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特許7237942ジョイントのための制御システムおよびその操作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】ジョイントのための制御システムおよびその操作方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 3/00 20060101AFI20230306BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B25J3/00 A
B25J11/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020514308
(86)(22)【出願日】2018-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 CA2018050583
(87)【国際公開番号】W WO2018209442
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】2017901841
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519412073
【氏名又は名称】ティペット,ジョナサン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ティペット,ジョナサン
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-512976(JP,A)
【文献】国際公開第2011/115287(WO,A1)
【文献】特開平08-216066(JP,A)
【文献】特開昭61-146482(JP,A)
【文献】特開平10-325401(JP,A)
【文献】特開平02-106288(JP,A)
【文献】特開2007-290096(JP,A)
【文献】実開平07-037586(JP,U)
【文献】特開昭63-229279(JP,A)
【文献】特開平05-324076(JP,A)
【文献】特開平07-009366(JP,A)
【文献】特開2008-194789(JP,A)
【文献】特表平04-506635(JP,A)
【文献】特開昭62-166977(JP,A)
【文献】特開昭62-162479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ジョイントのためのサーボ機構であって、
操縦者からの二方向入力を受ける入力ジョイントと、
制御される動力ジョイントと、
一対のフィードバックアクチュエータを含むフィードバックシステムであって、前記フィードバックアクチュエータの第1のものが前記入力ジョイントに対して作動し、前記フィードバックアクチュエータの第2のものが前記動力ジョイントに対して作動し、前記フィードバックアクチュエータが、互いから力フィードバック信号を送信および受信するように動作可能に連結され、
その結果、前記動力ジョイント上の力が前記フィードバックアクチュエータを介して前記入力ジョイントに対して作動し、またその逆も同様である、フィードバックシステムと、
前記入力ジョイント上の力、または前記フィードバックシステム内の力を測定する力変換器と、
前記動力ジョイントに接続された動力アクチュエータと、
前記力変換器から出力信号を受信し、前記動力アクチュエータに動力を提供するように配置された制御器と、を含む、サーボ機構。
【請求項2】
前記力変換器が、前記第1のフィードバックアクチュエータと、前記入力ジョイントとの間に設置される、請求項1に記載のサーボ機構。
【請求項3】
前記力変換器が、半導体からなるリニア式のエンコーダーである、請求項1に記載のサーボ機構。
【請求項4】
前記フィードバックアクチュエータが、回転アクチュエータである、請求項1に記載のサーボ機構。
【請求項5】
前記力変換器が、前記入力ジョイントにかかる力または前記入力ジョイントの歪みを測定するために、前記入力ジョイントに取り付けられた力センサーまたは歪みセンサーを含む、請求項1に記載のサーボ機構。
【請求項6】
前記フィードバックアクチュエータが流体アクチュエータである、請求項1に記載のサーボ機構。
【請求項7】
前記制御器が、前記力変換器から得られた信号を受信する流体制御弁を含み、加圧された流体を前記動力アクチュエータに出力する、請求項4に記載のサーボ機構。
【請求項8】
前記制御器は、前記力変換器から前記出力信号を受信し、条件付けされた信号を前記動力アクチュエータに出力するように配置された電子制御ユニットである、請求項1に記載のサーボ機構。
【請求項9】
前記フィードバックアクチュエータが、油圧式アクチュエータである、請求項1に記載のサーボ機構。
【請求項10】
前記第1のフィードバックアクチュエータが、前記フィードバック信号の受信に応答して、前記入力ジョイントが受けた入力とは逆方向に移動するように配置されている、請求項1に記載のサーボ機構。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のサーボ機構と、前記サーボ機構により制御されるエンドエフェクタと、を有する、建設車両。
【請求項12】
歩行運動のための複数のジョイントと、請求項1~10のいずれか一項に記載の複数のサーボ機構と、を含み、前記ジョイントの各々が前記サーボ機構のうちの1つにより個々に制御される、歩行車。
【請求項13】
前記操縦者を受ける外骨格フレームをさらに含み、前記外骨格フレームが、各々が前記サーボ機構の前記入力ジョイントのうちの1つに対応する複数の可動部材を有する、請求項12に記載の車両。
【請求項14】
複数の動力ジョイントを有する歩行車を制御する方法であって、
各動力ジョイントについて、
a)入力ジョイントへ入力する力を提供する操縦者と、
b)フィードバックシステムでのフィードバック力を測定するセンサーであって、前記フィードバックシステムが、
一対のフィードバックアクチュエータを含み、前記フィードバックアクチュエータの第1のものが前記入力ジョイントに対して作動し、前記フィードバックアクチュエータの第2のものが前記動力ジョイントに対して作動し、前記フィードバックアクチュエータが、互いからの前記フィードバック力を送信および受信するように動作可能に連結され、その結果、前記動力ジョイント上の力が、前記フィードバックアクチュエータを介して、前記入力ジョイントに対して作動し、逆もまた同様である、センサーと、
c)前記測定された力に基づいて、前記フィードバックシステム内の残留力を減らす方向に前記動力ジョイントを移動させるように、動力アクチュエータへの動力を制御することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記入力する力を測定するために、付勢部材で前記入力した力に対抗することと、前記付勢部材の変位を測定することと、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御可能な車両および機械の分野に関する。特に、本発明は、フィードバックを使用して制御される、動力化された外骨格の機械に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行車および建設車両は、人間の操縦者により制御されるが、足またはエンドエフェクタなどの、車両ジョイントを動かすのに非常に大きな力を必要とする。操縦者の力、位置、および速度のマッピングを車両のジョイントに提供する制御システムを作るのにいくつかの設計の問題がある。
【0003】
論文、“Prosthesis:The Anti-Robot”,Fluid Power Journal(2014年1月1日オンライン発行)に、油圧フィードバックシリンダーの対を使用して、外骨格制御フレームと動力ジョイントとの間に反転性を生み出す歩行車が記述されている。このシステムは、操縦者の入力を拾うために、二方向再中心調整バネ、および機械的なダンパーと並行して回転エンコーダーを使用する。本発明は、そのようなシステムの制御における改良を実現した。
【発明の概要】
【0004】
本発明のある特定の実施態様は、既存の車両制御システムの操縦性を改良する。
【0005】
本発明の第1の態様によると、車両ジョイントのためのサーボ機構であって、操縦者からの二方向入力を受ける制御ジョイントと、制御される動力ジョイントと、
一対のフィードバックアクチュエータを含むフィードバックシステムであって、フィードバックアクチュエータの第1のものが制御ジョイントに対して作動し、フィードバックアクチュエータの第2のものが動力ジョイントに対して作動し、アクチュエータが、互いからのフィードバック信号を送信および受信するように動作可能に連結され、その結果、動力ジョイント上の力が、フィードバックシリンダーを介して入力ジョイントに対して作動し、逆もまた同様である、フィードバックシステムと、を含む、サーボ機構が提供される。さらに、制御ジョイント上の、またはフィードバックシステム内の力を測定するための力変換器と、動力ジョイントに接続された動力アクチュエータと、力変換器から出力信号を受信し、動力アクチュエータに動力を供給するように配置された制御器と、がある。
【0006】
建設車両は、当該サーボ機構を用いて、エンドエフェクタを制御し得る。歩行車は、歩行運動のための複数のジョイントおよび複数のサーボ機構を含んでもよく、そのジョイントの各々は、サーボ機構のうちの1つにより個々に制御される。
【0007】
車両は、操縦者を受ける外骨格フレームをさらに含んでもよく、フレームは、各々がサーボ機構の入力ジョイントのうちの1つに対応する複数の可動部材を有する。
【0008】
本発明の第2の態様によると、サーボ機構を制御する方法であって、a)操縦者が入力する力を入力ジョイントに提供することと、b)入力ジョイントと動力ジョイントとの間に流体連通を含むフィードバックシステム内の残留力を検知することと、c)検知された残留力に基づいて動力アクチュエータへの動力を制御することと、を含む、方法が提供される。動力ジョイントは、動力アクチュエータにより、フィードバックシステム内の残留力を減らす方向に移動される。
【0009】
本発明の第3の態様によると、歩行車のためのフィードバック機構であって、第1の平面内で移動可能な車両ジョイントと、接続リンクにより第1の平面から分離された第2の平面内で移動可能なサスペンションリンクであって、その接続リンクが、一方の端部で車両ジョイントに、および他方の端部でサスペンションリンクに接続されている、サスペンションリンクと、車両ジョイントとサスペンションリンクとの間の調整可能な位置で接続リンクに接続されたジョイントフィードバックアクチュエータと、パイロットにフィードバック力を加えるためにジョイントフィードバックアクチュエータに遠隔的に連結されたパイロットフィードバックアクチュエータと、を含む、フィードバック機構が提供される。
【0010】
接続リンクは、ネジロッドであってもよく、ジョイントフィードバックアクチュエータは、ロッド上の1つ以上のナットにより調整可能に位置付けられる。接続リンクへの車両ジョイントおよびサスペンションリンクの接続は、2°の回転自由度を許容することもある。
【0011】
本発明の第4の態様によると、車両ジョイントを制御するためのデバイスであって、フィードバックアクチュエータと機械的に直列の操縦者ジョイントを含む入力リンクであって、操縦者ジョイントが操縦者からの変位を受けるように配置され、フィードバックアクチュエータが、車両ジョイントにより経験される力に関する入力を受けるように配置されている、入力リンクと、付勢部材と機械的に並列な変位センサーを含む力検知機構であって、変位センサーが、中立状態からの付勢部材の二方向変位を測定するように配置され、力検知機構は、入力機構と直列に接続され、車両ジョイントを操作するために信号を出力する、力検知機構と、を含む、デバイスが提供される。
【0012】
フィードバックアクチュエータは、車両ジョイントが移動するときに操縦者により提供される変位に逆らうように配置されてもよい。変位センサーは、ダンパーと機械的に並列であってもよい。付勢部材、ダンパー、およびエンコーダーは、シャフト上で共に回転するために固定され得る。出力力信号は、測定された付勢部材の変位を付勢部材のバネ定数で乗算することにより決定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本制御システムを使用するのに適合された歩行車である。
図2】歩行車を操作するための外骨格ハーネスの図である。
図3】操縦者を含まない外骨格ハーネスの図である。
図4】機械ジョイントを操作するために、2つの異なる入力ジョイントがいかに使用され得るかを示す図である。
図5】制御システムのフローチャートである。
図6】掘削ジョイントを操作するために、いかに1つの操縦者ジョイントが使用され得るかを示す図である。
図7】システムの主要部品間の動作を示すフローチャートである。
図8】力エンコーダーの複数の実施態様、および好ましい実施態様の詳細の図である。
図9】フィードバック挙動の調整を可能にする機構の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ジョイントの動作を制御するクローズドループ制御システム(またはサーボ機構)が提供される。システムは特に、掘削機のエンドエフェクタなどの建設車両のジョイントの制御に、または一般にMechと呼ばれる歩行車でのジョイントの制御のために有用である。制御システムは、位置または速度領域よりむしろ力領域で動作する。車両は、フィードバックシステムの助けにより人間の操縦者(またパイロットもしくはドライバーとして知られる)により制御される。
【0015】
典型的なシステムにおいて、操縦者は、ジョイスティックまたは単純なレバーなどの入力ジョイントを動かす。最も単純なオープンループ制御システムは、一般的に、入力ジョイントが中立位置の前方にある限り、動力ジョイントを前方に(または入力ジョイントが後方にある限り)動かすであろう。クローズドループシステムは、入力ジョイントの位置を測定し、適合するために動力ジョイントを動かす場合もある。前者の場合には、位置的反転性が維持されることはない。後者の場合には、入力ジョイントと動力ジョイントとの間の位置的反転性が維持されるが、リクエストされた位置に追いつくために、動力ジョイントのラグがある場合がある。運動を平滑にするために、比例、積分、および微分(PID)制御手段が用いられてもよい。
【0016】
また、システムが、動力ジョイント上の力をシミュレーションするために入力ジョイントにおいて触覚フィードバックを追加的に提供しない限り、外部物体上でのエンドエフェクタまたは動力ジョイントの「感覚」が不足する。このことは余分なコストを追加するだけでなく、動力ジョイントが遭遇するものを真にシミュレーションすることは決してない。これらのラグおよび外部障害はまた、操縦者が、追いつくために、動力ジョイントがすぐに交われない極端まで入力ジョイントを動かし、潜在的には、障害物を介して乱暴に動かす可能性があることも意味する。
【0017】
本システムにおいて、ループは、駆動ジョイントと入力ジョイントとの間で力を伝達することにより閉じられ、それにより、入力ジョイントは動力ジョイントに対して作動し、またその逆も同様である。それにより、動力ジョイントにより経験されるいかなる力もまた、入力ジョイントに接続された操縦者により感じられる。
【0018】
力変換器は、フィードバックシステムの中の力を検知し、電気出力信号を出す。この信号は、動力ジョイントを駆動するように配置された動力アクチュエータを制御するために使用される。全体のシステムは、動力ジョイントが、フィードバックシステム内の残留力を減らす方向に移動するように押されるように配置される。それにより、動力ジョイントは、正味の力を加えることにより操縦者によりリクエストされた方向に移動する。
【0019】
有利には、従来のシステムは動力ジョイントをリクエストされた位置まで移動させるために必要とされる力をいくらでも加える一方、このシステムは、操作者が動力ジョイントで外部物体に制御可能な力を加えることを可能にする。
【0020】
図1は、mechの歩行運動を提供するための複数のジョイントを有し、各ジョイントが、対応するクローズドループ制御システムにより個々に制御される、mechを示す。操縦者は、外骨格ハーネスおよびフレームで取り囲まれたmechの中間に座る。フレームは、動力プラントを保持し、かつそのジョイントが可動式に接続される、堅い構造を提供する。操縦者のハーネスの近位のある特定のジョイントは、フレームに対して移動可能であり、入力ジョイントとして作動する。これらのジョイントは好ましくは、操縦者の肢部のジョイントと物理的に整列するために回転可能である。
【0021】
図2は、様々な斜視方向から、外骨格フレームを作るジョイントにより取り囲まれた操縦者を示す。図3は、操縦者を含まない図であり、操縦者の腕および脚に対応する8つの入力ジョイントを示す。人体の対称性に従って、各種のジョイントが2つある。4つの操縦者フィードバック要素が示されるが、その機能は、下述され、また図4に図示される。操縦者フィードバック要素(301)はパイロットの肘に対応する。操縦者フィードバック要素(302)はパイロットの肩に対応する。操縦者フィードバック要素(303)はパイロットの腰に対応する。操縦者フィードバック要素(304)はパイロットの膝に対応する。腕は、肩および肘DOF(自由度)入力を有する。
【0022】
図4は、3つの異なる位置での1つの入力ジョイントの拡大図である。図示される構成では、操縦者の屈曲により制御肢部3を回転させる力が加えられ、それにより命令信号をECUに送信する回転エンコーダー4が回転する。制御肢部は、動力ジョイント7を二方向に移動させる二方向入力命令を許可し、二方向向力フィードバックを受信する。
【0023】
mechまたは建設車両などの、制御システムの好ましい用途では、動力ジョイントは、制御肢部から遠隔であるため、それらの間の直接的な堅い連結は非実用的である。好ましい実施例において、プッシュ‐プル方式で操作的に一緒に連結される一対のフィードバックアクチュエータにより力フィードバックシステムが提供され、その結果、一方のジョイントがその連結を介して他方に対して作用する。フィードバックシステムが最小限に圧縮可能である範囲内で、一方のジョイントが他方のジョイントを移動させることなく移動することができないために、動力ジョイントと制御ジョイントとの間に位置的な反転性がある。
【0024】
フィードバックシステムは、一方は制御ジョイント3に接続され、他方は動力ジョイントに接続された、一対のフィードバックアクチュエータを含んでもよい。各フィードバックアクチュエータの別の部分もまたフレームに接続され、それによりアクチュエータの起動が、フレームに対する一方のジョイントの動作をもたらす。流体フィードバックアクチュエータの場合には、アクチュエータは流体ラインと配管接続され、その結果、一方のフィードバックアクチュエータが一方のジョイントにより作動されると、流体ライン内の流体を加圧し、それにより他方のフィードバックアクチュエータに対して作動し、次いで、それが他方のジョイントに対して作動する。車両ジョイントが移動するにつれて、フィードバックシステムは、フィードバックシステム内の力を中立状態に戻す。車両ジョイントが障害物に遭遇した場合には、操作者がそれらの付与される力を、車両ジョイントでの増大された力が障害物を通って押し進ことができる程度まで増加させない限り、フィードバックシステム内の力が高まり、操縦者の動作を素早く停止する。
【0025】
フィードバックアクチュエータは、流体または電気機構であり得る。流体フィードバックアクチュエータは、空気圧式または油圧式であり得る。それらはジョイントの枢軸の周りの回転運動を提供する回転アクチュエータ、またはジョイントのリンクに直線動作を与えるリニア式アクチュエータであることも可能で、各々の場合には、動作はフレームまたは別のジョイントに関する。流体アクチュエータは、ギヤポンプおよびモータを使用する回転式であってもよく、または固定容量もしくは可変容量であり得る軸ピストンポンプを使用するリニア式であってもよい。
【0026】
車両の寸法は、操縦者に比較して非常に大きく、これは、入力ジョイントが動力補助なしに動力ジョイントを駆動することができないことを意味する。それにより、操縦者により提供された力を増幅するために、動力アクチュエータが動力ジョイントに接続される。動力アクチュエータは、フィードバックアクチュエータより、好ましくは少なくとも10倍、さらに好ましくは100~200倍大きい力の容量を有する。これは操縦者の力を増幅するだけでなく、動力ジョイントに対して作動する過度に大きな外部力が操縦者に危害を加えることがないことを確実にする。動力アクチュエータは、油圧式アクチュエータ、空気圧式アクチュエータ、または電気モータであり得る。
【0027】
フィードバックシステムは、速度または変位に基づくよりもむしろ、力領域で動作する。残留力を検出するために、力変換器は、制御肢部3と動力ジョイント7との間で力を経験するフィードバックシステムの1つの要素に接続され、その力は、制御肢部上の操縦者により、または動力ジョイント上の外部物体により提供され得る。変換器は、入力ジョイントに接続された歪みまたは力センサーであり得る。
【0028】
代替的には、変換器は、フィードバックシステムにおいて流体連結に接続された圧力センサーであってもよい。検出された中立圧力を越える圧力は、操縦者が第1の方向に動力ジョイントを押していることを示すであろう。検出された中立圧力を下回る圧力は、操縦者が、第1の方向とは反対の第2の方向に動力ジョイントを押していることを示すであろう。
【0029】
単一センサー実施態様の欠点は、負圧を検出することに対して制限があり、それによりシステムの二方向範囲を制限することである。この実施態様は、流体漏洩および温度変化に対して強固ではなく、そのことがフィードバック力に関連しない圧力変化を起こす。
【0030】
したがって、別の実施態様においては、2つの圧力センサーが使用され、残留力を検出するために差次的に処理される。第1の圧力センサーは、第1の流体ライン内の流体圧力を測定するために接続され、また第2の圧力センサーは、第2の流体ライン内の流体圧力を測定するために接続される。この場合には、フィードバックシステムにおいて無負荷の場合でさえ、流体漏洩、電気的ノイズ、および熱的ノイズが正味の圧力差を生じることがある。ECUの信号プロセッサは、2つのセンサーの間の差を計算し、フィードバックシステムにおいて、無負荷(中立圧力)での圧力差を減じ、残留力を表す信号を出力する。
【0031】
出力信号が弁に送信され、リザーバから動力流体アクチュエータまで加圧された動作流体の流れの方向を制御する。その弁はスプール弁であってもよい。
【0032】
一方では、出力信号は、電気アクチュエータへの電力の極性を制御し、動力ジョイントを駆動する。図5は、フィードバックでの制御システムのフローチャートである。
【0033】
図4は、パイロットの肘または膝の動作を可能にして、動力ジョイント(9)、この場合には、mech脚の膝ジョイントを制御するシステムの好ましい実施態様を示す。
【0034】
図4a)は、膝ジョイント(9)が完全に伸びたmech脚を示す。
【0035】
図4b)は、膝ジョイント(9)が半分伸びたmech脚を示す。
【0036】
図4c)は、膝ジョイント(9)が完全に引き込まれたmech脚を示す。
【0037】
図4d)は、図3に示されるように、パイロットが、図4a)のmechの膝ジョイント(9)の位置と一致させて、自身の腕を完全に伸びた状態に置くであろう、外骨格制御フレームの位置を示す。
【0038】
図4e)は、図3に示されるように、パイロットが、図4b)のmechの膝ジョイント(9)の位置と一致させて、自身の腕を半分伸びた状態に置くであろう外骨格制御フレームの位置を示す。
【0039】
図4f)は、図3に示されるように、パイロットが、図4c)のmechの膝ジョイント(9)の位置と一致させて、自身の腕を完全に引き込まれた状態に置くであろう外骨格制御フレームの位置を示す。
【0040】
図4g)は、図3に示されるように、パイロットが、図4a)のmechの膝ジョイント(9)の位置と一致させて、自身の腕を完全に伸びた状態に置くであろう外骨格制御フレームの位置を示す。
【0041】
図4h)は、図3に示されるように、パイロットが、図4b)のmechの膝ジョイント(9)の位置と一致させて、自身の脚を半分伸ばした状態に置くであろう外骨格制御フレームの位置を示す。
【0042】
図4i)は、図3に示されるように、パイロットが、図4c)のmechの膝ジョイント(9)の位置と一致させて、自身の脚を完全に引き込まれた状態に置くであろう外骨格制御フレームの位置を示す。
【0043】
制御システムの基本要素は、操縦者フィードバック要素(1)、固定式外骨格制御肢部要素(2)、可動式外骨格制御肢部要素(3)、操縦者力入力エンコーダー要素(4)、動力ジョイントフィードバック要素(5)、固定式動力ジョイント要素(6)、可動式動力ジョイント要素(7)、動力ジョイントアクチュエータ(8)および動力ジョイント(9)である。
【0044】
フィードバックシステムの連続的な運動学
システムは、可動式外骨格制御肢部要素(3)に力を加える操縦者により作動する。この力は、操縦者フィードバック要素(1)を介して、操縦者力入力エンコーダー要素(4)に伝達される。エンコーダー(4)は、図8a)に示されるように、回転式、または図8b)に示されるようにリニア式であり得る。エンコーダーは、機械的または半導体であり得た。
【0045】
図3の実施態様は、8-DOFを備えるが、この技術は、他のDOF、例えば2―DOF肩または2-DOF腰ジョイントを有する車両の上で使用され得る。
【0046】
エンコーダー(4)は、図5に示されるように、力信号を電子制御ユニット(ECU)に送信し、これは、油圧が使用される場合には、Hydraforce Cortek 2415などの標準的な産業用制御ユニットであり、または制御ユニットが使用される動力アクチュエータに適切に適合される場合には特注電気制御ユニットであり得る。
【0047】
エンコーダー信号は、ECUにより翻訳され、パイロットが加えた力により指示された方向に動くように動力アクチュエータ(8)に命令する。
【0048】
可動式動力ジョイント要素(7)は動力アクチュエータ(8)の影響下で動くために、それは、動力ジョイントフィードバック要素(5)も動かす。この動作は、操縦者フィードバック要素(1)内での動作を誘発し、それがパイロットによりなされた入力動作が邪魔されて元に戻されるようにし、それにより、力エンコーダーへの信号を減らし、また動力ジョイント(9)の動作を阻む。パイロットが、動作を継続することを望む場合には、パイロットは、加えられた力を維持するために、自身のジョイントを動作方向に動かし、操縦者入力エンコーダー(4)に信号を送らなければならない。このことが、操縦者ジョイントと動力ジョイントの間の位置的反転性を作る。
【0049】
可変フィードバック付勢機構
この機構は、例えば、衝撃吸収の目的のためなどで、アクチュエータ位置に関して、ジョイント位置において意図的な迎合がある直線動力ジョイントフィードバック要素を使用するジョイントに対して効果がある。
【0050】
mechは、その脚にサスペンションを備え、衝撃と加速による、機械とパイロットへの負荷を軽減する。図9は、第1の平面で一般的に水平に動くことにより、足(901)の上に置かれた脚と軸上となる負荷に対して膝ジョイント(9)がゆだねられるようにするサスペンションを有するmech脚を示す。図9a)は、サスペンションが圧縮されていない脚を示し、図9b)は、サスペンションが圧縮された脚を示す。圧縮は、動力ジョイントアクチュエータ(8)と直列で動作するダンパー、コイルバネおよびエアショックを含む1つまたは複数のサスペンション要素(902)を使用して制御される。サスペンション要素は、サスペンションリンク(903)により、接続リンク(907)を介して動力ジョイントアクチュエータ(8)に接続され、その結果、それらの動作平面は分離される。吸収すべき所望の負荷に等しいか、またはそれより大きな負荷が足(901)に加えられると、力は下側脚(904)を介して伝達し、下側リンク(905)を動力肢部ジョイント(9)の周りに回転させ、第1の平面内で移動させ、それにより、サスペンション要素を圧縮し、動力アクチュエータにより保持されるサスペンションリンク(903)に向かって第2の平面で移動させる。下側脚がまた上側リンク(906)に装着されるが、それは下側脚を安定させるために働く。このことは、実際の動力肢部ジョイント位置が、動力アクチュエータ(8)の位置と、サスペンション要素(902)の圧縮の状態の関数であるという結果をもたらす。図9g)に示される可変フィードバック付勢機構により、パイロットが、接続リンク(907)に沿って動力ジョイントフィードバック要素(5)の調整可能な位置に基づいて、動力アクチュエータとサスペンション圧縮の動作の間で、動力ジョイントフィードバック要素(5)が移動する割合を選択することが可能になる。この調整を可能にする利点は、様々な技術レベルまたは個人的な好みを有するパイロットが、これらのどの運動学的パラメータが彼らに送信して戻されるのかを選択でき得ることである。
【0051】
可変フィードバック付勢機構は、接続リンク(907)の上に配置された3つの球体平滑ベアリングで構成される。これらのベアリングは等しく、3つの直交軸の中での回転を可能にする3-DOFジョイントであり得た。第1のベアリング(908)は、組み立て中に接続リンク(907)の端部に固定され、また、接続リンク(907)に沿ってその位置は、動作の間に、または調整の目的のためには変化しない。第2のベアリング(909)はネジ接続リンク(907)に取り付けられ、またその位置は、リンクの長さに沿ったいかなるポイントにおいても調整され得る。この実施態様において、
そのベアリングは、動力ジョイントフィードバック要素(5)の端部に固定された標準ロッド端部の一部である。それは、ベアリングのどちらかの側でシャフトをネジ込み、ナット(910)を使用することにより、操作の間にシャフトに沿ってその位置に固定される。代替的には、それは、クランプを有することにより、またはベアリングのどちらかの側にセットネジを有するカラーを有することにより固定されてもよい。第3のベアリング(911)は、第1、第2のベアリングから遠位のシャフトの端部に配置される。このベアリングは、動作の間に、接続リンクの長さに沿って自由にスライドすることが許容される。第1のベアリング(908)は上側リンク(906)の中に取り付けられる。第3のベアリング(911)は、図9e)とf)に示されるように、サスペンションリンク(903)に取り付けられる。
【0052】
動力アクチュエータが膝ジョイントを動かし、サスペンションリンクと上側リンクの両方は一緒に動き、図9e)に示されるように、接続リンク(907)が、これらの要素に関して、その角度位置を維持するようにさせる。この場合には、第2のベアリング(909)、またそれにより動力ジョイントフィードバック要素(5)の動作は、接続リンク(907)の上でのその位置にかかわらず、同じになる。しかしながら、サスペンションが圧縮されている場合には、上側リンク(906)は、サスペンションリンク(903)に対して動き、図9f)およびh)に示されるように、接続リンク(907)に、サスペンションが移動する平面に対する角度を変えさせる。この場合には、第2のベアリング(909)、またそれにより動力ジョイントフィードバック要素(5)の動作は、接続リンク(907)上でのその位置に影響を受けるようになる。それが上側リンク(906)の近傍にある場合には、それはサスペンション圧縮とともに実質的に移動する。それがサスペンションリンク(903)の近傍にある場合には、それはサスペンション圧縮とともに実質的に移動しない。それにより、パイロットが、第2のベアリング(909)が配置される接続リンク(907)の上のどのポイントかの選択により、サスペンション動作が外骨格制御に送信して戻される程度を選択し得る。
【0053】
二方向力エンコーダー
図8は、操縦者入力エンコーダー(4)の2つの異なる実施態様を示す。図8a)は、操縦者フィードバック要素(1)に接続されたトルクアーム(806)を有する回転エンコーダーと、固定された外骨格制御肢部要素(2)に接続されたエンコーダーフレーム(814)を示す。操縦者が、可動式外骨格制御肢部要素(3)の上で押すか、また引くと、力が操縦者フィードバック要素(1)を介して伝達され、それが、可動式外骨格制御肢部要素(3)に加えられる力を測定するために使用され得るエンコーダーの周りにモーメントを発生させる。図8b)は、一端で操縦者フィードバック要素(1)に、また他端で固定された外骨格制御肢部要素(2)に装着された直線エンコーダーを示す。回転または直線エンコーダーのどちらかは機械的または半導体であり得た。
【0054】
図8c、d、e、f、g、hは、二方向、自己再中心調整ダンパーの機械的回転エンコーダーの好ましい実施態様を示す。操縦者フィードバック要素(1)は、シャフト(810)内の穴(803)を介してピン(811)により中央シャフト(810)に回転式に固定されたトルクアーム(806)に接続される。トルクアーム(806)は、キーストック、スプライン、クランプ、セットネジまたは他の手段により中央シャフト(810)に回転式に等しく固定され得た。トルクアーム(806)が操縦者フィードバック要素(1)から力を受けると、それは中央シャフト(810)を回転させる。この回転は、シャフトの一端で装着され、エンコーダーフレーム(814)に固定される電子回転エンコーダー(804)により測定される。中央シャフトの他端には、二方向回転ダンパーがあり、パイロットが経験する運動学的フィードバックによるシャフトの中の急激な、騒音のある動作を防ぐ。図8f)に示されるように、トルクアーム(806)が上向きに回転するにつれて、トルクアームピン(812)は上側バネアーム(808)に向かって押される。下側バネアーム(807)は、固定されたピン(813)によりエンコーダーフレーム(814)に対して決まった場所に保持され、それによりバネ(809)を伸長させる。力が除去されると、バネ(809)が上側バネアーム(808)を中心の、または中立位置まで、対方向回転ダンパー(805)により変調された再中心調整のレートで引っ張って戻す。力が反対方向にある場合には、反対の運動が観察される。
【0055】
さらに一般的には、様々な自己中心調整機構が、図8のそれと機械的な原理において類似して設計されるであろうことは当業者には理解される。制御肢部とフィードバックアクチュエータが機械的に直列に配置され、パイロットの統合された入力する力と変位を有する入力機構と、車両ジョイントからのフィードバックを提供する。統合された力は、入力機構と直列に配置された付勢部材により、無効にされ、統合された変位はそれにより吸収される。
【0056】
変位(または位置センサー)、付勢部材およびダンパーは、互いに機械的に並列に移動し、力検知機構を提供するように配置される。それらは一緒に1つのシャフトに固定されてもよいが、当業者は、他の機械的な接続がこの効果に対して使用され得ることも理解する。付勢部材のいかなる動作も、そこに接続されたセンサーにより変位として検出される。出力信号は、付勢部材のバネ定数により拡大された測定変位である力信号として考慮され得る。
【0057】
図7は、操作の順番を記述するが、点線のボックスによりグループ化された操作はほぼ同時である。開始時に、パイロットは制御肢部3を回転し、それがフィードバックアクチュエータをバネ809に向かって押す。エンコーダーが、バネと並列に移動し、また、車両を動かす命令を指示するECUに電気信号を出力する。ECUは油圧弁または電気スイッチを作動し、アクティブアクチュエータ8を起動し、また車両ジョイント7を動かす。
【0058】
フィードバックアクチュエータ5(初期に中立力を経験する)が展開され(または圧縮され)、それにより、フィードバック信号をフィードバック要素1(流体圧力または電気信号として)に送信する。フィードバックアクチュエータ1は、初期のパイロットの動作に対抗して、統合された入力機構変位を中立位置まで戻すために設定される。例えば、パイロットがバネ809を圧縮した場合には、フィードバックアクチュエータが移動して、バネをその中立状態に向かって展開する。それにより、車両ジョイントが平滑に動く場合には、パイロットとフィードバック変位が互いに中和する。ここで、車両ジョイントと制御肢部は、パイロットが移動を続けるのを希望する場合には、圧縮されたバネ内の小さな遊びであっても、位置的反転性を備える。パイロットが制御肢部の上の力を除去すると、バネとエンコーダーはそれらの中立状態に戻る。しかしながら、車両ジョイントが障害物に遭遇したならば、ジョイント上に突然の衝撃力が発生し、その調整可能な比率(図9参照)がフィードバックアクチュエータ5に作動するであろう。フィードバックアクチュエータ1は、フィードバック信号を受信し、それによりバネがさらに変位され、パイロットへの衝撃力を引き起こす(パイロットの入力する力に加えて)。

図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図8f
図8g
図8h
図9