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特許7237913マーカー系、特にバキュロウイルス発現サブユニット抗原のためのマーカー系
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】マーカー系、特にバキュロウイルス発現サブユニット抗原のためのマーカー系
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/40 20060101AFI20230306BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230306BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20230306BHJP
   C12N 7/00 20060101ALN20230306BHJP
   C07K 16/10 20060101ALN20230306BHJP
   C07K 17/00 20060101ALN20230306BHJP
   C12Q 1/6804 20180101ALN20230306BHJP
【FI】
C12N15/40 ZNA
G01N33/53 N
G01N33/531 A
C12N7/00
C07K16/10
C07K17/00
C12Q1/6804 Z
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020211194
(22)【出願日】2020-12-21
(62)【分割の表示】P 2017545578の分割
【原出願日】2016-03-04
(65)【公開番号】P2021072781
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-01-19
(31)【優先権主張番号】62/128,744
(32)【優先日】2015-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503345374
【氏名又は名称】ベーリンガー・インゲルハイム・アニマル・ヘルス・ユーエスエー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOEHRINGER INGELHEIM ANIMAL HEALTH USA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100111501
【弁理士】
【氏名又は名称】滝澤 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】イヤー アルン ヴイ
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン ジョセフ ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ルーフ マイケル ビー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーン エリック マーティン
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー メリル リン
【審査官】小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】特許第6814739(JP,B2)
【文献】Vector-Borne and Zoonotic Diseases,2014年,Vol.14,pp.746-756
【文献】Vaccine,2009年11月01日,Vol.28,pp.3047-3054
【文献】Vaccine,2011年01月04日,Vol.29,pp.1830-1835
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 1/00- 7/08
C12Q 1/00- 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養スポドプテラ・フルギペルダ細胞又はスポドプテラ・フルギペルダに由来する細胞株の培養細胞中の発現系によって生成される組換えタンパク質を含む免疫原性組成物を個体が受容したか否かを決定する方法であって、個体から入手された生物学的サンプルにおいて、前記個体がスポドプテラ・フルギペルダ細胞又はスポドプテラ・フルギペルダに由来する細胞株の細胞に感染することのできるRNAウイルス由来の1以上の抗原を受容したことを示す1つ以上の抗体の有無を決定する工程を含み、前記抗体はスポドプテラ・フルギペルダ細胞又はスポドプテラ・フルギペルダに由来する細胞株の細胞に感染できるRNAウイルスに由来する1つ以上の抗原に特異的な抗体であり、前記RNAウイルスはラブドウイルス科に属するウイルスであり、前記RNAウイルスは
i)配列番号1の配列と少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、または前記配列からなるタンパク質、及び/又は
ii)配列番号7の配列と少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、または前記配列からなるタンパク質、
を含むウイルスであり、
a.前記1つ以上の抗原が、配列番号:1の配列と少なくとも90%配列同一性を有する配列を含むか又は前記配列からなるタンパク質ではなく;かつ、
b.前記1つ以上の抗原が、配列番号:7の配列と少なくとも90%配列同一性を有する配列、を含むか又は前記配列からなるタンパク質ではなく、
前記生物学的サンプル中の前記1つ以上の抗体の存在は前記個体が前記免疫原性組成物を受容したことを示す、前記方法。
【請求項2】
以下の工程を含む、請求項1に記載の方法:
a.生物学的サンプルを固体支持体に固定された捕捉試薬と接触させる工程であって、当該固定捕捉試薬が1つ以上の抗体と結合することができる、前記工程;及び
b.当該捕捉試薬に結合する前記1つ以上の抗体の有無を決定する工程であって、当該捕捉試薬に結合する前記1つ以上の抗体の存在が、前記生物学的サンプルにおける前記1つ以上の抗体の存在を示す、前記工程。
【請求項3】
ラブドウイルス科に属するRNAウイルスが以下のものである、請求項1または2に記載の方法:
以下を含む、スポドプテラ・フルギペルダ細胞又はスポドプテラ・フルギペルダに由来する細胞株の細胞に感染できるRNAウイルス:
.配列番号:1の配列と少なくとも90%配列同一性を有する配列を含むか又は配列番号:1の配列と少なくとも90%配列同一性を有する配列から成るタンパク質をコードする核酸分子、をゲノム中に含むウイルス;及び/又は
ii.配列番号:7の配列と少なくとも90%配列同一性を有する配列を含むか又は配列番号:7の配列と少なくとも90%配列同一性を有する配列から成るタンパク質を含むウイルス;及び/又は
iii.配列番号:9の配列と少なくとも90%配列同一性を有する核酸配列と逆相補性の配列を有するRNA分子、をゲノム中に含むウイルス;及び/又は
iv.配列番号:15の配列と少なくとも90%配列同一性を有する核酸配列と逆相補性の配列を有するRNA分子、をゲノム中に含むウイルス。
【請求項4】
捕捉試薬がバキュロウイルス発現タンパク質である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
組換えタンパク質に特異的な抗体、組換えタンパク質に特異的なポリペプチド、組換えタンパク質をコードするDNA配列に特異的なヌクレオチド配列から成る群から選択される1つ以上の分析物の存在を前記生物学的サンプル中で決定する工程をさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
組換えタンパク質が、PCV2 ORF2タンパク質及びインフルエンザヘマグルチニンから成る群から選択される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
生物学的サンプルが、哺乳動物又はトリから単離された、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
生物学的サンプルが、全血、血漿、血清、尿、及び口腔液から成る群から選択される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
固定捕捉試薬がマイクロタイタープレート上に被覆されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
免疫原性組成物が、バキュロウイルス発現系によって培養スポドプテラ・フルギペルダ細胞若しくはスポドプテラ・フルギペルダに由来する細胞株の培養細胞で生成される組換えタンパク質、又は、スポドプテラ・フルギペルダ細胞若しくはスポドプテラ・フルギペルダに由来する細胞株の細胞に感染できるラブドウイルス科に属するRNAウイルスに由来する1つ以上の抗原を含む免疫原性組成物である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
捕捉試薬がスポドプテラ・フルギペルダ細胞又はスポドプテラ・フルギペルダに由来する細胞株の細胞に感染できるラブドウイルス科に属するRNAウイルスのウイルス粒子及び/又はウイルス様粒子を含むか又はスポドプテラ・フルギペルダ細胞又はスポドプテラ・フルギペルダに由来する細胞株の細胞に感染できるラブドウイルス科に属するRNAウイルスのウイルス粒子及び/又はウイルス様粒子から成り、さらに下記の工程を含む前記捕捉試薬を入手する工程を含む、請求項2から9のいずれか1項に記載の方法:
i)スポドプテラ・フルギペルダ細胞又はスポドプテラ・フルギペルダに由来する細胞株の細胞に感染できるラブドウイルス科に属するRNAウイルスに感染したスポドプテラ・フルギペルダ細胞又はスポドプテラ・フルギペルダに由来する細胞株の細胞の培養物から上清を入手する工程であって、前記上清が当該RNAウイルスのウイルス粒子及び/又はウイルス様粒子を含む、前記上清を入手する工程;及び
ii)細胞デブリを前記ウイルス粒子及び/又はウイルス様粒子から少なくとも1枚のフィルターよる微小ろ過を含む分離工程を介して分離する工程。
【請求項12】
ラブドウイルス科に属するRNAウイルスが
スポドプテラ・フルギペルダ細胞又はスポドプテラ・フルギペルダに由来する細胞株の細胞に感染できるRNAウイルスであって、前記RNAウイルスのゲノムが、
i.配列番号:9の配列と少なくとも90%配列同一性を有する核酸配列と逆相補性の配列を有するRNA分子、及び/又は
ii.配列番号:15の配列と少なくとも90%配列同一性を有する核酸配列と逆相補性の配列を有するRNA分子、
を含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(配列表)本出願は37 C.F.R. 1.821-1.825にしたがい配列表を含む。本出願に付随する前記配列表は参照によりその全体が本明細書に含まれる。
(技術分野)
本発明は、感染個体とワクチン接種個体との識別を可能にするコンプライアンスマーカー及びマーカーワクチンの分野に属する。特に、本発明は、サブユニット抗原を含むワクチンのためのコンプライアンスマーカー、及びDIVA(感染動物をワクチン接種動物と識別する(Differentiating Infected from Vaccinated Animals))系に関する。前記系は、ある病原体に感染した動物と前記病原体に由来するサブユニット抗原で処置された動物とを識別することを可能にし、ここで前記サブユニット抗原は、培養昆虫細胞で、好ましくは遺伝的に操作されたバキュロウイルスの手段によって発現された抗原である。
【背景技術】
【0002】
バキュロウイルスは大きな桿形の二本鎖DNAウイルスであり、無脊椎動物(特に昆虫)に感染するが哺乳動物又は他の脊椎動物細胞では複製しない。1940年代から、まず初めにそれらは生物農薬として農地で用いられた。さらに、ヒトベータインターフェロンの昆虫細胞での過剰発現を記載した最初の論文(Smith et al. Mol Cell Biol. 3: 2156-2165, 1983)が発表されてから、遺伝的に操作されたバキュロウイルスは、昆虫細胞培養での複雑な組換えタンパク質の生成に広く用いられてきた(承認されたいくつかの人間及び獣医のサブユニットワクチンのための抗原の生成を含む(van Oers et al. J Gen Virol. 96: 6-23, 2015))。
ワクチン免疫は、特に多くの食用動物が育成される高密度の閉鎖的環境下にある動物群の健康管理のために必須のツールである。疾患の突発的発生がおそらくワクチン免疫されている動物で生じるとき、当該ワクチンが動物の防御に失敗したのか、又はワクチンが適切にデリバーされたかに関して疑問が生じる。ここで、ワクチンの適切なデリバリーに関する後者の可能性はワクチンコンプライアンスと称される。
動物が適切にワクチン免疫されたかどうかを決定するためのコンプライアンスマーカーの使用はしたがって製造者には大いに所望される。WO 2009/058835 A1は例えば精製キシラナーゼの使用を記載し、前記はブタインフルエンザワクチンにコンプライアンスマーカーとして添加された。バキュロウイルス発現サブユニット抗原を含むワクチンに関しては、バキュロウイルス抗原をコンプライアンスマーカーとして使用することが可能である。しかしながらこの場合、従来用いられている系は陽性を試験する動物に限界があり、さらに大量の抗原が必要とされる(Gerber et al. Res Vet Sci. 95:775-81, 2013;Lehnert. Top Agrar 5: S11-S14, 2011)。
【0003】
ウイルスの突発的発生及び感染を管理するためのプログラムで用いられるワクチンは、集団内のウイルス感染の持続的存在をモニターする有効な系をもたねばならない。しかしながら、ワクチン接種は、例えば血清学的手段による感染の拡大についての大規模な監視を複雑にする。なぜならば、ワクチン接種個体及び暴露個体はともに当該ウイルスに特異的な抗体を産生するからである。当該ウイルスの感染性病毒性野外株及び及びウイルスワクチンとの間の抗原類似性は、しばしば感染対象動物とワクチン免疫動物との識別を妨げる。なぜならば、ワクチン接種は感染個体とワクチン免疫個体間で識別不能の抗体の出現及び維持をもたらすからである。
DIVA(感染動物をワクチン接種動物と識別する)ワクチン免疫の戦略には世界的レベルで関心が高まっている。例えば、トリインフルエンザ株H5N1に関するWHO/FAO/OIE合同会議HPAIは、感染の拡散をモニターできるように、全てのワクチン接種はDIVAを用いて実施されることを推奨した。しかしながら、従来のDIVAの方法はスケールアップが困難であり、しばしばワクチン免疫と他の循環ウイルス株による感染との識別に関し問題を有する。
従来のモニタリングの方法は、ワクチン接種動物の物理的なタグ付加、見張り動物の使用、及びウイルス学的検査を含む。しかしながら、これらの従来方法は後方支援的及び経済的理由により多くの制限を有する。
ワクチン接種動物の物理的なタグ付加は、物理的手段(例えば耳タグ、脚バンド又は翼タグ)によるワクチン接種個体の時間を要する個体識別を必要とする。さらにまた、非ワクチン接種見張り動物の使用は後方支援的に及び経済的に困難であり、さらに、見張り動物がウイルスに感染する(例えば家禽がH5N1ウイルスに感染する)場合にはヒトへの拡散のリスクが増大するというリスクもまた存在する。個体のウイルス学的検査(生ウイルスのスクリーニング及び検出又はRT-PCR監視検査による)は非常に高価かつインフラ負担の大きいプロセスであり、前記検査はユニットワクチンには応用可能ではなく個体の現在の状態に関する情報を提供するだけで、当該個体の感染歴及び/又はワクチン接種歴の分析は許容されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、発現系によって(特にバキュロウイルス発現系によって)培養細胞で生成される組換えタンパク質を含む免疫原性組成物(特にワクチン)を個体が受容したか否かを決定する方法を提供する。
また本発明は組換えバキュロウイルスを提供する。
さらに、本発明は免疫原性組成物(以下ではまた“本発明の免疫原性組成物”と称される)を提供する。
本発明は、培養昆虫細胞でバキュロウイルス発現系によって生成される組換えタンパク質を含む免疫原性組成物を個体が受容したか否かを決定するキット、特に検査キットも提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記限界の観点から、ワクチン接種動物及び感染動物の血清学的識別を可能にするマーカーワクチンの使用は非常に好ましく、この場合、そのようなマーカーワクチンは負のマーカーワクチン又は正のマーカーワクチンとして調製できる。
負のマーカーワクチンは、病原体の抗原性部分を用いることによって、又は病原体から抗原を除去することによって調製される(前記抗原は感染動物で特異抗体を生じる)。負のマーカーワクチンは通常、サブユニットワクチン又は免疫原性抗原を欠く遺伝的に操作された株を含む弱毒化生ワクチンのどちらかである。負のマーカーワクチンの例は、例えば古典的ブタ熱に対するワクチン免疫のためのサブユニット抗原としてのバキュロウイルス発現古典的ブタ熱ウイルス(CSFV)E2タンパク質の使用である。この場合、ワクチン接種ブタの血清におけるCSFVの他の抗原(例えばERNSタンパク質又はNS3タンパク質)に特異的な抗体の検出はCSFVの感染を示す。
正のマーカーワクチンは、ワクチン接種個体で特異的な抗体を誘発するが感染個体では誘発がない追加の抗原を含む。正のマーカーワクチンアプローチの例はWO 2007/053899 A1に記載された。この場合、不活化H6N2トリインフルエンザ(A1)ウイルス及び破傷風毒素(両者は別々に製造される)がトリのワクチン免疫のために1回の注射で一つにまとめられ、続いて、前記トリから得られた血清で当該トリがワクチン免疫されたことを示すマーカーとして破傷風毒素に特異的な抗体が検出された。
しかしながら、ワクチン抗原及びマーカー抗原の両抗原を別々に製造することは比較的高価であり、さらにまた1つのワクチン免疫剤として両成分を一緒にするために混合工程が要求される(このことはまたワクチン成分/抗原の安定性に付加的な影響を与える可能性がある)。
したがって、特にバキュロウイルス発現抗原を含むサブユニットワクチンで、正のマーカーワクチンを安価に製造するために単純なマーカー系が希求される。
さらにまた、少量のバキュロウイルス発現サブユニット抗原による鋭敏なワクチン免疫識別もまた可能にする、有効なコンプライアンスマーカーが希求される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】サイズを立証するために、増幅生成物をゲルで泳動した。
図2】ベクターの線状化をチェックするために、切断挿入物及びベクターをゲルで泳動した。
図3】ウェル2、5、7、10、11及び12由来の陽性クローンの配列を決定し、コンティグを構築参照配列とアラインメントして変異をチェックした。全てのクローンが完全にマッチした。
図4】G遺伝子構築物の発現を評価するウェスタンブロット。
図5】上清、可溶性及び不溶性細胞画分を当該タンパク質についてプローブした。この時点でタンパク質は不溶性部分に存在する。
図6】定組成条件を用いてAKTA上で流したサイズ排除クロマトグラフィーの結果である。カラムのタンパク質溶出は280nmにおけるUV吸収によりモニターした。
図7】リアルタイムPCRの結果である。1列目はウェルの番号を示す。2列目は使用の特異的プローブに連結した発蛍光団6-カルボキシフルオレセイン(FAM)を示す。3列目は、サイズ排除クロマトグラフィーに由来するSfRV抗原の画分(画分A11、A12、B1、B5、B12及びC6)又は標準曲線作成に用いられた既知量のSfRV特異的核酸の標準物(ウェル7-14)を示す。ウェル15は陰性コントロール(鋳型無し)であり、ウェル16は陽性コントロールで捕捉(SEC)による分画前の濃縮SfRV抗原を含む。
図8】ELISAである。ELISAプレートを以下の4つの異なる抗原で被覆した:半精製SfRV(パネルA)、サイズ排除画分A11(パネルB)、A12(パネルC)及びB1(パネルD)。プレートは、陰性コントロール動物の血清(逆三角)又はSfRVを含む実験的ワクチンを投与した動物の21日目血清(丸)を用いてプローブした。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上記の技術的問題の解決は、発明を実施するための形態及び特許請求の範囲で特徴を示す実施態様によって達成される。
したがって、本発明は特許請求の範囲にしたがい種々の態様で実施される。
本発明は、バキュロウイルス発現抗原の製造のためにラブドウイルスに感染しているSf+細胞を使用することは、安価で効率的な正のマーカーワクチンの製造、及び容易かつ製品固有のコンプライアンスマーキング(前記は適切なサブユニットワクチンデリバリーを示す鋭敏な方法を許容する)を可能にするという驚くべき発見に基づく。
第一の特徴では、したがって本発明は、発現系によって(特にバキュロウイルス発現系によって)培養細胞で生成される組換えタンパク質を含む免疫原性組成物(特にワクチン)を個体が受容したか否かを決定する方法を提供し、前記方法は、個体から生物学的サンプルを入手する工程及び、当該個体が、昆虫細胞に感染できるRNAウイルスであるウイルスに由来する1つ以上の抗原を受容したことを示す1つ以上のマーカーの有無を前記生物学的サンプルで決定する工程を含み、ここで、前記生物学的サンプル中の前記1つ以上のマーカーの存在は、前記個体が前記免疫原性組成物を受容したことを示すか、又は前記生物学的サンプルで前記1つ以上のマーカーが存在しないことは、前記個体が前記免疫原性組成物を受容しなかったことを示す。
本明細書で用いられる“組換えタンパク質”という用語は、特に組換えDNA分子から発現されるタンパク質分子、例えば組換えDNA技術によって生成されるポリペプチドを指す。そのような技術の例には、発現されるタンパク質をコードするDNAが適切な発現ベクター(好ましくはバキュロウイルス発現ベクター)に挿入される事例が含まれる。前記ベクターは続いてトランスフェクトされるか、又はバキュロウイルス発現ベクターの場合には宿主細胞に感染して、当該DNAによってコードされるタンパク質又はポリペプチドを生成する。本明細書で用いられる“組換えタンパク質”という用語はしたがって、特に組換えDNA分子から発現されるタンパク質分子を指す。
【0008】
具体的な例にしたがえば、組換えタンパク質は以下の工程の方法によって生成される:タンパク質をコードする遺伝子をバキュロウイルス導入ベクターにクローニングする工程;当該導入ベクターを用い昆虫細胞での相同性組換えによって前記遺伝子を含む組換えバキュロウイルス調製する工程;及び当該組換えバキュロウイルスによる感染の間に当該タンパク質を昆虫細胞で発現させる工程。
また別の例にしたがえば、組換えタンパク質は昆虫細胞で組換え発現プラスミドから発現される。この代替例の場合には、バキュロウイルスは必要ではない。
“ある配列から成る組換えタンパク質”という用語はまた、特に当該ポリペプチドが発現される細胞によって影響を受ける配列の翻訳と同時の及び/又は翻訳後の1つ又は複数の任意の改変に関することはさらに理解される。したがって、本明細書に記載の“ある配列から成る組換えタンパク質”はまた、当該ポリペプチドが発現される細胞によって実行される1つ以上の改変、特にタンパク質の生合成で実行されるアミノ酸残基の改変及び/又はタンパク質プロセッシング(好ましくはグリコシル化、リン酸化及びアセチル化から成る群から選択される)を有する配列を指す。
好ましくは、本発明の組換えタンパク質は、バキュロウイルス発現系によって、特に培養細胞で生成されるか又は入手できる。
【0009】
本明細書で用いられる“発現系”という用語は、特に宿主細胞での遺伝子の発現のためのビヒクル又はベクター、および、遺伝子の宿主染色体への安定な組み込みをもたらすビヒクル又はベクターを含む。
本明細書で用いられる“バキュロウイルス発現系”という用語は特に、所望のタンパク質の発現のために設計された組換えバキュロウイルスベクターを用いて昆虫細胞で前記タンパク質を生成するための系を意味する。バキュロウイルス発現系は、一般的には、昆虫細胞で組換えタンパク質発現を達成するために必要な全てのエレメントを含み、さらに典型的には所望のタンパク質の発現のためのバキュロウイルスベクターの操作、操作されたバキュロウイルスベクターの昆虫細胞への導入、所望のタンパク質を発現させる適切な増殖培地での操作バキュロウイルスベクターを含む昆虫細胞の培養、及び当該タンパク質の回収を必要とする。典型的には、バキュロウイルスベクターの操作は、組換えバキュロウイルスの構築及び単離を必要とし、前記組換えバキュロウイルスでは選択された遺伝子のコード配列は非必須遺伝子のためのプロモーターの後ろに挿入され、ここで現在用いられているバキュロウイルス発現系の大半は、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcMNPV)の配列を土台としている(Virology 202 (2), 586-605, 1994(NCBIアクセッション番号NC_001623))。バキュロウイルス発現系は当業界で周知であり、例えば以下に記載されている:“Baculovirus Expression Vectors: A Laboratory Manual”, David R. O'Reilly, Lois Miller, Verne Luckow, Oxford Univ. Press刊, 1994;“The Baculovirus Expression System: A Laboratory Guide”, Linda A. King, R. D. Possee, Chapman & Hall刊, 1992。組換えタンパク質の生成のためのバキュロウイルス系の例示的な非限定例は、例えばWO2006/072065A2に記載されている。
【0010】
第一の特徴にしたがえば、本発明はしたがって、培養昆虫細胞で発現系によって生成された組換えタンパク質を含む免疫原性組成物を個体が受容したか否かを決定する方法を提供し(前記方法はまた以下では“本発明の方法”と呼ばれる)、ここで、前記方法は特に、昆虫細胞に感染できるRNAウイルスであるウイルスに由来する1つ以上の抗原を個体が受容したことを示す1つ以上のマーカーの有無を前記個体から入手した前記生物学的サンプル中で決定する工程を含み、ここで、前記生物学的サンプル中の前記1つ以上のマーカーの存在は、前記個体が前記免疫原性組成物を受容したことを示す。
本明細書で用いられる“昆虫細胞”はある昆虫種に由来する細胞又は細胞培養を意味する。本発明に関して特に関心のあるものは、スポドプテラ・フルギペルダ種及びトリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)種に由来する昆虫細胞である。
本明細書で用いられる“昆虫細胞に感染できるウイルス”は特に、ウイルス又は少なくともウイルスゲノムが昆虫細胞中に取り込まれる程度に昆虫細胞と相互作用できる構造を当該ウイルス表面に保持するウイルスと理解される。
より具体的には、昆虫細胞の前記感染は、ウイルスの宿主細胞への付着、ウイルスの細胞中への侵入、細胞質内でのビリオンの脱外被、ウイルスゲノムの複製及び転写、ウイルスタンパク質の発現及び新しい感染性ウイルス粒子の放出を含む。
【0011】
好ましくは、本発明の免疫原性組成物はマーカーワクチン、特に正のマーカーワクチンである。
本明細書に記載の“マーカーワクチン”という用語は特に免疫生物で免疫に至るワクチンを指し、前記は実際の病原体によって引き起こされる生物の免疫とは異なる。
“正のマーカーワクチン”は特に、ワクチン接種個体に存在する特異抗体の生成を誘発するが、感染個体では誘発しない付加抗原を含むマーカーワクチンに関する。
本発明の関係で用いられる“マーカー”という用語は、好ましくは“バイオマーカー”という用語と同等であり、特に、個体が、免疫原性組成物(好ましくは正のマーカーワクチン)、又はより具体的には正のマーカーワクチンの付加抗原(ワクチン接種対象動物で見出される特異的抗体の生成を誘発するが、感染対象動物では誘発しない)に暴露されたことを示す測定可能な物質又は化合物を指す。
本明細書で用いられるように“免疫原性組成物”という用語は特に、当該組成物に暴露された個体で免疫応答を引き出す組成物を指す。免疫応答には抗体の誘発及び/又はT細胞
応答の誘発が含まれ得る。当該組成物の意図される機能に応じて、1つ以上の抗原を含むことができる。好ましくは、本明細書に記載の免疫原性組成物はワクチンである。
本明細書で用いられる“ワクチン”という用語は、関連技術にしたがって規定され、個々の疾患に対して個体の免疫を誘発するか又は強化する組成物を指す。この目的のために、ワクチンは、当該病原体に類似する化合物又は前記疾患を惹起する前記病原体の化合物を含む。この化合物との接触に際して、個体の免疫系が始動して当該化合物を外来物質と認識しこれを破壊する。免疫系はその後この化合物との接触を記憶し、したがって当該疾患惹起病原体との以後の接触で、当該病原体の容易かつ効率的な認識及び破壊が担保される。本発明にしたがえば、当該ワクチンは、当業界で公知のワクチンの任意の処方であり得る。前記処方は、例えば筋肉内注射用ワクチン、粘膜ワクチン、又は皮下注射若しくは皮内注射用ワクチンの他に吸入用ワクチン(例えばエーロゾル)である。そのようなワクチン処方物は当業界で周知であり、例えば以下に記載されている:Neutra MR et al. 2006 Mucosal vaccines: the promise and the challenge 6(2): 148-58;又はF.P. Nijkamp, Michael J. Parnham 2011; Principles of Immunopharmacology ISBN-13: 978-3034601351。
【0012】
本発明の方法はしたがって、特に、培養昆虫細胞でバキュロウイルス発現系によって生成される組換えタンパク質を含む免疫原性組成物を個体が受容したか否かを決定する方法であり、ここで、前記方法は、当該個体が、昆虫細胞に感染できるRNAウイルスであるウイルスに由来する1つ以上の抗原を受容したことを示す1つ以上のマーカーの有無を前記個体から入手した生物学的サンプルで決定する工程を含み、ここで、前記生物学的サンプル中の前記1つ以上のマーカーの存在は、前記個体が前記免疫原性組成物を受容したことを示す。
好ましくは、生物学的サンプルは、当該個体にワクチンを接種した日から又はワクチンを接種したと思われる日からそれぞれ少なくとも14日、もっとも好ましくは14から35日後に前記個体から入手される。
好ましくは、本明細書に言う昆虫細胞は、スポドプテラ・フルギペルダ(Sf)細胞又はスポドプテラ・フルギペルダに由来する細胞株の細胞、より好ましくはSf9細胞及びSf+細胞から成る群から選択される。本明細書に言う昆虫細胞は、それぞれ好ましくはスポドプテラ・フルギペルダ(Sf)細胞又はスポドプテラ・フルギペルダに由来する細胞株の細胞、より好ましくはSf9細胞及びSf+細胞から成る群から選択される。
本明細書に言う、昆虫細胞に感染できるRNAウイルス由来の1つ以上の抗原を個体が受容したことを示す1つ以上のマーカー(以下ではまた“本発明の1つ以上のマーカー”と呼ばれる)は、好ましくは以下から成る群から選択される1つ以上のマーカーである:昆虫細胞に感染できるRNAウイルスであるウイルスに由来する1つ以上の抗原に特異的な抗体;昆虫細胞に感染できるRNAウイルスであるウイルスに由来する1つ以上の抗原;及び昆虫細胞に感染できるRNAに特異的な1つ以上の核酸分子。
もっとも好ましくは、本発明の1つ以上のマーカーは、昆虫細胞に感染できるRNAウイルスであるウイルスに由来する抗原に特異的な抗体である。
好ましくは、本明細書に記載の抗体はポリクローナル抗体である。
【0013】
本明細書で用いられるように、規定の抗原に“特異的な抗体”という用語は特に、ある抗原に結合する抗体、好ましくはポリクローナル抗体を指し、前記は、ある親和性又はKa(すなわち1/Mの単位による個々の結合相互作用の平衡結合定数)が約105M-1、106M-1、107M-1、108M-1、109M-1、1010M-1、1011M-1、1012M-1、1013M-1以上で抗原と結合する。また別には、結合親和性は、Mの単位による個々の結合相互作用の平衡解離定数(3/4)と規定される(例えば10-5Mから10-13M)。抗体の結合親和性は当業者に周知の技術を用いて容易に決定できる(例えば以下を参照されたい:Scatchard et al. (1949) Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660;米国特許5,283,173号、5,468,614号;BIACORE(商標)分析;又は同等なもの)。
本明細書に言う、昆虫細胞に感染できるRNAウイルス由来の1つ以上の抗原(以下ではまた“本発明の1つ以上の抗原”と称される)は、好ましくは配列番号:1の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有する配列を含むか又はこれらのいずれかから成るタンパク質;及び/又は配列番号:7の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有する配列を含むか又はこれらのいずれかから成るタンパク質である。
本発明の関係で言う“少なくとも90%”という用語に関して、前記用語は、好ましくは“少なくとも91%”、より好ましくは“少なくとも92%”、さらに好ましくは“少なくとも93%”、又は特に“少なくとも94%”に対応することは理解されるであろう。
本発明の関係で言う“少なくとも95%”という用語に関して、前記用語は、好ましくは“少なくとも96%”、より好ましくは“少なくとも97%”、さらに好ましくは“少なくとも98%”、又は特に“少なくとも99%”に対応することは理解されるであろう。
本明細書で用いられる“100%配列同一性を有する”という用語は、“同一である”という用語と同等であると理解される。
本明細書で用いられるように、“抗原”という用語は特に、免疫応答を引き起こすことができる任意の分子、部分又は実在物を指す。免疫応答には細胞性及び/又は液性免疫応答が含まれる。
【0014】
パーセント配列同一性は当該技術分野で承知されている意味を有し、2つのポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の同一性を測定する多数の方法が存在する。例えば以下を参照されたい:Lesk, Ed., Computational Molecular Biology, Oxford University Press, New York, 1988;Smith, Ed., Biocomputing: Informatics And Genome Projects, Academic Press, New York, 1993;Griffin & Griffin, Eds., Computer Analysis Of Sequence Data, Part I, Humana Press, New Jersey, 1994;von Heinje, Sequence Analysis In Molecular Biology, Academic Press, 1987;及びGribskov & Devereux, Eds., Sequence Analysis Primer, M Stockton Press, New York, 1991。ポリヌクレオチド又はポリペプチドをアライメントする方法は以下を含むコンピュータプログラムに示されている:GCGプログラムパッケージ(Devereux et al., Nuc. Acids Res. 12:387, 1984)、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul et al., J. Molec. Biol. 215:403, 1990)及びBestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 for Unix, Genetics Computer Group, University Research Park, 575 Science Drive, Madison, Wis. 53711)(前記はSmith and Waterman(Adv. App. Math., 2:482-489, 1981)の局所相同性アルゴリズムを利用する)。例えば、FASTAアルゴリズムを利用するコンピュータプログラムALIGNは、ギャップ空白ペナルティーが-12、ギャップ伸長ペナルティーが-2のアフィンギャップ検索により用いることができる。本発明の目的のためには、ヌクレオチド配列は、DNASTAR Inc.のMegAlignソフト、バージョン11.1.0 (59), 419のClustal W法を用い、当該プログラムで設定されたデフォルトマルチアラインメントパラメーター(ギャップペナルティー=15.0、ギャップ長ペナルティー=6.66、ディレーダイバージェントシーケンス(%)=30%、DNA転移重み=0.50、及びDNA重み行列=IUB)によりアラインメントされ、さらにタンパク質/アミノ酸配列は、それぞれDNASTAR Inc.のMegAlignソフト、バージョン11.1.0 (59), 419のClustal W法を用い、当該プログラムで設定されたデフォルトマルチアラインメントパラメーター(ギャップペナルティー=10.0、ギャップ長ペナルティー=0.2、及びディレーダイバージェントシーケンス(%)=30%によるGonnetシリーズタンパク質重み行列)によりアラインメントされる。
本明細書で用いられるように、“配列番号:Xの配列と配列同一性”という用語は、“配列番号:Xの当該長にわたる配列番号:Xの配列と配列同一性”という用語、又は“配列番号:Xの全長にわたる配列番号:Xの配列と配列同一性”という用語とそれぞれ同等であることは特に理解される。この関係では、“X”は、“配列番号:X”が本明細書に記載の配列番号のいずれかを表すように、1から24から選択される任意の整数である。
【0015】
昆虫細胞に感染できるRNAウイルスに特異的な1つ以上の核酸分子(以下ではまた“本発明の1つ以上の核酸分子”と称される)は、好ましくは以下をコードする核酸分子である:配列番号:1の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有する配列を含むか又はこれらの配列のいずれかから成るタンパク質;及び/又は配列番号:7の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、特に100%配列同一性を有する配列を含むか又はこれらの配列のいずれかから成るタンパク質;及び/又は配列番号:9の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有する核酸配列と逆相補性の配列を有するRNA;及び/又は配列番号:15の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有する核酸配列と逆相補性の配列。
好ましくは、本発明の方法は、生物学的サンプルを固体支持体に固定された捕捉試薬と接触させる工程(当該固定捕捉試薬は本発明の1つ以上のマーカーと結合できる);及び当該捕捉試薬と結合する前記1つ以上のマーカーの有無を決定する工程(ここで当該捕捉試薬と結合する前記1つ以上のマーカーの存在は、前記生物学的サンプル中の前記1つ以上のマーカーの存在を示す)を含む。
本明細書で用いられる“捕捉試薬”という用語は特に、マーカーと結合できる分子又は多重分子複合体を指す。捕捉試薬は、実質的に特異的な態様で(好ましくは105M-1を超える又は好ましくは106M-1を超える親和性又はKaで)マーカーと結合できる。捕捉試薬は、場合によって天然に存在する生物分子、組換え生物分子又は合成生物分子であり得る。タンパク質及び核酸リガンド(アプタマー)は捕捉試薬として非常に適切である。ウイルス体全体若しくはウイルスフラグメント又は合成ペプチドは抗体と結合できるので、前記もまた好ましい捕捉試薬として機能し得る。
【0016】
本明細書で用いられるように、“固定”という用語は特に、捕捉試薬がある表面(例えば固体支持体)に任意の態様又は任意の方法で(可逆的又は不可逆的結合、共有結合的又は非共有結合的付着などを含む)付着させることができることを意味する。
本明細書に言う、固体支持体に固定される捕捉試薬及び本発明の1つ以上のマーカーに結合できる捕捉試薬(以下ではまた“本発明の捕捉試薬”と称される)は、好ましくは以下から成る群から選択される:配列番号:1から6のいずれか1つの配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はこれらの配列のいずれかから成るタンパク質;配列番号:7又は配列番号:8の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はこれらのアミノ酸配列のいずれかから成るタンパク質;昆虫細胞に感染できるRNAウイルス(前記ウイルスは場合によって不活化されてある);配列番号:9の配列に特徴的な配列と特異的にハイブリダイズできるオリゴヌクレオチド;及び配列番号:15の配列に特徴的な配列と特異的にハイブリダイズできるオリゴヌクレオチド。
本明細書に記載の“特異的ハイブリダイゼーション”という用語は特にストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションに関する。前記ハイブリダイゼーション条件は、例えば以下の文献に記載された通常的なプロトコルにしたがって確立することができる:Sambrook, “Molecular Cloning, A Laboratory Handbook”, 2nd edition, 1989, CSH Press, Cold Spring Harbor, N. Y.;Ausubel,“Current Protocols in Molecular Biology”, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y., 1989;又はHiggins and Hames (eds) “Nucleic acid hybridization, a practical approach” IRL Press Oxford, Washington DC, 1985。特異的ハイブリダイゼーション条件の例は、4xSSC及び0.1%のSDS中で65℃のハイブリダイゼーションとその後に続く0.1xSSC及び0.1%のSDS中で65℃の洗浄である。また別には、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、例えば42℃での50%ホルムアミド、4xSSCである。
【0017】
本明細書に言う、“固体支持体”という用語は非流動物質を指し、例えば以下の物質から作製されるチップ、容器、及び粒子(微粒子及びビーズを含む)を含む:ポリマー、金属(常磁性粒子、強磁性粒子)、ガラス、及びセラミック;ゲル物質、例えばシリカ、アルミナ及びポリマーゲル;キャピラリー(ポリマー、金属、ガラス、及び/又はセラミックから作製し得る);沸石及び他の多孔性物質;電極;マイクロタイタープレート;固体細片;及びキュベット、チューブ又は他の分光光度計サンプル容器。あるアッセイの固体支持体成分は、当該アッセイが接触し得る不活性固体表面とは、“固体支持体”はその表面に少なくとも1つの部分(前記部分は捕捉試薬と直接又は間接的に相互作用することが意図される)を含むという点で区別される。固体支持体は無変化成分でもよく(例えばチューブ、細片、キュベット、又はマイクロタイタープレート)、又は変化する成分(例えばビーズ及び微粒子)でもよい。微粒子はまた均質アッセイ様式のための固体支持体として用いることができる。タンパク質及び他の物質の非共有結合的又は共有結合的付着を可能にする多様な微粒子を用いることができる。そのような粒子には、ポリマー粒子(例えばポリスチレン及びポリ(メチルメタクリレート));金粒子(例えば金ナノ粒子及び金コロイド);及びセラミック粒子(例えばシリカ、ガラス);及び酸化金属粒子が含まれる。例えば以下を参照されたい:Martin, C.R., et al., Analytical Chemistry-News & Features 70, 1998, 322A-327A(前記は参照により本明細書に含まれる)。
“チップ”は固体の無孔性材料であり、例えば金属、ガラス又はプラスチックである。前記材料は場合によって完全に又は一定の領域を被覆することができる。前記材料の表面に、任意のスポットアレーが目視できるように又は格子状に存在する。各スポットに所定のポリペプチドを(当該材料の表面に対しリンカー又はスペーサーを用いて又は用いないで)固定できる。
【0018】
本明細書に言う、昆虫細胞に感染できるRNAウイルス(以下ではまた“本発明のRNAウイルス”と称される)は好ましくは以下である:(-)ssRNAウイルスであり場合によってラブドウイルス科に属するウイルス;及び/又は配列番号:1の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記アミノ酸配列のいずれかから成るタンパク質を含むウイルス;及び/又は配列番号:7の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記アミノ酸配列のいずれかから成るタンパク質を含むウイルス;及び/又は、配列番号:1の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、特に100%配列同一性を有する配列を含むか又はこれらの配列のいずれかから成るタンパク質、をコードする核酸分子を含むそのゲノム中にウイルス;及び/又は配列番号:7の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、特に100%配列同一性を有する配列を含むか又はこれらの配列のいずれかから成るタンパク質、をコードする核酸分子をそのゲノム中に含むウイルス;及び/又は配列番号:9の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、特に100%配列同一性を有する核酸配列と逆相補性の配列を有するRNA分子、をそのゲノム中に含むウイルス;及び/又は配列番号:15の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、特に100%配列同一性を有する核酸配列と逆相補性の配列を有するRNA分子、をそのゲノム中に含むウイルス。
配列表の全てのヌクレオチド配列は5’-3’方向で示されている。配列番号:9及び配列番号:15の配列は正の極性を有するcDNA(+鎖)をコードする。“逆相補性”という用語は、配列が参照配列に対してアンチパラレルであることを意味する。
本発明のRNAウイルスは、昆虫細胞で少なくとも2週間以上、好ましくは少なくとも3週間複製できる。
【0019】
好ましくは、本発明の方法は、本発明の1つ以上のマーカーの有無を生物学的サンプルで決定する工程を含み、ここで前記マーカーは、配列番号:1の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有する配列を含むか又は前記配列のいずれかから成るタンパク質に特異的な抗体、又は配列番号:7の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、特に100%配列同一性を有する配列を含むか又は前記配列のいずれかから成るタンパク質に特異的な抗体であり、前記方法は以下の工程を含む:
a.当該生物学的サンプルを固体支持体に固定された捕捉試薬と接触させる工程であって、当該捕捉試薬が、配列番号:1から6のいずれか1つの配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有する配列、又は配列番号:7若しくは配列番号:8の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有する配列を含むか又は前記配列のいずれかから成るタンパク質;配列番号:1の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記配列のいずれかから成るタンパク質を含む、及び/又は配列番号:7の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記配列のいずれかから成るタンパク質を含む、不活化されていてもよいウイルス;配列番号:1の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記アミノ酸配列のいずれかから成るタンパク質、及び/又は配列番号:7の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有する配列を含むか又は前記配列のいずれかから成るタンパク質、をコードする核酸分子をそのゲノム中に含むウイルスであって、不活化されていてもよいウイルス;配列番号:9の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有する核酸配列と逆相補性の配列、及び/又は配列番号:15の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有する核酸配列と逆相補性の配列、を含むRNA分子をそのゲノム中に含むウイルスであって、前記ウイルスが不活化されていてもよいウイルスから成る群から選択される、前記工程;
b.当該生物学的サンプルを当該固定捕捉試薬から分離する工程;
c.当該固定捕捉試薬-抗体複合体を、当該試薬-抗体複合体の抗体に結合する検出可能な薬剤と接触させる工程;及び
d.当該検出可能な薬剤のための検出手段を用いて、当該捕捉試薬に結合した抗体のレベルを測定する工程、ここで前記測定工程(d)は、当該捕捉試薬に結合した抗体のレベルを決定するために好ましくはさらに標準曲線との比較を含む。
【0020】
好ましくは、試薬-抗体複合体の抗体に結合する前記検出可能な薬剤は検出可能抗体、より好ましくは標識二次抗体である。
本明細書に記載の捕捉試薬は、好ましくはバキュロウイルス発現タンパク質であり、前記バキュロウイルス発現タンパク質は、好ましくは本発明のバキュロウイルス(前記は本明細書の下記に記載される)によって発現される。
本発明の別の好ましい特徴にしたがえば、本発明の1つ以上のマーカーはまた、本発明のRNAウイルスに特異的な1つ以上のT細胞及び/又は本発明のRNAウイルスに特異的な1つ以上のB細胞、及び/又は前記は本発明の1つ以上の抗原を提示する抗原提示細胞である。前記1つ以上のB細胞及び/又は前記1つ以上のT細胞及び/又は前記1つ以上の抗原提示細胞の有無は、好ましくはフローサイトメトリー分析の手段によって決定され、特に本発明の1つ以上の蛍光標識抗原が、前記1つ以上のB細胞及び/又は前記1つ以上のT細胞の標識に用いられ、及び/又は本発明のRNAウイルスに特異的な蛍光標識抗体が前記1つ以上の抗原提示細胞の標識に用いられる。
本明細書に言う、培養昆虫細胞で発現系によって生成される組換えタンパク質(以下ではまた“本発明の組換えタンパク質”と称される)は、好ましくはPCV2 ORF2タンパク質であり、前記PCV2 ORF2タンパク質は、特に、配列番号:23の配列と少なくとも90%、好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも93%、又は特に少なくとも94%、又は少なくとも95%配列同一性を有するタンパク質である。
別の好ましい特徴にしたがえば、本発明の組換えタンパク質はインフルエンザヘマグルチニン、特にトリインフルエンザヘマグルチニンであり、ここで前記トリインフルエンザヘマグルチニンは、好ましくはH5N1ウイルスのH5タンパク質であり、ここで前記H5N1ウイルスのH5タンパク質は、より好ましくは配列番号:24の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記アミノ酸配列のいずれかから成るタンパク質である。
【0021】
本発明の方法は、好ましくはさらに、以下から選択される1つ以上の分析物の存在を生物学的サンプルで決定する工程を含む:本発明の組換えタンパク質に特異的な抗体、本発明の組換えタンパク質に特異的なポリペプチド、本発明の組換えタンパク質をコードするDNAに特異的なヌクレオチド配列。
本発明の方法の関係では、免疫原性組成物は好ましくは下記に記載する免疫原性組成物である。
本明細書で用いられる“生物学的サンプル”という用語は、個体(例えばブタ又はトリ)から採取される任意のサンプルを指し、細胞含有体液、末梢血、血漿又は血清、唾液、組織ホモジネート、肺及び他の器官の吸引物、並びに洗浄液及び浣腸溶液、並びに人間又は動物から入手できる他の供給源が含まれるが、これらに限定されない。例えば、“生物学的サンプル”の例には、血液、細胞、糞便、下痢、乳、粘液、痰、膿、唾液、精液、汗、涙液、尿、涙液、眼液、膣分泌物及び吐物(当該動物で存在する場合)が含まれる。
本明細書で言及する生物学的サンプルは、哺乳動物又はトリ(好ましくはブタ又はニワトリ(Gallus gallus domesticus))から単離されてあり、及び/又は特に全血、血漿、血清、尿、及び口腔液から成る群から選択される。本明細書では、“serum(漿液、血清)”という用語は“blood serum(血清)”と同義であることを意味する。
本明細書で用いられる“口腔液”という用語は、特に個々に又は組み合わされて口腔で見出される1つ以上の液体を指す。これらには唾液及び粘膜漏出物が含まれる(ただし前記に限定されない)。口腔液は特に多数の供給源(例えば耳下腺、顎下腺、舌下腺、付属腺、歯肉粘膜、頬粘膜)に由来する液体の組合せを含むことができることは理解され、“口腔液”という用語は、これら供給源の各々に由来する個々の又は組み合わされた液体を含む。“唾液”という用語は、口腔液の組合せ(例えば典型的には口内で特に咀嚼後に見出される)を指す。本明細書で用いられる“粘膜漏出物”という用語は、漿液成分の口腔粘膜間質から口腔中への受動的拡散によって生じる液体を指す。粘膜漏出物はしばしば唾液の一成分を形成する。
本明細書に記載する固定捕捉試薬は、好ましくはマイクロタイタープレートに、特にELISAリーダーによって読み取ることができるマイクロタイタープレートに被覆される。
【0022】
別の特徴にしたがえば、本発明は組換えバキュロウイルスを提供し、ここで、前記バキュロウイルスは、配列番号:1から6のいずれか1つの配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記アミノ酸配列のいずれかから成るタンパク質、及び/又は配列番号:7若しくは配列番号:8の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記アミノ酸配列のいずれかから成るタンパク質、をコードするDNA配列を含むか;及び/又は前記バキュロウイルスは、配列番号:9から14のいずれか1つの配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有する配列、及び/又は配列番号:15若しくは配列番号:16の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有する配列、を含むか又は前記配列のいずれかから成るDNA配列を含む。
本発明はベクター、特に導入ベクターを提供し、前記は、配列番号:1から6のいずれか1つの配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記アミノ酸配列のいずれかから成るタンパク質、及び/又は配列番号:7若しくは配列番号:8の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記アミノ酸配列のいずれかから成るタンパク質、をコードするDNA配列を含むか;及び/又は前記は、配列番号:9から14のいずれか1つの配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するDNA配列、及び/又は配列番号:15若しくは配列番号:16の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するDNA配列を含む。
本発明の関係で導入ベクターは好ましくは“バキュロウイルス導入ベクター”である。
“導入ベクター”という用語は当該技術分野で承知され、第二の核酸が連結されてある第一の核酸を指し、例えばプラスミド、コスミド又はファージが含まれる。
【0023】
ある種の実施態様では、導入ベクターは“発現ベクター”でもよい。発現ベクターは、所望のタンパク質をコードするDNAを発現するために用いられる複製可能なDNA構築物を指し、(i)遺伝子発現で調節的役割を有する遺伝的エレメント(例えばプロモーター、オペレーター又はエンハンサー)、(ii)(i)と作動できるように連結される、mRNAに転写されタンパク質に翻訳される所望のタンパク質をコードするDNA配列、及び(iii)適切な転写及び翻訳開始配列並びに終止配列の集合物を含む転写ユニットを含む。プロモーター及び他の調節エレメントの選択は、一般的には意図される宿主細胞に応じて変動する。一般的には、組換えDNA技術で有用な発現ベクターはしばしば“プラスミド”の形態を有し、プラスミドは環状二本鎖DNAループを指し、前記はそのベクター型では染色体に結合しない。本発明は、等価の機能を供しこれに関してその後に当該技術分野で公知となる発現ベクターの他の型を含むことを意図する。
ある種の導入ベクターは転写又は翻訳を制御する調節エレメントを含むことができ、前記エレメントは、一般的には哺乳動物、微生物、ウイルス又は昆虫の遺伝子に由来し得る。宿主中で複製する能力は通常複製起点によって付与され、形質転換体の識別を容易にする選別遺伝子を付加的に取り込ませることができる。
ウイルスに由来する導入ベクター(“ウイルスベクター”と称することができる)を本発明のある種の実施態様で用いることができる。いくつかの例には、バキュロウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスなどが含まれる。ウイルスベクター(特にバキュロウイルスベクター、例えばバキュロウイルス導入ベクター)が、本発明にしたがえば特に好ましい。発現ベクターに関しては、ウイルスベクターは調節エレメントを含むことができる。
いずれの導入ベクターの設計も、形質転換されるべき宿主及び/又は発現を所望されるタンパク質のタイプの選択のような要件に左右され得る。さらにまた、ベクターのコピー数、ベクターによってコードされる任意の他のタンパク質(例えば抗生物質マーカー(例えばアンピシリン))のコピー数及び発現を制御する能力もまた斟酌することができる。
【0024】
さらにまた別の特徴では、本発明は免疫原性組成物(以下ではまた“本発明の免疫原性組成物”と称される)を提供する。前記組成物は、培養昆虫細胞でバキュロウイルス発現系によって生成される組換えタンパク質及び本発明のRNAウイルスに由来する1つ以上の抗原を含み、ここで前記ウイルスは好ましくは不活化されており、さらに前記組換えタンパク質は、好ましくは以下から成る群から選択される:PCV2 ORF2タンパク質であって、好ましくは、配列番号:23の配列と少なくとも90%、好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも93%、又は特に少なくとも94%、又は少なくとも95%配列同一性を有する配列を含むか又は前記配列のいずれかから成るタンパク質;及びインフルエンザヘマグルチニン、特にトリインフルエンザヘマグルチニン、好ましくはH5N1ウイルスのH5タンパク質、より好ましくは配列番号:24の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記アミノ酸配列のいずれかから成るタンパク質;及び配列番号:1から8のいずれか1つの配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記アミノ酸配列のいずれかから成るタンパク質。
本明細書で用いられる“不活化された”という用語は、哺乳動物宿主に投与されたときに当該抗原が疾患を惹起しないこと、又は宿主細胞で複製しないことを意味する。
多様な物理的及び化学的不活化方法が当業界で公知である。“不活化された”という用語は、以前に病毒性又は非病毒性のウイルスが、照射され(紫外線(UV)、X-線、電子ビーム又はガンマ照射)、加熱され、又は化学的に処理されて、不活化し死滅するが、一方、その免疫原性を維持することを指す。ある実施態様では、本明細書に開示する不活化ウイルスは不活化剤で処理することによって不活化される。適切な不活化剤には、ベータ-プロピオラクトン、バイナリエチレンイミン又はベータ-エチレンイミン又はアセチル-エチレンイミン、グルタルアルデヒド、オゾン、及びホルマリン(ホルムアルデヒド)が含まれる。
ホルマリン又はホルムアルデヒドによる不活化のためには、ホルムアルデヒドは典型的には水及びメチルアルコールと混合されてホルマリンを生じる。メチルアルコールの添加は、不活化プロセス時の分解又は架橋を防止する。
より具体的には、“不活化された”という用語は、ウイルスがin vivo又はin vitroで複製不能であることを意味する。例えば、“不活化された”という用語は、in vitroで増殖していたウイルスが、化学的又は物理的手段を用いてもはや複製できないように脱活性化されてあるウイルスを指すことができる。
好ましくは、不活化されてある本発明のウイルスは、バイナリエチレンイミン(BEI)で不活化されたウイルスである。
【0025】
本発明はさらに本発明の免疫原性組成物を製造する方法を提供し、前記方法は、前記組換えタンパク質をコードする組換えバキュロウイルスを昆虫細胞に導入する工程(前記昆虫細胞は昆虫細胞に感染できる前記RNAウイルスに感染している)、前記組換えバキュロウイルス及び前記RNAウイルスを保持する前記昆虫細胞を培養する工程、及び前記組換えタンパク質及び前記ウイルスを好ましくは上清で回収する工程を含み、さらに好ましくは、前記方法は、前記組換えタンパク質をコードするDNA配列を、バキュロウイルスのゲノムに前記配列を導入することができる導入ベクターに挿入する最初の工程をさらに含み、それによって組換えバキュロウイルス生成する。
さらに別の特徴にしたがえば、本発明は、培養昆虫細胞でバキュロウイルス発現系によって生成される組換えタンパク質を含む免疫原性組成物を個体が受容したか否かを決定するキット、特に検査キットを提供する。前記キットは、固体支持体に固定された1つ以上の捕捉試薬を含み、当該1つ以上の固定捕捉試薬は、本発明の1つ以上の抗原に特異的な抗体、本発明のRNAウイルスに由来する1つ以上の抗原、及び本発明の1つ以上の核酸分子から成る群から選択される1つ以上のマーカーと結合することができ、さらに前記1つ以上の捕捉試薬は、好ましくは以下から成る群から選択される:配列番号:1から6のいずれか1つの配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、又は特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記アミノ酸配列のいずれかから成るタンパク質;配列番号:7又は配列番号:8の配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、特に100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記アミノ酸配列のいずれかから成るタンパク質;昆虫細胞に感染できるRNAウイルス(前記ウイルスは場合によって不活化されてある);配列番号:9の配列に特徴的な配列と特異的にハイブリダイズできるオリゴヌクレオチド;及び配列番号:15の配列に特徴的な配列と特異的にハイブリダイズできるオリゴヌクレオチド。
さらにまた、本発明はプライマー又はプライマー対を提供し、それぞれ配列番号:17から22のいずれか1つの配列と少なくとも90%、又は好ましくは少なくとも95%配列同一性を有する配列から成る群から選択される。
【0026】
別の特徴にしたがえば、本発明の捕捉試薬は、昆虫細胞に感染できるRNAウイルスのウイルス粒子及び/又はウイルス様粒子を含むか、又は昆虫細胞に感染できるRNAウイルスのウイルス粒子及び/又はウイルス様粒子から成る。昆虫細胞に感染できる前記RNAウイルスは好ましくは本発明のRNAウイルスであり、さらに前記捕捉試薬は以下の工程を含む方法によって入手される:
i)RNAウイルス、好ましくは本発明のRNAウイルスに感染した昆虫細胞の培養物から上清を入手する工程であって、前記上清が当該RNAウイルスのウイルス粒子及び/又はウイルス様粒子を含み、前記昆虫細胞は、好ましくはバキュロウイルスに感染されていないか、及び/又は好ましくはプラスミドでトランスフェクトされていない、前記工程;
ii)細胞デブリを前記ウイルス粒子及び/又はウイルス様粒子から、少なくとも1枚のフィルター、好ましくは2枚のフィルターによる微小ろ過を含む分離工程を介して分離する工程であって、当該少なくとも1枚のフィルターが、好ましくは前記ウイルス粒子及び/又はウイルス様粒子よりも大きな孔サイズ、特に約0.1μmから約4μm、好ましくは約0.2μmから約2μmの孔サイズを有する、前記分離工程、及びろ液を収集する工程;
iii)及び場合によって、前記ウイルス粒子及び/又はウイルス様粒子を含むii)のろ液をサイズ排除クロマトグラフィーに付す工程であって、好ましくは当該溶離液中のタンパク質の存在が260nm又は280nmで溶離液の光の吸収(A260又はA280)を測定することによって測定され、最初のA260又はA280のピークを示す溶離液が収集される、前記工程。
さらにまた、本発明は前記捕捉試薬を含む組成物を提供し、ここで前記組成物は前記方法によって入手される。
本明細書に記載するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)では、分子は不活性な多孔性媒体(特に不活性なゲル媒体)の充填床のサイズにしたがって分離される。前記媒体は、好ましくは架橋多糖類、例えば架橋アガロース及びデキストランの球状ビーズ形の合成物である。膨潤ゲルビーズの最大孔より大きな分子はゲルビーズ中には入らず、したがってクロマトグラフィー床を通り抜けて最も速く移動する。より小さな分子では(それらのサイズ及び形状に応じて様々な程度でゲルビーズに進入する)、床の通過は遅くなる。分子はしたがって、一般的には分子サイズの減少順に溶出される。本明細書に記載のサイズ排除クロマトグラフィーに適切な媒体を含むSECカラムは、好ましくはHiPrep 26/60 Sephacryl S300HRカラム(GE Healthcare Bio-Sciences)である。
最初のA260又はA280のピークを示す溶離液は、ii)のろ液に含まれる最大のタンパク質構造物を含むii)のろ液の画分であることは特に理解される。したがって、最初のA260又はA280のピークを示す溶離液は、当該ii)のろ液に含まれるウイルス粒子及び/又はウイルス様粒子の大半を含む溶離液又はその部分である。
実施例
以下の実施例は本発明を例証することのみを意図する。それらは如何なる態様でも特許請求の範囲を制限しない。
【実施例1】
【0027】
ラブドウイルスによるSf細胞の感染、半精製ラブドウイルスの作製、並びにラブドウイルス抗原のクローニング及び発現
SF+及びSf9細胞のラブドウイルス(以下ではまたSfRV又はSFRV(Sf細胞ラブドウイルス)と称する)による感染を確認するために、固有の5’及び3’制限部位を挿入する目的でSFRV G及びN遺伝子の増幅ためのプライマーを設計した。加えて、3’末端プライマーはタバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ切断部位とその後に続く6Xヒスチジンタグを付加するために設計した。前記操作は、Hisタグを用いて発現タンパク質をニッケルカラムで精製し、続いてTEVプロテアーゼを用いてHisタグを切断して自然のままのG又はNタンパク質の生成を可能にするために実施された。
G遺伝子構築物(配列番号:1の配列を含む)のために用いられるプライマーの配列は配列番号:17及び18に示す配列であり、G遺伝子構築のための核酸の配列は配列番号:12に提供され、G遺伝子構築物のためのアミノ酸配列は配列番号:4の配列である。
N遺伝子構築物(配列番号:7の配列を含む)のために用いられるプライマーの配列は配列番号:21及び22に示す配列であり、N遺伝子構築のための核酸の配列は配列番号:16に提供され、N遺伝子構築物のためのアミノ酸配列は配列番号:8の配列である。
さらにまた、SFRV G糖タンパク質のトランスメンブレンドメイン及び細胞内ドメインは、TMpred(http://www.ch.embnet.org/software/TMPRED_form.html)(前記は下記に記載されている:K. Hofmann & W. Stoffel (1993)TMbase - A database of membrane spanning proteins segments, Biol. Chem. Hoppe-Seyler 374,166)、TMHMM (http://www.cbs.dtu.dk/services/ TMHMM/)(前記TMHMMは隠れマルコフモデル(Moller S1, Croning MD, Apweiler R., Evaluation of methods for the prediction of membrane spanning regions, Bioinformatics (2001) 17 (7): 646-653)を用いる)、及びSOSUI (http://harrier.nagahama-i-bio.ac.jp/sosui/)を用いて予測した。TMpred及びTMHMMの結果に基づいて、SERV G配列はアミノ酸550で終了させ、TEV切断部位、6X Hisタグ及びPstI部位を付加した。
そのようなG構築物(配列番号:2の配列を含む)のために有用なプライマーの配列は配列番号:17及び19に示す配列であり、当該G遺伝子構築物のための核酸の配列は配列番号:13に提供され、当該G遺伝子構築物のためのアミノ酸配列は配列番号:5の配列である。
【0028】
さらにまた、ミツバチのメリチン分泌シグナルの配列を切詰めたSFRV G配列(Chouljenko et al. J Virol, 84:8596-8606, 2010;Tessier et al. Gene. 98:177-83, 1991)の配列に融合させた(前記メリチン配列は、TEV切断部位及び6X Hisを有する完全長のSERV Gに、そのN末端を置き換えることによって付加した)。そのようなG遺伝子構築物(配列番号:3の配列を含む)のために有用なプライマーの配列は配列番号:20及び18に示す配列であり、当該G遺伝子構築物のための核酸の配列は配列番号:14に提供され、当該G遺伝子構築物のアミノ酸配列は配列番号:6の配列である。
GenBank(アクセッション番号KF947078)に寄託されたMAら(J Virol. 88: 6576-6585, 2014)のSFRVの全ゲノム配列をプライマー設計のための基礎として用いた。同様に、TEV切断部位のために、利用可能な公表情報に基づいて配列ENLYFQGを用いた。
Sf9(付着性細胞)及びSf+細胞(浮遊細胞)の増殖で用いた使用済み培地からSFRVを精製した。すなわち、SFRVを感染させ通常的に増殖させたSf9及びSf+細胞から使用済み培地を収集し、0.2ミクロンフィルターでろ過して細胞デブリを除去した。続いてろ液をNaCl-Tris HCl-EDTA(NTE)緩衝液(pH7.4)中の30%ショ糖クッションにロードし、3時間4℃で32,000rpmの超遠心分離に付した。注意深く上清を吸引し、ペレットを再水和してTNE緩衝液に再懸濁した。総タンパク質含有量をナノドロップマシーンで測定し、アリコットにロット番号を割りあて、更なる使用まで-70℃より下で凍結した。この抗原調製物は、下記に記載するELISAプレート被覆のための半精製ウイルスを含んでいた。
使用済みSF9培地をSFRVウイルスRNA抽出の供給源として用いた。QIAampウイルスRNA抽出キット(Qiagen)を製造業者の指示にしたがって用いた。
G及びN遺伝子を増幅するために、一工程スーパースクリプト(Superscript)IIIキットを製造業者の指示にしたがって用いた。グラジエントRT-PCRを以下の条件で用いた:60℃で30分の1サイクル(RT工程)、続いて94℃で2分の1サイクル。前記の後に94℃で15秒の40サイクル、75℃-50℃で60秒のアニーリンググラジエント、続いて68℃で2分の伸長。最後に、反応を68℃で5分の単一サイクル及び4℃の無制限保持に付した。
増幅生成物をゲルで泳動しサイズを検証した。予想サイズのゲルバンドをゲルから切り出し、Qiaquickゲル抽出キットを製造業者の指示にしたがって用いて精製した(図1)。
以下では、G遺伝子(配列番号:1の配列を含む)を用いる更なる作業のみが記載される。
【0029】
約1.6kbの予想サイズを有する増幅G遺伝子(図1の上部バンド)を切り出し、先に記載したようにゲル抽出した。続いて前記をEcoRI及びPstI制限酵素で切断した。切断生成物は挿入物である。同様に、バキュロウイルス導入ベクタープラスミドpVL1393(Pharmingen)をEcoRI及びPstI制限酵素で切断してベクターを作製した。切断挿入物及びベクターをゲルで泳動し(図2参照)、ベクターの線状化を確かめた。バンドを切り出してゲル抽出し、当該ベクターを脱リン酸化した。当該挿入物(EcoR1-Pst1切断SFRV-G構築物)をベクター(EcoR1-Pst1切断pVL1393、脱リン酸化)にクローニングし、標準的手順を用いて連結した。
連結生成物を用いて大腸菌(E. coli)細胞(ワンショットマックスエフィシェンシーDH5aケミカルコンピテントセル(Invitrogen))を形質転換し、アンピシリンを含むLB寒天に細胞をプレートした。次の日にコロニーを採取し、コロニーPCRを用いてプラスミドの取り込みについてスクリーニングしクローン番号を割り当てた。
コロニーPCRの反応条件は以下のとおりであった:98℃で3分の1サイクル、続いて98℃で30秒の変性、58℃で30秒のアニーリング及び72℃で2分の伸長の34サイクル。前記の工程の後に72℃で10分の最終伸長工程及び4℃の最終保持が続いた。
PCR生成物をアガロースゲルで泳動し、プラスミドを含むクローンを同定した(図3参照)。
続いて陽性クローンをLB-アンピシリンブロスで増殖させ、Qiaprepミニプレッププラスミド精製キット(Qiagen)を製造業者の指示にしたがって用いプラスミドを培養から精製した。このようにして作製した導入ベクターはSFRV G遺伝子構築物を含み、アリコットに分割してロット番号を割り当てた。
SFRV G遺伝子構築物を発現する組換えバキュロウイルスを作製するために、当該導入ベクターを線状化flashBAC ULTRAバキュロウイルス骨格DNA(Genway biotech)と一緒にSf9細胞にESCORTトランスフェクション試薬(SAFC)を用いてコトランスフェクトした。1週間後、トランスフェクション由来の上清(pO)を新しいSf9細胞に接種して、生成された一切の組換えバキュロウイルスを増幅させた。
トランスフェクション由来の細胞ペレットを収集してSDSゲルで泳動し、ウェスタンブロットのためにニトロセルロース膜に移した。タンパク質を抗His抗体(Invitrogen)でプローブした。予想されたタンパク質サイズは約71.5KDaである。ゲル(図4)は、62KDaマーカー点とその上に2つの接近したバンドを5つの被検クローン(2、5、7、10及び11)全てについて示すが、細胞コントロール(cc)レーンではバンドは存在しない。
組換えウイルスのクローン2及び5をさらに継代し、スピンナーフラスコで増殖させ、Sf+浮遊培養でタンパク質を大量生産した。上清、可溶性及び不溶性細胞画分を当該タンパク質について探索した。この時点で、タンパク質は不溶性画分にのみ存在した(図5)。結果として、SFRV G糖タンパク質のC-末端切詰め形態がELISAアッセイで使用される次の工程として生成される。
【実施例2】
【0030】
ELISAの開発
ELISAを開発して、SFRV感染Sf細胞で発現されたPCV2又は他のサブユニットワクチンバキュロウイルスをワクチン接種した動物のSFRVに対する抗体応答の存在を評価した。略記すれば、Sf9又はSf+細胞上清に由来する半精製SFRV抗原(上記に記載)の250ng/ウェルでELISAプレートを被覆した。
-被覆は、抗原を炭酸-重炭酸緩衝液(pH9.0)で希釈し最終濃度250ng/ウェルを得ることによって実施した。被覆は4℃で一晩実施した。
-次の日にプレートをPBS-Tween(PBST)で洗浄し、10%乳により1時間室温でブロックした。
-PCV2サブユニット抗原、SFRV感染Sf細胞発現バキュロウイルスでワクチン免疫した動物に由来する1:100希釈血清、又は非ワクチン接種コントロールを用いてプレートをプローブした(データセクション参照)。
-プレートを37℃で1時間インキュベートし、続いてPBSTで5回洗浄して未結合抗体を除去した。
-続いて1:10,000希釈の二次抗体(ヤギ抗ブタIgG H+L-HRP複合物(Bethyl laboratories))でプレートをプローブし、37℃で1時間インキュベートし、続いてPBSTで5回洗浄して未結合抗体を除去した。
-最後に、SureBlue TMB基質(KPL)を添加し、プレートを室温で5分間インキュベートし、続いてTMB停止溶液(KPL)で停止させた。
-続いてプレートを450nmで読み取った。
ELISAプレートのセットアップ:
-a行、ウェル1-10はSf9由来SFRVで被覆。
-b行、ウェル1-10はSf+由来SFRVで被覆。
-ブタ血清を二組で評価し、PCV2(A、B)サブユニット抗原でワクチン免疫した動物が下線で示される。これらは、当該動物がワクチン接種によりSFRVに邂逅しSFRVに対する抗体を生成した場合に陽性の読取りを示す。
-陰性コントロールは点線の下線で示される(C及びD)。
-9及び10列は緩衝液コントロールである(一次抗体無し)。
ELISAの結果は表1に示される。
【0031】
【表1】
【0032】
表1は、Sf9細胞由来SfRV抗原(a行)及びSf+細胞由来SfRV抗原(b行)を評価するデータを示す。4つの血清サンプルを二組で評価した。A列及びB列は実験的ワクチンを接種した動物の28日目血清を含み、一方、C列及びD列は陰性コントロール動物の血清を含んでいた。結果は、Sf9及びSf+細胞はいずれもSfRVを含み、ウイルス抗原として利用できたことを示している。さらにまた、ワクチン接種動物で当該抗原の特異的認識がありコントロール動物ではそれがないことは、固有のコンプライアンスマーカーとしてのSfRVの有用性を指摘する。
データの解釈:
-ELISAの出力に基づけば、PCV2サブユニット抗原でワクチン免疫された動物(A及びBグループ)は半精製SFRVに対して良好な免疫を示す。
-陰性コントロール動物(C及びDグループ)は半精製SFRVに対して反応を示さない。
-これらの結果は固有のコンプライアンスマーキング及びDIVAアプローチのためにSFRVの有用性を示す。
【実施例3】
【0033】
上記に記載のSFRV抗原を用いるELISA(抗原は配列番号:1から6のいずれか1つの配列を含むタンパク質であるか、又は抗原は本発明の精製又は半精製ウイルスである)
SCOPE:SFRV抗原に対する抗体の存在についての試験血清(又は口腔液)サンプル
材料と方法
A.器具
-ELISA洗浄器
-ELISAリーダー
-細胞培養用WFI、USP(Gibco、カタログ番号A12873-02)
-炭酸-重炭酸緩衝液(pH9.6)錠剤(Sigma、カタログ番号C3041-100CAP)
-96ウェルのイムノプレート(丸底又は平底プレート、Nunc Maxisorb)
-12チャンネルピペッター、1μLから1mLの容量を有する雑多なピペッター
-ピペットチップ
-37℃インキュベーター
-4℃冷蔵庫
-ボルテクサー
-プレート蓋(Thermo、カタログ番号AB-0752)
-s-ブロック2mL希釈ブロック(Phenix、カタログ番号M-1810S又は同等なもの)
-試薬槽
-タイマー
B.試薬
1.被覆緩衝液:炭酸-重炭酸緩衝液
-100mLのWFI
-1カプセルの炭酸-重炭酸緩衝液
-カプセルを開封して散剤をWFIに入れ溶解するまで混合
-0.2μmのフィルターを用いて溶液をろ過滅菌
-4℃で保存
-期限:1週間
-1アッセイ(4プレート)につき必要量:50mL
2.10X PBS
-1包みのPBS濃縮物(Fisher BP665-1)
-適量のGenPur H2O(又は同等なもの)で1Lにする
-室温で保存
-期限:1年
3.洗浄緩衝溶液:ダルベッコ(Dulbeccos)PBSに0.05%のTween20
-0.5mLのTween20(Fisher BP337又は同等なもの)
-100mLの10X D-PBS(pH7.4)
-適量のGenPur H2O(又は同等なもの)で1Lにする
-pHを7.2±0.1にする
-室温で保存
-期限:6カ月
-1アッセイ(4プレート)につき必要量:2L
4.PBST
-500mLの1X PBS(pH7.4)(Gibco、カタログ番号10010-023)
-0.3mLのTween20(Fisher BP337又は同等なもの)
-室温で保存
-期限:6カ月
-1アッセイ(4プレート)につき必要量:100mL
5.ブロック溶液:PBS溶液に10%脱脂粉乳
-20gのブロッティング級ブロック(Bio-Rad 170-6404、又は同等なもの)
-200mLのPBST
-4℃で保存
-期限:0日
-1アッセイ(4プレート)につき必要量:200mL
6.SFRV抗原
-非感染SF又はSF+細胞培養上清を0.2ミクロンフィルター(Thermo cat 456-0020)でろ過する。この関係では、“非感染SF又はSF+細胞培養上清”は培養中のSF又はSF+細胞(はバキュロウイルスに感染されていないが、SFRVに感染されている)の上清を意味する。
さらにまた、本開示に記載の細胞の関係では、“SF”という用語は“Sf”という用語と同等であり、“SF+”という用語は“Sf+”という用語と等価であり、“SF9”という用語は
“Sf9”という用語とそれぞれ等価である。
-ろ液を30%ショ糖クッションにロードし、28,000-34,000rpmで、2-4時間4℃で遠心分離した。
-遠心分離後、上清を注意深く吸引し、ペレットをNaCl-Tris-EDTA緩衝液(pH7.4)に懸濁する。
-前記は半精製抗原である。
-タンパク質濃度を分光光度計により概算し、タンパク質をアリコットに分割し、使用まで-70℃で凍結した。
7.二次抗体:ヤギ抗ブタIgG h+l HRP複合物(Bethyl Labs Cat. No. A100-105P)、4℃±3.0℃で保存
8.基質:SureBlue TMB 1-成分マイクロウェルペルオキシダーゼ基質(Kirkgaard and Perry Laboratories Cat No. 52-00-01又は同等なもの)。基質は4℃±3.0℃で保存、25℃±2.0℃で予備インキュベーション、25℃±3.0℃で使用。
9.停止溶液:TMB停止溶液(Kirkgaard and Perry Laboratories Cat No. 50-85-04又は同等なもの)。室温で保存。
C.手順
1.上記B1に列挙したレシピを用いて被覆緩衝液を調製する。
2.SFRV抗原を被覆緩衝液で250ng/ウェルに希釈する。10回抗原を逆さにすることによって混合する。250ng/100μL(すなわち2.5μg/mL=250ng/ウェル)で被覆する。
3.希釈したSFRV抗原の100μLを全ウェルに添加する。
4.試験プレートをプレート蓋で閉じ、一晩4℃でインキュベートし、冷蔵庫の一番下に置いて動揺を最小限にする。
次の日
5.目下のアッセイのためにのみ十分なブロック溶液を調製する。4プレートには200mLブロックが推奨される。必要になるまで4℃で保存する。
6.ウルトラウォッシュプラスマイクロタイタープレート洗浄器又は同等なもので、試験プレートを5回洗浄緩衝液で洗浄する。
7.100μLのブロック溶液を試験プレートの全ウェルに加える。試験プレートに蓋をして、37℃±2.0℃で1時間インキュベートする。
8.ブロックインキュベーションの間、s-ブロック中のブロックで試験サンプルを1:100に希釈する。口腔液については、ブロック中でサンプルを1:2に希釈する。各サンプルを個々に試験する。陽性及び陰性コントロールを同じ態様で希釈する。
9.試験プレートを9回洗浄する。最後の洗浄後、ペーパータオル上で軽くプレートを叩く。
10.予め希釈した試験サンプルを対応するプレートの各ウェルに100μL添加する。ピペットチップがウェルに接触しないようにする。試験サンプル毎にチップを交換する。試験プレートに蓋をし、血清サンプルについては37℃±2.0℃で1時間インキュベートする。口腔液については4℃±2.0℃で16.0時間インキュベートする。
11.試験プレートの洗浄直前に、二次抗体バイアルを冷蔵庫から取り出し、ブロック中で1:10,000に希釈する。連続希釈を実施して1:10,000希釈を達成することが推奨される(4希釈物)。10回逆さまにして希釈抗体を混合する。
12.試験プレートを5回洗浄する。
13.100μLの希釈検出抗体を試験プレートの全ウェルに添加する。試験プレートに蓋をし、37℃±2.0℃で1.0時間インキュベートする。
14.直ちにSureBlue TMB 1-成分マイクロウェルペルオキシダーゼ基質を冷蔵庫(4℃±3℃)から取り出し、適切な体積を褐色又は不透明の高密度ポリエチレン(HDPE)容器に移し、25℃±2.0℃で1時間±15分間インキュベートする(ベンチトップ)。
15.試験プレートを5回洗浄する。最後の洗浄後、ペーパータオル上で軽くプレートを叩く。プレートを洗浄している間にプレートリーダーの電源を入れることを推奨する。
16.試験プレートの全ウェルに100μLの基質を添加する。
17.25℃±3℃で5分間インキュベートする。
18.100μLの停止溶液を全ウェルに添加して反応を停止させる。
19.450nmで吸収を測定する。
D.受け入れ基準/結果
-陽性コントロール:SFRV/SRFV G糖タンパク質で高免疫されたブタ由来の血清(又は対応する口腔液)
-ナイーブブタ血清(又は対応する口腔液)、又はSFRV抗原に対して無視し得るか若しくは反応しない非ワクチン接種ブタに由来する血清(又は対応する口腔液)
【実施例4】
【0034】
半精製ラブドウイルスの作製、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、リアルタイムPCR、SEC画分の電子顕微鏡試験、及びELISA
半精製ラブドウイルスの作製:
カラムにロードする前に、以下のように半精製ラブドウイルスを作製した:中空線維を用いて5リットルから800mLに濃縮したSfRV感染Sf+昆虫細胞の細胞培養上清(40mL)を1.2μmのシリンジフィルターでろ過した。得られたろ液が、本実施例の“半精製ラブドウイルス”である。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC):
HiPrep26/60セファクリルS300HRカラム(GE Healthcare Bio-Sciences)搭載AKTAエクスプロアーで定組成条件を用い1mL/分の流速で、サイズ排除クロマトグラフィーを実施した。カラムは、1.5カラム体積の緩衝液(IXリン酸緩衝食塩水、pH7.4(Gibco))で平衡化し、続いて(i)にしたがって作製した半精製ラブドウイルスの清澄化サンプル(約5%カラム体積)を注入した。分離は1.5カラム体積の緩衝液の1.0mL/分の流速で生じ、注入時から全分離工程を通して画分(8mL)を収集した。カラムからのタンパク質溶出は280nmにおけるUV吸収でモニターした(図6)。
ピーク画分をTCA/アセトン沈殿を用いて濃縮した後、4-12%のDSDS-PAGE(Thermo Fisher)によって画分を分析した。略記すれば、各画分の1mLを氷上で1時間TCA(200μL)により沈殿させた。サンプルを20,000xgで2分間遠心分離し、上清を除去した。画分を500μLの氷冷アセトンで洗浄し、ボルテックスして混合し、続いて20,000xgで2分間の遠心分離を実施した。遠心分離及びアセトン工程を合計3回のアセトン洗浄のために繰り返した。ペレットを20分間乾燥させ、20μLのゲルローディング緩衝液に懸濁し、ゲルにロードした。インペリアルタンパク質染色(Thermo Fisher)を用いて1時間ゲルを染色し、さらに少なくとも3時間脱イオン水で脱染した。ゲル分析の後、画分のタンパク質濃度を標準物としてウシ血清アルブミンを用いてBCAアッセイ(Thermo Fisher)によって決定した。
リアルタイムPCR
以下のリアルタイムPCRのための方法及び配列を用いて、(i)の半精製ラブドウイルス(ろ液)及び(ii)のSEC収集画分中のSfRV RNAの存在を検出/定量した。
プライマー/プローブ/G-ブロックコントロール:
* GenBank参照株KF947078を基準にしたゲノム上の位置。全配列がSfRV糖タンパク質をコードする領域を標的とする。
サイクル条件:
50℃で10分間の1サイクル、95℃で3分間の1サイクル、95℃で15秒、57℃で15秒の40サイクル**データ収集(FAM)
実施した工程の簡単な記載:
増幅は、製造業者の推奨にしたがい、BioRad iTaqユニバーサルプローブ一工程キット(Cat # 172-5141)を用いて実施される。プライマーは、25μLの反応物に0.4μMの最終濃度で添加されるが、プローブは0.16μMの最終濃度で添加される。各運転で、標準曲線は、当該伸長アンプリコンに対応する合成二本鎖g-ブロック(IDT)配列を含んでいた。反応は、以下の条件下でCFX96リアルタイムPCR検出系(BioRad)を用いて実施された:最初の逆転写は50℃で10分、続いて最初の変性が95℃で3分、続いて95℃で15秒の変性及び57℃で15秒のアニーリングと伸長の40サイクル、データ収集はFAMチャンネル。光学データはCFXマネージャーソフトウェア(バージョン2.1,BioRad)を用いて分析された。運転は以下を基準にして有効とみなされた:標準曲線の定常性、0.99を超えるr-二乗値及び80-120%の計算効率。各決定について、サイクル閾値(Ct)決定モードの回帰設定を用いて、閾値ラインが自動的に計算された。基準線除去モードを用いて基準線除去が自動的に実施された。
リアルタイムPCRの結果は図7に示される。
図7では:
1列目はウェルの番号を示す。2列目はこのリアルタイムPCRで用いられた特異的プローブに連結した発蛍光団6-カルボキシフルオレセイン(FAM)を示す。3列目は、サイズ排除クロマトグラフィーに由来するSfRV抗原の画分(画分A11、A12、B1、B5、B12及びC6)又は標準曲線作成に用いられた既知量のSfRV特異的核酸の標準物(ウェル7-14)を示す。ウェル15は陰性コントロール(鋳型無し)として機能し、ウェル16は、捕捉(SEC)による分画前の濃縮SfRV抗原を含む陽性コントロールとして機能する。
定量サイクル(Cq)は蛍光が検出されるサイクルである。低いCq値はサンプル中に特異的標的のコピー数が高いことを示す。このデータは4列目に示される。外挿のゲノムコピー数は5列目に配列定量(SQ)として示され、1mL当たりのゲノムコピー数を示す。
データは、出発物質が6logのSfRV特異的ゲノムコピー/mLを有し(ウェル16)、同様に画分A11及びA12が6logのゲノムコピー/mLを有することを示す。これら2つの画分は、テール末端画分B1とともに大半のSfRVウイルス粒子/ビリオン及びウイルス様粒子(VLP)を含むはずである。他の画分B5、B12及びC6はSECでサブウイルス粒子を含むはずで、したがって(もし存在するとしても)より少量のウイルスRNAを含むであろう。
電子顕微鏡試験:
(ii)のSECによって収集された画分を、電子顕微鏡試験のために2.5%のリンタングステン酸(PTA)で3分間染色した(ネガティブ染色)。画分A11及びA12では(図6参照)、約30-35nmの粒子が観察され、前記はSfRVのウイルス粒子と考えられる。
ELISA:
実施例2に記載したようにELISAを実施した。ここでは実施例3に記載の材料と方法が用いられたが、“SFRV抗原”の代わりに(i)の半精製ラブドウイルス(ろ液)及びSECにより収集された画分A11、A12及びB1が用いられたという違いがある(実施例3のB.6.)。前記はそれぞれ被覆緩衝液中で100μLに250ngの濃度に希釈され、続いて前記抗原の各々の100μLで1ウェルを被覆した。
試験血清サンプルとして、実験的ワクチンで免疫した動物の血清が用いられ、前記ワクチンは、培養SfRV感染昆虫細胞でバキュロウイルス発現系によって生成された組換えタンパク質を含む。当該血清は、実験的ワクチンの投与後28日目に当該動物から採取した血液から得られた。
陰性コントロールとして、対応する非免疫動物の血清をそれぞれ用いた。
ELISAの結果は図8に示される。
ELISAプレートは以下を含む4つの異なる抗原で被覆された:半精製SfRV(パネルA)、サイズ排除画分A11(パネルB)、A12(パネルC)及びB1(パネルD)。陰性コントロール動物由来血清(逆三角)又はSfRVを含む実験的ワクチンを投与された動物の28日目血清(丸)を用いてプレートをプローブした。
結果は、ワクチン接種動物由来血清は被覆抗原と反応したが、陰性コントロール血清は最小限の反応しか示さなかったことを示している。さらにまた、ワクチン接種動物は、OD値の増加によって立証されるように、画分A11、A12及びB1(パネルB、C及びD)で被覆したウェルと強く反応し、半精製SfRV(パネルA)と比較してこれらの画分により緊密に集まった。これは、当該抗原(画分A11、A12及びB1)に対するより強い認識及びより特異的な応答を示す。
配列表では:
配列番号:1はSFRV Gタンパク質の配列と一致する;
配列番号:2は切詰めSFRV Gタンパク質の配列と一致する;
配列番号:3はN-末端メリチン配列を有する切詰めSFRV Gタンパク質の配列と一致する;
配列番号:4は改変を有する配列番号:1と一致する(6xHisタグを含む);
配列番号:5は改変を有する配列番号:2と一致する(6xHisタグを含む);
配列番号:6は改変を有する配列番号:3と一致する(6xHisタグを含む);
配列番号:7はSFRV Nタンパク質の配列と一致する;
配列番号:8は改変を有する配列番号:7と一致する(6xHisタグを含む);
配列番号:9は配列番号:1をコードする配列と一致する;
配列番号:10は配列番号:2をコードする配列と一致する;
配列番号:11は配列番号:3をコードする配列と一致する;
配列番号:12は配列番号:4をコードする配列と一致する;
配列番号:13は配列番号:5をコードする配列と一致する;
配列番号:14は配列番号:6をコードする配列と一致する;
配列番号:15は配列番号:7をコードする配列と一致する;
配列番号:16は配列番号:8をコードする配列と一致する;
配列番号:17は、構築物配列番号:12又は配列番号:13に対するフォワードプライマーと一致する;
配列番号:18は、構築物配列番号:12又は配列番号:14に対するリバースプライマーと一致する;
配列番号:19は構築物配列番号:13に対するリバースプライマーと一致する;
配列番号:20は構築物配列番号:14に対するフォワードプライマーと一致する;
配列番号:21は構築物配列番号:16に対するフォワードプライマーと一致する;
配列番号:22は構築物配列番号:16に対するリバースプライマーと一致する;
配列番号:23はPCV2 ORF2タンパク質の配列と一致する;
配列番号:24はヘマグルチニンH5タンパク質(インフルエンザウイルス)の配列と一致する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
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