(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】殺菌システム、殺菌装置、制御装置、制御方法および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20230306BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20230306BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L2/24
A61L9/20
(21)【出願番号】P 2020153591
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2022-07-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 翔悟
(72)【発明者】
【氏名】佐川 賀宏
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0246329(US,A1)
【文献】特開2011-258533(JP,A)
【文献】特表2011-522371(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0249847(US,A1)
【文献】特表2015-505136(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0117809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
A61L 2/24
A61L 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射状の紫外線を照射する光源部と、
前記光源部を水平方向に対して回動することで、前記光源部の水平角度を調整する水平角度調整部および/または、
前記光源部を垂直方向に対して回動することで、前記光源部の垂直角度を調整する垂直角度調整部と、
紫外線を自動的に照射させる位置または範囲の設定を行う際に、ユーザが操作するマーカから送信されるマーカ信号を
前記光源部を有する本体部の近傍に設けられるマーカセンサにより受信し、前記水平角度調整部および/または前記垂直角度調整部の回動を制御して、前記マーカに前記光源部の光軸を向け、前記ユーザからの位置または範囲の設定要求に応じて、前記光源部の水平角度および/または垂直角度を、紫外線を自動的に照射させる位置または範囲の設定情報として記憶する制御装置と、
を備える殺菌システム。
【請求項2】
前記マーカは、該マーカに前記光源部の光軸が向けられて紫外線が照射されていることを検出する紫外線センサを備える、
請求項1に記載の殺菌システム。
【請求項3】
前記光源部の紫外線と平行に可視光を照射する可視光源を備える、
請求項1または2に記載の殺菌システム。
【請求項4】
前記光源部の寿命および/または装置のエラー情報を表示する表示部を備える、
請求項1~3のいずれか一つに記載の殺菌システム。
【請求項5】
放射状の紫外線を照射する光源部と、
前記光源部を水平方向に対して回動することで、前記光源部の水平角度を調整する水平角度調整部および/または、
前記光源部を垂直方向に対して回動することで、前記光源部の垂直角度を調整する垂直角度調整部と、
紫外線を自動的に照射させる位置または範囲の設定を行う際に、ユーザが操作するマーカから送信されるマーカ信号を
前記光源部を有する本体部の近傍に設けられるマーカセンサにより受信し、前記水平角度調整部および/または前記垂直角度調整部の回動を制御して、前記マーカに前記光源部の光軸を向け、前記ユーザからの位置または範囲の設定要求に応じて、前記光源部の水平角度および/または垂直角度を、紫外線を自動的に照射させる位置または範囲の設定情報として記憶する制御装置と、
を備える殺菌装置。
【請求項6】
放射状の紫外線を照射する光源部と、
前記光源部を水平方向に対して回動することで、前記光源部の水平角度を調整する水平角度調整部および/または、
前記光源部を垂直方向に対して回動することで、前記光源部の垂直角度を調整する垂直角度調整部と、
を制御する、殺菌のための制御装置であって、
紫外線を自動的に照射させる位置または範囲の設定を行う際に、ユーザが操作するマーカから送信されるマーカ信号を
前記光源部を有する本体部の近傍に設けられるマーカセンサにより受信し、前記水平角度調整部および/または前記垂直角度調整部の回動を制御して、前記マーカに前記光源部の光軸を向け、前記ユーザからの位置または範囲の設定要求に応じて、前記光源部の水平角度および/または垂直角度を、紫外線を自動的に照射させる位置または範囲の設定情報として記憶する、
制御装置。
【請求項7】
放射状の紫外線を照射する光源部と、
前記光源部を水平方向に対して回動することで、前記光源部の水平角度を調整する水平角度調整部および/または、
前記光源部を垂直方向に対して回動することで、前記光源部の垂直角度を調整する垂直角度調整部と、
を制御する、殺菌のための制御方法であって、
紫外線を自動的に照射させる位置または範囲の設定を行う際に、ユーザが操作するマーカから送信されるマーカ信号を
前記光源部を有する本体部の近傍に設けられるマーカセンサにより受信し、前記水平角度調整部および/または前記垂直角度調整部の回動を制御して、前記マーカに前記光源部の光軸を向け、前記ユーザからの位置または範囲の設定要求に応じて、前記光源部の水平角度および/または垂直角度を、紫外線を自動的に照射させる位置または範囲の設定情報として記憶する処理をコンピュータが行う、
制御方法。
【請求項8】
放射状の紫外線を照射する光源部と、
前記光源部を水平方向に対して回動することで、前記光源部の水平角度を調整する水平角度調整部および/または、
前記光源部を垂直方向に対して回動することで、前記光源部の垂直角度を調整する垂直角度調整部と、
を制御する、殺菌のための制御プログラムであって、
紫外線を自動的に照射させる位置または範囲の設定を行う際に、ユーザが操作するマーカから送信されるマーカ信号を
前記光源部を有する本体部の近傍に設けられるマーカセンサにより受信し、前記水平角度調整部および/または前記垂直角度調整部の回動を制御して、前記マーカに前記光源部の光軸を向け、前記ユーザからの位置または範囲の設定要求に応じて、前記光源部の水平角度および/または垂直角度を、紫外線を自動的に照射させる位置または範囲の設定情報として記憶する処理をコンピュータに実行させる、
制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌システム、殺菌装置、制御装置、制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紫外線(紫外光)の放射を用いて、ヒト細胞を害することなくバクテリアの殺菌を行うものが提案されている(例えば、特許文献1等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の殺菌装置は、特定の殺菌を行いたい物体に対して殺菌を行うものであり、部屋や工場などの広範囲の空間を殺菌することには対応してない。
【0005】
一方で、COVID-19などのウィルスや菌などの殺菌対象物は、空間や、空間を形成する壁などに浮遊、付着している。そのため、空間内の空気の入れ替えや、消毒液散布による不活性化など、空調設備の変更が必要となったり、作業負担が大きかったりすることで実施が限られる対策を行うしかなく、より簡便に空間における環境改善を図れるようにすることが要望されていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、広範囲の殺菌対象空間を容易に殺菌することができる殺菌システム、殺菌装置、制御装置、制御方法および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る殺菌装置は、光源部と、水平角度調整部および/または垂直角度調整部と、制御装置とを備える。前記光源部は、放射状の紫外線を照射する。前記水平角度調整部は、前記光源部を水平方向に対して回動することで、前記光源部の水平角度を調整する。前記垂直角度調整部は、前記光源部を垂直方向に対して回動することで、前記光源部の垂直角度を調整する。前記制御装置は、紫外線を自動的に照射させる位置または範囲の設定を行う際に、ユーザが操作するマーカから送信されるマーカ信号を前記光源部を有する本体部の近傍に設けられるマーカセンサにより受信し、前記水平角度調整部および/または前記垂直角度調整部の回動を制御して、前記マーカに前記光源部の光軸を向け、前記ユーザからの位置または範囲の設定要求に応じて、前記光源部の水平角度および/または垂直角度を、紫外線を自動的に照射させる位置または範囲の設定情報として記憶する。
【0008】
本発明の一態様に係る殺菌システムは、広範囲の殺菌対象空間を容易に殺菌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る殺菌装置等の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、複数の殺菌装置等が含まれる場合の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、殺菌装置の一例の機械的な構成例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、殺菌装置の他の例の機械的な構成例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、制御装置の制御部、端末の制御部、または、制御装置の制御部のハードウェア構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、制御装置の制御部、端末の制御部、または、制御装置の制御部の機能構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、マーカと、制御装置の制御部、端末の制御部、または、制御装置の制御部とによる制御例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、マーカと、制御装置の制御部、端末の制御部、または、制御装置の制御部とによる他の制御例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、制御装置の制御部、端末の制御部、または、制御装置の制御部による寿命計算の処理例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、制御装置の制御部、端末の制御部、または、制御装置の制御部によるエラー情報取得の処理例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、制御装置の制御部、端末の制御部、または、制御装置の制御部による寿命またはエラー情報の表示の処理例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、寿命またはエラー情報を表示する表示部の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る殺菌システム、殺菌装置、制御装置、制御方法および制御プログラムについて図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0011】
<装置構成、システム構成>
図1は、一実施形態に係る殺菌装置1等の構成例を示すブロック図である。
図1において、殺菌装置1は、例えば天井を構成する天井壁100にベース部41が取り付けられており、光源部21を有する本体部2と、本体部2を回動可能に支持する垂直角度調整部3および水平角度調整部4と、制御装置5とを備えている。
【0012】
なお、
図1におけるX方向は水平方向であり、殺菌装置1Aの前後方向である。Y方向は水平方向であり、殺菌装置1Aの幅方向である。Z方向は水平方向と直交する垂直方向であり、殺菌装置1Aの上下方向である。なお、本実施形態においては、Z方向が殺菌対象空間Sの鉛直方向と平行であるが、これに限定されるものではなく、Z方向が鉛直方向に対して傾斜、あるいはZ方向が鉛直方向と直交する方向と平行であってもよい。
【0013】
制御装置5は、殺菌装置1を制御するものである。制御装置5は、光源部21、垂直角度調整部3および水平角度調整部4を制御するものであり、ベース部41の内部空間に収容されている。制御装置5は、通信部51、制御部52、光源部駆動回路53、第1モータ駆動回路54と、第2モータ駆動回路55を有する。制御装置5は、電源200から供給された電力に基づき、光源部21による紫外線の点灯・消灯、照射強度の調整、垂直角度調整部3による光源部21の垂直角度の調整、水平角度調整部4による光源部21の水平角度の調整などを行う。なお、制御装置5のハードウェア構成は、一般的な制御装置のハードウェア構成と同様であり、詳細については後述する。また、電源200は、商業電源、発電機、バッテリなどである。
【0014】
通信部51は、ユーザーが所持する端末10との間で情報を送受信するものであり、例えば、端末10からの操作情報を受信したり、殺菌装置1の状態、光源部21の照射状態(例えば、点灯・消灯、照射強度)、光源部21の姿勢状態(例えば、垂直角度および水平角度)を端末10に送信したりするものである。通信部51は、例えば、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行うものである。
【0015】
制御部52は、光源部21に対する照射制御、第1モータ32に対する駆動制御および第2モータ42に対する駆動制御などを行うものである。ここで、照射制御には、光源部21の点灯・消灯制御、照射強度制御などが含まれる。
【0016】
光源部駆動回路53は、制御部52からの光源部21に対する照射制御信号に基づき、光源部21に電力を供給するものである。光源部駆動回路53は、光源部21が紫外線の照射強度を変更できるタイプである場合、照射強度の調整も行う。また、光源部駆動回路53は、光源部21が照射する紫外線の波長を変更(切替)できるタイプである場合、波長の変更(切替)も行う。光源部駆動回路53は、制御部52および光源部21と電気的に接続されている。なお、光源部駆動回路53は、制御装置5が有しているがこれに限定されるものではなく、光源部21が有していてもよい。また、光源部21が異なる波長領域の光源が組み合わされた光源であった場合、それぞれの光源の照射強度を調整できるように調整を行う。
【0017】
第1モータ駆動回路54は、制御部52からの第1モータ32に対する駆動制御信号に基づき、第1モータ32に対して駆動電力を供給することで、光源部21を垂直方向において回動させるものである。第1モータ駆動回路54は、制御部52および第1モータ32と電気的に接続されている。なお、第1モータ駆動回路54は、制御装置5が有しているがこれに限定されるものではなく、第1モータ32が有していてもよい。
【0018】
第2モータ駆動回路55は、制御部52からの第2モータ42に対する駆動制御信号に基づき、第2モータ42に対して駆動電力を供給することで、光源部21を水平方向において回動させるものである。第2モータ駆動回路55は、制御部52および第2モータ42と電気的に接続されている。なお、第2モータ駆動回路55は、制御装置5が有しているがこれに限定されるものではなく、第2モータ42が有していてもよい。
【0019】
端末10は、ユーザーが操作することで殺菌装置1Aを操作するものであるとともに、ユーザーが殺菌装置1Aの状態を把握するものである。端末10は、通信部11と、制御部12と、操作・表示部13とを有する。なお、端末10は、殺菌装置1A用の専用端末であってもよいし、スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなどの汎用端末であってもよい。また、端末10のハードウェア構成は、一般的な端末のハードウェア構成と同様であり、詳細については後述する。
【0020】
通信部11は、制御装置5との間で情報を送受信するものである。通信部11は、例えば、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行うものである。なお、情報の送受信は無線に限られるものではなく、有線によるものであってもよい。
【0021】
制御部12は、端末10を制御するものであり、少なくとも操作・表示部13に対するユーザーの操作に基づいて、操作情報を通信部11に出力するものである。制御部12は、操作・表示部13による表示も制御する。制御部12は、通信部11および操作・表示部13と電気的に接続されている。なお、制御部12は、自装置側の通信部11および殺菌装置1側の通信部51を介して接続された制御部52の処理の一部を代行することができる。
【0022】
操作・表示部13は、端末10における一般的な操作および表示のほかに、殺菌装置1Aを遠隔操作する際に用いられるものである。操作・表示部13は、図示はしないが例えば、紫外線の点灯・消灯に対応するスイッチ、照射強度に対応するスイッチ、光源部21の垂直角度の調整に対応するスイッチ、光源部21の水平角度の調整に対応するスイッチなどが含まれる。なお、スイッチは、通電・非通電や抵抗変化などの機械式のスイッチであっても、タッチパネルなどの電気式のスイッチであってもよい。
【0023】
また、本体部2の近傍にはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等のマーカセンサ6が設けられている。マーカセンサ6は、マーカ9から発せられる赤外線(赤外光)等によるマーカ信号を2次元画像上で検出する。制御部52は、マーカセンサ6の検出信号(画像信号)から、マーカ9の位置を認識し、マーカ9に紫外線の照射方向を向け、殺菌のために紫外線を照射する位置や範囲の設定を行う。
【0024】
マーカ9は、信号送信部91と、紫外線センサ92と、制御部93と、操作・表示部94とを備えている。紫外線センサ92は省略される場合もある。信号送信部91は、例えば、赤外線によるマーカ信号を送信する機能を有している。なお、マーカ信号は、パルスパターンを変えることで、マーカ9が複数ある場合に、それぞれのマーカ9から送信されるマーカ信号を識別することができるようになっている。
【0025】
紫外線センサ92は、殺菌装置1の光源部21から照射される紫外線を検出する機能を有している。すなわち、マーカ9が殺菌装置1による紫外線の照射範囲内にあることを紫外線センサ92により知ることができる。
【0026】
制御部93は、マーカ9を制御するものであり、信号送信部91によるマーカ信号の送信、紫外線センサ92による紫外線の検出の確認等の制御を行う。操作・表示部94は、ユーザーによる操作を受け付け、ユーザーに対する状態の表示等を行う。
【0027】
また、殺菌装置1の本体部2には、光源部21による紫外線の照射方向に対して平行に可視光を照射する可視光源部7が設けられている。可視光源部7は、光源部駆動回路53を介して制御部52によって点灯・消灯が制御される。
【0028】
また、ベース部41等には7セグメントLED等による表示部8が設けられており、制御部52によって表示が制御される。表示部8による表示内容には、光源部21の寿命や、殺菌装置1におけるエラー情報が含まれる。
【0029】
図2は、複数の殺菌装置1等が含まれる場合の構成例を示す図である。
図2において、例えば天井を構成する天井壁100に複数の殺菌装置1が取り付けられている。各殺菌装置1の制御装置5は、それぞれが対等な関係で制御を行うか、いずれかがマスターとなって統括的に制御を行う。また、殺菌装置1の制御装置5とは別に、統括制御用の制御装置500が設けられるものであってもよい。制御装置500は、通信部501と、制御部502と、操作・表示部503とを備えている。
【0030】
通信部501は、各殺菌装置1の制御装置5との間で情報を送受信するものである。通信部501は、例えば、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行うものである。なお、情報の送受信は無線に限られるものではなく、有線によるものであってもよい。
【0031】
制御部502は、制御装置500を制御するものであり、少なくとも操作・表示部503に対するユーザーの操作または予め設定された情報に基づいて、操作情報を通信部501に出力するものである。制御部502は、通信部501および操作・表示部503と電気的に接続されている。
【0032】
操作・表示部503は、制御装置500における一般的な操作および表示のほかに、各殺菌装置1を遠隔操作する際に用いられるものである。操作・表示部503は、図示はしないが例えば、紫外線の点灯・消灯に対応するスイッチ、照射強度に対応するスイッチ、光源部21の垂直角度の調整に対応するスイッチ、光源部21の水平角度の調整に対応するスイッチ、各種自動動作の設定のためのスイッチなどが含まれる。なお、スイッチは、通電・非通電や抵抗変化などの機械式のスイッチであっても、タッチパネルなどの電気式のスイッチであってもよい。
【0033】
端末10は、各殺菌装置1の制御装置5との間、マスターに設定された制御装置5との間、または、制御装置500との間で通信を行い、ユーザーによる各種の操作や、状態の確認に対応する。端末10は、制御装置500とともに、または、制御装置500に代わって、個々の殺菌装置1を制御することができる。
【0034】
図3は、殺菌装置1の一例(殺菌装置1A)の機械的な構成例を示す斜視図である。殺菌装置1Aは、
図3に示されるように、紫外線UVを殺菌対象空間Sに照射するものである。殺菌装置1Aは、殺菌対象空間Sの一部を構成する壁、本実施形態では天井を構成する天井壁100に取り付けられている。具体的には、殺菌装置1Aは、天井壁100から殺菌対象空間Sに突出した状態で天井壁100に対して、図示しないレール等を介して取り付けられている。殺菌装置1Aは、光源部21が取り付けられる本体部2と、垂直角度調整部3と、水平角度調整部4と、制御装置5とを備える。
【0035】
本体部2は、光源部21が取り付けられるものである。本体部2は、略円筒形状に形成されており、軸方向のうち、殺菌対象空間S側に開口22が形成され、殺菌対象空間Sと反対側が閉塞されている。本体部2は、図示しない支持軸を介して、垂直角度調整部3に対して回転自在に支持されている。
【0036】
光源部21は、放射状の紫外線UVを殺菌対象空間Sに対して照射するものである。光源部21は、本体部2の内部空間のうち、本体部2の軸方向において開口22と対向した位置に取り付けられている。光源部21は、開口22を介して紫外線UVを殺菌対象空間Sに照射する。ここで、光源部21が殺菌対象空間Sに照射する紫外線UVは、可視光線とは異なる波長の電磁波であり、本実施形態では、190nm~230nmの波長の電磁波をいう。なお、190nm未満の紫外線は、空気、特に空気中の酸素に吸収されるため、殺菌対象空間Sに存在する物体、例えば人体まで到達する線量が大幅に減少してしまい、物体に対する殺菌効果が減少する。一方、230nmを超える紫外線は、殺菌対象空間Sに存在する物体が人体の場合に、細胞に吸収され細胞内のDNAに損傷を与える可能性がある。本実施形態における光源部21は、例えば、222nmにピークを有するKrClエキシマランプを光源として有する。また、放射状の紫外線UVは、光源から出射する紫外線が放射状であってもよいし、光源から出射する紫外線UVは直線状であって、図示しないレンズにより実現してもよい。
【0037】
また、光源部21は、1つの波長領域の紫外線UVを照射する光源に限られず、波長領域の異なる紫外線UVを切り替えられるものであってもよい。また、光源部21は、1つの波長領域の紫外線を照射する光源と、それとは異なる波長領域の紫外線を照射する光源とが組み合わされたものであってもよい。具体的には、190nm~230nmの波長の紫外線を照射する光源と、230nmを超える波長の紫外線を照射する光源とが組み合わされたものでもよい。
【0038】
垂直角度調整部3は、光源部21を垂直方向Zにおいて回動することで、垂直角度を調整、すなわちチルト方向Tを調整する。垂直角度調整部3は、アーム部31と、第1モータ32とを有する。アーム部31は、本体部2を垂直方向Zに回動可能に支持するものである。アーム部31は、下方向に開口するU字状に形成されており、開口を形成する両先端部31a、31aにおいて、本体部2が両先端部31a、31aの対向方向周りに回転自在に支持されている。第1モータ32は、垂直アクチュエータであり、本体部2をアーム部31に対して回動させるものである。第1モータ32は、アーム部31に取り付けられており、図示しない駆動機構を介して、支持軸周り、すなわち対向方向周りに本体部2を回動させるものである。本実施形態における光源部21は、第1モータ32により、下方向を0度とした場合に、例えば、±90度の範囲で揺動させる。垂直角度調整部3は、図示しない支持軸を介して、水平角度調整部4に対して回転自在に支持されている。
【0039】
水平角度調整部4は、光源部21を水平方向(前後方向X、幅方向Y)において回動することで、水平角度を調整、すなわちパン方向Pを調整する。水平角度調整部4は、ベース部41と、第2モータ42とを有する。ベース部41は、アーム部31を介して本体部2を水平方向に回動可能に支持するものである。ベース部41は、天井壁100に取り付けられており、前後方向を長手方向として立方体状に形成されており、アーム部31の上方向側の先端部31bにおいてアーム部31が垂直方向Z周りに回転自在に支持されている。第2モータ42は、水平アクチュエータであり、アーム部31をベース部41に対して回動させるものである。第2モータ42は、ベース部41に取り付けられており、図示しない駆動機構を介して、支持軸周り、すなわち垂直方向周りにアーム部31を回動させることで、本体部2を回動させるものである。本実施形態における光源部21は、第2モータ42により、水平方向のうち、任意の方向を0度とした場合に、例えば、±180度の範囲で揺動させる。
【0040】
なお、上記の説明においては、各アクチュエータをモータとしたが、これに限定されるものではなく、液圧式シリンダ、気圧式シリンダなどであってもよい。
【0041】
図4は、殺菌装置1の他の例(殺菌装置1B)の機械的な構成例を示す斜視図である。
図4において、殺菌装置1Bは、天井壁100に対する取り付け状態の点で、前述の殺菌装置1Aと異なる。殺菌装置1Bの基本的構成は、殺菌装置1Aの基本的構成と同一、またはほぼ同一であるので、同一符号についてはその説明を省略あるいは簡略化する。
【0042】
殺菌装置1Bは、
図4に示されるように、紫外線UVを殺菌対象空間Sに照射するものである。殺菌装置1Bは、殺菌対象空間Sの一部を構成する天井壁100に取り付けられている。具体的には、殺菌装置1Aは、天井壁100から殺菌対象空間S側と反対側に突出、すなわち天井壁100に埋設した状態で天井壁100に取り付けられている。天井壁100には、開口101が形成されており、殺菌装置1B、特に本体部2の開口22が開口101を介して、殺菌対象空間Sに露出して取り付けらえている。殺菌装置1Bは、光源部21を取り付けられる本体部2と、垂直角度調整部3と、水平角度調整部4と、制御装置5とを備える。
【0043】
本体部2は、放射状の紫外線UVを殺菌対象空間Sに対して照射する光源部21が取り付けられるものである。本体部2は、略円筒形状に形成されており、軸方向のうち、殺菌対象空間S側に開口22が形成され、殺菌対象空間S側と反対側が閉塞されている。本体部2は、図示しない支持軸を介して、垂直角度調整部3に対して回転自在に支持されている。
【0044】
垂直角度調整部3は、光源部21を垂直方向Zにおいて回動することで、垂直角度を調整、すなわちチルト方向Tを調整する。垂直角度調整部3は、サブ枠部33と、第1モータ32とを有する。サブ枠部33は、本体部2を垂直方向Zに回動可能に支持するものである。サブ枠部33は、上下方向を軸とする円筒形状に形成され、上下方向に開口を介して外部連通する内部空間33aが形成されている。サブ枠部33は、内部空間33aにおいて、本体部2が水平方向周りに回動自在に支持されている。つまり、サブ枠部33は、本体部2の少なくとも一部が内部空間33aに収容され、かつ本体部2を垂直方向に回動可能に支持する。第1モータ32は、サブ枠部33に取り付けられており、図示しない駆動機構を介して、支持軸周り、すなわち対向方向周りに本体部2を回動させるものである。本実施形態における光源部21は、第1モータ32により、下方向を0度とした場合に、例えば、-35度~+45度の範囲で揺動させる。
【0045】
水平角度調整部4は、光源部21を水平方向(前後方向X、幅方向Y)において回動することで、水平角度を調整、すなわちパン方向Pを調整する。水平角度調整部4は、ベース枠部43と、第2モータ42とを有する。ベース枠部43は、サブ枠部33を介して本体部2を水平方向に回動可能に支持するものである。ベース枠部43は、上下方向において開口101と対向して天井壁100に取り付けられており、上下方向を軸とする円筒形状に形成され、上下方向に開口を介して外部連通する内部空間43aが形成されている。ベース枠部43は、内部空間43aにおいて、本体部2が垂直方向周りに回動自在に支持されている。つまり、ベース枠部43は、サブ枠部33の少なくとも一部が内部空間43aに収容され、かつサブ枠部33を垂直方向に回動可能に支持する。本実施形態における光源部21は、第2モータ42により、水平方向のうち、任意の方向を0度とした場合に、例えば、+355度の範囲で揺動させる。
【0046】
なお、上記の説明においては、各アクチュエータをモータとしたが、これに限定されるものではなく、液圧式シリンダ、気圧式シリンダなどであってもよい。
【0047】
図5は、制御装置5の制御部52、端末10の制御部12、または、制御装置500の制御部502のハードウェア構成例を示す図である。
図5において、制御部52、12、502は、一般的なコンピュータの構成を有しており、処理部(プロセッサ)H1と、記憶部(メモリ)H2と、入出力部(I/O:Input Output)H3とを備えている。記憶部H2には、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、NV-RAM(Nonvolatile-RAM)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等が含まれる。
【0048】
処理部H1は、記憶部H2に記憶されたプログラムに従い、記憶部H2に記憶されたデータまたは入出力部H3から入力されたデータに基づいて処理を行う。処理により得られたデータは、入出力部H3から出力される。
【0049】
図6は、制御装置5の制御部52、端末10の制御部12、または、制御装置500の制御部502の機能構成例を示す図である。
図6において、制御部52、12、502は、照射位置設定部C1と、照射位置制御部C2と、照射制御部C3と、マーカ検出部C4と、寿命・エラー情報管理部C5と、表示制御部C6とを備えている。
【0050】
照射位置設定部C1は、殺菌のために紫外線を照射する位置または範囲(複数の位置等により範囲を特定)の設定を行う機能を有する。照射位置制御部C2は、設定情報に基づいて殺菌装置1の垂直角度調整部3および水平角度調整部4を制御し、紫外線を照射する位置を制御する機能を有する。照射制御部C3は、設定情報等に基づいて紫外線の点灯・消灯、強度変更(光源により強度が変更できる場合とできない場合とがある)または波長変更(人体に照射可能な波長と、人体に照射はできないが殺菌効果の高い波長との切り替えが可能)を行う機能を有する。
【0051】
マーカ検出部C4は、マーカ9から送信される赤外線等によるマーカ信号をマーカセンサ6の検出信号(画像信号)から捕捉し、マーカ9に紫外線の照射方向が向く(追尾する)ように照射位置制御部C2に移動方向についての情報を与える。なお、複数のマーカ9が設けられる場合、各マーカ9のマーカ信号はパルスパターンが変えられているため、それぞれのマーカ9を識別することができる。この場合、複数のマーカ9を同時に追尾することはできないため、所定の順序で順次に追尾する。
【0052】
寿命・エラー情報管理部C5は、殺菌のための紫外線を照射する光源部21の寿命や殺菌装置1の動作中に発生したエラー情報を管理する機能を有している。表示制御部C6は、寿命・エラー情報管理部C5によって管理されている光源部21の寿命や殺菌装置1のエラー情報を表示部8によって表示する機能を有している。
【0053】
<ユーザーによるリアルタイムでの操作>
図1~
図6において、ユーザーは、端末10等を操作することで、殺菌装置1(1A、1B)の状態、光源部21の照射状態、光源部21の姿勢状態を変更する。例えば、制御装置5は、ユーザーが端末10を操作することで、光源部21を点灯する場合に、点灯に対応する操作情報に対応する照射制御信号に基づき、光源部駆動回路53を介して、光源部21を点灯する。殺菌装置1は、光源部21が点灯されることで、放射状の紫外線UVが殺菌対象空間Sに照射され、殺菌対象空間Sの空気および殺菌対象空間Sに存在する物体を紫外線UVにより殺菌する。また、制御装置5は、ユーザーが端末10を操作することで、殺菌対象空間Sにおける紫外線UVの照射範囲を垂直方向において変更する場合に、垂直角度の調整に対応する操作情報に対応する第1モータ32に対する駆動制御信号に基づき、第1モータ駆動回路54を介して、第1モータ32を駆動し、光源部21を垂直方向に回動させる。また、制御装置5は、ユーザーが端末10を操作することで、殺菌対象空間Sにおける紫外線UVの照射範囲を水平方向において変更する場合に、水平角度の調整に対応する操作情報に対応する第2モータ42に対する駆動制御信号に基づき、第2モータ駆動回路55を介して、第2モータ42を駆動し、光源部21を水平方向に回動させる。つまり、ユーザーが殺菌対象空間Sに存在する物体を殺菌したい場合は、光源部21を垂直方向および水平方向に回動させることで、光源部21の紫外線UVの照射範囲を物体にまで移動させて、殺菌を行う。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る殺菌装置1(1A、1B)は、光源部21が水平方向および垂直方向に回動させることができるので、光源部21が回動できない場合と比較して、殺菌対象空間Sに対する紫外線UVの照射範囲を広くすることができる。したがって、広範囲の殺菌対象空間Sを殺菌することができるので、簡便に空間における環境改善を図ることができる。
【0055】
また、光源部21は、190nm~230nmの波長の電磁波である紫外線UVを照射するので、殺菌対象空間Sに人がいて、人に対して光源部21から紫外線UVが照射されていても、照射される紫外線が人体に対する影響が著しく低い。したがって、殺菌対象空間Sに人がいても、殺菌装置1による殺菌を安全に行える。
【0056】
なお、上記の説明においては、ユーザーが手動操作することで殺菌装置1(1A,1B)が動作するが、これに限定されるものではなく、自動操作により動作するようにしてもよい。例えば、物体の動きに反応するセンサ、例えば人感センサなどを用いて、物体の動きに連動して、紫外線UVの照射範囲が変化する連動モードを有しており、所定の物体、例えば、人がいる方向に照射方向を連動させ、紫外線UVを照射してもよい。また、制御部52は、予め設定された動作、例えば殺菌対象空間Sを構成する床や壁の全域に紫外線UVが照射される殺菌モードを有しており、所定時間、例えば、殺菌対象空間Sに人がいない時間帯となると、紫外線UVを殺菌対象空間Sに照射してもよい。
【0057】
<紫外線を自動的に照射させる位置または範囲の設定>
所望の位置や範囲(複数の位置等によって特定)に対して自動的に紫外線の照射による殺菌を行わせる場合、予め位置や範囲を設定しておく必要がある。このような位置や範囲の設定はユーザーが行う必要があることから、簡易に行えることが望まれる。
【0058】
図7は、マーカ9と、制御装置5の制御部52、端末10の制御部12、または、制御装置500の制御部502とによる制御例を示すフローチャートである。
【0059】
図7において、処理を開始すると、マーカ9側ではマーカ信号の送信を開始し(ステップS11)、制御部52等ではマーカセンサ6の信号に基づいてスキャンを行う(ステップS12)。マーカセンサ6は、例えば、上下方向(Z軸方向)は全範囲をカバーしているが、左右方向(X軸方向、Y軸方向)は全範囲をカバーしていないため、制御部52等は、アーム部31の回転を行ってスキャンを行う。スキャンによりマーカセンサ6が捕捉された場合、本体部2の回転も行われ、光源部21の光軸はマーカセンサ6を向く。
【0060】
次いで、制御部52等は、マーカ9からのマーカ信号を捕捉できたか否か判断し(ステップS13)、捕捉できていないと判断した場合(ステップS13のNo)は信号スキャン(ステップS12)から処理を繰り返す。
【0061】
制御部52等は、マーカ9からのマーカ信号を捕捉できたと判断した場合(ステップS13のYes)、操作・表示部13、503等に位置の設定を行うか否かのメッセージ等を表示し、ユーザーに設定の可否を求める(ステップS14)。
【0062】
捕捉されている位置についてユーザーが設定を望まない等により、ユーザーから操作・表示部13、503等により設定が拒否されると(ステップS14のNo)、制御部52等は、ユーザーにより設定処理の終了が指示されるか否か判断する(ステップS15)。制御部52等は、ユーザーにより設定処理の終了が指示されていないと判断した場合(ステップS15のNo)、信号スキャン(ステップS12)から処理を繰り返す。制御部52等は、ユーザーにより設定処理の終了が指示されていると判断した場合(ステップS15のYes)、処理を終了する。
【0063】
制御部52等は、ユーザーから操作・表示部13、503等により設定が許諾されると(ステップS14のYes)、現在の位置(水平角度、垂直角度)を設定(記憶)する(ステップS16)。
【0064】
そして、制御部52等は、ユーザーから操作・表示部13、503等により次の設定が要求されているか(次の設定が拒否されていないか)否か判断し(ステップS17)、要求されている(拒否されていない)と判断した場合(ステップS17のYes)、信号スキャン(ステップS12)から処理を繰り返す。
【0065】
制御部52等は、次の設定が要求されていない(拒否されている)と判断した場合(ステップS17のNo)、処理を終了する。マーカ9においてもマーカ信号の送信を終了し(ステップS18)、処理を終了する。
【0066】
<設定における紫外線の可視化>
制御部52等により殺菌装置1がマーカ9を正常に捕捉し、紫外線の照射範囲がマーカ9を向いていると信じることができれば問題はないが、ユーザーによっては本当に紫外線の照射範囲がマーカ9を向いていることを確認したい場合がある。この場合、紫外線は直接には目視で確認することができないため、何らかの補助が必要になる。
【0067】
本実施形態では、マーカ9に紫外線センサ92(
図1)が設けられ、マーカ9に紫外線が照射されていること(マーカ9に光源部21の光軸が向いていること)を検出し、操作・表示部94を介してユーザーに対してその旨を知らせることができる。
【0068】
また、本体部2には、光源部21と同じ光軸に対して可視光を発する可視光源部7(
図1)が設けられているため、ユーザーは可視光の照射位置から、紫外線の照射位置を目視により直接に知ることができる。
【0069】
<複数の位置の同時設定>
図8は、マーカ9と、制御装置5の制御部52、端末10の制御部12、または、制御装置500の制御部502とによる他の制御例を示すフローチャートである。
図8において、処理を開始すると、マーカ9側では複数のマーカ9により複数のマーカ信号の送信を開始し(ステップS21)、制御部52等では複数のマーカセンサ6からの信号について、パルスパターンに基づいて複数のマーカ信号を区別してスキャンを行う(ステップS22)。
【0070】
次いで、制御部52等は、マーカ9からのマーカ信号を捕捉できたか否か判断し(ステップS23)、捕捉できていないと判断した場合(ステップS23のNo)は信号スキャン(ステップS22)から処理を繰り返す。
【0071】
制御部52等は、マーカ9からのマーカ信号を捕捉できたと判断した場合(ステップS23のYes)、操作・表示部13、503等に位置の設定を行うか否かのメッセージ等を表示し、ユーザーに設定の可否を求める(ステップS24)。
【0072】
捕捉されている位置についてユーザーが設定を望まない等により、ユーザーから操作・表示部13、503等により設定が拒否されると(ステップS24のNo)、制御部52等は、ユーザーにより設定処理の終了が指示されるか判断する(ステップS25)。制御部52等は、ユーザーにより設定処理の終了が指示されていないと判断した場合(ステップS25のNo)、信号スキャン(ステップS22)から処理を繰り返す。制御部52等は、ユーザーにより設定処理の終了が指示されていると判断した場合(ステップS25のYes)、処理を終了する。
【0073】
制御部52等は、ユーザーから操作・表示部13、503等により設定が許諾されると(ステップS24のYes)、捕捉しているマーカ9の一つずつに光軸を合わせた上で、その際の位置(水平角度、垂直角度)を設定する(ステップS26)。
【0074】
そして、制御部52等は、ユーザーから操作・表示部13、503等により次の設定が要求されているか(次の設定が拒否されていないか)否か判断し(ステップS27)、要求されている(拒否されていない)と判断した場合(ステップS27のYes)、信号スキャン(ステップS22)から処理を繰り返す。
【0075】
制御部52等は、次の設定が要求されていない(拒否されている)と判断した場合(ステップS27のNo)、処理を終了する。マーカ9においてもマーカ信号の送信を終了し(ステップS28)、処理を終了する。
【0076】
<設定された位置または範囲に基づく自動照射>
所定のスケジュール(時刻、曜日、年月日)や人の有無(人感センサによる検出)等によって自動照射が開始され、設定された位置または範囲が読み出され、その位置や範囲に紫外線が照射される。設定情報には、複数の位置や範囲に共通の照射時間や、個々の位置や範囲ごとの照射時間、照射強度、波長、距離等を含むことができ、これらに従って紫外線の照射が行われる。
【0077】
<寿命およびエラー情報の表示>
殺菌すべき位置や範囲の設定が正常に行われ、紫外線の照射が行われたとしても、光源部21の寿命により所定の殺菌効果が期待できなかったり、殺菌装置1の故障等により正常な動作が行われなかったりする場合、施設にとっては大きな損失となる。そのため、光源部21の寿命や殺菌装置1のエラー情報を容易に確認できるようにしている。
【0078】
図9は、制御装置5の制御部52、端末10の制御部12、または、制御装置500の制御部502による寿命計算の処理例を示すフローチャートであり、寿命の取得の処理例である。
図9において、制御部52等は、処理を開始すると、光源部21の点灯を検出したか否か判断し(ステップS31)、検出してないと判断した場合(ステップS31のNo)、同判断を繰り返す。
【0079】
制御部52等は、光源部21の点灯を検出したと判断した場合(ステップS31のYes)、寿命を計算して記憶し(ステップS32)、点灯の検出の判断(ステップS31)に戻る。寿命の計算は、例えば、光源部21の総寿命(例えば、3000時間)から点灯していた時間を減算することにより行われる。
【0080】
図10は、制御装置5の制御部52、端末10の制御部12、または、制御装置500の制御部502によるエラー情報取得の処理例を示すフローチャートであり、エラー情報の取得の処理例である。
図10において、制御部52等は、処理を開始すると、殺菌装置1内でのエラー発生を検出したか否か判断し(ステップS41)、検出してないと判断した場合(ステップS41のNo)、同判断を繰り返す。
【0081】
制御部52等は、殺菌装置1内でのエラー発生を検出したと判断した場合(ステップS41のYes)、エラー情報を記憶し(ステップS42)、エラーの検出の判断(ステップS41)に戻る。エラー情報は、例えば、エラーコードである。
【0082】
図11は、制御装置5の制御部52、端末10の制御部12、または、制御装置500の制御部502による寿命またはエラー情報の表示の処理例を示すフローチャートであり、寿命・エラー情報の表示の処理例である。
図11において、制御部52等は、記憶されている寿命および・またはエラー情報を読み出し(ステップS51)、例えば表示部8(
図1)に表示する(ステップS52)。
【0083】
図12は、寿命またはエラー情報を表示する表示部8の例を示す図である。
図12において、天井壁100に固定された殺菌装置1のベース部41の下面には8セグメントのLED等による表示部8が設けられており、この表示部8に寿命および・またはエラー情報が表示される。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0085】
以上のように、実施形態に係る殺菌システムは、放射状の紫外線を照射する光源部と、光源部を水平方向に対して回動することで、光源部の水平角度を調整する水平角度調整部および/または、光源部を垂直方向に対して回動することで、光源部の垂直角度を調整する垂直角度調整部と、マーカから送信されるマーカ信号をマーカセンサにより受信し、水平角度調整部および/または垂直角度調整部の回動を制御して、マーカに光源部の光軸を向け、位置の設定要求に応じて、光源部の水平角度および/または垂直角度を記憶する制御装置とを備える。これにより、自動照射のための設定が容易となり、広範囲の殺菌対象空間を容易に殺菌することができる。
【0086】
また、マーカは、マーカに光源部の光軸が向けられて紫外線が照射されていることを検出する紫外線センサを備える。これにより、紫外線が照射される位置を正確に認識することができ、照射対象の位置や範囲の設定の作業が正確に行える。
【0087】
また、光源部の紫外線と平行に可視光を照射する可視光源を備える。これにより、紫外線が照射される位置を直接に目視することができ、照射対象の位置や範囲の設定の作業が正確に行える。
【0088】
また、光源部の寿命および/または装置のエラー情報を表示する表示部を備える。これにより、光源部の寿命や装置のエラーによって殺菌が正常に行えない事態を回避することができる。
【0089】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
1、1A、1B 殺菌装置,21 光源部,3 垂直角度調整部,4 水平角度調整部,5 制御装置,6 マーカセンサ,7 可視光源部,8 表示部,9 マーカ,92 紫外線センサ,10 端末,500 制御装置,C1 照射位置設定部,C2 照射位置制御部,C3 照射制御部,C4 マーカ検出部,C5 寿命・エラー情報管理部,C6 表示制御部