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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】CNF成形装置及びCNF成形方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/00 20060101AFI20230306BHJP
   D21H 11/18 20060101ALI20230306BHJP
   D21J 3/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
C08J5/00 CEP
D21H11/18
D21J3/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021040306
(22)【出願日】2021-03-12
(62)【分割の表示】P 2019517737の分割
【原出願日】2018-05-14
(65)【公開番号】P2021101054
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2017095652
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591023642
【氏名又は名称】中越パルプ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095740
【弁理士】
【氏名又は名称】開口 宗昭
(72)【発明者】
【氏名】橋場 洋美
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-094683(JP,A)
【文献】特開平10-183500(JP,A)
【文献】特開2011-149124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00-5/02、5/12-5/22
B29C 33/00-33/76
D21H 11/00-27/42
D21J 1/00-7/00
C08B 1/00-37/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースナノファイバー(以下、CNFと記す)含有スラリーに蒸気を透過させる蒸気透過手段を使用して荷重を加えるCNF成形方法において、
前記CNF含有スラリーは、水溶媒及び/又は有機溶媒に、平均太さ3~200nm、平均長さ0.1μm以上のCNFを2~10%の範囲において含むCNF含有スラリーであって、
前記蒸気透過手段における金型部の温度を100℃とし、前記荷重を60kgとしたときに得られるCNF成形体を、底直径12cm、高さ20mmとしたときの、成形体の密度が1.13~1.42g/cm であることを特徴とするCNF成形方法。
【請求項2】
セルロースナノファイバー(以下、CNFと記す)含有スラリーに蒸気を透過させる蒸気透過手段を使用して荷重を加えるCNF成形方法において、
本体部と少なくとも一部に蒸気透過手段を使用する底板とによって成形キャビティを形成する成形型を備え、前記成形キャビティに対するCNF投入手段を設けてなり、
前記本体部は、少なくとも、一部に蒸気透過手段を使用する金型部と上板とよりなり、
前記金型部は、金型部に対する加熱手段を設け、
前記底板は、前記本体部内側に嵌入可能にされ、
前記上板は前記金型部を介して前記底板とは反対側に配置され、前記上板によって前記金型部を前記底板方向に加圧する工程を有し、
前記CNF含有スラリーは、水溶媒及び/又は有機溶媒に、平均太さ3~200nm、平均長さ0.1μm以上のCNFを2~10%の範囲において含むCNF含有スラリーであって、
得られたCNF成形体を底直径12cm、高さ20mmとしたときの、成形体の密度が1.13~1.42g/cmであることを特徴とするCNF成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCNF成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロースは、天然で繊維形態として、植物、例えば、広葉樹や針葉樹などの木本植物、及び竹や葦などの草本植物、ホヤに代表される一部の動物、および酢酸菌に代表される一部の菌類等によって産生されることが知られている。このセルロース分子が繊維状に集合した構造を有するものをセルロースファイバーと呼ぶ。特に繊維幅が100nm以下でアスペクト比が100以上のセルロースファイバーは一般的にセルロースナノファイバー(CNF)と呼ばれ、軽量、高強度、低熱膨張率等の優れた性質を有する。
【0003】
天然においてCNFは、酢酸菌に代表される一部の菌類等によって産生されたCNFを除くと、単繊維として存在しない。CNFの殆どはCNF間の水素結合に代表される相互作用によって強固に集合したマイクロサイズの繊維幅を有した状態で存在する。そのマイクロサイズの繊維幅を有した繊維もさらに高次の集合体として存在する。
【0004】
製紙の過程では、これらの繊維集合体である木材を化学パルプ化法の一つであるクラフト蒸解法に代表されるパルプ化法によって、マイクロサイズの繊維幅を有するパルプの状態にまで解繊し、これを原料に紙を製造している。このパルプの繊維幅は、原料によって異なるが、広葉樹を原料とした晒クラフトパルプで5-30μm、針葉樹を原料とした晒クラフトパルプで20-100μm、竹を原料とした晒クラフトパルプで5-30μm程度である。
【0005】
前述のとおりこれらマイクロサイズの繊維幅を有するパルプは、CNFが水素結合に代表される相互作用によって強固に集合した繊維状の形態を有する単繊維の集合体であり、さらに解繊を進めることによってナノサイズの繊維幅を有するCNFを得ることができる。
【0006】
CNFの調製方法は多々報告されているが、酸加水分解法やTEMPO触媒酸化法といった化学的方法と、グラインダー法や高圧ホモジナイザー法、水中対向衝突法といった物理的方法の2種類に大別される。いずれの方法を使用してもCNFは基本的に水に分散した状態で得られる。
【0007】
CNFを含むスラリーに対する成形方法及び成形体の作成方法には、以下の特許文献が公開されている。
【0008】
特許文献1は多孔質基材の表面に、1または2以上の溶媒と1または2以上の高分子とを含む液を接触させる工程と、多孔質基材により溶媒を除去し液の固形分濃度を4%以上にして成形物を形成する工程により成形物を形成する、用いられる高分子として、短軸方向が1nm以上500nm以下、長軸方向が500nm以上1000μm以下の繊維状高分子がある、とする成形物の製造方法を開示した。
【0009】
また特許文献2は廃棄時に燃焼残渣が生じない高強度でしかも軽量な材料を提供するという課題を解決するための平均繊維径が10~100nmであり、かつ平均アスペクト比が1000以上であるセルロースナノファイバーを、高温下に高圧でプレス処理することにより、密度が1.2g/cm3以上1.4g/cm3以下であり、曲げ強度が200MPa以上であり、更に曲げ弾性率が14GPa以上の高強度材料を開示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2011-038031
【文献】特開2013-11026
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、これらの特許文献に開示されたCNF成形方法で得られるCNF成形体は、高々2mm程度であるから、例えば、成形体を切削加工して、何らかの造形物を得ることは望むべくもない。前述の通りCNFは水に分散しており、また、分散液中のCNF含量は、0.1~10%程度のものであるから、切削加工が可能となるような厚みを有し、内部が均一なCNF成形体を得ようとした場合には、CNF分散液の溶媒量が必然的に多くなる。したがって、CNF分散液から溶媒を除去するための時間が多くなる。前記時間を多く要してしまうと、CNF成形体を作成することができても、成形体内部にCNFの層や空洞が発生し、均一な成形体を得ることができない。
【0012】
本発明は、以上の従来技術に於ける問題に鑑み、溶媒除去に要する時間を削減し、かつ、切削加工が可能となる厚みを有し、内部が均一である成形体を得ることのできるCNF成形装置及びCNF成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、セルロースナノファイバー(以下、CNFと記す)含有スラリーに蒸気を透過させる蒸気透過手段を使用して荷重を加えるCNF成形装置において、本体部と底板とによって成形キャビティを形成する成形型を備え、前記成形キャビティに対するCNF投入手段を設けてなり、前記底板は前記本体部内側に嵌入可能にされ、かつ前記本体部を前記底板方向に加圧する加圧手段を有することを特徴としている。
【0014】
本発明の第2の態様は、CNF含有スラリーに蒸気を透過させる蒸気透過手段を使用して荷重を加えるCNF成形方法において、本体部と底板とによって成形キャビティを形成する成形型を備え、 前記成形キャビティに対するCNF投入手段を設けてなり、前記底板は前記本体部内側に嵌入可能にされ、かつ前記本体部を前記底板方向に加圧する工程を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、溶媒除去に要する時間を削減し、かつ、切削加工が可能となる厚みを有し、内部が均一であるCNF成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態のCNF成形装置の概念図である。
図2】本発明の一実施の形態のCNF成形装置によって得られた成形体の写真である。
図3図2に示す成形体から削り出して得られた製品の写真である。
図4図2に示す成形体から削り出して得られた製品の他の写真である。
図5】表6に示す曲げ強さのデータを図示したものである。
図6】表8に示す曲げ弾性率のデータを図示したものである。
図7】表9に示す接触角のデータを図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように本実施の形態のCNF成形装置1は、可動状態で支持され、蒸気透過手段を使用してなる本体部2及び底板3と、を有する。底板3は非可動状態に保持される。本体部2と底板3とによって成形キャビティ4が形成される。さらに本体部2は金型部2aと蒸気透過手段を使用してなる金型部2aと上板2bとよりなり、上板2bは金型部2aを介して底板3とは反対側に配置される。その上板2bには加圧手段である油圧アクチュエータ5が装着されて、この油圧アクチュエータ5に負荷をかけることによって、上型2bによって金型部2aを底板3方向に加圧することができる。さらに上型2bには成形キャビティ4内へのCNF投入手段であるノズル6が装着される
【0018】
金型部2a近傍には金型部2aを加熱する加熱手段である遠赤外線発生装置7が配置される。また、他の加熱手段として帯ヒータ等も使用することができる。
以上の本実施の形態のCNF成形装置1では、金型部2aの内径と底板3の外径とはほぼ一致する様にされて、底板3が金型部2a内側に嵌入可能にされている。
一方、上型2bの外径と金型部2aの外径とはほぼ一致する様にされる結果、油圧アクチュエータ5によって上板2bが底板3方向に加圧されると、加圧力は金型部2aに伝達されて、可動状態で支持される本体部2全体が底板3方向に移動する。
一方、非可動状態に保持される底板3は一定位置に保持される結果、本体部2全体が底板3方向に移動すると底板3は金型部2a内側に嵌入し、成形キャビティ4の容積は減少する。
【0019】
前記蒸気透過手段として、例えば多孔質素材を用いてなる多孔質体を使用することができる。多孔質素材としては有機、無機、金属、またはそれらの複合物、具体的にはステンレス製、SiC製、セラミック製、樹脂製、ゴム製、ガラス製、紙製など多様なものを用いることができる。またこれらを必要に応じて組み合わせて用いても良い。また、用いる多孔質体の平均気孔径、気孔率については、平均気孔径5~200μm、気孔率30~85%のものを使用することができ、好ましくは、平均気孔径5~60μm、気孔率40~70%のものを使用するとよい。
なお、気孔率には (1)外部に連絡する気孔の容積と,内部に封入された気孔の容積の和を,全容積 (見かけの容積) で割ったもの、 (2) 外部に通じている気孔の容積を,全容積で割ったもの、の2種類があるが、本発明においては、いずれの計算方法を利用したものを利用することができる。
【0020】
透過を改善させる方法として、蒸気を透過させる物体を使用して濃縮する方法が考えられる。蒸気を透過させる物体としては、織物やフェルト、メンブレンフィルターや焼結フィルター等の各種フィルター、ろ紙、穴などの透過機構を設けた物質、板及び棒を重ねた状態、多孔質、微粒な物質の集合体(砂やシリカ等微粒な物質で疑似的に多孔質のような構造を形成)でも可能である。また、親水性の基材を用いると容易に水を脱水することができる。さらに、前記透過機構が1μm以下であればCNFが流出を防止することがでる
。さらに、これらの単独使用、または併用が考えられる。また、荷重及び蒸気を透過させる方向については制限しない。また、真空条件下や減圧条件下において蒸気を透過させることが可能であり、その手段は特には制限されない。
【0021】
成形キャビティ4内に対するCNF投入手段であるノズル6を設けることにより、得られる成形体の体積を調整することができる。このノズルがない場合は、得られる成形体の大きさは、金型部の成形キャビティの大きさに比べて極端に小さい体積のものとなってしまうが、ノズルからCNF含有スラリーを追加することによって、金型形状を維持することができる。
【0022】
以上の本実施の形態のCNF成形装置1を用いて行われるCNF成形プロセスについて
説明する。
先ず、底板3と本体部2とによって成形キャビティ4が形成された状態で上板2bに装着されたノズル6から成形キャビティ4内側にCNF含有スラリーを投入する。これと前後して遠赤外線発生装置7による金型部2aの加熱を開始する。
一定以上のCNFが成形キャビティ4に貯留された状態で、油圧アクチュエータ5によって上板2bを底板3方向に加圧すると、可動状態で支持される本体部2全体が底板3方向に移動し、底板3は金型部2a内側に嵌入し、成形キャビティ4の容積は減少する。 その過程で、加熱された金型部2a内側のCNFは多孔質体を用いてなる上板2bを介して外部に蒸気を排出しながら縮小していき、成形キャビティ4の形状によって予め予定される形状に成形され、所要の成形体8を得ることができる。この場合に、成形過程でノズル6からCNFを補充することによって、所要の容積を具えるCNF成形体8を得ることができる。
また、以上の場合に上板2bや底板3も予め遠赤外線発生装置7によって加温しておけば時間短縮することが可能となる。
【0023】
[CNF含有スラリー]
本発明において、CNFとしては例えば、木材繊維、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維、葉繊維等の天然の植物を含む多糖由来のCNFが挙げられ、これらCNFは一種を単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いるCNFは、平均太さ3~200nm、平均長さ0.1μm以上であり、例えば多糖を高圧水流にて解繊して作成することができる。多糖の高圧水流による解繊は、0.5~10質量%の水混合液にした多糖に対し、50~400MPa程度の高圧水を衝突させて行う。平均太さと平均繊維長さの測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等を適宜選択し、CNFを観察・測定し、得られた写真から20本以上を選択し、これをそれぞれ平均化することにより求める。ただし、本発明に用いるCNFの調製方法はこれに限らず、その他に酸加水分解法や TEMPO触媒酸化法といった化学的手法や、グラインダー法や高圧ホモジナイザー法といった物理的手法によっても作成することができる。
【0024】
本発明においては、CNF水分散液に金属塩、広葉樹、針葉樹又は竹を原料としたパルプ、又は、架橋剤を添加して、CNF含有スラリーとする。さらに、水溶媒を有機溶媒に置換したものもCNF含有スラリーとして使用することもできる。
【0025】
一方、一般的にCNFは、その分子内に多数の水酸基を有しており、極めて親水性が高いことが知られている。したがって、その分子内に多数の水酸基を有したままの状態で、CNF成形体を作成した場合、CNF成形体自身の親水性・吸水性が問題となり得る。すなわち、耐水性が要求されるような状況においてもCNF成形体を使用可能であることが要求されることがある。
【0026】
そこで、この問題を解決するため、官能基の一部をビニルエステル類又は有機酸ビニルエステル類に変性した疎水性を有するCNFを使用することができる。これらビニルエステル類又は有機酸ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルステアレート、ビニルラウレート、ビニルミリステート、ビニルプロピオネート、バーサティク酸ビニル等の直鎖状又は分岐鎖状C2-20脂肪族カルボン酸のビニルエステル、安息香酸ビニルなどの芳香族カルボン酸を例示できる。このような疎水性を有するCNFを用いると、疎水性CNF成形体を作成することができる。
【0027】
次いで、CNF含有スラリー中のCNF濃度は2%~10%範囲にするとよい。2%以下では溶媒量が多く、脱水に時間がかかる。また、10%以上ではCNF成形体内部が空洞となってしまう。さらに、前記加熱手段を用いて、CNF含有スラリーの液温の範囲を20~95℃、好ましくは、40~80℃の範囲に調節するとよい。20℃以下の液温では、脱水に時間を要することになる。また、溶媒の沸点以上になると沸騰状態となり、成形体に気泡跡が発生し、均一な成形体を得ることができない。
【0028】
[金属塩]
CNF水分散液に添加する金属塩は、例えば、無機リン化合物、亜リン酸若しくは次亜リン酸の金属塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物を用いることが好ましい。金属塩を添加することにより、CNF同士の軽い凝集体を形成しおくと、溶媒を脱水する時間を削減することができる。
無機リン化合物としては、例えば、リン酸系化合物、亜リン酸系化合物、次亜リン酸系化合物が挙げられる。かかるリン酸系化合物の具体例としては、リン酸、二リン酸、三リン酸、リン酸リチウム、リン酸ベリリウム、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウムなどが挙げられ、亜リン酸系化合物の具体例としては亜リン酸、亜リン酸リチウム、亜リン酸ベリリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウムなどが挙げられ、次亜リン酸系化合物の具体例としては次亜リン酸、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸ベリリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウムなどが挙げられる。
また、他には、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム等の水酸化物;塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化第二鉄、塩化第三鉄、塩化第二銅、塩化バリウム、塩化第二マンガン、塩化第三マンガン、塩化第四マンガン、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩化物;塩化亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸カリウム、硫酸ジルコニウム、硫酸銅、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等の硫酸塩;硝酸亜鉛、硝酸アルミニウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸銅、硝酸ナトリウム、硝酸バリウム、硝酸マグネシウム、硝酸マンガン等の硝酸塩;酢酸亜鉛、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸ナトリウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム等の酢酸塩;等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、より好ましくは、マグネシウム、カルシウム等の2価の金属イオン、若しくは、アルミニウムなどの3価の金属イオンがよい。
また、添加する量は、得られるCNF成形品に対して、1%以上、より好ましくは、5%~10%の範囲において添加するとよい。10%以上添加すると、CNF成形体の強度が低下するおそれがある。
【0029】
[パルプ]
CNF水分散液に添加するパルプは、広葉樹を原料としたパルプ、針葉樹を原料としたパルプ、竹を原料としたパルプのいずれか又はこれらを組み合わせて用いることができる。また、パルプ繊維長は、0.5~5.0mm及びパルプ繊維長は10~100μmの範囲にあるものを、適宜選択して使用するとよい。さらに、添加量は、得られるCNF成形品に対して、10~30%の範囲にするとよい。このとき、パルプの添加量が10%以下である場合には、濾過に要する時間を短縮することとならず、また、30%以上添加した場合には、これ以上添加しても、濾過時間を短縮することにあまり影響を及ぼさないからである。
【0030】
[架橋剤]
架橋剤としては、セルロースナノファイバー又は変性セルロースナノファイバーが有する水酸基、水酸基がカルボキシル基、リン酸基、アミノ基等の他の官能基を有するものに変性された官能基に対して反応性を有するものであればよく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。さらに、これらの重合開始剤を併用することもできる。中でもイソシアネート系架橋剤は、当該水酸基との反応性に優れるという利点がある。架橋剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。架橋剤は、CNF成形体の曲げ強度、曲げ弾性率等の物性値の向上を目的として、又は、CNF成形体に他の機能を追加することを目的として使用することができる。
【0031】
添加剤の含有量は、セルロースナノファイバー固形分に対し、1%~10%であることが好ましい。1%以下では、架橋剤とセルロースナノファイバーとが反応しないことが考えられ、10%以上では、架橋剤が過剰すぎてセルロースナノファイバーの特徴が減少する可能性がある。
【0032】
イソシアネート系架橋剤としては、多官能イソシアネート(1分子当たり平均2個以上のイソシアネート基を有する化合物をいい、イソシアヌレート構造を有するものを包含する。)が好ましく使用され得る。例えば、イソシアネートアクリレート又はトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。イソシアネート系架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
[溶媒置換]
CNF含有スラリーの溶媒を水溶媒から有機溶媒へ置換したものをCNF含有スラリーとしてもよい。有機溶媒は、特に制限されることなく使用することでき、例えば、アルコール類、飽和脂肪族炭化水素、エステル類、エーテル類、ニトリル類、非プロトン性極性溶媒、ケトン類、アミド類、芳香族炭化水素、含窒素芳香族化合物、イオン性液体、水が好ましい。一例を挙げると、ヘキサン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、THF、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMSO、エタノール、メタノール、酢酸、メタクリル酸メチル等を用いることができる。揮発性溶媒を使用することにより、脱水に要する時間を削減することができ、また、CNFが凝集して脱水性が向上させることができる。
【0034】
溶媒の置換処理方法として、メタノールへの置換処理の一例を挙げると、まずCNFと、当該CNFに含まれる水分と同量のメタノールを混合攪拌し、然る後、この混合攪拌液を真空ろ過することで水分の除去を行う。そして、この除去により得られたCNFにさらに適量のメタノールを供給し、メタノール液中に均等に分散させる。なお、ここでは、メタノールを置換媒体として使用した場合を例示したが、メタノール以外の溶媒を用いて上記置換処理を行うことも可能である。
【0035】
もちろん、溶媒置換の方法は上記に限られるものではなく、他の方法を採ることもできる。例えば、CNF含有スラリーに対してフリーズドライ処理を施し、CNF含有スラリー中の水分を除去するようにしてもよい。
【実施例
【0036】
次に、実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に記載しない限り、本発明において、%等は重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとする。
【0037】
実施例1
(CNF含有スラリーの液温と濾水量)
CNF1.816%水分散液(BB 5pass品)に純水を加えて0.1%濃度に希釈し、ウォーターバスを使用して0.1%CNF水溶液を12、27.5、50、80℃の各温度に設定して濾水量の測定を行った。
ここで、濾水量とは、CNFの0.1%分散液200mlを吸引ろ過して、10、20、30min等の各時間において脱水された量を示す。すなわち、濾水量が多いほど脱水性がよいこととなり、溶媒を脱水する時間がより少ないこととなる。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に結果を示す。表1から明らかなように濾水量は液温が高くなるにつれて、増加している。したがって、CNF含有スラリーを加熱することによって、溶媒を脱水する時間を短縮することができる。したがって、本発明におけるCNF成形装置の金型部を加熱することによって、溶媒除去に要する時間を短縮することができる。
【0040】
実施例2
(金属塩を添加したCNF含有スラリーの濾水量)
CNF1.816%水分散液(BBー5pass品)に純水を加えて0.1%濃度に希釈し、リン酸三カルシウムを0、1、3、5,10%の割合で配合して、室温において、それぞれのCNF含有スラリーについて、その濾水量を測定した。
【0041】
【表2】
【0042】
表2に結果を示す。表2から明らかなように3%よりも5%の方が濾水量が増加している。したがって、3%よりも多い量のリン酸三カルシウムを添加することで、溶媒除去に要する時間を短縮することができる。
【0043】
実施例3
CNF 1.817%水分散液(BB-5パス品)を使用して、パルプが所定の配合率になるように、あらかじめ水分散させたパルプを配合し、0.1%濃度のCNF、パルプ水分散液の濾水量を測定した。温度は室温にて実施した。
【0044】
【表3】
【0045】
表3に結果を示す。表3から明らかなようにパルプ配合量10%の場合には、濾水量が増加した。また、30%以上の範囲にある場合には、パルプ量を増加させても濾水量が増加しないことが分かった。したがって、パルプ配合量を10~30%としたCNF含有スラリーは、溶媒除去に要する時間を短縮することができる。
【0046】
実施例4
(有機溶媒に置換したCNF含有スラリーの濾水量)
CNF2%水分散液にリン酸三カルシウム10%を添加して、メタノールで吸引ろ過を2回行い2.5%のメタノール湿潤CNFとした。これを0.1%CNFメタノール溶液とし、実施例4とした。また、CNF2%水分散液にリン酸三カルシウム10%を添加し、0.1%に希釈したものを比較例2とした。
これらの濾水量及び溶液安定性評価装置(英弘精機株式会社)を使用して、沈降速度の
測定を行った。
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
表4に濾水量の結果を示し、表5に沈降速度の測定結果を示す。表4から明らかなようにメタノール溶媒に置換した実施例は、1分で200mlをろ過することができた。また、表5から、メタノール溶媒に置換した実施例4の方が、沈降速度が早いことが分かる。したがって、有機溶媒に置換したCNF含有スラリーは、溶媒除去に要する時間を短縮することができる。
【0050】
実施例5
(水溶媒のCNF含有スラリーを用いたCNF成形体の作成及びこれを用いた切削加工)
CNF2%水分散液 7.91kg(CNF158g)、パルプ50%品135.8g(67.8g)及びリン酸カルシウム11g(CNF成形体に対して5%)を混合してCNF含有スラリーとした。次いで、円筒型の金型を用いたCNF成形装置に投入し、荷重60kg、金型部を100℃に設定し、成形体を作成した。得られたCNF成形体は、底直径12cm、高さ20mmであり、重量は226gであった。本実施例で得られたCNF成形体を用いて総入れ歯の歯床部分を作成した。図2にCNF成形装置によって得られた成形体の写真を示す。また、図3に切削加工後のCNF成形体を示す。以上より、本発明により、切削加工が可能となる厚さを有し、内部が均一となる成形体が得られることができる。
【0051】
実施例6
(メタノール溶媒に置換したCNF含有スラリーを用いたCNF成形体の作成及びこれを用いた切削加工)
CNF2%水分散液 12.5kg(CNF250g)、及びリン酸カルシウム12.5g(CNF成形体に対して5%)とした。次いで、円筒型の金型を用いたCNF成形装置に投入し、荷重60kg、金型部を100℃に設定し、成形体を作成した。得られたCNF成形体は、底直径12cm、高さ20mmであり、重量は256gであった。本実施例で得られたCNF成形体を用いて総入れ歯の歯床部分を作成した。図4に切削加工後のCNF成形体を示す。以上より、本発明により、切削加工が可能となる厚さを有し、内部が均一となる成形体が得ることができる。
【0052】
実施例7~実施例18
(CNF成形体の物性評価)
CNF成形体を作成し、(1)3点曲げ試験、(2)表面硬さの測定(3)接触角の測定、(4)吸水量の測定(5)密度の測定を行った。まず、それぞれの測定条件について以下に記載する。
(1)3点曲げ試験
各実施例で得られたCNF成形体を試験片サイズ 64×10×2mm とし、インストロンジャパン製材料試験機INSTRON5565を用いて、クロスヘッドスピード5mm/min,サポート間距離50mmの条件で試験を行い、曲げ強度(MPa)及び曲げ弾性率(MPa)を算出した。
(2)表面硬さの測定
硬度計(テクロックデュロメータタイプD、テクロック社製)を用いて、試験片3本、各4か所について測定した。押針が試験片測定面に垂直になるように加圧面を密着させて、3秒後の値(HDD)を測定した。
(3)接触角の測定
協和界面科学株式会社製全自動接触角計を用い、液滴法により蒸留水滴下10秒後の接触角(°)を測定した。10点の測定を行い、最大値、最小値を除く8点の平均値を算出した。
(4)吸水量の測定
試験片を水中に浸漬させ、3日経過後の重量を測定した。元の重量から3日後の重量の差を求め、給水量(μg/mm3)とした。
(5)密度の測定
試験片の体積及び重量から密度を測定した。
【0053】
(実施例7)
CNF 2%水分散液 2000gをCNF含有スラリーとした。次いで、円筒型の金型を用いたCNF成形装置に投入し、荷重60kg、金型部を100℃に設定し、成形体を作成した。
【0054】
(実施例8)
CNF1%水分散液 約4000gを、メタノールで吸引ろ過を2回行い、2.6%のメタノール湿潤CNFとし、CNF含有スラリーとした。次いで、円筒型の金型を用いたCNF成形装置に投入し、荷重60kg、金型部を100℃に設定し、成形体を作成した。
【0055】
(実施例9)
CNF2%水分散液 2000gに、リン酸三カルシウム2g(CNF固形分に対し5%)を加え、CNF含有スラリーとした。次いで、円筒型の金型を用いたCNF成形装置に投入し、荷重60kg、金型部を100℃に設定し、成形体を作成した。
【0056】
(実施例10)
CNF2%水分散液 2000gに、リン酸三カルシウム4g(CNF固形分に対し10%)を加えCNF含有スラリーとした。次いで、円筒型の金型を用いたCNF成形装置に投入し、荷重60kg、金型部を100℃に設定し、成形体を作成した。
【0057】
(実施例11)
CNF2%水分散液 1400gに、リン酸三カルシウム4g(CNFとパルプとの合計固形分に対し10%)及びCNFとパルプの重量比が7:3となるように竹パルプを加え、CNF含有スラリーとした。次いで、円筒型の金型を用いたCNF成形装置に投入し、荷重60kg、金型部を100℃に設定し、成形体を作成した。
【0058】
(実施例12)
CNF2%水分散液 2000gに、メタノールで吸引ろ過を2回行い2.5%のメタノール湿潤CNFとした。これに、リン酸三カルシウム2g(CNF固形分に対し5%)加え、CNF含有スラリーとした。次いで、円筒型の金型を用いたCNF成形装置に投入し、荷重60kg、金型部を100℃に設定し、成形体を作成した。
【0059】
(実施例13)
CNF1.5%(w/v)水分散液及び炭酸カリウム(対パルプ重量20%)を含む、94%DMSO/6%水(v/v)の混合溶液5mLを、良分散液になるまで室温で撹拌した。次いで、分散後70℃に加熱し、ラウリン酸ビニルを無水グルコース単位(AGU)当たり1.2モル相当となるように添加・密栓し、2時間・70℃の条件で反応させた。
その後、洗浄し、メタクリル酸メチル溶液湿潤CNFとした。これを2%CNFメタクリル酸メチル溶液とし、CNF含有スラリーとした。
次いで、円筒型の金型を用いたCNF成形装置に投入し、荷重60kg、金型部を100℃に設定し、成形体を作成した。
【0060】
(実施例14)
CNF1%(w/v)水分散液及び炭酸カリウム(対パルプ重量20%)を含む、94%DMSO/6%水(v/v)の混合溶液5mLを、良分散液になるまで室温で撹拌した。次いで、分散後70℃に加熱し、ラウリン酸ビニルを無水グルコース単位(AGU)当たり1.2モル相当となるように添加・密栓し、2時間・70℃の条件で反応させた。
その後、洗浄し、メタクリル酸メチル溶液湿潤CNFとした。これを2%CNFメタクリル酸メチル溶液とし、イソシアネートアクリレート(BASF社製 デュアルキュア用アクリレートLaromer LR9000)2g(CNFの固形分濃度に対し5%)を加えたものをCNF含有スラリーとした。次いで、円筒型の金型を用いたCNF成形装置に投入し、荷重60kg、金型部を100℃に設定し、成形体を作成した。
【0061】
(実施例15)
CNF1%水分散液 4000gを、メタノールで吸引ろ過を2回行い2.6%程度のメタノール湿潤CNFとした。これに、イソシアネートアクリレート(BASF社製 デュアルキュア用アクリレートLaromer LR9000)2g(CNF固形分に対し5%)を加えて、CNF含有スラリーとした。次いで、円筒型の金型を用いたCNF成形装置に投入し、荷重60kg、金型部を100℃に設定し、成形体を作成した。
【0062】
(実施例16)
CNF1%水分散液 4000gを、メタノールで吸引ろ過を2回行い、2.6%程度のメタノール湿潤CNFとした。これに、イソシアネートアクリレート(BASF社製 デュアルキュア用アクリレートLaromer LR9000)4g(CNF固形分に対し10%)にメタノールに溶かし、これを加え、CNF含有スラリーとした。次いで、円筒型の金型を用いたCNF成形装置に投入し、荷重60kg、金型部を100℃に設定し、成形体を作成した。
【0063】
(実施例17)
CNF1%水分散液 4000gにメタノールで吸引ろ過を2回行い、2.4%程度のメタノール湿潤CNFとした。これにイソシアネートアクリレート(BASF社製 デュアルキュア用アクリレートLaromer LR9000)2g(CNF固形分に対し5%)をメタノールに溶かし、さらに、重合開始剤(和光純薬工業株式会社製 V-65)100mgを加えて、CNF含有スラリーとした。次いで、円筒型の金型を用いたCNF成形装置に投入し、荷重60kg、金型部を100℃に設定し、成形体を作成した。
【0064】
(実施例18)
CNF1%水分散液 4000gに、アセトンで吸引ろ過を2回行い、2.4%程度のアセトン溶液とし、イソシアネートアクリレート(BASF社製 デュアルキュア用アクリレートLaromer LR9000)2g(CNF固形分に対し5%)をアセトンに溶かし、さらに、重合開始剤(和光純薬工業株式会社製 V-65)100mgを加えて、CNF含有スラリーとした。次いで、円筒型の金型を用いたCNF成形装置に投入し、荷重60kg、金型部を100℃に設定し、成形体を作成した。
【0065】
実施例7、8、9、10、11、12、15、16,17、18について、前述の(1)3点曲げ試験、(5)密度の測定を実施した。また、比較例3として、アクリルレジンを用いて、同サイズの試験片を作製し、共に測定した。
【0066】
【表6】
【0067】
表6に結果を示す。表から分かるように、全ての実施例について曲げ弾性率の値が上回っていた。実施例10、11、12については、密度が低いものであるため、低密度性が要求される製品分野においては、CNF含有スラリーに金属塩の添加、パルプの添加又はその両方を添加することは、非常に有用である。
【0068】
実施例15、16,17、18について、前述の(2)表面硬度試験を実施した。また、比較例3として用いたアクリルレジンを用いて、共に測定した。
【0069】
【表7】
【0070】
表7に結果を示す。表7から分かるように比較例と略同一若しくはこれ以上の値となった。
【0071】
実施例13,14について、前述の(3)接触角の測定及び(5)密度の測定を実施した。また、比較例3として用いたアクリルレジンを用いて、共に測定した。
【0072】
【表8】
【0073】
表8に結果を示す。表8から分かるように、比較例よりも大きい接触角となった。この結果により、CNF成形体に疎水性を維持することができた。
【0074】
実施例7,13、14、15、16、17、18について、前述の(4)の吸水量の測定を実施した。なお、1500μg/mm3以上の結果については、「未測定」という評価基準を採用した。
【0075】
【表9】
【0076】
表9に結果を示す。表9から分かるように、実施例7においては、「未測定」という結果になったものの、他の実施例については良好な結果となった。実施例13、14の結果から、疎水化CNFを使用したCNF成形体は、十分な疎水性を有していることが明らかとなり、また、実施例15、16、17、18の結果から、疎水化CNFを使用しなくとも、疎水性をCNF成形体に付与することができることが明らかとなった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7