、フラクタルパターン、幾何学パターン、または他の視覚的なパターンを有し得る。本態様では、拡張部分650a、650b、650c、650dは、山距離631a、631b、631c、631dに対する拡張部分650a、650b、650c、650dの関係によって限度内にとどめられた水彩にじみ効果(watercolor bleeding effect)の形状のフラクタルパターンを有する。このように、波形600がユーザの感情状態を表す場合、ユーザは、色区分の彩度に加えて、ユーザの感情状態が拡張部分のサイズによって所与の時間においてどれだけ激しかったかが分かる。拡張部分は一般に対応する山または谷に対応するが、特定の場合、拡張部分のサイズおよび形状に影響を及ぼし得るフレアを有し得る。たとえば、山距離631bは山距離631aよりも大きいが、拡張部分650aの上の部分に沿ってフレアが加えられているため、拡張部分650aは拡張部分650bよりも大きい。これは、波形600の図示された拡張部分の形状のランダムな性質に起因し得る。
【0048】
パターンの形状は、山または谷の直前または直後のメトリックによってさらに影響を受け得る。比較メトリック620内の山および谷は、それぞれの拡張部分の色区分の色、彩度、および位置に影響を与えるだけでなく、これらの山および谷に隣接する波形600の部分の対応する特徴にも影響を与える。たとえば、拡張部分650bが山621bと関連付けられ、その後谷632bへと向かっているため、拡張部分650bの色区分641bは、青の色合いと緑の色合いとの両方を帯びている。さらに、谷622bが山621bに続くため、緑色部分が拡張部分650bの下の部分に沿って位置する状態で、色区分641bの青い部分は上の部分に沿って位置する。そのため、拡張部分の上の部分は、この場合より青の色合いの当該拡張部分の直後のメトリックをより示す色を有する一方で、下の部分は、この場合緑の色合いを有する拡張部分自体のメトリックをより示す色を有する。
【0049】
山距離の大きさは、拡張部分の上の部分および/または下の部分のサイズおよび外観に影響を及ぼし得る。山距離が特定の距離閾値を満たす場合、拡張部分の一部は、この山距離のサイズに関連して生成され得る。しかしながら、距離閾値が満たされない場合、拡張部分の一部は生成されなくてもよい。たとえば、山距離631dは、山距離631a、631b、631cに対して小さく、したがって、拡張部分650dの下の部分は、拡張部分650a、650b、650cのそれぞれの下の部分よりも小さい。山距離がこの距離閾値を満たさない場合、拡張部分の下の部分は存在しなくてもよい。たとえば、山距離631dが拡張部分の下の部分を生成するための最小距離閾値を表す場合、拡張部分650dを直接取囲む部分は、これらの取囲む部分が山距離631dよりも小さな山距離を有するため、下の部分を有さなくてもよい。
【0050】
他の態様では、谷距離が特定の下の距離閾値を満たす場合など、パターンは拡張部分の下の部分のみを含み得る。さらに他の態様では、芸術的な波形600のパターンが山または谷の大きさを表すために拡張部分を表示せず、ユーザは、そうするために色区分の色および彩度のみを用いる。代替的に、芸術的な波形600のパターンは、山または谷の大きさを表すために色区分を表示せず、そうするために形状のみを用いる。たとえば、波形600は、山および/または谷を表す拡張部分を有するのみでもよい。他の態様では、色区分は、青と緑の色合い以外の他の色、たとえば、赤、黄、紫、グレースケール、または他の色でもよい。さらに他の態様では、芸術的な波形600は、測定期間を通じてユーザの支配的な感情状態を表すために単色である。さらに他の態様では、芸術的な波形600の色または色の組合せは、クライアントデバイスの位置、ユーザの特定のプロファイル、または測定されているデータの種類に基づいて変化してもよい。
【0051】
上述のように、ベースラインメトリック610および比較メトリック620はさらに、山が谷の第2の距離よりも大きな第1の距離を有することが可能になるように、中心からのさまざまな距離に対応し得る。このように、拡張部分および谷の色区分は、中心からの径方向距離に対応したサイズ、形状、および色を有し得る。たとえば、芸術的な波形600がユーザの感情状態を表す場合、中心からさらに離れた比較メトリックに対応する拡張部分はより緑の色合いを有する一方で、中心により近い比較メトリックに対応する谷色区分は、より青の色合いを有し得る。
【0052】
図7A図7Bは、上述のように、拡張部分750を有する芸術的な波形700を示す図である。本態様では、メトリックの両方のセットが表示されずに測定された円形波形にオーバーレイされたパターンのみが表示されるように、パターンがベースラインメトリックと比較メトリックとに置き換わる。上述の拡張部分650と同様に、芸術的な波形700の拡張部分は、水彩にじみ効果の形のフラクタルパターンを有する。このフラクタルパターンは、木の枝、河川デルタ、雪片、またはさまざまなランダムもしくはフラクタルパターンの組合せなどの、自然においてよく見られる特定の反復性の複雑な特徴を模倣しつつ、ランダムに見える外観を見せるようにアルゴリズムで生成される。このフラクタルパターンをオーバーレイすることは、それら自体がますます小さな縮小で繰り返すさまざまな等比数列を組込むことを含み得る。このように、芸術的な波形600、700は、ユーザにとって自然におよび視覚的に訴える態様で追加のレイヤの情報を効率的に伝達することができる。
【0053】
代替的な態様では、他のパターンを波形にオーバーレイし得る。たとえば、図8は、ドットパターンを有する芸術的な波形800を示す図である。本態様では、拡張部分850は、拡張部分850が上方向または下方向に拡張するにつれドットの密度が低くなる、ベースラインメトリック(図示せず)に近い高密度のドットを有する。波形800のより濃い部分によって表されるドットの密度は、ユーザの比較メトリック(図示せず)の急上昇を示す。たとえば、より濃い部分は、ユーザがより興奮している場合を示し得る。
【0054】
図9は、上述のような芸術的な波形900を示す図である。本態様では、拡張部分950は、ハローパターンとオーバーレイされた波形960a、960bとを有する。オーバーレイされた波形960a、960bは、芸術的な波形900の生成に寄与した特定のメトリックの可視化を表し得る。たとえば、波形900がユーザの感情状態を示す場合、オーバーレイされた波形960aはユーザの心拍数を示し得る一方で、オーバーレイされた波形960bは、ユーザの動作を示し得る。
【0055】
図10は、上述のような芸術的な波形1000を示す図である。本態様では、拡張部分1050のエッジがよりぼんやりした外観をとる一方で拡張部分を有さない波形1000の他の部分が縞のような外観を有するように、拡張部分1050は大理石パターンを有する。このように、拡張部分1050は、拡張部分を有さない部分からより視覚的に区別可能である。
【0056】
図11は、上述のように拡張部分1150を有する芸術的な波形1100を示す図である。本態様では、芸術的な波形1100は、波形がさまざまな光の縞で構成されているように見えるように、光跡パターンを有する。
【0057】
他の態様では、パターンは、ぎざぎざの拡張部分、突起状の拡張部分、または他の幾何学的および/もしくは芸術的なパターンなどの代替的な視覚的な拡張部分を有し得る。さらに他の態様では、芸術的な波形の中心は完全に埋められている。
【0058】
適用されたパターンの拡張部分がベースラインメトリックによって画定された外周面の上方および下方に拡張しつつ波形の中心に対して径方向に拡張し得るように、波形は3次元で生成されてもよい。図12Aは、レイヤ1260a、1260bを含む複数のレイヤを有する突起パターンを有する3次元の芸術的な波形1200の等角図である。本態様では、拡張部分1250は、ベースラインメトリック(図示せず)の中心から径方向に拡張する突起パターン、および、ベースラインメトリックによって画定される外周面に垂直なz距離を有する。突起パターンは、ベースラインメトリックにより近い各レイヤがより平坦になりより目立たなくなる一方で、ベースラインメトリックからより遠いレイヤがより鋭利によりぎざぎざになるようなレイヤで構成される。代替的な態様では、拡張部分1250は、ベースラインメトリックの上方および下方に拡張可能である。複数のレイヤは代替的に異なる測定されたメトリックを示し得る。たとえば、波形1200がユーザの感情状態を示す場合、レイヤ1260aはユーザの心拍数を表し得る一方で、レイヤ1260bは、ユーザの動作を表し得る。
【0059】
図12B図12Cは、図5に示すような波形500など、2次元の修正デカルト波形からの3次元の芸術的な波形1700の形成を示す図である。たとえば、図12Bは、2次元平面から押し出された修正デカルト波形500を示す図である。ベースラインメトリック510には、ベースラインメトリック510の3次元描写が円柱のように見えるように、第1のz距離が与えられる。比較メトリック520には同様に、第2のz距離を追加することによって3次元効果が与えられる。図12Bは、ベースラインメトリック510から第1のz距離だけ延びる線の集合およびこれらの線の上端で別の2次元円を含むように押し出されたベースラインメトリック510を示す図であるが、代替的な態様では、ベースラインメトリック510は、図12Cに示すように押し出されていない。
【0060】
z距離を含むように2次元の修正デカルト波形が押し出されると、さらに別の波形が含まれ得る。たとえば、図12Cは、3次元の芸術的な波形1700がベースラインメトリック1710および比較メトリック1720a、1720bを含む場合を示す図である。本態様では、ベースラインメトリック1710は、押し出されておらず、半径が減少する同心円の集合を含む。比較メトリック1720aはメトリックの第1のセットを表す一方で、比較メトリック1720bは、メトリックの第2のセットを表す。たとえば、波形1700がユーザの感情状態を測定する場合、比較メトリック1720aはユーザの心拍数を表すことができる一方で、レイヤ1720bはユーザの動作を表すことができる。また、比較メトリック1720a、1720bは、半径が減少しこれに応じてz距離が減少する同心波形のセットも含み得る。それぞれのベースラインメトリックおよび比較メトリックの径方向に減少するリングおよび波形によって、それぞれのメトリックは、より視覚的に魅力的な様子を提供しつつ、他のメトリックからより視覚的に区別し得る。波形1700は代替的に、図12Aに示すように、波形1200と同様の波形を形成するためにメトリックの各々の間のz距離を最小限にする直前のステップでもよい。
【0061】
図13は、上述のような3次元の芸術的な波形1300の等角図である。本態様では、拡張部分1350は、ベースラインメトリック(図示せず)によって画定される外周面から垂直にも拡張しつつ、波形1300の中心から径方向に拡張するドットを有する。このように、波形1300の側面図は、2次元および線形の波形の外観を描写し得る。
【0062】
図14は、上述のような3次元の芸術的な波形1400の等角図である。本態様では、拡張部分1450は、一続きの垂直線状に径方向に拡張し、各線は、設定された境界内でランダムな垂直方向距離だけ拡張する。
【0063】
波形のアニメ化
上述の波形はリクエストに応じてユーザに対して即座に表示可能であるが、本開示の態様は、波形が表示される前に波形の生成を表示するアニメーションを含む。たとえば、図15A図15Dは、芸術的な波形1500のアニメーションを描写する図である。図15Aは、アニメーションの初めに波形1500の初期表示を表すベースラインメトリック1510の円形表現を描写する図である。ユーザの感情状態がアニメーション化されている場合、アニメーションのこの時点で、波形1500はユーザが最大限落ち着いている色である。
【0064】
図15B図15Cは、基点1501、先端点1502、およびブルーム1560を有するベースラインメトリック1510を示す図である。基点1501は、波形1500のアニメーションが開始する場所である。本態様では、基点1501は、ベースラインメトリック1510の上部(または12時の位置)である。先端点1502は、ベースラインメトリック1510に沿って進むアニメーションの先端部分である。アニメーションの間、先端点1502は、先端点1502が基点1501にループバックしこれと接続するまで、基点1501から時計回り方向に進む。先端点および基点の色は、2つの点が完成した波形において合流するときと同じ色でもよい。たとえば、図15Dに示すように、基点1501および先端点1502は、先端点1502が波形1500の上部、12時の位置に示すような基点1501と後ろで接続するときと同じ紫色である。
【0065】
先端点1502がベースラインメトリック1510に沿って進むにつれ、ブルーム1503は、ベースラインメトリック1510から膨張する。先端点1502の直前のブルーム1503の場所は、測定時間において対応する色区分の色をとる。このように、先端点1502が進むと、ブルーム1503は、色を有するベースラインメトリック1510から漸進的に膨張して、図15Dに示すような完成した形状になると芸術的な波形1500に一致する。ブルーム1503の膨張アニメーションは、波形の拡張部分が適用されているグラフィカルパターンの種類と一致し得る。たとえば、波形1500が水彩にじみ効果パターンを有するように意図されている場合、ブルーム1503は、水彩にじみと同様の態様で膨張し得る。このように、先端点1502の直前のブルーム1503の膨張は急速に膨張し、実質的に均一の面積を有する一方で、基点1501により近いブルーム1503の膨張のペースはダウンするが、水彩にじみと同様の、より遅く、よりフラクタルな態様で膨張し続ける。
【0066】
このアニメーションでは、アニメーションがない場合には提供されない波形1500の追加の文脈情報がユーザに与えられる。たとえば、基点1501の場所は、芸術的な波形1500に沿ってメトリックが最初に測定された場所をユーザに示し得る。さらに、先端点1502の進む方向は、基点1501から芸術的な波形1500を読み取る方向をユーザに示し得る。一例として、ユーザは、波形1500が午前中の12時にメトリックを集め始めたと理解し得る(または設定を入力し得る)。そのような場合、基点1501は、12時の位置が波形1500に沿っている場所を示し得る一方で、先端点1502の方向は、測定期間にわたって測定されたユーザの状態の進行を理解するために波形1500を読み取る態様を示し得る。
【0067】
代替的に、他の態様では、基点1501はベースラインメトリック1510の上部で開始せず、下部すなわち6時の位置などを含む、ベースラインメトリック1510に沿った任意の場所で開始してもよい。他の態様では、先端点1502は、基点1501から反時計回り方向に進んでもよい。さらに他の態様では、ブルーム1503は、完成した波形1500の自然なパターンに対応しない態様で膨張可能である。たとえば、ブルーム1503は、先端点1502がベースラインメトリック1510に沿って進むにつれ一定速度で膨張し得る。代替的に、芸術的な波形1500の拡張部分は、先端点1502がベースラインメトリック1510に沿って進むにつれ完成した形状で即座にアニメーション化され得る。さらに他の態様では、ブルーム1503は、感情状態の強度が大きいほどブルーム1503がより速く膨張するように、山距離(図示せず)および/または谷距離(図示せず)のサイズと一致する速度で膨張し得る。さらに他の態様では、基点1501と先端点1502とは、異なる色を有する、および/または、2つの点が再び後ろで接続すると完成したアニメーションの色と異なる色を有する。さらに、アニメーションは、図5に示すような波形500などの円形波形にわたって適用されると、パターンをアニメーション化することを含み得る。このように、ユーザは、パターンの表す色および形状をよりよく理解することが可能である。
【0068】
さらに、完成した波形1500の外側エッジは、波形1500が生成されてユーザに付加情報を提供した後で継続してアニメーション化され得る。たとえば、波形1500のエッジがはためくまたは揺れる態様は、そのときの測定されたユーザの感情状態の強度を示し得る。一例として、波形1500の外側エッジの乱れが大きいほど、そのときのユーザの感情状態はより激しく、逆もまた同じである。乱れの例は、ユーザの感情状態の強度の増大を表すために、波形1500の外側エッジがより短い周波数を有し、より振動し、または他のダイナミックな動きを有する場合を含み得る。
【0069】
上述の態様のいずれかを用いて、ユーザは、より詳細に波形の特定の部分を検査するためにズームインし得る。たとえば、図7Bに示すような拡張部分750の拡大図を見るために、クライアントデバイスをクリック、タッピング、または他の態様ではこれとインタラクトすることによって、図7Aに示すような波形700とインタラクトし得る。このように、ユーザは、拡張部分750の大きさの急上昇につながったメトリックをよりよく理解するために、拡張部分750の詳細をさらによく見ることができる。たとえば、波形の一部にズームインすることによって、ユーザは、生成されている拡張部分750につながったメトリック(図示せず)のいずれかまたはすべての波形を見ることが可能になる。このズームインされた図では、これらのメトリックは、拡張部分750と容易に比較可能になるように、波形700にわたってオーバーレイされるように個別に選択可能である。
【0070】
代替的な態様では、波形700にズームインすることによって、別の波形(図示せず)が表示され得る。たとえば、波形700が1週間などの特定の期間を測定する場合、波形700の一部にズームインすることによって、全体的な測定期間内の1日などのより短い個別の期間の測定されたメトリックについて、別個の波形を表示し得る。他の期間が、1ヶ月などを測定するより大きな波形内の1週間を測定する波形をズームインするといった、ズーム機能と共に用いられ得る。
【0071】
上述のように、本出願で検討された方法は、ユーザの感情状態の表示に限定されず、ユーザの測定された状態について、従来とは異なるが直感的で視覚的に魅力のある態様で情報を表示するために用いられ得る。たとえば、グラフィカルな波形は、ユーザのストレスレベル、健康レベル、または睡眠の質などを表すために用いられ得る。
【0072】
本明細書の開示は特定の態様を参照して説明されたが、これらの態様は本開示の原則および適用の例示に過ぎないと理解するべきである。したがって、例示的な態様に多数の変更を行うことができ、添付の請求項によって定義されるような本開示の精神および範囲から逸脱することなく他の配置を考案可能であると理解するべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D