(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】基板を接合する装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
H01L21/02 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020217975
(22)【出願日】2020-12-25
(62)【分割の表示】P 2019078677の分割
【原出願日】2016-03-22
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァーゲンライトナー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス プラッハ
(72)【発明者】
【氏名】ユアゲン マークス ズュース
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-051466(JP,A)
【文献】特開2011-216832(JP,A)
【文献】特開2015-119088(JP,A)
【文献】特開2006-270084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面と、基板を固定するための前記保持面に形成された複数の固定エレメントとを有する基板ホルダであって、前記固定エレメントが複数の区域に分割されているものにおいて、前記区域は、タイル張りのようになっており、
前記固定エレメントは、設けられた排気穴であり、
前記基板が載置される複数の突起と、前記突起間に位置して、排気中に固定エレメントとして機能する空間領域とを更に有し、
更に前記固定エレメントを取り囲む縁部エレメントを含
み、該縁部エレメントは、前記突起の突起表面と共に前記保持面を画定している、ことを特徴とする、基板ホルダ。
【請求項2】
基板ホルダは、個々の前記区域を中断するウェブを備えており、前記区域の内側には、前記固定エレメントとして機能する前記空間領域の排気を行う少なくとも1つの管路が終端しており、前記固定エレメントは個別に切換可能である、請求項1記載の基板ホルダ。
【請求項3】
前記区域は、三角形、または四角形のタイル張りのようなジオメトリである、請求項1
または2記載の基板ホルダ。
【請求項4】
前記区域間に固定エレメントを有しない面が存在していて、前記区域の間隔は、50mm未満である、請求項1
から3までのいずれか1項記載の基板ホルダ。
【請求項5】
前記区域の間隔は、25mm未満である、請求項
4記載の基板ホルダ。
【請求項6】
前記区域の間隔は、5mm未満である、請求項
5記載の基板ホルダ。
【請求項7】
前記各区域に少なくとも1つの固定エレメントが存在している、請求項1から
6までのいずれか1項記載の基板ホルダ。
【請求項8】
前記各区域に50以上の固定エレメントが存在している、請求項
7項記載の基板ホルダ。
【請求項9】
前記各区域に500以上の固定エレメントが存在している、請求項
8項記載の基板ホルダ。
【請求項10】
前記突起の直径は5mm未満であり、前記突起の高さは2mm未満である、請求項1から
6までのいずれか1項記載の基板ホルダ。
【請求項11】
前記突起は、ピラミッド、円筒、直方体、円錐または球シェルの形状であるか、または半球状の基体から成る、請求項1から
6までのいずれか1項記載の基板ホルダ。
【請求項12】
更に前記保持面に配置された少なくとも1つのセンサを含む、請求項1から
6までのいずれか1項記載の基板ホルダ。
【請求項13】
前記センサは、温度センサ、圧力センサまたは距離センサ、または温度センサと圧力センサと距離センサの組合せである、請求項12記載の基板ホルダ。
【請求項14】
更に前記基板ホルダに固定された前記基板を湾曲させることができる湾曲エレメントを含む、請求項1から
6までのいずれか1項記載の基板ホルダ。
【請求項15】
前記湾曲エレメントは前記基板ホルダの中心に位置している、請求項14記載の基板ホルダ。
【請求項16】
前記湾曲エレメントはピンである、請求項14記載の基板ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1記載の第1の基板を第2の基板に接合する方法、ならびに請求項9記載の対応する装置に関する。
【0002】
数年来、半導体工業において、基板はいわゆる接合プロセスにより互いに接合されている。接合前に、これらの基板を互いにできるだけ正確に位置合わせしなければならず、この場合、その間に発生するナノメートル範囲のずれが問題となる。この場合、基板の位置合わせは、主としてアライメントマークを介して行われる。アライメントマークの他に、接合プロセス中、同様に互いに位置合わせしなければならないさらに別の、特に機能的なエレメントが基板には存在している。個々の機能的なエレメント間のこのような位置合わせ精度は、基板表面全体に求められる。したがって、例えば、位置合わせ精度が基板の中心では極めて良好であるが、縁部に向かって低下する場合には十分であるとは云えない。
【0003】
例えば文献、欧州特許第2656378号明細書(EP2656378B 1)または国際公開第2014/191033号(WO2014191033A1)のように、先行技術には、接合過程に影響を与える試みを行うことができる複数の方法および装置が存在している。
【0004】
接合の際の最大の課題は、接合過程自体に、すなわち、基板の接触面同士が完全に接触するまでの接合初期の間にある。この場合、両基板の互いの位置合わせは、それ以前の位置合わせと比較してなお大きく変化する場合がある。両基板表面が、一度互いに接合されると、確かに理論的には再び分離することができるが、これはコストが高く、処理量が低く、誤差の影響を受けやすい。
【0005】
本発明の課題は、特に基板の縁部における接合精度を高めることができる、2つの基板を接合する装置および方法を提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1および9に記載の特徴を備えた装置および方法により解決される。本発明の好適な別の構成は従属請求項に記載されている。明細書、請求の範囲、および/または図面に記載された少なくとも2つの特徴から成る全ての組み合わせも本発明の範囲である。記載された数値範囲においては、上記範囲内にある値も、限界値として開示されたものとみなされ、任意の組み合わせで特許請求することができる。
【0007】
本発明の根底を成す思想は、両基板を接触前に、または接合前に湾曲させ、両基板の少なくとも一方のこの湾曲を、接合中に、特に接合ウェーブの経過中に、好適には溶融接合の際に、湾曲の制御により変更するというものである。他方の(好適には上側の)基板の湾曲も、好適には制御されて変更される。
【0008】
湾曲は基板の自動的な接触によっても変化する。自動的な接触は特に、基板に作用する重力、および/または基板間のその他の引力によって行われる。一方の(特に下側の)基板の湾曲変更の制御は、特に他方の(特に上側の)基板の湾曲変更と同様に、好適には(好適には測定および制御により)その湾曲変更に依存して行われる。
【0009】
湾曲変更とは、特に、基板の出発状態(特に接触前に存在している湾曲)から逸れた状態を意味する。本発明によれば、接触面の接触後の接合は、特に基板の固定のコントロールされた制御により制御される。相応の固定手段は、装置として特に設けられている。
【0010】
本発明の、特に独立した別の態様は、特に個別に切換可能な固定エレメントの使用にあり、これらの固定エレメントにより、接触面間に進行する接合ウェーブをコントロールして閉ループ制御または開ループ制御することができる。
【0011】
特に独立した、または上記のものと組み合わせ可能な本発明による別の思想は、特にガス流出開口として形成される湾曲手段および/または湾曲変更手段としての変形エレメントの使用にある。これにより、基板に対する機械的な接触が回避される。湾曲のコントロールは、上記特徴の組み合わせにより、より正確に行われる。
【0012】
本発明は特に、互いに位置合わせされる2つの基板を互いに最適に接合することのできる方法および装置を記載している。この場合、とりわけ根底を成す思想は、両基板の少なくとも一方の湾曲、固定、および/または解放を目的に応じてコントロール、閉ループ制御、または開ループ制御することにより、進行している接合ウェーブを、コントロール、閉ループ制御、または開ループ制御して、接触面に沿って両基板の、特に内側から外側へと進行する連続的な最適の接触を行わせる、というものである。最適な接触とは、特に、両基板の間の接触面の各個所における「ランアウト」誤差が最小限である、または最良の場合にはなくなることを意味する。
【0013】
1つの構成によれば、基板の固定は、特に複数の区域に分割された複数の固定エレメントによって行われる。
【0014】
別の構成によれば、少なくとも一方の基板の湾曲は正圧によって行われる。
【0015】
出発状態では、場合によっては設けられている接触面から突出する構造(マイクロチップ、機能部品)や、曲げおよび/または厚さ変動のような基板許容誤差を除くと、基板は通常、特に接触面で概ね平坦である。しかしながら基板は出発状態で多くの場合、ゼロとは異なる曲率を有している。300mmのウェハの場合、100μm未満の曲率が一般的である。数学的に見て、曲率は、その平面状態からの曲線の局所的な偏差の尺度とみなすことができる。具体的には、厚さが直径に比べて小さい基板が考慮される。したがって、良好に近似された場合、平面の曲率と呼ぶことができる。平面の場合、最初に述べた平面状態は、曲率が観測される点における曲線の接線方向平面である。一般的に、物体は、特に基板は、均一な曲率を有しないので、曲率は位置の明示的な関数である。したがって、一例としては、非平面基板が中央では凹状の湾曲を有するが、別の個所では凸状の湾曲を有していることが挙げられる。本発明によれば、湾曲または湾曲変更とは、特記しない限り、巨視的な、すなわち基板全体もしくは接触面に関する湾曲または湾曲変更を意味する。
【0016】
本発明によれば、それぞれ対向する基板から見て凸状の湾曲が好適である。両基板の湾曲が互いに鏡像対称的であるならばさらに好適である。
【0017】
所定の点での湾曲を示す別の可能性は、曲率半径を示すことにある。曲率半径は、表面に接していて、当該表面の点を含む円の半径である。
【0018】
したがって、本発明の主要な実施形態において独立的な思想の中心は、互いに接合すべき2つの基板の曲率半径は主として、基板の接触領域で、すなわち接合ウェーブの接合フロントで、もしくは接合線で、同じであり、または少なくとも僅かにだけ互いに異なっている、ということにある。基板の接合フロント/接合ラインにおける両曲率半径の差は、10m未満であり、好適には1m未満であり、さらに好適には1cm未満であり、さらに好適には1mm未満であり、さらに好適には0.01mm未満であり、最も好適には1μm未満である。一般的に、曲率半径R1,R2の差を最小にする本発明による全ての実施形態が有利である。
【0019】
換言すると:本発明は、2つの基板を、「ランアウト」誤差と呼ばれる局所的な位置合わせ誤差が最小限となるように2つの基板を互いに接合させることができる方法および装置に関する。様々な「ランアウト」誤差については、国際公開第2014/191033号(WO2014191033A1)に詳しく記載されており、これを参照することができる。国際公開第2014/191033号(WO2014191033A1)におけるランアウト誤差の説明は、これにより、本明細書の開示内容に明示的に含まれる。したがってその詳しい説明はここでは省かれる。
【0020】
この場合、さらに特に本発明の根底を成す思想は、互いに接合させたい両基板の湾曲/湾曲変更を、特に固定、特に広い面部分にわたってコントロール可能な固定により、生じる接合ウェーブに対する影響ファクタが、両基板が接合中に局所的に互いにスライドすることなく、すなわち正確に位置合わせされたままであるように選択されるように、制御することにある。さらに本発明は、本発明により低減された「ランアウト」誤差を含む互いに接合される2つの基板から成る物品を記載する。
【0021】
接合、特に永久接合、好適には溶融接合の際の本発明による特徴的な過程は、基板の両接触面ができるだけ中央で、かつ/または点状に接触することである。一般的に、両基板の接触は中央で行われなくてもよい。非中央の接触点から伝播する接合ウェーブは、基板縁部の様々な個所に様々な時間で到達する。したがって、接合ウェーブ特性およびこれにより生じる「ランアウト」誤差の補償の数学的物理的な完全な説明は複雑である。好適には接触点は基板の中心から大きく離れているわけではないので、特に基板の縁部で、これにより生じ得る作用は、無視してよい。基板の非中央の可能な接触点と中央との間の間隔は本発明によれば特に、100m未満であり、好適には10mm未満であり、さらに好適には1mm未満であり、さらに好適には0.1mm未満であり、最も好適には0.01mm未満である。以降の記載においては、接触は、通常、中央の接触を意味する。中央とは、広義では好適には、必要に応じて非対称性を補償された、基本となる理想的な物体の幾何学形状的な中心点を意味する。すなわち、ノッチを有する工業的に汎用されているウェハにおいて、中央は、ノッチを有しない仮想ウェハを取り囲む円の円中心点である。フラット部分(平らに面取りされた面)を有する工業的に汎用されているウェハでは、中央は、フラット部分を有していない仮想ウェハを取り囲む円の円中心点である。同様の考えは、任意に成形された基板にも適用される。しかし、特別な実施形態では、中央が基板の重心点を意味することが有益になり得る。
【0022】
正確かつ中央の点状接触を保証するために、本発明の実施形態によれば、中央の穴および、この穴内を並進運動することができるピンが湾曲手段および/または湾曲変更手段として設けられている、特に上側の保持装置(基板ホルダ)に、特に半径方向対称の固定部材が固定手段として設けられている。湾曲手段および/または湾曲変更手段として、ピンの代わりに流体を、好適にはガスを、基板に、特に直接、流体加圧するために使用するノズルを使用することも考えられる(流体加圧手段)。両基板が、特に重力および/または予荷重に基づき他方の基板の方向に押される湾曲を有しているという別の前提のもとで、両基板を並進運動により互いに接近させることのできる装置を設けるならば、このような形式のエレメントの使用を完全に省くことすらできる。基板は、並進運動の際に、対応する第2の基板に対して十分僅かな間隔のもとで自動的に接触する。
【0023】
固定エレメントは、本発明の実施形態によれば、設けられた排気穴、1つ以上の円形の排気リップ、またはウェハを固定することができる匹敵する排気エレメントである。静電気的な複数の固定エレメント(固定手段)の使用も考えられる。導入されたガスによる正圧を基板ホルダと基板との間に生成することができる中央の穴または管路におけるピンは、固定された基板の制御可能な曲げのために用いられる(湾曲手段および/または湾曲変更手段)。
【0024】
両基板の中央が接触した後、保持装置の固定手段は、特に、少なくとも一方の基板のコントロールされた変形/湾曲変更が行われるように駆動制御される。上側の基板は、一方では重力により、他方では接合ウェーブに沿って両基板の間に作用する接合力により、コントロールされて下方へ引っ張られる。したがって、上側の基板は、半径方向で中心から側縁に向かって下側の基板に接合される。こうして、特に中心から側縁に向かって延びる半径方向対称的な接合ウェーブの本発明による形成が行われる。接合過程の間、両基板は、両基板の間に存在するガス、特に空気を、接合ウェーブの前方に押し出し、これによってガス封入物の無い接合境界面を生ぜしめる。上側の基板は、完全に落下される場合には、実際には一種のガスクッション上に位置する。規定された時点を過ぎると、基板ホルダの全ての固定エレメントをスイッチオフすることができるので、上側の基板は、重力および/または基板自体の間の引力の影響下に任せられる。この時点で、上側の基板の湾曲変更はもはや開ループ制御または閉ループ制御されないが、まわりの条件が既知であるか、または経験的に求められるので、依然としてコントロールされて進行する。このようなコントロールされた湾曲変更および接合ウェーブの進行に基づき、下側の基板の湾曲変更は開ループ制御または閉ループ制御される。しかしながら本発明による好適な構成は、上側の基板を完全に落下させるのではなく、接合ウェーブが少なくとも基板面積の10%以上にわたって、好適には20%以上にわたって、さらに好適には30%以上にわたって、さらに好適には50%以上にわたって、最も好適には75%以上にわたって広がるまでは、両基板を完全にコントロールすることにある。
【0025】
上側の保持装置の全ての固定エレメントがスイッチオフされた上記の時点以降は、特別な付加的な固定は必要ない。すなわち上側の基板は、接合開始個所における固定を除いては自由に動くことができ、歪む場合もある。本発明により進行する接合ウェーブ、接合ウェーブフロントで生じる応力状態、および存在している幾何学的縁部条件により、半形方向の厚さに比べて無限に小さい各円セグメントは歪みを受ける。しかし、基板は剛性的な物体であるので、歪みは中心からの距離の関数として合算される。このことは、本発明による方法および本発明による装置によって取り除かれる「ランアウト」誤差を招く。接合ウェーブが進行する時間区分全体の間に上側の基板は固定されて保持され、接合ウェーブの進行は、固定エレメントの連続的なスイッチオフにより、特に基板ホルダの内部の固定エレメントから開始することにより進展することができることも考えられる。接合ウェーブの進行は、特に、接合ウェーブの進行中に、両基板ホルダが互いに対して接近することにより、良好にすすめることもできる。
【0026】
したがって、本発明は特に、接合される2つの基板の間の「ランアウト」誤差を、特に熱動力学的な、かつ/または機械的な補償機構により、接合の際に減じる、または完全になくしさえするための方法および装置に関する。
【0027】
さらに、本発明は、本発明による装置および本発明による方法を用いて製造される、相応する物品に関する。
【0028】
保持装置/基板ホルダ
本発明による基板ホルダは、固定手段、特に複数の固定エレメントを有している。固定エレメントは区域ごとにグループ化されてよい。区域ごとの固定エレメントのグループ化により、形状的、光学的、好適には機能的な課題も満たされる。機能的な課題とは例えば、1つの区域の全ての固定エレメントを同時に切り換えることができることを意味する。1つの区域の全ての固定エレメントを個々に切り換えることができることも考えられる。したがって、複数の固定エレメントを同時に、基板の固定もしくは解放を行うために、区域の内側で駆動制御することができ、または個別に駆動制御することもできるが、区域内で、極めて固有の基板の変形特性が生じる。区域は特に次のようなジオメトリであってよい。
・片面、
・円のセグメント、
・特に三角形、四角形、または六角形としての、タイル張りのような区域
特に、区域間に、固定エレメントを有さない面が存在していてもよい。このような区域間の間隔は特に、50mm未満、好適には25mm未満、さらに好適には20mm未満、さらに好適には10mm未満、最も好適には5mm未満である。区域が円セグメントとして形成されている場合、このような間隔は、外側の円セグメントの内側の円環と、内側の円セグメントの外側の円環との間の距離である。
【0029】
1つの区域における固定エレメントの数は任意である。特に、1つの区域には少なくとも1つの固定エレメントが、好適には少なくとも2つの固定エレメントが、好適には10以上の、さらに好適には50以上の、さらに好適には100以上の、さらに好適には200以上の、最も好適には500以上の固定エレメントが存在している。
【0030】
本発明の好適な実施形態によれば、第1の保持装置および/または第2の保持装置は、基板を保持するための第1の保持装置および/または第2の保持装置の保持面の周囲に特にリング状に、好適には円環状に、特に専ら基板の側縁の領域に配置された固定手段を有している。
【0031】
固定手段は、特に均一に保持面に分配された、好適には同心的に配置された、複数の区域に分割された、特に個別に制御可能な固定エレメントとして形成されている。好適には、固定手段は、特に保持面の縁部領域に専ら配置されている。縁部領域は、特に、保持面の半径の半分まで、好適には半径の1/4まで延在している。
【0032】
1つの区域において固定エレメントが半径方向対称に配置されている場合、所定の横断面当たりにおける固定エレメントの数も考慮することができる。横断面における固定エレメントの数は、20未満、好適には10未満、さらに好適には5未満、さらに好適には3未満、最も好適には1である。
【0033】
固定エレメントは、固定のために負圧を供給することができ、基板の解放のために正圧を負荷することもできる。
【0034】
本発明による第1の実施形態では、固定エレメントは、特に穿孔、または火花浸食により形成される単純な穴から成る。特別な構成では、固定エレメントはリング状に、特に円環状に、特にフライス加工により形成されたスリットである。別の構成では、固定エレメントには排気リップが設けられていてよい。固定エレメントが排気エレメントとして設けられている場合、この固定エレメントは、1bar未満の、好適には0.1mbar未満の、さらに好適には0.01mbar未満の、さらに好適には0.001mbar未満の、最も好適には0.0001mbar未満の圧力を発生させることができる。
【0035】
本発明による第2の実施形態では、固定エレメント、静電気固定として使用される導電性プレートから成っている。導電性プレートは単極に、好適には双極に接続することができる。双極回路の場合、2つのプレートは相反する電位に置かれる。したがって、本発明による基板ホルダは、プレートの数に依存した、高解像度の静電固定特性を有する静電気基板ホルダとして、その区域内で機能する。
【0036】
単位面積あたりの固定エレメント数が増えるほど、基板のための基板ホルダの固定特性の制御は良好になる。
【0037】
好適には、第1の保持面および/または第2の保持面は、特に、第1の保持面の第1の保持平面、および第2の保持面の第2の保持平面を形成する隆起部から成っている。
【0038】
2つの別の実施形態によれば、隆起部を備えた保持装置、特に突起基板ホルダが記載される。このような基板ホルダは、特に対称的に配置された複数の支持体(英語ではpillars)を有する基板ホルダを意味する。これらの支持体は特に突起として形成される。突起は任意の形状を有していてよい。特に突起は以下の形状で設けられている。
・ピラミッド、特に三角錐または四角錐
・円筒、特に平坦なまたは丸み付けされた頭部を備えた円筒
・直方体
・円錐
・球シェル。
【0039】
球シェル突起、円錐突起、円筒突起は製造に手間がかかるのに対して、ピラミッド状または直方体状の突起はエッチング加工および/またはフライス加工により比較的簡単に製造することができ、したがって本発明によれば好適である。
【0040】
上記の突起基板サンプルホルダは、その周縁領域で、縁部エレメントを介して閉鎖されていてよいので、突起間の空間領域は凹部として解釈されてよい。しかしながら、突起は、全ての突起がその平面上に位置する突起平面に関して、唯1つの隆起部を成していてもよい。
【0041】
本発明の第3の好適な実施形態では、基板ホルダは、ウェブを備えた突起基板ホルダとして構成されている。この場合、個々の区域はウェブによって中断される。各区域の内側には、突起間の空間の排気を行う少なくとも1つの管路が終端している。特に個別に駆動制御可能な複数の通路を使用することにより、場所に依存した異なる強度の空間の排気が可能である。
【0042】
さらに好適な第4の実施形態では、基板ホルダは、完全な突起基板ホルダとして、すなわちウェブを備えずに構成されている。
【0043】
隆起部、特に突起の幅もしくは直径は特に、5mm未満、好適には1mm未満、さらに好適には500μm未満、最も好適には200μm未満である。
【0044】
隆起部、特に突起の高さは特に、2mm未満、好適には1mm未満、さらに好適には500μm未満、最も好適には200μm未満である。
【0045】
特に隆起部の幅もしくは直径と、隆起部の高さとの間の比は、0.01よりも大きく、好適には1よりも大きく、さらに好適には2よりも大きく、さらに好適には10よりも大きく、最も好適には20よりも大きい。
【0046】
上述した全ての本発明の実施形態は、互いに任意に組み合わされてもよい。したがって、第1の区域は静電的に機能する固定エレメントから成っていて、第2の区域がバキューム固定を有していることも考えられる。
【0047】
本発明による基板ホルダは特に穴を、本明細書のこれ以降では、測定穴とも記載される穴を有していてよく、この穴により、固定された基板表面を、基板ホルダの背面から観察することができる。これにより、この領域で固定された基板表面の測定が可能である。測定穴を、カバーによって閉鎖することもできる。特に好適な態様では、測定穴はカバーにより全自動的に開閉可能である。
【0048】
本発明の好適な構成によれば、保持装置は、湾曲を測定するための湾曲測定手段を有している。
【0049】
本発明による基板ホルダは、選択的または付加的に、固定された基板と基板サンプルホルダとの間の物理的かつ/または化学的特性を測定することができるセンサを有していてよい。これらのセンサは好適には、
・温度センサおよび/または
・圧力センサおよび/または
・距離センサ、である。
【0050】
特に好適な距離センサは、湾曲測定手段として使用可能である。この場合、基板と保持装置との間の距離により、特に支持個所間の、基板の湾曲が求められ、補間され、かつ/または計算される。
【0051】
本発明によれば好適には、湾曲および/または湾曲変更の良好な閉ループ制御または開ループ制御を可能にするために、特に保持面に沿って分配された距離センサが使用される。
【0052】
特に好適な構成では、複数のセンサはとりわけ、接合過程前に、かつ/または接合過程中に1つの平面に関する基板の距離を測定するために、距離センサとして形成されている。この平面とは好適には、保持面、および/または特に隆起部により形成された平面の保持面である。
【0053】
複数のセンサが異なる平面に位置していることも考えられる。好適にはセンサは特に専ら、好適には接触面に対して横方向の距離の変化を測定するので、1つの、および/または複数の平面に対する関係は重要ではない。この場合、基板の、特に場所的に異なる相対的な距離変化だけを検出すればよい。
【0054】
距離の測定はとりわけ、プロセス制御に役立つ。単数または複数の基板の正確な湾曲状態を知ることにより、基板の最適な、特に段階的な解放のために、本発明による固定部材の駆動制御/調節が特に効率的に行われる。
【0055】
異なる形式の複数のセンサが組み込まれることも考えられる。特に好適な実施形態では、距離測定および圧力測定のためのセンサは特に、基板ホルダに対称的に均一に分布されて組み込まれている。これにより、離散的ではあるが、表面を覆う距離測定および圧力測定が可能である。変形エレメントが、管路を介してもたらされる流体、特にガス、またはガス混合物である場合、圧力測定は特に有利である。
【0056】
一方または両方の保持装置が湾曲測定手段なしで、かつ/またはセンサなしで形成されているならば、湾曲および/または湾曲変更の調節および/または制御は、経験により求められたパラメータに基づき行われてよい。
【0057】
本発明による第1および第2の基板ホルダは、好適には少なくとも1つの、特に中央に構成された、基板の湾曲/湾曲変更のための変形手段(湾曲手段および/または湾曲変更手段)を有している。
【0058】
本発明による第1の実施形態によれば、湾曲エレメントはピン(英語:pin)である。 このピンは、保持面または保持平面に対する法線に沿った並進運動の少なくとも1つの、好適にはちょうど1つの自由度を有している。x方向および/またはy方向で較正するために、ピンが保持面に沿った自由度を有していることも考えられる。好適にはピンはx方向および/またはy方向で固定可能である。ピンは、0.01N~1000Nの、好適には0.1N~500Nの、さらに好適には0.25~100Nの、最も好適には0.5~10Nの力を加えることができる。
【0059】
本発明による第2の実施形態では、湾曲および/または湾曲変更のための変形エレメントは、基板と保持面との間に流体、特にガスまたはガス混合物を供給することのできる流体流出開口(流体加圧手段)である。極めて好適な本発明による実施形態では、流体流出開口は、固有の、特にx方向および/またはy方向で移動可能な部分エレメントに組み込まれているので、流体流出開口のx方向の位置決めおよび/またはy方向の位置決めを行うことができる。これにより、流体流出開口の位置が正確に規定され、このことは、最適な、本発明による接合結果にも作用することができる。流体流出開口は、最も簡単な場合には、管路の端部を成す開口である。極めて特に好適な実施形態では、流体流出開口はノズルである。好適にはこのノズルは電子的に制御することができ、これにより各時点で、流出する流体の流体圧および/または流出速度を開ループ制御かつ/または閉ループ制御することができる。基板サンプルホルダと基板との間の複数の個所で圧力形成を変化させるために複数のノズルの使用も考えられる。1つのノズルについての全ての記述は、複数のノズルにも同様に当てはまる。流体流出開口、特にノズルを介して、基板と基板ホルダとの間に、1mbar以上の、好適には10mbar以上の、さらに好適には100mbar以上の、さらに好適には200mbar以上の、最も好適には500mbar以上の圧力を形成することができる。本発明による全ての基板ホルダは、ローディングピン(英語:loading pins)を有していてよい。ローディングピンは、本発明による基板ホルダに基板をロードするために用いられる。ローディングピンは特に、保持装置に設けられた穴を通してガイドされる。この場合、この穴は好適にはローディングピンに対して密に形成される。
【0060】
第1のプロセスステップでは、ローディングピンが外部に出される。第2のプロセスステップでは、基板が、特に全自動でローディングピン上に置かれる。第3のプロセスステップでは、ローディングピンが内部に戻され、基板を保持面に接触させる。第4のプロセスステップでは、基板を固定エレメントにより固定する。ローディングピンは、接合された基板積層体のアンロードのためにも用いられる。この場合、プロセスステップの順番は相応に逆に行われる。ローディングピンは特に、内部でローディングピンが動く穴に対してシールされないならば、減圧体を成していてよい。この場合、バキューム固定エレメントを介して行われる負圧の静的な維持、および/またはガス流出開口による正圧の静的な維持は不可能である。相応に、バキューム固定エレメントを介した継続的な排気および/または、好適には静的な、特に層状の流れを特徴とするガス流出開口を介した継続的な正圧の形成が開示される。しかしながら、シールの使用も考えられ、これにより、流れを形成することなく静的な圧力を形成することができる。
【0061】
基板ホルダは基本的には、それぞれ任意の材料により製造することができる。以下の材料の内の1つ、または複数が特に好適である。
・金属、特に
・純金属、特に
・アルミニウム
・合金、特に
・鋼、特に
・低合金鋼、
・セラミック、特に
・ガラスセラミック、特に
・ゼロデュア、
・窒化物セラミック、特に
・窒化ケイ素、
・炭化物セラミック、特に
・炭化ケイ素、
・ポリマ、特に
・高温ポリマ、特に
・テフロン、
・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)。
【0062】
極めて好適な実施形態では、本発明による突起基板サンプルホルダは、特許文献、欧州特許第2655006号明細書(EP2655006B 1)により公知の方法で製造される。この場合、好適な材料は炭化ケイ素または窒化ケイ素である。この場合、好適な突起構造は四角錐である。
【0063】
保持装置は、本発明の実施形態によれば好適には加熱可能かつ/または冷却可能に形成されている。この場合、温度制御機構により、-50℃~500℃の、好適には-25℃~300℃の、さらに好適には0℃~200℃の、最も好適には10℃~100℃の基板の熱処理が可能である。
【0064】
本発明の別の実施形態では、基板ホルダは次のように形成されている。すなわち、基板が、まだ接触される前に、加熱手段および/または冷却手段によって意図的に変形させられ、特に横方向に圧縮または延伸され、しかも後からの接触の際に、発生した「ランアウト」誤差をできるだけ良好に、理想的には完全に、補償するために必要となる量だけ変形させられるように形成される。この実施形態では、下側の/第1の基板の固定が、相応の変形の後で初めて行われるので、下側の/第1の基板もしくは下側の/第1の保持装置の熱膨張係数を特に重要視する必要はない。 突起基板ホルダの特に好適な本発明による実施形態では、基板を、突起間の空間領域を介して加熱ガスに接触させることができる。固定エレメントの固定可能性を維持するために、加熱ガスの圧力は、基板を、区域の領域で基板ホルダに押し付ける周囲ガスよりも低くなければならない。
【0065】
接合機
本発明による装置は、本発明による2つの保持装置および/または基板ホルダから成る。好適には、少なくとも上側の基板ホルダは測定穴を有している。測定穴は特に閉鎖可能、かつ/またはガス密に形成されている。
【0066】
本発明による実施形態は、好適には規定された、特に制御可能な雰囲気内で、特に常圧で作動する。
【0067】
上で述べた本発明の全ての実施形態は、特別な変化実施態様において、低真空中で、より有利には高真空中で、さらに有利には超高真空中で実行することができ、特に100mbarよりも低い圧力、有利には0.1mbarよりも低い圧力、より有利には0.001mbarよりも低い圧力、さらに有利には10e-5mbarよりも低い圧力、最も有利には10e-8mbarよりも低い圧力で実行することができる。真空が高いほど、もしくは周囲の圧力が低いほど、排気穴による基板の固定は困難になる。
【0068】
プロセス
本発明による第1のプロセスの本発明による第1のプロセスステップでは、第1の基板を第1の基板ホルダに、第2の基板を第2の基板ホルダにロードし、特に周囲の区分で固定する。
【0069】
本発明による第1のプロセスの本発明による第2のプロセスステップでは、両基板を互いに位置合わせする。基板の位置合わせについては、本明細書では詳しくは説明しない。それについては、文献、米国特許第6214692号明細書(US6214692B1)、国際公開第2015/082020号(WO2015082020A1)、国際公開第2014/202106号(WO2014202106A1)が参照される。基板は、接合過程の前に特に互いに対して位置合わせされ、これによって、その表面上の対応する構造体の重なり性(特に2μm未満の、好適には250nm未満の、さらに好適には150nm未満の、さらに好適には100nm未満の、最も好適には50nm未満の精度を有する正確な位置合わせ)が保証される。
【0070】
本発明による第1のプロセスの本発明による第3の付加的なプロセスステップでは、両基板ホルダの互いに向かい合う相対運動により両基板の接近が行われる。これにより、基板表面間の良好に規定された間隔(英語:gap)が形成される。このような間隔を位置合わせプロセス前に既に、または位置合わせプロセス中に調節することも考えられる。この間隔は、特に1000μmよりも小さく、好適には500μmよりも小さく、さらに好適には250μmよりも小さく、最も好適には100μmよりも小さい。
【0071】
本発明によれば特に好適には、特に接合フロント部で、両基板の曲率半径の互いのずれが15%未満であり、好適には10%未満であり、さらに好適には5%未満であり、さらに好適には2%未満であり、最も好適には両基板の曲率半径が同じである。
【0072】
本発明による第1のプロセスの本発明による第4のプロセスステップでは、第1のおよび/または第2の基板の湾曲が行われる。同時に、第1のおよび/または第2の基板の湾曲はセンサによって測定され、監視される。調整ループにより、下側および/または上側の基板における特に所望の湾曲を自動的に調節することができる。目標値が設定される。調整ループは、所望の湾曲プロファイルが調節されるまで、固定エレメントおよび/または変形エレメントを制御する。この場合、重力が1つの方向に作用し、したがって基板の変形に様々に作用を及ぼすことがあることが述べられる。上側の固定された基板が重力により、所望の接触点の方向にさらに変形される間、この重力は、下側の基板の湾曲とは逆に作用する。しかしながら重力の影響は、考慮しなくてもよいほど小さい。本発明により、自動的に開ループ制御される、または閉ループ制御される湾曲手段または湾曲変更手段、固定エレメント、およびセンサを使用することにより、両基板のそれぞれのために、特に調整ループの一部として、所望の湾曲プロファイルを調節することができる。両基板が互いに十分近くに接近されると、両基板の接触が行われる。接触は、常に増加する湾曲によって、かつ/または両基板ホルダの相対的な接近により行われてよい。すなわち本発明による接合方法では、基板が平坦に重ね合わされるのではなく、まず中心Mにおいて互いに接触させられる(接合開始個所)。これは、湾曲された両基板の一方が第2の基板に対して軽度に押圧されるか、もしくは向かい合って位置する基板の方向に相応に変形させられることによって行われる。変形させられ、(向かい合って位置する基板の方向に)曲げられた基板が解放された後に、接合ウェーブの前進によって、最小限の力を伴った、ひいては主として水平方向の最小限の歪みを伴った、特に少なくとも部分的な、好適には大部分の、自動的な、接合フロントに沿った連続的でかつ均一な接合が行われる。
【0073】
本発明による第1のプロセスの本発明による第5のプロセスステップでは、接合ウェーブの進行、監視および制御が行われる。接合開始個所が基板の接触面の中央に配置される場合には、接合ウェーブの均一な、特に同心的な経過が実現可能となる。
【0074】
第1の基板および/または第2の基板の変形、好適には湾曲が、横方向でかつ/または凸状にかつ/または凹状に行われるのは特に有利であり、さらに好ましくは鏡像対称的に行われる。換言すれば、変形は本発明によれば、特に第1の基板および/または第2の基板の延伸および/または圧縮および/または湾曲により行われる。
【0075】
好適には基板はほぼ同じ直径D1,D2を有していて、これらの直径の互いのずれは特に5mm未満、好適には3mm未満、さらに好適には1mm未満である。
【0076】
特に独立的な本発明の別の態様によれば、変形、好適には湾曲は、変形手段または湾曲手段および/または湾曲変更手段により、かつ/または第1のおよび/または第2の保持装置の温度制御により行われる。
【0077】
第1の基板および/または第2の基板を、第1の基板ホルダおよび/または第2の基板ホルダの、または第1のおよび/または第2の基板の周辺または全周の領域で専ら固定することにより、本発明による変形/湾曲/湾曲変更を比較的容易に実現することができる。
【0078】
特に変形手段、または湾曲手段および/または湾曲変更手段、および/または固定手段の上述したステップおよび/または動きおよび/または経過の制御、基板の相互の接近、温度のコントロール、圧力のコントロール、およびガス組成のコントロールは、有利には、中央の制御ユニットを介して、特に制御ソフトウェアを備えたコンピュータを介して行われる。開ループ制御および/または閉ループ制御のためには、上述したセンサが使用される。
【0079】
基板に、固定部内でできる限りのフレキシブル性および延伸自由度を与えるために、基板が、側縁部の領域において、できるだけ離れて外側に位置する円セグメントでのみ固定されることが有利である。
【0080】
第1の基板および/または第2の基板は、有利には半径方向対称である。基板は任意のいかなる直径をも有することができるが、基板直径は特に1インチ、2インチ、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、8インチ、12インチ、18インチであり、または18インチよりも大きい。第1の基板および/または第2の基板の厚さは、1μm~2000μm、有利には10μm~1500μm、さらに有利には100μm~1000μmである。
【0081】
特別な実施形態では、基板が、方形の形状または少なくとも円形の形状とは異なる形状を有していてもよい。基板としては好適にはウェハが使用される。
【0082】
特に有利には、可変の全てのパラメータは、接合ウェーブが、存在する初期条件および周辺条件に関してできるだけ最適の速度で伝播するように選択される。とりわけ存在する雰囲気、特に常圧においては、接合ウェーブのできるだけ緩慢な速度が有利である。接合ウェーブの平均速度は特に、200cm/sよりも遅く、より有利には100cm/sよりも遅く、より有利には50cm/sよりも遅く、極めて有利には10cm/sよりも遅く、最も有利には1cm/sよりも遅い。特に接合ウェーブの速度は0.1cm/sよりも速い。特に接合ウェーブの速度は、接合フロントに沿って一定である。真空雰囲気中では、接合ウェーブの速度が自動的に、より速くなる。なぜなら、接合線に沿って結合する基板が、ガスによる抵抗を克服しなくて済むからである。
【0083】
別の、特に独立的な本発明の態様は、基板のうち少なくとも一方に、基板の接触面の中心Mに対して特に同心的に半径方向外側に向かって延在する予荷重を、接触前にかけ、次いで接触の開始にだけ影響を与え、基板の1つの区分の、特に中心Mの接触後には基板は解放され、その予荷重に基づき自動的にコントロールされて、対向する基板に接合されることにより、できるだけ調整され、同時にほぼ自動的に接触させることにある。予荷重は、変形手段、特に湾曲手段および/または湾曲変更手段による第1の基板の変形、特に湾曲により得られる。この場合、変形手段は、特にその形状に基づき、接合側とは反対側に作用し、変形は相応に、様々な(特に交換可能な)変形手段の使用により制御可能である。制御は、変形エレメントを基板に作用させる圧力または力によっても行われる。この場合、基板を有する基板保持の有効保持面積は減じられ、これにより基板は部分的にのみ保持装置によって支持されるのが有利である。このようにして、小さな接触面により、基板と基板保持体間の付着は僅かになる。固定は、本発明によれば特に、基板の全周の領域で行われるので、効果的な固定が行われ、同時に基板保持体の保持輪郭と基板との間のできるだけ僅かな有効保持面積が生じる。したがって、基板の剥離のために必要な解除力は最小限であるので、きれいで確実な基板の剥離が可能である。剥離は、特に保持面における負圧の低減により、とりわけコントロール可能である。コントロール可能とは、基板が第2の基板に接触した後、その基板がサンプルホルダになお固定されたままであり、所望の(制御された)保持面における負圧の低減により初めて、サンプルホルダ(保持装置)からの基板(ウェハ)の解放が、特に内側から外側へと行われることを意味する。本発明による実施形態はとりわけ、極めて僅かな力による剥離を実施できることに通じる。特に、様々な解放の方法が複数開示されている。
・変形手段の停止中に、基板の突然の完全な解放、
・変形手段が自然に出発状態に置かれ、ひいてはすぐに基板への作用をやめるときの、基板の突然の完全な解放、
・変形手段が段階的に、しかしながら継続的に基板への作用をやめるときの、基板の突然の完全な解放、
・変形手段が基板に作用している間に行われる、固定の段階的なスイッチオフによる、段階的に、特に区域ごとに、好適には内側から外側に向かって行われる基板の解放、
・上記方法の組み合わせ。
【0084】
本発明による実施形態は、最適な形態で、両基板が湾曲されている接合過程を開示している。しかしながら一般的には少なくとも一方の基板は変形されていなくてもよい。上記の解放メカニズムとの組み合わせにおいて、以下の表が示される。
【表1】
【0085】
装置について開示された特徴は、方法について開示されたものとして同様に該当し、方法について開示された特徴も、装置について開示されたものとして同様該当する。
【0086】
本発明のその他の利点、特徴、詳細は、以下の好適な実施例の説明および図面により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1】
図1aは本発明による保持装置の第1の実施形態の実際の縮尺ではない概略的な部分図であり、
図1bは本発明による保持装置の第2の実施形態の実際の縮尺ではない概略的な部分図であり、
図1cは本発明による保持装置の第3の実施形態の実際の縮尺ではない概略的な部分図であり、
図1dは本発明による保持装置の第4の実施形態の実際の縮尺ではない概略的な部分図であり、
図1eは本発明による保持装置による湾曲(変更)手段の第1の実施形態の実際の縮尺ではない概略的な部分図であり、
図1fは本発明による保持装置による湾曲(変更)手段の第2の実施形態の実際の縮尺ではない概略的な部分図である。
【
図2a】本発明による保持装置の第5の実施形態の実際の縮尺ではない概略的な平面図である。
【
図2b】本発明による保持装置の第6の実施形態の実際の縮尺ではない概略的な平面図である。
【
図2c】本発明による保持装置の第7の実施形態の実際の縮尺ではない概略的な平面図である。
【
図2d】本発明による保持装置の第8の実施形態の実際の縮尺ではない概略的な平面図である。
【
図2e】本発明による保持装置の第9の実施形態の実際の縮尺ではない概略的な平面図である。
【
図3】
図3a~
図3eは本発明による隆起部の実施形態の実際の縮尺ではない概略的な側面図および平面図である。
【
図4a】本発明による方法の第1の方法ステップにおける本発明による接合機の実施形態の実際の縮尺ではない概略的な横断面図を、圧力グラフおよび距離グラフと共に示す図である。
【
図4b】別の方法ステップにおける
図4aの実施形態の実際の縮尺ではない概略的な横断面図である。
【
図4c】別の方法ステップにおける
図4aの実施形態の実際の縮尺ではない概略的な横断面図である。
【
図4d】別の方法ステップにおける
図4aの実施形態の実際の縮尺ではない概略的な横断面図である。
【
図4e】別の方法ステップにおける
図4aの実施形態の実際の縮尺ではない概略的な横断面図である。
【0088】
図面では、同じ構成部分および同じ機能を有する構成部分には同じ符号が付与されている。
【0089】
図1aには、本発明による保持装置1(選択的には、基板ホルダとも呼ばれる)の第1の構成の横断面の、正しい縮尺ではない概略的な部分図が示されている。この場合、固定エレメント2(固定手段)を備えた縁部領域Rのみが示されている。
【0090】
保持装置1は、好適には縁部領域Rに存在している複数の区域Ziから成っている。各区域Ziは複数の固定エレメント2を有している。
図1aには例えば2つの区域Z1およびZ2が示されている。第1の区域Z1には4つの固定エレメント2が横断面で示されており、第2の区域Z2には2つの固定エレメント2が示されている。特に、区域Ziは、基板ホルダ1の縁部領域Rに制限されていてよく、または基板ホルダ1全体にわたって分配されていてもよい。
【0091】
固定エレメント2は、第1の、特に上側の基板4o、または第2の、特に下側の基板4uの基板保持面4aを固定するために用いられる。
【0092】
好適には、複数のセンサ3,3’、特に距離センサが、保持面1sに位置している。センサは、固定された基板4と保持面1sとの間の物理的かつ/または化学的特性を測定するために用いられる。センサ3,3’は特に、保持面1sと基板保持面4aとの間の距離を測定する距離センサである。
【0093】
基板ホルダ1は好適には、その中心C(
図1eおよび
図1f参照)に湾曲エレメント5,5’(湾曲手段)が存在するように構成されている。この湾曲エレメントによって、基板ホルダ1に固定された基板4o,4uを湾曲させることができる。特に好適には、湾曲エレメント5は流体流出開口であって、この開口を介してガス、特に圧縮ガスを、基板ホルダ1と基板4との間に吐出することができる。正圧によって基板4は湾曲され、同時に固定エレメント2によって固定される、または制御されて解放される。
【0094】
図1fに示した選択的な本発明による構成では、湾曲エレメント5’はピン(英語;pin)であり、このピンは保持装置1を貫通して延在しており、保持装置に対して垂直に移動可能に形成されている(湾曲手段または湾曲変更手段)。
【0095】
【0096】
図1bには、本発明による第2の構成の基板ホルダ1’が示されている。基板ホルダ1’は、好適には縁部領域R’に存在している複数の区域Ziから成っている。各区域Ziは一般的に複数の固定エレメント2’を有することができる。固定エレメント2’は、静電気固定の電極である。
図1bには例えば2つの区域Z1およびZ2が示されている。第1の区域Z1には2つの固定エレメント2’が横断面で示されており、第2の区域Z2には3つの固定エレメント2’が横断面で示されている。特に、区域Ziは、基板ホルダ1’の外側の縁部に制限されていてよく、または基板ホルダ1’全体にわたって分配されていてもよい。
【0097】
好適には、複数のセンサ3,3’、特に距離センサが、保持面1s’に位置している。センサ3,3’は、固定された基板4と保持面1s’との間の物理的かつ/または化学的特性を測定するために用いられる。センサ3,3’は特に、保持面1s’と基板保持面4aとの間の距離を測定する距離センサである。
【0098】
図1cには、本発明による第3の構成の基板ホルダ1’’が開示されている。基板ホルダ1’’は、好適には専ら縁部領域R’’に存在している複数の区域Ziから成っている。各区域Ziは特に複数の固定エレメント2’’を有している。
【0099】
固定エレメント2’’は、基板保持面4aに隣接するウェブ8または縁部エレメント10と、ウェブ8と、管路6によって貫通される底面との間の空間領域9である。管路6では、基板4o,4uを吸い付け、これにより固定するための圧力が調節される。
【0100】
空間領域9には特に複数の突起7が位置していて、これらの突起の上に基板4o,4uが載置される。突起7は特に、過剰な汚染を回避するために働く。突起7は、
図1cでは、見易くするために平均以上に大きく示されている。実際には突起7は、基板ホルダ1’’の厚さと比較して著しく小さい。
【0101】
図1cには例えば2つの区域Z1およびZ2が示されている。第1の区域Z1には3つの固定エレメント2’が横断面で示されており、第2の区域Z2には同じく3つの固定エレメント2’’が横断面で示されている。特に、区域Ziは、基板ホルダ1’’の外側の縁部に制限されていてよく、または基板ホルダ1’’全体にわたって分配されていてよい。
【0102】
好適には、複数のセンサ3,3’が、特に距離センサが、突起7に、特に湾曲していない状態で基板保持面4aに接触する突起7の突起表面7oに位置している。センサは、固定された基板4と、突起表面7oと周囲の縁部エレメント10とによって画定される保持面1s’’との間の物理的かつ/または化学的特性を測定するために用いられる。センサ3,3’は特に、突起表面7oと基板表面4oとの間の距離を測定する距離センサである。
【0103】
図1dには、本発明による第4の構成の基板ホルダ1’’’が示されている。基板ホルダ1’’’は特に、好適には縁部領域R’’’に存在している複数の区域Ziから成っている。各区域Ziは複数の固定エレメント2’’’を有している。
【0104】
固定エレメント2’’’は、内部に圧力を形成することができる隣接する2つの管路6の間の空間領域9である。空間領域9の画定は、取り囲む縁部エレメント10によって、保持装置1’’’の周囲でのみ行われる。縁部エレメント上には基板4o,4uが環状に載置され、縁部エレメントは突起表面7oと共に保持面1s’’を形成する。
【0105】
空間領域9には特に複数の突起7が位置していて、これらの突起の突起表面7o上に基板4o,4uを保持することができる。突起7は特に、過剰な汚染を回避するために働く。突起7は、
図1dでは、見易くするために平均以上に大きく示されている。実際には突起は、基板ホルダ1’’’の厚さと比較して著しく小さい。
【0106】
図1dには例えば2つの区域Z1およびZ2が示されている。第1の区域Z1には1つの固定エレメント2’’’が横断面で示されており、第2の区域Z2にも同じく1つの固定エレメント2’’’が横断面で示されている。特に、区域Ziは、基板ホルダ1’’’の外側の縁部に制限されていてよく、または基板ホルダ1’’’全体にわたって分配されていてよい。
【0107】
好適には、複数のセンサ3,3’、特に距離センサが、突起7間の空間領域9の底面上に位置している。センサ3,3’は、固定された基板4と底面との間の物理的かつ/または化学的特性を測定するために用いられる。センサ3,3’は特に、底面と基板保持面4aとの間の距離を測定する距離センサである。これにより、突起7の既知の高さに基づいて、基板保持面1aと突起表面7oとの間の距離を算出することができる。
【0108】
図2aに示された保持装置1
IVでは、固定エレメント2が4つの同心的な区域Z1~Z4に配置されている。保持装置1
IVの中心Cには湾曲エレメント5,5’(
図1eまたは
図1f参照)が位置している。複数の区域の対応する固定エレメント2は、それぞれ、半径方向に延在する直線Lに沿って配置されている。
【0109】
図2bに示された保持装置1
Vでは、固定エレメント2が4つの区域Z1~Z4に配置されている。保持装置1
Vの中心Cには湾曲エレメント5,5’(
図1eまたは
図1f参照)が位置している。複数の区域の対応する固定エレメント2は、それぞれ、湾曲エレメント5を通らず、特に中心Cを通らずに延在している線L’に沿って配置されている。線L’は特に直線である必要はない。それぞれ対向している、対応する固定エレメント2は、中心Cに対して鏡像点対称に配置されている。
【0110】
図2cには、
図1cによる構成のように縁部エレメント10によって取り囲まれた、複数の突起7を有した保持装置1
VIが示されている。突起7の間には、排気中に固定エレメント2
IVとして機能する空間領域9が位置している。排気は管路6を介して行われる。本発明のこのような構成では、空間領域9を互いに分離するウェブ8が存在していないので、湾曲エレメント5(
図1e参照)を介してもたらされた流体は通路6を介して直接再び吸い出される。したがって、本発明によるこのような構成は、基板ホルダ1
VIと基板4o,4uとの間に静的な層流が形成される基板ホルダの例である。
【0111】
図2dに示した本発明の構成では、それぞれ3つの固定エレメント2を備えた複数の区域Zが設けられている。区域Zは六角形として構成されていて、保持面を少なくともほぼ覆っている。中心Cと周縁とは覆われていない。
【0112】
図2eに示した本発明の構成では、1つの螺旋に沿って固定エレメント2が配置されている。この場合、保持面1s全体が唯1つの区域Zである。固定エレメントを個々にまたはグループごとに駆動制御することが考えられる。螺旋の終端および中心Cには湾曲エレメント5,5’が配置されている。
【0113】
図2a~
図2eによる全ての構成は、固定が負圧固定またはバキューム固定として実施される保持装置である。同様に、静電気固定を行う相応の基板ホルダも実現することができる。センサ3,3’は見易さのために示されていないが、
図1a~
図1dによる構成に相応に構成されていてよい。
【0114】
図3a~
図3eには、隆起部7,7’,7’’,7’’’,7’’’’の形状の実施例が示されている。
図3aの形状は、丸み付けされた頭部を備える円筒状の基体から成っている。
図3bの形状は、平坦な頭部を備える円筒状の基体から成っている。
図3cの形状は、半球状の基体から成っている。
図3dの形状は、三角錐から成っている。
図3eの形状は、四角錐から成っている。
【0115】
図4aは、第1の/上側の基板4oと第2の/下側の基板4uの、対向して配置された接触面4kを接触させ、接合する本発明による接合機13を示している。接合機13は、下側の基板ホルダ1uと上側の基板ホルダ1oとから成る。基板ホルダ1u,1oは特に、第1の/上側の基板4oと第2の/下側の基板4uとを保持する上述した保持装置1,1’,1’’,1’’’,1
IV,1
V,1
VIとして構成されていてよく、この場合、下側の基板ホルダ1uは、上側の基板ホルダ1oとは異なるように構成または装備されていてよい。
【0116】
上側の基板ホルダ1oは、好適には測定穴12を有しており、この測定穴を介して、基板ホルダ1oの背面から基板4oの測定を行うことができる。選択的に測定穴にセンサが配置されていてもよい。測定穴12は特に、湾曲変更手段と固定エレメントとの間に配置されている。選択的に、または付加的に下側の基板ホルダ1uが相応の測定穴12を有していてもよい。測定穴は保持装置1を貫通していて、特に保持面1sに対して垂直に延在している。測定穴12は特に、保持面1sの中心に関して等間隔で配置されている。好適には測定穴12は、互いに180°または120°の間隔を置いて配置されている。
【0117】
基板ホルダ1u,1oは、複数の固定エレメント2とセンサ3,3’とを備えた保持面1sを有している。固定エレメント2は、管路6を介して排気され、基板4u,4oを固定する。基板ホルダ1u,1oの上方および下方にはグラフが記載されており、これらのグラフにはそれぞれ、距離センサとして構成されたセンサ3と基板4u,4oとの間の間隔dが、x方向(基板直径)に沿って各x位置に関して示されている。距離センサ3は、湾曲変更手段5のところから、固定手段のところまで分配配置されている。したがって距離センサは、保持面1sの部分面にわたって延在している。
【0118】
固定手段2の領域には、圧力センサとして構成されたセンサ3’が配置されていて、このセンサによって、センサ3’のx位置に沿って、基板4u,4oと基板ホルダ1u,1oとの間で圧力p1が測定される。
【0119】
距離グラフにおいては、特にソフトウェアによって設定された目標湾曲15u,15oと、距離センサによって測定された実際湾曲14u,14oと、が表示されている。上側の基板4oは特に、重力に基づき存在している実際湾曲14oを有しており、下側の基板4uは平坦に載置されているので、本発明の場合には実際湾曲14uを有していない(実際にはごく僅かに有している)。しかしながら、重力によって生じる実際湾曲14oは無視できるほど小さいことも考えられる。達成したい両湾曲15u,15oは実施例では、鏡像対称的である。任意の湾曲15u,15oを設定することができる。圧力分布16uおよび16oは、固定エレメント2の作動領域で圧力低下を示している。このことは、基板4u,4oの固定が行われていることを示している。
【0120】
両基板4u,4oの互いの位置合わせのプロセスステップは示されていない。
【0121】
図4bには、別のプロセスステップにおける接合機13が示されている。両基板4u,4oは、両基板ホルダ1u,1oの相対運動により互いに近付けられる。その他の点は、
図4aの状態と変更されていない。
【0122】
図4cには、別のプロセスステップにおける接合機13が示されている。図示した例では、圧力p2のガスが貫流するガス流出開口である、湾曲エレメント5の使用により、両基板4u,4oは目標湾曲にもたらされ、この場合、好適には圧力の調節が距離センサ3によって行われる。閉ループ制御/開ループ制御のためには、固定エレメント2の圧力も使用することができ、これにより固定エレメントは、湾曲手段5,5’または湾曲変更手段5,5’の役割も引き受けることができ、したがって本発明においては固定エレメント2も湾曲手段と見なされる。
【0123】
図示した例ではこのために、基板4o,4uの接触前に所望の湾曲を達成するために、固定エレメント2の1つの圧力が、圧力p1から圧力p0に増圧される。図示した例では、簡単にするために、3つの圧力値p0,p1,p2しか示されていない。圧力値は特に連続的にかつ/または常に閉ループ制御可能/開ループ制御可能である。
【0124】
図4dには、別のプロセスステップにおける接合機13が示されている。両基板4u,4oは、基板4u,4oの接近により、半径方向外側に広がる接合ウェーブを形成している。この場合、基板4u,4oの湾曲は連続的に変化する(湾曲変更手段)。この場合、下側の基板4uと上側の基板4oの湾曲変更は距離センサによって継続的に監視され、必要な場合には、湾曲エレメント5および/または固定エレメント2により、その都度所望の、もしくは設定される目標湾曲が達成されるように湾曲が修正される(湾曲変更手段)。重要なパラメータは、接合ウェーブの点における上側の基板4oの曲率半径R1と、下側の基板4uの曲率半径R2である。
【0125】
周方向に並ぶ内側の4つの固定エレメント2の列の圧力は、上側の保持装置1oおよび下側の保持装置1uにおいて同時にp0に増圧される。これにより基板4u,4oは、特に内側から外側への連続的な、保持面1sへの固着を失い、これにより湾曲エレメント5からの圧力p2はさらに広がることができる。
【0126】
制御により、基板4o,4uの湾曲および湾曲変更を考慮することにより、ランアウト誤差は最小になる。
【0127】
図4eには、別のプロセスステップにおける接合機13が示されている。両基板4u,4oは、上側の保持装置1oの固定エレメント2の最も外側の列の圧力をp0に増圧することにより、制御されて互いに接合される。
【符号の説明】
【0128】
1,1’,1’’,1’’’ 保持装置/基板ホルダ
1IV,1V,1VI 保持装置/基板ホルダ
1o 第1の保持装置/上側の基板ホルダ
1u 第2の保持装置/下側の基板ホルダ
1s,1s’,1s’’,1s’’’ 保持面
2,2’,2’’,2’’’ 固定エレメント
2o’’’ 固定エレメント表面
3,3’ センサ
4o 第1の/上側の基板
4u 第2の/下側の基板
4a 基板保持面
5,5’ 湾曲エレメント
6 管路
7,7’,7’’,7’’’,7’’’’ 隆起部/突起
7o 突起表面
8 ウェブ
9 空間領域
10 縁部エレメント
11 突起平面
12 測定穴
13 接合機
14u,14o 実際湾曲
15u,15o 目標湾曲
16u,16o 圧力経過
L,L’ 線
x 位置
d 距離
p 圧力
R1,R2 曲率半径